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基発第0330004号
平成18年3月30 日
都道府 県労働局 長
殿
厚生労働 省労働基 準局長
(公
印
省
略)
化 学物質等 による危 険性又は 有害性等 の調査 等に関す る指針に ついて
労 働 安全 衛 生 法( 昭 和 47 年 法 律第 5 7号 ) 第 28 条 の 2第 2 項 の規 定 に基 づ き、
「 化 学 物 質 等 に よ る 危 険 性 又 は 有 害 性 等 の 調 査 等 に 関 す る 指 針 」( 以 下 「 指 針 」 と
い う 。) を 作 成 し 、 そ の 名 称 及 び 趣 旨 を 、 別 添 1 の と お り 平 成 1 8 年 3 月 3 0 日 付
け官報に 公示した 。
ついては、別添2のとおり指針を送付するので、労働安全衛生規則(昭和47年
労働省令第32号)第24条の12において準用する第24条の規定により、都道
府県労働 局労働衛 生主務課 において 閲覧に 供された い。
また、その趣旨、内容等について、下記事項に留意の上、事業者及び関係事業者
団体等に 対する周 知等を図 られたい 。
な お 、 平 成 1 2 年 3 月 3 1 日 付 け 基 発 第 2 1 2 号 「「 化 学 物 質 等 に よ る 労 働 者 の
健康障害を防止するため必要な措置に関する指針」について」は、本通達をもって
廃止する 。
記
1
趣旨 等につい て
( 1 ) 指 針 の 1 は 、 本 指 針 の 趣 旨 を 定 め て い る ほ か 、「 危 険 性 又 は 有 害 性 等 の 調 査
等 に 関 す る 指 針 」( 平 成 1 8 年 3 月 1 0 日 付 け 危 険 性 又 は 有 害 性 等 の 調 査 等 に
関す る指針公 示第1号 )との関 係につ いて規定 したもの であるこ と。
(2)指針の「危険性又は有害性等の調査」は、ILO(国際労働機関)等におい
て 「 リ ス ク ア セ ス メ ン ト (risk
assessment)」 等 の 用 語 で 表 現 さ れ て い る も の
であ ること。
2
適用 について
(1)指針の2は、労働者の就業に係るすべての化学物質による危険性又は有害性
を対 象とする ことを規 定したも のであ ること。
(2)指針の2の「化学物質等」には、製造中間体(製品の製造工程中において生
成 し 、 同 一 事 業 場 内 で 他 の 化 学 物 質 に 変 化 す る 化 学 物 質 を い う 。) が 含 ま れ る
こと 。
(3)指針の2の「危険性又は有害性」とは、労働者に負傷又は疾病を生じさせる
潜 在 的 な 根 源 で あ り 、 I S O ( 国 際 標 準 化 機 構 )、 I L O 等 に お い て は 「 危 険
源 」、「 危 険 有 害 要 因 」、「 ハ ザ ー ド ( hazard )」 等 の 用 語 で 表 現 さ れ て い る も の
であ ること。
3
実施 内容につ いて
( 1 ) 指 針 の 3 は 、 指 針 に 基 づ き 実 施 す べ き 事 項 の 骨 子 を 示 し た も の で あ る こ と。
(2)指針の3の「危険性又は有害性の特定」は、ISO等においては「危険源の
同定 (hazard identification)」等の用 語で表現 されて いるもの であるこ と。
4
実施 体制等に ついて
( 1 ) 指 針 の 4 は 、 調 査 等 を 実 施 す る 際 の 体 制 に つ い て 規 定 し た も の で あ る こ と。
( 2 ) 指 針 の 4 (1)ア の 「 事 業 の 実 施 を 統 括 管 理 す る 者 」 に は 、 総 括 安 全 衛 生 管 理
者、統括安全衛生責任者が含まれること。また、総括安全衛生管理者等の選任
義務のない事業場においては、事業場を実質的に統括管理する者が含まれるこ
と。
( 3 ) 指 針 の 4 (1)イ の 「 安 全 管 理 者 、 衛 生 管 理 者 等 」 の 「 等 」 に は 、 安 全 衛 生 推
進者 が含まれ ること。
(4)指 針の4(1)ウ の「化学 物質管理 者」は、 事業場で 製造等を 行う化 学物質等 、
作業方法、設備等の事業場の実態に精通していることが必要であるため、当該
