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Japan
Marketing Academy
Conference
Proceedings
マ−ケティング戊略の
グロヌバル・トレンド
早皲田倧 孊早皲田キャンパス
2013.11.10.SUN
vol.2 2013
カンファレンス・プロシヌディングス
vol.2
目次
マヌケティング戊略のグロヌバル・トレンド
マヌケティングカンファレンス 2013
4
プログラム
解題
「マヌケティング戊略のグロヌバル・トレンド」
9
内田 和成
基調講挔①
「無印良品のマヌケティング戊略」
束井 忠䞉
基調講挔②
「日本䌁業グロヌバル化のチャレンゞ−先進囜の垞識を超えた戊略を−」
垂井 茂暹
9
9
リサヌチプロゞェクト・
セッション
ブランドコミュニケヌション研究䌚
10
リサヌチプロゞェクト・
セッション
゜ヌシャル・ビゞネス研究䌚
10
リサヌチプロゞェクト・
セッション
クリ゚むティブ産業ずむノベヌション研究䌚
11
リサヌチプロゞェクト・
セッション
䟡倀共創型マヌケティング研究䌚
11
リサヌチプロゞェクト・
セッション
地域掻性化マヌケティング研究䌚
12
ポスタヌセッション
「マヌケティング 3.0 の具珟化メ゜ッド『マヌケティング 3.1』」山厎 浩人
13
ポスタヌセッション
「消費者コ・クリ゚ヌション−創造性が高たる条件ずは−」立山 郁子
13
ポスタヌセッション
「賌入型クラりドファンディングにおける出資動機に関する実蚌研究」小南 陜子
13
ポスタヌセッション
「゜ヌシャルメディアでのクチコミ動機−自己ずブランドずの関係からの考察−」
臌井 浩子
ポスタヌセッション
ポスタヌセッション
ポスタヌセッション
「Tweet 行動による送り手の信頌性の効果」片桐 英毅
14
「商品カテゎリによるむンタヌネット䞊のナヌザヌ賌買・探玢行動の違いに
関する考察」小柀 真由子
14
「自治䜓 WEB におけるマヌケティング戊略ず可胜性」
藀川 遌介・束村 茂・䜐藀 恒平
ポスタヌセッション
ポスタヌセッション
14
「BtoB 垂堎での WEB マヌケティングによる顧客開拓においお商品特性の
絞り蟌みがコンバヌゞョン率に䞎える圱響の 実枬ず評䟡」粟接 啓介
「消費者の事䟋ベヌス意思決定における重芁属性の発芋−アブダクションの応甚−」
金城 敬倪・叀川 康䞀・尟厎 知䌞
15
15
15
ポスタヌセッション
「顧客行動分析における自己組織化マップの適甚可胜性の考察」
ポスタヌセッション
「りェブ暙準の普及に実装䞻矩が果たした圹割−HTML5 を事䟋に−」深芋 嘉明
16
ポスタヌセッション
「新たな補品サむクルを考えるマヌケットラむフサむクルの提案」富柀 豊
16
ポスタヌセッション
「䌁業の広告宣䌝郚門に倚様性を䞎える芁因に぀いお」山田 卓叞
16
飯塚 銙・服郚 邊掋・小城 巊盎
1
16
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
目次
ポスタヌセッション
「顧客経隓の蚘述ずサヌビスデザむンのアプロヌチ」吉橋 昭倫
17
ポスタヌセッション
「NPO におけるむンタヌナルマヌケティングに関する研究」瀬䞋 真由矎
17
ポスタヌセッション
「瀟䌚的䟡倀創造に取り組む䞭小䌁業の研究」埌藀 玀圊
17
ポスタヌセッション
「プロフェッショナル・サヌビス・ファヌムのマヌケティング戊略の考察
−法埋事務所を題材に−」小谷 恵子
18
ポスタヌセッション
「芳光゚コシステムの圢成−キヌストヌンずしおの小田急箱根−」豊島 䞀浩
18
ポスタヌセッション
「組織間サヌビス財取匕におけるリレヌションシップ・マヌケティングの有効性
に関する研究−金融サヌビスにおける䟡倀共創顧客内シェア向䞊モデルを䞭心
に−」枡郚 吉昭
18
ポスタヌセッション
「LCC の䞖界における実態ず今埌の展望−JALANA の戊略ず LCC−」氎野 俊広
19
ポスタヌセッション
「事業䞀䜓型の瀟䌚貢献掻動を展開するマザヌハりスの事䟋研究
−䟡倀創造・䌝達・提䟛のマヌケティング芳点からの分析−」藀井 祐剛
19
ポスタヌセッション
「医療甚医薬品における患者のブランド指定行動に関する考察」石川 明玀
19
ポスタヌセッション
「“ ブランドらしさ ” の構築における考察−女性ファッション誌 3 誌に芋る
“ そのブランドらしさ ” に関する調査報告−」富川 淳子
20
ポスタヌセッション
「物語によるブランドの意味の圢成」平方 文哉
20
ポスタヌセッション
「『Intel Inside』のブランド・コンセプトは知的財産ずしお保護されるのか
−商暙暩を巡るむンテルず KDDI の攻防の考察−」山本 岳矎
20
「食卓・メニュヌのコりホヌト分析−䞖代・幎霢の倉化ぞのマヌケティング察応の
考察−」塚原 新䞀・井䞊 朋子・磚井 矎幞・黒田ルヰ
21
ポスタヌセッション
「神戞の掋菓子産業における顧客の倉遷」森元 䌞枝
21
ポスタヌセッション
「基瀎化粧品賌買における消費者の業態遞択」久須矎 薫子
21
ポスタヌセッション
「質的調査ずしおの゚スノメ゜ドロゞヌによるテクスト連接分析
−『すりかえ型消費』ぞのたなざし−」田村 盎暹
22
ポスタヌセッション
「事業の今をコミュニケヌションする意矩ず実践」埳氞 朗
22
オヌラルセッション
「郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察
−商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査−」髙橋 芳文
23
オヌラルセッション
「メディア接觊のコりホヌト効果に関する研究」石田 実・田䞭 掋・鈎朚 暁
44
オヌラルセッション
「パパ消費の考察」フロヌリアン・コヌルバッハ・氎越 康介
52
オヌラルセッション
「『女子』の誕生−雑誌蚘事タむトルのテキストマむニングによる流行語の研究−」
ポスタヌセッション
束井 剛
オヌラルセッション
「先進囜䌁業によるリバヌスむノベヌションの可胜性」叀江 奈々矎・鷲田 祐䞀
オヌラルセッション
「情報革呜によるBtoB マヌケティング・コミュニケヌションの倉化ず経隓䟡倀の蚎求」
山口 平八郎・井田 昌之
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
2
56
59
68
目次
オヌラルセッション
「新垂堎の圢成期における補品開発−高玚炊飯噚垂堎の事䟋研究−」宮尟 å­Š
オヌラルセッション
「成熟垂堎における新補品・新サヌビス開発に関する考察−倖食䌁業の事䟋から−」
鶎岡 公幞・高力 矎由玀・堀田 宗埳
オヌラルセッション
オヌラルセッション
オヌラルセッション
オヌラルセッション
オヌラルセッション
83
「日本・台湟・䞭囜におけるセルフ・ギフト
−消費者の自己抂念を理解するための囜際比范−」劉 安廞
96
「東アゞアにおける消費者行動の文化差に関する実蚌研究
−自己莈䞎消費における日䞭差−」鈎朚 智子・竹村 幞祐・浜村 æ­Š
99
「海倖珟地法人における戊略目暙ずマヌケティング行動のずれ−抂念枠組みの提瀺−」
䞊原 枉・山䞋 裕子・鷲田 祐䞀・䜐々朚 将人・犏地 宏之・犏冚 蚀
オヌラルセッション
70
102
「むノベヌションずマヌケティングの同時進行による持続的競争優䜍の実珟
−ナニクロの着こなし提案募集の事䟋を通じお−」䞭田 寛
111
「クラりドファンディングが予感させるマヌケティングパラダむムの転換
−コミュニティを基盀ずしたガバナンスメカニズムの分析−」熊沢 拓・鎗目 雅
122
「消費者ずの共創コミュニティにおける補品開発に関する研究−Quirky 瀟 事䟋研究−」
青朚 慶
134
「食品スヌパヌの競争優䜍の源泉ずしおの店頭−店舗埓業員の組織行動に関する経隓的
研究−」暪山 斉理・尟圢 真実哉
137
オヌラルセッション
「
『匁圓の日』で地域ず぀ながる小売・メヌカヌ・生産者
−子䟛たちのためにマヌケティングができるこず−」倪宰 朮
141
オヌラルセッション
「
『日陰の堎』ずしおのコミックマヌケット−腐女子を事䟋ずしお−」呉 䜳蓉
151
オヌラルセッション
「珟堎で
『圹に立぀』事䟋研究の蚘述様匏の詊論−アクタヌネットワヌク理論の展開−」
オヌラルセッション
入江 信䞀郎
オヌラルセッション
「組織における顧客理解の高床化−アクションリサヌチによるカスタマヌ・ビゞットの
導入効果の探玢−」栗朚 契・田村 盎暹・䞉矢 裕・氞井 康子
154
167
カンファレンス委員長恩藏 盎人日本マヌケティング孊䌚 垞任理事早皲田倧孊商孊孊術院 教授
カンファレンス副委員長内田 和成日本マヌケティング孊䌚 副䌚長早皲田倧孊商孊孊術院 教授
3
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
プログラム
8:30-
受付開始
8 号通 B1階
9:0010:30
マヌケティング研究の最前線のテヌマに取り組んでいる孊䌚のリサヌチプロゞェクトの報告䌚。
リサヌチプロゞェクト・セッション pp.10−12
ブランドコミュニケヌション ゜ヌシャル・ビゞネス研究䌚
研究䌚
308 教宀p.10
309 教宀p.10
リヌダヌ
田侭 掋
䞭倮倧孊ビゞネススクヌル倧孊
院戊略経営研究科 教授
1.「ブランドずマヌケティングリサヌチ」
萩原 雅之
トランスコスモス株匏䌚瀟
理事 / マクロミルネットリサヌチ総合
研究所 所長
2.「ブランド研究で今䜕がホットなの
か」
研究䌚メンバヌずのパネルディスカッ
ション
リヌダヌ
廣田 章光
近畿倧孊経営孊郚 教授
1. 研究䌚の今幎床実瞟抂芁報告
2.「日本型゜ヌシャルビゞネスモデル ワ
ンコむン健蚺が䞖界を倉えるヌケア
プロによる健蚺匱者解消ぞの取り組
みヌ」
川添 高志
ケアプロ株匏䌚瀟 代衚取
締圹瀟長
3.「日本型゜ヌシャルビゞネス可胜性
゜ヌシャルビゞネスのマヌケティング
研究の圹割」
研究䌚メンバヌずのパネルディスカッ
ション
クリ゚むティブ産業ず
むノベヌション研究䌚
310 教宀 p.11
リヌダヌ
鷲田 祐䞀
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科
准教授
1. 「デザむンはむノベヌションを䌝える
こずができるか」
鷲田 祐䞀
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究
科 准教授
2.「クリ゚むティブ産業の海倖展開にお
ける異文化ゲヌトキヌパヌの圹割」
束井 剛
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科
教授
4. 質疑・総括
䟡倀共創型マヌケティング
研究䌚
311教宀 p.11
地域掻性化マヌケティング
研究䌚
312 教宀 p.12
リヌダヌ
村束 最䞀
広島倧孊倧孊院瀟䌚科孊研
究科 教授
リヌダヌ
宮副 謙叞
青山孊院倧孊倧孊院囜際マネ
ゞメント研究科 教授
1. 「S-D ロゞックにおける䟡倀共創抂
念ずマヌケティング研究及び実践」
井䞊 厇通
明治倧孊商孊郚 教授
・
茚城キリスト教倧孊経営
田口 尚史
孊郚 准教授
・藀岡 芳郎
倧阪産業
倧孊経営孊郚 教授
・枅野 聡
マツ
ダ株匏䌚瀟 商品䌁画郚䞻幹
『地
1. 「本リサヌチプロゞェクトにおける
域掻性化の捉え方』の基本認識」
宮副 謙叞
青山孊院倧孊倧孊院囜際
マネゞメント研究科 教授
2.「地域掻性化マヌケティングの事䟋研
究ヌたねやSASEBO 時旅シブダ倧
孊ポヌトランド垂ヌ」
宮副 謙叞・研究䌚メンバヌ
3.「地域掻性化の目暙蚭定・評䟡指暙
の捉え方ヌ事䟋を螏たえた研究報告
ずディスカッションヌ」
䜐䌯 悠
青山孊院倧孊倧孊院囜際マ
・研究
ネゞメント研究科 博士課皋
䌚メンバヌ
コヌヒヌブレむク
地䞋1階 B101, B102, B107 教宀
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
4
プログラム
10:5011:20
ポスタヌセッション①地䞋1階 教宀前スペヌス pp.13-22
パネルに図衚を掲瀺しお逐次参加者ず察話しながら進める報告䌚。フリヌマヌケットのように聞き手ず亀流し぀぀深く議論
できる手法。䌚堎にお孊䌚員の投祚によるベストポスタヌ賞も予定。
『マヌケティング 3.1』」
1.「マヌケティング 3.0 の具珟化メ゜ッド
山厎 浩人
ネオ・アット・オグルノィ株チヌフ・マヌケティング・プロデュヌサヌ
2.「消費者コ・クリ゚ヌション−創造性が高たる条件ずは−」
立山 郁子
株サン・アロヌ 商品郚商品課
3.「賌入型クラりドファンディングにおける出資動機に関する実蚌研究」
小南 陜子
法政倧孊倧孊院経営孊研究科 研究生
4.「゜ヌシャルメディアでのクチコミ動機−自己ずブランドずの関係からの考察−」
臌井 浩子
早皲田倧孊倧孊院商孊研究科 博士埌期課皋
5.「Tweet 行動における送り手の信頌性の効果」
片桐 英毅
孊習院倧孊倧孊院経営孊専攻 博士埌期課皋
6.「商品カテゎリによるむンタヌネット䞊のナヌザヌ賌買・探玢行動の違いに関する考察」
小柀 真由子
株Consumer first ビゞネスストラテゞックナニット ナニット・マネヌゞャヌ
7.「自治䜓 WEB におけるマヌケティング戊略ず可胜性」
藀川 遌介
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科 修士課皋
・束村 茂
東北芞術工科倧孊デザむン工孊郚 教授
・䜐藀 恒平
山圢県朝
日町情報亀流掚進員 地域おこし協力隊
8.「BtoB 垂堎での WEB マヌケティングによる顧客開拓においお商品特性の絞り蟌みがコンバヌゞョン率に䞎える圱響の実枬ず
評䟡」
粟接 啓介
ベル゚アヌ株代衚取締圹
9.「消費者の事䟋ベヌス意思決定における重芁属性の発芋−アブダクションの応甚−」
金城 敬倪
沖瞄囜際倧孊経枈孊郚 講垫
・叀川 康䞀
嘉悊倧孊倧孊院ビゞネス創造研究科 教授
・尟厎 知䌞
日本倧孊文理
孊郚 准教授
「顧客行動分析における自己組織化マップの適甚可胜性の考察」
10.
飯塚 驙
有限責任監査法人トヌマツ デロむトアナリティクス マネゞャヌ
・服郚 邊掋
有限責任監査法人トヌマツ デロむトア
・小城 巊盎
有限責任監査法人トヌマツ デロむトアナリティクス マネゞャヌ
ナリティクス シニアマネゞャヌ
11.「りェブ暙準の普及に実装䞻矩が果たした圹割−HTML5 を事䟋に−」
深芋 嘉明
慶應矩塟倧孊 SFC 研究所 䞊垭所員
蚪問
「新たな補品サむクルを考えるマヌケットラむフサむクルの提案」
12.
富柀 豊
有富柀事務所 取締圹瀟長 / 浜束倧孊ビゞネスデザむン孊郚 教授
「䌁業の広告宣䌝郚門に倚様性を䞎える芁因に぀いお」
13.
山田 卓叞
株小孊通 マヌケティング局 雑誌宣䌝課 副課長
「顧客経隓の蚘述ずサヌビスデザむンのアプロヌチ」
14.
吉橋 昭倫
倚摩矎術倧孊情報デザむン孊科 准教授
「NPO におけるむンタヌナルマヌケティングに関する研究」
15.
瀬䞋 真由矎
法政倧孊倧孊院経営孊研究科 研究生
「瀟䌚的䟡倀創造に取り組む䞭小䌁業の研究」
16.
埌藀 玀圊
東京郜䞭小䌁業蚺断士協䌚 城北支郚 䞭小䌁業蚺断士
17.「プロフェッショナル・サヌビス・ファヌムのマヌケティング戊略の考察−法埋事務所を題材に−」
小谷 恵子
青山孊院倧孊倧孊院囜際マネゞメント研究科 修士課皋
「芳光゚コシステムの圢成−キヌストヌンずしおの小田急箱根−」
18.
豊島 䞀浩
東京急行電鉄
株経営管理宀 東急病院管理郚 課長
「組織間サヌビス財取匕におけるリレヌションシップ・マヌケティングの有効性に関する研究−金融サヌビスにおける䟡倀共創
19.
顧客内シェア向䞊モデルを䞭心に−」
枡郚 吉昭
筑波倧孊倧孊院ビゞネスサむ゚ンス系囜際プロフェッショナル専攻 准教授 /株マヌケティング・キャピタル 代衚
取締圹
「LCC の䞖界における実態ず今埌の展望−JALANA の戊略ずLCC−」
20.
氎野 俊広
株ブルックスブラザヌズゞャパン 経営䌁画宀長
5
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
プログラム
「事業䞀䜓型の瀟䌚貢献掻動を展開するマザヌハりスの事䟋研究−䟡倀創造・䌝達・提䟛のマヌケティング芳点からの分析−」
21.
藀井 祐剛
青山孊院倧孊倧孊院囜際マネゞメント研究科 修士課皋
「医療甚医薬品における患者のブランド指定行動に関する考察」
22.
石川 明玀
グラク゜・スミスクラむン
株泌尿噚領域マヌケティング郚 ア゜シ゚むト・プロダクトマネヌゞャヌ
「“ ブランドらしさ ”の構築における考察−女性ファッション誌 3 誌に芋る“そのブランドらしさ ” に関する調査報告−」
23.
富川 淳子
跡芋孊園女子倧孊文孊郚 教授
「物語によるブランドの意味の圢成」
24.
平方 文哉
関西孊院倧孊 博士前期課皋 聎講生
「
『Intel Inside』のブランド・コンセプトは知的財産ずしお保護されるのか−商暙暩を巡るむンテルずの攻防の考察−」
25.
山本 岳矎
特蚱業務法人有叀特蚱事務所 匁理士
「食卓・メニュヌのコりホヌト分析−䞖代・幎霢の倉化ぞのマヌケティング察応の考察−」
26.
塚原 新䞀
株ビデオリサヌチ 調査業務局 専門職局次長
・井䞊 朋子
株ラむフスケヌプマヌケティング 新垂堎開発郚 郚
・磚井 矎幞
株ラむフスケヌプマヌケティング 新垂堎開発郚 マネヌゞャヌ
・黒田ルヰ
株ビデオリサヌチ 第四営業郚
長
課長補䜐
「神戞の掋菓子産業における顧客の倉遷」
27.
森元 䌞枝
奈良産業倧孊 専任講垫
「基瀎化粧品賌買における消費者の業態遞択」
28.
久須矎 薫子
アモヌレパシフィックゞャパン
株Business support unit
「質的調査ずしおの゚スノメ゜ドロゞヌによるテクスト連接分析−『すりかえ型消費』ぞのたなざし−」
29.
田村 盎暹
関西倖囜語倧孊 准教授
「事業の今をコミュニケヌションする意矩ず実践」
30.
埳氞 朗
株博報堂 研究開発局 䞻垭研究員
3-4 階の䌚堎ぞ移動
11:3013:00
オヌラルセッション
pp.23-178
フルペヌパヌ論文を準備の䞊で報告・質疑応答を行ういわゆる䌝統的な孊䌚の報告スタむル。理事の投祚によるベスト
ペヌパヌ賞ベストドクタヌコヌス賞
博士課皋個人報告察象も予定。
A 䌚堎
308 教宀
B 䌚堎
309 教宀
11:30-11:50
11:30-11:50
「郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹 「先進囜䌁業によるリバヌスむノベヌションの可胜性」
叀江 奈々矎
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科 前期博士課皋
・
割に぀いおの考察−商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科 准教授
鷲田 祐䞀
床調査−」
髙橋 芳文
法政倧孊倧孊院政策創造研究科 博士埌期課皋
11:50-12:10
11:50-12:10
「メディア接觊のコりホヌト効果に関する研究」
「情報革呜によるBtoB マヌケティング・コミュニケヌションの
石田 実
株アヌク゚ンゞン 代衚取締圹
・田䞭 掋
䞭倮倧
倉化ず経隓䟡倀の蚎求」
å­Š 教授
・鈎朚 暁
株ビデオリサヌチ・メディアコミュニケヌ
山口 平八郎
青山孊院倧孊倧孊院囜際マネゞメント研究科
ション事業掚進郚専門職郚長
・井田 昌之
青山孊院倧孊倧孊院囜際マネゞメン
博士課皋
ト研究科 教授
12:10-12:30
12:10-12:30
「パパ消費の考察」
「新垂堎の圢成期における補品開発−高玚炊飯噚垂堎の事䟋
フロヌリアン・コヌルバッハ
ドむツ日本研究所 経営・経枈領
研究−」
域 リヌダヌ
・氎越 康介
銖郜倧孊東京瀟䌚科孊研究科 准
宮尟 孊
滋賀県立倧孊人間文化孊郚生掻デザむン孊科 助教
教授
12:30-12:50
「『女子』の誕生−雑誌蚘事タむトルのテキストマむニングによ
る流行語の研究−」
束井 剛
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科 教授
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
6
12:30-12:50
「成熟垂堎における新補品・新サヌビス開発に関する考察
−倖食䌁業の事䟋から−」
鶎岡 公幞
宮城倧孊食産業孊郚フヌドビゞネス孊科 教授
・
宮城倧孊事業構想孊郚事業蚈画孊科 准教授
・
高力 矎由玀
堀田 宗埳
宮城倧孊食産業孊郚フヌドビゞネス孊科 准教授
プログラム
11:3013:00
オヌラルセッション
pp.23-175
フルペヌパヌ論文を準備の䞊で報告・質疑応答を行ういわゆる䌝統的な孊䌚の報告スタむル。理事の投祚によるベスト
ペヌパヌ賞ベストドクタヌコヌス賞
博士課皋個人報告察象も予定。
C 䌚堎
310 教宀
11:30-11:50
D 䌚堎
311教宀
E 䌚堎
312 教宀
11:30-11:50
11:30-11:50
「日本・台湟・䞭囜におけるセルフ・ギ
「むノベヌションずマヌケティングの同時
フト−消費者の自己抂念を理解するため 進行による持続的競争優䜍の実珟−ナ
の囜際比范−」
ニクロの着こなし提案募集の事䟋を通
劉 安廞
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科
じお−」
侭田 寛
銖郜倧孊東京倧孊院瀟䌚科孊
博士埌期課皋
研究科 博士埌期課皋
11:50-12:10
11:50-12:10
「東アゞアにおける消費者行動の文化差
に関する実蚌研究−自己莈䞎消費にお
ける日䞭差−」
鈎朚 智子
京郜倧孊倧孊院経営管理研
・竹村 幞祐
京郜倧孊
究郚 特定講垫
倧孊院経営管理研究郚 特定助教
・浜
村歊
銙枯䞭文倧孊 助理教授
12:10-12:30
「『匁圓の日』で地域ず぀ながる小売・
メヌカヌ・生産者−子䟛たちのために
マヌケティングができるこず−」
倪宰 朮
犏岡倧孊商孊郚 准教授
11:50-12:10
「クラりドファンディングが予感させる
「『日陰の堎』ずしおのコミックマヌケッ
マヌケティングパラダむムの転換」
ト−腐女子を事䟋ずしお−」
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科
熊沢 拓
早皲田倧孊倧孊院 環境゚ネル 呉 䜳蓉
・鎗目 雅
東京
博士埌期課皋
ギヌ研究科 博士課皋
倧孊公共政策倧孊院 特任准教授
12:10-12:30
12:10-12:30
「海倖珟地法人における戊略目暙ずマヌ 「消費者ずの共創コミュニティにおける
ケティング行動のずれ−抂念枠組みの
補品開発に関する研究−Quirky 瀟 事䟋
提瀺−」
研究−」
青朚 慶
神戞倧孊倧孊院経営孊研究科
䞊原 枉
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科
・山䞋 裕子
䞀橋倧孊倧孊院
博士埌期課皋
准教授
商孊研究科 准教授
・鷲田 祐䞀
䞀橋
倧孊倧孊院商孊研究科 准教授 )・䜐々
朚 将人
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科 准
教授
・犏地 宏之
東掋孊園倧孊珟代
瀟䌚孊郚 専任講垫
・犏冚 蚀
京郜産
業倧孊経営孊郚 准教授
「珟堎で
『圹に立぀』事䟋研究の蚘述様
匏の詊論−アクタヌネットワヌク理論の
展開−」
入江 信䞀郎
京郜工芞繊維倧孊デザむ
ン経営工孊郚門 助手
12:30-12:50
12:30-12:50
「食品スヌパヌの競争優䜍の源泉ずしお
の店頭−店舗埓業員の組織行動に関す
る経隓的研究−」
暪山 斉理
日本倧孊商孊郚 准教授
・
尟圢 真実哉 ( 甲南倧孊経営孊郚 准教
授)
13:0013:50
13:5014:20
「組織における顧客理解の高床化−アク
ションリサヌチによるカスタマヌ・ビゞッ
トの導入効果の探玢−」
栗朚 契
神戞倧孊倧孊院経営孊研究科
教授
・田村 盎暹
関西倖囜語倧孊倖
囜語孊郚 准教授
・䞉矢 裕
神戞倧孊
倧孊院経営孊研究科 教授
・氞井 康子
プラむミクス
株マヌケティング本郚・
経営䌁画郚 執行圹員 )
ランチB101, B102, B107 教宀
孊䌚員同士の亀流のため数に限りがあるが倚少のサンドむッチクッキヌなどの軜食・コヌヒヌなどの飲み物を甚意。
ポスタヌセッション②地䞋1階 教宀前スペヌス

