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平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)
医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
酒井 順哉1)、糸満 盛憲2)、小野 哲章3)、櫛田 賢次4)、川口 良人5)、川田 志明6)、
桜井 靖久7)、佐藤 道夫8)、澤 充9)、妙中 義之10)、冨澤 康子11)、中村 達雄12)、
二村 雄次13)、林 浩一郎14)、外 須美夫15)、本郷 敏雄16)、宮川 俊平17)、目黒 勉18)
1) 名城大学大学院都市情報学研究科 保健医療情報学
2) 北里大学医学部 整形外科
3) 神奈川県立衛生短期大学 衛生技術科
4) 国立埼玉病院 薬剤科
5) 神奈川県衛生看護専門学校 付属病院
6) 慶応義塾大学医学部外科学
7) 東京女子医科大学 ME連携ラボ
8) 国立医薬品食品衛生研究所 療品部
9) 日本大学医学部 眼科学
10) 国立循環器病センター 人工臓器部
11) 東京女子医科大学 循環器外科
12) 京都大学 再生医科学研究所
13) 名古屋大学医学部 第一外科
14) 健佑会 いちはら病院
15) 北里大学医学部 麻酔科
16) 東京医科歯科大学 歯学部
17) 筑波大学臨床医学系 整形外科学
18) 国立国際医療センター 臨床工学室
研 究 要 旨
医療用具を臨床現場で安全に使用するためには、製造業者における医療用具の品質徹底と、医療機関における
医療用具の適正使用および保守点検が不可欠である。
著者らは、平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)
「医療用具の適正使用に関する研究」に
おいて、医療用具の安全性情報の周知および不具合報告の徹底を確立する観点から、一般病床が 200 床以上の医
療機関
(1895 施設)
を対象に不具合発生の実態と不具合報告の現状について調査し、
以下の現状が明確となった。
1)厚生省が施行している各種安全性情報制度の医療スタッフの周知状況は、
「回答者」で 4 割から 6 割約半数程
度に留まり、
「部局スタッフ」ではさらに低値であった。また、各種安全性情報の内容把握もほぼ同様であった。
2)不具合発生の実態として、患者に重篤な影響又は死亡に至った不具合は「医療機器」が 136 件、
「医療器材」
が 51 件、
「医療材料」が 200 件であり、同年度に厚生省に報告された件数(76 件)を大幅に上回った。
3)今回の調査において不具合およびヒヤリミスを多く報告した部局は、各診療科の医師ではなく、臨床工学技
士、診療放射線技師、臨床検査技師、看護婦等のコメディカルスタッフが勤務する部局であり、
「医薬品等安全性
情報報告制度」の報告資格者の見直しの必要を感じた。
4)不具合およびヒヤリミスの発生に対して、医療機関の病院長および担当部長には、約 6 割前後がその概要を
報告しているが、
「医薬品等安全性報告制度」を利用して厚生省に報告する件数は一部の報告を含め、全体の 1
割に満たない現状にあることが分かった。
−1−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
EU(欧州連合)の Vigilance System3)の報告件数と
1.研究目的
医療用具を臨床現場で安全に使用するためには、医
は比較にならないほど低値であることは明らかである。
療用具の品質管理が製造業者/輸入販売業者によって
我々は医療機関において医療用具の不具合報告が極
十分に確保されることに加え、医療スタッフによる医
めて少ない原因を明確にするため、医療機関における
療用具の適正使用が不可欠である。しかし、これらの
「医薬品等安全性報告制度」の周知や不具合報告体制
安全徹底に不備があると、しばしば医療機関で不具合
の実態とともに、不具合発生の実態およびリスクマネ
を引き起こすことがある。特に、新規の医療用具が従
ージメント委員会(以下、リスク委員会と略す)の組
来の構造・原理と異なる場合には、安全使用のための
織化意識に関する調査を試みた。
適正な安全性情報とともに、不具合再発防止のための
不具合情報が医療スタッフに迅速かつ的確に提供され
2.調査方法
医療用具の不具合調査は、1999 年 10 月に一般病床
る必要がある。
平成 9 年 4 月、厚生省は医薬品・医療用具の不具合
200 床以上の医療機関 1895 施設を対象に実施した。
防止を図るため、厚生省令で定める医薬品等(医療用
各医療機関に対する調査協力は病院長に依頼し、各
具を含む)の製造業者/輸入販売業者が医療用具の不
施設における8つの診療科
(心臓血管外科、
整形外科、
具合発生を確認した際、厚生大臣に不具合発生を報告
消化器外科、眼科、脳神経外科、麻酔科、循環器内科、
することを義務化(
「医療用具の不具合・感染症報告制
消化器内科)の科長・部長クラスおよび7つの部門(手
度」
)したことに加え、同年 7 月にすべての医療機関
術部、薬剤部、放射線部、検査部、ME 部門、看護部、
および薬局を対象として、厚生省に不具合等の発生を
リスク委員会)の部長・技師長クラスの医療スタッフ
自主的に報告する「医薬品等安全性情報報告制度」が
からの回答を求めた。なお、リスク委員会が未整備の
施行された。厚生省に報告されたこれらの不具合報告
施設では事務部門で回答を代行することを依頼した。
の中で、
その内容が不具合防止に必要な安全性情報は、
調査内容は、
「医療用具の不具合・感染症報告制度」
「医薬品等安全性情報」や「緊急安全性情報」として
や
「医薬品等安全性情報報告制度」
の把握状況と共に、
医療機関に文書やインターネットで提供されている。
安全性情報の管理・保存・確認方法、今後の厚生省の
これらの制度施行により、平成 9 年度に製造業者/
「医薬品等安全性情報報告制度」のあり方及び不具合
輸入販売業者および医療機関から厚生省への不具合報
(医療事故再発)防止のためのリスク管理体制のあり
告は 3,700 件に達したが、その大部分が医薬品に関す
方に関する意識である。また、不意具合およびヒヤリ
る不具合報告であり、医療用具に関する医療機関から
ミスの実態については、平成 10 年度(平成 10 年 4 月
の不具合報告は僅か 56 件に留まった。平成 10 年にお
1 日∼平成 11 年 3 月 31 日)を対象期間とし、医療用
ける医療用具に関する不具合報告件数は同じ傾向で推
具の使用に伴う重篤な影響および死亡に至った不具合、
移し、製造業者/輸入販売業者が 514 件(医薬品は
処置や判断ミスによる不具合、添付文書の記載不備に
18,466 件)であるのに比して、医療機関からの不具合
伴う医療用具の不具合およびヒヤリミスの発生状況を
は 76 件(医薬品は 4,882 件)と低迷していることが
医療機器、医療器材、医療材料に分けて調査した。
今回の集計において、択一式の設問については該当
分かった。
この値は、全国国立大学医療機関手術部会議が国立
項目件数を設問回答総件数で割った値をその比率とし
大学医療機関(43 施設)の手術部に平成 7 年から毎年
た。また、複数回答の設問については当該項目件数を
4ケ月間実施継続している医療用具の故障・事故調査
母集団回答件数で割った値をその比率とした。
件数1)や、医療用具による不具合や患者に重篤な影響
なお、調査結果は今後の医療活動の妨げにならない
を及ぼした事例および死亡事例の報告義務を課してい
ことを配慮し、個々の医療機関別の回答内容、回答者
る米国の MDR(Medical Device Reporting)2)や、
名を公表せず、全体的な集計・傾向分析に留めた。
−2−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
3.病院長から各部局への調査協力要請
264 件(56%)
、麻酔科が 288 件(61%)
、循環器内科
3−1.病院長からの協力要請状況
が 345 件(73%)
、消化器内科が 332 件(70%)
、手
病院長からアンケート調査協力に関する回答は、
術部が 308 件(65%)
、薬剤部が 392 件(83%)
、放
1,895 施設中 715 施設(38%)であった。また、未回
射線部が 374 件(79%)
、検査部が 369 件(78%)
、
答が 1,145 施設(60%)
、その他(宛先不明・受取拒
看護部が 384 件(81%)
、ME部門が 185 件(39%)
、
否等)が 33 施設(1.7%)であった(図 1-1)。
リスク委員会が 174 件(37%)
、事務部門が 189 件
次に、病院長から回答のあった施設の中で部局への
(40%)であり、今回のアンケート調査から施設平均
協力要請が可能であった施設数が478 施設
(66.9%)
、
9.97 件/施設の回答が期待できることが分かった。
協力要請が不可能であった施設数が237 施設
(33.1%)
(図 1-3)
。
であった(図 1-2)。なお、協力要請が不可能な理由の中
には、
「多忙であるから応じきれない」や「院内事情に
より回答できない」などのコメントがあった。
165
心臓血管外科
373
整形外科
合計 1895
374
101
検査部
369
106
384
91
ME部門
185
288
リスク委員会
174
300
調査協力
可能
478
66.9%
285
189
事務部門
単位:件
82
放射線部
看護部
合計 715
167
392
薬剤部
237
33.1%
141
308
手術部
調査協力
不可能
128
332
消化器内科
図1-1.病院長からの協力回答状況
185
345
循環器内科
37.7%
60.5%
208
288
麻酔科
単位:件
1,147
187
264
脳神経外科
715
132
285
眼科
回答あり
99
340
消化器外科
その他
33 1.7%
回答なし
308
0
20
40
60
80
100
(単位:件)
要請する
要請できない
図1-3.病院長の部局別協力要請状況
図1-2.病院長からの調査協力要請状況
4.アンケートの調査結果
各部局からの有効回答は医療機関 501 施設から
3,056 件となり、施設平均有効回答数は 6.10 件/施設
3−2.病院長の各部局への協力要請状況
病院長が各部局に対して協力要請した総件数は、
となった。
4,767 件であり、その内訳は、心臓血管外科が 165 件
本アンケート調査に使用した調査表「医療用具の不
(35%)
、整形外科が 340 件(72%)
、消化器外科が
具合発生の実態と不具合報告に関する調査」及びその
373 件(35%)
、眼科が 285 件(60%)
、脳神経外科が
基本集計は巻末に資料として添付した。
−3−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
4−1.有効回答の集計概要
700 床未満」が 305 件(10.0%)
、
「700 床以上 800 床
4−1−1.医療機関区分別アンケート回収状況
未満」
が135件
(4.4%)
「800床以上」
、
が316件
(10.4%)
有効回答を医療機関別に類別すると、
「市町村立病
院」
が704 件
(23.1%)
「大学病院」
、
が438 件
(14.4%)
、
「医療法人病院」が 392 件(12.8%)
、
「国立病院」が
であった(図 2-2)
。なお、この件数には同一医療機関
の複数部門からの重複回答が含まれる。
(単位:件)
336 件
(11.0%)
、
「都道府県立病院」
が 247 件
(8.1%)
、
800
「公益法人病院」が 147 件(4.8%)
、
「日赤病院」が
700
142 件(4.7%)
、
「済生会病院」が 111 件(3.6%)
、
「共
600
済組合病院」が 108 件(3.5%)
、
「社会保険病院」が
90 件(2.9%)
、
「厚生連病院」が 87 件(2.9%)
、
「健
康保険組合病院」が 39 件(1.3%)
、
「労災病院」が 37
、
「その他の
件(1.2%)
、
「個人病院」が 30 件(1.0%)
400
343
316
305
300
200
100
800床以上
800床未満
700床未満
600床未満
500床未満
400床未満
一医療機関の複数部門からの重複回答が含まれる。
135
70
300床未満
0
(4.8%)であった(図 2-1)
。なお、この件数には同
市町村立病院
490
500
200床未満
医療機関」
(自衛隊病院・企業立病院など)が 145 件
694 701
図2-2. 病床数別回答状況
704
438
大学病院
医療法人病院
392
4−1−3.所属部局別回答状況
336
国立病院
都道府県病院
247
公益法人病院
147
日赤病院
142
有効回答を所属部局別に類別すると、
「薬剤部」が
288 件(9.4%)
、
「看護部」が 275 件(9.0%)
、
「放射
済生会病院
111
線部」
が 259 件
(8.4%)
「消化器外科」
、
が 239 件
(7.8%)
、
共済組合病院
108
「検査部」が 228 件(7.5%)
、
「整形外科」が 225 件
社会保健病院
90
(7.4%)
、
「麻酔科」が 212 件(6.9%)
、
「消化器内科」
厚生連病院
87
が 194 件(6.3%)
、
「循環器内科」が 189 件(6.2%)
、
健康保険組合
39
労災病院
37
個人病院
30
その他の病院
「眼科」が 179 件(5.9%)
、
「脳神経外科」が 160 件
(5.2%)
、
「手術部」が 134 件(4.4%)
、
「心臓血管外
科」が 98 件(3.2%)
、
「事務部門」96 件(3.1%)が、
145
0
100
200
300
400
500
600
700
「リスク委員会」が 64
「ME部門」が 93 件(3.0%)
、
800
件(2.1%)
、
「その他」が 124 件(4.1%)であった(図
(単位:件)
図2-1.医療機関別回収状況
2-3)
。
「その他」として、
「内科」が 18 件、
「透析部門」
が 7 件、
「呼吸器内科」が 6 件、
「小児科」が 5 件、
「リ
4−1−2.病床数別アンケート回収状況
有効回答を病床数別に類別すると、
「200 床未満」が
ハビリテーション科」が 3 件、
「臨床工学部」が 2 件、
70 件(2.3%)
、
「200 床以上 300 床未満」が 694 件
「泌尿器科」が 2 件などの回答があった。なお、この
(22.7%)
「300 床以上 400 床未満」
、
が 701 件
(23.0%)
、 件数には同一医療機関の複数部門からの重複回答が含
「400 床以上 500 床未満」が 490 件(16.0%)
、
「500
床以上 600 床未満」が 343 件(11.2%)
、
「600 床以上
−4−
まれている。
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
4−2.回答者の安全性情報関係の周知実態
薬剤部
288
看護部
4−2−1.各種安全性情報制度の周知状況
275
放射線部
平成 9 年 4 月の薬事の法改正によって設けられた
259
消化器外科
「医療用具の不具合・感染症報告制度」の回答者自身
239
検査部
228
の周知状況は、
「知っていた」が 1,703 件(57.0%)
、
整形外科
225
「知らなかった」が 1,284 件(43.0%)となり、周知
麻酔科
212
消化器内科
194
循環器内科
189
眼科
は6割程度であることが分かった(図 3-1)
。
一方、
「医薬品等安全性情報報告制度」についての回
答者自身の周知状況は、「知っていた」が 1,289 件
179
脳神経外科
160
手術部
(43.7%)
、
「知らなかった」が 1,663 件(56.3%)と、
134
心臓血管外科
98
事務部門
96
ME部門
93
「医療用具の不具合・感染症報告制度」より低い周知
度であることが分かった(図 3-2)
。
64
リスク委員会
124
その他
知らなかった
0
50
100
150
200
250
300
知っていた
350
(単位:件)
1,284
図2-3.所属部局別回答状況
合計 2987
43.0%
単位:件
1,703
57.0%
4−1−4.職種別回答状況
有効回答を職種別に類別すると、
「医師」が 1,752
件(58.2%)
、
「看護婦」が 387 件(12.5%)
、
「薬剤師」
図3-1.回答者の「不具合・感染症報告制度」周知実態
が 292 件(9.5%)
、
「臨床検査技師」が 203 件(6.5%)
、
「診療放射線技師」が 190 件(6.3%)
、
「臨床工学技
知っていた
知らなかった
士」が 130 件(3.9%)
、
「事務職員」が 90 件(2.8%)
、
「その他」が 16 件(0.5%)と、圧倒的に医師の回答
が多かった(図 2-4)
。
「その他」の回答として、
「講師」
、
1,289
1,663
56.3%
合計 2952
43.7%
単位:件
「理学療法士」などの回答があった。なお、この件数
は同一医療機関からの重複回答を含んだ件数である。
図3-2.「医薬品等安全性情報報告制度」の周知状況
1,752
医師
387
看護婦
292
薬剤師
臨床検査技師
203
診療放射線技師
190
4−2−2.各種安全性情報報告制度の周知の契機
回答者が「医療用具の不具合・感染症報告制度」を
知った契機は、
「厚生省・都道府県からの文書」が 776
130
臨床工学技士
件(45.5%)
、
「製造業者や販売業者から」が 621 件
90
事務職員
16
その他
0
(21.2%)、「学会誌、医系ジャーナル」が 468 件
500
1000
1500
2000
(単位:件)
(27.5%)
「医療機関の上司から」
、
が 361 件
(21.2%)
、
「新聞・ニュース、週刊誌等のメディア」が 301 件
図2-4.職種別回答状況
−5−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
(17.7%)
、
「医療機関の同僚から」が 164 件(9.6%)
、
療機関の上司から」が 286 件(22.2%)
、
「医療機関の
「インターネット(厚生省のホームページ)
」が 100
同僚から」が 159 件(12.3%)
、
「新聞・ニュース、週
件(5.9%)
、
「その他」が 54 件(3.2%)であった(図
刊誌等のメディア」が 159 件(12.3%)
、
「学会誌」が
3-3)
。
「その他」として「院内情報誌」や「薬局からの
129 件(10.0%)
、
「インターネット(厚生省のホーム
文書」などの回答があった。
ページ)
」が 99 件(7.7%)
、
「医系ジャーナル」が 75
件(5.8%)
、
「その他」が 53 件(4.1%)であった(図
3-4)
。
「その他」として「医師会からの FAX」
、
「学会
厚生省・都道府県
からの文書
の役員会」などがあった。
776
製造業者や
販売業者から
621
4−2−3.
「医薬品等」に「医療用具」が含まれる
学会誌、
医系ジャーナル
468
医療機関の上司から
ことの把握状況
361
新聞・ニュース、
週刊誌等のメディア
薬事法や厚生省令で定める「医薬品等」とは、
「医薬
品」だけでなく「医療用具」が含まれると解釈されて
301
医療機関の同僚から
いるが、このことの回答者の周知は、
「知っていた」が
164
インターネット
(厚生省等の
ホームページ)
1,507 件
(51.4%)
「知らなかった」
、
が 1,424 件
(48.6%)
100
その他
となり、約半数の部局で周知されていないことが分か
った(図 3-6)
。
54
0
200
400
600
800
1000
(単位:件)
図3-3.「医療用具の不具合・感染症報告」周知の契機
知っていた
知らなかった
1,424
48.6%
厚生省・都道府県
からの文書
合計 2931
単位:件
1,507
51.4%
751
製造業者や
販売業者から
391
医療機関の
上司から
286
医療機関の
同僚から
159
新聞・ニュース、
週刊誌等のメディア
159
学会誌
図3-6.「医薬品等」に医療用具が
含まれることの周知
129
インターネット
4−2−4.
「医療用具安全性情報報告書」を用いた
99
医系ジャーナル
不具合報告経験
「医薬品等安全性情報報告制度」では医療機関から
75
厚生省への不具合報告の様式として、
「医療用具安全性
53
その他
情報報告書」が医療機関に配布されているが、不具合
0
200
400
600
800
1000
を経験した際、厚生省に不具合報告を行った経験があ
(単位:件)
るかの設問に関して、
「経験あり」が 75 件(2.6%)
、
図3-4.「医薬品等安全性情報」周知の契機
のべ報告件数 195 件、
「ない」が 2,835 件(97.4%)
「医薬品等安全性情報報告制度」を知った契機は、
「厚生省・都道府県からの文書」が 751 件(58.3%)
、
「製造業者や販売業者から」が 391 件(30.3%)
、
「医
−6−
となり、その報告経験が極めて少ないことが分かった
(図 3-7)
。
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
ゴム製品の品質の劣化について」が 566 件(18.5%)
、
報告したことがある
(報告延べ件数195件)
「透析型人工腎臓装置の適正管理について」が 465 件
75
2.6%
(15.2%)
、
「シアノアクリレート系外科用接着剤と滅
菌剤外科用パッドとの併用による脳動脈閉塞性血管病
合計 2910
変について」が 374 件(12.2%)と周知度が低いこと
単位:件
が分かった。
報告したことがない
2,835 97.4%
4−2−6.
「医薬品等安全性情報」公開の周知
「医薬品等安全性情報」が配布文書やインターネッ
図3-7. 「医薬品等安全性情報
報告書」を用いた報告経験
トで公開されていることを周知しているかの設問では、
「知っていた」が 1,484 件(50.3%)
、
「知らなかった」
が 1,466 件(49.7%)となった(図 3-9)
。
4−2−5.各種安全性情報の把握状況
厚生省が公開している「医薬品等安全性情報」の把
握状況は、
「医療用具における
『コンピュータ西暦 2000
年問題』への対応について」が 2,346 件(76.7%)と
突出して高く、続いて「白血球除去フィルター使用の
知らなかった
知っていた
輸血時における血圧低下、ショックについて」が 1,415
件(46.3%)
、
「天然ゴムアレルギーについて」が 1,353
件(44.3%)
、
「骨セメントの股関節への使用時におけ
1,484
合計 2950
1,466
単位:件
49.7%
50.3%
る血圧低下、ショックについて」が 1,254 件(41.0%)
と約半数で周知されていた(図 3-8)
。また、
「万引き
防止監視及び金属探知システムの植込み型心臓ペース
メーカ、植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置
図3-9.「医薬品等安全性情報」公開の周知状況
への影響について」が 759 件(24.8%)
、
「油脂性成分
を基剤とする膣坐剤等の接触による避妊用ラテックス
4−2−7.