事業 場に所属 する労働 者等から 指名さ れること が望まし いもので あること 。
( 5 ) 指 針 の 4 (1)エ の 「 安 全 衛 生 委 員 会 等 の 活 用 等 」 に は 、 安 全 衛 生 委 員 会 の 設
置義務のない事業場において実施される関係労働者の意見聴取の機会を活用す
るこ とが含ま れるもの であるこ と。
また、安全衛生委員会等の活用等を通じ、調査等の結果を労働者に周知する
必要 があるこ と。
( 6 ) 指 針 の 4 (1)オ の 「 機 械 設 備 等 」 の 「 等 」 に は 、 電 気 設 備 が 含 ま れ る こ と。
(7)調査等の実施に関し、専門的な知識を必要とする場合等には、外部のコンサ
ルタ ントの助 力を得る ことも差 し支え ないこと 。
5
実施 時期につ いて
(1)指 針の5は 、調査等 を実施す る時期 を規定し たもので あること 。
( 2 ) 指 針 の 5 (1)ア の 「 化 学 物 質 等 に 係 る 建 設 物 」 に は 、 化 学 プ ラ ン ト が 含 ま れ
るこ と。
( 3 ) 指 針 の 5 (1)イ の 設 備 に は 、 仮 配 管 等 の 仮 設 の も の も 含 ま れ る と と も に 、 設
備の 変更には 、設備の 配置替え が含ま れること 。
( 4 ) 指 針 の 5 (1)オ の 「 次 に 掲 げ る 場 合 等 」 の 「 等 」 に は 、 地 震 等 に よ り 、 建 設
物等に被害が出た場合、もしくは被害が出ているおそれがある場合が含まれる
こと 。
( 5 ) 指 針 の 5 (1)オ ( イ ) の 「 化 学 物 質 等 に よ る 危 険 性 又 は 有 害 性 等 に 係 る 新 た
な知見」には、例えば、化学物質等の危険性又は有害性に係る新たに明らかに
なった特性、化学物質等による危険性又は有害性のGHSの分類の追加又はそ
の区 分の変更 、ばく露 限界の新 規設定 又は変更 があるこ と。
( 6 ) 指 針 の 5 (1)オ ( ウ ) の 規 定 は 、 実 施 し た 調 査 等 に つ い て 、 設 備 の 経 年 劣 化
等の状況の変化に対応するため、定期的に再度調査等を実施し、それに基づく
リスク低減措置を実施することが必要であることから設けられたものであるこ
と。なお、ここでいう「一定の期間」については、事業者が設備や作業等の状
況を 踏まえ決 定し、そ れに基づ き計画 的に調査 等を実施 すること 。
( 7 ) 指 針 の 5 (1)オ ( ウ ) の 「 新 た な 安 全 衛 生 に 係 る 知 見 」 に は 、 例 え ば 、 社 外
における類似作業で発生した災害など、従前は想定していなかったリスクを明
らか にする情 報がある こと。
( 8 ) 指 針 の 5 (3)は 、 実 際 に 建 設 物 、 設 備 等 の 設 置 等 の 作 業 を 開 始 す る 前 に 、 設
備改修計画、工事計画や施工計画等を作成することが一般的であり、かつ、そ
れら計画の段階で調査等を実施することでより効果的なリスク低減措置の実施
が可能となることから設けられた規定であること。また、計画策定時に調査等
を 行 っ た 後 に 指 針 の 5 (1) の 作 業 等 を 行 う 場 合 、 同 じ 事 項 に 重 ね て 調 査 等 を 実
施す る必要は ないこと 。
(9)既に設置されている建設物等や採用されている作業方法等であって、調査等
が 実 施 さ れ て い な い も の に 対 し て は 、 指 針 の 5 (1)に か か わ ら ず 、 計 画 的 に 調
査等 を実施す ることが 望ましい こと。
6
対象 の選定に ついて
( 1 ) 指針 の 6 は、 調 査 等の 実 施 対象 の 選定 基 準 につ い て 規定 し た もの で ある こ と。
( 2 ) 指 針 の 6 (2)の 「 化 学 物 質 等 に よ る 危 険 又 は 健 康 障 害 の お そ れ が あ る 事 象 が
発生した作業等」の「等」には、労働災害を伴わなかった危険又は健康障害の
おそれのある事象(ヒヤリハット事例)のあった作業、労働者が日常不安を感
じている作業、過去に事故のあった設備等を使用する作業、又は操作が複雑な
化学 物質等に 係る機械 設備等の 操作が 含まれる こと。