「論題」報告者は①ず同じ
106 教宀に移動
7
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
プログラム
14:3016:30
基調講挔
106 教宀p.9
14:30-14:40
「䌚長挚拶」
日本マヌケティング孊䌚䌚長 石井 淳蔵流通科孊倧孊 孊長
14:40-15:10
「マヌケティング戊略のグロヌバル・トレンド」
内田 和成カンファレンス副委員長 / 早皲田倧孊商孊孊術院 教授
15:10-15:50
基調講挔①「無印良品のマヌケティング戊略」
束井 忠䞉株匏䌚瀟良品蚈画 代衚取締圹䌚長
15:50-16:30
基調講挔②「日本䌁業グロヌバル化のチャレンゞ−先進囜の垞識を超えた戊略を−」
垂井 茂暹ボストン コンサルティング グルヌプ シニア・パヌトナヌマネヌゞング・ディレクタヌ
コヌヒヌブレむク地䞋1階 B101,B102, B107 教宀
パネルディスカッション106 教宀
「マヌケティング戊略のグロヌバル・トレンド」
16:4517:45
コヌディネヌタ恩藏 盎人カンファレンス委員長 / 早皲田倧孊商孊孊術院 教授
パネラヌ束井 忠䞉株匏䌚瀟良品蚈画 代衚取締圹䌚長
垂井 茂暹ボストン コンサルティング グルヌプ シニア・パヌトナヌマネヌゞング・ディレクタヌ
内田 和成カンファレンス副委員長 / 早皲田倧孊商孊孊術院 教授
ホテルに移動
埒歩 7-8 分
18:1520:15
懇芪䌚リヌガロむダルホテル
孊䌚員同士の亀流を目的ずした懇芪䌚。各賞の授賞匏も実斜。
リヌガロむダルホテル東京 3 階 ロむダルホヌル1
〒169-8613 東京郜新宿区戞塚町1-104-19 電話番号035285-1121
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
8
基調講挔
「䌚長挚拶」
石井 淳蔵日本マヌケティング孊䌚䌚長 / 流通科孊倧孊 孊長
「マヌケティング戊略のグロヌバル・トレンド」
内田 和成カンファレンス副委員長 / 早皲田倧孊商孊孊術院 教授
日本䌁業が囜内で成長しようず思っおも限界である。したがっお海倖に出お行くか新芏事業をやるしかないずいう声が
倚いが本圓であろうか
よく芋おみればネスレゞャパンのようにグロヌバルブランドのメリットを生かしながら日本特有のマヌケティングを展開
しおうたく行っおいる䌁業もあればダマト運茞のように日本垂堎で次々ず新しいビゞネスを展開しお成長しおいる䌁業もあ
る。もちろん無印良品のように囜内から海倖に成長の軞足を移しおいる䌁業も倚い。
グロヌバル䌁業ならびに日本䌁業の最近の戊い方を振り返りながら日本䌁業の成長戊略を考える䞊でのマヌケティングの
圹割を考えお芋る。
基調講挔①
「無印良品のマヌケティング戊略」
束井 忠䞉株匏䌚瀟良品蚈画 代衚取締圹䌚長
著曞
『無印良品は仕組みが割−仕事はシンプルにやりなさい』
角川曞店をベヌスに2001幎の赀字 38 億円からV 字
回埩を実珟した無印良品の仕組みずその重芁性に぀いお解説する。
さらにその仕組みをもずにしたグロヌバルに成長するためのマヌケティング戊略に぀いお説明する。
基調講挔②
「日本䌁業グロヌバル化のチャレンゞ―先進囜の垞識を超えた戊略を―」
垂井 茂暹ボストン コンサルティング グルヌプ シニア・パヌトナヌマネヌゞング・ディレクタヌ
2020 幎たでの䞖界の GDP 成長の半分以䞊は新興囜から生み出される。この巚倧な゚マヌゞング・マヌケットにおける経
営戊略が日本䌁業の成長の鍵を握るずいっおも過蚀ではないが新興囜垂堎は想像以䞊に難攻䞍萜であるこずも分かっ
お来た。日本䌁業が新興囜で成功する条件ずは䜕かを経営コンサルタントの芖点で解説する。
9
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
リサヌチプロゞェクト・セッション
ブランド&コミュニケヌション研究䌚
゜ヌシャル・ビゞネス研究䌚
研究目的
研究目的
珟代のマヌケティングにおける䞭心課題のひず぀であるブ
経枈産業省が 2010 幎から掚進しおいる゜ヌシャル・ビゞネ
ランドをテヌマに扱う。ブランド研究は今日幅広い領域におい
スは同時に掚進をしおいるコミュニティ・ビゞネスず共に
おさたざたな研究者・実務家によっお担われおいる。本プロ
環境高霢・障碍者介護子育おたちづくり芳光などに倚
ゞェクトの倧きな目的は①研究の統合化ず②実践に向けた䞀
岐にわたる瀟䌚課題を地域䜏民䌁業行政非営利組織が
般化さらに③新たな研究課題の発芋にある。぀たりこれ
盞互連携し解決をはかるものずしお䜍眮づけられおいる。゜ヌ
たでブランドに぀いお我々は䜕をわかっおいるかそれをどの
シャル・ビゞネスは瀟䌚貢献掻動ずは異なり瀟䌚が有する
ように応甚できるのかたたこれから䜕がわかるこずが必芁
新たな資源を発掘し瀟䌚問題解決ず事業化を䞡立させる必
かずいう芖点である。䟋えば
「ブランド拡匵」の問題はこれ
芁がある。本研究䌚では䞻䜓者倚様な事䟋を参加者ず確認
たでにも倚くの研究者によっお研究が行われおきた。実務の
しながら瀟䌚に存圚する倚様な資源を結び぀ける課題解決
珟堎ではどのようにブランド拡匵の意思決定が行われおいる
を通じた垂堎創造ず事業モデルの理論化ず実践の促進をはか
のかを怜蚌するこずによっお研究ず実際ずのギャップを発芋
るものである。䞀方で゜ヌシャル・ビゞネスは瀟䌚課題解
するような䜜業がむメヌゞできる。たたブランドコミュニケヌ
決を取り扱うため分野が倚岐にわたる。事業化ならびに持
ション芖点もプロゞェクトの䞭で重芖するこずで研究よりも実
続性に぀いおは調査理論研究も十分でない課題を抱えおい
践の方が進んでいる感のあるコミュニケヌション珟堎の知識
る。本研究䌚はそのような課題解決の手がかりを埗るため
を研究に導入するこずも意図しおいる。さらにマヌケティング・
倚様な分野の研究者実務家が意芋亀換するこずを通じお
リサヌチや知財も研究掻動の芖野に入れおより領域暪断的
珟状把握理論化普及実践促進に向けた掻動を行う。
な研究成果を远求する。
リヌダヌ
廣田 章光
近畿倧孊経営孊郚 教授
リヌダヌ
田侭 掋
䞭倮倧孊ビゞネススクヌル倧孊院戊略経営研究科
䌁画運営メンバヌ
教授
西川 英圊
法政倧孊経営孊郚 教授
䌁画運営メンバヌ
犏井 誠
流通科孊倧孊総合政策孊郚 教授
青朚 幞匘
孊習院倧孊経枈孊郚 教授
氎越 康介
銖郜倧孊東京倧孊院瀟䌚科孊研究科 准教授
阿久接 聡
䞀橋倧孊倧孊院囜際䌁業戊略研究科 教授
暪田 浩䞀
株匏䌚瀟暪田ア゜シ゚むツ 代衚
足立 勝
日本コカ・コヌラDirector & Senior Legal Counsel,
報告内容
ニュヌペヌク州匁護士
1. 研究䌚の今幎床実瞟抂芁報告
久保田 進圊
東掋倧孊経営孊郚 教授
2.「日本型゜ヌシャルビゞネスモデル ワンコむン健蚺が䞖界
陶山 蚈介
関西倧孊商孊郚 教授
を倉える−ケアプロによる健蚺匱者解消ぞの取り組み−」
萩原 雅之
トランスコスモス・アナリティクス 副瀟長・マクロ
川添 高志
ケアプロ株匏䌚瀟 代衚取締圹瀟長
ミルネットリサヌチ総合研究所 所長
3.「日本型゜ヌシャルビゞネス可胜性゜ヌシャルビゞネスの
報告内容
マヌケティング研究の圹割」
1.「マヌケティングリサヌチからみたブランド枬定の課題ず提
研究䌚メンバヌずのパネルディスカッション
案」
4. 質疑・総括
萩原 雅之
マクロミルネットリサヌチ総合研究所 所長・ト
ランスコスモス株匏䌚瀟 理事・䞊田 雅倫
マクロミルネッ
トリサヌチ総合研究所 䞻垭研究員
2.「ブランド研究で今䜕がホットなのか」
研究䌚メンバヌずのパネルディスカッション
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
10
リサヌチプロゞェクト・セッション
クリ゚むティブ産業ずむノベヌション研究䌚
䟡倀共創型マヌケティング研究䌚
研究目的
研究目的
日本のものづくりの囜際競争力が䜎䞋しおきた䞀因ずしお
今日䌁業ず顧客の関係は倧きく倉化し䞡者による䟡倀
機胜䞻矩ぞの過床な䟝存が指摘される。むノベヌションを的
共創が泚目されおいる。呚知のようにマヌケティング研究に
確に垂堎に浞透・普及させるために優れたデザむンの重芁
おける䟡倀共創抂念ぞの泚目はVargo & Lusch によっお提
性が再認識されおきおいる。戊埌日本のデザむン産業は補
瀺された S-Dロゞックに端を発しおおり今や䞖界的な議論ず
造業や建蚭業ずの二人䞉脚によっお䞖界のトップレベルの実
なっおいる。しかしその抂念はさらなる粟緻化が求められお
力を持぀に至ったがその実力が日本発むノベヌションの実珟
おりたた既存のマヌケティング理論ずの関係を明確にする
に十分に掻かされおいない。同様に経枈産業省のクヌルゞャ
こずがマヌケティング研究における喫緊の課題ずなっおいる。
パン戊略に芋られるようにアニメやファッションなど日本の
そこで本研究では䟡倀共創抂念に基づいたマヌケティング
゜フトパワヌの実力は䞖界で認められおきおいるもののそれ
を䟡倀共創型マヌケティングず呌びその特性を理論的・実
がものづくりの囜際競争力ず連携する事䟋は非垞に少ない。
蚌的に明らかにするずずもにこれたでの䌝統的なマヌケティ
いっぜう韓囜では韓流のクリ゚むティブ産業ず家電産業や自
ング理論ずの接続を図りさらに実践のための方向性を瀺
動車産業が密接に連携しお高い競争力を発揮しおおり日本
し具䜓的な戊略を提瀺するこずを研究の目的ずする。
ずは察照的である。
リヌダヌ
本研究プロゞェクトでは日本のクリ゚むティブ産業
デザむ
村束 最䞀
広島倧孊倧孊院瀟䌚科孊研究科 教授
ン産業コンテンツ産業ファッション産業゚ンタヌテむメン
䌁画運営メンバヌ
ト産業などの珟状ず課題を倚面的に怜蚌しものづくり競争
藀岡 芳郎
倧阪産業倧孊経営孊郚 教授
力ずの連携に぀いおの未来可胜性を探究する。
山口 隆久
岡山理科倧孊総合情報孊郚 教授
リヌダヌ
倧藪 亮
岡山理科倧孊総合情報孊郚 講垫
鷲田 祐䞀
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科 准教授
梅柀 倧茔
商品䌁画゚ンゞン株匏䌚瀟 代衚取締圹
今村 侀真
茚城倧孊人文孊郚准 教授
䌁画運営メンバヌ
叀川 侀郎
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科 教授
報告内容
束井 剛
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科 准教授
1.「S-Dロゞックにおける䟡倀共創抂念ずマヌケティング研究
䞉原 韍倪郎
元経産省クリ゚むティブ産業課慶應矩塟倧孊
及び実践」
SFC 研究所䞊垭所員
蚪問
井䞊 厇通
明治倧孊商孊郚 教授
・田口 尚史
茚城キリス
䞊原 枉
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科 准教授
ト教倧孊経営孊郚 准教授
・藀岡 芳郎
倧阪産業倧孊経
金 春姫
成城倧孊経枈孊郚 准教授
営孊郚 教授
・枅野 聡
マツダ株匏䌚瀟 商品䌁画郚䞻幹
報告内容
1.「デザむンはむノベヌションを䌝えるこずができるか」
鷲田 祐䞀
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科 准教授
2.「クリ゚むティブ産業の海倖展開における異文化ゲヌトキヌ
パヌの圹割」
束井 剛
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科 教授
11
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
リサヌチプロゞェクト・セッション
地域掻性化マヌケティング研究䌚
研究目的
本研究の目的は地域掻性化に぀いおマヌケティングの芳
点から捉えその取り組みの事䟋分析ず実蚌分析を通じお
地域掻性化のマヌケティングの理論化を詊みるこずである。こ
れたで地域掻性化を研究察象ずしおきた分野は経営孊商
孊経枈孊地理孊瀟䌚孊郜垂工孊建築孊など倚岐にわ
たるが本研究ではマヌケティング研究を䞻軞にその掚進
䞻䜓に぀いお経営孊やコミュニティ論の芳点も加え研究を深
めその領域での孊術的貢献を目指すずずもに実践的な瀺
唆を求めるこずにする。最終的には地域掻性化のマヌケティン
グモデルの䜓系化を目指すずずもに政策提蚀を行う。
リヌダヌ
宮副 謙叞
青山孊院倧孊倧孊院囜際マネゞメント研究科 教
授
䌁画運営メンバヌ
犏本 哲也
株匏䌚瀟電通 関西第䞀営業局 局次長
内海 里驙
文化ファッション倧孊院 倧孊講垫
岩橋 哲哉
青山孊院倧孊倧孊院囜際マネゞメント研究科 博士
課皋
䜐䌯 悠
青山孊院倧孊倧孊院囜際マネゞメント研究科 博士課
皋
報告内容
『地域掻性化の捉え方』
1.「本リサヌチプロゞェクトにおける
の基本認識」
宮副 謙叞
青山孊院倧孊倧孊院囜際マネゞメント研究科
教授
2.「地域掻性化マヌケティングの事䟋研究−たねや
SASEBO 時旅シブダ倧孊ポヌトランド垂−」
宮副 謙叞・研究䌚メンバヌ
3.「地域掻性化の目暙蚭定・評䟡指暙の捉え方−事䟋を螏た
えた研究報告ずディスカッション−」
䜐䌯 悠
青山孊院倧孊倧孊院囜際マネゞメント研究科 博
士課皋
・研究䌚メンバヌ
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
12
ポスタヌセッション
マヌケティング 3.0 の具珟化メ゜ッド
『マヌケティ
ング 3.1』
近幎䌁業は補品やサヌビスを生み出すプロセスに消費者
を巻き蟌みコクリ゚ヌション ( 共に䟡倀を創造するこず) を
行うようになっおきおいる。
山厎 浩人
ネオ・アット・オグルノィ
株チヌフ・マヌケティング
・
プロデュヌサヌ
本研究の目的は消費者をコクリ゚ヌションパヌトナヌず
した際消費者から高い創造性を匕き出す条件を明らかにす
報告芁旚
るこずである。
フィリップ・コトラヌの
「マヌケティング 3.0」の基本的な考
先行研究レビュヌの結果制限 ず感情それぞれに着
え方である
“人間䞭心のマヌケティング”や構成芁玠の䞀぀で
目した研究は認められたもののその䞡方に着目しお創造性
ある
「スピリチュアル・マヌケティング」を具䜓的な戊略プラン
を怜蚌した研究は芋られなかった。そのため本研究ではアむ
ニングずしお実斜する為メ゜ッド化を図る。メ゜ッド化のアプ
デアを制限するかしないかそしおポゞティブずネガティブな
ロヌチずしおは以䞋を想定。
感情の 2×2 の芁因配眮により創造性の高さにどのような差
「4S」ぞ
1. マヌケティング・ミックスを4P → 4C から
がみられるのかを実隓により怜蚌した。
ASocial Value
瀟䌚的䟡倀BParticipate Source
参
実隓では被隓者を意図した感情に操䜜しおアむデアの
加゜ヌス
制限を蚭定した䞊でコラヌゞュを䜜成しそのコラヌゞュを専
CSympathize
共感DParticipate System
参加する
門家が 5 ぀の項目で評䟡した。この結果ネガティブな感情を
仕組み
付䞎しアむデアを制限する組み合わせの条件が最も創造性
「次䞖代マヌケティング・モデル」ずしお以䞋ずしお
2. これを
を高めるずいう結果になり仮説は郚分的に採択された。
の衚蚘も可
本研究の成果は䌁業が消費者をコクリ゚ヌションパヌ
aSocial Insight
誰に䌝えるかbBrand Value
䜕を
トナヌずする䞊で有益な知芋ずなるだろう。
䌝えるか
cValue Experience
どうやっお䌝えるかdConnect
Innovation
どこで䌝えるか
eConnect Log Science
賌入型クラりドファンディングにおける出資動機
に関する実蚌研究
3. Cずcを生むフレヌム 4. Dずdを生むフレヌム
小南 陜子
法政倧孊倧孊院経営孊研究科 研究生
マヌケティング戊略ずDd
クリ゚むティブ戊
5. Cc
報告芁旚
略を繋ぐプロセス クラりドファンディングずはプロゞェクトに必芁な資金を耇
6. Connect Log Science 「人を幞せにする事で利益を埗る
数の人々 (Crowd= 矀衆 ) からむンタヌネットを通じお少額ず
仕蟌み」の評䟡ぞ
぀の出資を募る仕組みのこずである。クラりドファンディング
7. 参考 Ogilvy のブランディング・アプロヌチ
の出資者の出資動機に関する研究は定性的な事䟋研究が䞭
心であり出資者を察象ずした定量的な実蚌研究はただない。
そこで本研究は出資者を察象ずした定量的な実蚌研究を行
う。
消費者コ・クリ゚ヌション−創造性が高たる条件ず
は−
本研究の第䞀段階では先行研究および出資者を察象ずし
た独自のデプスむンタビュヌから賌入型クラりドファンディング
立山 郁子
株サン・アロヌ 商品郚商品課
における出資動機を 9 ぀導出した。第二段階では出資者を
報告芁旚
察象ずしたアンケヌト調査を行い第䞀段階で導出した出資
新補品を開発するこずは䌁業にずっお重芁な課題である。
動機の尺床開発を詊みた。その結果
「瀟䌚的投資動機」

「報
13
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
ポスタヌセッション
Tweet 行動における送り手の信頌性の効果
奚獲埗動機」

「共感・応揎動機」の3 ぀の動機がクラりドファ
ンディングにおける出資動機の尺床ずなるこずが分かった。第
片桐 英毅
孊習院倧孊倧孊院経営孊専攻 博士埌期課皋
䞉段階では各出資動機が実際の取匕行動および出資者のク
報告芁旚
ラりドファンディング運営者に察するロむダルティに圱響を䞎え
消費者は゜ヌシャル・メディア内で䞻䜓的に情報発信する
おいるのかを怜蚌した。その結果
「報奚獲埗動機」は环積出
ようになりその行動は
「クチコミ」ず呌ばれ商品サヌビス
資金額1 回あたりの出資金額ロむダルティに圱響を及がし
の販売䌁業むメヌゞ圢成に倧きな圱響䞎えるように成っおい
「瀟䌚的投資動機」
「共感・応揎動機」はロむダルティに圱響
る。この環境の倉化は䌁業偎にも圱響を䞎えおおり消費者の
を及がしおいるこずが分かった。
クチコミを分析しマヌケティング䞊の意思決定に掻甚するず
いった新たな課題が䌁業に課せられおいる。
本研究ではクチコミを発信する
「送り手」
に着目し゜ヌシャ
ル・メディア
「Twitter」䞊で実際に発信されたクチコミ情報を
゜ヌシャルメディアでのクチコミ動機−自己ずブラ
ンドずの関係からの考察−
分析しクチコミが拡散する䞊での消費者行動の特城を捉え
受け手に察しお圱響力を持぀クチコミを芏定する送り手偎の
臌井 浩子
早皲田倧孊倧孊院商孊研究科 博士埌期課皋
芁因の導出を詊みた。
報告芁旚
本報告では゜ヌシャル・メディアでのクチコミ行為の促進
※本研究は筑波倧孊倧孊院ビゞネス科孊研究科での平成
芁因に぀いお考察を行う。クチコミの先行研究では売䞊ずの
24 幎修士論文研究の結果である。
関係や広告効果ずの比范クチコミ埌の反応などに倚くの
研究実瞟があるがい぀どんな時にどんな察象に぀いお
消費者はクチコミを行いたくなるのかずいう芖点での研究成
果はただ少ない。特にオフラむンずは異なるオンラむン環境
商品カテゎリによるむンタヌネット䞊のナヌザヌ
賌買・探玢行動の違いに関する考察
特有のクチコミ促進芁因を考慮したマヌケティング研究は倧
倉少ない。
小柀 真由子

株Consumer first ビゞネスストラテゞックナ
ニット ナニット・マネヌゞャヌ
瀟䌚心理孊の領域である CMC(Computer Mediated
Communication) 研究ではオンラむンでのコミュニケヌショ
報告芁旚
ンの特城は参加者の顔が芋えないこずによる瀟䌚的たた
自瀟サむトに来る前離脱しおしたったナヌザヌはどんな行
非蚀語的手がかりのなさでありそのため
「話しやすさ」や遞
動をずっおいるのか
択的に自分を開瀺する行動が生じるず蚀われおいる。たた近
賌入や資料関悠等コンバヌゞョンポむントに到達したナヌ
幎のマヌケティング研究では自分を良く芋せたいずいう人間
ザヌずしなかったナヌザヌにおいお盎前たたは日頃のむン
に備わる根源的動機がクチコミ行動に圱響を䞎えおいるこず
タヌネット䞊の行動にはどんな違いが芋られるのか
が実蚌されおいる。
ナヌザヌ行動ログずいうビッグデヌタを解析するこずでこ
本報告では先行研究を螏たえオンラむン環境ず消費者に
れたでの自瀟サむトの解析だけでは把握できなかったナヌ
本来備わる動機に圱響を受けた消費経隓のクチコミ行動を
ザヌの行動を可芖化が可胜になりたした。コンシュヌマヌデヌ
消費者の
「自己の衚珟」の芖点で考察を加え実務ぞの瀺唆
タ分析の取り組みのなかから最新の事䟋をご玹介いたした
を怜蚎する。
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
す。
14
ポスタヌセッション
自治䜓 WEB におけるマヌケティング戊略ず可胜
性
を行った。これらの結果商品ず顧客の絞り蟌みはWEB マヌ
ケティングにおけるコンバヌゞョン率を改善する効果が顕著で
あるこずを確認するこずができた。
藀川 遌介
䞀橋倧孊倧孊院商孊研究科 修士課皋
・束村 茂
( 東北芞術工科倧孊デザむン工孊郚 教授 )・䜐藀 恒平 ( 山圢
県朝日町情報亀流掚進員 地域おこし協力隊 )
報告芁旚
消費者の事䟋ベヌス意思決定における重芁属性の
発芋−アブダクションの応甚−
圓発衚は地域づくりにおいお自治䜓 WEB が果たす圹割
の考察をテヌマずする。
金城 敬倪
沖瞄囜際倧孊経枈孊郚 講垫
・叀川 康䞀 ( 嘉悊倧
孊倧孊院ビゞネス創造研究科 教授 )・尟厎 知䌞 ( 日本倧孊文
理孊郚 准教授 )
今日の瀟䌚はむンタヌネット・゜ヌシャルメディアの普及に
䌎っお誰でも手軜に情報を発信できる瀟䌚ずなっおいる。こ
のように倚くの情報が溢れおいる時代だからこそより信頌性
の高い情報を自治䜓 WEB から探し圓おるニヌズが高たるず予
報告芁旚
想される。したがっお自治䜓 WEB の補䜜に力を入れるこず
ある消費者が補品を賌入する際に消費者ごずに重芁な属
がたちの宣䌝効果に繋がっおいくず期埅される。
性をもずに過去の事䟋ず類䌌性を確認しながら賌入するこず
圓研究は自治䜓 WEB のリニュヌアルを実斜しおいる山圢
がある こうした意志決定のこずを本研究では事䟋ベヌスの意
県朝日町に協力を埗お行っおいる。調査目的は自治䜓 WEB
志決定ずよぶ しかし補品を぀くる䌁業偎が消費者がどのよ
におけるマヌケティング戊略を分析しどのようなナヌザヌア
うに類䌌性を刀定しおいるかを盎接知るこずは難しい
ビリティを考えおいるのかずいうこずを分析するこずである。
そこである消費者が過去に賌入した補品および過去に
この調査は朝日町のWEB にずっおナヌザヌアビリティの芳
賌入しなかった補品の蚘録がある堎合に新たにある補品を
点から有甚であるず遞定した自治䜓に蚪問する手法で行った。
賌入したずきどのようにしお類䌌性を刀定しおいるのかい
圓発衚はこの䞀連の流れに関する報告を行う。
いかえればどの属性が重芁なのかを調べる方法に぀いお理論
研究を行った これに察し本研究では消費者が事䟋ベヌス
の意思決定を行っおいるずいう仮定のもず賌入の際に重芁芖
しおいる属性を
「仮説」ず考え過去に賌入した商品ず新しく
BtoB 垂堎での WEB マヌケティングによる顧客開
拓においお商品特性の絞り蟌みがコンバヌゞョ
ン率に䞎える圱響の実枬ず評䟡
賌入した商品ずの間で無矛盟になる仮説を発想掚論
アブダク
粟接 啓介
ベル゚アヌ株代衚取締圹
論システムである SOLARを甚いお実隓を行った結果重芁な
ションを甚いお導く方法を提案した 具䜓的に意志決定の
事䟋を甚意しその事䟋に察しお論理をベヌスずした発想掚
属性を発芋できた この成果は消費者の行動の解明レコメ
報告芁旚
ンデヌションシステムなどぞの応甚発想掚論のビゞネスぞの
商品ずタヌゲット顧客の絞り蟌みが有効であるこずはマヌ
応甚ずしおも期埅される
ケティングの第䞀歩ずされおいるがそのこずがマスキングテヌ
プずいう兞型的な B to B 垂堎でのWEB マヌケティングにお
いおも有効であるかどうかを実蚌的に知るために珟実の顧
客デヌタをもずに解析を行っおみた。売䞊高粗利益経垞利
益などの実瞟倀ずアクセス解析によるナヌザヌ数蚪問者数
などの統蚈倀からコンバヌゞョン率を求め顧客の倉化を絞り
蟌み前ず絞り蟌み埌で比范しおその倉動を調べる実蚌テスト
15
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
ポスタヌセッション
顧客行動分析における自己組織化マップの適甚可
胜性の考察
暙準は過剰慣性 (excess inertia) によっおむノベヌションを
阻害する傟向にあるがHTML5 を策定する暙準化団䜓であ
飯塚 驙
有限責任監査法人トヌマツ デロむトアナリティクス
マネゞャヌ
・服郚 邊掋 ( 有限責任監査法人トヌマツ デロむト
アナリティクス シニアマネゞャヌ )・小城 巊盎 ( 有限責任監査
法人トヌマツ デロむトアナリティクス マネゞャヌ )
るW3C は倚様な利害をも぀䌁業・団䜓による共同䜜業によ
報告芁旚
タディを通じ実装䞻矩ず呌ばれる実装䟋が普及した仕様
仕様を無事ずりたずめか぀広く普及させるこずに成功しおい
る。
本研究ではHTML5 策定プロセスを察象ずしたケヌスス
のみが暙準ずしお採択されるずいう暙準化手法が仕様の普
自己組 織化マップ ( 以䞋、SOM) ずは、教垫無し孊習型
及に貢献したこず実装䞻矩は暙準化プロセスのオヌプン化
ニュヌラルネットワヌクモデルの䞀皮であり、顧客クラスタ分
ずパテントフリヌを䌎うこずで有効に機胜するこずを瀺す。
類のモデルずしおの可胜性を秘めおいる。
SOM は数量化された n 次元のベクトルを入力ずしお、任意
新たな補品サむクルを考えるマヌケットラむフサむ
クルの提案
の m 次元ぞの写像を出力するこずができる。この際、SOM は
『入力ベクトルの瀺す類䌌性』を n 次元䞊の䜍眮情報ずしお保
持する。入力ベクトル間の類䌌性は距離の長短ずしお衚珟さ
富柀 豊

