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山形県施設園芸
山形県 施設園芸省エネルギー化
施設園芸 省エネルギー化技術指針
省エネルギー化 技術指針
(第 3 版)
平成26年12月
山形県農林水産部
山形県施設園芸省エネルギー化技術指針(第3版)の策定にあたって
「山形県施設園芸省エネルギー化技術指針」は燃油・資材価格の高騰に対応
し 、 平 成 1 9 年 1 月 に 第 1 版 を 、 平 成 2 0 年 11 月 に 第 2 版 を 省 エ ネ ル ギ ー 技
術指導資料として作成した。
燃 油 価 格 は 平 成 2 0 年 7 月 に ピ ー ク と な り 、灯 油 で は 2 9 1 %( 平 成 1 6 年
7 月 対 比 )ま で 上 昇 し 、施 設 園 芸 に と っ て 非 常 に 厳 し い 状 況 と な っ た 。そ の 後 、
価 格 は 急 速 に 低 下 し 、平 成 2 1 年 3 月 に は 1 0 7 %( 同 対 比 )と な っ た 。し か
し 、そ れ 以 降 、徐 々 に 価 格 が 上 昇 に 転 じ 、平 成 2 6 年 1 0 月 現 在 で は 、2 1 6 %
(同対比)であり、依然経営を圧迫している。
こ の た び の 改 訂 の ポ イ ン ト は 、ヒ ー ト ポ ン プ の 利 用 技 術 、木 質 バ イ オ マ ス 暖
房 機 の 利 用 技 術 、局 所 加 温 技 術 、さ ら に 県 内 各 地 で の 新 た な 省 エ ネ ル ギ ー の 取
組事例など最新の技術を加えたものである。
本 指 針 は 、冬 期 間 に お い て 、生 産 者 段 階 で 省 エ ネ ル ギ ー 技 術 対 策 が 徹 底 さ れ
るよう活用されたい。
<注意>
1 省 エ ネ ル ギ ー の 効 果 は 、ハ ウ ス 構 造 、カ ー テ ン 等 の 付 帯 設
備 や 立 地 条 件 な ど で 効 果 が 異 な り ま す 。ま た 、技 術 導 入 に 際
しては、経済的に引き合うか検討が必要です。
そ の た め 、活 用 に あ た っ て は 、資 材 メ ー カ ー や 関 係 機 関 と
十分相談した上で、取り組んでください。
2 農 薬 を 使 用 す る 際 は 、農 薬 の 使 用 基 準 を 遵 守 し 、適 正 に 使
用してください。
Ⅰ
施設園芸を取り巻く状況
1
燃油・資材価格の推移
(1)A重油・灯油価格の状況
A 重 油・ 灯 油 価 格 は 平 成 10 年 代 後 半 か ら 価 格 の 上 昇 傾 向 が 続 き 、特 に 、平 成 20
年 7 月 に は 、資 源 エ ネ ル ギ ー 庁 調 べ に よ る 全 国 平 均 価 格( 税 抜 き )が A 重 油 で 114.2
円 /L、 灯 油 で 113.4 円 /L と な っ た 。 そ の 後 、 投 機 マ ネ ー に 対 す る 規 制 強 化 や 世 界
的 景 気 の 減 速 に 伴 う 原 油 需 要 の 減 退 に よ り 、平 成 21 年 3 月 に は A 重 油 で 48.6 円 /L、
灯 油 で 41.9 円 /L ま で 下 落 し た 。し か し 、そ れ 以 降 ゆ る や か な 上 昇 傾 向 で 推 移 し て
お り 、平 成 26 年 7 月 の A 重 油 価 格 は 91.7 円 /L、灯 油 価 格 は 89.9 円 /L と な っ て い
る。
今 後 の 石 油 製 品 価 格 は 、① 発 展 途 上 国 の 経 済 成 長 に 伴 う 消 費 量 の 動 向 、② 中 東 地
域 の 情 勢 不 安 定 に よ る 供 給 の 不 安 定 化 、③ 投 機 マ ネ ー の 動 向 、④ 為 替 相 場 の 動 向 な
ど不安定要素が多く、大幅に低下する要因は少ないものと思われる。
図1
図1
A重油・灯油価格の推移
石 油 製 品 の 全 国 平 均 価 格 (税 抜 き )の 推 移 (資 源 エ ネ ル ギ ー 庁 よ り )
(2)農用電力料金の状況
農 用 電 力 料 金 は 、火 力 発 電 所 の 燃 料 費 の 大 幅 な 増 加 に 伴 い 、料 金 が 上 昇 し て い る 。
農 林 水 産 省 農 業 物 価 統 計 に よ る と 、全 国 平 均 の 農 用 電 気 料 金( 小 口 電 力 、低 圧 、1
か 月 30Kwh)指 数 は 、平 成 22 年 7 月 を 100 と し た 場 合 、平 成 26 年 7 月 は 117 と な
り、特にここ数年上昇幅が大きい。
1
図2
全 国 平 均 農 用 電 力 料 金 指 数 の 推 移 (農 林 水 産 省 農 業 物 価 統 計 よ り )
(3)主な農業用資材の価格動向
原 油 価 格 の 高 騰 と 併 せ 、石 油 を 原 料 と す る 農 業 用 ビ ニ ル な ど の 被 覆 資 材 や 施 設 用
パ イ プ 等 の 価 格 が 上 昇 し て お り 、施 設 園 芸 農 家 に と っ て は 厳 し い 状 況 と な っ て い る 。
また、出荷にかかる運賃も順次値上げされている。
2
施設園芸の現状と需給状況
本 県 に お け る ハ ウ ス 設 置 面 積( 平 成 24 年 6 月 末 現 在 )は 、果 樹 が 968ha( 栽 培 面
積 比 9.1% )、野 菜 が 521ha( 7.0% )、花 き が 186ha( 38.2% )、合 計 で 1,675ha( 9.0% )
と な っ て い る 。 そ の う ち 390ha( 栽 培 面 積 比 2.1% ) の ハ ウ ス に 加 温 設 備 が 設 置 さ
れており、そのほとんどで原油由来の燃料による加温栽培が行われている。
2
3
燃油価格及び農業用資材価格上昇を踏まえた経営試算
(1)おうとう
重 油 価 格 が 最 高 値 ( 112円 /L) と な っ た 平 成 20年 並 び に 直 近 ( 平 成 26年 7月 ) の
資材価格動向指数を用いて各作型の経営試算を行った。
平 成 20 年 の 条 件 で は 、 短 期 加 温 栽 培 ( 収 量 600kg/10a ) で 雨 よ け 栽 培 ( 収 量
600kg/10a) よ り 所 得 が 上 回 る も の の 、 早 期 加 温 ( 収 量 500kg/10a)、 普 通 加 温 栽 培
( 収 量 600kg/10a) で は 、 雨 よ け 栽 培 よ り 所 得 が 下 回 っ て い る 。
ま た 、近 年 の 販 売 単 価 の 低 下 を 踏 ま え た 平 成 26年 の 試 算 で は 、重 油 価 格 が 平 成 20
年 よ り 安 く な っ て い る も の の 、 資 材 価 格 動 向 指 数 が 約 1割 上 昇 し て い る た め 、 経 営
費 は 早 期 加 温 、普 通 加 温 栽 培 で 平 成 20年 を 下 回 る が 、短 期 加 温 、雨 よ け 栽 培 で 平 成
20年 を 上 回 る 。所 得 は 、加 温 栽 培 の 3 作 型 と も 雨 よ け 栽 培 を 下 回 り 、販 売 単 価 安 の
影響が大きい。
(2)きゅうり
平 成 17年 の 試 算 条 件 で は 半 促 成 栽 培 の 方 が ト ン ネ ル 早 熟 栽 培 よ り も 所 得 が 高 い
が 、平 成 20年 の 試 算 条 件 で は 、半 促 成 栽 培 の 収 益 性 が 悪 化 し 、ト ン ネ ル 早 熟 栽 培 の
所得を大きく下回る。
き ゅ う り の 単 価 が 改 善 し た 平 成 26年 の 試 算 条 件 で は 、 半 促 成 の 収 益 性 が 改 善 し 、
トンネル早熟よりも所得が高くなる。
3
(3)ばら
ばらは、単位面積当たり粗収益は高いものの所得率が低く、年間重油消費量が多
いため、重油価格の上昇が所得減少に与える影響が大きい。
Ⅱ
品目・作型の選定
単純に設定温度を下げることで暖房用燃料を削減することは、品目や作型によって
は収量のみならず品質まで影響を及ぼし、むしろ経営上マイナスになることがある。
今後も暖房用燃料の動向に注意し、経営的な評価を行った上で、品目や作型の変更を
検討する。
経営の検討として、はじめに、コスト増がどの程度経営上影響があるか点検する。
暖房用燃料価格上昇によるコスト増は、需給バランスから販売価格の変動を伴うこと
が多く、どのような販売価格で引き合うのか試算をし、検討する。経営全体として、
他部門との労力の競合や補完なども含め、品目・作型について見直しが必要かどうか
の検討を行う。
4
(3)ばら
ばらは、単位面積当たり粗収益は高いものの所得率が低く、年間重油消費量が多
いため、重油価格の上昇が所得減少に与える影響が大きい。
Ⅱ
品目・作型の選定
単純に設定温度を下げることで暖房用燃料を削減することは、品目や作型によって
は収量のみならず品質まで影響を及ぼし、むしろ経営上マイナスになることがある。
今後も暖房用燃料の動向に注意し、経営的な評価を行った上で、品目や作型の変更を
検討する。
経営の検討として、はじめに、コスト増がどの程度経営上影響があるか点検する。
暖房用燃料価格上昇によるコスト増は、需給バランスから販売価格の変動を伴うこと
が多く、どのような販売価格で引き合うのか試算をし、検討する。経営全体として、
他部門との労力の競合や補完なども含め、品目・作型について見直しが必要かどうか
の検討を行う。
4
Ⅲ
共通的な技術対策
1
省エネルギー技術対策の効果と導入の考え方
施設園芸の省エネルギー対策については、表9に示す方法、効果に整理できる。
表9 省エネルギー対策とその効果
方法
品目例
●作型の変更
おうとう
ぶどう
きゅうり
内容
早期加温→普通加温
加温→無加温
加温→無加温
効果
重油消費量 △6,500L/10a
重油消費量 △3,000L/10a
重油消費量 △6,700L/10a
●変温管理
きゅうり等 夕方高めの温度にして
夜~朝の温度を低め。
収量は変わらない
一定温度に比べ20%以上の省エネ
●暖房温度変更
アルストロ 10℃→8℃
メリア
30%の省エネ
ただし、収量は10%以上減。
●一般的な
省エネルギー技術
○暖房機の点検
○保温性の高い
高いフィルム使用
○多重被覆
○ハウスの密閉性向上
○温度ムラ防止
○省エネ機器導入
数%の省エネ
農業用ポリエチレンフィ 5%の省エネ
ルム→農業用ポリ塩加ビ
カーテンの2層化
15%の省エネ
数%の省エネ
循環扇導入
10%の省エネ
ダクトの適正配置
適切なセンサー位置
暖房煙突からの
7%の省エネ
廃熱回収機
積み重ねで10
~20%の省エ
ネ
省エネルギー機器・資材を導入する場合は、次の考え方に基づき判断する。
省エネルギーで得られる暖
省エネルギーで得られる暖房コスト低減費≧省エネルギー機器や資材
れる暖房コスト低減費≧省エネルギー機器や資材の購入・設置償却費
房コスト低減費≧省エネルギー機器や資材の購入・設置償却費
このうち、左辺の「省エネルギーで得られる暖房コスト低減費」は
経 年 燃 料 使 用 量 ×省 エ ネ ル ギ ー 率 ×燃 料 単 価
であり、燃料使用量が多いほど、また、燃料単価が高いほど省エネ効果の高い機器
導入による低減費は大きくなる。省エネルギー機器等への投資は、経営収支等を勘
案しながら、低減費の範囲内で行う。ただし、燃料単価は変動するため、機器や資
材の導入にあたっては、過剰な投資にならないよう使用燃料価格の長期的な予測情
報などを参考にし、計算することが重要である。
6
試 算 例 1 : 1 0℃ 暖 房 、 100 坪 ハ ウ ス の カ ー テ ン 2 層 の 構 造 に よ る
節 油 量 (表 14 参 照 )及 び 節 約 で き る 燃 料 費
燃 料 単 価 100 円 /L の 場 合 :( 4,422- 3,692) L×100 円 /L= 75,000 円
燃 料 単 価 110 円 /L の 場 合 :( 4,422- 3,692) L×110 円 /L= 82,500 円
燃 料 単 価 100 円 /L で お よ そ 7.5 万 円 、 110 円 /L で 8.3 万 円 以 下 で あ れ ば 、 2 層 カ ー テ ン
の導入を考える。カーテンの使用年数が 2 年であれば 2 倍の価格まで投資が可能である。
現 在 の 暖 房 機 の 燃 焼 効 率 は 非 常 に 高 く 、 85~ 90% に 達 し て い る と い わ れ て い る 。
このため、燃焼効率向上を目的とした各種資材の導入に当たっては、費用対効果を
十分に検証したうえで、判断する。
表 10
被 覆 の 違 い に よ る 灯 油 消 費 量 ( ℓ/100 坪 ) の 試 算
カーテン無し
1層カーテン
2層カーテン
11月
437
205
150
12月
1,717
1,030
868
1月
2,369
1,424
1,204
2月
1,937
1,152
969
3月 合計
1,141
7,600
612
4,422
500
3,692
条件:面積:4間×25間=100坪、ビニルハウス、暖房設定室温10℃、カーテン資材は農ポリ)、地点は山形
(施設園芸ハンドブックの期間暖房負荷の算定方法を一部改変して計算)
消 費 者 の 環 境 へ の 意 識 が 高 ま り 、地 球 温 暖 化 防 止 の 観 点 か ら も CO 2 削 減 や 省 エ ネ
ルギー技術の導入が求められており、施設・機器材導入時には、中長期的な観点で
選定するなどの注意が必要である。
7
2
省エネルギーのための暖房技術
(1)燃油暖房機の点検
暖 房 機 の 定 期 的 な メ ン テ ナ ン ス は 、加 温 能 力 を 最 大 限 に 引 き 出 し 、余 分 な 燃 油 の