( 3 ) 指 針 の 6 (2)の 「 合 理 的 に 予 見 可 能 」 と は 、 負 傷 又 は 疾 病 を 予 見 す る た め に
十分 な検討を 行えば、 現時点の 知見で 予見し得 ることを いうこと 。
7
情報 の入手に ついて
(1)指針の7は、調査等の実施に当たり、事前に入手すべき情報を規定したもの
であ ること。
( 2 ) 指 針 の 7 (1)の 「 非 定 常 作 業 」 に は 、 機 械 設 備 等 の 保 守 点 検 作 業 や 補 修 作 業
に加 え、予見 される緊 急事態へ の対応 も含まれ ること。
なお、工程の切替(いわゆる段取り替え)に関する情報についても入手すべ
きも のである こと。
(3)指 針の7(1)ア からキま でについ ては、以 下に留意 すること 。
ア
指 針 の 7 (1)ア の 「 危 険 性 又 は 有 害 性 に 関 す る 情 報 」 に は 、 例 え ば 、 使 用
す る 化 学 物 質 の 化 学 物 質 等 安 全 デ ー タ シ ー ト ( M S D S )、 使 用 す る 設 備 等
の 仕 様 書 、取 扱 説 明書 、「 機 械等 の 包 括的 な 安 全基 準 に関 す る 指針 」( 平 成1
3年6月1日付け基発第501号)に基づき提供される「使用上の情報」が
あ ること。
イ
指 針 の 7 (1)イ の 「 作 業 手 順 書 等 」 の 「 等 」 に は 、 例 え ば 、 操 作 説 明 書、
マ ニュアル があるこ と。
ウ
指 針 の 7 (1)ウ の 「 作 業 の 周 辺 の 環 境 に 関 す る 情 報 」 に は 、 例 え ば 、 周 辺
の化学物質等に係る機械設備等の配置状況や当該機械設備等から外部へ拡散
する化学物質等の情報があること。また、発注者において行われたこれらに
係 る調査等 の結果も 含まれる こと。
エ
指 針 の 7 (1)エ の 「 作 業 環 境 測 定 結 果 等 」 の 「 等 」 に は 、 例 え ば 、 特 殊 健
康 診断結果 、生物学 的モニタ リング 結果があ ること。
オ
指 針 の 7 (1)オ の 「 複 数 の 事 業 者 が 同 一 の 場 所 で 作 業 を 実 施 す る 状 況 に 関
する情報」には、例えば、塗装作業の実施予定、化学物質等に係る設備の整
備 作業の状 況がある こと。
カ
指 針 の 7 (1)カ の 「 災 害 事 例 、 災 害 統 計 等 」 に は 、 例 え ば 、 事 業 場 内 の 災
害事例、災害の統計・発生傾向分析、ヒヤリハット、トラブルの記録、労働
者が日常不安を感じている作業等の情報があること。また、同業他社、関連
業 界の災害 事例等を 収集する ことが 望ましい こと。
キ
指 針 の 7 (1)キ の 「 そ の 他 、 調 査 等 の 実 施 に 当 た り 参 考 と な る 資 料 等 」 の
「等」には、例えば、化学物質等による危険性又は有害性に係る文献、作業
を行うために必要な資格・教育の要件、セーフティ・アセスメント指針に基
づく調査等の結果、危険予知活動(KYT)の実施結果、職場巡視の実施結
果 があるこ と。
(4)指 針の7(2)に ついては 、以下の 事項に留 意するこ と。
ア
指 針 の 7 (2)ア は 、 化 学 物 質 等 に よ る 危 険 性 又 は 有 害 性 に 係 る 情 報 が 化 学
物質等安全データシート(MSDS)により伝達されることが調査等におい
て重要であることから、化学物質等を取得する事業者は当該化学物質等を譲
渡し、又は提供する者に、必要に応じ当該化学物質等による危険性又は有害
性の調査等を求めること等により、化学物質等安全データシート(MSD
S )を入手 すること を定めた もので あること 。
イ
指 針 の 7 (2)イ は 、「 機 械 等 の 包 括 的 な 安 全 基 準 に 関 す る 指 針 」、 I S O、
JISの「機械類の安全性」の考え方に基づき、化学物質等に係る機械設備
等の設計・製造段階における安全対策を行うことが重要であることから、機
械設備等を使用する事業者は、導入前に製造者に調査等の実施を求め、使用
上 の情報等 の結果を 入手する ことを 定めたも のである こと。
ウ
指 針 の 7 (2)ウ は 、 使 用 す る 機 械 設 備 等 に 対 す る 設 備 的 改 善 は 管 理 権 原 を