有富柀事務所 取締圹瀟長 / 浜束倧孊ビゞネスデ
ザむン孊郚 教授
れ、統蚈孊に関する十分な知識を有しなくずも、分析結果を
利甚するこずができる。たた、SOM は新しい入力ベクトルが
報告芁旚
䞎えられた堎合に、孊習に䜿甚した入力ベクトルず
『もっずも類
導入・成長・成熟・衰退の期で分けられるプロダクトラむ
䌌性の高い䜍眮』に新しい入力ベクトルを配眮する。加えお、
フサむクルはマヌケティングを孊ぶ䞊の基本ずしお䜍眮づけ
SOM は埓来の k-means 法ず異なり、
『欠損倀のあるベクトル
られおきたがその䞀方で実際の補品寿呜に即しおいないず
を入力倀ずするこずができる』。これは、ビゞネス分野における
いう問題点が指摘されおきた。ある幎に発売された消費財で
ビッグデヌタ分析の課題であるデヌタクォリティに柔軟に察応
翌幎たで残っおいるものはわずか数ずいわれたたロング
できる。
セラヌずなった補品は成熟期を氞続させるよう䌁業は努力す
本報告では、顧客属性ず賌買履歎を基に SOMによるクラス
る。
タ分類を行い、顧客の賌買行動を掞察する方法に぀いお提案
そこで補品そのものの寿呜を考えるのではなく補品が属
を行う。
する垂堎
マヌケットに芖点を切り替える。マヌケットにも必
ず盛衰がありそのサむクルを぀の寿呜ずずらえるのである。
りェブ暙準の普及に実装䞻矩が果たした圹割
−HTML5 を事䟋に−
深芋 嘉明
慶應矩塟倧孊 SFC 研究所 䞊垭所員 ( 蚪問 )
䌁業の広告宣䌝郚門に倚様性を䞎える芁因に぀い
お
報告芁旚
山田 卓叞

株小孊通 マヌケティング局 雑誌宣䌝課 副課長
本研究はオヌプンな技術暙準仕様が普及するための仕様
報告芁旚
策定手法ならびに斜策を分析するものである。
【目的】
近幎スプレッドシヌトや画像凊理ずいったパッケヌゞ゜フト
近幎の広告をずりたく倉化の䞭で実際に広告䞻はどのよう
りェアずしお提䟛されおきた機胜がりェブアプリケヌションに
な組織䜓制で広告宣䌝掻動に取り組んでいるのか。たたどの
移行する䟋が増加しおいる。りェブアプリケヌションを実珟し
ような芁因が広告宣䌝郚門のあり方に圱響を及がしおいるの
たのが HTML5ず呌ばれるりェブ暙準仕様である。
かを
「倚様性」をキヌワヌドずしながら明らかにし぀぀広告
HTML5 ぞのバヌゞョンアップによりりェブは静的な文曞
宣䌝郚門のありようを決定づけるモデルの構築。
ファむル共有むンフラからアプリケヌションの実行環境ぞず
【方法】
その圹割を拡倧させた。
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
16
ポスタヌセッション
NPO におけるむンタヌナルマヌケティングに関す
る研究
先行研究などから広告宣䌝郚門の倚様性を構成する芁玠
ずしお①倖郚環境②経営の広告に察する関䞎③業皮
事業芏暡④広告宣䌝費の倧小を芋出しこれを基に定量
瀬䞋 真由矎
法政倧孊倧孊院経営孊研究科 研究生
調査及び定性調査を実斜した。
報告芁旚
【結果】
埓来からのマヌケティングは自動車や家電等のいわゆる
環境の䞍確実性が高いず䌁業組織の倚様性は増加し広
有圢財を察象に発展しおきたが1970 幎代に入るず産業構造
告宣䌝郚門の倚様性も増加する。たた経営
䌚瀟の広告ぞの
の倉化によりサヌビス
無圢財に特化したマヌケティング
サヌ
関䞎が高いほど広告宣䌝郚門の倚様性は増加する。そしお
ビス・マヌケティングが求められるようになった。
業皮やカテゎリ内における事業芏暡が倧きいほど広告宣
本 研究は非営利ずされる教育機関のサヌビスに぀いお
䌝郚門の倚様性は高たる増加するが広告宣䌝費が少ないず
サヌビス・マヌケティングの芖点から䌁業・顧客・埓業員ずの
その倚様性は枛少するこずがわかった。さらに
「顧客ずのタッ
関係におけるむンタヌナルマヌケティング
䌁業・埓業員間
チポむント」が広告宣䌝郚門の倚様性にも圱響を䞎えおいる
に぀いお捉えたものである。
こずがみおずれそれらをもずにモデルを構築した。
近幎
「ボヌカロむドオペラ」や
「明治神宮で皲䜜䜓隓」の授業
等新しい教育サヌビスずしお泚目されおいるNPO 法人のシブ
ダ倧孊を事䟋ずしお新聞や雑誌などの次資料やWeb サむ
トで情報を収集・敎理から2012 幎 3月 11 月たで孊生たた
顧客経隓の蚘述ずサヌビスデザむンのアプロヌチ
はボランティアスタッフずしお参䞎芳察を行い曎にシブダ倧
吉橋 昭倫
倚摩矎術倧孊情報デザむン孊科 准教授
孊スタッフや講垫を察象に半構造化むンタビュヌを実斜しい
報告芁旚
かに満足床の高い教育サヌビスを提䟛しおいるのかを探玢的
サヌビスをデザむンの察象ずし顧客の芖点から発想しお豊
に考察しおいくものである。
かな経隓䟡倀の提䟛を指向する
「サヌビスデザむン」ずいう新
しいデザむン領域が泚目されおいる。本研究では顧客の経
隓ず経隓䟡倀を蚘述しながらサヌビスを具珟化しおいく
「サヌ
瀟䌚的䟡倀創造に取り組む䞭小䌁業の研究
ビスデザむン」の取り組みずそのデザむン方法に぀いお矎術
倧孊におけるワヌクショップ圢匏のデザむン挔習を事䟋ずしお
埌藀 玀圊
東京郜䞭小䌁業蚺断士協䌚 城北支郚 䞭小䌁業蚺
断士
報告する。
挔習ではサヌビスず顧客の様々なタッチポむントを衚珟す
報告芁旚
る Customer Journey Map (CJM) によっお顧客の賌買経隓
本報告の目的は䞭小䌁業における
「瀟䌚的䟡倀創造」の
を描きデザむン思考の各プロセスを経おサヌビスの構想から
意矩を提瀺するこずである。そのため瀟䌚的課題に積極的
具䜓化たでを行った。 たず既存サヌビスのフィヌルド調査か
に取り組む䞭小䌁業を察象にむンタビュヌ調査を行い地域・
ら顧客の賌買経隓を把握しおCJM によっおその党䜓像を芖
瀟䌚貢献に関わる掻動の特城を明らかにした。
芚的に蚘述衚珟した。次に顧客の経隓䟡倀に結び぀く芁
本調査の背景には
「䞭小䌁業がなぜ䌁業の瀟䌚的責任

玠を抜出しブレむンストヌミングやプロトタむピングアクティ
における高次の地域・瀟䌚貢献に関わる掻動に積極的
ングアりトなどによっお具䜓化しおいった。各タッチポむントで
に取り組むのか」ずいう報告者の問題意識があった。本来こう
の顧客の経隓ずサヌビスの䟡倀共創のしくみを具䜓的な圢に
した掻動は業瞟奜調な倧䌁業が䞀時的に取り組む利益の瀟
衚し最終提案ずした。
䌚配分であり䞭小䌁業ずは無瞁の取り組みず芋なされおいる
からである。
17
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
ポスタヌセッション
芳光゚コシステムの圢成−キヌストヌンずしおの小
田急箱根−
事䟋研究の結果が瀺唆するものは䞭小䌁業の地域・瀟
䌚貢献に関わる掻動に関する新たな芖点の可胜性である。具
䜓的には埓来の遵法粟神に基づく
「受動的な取り組み」で
豊島 䞀浩
東京急行電鉄
株経営管理宀 東急病院管理郚 課
長
はなく
「組織内郚の䟡倀創造
Corporate Internal Value /
CIV」ずいう
「積極的な取り組み」を促す論拠である。
報告芁旚
この研究芖点から瀟䌚的匱者から䟡倀創造䞻䜓ぞの進
芳光地
「箱根」はか぀お芳光客枛少により衰退した時期を
化が䞍可欠な䞭小䌁業の
「開発貢献型」
「需芁貢献型」

「競
経隓したがそれを克服しお
争貢献型」
「苗床貢献型」ずいう積極型圹割に新たに
「瀟䌚
毎幎 20 癟䞇人以䞊の来蚪者を垞に達成しおいる日本有数の
的䟡倀創造型」を加えるこずを提案したい。
芳光地ずなっおいる。
なぜ芳光地
「箱根」はこのような状況を脱しお来蚪者数の増
加を達成するこずができたのであろうか。その成功芁因は小
田急電鉄が自瀟の利益だけを远求するのではなく箱根党䜓
プロフェッショナル・サヌビス・ファヌムのマヌケ
ティング戊略の考察−法埋事務所を題材に−
を䞀䜓的な芳光資源ず捉え党䜓のむメヌゞ向䞊や゚リア内
の事業者の生産性向䞊曎に地域連携により新しい䟡倀を
小谷 恵子
青山孊院倧孊倧孊院囜際マネゞメント研究科 修士
課皋
創出するなどの取組みを行っおいるものであるず考えた。こう
いった小田急電鉄の圹割を先行研究における
「キヌストヌン
報告芁旚
戊略」に基づき分析を行った。手法ずしおはむンタビュヌ調査
法埋事務所に焊点を圓おプロフェッショナル・サヌビス・
を䞻䜓におこない考察を行った。
ファヌムのマヌケティング戊略を考察する。マヌケティング
その結果小田急電鉄が箱根を
「芳光゚コシステム」ず定
に関心を瀺すようになっおただ日の浅い日本の法埋事務所の
矩した堎合箱根にずっおキヌストヌンの圹割であるこずが明
マヌケティング戊略に぀いお䜓系的に論じた文献はただな
確ずなった。
い。そこでコトラヌのプロフェッショナル・サヌビス・マヌケ
ティングの理論を甚い぀぀法埋事務所の行っおいるマヌケ
ティング掻動の実態から実蚌研究を行った。
組織間サヌビス財取匕におけるリレヌションシッ
プ・マヌケティングの有効性に関する研究−金融
サヌビスにおける䟡倀共創顧客内シェア向䞊モ
デルを䞭心に−
本研究では3 ぀の芁玠を䜿っおマヌケティング戊略の䜓系化
を詊みた。たず顧客や案件の獲埗のルヌト。次に提䟛䟡倀
であるリヌガル・サヌビスの品質を枬る指暙。最埌に取るべ
きコミュニケヌション手段。この 3 芁玠を組み合わせるこずに
よりマヌケティング戊略に基本的なパタヌンがあるこずが分
枡郚 吉昭
筑波倧孊倧孊院ビゞネスサむ゚ンス系囜際プロ
フェッショナル専攻 准教授 /株マヌケティング・キャピタ
ル 代衚取締圹
かった。法埋事務所ずしおたた匁護士個人ずしお行う戊略パ
タヌンを玹介する。
本研究は匁護士に限らずプロフェッショナルずしお掻動す
報告芁旚
る組織や個人に察しおも瀺唆を䞎える内容であるず考えおい
リレヌションシップ・マヌケティングずは䞀般に顧客ずの
る。
関係性を重芖するマヌケティング手法や抂念を指す。このリ
レヌションシップ・マヌケティングの分野で近幎䌁業間関
係のマネゞメントに倧きな関心が向けられおいる。経枈のグ
ロヌバル化芏制緩和などによっお䌁業間競争が激化する䞭
でより効果的な䌁業間関係を確立し顧客内シェアの向䞊な
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
18
ポスタヌセッション
事業䞀䜓型の瀟䌚貢献掻動を展開するマザヌハり
スの事䟋研究−䟡倀創造・䌝達・提䟛のマヌケティ
ング芳点からの分析−
どに぀なげるこずに察しお実務家からの関心も高たっおいるの
である。
䌁業間関係はモノの取匕を䞭心ずするものずサヌビスの
取匕を䞭心ずするものずに分けられる。しかし䌁業間取匕に
藀井 祐剛
青山孊院倧孊倧孊院囜際マネゞメント研究科 修士
課皋
焊点を圓おたリレヌションシップ・マヌケティング研究は産
業財マヌケティング論に代衚されるように補造業における郚
報告芁旚
品などのモノずしおの産業財取匕研究を䞭心に発展しおきた
マザヌハりスはバングラデシュ産のゞュヌトを䜿ったバッ
経緯があり研究アプロヌチにおいおもモノずしおの消費財
グの専門店である。
「途䞊囜から䞖界に通甚するブランドを぀
マヌケティング研究からの圱響が倧きかった。
くる」ずいう䌁業理念のもず2006 幎の創業以来玄 7 幎間
今回のポスタヌセッションにおいおは䌁業間のサヌビス財
で囜内 11 店舗海倖 4 店舗に展開し2012 幎床の売䞊は
取匕特に金融サヌビス取匕におけるリレヌションシップ・マヌ
7 億円に達するなど急成長を遂げおいる。そのビゞネスモデ
ケティングに焊点をあお関連する先行研究の系譜を抂芳し
ルを䟡倀創造・䌝達・提䟛のマヌケティングの芳点から分
今埌の研究における課題・仮説に぀いお考察するこずずした
析するず次の぀の特城があるこずが分かった。第に商
い。
品䌁画生産流通販売ずいう䞀連の事業掻動を党お自瀟
で行うこずで補品䟡倀の高い商品を䟛絊しおいるこず。第
にビゞネスを通じおステヌクホルダヌをコヌディネヌトするこ
ずで途䞊囜ぞの盎接支揎を事業掻動ず䞀䜓型で行うビゞネ
LCC の䞖界における実 態ず今埌の展 望−JAL
ANA の戊略ずLCC−
スモデルを構築したこず。第に補品が持぀ストヌリヌを䌝
達するこずで顧客に共感を䞎えか぀顧客が瀟䌚貢献に参
氎野 俊広
株ブルックスブラザヌズゞャパン 経営䌁画宀長
加するずいう新しい顧客䟡倀を䜜り出したこずである。
そこでファッションブランドずしおのマザヌハりスが自瀟
報告芁旚
の収益顧客に察する補品䟡倀途䞊囜に察する付加䟡倀を
党䞖界的に垂堎でのシェアを䌞ばしおいるに぀いお
どのように䞡立させおいるかを分析しこの事䟋研究を通じお
その発生の由来兞型的なビゞネスモデルシェアを䌞ばしお
発芋できるビゞネスを通じた新しい瀟䌚貢献の圚り方に぀い
きた背景等を䞖界各地における実態を芋ながら研究する。
お報告する。
日本においおはが 2012 幎にアゞア資本ずの合
匁で日本版ビゞネスをスタヌトさせたが倫々の戊略や
基本的な考え方を探っおみた。又果たしお航空未䜓隓需芁
は取り蟌めおいるのか運賃は䞋がっおいるのか本䜓ずの食
医療甚医薬品における患者のブランド指定行動に
関する考察
い合い
カニバリれヌションは起きおないか等々に぀いおも
怜蚎を行った。
石川 明玀
グラク゜・スミスクラむン
株泌尿噚領域マヌケティ
ング郚 ア゜シ゚むト・プロダクトマネヌゞャヌ
最埌にアゞア日本におけるの将来に぀いお航空マヌ
ケティングの芳点から展望しおみる。
報告芁旚
【目的】
医療甚医薬品における患者のブランド指定プロセスに぀いお
考察を行い医療甚医薬品ブランディング戊略の実珟に぀いお
の怜蚎を行った。
19
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
ポスタヌセッション
物語によるブランドの意味の圢成
【方法】
消費者行為モデルを基に仮説モデルを蚭蚈し架空の状況を
平方 文哉
関西孊院倧孊 博士前期課皋 聎講生
蚭定した医療甚医薬品に関するアンケヌト調査を行った。回答
報告芁旚
が埗られた 121 名を察象に Amos による共分散構造分析を実
珟圚ブランド研究ではブランドの意味ずいうものは消費者
斜した。
の頭の䞭
ブランド知識で圢成されるず考えられおいる。そし
【結果】
おブランドの意味を創造するのは䌁業だけではない。ブラン
医療甚医薬品のブランド指定行動は信念によっお䜜られた
ドの䜿甚者である消費者も意味の創造をしおいる。消費者は
態床が意図を圢成しブランド指定行動に関する意図は実際
ブランドの䜿甚を通じブランドに察し個人的な意味を芋いだ
の行動に圱響を䞎えおいるこずが確認された。このこずから
す。そしおコミュニティや゜ヌシャル・メディアを䜿い他の
医療甚医薬品のブランド指定行動は目暙に基づいた理性的・
消費者ずそのような個人的な意味を共有する。このこずがブ
意図的な賌買行動であり消費者行為ずしお捉えられるこずが
ランドの意味の圢成に぀ながる。なぜならブランドの個人的
明らかずなった。たた患者は医療ニヌズを満たす薬剀情報
な意味がネット䞊の消費者の䞭で共有されるこずにより消費
を入手するこずができれば特定の医療甚医薬品のブランド
者間のブランドに察する共通の理解ができそのような共通の
指定行動に察しお奜意的な態床を圢成し実際に医垫に尋ね
考えが消費者にずっおのブランドの意味ずなるからである。
る行動を取る可胜性が高いこずが瀺された。
本研究ではオンラむン䞊でのこのような消費者同士の亀流
【結論】
を物語行為ずしお捉え消費者の持぀ブランドの意味にどの
患者を察象ずしたマヌケティング戊略は医療の質の向䞊に
ような圱響を䞎えるのかを考察しオンラむンでの消費者の亀
寄䞎し患者の治療満足床を向䞊させるこずで特定の医療
流によっお ブランドの意味がどのように圢成されるのかを明ら
甚医薬品に察するブランド・ロむダルティを生むこずが期埅で
かにする。
きるものず考えられた。
「Intel Inside」のブランド・コンセプトは知的財産
ずしお保護されるのか−商暙暩を巡るむンテルず
の攻防の考察−
“ ブランドらしさ ” の 構 築における考 察 −女 性
ファッション誌 3 誌に芋る“そのブランドらしさ”
に関する調査報告−
富川 淳子
跡芋孊園女子倧孊文孊郚 教授
山本 岳矎
特蚱業務法人有叀特蚱事務所 匁理士
報告芁旚
報告芁旚
むンテル瀟の日本法人が発案しむンテル瀟の䞖界的なブ
ブランドのアむデンティティが消費者の抱くブランド・むメヌ
ランド戊略に採甚された
『Intel Insideプログラム
圓初は
「Intel
ゞに正確に映し出されるこずによっお構築される
“ブランドらし
In It」プログラム』はブランディングの成功事䟋
さ”に぀いお調査およびその結果を報告する。調査察象ずし
ずしお語られおいる。この
『Intel Insideプログラム』は基幹郚
たのは専属モデルずファッションペヌゞのスタむリングにブラン
品
が完成品
を埓属させるずいうビゞネスモデル
ドアむデンティティを蟌めお発信する女性ファッション誌
『non・
の根幹をなす思想でありその埌䞖界のパ゜コン垂堎を垭巻
no』
『CanCam』
『ViVi』の 3 誌である。そしおそれぞれの雑誌
したむンテル瀟の事業戊略の瀎を築いた。
読者が抱くその
“雑誌らしさ”に察し専属モデルずスタむリン
このブランド・コンセプトは
「Intel Inside」ずいうブランド
グはどのような圱響を及がしおいるのかを暡擬雑誌を䜿い
に集玄されおるずいえるがその埌䞖界䞭の様々な郚品メヌ
調査を行った。その結果
“雑誌らしさ”に察しお専属モデル
カヌなどが同様のビゞネスモデルを远随し
「○○○ Inside」
の圱響は限定的でありスタむリングにおいおは 3 誌すべおに
その貢献は認められたこずを報告する。
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
20
ポスタヌセッション
神戞の掋菓子産業における顧客の倉遷
ずいうブランドを採甚しおいるこずからむンテル瀟のブラン
ド・コンセプト及びそのコンセプトを䜓珟する
「Intel Inside」
森元 䌞枝
奈良産業倧孊 専任講垫
がいかに画期的で優れたものであったかを掚察できる。
報告芁旚
「Intel Inside」ずいうブランドは䞖界䞭で商暙登録されおお
神戞の掋菓子産業は神戞の地堎産業を代衚する䞀぀であ
り我が囜でも倚数の関連商暙が登録されおいるがその商
る。神戞枯開枯
1868 幎を端に発しメディアにも
「おいしい
暙暩はその画期的で優れたブランド・コンセプトを保護する
掋菓子」ずしお取り䞊げられ
「神戞スむヌツ」ずいうブランドむ
ツヌルずなるのかブランド・コンセプトは人間の創造的掻
メヌゞで党囜に知られおいる。1995 幎に阪神淡路倧震灜で神
動により生み出される知的財産ずしお商暙法により保護され
戞の掋菓子産業は未曟有の被害を受けたにも関わらず10 幎
るのか。
足らずで震灜前の氎準にたで業瞟を回埩し今日も掋菓子業
「Intel Inside」に関連する商暙登録に぀いお知的財産高等
界はたすたす発展し続けおいる。
裁刀所が䞋した刀決及び特蚱庁の審決を分析し優れたブラ
神戞掋菓子産業の発展の芁因は掋菓子職人が時代に合
ンド・コンセプトが商暙法により保護され埗るのかに぀いお考
わせた独創的な
「おいしい掋菓子」を぀くり続けおいるからで
察する。
ある。しかしこの
「おいしい掋菓子」づくりの倧きな䞀因は
顧客にある。神戞の掋菓子を継続的に賌買する顧客は掋菓
子職人たちの独創的な掋菓子づくりに必芁な原材料の賌入を
可胜にしたり販路拡倧の手助けをしおきた。たた職人の味
食卓・メニュヌのコりホヌト分析−䞖代・幎霢の
倉化ぞのマヌケティング察応の考察−
芚を育お掋菓子の䟡栌安定にも貢献しおきた。さらには神
戞の掋菓子業界内に存圚する䞍文埋を遵守させる圹割も担っ
塚原 新䞀
株ビデオリサヌチ 調査業務局 専門職局次長
・
井䞊 朋子
株ラむフスケヌプマヌケティング 新垂堎開発郚
郚長
・磚井 矎幞
株ラむフスケヌプマヌケティング æ–°åž‚å Ž
開発郚 マネヌゞャヌ
・黒田ルヰ
株ビデオリサヌチ 第四
営業郚 課長補䜐
おきた。
業界の発展ず神戞の掋菓子文化の創造に顧客が深く関わっ
おいるこずを時代の倉遷ずずもに明らかにする。
報告芁旚
埓来から
「食」分野に぀いおは瞊断分析によっお䞖代効果
基瀎化粧品賌買における消費者の業態遞択
が確認されおいる。しかしながら既存研究は
「食材の賌入」
をもっお消費ずするもので最終的に食卓にあがる
「メニュヌ」
久 須 矎 薫子
 アモヌレパシフィックゞャパン
 株Business
support unit
に関する研究ではなかった。本研究では
「メニュヌ」に関す
る継続調査
食 MAPの結果が長期蓄積させたこずを機に
報告芁旚
このデヌタに察しおコりホヌト分析を行った。コりホヌト分析
化粧品業界においお流通構造が倧きく倉化を遂げおきおい
によっお継続調査デヌタを䞖代・幎霢・時代の぀の芁玠に
る。察面販売を䞭心に展開しおきた化粧品専門店や癟貚店に
分解しそれぞれの芁玠を倉化パタヌンに分類した。この結
代わりドラッグストア䞊びに通信販売が合わせお 4 割の構
果から
「メニュヌ」および食材の遞択に぀いお構造を理解し
成比を占める䞻芁チャネルずなっおいる。しかしながらドラッ
マヌケティング適応の粟床を向䞊させようずしおいる。合わせ
グストアもしくは通信販売ずいう1぀の名称でこれらの業態を
お今埌の予枬を行っおいる。
䞀抂に捉えるこずはマヌケティング意思決定者にずっお有甚ず
は蚀えない。なぜなら業態ずは補品構成をはじめずした耇数
の構成芁玠の組み合わせからなる様々な小売ミックスのパタヌ
ンを意味するためである。
21
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
ポスタヌセッション
事業の今をコミュニケヌションする意矩ず実践
本研究ではアンケヌト調査で回答が埗られた 573 人のデヌ
タを甚いクラスタヌ分析を実斜した。
「賌買関䞎床」ず
「補品刀
埳氞 朗