消 費 を 減 ら す た め 省 エ ネ ル ギ ー 対 策 に も つ な が る 。一 般 的 な 暖 房 機 の メ ン テ ナ ン ス
は図3のとおりである。
な お 、暖 房 機 の メ ン テ ナ ン ス は 、機 種 に よ り 異 な る 場 合 が あ る た め 、暖 房 機 に 付
属する取扱説明書に従い実施する。
ア
バーナノズル周辺の清掃
バーナノズルの燃焼カス(スス等)等による汚れは、燃料と空気の正常な混合
を阻害し、完全燃焼を妨げる。そのため、定期的にディフューザ(火炎を安定さ
せる保炎板)廻りを外して清掃を行う。
イ
バーナノズルの定期交換
バーナノズルは、使用とともに摩耗する。磨耗が進むと燃焼状態が悪くなり、
噴霧燃油量が多くなって缶体への負荷が増大し、寿命を損ねることがある。その
た め 、 A 重 油 の 場 合 約 1,000 時 間 、 灯 油 の 場 合 約 2,000 時 間 ( い ず れ も 累 積 燃 焼
時間)を目安に、バーナノズルの交換を行う。
ウ
エアシャッターの調整
バーナのエアシャッター(燃焼吸気取入口)は、開度を変化することにより、
燃焼状態を改善し、燃焼効率を高める。エアシャッターを開けすぎると、白煙が
発生し、排気ガスによる熱ロスが増加する。エアシャッターを閉めすぎると、黒
煙が発生し、熱効率が低下する。このため、エアシャッターは、排煙が無色にな
るように空気量を調整し、燃焼効率が高まるように設定する。
エ
暖房機缶体の掃除
A重油を燃料とする場合、暖房機器の燃焼室内に燃焼カスがたまる。燃焼カス
は伝熱面である缶体への効率的な熱交換を妨げ、結果として燃焼効率の低下を招
くこととなる。そのため、暖房機缶体の掃除は、暖房シーズン終了直後に実施す
る。
8
図3
暖房機の点検
資料提供:(株)ネポン
9
(2)ヒートポンプの利用
ア
ヒートポンプを導入して省エネになる品目
燃 油 価 格 の 高 騰 に よ り 、ラ ン ニ ン グ コ ス ト が 安 い と さ れ る ヒ ー ト ポ ン プ( 以 下 、
HP)の 導 入 が 進 ん で い る 。し か し 、HP は 、燃 油 暖 房 機 に 比 べ て 日 々 の ラ ン ニ ン グ
コ ス ト は 安 価 で あ る が 、導 入 経 費( イ ニ シ ャ ル コ ス ト )が 高 額 で あ る 。こ の た め 、
バラやユリなどの暖房設定室温が高く暖房費用が多くかかっている品目ほど導
入 す る メ リ ッ ト が 大 き い 。一 方 、加 温 お う と う や 促 成 栽 培 い ち ご の よ う に 暖 房 設
定 室 温 が 低 い 品 目 で は 、HP と 燃 油 暖 房 機 を 併 用 し て 節 油 す る 方 法 が 考 え ら れ る が 、
イニシャルコストとランニングコストを十分検討して導入する必要がある。
膨張弁
ヒートポンプとは
きる熱 量 に対 して、HPは3~4倍 の熱 量 が
得られる。なお、この倍数を運転効率(COP、
圧縮機
Coefficient of Performance)という。
図4
ヒートポンプが省 エネと言 われる理 由
電気エネルギー
力量を使った場合、電気ヒーターで発熱で
除湿
移動させる装置のことである(図4)。同じ電
吸熱(冷房利用)
環する冷媒の圧縮と膨張の繰り返しで熱を
放熱(暖房利用)
やエコキュートでも使われている、機内を循
凝縮器
蒸発器
ヒートポンプ(HP)とは、家庭用のエアコン
ヒートポンプの概要
重油暖房の場合
放熱ロス 11
燃料
熱
重油暖房機
111
100
暖房機の効率0.9
燃油を火力発電所で電気エネルギーに変換し
て、送電されてきた電力を使って熱エネルギーを
ヒートポンプ暖房の場合
取り出すよりも、直接、燃油を燃焼させる温風暖
発電・送電
ロス
房機の方が、送電ロスがなく省エネではないかと
燃料
68
の疑問が生じるかもしれない。HPと燃油暖房機が
同じ発熱量を生成するために必要な燃料消費量
電気
発電設備・
送配電設備 25
電気の
需要端効率0.37
図5
を比較した図を示す(図5)。
暖房機の燃焼効率を90%、HPの運転効率(COP)
43
外気や地下水
から集めた熱
75
ヒートポンプ
熱
100
COP=4
暖 房 機 と HP の 一 次 エ ネ ル ギ ー の
比較
を4、電気の需要端効率(発電設備に投入する燃料からHPに投入する電気に至るまでのエネルギー変換効
率)を37%と仮定すると、100の熱を生成するのに必要な燃料は、暖房機が111に対して、HPは68となる。一
般的なHPでは、電気エネルギーのほとんどは圧縮機とファンの動力として使われるだけで、熱は外気や地下
水から取り出している。
10
エ
ヒートポンプの多目的利用(暖房、冷房、除湿)
ヒ ー ト ポ ン プ は 、暖 房 だ け で な く 、冷 房 や 除 湿 が で き る こ と も 大 き な 特 徴 で あ
る。特に、夏期に夜間冷房することで、切り花などの品質向上が図られるため、
積 極 的 に 利 用 す べ き で あ る 。県 内 試 験 研 究 機 関 の 研 究 成 果 で も 、夜 間 冷 房 に よ り
切 り 花 長 や 光 合 成 速 度 の 向 上 が 確 認 さ れ て い る 。ま た 、梅 雨 時 な ど の 湿 度 が 高 い
時期には除湿運転により病害の軽減なども期待されている。
オ
ヒートポンプの導入経費と事例
ヒートポンプは、燃油を用いる温風暖房機より運転経費は安価になるものの、
本 体 価 格 が 高 額 で あ る 。ま た 、よ り 大 き な 能 力 の ヒ ー ト ポ ン プ を 導 入 す る と 、 本
体 経 費 以 外 に も 契 約 容 量 増 加 に 伴 う 受 電 設 備( キ ュ ー ビ ク ル )の 設 置 が 必 要 と な
る 場 合 が あ る 。こ の た め 、冬 期 の 暖 房 エ ネ ル ギ ー の す べ て を ヒ ー ト ポ ン プ で 供 給
す る の で は な く 、最 低 気 温 時 の 暖 房 必 要 エ ネ ル ギ ー の 半 分 程 度 を ヒ ー ト ポ ン プ で
供給し、不足分を温風暖房機で補う、いわゆるハイブリッド方式が望ましい。
山 形 県 内 の 先 行 事 例 を み る と 、 従 来 の 温 風 暖 房 機 に 加 え て 、 ハ ウ ス 床 面 積 100
坪 当 た り 5~ 6 馬 力 程 度 の HP を 導 入 し て い る 事 例 が 多 い ( 普 及 課 調 べ )。
カ
ヒートポンプの種類と特徴
HP は 、熱 源 の 種 類 に よ り 大 き く 空 気 熱 源 HP と 水 熱 源 HP に 分 け ら れ る 。家 庭 用
エ ア コ ン や エ コ キ ュ ー ト は ほ ぼ 全 て が 空 気 熱 源 HP で あ る 。 ま た 、 現 在 導 入 さ れ
て い る 農 業 用 HP の ほ と ん ど も 空 気 熱 源 HP で あ る 。 空 気 熱 源 HP は 、 外 気 を 熱 源
と し て い る た め 室 外 機 を 屋 外 に 設 置 す る だ け で 使 用 す る こ と が で き る 。こ の た め 、
イニシャルコストは、燃油式の温風暖房機よりも高価ではある。
ラ ン ニ ン グ コ ス ト は 、 HP の 運 転 効 率 ( COP) が 高 い ほ ど 安 価 に な る が 、 空 気 熱
源 HP は 、 熱 源 と な る 外 気 温 が 低 く な る ほ ど 運 転 効 率 ( COP) が 低 下 す る 。 カ タ ロ
グ 等 に は 、 外 気 温 7℃ 、 室 内 気 温 20℃ の 条 件 に お け る COP が 示 さ れ て い る た め 、
実 際 に 生 産 現 場 で 運 転 し た 場 合 の COP は さ ら に 低 い 場 合 が 多 い 。県 内 の 試 験 研 究
機 関 で 空 気 熱 源 HP の COP を 実 測 し た と こ ろ 2~ 3 と な り 、カ タ ロ グ で 示 さ れ た 値
よ り も 大 幅 に 低 か っ た ( 図 6 )。 生 産 現 場 に 導 入 し た 際 に も 、 屋 外 気 象 条 件 や 室
外 機 の 設 置 条 件 に よ っ て は COP が 低 下 し て 、当 初 計 画 よ り も ラ ン ニ ン グ コ ス ト が
圧縮されない場合があるため、注意する必要がある。
一 方 、 水 熱 源 HP は 、 地 下 水 な ど を 熱 源 と し て 利 用 で き る HP で あ る ( 図 7 )。
地下水は、山形県のような積雪寒冷地域の冬期間でも安定した熱源であるため、
高 い 運 転 効 率 ( COP) が 得 ら れ る 。
県 内 の 試 験 研 究 機 関 の 調 査 結 果 で は 、地 下 水 熱 源 HP の 暖 房 能 力 は 、同 じ コ ン プ
レ ッ サ ー 出 力( 馬 力 数 )の 空 気 熱 源 HP に 比 べ て 67% 高 か っ た 。ま た 、地 下 水 熱
11
源 HP の COP が 安 定 し て 4 以 上 だ っ た の に 対 し て 、 空 気 熱 源 HP で は 2 前 後 と 低
かった。
図6
地 下 水 熱 源 HP と 空 気 熱 源 HP の 暖 房 出 力 と
COP の 推 移 と 調 査 時 の 屋 外 気 象 条 件
ま た 、栽 培 期 間 を 通 し た ラ ン ニ ン グ
ヒートポンプ
本体
コ ス ト は 空 気 熱 源 HP よ り も 4 割 程
度削減される結果が得られた。
地下水流量
制御回路
電磁弁
し か し 、 地 下 水 熱 源 HP は 、 空 気
S
熱 源 HP よ り も 導 入 経 費 ( イ ニ シ ャ
電動弁
ル コ ス ト )が 高 額 と な る こ と が 課 題
M
で あ る 。こ れ は 、HP の 本 体 価 格 が 高
揚水井戸
額 で あ る こ と に 加 え て 、熱 源 と な る
還元井戸へ
地下水井戸を確保する必要がある
か ら で あ る 。こ の た め 、現 時 点 で は 、
図7
コンプ
レッサー
ユニット
送風ユニット
(室内機)
ラインポンプ
プレート式熱交換器
地下水熱源ヒートポンプの概略
以下の二つの条件の両方に該当する
場合のみに導入するメリットがある。
◎暖房設定室温が18℃以上である。
◎良質(不純物がない)な地下水が得られる。
現 在 、先 行 し て 導 入 し て い る 地 域 に お い て 現 地 調 査 を 実 施 し て い る た め 、地 下
水 熱 源 HP の 導 入 を 検 討 す る 際 に は 農 業 技 術 普 及 課 に 問 い 合 わ せ 願 い た い 。
12
(3)木質バイオマス暖房機の利用
ア
木質バイオマス暖房機の種類
木 質 バ イ オ マ ス を 燃 料 に 用 い る 暖 房 機 が 市 販 さ れ て い る ( 表 10)。
表 11
木質バイオマス暖房機の種類と特徴
木質バイオマスを燃料とする温風暖房機やボイラーは、燃料供給の自動化、施
設内温度の調整、燃焼灰の自動処理を備えたものがあり、性能は年々向上してい
るものの、イニシャルコストが高く、本体の大きいものがほとんどである。
一方、ストーブは、一般に複雑な機能がなく、シンプルなものが多いため、イ
ニ シ ャ ル コ ス ト が 低 い ( 表 11)。
イ
木質バイオマス暖房機の普及状況
県 内 に お け る 木 質 バ イ オ マ ス 暖 房 機 の 利 用 実 態 調 査 結 果 ( 平 成 26 年 10 月 農 業
技 術 環 境 課 調 べ ) は 、 表 12 の と お り で あ る 。 こ れ ま で 、 木 質 バ イ オ マ ス 暖 房 機
は 平 成 1 9 年 頃 か ら 補 助 事 業 や 県 ・ メ ー カ ー の モ ニ タ ー と し て 24 戸 に 導 入 さ れ
た 。ペ レ ッ ト 、チ ッ プ を 用 い た 温 風 暖 房 機 、ボ イ ラ ー 、ス ト ー ブ は 、17 戸 に 導 入
され、現在、7戸で継続利用されている。
薪ストーブは8戸で導入実績があり、不便な点はあるものの、既存温風暖房機
との併用で、イニシャルコスト、ランニングコストともに他システムに比べ、大
表 12
木質バイオマス暖房機の利用実態調査結果
13
幅に低いため、現在もすべてで継続利用されている。
ウ
木質バイオマス暖房機の導入を検討する際の留意点
ランニングコストについて、木質バイオマス燃料は比較的低いと言われている
が、燃料の入手方法によっては輸送コストの関係で割高になることがあるため注
意する。
木質バイオマス暖房機を導入するにあたっては、利用目的にあわせた機種を選
定すること、暖房機や燃料の調達コストを事前に十分把握することが必要である。
また、石油式暖房機との相違点①着火、消火に時間を要するため、着火と消火を
繰り返して温度を一定に保つような管理は苦手、②燃料を乾燥状態で保管、③燃
料の保管スペース確保、④灰の処理を、十分に理解した上で導入する。
エ
木質バイオマス熱源暖房機の運転方法
① 既 存 の 燃 油 暖 房 機 に ス ト ー ブ 型 の バ イ オ マ ス 暖 房 機( 薪 ス ト ー ブ 等 )を 併 用 す
る場合
木質バイオマス暖房機は補助熱源として活用する。木質バイオマス暖房機を
燃油式暖房機に近接して設置し、燃油暖房機の送風機能を活用して施設を加温
( 循 環 扇 等 も 併 用 )す る 。最 低 限 必 要 な 熱 量 は 木 質 バ イ オ マ ス 暖 房 機 で 確 保 し 、