「医薬品等安全性情報」の確認状況
各部局における「医薬品等安全性情報」の内容確認
は、
「定期的に確認している」が 642 件(22.0%)
、
「不
西暦2000年問題
2,346
白血球除去
フィルター
定期ではあるが確認している」が 1,454 件(49.9%)
、
1,415
天然ゴムアレルギー
1,353
骨セメント
1,254
確認する
機会がない
820
759
心臓ペースメーカ
22.0%
28.1%
566
ラテックスゴム製品
定期的に
確認している
642
合計 2916
単位:件
透析型人工腎臓装置
465
外科用接着剤
374
0
500
不定期ではあるが
確認している
1,454 49.9%
1000
1500
2000
2500
3000
(単位:件)
図3-8.「医薬品等安全性情報」の把握状況
図3-10.「医薬品等安全性情報」の確認状況
−7−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
「確認する機会がない」が 820 件(28.1%)と、定期
その他
213
的に確認される割合は2割程度に留まった(図 3-10)
。
7.7%
保存は
していない
498
4−2−8.
「医薬品等安全性情報」の確認手段
誰でも
見られるように
なっている
18.1%
「医薬品等安全性情報」の内容確認について、どの
ような方法で確認しているかの設問に関して、
「厚生
省・都道府県からの文書」が 959 件(45.7%)
、
「製造
業者や販売業者から」が 735 件(35.0%)
、
「医療機関
合計 2751
ほとんど
見られるように 単位:件
していない
372
一部の人が
見られるように
13.5%
なっている
507 18.4%
1,161
42.2%
の上司から」が 470 件(22.4%)
、
「学会誌」が 261 件
(12.5%)
「医療機関の同僚から」
、
が 243 件
(11.6%)
、
図3-12.「医薬品等安全性情報」の保存状態
「インターネット(厚生省のホームページ)
」が 230
件(10.9%)
、
「新聞・ニュース、週刊誌等のメディア」
4−3.部局スタッフの安全性情報関係の周知状況
が 197 件
(9.4%)
「医系ジャーナル」
、
が 119 件
(5.7%)
、
4−3−1.スタッフの「医療用具の不具合・感染症
「その他」が 214 件(10.2%)であった。
「その他」
報告制度」の周知状況
として「院内の発行物」
、
「学会」
、
「薬剤部・薬局から
の回覧」などの回答があった(図 3-11)
。
平成 9 年 4 月の薬事法改正から設けられた「医療用
具の不具合・感染症報告制度」の部局スタッフにおけ
る周知状況は、
「全員知っていた」が 280 件(9.6%)
厚生省・都道府県
からの文書
と少なく、「一部しか知らなかった」が 1,850 件
959
製造業者
販売業者から
(63.5%)
、
「全員知らなかった」が 785 件(26.9%)
735
となり、回答者自身の制度周知度に比して低く、一部
470
医療機関の上司から
学会誌
261
医療機関の
同僚から
243
インターネット(厚生省
等のホームページ)
230
新聞・ニュース、
週刊誌等のメディア
しか知らない状況が多いことが分かった(図 4-1)
。
全員
知っていた
197
医系ジャーナル
全員
知らなかった
119
その他
785
26.9%
214
0
280
9.6%
500
1000
1500
(単位:件)
合計 2915
単位:件
図3-11. 「医薬品等安全性情報」の確認手段
一部しか知らなかった
1,850
4−2−8.
「医薬品等安全性情報」の保存状態
63.5%
「医薬品等安全性情報」
の保存状態の設問に関して、
「誰でも見られるようになっている」が 1,161 件
図4-1.スタッフの「不具合・感染症報告制度」周知実態
(42.2%)
、
「一部の人が見られるようになっている」
が 507 件(18.4%)
、
「ほとんど見られるようにしてい
4−3−2.スタッフの「医薬品等」の解釈状況
ない」が 372 件(13.5%)
、
「保存はしていない」が 498
厚生省令で定める「医薬品等安全性情報報告制度」
件(18.1%)
、
「その他」が 213 件(7.7%)という回
に「医療用具」が含まれることを部局スタッフが周知
答を得た。
「その他」として「保存してあるかどうか不
する状況は、
「全員知っていた」が 285 件(9.8%)
、
「一
明」の回答が多く存在した(図 3-12)
。
部しか知らなかった」が 1,788 件(61.3%)
、
「全員知
−8−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
らなかった」が 844 件(28.9%)となり、図 3-6 の回
4−3−4.
「医薬品等安全性情報」の確認状況
答者自身の「医薬品等」の正しい解釈が半数であるの
「医薬品等安全性情報」の内容を部局スタッフがど
に比して、同部局スタッフの解釈程度がさらに下回っ
の程度確認しているかの設問に関して、
「全員確認して
ていることが分かった(図 4-2)
。
いる」が 391 件(13.6%)
、
「一部で確認している」が
1,493 件(52.1%)
、
「ほとんど確認する機会がない」
全員
知っていた
全員
知らなかった
が 984 件(34.3%)となり、制度の周知状況とほぼ同
285
9.8%
様の状況になった(図 4-4)
。
844
28.9%
4−3−5.インターネットによる情報公開の周知
合計 2917
「医薬品等安全性情報報告制度」により収集された
単位:件
情報がインターネット上で厚生省のホームページから
一部しか知らなかった
公開されていることを医療スタッフが周知しているか
1,788 61.3%
の設問に関して、
「全員知っていた」
が480 件
(16.6%)
、
「一部しか知らなかった」が 1,738 件(60.0%)
、
「全
図4-2.スタッフの「医薬品等」の解釈
員知らなかった」
が680件
(23.5%)
であった
(図4-5)
。
391
4−3−3.スタッフの「医薬品等安全性情報報告制
度」の周知状況
各部局における部局スタッフの「医薬品等安全性情
報報告制度」の周知状況に関して、
「全員知っていた」
13.6%
ほとんど
確認する
機会がない
984
34.3%
全員
確認している
合計 2868
単位:件
が 318 件(11.0%)
、
「一部しか知らなかった」が 1,707
一部で確認している
件(58.8%)
、
「全員知らなかった」が 877 件(30.2%)
1,493
52.1%
となり、
「医療用具の不具合・感染症報告制度」とほぼ
同様の周知状況であった(図 4-3)
。
図4-4.「医薬品等安全性情報」の確認状況
全員
知っていた
全員
知っていた
318
全員
知らなかった
全員
11.0%
知らなかった
680
23.5%
877
30.2%
合計 2902
480
16.6%
合計 2898
単位:件
単位:件
一部しか知らなかった
一部しか知らなかった
1,707 58.8%
1,738 60.0%
図4-3.スタッフの「医薬品等安全性
情報報告制度」の周知状況
図4-5.スタッフの「医薬品等安全
性情報」公開の周知状況
−9−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
4−3−6.スタッフの厚生省への不具合報告経験
「緊急安全性情報(ドクターレター)
」を該当機関に配
「医薬品等安全性情報報告制度」を利用して、厚生
布していることを知っていたかの設問に関しては、
「知
省に医薬品または医療用具の不具合報告を行った経験
っていた」2,038 件(69.5%)
、
「知らなかった」893
があるかの設問に関して、
「一部のスタッフは報告した
件(30.5%)であり、
「医療用具の不具合・感染症報告
ことがある」が 433 件(15.3%)
、
「誰も報告したこと
制度」や「医薬品等安全性情報報告制度」より、周知
がない」が 2,405 件(84.7%)となり、回答者自身よ
度が高いことが分かった(図 5-1)
。
り医薬品を含めたため増えたものの、不具合報告の経
験が少ないことが明らかとなった(図 4-6)
。
4−4−2.
「緊急安全性情報」周知の契機
一部のスタッフが
報告したことがある
433
「緊急安全性情報」を知っていたと回答した施設に
対して、どのように知ったかの設問に関しては、
「厚生
省・都道府県からの文書」が 929 件(45.6%)
、
「製造
15.3%
業者や販売業者から」が 879 件(43.1%)
、「『緊急安
全性情報』自体を見ていた」が 801 件(39.3%)
、
「医
合計 2838
療機関の上司から」が 506 件(24.8%)
、
「医療機関の
単位:件
同僚から」が 203 件(10.0%)
、
「学会誌」が 171 件
(8.4%)
、
「新聞・ニュース、週刊誌等のメディア」が
誰も報告したことがない
2,405 84.7%
148 件(7.3%)
、
「インターネット(厚生省のホームペ
ージ)
」が 136 件(6.7%)
、
「医系ジャーナル」が 93
件(4.6%)
、
「その他」が 83 件(4.1%)であった。
「そ
図4-6.スタッフの厚生省への不具合報告経験
、
「薬剤部・薬
の他」として「院内の発行物」
、
「学会」
局からの回覧」などの回答があった(図 5-2)
。
4−4.「緊急安全性情報」の周知状況
厚生省・都道府県
からの文書
4−4−1.
「緊急安全性情報」の周知状況
厚生省令で定める医薬品等(医療用具を含む)の製
製造業者
販売業者から
造業者/輸入販売業者が不具合発生を確認した場合、
「緊急安全性情報」
自体を見ていた
厚生大臣に報告するとともに特に緊急を要する場合に
医療機関の
上司から
知らなかった
893
30.5%
合計 2931
929
879
801
506
医療機関の
同僚から
203
学会誌
171
新聞・ニュース、
週刊誌等のメディア
148
インターネット
(厚生省等の
ホームページ)
136
医系ジャーナル
単位:件
83
その他
93
知っていた
2,038
69.5%
0
500
1000
1500
(単位:件)
図5-2.「緊急安全性情報」周知のきっかけ
図5-1. 「緊急安全性情報」の周知状況
−10−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
4−4−5.
「緊急安全性情報」の院内連絡体制
4−4−3.
「緊急安全性情報」の把握状況
最近、医療用具の不具合に関して「医薬品等安全性
「緊急安全性情報」が配布された場合、診療行為に
情報」に公開された具体例を提示したところ、それぞ
携わっている院内関係者に知らせる連絡体制が整って
れの周知状況は、
「抗菌処理カテーテルを使用した際に
いるかの設問に関して、
「すでに整っている」が 1,304
発生したアナフィラキシー・ショックについて」が
件(49.1%)、
「現在整っていないがそうしたい」が
1,281 件(41.9%)
、
「CPI 社製ペースメーカについて」
1,325 件
(49.9%)
「整える必要がない」
、
が25 件
(0.9%)
が 684 件(22.4%)となり、半数以下の把握に留まっ
であり、未整備状況が半数程度存在するものの、
「整え
た(図 5-3)
。
る必要がある」と前向きな回答が多かった(図 5-5)
。
整える必要がない
25
0.9%
アナフィラキシー
ショック
1281
既に整っている
現在
整っていないが
そうしたい
1,304
合計 2654
49.1%
単位:件
684
CPI社製ペースメーカ
1,325
49.9%
0
500
1000
1500
(単位:件)
図5-5. 「緊急安全性情報」の院内連絡体制
図5-3.「医薬品等安全性情報」の把握状況
4−4−4.
「緊急安全性情報」公開方法の周知状況
4−4−6.スタッフの「緊急安全性情報」の周知
「緊急安全性情報」をできるだけ多くの医療機関に
部局のスタッフ「医薬品等安全性情報」の内容確認
不具合再発防止に役立つよう、文書やインターネット
についての設問に関して、
「全員知っていた」が 511
上で情報公開をしていることを知っているかの設問に
件(18.3%)
、
「一部しか知らなかった」が 1,710 件
は、
「知っていた」が 1,426 件(49.6%)
、
「知らなかっ
(61.2%)
、
「全員知らない」が 571 件(20.5%)とな
た」が 1,448 件(50.4%)であった(図 5-4)
。
った(図 5-6)
。
全員知らない
知らなかった
知っていた
全員知っ
ている
511
18.3%
571
20.5%
合計 2874
1,448
単位:件
1,426
合計 2792
49.6%
単位:件
50.4%
一部しか知らない
1,710
61.2%
図5-6.スタッフの「緊急安全性
情報」の周知状況
図5-4.「緊急安全性情報」公開方法の周知状況
−11−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
4−5.不具合発生の実態と報告体制
医療用具の不具合を、患者に重篤な影響または死亡
医療機器
654
に至った不具合、医療用具自体の故障による不具合、
医療器材
医療スタッフの不適正使用による不具合の観点から検
261
討するとともに、不具合発生時の院内および厚生省へ
医療材料
の報告体制について、その傾向の分析を試みた。
なお、本報告で言う「医療機器」とは医療電子機器・
288
0
200
400
600
放射線機器などの医療用備品や電子部品を組み込んだ
800
(単位:件)
図6-2.欠陥・故障による不具合発生状況
インプラント用具であり、
「医療器材」とは鋼製小物・
滅菌コンテナ等の再利用する医療用消耗品であり、
「医
療材料」とは電子部品を組み込まないインプラント用
具・ディスポーザブル製品等のことである。
医療機器
4−5−1.重篤な影響又は死亡に至った不具合発生
医療器材
393
152
患者に重篤な影響又は死亡に至った不具合症例は
「医療機器」が 136 件、
「医療器材」が 51 件、
「医療
材料」が 200 件であり、同年度に厚生省に報告された
0
200
300
400
図6-3.不適正使用による不具合発生状況
136
医療器材
100
(単位:件)
件数(76 件)を大幅に上回った(図 6-1)
。
医療機器
233
医療材料
4−5−4.不具合報告体制の実態
部局で不具合発生の際、診療科長/部長への報告体
51
制に関しては、
「全て報告している」
が563 件
(54.5%)
、
医療材料
0
「大部分報告している」が 141 件(13.6%)
、
「一部報
200
50
100
150
200
250
告している」が 67 件(6.5%)
、
「ほとんど報告してい
(単位:件)
ない」が 31 件(3.0%)
、
「全く報告していない」が 70
図6-1.重篤な症状又は死亡に至った不具合発生状況
件(6.8%)
、
「分からない」が 161 件(15.6%)であ
り、
約7 割近くが報告していることが分かった
(図6-4)
。
4−5−2.用具の欠陥や故障による不具合発生
分からない
医療用具自体の欠陥や故障が原因と思われる不具合
全く報告
していない
6.8%
症例は「医療機器」が 654 件、
「医療器材」が 261 件、
「医療材料」が 288 件であった(図 6-2)
。
ほとんど報告
していない
3.0%
161
15.6%
70
563
31
合計 1033
67
4−5−3.不適正使用による不具合発生
医療スタッフによる不適正使用、操作ミスなどが原
因と思われる不具合症例は、
「医療機器」が 393 件、
「医
一部報告
している
6.5%
すべて
報告している
54.5%
単位:件
141
13.6%
大部分
報告している
療器材」が 152 件、
「医療材料」が 233 件という結果
図6-4.診療科長/部長への不具合報告状況
となった(図 6-3)
。
−12−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
また、病院長への不具合報告体制は、
「全て報告して
4−5−5.不具合報告手段の実態
いる」が 627 件(36.1%)
、
「大部分報告している」が
診療科長/部長に対する不具合報告手段は、
「口頭」
232 件
(13.4%)
、
「一部報告している」
が 160 件
(9.2%)
、
が483 件
(54.9%)
「所定の報告書」
、
が315 件
(35.8%)
、
「ほとんど報告していない」が 87 件(5.0%)
、
「全く
「フリーフォーマットの報告書」が 59 件(6.7%)
、
「電
報告していない」が 226 件(13.0%)
、
「分からない」
子メール」6 件(0.7%)
、
「その他」が 17 件(1.9%)
が 404 件(23.3%)であり、約 5 割の報告に減少して
であった(図 6-7)
。
「その他」として、
「部長が行うた
いる(図 6-5)
。
め」
、
「報告のシステムが整っていない」などの回答が
一方、当該製造業者への不具合報告を当該部局から
あった。
情報提供しているかの設問について、
「全て報告してい
一方、病院長に対する不具合方向手段は、
「所定の報
る」が 677 件(41.3%)
、
「大部分報告している」が 301
告書」が 515 件(44.4%)
、
「口頭」が 495 件(42.7%)
、
件(18.3%)
、
「一部報告している」が 108 件(6.6%)
、
「フリーフォーマットの報告書」が 120 件(10.4%)
、
「ほとんど報告していない」が 24 件(1.5%)
、
「全く
「電子メール」
が5件
(0.4%)
「その他」
、
が24件
(2.1%)
報告していない」が 145 件(8.8%)
、
「分からない」
であった(図 6-8)
。
が 386 件(23.5%)であり、予想した以上に当該製造
。
業者に情報提供していることが分かった(図 6-6)
所定の
報告書
分からない
すべて報告している
全く
報告して
いない
232
13.4%
160
9.2%
24 1.5%
一部
報告している
6.6%
483
54.9%
図6-7.診療科長/部長への不具合報告手段
大部分
報告している
分からない
386
23.5%
145
ほとんど報告
していない
単位:件
35.8%
電子メール
5 0.4%
フリー
フォーマット
の報告書
120
10.4%
図6-5.病院長への不具合報告状況
8.8%
口頭
合計 880
36.1%
一部報告
している
全く報告
していない
1.9%
単位:件
87
5.0%
ほとんど報告
していない
315
627
合計 1736
226
13.0%
17
59
6.7%
404
23.3%
その他
電子メール
フリー
0.7%
6
フォーマットの
報告書
108
口頭
すべて
報告している
495
その他 24
2.1%
所定の報告書
515
合計 1159
単位:件
44.4%
42.7%
合計 1641
677
単位:件
41.3%
301
図6-8.病院長への不具合報告手段
18.3%
大部分報告
している
図6-6.当該製造業者への不具合報告状況
4−5−6.当該製造業者へ情報提供しない理由
当該製造業者へ報告していないと回答した施設に大
して、報告しない理由を尋ねると、
「報告してもフィー
ドバックがないから」が 32 件(18.9%)
、
「報告すべ
−13−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
き項目として報告できない項目があるから」が 21 件
4−6−2.厚生省に報告している項目
(12.4)
、
「自分の医療機関に迷惑がかかるから」が 4
厚生省の不具合報告において報告できる項目は、
「商
件(2.4%)
、
「その他」が 135 件(79.8%)であった。
品名称」が 152 件(92.7%)
、
「メーカー名」が 146 件
「その他」として「不具合が発生していないため」と
(89.0%)
、
「施設名」が 130 件(79.2%)
、
「ロット番
いう回答が大部分を占めており、
「試供品として提供さ
号」
が 115 件
(70.1%)
「規格番号」
、
が 113 件
(68.9%)
、
れたものであったから」
「単純なミスだったから」
、
「報
、
「所在地」が 106 件(64.6%)
、
「具体的な不具合内容」
告のシステムができていない」
などの回答があった
(図
が 101 件(61.6%)
、
「電話番号」が 96 件(58.5%)
、
6-9)
。
「診療科名」
が 88 件
(55.6%)
「性別」
、
が 86 件
(52.4%)
、
「患者氏名(匿名)
」が 82 件(50.0%)
、
「生年月日(年
報告してもフィード
バックがないから
、
齢)
」が 78 件(47.6%)
、
「患者病名」が 78 件(47.6%)
32
「患者 ID 番号」が 78 件(47.6%)
、
「不具合の有無」
報告できない項目
があるから
21
自分の医療機関に
迷惑がかかるから
が 73 件(44.5%)
、
「カルテ番号」が 69 件(42.1%)
、
「治療術式名」が 68 件(41.5%)
、
「治療年月日」が
4
68 件(41.5%)
、
「治療後の経過」が 65 件(39.6%)
、
その他
135
0
50
100
「その他」が 21 件(12.8%)となった(図 7-2)
。
150
200
(単位:件)
図6-9.当該製造業者へ情報提供しない理由
152
商品名称
146
メーカー名
130
施設名
4−6.厚生省への不具合報告
4−6−1.厚生省への不具合報告状況
ロット番号
115
規格番号
113
厚生省に対して医療用具の不具合報告状況は、
「全て
所在地
報告している」が 119 件(7.4%)
、
「大部分報告して
不具合内容
いる」が 32 件(2.0%)
、
「一部報告している」が 13
件(0.8%)
、
「ほとんど報告していない」が 68 件、
106
101
電話番号
96
診療科名
88
性別
86
(4.2%)
、
「全く報告していない」が 406 件(25.1%)
、
患者氏名
82
「分からない」が 980 件(60.6%)であった(図 7-1)
。
ID番号
78
32 2.0%
生年月日
78
一部報告している
患者病名
78
大部分報告している
すべて報告している
13 0.8%
119
7.4%
980
60.6%
ほとんど報告
していない
全く報告
していない
分からない
合計 1618
単位:件
不具合の有無
68
4.2%
406
25.1%
73
カルテ番号
69
治療術式名
68
治療年月日
68
治療後経過
65
21
その他
0
40
80
120
160
200
(単位:件)
図7-2.厚生省へ報告できる項目
図7-1.厚生省への不具合報告状況
−14−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
このことから、医療用具関連情報、医療機関情報に
「報告してもフィードバックがないから」が 16 件
関しては比較的報告し易いが、患者関連情報、治療関