株博報堂 研究開発局 䞻垭研究員
断力」から消費者を4 ぀のクラスタに区分しクラスタ別に重
報告芁旚
芖される情報源ず店舗特城から各業態の䞋䜍区分を行った。
ここ数幎新たな成長のために事業倉革に取り組む䌁業は
結果珟物店員の察応䟡栌立地は各クラスタで重芖さ
数倚い。いたや経営の最倧の関心事のひず぀ずいっおも過蚀
れる項目ずしお先行研究を螏襲した。䞀方人的情報源ず玙
ではなくその掚進に腐心する䌁業は倚いが果実を埗おいる
媒䜓に代わるネット䞊の情報源に関しお先行研究ずの差異が
䌁業はただ䞀握りに思われる。本報告ではたずこの生き残り
確認された。具䜓的には高関䞎・高刀断力局で手厚いカりン
を賭けた䌁業意思に察するコミュニケヌションの寄䞎を論理
セリングの実斜が求められるなど各行動類型に応じた業態特
的実蚌的に怜蚌する。すなわちステむクホルダヌに䌝えお
性別のマヌケティングの必芁性が明らかになった。
認知・理解を埗る事の意矩を考察するずずもにそのファクト
の情報そのものが䞎えるパヌセプションがステむクホルダヌの
行動を喚起する力をも぀こずを定量調査を通しお解明する。報
告ではさらにコミュニケヌションの効果を最倧化するための
質的調査ずしおの゚スノメ゜ドロゞヌによるテクス
ト連接分析−
『すりかえ型消費』ぞのたなざし−
「䌝え方」に぀いおも蚀及する。そこでは新たな事業の方向
性をその根幹にある理念や実珟力ずその実珟の末にもた
田村 盎暹
関西倖囜語倧孊 准教授
らされる顧客・瀟䌚にもたらす䟡倀ず合せた文脈でメッセヌゞ
報告芁旚
化するこずの有効性を調査結果にもずづいお抜出しさらに
本報告の目的は瀟䌚孊の゚スノメ゜ドロゞヌに䟝拠した
マス媒䜓を通した広告・広報り゚ブ䞊の自瀟サむトや゜ヌシャ
質的方法によっお定量調査やむンタビュヌずいった方法では
ルメディアさらにはブランド䜓隓ずいった様々なタッチポむ
十分に芋いだせない消費の問題を探求し商品開発に掻かせ
ントを戊略的に織り亀ぜお蚭定するこずを提唱する。
るアプロヌチを提瀺するこずである。テクスト連接分析ずいう
のは消費者本人の䜿う蚀葉だけではなく呚囲の蚀葉もヒア
リングし消費者像の栞心に迫る手法である。
本調査では実際の消費者ずその呚蟺ぞのヒアリングから
本人が
「かわいい」ず思っお商品を買っおいるが呚囲からは
「ケ
チだ」
「安物を買っおいる」ずいうネガティブな印象を䞎えおい
るずいうギャップを発芋する。このギャップはアンケヌト調査
やむンタビュヌからは導き出せないものであり本分析のアド
バンテヌゞである。
この結果が瀺唆するものは埓来の STP を䞻ずするマヌケ
ティング手法ずは異なるフレヌムでアンケヌト等の数字には
衚れない氎面䞋の消費者の賌買心理パタヌンを解明できる
可胜性である。この研究芖点を
「テクスト・ベヌスド・ビュヌ
TBV」ず呌ぶこずにする。
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
22
オヌラルセッション ― フルペヌパヌ
郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う
屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察
― 商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査 ―
法政倧孊倧孊院 政策創造研究科 博士埌期課皋
髙橋 芳文
芁玄
屋倖広告物は郜垂の舞台装眮であり郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成に倧きな圱響を䞎えおいる。屋倖広告物看板は日
本最叀のアナログな広告手法である。看板は明治時代以降倧きくお目立぀こずが良いずいう颚朮があった。戊埌東京の
埩興はネオンからず広告が郜垂を明るく圩った時代を経お高床経枈成長期以降珟代瀟䌚においおは日本の看板は醜くお
景芳を壊すものずやり玉に挙げられながらも人々の生掻に密着しお生き残っおきた。二十䞖玀は競い合いの看板が䞻流で
あった。
しかし成熟瀟䌚の珟代においおは顧客の気持ちに寄り添う共感ず共生が屋倖広告物にも求められる時代に入ったので
はないかそしおもっず郜垂景芳の空間むメヌゞをむメヌゞアップするものずしお掻甚できるのではないか
本皿は屋倖広告物ず郜垂景芳に関する問題の所圚をあぶりだし商業経営者に
「自店の看板満足床調査」を実斜し商業
経営者が看板に察しおどのような意識を持っおいるのか自店が目立぀こずず景芳・街䞊みずの調和等の関係性に぀いおど
のように考えおいるのかを分析し屋倖広告物の広告的圹割の新しい芖座を発芋するこずを研究の目的ずしおいる。
キヌワヌド
屋倖広告物看板郜垂景芳商業経営者集客メディア
Ⅰ. はじめに
行政で先進的な取組みをしおいる京郜垂では
「屋倖広
告物はお店の顔であるず同時にたちの顔」ず広告景芳の
『地域のマヌケティング』においおP.コトラヌD.H. ハ
創造を定矩しおいる。屋倖広告物看板は日本最叀の
むダヌI.レむン
1996はこのように述べおいる。
アナログな広告手法ずしおリアル店舗の集客メディアずし
「ビゞュアル・シンボル
芖芚的象城は
「たち」マヌケ
お掻甚されおきた。
ティングにおいお倧きな意味を持぀。
「たち」の目印ずなる
看板は明治時代以降倧きくお目立぀こずが良いずい
堎所の倚くがい぀たでも倧衆の心に刻み蟌たれおいる。
う颚朮があった。戊埌東京の埩興はネオンからずいう屋
゚ッフェル塔
パリ
ビックベン
ロンドン
赀の広堎
モ
倖広告が郜垂を明るく圩った時代を経お高床経枈成長
スクワ䞇里の長城
䞭囜
アストロ・ドヌム
ヒュヌスト
期以降珟代瀟䌚においおは日本の看板は醜くお景芳を
ンなどだ。うたく利甚されればこれらビゞュアル・シン
壊すものずやり玉に挙げられながらも人々の生掻に密着し
ボルは公匏文具パンフレット看板その他䜕十ずい
お生き残っおきた。
うずころで露出される。ビゞュアル・むメヌゞが成功する
二十䞖玀は競い合いの看板が䞻流の時代であった。
ためには蚭定されたむメヌゞを匷化するものでなければ
モノが足りない時代であれば店の存圚を知らしめ芖
ならない」
認性をアップさせお入店を促進するずいう看板掻甚法は
屋倖広告物は郜垂の舞台装眮であり郜垂景芳の空
効果的であった。
間むメヌゞ圢成に倧きな圱響を䞎えおいる。屋倖広告物
しかし成熟瀟䌚の珟代においおはその方法は通甚
23
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
しなくなっおきおいる。顧客の気持ちに寄り添う共感ず共
の豊かさが消えおしたいたした」ずいう。
生が屋倖広告物にも求められる時代に入ったのではない
北野
2000は
「日本の颚景の貧困は私たちの瀟䌚
かそしおもっず郜垂景芳の空間むメヌゞをむメヌゞアッ
が
〈生掻景〉を芋倱っおしたったこずに倧きく起因しおいる」
プするものずしお掻甚できるのではないか以䞊の仮説を
ずいう。
立お本皿は屋倖広告物ず郜垂景芳に関する問題の所
むヌフ・トゥアン
1993は
「人間の空間は人間の感
圚をあぶりだし商業経営者に
「自店の看板満足床調査」
芚ず知性の質を反映しおいる」ずいう。
を実斜しアンケヌト結果のクロス集蚈をおこない商業
藀田
2006は
「看板は瀟䌚の瞮図である」ずいう。
経営者が看板に察しおどのような意識を持っおいるのか
郜垂景芳は人の営みの結果構成されるものである。
自店が目立぀こずず景芳・街䞊みずの調和等の関係性に
そしおその人の営みの行為を円滑にするものが屋倖広
぀いおどのように考えおいるのかを分析し珟代瀟䌚に
告物である。
おける屋倖広告物の広告的圹割の新しい芖座を発芋する
屋倖広告物ずは
1垞時又は䞀定の期間継続しお
2
こずを研究の目的ずしおいる。
屋倖で
3公衆に衚瀺されるもので具䜓的には看板や
広告塔ポスタヌなどだけではなく建築物の壁面等に盎
接衚瀺するものも含む。たた衚瀺内容に぀いおは文字
Ⅱ. 問題の所圚
だけでなく商暙シンボルマヌク写真等䞀定のむメヌ
ゞを䞎えるものや商業広告以倖の営利を目的ずしないも
ケノィン・リンチ
2007は
「郜垂のデザむンは時間が
のも含む。
生み出す芞術である」ずいう。
景芳議論が掻発である。
「日本の看板は醜い。芋苊し
真鍋
1985は
「盎線は矎しいず蚀ったのはル・コル
い。断蚀する。日本の颚景を殺しおいる半分の犯人は看
ビゞェで日本の建築家や郜垂蚈画家はいただにその神
板である」こう断蚀するのは船瀬
2004である。
話からぬけきれないが曲がり道も矎しいのだ」ずいう。
アレッス・カヌ2002は看板を
「芖芚公害」ずいう。
暋口
1993は
「䞡偎に高いビルが絶壁のように建ち䞊
北田
2002は枋谷を䟋えに
「郜垂空間を蚘号的に
び人ず車が急流のようにせわしなく行き亀っおいるよう
操䜜し広告を幜霊化させる広告郜垂は資本ずいう
な街路のみではゞェむン・ゞェむコブズも蚀うように
「郜
倖郚をリアルに隠蔜する」ずいう。
垂そのものも退屈である」ずいうこずになっおしたう」ずい
流しの写真家 枡蟺克己は新宿を
「偉倧な子宮」ず衚
う。
珟した。
『郜垂のドラマトゥルギヌ』吉芋俊哉
1987
䞹䞋
1968は
「1960 幎代前埌から日本の郜垂や建
鳎海
1988は景芳が぀くる地域むメヌゞの䞭で
「芏
築をずりたく状況が倧きく倉わり぀぀あった。経枈の高床
範的景芳」ずいう考え方を瀺しおいる。
「盛り堎には猥雑
な成長は生掻環境を刻々に倉貌させおいった。䞀方で
さを挔出するネオンサむンや看板が高玚䜏宅街には豊
はコミュニケヌションず亀通の急激な発展は囜土の瀟
かな緑や延々ず連なる高い塀がオフィス街には鉄ずガラ
䌚的空間的構造を倧きく倉えはじめた」ずいう。
スずコンクリヌトの高局ビルがもっずもそれらしい景芳ず
芳賀
2006は
「今京郜の繁華街ではゲヌムセン
しお察眮される」ずいう。
タヌパチンコ屋などが軒を連ね倧きな看板を出しお
鳎海の提唱する
「芏範的景芳」で盛り堎の景芳論を論
品のない掟手な色の店があっお昔の䞉条から四条の河
じれば日本の猥雑な盛り堎の景芳は倚くの日本人が
原町の我々が孊生のころにはただただあった京郜でな
安心できる空間である。
ければ味わえない朚造のそしおそれぞれの家柄にふさ
景芳法制定埌の党囜の景芳蚈画策定団䜓
2013 幎 1月
わしい䌝統を守った商売をしおおられる店が持぀町䞊み
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
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郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
1日珟圚 360 団䜓の景芳蚈画においおは屋倖広告物
にもかかわらず攟任状態にあった。
《公》の領域のデザむ
等の基準が芏制されるこずが倚く高圩床色高明床色
ンも問題がないわけではないが
《私》の領域のデザむン
ネオン等を犁止するこずが良奜な景芳圢成に効果的であ
が鍵を握っおいるこずを認識すべきである。䟋えば通り
るず考えられおいる。屋倖広告物はたちの賑わいや地
の景芳を想像したずきもっずも芖界を占めるものは
《私》
域むメヌゞの舞台装眮ずしお評䟡されるこずは少なく景芳
の領域の建築物や広告物であり道路面や道路斜蚭の占
阻害芁因ずしおやり玉に挙げられるこずが倚いのが珟状
める範囲はきわめお少ないこずが分かるずずもにみち
である。
景芳の魅力や地域の特性は
《私》領域のデザむンにか
景芳法の制定に合わせお2004 幎に屋倖広告物法の
かっおいるこずに気が぀くずいう。
目的が
「矎芳颚臎の維持」から
「良奜な景芳の圢成たた
船越
1998は日本の街路空間は西欧ずは異なり
は矎芳颚臎の維持」に倉わった。
建物自䜓だけでなく看板や暖簟幟提灯ずいった装
小浊
2008によれば
「景芳法ができるたで景芳ずい
眮が぀くりだす襞によっお構成されおいる。ずくに盛り堎
う蚀葉は日本の法埋にはなかった。景芳法においおも
ではそのような装眮が建物よりも重芁な圹割を果たしお
景芳ずは䜕かずいう定矩をしおいない。そのかわりに良奜
きた」ずいう。さらに
「街路のあり方や矎芳に関しおは日
な景芳ずは䜕かに぀いお考え方を瀺しおいる」ずいう。
本ず西欧では異なった特城が存圚するのであり西欧的
囜は景芳法の制定背景及び囜䌚審議の状況で
「戊
な郜垂矎の䟡倀芳で日本の看板を吊定するこずには慎重
埌の急速な郜垂化の䞭で経枈性や効率性機胜性が重
でなければならない。そこには長い歎史のなかで蓄積さ
芖された結果矎しさぞの配慮を欠いた雑然ずした景芳
れおきた私たちの感受性が朜んでいるからだ」ずいう。
無個性画䞀的な景芳等が各地で芋られるこずは吊めな
芊原
2001は
「建築の本来の倖芳を決定しおいる圢
い」ず問題を認識しおいる。
態を建築の
「第䞀次茪郭線」ず呌び建築の倖 壁以倖
2005 幎におこなわれた
「東京郜広告物審議䌚の
「答申」
の突出物や䞀時的な附加物による圢態を建築の
「第二次
〜東京における今埌の広告物芏制のあり方に぀いお〜」で
茪郭線」ず定矩するならば西欧の郜垂の街䞊みは
「第䞀
はこのようなこずが答申されおいる。
「屋倖広告物は
次茪郭線」で決定されるのに察しわが囜のこれらの䞭
郜垂景芳を構成する重芁な芁玠のひず぀である。しかし
心街の街䞊みは
「第二次茪郭線」で決定される」ず述べお
珟行の屋倖広告物芏制は甚途地域による䞀埋画䞀的
いる。さらに
「近時電柱や看板が街䞊みの矎しさを阻害
な芏制で芏栌
面積高さ圢状等のみが蚱可審査の
しおいるずしお問題にされるこずがあるが䞭高局アパ―
察象ずなっおいるため地域の特性特色ある界隈にき
トのベランダに満艊食のごずく干されおいる掗濯ものに぀
め现かく察応した広告景芳の圢成が困難である。これか
いおは今日たであたり議論がなされおいない。倪陜゚ネル
らの屋倖広告物芏制は甚途地域に基づく芏制だけでな
ギヌを掻甚しお掗濯ものを也燥させるずいうこずは省゚
く郜内の倚様な景芳特性に応じた芏制を導入しおいく
ネルギヌずいう芳点からはきわめお今日的であるずはいえ
こずが課題ずなっおいる」
ようがむタリアなどの裏街以倖にたず西欧諞囜では考
暪川
2000はみちづくり公・共・私の関係の考
えられない珟象である。掗濯ものをベランダにださないど
察においお景芳ずいう芳点からみち環境をみるず
ころかスむスや南ドむツあたりでは垂民が統䞀的に赀い
ゞェラニりムなどをベランダに食っおいるのである」ずい
「みち」の倧半を構成しおいる
《私》の領域を圢成しおいる
空間構成芁玠を問い盎す必芁性を匷く感じる。これたで
う。
みちの景芳圢成は
《公》や
《共》の領域に぀いお論じ
日本における屋倖広告物は埋什制のもずでの官垂に
られおきたが実際には
《私》の領域が倚くの課題をも぀
さかのがり文献のうえで知られる看板に類する最初のも
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Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
補䜜が可胜ずなった。その結果ビルの屋䞊広告塔の広
のは䞖玀なかばに成立した逊老什の泚釈曞
『什矩解』
833に珟れおいる。江戞時代の看板には商品そのも
告衚珟もさたざたな技術が駆䜿されおいたネオンからタレ
のや商売に関する道具類をかたどった看板が倚かった。
ントの顔写真が倧きく入った平面の出力物に倉わったの
明治から昭和 50 幎代たではホヌロヌ看板がたちのい
である。
たるずころにあり䞀䞖を颚靡した。
「メガネが萜ちるほど
業界の技術革新は良くも悪くも景芳に圱響を䞎える。
おいしい」ずいうオロナミン C ホヌロヌ看板は42 䞇枚
山厎
2006の
「文字情報が景芳に䞎える圱響の研究」
生産され日本䞭に貌られた。
によれば
「文字矀がその堎所にふさわしいかどうかが景
高床経枈成長期にはネオン看板が䞀䞖を颚靡した。
芳の評䟡に倧きく圱響しおいるこずが分かる」ずいう。
朚材からプラスチックネオンずさたざたな玠材の進化が
たた鳎海ず藀本
2006は
「看板・広告から芋る郜垂
屋倖広告物の意匠に倉化を䞎えた。そしお高床経枈成
景芳の課題」におコンピュヌタヌフォントの氟濫を指摘
長期の屋倖広告物の急激な増加は衚珟や意匠の過激さ
する。
も䌎い
「景芳公害」ずしお問題芖された。
鳎海
「コンピュヌタヌのフォントがそのたた倧きくなっ
䞀方この時期の屋䞊広告塔のネオンなどは䞀流の
お街䞭に氟濫しおいるのを芋るず非垞に気持ち悪く感じた
䜜家が手掛けおいた。日本画家の暪山操による地球儀圢
す。昔ながらの職人が䜜るものがよいのですが最近で
の
「森氞ミルクキャラメル」
デザむナヌでは䌊藀憲治の
は石に字を圫る時にもコンピュヌタヌのフォントがその
星圢
「ナショナル」

「テむゞンテトロン」や
「」亀倉
たた䜿われおしたいたす。若い人にはこういった違和感が
雄策による明治補菓のネオン塔。これらはコヌポレヌト
・
なくなっおきおいるのかもしれたせん」
むメヌゞを明確に瀺すずずもにハむ・センスな郜垂景芳
藀本
「その通りだず思いたす。昔の職人のデザむンは倧
の誕生を導いおいる。倚くのクリ゚むタヌの参画ず新しい
きさや字の䞊び方によっお間隔を調敎したり文字を现め
景芳の出珟は屋倖広告史に倧きな足跡を残しその埌
るずいった埮調敎をしおいたす。倧手のメヌカヌのロゎが
の広告衚珟に倚くのヒントを䞎えた。
矎しく感じるのは職人同様にほんずうにデリケヌトな調
船越の
『看板の䞖界』
1998によれば銀座で有名だった
敎をしおいるからです。それず比べお街に溢れおいるもの
森氞地球儀のネオンは盎埄が 12 メヌトルもある。新宿
はコンピュヌタヌのフォントがそのたた倧きくなっただけ
の垝人のネオンは高さ20 メヌトル幅 14.4 メヌトルずい
のものが倚く芋られたす」ずいう。
う最倧玚のものでネオン管の延長は4100メヌトルもあっ
L・B・バリンゞャヌR・A・バリンゞャヌ1971は
「看板のなかにおさめられたシンボルは力匷くたた盎
たずいう。
1973 幎にはオむルショックの圱響で節電が匷いられ
接的な働きをする。星十字7 ぀に分れた燭台鳩など
ネオンの点灯も芏制されるこずになった。
叀くから䌝わった宗教的なシンボルは今日でも広く䜿わ
1966 幎にはペむントに代わる色の玠材
「カッティング
れる。喫茶店の店頭にコヌヒヌのカップが眮かれおいれ
シヌト」が出珟し1976 幎には屋倖甚のシヌト
「タフカル」
ばそれが䌑憩を意味するこずは誰の目にも明らかであ
が䞖に出た。玠材の進化により看板職人の仕事もペむン
る。店頭やりィンド―の朚靎や貝はその店のサヌビスや
トによる文字曞きからアヌトナむフを甚いたレタリング䜜
補品をそのたた知らせるこずだろう。デザむンがすぐれ
業に倉化した。その埌ペむントに代わる色の玠材
「カッ
蚈画が行きずどいおいるならば䜙分な説明は䞍芁であ
ティングシヌト」が機械
カッティングマシンで文字を切
りそれだけで道行く人々の興味をひき心を動かすこず
れるようになり珟圚
2012では倧型のむンクゞェット
になる。昔の簡朔で盎接的な看板は近幎のデザむナヌ
プリンタの台頭によりフルカラヌ写真衚珟の倧型看板の
にも倧きな手がかりを提䟛する。圌らの倚くはい぀の時代
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
26
郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
も倉わるこずのないすぐれた方法でそのシンボルや圢匏
の衚瀺ずいった情報コミュニケヌションがより重芁になる
を甚いおいる。
「最高の意味での芳念はシンボルによっ
瀟䌚が到来する。
おしか䌝達できない」ずいうサミュ゚ル・テむラヌ・コヌ
シビックプラむド研究䌚
2008では
「サむンやアヌト
ルリッゞのこずばをあらためお考慮に入れなければならな
がたちの接着材になる」ずいう。
「郜垂空間に察しお小さ
い」ずいう。
なサむンのような芁玠であっおも統䞀された色ずフォント
早皲田倧孊教授の竹村は髙橋
2009ずの察談で
「商
によっお郜垂党䜓が有機的に統合されうたく機胜しお
店の看板は人々の泚目を匕くためのマヌケティング実務
いるずいう印象を䞎えるこずができる」
䞊の圹割があるだけでなく商店を取り巻く地域の人々ぞ
岡山県䞭囜山地䞭倮にある勝山。そこでは暖簟の優
の公共的なコミュニケヌションの圹割も本来はある」ず述
しさがたちの雰囲気を倉えた。芳光客が楜しむだけでな
べおいる。
く䜏民自らの生掻を楜しむずいう高い芋識ず掗緎された
高床経枈成長期以降
「りチのお店はいいお店ですよ」
矎孊のもずにたちづくりに取り組んでいる。暖簟の矎しさ
は高井朔
2009の
『日本の暖簟その矎ずデザむン』が
「りチの商品はいい商品ですよ」ずいう競い合いの看板が
街䞭には氟濫しお看板≒醜悪なもので街の景芳を壊す
詳しい。暖簟も屋倖広告物である。
ものだず蚀われおきた。実際商業経営者の看板に察
矎しい街岡本協議䌚では岡本版屋倖広告物ルヌルガ
する意識は看板は倧きければ倧きいほど掟手であれ
むドラむン
案を策定しおいる。ガむドラむンの基本的な
ばあるほど客を呌ぶずいった意識が倚く看板を小さくす
考え方は
「屋倖広告物によっお岡本らしさを具珟化し
るず商売に響くずいった抵抗も根匷くゆえに䌁業は
通りごずのたちなみ景芳を特城づけ岡本の街そのものを
自瀟の瀟名や商品を目立たせるためにあっちにも広告
宣䌝しよう」ず瀺しおいる。
こっちにも広告。そんな時代であった。
「矎しい街岡本協議䌚は昭和 57 幎 9月に発足し
「た
しかしモノ䜙りの成熟瀟䌚においおは屋倖広告物
ちづくり協定」をはじめずするルヌルを定め䜏民自らが
「看板」の圚り方にも倉化が必芁である。そしお時代の
自分たちの街に぀いお考えうるおいず調和のある矎しい
倉化により人々の䟡倀芳も倉わり぀぀ある。
たちづくりのため景芳たちづくりに取り組んできたした。
竹村は
「そもそもひずは経枈合理性だけでは動きた
今埌も矎しい街であり続けるために屋倖広告物
看板
せん。極端な話ですが経枈合理性だけを求めおいれば
等に関する岡本オリゞナルのルヌルを提案したす」
商店が商品を買っおくれたお客様にあいさ぀しなくおもよ
さらになぜ今屋倖広告物ルヌルが必芁なのか屋
いのです。でも普通はあいさ぀をするでしょう。なぜ
倖広告物ルヌルを考える利甚が述べられおいる。
あいさ぀をするのでしょうか。瀟䌚においおはコミュニ
「協議䌚発足から 30 幎岡本の街䞊みは随分ず倉化し
ケヌションが必芁なのです」ずいう。
おきたした。近幎は地䟡の高隰によっお個人商店が枛
看板は商品屋号などを蚘しお店頭あるいは人目
りナショナルチェヌンぞず倉わる流れが加速しおいたす。
に぀きやすいずころに掲げそれぞれの店が䜕を販売し
看板の新蚭や付け替えなどで街の様子が倧きく倉わっ
おいるかを知らしめる蚘号である。同時に看板はお店の
おきおいたす。我が店ばかりが目立ずうずする看板景芳
「顔」であり商売の真心を衚すものでもある。髙橋
2009
を損なう看板党囜どこでも同じどこのたちにもある看
はE・T ホヌルのパヌ゜ナルスペヌスずいう考え方に觊れ
板を出す店舗が増えおきおいたす。このたたでは岡本が矎
おいるが成熟瀟䌚での屋倖広告物は
「瀟䌚ずの距離を
しい街ではなくなっおしたうのではないか岡本らしさが
考えたデザむン」ずいう芖点が重芁になっおくるのである。
倱われおしたうのではないかず私たちは危惧しおいたす。
そしお私的領域に公共性を持った
「気遣い」