栽培適温にするための温度確保・調節は燃油暖房機で行う。
② 木質バイオマス暖房機と燃油暖房機を併用する場合
木質バイオマス暖房機は目標とする設定温度に、燃油暖房機はその設定温度
より1~2℃低くし、木質バイオマス暖房機を優先的に運転する。この場合、
温度センサーは同一のものを使用した方がよく、別々のものになる場合は、そ
れぞれの温度センサーの誤差補正を実施するとともに、同じ位置に設置する必
要がある。
オ
木質燃焼灰の処理方法
木質ペレットや木質チップの燃焼灰は、産業廃棄物に該当するため、産業廃棄
物処理業者に委託するなどして適正に処理する必要がある。なお、焼却灰(塗料
や薬剤を含む若しくはそのおそれのある廃木材又は当該廃木材を原料として製
造 し た ペ レ ッ ト 又 は チ ッ プ と 混 燃 し て 生 じ た 焼 却 灰 を 除 く 。 )を 融 雪 剤 や 土 地 改
良資材として利用する場合には、融雪剤や土地改良資材に適する性状であること、
必要な量のみを使用すること、生活環境に影響を及ぼさない利用方法であること
等に留意する必要がある。
( 平 成 25 年 6 月 28 日 付 け 環 廃 産 発 第 1306282 号
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長通知)
14
写真1
写真3
ハウスおうとうでのペレット
暖房機利用
薪ストーブにおける
薪投入状況
写真2
写真4
15
ペレットタンク
県内で導入事例の多い薪ストーブ
(4)廃熱回収装置の利用
A 重 油 を 燃 料 と す る 温 風 暖 房 機 の 排 気 ガ ス へ の 熱 ロ ス は 12% 前 後 と い わ れ る 。
廃 熱 回 収 装 置 は 、排 気 ガ ス か ら 熱 回 収 を 行 う も の で あ る 。現 在 国 内 で 数 社 が 販 売 し
て お り 、メ ー カ ー そ れ ぞ れ が 廃 熱 回 収 率 を 表 示 し て い る 。廃 熱 回 収 装 置 を 導 入 し た
高知県の例では、ハウス外気温が3℃以下となる場合、節油効果が認められるが、
それより高い場合には効果は認められなかった。
愛 知 県 の ハ ウ ス ミ カ ン の 結 果 に よ る と 、冬 期 の 最 低 温 度 17℃ 設 定 で は 6.8% 、春
期 の 最 低 温 度 24℃ 設 定 で は 11.8% の 重 油 削 減 効 果 が 報 告 さ れ て い る 。
< 試 算 例 2:600 坪 ハ ウ ス で 、年 間 の 重 油 消 費 量 が 40kL と な る 暖 房 を 行 っ て い る 場 合 、煙 突 か ら の
廃熱を3割回収する廃熱回収装置(2 台)の導入は妥当か>
廃熱
40,000L×12%
省エネルギー効果
×30%
燃料費
×100 円 /L
= 144,000 円
電 気 代 を 考 え 、 メ ー カ ー カ タ ロ グ か ら は 14.4 万 円 節 減 が 見 込 め る 。
耐 用 年 数 は 特 に メ ー カ ー も 示 し て い な い が 、 価 格 20 万 円 の 廃 熱 回 収 装 置 の 耐 用 年 数 を 7 年
と設定すると、投資可能額は
144,000 円 ×7 年 = 100.8 万 円
と な る 。 20 万 円 ×2 台 = 40 万 円 < 100.8 万 円 で あ り 、
こ の 試 算 か ら は 、廃 熱 回 収 装 置 の 導 入 は 可 能 と 判 断 で き る 。た だ し 、資 金 の 借 入 を 行 う 場 合
や借入金残高がある場合は、利息相当額を考慮する必要がある。
写真5
廃熱回収装置の設置状況
(写真提供:高知県)
写真6
廃熱回収装置の排気口
(写真提供:高知県)
(5)ハウス内の温度の均一化
ハ ウ ス 内 の 温 度 ム ラ は 、農 作 物 の 生 育 に 影 響 を 及 ぼ す だ け で な く 、無 駄 な 加 温 に
よ る 燃 料 消 費 量 の 増 加 に つ な が る 。そ の た め 、暖 房 時 に ハ ウ ス 中 央 部 、ハ ウ ス 奥 の
妻 付 近 、ハ ウ ス サ イ ド 側 な ど 温 室 内 の 数 箇 所 に お い て 温 度 を 測 定 し 、均 一 で あ る こ
16
幅に低いため、現在もすべてで継続利用されている。
ウ
木質バイオマス暖房機の導入を検討する際の留意点
ランニングコストについて、木質バイオマス燃料は比較的低いと言われている
が、燃料の入手方法によっては輸送コストの関係で割高になることがあるため注
意する。
木質バイオマス暖房機を導入するにあたっては、利用目的にあわせた機種を選
定すること、暖房機や燃料の調達コストを事前に十分把握することが必要である。
また、石油式暖房機との相違点①着火、消火に時間を要するため、着火と消火を
繰り返して温度を一定に保つような管理は苦手、②燃料を乾燥状態で保管、③燃
料の保管スペース確保、④灰の処理を、十分に理解した上で導入する。
エ
木質バイオマス熱源暖房機の運転方法
① 既 存 の 燃 油 暖 房 機 に ス ト ー ブ 型 の バ イ オ マ ス 暖 房 機( 薪 ス ト ー ブ 等 )を 併 用 す
る場合
木質バイオマス暖房機は補助熱源として活用する。木質バイオマス暖房機を
燃油式暖房機に近接して設置し、燃油暖房機の送風機能を活用して施設を加温
( 循 環 扇 等 も 併 用 )す る 。最 低 限 必 要 な 熱 量 は 木 質 バ イ オ マ ス 暖 房 機 で 確 保 し 、
栽培適温にするための温度確保・調節は燃油暖房機で行う。
② 木質バイオマス暖房機と燃油暖房機を併用する場合
木質バイオマス暖房機は目標とする設定温度に、燃油暖房機はその設定温度
より1~2℃低くし、木質バイオマス暖房機を優先的に運転する。この場合、
温度センサーは同一のものを使用した方がよく、別々のものになる場合は、そ
れぞれの温度センサーの誤差補正を実施するとともに、同じ位置に設置する必
要がある。
オ
木質燃焼灰の処理方法
木質ペレットや木質チップの燃焼灰は、産業廃棄物に該当するため、産業廃棄
物処理業者に委託するなどして適正に処理する必要がある。なお、焼却灰(塗料
や薬剤を含む若しくはそのおそれのある廃木材又は当該廃木材を原料として製
造 し た ペ レ ッ ト 又 は チ ッ プ と 混 燃 し て 生 じ た 焼 却 灰 を 除 く 。 )を 融 雪 剤 や 土 地 改
良資材として利用する場合には、融雪剤や土地改良資材に適する性状であること、
必要な量のみを使用すること、生活環境に影響を及ぼさない利用方法であること
等に留意する必要がある。
( 平 成 25 年 6 月 28 日 付 け 環 廃 産 発 第 1306282 号
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長通知)
14
写真1
写真3
ハウスおうとうでのペレット
暖房機利用
薪ストーブにおける
薪投入状況
写真2
写真4
15
ペレットタンク
県内で導入事例の多い薪ストーブ
ウ
温度センサーの適正な設置
暖房機の温度センサーは、適正な位置に設置することが大切である。作物の丈
に合わせて上下させるが、必要以上にセンサーの位置を低くすると、暖房機が無
駄に稼動することとなる。また、ダクトの吹き出し温度の影響を受ける位置にセ
ンサーを設置した場合は、暖房機の運転に伴って急激な温度変化が現れ、ハウス
全体を適切な温度に保てないだけでなく、過剰に煩雑な運転停止が繰り返され、
部品等の耐久性にも影響を与えるおそれがある。
3
保温性の向上
暖房中のハウスからの熱損失は図
10 の よ う に 、貫 流 熱 負 荷 、隙 間 換 気
60~100%
貫流熱負荷
伝熱負荷、地表伝熱負荷の3つに分
けられる。
0~20%
隙間換気伝熱負荷
このうち、貫流熱負荷(被覆材を
通 過 す る 熱 量 に よ る 損 失 )が 全 体 の
60~ 100% と 最 も 大 き な 割 合 を 占 め
地表伝熱負荷
る 。省 エ ネ ル ギ ー 効 果 を 高 め る た め
暖
房
機
-20~20%
に は 、ハ ウ ス の 保 温 性 を 高 め る 被 覆
図
10 温 室 か ら の 熱 損 失
図3 温室からの熱損失
資 材 、被 覆 方 法 に 切 り 替 え る こ と が
極 め て 効 果 的 で あ る 。 具 体 的 な 方 法 は ① 多 層 被 覆 を 行 う ( 被 覆 枚 数 を 増 や す )、 ②
保 温 性 の 高 い 被 覆 資 材 を 利 用 す る な ど で あ る 。な お 、フ ィ ル ム が 厚 く な っ て も 保 温
性 は 大 き く 変 わ ら ず 、耐 久 性 が 向 上 す る の み で あ る 。被 覆 資 材 の 保 温 効 果 は 、材 質
が 大 き く 影 響 し て お り 、 後 述 の 「( 3 ) 被 覆 資 材 の 違 い 」 を 参 照 さ れ た い 。
隙 間 換 気 伝 熱 負 荷 は 0~ 20% で あ る 。 カ ー テ ン や 外 張 フ ィ ル ム の 隙 間 を 入 念 に チ
ェ ッ ク し 塞 ぐ こ と で 、熱 損 失 を 小 さ く す る こ と が 可 能 で あ る 。最 も 低 コ ス ト で ハ ウ
スからの放熱を低減できる方法である。これは省エネ対策の基本となる。
地中伝熱負荷は、太陽熱がハウス内地表面に蓄熱されることで生じる熱であり、
ハ ウ ス の 暖 房 熱 量 を 軽 減 す る 効 果 が あ る 。通 路 に 十 分 太 陽 光 が 当 た る よ う に 除 草 や
資材の整理を心がけるなどで、わずかではあるが省エネルギー効果が期待できる。
た だ し 、暖 房 設 定 室 温 が 地 温 よ り 高 い 場 合 は 、ハ ウ ス 内 か ら 地 中 へ 熱 が 逃 げ て 損 失
となる。
(1)多層被覆
保 温 性 向 上 に は 多 層 被 覆 が 有 利 で あ る が 、多 層 化 す る ほ ど 室 内 光 環 境 を 悪 化 さ せ
や す い 。ま た 、設 備 費 用 に 対 す る エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 も 薄 れ る た め 、2 ~ 3 層 ま で
19
が 現 実 的 で あ り 、そ れ 以 上 増 や し て も 効 果 は 低 い 。多 重 被 覆 は 、天 カ ー テ ン に 多 く
見 ら れ る も の の 、サ イ ド の 事 例 は 少 な い 。し か し 、サ イ ド( 側 面 )や 妻 面 の 2 層 化
も効果は高い。
写真7、8
県内ばら栽培ハウスに使用されたサイド2層化
右写真に見られるように、2層を保つように直管でのガードを取り付けた工夫例も見られる。
加温ハウスの被覆は、いろいろな
方 法 が 行 な わ れ て い る 。多 層 被 覆 を
行うにはハウスの被覆方法を踏ま
え 、栽 培 す る 作 物 管 理 の 適 合 性 や 作
業 性 、暖 房 温 度 を 考 慮 し た 被 覆 を 採
用する。
多層被覆は、カーテンやトンネル
の他、空気膜被覆方式がある。空気
膜被覆では温室の構造材に直接固定
する方式と、温室内にパイプなどを
組み立て、これに固定する方式があ
る( 図 11)。2 層 に す る 場 合 、2 枚 の
被覆間隔が1㎝あれば保温性が通常
の2層と同等となる。
図 提 供 :( 株 ) 佐 藤 産 業
図 11
天カーテン2層に改造可能な資材例
巻き取り器具と取り付けてカーテン開閉する。
20
写 真 9 ~ 12
表 15
天 カ ー テ ン の 実 際 の 設 置 例( 写 真 提 供:
( 株 )佐 藤 産 業 )
暖 房 機 の 運 転 時 間 ( 2002. 農 業 生 産 技 術 試 験 場 )( 現 山 形 園 試 )
ハウス屋根の形状と使用フィルム
運転時間 同左割合
屋根2層(Fクリーン厚さ0.06mm+0.04mm)
89時間
86%
屋根単層(ポリエステル系厚さ0.15mm )
103時間
100%
2002年2月7日~14日、同じ形・面積の軽量鉄骨ハウスで14℃設定
(2)多重被覆・多層被覆の具体的内容
温 室 内 部 に 展 張 す る 保 温 カ ー テ ン は 、夜 間 は 閉 じ 、昼 間 は 開 け る こ と に よ っ て 透
過 光 量 の 低 下 を 避 け ら れ る こ と か ら 、最 も 実 用 性 の 高 い 保 温 被 覆 と い え る 。2 層 カ
ー テ ン の 放 熱 量 は 、被 覆 資 材 の 種 類 に も よ る が 、1 重 固 定 被 覆( 外 張 り )の み の 場
合 に 比 べ 、約 45~ 65% 節 減 、3 層 カ ー テ ン は お よ そ 60~ 75% 節 減 可 能 で あ る 。な
お 、2 層 カ ー テ ン を 設 置 し て も 、カ ー テ ン が 密 着 す る と 1 層 カ ー テ ン に 近 い 保 温 性
能 し か 得 ら れ な い た め 、支 柱 を 立 て る な ど し て 、カ ー テ ン が 密 着 し な い よ う な 対 策
をとる必要がある。
内 側 の 内 張 り 資 材 を 、温 室 の 構 造 材 に 直 接 固 定 展 張 す る 方 式 と 、温 室 内 に パ イ プ
な ど を 組 み 立 て 、こ れ に 被 覆 資 材 を 固 定 す る 方 式 が あ る 。保 温 性 は 、気 密 性 が 高 い
分、保温カーテンよりも保温力は若干高くなる。
(3)被覆資材の違い
ハ ウ ス 内 張 り 用 の フ ィ ル ム は 農 業 用 ポ リ 塩 化 ビ ニ ル フ ィ ル ム 、農 業 用 ポ リ オ レ フ