有する者のみが行い得ることから、その機械設備等を使用させる前に、管理
権原を有する者が調査等を実施し、その結果を機械設備等の使用者が入手す
る ことを定 めたもの であるこ と。
また、爆発等の危険性のあるものを取り扱う機械設備等の改造等を請け負
った事業者が、内容物等の危険性を把握することは困難であることから、管
理権原を有する者が調査等を実施し、その結果を請負業者が入手することを
定 めたもの であるこ と。
エ
指 針 の 7 (2)エ は 、 同 一 の 場 所 で 混 在 し て 実 施 す る 作 業 を 請 け 負 っ た 事 業
者は、混在の有無や混在作業における化学物質等による危険性又は有害性を
把握できないので、元方事業者がこれらの事項について事前に調査等を実施
し 、その結 果を関係 請負人が 入手す ることを 定めたも のである こと。
オ
指針の7 (2)オは、化 学物質等 の製造工 場や化学 プラント 等の建 設、改造 、
修 理 等 の 現 場 に お いて は 、 請負 事 業者 が 混 在し て 作 業を 行 っ てい る こと か ら、
どの請負事業者が調査等を実施すべきか明確でない場合があるため、元方事
業者が調査等を実施し、その結果を関係請負人が入手することを定めたもの
で あること 。
8
危険 性又は有 害性の特 定につい て
(1)指針の8は、危険性又は有害性の特定の方法について規定したものであるこ
と。
( 2 ) 指 針 の 8 (1)の 作 業 の 洗 い 出 し は 、 作 業 標 準 、 作 業 手 順 等 を 活 用 し 、 化 学 物
質等による危険性又は有害性を特定するために必要な単位で実施するものであ
るこ と。
なお、作業標準がない場合には、当該作業の手順を書き出した上で、それぞ
れの 段階ごと に調査等 の対象を 特定す ること。
( 3 ) 指 針 の 8 (1)の 「 危 険 性 又 は 有 害 性 の 分 類 」 に は 、 別 添 3 に 示 す G H S ( 化
学 品 の 分 類 及び 表 示 に関 す る 世界 調 和シ ス テ ム) で 定 めら れ た 分類 が ある こ と。
各事業者が設備、作業等に応じて定めた独自の分類がある場合には、それを用
い る こ と も 差 し 支 え な い も の で あ る こ と 。( 指 針 の 9 (4)に お いて も 同 様で あ る
こと 。)
( 4 ) 指 針 の 8 (1)の た だ し 書 は 、 化 学 プ ラ ン ト 等 に お い て 、 定 常 作 業 時 に は 、 周
辺に労働者の作業場所が無い場所を含めて、化学プラント等を工程ごとに分割
す る 方 法 又 は配 置 ご とに 分 割 する 方 法等 に よ り、 い く つか の ブ ロッ ク に分 割 し、
ブロック内の設備ごとに調査等の対象とすることによって、化学物質等による
危険 性又は有 害性を特 定する手 法を示 すもので あること 。
ま た 、「 化 学 プ ラ ン ト 等 」 の 「 等 」 に は 、 例 え ば 、 紙 パ ル プ 製 品 製 造 設 備、
発電 設備、製 鉄設備が あること 。
( 5 ) 指 針 の 8 (2)は 、 労 働 者 の 疲 労 等 に よ り 、 負 傷 又 は 疾 病 が 発 生 す る 可 能 性 や
その重篤度が高まることを踏まえて、危険性又は有害性の特定を行う必要があ
る旨を規定したものであること。したがって、指針の9のリスク見積りにおい
ても、これら疲労等による可能性の度合と重篤度の付加を考慮する必要がある
もの であるこ と。
( 6 ) 指 針 の 8 (2)の 「 疲 労 等 」 に は 、 単 調 作 業 の 連 続 に よ る 集 中 力 の 欠 如 や 、 深
夜労 働による 居眠り等 が含まれ ること 。
9
リス クの見積 りについ て
(1)指針の9はリスクの見積りの方法等について規定したものであるが、その実
施に 当たって は、次に 掲げる事 項に留 意するこ と。
ア
指針の9は、リスクの見積りの方法、留意事項等について規定したもので
あ ること。
イ
指 針 の 9の リ ス クの 見 積 りは 、 優先 度 を 定め る た めに 行 う もの で ある の で、
必 ずしも数 値化する 必要はな く、相 対的な分 類でも差 し支えな いこと。
ウ
指針の9 (1)の「負傷 又は疾病 」には、 それらに よる死亡 も含ま れること 。