(3.4%)
、
「報告すべき項目として報告できない項目が
連情報に関しては報告し難い傾向にあることが分かっ
あるから」が 5 件(1.05%)
、
「販売業者・製造業者と
た。
の関係が悪くなるから」が 4 件(0.8%)
、
「自分の医療
機関に迷惑がかかるから」が 3 件(0.6%)
、
「その他」
が 200 件(42.2%)であった。
「その他」として「不
4−6−3.厚生省に報告していない理由
厚生省に報告していないと回答した施設に関して、
具合が発生していないため」という回答が大部分を占
なぜ報告しないのかその理由を尋ねる設問では、
「
『医
めていた(図 7-3)
。その他には「製造業者に連絡して
薬品等安全性情報報告制度』を知らなかったから」が
いるから」などの回答があった。
202 件(42.6%)
、
「
『医療用具安全性情報報告書』
(巻
末資料-2 参照)が手元になかったから」が 72 件
4−6−4.厚生省に報告できない項目
(15.2%)
、
「厚生省への不具合報告には上司または病
「厚生省に不具合を報告できない」と回答した回答
院長の決済が必要なため、勝手に報告できないから」
者に「報告できない項目」を尋ねた設問では、
「商品名
が 44 件(9.3%)
、
「医療用具安全性情報報告書」の様
称」が 11 件(2.3%)
、
「メーカー名」が 8 件(1.6%)
、
式が難しいから」が 27 件(5.7%)
、
「報告することを
「ロット番号」が 4 件(0.8%)
、
「患者 ID 番号」が 4
先送りして忘れてしまったから」が 18 件(3.8%)
、
件(0.8%)
、
「施設名」が 4 件(0.8%)
、
「患者氏名(
匿名)
」が 4 件(0.8%)
、
「規格番号」が 3 件(0.6%)
、
「医薬品等安全性情報報告
制度」を知らなかった
202
商品名称
11
メーカー名
「医療用具安全性情報
報告書」が手元になかった
72
上司/病院長決済が必要で
勝手に報告できない
44
「医療用具安全性情報報告
書」の様式が分かり難い
18
報告しても厚生省から
フィードバックがない
ロット番号
4
ID番号
4
施設名
4
患者氏名
4
規格番号
27
報告することを先送りして
忘れてしまった
8
16
3
所在地
3
電話番号
3
カルテ番号
3
不具合内容
3
生年月日
報告すべき項目として
報告できない項目がある
5
販売業者/製造業者等との
関係が悪くなる
4
自分の医療機関に迷惑が
かかる
3
200
その他
0
50
100
150
200
250
(単位:件)
図7-3.厚生省へ報告していない理由
−15−
2
性別
2
患者病名
2
治療術式名
2
治療年月日
2
不具合の有無
2
診療科名
1
治療後経過
1
その他
1
0
2
4
6
8
10
12
(単位:件)
図7-3.厚生省へ報告できない項目
14
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
「所在地」
が3件
(0.6%)
、
「電話番号」
が3件
(0.6%)
、
「カルテ番号」が 3 件(0.6%)
、
「具体的な不具合内容」
医療機器
が 3 件(0.6%)
、
「生年月日(年齢)
」が 2 件(0.4%)
、
1,740
「性別」が 2 件(0.4%)
、
「患者病名」が 2 件(0.4%)
、
「治療術式名」が 2 件(0.4%)
「治療年月日」が 2 件
医療器材
554
(0.4%)
、
「不具合の有無」が 2 件(0.4%)
「診療科名」
が 1 件(0.2%)
、
「治療後の経過」が 1 件(0.2%)
、
「そ
医療材料
935
の他」が 1 件(0.2%)となり、予想したより報告でき
ない件数が少ないことが分かった(図 7-4)
。
「その他」
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
(単位:件)
として「報告すべき不具合の程度分類が不明なため」
図8-2.不適正使用によるヒヤリミス発生状況
という回答があった。
ヒヤリミスは「医療機器」に関しては 1,740 件、
「医
4−7.ヒヤリミス発生の実態とその報告体制
療器材」に関しては 554 件、
「医療材料」に関しては
4−7−1.医療用具のヒヤリミス発生状況比較
935 件であった(図 8-2)
。図 8-1 と図 8-2 より、不具
医療用具の使用において、院内スタッフの適切な処
合およびヒヤリミス件数の多いのは「医療機器」
、
「医
置や判断で医療事故につながらなかったものの、気づ
療材料」
、
「医療器材」の順で、医療用具の欠陥・故障
かなければ重大な医療事故につながる可能性のヒヤリ
によるヒヤリミス件数に比して、医療用具の不適正使
ミスがある。ヒヤリミスは、不具合発生とは異なり、
用によるヒヤリミス件数が平均で 1.5 倍であることが
回答者の主観的認識によるところが大きいため、件数
分かった。
を考察することは難しいが、医療機器、医療器材、医
療材料に大別し、ヒヤリミスの相対的な傾向には客観
4−7−2.医療用具のヒヤリミス報告体制の比較
医療用具の欠陥・故障によりヒヤリミスが発生した
性があると考えられる。
本調査において医療用具の欠陥・故障により生じた
際の診療科長/部長に対するヒヤリミス報告状況は、
ヒヤリミス報告は、
「医療機器」が 947 件、
「医療器材」
「すべて報告している」が 671 件(45.8%)
、
「大部分
が 367 件、
「医療材料」が 727 件であった(図 8-1)
。
報告している」が 243 件(16.6%)
、
「一部報告してい
一方、医療用具の使用において、院内スタッフの適
る」が 105 件(7.2%)
、
「ほとんど報告していない」
切な処置や判断で医療事故につながらなかったものの、
が 49 件(3.3%)
、
「全く報告していない」が 144 件
一部の医療用具の不適正な手技・操作により生じた
(9.8%)
、
「分からない」が 252 件(17.2%)であっ
た(図 8-3)
。
医療用具の不適正使用によりヒヤリミスが発生した
医療機器
際の診療科長/部長に対する報告状況は、
「すべて報告
947
している」が 685 件(45.8%)
、
「大部分報告している」
医療器材
が 227 件(15.2%)
、
「一部報告している」が 144 件
367
(9.6%)
、
「ほとんど報告していない」
が 47 件
(3.1%)
、
「全く報告していない」が 152 件(10.1%)
、
「分から
727
医療材料
0
200
400
600
800
ない」が 242 件(16.1%)であった(図 8-4)
。図 8-4
1,000
1,200
(単位:件)
図8-1. 欠陥・故障によるヒヤリミス件数
と図 8-5 よりヒヤリミス全般の院内報告は、回答者の
約 6 割で実施されていることが分かった。
医療用具の欠陥・故障によりヒヤリミスが発生した
−16−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
際の病院長に対する報告状況は
「すべて報告している」
医療用具の不適正使用によりヒヤリミスが発生した
が 453 件(27.7%)
、
「大部分報告している」が 195 件
際の病院長に対する報告状況は
「すべて報告している」
(11.9%)
、
「一部報告している」が 173 件(10.6%)
、
が 472 件(28.6%)
、
「大部分報告している」が 180 件
「ほとんど報告していない」が 120 件(7.3%)
、
「全
(10.9%)
、
「一部報告している」が 195 件(11.8%)
、
く報告していない」が 278 件(17.0%)
、
「分からない」
「ほとんど報告していない」が 119 件(7.2%)
、
「全
が 414 件(25.4%)であった(図 8-5)
。
く報告していない」が 286 件(17.3%)
、
「分からない」
が 400 件(24.2%)であった(図 8-6)
。
全く報告して
いない
分からない
252
17.2%
ほとんど
報告して
いない
144
9.8%
3.3%
49
105
7.2%
分からない
合計 1464
671
単位:件
45.8%
24.2%
472
28.6%
合計 1652
全く報告
していない
大部分報告
している
286
17.3%
243
16.6%
一部報告
している
すべて報告
している
400
すべて報告
している
単位:件
大部分報告
している
180 10.9%
119
195
7.2%
11.8%
ほとんど
報告して
いない
図8-3.用具欠陥・故障によるヒヤリミスの部長報告状況
一部報告
している
図8-6.不適正使用によるヒヤリミスの院長報告状況
分からない
全く報告
していない
医療用具の欠陥・故障によりヒヤリミスが発生した
242 16.2%
すべて報告
している
152
10.2%
ほとんど
報告して
いない
合計 1497
685
単位:件
45.8%
144
47
9.6%
3.1%
際の厚生省に対する報告状況は、
「すべて報告してい
る」が 73 件(5.1%)
、
「大部分報告している」が 25
件(1.7%)
、
「一部報告している」が 19 件(1.3%)
、
「ほとんど報告していない」が 72 件(5.0%)
、
「全く
大部分報告
している
報告していない」が 428 件(29.7%)
、
「分からない」
227 15.2%
が 823 件(57.1%)と、極めてであった(図 8-7)
。
一部報告
している
すべて報告
している
図8-4.不適正使用によるヒヤリミスの部長報告状況
分からない
414
25.4%
すべて報告
している
453
27.7%
全く報告して
いない
278
17.0%
合計 1633
単位:件
120
7.3%
ほとんど
報告して
いない
173
大部分報告 25 1.7%
している
一部報告
している
73
19 1.3%
5.1%
72
ほとんど
5.0%
報告して
いない
分からない
823
合計 1440
57.2%
単位:件
全く報告
していない
428
29.7%
大部分報告
している
195
11.9%
10.6%
一部報告
している
図8-7.用具欠陥・故障による
ヒヤリミスの厚生省報告状況
図8-5.用具欠陥・故障によるヒヤリミスの院長報告状況
−17−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
医療用具の不適正使用によりヒヤリミスが発生した
医療用具の不適正使用によりヒヤリミスが発生した
際の厚生省に対する報告状況は、
「すべて報告してい
際の診療科長/部長に対する報告手段は、
「口頭」が
る」が 69 件(4.6%)
、
「大部分報告している」が 21
639 件(54.5%)
、
「所定の報告書」が 434 件(37.0%)
、
件(1.4%)
、
「一部報告している」が 17 件(1.1%)
、
「フリーフォーマットの報告書」が 70 件(6.0%)
、
「電
「ほとんど報告していない」が 62 件(4.1%)
、
「全く
子メール」が 6 件(0.5%)
、
「その他」が 23 件(2.0%)
報告していない」が 479 件(32.0%)
、
「分からない」
であった(図 8-10)
。
「その他」の報告手段として、
「報
が 850 件(56.7%)であった(図 8-8)
。
告の必要性なし」や「口頭でまず行い、その後に文書
で」などの回答があった。
大部分報告
している
21 1.4%
すべて報告
している
69
4.6%
一部報告
している
17 1.1%
ほとんど
報告して
いない
62
4.1%
分からない
850
単位:件
56.7%
6.0%
所定の
報告書
全く報告
していない
479
合計 1498
その他
23
2.0%
電子メール
6
0.5%
フリー
フォーマット
70
の報告書
口頭
434
32.0%
合計 1172
639
単位:件
54.5%
37.0%
図8-8.不適正使用による
ヒヤリミスの厚生省報告状況
図8-10.不適正使用によるヒヤリミスの部長報告手段
4−7−3.医療用具のヒヤリミス報告手段の比較
医療用具の欠陥・故障によりヒヤリミスが発生した
医療用具の欠陥・故障によりヒヤリミスが発生した
際の病院長に対する報告手段は、
「所定の報告書」が
際の診療科長/部長に対する報告手段は、
「口頭」が
406 件(44.3%)
、
「口頭」が 396 件(41.5%)
、
「フリ
654 件(58.3%)
、
「所定の報告書」が 361 件(32.2%)
、
ーフォーマットの報告書」が 89 件(9.6%)
、
「電子メ
「フリーフォーマットの報告書」が 78 件(7.0%)
、
「電
ール」が 4 件(0.3%)
、
「その他」が 34 件(4.3%)で
子メール」が 8 件(0.7%)
、
「その他」が 20 件(1.8%)
あった(図 8-11)
。
であった(図 8-9)
。
電子メール
0.7%
8
フリーフォーマット
の報告書
78
電子メール
4
フリー
フォーマット 0.4%
の報告書
その他
20
1.8%
361
合計 1121
単位:件
3.7%
89
9.6%
7.0%
所定の
報告書
その他 34
所定の
報告書
口頭
口頭
654
396
58.3%
合計 929
単位:件
406
43.7%
42.6%
32.2%
図8-11.用具欠陥・故障による
ヒヤリミスの院長報告手段
図8-9.用具欠陥・故障による
ヒヤリミスの部長報告手段
−18−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
医療用具の不適正使用によりヒヤリミスが発生した
際の病院長に対する報告手段は、
「所定の報告書」が
「知らなかった」が 1,425 件(48.7%)と、周知は約
半数に留まっていることが分かった(図 9-1)
。
459 件(46.4%)
、
「口頭」が 411 件(41.5%)
、
「フリ
ーフォーマットの報告書」が 86 件(8.7%)
、
「電子メ
4−8−2.報告制度の周知向上の方策
ール」が 5 件(0.5%)
、
「その他」が 29 件(2.9%)と
「報告精度が知らなかった」と回答した回答者に、
なり、
「所定の報告書」と「口頭」による報告に大別で
どのようにすれば多くの方に周知できるかの設問した
きることが分かった(図 8-12)
。
「その他」として「カ
ところ、
「制度の存在をもっと PR する」が 1,088 件
ンファレンス」などの回答があった。
(76.4%)
、
「医薬品・医療用具安全性情報報告制度」
のように制度名を改称し、対象を明確にする」が 967
電子メール
5
フリーフォーマット
の報告書
件(67.9%)
、
「その他」が 47 件(3.3%)であった。
その他
0.5%
29 2.9%
「その他」として「取扱説明書やパンフレットに明記
86
する」や「院内の医長会、医局会、婦長会等を通じて
8.7%
周知を図る」
、
「E-mail による直接の連絡網の確立」な
所定の報告書
口頭
合計 990
単位:件
411
41.5%
どの回答があった(図 9-2)
。
459
46.4%
制度存在のPR
1,088
制度名の明確化
図8-12.不適正使用によるヒヤリミスの院長報告手段
967
その他
47
4−8.今後の制度のあり方に関する意見
0
4−8−1.
「医薬品等」に「医療用具」が含まれる
500
1,000
1,500
(単位:件)
図9-2. 報告制度の認識向上の方策
ことの解釈周知状況
現在の「医薬品等安全性情報報告制度」に「医薬品」
だけでなく、
「医療用具」もその対象に含まれているこ
4−8−3.報告制度の整備項目
との周知は、
「知っている」が 1,504 件(51.3%)
、
厚生省への医療用具不具合報告が極めて少ない現状
を改善するには、どのような点の改善・整備が必要で
あるかの設問に関して、
「医薬品等安全性情報報告制
度」の周知を行うとともに、報告用紙を十分医療機関
に配布する」が 2,123 件(69.5%)
、
「現在、医療機関
知らなかった
1,425
48.7%
知っている
合計 2929
単位:件
1,504
51.3%
からの不具合報告は医療機関の医師・歯科医師、薬剤
師に任されているが、医療用具の不具合には工学的な
専門知識も必要なため,臨床工学技士等のコメディカ
ルスタッフをその報告者に追加するべきである」が
1,662 件(54.4%)
、
「今後の医療安全の強化を考える
上で患者に重篤な障害が残った不具合症例や死亡症例
図9-1.「医薬品等」に「医療用具」が
含まれることの周知状況
を対象に、厚生省は各医療機関に対して不具合報告の
義務化を制度化すべきである」が 1,349 件(44.1%)
、
−19−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
「製造業者・輸入販売業者に医療用具の不具合につい
て問い合わせた際には、
「安全性情報報告制度」添って
臨床工学技士
2,261
厚生省に報告するべきである」が 1,076 件(35.2%)
、
「関係学会で報告した不具合症例については、厚生省
診療放射線技師
1,896
に報告する」が 853 件(27.9%)
、
「医療用具安全性情
臨床検査技師
報報告書」
(資料-2)の記載方法・記載内容を見直す」
が 570 件(18.7%)
、
「その他」が 92 件(3.0%)であ
1,600
313
その他の職種
った(図 9-3)
。
「その他」として「インターネットで
現場から厚生省という最短の報告ルートを確立すべき
144
特に必要ない
である」や「各医療機関に年1回でも良いから発生報
213
分からない
告義務を課す」などの回答があった。
0
報告制度の周知
報告用紙の配布
500
1,000 1,500 2,000 2,500 3,000
(単位:件)
2,123
図9-4. 報告制度の報告資格対象範囲
コメディカルスタッフ
の報告者に追加
1,662
不具合報告の
義務化制度
4−8−5.不具合情報の利用方法
1,349
厚生省が集約した不具合情報の、患者のプライバシ
報告制度に沿った
厚生省通達
1,076
不具合症例を
厚生省に報告
ー保護や医療機関の匿名を配慮した上での利用方法に
関して、
「厚生省で取りまとめて、重要なものについて
853
報告制度の記載方法
内容の見直し
は情報提供を行うべきである」が 2,165 件(70.8%)
、
570
「医療スタッフがいつでも利用できるよう情報提供を
92
その他
0
行うべきである」が 1,883 件(61.6%)
、
「医療スタッ
500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000
フ以外にも情報は広く一般に提供すべきである」が
(単位:件)
図9-3.報告制度の整備すべき事項
厚生省でまとめ
情報提供
2,165
医療スタッフが
随時利用できる
情報提供
4−8−4.報告制度の報告対象職種拡大の意識
現行の「医薬品等安全性情報報告制度」では、医療
用具の不具合報告資格者は、医療機関の医師・歯科医
1,883
広く一般に
情報提供
684
師、薬剤師に任されている。
公開すべきでない
(患者を匿名) 63
もし、
「医薬品等安全性情報緒報告制度」の報告資格
対象を広げるとすれば、どの職種に対象範囲を拡大す
べきかの質問に関して、
「臨床工学技士」が 2,261 件
公開すべきでない
(医療機関を匿名) 48
(74.0%)
、
「診療放射線技師」が 1,896 件(62.0%)
、
「臨床検査技師」が 1,600 件(52.4%)
、
「その他の職
その他 18
種」が 313 件(10.3%)
、
「特に必要ない」が 144 件
(4.7%)
、
「分からない」が 213 件(7.0%)で、
「その
他の職種」に「看護婦(士)
」の回答があった(図 9-4)
。
−20−
0
500 1,0001,5002,0002,5003,000
(単位:件)
図9-5. 不具合情報の利用方法
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
684 件(22.4%)
、
「患者氏名を匿名扱いとしても、個
が 169 件(16.2%)であった(図 10-1)
。
「その他」と
人のプライバシーの問題があるので、公開すべきでな
して「知らない」
、
「設置していない」
、
「組織する計画
い」が 63 件(2.1%)
、
「医療機関名を匿名扱いとして
がない」
、
「他の委員会/会議で検討している」などの
も問題等があるので公開すべきでない」が 48 件
回答があった。
(1.6%)
、
「その他」が 18 件(0.6%)であった(図
9-5)
。
「その他」として「医療器具については、厚生省
組織化を
検討中
が再現性を確認」などの回答があった。
370
最近組織
311
4−8−6.インターネットによる公開方法
インターネット等による公開方法に関して、
「医療用
以前から組織
されている
具の分類検索が行える」が 2,069 件(67.7%)
、
「キー
ワードによる情報検索ができる」
が 1,789 件
(58.6%)
、
140
組織する
必要はない
50
「情報入手順番に公開する(現状の方法)
」が 948 件
(31.0%)
、
「その他」が 47 件(1.5%)であった。
「そ
その他
169
の他」として「重要なものだけについて項目だけ」や
0
「メーリングリストによるメール配布」
、
「担当科の関
2,069
200
300
400
500
(単位:件)
係別による情報検索」などの回答があった(図 9-6)
。
医療用具の
分類検索
100
図10-1. リスク委員会の設置状況
4−9−2.組織化を行う契機
リスク委員会が組織されている医療機関に対して、
キーワードによる
情報検索
リスク委員会を組織化することになった契機を尋ねた
1,789
ところ、
「他の医療機関の医療事故を教訓に,医療事故
情報入手順番
に公開(現状)
を未然に防止するため」が 313 件(64.4%)
、
「院内で
948
ヒヤリミスが発生し、再発防止のため」が 120 件
(14.8%)
、
「院内で医療事故が発生し,再発防止のた
その他
47
0
め」が 117 件(16.8%)
、
「その他」が 22 件(4.0%)
500
1,000 1,500 2,000 2,500 3,000
(単位:件)
であった(図 10-2)
。
「その他」として「組織された経
緯はわからない」などの回答があった。
図9-6 .インターネットによる公開方法
医療事故を
未然に防止
4−9.リスク管理体制について
313
ヒヤリミスの
再発防止
4−9−1.リスク委員会の設置状況
医療機関において不具合の再発を防止するため、リ
スク対策のみを検討・評価するリスク委員会が設置さ
れているかの設問には、
「以前から組織されている」が
140 件
(13.4%)
、
「最近、
組織した」
が 311 件
(29.8%)
、
120
医療事故の
再発防止
117
22
その他
0
100
200
「目下,組織化を検討中である」が 370 件(35.8%)
、
「組織する必要はない」が 50 件(4.8%)
、
「その他」
−21−
300
400
(単位:件)