ィ ン 系 特 殊 フ ィ ル ム 、農 業 用 ポ リ エ チ レ ン フ ィ ル ム が 用 い ら れ る 。な お 、防 曇( メ
21
ー カ ー の 無 滴 、流 滴 、防 滴 の 表 示 は 同
じ 意 味 )、 防 霧 性 加 工 さ れ て い る も の
は 、表 裏 が あ る の で 、印 字 面 を 外 側 か
ら読めるように張る。
通 気 性・透 湿 性 資 材 と し て は 、ポ リ
ビ ニ ル ア ル コ ー ル( P V A )フ ィ ル ム
が あ り 、内 張 り カ ー テ ン 、ト ン ネ ル 資
材として多く用いられている。
こ れ ら の 選 択 に あ た っ て は 、保 温 性
や 吸 湿 性 な ど 資 材 の 特 徴 、価 格 を 考 慮
する。
ア
農業用ポリ塩化ビニルフィルム
内張り農ビは、原料配合面で外張
りビニルより硬めにして、べたつき
がなく開閉作業性と水の溜まりやすさを改善してある。また、防曇、防霧性が良
好になるよう加工されている。製品によって長期間の防曇性など特徴をもたせて
い る 。 厚 さ は 0.05 ㎜ 、 0.075 ㎜ の 2 種 類 が あ る 。
イ
農業用ポリオレフィン系特殊フィルム
汚れにくく、光透過率が落ちにくい性質があり、耐久性が優れる。保温性は農
ビにより近づいた製品が出されている。多層構造のフィルムであることが多く、
保温性に違いが見られるが、データは不明である。有孔加工を施し、水の滞留を
無くしたタイプの製品も見られる。一般的に硫黄や薬品による品質劣化がおきや
すいので硫黄燻蒸および硫黄系薬剤の使用を避ける。なお、劣化を少なくした製
品 も 販 売 さ れ て い る 。 カ ー テ ン 用 と し て は 厚 さ 0.05 ㎜ 、 0.075 ㎜ が あ る 。
写 真 13
ハウスぶどうに追加設置された内張りカーテン用設備(山形市)
22
ウ
農業用ポリエチレンフィルム
農業用ポリ塩化ビニルフィルムに比べ保温性が劣る。しかし、ハーモニカ構造
の資材(商品名:サニーコート)や無数の泡を閉じ込めた低発泡資材(商品名:
ハイマット)などはハウスサイドに多用されている。サニーコートや低発泡資材
は、防曇処理がなされていないため、天カーテンに使用できない。また、サニー
コートは素材に厚みがあり裾に隙間が開いてしまうため、裾の接触面を平らにし、
密閉度を高める必要がある。近年、包装用の気泡緩衝材を利用した保温資材が開
発されている。
表 16
表 17
被覆様式と燃料使用量比較(板木)
被覆方法・資材の違いによる熱貫流率
(4)気密性
ハ ウ ス の 隙 間 か ら の 熱 の 損 失( 隙 間 換 気 伝 熱 負 荷 )は 全 体 か ら み れ ば 、0 ~ 20%
程度であるが、ハウスの周りの風速によっては大きな熱損失となる。また、維持
管理が不十分であると熱損失割合が大きくなるので、ハウス内外を点検して、補
修等に努める。
23
が 現 実 的 で あ り 、そ れ 以 上 増 や し て も 効 果 は 低 い 。多 重 被 覆 は 、天 カ ー テ ン に 多 く
見 ら れ る も の の 、サ イ ド の 事 例 は 少 な い 。し か し 、サ イ ド( 側 面 )や 妻 面 の 2 層 化
も効果は高い。
写真7、8
県内ばら栽培ハウスに使用されたサイド2層化
右写真に見られるように、2層を保つように直管でのガードを取り付けた工夫例も見られる。
加温ハウスの被覆は、いろいろな
方 法 が 行 な わ れ て い る 。多 層 被 覆 を
行うにはハウスの被覆方法を踏ま
え 、栽 培 す る 作 物 管 理 の 適 合 性 や 作
業 性 、暖 房 温 度 を 考 慮 し た 被 覆 を 採
用する。
多層被覆は、カーテンやトンネル
の他、空気膜被覆方式がある。空気
膜被覆では温室の構造材に直接固定
する方式と、温室内にパイプなどを
組み立て、これに固定する方式があ
る( 図 11)。2 層 に す る 場 合 、2 枚 の
被覆間隔が1㎝あれば保温性が通常
の2層と同等となる。
図 提 供 :( 株 ) 佐 藤 産 業
図 11
天カーテン2層に改造可能な資材例
巻き取り器具と取り付けてカーテン開閉する。
20
4
農作物の栽培環境制御技術
栽培環境制御は、各作物の生育ステージに応じて行うのが基本である(Ⅳの各作物
で 詳 述 )。こ こ で は 、栽 培 環 境 制 御 で も さ ら に 省 エ ネ ル ギ ー と な る 方 法 に つ い て 説 明 す
る。
(1)変温管理
変 温 管 理 と は 作 物 の 生 理 機 能 の 変 化 に あ わ せ て 、1 日 の 時 間 帯 で 設 定 温 度 を 変 え
る温度管理をいう。日中は光合成が十分に行われる温度に設定する。夕方から 4
~ 5 時 間 の 前 夜 半 は 転 流 促 進 時 間 帯 と な る こ と か ら 、転 流 を 短 時 間 で 終 わ ら せ る 目
的 で 比 較 的 高 め に 温 度 管 理 す る 。そ の 後 、早 朝 ま で の 後 夜 半 は 呼 吸 消 耗 時 間 帯 と な
る こ と か ら 、呼 吸 に よ る 消 耗 を 抑 え る た め 低 温 管 理 に す る 。ま た 、日 の 出 前 か ら 数
時 間 は 夜 間 よ り 高 く 管 理 し 、光 合 成 能 力 の 回 復 を 図 る 早 期 加 温 を 行 う 。こ の よ う な
変 温 管 理 に よ る 燃 料 節 減 率 は 作 物 に よ っ て 異 な る が 、一 般 的 な 恒 夜 温 管 理 よ り も 5
~ 20% と 高 く 、 収 量 ・ 品 質 は 15~ 20% 増 加 す る と い わ れ て い る 。
変 温 管 理 は 、そ の 日 の 日 射 量 に 応 じ て 設 定 温 度 を 変 え る こ と で 、よ り 有 効 性 が 高
ま る の で 、日 射 制 御 変 温 管 理 法 も 行 わ れ る 。こ れ は 、曇 天 日 は 作 物 の 光 合 成 が 少 な
く 、夜 間 の 転 流 も 少 な い の で 、転 流 の た め の 温 度 を 上 げ る 必 要 が な い こ と を 利 用 し
た も の で あ る 。ト マ ト で は 、天 候 の 悪 い と き に は 前 夜 半 の 温 度 を 12℃ で は な く 10℃
と し 、後 夜 半 の 温 度 を 5℃ と し て も 、10℃ 恒 夜 温 管 理 と 比 べ て も 減 収 し な い こ と が
実験で示されている。
表18 日射 量区分と 夜温制御 (久富)
日 射区 分
夜温 処理
日 射 比例 夜温
日射 比例 変夜 温
250l y/day 以上 249~150ly /day 149ly /day 以 下 10± 1℃
8±1℃
6±1℃
12± 1℃ ~7.5hr~
5± 0.5℃
12±1℃ ~5.0hr~
5±0.5℃
12±1℃~ 2.5hr~
5±0.5℃
標 準恒 夜温
8±1℃ 一 定
早 朝加 温16~17℃を 併用
同
左
同
左
変 温 管 理 に は 、多 段 式 サ ー モ 装 置 が 必 要 で あ り 、日 射 制 御 型 の も の も あ る 。旧 型
の 暖 房 機 で 多 段 式 サ ー モ が 組 み 込 ま れ て い な い 場 合 、増 設 可 能 か メ ー カ ー に 確 認 す
る。
(2)地温管理
地 温 を 高 め る こ と に よ っ て 、通 常 の 管 理 温 度 よ り も 低 い 温 度 で 同 等 の 生 育 が 行 わ
れ る 場 合 が あ る 。野 菜 の 施 設 栽 培 に お い て 、関 東 以 北 と 日 本 海 側 の よ う な 冬 季 の 日
照 が 少 な い 地 域 で は 、積 極 的 な 地 中 加 温 が 行 わ れ て い る と こ ろ が 多 い 。一 方 、花 き
で は ガ ー ベ ラ や ア ル ス ト ロ メ リ ア の 一 部 品 種 に 効 果 が あ る が 、そ の 他 の 品 目 に は そ
25
の効果が小さく利用例も少ない。
(3)局所加温技術
加温栽培では、一般的に施設全体の温度が均一なるよう暖房が行われる。一方、
局 所 加 温 技 術 は 、作 物 が 温 度 を 必 要 と す る 部 分( 根 圏 や 生 長 点 付 近 な ど )を 局 所 的
に 加 温 し 、燃 料 使 用 量 を 削 減 し つ つ 、慣 行 並 み 、も し く は 品 目 に よ っ て は 慣 行 以 上
の収量及び品質を確保する技術である。
局 所 加 温 技 術 で は 、暖 房 機 か ら の 温 風 を ダ ク ト に よ り 通 風 し 根 圏 や 生 長 点 付 近 を
温 め る 方 法 や 、温 湯 を 流 す ポ リ パ イ プ や 発 熱 体 を 根 圏 や 株 元 付 近 に 設 置 し 温 め る 方
法などがある。
(4)炭酸ガス施用
炭 酸 ガ ス ( C O 2) は 植 物 の 光 合 成 の 原 料 で あ る 。 温 室 効 果 ガ ス 世 界 資 料 セ ン タ
ー の 解 析 で は 、 2013 年 の 世 界 の 炭 酸 ガ ス 平 均 濃 度 は 396ppm で あ る 。 作 物 や 光 、
温 度 条 件 で 異 な る が 、一 定 の 温 度 で は 、炭 酸 ガ ス 濃 度 が 高 く な る ほ ど 光 合 成 能 は 高
ま る 。一 方 、施 設 の 密 閉 期 間 が 長 い 本 県 で は 、作 物 の 呼 吸 や 土 壌 中 か ら 発 生 し た 炭
酸 ガ ス が 夜 間 か ら 早 朝 に か け 蓄 積 し 、日
の 出 直 後 に は 600ppm 程 度 に な る 。 そ
の 後 、日 射 量 の 増 大 に 伴 い 、光 合 成 が 盛
ん に な り 、施 設 内 の 炭 酸 ガ ス 濃 度 は 急 激
に 低 下 す る 。こ の 時 、施 設 内 の 換 気 が 行
わ れ れ ば 、炭 酸 ガ ス 濃 度 の 回 復 は み ら れ
る も の の 、冬 季 の よ う に 換 気 が 行 わ れ な
い 場 合 に は 炭 酸 ガ ス 濃 度 が 100ppm 以
下 ま で 低 下 し 、「 炭 酸 ガ ス 飢 餓 」 と 呼 ば
れ る 状 態 と な る 。こ の よ う な 状 態 が 続 く
と、生産性や品質の低下を招く。
ま た 、炭 酸 ガ ス は 土 壌 有 機 物 が 分 解 す
る過程でも発生する。有機物の分解に
は水分が必要であり、施設内湿度を下
げるために通路等を農業用ポリエチレ
ン等でマルチングをすると、土の表面
と空気との接触が遮断されることで、
写 真 14: ば ら で 利 用 が 多 い
灯油式炭酸ガス発生機
土壌から発生する炭酸ガスが減少する。
このため、施設内の炭酸ガス濃度を高めるには、外気から炭酸ガスを補うために
午前中に 1 回は換気を行なうことや、作付け前に有機物を投入する、あるいは堆
26
肥マルチを行なうなどの対応が必要である。
炭酸ガス施用技術は、ばらにおいて県内全域に広く普及している。また、庄内
地域ではいちごでも導入されつつある。冬季に晴天が多い太平洋側では換気を行
う た め 、炭 酸 ガ ス 施 用 効 果 が 小 さ い こ と か ら 普 及 が 進 ん で い な い 。こ れ に 対 し て 、
密閉期間が長い本県では施用効果が高いと思われる。
冬 季 に 行 わ れ て い る 炭 酸 ガ ス 施 用 は 、 施 設 を 密 閉 し た 上 で 、 炭 酸 ガ ス 濃 度 700
~ 1,000ppm 程 度 に 維 持 す る 方 法 が 一 般 的 で あ る 。
施 用 法 と し て は C O 2 生 ガ ス ( ガ ス ボ ン ベ )、 L P G 焚 き の 炭 酸 ガ ス 発 生 機 、 灯
油焚きの炭酸ガス発生機があるが、施用のランニングコストは圧倒的に灯油焚き
が安く、現在はこの方式が多く普及している。
近年、炭酸ガス施用技術に関する試験が国内各地で実施されているため、炭酸
ガス施用を検討する際には農業技術普及課に問い合わせ願いたい。
27
Ⅳ
品目別技術対策
1
果樹
(1)共通事項
○
経済性や樹勢、労働配分等を考慮して、加温開始時期を決定する。
○
必要以上に低い温度で管理すると、収量や品質の低下及び出荷時期の遅延に
よる単価の低下の原因になるので適正な温度で管理する。
○
加温開始前にハウス内の除雪及び融雪対策を行い、融雪のための燃料消費を
削減する。
○
保温性を高めるため、被覆資材の破損箇所が無いように点検・補修を行う。
また、サイドや妻面は二重被覆を行う。さらに、天井部の二重被覆についても
積 極 的 に 実 施 す る (「 Ⅲ
○
共 通 的 な 技 術 対 策 」 参 照 )。
気象条件に応じてこまめに天窓の開閉や換気を行い、日中の蓄熱を積極的に
利用する。
○
極度の低温時は、設定温度を生育に障害が出ない程度まで下げて、省エネ暖
房を行う。低温管理により生育が遅れた場合は、日中の温度確保に努め、生育
の回復に努める。
○
ダクト配置の改善や循環扇の利用等によりハウス内温度の均一化を図るとと
もに、ボイラー・換気装置の温度センサー位置の適正化を図り、効率の良い暖
房を心がける(Ⅲ
共 通 的 な 技 術 対 策 参 照 )。
この部分で2分割
パッカーで
留める
天窓換気
写写真11,12 おうとう加温ハウス栽培での屋根の2層改造例(写真提供:北村山農業技術普及課)
真 15 、 16 お う と う 加 温 ハ ウ ス 栽 培 で の 屋 根 の 2 層 改 造 例 ( 写 真 提 供 : 北 村 山 農 業 技 術 普 及 課 )