ま た 、「 危 険 性 又 は 有 害 性 に よ り 発 生 す る お そ れ の あ る 負 傷 又 は 疾 病 」 は、
I S O 等 に お い て は 「 危 害 」( harm )、「 負 傷 又 は 疾 病 の 重 篤 度 」 と は 、「 危
害 のひどさ 」( severity of harm)等 の用語で 表現さ れている ものであ るこ
と。
エ
指 針 の 9 (1)ア か ら ウ ま で 並 び に 指 針 の 9 (2)ア 及 び イ に 掲 げ る 方 法 は 、 代
表 的 な 手 法 の 例 で あ り 、 (1)又 は (2)の 柱 書 き に 定 め る 事 項 を 満 た し て い る 限
り 、他の手 法によっ ても差し 支えな いこと。
オ
指 針 の 9 (1)ア で 定 め る 手 法 は 、 負 傷 又 は 疾 病 の 重 篤 度 と 可 能 性 の 度 合 を
それぞれ横軸と縦軸とした表(行列:マトリクス)に、あらかじめ重篤度と
可能性の度合に応じたリスクを割り付けておき、見積対象となる負傷又は疾
病の重篤度に該当する列を選び、次に発生の可能性の度合に該当する行を選
ぶ こ と に よ り 、 リ ス ク を 見 積 も る 方 法 で あ る こ と 。( 別 添 4 の 例 1 に 記 載 例
を 示す 。)
カ
指 針 の 9 (1)イ で 定 め る 手 法 は 、 負 傷 又 は 疾 病 の 発 生 す る 可 能 性 の 度 合 と
その重篤度を一定の尺度によりそれぞれ数値化し、それらを数値演算(かけ
算 、 足 し 算 等 )し て リ ス ク を 見 積 も る 方 法 で あ る こ と 。( 別 添4 の 例 2に 記 載
例 を示す 。)
キ
指 針 の 9 (1)ウ で 定 め る 手 法 は 、 負 傷 又 は 疾 病 の 重 篤 度 、 危 険 性 へ の ば く
露の頻度、回避可能性等をステップごとに分岐していくことにより、リスク
を 見 積 も る 方 法 (リ ス ク グ ラ フ )で あ る こ と 。( 別 添 4 の 例 3 に 記 載 例 を 示
す 。)
( 2 ) 指 針 の 9 (2)は 化 学 物 質 等 に よ る 疾 病 に 係 る リ ス ク の 見 積 り の 方 法 等 に つ い
て規定したものであるが、その実施に当たっては、次に掲げる事項に留意する
こと 。
ア
指 針 の 9 (2)ア は 、 実 際 の ば く 露 量 を 測 定 し 、 ば く 露 限 界 と 比 較 す る 手 法
を 示 す も の で あ り 、 ば く 露 の 程 度 を 把 握 す る に 当 た っ て 指 針 の 9 (2)イ の 手
法 より確実 性が高い 手法であ ること 。(別 添4-2 の1参照 )
イ
指 針 の 9 (2)ア の 「 ば く 露 濃 度 等 」 の 「 等 」 に は 気 中 有 害 物 質 濃 度 が 含 ま
れ る こ と 。 ま た 、「 日 本 産 業 衛 生 学 会 の 「 許 容 濃 度 」 等 」 の 「 等 」 に は A C
G I H ( 米 国 産 業 衛 生 専 門 家 会 議 ) の T L V - T W A (Threshold
Limit
Value - Time Weighted Average)が含まれ ること。
ウ
指 針 の 9 (2)イ は 、 指 針 の 9 (1)の ア の 方 法 の 縦 軸 と 横 軸 を 有 害 性 と ば く 露
の 程度に置 き換えた ものであ ること 。(別 添4-2 の2参照 )
(3)指 針の9(3)の 事項につ いては、 次に掲げ る事項に 留意する こと。
ア
指 針 の 9 (3)は 、 化 学 物 質 等 に よ る 危 険 性 又 は 有 害 性 に よ り 負 傷 が 発 生 す
る可能性の度合は化学物質等の性質とその製造等の条件との関係から、化学
物質等による危険性又は有害性により疾病が発生する可能性の度合は化学物
質 等 へ の ば く 露 の 程 度 か ら 、 そ れ ぞ れ 予 測 す る こ と が 必 要 で あ る こ と か ら、
指 針 の 9 (3)に 掲 げ た 事 項 を 把 握 し 、 活 用 す る こ と を 規 定 し た も の で あ る こ
と。
イ
指針の9 (3)アの「性 状」とは 、例えば 、固体、 スラッジ 、液体 、ミスト 、