「芪切心」
看板は街の景芳を構成する倧きな芁玠です。玠敵な看
27
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
板で街を圩る玠敵な看板を増やすこずでより玠敵な
ルがある。それぞれのラむフサむクルの時期にいる商業
街・矎しい街に育おおいくこずができるず考えおいたす。
経営者がどのような集客メディアを重芖しおいお看板に
そしお玠敵な街・矎しい街になるこずで街の魅力・街
察しおどのような意識を持っおいるのかそしお自店が
の䟡倀が高たりより䞀局私たち自身のたちに察する誇
目立぀こずず景芳・街䞊みずの調和等の関係性に぀いお
りず愛着が高たり自慢の街倖の人から芋おも魅力的な
どのように考えおいるのか
街・蚪れたい街になっおいきたす」
こうした芖点で商業経営者に察しお看板に察する意
そしおルヌルの目的圹割考え方を明確にしおいる。
識調査を実斜した研究は今たでほずんどおこなわれお
いない。
「岡本はきれいな街おしゃれな街䜏宅ず商店が混圚す
る絶劙のバランスをもった街岡本で生掻する
䜏む・
このような背景の䞋
「自店の看板満足床調査」を月刊
働く私達にずっお自慢の街です。岡本らしさ矎しい街
『商業界』の読者である商業経営者100人に実斜しその
岡本を守り育おおいきたいず私達は考えおいたす。岡本
アンケヌト結果に぀いおクロス集蚈をおこない分析ず考察
でわが店ばかりが目立ずうずする看板矎しい景芳を損
をおこなった。
なう看板を街ずしお地域ずしおどう考えるのか。岡本ら
尚本アンケヌトの実斜は月刊
『商業界』を定期賌読
しい街矎しい街であり続けるために街䞊みにそぐわな
しおいる読者にアンケヌトを送付しお回答をいただいた。
アンケヌト業務担圓者商業界 䞉浊慶倪氏
い看板を芏制し玠敵な看板を増やすルヌルが必芁だず
考えおいたす」
珟代瀟䌚においおは売り手のメッセヌゞが匷すぎる
看板ではなくお顧客の気持ちに寄り添う看板が共感を
埗る。そしお地域の人たちに愛されるデザむンセンスを
店のオヌナヌが持぀ずいうこずが重芁なポむントになる。
地域の空間むメヌゞ圢成をセンスアップする屋倖広告物
が求められる。
たちなかで看板を掲げるのは小売業など倚くの商業
経営者である。その䞭には小芏暡経営も少なくない。そ
しお倚くのお店が成熟期にいる。
䞉橋
2009は商店街衰退の背景を
「最初に商店街の
衰退が始たった時期は1960 幎代。この時は道路敎備
や鉄道の螏切廃止等で既存商圏の分断や商圏が開攟
的になったこずが契機になっおいる。ちょうど東京オリ
ンピック開催が決たっお特に東京郜内の亀通網敎備が
急速に進んだ時期でもあり郜内の商店街にはこの時に
衰退が始たったずころも倚い。端的な䟋は東京郜内に
瞊暪に走っおいた郜電の停留所前の商店街。1960 幎代か
ら郜電が撀去されたためこれらの商店街は急速に衰え
おいった」ずいう。
商売には創業期成長期成熟期ずいうラむフサむク
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
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郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
Ⅲ . アンケヌト調査ず結果
本アンケヌト調査は2010 幎 10月に月刊
『商業界』の読者100人に実斜した。
「看板満足床」アンケヌト調査
質問 貎店で実斜しおいる集客メディアに぀いお、以䞋の䞭から䞊䜍 3 ぀を遞んでください。
□新聞折蟌チラシ □ポスティング
□ダむレクトメヌル
□クチコミ
□゚リアタりン誌に広告掲茉
□ブログ
□ツむッタヌ
□その他
□看板
□ホヌムペヌゞ
□携垯メヌル・携垯サむト

質問 䞊蚘で遞んだ 3 ぀を合蚈した、月間の販促予算を教えおください。
月間玄
䞇円
※集客察象の店舗数も教えおください。
質問 創業䜕幎になりたすか㻌 創業
店舗
幎目㻌
質問 集客メディアに぀いお、アナログ系ず IT ç³»ã®ã©ã¡ã‚‰ã‚’é‡èŠ–ã—ãŠã„ãŸã™ã‹ïŒŸä „â’àŸ•ä›»ä•¿ä …ã»Œ
1 アナログ系 チラシ、看板、クチコミなど
2 IT ç³»
HP、ブログ、携垯メヌルなど
質問 質問で「2 IT 系」ず答えた方は、その理由を教えおください。
㻌
※質問で「2 IT系」ず答えた方は、以䞊でアンケヌト終了です。ご協力ありがずうございたした。
※質問で「1アナログ系」ず答えた方は、2ペヌゞ目以降の質問にお進みください。
1/2ペヌゞ
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Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
※質問で「1 アナログ系」ず答えた方は、以䞋の質問にお答えください。
㻌
質問 自店の看板に満足しおいたすか番号に○㻌
1
満足しおいる
2
䞍満である
3
関心を持ったこずがない
●「満足しおいる」ず答えた方は、その理由を以䞋から぀遞んでください。
満足しおいる理由
□よく目立぀ □呚蟺の街䞊みず調和がずれおいる □キレむ
□新しい
□お客の評刀が良い
□䞈倫
□地域䜏民の評刀が良い
□お店の特城が衚珟できおいる
□品がある
□その他

●「䞍満である」ず答えた方は、その理由を以䞋から぀遞んでください。
䞍満な理由
□目立たない
□呚蟺の街䞊みず調和がずれおいない
□お客の評刀が悪い
□地域䜏民の評刀が悪い
□お店の特城が衚珟できおいない
□汚い
□品がない
□その他
□叀い
□壊れやすい

質問 自店の看板を、お客がどのように芋おいるか考えたこずがありたすか番号に○㻌
1 ある
2
ない
●「ある」ず答えた方で、良い芋られ方をしおいるず思う方は、その理由を぀遞んでください。
良い芋られ方
□遠くからでもわかりやすい
□キレむ
□商品・サヌビスに期埅を感じる
□景芳にマッチしおいる
□その他
□芪しみを感じる

●「ある」ず答えた方で、悪い芋られ方をしおいるず思う方は、その理由を぀遞んでください。
悪い芋られ方
□䜕の店かわかりづらい
□景芳ずマッチしおない
□商品・サヌビスに䞍安を感じる
□その他
□殺颚景である □汚い

2/2ペヌゞ
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
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郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
アンケヌトは24 の業皮・業態から回答があった。アン
「集客メディアに぀いおアナログ系ず IT 系のどちらを
ケヌトに回答した店のラむフサむクルは創業期 12成
重芖しおいたすか」ずいう質問の回答に぀いおはアナロ
長期 28成熟期 52無回答 8ずいう状況である。
グ系を重芖するが 85でIT 系を重芖するは 15であっ
過半数の店が個店で成熟期にある。成熟期に入れば店
た。
の歎史ずずもに看板も叀くなる。
次に
「自店の看板に経営者自身が満足しおいたすか」
時代の倉化が激しい䞭比范的芏暡の小さい商業店舗
ずいう質問の回答は満足が 44䞍満足が 46無回
は自店の集客をどのように考えおいるのか
「どのような
答が 10ずいう結果になった。
集客メディアに力を入れおいるか」ずいう質問に぀いおの
「お客様は自店の看板をどう芋おいるず思いたすか」ず
回答は1䜍ホヌムペヌゞ (18
2 䜍看板 (16
3 䜍折
いう質問の回答は
「お客様に良く芋られおいるず思う」
り蟌みチラシ (14
4 䜍口コミ(13
5 䜍 DM(10ず
が 59
「悪く芋られおいるず思う」が 21
「無回答」が
いう結果になった。
20ずいう結果になった。
図衚—1 [ 筆者䜜成 ] 回答者の業皮
比率 無回答 2%
サヌビス業 6%
その他 2%
バッグ・雑貚・家具 7%
リサむクル 9%
SM 6%
家電 1%
スポヌツ甚品 1%
その他小売 9%
理容・矎容 3%
ディスカりント 2%
菓子補造販売 3%
曞店 3%
酒・食品 7%
靎 4%
垃団 1%
文具・事務甚品 3%
化粧品 4%
衣料品 7%
お茶・のり 3%
自転車 2%
飲食・居酒屋 12%
ç±³ 2%
薬局 1%
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Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
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図衚—2 [ 筆者䜜成 ] 回答者の業皮
人数
無回答
2
その他
2
サヌビス業
6
バッグ・雑貚・家具
7
家電
1
スポヌツ甚品
1
理容・矎容
3
菓子補造販売
3
酒・食品
7
垃団
1
化粧品
4
衣料品
7
お茶・のり
3
自転車
2
薬局
1
ç±³
2
飲食・居酒屋
12
文具・事務甚品
3
靎
4
曞店
3
ディスカりント
2
その他小売
9
SM
6
リサむクル
9
図衚—3 [ 筆者䜜成 ] 回答者の店舗数
人数
51店舗以䞊
1
31∌40店舗
2
21∌30店舗
2
11∌20店舗
6∌10店舗
6
7
2∌5店舗
23
58
個店
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図衚—4 [ 筆者䜜成 ] 質問
重芖する集客メディア
ケヌタむ販促 5%
その他
6%
ツむッタヌ 2%
折蟌チラシ
14%
ブログ 5%
ポスティング
5%
DM
10%
HP 18%
゚リアタりン誌
6%
看板
16%
口コミ
13%
図衚—5 [ 筆者䜜成 ] 質問 月間販促費
1店舗あたり
図衚—6 [ 筆者䜜成 ] 質問
成長サむクル
25
20
無回答 8%
20
15
13
13
10
6
5
5
5
1
5
10
20
50
100 200 500 1000
1
䞇円以䞊
䞇円以䞊
䞇円以䞊
䞇円以䞊
100 200 500 1000
無回答
50
䞇円以䞊
20
䞇円以䞊
10
䞇円以䞊
5
䞇円以䞊
2
䞇円未満
䞇円未満
䞇円未満
䞇円未満
䞇円未満
䞇円未満
䞇円未満
䞇円未満
䞇円以䞊
2
䞇円未満
0
成長期 28%
成熟期 52%
12
2
円
0
12
10
創業期 12%
図衚—7 [ 筆者䜜成 ] 質問 集客メディアに぀いおアナロ
グ系IT 系のどちらを重芖
33
ITç³»
15%
アナログ系
85%
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図衚—8 [ 筆者䜜成 ] 質問 自店の看板に満足
無回答 10%
満足 44%
䞍満 46%
図衚—9 [ 筆者䜜成 ] 満足な理由
25
20
18
15
かわいい
16
FC なので決たっおいる
12
付いおいればいい
10
7
6
5
シンプル
6
5
2
よく目立぀ずいう意芋を承る
3
その他満足
特城衚珟○
䞈倫
品がある
䜏民の評刀○
客の評刀○
新しい
キレむ
調和○
よく目立぀
0
その他
満足の蚘述回答
20
無蚘入
コストをかけたくない
このたたでいい
倧きな看板は䞋品。
看板は掟手にしたくない。シンプルにしたい
わかりやすい
来店時に話のネタになる
看板を芋なくおも来店する
図衚—10 [ 筆者䜜成 ] 䞍満な理由
30
25
27
20
18
15
10
10
5
2
5
2
その他䞍満
特城衚珟
壊れやすい
0
品がない
0
䜏民の評刀
1
客の評刀
叀い
汚い
調和
目立たない
0
その他
䞍満の蚘述回答
24
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
黒メむンなのであやしい感じに芋 看板にかける経費が少なく思っ
える
た看板ができない
マンネリ垞習化しおおり新鮮さ 芋逃されやすい
に欠ける
反応がわかりづらい
わかりにくい䌝わりにくい
掻気が感じられない
暗い
存圚すら知らないのでは。無くお 効果枬定ができない
も困らない
もう少し工倫したい
維持費がめちゃくちゃ高い
無いも同然です
笑
写真があっおも良いかず
蚭眮堎所が悪く芋づらい
少ない
皮類が耇数である
少ない
34
郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
図衚—11 [ 筆者䜜成 ] 質問 お客様からの芋方
無回答 20%
良く芋られおいる 59%
悪く芋られおいる 21%
図衚—12 [ 筆者䜜成 ] 良く芋られおいる
25
23
21
20
18
その他
良くの蚘述回答
20
シンプルである
17
おもしろい
15
ほずんど芋られおいない。店内を芋お来店される
11
10
バランスがずれおいる
倧きい
5
掟手さはないが目立っおいる
声を出しお読みながら通る人が倚い
その他良く
景芳にマッチ
キレむ
芪しみ
商品・サヌビスに期埅
遠くからでも○
0
䌝統ず栌匏を衚珟できる
看板は無いのでよく芋られおいるこずもないがシンプルなのは良
いずのこず
ナニヌク
図衚—13 [ 筆者䜜成 ] 悪く芋られおいる
17
その他
悪くの蚘述回答
立地が悪いため分かりづらい
あやしい䌁業に芋られおいる
8
8
5
2
魅力が無い
わかりにくい
2
目立たない
その他悪く
景芳ミスマッチ
汚い
殺颚景
商品・サヌビスに䞍安
䜕の店
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
芋逃されやすい。その他圓店の看板も目立぀ものにしたいので
すが予算がなくお手が付けられないのが珟状です。
遠くから分かりにくい
少ない
35
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郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
Ⅳ. 分析ず考察
以䞊のアンケヌト結果を螏たえクロス集蚈で 2 ぀の分析をおこなった。
① 問 1で
「看板」を遞んだグルヌプ
看板重芖掟ず遞ばなかったグルヌプ
看板非重芖掟に分けおその違いを分析する。
図衚—14 [ 筆者䜜成 ]
質問 1
看板以倖の集客メディアを重芖するず回答した数 (B)
看板を重芖
するず
回答した数 (A)
折蟌
チラシ
ポステ
ィング
DM
゚リア
タりン誌
口コミ
HP
ケヌタむ
販促
ツむッ
タヌ
ブログ
その他
看板重芖
42
20
7
7
18
6
25
5
2
3
6
看板非重芖
50
18
5
18
16
9
24
8
4
9
11
無回答
合蚈
8
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
100
38
12
25
34
15
49
13
6
12
17
(C)=(B)/(A)
看板重芖
100%
48%
17%
17%
43%
14%
60%
12%
5%
7%
14%
看板非重芖
100%
36%
10%
36%
32%
18%
48%
16%
8%
18%
22%
平均
100%
41%
13%
27%
37%
16%
53%
14%
7%
13%
18%
看板重芖
0%
6%
4%
-11%
6%
-2%
6%
-2%
-2%
-6%
-4%
看板非重芖
0%
-5%
-3%
9%
-5%
2%
-5%
2%
1%
5%
4%
平均ずの差異
A看板重芖掟はHPを陀き折蟌チラシポスティングずいう地域を限定する集客メディアをより重芖しおいるのに察しお
非重芖掟はDMケヌタむ販促ずいう限定しない集客メディアをより重芖しおいる。
図衚—15 [ 筆者䜜成 ]
質問 5
自店の看板に
満足するず
回答した数 (A)
満足な理由 (B)
よく
目立぀
調和○
キレむ
新しい
客の
評刀○
䜏民の
評刀○
品が
ある
特城
衚珟○
䞈倫
その他
看板重芖
17
11
5
2
0
3
1
3
2
11
6
看板非重芖
19
6
7
3
2
4
4
1
0
7
6
7
1
0
1
0
0
0
2
1
2
4
43
18
12
6
2
7
5
6
3
20
16
無回答
合蚈
(C)=(B)/(A)
看板重芖
100%
65%
29%
12%
0%
18%
6%
18%
12%
65%
35%
看板非重芖
100%
32%
37%
16%
11%
21%
21%
5%
0%
37%
32%
平均
100%
47%
33%
14%
6%
19%
14%
11%
6%
50%
33%
平均ずの差異
看板重芖
0%
17%
-4%
-2%
-6%
-2%
-8%
7%
6%
15%
2%
看板非重芖
0%
-16%
4%
2%
5%
2%
7%
-6%
-6%
-13%
-2%
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
36
郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
図衚—16 [ 筆者䜜成 ]
質問 5
䞍満足な理由 (B)
自店の看板に
満足しないず
回答した数 (A)
目立た
ない
汚い
調和×
䜏民の
評刀×
客の
評刀×
叀い
品が
ない
壊れ
やすい
特城
衚珟×
その他
看板重芖
21
11
5
2
0
3
1
3
2
11
6
看板非重芖
24
6
7
3
2
4
4
1
0
7
6
無回答
合蚈
0
1
0
1
0
0
0
2
1
2
4
45
18
12
6
2
7
5
6
3
20
16
(C)=(B)/(A)
看板重芖
100%
52%
24%
10%
0%
14%
5%
14%
10%
52%
29%
看板非重芖
100%
25%
29%
13%
8%
17%
17%
4%
0%
29%
25%
平均
100%
38%
27%
11%
4%
16%
11%
9%
4%
40%
27%
看板重芖
0%
15%
-3%
-2%
-4%
-1%
-6%
5%
5%
12%
2%
看板非重芖
0%
-13%
3%
1%
4%
1%
6%
-5%
-4%
-11%
-2%
平均ずの差異
B看板重芖掟は看板がよく目立぀こず特城衚珟があるこずを満足の理由ずしおより重芖しおいるのに察しお非重芖
掟は新しいこず䜏民の評刀が良いこずをより重芖しおおり圓然の結果ではあるが看板非重芖掟は集客メディアずし
おの芁玠では必ずしもない点を評䟡しおいる。ただし目立぀こず特城衚珟があるこずを重芖しおいない点はむしろ目
立たない看板のため集客効果が匱いが故に集客効果を期埅しなくなったずいう可胜性も読み取れる。
図衚—17[ 筆者䜜成 ]
質問 6
良く芋られおいる理由 (B)
良く芋られ
おいるず
回答した数 (A)
商品・
遠くから
サヌビス
でも○
に期埅
芪しみ
景芳に
マッチ
キレむ
その他
看板重芖
24
13
8
11
6
7
看板非重芖
30
9
9
10
14
9
6
5
1
1
0
0
1
1
59
23
18
21
20
17
11
無回答
合蚈
4
(C)=(B)/(A)
看板重芖
57%
31%
19%
26%
14%
17%
10%
看板非重芖
60%
18%
18%
20%
28%
18%
12%
平均
59%
24%
18%
23%
22%
17%
11%
平均ずの差異
看板重芖
看板非重芖
-2%
7%
1%
3%
-7%
-1%
-1%
1%
-6%
0%
-3%
6%
1%
1%
37
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
図衚—18 [ 筆者䜜成 ]
質問 6
悪く芋られおいる理由 (B)
悪く芋られおいるず
回答した数 (A)
看板重芖
看板非重芖
無回答
商品・サヌビ
スに䞍安
䜕の店
殺颚景
景芳
ミスマッチ
汚い
その他
12
10
2
4
2
0
5
9
7
0
4
3
2
3
0
0
0
0
0
0
0
21
17
2
8
5
2
8
看板重芖
29%
24%
5%
10%
5%
0%
12%
看板非重芖
18%
14%
0%
8%
6%
4%
6%
平均
23%
18%
2%
9%
5%
2%
9%
看板重芖
6%
5%
3%
1%
-1%
-2%
3%
看板非重芖
-5%
-4%
-2%
-1%
1%
2%
-3%
合蚈
(C)=(B)/(A)
平均ずの差異
C看板重芖掟は遠くからでも芋えるこずを顧客からよく芋られおいる理由ずしおより重芖しおいるのに察しお非重芖掟
はきれいなこずをより重芖しおいる。これは
Bの結果ずも敎合する。
② 質問 3 で
「創業期」
「成長期」
「成熟期」に分けおその違いを分析する。
図衚—19 [ 筆者䜜成 ]
質問 3
質問 1
成長サむ
クルの回
答数 (A)
看板以倖の集客メディアを重芖するず回答した数 (B)
折蟌
チラシ
ポステ
ィング
DM
看板
口コミ
゚リア
タりン
誌
HP
ブログ
ツむッ
タヌ
ケヌタむ
販促
その他
創業期
12
0
1
4
3
8
2
5
2
2
1
3
成長期
28
13
5
8
12
12
5
17
3
3
5
3
成熟期
51
22
6
12
26
14
8
26
7
1
5
11
無回答
9
3
0
1
1
0
0
1
1
0
1
0
100
38
12
25
42
34
15
49
13
6
12
17
合蚈
(C)=(B)/(A)
創業期
100%
0%
8%
33%
25%
67%
17%
42%
17%
17%
8%
25%
成長期
100%
46%
18%
29%
43%
43%
18%
61%
11%
11%
18%
11%
成熟期
100%
43%
12%
24%
51%
27%
16%
51%
14%
2%
10%
22%
平均
100%
38%
13%
26%
45%
37%
16%
53%
13%
7%
12%
19%
創業期
0%
-38%
-5%
7%
-20%
29%
0%
-11%
3%
10%
-4%
6%
成長期
0%
8%
5%
2%
-2%
5%
1%
8%
-2%
4%
6%
-8%
成熟期
0%
5%
-1%
-3%
6%
-10%
-1%
-2%
1%
-5%
-2%
3%
平均ずの差異
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
38
郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
A
「創業期」は口コミツむッタヌなどのお金のかからない集客メディアが䞭心で折蟌チラシポスティング看板HP
などは盞察的に実斜しおいない
できおいない
。
「成長期」に入るず折蟌チラシポスティング看板HPケヌタむ販促な
どの割合が増える。
「成長期」ず比范しお
「成熟期」は看板の実斜割合が高いがその他のメディアは
サンプリング数の
少ないブログを陀いお皆䜎い。これは看板以倖は継続的な出費や劎力を䌎うものであるメディアであるからかもし
れない。
図衚—20 [ 筆者䜜成 ]
質問 3
質問 5
成長サむクルの回答数 (A)
創業期
成長期
成熟期
無回答
合蚈
(C)=(B)/(A)
創業期
成長期
成熟期
平均
平均ずの差異
創業期
成長期
成熟期
自瀟の看板に満足 (B)
䞍満
7
5
8
17
23
21
5
2
43
45
満足
12
28
51
9
100
無回答
0
2
6
2
10
100%
100%
100%
100%
58%
29%
45%
42%
42%
61%
41%
47%
0%
7%
12%
9%
0%
0%
0%
17%
-13%
3%
-6%
13%
-6%
-9%
-2%
3%
図衚—21 [ 筆者䜜成 ]
質問 5
自店の看板に
満足するず
回答した数 (A)
満足な理由 (B)
よく
目立぀
調和○
キレむ
新しい
客の
評刀○
䜏民の
評刀○
品が
ある
䞈倫
特城
衚珟○
その他
創業期
7
4
4
0
0
1
1
1
1
2
成長期
8
5
2
2
1
3
0
1
0
6
4
1
成熟期
23
8
6
4
1
3
4
3
2
11
6
無回答
5
1
0
0
0
0
0
1
0
1
5
合蚈
43
18
12
6
2
7
5
6
3
20
16
創業期
100%
57%
57%
0%
0%
14%
14%
14%
14%
29%
57%
成長期
100%
63%
25%
25%
13%
38%
0%
13%
0%
75%
13%
成熟期
100%
35%
26%
17%
4%
13%
17%
13%
9%
48%
26%
平均
100%
45%
32%
16%
5%
18%
13%
13%
8%
50%
29%
創業期
0%
12%
26%
-16%
-5%
-4%
1%
1%
6%
-21%
28%
成長期
0%
18%
-7%
9%
7%
19%
-13%
-1%
-8%
25%
-16%
成熟期
0%
-10%
-5%
2%
-1%
-5%
4%
0%
1%
-2%
-3%
(C)=(B)/(A)
平均ずの差異
39
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
図衚—22 [ 筆者䜜成 ]
質問 5
自店の看板に
満足しないず
回答した数 (A)
䞍満足な理由 (B)
目立た
ない
調和×
汚い
叀い
客の
評刀×
䜏民の
評刀×
品が
ない
壊れ
やすい"
特城
衚珟×
その他
創業期
5
4
1
0
0
1
0
0
1
3
2
成長期
17
10
1
0
1
0
0
0
1
7
9
成熟期
21
11
0
4
7
0
0
0
0
13
7
無回答
2
2
0
1
2
0
0
0
0
1
0
45
27
2
5
10
1
0
0
2
24
18
創業期
100%
80%
20%
0%
0%
20%
0%
0%
20%
60%
40%
成長期
100%
59%
6%
0%
6%
0%
0%
0%
6%
41%
53%
成熟期
100%
52%
0%
19%
33%
0%
0%
0%
0%
62%
33%
平均
100%
58%
5%
9%
19%
2%
0%
0%
5%
53%
42%
合蚈
(C)=(B)/(A)
平均ずの差異
創業期
0%
22%
15%
-9%
-19%
18%
0%
0%
15%
7%
-2%
成長期
0%
1%
1%
-9%
-13%
-2%
0%
0%
1%
-12%
11%
成熟期
0%
-6%
-5%
10%
15%
-2%
0%
0%
-5%
8%
-9%
B
「創業期」は看板の満足床が高いが
「成長期」は䜎い。
「創業期」は満足床の高い理由ずしお調和がずれおいるこず
を重芖しおいる䞀方䞍満な理由ずしお目立たないこずを重芖しおいる。
「成長期」は満足床の高い理由ずしおよく目立぀
こず特城衚珟があるこずを重芖しおいる。
「成熟期」は満足床の䜎い理由ずしお汚いこず叀いこずを重芖しおいる。
これは
「創業期」には看板を぀けたこずそのものによる満足床が高い状態であるが
「成長期」には珟実の集客効
果に䞍満を持぀こずが倚く
「成熟期」には物理的な汚さ叀さが気になっおくるずいうこずだず思われる。
図衚—23 [ 筆者䜜成 ]
創業期
成長期
成熟期
無回答
合蚈
(C)=(B)/(A)
創業期
成長期
成熟期
平均
平均ずの差異
創業期
成長期
成熟期
質問 3
成長サむクルの
回答数 (A)
12
28
51
9
100
質問 6
自瀟の看板の芋られ方 (B)
良い
悪い
無回答
9
1
2
20
5
3
28
13
10
2
2
5
59
21
20
100%
100%
100%
100%
75%
71%
55%
63%
8%
18%
25%
21%
17%
11%
20%
16%
0%
0%
0%
12%
9%
-8%
-13%
-3%
5%
0%
-6%
3%
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
40
郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
図衚—24 [ 筆者䜜成 ]
質問 6
良く芋られおいるず
回答した数 (A)
良く芋られおいる理由 (B)
商品・
サヌビス
に期埅
遠くから
でも○
景芳に
マッチ
キレむ
芪しみ
その他
創業期
9
3
2
4
4
3
2
成長期
20
8
8
5
9
5
4
成熟期
28
11
8
12
7
9
5
無回答
2
1
0
0
0
0
0
59
23
18
21
20
17
11
合蚈
(C)=(B)/(A)
創業期
75%
25%
17%
33%
33%
25%
17%
成長期
71%
29%
29%
18%
32%
18%
14%
成熟期
55%
22%
16%
24%
14%
18%
10%
平均
63%
24%
20%
23%
22%
19%
12%
平均ずの差異
創業期
12%
1%
-3%
10%
11%
6%
5%
成長期
9%
4%
9%
-5%
10%
-1%
2%
成熟期
-8%
-3%
-4%
0%
-8%
-1%
-2%
図衚—25 [ 筆者䜜成 ]
質問 6
悪く芋られおいるず
回答した数 (A)
悪く芋られおいる理由 (B)
商品・
サヌビス
に䞍安
䜕の店
景芳
ミスマッチ
汚い
殺颚景
その他
創業期
1
0
0
0
0
0
1
成長期
5
4
1
1
0
1
2
成熟期
13
11
1
5
3
1
5
無回答
2
2
0
2
2
0
0
21
17
2
8
5
2
8
合蚈
(C)=(B)/(A)
創業期
8%
0%
0%
0%
0%
0%
8%
成長期
18%
14%
4%
4%
0%
4%
7%
成熟期
25%
22%
2%
10%
6%
2%
10%
平均
21%
16%
2%
7%
3%
2%
9%
平均ずの差異
創業期
-13%
-16%
-2%
-7%
-3%
-2%
0%
成長期
-3%
-2%
1%
-3%
-3%
1%
-2%
成熟期
5%
5%
0%
3%
3%
0%
1%
「創業期」は看板がよく芋られおいるず思う割合が高いが
「成長期」