(2)おうとう
収 量 を 、 早 期 加 温 栽 培 で 500kg/10a、 普 通 、 短 期 加 温 栽 培 で 600kg/10a と し た 場
合 、 現 在 の 燃 油 価 格 ( A 重 油 : 99 円 /L ) と 各 種 資 材 価 格 を 加 味 し て 加 温 栽 培 の 所
得を試算すると、早期・普通・短期加温のいずれの作型においても、雨よけ栽培よ
り 所 得 が 低 い 試 算 と な る( 表 4 )。加 温 栽 培 で 雨 よ け 栽 培 並 み ~ そ れ 以 上 の 所 得 を 得
28
また、ハウスを長年使用すると、天窓や換気扇、妻面上部、ハウスサイド、出
入り口等の開口部分の隙間が発生したり、拡大することにより、ハウスの気密性
が 低 下 し て く る 。 こ の 隙 間 か ら 逃 げ だ す 熱 量 は 、 全 放 熱 量 の 内 、 最 大 で 20% 程 度
もあるといわれ、気密性の向上が大切となる。
これらの場所を点検し、必要に応じ、ビニル等で隙間を防ぐとともに、サイド
側では裾に切断した直管をおもりに用いることで気密性を高める。また、強風時
にサイド側があおられて隙間が開かないように押さえのバンドでしっかり止める。
図 13
カーテンの隙間ができやすい部分
(5)採光条件の向上
光 は 光 合 成 の た め に 不 可 欠 で あ り 、ハ ウ ス 内 の 気 温・地 温 上 昇 の エ ネ ル ギ ー 源 で
もある。光の不足する冬季にハウス内に入る光の量をできるだけ多くすることは、
作物の生育量を確保するうえで重要である。
そ の た め 、当 面 使 用 す る 予 定 が な く 、ハ ウ ス 内 外 に 採 光 を 妨 げ る 資 材 や 機 材 が あ
る 場 合 は 移 動 す る 。ま た 、被 覆 資 材 の 汚 れ 等 が 確 認 さ れ た 場 合 は 、被 覆 資 材 を 洗 浄
す る 。た だ し 、ブ ラ シ 等 を 使 用 す る と 表 面 に 細 か い 傷 が つ き 、汚 れ や す く 、劣 化 の
原 因 と な る た め 、圧 力 を 上 げ た 水 で 洗 浄 す る な ど 傷 が つ か な い よ う に 注 意 す る 。古
くなり透光が悪い資材は更新する。
24
後一昼夜は雨や雪にあたらないよう、好天が続く日を選ぶか、被覆後に換気に十
分注意して散布する。休眠が覚醒する1月下旬以降に加温を開始する作型におい
ても、休眠打破剤を使用することで発芽・開花の揃いが良くなる傾向があるので
使用しても良い。
休眠打破剤は、樹勢が弱い樹や花芽の充実が悪い樹に使用すると、花芽が枯死
す る 場 合 が あ る の で 、 使 用 に あ た っ て は 十 分 注 意 す る ( 図 16)。
イ
温度管理
加温開始時期が早いほど生育が不揃いになりやすいので、早い作型ほど夜温を
低めに管理し緩やかに生育を進める。
昼温から夜温、夜温から昼温に代わる時間帯の温度は、多段サーモを利用して
段階的に変えるようし、日の出、日没時刻に応じて時間帯を調整する。
基 本 的 な 温 度 管 理 を 表 19 に 示 し た が 、太 陽 光 を 十 分 活 用 し 、暖 房 機 の 無 駄 な 燃
焼を少なくするよう、気象条件に応じて天窓やサイドの開閉を行う。日没の1~
2時間前にはハウスを閉めて蓄熱し、燃焼を少なくする。
ただし、換気を控え過ぎると、ハウス内が高温になり生育に悪影響がでる場合
があるので注意する。特に、発芽期から開花期にかけての高温は結実不良の原因
になるので、十分注意する。
表 19
ハウス栽培における温度管理
表 ハウス栽培における温度管理
17
生育相
昼温
夜温
被覆
15℃
0℃
注意事項
加温開始
15℃
0~5℃
発芽期
15~20℃
5~7℃
昼温・夜温は、この範囲内で前半は低
め、後半は高めで管理する。
18~23℃
7℃前後
開花期の昼温は25℃、夜温は10℃を越
さないように注意する。
20~25℃
8~13℃
昼温・夜温は、この範囲内で前半は低
め、後半は高めで管理する。
25℃前後
13℃前後
昼温は高くても20℃を越さない。夜温は
作型に応じて対応する。
開花始期
満開期
落花期
硬核期
昼温は30℃を越さないように注意する。
収穫期
(3)ぶどう「デラウェア」
ア
休眠打破剤の利用
3 月 上 旬 ま で に 被 覆・加 温 を 開 始 す る 作 型 で は 、休 眠 打 破 剤 の 使 用 を 検 討 す る 。
散 布 後 一 昼 夜 は 雨・雪 に あ た ら な い よ う 、11 月 下 旬 ~ 12 月 上 旬 の 天 気 の 良 い 日 を
選んで散布する。休眠打破剤を散布した場合は、芽出しが良好になるので、1回
目の芽かきを早期に行い適正な新梢数に整理する。また、ハウス栽培の場合、花
30
穂整理はできるだけ1回目ジベレリン処理前に終了する。
休眠打破剤を連年使用すると、樹勢が低下しやすいので、剪定や肥培管理に留
意し、適正な樹勢の維持に努める。
イ
温度管理
被覆直後、急に温度を高めると根の活動が伴わず発芽揃いが悪くなるので、被
覆 後 は 、一 定 期 間( 7 ~ 10 日 間 程 度 )無 加 温 で 管 理 し 、そ の 後 、生 育 ス テ ー ジ に
応じた温度管理を行う。
加 温 開 始 か ら 催 芽 期( 芽 が 膨 ら み 始 め る 時 期 )ま で は 日 中 カ ー テ ン を 閉 め 切 り 、
28~ 30℃ を 確 保 し て 生 育 を 進 め る 。 自 動 換 気 装 置 を 導 入 し て い る 場 合 は 、 セ ン サ
ー を 棚 の 高 さ に 設 置 し 、35℃ 程 度 に 設 定 す る 。催 芽 期 以 降 は 30℃ 以 上 に な ら な い
ようにしながら、太陽光を効率よく活用し昼温を確保する。
ハウス内の生育のバラつきに留意し、生育が遅れている場所の換気を控えるな
ど し て 、 生 育 を 揃 え る ( 表 20)。 ま た 、 ハ ウ ス 内 の 湿 度 保 持 に 留 意 し 、 灌 水 や 枝
散水等を確実に実施する。
昼温から夜温、夜温から昼温に代わる時間帯の温度は、多段サーモを利用して
段 階 的 に 変 え る よ う に す る ( 表 21)。
表 19
20
「デラウェア」におけるハウス栽培温湿度管理
31
表 21
デラウェア加温ハウス栽培における省エネに向けた変温管理の現地事例
表20 デラウェア加温ハウス栽培における省エネに向けた変温管理の現地事例
( 2(2月下旬~3月上旬被覆、7月上中旬収穫の作型における加温設定温度)
月下旬~3 月上旬被覆、7 月上中旬収穫の作型における加温設定温度)
時間
6~10時
10時~15時
15時~20時
20時~6時
加温~催芽
13℃
20℃
15℃
5~10℃
催芽~発芽
15℃
20℃
17℃
5~10℃
発芽~展葉
15℃
20℃
15℃
5~7℃
5~9時
9時~16時
16時~22時
22時~5時
~展葉3,4枚頃
15℃
20℃
17℃
5~7℃
~1回目ジベ処理前
15℃
20℃
20℃
10℃
5~9時
9時~16時
16時~22時
22時~5時
10℃
17℃
15℃
7℃
5~9時
9時~16時
16時~20時
20時~5時
開花~着色始期
15℃
20℃
20℃
15℃
~収穫期
外気温
外気温
外気温
外気温
生育ステージ
時間
生育ステージ
時間
生育ステージ
1回目ジベ処理期
時間
生育ステージ
※ 換気温度は催芽期以前は棚上で35℃以下、それ以降は30℃以下を目安とする。
32
2
野菜
(1) きゅうり半促成栽培
ア
作型の特徴
半促成栽培は、収穫期をできる限り前進し、早期出荷による高価格をねらう作
型 で あ る 。作 期 前 進 は 、市 況 は 有 利 に な る が 、生 育 環 境 が 低 温 少 日 照 と な る た め 、
高度な肥培管理技術が必要となる。併せて、定植後は低温期であることから、ハ
ウス加温に必要な燃料費がかかり増しする。
このため、収益を確保するためには、燃料費の低減を図る省エネルギー対策が
必須となる。本県では、地温を高く保つため、高うね、全面マルチを行うととも
に、早めの圃場準備で定植時の地温を確保する。また、生育量が増加するつる上
げ期を、日射量が増大する2月下旬以降とする作期とすることが重要である。
イ
生育適温
生 育 適 温 は 18~ 25℃ で あ り 、 10~ 12℃ 以 下 で は 生 育 は 停 止 す る 。 地 温 は 20~
23℃ が 適 温 で あ り 、 12℃ 以 下 で は 生 育 せ ず 、 少 な く と も 15℃ 以 上 が 必 要 で あ る 。
低温管理すると、草勢低下を招き、かんざし症状や肩こけ果の発生が懸念される
ので、草勢等生育状況を十分に観察しながら、適温管理に努める。
ウ
温度管理
ハウス内に温度ムラが生じないよう、ダクトの配置や、設置場所に配慮する。
活着後の設定温度は、早朝加温や転流促進のための夕刻以降の温度維持を行わ
な い 日 中 2 段 変 温 管 理( 9 時 ~ 16 時:18℃ 、16 時 ~ 9 時:13℃ )に す る と 、慣 行
の 4 段 変 温 管 理 に 比 べ て 燃 油 消 費 量 が 15%削 減 で き 、同 等 の 商 品 果 収 量 を 得 る こ
と が で き る 。ま た 、こ の 管 理 は 、15℃ 一 定 管 理 と 比 較 す る と 、燃 油 消 費 量 は 約 40%
減 少 す る が 収 量 に 差 は な く 、13℃ 一 定 管 理 と 比 較 す る と 、燃 油 消 費 量 は や や 増 加
す る が 、 収 量 は 約 40% 増 加 す る 。( 新 潟 県 農 林 水 産 業 研 究 成 果 集 ( 平 成 25 年 度 )
よ り )。
エ
その他の管理
整枝の適正化や老化葉の摘葉により、透光・通風を促進し、光合成能力の向上
を図る。また循環扇の設置により、ハウス上層部の暖かい空気を下層に循環させ
ることで施設内の温度ムラをなくす。
そ の 他 、 施 設 の 保 温 性 と 暖 房 効 率 の 向 上 に つ い て は 、「 Ⅲ
の項を参照のこと。
33
共通的な技術対策」
図 17
半 促 成 き ゅ う り 栽 培 に お け る 暖 房 設 定 温 度 と 燃 油 消 費 量 ・商 品 果 収 量 の 関 係
(2)トマト半促成栽培
ア
作型の特徴
本県におけるトマトの作型は、年内播種で加温ハウスに定植する半促成栽培、
2月上中旬に播種して、保温管理または補助暖房で3月下旬~4月上旬に定植す
る早熟栽培、4月下旬~5月中旬以降に定植し、ハウスで雨よけを行う雨よけ夏
秋栽培等がある。
このうち、半促成栽培は、育苗及び初期生育期が冬期間の低温や日照の少ない
時期となるため、暖房経費等のコスト低下を考慮した栽培管理が重要となる。
したがって、栽培にあたっては経営における本作型の導入メリットや燃油等の
価格状況を確認した上で、可能な限りの省エネルギー対策を講じ、収益確保を図
る。
イ
生育適温
形 態 や 品 種 に よ り 、 低 温 伸 長 性 等 に 差 が あ る が 、 生 育 の 最 適 温 は 、 昼 気 温 25
~ 30℃ 、 夜 気 温 10~ 15℃ で 、 果 菜 類 の 中 で は 比 較 的 低 温 に 強 い 品 目 で あ る 。 果
実 の 発 育 期 に は 10℃ 程 度 の 昼 夜 の 温 度 較 差 が 望 ま れ る 。
育苗期間も含めると、地上部の温度は第一花房着果節位等に関係し、低温下で
は節位の低下や着花数の増加をまねく。また、低温や活着不良により、同化養分
が転流できずに葉に蓄積しアントシアン着色葉が発生すると、著しい場合は生育
が停滞、枯死する。
し た が っ て 、定 植 時 は 最 低 15℃ 程 度 の 地 温 が 必 要 で あ り 、活 着 後 か ら 草 勢 状 態
34
るには、①収量性の高いハウスで実施すること、②結実確保対策を徹底し雨よけ栽
培よりも高い収量を確保すること、③品質向上対策を徹底し平均単価を上げること
が 必 要 と な る ( 図 14、 15)。
1,000
1,600
早期加温
900
1,400
普通加温
800
1,200
1,000
10a当り所得(千円)
10a当り所得(千円)
1,800
短期加温
雨よけ(基準)
800
600
700
600
500
400
早期加温
300
普通加温
200
200
短期加温
0
100
雨よけ(基準)
400
0
-200
500kg
600kg
現状
700kg
10a当り収量
図 14
ア
+500円
+1,000円
単価/kg
おうとう加温栽培における収量と所得
の 関 係 ( H26.11 農 業 技 術 環 境 課 試 算 )
図 15
おうとう加温栽培における単価と所得
の 関 係 ( H26.11 農 業 技 術 環 境 課 試 算 )
休眠覚醒と加温開始時期
加 温 の 開 始 時 期 は 、低 温 遭 遇 時 間 を 確 認 し た 上 で 判 断 す る 。
「 佐 藤 錦 」の 休 眠 覚
醒 の 目 安 は 、 7 ℃ 以 下 の 遭 遇 時 間 で 1,650 時 間 、 チ ル ユ ニ ッ ト 方 式 で 1,500 ユ ニ
ッ ト で あ り 、 村 山 地 域 の 自 然 条 件 で は 1 月 20 日 頃 に 休 眠 が 覚 醒 す る 。
超早期加温
低温遭遇時間
(早期散布)
普通加温
(普通散布)
低温遭遇時間1000時間以前(12月中下旬)までは散布しない!
1000時間
(12月中下旬)
●
散布
散布は晴れた日を選んで!
散布後、降雨があっても再散布はしない!