気体等を指すこと。また、例えば、固体の場合、塊、フレーク、粒、粉等を
指 すこと。
ウ
指 針 の 9 (3)イ の 「 製 造 量 又 は 取 扱 量 」 は 、 化 学 物 質 等 の 種 類 ご と に 把 握
すべきものであること。また、タンク等に保管されている化学物質等の量が
含 まれるこ と。
エ
指 針 の 9 (3)ウ の 「 作 業 」 は 、 定 常 作 業 で あ る か 非 定 常 作 業 で あ る か を 問
わず、化学物質等による危険性又は有害性による負傷又は疾病が発生する可
能 性のある 作業をい うこと。
オ
指 針 の 9 (3)ウ は 、 ば く 露 の 程 度 に 係 る 情 報 を 得 る た め に 規 定 し た も の で
あ ること。
カ
指 針 の 9 (3)エ の 「 製 造 等 に 係 る 作 業 の 条 件 」 に は 、 例 え ば 、 製 造 等 を 行
う 化学物質 等を取扱 う温度、 圧力が あること 。
キ
指 針 の 9 (3)エ の 「 関 連 設 備 の 状 況 」 に は 、 例 え ば 、 設 備 の 密 閉 度 合 、 温
度 や圧力の 測定装置 の設置状 況があ ること。
ク
指 針 の 9 (3)オ の 「 製 造 等 に 係 る 作 業 へ の 人 員 配 置 の 状 況 」 に は 、 化 学 物
質等による危険性又は有害性による負傷を受ける可能性のある者及び化学物
質 等 へ の ば く 露 を 受 け る 可 能 性 の あ る 者 の 人 員 配 置 の 状 況 が 含 ま れ る こ と。
ケ
指 針 の 9 (3)キ の 「 換 気 設 備 の 設 置 状 況 」 に は 、 例 え ば 、 局 所 排 気 装 置、
全体換気装置及びプッシュプル型換気装置の設置状況及びその制御風速、換
気 量がある こと。
コ
指 針 の 9 (3)ク の 「 保 護 具 の 使 用 状 況 」 に は 、 労 働 者 へ の 保 護 具 の 配 布 状
況、保護具の着用義務を労働者に履行させるための手段の運用状況及び保護
具 の保守点 検状況が 含まれる こと。
サ
指 針 の 9 (3)ケ の 「 作 業 環 境 中 の 濃 度 若 し く は ば く 露 濃 度 の 測 定 結 果 」 に
は、調査対象作業場所での測定結果が無く、類似作業場所での測定結果があ
る 場合には 、当該結 果が含ま れるこ と。
(4)指 針の9(4)前 段の事項 について は、次に 掲げる事 項に留意 するこ と。
ア
指 針 の 9 (4)前 段 「 G H S で 示 さ れ て い る 危 険 性 又 は 有 害 性 の 分 類 等 」 に
ついては、個々の化学物質等の分類に関して適用できるものであっても、こ
れらの化学物質等の相互間の化学反応による危険性又は有害性(発熱等の事
象)が予測される場合には、事象に即してその危険性又は有害性にも留意す
る こと。
イ
化学物質等による負傷の重篤度又はそれらが発生する可能性の度合の見積
り に当たっ ては、必 要に応じ 、以下 の事項に 留意する こと。
(ア)反応、分解、発火、爆発、火災等の起こしやすさに関する化学物質の特
性(感度 )
(イ)爆発を起こした場合のエネルギーの発生挙動に関する化学物質の特性
(威力)
(ウ )タンク 等に保管 されてい る化学 物質の保 管量等
ウ
化学物質等による疾病の重篤度又はそれらが発生する可能性の度合の見積
り に当たっ ては、必 要に応じ 、以下 の事項に 留意する こと。
(ア )化学物 質等の取 扱量、濃 度、接 触の頻度 等
(イ )有害化 学物質等 への労働 者のば く露量と ばく露限 界との比 較
(ウ )侵入経 路等
エ
負傷又は疾病の重篤度や発生可能性の見積りにおいては、生理学的要因
(単調連続作業等による集中力の欠如、深夜労働による影響等)にも配慮
する こと。
( 5 ) 指 針 の 9 (4)後 段 の 安 全 衛 生 機 能 等 に 関 す る 考 慮 に つ い て は 、 次 に 掲 げ る 事
項に 留意する こと。
ア
指 針 の 9 (4)後 段 ア の 「 安 全 衛 生 機 能 等 の 信 頼 性 及 び 維 持 能 力 」 に 関 し て
考 慮すべき 事項には 、必要に 応じ、 以下の事 項が含ま れること 。
(ア)安全装置等の機能の故障頻度・故障対策、メンテナンス状況、局所排気