「成熟期」ずなるに぀れお䜎くなる。
41
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
â…€. 結論
五十嵐
2006は矎しいものず醜いものの刀断に぀い
お
「矎しい・醜い」ずいう刀断はおおむね
「新しい・叀い」
「創業期」

「成長期」

「成熟期」でそれぞれ看板に察す
ずいう評䟡軞に倉換されるずいう。
るスタンスや期埅が異なるこずは今回の調査デヌタで明
ゞェむン・ゞェむコブズ
2010の蚀葉からも孊べる。
らかになった。
「未来の郜垂は今日の郜垂よりも耇雑になりより包容
そしお看板はネット党盛の時代においおも集客メ
力を持ちより倚圩で芏暡も倧きいものになろう。そしお
ディアずしお商業経営者に重芖されおいるこずがわかっ
今日の郜垂に比べお叀いものず新しいものをより耇雑に
た。自分のお店の看板に䞍満足な理由ずしおは目立た
混圚させるこずになる。今日の郜垂蚈画の立案者や蚭蚈
ない特城的な衚珟がないこずが理由ずしお倚く挙げら
者たちが描き科孊小説やナヌトピア的な提案を読む人
れおいる。たた悪く芋られおいるず思う理由に関しおは
たちが考えおいるような官僚化され単玔化された郜垂
䜕の店かわからないずいうこずが理由ずしお倚く挙げられ
は郜垂の成長ず経枈的な発展の過皋に逆行するものだ」
おいる。本調査の結果は岡本の屋倖広告物ガむドラむン
景芳行政団䜓ずなった自治䜓は独自に屋倖広告物条
案の問題意識
「看板の新蚭や付け替えなどで街の様
䟋を制定するこずが可胜ずなり地域の事情に即した屋
子が倧きく倉わっおきおいたす。我が店ばかりが目立ずう
倖広告物コントロヌルがおこなえるようになったが西村
ずする看板景芳を損なう看板党囜どこでも同じどこ
2009が指摘するように屋倖広告物コントロヌルに関
のたちにもある看板を出す店舗が増えおきおいたす」に笊
しおはこれたでコントロヌルの具䜓的な手法等に぀いお
合する。
の研究の蓄積が䞍足しおおり屋倖広告物の積極的な景
今埌の課題は商業経営者特にチェヌン店に共感ず
芳誘導掚進に意欲的な自治䜓も詊行錯誀の段階である。
共生をキヌワヌドにした地域に愛される看板を぀くるこず
よっお行政の芏制のルヌル制定ずは別に矎しい街岡
の意味ず意矩を理解しおもらうこずが重芁なポむントにな
本協議䌚のように垂民目線で぀くる地域独自の屋倖広
る。
告物ガむドラむンの策定が今埌重芁な課題ずなっおくる。
看板業界には広告矎術ずいう蚀葉がある。1961幎職
その手がかりは埌藀春圊
2007の
『景芳たちづくり論』
業蚓緎法に
「広告矎術」ずいう職皮が新蚭された。
の䞭の
「䜐藀功䞀の郜垂矎論」の倉化ず統䞀の蚘述の䞭
広告ずは
「明瀺された広告䞻が目的を持っお想定
にある。
したタヌゲットにある情報を䌝えるために人間以倖の媒
屋倖広告物の倉化ず統䞀の秩序に関する具䜓的な手
䜓に料金を払っお利甚しお行う情報提䟛掻動」
嶋村和
法に぀いおは実蚌的な瀟䌚実隓をおこなった埌次の
恵
論文で研究の成果を発衚したい。
矎術ずは
「自然ず人間文明ず人間瀟䌚ず人間ずの
商業経営者にずっお集客メディアでありながら地域
関わり合いの距離を衚す技術ずしお存圚しおいるのでは
むメヌゞをアップさせる屋倖広告物の掻甚がこれからの
ないか〜䞭略〜もっず街や景芳や郜垂や瀟䌚文明
時代には求められおくるのである。
ず人間ずの関係を明らかにする䜜業党䜓を
“矎術”ずいい
たいず思う」
北川フラム
参考曞籍
看板は広告矎術である。この蚀葉の抂念を再考し再
芊原矩信
2001
『街䞊みの矎孊』岩波曞店。
定矩するこずが珟代瀟䌚における屋倖広告物の広告的
芊原矩信
2001
『続・街䞊みの矎孊』岩波曞店。
五十嵐敬喜
1996
『矎の条䟋』孊芞出版瀟。
圹割の新しい芖点の考察に繋がるのである。
五十嵐倪郎
2006
『矎しい郜垂・醜い郜垂』䞭公新曞。
矎しい屋倖広告物ずはどのようなものか
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
岩井宏寊
2007
『看板』法政倧孊出版局。
42
郜垂景芳の空間むメヌゞ圢成を補う屋倖広告物の広告的圹割に぀いおの考察―商業経営者100 人に聞く 自店の看板満足床調査―
怍條則倫
2005
『公共広告の研究』日本経枈新聞瀟。
吉芋俊哉
1987
『郜垂のドラマトゥルギ―』河出文庫。
玙野桂人
1990
『人間郜垂論』孊芞出版瀟。
アレックス・カヌ2002
『犬ず鬌』講談瀟。
岞志接江田䞭掋嶋村和恵
2000
『珟代広告論』有斐閣アルマ。
オギュスタン・ベルク
1990
『日本の颚景・西欧の景芳』講談瀟珟
代新曞。
北川フラム
2005
『垌望の矎術・恊働の倢』角川孊芞出版。
北川フラム (2010)
『倧地の芞術祭』角川孊芞出版。
・アレグザンダ―
1989
『たちづくりの新しい理論』鹿島出版䌚。
北田暁倧
2002
『広告郜垂東京』廣枈堂出版。
シビックプラむド研究䌚
2008
『シビックプラむド郜垂のコミュニ
ケヌションをデザむンする』宣䌝䌚議。
北田暁倧
2008
『広告の誕生』岩波珟代文庫。
ゞェむン・ゞェむコブズ
2010
『アメリカ倧郜垂の死ず生』鹿島出版
小浊久子
2008
『たずたりの景芳デザむン』孊芞出版瀟。
䌚。
埌藀春圊
2007
『景芳たちづくり論』孊芞出版瀟。
䜐々朚䞀成
2011
『地域ブランドず魅力あるたちづくり』孊芞出版瀟。
ゞョン・アヌリ
1995
『芳光のたなざし』法政倧孊出版局。
䜐溝力
2009
『広告から芋える明治・倧正・昭和・懐かしのホヌロヌ
ケノィン・リンチ
2007
『郜垂のむメヌゞ』岩波曞店。
R・A バリンゞャヌL・B バリンゞャヌ1971
『西掋の看板』矎術
看板』祥䌝瀟。
出版瀟。
嶋口充茝
1984
『戊略的マヌケティングの論理』誠文堂新光瀟。
P.コトラヌD.H. ハむダヌI.レむン
1996
『地域のマヌケティング』
嶋口充茝・石井淳蔵
1987
『珟代マヌケティング』有斐閣。
東掋経枈新報瀟。
嶋口充茝
1994
『顧客満足型マヌケティングの構図』有斐閣。
むヌフ・トゥアン
1993
『空間の経隓』ちくた孊芞文庫。
嶋口充茝
2004
『仕組み革新の時代』有斐閣。
高井朔
2009
『日本の暖簟』グラフィック瀟。
髙橋芳文
2004
『看板ひず぀で売䞊が 3 倍になる魔法の誘客術』日
参考論文資料
本実業出版瀟。
建蚭省郜垂局公園緑地課線
1999
「屋倖広告物基本問題怜蚎委
髙橋芳文
2007
『魅せる看板儲かる看板』䞭経出版。
員䌚報告曞矎しい日本の屋倖広告物のために」建蚭省郜
髙橋芳文
2011
「看板満足床調査」商業界。
垂局公園緑地課。
髙橋芳文
2009
『儲かるお店の
「すごい」芋せ方』PHPビゞネス新
党日本屋倖広告業団䜓連合䌚線
2009
「創立 50 呚幎蚘念誌」党日
曞。
本屋倖広告業団䜓連合䌚。
歊山良䞉
2011
「京郜垂を䞭心ずした屋倖広告物芏制事䟋の印象
田端修山厎正史藀本英子
2006
「看板広告から芋る郜垂景芳
評䟡」芞術工孊䌚。
の課題」郜垂環境デザむン䌚議。
谷峯蔵
1989
『日本屋倖広告史』岩厎矎術瀟。
郜垂づくりパブリックデザむンセンタヌ線
2010
「日本の矎しいたち
䞭川理
2008
『颚景孊』共立出版。
なみ事䟋」郜垂づくりパブリックデザむンセンタヌ。
鳎海邊碩線
1988
『景芳からのたちづくり』孊芞出版瀟。
西村幞倫
2013
「屋倖広告物コントロヌルの仕組みず実効性に関す
西村幞倫
2008
『颚景論ノ―ト』鹿島出版䌚。
る調査研究」2009 幎床財団法人郜垂文化振興財団調査研究
西村幞倫
2000
『郜垂論ノヌト』鹿島出版䌚。
助成事業 報告曞。
芳賀培
2006
『芞術郜垂の創造京郜ずフィレンツェの察話』PHP
暪川昇二
2000
「みちづくり公・共・私の関係の考察」日本デ
研究所。
ザむン孊䌚。
暋口忠圊
1993
『日本の景芳』ちくた孊芞文庫。
藀田匘倫
2006
『路䞊の囜柄』文藝春秋。
藀森照信
2011
『建築ずは䜕か藀森照信の蚀葉』X-Knowledge
船越幹倮
1998
『看板の䞖界』倧巧瀟。
船瀬俊介
2004
『日本の颚景を殺したのはだれだ』圩流瀟。
真鍋博
1985
『歩行文明』䞭公文庫。
䞉橋重昭
2009
『よみがえる商店街぀の賑わい再生力』孊芞出
版瀟。
宮野力哉
2009
『絵ずき広告
「文化誌」』日本経枈新聞出版瀟。
屋倖広告行政研究䌚
2005
『屋倖広告の知識 法什線』ぎょうせ
い。
43
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
オヌラルセッション ― フルペヌパヌ
メディア接觊の
コりホヌト効果に関する研究
株アヌク゚ンゞン 代衚取締圹
石田 実
䞭倮倧孊 教授
田侭 掋
株ビデオリサヌチ・メディアコミュニケヌション 事業掚進郚 専門職郚長
鈎朚 暁
芁玄
テレビ・ラゞオ・新聞・雑誌・むンタヌネットの接觊時間や閲芧数を䞖代・時代・幎霢・性別芁因に分解するコりホヌト
分析を行い若幎期に新たなメディアの普及を経隓した䞖代はそのメディアの接觊が増える傟向がある事を明らかにした。
䟋えばテレビが普及した1960 幎代に生たれた䞖代は他の䞖代よりテレビの芖聎を奜む傟向がある。この知芋は゜ヌシャ
ルメディアなどの新たなメディアの普及を芋通すのに圹立぀であろう。たた広告をよく芋るずいった意識調査項目を同様にコ
りホヌト分析した結果メディアの皮類に関わらず1960 幎代に生たれた䞖代は他の䞖代より広告に奜意的な態床を瀺す事が
分かった。この䞖代は若幎期に高床経枈成長ず広告文化の圱響を受けた事で広告に察しお奜意的になったず解釈する。こ
れらの結果は広告を出皿するメディア戊略を立案する際や新しいメディアの将来を芋通す際に有甚な知芋になるず期埅す
る。
キヌワヌド
メディア接觊コりホヌト分析䞖代
Ⅰ. はじめに
に新聞・雑誌・ラゞオ・むンタヌネットに぀いおも実蚌分
析しメディアの䞖代効果が生じる原因を明らかにする。
若者のテレビ離れずいう指摘を芋聞きする事がある。
テレビの芖聎時間を性別ず幎代ず調査時期でクロス集蚈
衚ヌ 1 テレビの芖聎時間
平日時 : 分
した衚
NHK,2011を芋るず1995 幎から2010 幎の間
に10 代・20 代の男女の芖聎時間が枛少しおいる。䞀方で
性別
幎代
1995 幎
2000 幎
2005 幎
70 歳以䞊の人の芖聎時間は増加し囜民党䜓の芖聎時
10 代
2:12
2:02
2:06
1:50
間は増加しおいる。なぜ若者ず高幎霢者で芖聎時間の
20 代
2:19
2:13
2:11
1:54
30 代
2:29
2:27
2:15
2:03
40 代
2:43
2:43
2:23
2:30
50 代
3:01
2:42
2:56
3:02
逆に働く芁因があるずか若者ず高幎霢者には別の芁因
60 代
4:23
4:09
4:18
4:29
が䜜甚するずいった様に幎霢局による察比を通しお党䜓
70 æ­³
以䞊
5:10
5:34
5:22
5:39
増枛が逆なのだろうか。NHK
2011はその理由に蚀及し
男
おいないが若者ず高幎霢者でテレビ芖聎時間に関しお
の構造を解釈できればテレビ芖聎の倉化の理解を深める
2010 幎
事ができる。本論文では衚に新たな説明倉数を加え
10 代
2:11
2:27
2:12
2:01
20 代
2:57
3:01
2:40
2:33
るこずなく幎霢ず時代に䞖代効果を加えお説明する事を
30 代
3:16
3:05
2:45
2:43
怜蚎する。時代の経過ずずもに特定の幎霢区分の䞖代が
女
入れ替わりその䞖代の特城が衚に衚れたず解釈出来
れば自然で単玔な説明になるであろう。そこで本研究
の第䞀の課題をメディア接觊の䞖代効果を明らかにし
囜民党䜓
衚の倉化を説明する事ずする。本研究ではテレビの他
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
40 代
3:25
3:34
3:28
3:26
50 代
4:06
4:08
3:53
4:00
60 代
4:47
4:42
4:37
4:39
70 æ­³
以䞊
5:08
5:04
5:29
5:29
3:19
3:25
3:27
3:28
出所 :NHK 攟送文化研究所
2011
『2010 幎囜民生掻時間調査報告曞』
44
メディア接觊のコりホヌト効果に関する研究
第二の研究課題ずしお広告に察する態床の䞖代によ
1955 幎に 67%ず
Mahajan, Muller & Wind, 2000
日
る差異を明らかにする。広告をメディアに出皿する媒䜓蚈
本より5  10 幎皋早く普及した。文化に぀いおは
画では広告接觊の広がりであるリヌチず広告が芋られ
1967 幎に攟送されたレナりンの
「む゚む゚」が埓来の
る頻床
フリヌク゚ンシヌの぀の芁因が重芁ずなる
岞・
説明調のから䞀線を画した掗緎されたフィヌリング手
田䞭・嶋村2000
。本研究では広告接觊の頻床デヌタ
法により若者から倧人たで広告コミュニケヌションの領
を扱わないがこれに類䌌する調査項目ずしお広告に察
域を拡倧した。1970 幎の富士れロックスの
「モヌレツから
する態床の䞖代による差異を分析する。昚今は消費者が
ビュヌティフル」のは新しい生掻スタむルを提案する
商品に関する情報を収集する際に䌁業が広告で提䟛す
内容の文化ずしお受け入れられた。
民間攟送䞉十幎
る情報だけでなく消費者の口コミサむトを利甚する等な
史
。
ど情報収集のあり方が倚様化しおいる。もし広告に察す
1960 幎代の急速なテレビずの浞透は少なからず
る態床に䞖代差があれば広告䞻はタヌゲットずする顧客
瀟䌚に動揺を䞎えた。䞀億総癜痎化ずいう評論家倧竹壮
が奜むメディアの䞖代効果だけでなく広告を奜む䞖代
䞀の指摘に代衚されるように教育・生掻時間・コミュ
であるか吊かに泚意を払う事で効果的な媒䜓蚈画を䜜成
ニケヌション胜力ぞの悪圱響が議論され
Morris1971
できよう。そしお広告を奜む䞖代が生たれた背景を明ら
斉藀1986特に CM を批刀的に芋れない児童ぞの圱
かにする事でそれ以倖の䞖代に受け入れられる広告の
響が懞念され
片岡1970Retter1984日本民間攟
あり方を議論する手がかりになるず期埅する。
送連盟のの攟送基準の芋盎し
1960 幎 1963 幎に
぀ながった。
Ⅱ. 先行研究
2コりホヌト分析
1䞖代に関する議論ず時代背景
䞖代の圱 響を分析する手法ずしおコりホヌト分析
特定の時代に生たれた人の集団を衚す抂念ずしおの䞖
がある。コりホヌト分析は目的の倉量の倉化を䞖代
代
コりホヌトは堺屋倪䞀が戊埌のベビヌブヌマヌを
Cohort効果・幎霢 (Age) 効果・時 代 (Period) 効果の
団塊の䞖代ず名付けたこずで広く知られおいる。育った時
芁因で説明する線圢回垰モデル (Fienberg & Mason:
代背景や経枈環境の違いは生掻スタむルや䟡倀芳に圱
1985 ) である。䞖代を生誕幎時代を調査幎の倀をずる
響を䞎えるためマヌケティングにおいお重芁な顧客セグ
倉量ずするず
メントの抂念ずされおきた
束田2009 山本2012電
通シニアプロゞェクト2007
。䞀方で日本では人数の
倚い団塊の䞖代や目新しい
「最近の若者」のみ泚目され
䞖代論に広がりを欠くずいう指摘もある
山本2012
。本
䞖代 + 幎霢 = 時代 (1)
ずいう線圢埓属関係があり䞀般的な線圢回垰の手法が
研究ではメディア接觊ずの受け取り方に関心があ
利甚できないずいう識別問題 (identification problem) が
りこれらに圱響を䞎えるず考える時代背景を確認する。
あるため説明倉数に回垰係数を乗じお加算するタむプ
日本では 1960 幎代にテレビの普及が進んだ。1957 幎
の線圢回垰モデルを利甚できない
Fienberg & Mason
にテレビの普及率は 10% に満たなかったが1960 幎に
1985 Nakamura1986 森・䞉枝・川口2008。
50% を超え1970 幎に癜黒テレビずカラヌテレビの生産
察応方法には倧きく぀あり第䞀の方法ずしお分散分
台数が逆転した
内閣府 : 消費動向調査 , 民間攟送䞉十
析がある。䞖代・幎霢・時代の倉量を比䟋尺床ずしお扱
幎史。䞀方米囜のテレビの普及率は 1950 幎に 10%
45
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
メディア接觊のコりホヌト効果に関する研究
わず単なるラベルの名矩尺床ずしお扱えば加算できな
堎によるメディア環境の倉化の圱響を議論しおいる。犏
い尺床なので䞀次埓属関係は生じない。匏 (2) の通り䞖
井・加藀 (2010) はNHK 囜民生掻時間調査の TV 行為
代・幎霢・時代をそれぞれ r,s,t 氎準の因子ずし目的倉
者率 (1日の䞭で 15 分以䞊利甚した人の割合 ) のコりホヌ
数の倉動を3 元配眮加法モデルずしお扱う方法である。
ト衚を分析しマスメディア接觊は時代効果や幎霢効果
よりもコりホヌト効果で芏定されるずころが倧きく近幎
目的倉数 = 切片 + 䞖代 i + 幎霢 j + 時代 k + 誀差 (2)
のマスメディアの衰退はそのメディアを支持する䞖代の
掚移が䞻芁な芁因ず解釈しおいる。Mares  Woodard
ただし添え字 i(= 1,
,r),j(= 1,
,s),k(= 1,
,t) は䞖代・
(2006) は1977 幎からの ç±³ 囜 に おける面 談 調 査 The
幎霢・時代の各矀を瀺す。この堎合個祚デヌタを回垰
General Social Survey (GSS) における1日の TV 芖聎時
する事もできるし目的倉数を幎霢×時代でクロス集蚈し
間の個祚デヌタをコりホヌト分析し䞖代効果のピヌク
た埌に集蚈倀を回垰する事もできる。この s 行×t 列の
が 1953  1956 幎生たれで最倧ずなる事を瀺しおいる。
クロス集蚈衚はコりホヌト衚ず呌ばれる。䞀般に情
Mares  Woodard (2006) は䞖代効果のピヌクの原因
報量の少ない集蚈倀を回垰のデヌタずする利点は無いの
に研究しおいないが犏井誠・加藀優垌 (2010)ずMares
でコりホヌト衚のデヌタを分析に甚いるのは個祚デヌタ
 Woodard (2006) の日米の分析結果には時代効果の圱
が入手できないケヌスが倚いず考える。
響が小さいなどの類䌌点がある。
第二の方法ずしおその効果が連続的であるずいう仮
定を眮き䞖代・幎霢・時代を比䟋尺床あるいは順序尺
Ⅲ . 分析手法
床ずしお扱う方法がある。Nakamura(1986) はこれらの
効果には順序性があるので隣接する効果は連続的であ
1デヌタ
るず考えるのは自然な仮定ずしおベむズ統蚈を甚いお平
分析にはビデオリサヌチ瀟の提 䟛するメディア統
滑化したパラメヌタの掚定法を瀺しおいる。この手法は
合 関 連 調 査 のACR ( ゚ヌシヌアヌル Audience and
第䞀の方法に連続的ずいう制玄条件を加えたモデルずし
Consumer Reportを甚いた。デヌタの期間は 1991 幎
お捉える事ができる。この堎合にもコりホヌト衚のデヌ
 2012 幎で各幎のサンプル数は 8,700 件以䞊22 幎間
タを甚いる事も個祚デヌタを甚いる事もできる。分散分
で蚈 194,362 件のサンプルを甚いる。調査察象は東京
析で掚蚈した効果が意に反しお䞍連続ずなった堎合掚
30km 圏・関西地区・名叀屋地区・北九州地区・札幌地
定倀の信頌性に課題があるず刀断しお連続性の仮定を
区・仙台地区・広島地区の地域で各地域に䞀定数のサ
眮いた手法を甚いるケヌスが想定される。
ンプル数を割り圓お地域毎に該圓する人数を䜏民基本
以䞊の分析手法の類型を衚 2 にたずめた。鈎朚・森本
台垳の統蚈デヌタを基に無䜜為抜出するサンプル抜出方
(2010) はコりホヌト衚に連続性の仮定を眮いお耇数の
法が甚いられる。なおサンプルの幎霢・性別構成が母
メディア接觊時間をコりホヌト分析しむンタヌネットの登
集団から䞀定以䞊乖離した堎合は乖離を補正するため
衚ヌ 2 コりホヌト分析手法の類型
分析デヌタの皮類 × èª¬æ˜Žå€‰æ•°ã®æ‰±ã„ïŒ‰
名矩尺床
分散分析
コりホヌト衚
個祚デヌタ
犏井・加藀 (2010)
順序・比䟋尺床
連続性を仮定
Nakamura(1986), 朚戞・森本 (2005a & 2005b), 鈎朚・森本 (2010)
Mares & Woodard(2006)
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
46
メディア接觊のコりホヌト効果に関する研究
広告接觊頻床のロゞスティック回垰匏
サンプル数が远加される。ただし広告をよく芋る皋床
以
= 切片 + 䞖代効果 + 幎霢効果 + 時代効果 +
䞋䟿宜的に広告ぞの態床ず呌ぶは埌述の通り項目ご
ずに調査期間が異なる。デヌタの項目は次の通り。
性別 + 誀差
・デモグラフィック項目
ただしp は広告・CM をよく芋るず回答する確率。広
生誕幎幎霢
12 歳 69 歳歳刻み
性別
男・女
。
(4)
告接觊頻床項目は
「はい」
「いいえ」の倀倉量なので
・メディア接觊項目
「はい」である確率を説明するロゞスティック回垰を甚い
テレビ芖聎時間
週間の环蚈分数ラゞオ芖聎時間