1000~1300時間まで
に散布する場合、加温ス
タートは1300時間以降と
する。
1300時間
(1月上旬)
◎
加温開始
●
◎
散布・加温開始
1350~1650時間に散
布する場合、通常は加温
開始は散布と同時とす
る。
1650時間
(1月中下旬)
●
◎
散布・加温開始
1650時間以降の散布は
発芽促進効果は低下する
が、発芽・開花の揃いが
良くなる。
図9 休眠打破剤(シアナミド剤)の使用方法
図 16
休眠打破剤(シアナミド剤)の使用方法
休眠覚醒前に加温を開始する早期加温栽培では、休眠打破剤を使用する。散布
29
エ
その他の管理
整枝や老化葉の除去により通風を図り、病害発生を抑制するとともに、光が地
表面に当たるように採光性を良くすることで地温を確保する。また、ハウスの被
覆資材や多重カーテン等の汚れによる光の透過率低下に注意する。
灌水は、天候や生育、土壌水分状態を見ながら行い、地温低下に注意する。
葉かき等は、切り口の乾きやすい晴天時に行うとともに、病害対策として、換気
や循環扇の活用で、ハウス内の温湿度ムラをなくす。特に、多重カーテンによる
保温時は、カーテンへの結露状態等を観察しながら、換気や通風加温等を取り入
れ、湿度低下を図る。
そ の 他 、 施 設 の 保 温 性 と 暖 房 効 率 の 向 上 等 に つ い て は 、「 Ⅲ
共通的な技術対
策」の項を参考とする。
(3)いちご促成栽培
ア
作型の特徴
本県におけるいちごの促成栽培は、全国的に行われている暖房、電照処理を組
み合わせて冬期間継続して収穫する栽培方式と厳寒期となる1~2月は収穫を
休んで、秋期と春期に分けて収穫する2期どり栽培方式の2通りが行われている。
いちごは8℃以下の低温が続くと休眠するため、冬期間継続して収穫する場合は、
継続した暖房が必要である。燃油を大量に消費するため、可能な限りの省エネル
ギー対策を講じ、収益確保を図る。
イ
生育適温
果 菜 類 の 中 で は 低 温 性 で 、 生 育 適 温 は 15~ 20℃ で 、 最 低 温 度 は 3℃ で あ る 。 き
ゅうりやトマト等の他の果菜類の加温栽培の中で比較すると、経営費の中で光熱
費の占める割合が少ない。
ウ
温度管理
生 育 ス テ ー ジ 毎 の 温 度 管 理 の 目 安 を 表 23 に 示 し た 。 省 エ ネ 対 策 の た め 、 夕 方
から早朝にかけて下記温度目安の1~2℃の低下は可能であるが、それ以下の低
温管理は草勢の低下を招きやすいので、生育状況をよく観察しながら温度管理を
行う。
表 23
生育ステージ毎の温度目安
生育ステージ
日
中
夜
間
出蕾期~開花期
27~ 28℃
8~ 10℃
果実肥大期
23~ 25℃
8℃ 以 上
成熟期
20~ 23℃
8℃ 以 上
36
1 日 の 温 度 管 理 は 、 変 温 管 理 を 行 う ( 表 24)。 変 温 管 理 に よ る 燃 料 節 減 効 果 は
約 5~ 20% と い わ れ て い る 。
午 前 中 は 光 合 成 促 進 の た め 25~ 27℃ と 高 め の 温 度 を 目 標 に 管 理 す る 。午 後 は 温
度 を 徐 々 に 下 げ て 同 化 養 分 の 消 耗 を 防 ぎ 、夕 方 か ら 4 時 間 ほ ど は 12~ 15℃ を 目 標
に 管 理 し 、 各 器 官 へ の 同 化 養 分 の 転 流 を 促 す 。 夜 間 は 草 勢 維 持 の た め 8℃ と す る
が、これ以下の温度になると草勢の低下や生育遅延、花粉の稔性低下等を招くの
で注意する。朝方は光合成に備えて、日の出30分前位からハウス内の温度を上
げる。
低温管理を補うためには電照による日長延長が効果的である。開始時期の目安
は 10 月 下 旬 頃 か ら で あ る が 、 株 の 草 勢 に よ っ て 開 始 時 期 を 決 定 す る 。 開 始 時 期
が早すぎると過繁茂となって収量や品質の低下を招くので草勢が強い場合は遅
ら せ る 。 お お よ そ 1 6 時 間 日 長 と な る よ う に 明 期 延 長 を 行 い 、 草 丈 が 30cm を 超
える場合は明期を短縮する等、草勢に合わせて明期を調節する。2月下旬から3
月上旬を電照処理の終了時期とする。
表 24
1日の温度管理の目安(変温管理)
時期
朝
方
午前中
午
後
夕方
夜
間
目的
光合成に備えて
光合成作用
呼吸抑制
転流
草勢維持
温度
15℃
25~ 27℃
15~ 22℃
12~ 15℃
8℃
※ 最 低 夜 温 は 土 耕 栽 培 で 8℃ 、 高 設 栽 培 で 10℃ 以 上 の 確 保 は 不 可 欠 で あ る 。
エ
クラウン加温技術
促成栽培における新たな省エネ技術として、クラウン加温技術が主要産地で普
及している。本県では、まだ普及はしていないが、他県では高い省エネ効果が確
認されている技術である。
クラウン加温は、電熱線や温湯管等の加温資材を、いちごの生長点があるクラ
ウ ン 部 に 接 触 さ せ 、 植 物 体 を 局 所 的 に 温 め る 加 温 方 法 で あ る 。 加 温 温 度 は 約 20
~ 22℃ で あ る た め 、 サ ー モ ス タ ッ ト で 温 度 管 理 を 行 う と と も に 、 加 温 資 材 が ク ラ
ウン部に接触するように設置する。本県でのクラウン加温の開始時期は、
10 月 中 下 旬 、 終 了 時 期 は 4 月 上 旬 を 目 安 と す る 。
他 県 の 試 験 事 例 で は 、4℃ あ る い は 7℃ 加 温 の ハ ウ ス で 電 熱 線 を ク ラ ウ ン に 接 触
さ せ て 21℃ で 直 接 加 温 す る こ と で 、 ク ラ ウ ン 加 温 を し て い な い 10℃ 加 温 の ハ ウ
ス と 比 較 し て 、 同 等 以 上 の 生 育 、 収 量 が 得 ら れ て お り 、 暖 房 経 費 は 、 7℃ 加 温 ハ
ウ ス で 約 3 割 、 4℃ 加 温 ハ ウ ス b で 約 6 割 削 減 で き た ( 福 岡 県 農 業 試 験 場
19 年 )。
37
平成
図 19
異なる最低温度における局部加温による「あまおう」の商品果収量と果数
図 20
異 な る 最 低 温 度 に お け る 局 部 加 温 に よ る 試 算 暖 房 経 費 ( 平 成 19 年 )
写 真 17
温湯によるクラウン加温の状況
(クラウン部に配置したチューブに温湯を通水)
38
3
花き
(1)標準管理温度
切 り 花 と 鉢 も の 類 の 標 準 管 理 温 度 は 表 25・ 26 の と お り で あ る 。
同 一 品 目 で あ っ て も 、タ イ プ 別 、品 種 別 、生 育 ス テ ー ジ 別 に 生 育 適 温 が 異 な る た
め 、栽 培 開 始 前 に 確 認 す る 。品 目 ご と の 標 準 管 理 温 度 を 示 し た が 、温 度 セ ン サ ー 位
置に注意し、ハウス内の温度ムラがないように点検をしながら、温度を設定する。
表 25
表 26
切り花の冬期の標準管理温度
鉢もの類の標準管理温度
39
(2)ばら
ア
温度管理
ば ら は 夜 温 が 1℃ 低 下 す る と 、
出荷までの日数が約 3 日程度
遅 く な る と 報 告 さ れ て い る 。ま
た、温度が下がることにより、
花色が赤系品種では黒く変色
( ブ ラ ッ ク ニ ン グ )す る 場 合 や 、
黄系品種では赤味を帯びたり
す る 場 合 が あ る 。こ の た め 、品
質を保って出荷するためには、
必要な最低温度を維持しなけ
れ ば な ら な い 。そ の 最 低 温 度 は
図 21
品 種 に よ っ て 16~ 18℃ の 幅 が
ばらの最低温度と到花日数
( 佐 藤 . 2005)
あ る 。低 温 性 品 種 群 を 同 一 ハ ウ
ス に ま と め て 栽 培 す る こ と が 理 想 的 で あ る が 、現 実 的 に は 困 難 で あ り 、18℃ 程 度
を維持することが多い。
変 温 管 理 に つ い て 、茨 城 県 で 0~ 6 時 の 加 温 温 度 を 15℃ ま た は 12℃ と し 、そ れ
以 外 の 時 間 帯 は 18℃ 設 定 と す る 夜 間 変 温 管 理 が 検 討 さ れ た 。 慣 行 18℃ 管 理 と こ
の 変 温 管 理 を 比 較 し た と こ ろ 、「 ロ ー テ ロ ー ゼ 」 と 「 サ フ ィ ー ア 」 の 収 量 お よ び
切 り 花 品 質 は 同 等 で あ り 、燃 料 使 用 量 を 14~ 25% 削 減 で き た 。し か し 、こ の 生 育
反応は品種により異なる可能性があること、低夜温による結露が原因で灰色かび
病が発生しやすくなること、花色の異常などに留意する必要があるとしている。
また、冬季休眠作型では、1月下旬から2月上旬にかけて加温を開始するのが一
般的であるが、そのときの温度が低いと品種によってはブルヘッドなどの奇形花
が 発 生 す る た め 、段 階 的 に 温 度 を 上 げ て 最 終 的 に は 16~ 18℃ を 保 つ こ と が 望 ま し
い。
このように、ばらでは恒常的にハウス内温度を下げて栽培するのは生産面でデ
メリットが多いと考えられ、省エネルギー対策としては施設の保温性及び暖房効
率の向上を図ることが基本となる。
こ の よ う な 状 況 下 で 、山 形 園 試 で は 、平 成 21~ 23 年 度 に 空 気 熱 源 ヒ ー ト ポ ン プ の
導 入 が 切 り 花 収 量 や 品 質 に 与 え る 影 響 を 評 価 し た 。 そ の 結 果 、 1,650m 2 ( 500 坪 ) 当
た り 暖 房 定 格 能 力 112kw、 冷 房 定 格 能 力 88kw( 40 馬 力 /500 坪 ) の 能 力 が あ れ ば 、
夏季の夜間冷房、冬季のハイブリッド暖房において、必要な温度制御が可能と想定
40
され、増収効果が期待された。また、冷暖房経費を試算したところ、慣行と比べて
削減され、周年利用において導入メリットが確認された。
なお、ヒートポンプの導入にあたっては、燃油価格の変動によって導入経費を回
収できる年数が変わってくること、大規模栽培では電気料金体系が異なること等か
ら、綿密な経営計画に基づいて導入を図る必要がある。
イ
局所加温
最も簡単な局所加温方法として、アーチング栽培では温風ダクトを栽培ベンチ
の下に通して培地温を低下させない方法がある。これは、結果的に同化専用枝も
暖められるため、可能なかぎり実践すべき対策である。
さらに、ばらの特定部位を加温しながら積極的にハウス内温度を下げることで、
省エネルギー化を図る技術が報告されている。
Moss(1984)は 、 NFT で の ば ら 栽 培 に お い て 、 培 養 液 を 25℃ と し た 場 合 、 最 低
夜 温 が 12℃ で も 18℃ に 匹 敵 す る 収 量 が 得 ら れ た こ と を 報 告 し て い る 。
最近では、ロックウール栽培で株元加温や培地加温の効果が報告されている。
神 奈 川 県 で 開 発 さ れ た 株 元 加 温 は 、株 元 に 温 湯 パ イ プ を 配 置 し て 30℃ 程 度 の 温 水
を循環させる方法で、採花本数の増加、到花日数の短縮、切り花が長くなるなど
切り花品質の向上が報告されている。また、この方法の切り花 1 本当たりの投入
熱 量 は 、 慣 行 の 室 温 18℃ ( 株 元 加 温 な し ) と 比 べ て 、 室 温 15℃ で は 36% 、 室 温
12℃ で は 53% も 削 減 可 能 と さ れ て い る 。
愛知県で開発された培地加温は、栽培槽の下部に発熱体(熱源は電力)を設置
し 、 ロ ッ ク ウ ー ル 培 地 を 加 温 す る 方 法 で 、 後 夜 半 ( 0~ 6 時 ) の ハ ウ ス 内 温 度 を
18℃ か ら 12℃ に 下 げ て も 、 21℃ 程 度 の 培 地 加 温 を 行 う こ と に よ り 、 収 穫 本 数 、
品質に大きな差は生じなかったと報告されている。この変温管理と培地加温の併
用 に よ る 重 油 削 減 効 果 は 19% 程 度 と 推 定 さ れ た 。
局所加温がコスト面で有利かどうかは、燃油価格と加温資材の種類により異な
るため、事前にコストや収益性の試算を行った上で導入の可否を判断する必要が
ある。また、ハウス内温度の低下と局所加温の併用による温度管理は、品種によ
り生育反応が異なる可能性があること、低夜温による灰色かび病の発生や花色へ
の影響に留意しなければならない。
なお、本県の気象条件における株元加温と培地加温の効果について、現在、園
芸試験場で検討中である。
ウ
炭 酸 ガ ス ( CO 2 ) 施 用
日本海側気候に当たる本県は、冬季間が寡日照であることやハウスの密閉時間
が 長 い こ と か ら 、 CO 2 施 用 に よ る 光 合 成 能 向 上 効 果 が 高 い と さ れ て い る 。 特 に 、
41
等を観察しながら温度管理を行う。
また、光に対し敏感な品目なので、多重被覆栽培等では、生育ステージを考慮
した採光管理が必要である。
ウ
温度管理
温度ムラが生じないように、施設の構造、ダクトの配置や暖房機の設置場所等
に配慮する。
活着後の設定温度は、早朝加温や転流促進のための夕刻以降の温度維持を行わ
な い 日 中 2 段 変 温 管 理 ( 9 時 ~ 15 時 : 13℃ 、 15 時 ~ 9 時 : 8℃ ) に す る と 、 慣 行
の 4 段 変 温 管 理 に 比 べ て 燃 油 消 費 量 が 15%削 減 で き 、同 等 の 商 品 果 収 量 を 得 る こ
と が で き る 。 ま た 、 こ の 管 理 は 、 10℃ 一 定 管 理 と 比 較 す る と 、 燃 油 消 費 量 は や や
減 少 す る が 収 量 に 差 が 無 く 、 8℃ 一 定 管 理 と 比 較 す る と 、 燃 油 消 費 量 が 約 20%増
加 す る が 、収 量 も 約 25%増 加 す る( 新 潟 県 農 林 水 産 業 研 究 成 果 集( 平 成 25 年 度 )
よ り )。
表 22
図 18
半 促 成 ト マ ト 栽 培 に お け る 暖 房 設 定 の 違 い に よ る 収 量 ・燃 油 使 用 量
半 促 成 ト マ ト 栽 培 に お け る 暖 房 設 定 温 度 と 燃 油 消 費 量 ・商 品 果 収 量 の 関 係
35
愛 知 県 で も 、ベ ッ ド 中 央 に チ ュ ー ブ を 配 置 し た CO 2 局 所 施 用 が 検 討 さ れ て い る 。
CO 2 濃 度 は 、 換 気 温 度 以 下 で は 600 ~ 800ppm 、 そ れ 以 上 で は 供 給 停 止 ま た は
400ppm と す る 。 無 施 用 と 比 較 し て 、 切 り 花 収 量 は 約 6 割 増 加 し 、 切 り 花 長 も 長
くなったことが報告されている。
施 設 内 の CO 2 供 給 に は 、 換 気 に よ る 自 然 供 給 、 灯 油 や ガ ス の 燃 焼 に よ る 供 給 、
液化炭酸ガスによる供給などがある。なお、燃焼方式では、ばらにとって有害ガ
スが発生する可能性があるため、事前の保守点検を行う必要がある。
な お 、現 在 、園 芸 試 験 場 で CO 2 施 用 の 濃 度 お よ び 施 用 時 間 帯 が ば ら 切 り 花 の 生