図10-2. 組織化の契機
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
10-4)
。
「その他」として「臨床工学士」や「臨床検査
4−9−3.リスク委員会のメンバー構成
リスク委員会を組織化している医療機関に対して、
委員会をどのようなメンバーで構成しているかを尋ね
技師」
、
「現場担当者」
、
「全職場の代表」などの回答が
あった。
たところ、
「部長(診療科長)
」が 417 件(92.5%)
、
「看
部長
(診療科長)
護部長」が 358 件(79.4%)
、
「事務部長」が 310 件
(68.8%)
、
「薬剤師」が 306 件(67.9%)
、
「婦長」が
546
435
副院長
274 件(60.8%)
、
「臨床医師」が 256 件(56.8%)
、
「臨
床検査技師」が 225 件(49.9%)
、
「病院長」が 224 件
330
病院長
(49.7%)
、
「臨床放射線部技師」が 201 件(44.6%)
、
291
看護部長
「中央診療部門長」が 191 件(42.4%)
、
「臨床工学技
士」が 81 件(18.0%)
、
「その他」が 93 件(20.6%)
であった(図 10-3)
。
「その他」として「副病院長」や
病院外注
69
その他
77
「看護婦」
、
「事務職員」
、
「医療情報部」などの回答が
あった。
0
200
400
600
800
(単位:件)
図10-4.リスク管理室運営に望ましい職種
部長(診療科長)
417
看護部長
4−9−5.リスク委員会の業務内容
358
リスク委員会において行うべき業務内容の設問には、
事務部長
310
「医療事故、
ヒヤリミスの実態と報告状況確認」
が 962
薬剤師
306
件(92.5%)、「事故発生時の対応処理」が 769 件
274
婦長
(73.9%)
、
「医療事故、ヒヤリミスの報告および対策
資料の保存」が 757 件(72.8%)
、
「各部門の診療業務
256
臨床医師
臨床検査技師
225
マニュアル(診療指針)策定および見直し状況の実態
病院長
224
確認」が 704 件(67.7%)
、
「各部門の診療業務がマニ
ュアルどおりに実施されているかの現状確認」が 554
201
臨床放射線技師
191
中央診療部門長
臨床工学技師
81
その他
93
0
100
医療事故、ヒヤリミスの
実態、報告
200
300
400
500
(単位:件)
図10-3. リスク管理委員会の構成メンバー
962
事故発生時の
対処処理
769
医療事故、ヒヤリミスの
報告、対策資料の保存
757
診療業務マニュアルの
策定、見直し
704
診療業務の監視
4−9−4.リスク管理室運営に必要な職種
不具合防止リスク管理室を設置するとしたら、どの
マニュアル改善の指導
ような職種が中心になって運営すべきかを設問したと
添付文書の管理保存
ころ、
「部長(診療科長)
」が 546 件(33.9%)
、
「副病
その他
554
506
425
28
院長」
が435 件
(32.5%)
「病院長」
、
が330 件
(20.9%)
、
「医療機関外注」が 69 件(5.7%)
、
「看護部長」が 291
件(2.9%)
、
「その他」が 77 件(4.1%)であった(図
−22−
0
400
800
1,200
(単位:件)
図10-5.リスク管理室の業務
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
件(53.3%)、「マニュアル改善の指導」が 506 件
その他
(48.7%)
、
「各医療用具の添付文書の管理保存」が 425
40
4.8%
件(40.9%)
、
「その他」が 28 件(2.7%)であった(図
すべて通知
している
ほとんど通知
していない
10-5)
。
「その他」として「他医療機関の不具合発生状
153
18.3%
152
18.2%
況の分析」や「インプラントの安全チェック」などの
合計 835
回答があった。
単位:件
必要に応じて通知している
4−9−6.不具合情報の収集・処理頻度
490
58.7%
不具合防止リスク管理室が設置されている場合、院
内からのリスク管理室への不具合情報の収集・処理の
頻度を尋ねたところ、
「1週間毎」が 5 件(1.1%)
、
「半
図10-7.不具合情報の状況と対応の通知
月毎」
が 15 件
(3.4%)
、
「1 ヶ月毎」
が 134 件
(30.2%)
、
「2 ヶ月毎」が 46 件(10.4%)
、
「不具合の発生時」が
4−9−8.ヒヤリミス管理状態
202 件(45.5%)
、
「その他」が 42 件(9.5%)であっ
医療用具の使用に伴う事故やヒヤリミスの管理状態
た(図 10-6)
。
「その他」として「3∼4 年/回」や「例
に関して、
「所定の文書」が 597 件(64.5%)
、
「電子
会を 1 ヶ月毎で、不具合の発生時」などの回答があっ
情報」が 14 件(1.5%)
、
「管理されていない」が 247
た。
件(26.7%)
、
「その他」が 67 件(7.2%)であった。
「その他」として「病棟連絡会」などの回答があった
1週間毎
1.1% 5
その他
42
9.5%
不具合の
発生時
202
45.5%
15
半月毎
3.4%
(図 10-8)
。
その他
1ヶ月毎
134
合計 444
67
7.2%
30.2%
管理されて
いない
単位:件
247
26.7%
2ヵ月毎
46
10.4%
合計 925
単位:件
所定の文書
597
64.5%
電子情報
14
1.5%
図10-6.リスク管理室への不具合情報の
収集・処理の頻度
図10-8. 医療事故やヒヤリミスの管理状態
4−9−7.不具合状況と通知
4−9−9.診療業務マニュアルの整備状況
類似した不具合発生の防止のため各部門に対する不
不具合原因が医療用具の不適正使用による場合、事
具合状況とその対応の通知は、
「すべて通知している」
故当事者は責任だけでなく、その医療機関において診
が 153 件(18.3%)
、
「必要に応じて通知している」が
療業務マニュアルを策定しなかった診療科長/部長の
490 件(58.9%)
、
「殆ど通知していない」が 152 件
責任も発生すると考えられる。
(18.2%)
、
「その他」が 40 件(4.6%)であった(図
不具合防止のための診療業務マニュアルの整備状況
10-7)
。なお、
「その他」として「通知を検討中」とい
を尋ねたところ、
「十分に整備されている」が 44 件
う回答があった。
(4.4%)
、
「一応整備されている」が 421 件(42.6%)
、
−23−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
「ほとんど整備されていない」が 340 件(34.4%)
、
「な
件(45.7%)
、
「ほとんど行われていない」が 362 件
いに等しい」が 132 件(13.3%)
、
「その他」が 52 件
(41.6%)
、
「その他」が「準備中」や「検討中」など
(5.3%)であり、診療業務マニュアルの整備が多くの
63 件(7.2%)であった(図 10-11)
。
部局で十分でない状況が分かった(図 10-9)
。
「その他」
63
7.2%
十分に整備
されている
その他
4.4%
52
5.3%
44
ないに等しい
132 13.3%
50
5.7%
随時
ほとんど
行われていない
合計 875
362
単位:件
400
45.7%
41.4%
合計 989
ほとんど整備
されていない
定期的
その他
として「準備中」や「検討中」という回答があった。
一応整備
されている
単位:件
421
42.6%
340
34.4%
図10-11.診療業務マニュアルの見直し
図10-9.診療業務マニュアルの整備状況
4−9−11.診療業務マニュアルの周知度
不具合防止のための診療業務マニュアルは医療スタ
4−9−10.マニュアルの利用方法と見直し
ッフに周知徹底されているかという設問に関して、
「全
診療業務は原則としてマニュアルに沿って実施され
員に周知している」が 85 件(9.3%)
、
「大部分のスタ
るべきかという設問に関して、
「マニュアルに沿うべき
ッフに周知されている」が 287 件(31.4%)
、
「一部の
である」が 550 件(53.2%)
、
「例外が多いのでマニュ
スタッフにのみ周知している」が 210 件(23.0%)
、
「ほ
アルは参考程度とすべき」が 429 件(41.5%)
、
「マニ
とんど周知されていない」が 161 件(17.6%)
、
「分か
ュアルを作成しても役立たない」が 30 件(2.9%)
、
「そ
らない」が 129 件(14.1%)
、
「その他」が 41 件(4.5%)
の他」が 30 件(2.4%)であった(図 10-10)
。
であった(図 10-12)
。
「その他」として「準備中」や
「今後の課題」などの回答があった。
役に立たない
その他
25 2.4%
30 2.9%
その他
分からない
例外が多い
ので参考程度
合計 1034
429
41.5%
単位:件
全員に周知
41 している
4.5% 85
9.3%
129
14.1%
マニュアルに
沿うべき
550
ほとんど周知さ
れていない
53.2%
161
17.6%
合計 913
単位:件
大部分の
スタッフに周知
されている
287
31.4%
一部のスタッフのみ
周知されている
210
23.0%
図10-10.マニュアルの利用方法
診療業務マニュアルの見直しに関して、
「定期的に行
っている」が 50 件(5.6%)
、
「随時行っている」が 400
−24−
図10-12.マニュアルの周知徹底状況
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
5.考察
一方、
「医薬品等安全性情報報告制度」の周知状況は
一般病床 200 床以上の医療機関 1,895 施設における
回答者の 43.7%で周知していた。部局別に「医薬品等
8つの診療科の診療科長/部長クラスおよび7つの部
安全性情報報告制度」の周知状況を類別したところ、
門の部長または技師長クラスの医療スタッフに回答を
「薬剤部」
、
「リスク委員会」
、
「事務部門」以外の部局
求め、501 施設(26.4%)
、延べ 3,056 件の有効回答を
は、5 割以下と低い周知度であることが分かった(図
得た。不具合に関する調査回答率は、医療機関が抱え
11-2)
。
る構造的問題や医療過誤の隠蔽体質があるため、ほと
んど期待できないであろうと予測していたが、3000
件を超える回答が集まったことは、本調査に対して関
心の深さを物語っている。
本考察では、前述の調査結果から、医療機関の各種
安全性情報制度の周知傾向を分析するとともに、現行
制度に期待する事項や問題点を明確化することで、厚
生省の「医薬品等安全性情報報告制度」が有効に機能
するための方策について検討を試みた。また、医療用
具を医療機器、医療器材、医療材料に大別し、医療用
具の欠陥・故障による不具合、不適正使用による不具
合やヒヤリミス発生の相違も明確にすることを試みた。
心臓血管外科
整形外科
消化器外科
眼科
脳神経外科
麻酔科
循環器内科
消化器内科
手術部
薬剤部
放射線部
検査部
ME部門
看護部
リスク委員会
事務部門
その他
さらに、リスク委員会を組織する医療機関 240 施設
72
26
117
104
122
110
70
108
81
79
103
109
81
105
104
89
64
70
46
240
110
145
114
111
27
65
113
154
14
44
23
46
52
69
0
20
40
60
80
100
(単位:%)
(47.9%)と組織しない医療機関で、厚生省の各種安
全性情報制度や提供されている安全性情報の周知状況
知っていた
知らなかった
図11-1.回答者の「医療用具の不具合・感染症報告制度」の周知
にどの程度の相違があるのかを分析した。
5−1.不具合情報の周知状況に関して
心臓血管外科
「医療用具の不具合・感染症報告制度」の周知状況に
ついて回答者の 57.0%は「知っていた」と回答したが、
部局別に類別し「医療用具の不具合・感染症報告制度」
の周知状況を分析したところ、
「薬剤部」が最も周知度
が高く、次いで「リスク委員会」
、
「心臓血管外科」
、
「ME
46
整形外科
消化器外科
128
98
眼科
132
51
125
脳神経外科
85
74
麻酔科
85
124
循環器内科
79
108
消化器内科
114
78
手術部
部門」の順に多かった(図 11-1)
。
51
93
94
34
薬剤部
「薬剤部」が「医療用具の不具合・感染症報告制度」
の周知状況が良好な理由として、従前の「医薬品副作
用モニター制度」や「血液製剤によるHIV感染問題」
などに代表されるように、医療機関において医薬品の
市販後安全対策の窓口として機能し、厚生省からの安
34
250
放射線部
170
82
検査部
158
61
ME部門
55
36
看護部
180
83
リスク委員会
13
45
事務部門
31
38
その他
61
56
全性情報を入手・把握する体制が既に確立していたた
0
めと思われる。また、
「心臓血管外科」と「ME 部門」
に関しては医療用具の使用に伴なうリスクや使用頻度
の多さから周知度が上がったのでは考察した。
−25−
20
知っていた
40
60
80
100
(単位:%)
知らなかった
図11-2.「医薬品等安全性情報報告制度」の部局別周知状況
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
「緊急安全性情報制度」に関しては、診療科を中心
いた」と回答していた。部局別に「医薬品等安全性情
に回答者の 69.5%で周知していることから、
「医療用
報報告制度」の周知状況を分析したところ、前述の「医
具の不具合・感染症報告制度」や「医薬品等安全性情
療用具の不具合・感染症報告制度」
の周知傾向と同様、
報報告制度」に比べると、各診療科はもちろん「薬剤
周知度の低さを露呈する結果となった(図 12-2)
。
部」
、
「リスク委員会」を中心に認識度が高いことが分
かった(図 11-3)
。しかし、
「ME 部門」
、
「放射線部」
、
心臓血管外科
24
「検査部」
、
「看護部」
、
「手術部」などの中央診療部門
消化器外科 18
では5割以下となり、医療用具を多用する部門であり
眼科 11
ながら周知度が低いことが分かった。
このことから
「緊
急安全性情報」を関係する部局のみに周知するだけで
脳神経外科
94
消化器外科
174
眼科
66
脳神経外科
循環器内科
60
86
48
73
15
20
60
80
100
一部しか知らなかった
全員知らなかった
139
70
ME部門
図12-1.スタッフの「医療用具の不具合・感染症報告制度」の周知
44
45
136
116
リスク委員会
9
48
事務部門
28
36
その他
心臓血管外科
27
95
24
20
40
60
80
100
(単位:%)
知っていた
知らなかった
各部局スタッフの「医療用具の不具合・感染症報告
制度」の周知状況は回答全体の 9.6%が「全員知って
いた」
、
63.5%が
「一部しか知らなかった」
と回答した。
その中で、
「全員知っていた」という回答割合が高い部
16
94
消化器内科
薬剤部
制度」の周知について、全体の 11.0%が「全員知って
−26−
62
69
198
74
120
90
11
60
看護部 4
20
170
86
リスク委員会 3
48
7
48
15
0
16
163
検査部 5
ME部門
35
61
66
放射線部 13
その他
一方、各部局スタッフの「医薬品等安全性情報報告
107
114
手術部 5
部門」であるが、その平均も僅か1割程度に留まって
11-1)と比して、1/6 程度の極めて低い周知度である。
67
31
事務部門 4
る「医療用具の不具合・感染症報告制度」周知状況(図
47
123
16
局は、
「薬剤部」
、
「心臓血管外科」
、
「循環器内科」
、
「ME
いる(図 12-1)
。この傾向は、前述した回答者に対す
75
85
麻酔科 16
5−2.スタッフの各種安全性情報制度の周知状況
43
165
眼科 11
循環器内科
49
155
消化器外科 18
脳神経外科
図11-3.「緊急安全性情報制度」の部局別周知状況
12
61
整形外科 19
0
29
40
全員知っていた
看護部
12
9
127
120
検査部
7
48
(単位:%)
275
放射線部
20
170
0
65
65
薬剤部
90
30
162
手術部
120
11
その他
22
162
消化器内科
74
事務部門 4
42
168
16
163
13
リスク委員会 3
22
138
麻酔科
62
198
看護部 4
65
35
61
69
ME部門
59
112
107
114
検査部 5
56
67
31
放射線部
13
168
47
123
手術部 5
84
整形外科
75
16
薬剤部
心臓血管外科
43
165
85
消化器内科 16
なく、中央診療部門へ周知する必要性を感じた。
49
155
麻酔科 16
循環器内科
12
61
整形外科 19
12
73
20
全員知っていた
40
29
60
80
100
(単位:%)
一部しか知らなかった
全員知らなかった
図12-2.スタッフの「医薬品等安全性情報報告制度」の周知
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
5−3.安全性情報の内容把握について
「医薬品等安全性情報」による医療用具の不具合情
心臓血管外科
51
整形外科
報の内容把握は、部局別に類別したところ、
「薬剤部」
消化器外科
での把握状態が突出して良好であり、次いで各診療科
105
87
麻酔科
た。
73
133
77
循環器内科
94
91
消化器内科
96
98
手術部
最近の「医薬品等安全性情報」の発表事例として、
111
73
脳神経外科
除く中央診療部門での把握状況は若干低い傾向を示し
113
119
眼科
で高いことが分かった(図 13-1)
。一方、
「薬剤部」を
45
104
51
76
薬剤部
247
38
「西暦 2000 年問題(Y2K)
」に関して、すべて部局で
放射線部
89
164
高い把握を示したが、
「白血球除去フィルター使用の輸
検査部
72
145
ME部門
血時における血圧低下、ショックについて」
、
「天然ゴ
43
看護部
ムアレルギーについて」
、
「骨セメントの股関節への使
50
100
163
リスク委員会
35
事務部門
用時における血圧低下、ショックについて」
、
「万引き
21
34
その他
34
56
62
防止監視及び金属探知システムの植込み型心臓ペース
0
メーカ、植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置
20
40
60
80
100
(単位:%)
知っていた
への影響について」
、
「油脂性成分を基剤とする膣坐剤
知らなかった
図13-1.「医薬品等安全性情報」公開の部局別周知状況
等の接触による避妊用ラテックスゴム製品の品質の劣
化について」
、
「透析型人工腎臓装置の適正管理につい
て」
、
「シアノアクリレート系外科用接着剤と滅菌剤外
心臓血管外科
科用パッドとの併用による脳動脈閉塞性血管病変につ
整形外科
59
消化器外科
いて」は、関連のある診療科を中心に把握される傾向
眼科
に留まった。その中で唯一例外ともいえるのが「薬剤
脳神経外科
116
128
106
81
75
125
部」の周知度であり、全ての項目に関して安全性情報
循環器内科
98
を把握していることが分かった。
消化器内科
99
手術部
放射線部
等安全性情報」の内容把握と同様に、
「薬剤部」での把
検査部
41
84
245
150
55
149
36
看護部
ことが分かった(図 14-1)
。
53
89
161
リスク委員会
厚生省からの最近の「緊急安全性情報」として、
「抗
37
83
ME部門
握状態が突出して良好であり、次いで各診療科が高い
80
85
94
薬剤部
情報の内容把握は、部局別に類別したところ、
「医薬品
104
64
麻酔科
一方、
「緊急安全性情報」
」による医療用具の不具合
38
100
34
事務部門
31
その他
58
22
31
63
菌処理カテーテルを使用した際に発生したアナフィラ
0
キシー・ショックについて」や「CPI 社製ペースメー
20
40
60
80
100
(単位:%)
知っていた
知らなかった
カについて」が発表されたが、各部局で周知状況を比
図13-2.「緊急安全性情報」公開の部局別周知状況
較すると、
「薬剤部」が最も周知度が良く、次いで「循
環器内科」
、
「麻酔科」であった。項目別に見ると「循
環器内科」や「麻酔科」は直接的に関係する事項なの
5−4.厚生省への不具合報告に関して
図 7-1 から厚生省への不具合報告は、
「わからない」
で関心が高いことは推測されたが、
「薬剤部」はどちら
の項目に関しても把握しており、情報入手と内容把握
という回答が 6 割と圧倒的に多く、報告が把握できて
の体制が整っていることが伺える。
いない状態である場合が多いことが判明した。
−27−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
厚生省に対する医療用具の不具合報告がすべて報告
件であり、平成9年度の同報告件数(医療機関から 56
されている件数を部局別に類別してみると、
「消化器外
件)に比べると増加している。この報告件数を今回の
科」
、
「麻酔科」
、
「消化器内科」
、
「整形外科」
、
「循環器
アンケートで報告された不具合発生件数と比較すると、
内科」など診療科が中心であった(図 14-1)
。
患者に重篤な症状・死亡に至った不具合件数(図 6-1
より 387 件)だけを見ても 5 分の 1 と極めて少ない値
心臓血管外科 4
19
4 3
整形外科 10 41 5
消化器外科
69
42
15 13 5
眼科 4 11
27
故障による不具合」
、
「不適正使用による不具合」を医
56
30
50
麻酔科 11 425
45
79
循環器内科 9 31 11
27
62
消化器内科 11 41 5
28
60
20
26
放射線部 13 215
30
検査部 8 6
28
看護部 1 6
事務部門
った(図 15-1)
。
104
78
18
112
4
12
床未満」では 566 件、
「600 床以上」では 877 件とな
41
1
1
2 7
300床未満
医療機器
99
41 10
12
6
2
その他
床未満」では 623 件、
「400 床未満」では 302 件、
「600
46
12
リスク委員会
療用具の種類毎に不具合報告件数を合計すると、
「300
61
薬剤部 6 12 5
ME部門 2
今回調査の「重篤・死亡に至った不具合」
、
「欠陥・
71
脳神経外科 7 4 12
手術部 31
であることが分かった。
26
30
88
77
109
32
医療器材
90
医療材料
12
17
41
77
上
: 重篤・死亡
中央 : 欠陥・故障
0
20
40
60
80
100
すべて報告している
大部分報告している