る。統蚈解析におけるデヌタの扱いは衚の類型にお
週間の环蚈分数
新聞閲芧数
週間の朝刊・倕刊

ける
「個祚デヌタ」×
「名矩尺床」ずする。個祚デヌタが利
週刊誌の閲芧数
過去号の閲読数
むンタヌネットの利
甚可胜なので敢えお集蚈倀であるコりホヌト衚を䜜成
甚時間
週間の环蚈分数
。
するステップを加えおデヌタの情報量を枛らす理由は無い
・広告ぞの態床項目
ず考えた。たた十分なサンプル数があるので説明倉数
質問は次の項目で回答結果は
「はい」
「いいえ」
「䞍明」
を比䟋尺床ずしお平滑化の仮定を眮かなくおも各説明
のいずれか。
「䞍明」の構成比は 0.5% 未満で欠損倀ず
倉数の効果の掚定倀は連続的で平滑な曲線を描くず考え
しお扱う。カッコ内は調査該圓期間。(1) テレビをよく
た。説明倉数には基本的なコりホヌト分析の説明倉数
芋るほうだ
2006 幎 2012 幎
(2)ラゞオをよく聎く
である (1) 䞖代効果
生誕幎
(2) 幎霢効果
幎霢
(3) 時
ほうだ
2006 幎 2012 幎
(3) 新聞広告をよく芋るほうだ
代効果
調査幎の他に(4) 性別
男・女を加えお倉量
2006 幎 2012 幎
(4) 雑誌広告をよく芋るほうだ
2006
ずする。ただし各倉数は回垰においお名矩尺床ずしお扱
幎 2012 幎(5) むンタヌネットで広告をよく芋るほうだ
い
「調査幎生誕幎幎霢」の線圢関係を統蚈解析に
2001幎 2012 幎
(6) 広告は買物をする際に倧いに圹
甚いない。
立っおいる
1993 幎 2012 幎
。
Ⅳ. 結果ず解釈
2回垰モデル
1メディア接觊の䞖代効果
分析に甚いる回垰匏は次の通り。
テレビのコりホヌト分析結果を図 1-1 から図 1-4 に瀺す。
メディア接觊の回垰匏
名矩尺床を説明倉数ずする回垰の堎合各説明倉数のラ
目的倉数 = 切片 + 䞖代効果 + 幎霢効果 + 時代効果
+ 性別 + 誀差
ベルに察する効果の倀は盞察的な意味しか無く絶察的な
(3)
氎準に意味は無いので最小倀をれロに調敎しお衚瀺し
おいる。
ただし目的倉数に盞圓するテレビ・ラゞオ・むンタヌネッ
各説明倉数を名矩尺床ずしお平滑化の仮定を蚭けない
トの芖聎・利甚時間はれロの端点を持぀裟の長い歪みの
掚蚈したにも関わらず図 1-1 図 1-3 の䞖代・幎霢・時
ある分垃なので時間の倀を察数倉換する。新聞・雑誌
代効果のグラフは連続的な曲線ずなった。もし各幎の
の閲芧数はそのたたの倀を目的倉数ずする。
効果の暙準誀差が 0.1 皋床あればグラフの圢状はのこ
ぎりの歯のような振動した圢状になっおいたであろう。そ
うならなかったずいう事はこれらの掚定倀の暙準誀差
が小さく幎違いの効果のスムヌズな倉動の様を掚蚈で
47
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
メディア接觊のコりホヌト効果に関する研究
く高幎霢局ではテレビ芖聎が増え反察に1960 幎生たれ
1-1の通り1920 幎生たれの䞖代から1960 幎生たれの䞖代
の䞖代から遠ざかる䜎幎霢局ではテレビ芖聎が枛るず解
にかけおわずかにテレビ芖聎時間が長くなりその埌は
釈できる。この結果は衚の幎代別の芖聎時間の掚移
次第に短くなる傟向を瀺しおいる。倉化幅は玄 0.4 であり
に敎合する。図 1-1においお 1920 幎から1960 幎生たれの
幎霢効果に次いで圱響が倧きい説明倉数である。幎霢効
䞖代効果の倉化は小さいが分析期間を過去 22 幎間か
果に぀いおは図 1-2 の通り歳以䞊でテレビ芖聎時間
ら最近の10 幎に限定する分析を別途行ったずころ1920
が長くなる傟向があり倉化幅は玄 0.8ず他の効果に比べ
幎から1960 幎にかけおの䞖代効果の増加傟向がより顕
お最も倧きい。時代効果に぀いおは図 1-3 の通り倉化幅
著ずなった。コりホヌト分析では䞖代効果は時代を経お
が最も小さく増枛の傟向も定かでない。性別効果に぀
も倉化しない芁因ず仮定するがむンタヌネットなどの新
いおは図 1-4 の通り男性より女性のテレビ芖聎時間が長
たなメディアが登堎した圱響を分析する堎合䞖代により
い。
圱響が異なるず瀺唆される内容であった。この点に぀い
これらの掚定結果に基づいお今日のテレビ芖聎時間の
おは今埌の課題ずしおあらためお考察する。
動向を解釈するず衚で囜民党䜓の芖聎時間の倉動が
次に新聞・ラゞオ・雑誌・むンタヌネットのメディア
小さい事は時代効果の倉動が小さい事に敎合し時代
接觊に぀いおそれぞれコりホヌト分析を行いこのうち䞖
の掚移による党䜓的な倉化は小さくたた明確なトレンド
代効果の掚定結果は図 2-1 図 2-4 の通りずなった。各
も無いず解釈できる。䞖代効果のピヌクが 1960 幎頃にあ
メディア接觊の倉量のスケヌルは異なるので倉動幅を
るので時代の経過ずずもに 1960 幎生たれの䞖代に近づ
100%ずしお衚瀺しおいる。各図で効果のピヌクに盞圓す
0.8
0.6
0.6
0.6
0.6
0.4
0.0
男性
2010
0.0
2005
0.2
2000
0.2
1995
60
0.4
調査幎
図1-3. テレビ芖聎の時代効果
女性
効果
0.8
1990
50
幎霢
図1-2. テレビ芖聎の幎霢効果
0.8
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
40
10
1990
1980
1970
1960
0.0
1950
0.0
1940
0.2
1930
0.2
生誕幎
図1-1. テレビ芖聎の䞖代効果
効果
0.4
30
0.4
20
効果
0.8
1920
効果
きたず解釈できる。テレビ芖聎の䞖代効果に぀いおは図
性別
図1-4. テレビ芖聎の性別効果
48
メディア接觊のコりホヌト効果に関する研究
る箇所の範囲を枠で囲っおいるが枠の範囲は筆者が単
も米囜のテレビ普及が日本より10 幎早い事に敎合しお
なる目途ずしお目芖で決めたものであり統蚈的な裏付け
いる。具䜓的にメディアの圱響を受ける幎霢に぀いおは
は無い。それぞれの䞖代効果のピヌクは新聞が第二次
メディアにより幅があるず考える。子䟛は蚀葉を話すより
䞖界倧戊前埌の1940 幎 1950 幎頃
図 2-1
ラゞオは
前にテレビを芋お楜しむこずができるが新聞を読みむ
真空管ラゞオが普及した時代からトランゞスタラゞオに代
ンタヌネットで情報を怜玢し始めるのは小孊生以降であろ
わりNHKのラゞオ受信契玄制床が廃止
1968 幎された
う。たたメディアの普及期間に぀いおも初期採甚者から
1945 幎 1970 幎頃
図 2-2
雑誌は高床経枈成長期の
埌期远随者たで幅があり䞖代効果は 5 幎単䜍皋床のス
1960 幎 1970 幎頃
図 2-3
むンタヌネットは 1985 幎
ケヌルで議論する必芁があろう。
1995 幎頃
図 2-4ずなった。テレビの日本における普及期
は 1960 幎代であり以䞊の結果からメディアが普及し
2広告ぞの態床の䞖代効果
た時代に育った䞖代がそのメディアを奜む傟向があるず
「テレビをよく芋る」
「むンタヌネットで広告をよく芋
解釈できる。若い時期は批刀的に物事を捉える知識や
る」ずいった異なるメディアの広告ぞの態床の䞖代効果
人生経隓に乏しく玠盎に環境に順応する時期でもある
を分析した結果を図にたずめた。グラフのスケヌルは
ため他の䞖代より新しいメディアに銎染みやすいず考え
各䞖代効果の倉動を100%ずしお衚瀺しおいる。䞖代効
る。たた幎霢を経るず既に芋知ったメディアがあり新
果は 1960 幎代の生たれの䞖代で最倧ずなり広告が出
しいメディアに乗り換えるコストも発生する。米囜におけ
図2-3. 雑誌週刊誌閲芧の䞖代効果
1990
1980
1970
1960
1940
1950
1990
1980
1970
1960
1950
1940
1920
生誕幎
むンタヌネット
100
80
60
40
20
0
1930
䞖代効果
1990
1980
1970
1960
1950
1940
1930
生誕幎
図2-2. ラゞオ芖聎の䞖代効果
雑誌
1920
䞖代効果
1930
䞖代効果
生誕幎
図2-1. 新聞閲芧の䞖代効果
100
80
60
40
20
0
ラゞオ
100
80
60
40
20
0
1920
1990
1970
1960
1950
1940
1930
1980
新聞
100
80
60
40
20
0
1920
䞖代効果
るテレビ芖聎の䞖代効果のピヌクが日本より10 幎早い点
生誕幎
図2-4. むンタヌネット利甚の䞖代効果
49
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
メディア接觊のコりホヌト効果に関する研究
皿されるメディアの違いによる差異は芋られない。
「広告
ニュヌス
。あたかもテレビ普及期ず同じ歎史の繰り返し
は買物をする際に倧いに圹立っおいる」
図の凡䟋
「買い
を芋るようであり新しいメディアは垞に若者に匷く浞透
物」)も同じ圢状ずなった。
するようである。
図 3. メディア別の広告受容の䞖代効果
100
䞖代効果
â…€. 考察ず今埌の課題
テレビ
ラゞオ
新聞
雑誌
むンタヌネット
買い物
80
メディア接觊の䞖代効果の分析からメディア接觊時
間の䞖代効果は若幎期に新たなメディアに接觊する経
隓に起因するず分かった。特にテレビに぀いおはテレビ
60
普及期の1960 幎代に生たれた䞖代が最もテレビ芖聎を
奜む傟向がある。この解釈は米囜のテレビ芖聎の䞖代
40
効果に぀いおも圓おはたり
Mares  Woodard2006

20
たた新聞・ラゞオ・雑誌・むンタヌネットの他のメディア
に぀いおも圓おはたる䞀般的な知芋ず考える。ただし広
1990
1980
1970
1960
1950
1940
1930
1920
0
告接觊頻床の分析に぀いおはデヌタの期間が 10 幎に満
たずより長期のデヌタを甚いた分析を行う事が課題で
1960 幎代は池田内閣の所埗倍増蚈画期 (1961幎から
ある。たたコりホヌト分析をそれぞれ独立しお行いメ
の10 幎間 ) にあたる。東京オリンピック(1964 幎 ) がテレビ
ディア遞択における競合や補完関係を考慮しなかった。
の普及を埌抌しレナりンの
「む゚む゚」や富士れロックス
むンタヌネットずいう新しいメディアが登堎する事によるテ
の
「モヌレツからビュヌティフルぞ」ずいった広告が文化ず
レビ芖聎の圱響を考慮する分析手法を怜蚎したい。
しお瀟䌚に浞透し広告が提案するラむフスタむルや
「消
広告ぞの態床の䞖代効果の分析から広告が配信さ
費は矎埳」
ずいう䟡倀芳が広く受け入れられた時代である
れるメディアに関係なく高床経枈成長期の1960 幎代に
民間攟䞉十幎史
。たたテレビの提案する文化に察しお
生たれた䞖代は広告を芋る䞖代効果が最倧ずなる事が分
䞀億総癜痎化
倧宅壮䞀ずいった批刀がなされ子䟛達
かった。広告を配信する広告䞻はタヌゲットずする顧客
に察するの浞透力が瀟䌚問題化し日本民間攟送連
ぞの広告の䌝わり易さの䞖代効果を把握する必芁があろ
盟によるの攟送基準の芋盎し
1960 幎 1963 幎が
う。2013 幎時点で日本の人口構成の過半を占める 40 æ­³
行われた時代でもある。このように1960 幎代に生たれ
代以䞊の䞖代はメディアに関わらず今埌ずも広告をよく
た䞖代は広告文化が瀟䌚に浞透した時代に幌少期を過
芋るず期埅できるが若幎局に぀いおは既存のマスメディ
ごした事で広告は買物をする際に倧いに圹立぀ずいう
ア接觊の䞖代効果が枛少するばかりでなく広告を芋る
意識が最も匷い䞖代になったず解釈できる。1960 幎代は
態床も消極的ずなる。これからの䞖代に受け入れられる
特異な時代であったかもしれないがその時代の特城は
マスメディア広告のあり方は本研究の範囲を超えるが単
䞖代効果ずしお今日にも残っおいるず考えられる。ずころ
に品質の高い広告を䜜れば良いずいう方向にはならない
で今日ではの児童ぞの悪圱響を議論する事がほず
だろう。既存の䞖代効果がそれぞれの時代背景に圱響を
んどなくなった䞀方でむンタヌネット䟝存の䞭・高校生
受けおいるように今日あるいは今埌の時代背景に沿っ
が.に䞊るずいう厚生劎働省の調査結果が瀟䌚問題
たメッセヌゞの䌝え方があるず考える。
ずしお取り䞊げられるようになった
2013 幎 8月1日
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
たた今埌の課題ずしおメディア接觊ず消費者の賌買ず
50
メディア接觊のコりホヌト効果に関する研究
の関連を明らかにする事がある。広告はメディアを通しお
鈎朚暁・森本栄䞀
2010
「メディア環境の倉化ず生掻者のメディア
接觊・意識の倉化を探る」
『AD STUDIES』31pp.26-30。
消費者の賌買に圱響を䞎える事が目的なので最終的に
電通シニアプロゞェクト
2007
『団塊マヌケティング』電通。
消費者の賌買に圱響を䞎える事を確認すべきである。し
犏井誠・加藀 優垌
2010
「マスメディアのラむフサむクル分析
かしながら商品の賌買にもそれぞれ䞖代効果や幎霢効
『流通科
NHK 囜民生掻基本調査のコヌホヌト分析による」
果があり商品のラむフサむクルの圱響もある。これらの
孊倧孊論集経枈・経営情報線』vol.19
1pp.61-74。
束田久䞀
2009
『「嫌消費」䞖代の研究』東掋経枈新報瀟。
圱響を考慮し぀぀因果関係を分析するモデルを構築し
森宏・䞉枝矩枅・川口雅正
2008
「コりホヌト分析における識別問
分析に必芁なデヌタをそろえる必芁がある。たた䞭長期
題ぞの察凊 --シミュレヌションによる怜定」
『専修倧孊瀟䌚科
的な課題ずしお芖聎者がメディア芖聎を決定するプロセ
孊幎報』42, pp.69-99。
スを明らかにする事がある。メディアを運営する䞻䜓は
山本盎人
2012
『䞖代論のワナ』新朮瀟。
メディア接觊を増やしたり広告の接觊頻床を高めるた
Fienberg, Stephen E., and Mason, William
M.(1985),
‘Specification and Implementation of Age, Period
めのマヌケティング倉数に関心があろう。本件研究で取
and Cohort Models’, Cohort Analysis in Social Research ,
り䞊げた䞖代や性別ずいったデモグラフィック属性は芖
Springer-Verlag.
聎者に固有の属性でありマヌケティング倉数になり埗な
Mahajan, Vijay, Eitan Muller and Yoram Wind (2010),‘New-
い。消費者に具䜓的に働きかける方策を明らかにするに
product diffusion models,’Springer.
は消費者が賌買する商品を決定する堎合の情報凊理プ
Marie-Louise Mares and Emory H. Woodard IV(2006),“In
ロセスにおけるメディアや広告の圹割に぀いお知芋を深め
Search of the Older Audience: Adult Age Differences in
Television Viewing,”Journal of Broadcasting & Electronic
る必芁がある。デモグラフィック属性の以倖の広告やメ
Media , 50(4), pp.595-614.
ディア接觊の芏定芁因に぀いお研究を進めたい。
Morris, S. Norman(1971),『テレビず子䟛たち』歊田尚子 èš³ , サむ
マル出版䌚 .
Nakamura Takashi
1986,“Bayesian Cohort Models for
謝蟞
General Cohort Tables,”Annals of the Institute of
本研究は公益財団法人吉田秀雄蚘念事業財団の委蚗
Statistical Mathematics , 38, pp.353-370.
研究の成果であり同研究チヌムの竹内淑恵先生 ( 法政
Retter, Hein(1984),『反テレビのすすめ』犏田博子 èš³ , 小孊通 .
倧孊 )・柁谷芚先生
東北倧孊
・石厎培先生
専修倧孊
より有益なアドバむスを頂いた。たた株匏䌚瀟ビデオリ
サヌチ瀟から実蚌怜蚌のためのデヌタを提䟛頂いた。貎
重な研究機䌚を頂いた事に深く感謝する。
参考文献
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朚戞茂・森本栄䞀
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51
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
オヌラルセッション ― 報告抂芁
パパ消費の考察
ドむツ日本研究所 経営・経枈領域 リヌダヌ
フロヌリアン・コヌルバッハ
銖郜倧孊東京倧孊院 瀟䌚科孊研究科 准教授
氎越 康介
芁玄
本皿ではパパの消費行動 ( パパ消費 )に焊点を圓お13 組 26 名のプレパパ・プレママぞのヒアリングを行ないその結果
を考察する。この詊みはこれたであたり研究されおこなかった父芪の消費行動を明らかにするずずもに消費ずアむデンティ
ティの関係や家族消費の実践に぀いお新しい可胜性を瀺す。
分析の結果以䞋の 5点に぀いおそれぞれ発芋があった。プレパパ・プレママの基本的消費掻動むクメンぞの認識育児
䌑暇ぞの認識父芪ぞの認識神事ぞの認識である。基本的消費行動では育児関連商品の莈䞎・貞䞎関係が瀺された。た
たむクメンや育児䌑暇自身の父芪ぞの認識に぀いおは自らのアむデンティティを構築する過皋においおそれぞれの意味を
ずりなおす傟向がみられた。神事ぞの認識に぀いおは機胜的な消費行動ずは別に画数や戌の日の神瀟参拝等神事ず結
び぀いた消費行動が確認された。
キヌワヌド
パパ消費家族消費アむデンティティプレパパ・プレママ
本皿ではパパの消費行動
パパ消費に焊点を圓お
ばかりであるずいえる。母芪 – 子䟛に぀いおの分析はみら
13 組 26 名のプレパパ・プレママぞのヒアリングを行ない
れるものの父芪 – 子䟛に泚目した研究はただ少数にず
その結果を考察する。この詊みはこれたであたり研究さ
どたっおいる。特にビゞネスやマヌケティングずいう芳点
れおこなかったパパの消費行動を明らかにするずずもに
からいえば父芪は家族の賌買意思決定者ずは芋なされ
消費ずアむデンティティの関係や家族消費の実践に぀いお
ないこずも倚かった。
新しい可胜性を瀺す。
しかし近幎の家族のありようの倉化の䞭で父芪の
呚知の通り日本でも家族のありようが倉容し父芪
䜍眮づけが倉化しおいるこずは十分に想定される。それ
の圹割やアむデンティティが倉容し぀぀あるずされる。政
ゆえに圌らの消費行動に泚目するこずによりビゞネス
府の掚進のもず2010 幎より
「むクメンプロゞェクト」が行
やマヌケティング䞊の新たな指針を埗るこずができるず考
われるなどいわゆるむクメンの関心も高たり育児のノり
えられる。
ハりを提䟛する営利非営利䌁業も倚数登堎し瀟䌚ず
分析の結果以䞋の 5 点に぀いおそれぞれ発芋があっ
しお父芪が育児に関わる状況が敎えられ぀぀あるずい
た。プレパパ・プレママの基本的消費掻動むクメンぞの
える。
認識育児䌑暇ぞの認識父芪ぞの認識神事ぞの認識
こうした父芪の圹割倉化に぀いおは
「父芪の再発芋」
である。
以来家族瀟䌚孊を䞭心にしお研究が進められおきた。
以䞊の発芋物はプレパパ・プレママの消費行動ずい
これらの研究では父芪の育児ぞの参加皋床に圱響を䞎
う芳点からみおもそれからパパ消費ずいう点から芋おも
える芁因がさたざたに考察されるずずもにその促進のた
興味深い瀺唆を提瀺しおいるように思われる。
めにゞェンダヌ芳の刷新ずいった瀟䌚倉革が䞻匵される。
第䞀に先行研究がこれたで瀺しおきたように父芪に
その䞀方でこうしたむクメンがどういう存圚であるの
なる移行過皋はアむデンティティが倉容する過皋であり
かたた圌らがどのような消費圢態を有するのかに぀い
その葛藀が珟れる契機であるずもされる。しかしながら
おは珟実における倉化ずずもにただ研究がはじたった
本調査が瀺すかぎりプレパパ段階においおそうした葛
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
52
パパ消費の考察
藀をあたり確認できなかった。むしろそうした葛藀が生
より家事が母芪の䜜業になる可胜性が瀺された。このこ
たれうるずすればそれは出産以降であるこずが想像さ
ずは家事や育児を率先しお担うむクメン像ず乖離する可
れる。
胜性があるずずもにみかたによっおはむしろ結婚時点
第二にこうしたアむデンティティに関連しおむクメンず
においお家事を率先しお手䌝うカゞメン的存圚を指し瀺
自身の父芪像ずいうすでに存圚するラベルや察象に぀い
しおいる。
おそれぞれを批刀的に捉えながら自らの目指す父芪像
を確立しようずする姿を確認するこずができた。特に自身
参考文献
の父芪に぀いお
「昭和」
「田舎」
「昔」
「反面教垫」ず蚀っ
石井クンツ昌子
2013
『「育メン」珟象の瀟䌚孊 』ミネルノァ曞房。
た圢で語りながら圌らずの距離感においお自らの父芪
朚村玔子・ラッセル W. ベルク
2004
「日本のクリスマス消費に芋る
文化の再生産」
『流通研究』2
7 pp.39-55。
像を瀺そうずする点は非垞に興味深いアむデンティティ
牧野カツコ・枡蟺秀暹・船橋惠子・䞭野掋恵線
2010
「囜際比范
確立の過皋であるように思われる。
にみる䞖界の家族ず子育お」ミネルノァ曞房。
第䞉に実際の消費行動に぀いおベビヌカヌやチャむ
Arnould, E. J. and C. J. Thompson (2005),“Consumer Culture
ルドシヌト等䞀般的な商品を賌入しようずするプレパパ・
Theory (CCT): Twenty Years of Research,”Journal of
Consumer Research , 31 (4), pp.868-882.
プレママの姿ずずもにそれらを譲り受けたり借り受けた
Belk, R.W. (1988), “Possessions and the Extended Self ”,
りする行動を芋るこずができた。これらの行動は他の
Journal of Consumer Research , 15 (2), pp.139-168
消費行動ずは少し異なっおいるようにみえる。自宅や自動
Belk, R. W. (1989),“Extended Self and Extending Paradigmatic
車あるいは日垞の耐久財に぀いおそうした行動をずる
Perspective,”Journal of Consumer Research , 16 (1),
pp.129-132.
こずはたれであるように思われるからである。同時に特
Carrigan, M. and I. Szmigin (2004),“Time, Uncertainty and
にベビヌカヌに代衚される商品は象城的消費の察象であ
the Expectancy Experience: An Interpretive Exploration
り囜産 – 海倖ずいう区分の元で理解されおいるこずが瀺
of Consumption and Impending Motherhood,”Journal of
された。
Marketing Management , 20 (7-8), pp.771-798.
消費行動に関連しお第四に神事に関わる消費行動
Carrigan, M. and I. Szmigin (2006),“Mothers of invention”
maternal empowerment and convenience consumption,”
を芋るこずができた。特に本調査で瀺されたのは名付け
European Journal of Marketing , 40 (9-10), pp.1122–1142.
ず戌の日に関する消費行動でありプレパパ・プレママ
Coskuner-Balli, G.and C. J. Thompson (2013),“The Status
に特有の行動の䞀぀であろうず思われる。名付けに関し
Costs of Subordinate Cultural Capital: At-Home Fathers’
おは読み方ず画数ずいう点から特に画数に぀いおの信
Collective Pursuit of Cultural Legitimacy through
仰が未だ残るこずが瀺されるずずもにその画数を決める
Capitalizing Consumption Practices,”Journal of Consumer
にあたり雑誌やむンタヌネット䞊から情報が取埗される
Research , 40 (1), pp.19-41.
Cotte, J. and S. L. Wood (2004),“Families and Innovative
こずも瀺された。䞀方の戌の日に぀いおは劊嚠埌に認知
Consumer Behavior: A Triadic Analysis of Sibling and
床が倧きく向䞊するずずもにその日を䞀぀のむベントずし
Parental Influence,”Journal of Consumer Research , 31 (1),
お家族が集たる機䌚ずしお利甚する倫婊像を芋るこずが
pp.78-86.
Cowan, C. P., and P.A. Cowan (1992), When partners become
できた。
parents: The big life change for couples . New York: Basic
最埌に第五ずしお劊嚠を契機にしお家事分担が倉
Books.
化する可胜性が瀺された。特にむクメンに関連しお蚀え
Dahl, D. (2013),“Social Influence and Consumer Behavior,”
ば劊嚠埌に父芪が家事を手䌝うようになるずいうより
Journal of Consumer Research , 40 (2), pp.3-5.
はむしろ逆に劊嚠埌に母芪が仕事から離れるこずに
53
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
パパ消費の考察
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Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
オヌラルセッション ― 報告抂芁
「女子」の誕生
― 雑誌蚘事タむトルのテキストマむニングによる流行語の研究 ―
䞀橋倧孊倧孊院 商孊研究科 教授
束井 剛
芁玄
『広蟞苑』第版によれば
「女子」の語矩は
「①おんなのこ 嚘 ②おんな 女性 婊人
『―倧孊』←→男子」である。近幎
泚目されるのは第の意味ずしお甚いられおきたこのこずばの意味を敢えお第の意味ずしお甚いる衚珟が顕著になったず
いうこずである。すなわち
「倧人女子」や
「アラフォヌ女子」のように
「おんなのこ」を意味するこずばが成人女性に察しお甚
いられるようになった。実際
「女子䌚」は成人女性の集いを
「女子力」は成人女性に備わっおいるべき
「力」を意味しおいる。
なぜどのようにしお
「女子」の意味が倉化したのか。これが本研究の基本的な問いである。そこで本論文ではたず基瀎
的な䜜業ずしおメディアの蚀説を芋るこずでこのこずばの意味の構造ず倉化を明らかにする。より具䜓的には
「女子」ずい
うキヌワヌドを含む 49,148 件の雑誌蚘事タむトル
1988 〜 2012 幎にテキストマむニングを行った。さらには
「女子力」ず
「女
子䌚」の意味構造に぀いおも怜蚎した。分析から明らかになったのは男性からの県差しを意識しない新たな性的圹割
sex
roleの発露ずいうべきものである。
キヌワヌド
女子流行語テキストマむニングゞェンダヌ雑誌
こずばの流行は䌁業によるマヌケティング掻動ず密接
問いである。そこで本論文ではたず基瀎的な䜜業ずし
な関わりがある。あるこずばが流行るずそれを利甚した
お文化瀟䌚孊の理論枠組みに基づいおメディアの蚀
マヌケティングが集合的に展開されるこずがある。あるい
説におけるこのこずばの意味の構造ず倉化を明らかにし
はマヌケティング掻動を通じおこずばが流行するこずが
た。より具䜓的には
「女子」の意味倉化を圓該キヌワヌ
ある
束井2013。2000 幎代埌半からメディアで盛んに
ドを含む 49,148 件の雑誌蚘事タむトル
1988 〜 2012 幎
䜿われるようになった
「女子」ずいうこずばもマヌケティ
のテキストマむニングを通じお分析した。これらのデヌタ
ングずの盞互匷化関係が芋られる。そうした䞭で生たれ
は倧宅壮䞀文庫の玢匕デヌタベヌスWeb-OYA Bunko
たのが
「女子力」ずか
「女子䌚」ずいうこずばである。
から埗られた。さらには近幎新しい意味に基づいお䜿
『広蟞苑』第版によれば
「女子」の語矩は
「①おん
われるこずが倚い
「女子力」ず
「女子䌚」の意味構造に぀い
なのこ 嚘 ②おんな 女性 婊人
『 ―倧孊』↔男子」で
お分析した。
ある。近幎泚目されるのは第の意味ずしお甚いられ
図は党期間においお
「女子」が含たれる蚘事タむト
おきたこのこずばの意味を敢えお第の意味ずしお甚いる
ルにおけるキヌワヌドの共起ネットワヌクを瀺したもので
衚珟が顕著になったずいうこずである。すなわち
「倧
ある。各キヌワヌドを囲む円の倧きさは出珟頻床を衚し
人女子」や
「アラフォヌ女子」のように
「おんなのこ」を意
おいる。したがっお圓然
「女子」ずいうキヌワヌドが倧き
味するこずばが成人女性に察しお甚いられるようになっ
い。これず関わりの深いキヌワヌドは倧別しお぀ある。
た。
ひず぀はスポヌツに関わるものである。
「五茪」
「マラ゜
なぜどのようにしお
「女子」の意味が倉化したのか。こ
ン」
「代衚」ずいったオリンピックを䞭心ずしたキヌワヌド
の倉化プロセスにおいおマヌケティングずはどのよう
ず
「駅䌝」
「倧䌚」ずいったキヌワヌドである。いずれも
な圱響関係が芋られたのか。これが本研究の基本的な
長距離走に関わるものである。もうひず぀は女性アナり
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
56
「女子」の誕生―雑誌蚘事タむトルのテキストマむニングによる流行語の研究―
ンサヌに関わるものである。
「アナ」ずいうアナりンサヌの
た
「女子䌚」は圓然ながら男性の䞍圚を前提ずする集た
省略圢ず
「女子」ずの関わりが深くこのキヌワヌドは
「人
りである。
気」や
「矎女」ずいったキヌワヌドず結び぀いおいる。たた
そこに芋いだせるのは男性からの県差しを意識しな
女性アナりンサヌの固有名詞もあがっおいる。
い新たな性的圹割
sex roleの発露ずいうべきものであ
さらに本論文では25 幎に枡る分析期間を第 I 期
る。今回のデヌタ分析を螏たえるならば
「女子力」を
「アッ
1988  92 幎
第 II 期
1993  97 幎
第 III 期
1998
プ」させるずいうのは
「男性にモテる」ずいうこずなどあた
 2002 幎
第 IV 期
2003  07 幎
第 V 期
2008 
り気にせずむしろ自分がなりたい
「女子」を目指すずいう
12 幎の぀に分けお各時期の共起ネットワヌクを䜜成
意味合いが匷い。もちろんメディア蚀説がそうだからず
しお意味構造の倉化を捉えた。簡単にたずめるならば
いっお珟実に女性が男性から自立したず楜芳的に結論
スポヌツをめぐる意味構造が支配的だった第 I  II 期ず
づけるわけにはいかない。なぜならば雑誌は読者局
「女子アナ」をめぐる意味構造が台頭しおきた第 III  V
が抱く理想像を描き出すこずが倚くそこに描かれおいる
期に分けるこずができる。たた第 V 期には
「女子力」ずい
こずはタテマ゚である可胜性が高いからである。しかしこ
う新しいキヌワヌドが芋られるようになった。
うした新しい女性像は2000 幎代終わりたでは明確に
『デゞタル倧蟞泉』
小孊通によればこの
「女子力」ず
は芋られなかったのである。
は
「きらきらず茝いた生き方をしおいる女性が持぀力。女
こうした女性像は
「女子力」ずいう新しいこずばが
性が自らの生き方を挔出する力。たた女性が自分の綺
普及したからこそ共有されおいる。こずばはものご
麗さセンスの良さを目立たせお存圚を瀺す力」ずいう意
ずを察象化しお類型化しお匿名化する
Berger and
味である。
「女子力」をめぐる意味構造を明らかにするた
Luckmann 1966。そうであるがゆえにこずばは没個人
めにこのキヌワヌドが含たれる雑誌蚘事タむトル 631 件
的な性栌を有し䞻芳を超えお他者ずのコミュニケヌショ
を抜出しおキヌワヌドの共起ネットワヌクを䜜成した
図
ンを行うこずを可胜にしおいる。ありおいに蚀うのならば
。
「女子」ず匷く結び぀いおいるのは
「UP」である。
「矎
「女子」ずいうこずばをこれたでず異なる意味で甚いるこ
容」ず
「ケア」

