Download 3 MH 2 SO 4 - 東北農業試験研究協議会

東北農業研究
(Tohoku Agric Res)41. 175-176(1988)
カ セ ッ ト型 フ ロー イ ン ジ ェ ク シ ョ ン 分 析 法 に よ る 耕 地 土 壌 中 の
:0・ MH2S04,NH4F・ HC:抽 出 態 燐 酸 の 迅 速 定 量
*
中 島 秀 治・ 新 良 力 也
(東 北農業試験場
*北 海道農業試験場
)
Rapid Determination Of 103 M H2S0 4. NH4F HCl Extractlon Forms of Phosphate
in the Farm Soils by Cassette Flow injection Analysis
Hideharu NAKA」 IMA and Rikiya NIRA*
h° ku
は
じ め
に
農業生産現場実験 室 (農 業改良普及所 ,農 業協同組合な
どの実験室 )に おいて ,耕 地土壌 中各種形態燐 酸 の 簡便
か つ迅速な定量法の 効率化 が 要請 されている。そこc カ
セ ット型 フ ロー イ ンジェ ク シ ョン分析法 (C― FIA,本
法 )1)に よる耕地土壌 中 の 10 3M H2s04(ト ル オ ー
グ法
Naiond)
:I::‖ IIi:ll::11:ll:1震 ￨:l・
(T°
1
*H° kkttdo
Na● ond貪
),NH4F HCl(ブ
レイ第 2法
準 法 )抽 出態
燐酸 の定量 について検討 した。その結果を報告す る。
10 0M H2SO`液 100湖 を加 え ,30分 間振 り混 ぜ 機 で
振 り混ぜ静置 し,広 ロ ビンヘ乾燥 ろ紙を折 り込み上澄液 の
一部を流 し込みろ過 した。 ろ紙を試薬液 と共 に分析装置を
注入 し燐酸を測定 した。試料液と同様 に標準液を調製 し
,
測定を行 い検量線を作製 して燐酸を定量 した。
2)NH4F・
HCl抽 出態燐 酸 50∼ 60"容 器 に 風
乾土 (2爾 全通 )100夕 を採 りNH4F HCl液 20潔 を
正確 に添加 する。湿潤上 の場合 は 300′ 採 りNH4F・
HCl
液40認 を正確に添加 する。次 に 1分 間70∼ 80回 往復 水平振
方 法
り混ぜ機 で 1分 間振 り混ぜ る。ただちに広 ロ ビンヘ乾燥 ろ
紙を折 り込み上澄液の一部を流 し込みろ過 した。試料液 と
図表中 に示 した。
試薬液を共 に分析装置 に注入 し燐酸を測定 した。試 料液と
12)装 置 : TecatorttAquatec 5200 Analyzer(カ
同様に標準液を調製 し,測 定を行 い ,検量線を作製 して燐
2試
ll)供 試土壌
:
験
セ ッ ト型 フ ローイ ンジェクション分析装置 ,塩 化 スズ還元
酸を定量 した。
法 ),島 津 Libaror ED-200型 電子 天秤及 び イ ワキ V
―S型 振 り混ぜ機。
3)そ の他
0
試薬液の調製 TecatorttAquatec 5200 Analyzer
3試
の付属品を取扱説明書 に従 い調製 した。なお ,そ の他 の試
薬液は ,前 報
報告 した ものを用 いた。
"で
14〕
農蚕農園芸局農産課 の方法り に従 った。
験 結
果
0)各 種土壌 中の燐酸定量 各地か ら採取 した 9点 の上
3M H2SЭ 4,NH4F・ HCl抽 出 態 燐 酸 に
壌 中 10
定量操作
1)10 3M H2S04抽
出態 燐 酸
風乾土
(2m全
通 )0500夕 あ るい は湿潤± 100夕 を約 200潔 容器 に採 り
表
1
ついて本法と回分法 (ア ス コル ビン酸還元法 2))に より定
量 し,定 量値を比較 し表 1に 示 した。両法 の相関は極めて
各 種 土 壌
(乾 土
2
3
4
5
6
7
8
9
P205%/100′ )
0 00
10
0 00
12
赤 色 土
下 層
0 30
41
0 27
35
黄 色 土
下 層
30
28
29
灰色低地土
29
下 層
0 00
86
89
0 00
黒 ボ ク土
表 層
0 00
0 99
0 91
0 00
黒 ボク土
表 層
13
15
17
13
黒 ボク土
下 層
27
5,
52
33
砂丘未熟土
表 層
0 00
0 00
42
49
泥 炭 土
下 層
m3:愛 知県豊橋市 NQ 4:埼 玉県川越市
注 採土地 ,NQ l.2:沖 縄県石垣市
Na 5:茨 城県 つ くば市
m6:埼 玉県北本市 m7:東 京都北区西ケ原
m8:千 葉県大網白里町 ぬ 9:宮 城県岩沼市