一部報告している
ほとんど報告していない
全く報告していない
分からない
下
101511
(単位:件数)
400床未満
66
52
: 不適正使用
59
36 25 28
図14-1.厚生省への不具合報告状況
60 11 43
また、厚生省に報告できない理由として、回答の多
600床未満
164
かった理由に「医薬品等安全性情報報告制度を知らな
32
25
123
52
56
かったから」という回答で、
「麻酔科」
、
「消化器内科」
、
25 15 47
「放射線科」
、
「検査部」が高値を示した。次いで多か
600床以上
った回答は「医薬品等安全性情報報告書が手元になか
336
125
ったから」という回答で、
「放射線部」が最も高値を示
100
87
72
70
した。また、
「上司または病院長の決済が必要なため勝
0
手に報告できないから」という回答では、
「看護部」の
100
200
300
400
500
(単位:件)
図15-1.本アンケートの不具合発生報告件数
回答が最も高値を示した。このことから厚生省からの
安全性情報が医療機関の各部局に周知されていない現
病床数に関係なく、不具合発生で共通していること
状とともに、医療機関から厚生省に対する報告体制に
は「医療用具の欠陥・故障による不具合」が「不適正
おいても何らかの拘束が厚生省の不具合報告を増加さ
使用による不具合」より報告件数が多いことであり、
せない要因考えることができる。
医療用具の使用前安全確認や保守点検に問題があると
考察した。
5−5.本調査における不具合報告状況
「300 床未満」に注目すると、不具合報告が「400
平成 10 年度に厚生省に報告された医療用具の不具
床未満」
、
「600 床未満」の施設以上に多いことが分か
合報告件数は、関係企業から 514 件、医療機関から 76
った。また、各病床数の平均不具合件数(=不具合件
−28−
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)/医療用具の不具合情報等の適正管理に関する研究
数/回答件数)を調べた結果、図 15-1 とほぼ同様の
至った不具合」の報告件数は、
「脳神経外科」が 11 件
割合となった。
と最も多く、次いで「ME 部門」の 6 件、
「消化器外
このことから、施設規模の拡大によって、医療スタ
科」
・
「眼科」の 5 件の順となった。また、医療器材で
ッフの医療行為件数および医療用具の使用頻度が増加
「医療用具の欠陥・故障による不具合」
の報告件数は、
し、その結果不具合も増加するという予測に反する結
「消化器内科」が 62 件と突出して多く、次いで「事
果となり、
「300 床未満」の不具合発生頻度が高い傾向
務部門」の 32 件、
「眼科」の 25 件、
「手術部」の 20
が明確となった。さらに、
「300 床未満」の施設では医
件、
「脳神経外科」
・
「循環器内科」
・
「検査部」の 18 件、
療用具の「重篤・死亡に至った不具合」が他の病床数
「ME 部門」の 15 件の順となった。医療器材の「故
以上に高くなっている一方、
「600 床以上」の施設では
障・欠陥による不具合」において「消化器内科」で多
医療用具の「欠陥・故障による不具合」は病床数の増
くなった原因として、腹腔鏡下手術などの使用におけ
加に比例して発生しているが、それに対して「重篤・
る医療器材の不具合ではないかと推測した。また、医
死亡に至った不具合」はその1/6 と少ないことが分
療器材の「不適正使用による不具合」の報告件数は、
かった。
「脳神経外科」が 24 件と最も多く、次いで「眼科」
以上のことから、
「300 床未満」の施設では、日常の
診療・治療や医事業務に追われ、医療用具の安全性情
の 21 件、
「麻酔科」の 14 件、
「消化器外科」の 13 件
の順となった。
一方、図 15-4 より、医療材料で「患者に重篤な影
報の把握や医療用具の不具合発生防止のためのリスク
管理体制が十分で整っていないと考察した。
響または死亡に至った不具合」の報告件数は、
「ME 部
次に、医療用具を医療機器、医療器材、医療材料に
門」が突出して 98 件と最も多く、次いで「脳神経外
大別し、各部局の不具合報告の状況を整理すると図
科」の 21 件、
「循環器内科」の 13 件、
「麻酔科」の
15-2、図 15-3、図 15-4 になる。
10 件、
「消化器外科」の 9 件の順となった。また、医
医療機器の部局別不具合報告件数はは「放射線部」
、
療材料で「医療用具の欠陥・故障による不具合」の報
「ME 部門」
、
「検査部」
、
「麻酔科」
、
「看護部」の順に
告件数は、
「ME 部門」が 44 件と最も多く、次いで「循
多く、医療器材では「消化器外科」
、
「眼科」
、
「脳神経
環器内科」の 30 件、
「消化器内科」27 件、
「消化器外
外科」の順に多く、医療材料では「ME 部門」
、
「看護
科」の 25 件、
「看護部」の 20 件の順となった。また、
部」
、
「消化器外科」
、
「眼科」
、
「循環器外科」
、
「消化器
医療材料で
「不適正使用による不具合」
の報告件数は、
内科」の順に多い傾向を示した。
「ME 部門」が 50 件と最も多く、次いで「看護部」
図 15-2 より、医療機器で「患者に重篤な影響また
の 39 件、
「消化器外科」の 26 件、
「眼科」の 20 件、
は死亡に至った不具合」の報告件数は、
「ME 部門」が
「手術部」
・
「脳神経外科」の 15 件の順となった。医
39 件で最も多く、次いで「放射線部」の 17 件、
「検査
療材料の「不適正使用による不具合」において「ME
部」の 15 件、
「循環器内科」の 13 件、
「眼科」
・
「脳神
部門」
・
「看護部」
が他の部局に比して多い原因として、
経外科」の 12 件の順となった。また、医療機器で「医
使用方法等の業務マニュアルが明確になっていないこ
療用具の欠陥・故障による不具合」の報告件数は、
「放
とや業務処理が複雑化しているためと考察した。
射線部」が240 件と突出して多く、次いで「麻酔科」
・
このことから、
「ME 部門」
、
「検査部」
、
「放射線部」
「検査部」の 65 件、
「ME 部門」の 54 件の順となっ
などの報告件数が予想した以上に多いことから、厚生
た。また、医療機器で「不適正使用による不具合」の
省の「医薬品等安全性情報報告制度」で医療用具の不
報告件数は、
「ME 部門」が 101 件と最も多く、次い
具合発生を漏れなく報告させるには、報告資格者とし
で「看護部」の 59 件、
「検査部」の 53 件、
「脳神経外
て医師、薬剤師のみに限定するのではなく、臨床工学
科」の 40 件の順となった。
技士、臨床検査技師、診療放射線技師、看護婦に職種
一方、医療器材で「患者に重篤な影響または死亡に
を報告資格者に追加する必要性を感じた。
−29−
平成 11 年度国立医薬品食品衛生研究所請負研究/医療用具の不具合発生状況の実態調査
0
医療機器
0
心臓血管外科 3
上
4
: 重篤・死亡 下
整形外科
上
1
中央 : 故障・欠陥 0
医療器材
心臓血管外科 1
下
整形外科
24
6
消化器外科
消化器外科
13
眼科
32
19
20
11
脳神経外科
13
21
18
脳神経外科
24
40
13
15
0
4
麻酔科
65
麻酔科
9
33
2
13
循環器内科
33
循環器内科
10
14
11
麻酔科
14
13
18
循環器内科
10
10
30
14
2
2
消化器内科
5
消化器内科
41
62
消化器内科
27
8
10
12
0
3
手術部
手術部 4
6
20
手術部
17
15
7
6
0
0
薬剤部
6
3
240
17
放射線部
2
5
薬剤部
0
3
0
0
放射線部
2
6
放射線部
15
5
9
検査部
65
18
53
1
4
検査部
10
2
ME部門
54
15
ME部門
10
101
44
50
2
9
13
看護部
9
7
看護部
20
9
59
30
1
0
リスク
委員会 1
リスク
委員会 11
6
6
リスク
委員会
7
3
11
0
0
事務部門
98
6
39
ME部門
9
3
15
検査部
事務部門
22
0
事務部門 1
32
0
1
0
13
2
その他
12
5
3
その他
7
15
0
眼科
21
12
その他
6
25
26
脳神経外科
25
26
5
12
眼科
9
10
消化器外科
16
15
看護部
: 不適正使用 19
5
8
薬剤部
下
6
整形外科
6
: 重篤・死亡 中央 : 故障・欠陥 4
: 不適正使用 13
2
上
13
中央 : 故障・欠陥 1
: 不適正使用 医療材料
1
心臓血管外科
: 重篤・死亡 50
100
150
200
250
0
10
20
30
(単位:件)
図15-2.不具合発生実態件数
(医療機器)
19
8
40
50
60
70
(単位:件)
図15-3.不具合発生実態件数
(医療器材)
−30−
0
20
40
60
80
100
(単位:件)
図15-4.不具合発生実態件数
(医療材料)
平成 11 年度国立医薬品食品衛生研究所請負研究/医療用具の不具合発生状況の実態調査
5−6.本調査におけるヒヤリミス報告状況
次に、医療用具を医療機器、医療器材、医療材料に
本調査において医療用具の使用に伴うヒヤリミス報
告を病床数別に類別すると図 16-1 になり、
「300 床未
大別し、各部局の不具合報告の状況を整理すると図
16-2、図 16-3、図 16-4 になる。
満」で 910 件、
「400 床未満」で 1,011 件、
「600 床未
部局別ヒヤリミス報告件数は、医療機器では「看護
満」で 1,509 件、
「600 床以上」で 1,858 件となり、ほ
部」
、
「ME 部門」
、
「検査部」
、
「麻酔科」
、
「放射線部」
ぼ病床数に比例してヒヤリミスの発生が起こっている
の順に多く、医療器材では「ME 部門」
、
「手術部」
、
「麻
ことが分かった。
また、
「不適正使用によるヒヤリミス」
酔科」
、
「消化器外科」の順に多く、医療材料では「看
は「不適正使用による不具合」の 2 倍以上であり、特
護部」
、
「ME 部門」
、
「手術部」
、
「放射線部」
、
「麻酔科」
、
に医療機器で多いことが分かった。この理由として、
「消化器外科」
「整形外科」
、
の順に多い傾向を示した。
病床数の増加によるスタッフ数や医療用具の増加およ
図 16-2 より、医療機器で「医療用具の欠陥・故障
び診療形態の複雑化が原因しているものと推測される。
によるヒヤリミス」の報告件数は、
「ME 部門」が 177
次に、
「医療用具の欠陥・故障によるヒヤリミス」
(図
件と最も多く、次いで「放射線部」の 136 件、
「麻酔
16-1 上段)と「不適正使用によるヒヤリミス」
(図 16-1
科」の 118 件、
「看護部」の 100 件の順となった。看
下段)の報告件数を図 15-1 の不具合報告件数と比較
護部が医療機器で「医療用具の欠陥・故障によるヒヤ
すると、
「300 床未満」を除き、
「不適正使用によるヒ
リミス」の報告件数が多かった原因として、看護婦の
ヤリミス」が「医療用具の欠陥・故障によるヒヤリミ
配属交代により医療機器の使用に不慣れであったこと
ス」を逆転して上回る状況になり、医療用具の適正な
や、医療機器の正しい取り扱い方を定期的にトレーニ
使用および操作の徹底が十分でない領域でヒヤリミス
ングしていないことなどと推測される。また、医療機
が起き易い傾向にあることが明らかとなった。
器で「不適正使用による不具合」の報告件数は、
「看護
部」が 432 件と突出して多く、次いで「ME 部門」の
293 件、
「検査部」の 186 件、
「麻酔科」の 163 件の順
230
55
154
となった。
医療機器
300床未満
医療器材
216
109
146
一方、図 16-3 より、医療器材で「医療用具の欠陥・
医療材料
故障による不具合」の報告件数は、
「手術部」が 88 件
上 : 欠陥・故障
下 : 不適正使用
189
78
「消化器外
と最も多く、次いで「ME 部門」の 62 件、
108
400床未満
332
科」の 44 件、
「脳神経外科」の 28 件の順となった。
84
220
また、医療器材の「不適正使用による不具合」の報告
件数は、
「脳神経外科」が 24 件と最も多く、次いで「眼
253
80
171
科」の 21 件、
「麻酔科」の 14 件、
「消化器外科」の
600床未満
594
187
13 件の順となった。
224
一方、図 16-4 より、医療材料で「医療用具の欠陥・
275
154
故障による不具合」の報告件数は、
「看護部」が 125
294
600床以上
608
174
353
件と最も多く、次いで「手術部」の 116 件、
「放射線
科」78 件、
「ME 部門」の 66 件、
「麻酔科」の 57 件、
0
200
400
600
800
1000
1200
(単位:件)
図16-1.本調査のヒヤリミス発生報告件数
「薬剤部」の 56 件の順となった。また、医療材料で
「不適正使用による不具合」の報告件数は、
「看護部」
が 174 件と突出して多く、次いで「ME 部門」の 113
−31−
平成 11 年度国立医薬品食品衛生研究所請負研究/医療用具の不具合発生状況の実態調査
心臓血管外科
医療機器
21
医療器材
7
心臓血管外科
上 : 欠陥・故障 27
8
下 : 不適正使用 整形外科
整形外科
48
14
33
消化器外科
44
消化器外科
54
47
消化器外科
42
38
32
眼科
7
6
眼科
37
眼科
28
13
47
脳神経外科
34
28
脳神経外科
脳神経外科
55
53
41
118
麻酔科
57
麻酔科
32
麻酔科
163
84
64
35
21
27
循環器内科
循環器内科
33
37
19
30
24
消化器内科
消化器内科
14
消化器内科
33
42
20
54
116
手術部
88
手術部
60
薬剤部
下 : 不適正使用
25
14
整形外科
16
手術部
上 : 欠陥・故障 17
下 : 不適正使用
11
循環器内科
医療材料
14
心臓血管外科
上 : 欠陥・故障
60
51
56
27
薬剤部
52
薬剤部
0
39
0
136
放射線部
106
78
放射線部
20
放射線部
71
30
2
検査部
50
検査部
186
検査部
1
65
11
177
ME部門
ME部門
113
293
120
125
100
看護部
看護部
21
看護部
432
リスク
委員会
事務部門
リスク
委員会
83
23
事務部門
リスク
委員会
3
35
16
12
29
事務部門
0
17
その他
その他
6
7
27
26
0
100
7
26
58
0
174
51
24
54
その他
66
ME部門
62
200
300
400
500
0
50
(単位:件)
図16-3.ヒヤリミス発生実態件数
(医療機器)
100
150
(単位:件)
図16-4.ヒヤリミス発生実態件数
(医療器材)
−32−
50
100
150
200
(単位:件)
図16-5.ヒヤリミス発生実態件数
(医療材料)
医療機関における医療用具の不具合発生実態とリスク管理の必要性に関する意識調査研究
件、
「麻酔科」の 84 件、
「放射線部」の 71 件、
「検査
部」の 65 件の順となった。
臨床工学技士
医療器材・医療材料のヒヤリミス報告において、
「看
5092
88 158 162 85132 184 153 130102 202 192 182 89 218 42
放射線技師 63128 150 8011013812713263 179
4483
223 1585612834
護部」
・
「麻酔科」
・
「ME 部門」は、
「医療用具の欠陥・
臨床検査技師 53109119789412010710853148 177
故障によるヒヤリミス」より「不適正使用によるヒヤ
リミス」が多いことから、診療マニュアルの不徹底や
14
57
47
14
15
20
55
18
22
13
17
17
15
16
3
その他の職種 15
業務の煩雑さにともなう注意不足などが原因と思われ
28
0
5
1
10
13
23
11
12
516
19
417
特に必要ない 16
る。一方、
「手術部」においては、
「不適正使用による
3865
169469026
3
2
23
16
96
20
16
9717
10
37
123
分からない 23
ヒヤリミス」より「医療用具の欠陥・故障によるヒヤ
0
リミス」が多いため、ヒヤリミス防止には事前チェッ
500
1000
1500
2000
2500
(単位:件)
クの強化や保守点検の充実の必要が重要と推測した。
心臓血管外科
整形外科
消化器外科
眼科
脳神経外科
麻酔科
循環器内科
消化器内科
手術部
薬剤部
放射線部
検査部
ME部門
看護部
事務部門
リスク管理委員会
その他
以上のことから、各診療科でのヒヤリミスも発生し
図17-1.報告対象者の範囲拡大の部局別意識
ているが、
「看護部」
、
「ME 部門」
、
「放射線部」
、
「検査
部」など診療・治療全体に関わる部門でのヒヤリミス
不具合報告制度の改善すべきことに関して最も多か
報告件数が予想した以上に多いことが分かった。
特に、
「看護部」のヒヤリミス報告に、
「不適正によるヒヤリ
った回答は、
「厚生省で不具合情報を取りまとめて情報
ミス」の報告件数が看護部全体の 4/5 を占めたこと
を提供する」であった。次いで「医療スタッフが随時
は医療用具の安全使用に関する教育の必要性を感じた。
利用できる情報提供」という回答であった。部局別の
今回のヒヤリミス報告からも、不具合報告と同様、
内訳としては前述した「報告対象者の範囲」と同様で
臨床工学技士、臨床検査技師、診療放射線技師、看護
「看護部」
、
「検査部」
、
「放射線部」の回答が多かった。
婦からの方向が多く、厚生省の「医薬品等安全性情報
以上のことから、これらの部局で特に安全性情報に対
報告制度」において、医療用具のヒヤリミス発生も不
する関心が高いことや、安全性情報の提供がこれらの
具合報告として報告させるには、報告資格者として医
部局に十分に伝わっていないことが推測された。
師、薬剤師のみに限定するのではなく、これらコメデ
ィカルの職種を報告資格者に追加する必要性を感じた。
心臓血管外科
28
今後、
「医薬品等安全報告制度」の報告資格者として
追加が望ましい職種に関する回答は、
「臨床工学技士」
が最も多く、次いで「診療放射線技士」
、
「臨床検査技
151
144
消化器外科
73
163
152
4
167
7
41
して、この職種の追加の必要意識は、各部局に共通す
るものであったが、中でも「看護部」
、
「検査部」
、
「放
射線部」
、
「薬剤部」から賛同する回答が多かった。
また、
「臨床工学技士」の回答者は、自ら報告対象者
に追加されることを望んでいることや、前述の不具合
およびヒヤリミスが多く報告されていることから、報
114
脳神経外科
60
麻酔科
68
循環器内科
60
1
142
3
71 2
195
163
133
141
75
99
4
2
2
52 2
72
看護部
130
179
72
33
リスク委員会 14 44
事務部門
129
98
103
検査部
ME部門
110
141
73
放射線部
3
5
158
47
手術部
115
114
63
消化器内科
薬剤部
師」の順であった(図 17-1)
。なお、報告者の対象と
71 3
82
眼科
5−7.今後の不具合報告制度に対する意見
68
整形外科
168
107
7
39 2
22 44 23
37
その他
0
87
71
100
200
300
400
500
(単位:件)
入手順に公開
分類検索
キーワード検索
その他
告資格者として拡大すれば不具合情報報告は充実する
図17-2.インターネットによる安全性情報公開に関する希望
ことが予想される。
−33−
医療機関における医療用具の不具合発生実態とリスク管理の必要性に関する意識調査研究
インターネットによる安全性情報公開に関する希望
5−9.リスク委員会組織化と各種制度周知の関係
として、従来の「情報入手順番による公開」だけでな
リスク委員会の組織化と各制度の周知状況の関係を
く、
「医療用具の分類検索」や「キーワードによる情報
調べると、図 19-1 のように「医療用具の不具合・感染
検索」などで情報公開されることの期待が各部局に共
症報告制度」
(上段)と「医薬品等安全性情報報告制度」
通してあることが分かった(図 17-2)
。
(中段)及び「緊急安全性情報」配布(下段)の周知
このことから、厚生省からのインターネットによる
状況とリスク委員会組織化の関係は、いずれの制度に
安全性情報の公開にはこれらの希望を含め、利用でき
おいても委員会が組織されている施設ほど周知される
る環境に改善することが望ましいと考える。
傾向にあることが分かった。
しかし、各制度の周知割合を計算すると、
「医薬品等
5−8.リスク委員会組織化の病床数の関係
安全性情報」については「組織済み」の施設でさえ、
リスク委員会の設置と病床数の関係を調べると、病
床数が多いほどリスク委員会の組織化が進む傾向にあ
その周知は 5 割に留まり、
「組織化を検討中」の施設
では 4 割と、
あまり周知されていないの現状にあった。
った(図 18-1)
。その理由の1つとして、施設規模の
拡大と伴ない、スタッフ数・診療科数・受療件数の増
「医療用具の不具合
感染症報告制度」
加し、
不具合の発生頻度が増加し易い状況となるため、
知っていた
これを防ぐ意味で施設内にリスク委員会を設置し不具
82
知らなかった
53
184
190
111
168
25 78
23 81
「医薬品等安全性
情報報告制度」
合やヒヤリミスの報告を徹底させるとともに、不具合
防止の各種対策が立案されているものと思われる。
また、リスク委員会の設置に関して、
「その他」の回
知っていた
67
140
知らなかった
66
152
146
21 57
206
27
97
「緊急安全性情報」
答割合として
「リスク委員会を独立した形ではないが、
知っていた
他の委員会が運営を兼ねている」
との回答が多かった。
知らなかった
リスク委員会の設置状況を病床数別に分析すると
95
40
0
203
85
100
116
200
238
31
101
18 53
300
400
500
600
300 床未満の施設ではあまり組織化されていないこと
組織済み
が分かった。また、組織化を検討中の施設も 4 割強あ
最近組織
組織検討中
必要ない
その他
図19-1.各種安全性情報制度の周知と
リスク委員会設置の関係
り、昨今の医療事故にかかわる報道や訴訟が増加した
ことも影響しているのか、リスク委員会を新設する意
医薬品等の製造業者からの「緊急安全性情報」の配
識は高まっているように感じた。
布については、リスク委員会組織化に関わらず「知っ
300床未満
31
55
127
24
ていた」の回答が約 7 割であり、
「医療用具の不具合・
52
感染症報告制度」や「医薬品等安全性情報報告制度」
4
400床未満
35
600床未満
31
80
87
96
に比べると周知度が高い。この原因には、
「緊急安全性
54
12
80
情報」が医療用具の製造業者から当該医師に直接通達
31