装置、全体換気装置の点検状況、密閉装置の密閉度の点検、交換頻度、保
管場所等 の保護具 の管理状 況、使 用者の訓 練状況等
(イ )立入禁 止措置等 の管理的 方策の 周知状況 、柵等の メンテナ ンス状況
イ
指 針 の 9 (4)後 段 イ の 「 安 全 衛 生 機 能 等 を 無 効 化 す る 又 は 無 視 す る 可 能
性 」 に 関 し て 考 慮 すべ き 事 項に は 、必 要 に 応じ 、 以 下の 事 項 が含 ま れる こ と。
(ア)生産性の低下、短時間作業である等の理由による保護具の非着用等、労
働災害防 止のため の機能・ 方策を 無効化さ せる動機
(イ)スイッチの誤作動防止のための保護錠が設けられていない、局所排気装
置のダクトのダンパーが担当者以外でも操作できる等、労働災害防止のた
めの機能 ・方策の 無効化し やすさ
ウ
指 針 の 9 (4)後 段 ウ の 作 業 手 順 の 逸 脱 等 の 予 見 可 能 な 「 意 図 的 」 な 誤 使 用
又は危険行動の可能性に関して考慮すべき事項には、必要に応じ、以下の事
項 が含まれ ること。
(ア )作業手 順等の周 知状況
(イ )近道行 動(最小 抵抗経路 行動)
(ウ )監視の 有無等の 意図的な 誤使用 等のしや すさ
(エ )作業者 の資格・ 教育等
エ
指 針 の 9 (4)後 段 ウ の 操 作 ミ ス 等 の 予 見 可 能 な 「 非 意 図 的 」 な 誤 使 用 の 可
能 性 に 関 し て 考 慮 すべ き 事 項に は 、必 要 に 応じ 、 以 下の 事 項 が含 ま れる こ と。
(ア)ボタンの配置、ハンドルの操作方向のばらつき等の人間工学的な誤使用
等の誘発 しやすさ 、化学物 質等を 入れた容 器への内 容物の記 載手順
(イ )作業者 の資格・ 教育等
オ
指 針 の 9 (4)後 段 エ は 、 疾 病 の 重 篤 度 の 見 積 り に 当 た っ て は 、 い わ ゆ る 予
防原則に則り、有害性が立証されておらず、化学物質等安全データシート
( M S D S ) 等 が 添 付 さ れ て い な い 化 学 物 質 等 を 使 用 す る 場 合 に あ っ て は、
関連する情報を供給者や専門機関等に求め、その結果、一定の有害性が指摘
されている場合は、入手した情報に基づき、有害性を推定することが望まし
い ことを規 定したも のである こと。
(6)指 針の9(5)の 事項につ いては、 次に掲げ る事項に 留意する こと。
ア
指 針 の 9 (5)ア 及 び イ の 重 篤 度 の 予 測 に 当 た っ て は 、 抽 象 的 な 検 討 で は な
く、極力、どのような負傷や疾病がどの作業者に発生するのかを具体的に予
測した上で、その重篤度を見積もること。また、直接作業を行う者のみなら
ず、作業の工程上その作業場所の周辺にいる作業者等も検討の対象に含むこ
と。
イ
指 針 の 9 (5)ウ の 「 休 業 日 数 等 」 の 「 等 」 に は 、 後 遺 障 害 の 等 級 や 死 亡 が
含 まれるこ と。
10
リ スク低減 措置の検 討及び実 施につ いて
(1)指 針の10 (1)の事項に ついては 、次に掲 げる事項 に留意す ること 。
ア
指 針 の 1 0 (1)ア の 「 使 用 の 中 止 」 と は 、 危 険 性 又 は 有 害 性 が 高 い 化 学 物
質等を用いる工程を化学物質等を用いない工程に替えることにより化学物質
等 に よ る 危 険 性 又 は 有 害 性 を 除 去 す る こ と を い い 、 ま た 、「 危 険 性 若 し く は
有害性のより低い物への代替」とは、製造等に使用する化学物質等を、危険
性又は有害性がより低い他の化学物質等に代替し、化学物質等による危険性
又 は有害性 の程度を 低減させ る措置 をいうこ と。
イ
指 針 の 1 0 (1)イ の 「 化 学 反 応 の プ ロ セ ス 等 の 運 転 条 件 の 変 更 、 取 り 扱 う
化学物質の形状の変更等による、負傷が生ずる可能性又はばく露の程度の低
減」とは、アの措置を講ずることができず、同一の化学物質等の製造等を続
けるものの、当該化学物質等による危険性又は有害性による負傷又は疾病の
発 生の可能 性の度合 の抜本的 低減を 図る措置 をいうこ と。
ウ
指 針 の 1 0 (1)ウ の 「 工 学 的 対 策 」 と は 、 イ の 措 置 を 講 ず る こ と が で き ず