分析法 ,10 3MH2S 04:ト ル オ ー グ法 , NH4F HCι :ブ レイ法 2法
C― FIA:カ セ ッ ト型 フ ローイ ンジェクション法 :,
手動 :回 分法 アスコル ビン酸還元法
-175-
東 北 農 業 研 究
41号
第
(1988)
(乾 土
抽
M
C― FIA
NH4F
C― FIA
10も
H2S04
HCl
手
動
手 動
注 供試土壌 の母材
高 い。前報
2)で
0 24 0 03 13
0 18 0 02
9 4
211 08
38
51 04 7'
48 03 65
30 8
ヌ Sx CV
H2 08 71
106 08 76
314 18 57
36 6
32 6
2 2
6 0
2 3
7 1
,
花商岩質 :褐 色 森林土 .沖 積 :褐 色低地土 .厨 川人工枠圃場土壌
n‐ 5,CV:変 動係数 %, 文 :平 均値 ,Sx:標 準偏差
も報告 したが ,本 法 で も10
3M H2s04
酸を定量すると検 出限界以下であ ったので ,定 量できなか
った。
12)分 析精度 東北農業試験場 (厨 川 )の 人工圃場土壌
び NH4F・ HCl抽
3M H2S04及
2 9
133 06 47
126 o7 56
中性火山灰 :多 腐植質黒 ボク土 ,酸 性火山灰 :多 腐植質黒 ポク土
抽出法を用 いて ,赤 色土 ,黒 ボク土 ,泥 炭土中 の可溶性燐
中 の 10
0 9
P205%/100′ )
出態燐 酸
の定量を行 い本法の分析精度を求 めた。結果は表 2に 示 し
CV13%で あるのは ,抽 出 リン酸濃度が本法の検 出限界 で
あ った と考え られ る。
(3)圃場への応用 東北農業試験場 (厨 川 )の 各種土壌
にお け る厩肥連用試験 区 土 壌 中 の 10‐ M H2S04及 び
NH4F HCl抽
出態 燐 酸 を C― FIAと 口 分 法 で 定 量
した。両法 の値は良 く一 致 し,各 土壌とも厩肥施用量の増
),花 商岩質 (褐 色森休土 )及 び沖積 (褐
酸 も増加することが判明 した。
に}定 量操作 の迅速化 本法 は ,フ ローイ ンジェク ショ
ン分析装置を基盤 によるカセ ッ ト化 (プ ラックボ ックス化 )
色低地上 )を 母材 とする耕地上壌中の燐酸定量値 の変動係
した ものであ り,回 分法 と比 較 して分析時間は短縮 し操作
0M H2S04を 除 い て CV10%
3M H2S04定 量値 が
は簡便 されたうえに ,定 量用 ガラス器具類及び試薬使用量
の削減が できた。なお ,本 法は土壌中のその他各種成分 の
たが ,中 性火山灰 (多 腐植質黒 ボク土
腐植質黒 ボク土
数 は ,中 性火 山灰 の 10
),酸 性火山灰 (多
以下 であ った 。中性火 山灰 の 10
表3
加 に ともな って各抽出麟
迅速定量 に も応用できる。
厩肥運用試験区
00′ )
10"MH2S04
土壌母材
C―
FIA
0 02
0 75
10
84
中性火山灰
27
31
17
酸性火山灰
C―
FIA
手動
26
11
11
63
17
36
16
35
,1
140
32
55
78
9o
150
33
48
81
130
120
160
160
17
16
本法の検討結果は ,回 分法 (ア ス コル ビン酸還元法 )と
比較 して ,分 析値 の相関 も分析精度 も変わ らない。分析操
期待できる。
25
84
ま
作 は単純 で迅速 に各抽出態燐酸が定量でき ,し か も,ガ ラ
ス器具使用量力半 減 したので ,農 業現場実験室での活用が
11
79
29
14
87
花 商岩質
手動
0 00
0 88
4
NH4F・ HCl
35
0`
4`
8`
91
16`
150
引
88
用
文
献
1) 」ohanssn, 0 1987 Aquatecthe new water
analyzer ln Focus (The Tecatoriourna1 0f
Technology for Chemical Analysis,Sweden) 10
(1):12-13
2)中 島秀治 ,市 来 秀 夫 1985
中性 火 山灰 土 壌 に 由来
す る車地及 び畑 地 の燐 酸肥 沃度 の迅速診断法 _東 北農業
研 究 37:133-138
3)農 林水産省農蚕園 芸局農産 課編 1979可 給態燐 酸
土壌 環境基礎 調査 にお け る土壌 ,水 質 及び作 物体 分析法
150
p86-88
注 処理 :10α 当たり施用量 経年数 :約 8年
―
-176-