されること、その内容が緊急を要する、医療用具に対
600床以上
41
0
78
20
10
75
40
60
32
80
して危険度の高い情報を取り扱っていることなどが挙
100
げられる。
(単位:%)
組織済み
最近組織
必要ない
その他
最近施行された「医薬品等安全性情報報告制度」及
組織検討中
図18-1.病床数とリスク委員会設置の関係
700
(単位:件)
び、
「緊急安全性情報」配布の周知状況について職種別
で分析すると、
「薬剤部」
、
「リスク委員会」
、
「事務部門」
など直接診療関わらない部局で周知されている一方、
−34−
医療機関における医療用具の不具合発生実態とリスク管理の必要性に関する意識調査研究
診療に直接携わる部局では全体的に約 4 割しか周知さ
5−11.リスク委員会組織化と安全性情報の保存お
れていなかった。また、周知状況に部局でばらつきが
よび通知体制の関係
あることから、院内での安全性情報がスム−ズに流れ
安全性情報の保存に関して、配布された「医薬品等
る体制ができておらず、医療機関の情報入手先(例え
安全性情報」
を保存していない部局も一部にあったが、
ば「薬剤部」
、
「事務部門」
)で留まり、他部局へすべて
「全スタッフ」
、
「一部スタッフ」を合わせて6割が 見
の安全性情報が伝わっていない状況が推測される。
られる状態 で管理されていることが分かった(図
21-1)
。
5−10.リスク委員会組織化と安全性情報内容把握
の関係
組織済み
各安全対策制度で扱われている内容の各部局の把握
60
最近組織
は、
「薬剤部」
ですべての項目について把握状況がよく、
111
組織検討中
内容によるばらつきがなかったが、他の部局ではリス
29
69
143
必要ない
22
35
73
16
13
44
19
58
15
6
53
6
11
31
16 24
10
03
14
19
ク委員会組織化の有無に関わらず、内容把握状況にば
その他
らつきがあった。特に、
「麻酔科」では「医薬品等安全
66
0
性情報」
の把握状況は良好であるが、
「緊急安全性情報」
22
18
20
40
30
60
80
100
(単位:%)
が直接配布され難い故か、情報把握は良くなかった。
制度自体の存在の周知状況が低かった
「看護部」
・
「検
全スタッフ
一部スタッフ
見られない
保存していない
その他
未回答
図21-1.「医薬品等安全性情報」の保存体制
査部」
・
「ME 部門」では、各種報道や新聞で取り扱わ
れた不具合に関して把握状況がよいことが分かった。
心臓血管外科
「医薬品等安全性情報」の確認状況についてリスク
43
整形外科
委員会の有無でみると「定期的に確認している」
、
「不
80
消化器外科
定期だが確認している」を併せ、リスク委員会の有無
眼科
に関わりなく全てにおいて 6 割を越え、確認状況は良
脳神経外科
好であると言える(図 20-1)
。
27
86
循環器内科
77
23
40
薬剤部
30
最近組織
74
66
29
138
83
8
58
検査部
33
ME部門
17
看護部
組織検討中
57
204
89
17
その他
27
30
0
16
78
20
定期的
49
40
60
不定期
未確認
80
2
51
19
19
25
31
13
4
16
60
全スタッフ
一部スタッフ
保存していない
その他
13
7
24
29
6
22
23
40
7 8 13
47
56
44
20
11
12
47
20
20
0
100
(単位:%)
12
24
40
44
28
その他
12
42
42
21
100
事務部門
5
必要ない
14
40
25
リスク委員会
11
49
211
放射線部
22
24
23
12
28
18
23
11
38
29
34
13
34
19
23
81
手術部
45
17
77
11
27
47
63
麻酔科
19
30
43
103
消化器内科
組織済み
14
14
7
5
3
10
26
80
6
100
(単位:%)
見られない
図21-2.「医薬品等安全性情報」の保存体制
未回答
図20-1.「医薬品等安全性情報」の確認頻度
部局別管理体制では、
「薬剤部」を除いた部局で 8
割程度しか保存されていない現状にあった(図 21-2)
。
この状況では院内全体で十分な情報伝達が行われてお
−35−
医療機関における医療用具の不具合発生実態とリスク管理の必要性に関する意識調査研究
らず、知らないために同じ不具合を繰り返し発生する
状況は解決されていないと考えられる。
01
院内に配布された「緊急安全性情報」の通知体制に
医療機器
組織済み 31
14
56
医療器材
8
医療材料
ついて、リスク委員会の有無で分析すると、予想通り
上
: 重篤・死亡
中央 : 故障・欠陥
「組織済み」の施設が「組織検討中」や「必要ない」
43
11
最近組織
と回答した施設より連絡体制は良いと言える(図
下
29
15
4 7
: 不適正使用
28
6
21-3)
。また、この状況に関して「リスク委員会の組織
化は必要ない」と回答した部局でも「今後整備してい
24
組織検討中
6
25
47
36
きたい」
と回答した割合が高いので、
「緊急安全性情報」
1
71
50
45
については積極的な管理姿勢が伺えた。
1101
必要ない 3 12
1
組織済み
72
最近組織
137
組織検討中
193
3
30
31
02
17
3
その他
0
20
40
60
整備済み
整備希望
必要ない
0
その他
1
0 4
30 2
0
50
100
150
200
(単位:件)
図22-1.リスク委員会組織化別で見た不具合報告状況
25
77
64
7
325
4
30
138
141
必要ない
16
52
80
100
(単位:%)
<部局長> 組織済み
未回答
図21-3.「緊急安全性情報」の通知体制
3
48
最近組織
組織検討中
12
112
必要ない
27
1
11
その他
6
7 12
103
4
10
33
11
<病院長> 5−12.リスク委員会組織化と不具合報告状況
組織済み
58
リスク委員会組織化の有無と不具合発生の関係を調
最近組織
137
べるため、リスク委員会組織化別の不具合件数の分析
組織検討中
を試みた。図 22-1 はその結果であり、
「組織済み」に
その他
おいて「不具合による患者に重篤な影響または死亡」
、
「医療用具の欠陥・故障による不具合」
、
「不適正使用
による不具合」とも、他の組織化より少ない傾向にあ
ることが分かった。また、
「最近リスク委員会を組織」
において、
「欠陥・故障による不具合」が「不適正使用
による不具合」より多い傾向にあることが分かった。
一方、
「リスク委員会の組織化を検討中」において、全
ての不具合に関して他の組織より多いことに加え、
「不
適正使用による不具合」が「欠陥・故障による不具合」
必要ない
6
138
37
19
6
38
13
22
38
60
8
24
25
<厚生省> 組織済み
11
最近組織
28
15
48
51
113
組織検討中 23
68
123
必要ない 3
14
その他 3
19
27
48
<当該業者>
組織済み
55
最近組織
2
125
組織検討中
142
必要ない
15
16
45
17
62
24
その他
8
49
0
20
11
40
60
より多い傾向にあることが分かった。
20
80
100
(単位:%)
部局長への報告状況は委員会が組織されている施設
では「全て報告している」
、
「大部分報告している」を
合わせて約 8 割を超えているのに対し、組織化されて
−36−
報告している
報告していない
分からない
図22-2.リスク委員会組織化別で見た不具合報告状況
医療機関における医療用具の不具合発生実態とリスク管理の必要性に関する意識調査研究
いない施設では約 6 割である(図 22-2)
。また、
「報告
ている医療用具の不具合件数
(514 件)
を比較すると、
したか分からない」の比率に着目すると、委員会組織
厚生省への報告件数が約半分に留まり、医療用具の製
済みの施設では 1 割未満であるのに対し、最近組織さ
造業者/輸入販売業者において不具合情報が報告され
れた施設では約2割、必要ないと回答した施設では約
ていないケースが未だあることが推測される。
3 割と不具合情報がどのように処理・管理されている
か分からない状況もあり、不具合についての話し合い
5−13.リスク委員会とヒヤリミス報告体制
リスク委員会組織化の有無とヒヤリミス発生の関係
の場や不具合が発生した際の不具合に対する検討・反
省が十分なされていない状況が多いと推測できる。
を調べるため、リスク委員会組織化別のヒヤリミス件
病院長に対する報告は部局長に対する報告より低い
数の分析を試みた。図 23-1 はその結果であり、どの組
現状に留まった。これは、回答者が病院長に直接報告
織化においても「欠陥・故障によるヒヤリミス」より
できない縦割り的組織構造や、報告することでの責任
「不適正使用によるヒヤリミス」が多い傾向にあるこ
発生等が影響していると考えられる。また、リスク委
とが分かった。
員会が組織化されている施設での報告状況は他と比べ
て良好であることは強調したい。
医療機器
38 1117
医療器材
組織済み
一方、厚生省に対しての報告は、
「全て報告」
、
「大部
医療材料
83
40
33
上 : 故障・欠陥
分報告」とも低値に留まった。その原因として、前述
下 : 不適正使用
の各種安全性情報報告制度の周知状況から、本制度を
36
97
58
最近組織
131
周知されていないことが考えられるが、リスク委員会
組織化済みでさえ
「分からない」
が 6 割を越しており、
38
69
79
30
43
組織検討中
不具合の発生に対して厚生省への報告が医療機関で曖
154
昧に処理される傾向が強いことが分かった。また、調
85
92
41 3
査結果の図 7-3 で「厚生省への不具合報告には上司ま
必要ない
1011 2
たは病院長の決済が必要なため勝手に報告できない」
5
の回答も 3 番目に多かったことから、上司や病院長が
30
許可した不具合のみ報告されていると考えられる。
17
その他
172
79
9
一方、当該製造業者に対しての不具合発生の情報提
供割合は部局長に対する報告割合とほぼ同じように良
0
50
100
150
200
250
300
350
(単位:件)
好名状況であった。
図23-1.ヒヤリミス発生実態件数
本調査で医療用具により患者に重篤な影響または死
亡に至った不具合報告件数
(図 6-1 の総計より 387 件)
と、平成 10 年度に医療機関から厚生省に報告された
また、リスク委員会組織化で進んでいるほど、ヒヤ
医療用具の不具合件数(76 件)を比較すると、本調査
リミス件数が減少していることが明らかとなった(図
では医療機関のすべてを対象にしていないにも関わら
22-2)
。また、ヒヤリミス発生時の報告状況を「医療用
ず、厚生省に報告された件数の 5 倍にも及ぶことが分
具の欠陥・故障によるヒヤリミス」と「不適正使用に
かった。また、医療機関からの当該企業への報告件数
よるヒヤリミス」の報告に分け、部長、病院長、厚生
は院内での部長や病院長に報告している件数と近似し
省に対する報告状況を類別すると図 22-3、図 22-4 の
ていることから、医療用具の欠陥・故障に関連する不
ようになる。
「医療用具の欠陥・故障によるヒヤリミス」
具合発生報告件数(図 6-2 の総計より 1,203 件)と、
と
「不適正使用によるヒヤリミス」
の傾向を調べると、
医療用具の製造業者/輸入販売業者が厚生省に報告し
ほぼ類似した傾向を示した。
−37−
医療機関における医療用具の不具合発生実態とリスク管理の必要性に関する意識調査研究
<部局長> 組織済み
最近組織
組織検討中
必要ない
その他
<病院長> 組織済み
最近組織
組織検討中
必要ない
その他
<厚生省> 組織済み 9
最近組織 17
組織検討中 15
必要ない 2
その他
0
報告している
設でも「報告している」が約 7 割となった。一方、厚
54
128
127
14
35
6
10
25
4
38
6
21
13
11
55
111
104
15
29
生省に対する報告は「組織済み」の施設で約 1 割、そ
6
31
の他の施設では1割に満たない状況である。
リスク委員会の有無で見ると「分からない」の割合
は「組織済み」の施設で最も少なく、不具合のみでは
14
20
なくヒヤリミスについても把握されていると推測され
49
64
46
9
る。
8
21
26
5−14.リスク委員会組織化と不具合管理体制
22
53
75
11
27
20
37
96
105
15
37
40
60
報告していない
不具合情報の通達体制をリスク委員会の組織化別に
類別したところ、
「組織済み」の施設が「最近組織」や
「組織を検討中」
、
「組織の必要がない」と回答した施
80
100
(単位:%)
分からない
設より、不具合については通達する体制が整備された
傾向にあった(図 24-1)
。しかし、いずれの場合も、
「す
べてを通知」が少なく、
「必要に応じて通知」が 5 割
図23-2.欠陥・故障によるヒヤリミス報告状況
前後を占めていることから、必要な情報の判断が十分
<部局長> 組織済み
最近組織
組織検討中
必要ない
その他
<病院長> 組織済み
最近組織
組織検討中
必要ない
その他
<厚生省> 組織済み
最近組織
組織検討中
必要ない
その他
でないことにより安全性情報の不徹底が生じることに
6
4
36
6
15
13
組織済み
54
116
12
25
16
45
60
7
24
最近組織
14
62
16
6
27
2
23
30
51
80
11
27
7
32
26
95
6
15
14
心配がある。
60
124
133
15
39
2
9
69
38
38 14 31
171
55
23
6
組織検討中 43
必要ない 1
27
その他 13
40
94
106
16
35
20
13
9
26
47
0
112
63
143
40
18
60
65
80
100
すべて通知している
(単位:%)
必要に応じて通知している
ほとんど通知していない
その他
未回答
0
報告している
20
40
報告していない
60
80
100
(単位:%)
図24-1.不具合情報の通達体制
分からない
図23-3.不適正使用によるヒヤリミス報告状況
医療用具の使用による不具合やヒヤリミスの情報の
部局長に対する報告状況は、リスク委員会が「組織
管理については、
「組織済み」の施設では「所定の文書」
済み」の施設では、
「報告している」が約 8 割である
での管理が約 8 割と他の組織化の施設に対して不具合
が、組織されていない施設では約 6 割となった。
「分
情報の適切な管理が行われていることが分かった(図
からない」の回答は「必要ない」と回答した施設で 2
24-2)
。一方、
「組織検討中」の施設では3割近くが管
割を越えた。
理していない状況であり、
「必要ない」と回答した施設
また、病院長に対するヒヤリミス報告状況は、部局長
では約5割で管理されていない状況にあることが分か
に対する報告割合より低い値となり、
「組織済み」の施
った。
−38−
医療機関における医療用具の不具合発生実態とリスク管理の必要性に関する意識調査研究
約 4 割と多かった(図 25-2)
。
「必要ない」と回答した
2
2
組織済み
13
110
施設では 3 割が「ないに等しい」という結果となり、
14
不具合情報の管理状態は良好だが、不具合防止にも関
最近組織
7
226
37 11 28
係する診療業務マニュアルについてはほとんど整備さ
4
組織検討中
必要ない
17
106
150
0
17
1
23
れていない状況であることが分かった。
90
9
組織済み
その他
47
53
32
36
25
24
66
最近組織 7
6 4 16
82
158
21 15 26
1
0
20
40
所定の文書
電子情報
その他
未回答
60
80
100
組織検討中
(単位:%)
119
42 14 42
146
4
管理されていない
必要ない
その他
図24-2.不具合情報の管理体制
16
18
9
50
39
35
1
6
25
17
3
0
20
40
60
80
100
(単位:%)
5−15.リスク委員会組織化と診療マニュアル
マニュアルの利用に関する意識調査では、リスク委
十分に整備されている
一応整備されている
ほとんど整備されていない
ないに等しい
その他
未回答
図25-2.
員会組織について「診療マニュアルは必要ない」と回
診療業務マニュアルの整備状況
答した施設を除いて、
「マニュアルに沿うべき」が 5
割、
「例外が多いので参考程度とすべき」が 4 割と回
診療業務マニュアルの見直し頻度については、図
答され、大部分の部局で「マニュアルを参考にすべき」
25-3 のようになった。リスク委員会がない「検討中」
、
という回答であることが分かった。しかし、
「診療マニ
「必要ない」と回答している部局において「ほとんど
ュアルは必要ない」と回答した施設では「マニュアル
行われていない」が 5 割を超え、マニュアルはマニュ
を作っても役に立たない」という意見が1割以上あっ
アルとして活用されておらず、ただ存在するという状
た。
(図 25-1)
。
況にある。
診療業務マニュアルの整備状況と合わせてみると、
13
組織済み
47
78
12
殆どマニュアルとしての価値がないマニュアルの見直
しを随時行っている、つまり、マニュアルの存在感自
最近組織
160
116
5 8
20
組織検討中
181
138
4
9 35
必要ない
8
22
17
体が大変薄いのではないか考えられる。
03
組織済み
その他
60
75
0
20
40
60
21
26
68
6
20
18
42
6 10 18
最近組織 22
80
100
(単位:%)
99
128
5
組織検討中
124
104
121
13
マニュアルに沿う
参考程度に利用
その他
未回答
役に立たない
必要ない 11
その他
64
40
1 5
28
15
22
42
図25-1. 診療業務マニュアルの利用方法
0
不具合再発防止策の 1 つでもあるマニュアルの整備
状況については、リスク委員会「組織済み」の施設で
さえ十分整備されておらず、
「一応整備されている」が
−39−
20
40
60
定期的
随時
その他
未回答
80
ほんとんど
行われない
図25-3. 診療業務マニュアルの見直し頻度
100
(単位:%)
医療機関における医療用具の不具合発生実態とリスク管理の必要性に関する意識調査研究
診療業務マニュアルの周知状況は、
「組織済み」の施設
が明確でないとの指摘があり、制度名称を「医薬品医
でも 5 割程度と極めて低いが、マニュアルの整備状況
療用具等安全性情報報告制度」に、配布文書を「医薬
から見て推測される値であった。
品医療用具等安全性情報」に改めるべきであろう。
図 25-1 で約 5 割が「診療行為はマニュアルに沿う
次に、不具合情報が医師・薬剤師に限定しているk
べき」と回答しながらも実際はマニュアルが整備され
とに関して、調査に回答した全ての職種から臨床工学
ていない。
またマニュアルの周知も思わしくないため、
技士、診療放射線技師、臨床検査技師等のコメディカ
診療行為は医療スタッフの経験と各自の判断によって
ルスタッフを報告資格者とすべき意見が強く、制度の
行われていると推測され、経験不足や手抜きにより不
早急な見直しを期待したい。
具合の発生し易い状況を作っている(図 20-4)
。
また、現在、不具合報告は医療機関からの自主的な
報告に留まっているが、不具合報告の義務化は約4割
の回答者が望んでいることから、米国の MDR
組織済み
27
最近組織 21
83
必要ない 3
10
28
0
48
70
(Medical Device Reporting)や、EU(欧州連合)の
42
25 12 38
Vigilance System の報告体制を参考にし、医薬品およ
49 11
90
び医療用具の使用により患者に重篤な影響および死亡
15
8
33
19
20
6 9 4
17
77
94
組織検討中 16
その他 11
24
54
40
7
27
60
1
した際には、
その不具合報告を義務化すべきであろう。
6
その際、医療機関からの不具合報告に対して厳しい処
40
11
80
全員周知
大部分周知
一部周知
周知されてない
分からない
その他
100
(単位:%)
分は限局する一方、不具合報告を怠った症例が事後に
マスコミや医療訴訟となった際には、製造業者/輸入
販売業者に対して行っていると同様に厳罰する仕組み
未回答
が必要であろう。
図25-4. 診療業務マニュアルの周知状況
不具合発生に伴ない、厚生省は製造業者/輸入販売
6.調査結果に基づく厚生省・医療機関への提言
業者に医療用具(特に医療材料)の回収を指示するこ
今回、医療用具の不具合発生の実態と不具合報告に
とがあるが、発生医療用具の欠陥や故障の場合、その
関する調査から、今まで明らかにされなかった様々な
ロットだけを回収できるよう、医療材料の統一商品コ
問題点が明らかとなった。
ードおよびバーコードの表示を指導すべきである。こ
今回の不具合報告は氷山の一角と考えると、制度お
の手法は、インプラント等の不具合追跡管理にも極め
よび医療機関の姿勢を含め、抜本的に検討しないと不
て有効であり、近い将来実現することを期待したい。
具合発生は減らないであろう。
一方、不適正使用による不具合原因は、医療スタッフ
今後の解決方法を大別すると、各種安全性報告を提
の過失によるものと扱われるが、難解な取扱説明書や
供している厚生省側として改善すべきことと、各医療
取扱説明書のない医療用具は不適性使用の発生を助長
機関において改善すべきことに分けられ、双方が患者
するため、製造業者/輸入販売業者に添付文書の記載
の立場になって今までのあり方を見直しことが医療の
要領を指導すべきであろう。
安全に不可欠と考えられる。
安全性情報の公開方法として、文書だけでなく、イ
ンターネットで利用できるようになったことは望まし
6−1.厚生省への提言
いことであるが、安全性情報を医療用具分類やキーワ
医療機関において「医薬品等安全性情報報告制度」
ードで検索できる画面仕様を検討する必要があろう。
の周知およびその内容の把握がいずれも約半数と低い
また、インターネットから不具合報告の仕方や用紙が
理由として、制度の PR 不足もあろうが、調査結果か
コピーできることも望ましいと考える。
ら「医薬品等」の解釈に「医療用具」が含まれること
−40−
医療機関における医療用具の不具合発生実態とリスク管理の必要性に関する意識調査研究
6−2.医療機関への提言
ニュアルも練られたものとなり、不具合発生も激減す
厚生省は各都道府県を通して、医療機関に各種安全
るであろう。
性情報報告を通知している。しかし、医療機関の約半
数は、各種安全情報報告制度を周知していない現状に
7.まとめ
あり、その原因として病院長や事務部長の院内各部局
今回、一般病床 200 床以上の医療機関における医療
への通知不足が考えられ、通知体制の改善が必要であ
用具の不具合発生の実態および不具合報告の現状を調
る。安全性情報は掲示板等に掲示するのではなく、全
査し、推測に留まっていた実態を明確にすることがで
員に配布するか、安全性情報を医療スタッフが見たこ
きた。その調査結果の概要を以下に示す。