産性に及ぼす影響について検討中である。
エ
その他の管理
夏秋作型に適合した品種や低温開花性のある品種等について、積極的に情報収
集を図り、計画的な品種導入を行う。
最近の成果では、愛媛県で開発された低温性台木を活用したバラ生産技術があ
る。これは、低温でも生育が旺盛な「ノイバラ」を選抜し、これを台木とした接
ぎ木苗を定植するものである。ロックウール栽培で「ローテローゼ」と「リトル
マ ー ベ ル 」 の 接 ぎ 木 苗 を 供 試 し た 結 果 、 ハ ウ ス 内 温 度 18℃ と 比 較 し て 15℃ で も
切り花本数および品質とも同等以上となり、暖房コストが半分に抑制できたとさ
れている。今後の低温性台木を活用した苗の流通が待たれるところである。
(3)スプレーぎく
ア
温度管理
スプレーぎくは、生育ステージにあわせた温度管理が行われており、栄養成長
期 は 14~ 16℃ 、 花 芽 分 化 期 は 18℃ 、 そ の 後 の 花 芽 発 達 期 は 15℃ で 管 理 す る 。
和 歌 山 県 で 開 発 さ れ た 変 温 管 理( E O D 加 温 処 理 )は 、日 没 後 の 変 夜 温 管 理( 栄
養 成 長 期 の 日 没 後 3 時 間 17℃ 、 そ の 後 朝 ま で 11℃ 、 花 芽 分 化 期 の 日 没 後 7 時 間
20℃ 、そ の 後 朝 ま で 13℃ 、花 芽 発 達 期 の 日 没 後 3 時 間 17℃ 、そ の 後 朝 ま で 11℃ )
に よ り 、切 り 花 品 質 を 維 持 し つ つ 暖 房 コ ス ト が 約 20% 削 減 可 能 と 報 告 さ れ て い る 。
ただし、この結果は、和歌山県で示されたもので、到花日数の増加や花序数の減
少などの影響が報告されており、日中に温度が上がりにくい本県秋冬期での適用
性については留意する必要があり、また、品種適応性も確認する必要がある。
(4)トルコぎきょう
ア
温度管理
促 成 栽 培 で は 、花 芽 分 化 を 進 め る た め の 暖 房 温 度 と し て 15℃ 以 上 が 必 要 で あ る 。
43
定 植 は 11 月 上 旬 ま で に 行 う こ と で 、 越 冬 を 迎 え る ま で 十 分 な 根 張 り を 確 保 で
き 、暖 房 開 始 ま で 低 温 管 理( 加 温 開 始 前 無 加 温 も し く は 0℃ 程 度 )が 可 能 と な る 。
花 芽 分 化 す る た め の 生 育 量 は 、早 生 品 種 が 7 節 程 度( 内 部 の 節 を 加 え る と 10 節 )、
中 生 品 種 が 12 節 程 度( 同 15 節 )必 要 で あ る 。従 っ て 、春 期 の 本 格 的 な 加 温 に 先
立 っ て 10℃ 程 度 で 生 育 を 促 進 さ せ 、早 生 品 種 で は 7 節 、中 生 品 種 で は 12 節 に 達
し た と き か ら 本 格 的 な 加 温 ( 15℃ 以 上 ) を 行 う 。 暖 房 は 早 い 時 期 に 打 ち 切 る と 収
穫日が遅れるので、トルコぎきょうの省エネルギー法は暖房開始時期で調節する
ことを基本とする。鳥取県で開発された変温管理(EOD加温処理)は、日没後
3 時 間 を 20℃ に 昇 温 し 、 そ の 後 最 低 13℃ 加 温 に よ り 、 終 夜 18℃ 加 温 に 比 べ 、 切
り 花 品 質 の 向 上 や 栽 培 期 間 の 短 縮 、エ ネ ル ギ ー 投 入 量 の 35% 削 減 が 報 告 さ れ て い
る。ただし、この結果は、鳥取県で示されたもので、本県での適用性については
未知であり、また、品種適応性も確認する必要がある。
表29 暖房打ち切り日と収穫日
表28 加温開始時期と平均収穫日
(庄内総支農技普及課産地研:1996) (庄内総支農技普及課産地研:1996)
暖房
平均 促成
平均
品種名
(無加温差)
打ち切り日 収穫日
SD
開始日
収穫日
3月25日
7月12日
±
7
(月.日)
(日)
4月 1日 7月 3日 ± 10
あずまの漣
1月1日
6. 1
(-33)
4月 8日 6月25日 ± 6
2月1日
6. 4
(-30)
4月15日
6月24日 ± 12
3月1日 6.22
(-22)
4月22日
6月17日 ± 10
無加温
7.14
4月28日
6月13日 ± 7
収穫まで
6月
3日 ± 14
ミッキーバイカラー
1月1日 5.26
(-58)
あずまの薫、プランター(63×20×H15)栽培
ピンク
2月1日
6. 1
(-52)
3月1日 6.20
(-33)
無加温
7.23
定植:10月26日~11月1日
暖房温度:15℃ 暖房前は無加温
電照:16時間日長 5月1日打ち切り
イ
その他管理
本格的な加温を開始する前に晴天時に軽く萎れる程度になるようかん水を控
えて花芽分化を促す。なお、極端に控えるとボリュウムが不足してしまうので注
意する。
(5)アルストロメリア
ア
温度管理
冬 期 に 収 量 を 得 る た め に 暖 房 温 度 は 10~ 12℃ で 行 な っ て い る が 、マ イ ナ ス 温 度
にならない限り低温管理しても温度障害を受けないので、5℃程度の暖房温度で
も栽培は可能である。しかし、このような低温管理しているほ場では灰色かび病
の発生が懸念される。低温管理する場合は循環扇や保温資材に吸湿性フィルムを
44
用いることで病害の発生を防ぐ必
要がある。なお、長野県では、品
種「レベッカ」を用いて、9 月か
ら翌年 5 月までの採花した試験に
おいて、ハウス内平均気温と到花
日数との関係が報告されている。
ハウス内平均気温が下がると到花
日数が非常に長くなることから、
需要期にあわせた温度管理に留意
図 23
する必要がある。
ハウス内平均気温と到花日数
(長 野 南 信 農 試 ・ 中 部 電 力 ,2008)
イ
地中加温
北 海 道 で は 、5 ℃ 暖 房 条 件 に お い て「 ア モ ー ル 」は 10℃ の 地 中 加 温 で 増 収 効 果
が見られたと報告されている。
長 野 県 で は 、 8~ 10℃ 暖 房 条 件 に お い て 、 14~ 16℃ の 地 中 加 温 で 「 レ ベ ッ カ 」
と「オレンジクイーン」に増収効果が見られると報告されている。
一 方 、本 県 庄 内 産 地 研 究 室 に お い て は 、12℃ 暖 房 条 件 で「 ア モ ー ル 」は 15℃ の
地中加温で増収効果が見られたものの「バージニア」では効果が見られず、地中
加温の効果には品種間差があることに留意する必要がある。
45
Ⅴ
県内の省エネルギーの取組事例
1
写真や絵で見る施設園芸省エネルギーの取組み
省 エ ネ ル ギ ー 事 例 NO.1
村山総合支庁農業技術普及課
46
省 エ ネ ル ギ ー 事 例 NO.2
村山総合支庁西村山農業技術普及課
47
省 エ ネ ル ギ ー 事 例 NO.3
村山総合支庁西村山農業技術普及課
省 エ ネ ル ギ ー 事 例 NO.4
村山総合支庁北村山農業技術普及課
省 エ ネ ル ギ ー 事 例 NO4
最上総合支庁農業技術普及課
48
され、増収効果が期待された。また、冷暖房経費を試算したところ、慣行と比べて
削減され、周年利用において導入メリットが確認された。
なお、ヒートポンプの導入にあたっては、燃油価格の変動によって導入経費を回
収できる年数が変わってくること、大規模栽培では電気料金体系が異なること等か
ら、綿密な経営計画に基づいて導入を図る必要がある。
イ
局所加温
最も簡単な局所加温方法として、アーチング栽培では温風ダクトを栽培ベンチ
の下に通して培地温を低下させない方法がある。これは、結果的に同化専用枝も
暖められるため、可能なかぎり実践すべき対策である。
さらに、ばらの特定部位を加温しながら積極的にハウス内温度を下げることで、
省エネルギー化を図る技術が報告されている。
Moss(1984)は 、 NFT で の ば ら 栽 培 に お い て 、 培 養 液 を 25℃ と し た 場 合 、 最 低
夜 温 が 12℃ で も 18℃ に 匹 敵 す る 収 量 が 得 ら れ た こ と を 報 告 し て い る 。
最近では、ロックウール栽培で株元加温や培地加温の効果が報告されている。
神 奈 川 県 で 開 発 さ れ た 株 元 加 温 は 、株 元 に 温 湯 パ イ プ を 配 置 し て 30℃ 程 度 の 温 水
を循環させる方法で、採花本数の増加、到花日数の短縮、切り花が長くなるなど
切り花品質の向上が報告されている。また、この方法の切り花 1 本当たりの投入
熱 量 は 、 慣 行 の 室 温 18℃ ( 株 元 加 温 な し ) と 比 べ て 、 室 温 15℃ で は 36% 、 室 温
12℃ で は 53% も 削 減 可 能 と さ れ て い る 。
愛知県で開発された培地加温は、栽培槽の下部に発熱体(熱源は電力)を設置
し 、 ロ ッ ク ウ ー ル 培 地 を 加 温 す る 方 法 で 、 後 夜 半 ( 0~ 6 時 ) の ハ ウ ス 内 温 度 を
18℃ か ら 12℃ に 下 げ て も 、 21℃ 程 度 の 培 地 加 温 を 行 う こ と に よ り 、 収 穫 本 数 、
品質に大きな差は生じなかったと報告されている。この変温管理と培地加温の併
用 に よ る 重 油 削 減 効 果 は 19% 程 度 と 推 定 さ れ た 。
局所加温がコスト面で有利かどうかは、燃油価格と加温資材の種類により異な
るため、事前にコストや収益性の試算を行った上で導入の可否を判断する必要が
ある。また、ハウス内温度の低下と局所加温の併用による温度管理は、品種によ
り生育反応が異なる可能性があること、低夜温による灰色かび病の発生や花色へ
の影響に留意しなければならない。
なお、本県の気象条件における株元加温と培地加温の効果について、現在、園
芸試験場で検討中である。
ウ
炭 酸 ガ ス ( CO 2 ) 施 用
日本海側気候に当たる本県は、冬季間が寡日照であることやハウスの密閉時間
が 長 い こ と か ら 、 CO 2 施 用 に よ る 光 合 成 能 向 上 効 果 が 高 い と さ れ て い る 。 特 に 、
41
ロ ッ ク ウ ー ル 栽 培 で は CO 2 が 発 生 す る 地 表 面 を 通 路 シ ー ト 等 で 覆 っ て い る た め 、
ハ ウ ス 内 へ の 供 給 が 少 な く 、 CO 2 施 用 は 必 須 技 術 で あ る 。 ま た 、 CO 2 施 用 に よ り
収 量 が 増 加 す る こ と で 、切 り 花 1 本 当
たりの投入エネルギーを削減するこ
とにつながる。
こ れ ま で 、 CO 2 施 用 は 濃 度 750 ~
1,000ppm 程 度 、 時 間 は 日 の 出 30 分 ~
1 時 間 後 に 開 始 し 、換 気 の 30 分 前 に 打
ち 切 り 、 換 気 温 度 は 30℃ 程 度 が 一 般 的
とされてきた。
最近、同化専用枝群落内への局所施
用 や 大 気 中 の 濃 度 ( 400ppm 程 度 ) に 近
い 低 濃 度 で の 施 用 ( ゼ ロ 濃 度 差 CO 2 施
図 22
用)など、新たな施用方法が報告され
局 所 施 用 で の CO 2 吐 出 位 置
①同化専用枝への局所施用
ている。
②慣行施用
奈良県で開発された同化専用枝群落
( 奈 良 県 . 2012)
内への局所施用法は、液化炭酸ガスを
用 い て 1mm 径 の 穴 を 10cm 間 隔 で 開 け た 6mm 径 PVC チ ュ ー ブ を ア ー チ ン グ 栽
培 の 同 化 専 用 枝 群 落 と 栽 培 ベ ッ ド の 間 に 1 本 ず つ 配 置 し て 施 用 す る 。CO 2 施 用 は 、
昼 間( 6~ 17 時 )の CO 2 濃 度 が 同 化 専 用 枝 群 落 と 栽 培 ベ ッ ド の 間 の 空 間 で 1000ppm
を 目 標 に 、 毎 日 0.5L・min - 1 ・m - 2 の 流 量 で 行 う 。 こ れ に よ り 、 到 花 日 数 が 約 5~ 6
日短くなり、期間収量が無施用対比で約 5 割、慣行施用対比で約 3 割増加し、切
り花品質が向上した。
表 27
CO 2 の 局 所 施 用 が ば ら 切 り 花 本 数 と 品 質 に 及 ぼ す 影 響
( 奈 良 県 . 2012
一部改変)
処理区
切り花本数
到花日数
切り花長
切り花重
( 本 ・ m-2)
(日)
( cm)
( g)
局所施用
88.6
55.5
92.7
68.7
慣行位置施用
68.7
61.6
86.0
62.6
無施用
59.2
60.1
81.9
58.0
注 ) 供 試 品 種 「 ロ ー テ ロ ー ゼ 」 1 区 16 株
CO 2 施 用 期 間 : 2011 年 10 月 11 日 ~ 2012 年 4 月 30 日
調 査 期 間 : 2011 年 11 月 1 日 ~ 2012 年 5 月 31 日
42
省 エ ネ ル ギ ー 事 例 NO.7
置賜総合支庁西置賜農業技術普及課
51
省 エ ネ ル ギ ー 事 例 NO.8
庄内総合支庁農業技術普及課
52
省 エ ネ ル ギ ー 事 例 NO.9
庄内総合支庁酒田農業技術普及課
53
省 エ ネ ル ギ ー 事 例 NO.10
庄内総合支庁酒田農業技術普及課
54
【参考文献】
Ⅲ -2-(2)ヒ ー ト ポ ン プ の 利 用
1) 平 成 23 年 度 研 究 成 果 情 報 < 普 及 奨 励 技 術 > 積 雪 寒 冷 地 の ば ら 切 り 花 栽 培 に お け
る空気熱源ヒートポンプの経済性試算.
2) 平 成 23 年 度 研 究 成 果 情 報 < 普 及 指 導 資 料 > 積 雪 寒 冷 地 の ば ら 切 り 花 栽 培 に お け
る 空 気 熱 源 ヒ ー ト ポ ン プ 利 用 に よ る ハ イ ブ リ ッ ド 暖 房 の CO2 排 出 量 削 減 効 果 と
ランニングコスト.
3) 平 成 24 年 度 研 究 成 果 情 報 < 普 及 指 導 資 料 > ト ル コ ぎ き ょ う に お け る ヒ ー ト ポ ン
プを用いた暖房及び夜間冷房の効果.
4) 平 成 24 年 度 研 究 成 果 情 報 < 普 及 指 導 資 料 > ヒ ー ト ポ ン プ の 夜 間 冷 房 が ば ら の 切
り花収量および品質に及ぼす影響.
5) 平 成 24 年 度 研 究 成 果 情 報 < 普 及 指 導 資 料 > 積 雪 寒 冷 地 に 適 し た 施 設 園 芸 用 の 地
下水熱源ヒートポンプシステム.
Ⅲ -4-(1)変 温 管 理
日々の日射量を基準にした施設栽培トマトに対する夜温および炭酸ガス
1)
施 用 制 御 -2-
Ⅳ -2
久富時男
品目別技術対策
他
1976)
野菜
1)
新潟県農林水産業研究成果集
2)
独立行政法人
3)
福岡県農業総合試験場
Ⅳ -3
九州沖縄農業研究センター
品目別技術対策
1) 農 業 技 術 体 系
平 成 25 年 度
試験成果情報
試験成果情報
平 成 19 年 度
平 成 19 年 度
花き
花卉編1「生長・開花とその調節」
2) 平 成 23 年 度 研 究 成 果 情 報 < 普 及 奨 励 技 術 > 積 雪 寒 冷 地 の ば ら 切 り 花 栽 培 に お け
る空気熱源ヒートポンプの経済性試算.