抜本的には低減できなかった当該化学物質等による危険性による負傷の発生
の 可 能 性 の 度 合 に 対 し 、 防 爆 構 造 化 、 安 全 装 置 の 多 重 化 等 の 措 置 を 実 施 し、
当該化学物質等による危険性による負傷の発生の可能性の度合の低減を図る
措 置をいう こと。
ま た 、 指 針 の 1 0 (1)ウ の 「 衛 生 工 学 的 対 策 」 と は 、 イ の 措 置 を 講 ず る こ
とができず抜本的には低減できなかった当該化学物質等による有害性による
疾病の発生の可能性の度合に対し、機械設備等の密閉化、局所排気装置等の
設置等の措置を実施し、当該化学物質等による有害性による疾病の発生の可
能 性の度合 の低減を 図る措置 をいう こと。
エ
指 針 の 1 0 (1)エ の 「 管 理 的 対 策 」 と は 、 ア か ら ウ ま で の 措 置 に よ り 除 去
しきれなかった化学物質等による危険性又は有害性に対し、マニュアルの整
備 、 立 入 禁 止 措 置 、 ば く 露 管 理 、 警 報 の 運 用 、 二 人 組 制 の 採 用 、 教 育 訓 練、
健 康 管 理 等 の 作 業 者等 を 管 理す る こと に よ る対 策 を 実施 す る もの で ある こ と。
オ
指 針 の 1 0 (1)オ の 「 個 人 用 保 護 具 の 使 用 」 は 、 ア か ら エ ま で の 措 置 に よ
り除去されなかった、化学物質等による危険性又は有害性に対して、呼吸用
保護具や保護衣等の使用を義務づけるものであること。また、この措置によ
り 、アから エまでの 措置の代 替を図 ってはな らないこ と。
カ
指 針 の 1 0 (1)の リ ス ク 低 減 措 置 の 検 討 に 当 た っ て は 、 大 気 汚 染 防 止 法 等
の公害その他一般公衆の災害を防止するための法令に反しないように配慮す
る 必要があ ること。
( 2 ) 指 針 の 1 0 (2)は 、 合 理 的 に 実 現 可 能 な 限 り 、 よ り 高 い 優 先 順 位 の リ ス ク 低
減 措 置 を 実 施 す る こ と によ り 、「 合理 的 に 実現 可 能 な程 度 に低 い 」 (ALARP:
As
Low As Reasonably Practicable)レベル にまで適 切にリ スクを低 減すると いう
考え 方を規定 したもの であるこ と。
な お 、 低 減さ れ る リス ク の 効果 に 比較 し て 必要 な 費 用等 が 大 幅に 大 きい な ど、
両者に著しい不均衡を発生させる場合であっても、死亡や重篤な後遺障害をも
たらす可能性が高い場合等、対策の実施に著しく合理性を欠くとはいえない場
合に は、措置 を実施す べきもの である こと。
( 3 ) 指 針 の 1 0 (2)に 従 い 、 リ ス ク 低 減 の た め の 対 策 を 決 定 す る 際 に は 、 既 存 の
行政指針、ガイドライン等に定められている対策と同等以上とすることが望ま
し い こ と 。 ま た 、 高 齢 者 、 日 本 語 が 通 じ な い 労 働 者 、 経 験 の 浅 い 労 働 者 等、
安全衛生対策上の弱者に対しても有効なレベルまでリスクが低減されるべきも
ので あること 。
( 4 ) 指 針 の 1 0 (3)は 、 死 亡 、 後 遺 障 害 又 は 重 篤 な 疾 病 を も た ら す リ ス ク に 対 し
て 、 (2)の 考 え 方 に 基 づ く 適 切 な リ ス ク 低 減 を 実 施 す る の に 時 間 を 要 す る 場 合
に、それを放置することなく、実施可能な暫定的な措置を直ちに実施する必要
があ ることを 規定した ものであ ること 。
11
記 録につい て
( 1 ) 指 針 の 1 1 (1)か ら (6)ま で に 掲 げ る 事 項 を 記 録 す る に 当 た っ て は 、 調 査 等 を
実施 した日付 及び実施 者を明記 するこ と。
( 2 ) 指 針 の 1 1 (6)の リ ス ク 低 減 措 置 に は 、 当 該 措 置 を 実 施 し た 後 に 見 込 ま れ る
リス クを見積 もること も含まれ ること 。
(3)調査等の記録は、次回調査等を実施するまで保管すること。なお、記録の記
載例 を別添5 に示す。