との確認印をとるなどの試みも有用と考えられる。
1)医療機関の各部局からの有効回答は、総計 3,056
リスク管理委員会の組織化は、調査結果より、不具
件であり、施設平均有効回答数は 6.10 件/施設となっ
合発生やヒヤリミス発生と少なからず関係しているた
た。
め、リスク管理委員会が未だ存在しない医療機関では
2)厚生省が施行している各種安全性情報制度の医療
早急に組織化を検討すべきである。なお、リスク管理
スタッフの周知状況は、回答者で 4 割から 6 割約半数
委員会が発足している医療機関において、医療過誤の
程度に留まり、
部局スタッフではさらに低値であった。
事故処理を目的に作られた施設は何時までも不具合発
また、安全性情報の内容把握もほぼ同様であった。
生は続くため、不具合防止を主目的にリスク管理委員
3)不具合発生の実態として、患者に重篤な影響又は
会の業務内容を見直す必要があろう。
死亡に至った不具合は「医療機器」が 136 件、
「医療
医療機関に医療用具の不具合を専門に監視するリス
器材」が 51 件、
「医療材料」が 200 件であり、同年度
ク管理室が存在していない。医薬品の不具合に関して
に厚生省に報告された件数(76 件)を大幅に上回った。
は、薬剤部が担当できるが、医療用具のすべてを薬剤
4)医療用具自体の欠陥や故障が原因と思われる不具
部で対処することは不可能である。現状では、臨床工
合は、
「医療機器」が 654 件、
「医療器材」が 261 件、
学技士等から組織する臨床工学部(ME サービス部)
「医療材料」が 288 件であった。医療スタッフによる
が医療用具の不具合に関して担当する部局として活躍
不適正使用、操作ミスなどが原因と思われる不具合症
することを期待したい。
例は、
「医療機器」が 393 件、
「医療器材」が 152 件、
医療機関において、診療マニュアル策定の必要性に
「医療材料」が 233 件であった。
ついて各部局の意識は高いが、実際に診療マニュアル
5)医療用具の欠陥・故障により生じたヒヤリミスに
を有効に利用しているところは極めて少ない。この現
関する本調査報告は、
「医療機器」が 947 件、
「医療器
状は、不具合発生やヒヤリミス発生の主原因と考えら
材」が 367 件、
「医療材料」が 727 件であった。
れ、医療スタッフの新人教育にもマニュアルに沿った
6)各部門における医療用具の使用において、院内ス
診療行為の実践し、そのマニュアルを継続的に見直す
タッフの適切な処置や判断で医療事故に繋がらなかっ
体制を検討すべきであろう。ましてや、診療マニュア
たものの、一部の医療スタッフの不適当な手技・操作
ルの策定が、医療過誤の発生後に訴訟対策として策定
により生じたヒヤリミスは「医療機器」に関しては
されるようでは何ら意味がない。
1,740 件、
「医療器材」に関しては 554 件、
「医療材料」
各部局から不具合発生をリスク委員会に吸い上げる
に関しては 935 件であった。
ためには、診療マニュアルに従って実行したにも関わ
7)今回の調査において不具合を多く報告した部局は
らず不具合を起こした冬至者へのペナルティを科すこ
医療機器では「放射線部門」
、
「ME 部門」であり、医
とをせず、その場にいながら不具合報告をしなかった
療器材では「消化器内科」
、
「眼科」
、
「脳神経外科」
、
「循
医療スタッフ全員に厳しいペナルティを科すことが必
環器外科」
、
「検査部」
、
「ME 部門」であり、医療材料
要であろう。このような仕組みが確立すれば、診療マ
では「ME 部門」
、
「看護部門」
、
「循環器内科」
、
「消化
−41−
医療機関における医療用具の不具合発生実態とリスク管理の必要性に関する意識調査研究
器外科」などであった。また、ヒヤリミスに関しては
診療マニュアルの整備、見直し、周知について良好な
医療機器では「看護部」
、
「ME 部門」
、
「麻酔科」
、
「検
施設が多い傾向にあった。
査部」であり、医療器材では「ME 部門」
、
「手術部」
、
以上の調査結果から、制度の改正(患者に重篤な障
「麻酔科」
、
「消化器外科」
、
「看護部」であり、医療材
害および死亡に至った不具合報告の義務化や、コメデ
料では「看護部」
、
「ME 部門」
、
「手術部」
、
「麻酔科」
、
ィカルスタッフの報告資格者のとしての拡大など)
、
厚
「放射線部」であった。このことから、コメディカル
生省の安全性情報提供方法の改善、医療機関における
スタッフが勤務する部局での不具合報告およびヒヤリ
リスク委員会の組織化、診療マニュアルの整備など抜
ミス報告が多いことが分かった。
本的に検討すべき事項が山積している。
8)医療用具の不具合原因として、
「医療用具の欠陥・
厚生省では、相次ぐ医療ミスに危機感を強め、平成
故障による不具合」が「不適正使用による不具合」よ
12 年 3 月、医薬品を間違えて投与するミスを防ぐシス
り多かったのに対し、ヒヤリミス原因として、
「不適正
テムの開発や、全国 1600 の大規模病院を対称に安全
使用によるヒヤリミス」が「医療用具の欠陥・故障に
管理体制の実態調査に乗り出すなど、医療ミスを防止
よるヒヤリミス」より多く、不具合と逆転した回答と
するための緊急対策をまとめ、医療関係 26 団体を集
なった。
めた「医療安全対策連絡会議」で発表した(読売新聞
9)不具合およびヒヤリミスの発生に対して、医療機
3 月 22 日)
。
関の病院長および担当部長には、約 6 割前後がその概
最高裁の調べによると医療過誤による訴訟件数は
要を報告しているが、
「医薬品等安全性報告制度」を利
年々増加の一途を辿っており、医療過誤の発生が医療
用して厚生省に報告する件数は一部の報告を含め、1
機関の倒産の危機をも起こりかねない。
割に満たない現状にあることが分かった。
今後、
不具合防止に関する政策強化も考えられる折、
10)厚生省に報告できない原因として、制度自体を知
安全な医療を目指して医療機関自らがリスク管理体制
らないこと(202 件)に加え、①報告書が手元にない
の整備に着手されることに期待したい。
(72 件)
、②上司または病院長の決済が必要なため、
最後に、ご多忙の中、アンケート調査の主旨に賛同
勝手に報告できない(44 件)
、③報告書の様式が分か
しご協力下さった医療機関の病院長および各部門スタ
り難い(27 件)
、④報告することを先送りして忘れて
ッフの皆様に深謝致しますとともに、本調査実施にご
しまった(18 件)
、⑤報告してもフィードバックがな
指導下さった厚生省医薬安全局安全対策課の皆様に感
い(16 件)などであった。また、
「その他」の回答(202
謝致します。また、3,000 件にも上る調査データの集
件)には、⑥不具合が発生していない、⑦製造業者に
計・分析に助力下さった本学酒井研究室の鈴村 恵、松
連絡しているから報告していないの回答があった。
尾奈美の両君に感謝します。
11)今後、厚生省への報告件数を増やすには、医師、
(本研究は、平成 11 年度厚生科学研究(医薬安全総
薬剤師だけでなく、臨床工学技士、診療放射線技師、
合研究事業)
「医療用具の安全性情報に関する研究」に
臨床検査技師などのコメディカルスタッフも報告でき
よって実施した。
)
る資格とすべきであるとの意見が多かった。
12)リスク委員会の組織化は施設規模が拡大するほど
【 参 考 文 献 】
進んでいるが、リスク委員会の組織化が必ずしもその
1)酒井順哉、池田卓也、木谷泰治、小林寛伊、斎藤英
役割を果たすに至っていない。
昭、佐藤根敏彦、滝 和美、石川正恒、田中章生:全
13)リスク委員会を有する施設は、院内における不具
国国立大学病院手術部の手術用機器・設備の故障・事
合報告や、安全性情報の通知体制も良好な施設が多い
故に関する調査 94、手術医学、15(4),283-286,1994.
傾向にあった。
2)FDA:MDR Data files, http://www.fda.gov/cdrh/
14)リスク委員会を有するところは、院内で作成した
mdrfile.html.
−42−
医療機関における医療用具の不具合発生実態とリスク管理の必要性に関する意識調査研究
3)The National Board of Health and Welfare:
Accidents, near-accidents, observations and the
vigilance system, http://www.sos.se/sose/nt/
medtekn/vigilance.htm.
4)厚生省医薬安全局安全対策課:
「平成 9 年度第 1 回医
薬品安全対策特別部会」
議事録,http://www.mhw.go.jp/
search/docj/shingi/s9706/txt/s0618-1_15.txt,1996.
5)厚生省医薬安全局安全対策課:
「平成 10 年度第 1 回
医薬品安全対策特別部会」議事録、1997、http://
www.mhw.go.jp/ search/docj/shingi/s9806/txt/
s0622-3_15.txt
6)Chrales Vincent, Maeve Ennis, and Robert
J.Audley(安全学研究会訳)
:医療事故、ナカニシヤ
出版、1998.安全学研究会約訳:医療事故:ナヤニシヤ
出版
7)安田リスクエンジニアリング株式会社:ホームペー
ジ、TOPIC「リスクマネージャー養成研修」
、http://
www.yasuda.co.jp/ yre/ index.html
8)桜井靖久監修:医療の未来像とリスクマネジメント、
シーエムシー、1994.
9)酒井順哉:医療機器の安全性とヒューマンエラー、
検査と技術、24(10),831-836,1996.
10)酒井順哉:医療機器の安全性は確保されえているか、
愛知県臨床工学技士会誌、5(1),2-6,1996.
11)酒井順哉:医工学・21 世紀への展望「臨床工学技
士の役割と将来への課題」
、岩手県臨床工学技士会誌、
2(2),5-7、1996.
12)酒井順哉:全国国立大学病院手術部における医療機
器老朽化の現状と今後の問題点、65(9)
、461-465、
1995.
−43−
資
料
医療用具の不具合発生実態と不具合報告に関する調査基本集計
(注意:以下の資料は使用したアンケート調査票の様式で各項目の末尾にその集計件数を追加した)
医療用具の不具合発生の実態と不具合報告に関する調査協力のお願い
近年、新聞・その他のマスコミで、医療機関における初歩的なミスや医療用具の不具合がしばしば報じられていま
す。
一般に、医療用具による不具合原因は、医療用具の欠陥、故障などによるものと、医療現場での不適切な使用、保
守点検不足などに大別できますが、その多くは、医療現場で不具合再発を防止するチェック体制の強化や業務マニュ
アルの見直しで解決できるものと考えられます。
厚生省は、医療の安全性の向上を目指して、平成9年から医薬品・医療用具の製造業者/輸入販売業者に対して、
副作用発生時の報告義務を薬事法に明文化するとともに、平成 9 年 7 月から医薬品等安全性報告制度を施行し、すべ
ての医療機関/薬局で起こった各種副作用に関して自主的な報告を求めていますが、我が国の医療用具による不具合
報告件数は、医薬品による副作用報告件数に比して極めて少ないばかりか、医療用具による不具合や患者に重篤な影
響を及ぼした事例および死亡事例の報告義務を課している米国の MDR(Medical Device Reporting)や、EU(欧
州連合)の Vigilance System の報告件数とは比較にならないほど低値を示しています。
今回、平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)において「医療用具の安全性情報に関する研究」
が認められましたので、医療機関における不具合の発生状況の実態を調査するとともに、今後の医薬品等安全性情報
報告制度のあり方についてご意見を頂き、その集計結果を基に厚生省に本報告制度改善の提言としてまとめたいと考
えております。医療機関の調査対象は、診療件数が比較的多く、重篤な症例も対象としている 200 床以上の中核病
院です。なお、今回の調査では歯科診療関係は対象外です。
つきましては、貴医療機関の各診療科・部門等で医療用具に起因する様々な不具合の現状に関するアンケート調査
にご協力頂ければ幸いです。本調査にご協力下さいました医療機関には、アンケート調査の集計結果をまとめた研究
成果報告書の配布を計画しております。
なお、調査結果は今後の医療活動の妨げにならないことを配慮し、全体的な集計・傾向分析に留め、個々の医療機
関別の回答内容、回答者のお名前を公表することは一切致しません。
平成 11 年度厚生省厚生科学研究(医薬安全総合研究事業)
医療用具の安全性情報に関する研究班
酒井 順哉(名城大学大学院都市情報学研究科保健医療情報学・教授)
糸満 盛憲(北里大学医学部整形外科・教授)
小野 哲章(神奈川県立衛生短期大学・教授)
櫛田 賢次(国立埼玉病院薬剤科・科長)
川口 良人(神奈川県衛生看護専門学校付属病院・院長)
川田 志明(慶応義塾大学医学部外科学・教授)
桜井 靖久(東京女子医科大学ME連携ラボ・名誉教授)
佐藤 道夫(国立医薬品食品衛生研究所療品部・室長)
澤 充(日本大学医学部眼科学・教授)
妙中 義之(国立循環器病センター人工臓器部・部長)
冨澤 康子(東京女子医科大学循環器外科)
中村 達雄(京都大学再生医科学研究所・助教授)
二村 雄次(名古屋大学医学部第一外科・教授)
林 浩一郎(健佑会いちはら病院・名誉院長)
外 須美夫(北里大学医学部麻酔科・教授)
本郷 敏雄(東京医科歯科大学歯学部・助教授)
宮川 俊平(筑波大学臨床医学系整形外科学・助教授)
目黒 勉(国立国際医療センター臨床工学室)
−資料・1−
<<ご回答にあたって>>
1.不具合の調査対象は、医療用具の構造上の欠陥や不良品などによって患者に重篤な影響または死亡
に至った不具合症例と、院内スタッフの適切な処置や判断で医療事故に繋がらなかったものの、気づ
かなければ重大な事故に繋がる可能性があった医療用具の故障・欠陥および不適当な使用などで生じ
たヒヤリミスで、単に医療用具の故障(例えば、ランプ切れや電池切れ)は対象としません。
2.調査対象とする医療用具は、医療機器(医用電子機器、放射線機器等の医療用備品,電子部品を組み
込んだインプラント用具)、医療器材(鋼製小物、滅菌コンテナ等の再利用する医療用消耗品)、医
療材料(電子部品を組み込まないインプラント用具、ディスポーザブル製品等)とし、歯科診療関係
の医療用具は対象外とします。
3.アンケート調査のご回答は、貴病院長から指名されました診療科の医局長クラス、中央診療部門の
副部長クラス、その他の部門の副部長クラス、リスクマネージメント委員会の委員長にお願い致しま
す。なお、設問I「リスク管理体制」については、施設内で重複した回答を避けて頂くため、リスク
マネージメント委員会(委員会がない場合は事務部門)によってのみお答えください。
4.アンケート調査のご回答は、「FAX送信票」1枚のみをFAX(0574−69−0155)に
て平成 11 年 11 月末日迄にご送信下さいますようお願い申し上げます。
5.不明な点について、調査者より直接お尋ねする場合がございますので、必ずアンケート調査の控え
をしばらくの間、回答者によって保存されますようお願い申し上げます。
【アンケート調査に関するお問い合わせ先】
名城大学大学院都市情報学研究科保健医療情報学・教授 酒井順哉
TEL:0574-69-0146(直通)
FAX:0574-69-0155
E-mail:[email protected]
−資料・2−
A.貴院の規模およびご回答ご自身の所属、職種についてお伺いします。
A1)貴院の病院区分は次のいずれですか。
1.大学病院(438)2.国立病院(336)3.都道府県立病院(247).市町村立病院(704)
5.日赤病院(142)6.労災病院(37)7.厚生連病院(87) 8.済生会病院(111)
9.社会保険病院(90)10.共済組合病院(108)11.健康保険組合病院(39)12.公益法人病院(147)
13.医療法人病院(392)14.個人病院(30) 15.その他の病院(
)(145)
A2)貴院の病床数は次のいずれですか。
1.200 床未満(70)
2.200 床∼300 床未満(694) 3.300 床∼400 床未満(701)
4.400 床∼500 床未満(490) 5.500 床∼600 床未満(343) 6.600 床∼700 床未満(305)
7.700 床∼800 床未満(135) 8.800 床以上(316)
A3)貴殿の所属する診療科/部門は次のいずれですか。
1.心臓血管外科(98) 2.整形外科(225) 3.消化器外科(239) 4.眼科(179)5.脳神経外科(160)
6.麻酔科(212)
7.循環器内科(189) 8.消化器内科(194) 9.手術部(134)10.薬剤部(288)
11.放射線部(259) 12.検査部(228)
13.ME部門(93) 14.看護部(275)15.事務部門(96)
16.リスクマネージメント委員会(64)
17.その他(
)(124)
A4)貴殿の職種は次のいずれですか。
1.医師(1,752) 2.看護婦(387) 3.薬剤師(292) 4.診療放射線技師(190) 5.臨床工学技士(130)
6.臨床検査技師(203)
7.事務職員(90) 8.その他(_____________)(16)
B.厚生省の「医療用具の不具合・感染症報告制度」や医薬品等安全性情報報告制度」についてご回答者の把
握状況についてお伺いします。
B1)平成 9 年 4 月の薬事法の改正で、厚生省令で定める医薬品等(医療用具を含む)の製造業者/輸入販売
業者が医療用具の不具合発生を確認した場合、厚生大臣への報告義務(「医療用具の不具合・感染症報告制度」)
が明確になったことをご存知でしたか。
1.知っていた(1,703)
2.知らなかった(1,284)
B2)B1で「知っていた」と回答された方はどのようにして知りましたか(複数回答可)。
1.厚生省・都道府県からの文書(776)
2.医療機関の上司から(361)
3.医療機関の同僚から(164)
4.学会誌、医系ジャーナル(468)
5.インターネット(厚生省等のホームページ)(100)
6.新聞・ニュース、週刊誌等のメディア(301)
7.製造業者や販売業者から(621)
8.その他(具体的に
)(54)
B3)B1の設問の「厚生省令で定める医薬品等」には、医療用具(医療機器、医療器材、医療材料など)が
含まれていることをご存知でしたか。
1.知っていた(1,507)
2.知らなかった(1,424)
B4)厚生省は全ての医療機関の医師・薬剤師を対象に、不具合が発生した際に不具合情報の自主的な提供が
行える体制を「医薬品等安全性情報報告制度」(平成 9 年 7 月施行)で整備されたことをご存知でしたか。
1.知っていた(1,289)
2.知らなかった(1,663)
−資料・3−
B5)B4で「知っていた」と回答された方はどのようにして知りましたか(複数回答可)。
1.厚生省・都道府県からの文書(751)
2.医療機関の上司から(286)
3.医療機関の同僚から(159)
4.学会誌(具体的な学会誌名:
)(129)
)(75)
5.医系ジャーナル(具体的な医系ジャーナル名:
6.インターネット(厚生省等のホームページ)(99)
7.新聞・ニュース、週刊誌等のメディア(159)
8.製造業者や販売業者から(391)
9.その他(具体的に
)(53)
B6)「医療用具安全性情報報告書」(巻末資料―2参照)を使って、厚生省に不具合報告を行ったことがあ
りますか。
1.報告したことがある(75)(過去、 件程度) 195 件
2.報告したことがない(2,835)
B7)下記の項目は厚生省の「医薬品等安全性情報」(巻末資料−1参照)から抜粋したものです。医薬品等
安全性情報として既にご存知の項目を選んで下さい(複数回答可)。
1.骨セメントの股関節への使用時における血圧低下、ショックについて(H10.3.30 発表)(1,254)
2.白血球除去フィルター使用の輸血時における血圧低下、ショックについて(H10.10.15 発表)(1,415)
3.シアノアクリレート系外科用接着剤と滅菌剤外科用パッドとの併用による脳動脈閉塞性血管病変
について(H10.10.15 発表)(374)
4.医療用具における「コンピュータの西暦 2000 年問題」への対応について(H11.2.26 発表)(2,346)
5.油脂性成分を基剤とする膣坐剤等の接触による避妊用ラテックスゴム製品の品質の劣化について
(H11.2.26 発表)(566)
6.天然ゴムアレルギーについて(H11.3.29 発表)(1,353)
7.透析型人工腎臓装置の適正管理について(H11.6.30 発表)(465)
8.万引き防止監視及び金属探知システムの植込み型心臓ペースメーカー、植込み型除細動器及び
脳・脊髄電気刺激装置への影響について(H11.6.30 発表)(759)
B8)厚生省に集められた不具合情報について、不具合の未然防止や再発防止に役立つ内容が、「医薬品等安
全性情報」として、文書もしくはインターネット上によって情報公開されていることをご存知でしたか。
1.知っていた(1,484)
2.知らなかった(1,466)
B9)「医薬品等安全性情報」の内容を定期的に確認する機会を持っていますか。
1.定期的に確認している(642)2.不定期ではあるが確認している(1,454)3.確認する機会がない(820)
B10)「医薬品等安全性情報」に関する資料は、部門(または院内全体)できちんと保存され、医療スタッ
フが閲覧できるような体制となっていますか。
1.だれでも見られるようになっている(1,161)
2.一部の人が見られるようになっている(507)
3.ほとんど見られるようにしていない(372)
4.保存はしていない(498)
5.その他(具体的に
)(213)
B11)B9で「確認している」と回答された方は一般にどのような方法で確認していますか(複数回答可)。
1.厚生省・都道府県からの文書(959)
−資料・4−
2.医療機関の上司から(470)
3.医療機関の同僚から(243)
4.学会誌(具体的な学会誌名:
5.医系ジャーナル(具体的な医系ジャーナル名:
6.インターネット(厚生省等のホームページ)(230)
7.新聞・ニュース、週刊誌等のメディア(197)
8.製造業者や販売業者から(735)
9.その他(具体的に
)(261)
)(119)
)(214)
C.厚生省の「医療用具の不具合・感染症報告制度」や「医薬品等安全性情報報告制度」についてご所属部門
スタッフの把握状況についてお伺いします(推測でも結構ですが、できれば数人にお尋ねした結果をご記入下
さい)。
C1)平成 9 年 4 月の薬事法の改正で、厚生省令で定める医薬品等(医療用具を含む)の製造業者/輸入販売
業者が医療用具の不具合発生を確認した場合、厚生大臣への報告義務(「医療用具の不具合・感染症報告制度」)
が明確になったことをご存知と思いますか。
1.全員知っていた(280) 2.一部しか知らなかった(1,850) 3.全員知らなかった(785)
C2)C1の設問の「厚生省令で定める医薬品等」には、医療用具(医療機器、医療器材、医療材料など)が