3) 省 エ ネ ル ギ ー 高 生 産 を 目 指 し た バ ラ 株 元 加 温 技 術 導 入 マ ニ ュ ア ル
神 奈 川 県 農 業 技 術 セ ン タ ー 、( 独 ) 農 研 機 構
日本大学、ネポン株式会社
近畿中国四国農業研究センター
平 成 24 年 2 月
4) 園 芸 作 物 の 省 エ ネ ル ギ ー 栽 培 技 術
愛知県 「農林水産省新たな農林水産政策を
推 進 す る 実 用 技 術 開 発 事 業 」( 2006~ 2008) の 成 果
2009
5) 平 成 23 年 度 研 究 成 果 情 報 < 普 及 奨 励 技 術 > 積 雪 寒 冷 地 の ば ら 切 り 花 栽 培 に お け
る空気熱源ヒートポンプの経済性試算.
6) 平 成 23 年 度 研 究 成 果 情 報 < 普 及 指 導 資 料 > 積 雪 寒 冷 地 の ば ら 切 り 花 栽 培 に お け
る 空 気 熱 源 ヒ ー ト ポ ン プ 利 用 に よ る ハ イ ブ リ ッ ド 暖 房 の CO2 排 出 量 削 減 効 果 と
55
ランニングコスト.
7) 茨 城 県 農 業 総 合 セ ン タ ー 園 芸 研 究 所 平 成 23 年 度 研 究 成 果 「 夜 間 変 温 管 理 で バ ラ
の省エネルギー生産ができる」
8) 愛 知 県 農 業 総 合 試 験 場 「 農 業 の 新 技 術 No. 94 2009
園芸作物の省エネルギー栽
培技術」
9) 2012 年 度 ( 平 成 24 年 度 ) 近 畿 中 国 四 国 農 業 研 究 成 果 情 報 「 バ ラ の 同 化 専 用 枝 群
落 内 へ の CO2 局 所 施 用 」 ( 奈 良 県 農 業 総 合 セ ン タ ー 他 )
10) 津 田 千 織 ら .2013.「 バ ラ に お け る 灌 水 チ ュ ー ブ を 用 い た C O 2 ガ ス の 局 所 施 用
方 法 の 検 討 」 .園 学 研 12 別 1:207.
11) 愛 媛 県 農 林 水 産 研 究 所 だ よ り 第 4 号 .2011.8.「 ③ 低 温 性 台 木 を 活 用 し た バ ラ 生
産技術の開発」
12) 島 浩 二 .2011「 ス プ レ ー ギ ク 生 産 に お け る EOD 反 応 の 活 用 」.施 設 と 園 芸 155 号
13) 農 林 水 産 省 農 業 新 技 術 2013「 日 没 後 ( EOD) の 加 温 や 光 照 射 に よ る 花 き の 省 エ
ネルギー生産技術
14) 山 形 県 砂 丘 地 農 業 試 験 場 ( 現 庄 内 総 合 支 庁 産 地 研 究 室 ) 試 験 成 績
15) 農 業 技 術 体 系
1996
花 卉 編 10「 シ ク ラ メ ン 球 根 類 」
【参考資料】
1) 施 設 園 芸 ハ ン ド ブ ッ ク
第五訂
2) 省 エ ネ 型 の 施 設 園 芸 を 目 指 し て
( 施 設 園 芸 省 エ ネ ル ギ ー 生 産 管 理 マ ニ ュ ア ル 化 【 改 定 版 】) 農 林 水 産 省 生 産 局
3) 施 設 園 芸 省 エ ネ ル ギ ー 対 策 の 技 術 研 修 及 び 検 討 会 資 料 ( 千 葉 県 農 林 水 産 部
良課
農業改
平 成 18 年 )
4) ハ ウ ス カ オ ン キ ~ 省 エ ネ 編 ~
5) 二 重 三 重 ハ ウ ス
(ネポン株式会社)
佐藤産業株式会社
6) 木 質 バ イ オ マ ス ボ イ ラ ー 導 入 マ ニ ュ ア ル ( 平 成 25 年 10 月
56
山形県最上総合支庁)
省 エ ネ ル ギ ー 事 例 NO.3
村山総合支庁西村山農業技術普及課
省 エ ネ ル ギ ー 事 例 NO.4
村山総合支庁北村山農業技術普及課
省 エ ネ ル ギ ー 事 例 NO4
最上総合支庁農業技術普及課
48
原 油 価 格 高 騰 対 策 として利 用 できる制 度 資 金 の概 要
(1)原油価格高騰による資金繰り悪化を改善するための制度資金
【農林漁業セーフティネット資金】
自然災害や社会的・経済的環境変化等により、農林漁業経営の維持安定が困難な
農 林 漁 業 者 ※ 1に 対 し 、 一 時 的 影 響 に 緊 急 的 に 対 応 す る た め に 必 要 な 長 期 資 金 を 日 本
政策金融公庫が融資する資金。
〈融資の対象となる方〉
次 の い ず れ か の 経 営 状 況 に あ る「 認 定 農 業 者 ※ 2 」、
「 認 定 新 規 就 農 者 ※ 3 」、農 業 所
得 が 総 所 得 の 過 半 を 占 め る 、 ま た は 農 業 粗 収 益 が 200万 円 以 上 の 個 人 、 農 業 売 上
高 が 総 売 上 高 の 過 半 を 占 め る 、 ま た は 農 業 売 上 高 が 1,000万 円 以 上 の 法 人
① 最 近 の 決 算 期 に お け る 粗 収 益 が 前 期 に 比 し て 10% 以 上 減 少 し て い る
② 最 近 3か 月 の 粗 収 益 が 前 年 同 期 を 下 回 り 、か つ 、今 後 も 粗 収 益 の 減 少 が 見 込 ま
れる
③最近の決算期における所得率(農業所得を粗収益で除したもの)が前期に比
し悪化している
④売掛金等債権の回収条件、買掛金等債務の支払条件その他の取引条件の悪化
が生じている
⑤金融機関との取引状況の変化により資金調達に支障を来している。
〈融資限度額〉
一 般 : 600万 円 、 特 認 : 年 間 経 営 費 等 の 3/12以 内 ( 簿 記 記 帳 を 行
っており特に必要と認められる場合)
〈償還期間〉
10年 以 内 ( う ち 据 置 期 間 3年 以 内 )
〈貸付利率〉
借 入 期 間 に 応 じ て 、 0.35~ 0.45% (平 成 26年 11月 20日 現 在 )
【 農 業 経 営 改 善 促 進 資 金 ( ス ー パ ー S 資 金 )】
認 定 農 業 者 ※ 2に 対 し て 、 農 業 経 営 改 善 計 画 に 即 し て 規 模 拡 大 そ の 他 の 経 営 改 善 を
図るのに必要な低利運転資金を、農協系統等の民間金融機関を活用し、借りやすく
返しやすい方式で融通するもの
〈融資方式〉
極 度 借 入 方 式( 当 座 貸 越 又 は 手 形 貸 付 に よ り 極 度 額 の 範 囲 内 で 随 時
借 入 、随 時 返 済 )又 は 証 書 貸 付( 極 度 額 等 は 原 則 と し て 毎 年 見 直 し )
〈利用期間〉
原則として農業経営改善計画等の計画期間内
〈極度額等の上限〉
認 定 農 業 者 : 個 人 500万 円 *、 法 人 2千 万 円 *
*施 設 園 芸 を 営 む 経 営 は 、 そ れ ぞ れ 4倍 の 額
※1
以降は、施設園芸を営む農業者を想定して記述している。
※2
認 定 農 業 者:農 業 経 営 基 盤 強 化 促 進 法 に 規 定 す る 農 業 経 営 改 善 計 画 を 作 成 し て 市 町 村 長 の 認 定
を受けた方。
※3
認 定 新 規 就 農 者:農 業 経 営 基 盤 強 化 促 進 法 に 規 定 す る 青 年 等 就 農 計 画 を 作 成 し て 市 町 村 長 の 認
定を受けた方。
58
円万千5億1 人法
円万000,5 人個
ーマーァフコエ
等者業農たけ受を
定認の法化業産次六
手い担
の外以者業農定認
計合の額金払支
の 中間期 画計
円万000,4 人法
円万000,1 人個
%08 率資融
円億5 人法
円万千5億1 人個
)1※(
者農就規新定認
者業農定認
)円億02認特( 円億01 人法
)円億6認特( 円億3 人個
算通と高残付貸
の金資等設施農就
円万007,3
○
○
○
○
○
等人法いなま営を業農
○
善
改
の
境
環
活
生
手い担の他のそ
)1※( 者農就規新定認・
者農就定認
者業農定認
者象対
金
資
修
研
他のそ
○ ○
○
○
○
○ ○ ○
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
設
施
業
農
光
観
設
施
工
加
・
通
流
具機農・設施
入
購
具
機
農
備
整
盤
基
・
良
改
地
土
○
○
○
○
○ ○
い
払
括
一
の
料
借 得
賃 取
地農
○
○ ○
成
育
・
栽
植
の
樹
果
○ ○
成
育
・
栽
植
の
木
花
○ ○ ○
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
○
○
成
育
・
入
購
の
畜
家
農就規新 成育・入購
○
○
○
設
施
水
排
給
殖
養
面
水
内
・
作
転
田
水
○
○
金
資
転
運
設
施
産
生
等
舎
畜
・
舎
農
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
金
資
修
研
○ ○
金
備
準
農
就
資投き向前 1
) 金資るす 援支 を 農就規 新 (
)象対が外以金資度制は合場の理整債負(
)金資Lーパース(金資化強盤基営経業農
8
7
6
5
4
3
2
1
9
金資農就等年青
)金資るす援支を農就規新(
金資転運期長
金資設施殖養面水内
金資宅住家農定特
金資設施水排給村農
金資備整境環村農
)内以円万008,1費業事(金資良改地土小
金資成育畜家
金資入購畜家
金資成育栽植等樹果
金資等具機農
金資物築構物建
分区 類種金資 金
資
化
代
近
業
農
金
資
庫
公
金資化強 融
成育体営経 金
策
政
本
日
㈱
入導の式方売 販なた新の品工加・物産畜農 4
入導の式方産 生なた新の品工加・物産畜農 3 金資良改業農
始開の営経の業事工加なた新 2
始開の営経の門部業農なた新 1
え換借の債負
るなと象対の金資化滑円還償 3
え換借の債負
るなと象対の金資備整建再 2
金資トッネィテフーセ
)金資のめたの定安の営経業漁林農(
)金資Sーパース(金資進促善改営経業農
)金資転運期短のめたの善改営経業農(
)金資換借の務債往既のめたの善改営経業農( の
金資等設施農就)3※(金資援支農就
他
金資援支減軽担負営経業農 そ
)る限に費経置設設施、入購
械機な要必に始開営経業農(
)。すまりおてっ行で課興振業農庁支合総、は定認のてしと 」者農就定認 「の間のでまるれさ定策が想構本基進促化強盤基営経業農の村町市 (。すまいてっ行で村町市は定認の者業農定認び及者農就規新定認○
。いさだくせわ合い問おへ等関機資融扱取は細詳、でのすまりな異が件条りよに類種金資、途使金資。すでのもたし載掲を例事な的則原は表のこ○
。け付貸るす対に)者農就定認(者たけ受を定認の画計農就らか県、い行を請申に間のでまるれさ定規が想構本基進促化強盤基営経業農の村町市、は降以月4年62成平 3※
。む含を者たけ受を明証の村町市のと実確がとこるれらけ付置位てしと体営経るなと心中の域地に」ンラプ地農・人「 2※
。人法・人個たけ受を定認の画計農就等年青らか村町市、に後定策想構本基進促化強盤基営経業農の村町市 1※
子利無
%08.0
子利無間年5初当付貸
らか構機理管間中地農
者たけ受り借を等地用農
)2※(体営経心中
%08.0~53.0
の域地のンラプ地農・人
子利無
%001 率資融
でま円万006,3 人法
でま円万008,1 人個
>者業農定認<
%08 率資融
円億2 人法
)円億2認特( 円万008,1 人個
等額度限付貸
金
資
害
災
)りあ定設の率資融(
)内以年5置据(
円万007,2 年高中
内以年21
子利無
者農就定認
円万007,3 年青
)く除を金資度制
後げ下引
者業
の下以%0.5(
)内以年3置据(
農るいてっなと難困 ○
内以)年51認特(年01 関子機利資無融
高残の債負農営
が還償の金入借
円万000,2 人法
円万005 人個
%02.1
者業農定認
>者 業農般 一<
)能可額増てじ応に模規営
○
%54.0~53.0 経はのもす円た万満0を06件要定一(
者業農
内以年1
)内以年3置据(
内以年01
)内以年5置据(
内以年21
)内以年01~3置据(
内以年52
)内以年01置据(
内以年52
)内以年5置据(
内以年21
%56.0~53.0
>者業農定認<
%08.0同共
%08.0人個
)在現02.11.62H(
率利付貸
理
整
債
負
・
建
再
営
経
(2)各種制度資金の概要
証保るよに人証
保無・保担無質実
求
徴を人証保・保担
てじ応に要必
)貸直(
しな証保関機
証保るよに
人証保無・保担無
協農
]りあ証保関機[
庫金用信 徴を人証求保・保担
行銀
協農酪・協農 ]てりあじ証応保に関要機必[
)★(証保るよに
人証保無・保担無
]りあ証保関機[
行銀
協農
)等庫
金用信・行
銀・協農(
関機融金
託受庫公
び及
庫公融金
策政本日㈱
)間期置据(
間期済返
)内以年5置据(
内以年71
内以円万006,3人法
内以円万008,1人個 者農就規新定認 >者業農定認<
・者農就定認 内以円万000,3人法 )内以年7置据(
内以円万005,1人個 >者業農定認<
庫金用信 >外以者業農定認< )内以年3置据(
行銀 )★(証保るよに >外以者業農定認<
協農酪 人証保無・保担無
協農
内以年51
]りあ証保関機[
人証 保 ・保担、証保関機の 関機資融 会置協措金全基保用信権業債農 室援支手い担・営経業農課画企政農
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省エネ ルギー 技術に 関する 問い合 わせ先
山形県 農林水産部 農業技術環境課
〒 990-8570
山 形 市 松 波 2-8-1
TEL 023-630-3302
山形県 村山総合支庁産業経済部 農業技術普及課
〒 990-2492 山 形 市 鉄 砲 町 2-19-68
TEL 023-621-8276
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〒 991-8501 寒 河 江 市 大 字 西 根 石 川 西 355
TEL 0237-86-8214
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〒 995-0024 村 山 市 楯 岡 笛 田 4-5-1
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〒 996-0002 新 庄 市 金 沢 字 大 道 上 2034
TEL 0233-22-1326
山形県 置賜総合支庁産業経済部
農業技術普及課
〒 999-2174 東 置 賜 郡 高 畠 町 大 字 福 沢 字 鎌 塚 台 160
TEL 0238-57-3411
山形県 置賜総合支庁産業経済部
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西置賜農業技術普及課
山形県 庄内総合支庁産業経済部 農業技術普及課
〒 999-7601 東 田 川 郡 藤 島 町 大 字 藤 島 字 山 ノ 前 51
TEL 0235-64-2103
山形県 庄内総合支庁産業経済部
〒 998-0857 酒 田 市 若 浜 町 1-40
TEL 0234-22-6521
酒田農業技術普及課
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