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単核細胞の間接免疫蛍光染色 概要 間接法を利用すると蛍光シグナルを増幅でき、直接標識試薬が利用できない場合1,2に も、ヒト細胞をマルチカラー染色することができます。BDでは2種類の間接染色法 を提供しております. ・ビオチン−アビジン(またはストレプトアビジン) ・通常の二次抗体 ビオチン−アビジン法では、細胞を最初にビオチン標識されたモノクローナル抗体 と反応させ、続いて蛍光標識アビジンと反応させます。二次抗体を使う方法では、 まず、細胞を非標識モノクローナル抗体と反応させ、続いて蛍光標識したヤギ抗マ ウスIgと反応させます。 この様なサンドイッチ法を利用すると蛍光強度が上がり、顕微鏡観察が容易になり ます。しかし、間接法では、Fcレセプターと結合した細胞を染色することにより複 合体が形成され、アーティファクトが現れることがあります。ビオチン−アビジン 法は、アーティファクトが少なくなります(特にストレプトアビジン標識を利用す る場合)。間接法は抗原量と細胞当たりの蛍光強度との間の比例関係が変わりますの で、細胞当たりの抗原量測定にはお薦めできません。しかし、間接法は細胞集団間 の相対的蛍光強度の違いを調べることに利用できます。 試薬と装置 1. 2. 3. 4. 5. 6. バキュテイナ細胞調製用チューブ(CPT)(BDカタログ番号 362753)ま たはFicoll-Paque分離液。必要な材料と試薬についてはFicoll-Paqueパッケ ージ内の取扱説明書をご覧下さい。 FALCONディスポーザブル12×75mmキャップ付きポリスチレン試験管 (BDカタログ番号 352058)または同等品。 オプション:FALCON 96ウェルU底マイクロタイタープレート(BDカタロ グ番号 353918)または同等品。 マイクロピペット ヒト細胞表面抗原に対するBD社製ビオチン標識モノクローナル抗体;未標識 モノクローナル抗体。 洗浄緩衝液:0.1%アジ化ナトリウムと2%ウシ胎児血清(FBS)を含むリン 酸緩衝生理食塩水(PBS)。2℃∼8℃で保存します。ビオチンを含むPBSを ビオチン−アビジン間接法には使用しないこと。 警告:アジ化ナトリウムは、万一飲み込んだりしますと有害です。食べ物、 飲み物、動物の飼料などの近くに置かないでください。取り扱いには適切な 保護衣と手袋を着用してください。万一飲み込んだ場合、ただちに医師に連 絡をとり、容器やラベルを見せてください。酸に触れますと毒性のガスを発 生します。アジ化化合物を廃棄するときは大量の水で洗い流し、鉛または銅 製水道管内に貯留しないようにしてください。貯留しますと、爆発の危険が あります。 45 7. 8. 9. 10. 操作手順 BD社 蛍光色素標識アビジンまたは蛍光標識ストレプトアビジンモノクローナ ル抗体;蛍光色素標識ヤギ抗マウスIgモノクローナル抗体。 遠心分離装置 0.1%アジ化ナトリウムを含むPBSで調製した1%パラホルムアルデヒド PBS溶液。褐色ガラス容器に入れ2∼8℃で1週間まで保存できます。 警告:ホルムアルデヒドは吸い込んだり、皮膚に触れたり、または万一飲 み込んだりしますと危険です。目や皮膚を刺激します。暴露されると癌を引 き起こすことがあります。生体に不可逆的な作用を及ぼす可能性もあります。 皮膚への接触により過敏症になることがあります。食べ物、飲み物、動物の 飼料の近くには置かないでください。取り扱いには適切な保護服と手袋を着 用して下さい。万一飲み込んだ場合、ただちに医師に連絡をとり、容器また はラベルを見せて下さい。廃棄に際しては、国、地方などの規則に従い行っ て下さい。 FACSブランドのフローサイトメーター。詳細は装置それぞれのユーザーズガ イドをご覧下さい。 検体採取と調製 血液は無菌的静脈穿刺1,2によりヘパリンナトリウムを含むバキュテイナ CPTに採取 します。最低採血量については、採血管メーカーの説明書に従って下さい。保存す る前に、CPTを遠心分離し、各採血管を穏やかに数回転倒混和して採血管内の血漿 中PBMCを再懸濁します。CPTは室温(20∼25℃)で保存し、採取してから24 時間以内に使用します。PBMCはFicoll-Paque密度勾配遠心分離により全血からも 分離することができます。 警告:作業中に接触する全ての生物検体と材料については感染の危険があるもの として取り扱い、国、地方などの規則に従い適切に廃棄する必要があります。口で のピペット操作は絶対にしないで下さい。検体が皮膚や粘膜に触れないようにして 下さい。 1. 2. 3. 46 検査ごとに、未標識またはビオチン標識モノクローナル抗体20μLを洗浄緩 衝液30μLに加えて希釈します。希釈抗体液50μLをマイクロタイタープレ ートまたは12×75mmチューブに加えます。 洗浄緩衝液で細胞懸濁液の濃度を2×107細胞/mLに調整します。細胞生存率 は90%以上でなければなりません。 各マイクロタイタープレートまたは各12×75mmチューブに細胞懸濁液50 μL(1×106細胞)を加えます。 単核細胞の間接免疫蛍光染色 4. 5. 6. 7. 8. マイクロタイタープレート内での染色:細胞と蛍光標識モノクローナル抗体 の混合液を氷上で30∼45分間反応させます。2∼8℃で200x g、3分間遠 心分離し、上清を除きます。冷やした洗浄緩衝液100μLで2回洗浄します。 各洗浄後に200x gで3分間の遠心分離を行います。上清を取り除きます。 チューブ内での染色:混合液を氷上で30∼45分間反応させます。2mLの冷 やした洗浄緩衝液を加えます。2∼8℃で300x g、5分間遠心分離し、上清 を取り除きます。 第二ステップ試薬の説明書に従い、第二ステップ試薬を洗浄緩衝液で希釈し ます。 マイクロタイタープレート内での染色:希釈した第二ステップ混合液をウエ ルに加えて、氷上で30∼45分間反応させます。2∼8℃で200x gで3分間 遠心分離し、上清を除きます。冷やした洗浄緩衝液100μLで2回洗浄します。 各洗浄後に200x g3分間の遠心分離を行い、上清を除きます。細胞を200μL の1%パラホルムアルデヒドPBS溶液に再懸濁し、300μLの1%パラホルム アルデヒドPBS溶液の入った12×75mmチューブに移します。 チューブ内での染色:希釈した第二ステップ試薬をチューブに加え、氷上で 30∼45分間反応させます。2mLの冷やした洗浄緩衝液を加えます。 300x g、2∼8℃で5分間遠心分離し、上清を除きます。細胞を0.5mLの 1%パラホルムアルデヒド溶液に再懸濁し、1×106細胞/mLに調整します。 解析するまで2∼8℃で保存します。 FACSブランドのフローサイトメーターで解析します。解析前にサンプルを良 く混合します。 参考文献 1. 2. Parks DR, Lanier LL, Herzenberg LA. Flow cytometry and fluorescence activated cell sorting (FACS). In: Weir DM, Herzenberg LA, Blackwell C, eds. Handbook of Experimental Immunology. Oxford: Blackwell Scientific Publications; 1986:chap 29. Jackson AL, Warner NL. Preparation, staining, and analysis by flow cytometry of peripheral blood leukocytes. In: Rose NR, Friedman H, Fahey JL, eds. Manual of Clinical Laboratory Immunology. 3rd ed. Washington, DC: American Society for Microbiology; 1986:226-235. 47