含まれていることをご存知でしたか。
1.全員知っていた(285) 2.一部しか知らなかった(1,788) 3.全員知らなかった(844)
C3)厚生省は全ての医療機関の医師・薬剤師を対象に、医薬品の副作用や医療用具の不具合が発生した際に
これらの情報の自主的な提供が行える体制を「医薬品等安全性情報報告制度」(平成 9 年 7 月施行)で整備さ
れたことをご存知でしたか。
1.全員知っていた(318) 2.一部しか知らなかった(1,707) 3.全員知らなかった(877)
C4)「医薬品等安全性情報報告制度」を使って、厚生省に医薬品または医療用具の不具合報告を行ったこと
がありますか。
1.一部のスタッフが報告したことがある(433) 2.だれも報告したことがない(2,405)
C5)厚生省に集められた不具合情報について、他の医療機関での医薬品の副作用や医療用具の不具合発生防
止に役立つ内容が、「医薬品等安全性情報」で情報公開されていることをご存知でしたか。
1.全員知っていた(480) 2.一部しか知らなかった(1,738) 3.全員知らなかった(680)
C6)「医薬品等安全性情報」の内容を定期的に確認する機会を持っていますか。
1.全員確認している(391) 2.一部で確認している(1,493) 3.ほとんど確認する機会がない(984)
D.ご回答者の「緊急安全性情報(ドクターレター)」の把握状況についてお伺いします。
D1)厚生省令で定める医薬品等(医療用具を含む)の製造業者/輸入販売業者が不具合発生を確認した場合、
厚生大臣に報告すると共に特に緊急を要するような内容によっては「緊急安全性情報(ドクターレター)」を
当該医療機関に配布していることをご存知ですか。
1.知っていた(2,038) 2.知らなかった(893)
D2)D1で「知っていた」と回答された方はどのようにして知りましたか(複数回答可)。
1.厚生省・都道府県からの文書(929)
2.医療機関の上司から(506)
−資料・5−
3.医療機関の同僚から(203)
4.学会誌(具体的な学会誌名:
5.医系ジャーナル(具体的な医系ジャーナル名:
6.インターネット(厚生省等のホームページ)(136)
7.新聞・ニュース、週刊誌等のメディア(148)
8.製造業者や販売業者から(879)
9.緊急安全性情報(ドクターレター)自体を見ていた(801)
10.その他(具体的に
)(171)
)(83)
)(93)
D3)下記の項目は厚生省の「緊急安全性情報(ドクターレター)」から抜粋したものです。緊急安全性情報
として既にご存知の項目を選んで下さい(複数回答可)。
1.抗菌処理カテーテルを使用した際に発生したアナフィラキシー・ショックについて
(H9.8.14 発表)(1,281)
2.CPI 社製ペースメーカーについて(H9.8.6 発表)(684)
D4)厚生省に集められた不具合情報について、他の医療機関での不具合発生防止に役立つ内容が、「緊急安
全性情報(ドクターレター)」として、文書もしくはインターネット上によって情報公開されていることをご
存知でしたか。
1.知っていた(1,426)
2.知らなかった(1,448)
D5)「緊急安全性情報(ドクターレター)」が配布される機会があった場合、ドクターレターを診療行為に
携わっている院内関係者に知らせる体制が整っていますか。
1.既に整っている(1,304) 2.現在、整っていないがそうしたい(1,325) 3.整える必要がない(25)
D6)ご所属部門スタッフは、厚生省令で定める医薬品等(医療用具を含む)の製造業者/輸入販売業者が医
療用具の不具合発生を確認した場合、厚生大臣に報告すると共にその内容によっては「緊急安全性情報(ドク
ターレター)」を当該医療機関に配布していることをご存知と思いますか(推測でも結構ですが、できれば数
人にお尋ねした結果をご記入下さい)。
1.全員知っていた(511) 2.一部しか知らなかった(1,710) 3.全員知らなかった(571)
E.貴部門における医療用具の使用に伴う不具合発生において、患者に重篤な影響または死亡に至った不具合
状況と報告体制についてお尋ねします。なお、調査対象期間は、平成 10 年度(平成 10 年 4 月 1 日から平成
11 年 3 月 31 日まで)の診療行為についてご回答下さい。
ここでは、医療用具を医療機器(医用電子機器、放射線機器等の医療用備品,電子部品を組み込んだインプラ
ント用具)、医療器材(鋼製小物、滅菌コンテナ等の再利用する医療用消耗品)、医療材料(電子部品を組み
込まないインプラント用具、ディスポーザブル製品等)の3つに大別してご回答下さい。
E1)貴部門で医療用具の使用に伴い患者に重篤な影響または死亡に至った不具合症例はおよそ何件ありまし
たか。なお、不具合症例の発生がない場合は、未回答と区別するため、件数欄に0を記入して下さい。
医療機器に関して、およそ(
)件/年(平成 10 年度) 136 件
医療器材に関して、およそ(
)件/年(平成 10 年度) 51 件
医療材料に関して、およそ(
)件/年(平成 10 年度) 200 件
E2)E1で医療用具自体の欠陥や故障などが原因と思われる不具合症例はおよそ何件でしたか。なお、不具
合症例の発生がない場合は、未回答と区別するため、件数欄に0を記入して下さい。
医療機器に関して、およそ(
)件/年(平成 10 年度) 654 件
医療器材に関して、およそ(
)件/年(平成 10 年度) 261 件
医療材料に関して、およそ(
)件/年(平成 10 年度) 288 件
−資料・6−
E3)E1で医療スタッフ側による医療用具の不適正使用、操作ミスなどが原因と思われる不具合症例はおよ
そ何件でしたか。なお、不具合症例の発生がない場合は、未回答と区別するため、件数欄に0を記入して下さ
い。
医療機器に関して、およそ(
)件/年(平成 10 年度) 393 件
医療器材に関して、およそ(
)件/年(平成 10 年度) 152 件
医療材料に関して、およそ(
)件/年(平成 10 年度) 233 件
E4)E1の発生状況について貴部門の診療科長/部長に報告していますか。なお、診療科長/部長の方はE
4,E5のご回答は不要です。
1.すべて報告している(563)
2.大部分報告している(141) 3.一部報告している(67)
4.ほとんど報告していない(31) 5.全く報告していない(70) 6.分からない(161)
E5)E4で「報告している」と回答された方は、次のいずれの方法で報告していますか。
1.所定の報告書(315) 2.フリーフォーマットの報告書(59) 3.電子メール(6)
4.口頭(483)
5.その他(具体的に
)(17)
E6)E1の発生状況について貴病院長に報告していますか。
1.すべて報告している(627) 2.大部分報告している(232) 3.一部報告している(160)
4.ほとんど報告していない(87)5.全く報告していない(226) 6.分からない(404)
E7)E6で「報告している」と回答された方は、次のいずれの方法で報告していますか。
1.所定の報告書(515)
2.フリーフォーマットの報告書(120) 3.電子メール(5)
4.口頭(515)
5.その他(具体的に
)(24)
E8)E3∼E5に関して、当該製造業者に対して不具合発生の情報提供を行っていますか。
1.すべて報告している(677)
2.大部分報告している(301) 3.一部報告している(108)
4.ほとんど報告していない(24) 5.全く報告していない(145) 6.分からない(386)
E9)E8で「報告していない」と回答した方はどのような理由で報告していないでしょうか(複数回答可)。
1.報告すべき項目として報告できない項目があるから(21)
2.報告してもフィードバックがないから(32)
3.自分の医療機関に迷惑がかかるから(4)
4.その他(具体的に
)(135)
E10)E1の発生状況について厚生省に報告していますか。
1.すべて報告している(119)
2.大部分報告している(32) 3.一部報告している(13)
4.ほとんど報告していない(68) 5.全く報告していない(406) 6.分からない(980)
E11)E10で「報告している」と回答した方は下記のどの項目を報告していますか。当てはまる番号を選
択してください(複数回答可)。
1.商品名称(152)2.規格番号(113)3.メーカー名(供給者)(146)4.ロット(製造)番号(115)
5.シリアル(ID)番号(78)6.病院施設名(130)7.病院所在地(106)
8.病院電話番号(96)
9.患者氏名(匿名)(82)10.カルテ番号(69)11.生年月日(年齢)(78)12.性別(86)
13.担当診療科名(88) 14.患者病名(78) 15.治療術式名(68)
16.治療年月日(68)
17.治療後の経過(65) 18.不具合の有無(73) 19.具体的な不具合内容(101)
20.その他(具体的に
)(21)
−資料・7−
E12)E10で「報告していない」と回答した方はどのような理由で報告していないでしょうか(複数回答
可)。
1.「医薬品等安全性情報報告制度」を知らなかったから(202)
2.「医療用具安全性情報報告書」(巻末資料―2参照)が手元になかったから(72)
3.報告することを先送りしていて忘れてしまったから(18)
4.「医療用具安全性情報報告書」の様式が分かり難いから(27)
5.販売業者、製造業者等との関係が悪くなるから(4)
6.報告すべき項目として報告できない項目があるから(5)
7.報告してもフィードバックがないから(16)
8.自分の医療機関に迷惑がかかるから(3)
9.厚生省への不具合報告には上司または病院長の決済が必要なため、勝手に報告できないから(44)
10.その他(具体的に
)(200)
E13)E12で「報告できない項目があるから」と回答した方は下記のどの項目を報告していないのですか。
当てはまる番号を選択してください(複数回答可)。
1.商品名称(11)
2.規格番号(3)
3.メーカー名(供給者)(8) 4.ロット(製造)番号(4)
5.シリアル(ID)番号(4) 6.病院施設名(4) 7.病院所在地(3)
8.病院電話番号(3)
9.患者氏名(匿名)(4)10.カルテ番号(3) 11.生年月日(年齢)(2) 12.性別(2)
13.担当診療科名(1)
14.患者病名(2)
15.治療術式名(2)
16.治療年月日(2)
17.治療後の経過(1)
18.不具合の有無(2)
19.具体的な不具合内容(3)
20.その他(具体的に
)(1)
F.貴部門における医療用具の使用において、院内スタッフの適切な処置や判断で医療事故に繋がらなかった
ものの、気づかなければ重大な事故に繋がる可能性があった医療用具の故障・欠陥などで生じたヒヤリミスと
その処理報告体制についてお尋ねします。なお、調査対象期間は、平成 10 年度(平成 10 年 4 月 1 日から平成
11 年 3 月 31 日まで)の診療行為についてご回答下さい。
F1)医療用具自体の欠陥や故障などが原因と思われるヒヤリミスはおよそ何件でしたか。なお、ヒヤリミス
の発生がない場合は、未回答と区別するため、件数欄に0を記入して下さい。
医療機器に関して、およそ(
)件/年(平成 10 年度) 947 件
医療器材に関して、およそ(
)件/年(平成 10 年度) 367 件
医療材料に関して、およそ(
)件/年(平成 10 年度) 727 件
F2)F1の発生状況について貴部門の診療科長/部長に報告していますか。
1.すべて報告している(671)
2.大部分報告している(243)
3.一部報告している(105)
4.ほとんど報告していない(49) 5.全く報告していない(144)
6.分からない(252)
F3)F2で「報告している」と回答された方は、次のいずれの方法で報告していますか。
1.所定の報告書(361)
2.フリーフォーマットの報告書(78)
3.電子メール
4.口頭(654)
5.その他(具体的に
F4)F1の発生状況について貴病院長に報告していますか。
1.すべて報告している(453)
2.大部分報告している(195)
4.ほとんど報告していない(120) 5.全く報告していない(278)
3.一部報告している(173)
6.分からない(414)
F5)F4で「報告している」と回答された方は、次のいずれの方法で報告していますか。
1.所定の報告書(406)
2.フリーフォーマットの報告書(89)
3.電子メール(4)
−資料・8−
(8)
)(20)
4.口頭(396)
5.その他(具体的に
F6)F1の発生状況について厚生省に報告されていますか。
1.すべて報告している(73)
2.大部分報告している(25)
4.ほとんど報告していない(72) 5.全く報告していない(428)
)(34)
3.一部報告している(19)
6.分からない(823)
G.貴部門における医療用具の使用において、院内スタッフの適切な処置や判断で医療事故に繋がらなかった
ものの、一部の医療スタッフの不適当な手技・操作により生じたヒヤリミスとその処理報告体制についてお尋
ねします。なお、調査対象期間は、平成 10 年度(平成 10 年 4 月 1 日から平成 11 年 3 月 31 日まで)の診療
行為についてご回答下さい。
G1)医療スタッフ側による医療用具の不適正使用、操作ミスなどが原因と思われるヒヤリミスはおよそ何件
でしたか。なお、ヒヤリミスの発生がない場合は、未回答と区別するため、件数欄に0を記入して下さい。
医療機器に関して、およそ(
)件/年(平成 10 年度) 1,740 件
医療器材に関して、およそ(
)件/年(平成 10 年度)
554 件
医療材料に関して、およそ(
)件/年(平成 10 年度)
935 件
G2)G1の発生状況について貴部門の診療科長/部長に報告していますか。
1.すべて報告している(685)
2.大部分報告している(227)
3.一部報告している(144)
4.ほとんど報告していない(47) 5.全く報告していない(152)
6.分からない(242)
G3)G2で「報告している」と回答された方は、次のいずれの方法で報告していますか。
1.所定の報告書(434)
2.フリーフォーマットの報告書(70)
3.電子メール
4.口頭(639)
5.その他(具体的に
G4)G1の発生状況について貴病院長に報告していますか。
1.すべて報告している(472)
2.大部分報告している(180)
4.ほとんど報告していない(119) 5.全く報告していない(286)
(6)
)(23)
3.一部報告している(195)
6.分からない(400)
G5)G4で「報告している」と回答された方は、次のいずれの方法で報告していますか。
1.所定の報告書(459)
2.フリーフォーマットの報告書(86)
3.電子メール(5)
4.口頭(411)
5.その他(具体的に
)(29)
G6)G1の発生状況について厚生省に報告されていますか。
1.すべて報告している(69)
2.大部分報告している(21)
4.ほとんど報告していない(62) 5.全く報告していない(479)
3.一部報告している(17)
6.分からない(850)
H.厚生省の「医薬品等安全性情報報告制度」に関する今後のあり方について、ご意見を頂戴したいと思いま
す。
H1)現在の「医薬品等安全性情報報告制度」には医薬品だけでなく、医療用具もその対象に含まれているこ
とをご存知ですか。
1.知っている(1,504)
2.知らなかった(1,425)
H2)H1で「知らなかった」と回答された方は、どのようにすれば多くの方に周知できると思いますか(複
数回答可)。
1.制度の存在をもっとPRする(1,088)
2.「医薬品・医療用具安全性情報報告制度」のように制度名を改称し、対象を明確する(967)
−資料・9−
3.その他(具体的に
)(47)
H3)冒頭にも紹介致しましたように、日本における医療用具の不具合報告については、欧米の報告に比べて
非常に数が少ないのが現状ですが、実際には報告件数以上の不具合が発生していることが予想されます。これ
には、制度面での違いを含め、様々な理由が考えられますが、今後、欧米並みの件数の不具合報告が実現する
ためには、どのような点での整備が必要であるとお考えですか(複数選択可)。
1.「医薬品等安全性情報報告制度」の周知を行うとともに、報告用紙を十分医療機関に配布する
(2,123)
2.「医療用具安全性情報報告書」(巻末資料―2参照)の記載方法・記載内容を見直す(570)
3.関係学会で報告した不具合症例については、厚生省に報告する(853)
4.現在、医療機関からの不具合報告は医療機関の医師・歯科医師、薬剤師に任されているが、
医療用具の不具合には工学的な専門知識も必要なため、臨床工学技士等のコメディカルスタッフ
をその報告者に追加すべきである(1,662)
5.今後の医療安全の強化を考える上で、患者に重篤な障害が残った不具合症例や死亡症例を対象に、
厚生省は各医療機関に対して不具合報告の義務化を制度化すべきである(1,349)
6.製造業者は、医療機関と示談で済ませた不具合症例も漏らさず不具合報告を行うべきである(1,076)
7.その他(具体的に
)(92)
H4)医療用具の不具合報告は医療機関の医師・歯科医師、薬剤師に任されていますが、工学的な専門知識も
必要なため、「医薬品等安全性情報報告制度」の対象範囲を広げるとすると、次のどのようなパラメディカル
スタッフを対象範囲として広げるべきとお考えですか(複数回答可)。
1.診療放射線技師(1,896)
2.臨床工学技士(2,261)
3.臨床検査技師(1,600)
4.その他の職種(_____________)(313) 5.特に必要ない(144) 6.分からない(213)
H5)厚生省が集約した不具合情報は、患者のプライバシー保護や医療機関の匿名を配慮した上、どのように
利用するのが望ましいと思われますか(複数回答可)。
1.厚生省で取りまとめて、重要なものについては情報提供を行うべきである(2,165)
2.医療スタッフがいつでも利用できるよう情報提供を行うべきである(1,883)
3.医療スタッフ以外にも情報は広く一般に提供すべきである(684)
4.患者氏名を匿名扱いとしても、個人のプライバシーの問題があるので、公開すべきでない(63)
5.医療機関名を匿名扱いとしても問題等があるので公開すべきでない(48)
6.その他(具体的に
)(18)
H6)インターネット等による公開方法として、次のどの方法が望ましいと考えますか(複数回答可)。
1.情報入手順番に公開する(現状の方法)(948)
2.医療用具の分類検索が行える(2,069)
3.キーワードによる情報検索ができる(1,789)
4.その他(具体的に
)(47)
I.貴院における不具合防止のためのリスク管理体制についてお伺いします。なお、ここで言うリスク管理委
員会とは、教授会/部長会とは異なり、不具合の再発を防止するため、リスク対策についてのみ検討・評価す
る委員会のことを指します。また、リスク管理者とは、診療科長/診療部長/看護婦長などの定型業務の監督
責任者ではなく、リスク管理を総合的に専門分析を行うスタッフを指します。
I1)貴院では不具合を防止するためにリスク管理委員会を設置していますか。
1.以前から組織されている (140)
2.最近、組織した(311)
3.目下、組織化を検討中である(370)
4.組織する必要はない(50)
−資料・10−
5.その他(具体的に
)(169)
I2)I1で「組織されている」と回答された医療機関では、何が組織化を行う契機となりましたか。
1.院内で医療事故が発生し、再発防止のため(117)
2.院内でヒヤリミスが発生し、再発防止のため(120)
3.他の医療機関の医療事故を教訓に、医療事故を未然に予防するため(313)
4.その他(具体的に
)(22)
I3)リスク管理委員会が組織されている場合、その委員会委員には次のどのメンバーで構成されていますか
(複数回答可)
1.病院長(224)
2.部長(診療科長)(417) 3.中央診療部門長(191)
4.看護部長(358)
5.事務部長(310) 6.臨床医師(256)
7.薬剤師(306)
8.臨床放射線部技師(201)
9.臨床検査技師(225) 10.臨床工学技士(81) 11.婦長(274) 12.その他(具体的に
)(93)
I4)不具合防止リスク管理室を設置するとしたら、どのような職種の方を中心に運営されるのが望ましいと
考えますか。
1.病院長(330) 2.副院長(435) 3.部長(診療科長)(546) 4.看護部長(291 5.病院外注(69)
6.その他(具体的に
)(77)
I5)不具合防止リスク管理室を設置するとしたら、どのような業務を行うべきと考えますか(複数回答可)。
1.各部門の診療業務マニュアル(診療指針)策定および見直し状況の実態確認(704)
2.各部門の診療業務がマニュアル通りに実施されているかの現状確認(554)
3.医療事故、ヒヤリミスの実態と報告状況確認(962)
4.マニュアル改善の指導(506)
5.事故発生時の対応処理(769)
6.医療事故、ヒヤリミスの報告および対策資料の保存(757)
7.各医療用具の添付文書の管理保存(425)
8.その他(具体的に
)(28)
I6)院内に不具合防止リスク管理室が設置されている場合、院内からのリスク管理室への不具合情報の収
集・処理の頻度はどのように行われていますか。
1.2ヶ月毎(46)
2.1ケ月ごと(134)
3.半月毎(15)
4.1週間毎(5)
5.不具合の発生時(202) 6.その他(具体的に
)(42)
I7)院内で収集した不具合情報は、類似した不具合が起こらないよう、各部門にその状況と対応を通知して
いますか。
1.すべて通知している(153)
2.必要に応じて通知してい(490)
3.ほとんど通知していない(152)
4.その他(具体的に
)(40)
I8)医療用具の使用に伴う事故やヒヤリミスはどのような状態で管理されていますか。
1.所定の文書(597)
2.電子情報(14)
3.管理されていない(247)
4.その他(具体的(に
I9)不具合防止のために診療業務マニュアルが整備されていますか。
−資料・11−
)(67)
1.十分に整備されている(44)
2.一応整備されている(421)
3.ほとんど整備されていない(340)
4.ないに等しい(132)
5.その他(具体的に
)(52)
I10)不具合防止のために診療業務は原則としてマニュアルに沿って実施されるべきと考えますか。
1.マニュアルに沿うべきである(550)
2.例外が多いのでマニュアルは参考程度とすべき(429)
3.マニュアルを作成しても役立たない(30)
4.その他(具体的に
)(25)
I11)不具合防止のために診療業務マニュアルの見直しは行われていますか。
1.定期的に行っている(50)
2.随時行っている(400)
3.ほとんど行われていない(362)
4.その他(具体的に
I12)不具合防止のために診療業務マニュアルは医療スタッフに周知徹底されていますか。
1.全員に周知している(85)
2.大部分のスタッフに周知されている(287)
3.一部のスタッフにのみ周知している(210)
4.ほとんど周知されていない(161)
5.分からない(129)
6.その他(具体的に
調査は以上です。ご多忙の中、ご協力誠に有り難うございました。
−資料・12−
)(63)
)(41)