「若い」ず
「キレむ」

「ファッション」ず
「メむク」
ずで話者たちは
「あるある感」ずいうべきコンセンサスず
ずいうグルヌプに芋られるように倖芋を矎しくするこずが
シンパシヌの共有に成功しおいるのである。
重芁な意味を持っおいるこずが分かる。䞀方で
「孊ぶ」ず
「向䞊」ず
「蚈画」

「自分」ず
「磚く」ず
「マナヌ」など内面
参考文献
を高めるこずに぀いおの蚀及もあるこずが分かる。本論文
束井剛
2013
『こずばずマヌケティング
「癒し」ブヌムの消費瀟䌚史』
碩孊舎。
では
「女子䌚」に぀いおも同様の共起ネットワヌクを䜜成
Berger, Peter L. and Thomas Luckmann (1966), The Social
しおいる。
Construction of Reality: A Treatise in the Sociology of
以䞊のように
「女子」の意味の 25 幎間の倉化を芋るず
Knowledge , Garden City, N.Y.: Doubleday.
ある時期から
「女子アナ」をめぐる意味構造が台頭しおき
た。
「女子アナ」に぀いおの蚘事の倚くが魅力的な女性
ずしお取り䞊げる男性誌の芖点からのものでありそこに
は男性からの性的な県差しが匷く芋られた。これに察
しお第 V 期から顕著に芋られるようになった
「女子力」ず
いうこずばが意味するのはそれは高めるべきものである
が男性に向けお媚びを売るずいうこずではなかった。た
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Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
「女子」の誕生―雑誌蚘事タむトルのテキストマむニングによる流行語の研究―
図—1 「女子」蚘事タむトルにおける共起ネットワヌク
党期間1988  2007 幎
図—2 「女子力」蚘事タむトルにおける圢態玠の共起ネットワヌク
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
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オヌラルセッション ― フルペヌパヌ
先進囜䌁業による
リバヌスむノベヌションの可胜性
䞀橋倧孊倧孊院 商孊研究科 前期博士課皋
䞀橋倧孊倧孊院 商孊研究科 准教授
叀江 奈々矎
鷲田 祐䞀
芁玄
本論は新興囜で掻動する耇数の先進囜
日本
䌁業ぞの取材を基に新しいむノベヌション抂念であるリバヌスむノベヌショ
ン
Govindarajan and Ramamurti, 2011の先進囜䌁業の掻甚可胜性ずメリットの提瀺を目指したものである。たずリバヌ
スむノベヌションの仕組みを既埀の類䌌抂念を甚いお説明し新興囜固有のビゞネス環境・生掻環境から生たれるむノベヌショ
ンが先進囜垂堎ぞず逆波及する理由ず条件を怜蚌する。次に誘導的に “ 起こす ” 動きず偶発的に “ 起きる” 動きに着目しお
リバヌスむノベヌションを二぀のパタヌンに分類しどのような特性を持぀商品がリバヌスむノベヌションの実珟に぀ながる可
胜性があるのかを考察する。最埌に先進囜䌁業がリバヌスむノベヌションを誘導する際の課題に぀いお怜蚎する。
キヌワヌド
リバヌスむノベヌション先進囜䌁業新興囜珟地化研究開発
Ⅰ. 背景ず目的
こうした状況の䞭ハむテク家電や医療機噚のような分野
においおはリバヌスむノベヌション
Govindarajan and
我が囜の䌁業による新興囜垂堎ぞの進出が増加しお
Ramamurti, 2011ずいう新しい抂念が提起されおいる。
いる
日本経枈新聞 , 2013b
。昚今の先進囜経枈ず新興
本論ではこの新しいむノベヌション抂念が既埀の類䌌
囜経枈の深く耇雑な連携ず盞互補完性は単なる技術の
抂念ずどのように盞違しおいるのかをいく぀かの事䟋を
普及拡散ずいう芖点だけでは説明しにくい状況になっお
もずに怜蚌しその䞊で先進囜䌁業にずっおどのような
きおいる。
掻甚可胜性があるのかを論じる。
先行研究の雁行圢態論
赀束 , 1956では新興囜が
日本䌁業が珟地のニヌズをくみ取り商品開発に反映さ
先進囜からの茞出自囜での生産先進囜ぞの茞出ずい
せるために新興囜を研究開発の拠点を蚭眮するように
う段階を経おキャッチアップする経枈発展が説明されお
なっおいる。䟋えばパナ゜ニックは䞭囜生掻研究䞭心
いる。この新興囜のキャッチアップ方法は戊埌の日本にも
を蚭け䞭囜人スタッフが珟地消費者の量的調査質的
圓おはたる。圓時キャッチアップ時にあった日本の補品が
調査に奔走しニヌズの収集に努める。たた東芝メディカ
“安かろう悪かろう”ず呌ばれる䜎品質なものであったよ
ルシステムズはアゞア開発研究センタヌを蚭け新興囜向
うに珟圚キャッチアップ期にある䞭囜やむンドの垂堎で
けの補品の開発を行っおいる。本田技研工業はむンドに
も珟地䌁業の安く䜎品質な商品が倚く出回っおいる印象
Honda Cars India Ltd, (HCIL) を蚭けむンド人スタッフず
を受ける。
商品䌁画を行う他䞭囜タむむンドネシアにも技術研
しかしながら新興囜垂堎に進出する先進囜䌁業は
究所を持っおいる。このような䌁業はすでに新興囜に研
先進囜囜内での研究開発のみで盞手囜の経枈発展状況
究開発拠点を持っおいるのでそうでない䌁業ず比范す
や経枈氎準に合わせ商品を䞀定皋床䟡栌化䜎品質化
るずリバヌスむノベヌションずなる可胜性は高い。
するずいう䌝統的な珟地化戊略では珟地䌁業及び倚数の
既埀研究においおはリバヌスむノベヌションは
“起き
先進囜䌁業ずの競争に勝぀こずができない傟向にある。
る”珟象ず
“起こす”珟象の区別が明確化されおいない。
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Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
先進囜䌁業によるリバヌスむノベヌションの可胜性
珟象論・結果論ずしお議論される傟向が匷いリバヌスむノ
郚協力先に自瀟にない発想の研究テヌマや新芏補品開
ベヌションであるが今埌は新興囜での研究開発段階
発のスピヌドアップ新芏分野ぞ参入するための協力盞
から将来のリバヌスむノベヌションを期埅し意図的に
手ずなっおもらうこずを期埅しおいるからであるずしさら
起こそうず詊みる぀たりリバヌスむノベヌションを
“起こ
に新興囜を重芖する姿勢は今埌も倉わらないだろうず
す”䌁業が出珟するず予想される。本論文はこのような動
述べおいる。
向に着目する。
先進囜䌁業が新興囜に研究所を蚭立する動機は二぀
本論文では第䞀に先進囜䌁業にずっおのリバヌスむ
存圚するず考えられる。
ノベヌションの論理的メリットを怜蚌する。第二にリバヌ
䞀぀目の動機は成長しおいる新興囜垂堎のニヌズをく
スむノベヌションの
“起きる”珟象を偶発型リバヌスむノベヌ
み取るこずである。家電などの新興囜の消費者の文化に
ション䞀方の
“起こす”珟象を誘導型リバヌスむノベヌショ
密接な研究開発に圓おはたる動機である。䟋えばパナ
ンずし䞡者の区別したうえでリバヌスむノベヌションが
゜ニックの䞭囜生掻研究䞭心では9人の䞭囜人瀟員が䞭
実珟する可胜性の高い商品の特性を考察する。先行研究
囜垂堎向けの商品䌁画をしおいる。朜圚ニヌズ発芋が倧
においおもどのような状況䞋でリバヌスむノベヌション
きなミッションで掗濯機冷蔵庫゚アコン昚幎からは
が実珟されやすいのか産業間や囜家間で盞違があるの
矎容機噚にいたるたで商品䌁画を担う。以前は日本人が
かが今埌の問題であるず指摘されおいる
Govindarajan
出匵しおきお商品䌁画しおいたが珟圚では䞭囜人が珟
and Ramamurti, 2011
。この問題意識の远詊怜蚌にな
地密着で培底的に考えおいる。そのメリットは䞉぀ある。
る。
①耇数の事業郚を暪断するこずによるスケヌルメリットを
掻かした倧芏暡綿密な調査を実斜できるこず②情報
を耇数の事業郚で共有化積極掻甚できるこず③事業
Ⅱ. リバヌスむノベヌションの定矩ず領域
郚の枠を超えた共通コンセプト提案も可胜であるこずが
リバヌスむノベヌションの぀のステヌゞ
挙げられる。商品䌁画では
「仮説・起案」
「調査怜蚌」
GovindarajanずRamamurti (2011pp.196) はリバヌ
「コンセプト立案」
「各事務所ぞ提案」
「商品化・フォロヌ」
スむノベヌションの定矩ずしおその必芁条件たる 3 ぀の
ずいう段階を螏むがこのすべおのステップにおいお䞭囜
ステヌゞを蚭定しおいる。
人の感性を働かせ責任をもっお行うこずができる。ナヌ
「ステヌゞ 1は䞭囜やむンドなどの新興囜でむノベヌ
ザヌの家に蚪問し生の情報をずらえるこずも実斜されお
ションが最初に採甚されるこずである。ステヌゞ 2 は他の
おり奇抜なアむデアも出すこずも蚱容されおはいる。この
新興囜垂堎にそのむノベヌションの他の新興囜垂堎ぞの
ように新興囜垂堎のニヌズを珟地にいる珟地人スタッ
波及である。ステヌゞ 3 は最終段階でもありそのうち粟
フによっお培底的に収集されるために珟地に研究所を
遞されたむノベヌションのみが先進囜垂堎ぞ波及するこず
蚭けるのである。
である。」
二぀目の動機はロヌコストの補品開発を新興囜の技
たずステヌゞ 1぀たりむノベヌションが新興囜で採甚
術者やベンダヌず連携するこずで実珟させる必芁がある
される珟象に぀いお日本䌁業の取り組みを芋おみる。近
こずである。CTスキャナヌや自動車などのコストは䞋げ
幎日本䌁業は魅力的な新興囜垂堎で成果をあげるた
おもグロヌバルスタンダヌド性胜が求められお品質を䞀
めに新興囜に研究開発拠点を蚭ける動きがみられる。
定基準以䞋に萜ずせない分野の研究開発に圓おはたる動
日本経枈新聞 (2013b) によるず新興囜に研究開発拠点
機である。よっおコストを䞋げた補品は䞖界の垂堎で売
を蚭ける䞻な理由を新興囜の珟地䌁業や倧孊などの倖
れる可胜性が高く最初から新興囜垂堎も先進囜垂堎も
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
60
先進囜䌁業によるリバヌスむノベヌションの可胜性
同時に暙的垂堎ずなり埗る業界である。これらの業界は
発された補品を珟地化しお新興囜垂堎に適応させる
「グ
2  3 幎でスペックアップしおいく業界なので垞に性胜向
ロヌカリれヌション」
Robertson, 1992よりも高床に
䞊ず䟡栌競争力を高めるこずが同時に求められる。
珟地のニヌズをくみ取る必芁がある
Govindarajan and
䟋えば東芝メディカルシステムズ株匏䌚瀟は䞭囜の
Ramamurti, 2011ずされおいるが前述の日本䌁業の
倧連にある医甚機噚開発センタヌでハヌドりェアの開発
事䟋を考察するずこの点に぀いお再怜蚌の必芁性が浮
を行っおいるが日本人埓業員が珟地の優秀な䞭囜人ス
䞊するずいうこずだ。Govindarajan は先進囜䌁業によ
タッフをマネゞメントし本瀟偎から䞭囜偎にプロゞェクト
る新興囜向けのグロヌカリれヌションずは商品の
「機胜
圢匏で䟝頌する圢で開発業務が遂行されおいる。この倧
を省いおコストを䞋げる」こずであり䞀方でリバヌスむノ
連医甚機噚開発センタヌは党瀟での開発分担のうちの
ベヌションずは
「最初からすべおを創造し盎す。癜玙の状
䞀぀で既存補品ず同等の性胜を維持した補品のロヌコ
態でのむノベヌション」であるずしおグロヌカリれヌショ
スト化を実珟させるこずが目的である。
ンずリバヌスむノベヌションずを察立する抂念ずしお描い
たたトペタ自動車の䞭囜法人は第䞀汜車集団
FAW
おいる
ゎビンダラゞャン・トリンブル, 2012
。しかしは
グルヌプず合匁で䞀汜トペタ技術研究開発センタヌを蚭
たしおグロヌカリれヌションあるいは珟地化ずリバヌスむ
眮する。この研究所には珟地郚品で䟡栌の匕き䞋げを
ノベヌションずを察立する抂念ずしお描くこずがリバヌス
行うロヌコスト化が期埅されおいる。
むノベヌションずいう瀟䌚珟象を説明する䞊で適圓だろう
か。むしろ䞊蚘のように日本䌁業の事䟋で実蚌しおみる
ず機胜簡玠化や䜎䟡栌化を狙うグロヌカリれヌションも
図ヌ 東芝メディカルシステムズの CT スキャナヌ
たたリバヌスむノベヌションの重芁な動機の぀ずなっおお
り察立的な䌁業行動ずは蚀えないだろう。このようにス
テヌゞ 1の定矩に぀いおは再怜蚌が必芁ず考えられる。
次にステヌゞ 2 に぀いおはGovindarajan が瀺唆する
条件はリバヌスむノベヌションの進展においお必ずしも
必芁ではないのではないかずいう可胜性が浮䞊する。぀
たりある1぀の新興囜で起きたむノベヌション
日本䌁業
にずっおの䞭囜が元の先進囜
日本囜内ぞ逆波及し
た堎合であっおも十分にリバヌスむノベヌションず呌ぶこ
ずができるのではないかずいうこだ。これはステヌゞ 2
を飛ばしおステヌゞ 3 が実珟しおいるず分析できる。
最埌にそのステヌゞ 3 の実珟においおは前述のよう
このような 調 達 先 の 倚 様 化 による開 発 分 担 の 動
に
「誘導型リバヌスむノベヌション」ず
「偶発型リバヌス
きは先 行 研 究 に おいおは オヌプ ンむノベヌション
むノベヌション」の二぀に分類するこずが可胜ではないか
Chesbrough, Vanhaverbake and West, 2006ず理解
ずいう問題提起もできる。
されおきたがGovindarajan のフレヌムワヌクはそれを包
含したものず解釈できる。
リバヌスむノベヌションの仕組み
ここで 留 意 すべきはGovindarajan の䞻 匵 によれ
ここではリバヌスむノベヌションが起こる仕組みを説
ばステヌゞ 1におけるむノベヌションずは先進囜で開
明する。前述のステヌゞ 1ずステヌゞ 3 にそれぞれ着目す
61
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
先進囜䌁業によるリバヌスむノベヌションの可胜性
る。なぜ新興囜固有のむノベヌションが起こるのかそし
しのぎ”の創造が盛んに行われる颚土が先進囜では考
おそのむノベヌションが先進囜垂堎ぞず逆波及するずきに
えにくいむノベヌションが生たれ育たれやすい環境を䜜
䜕が起こるのかを他のむノベヌションに関する先行研究
る根底にあるず思われる。
“その堎しのぎ”はもちろん
“侀
を螏たえ぀぀探っおいく。
時的にしか持たない長期的には䜿い物にならない”ずい
う悪い面もあるが
“倱敗の恐怖や垞識にずらわれず䞍可
胜を可胜ずしおしたう”ずいったむノベヌションを実珟す
1ステヌゞ新興囜発のむノベヌションの根底にある
“その堎しのぎ ”
るには良い面も含んでいるずも捉えられる。
むンド の 科 å­Š 技 術 省 Department of Science and
しかしリバヌスむノベヌションずはこのようなロヌカ
Technology はグラスルヌツむノベヌションの普及を図り
ルな
「工倫」ないし
「発明」がそのたた先進囜に逆波及す
情 å ± 共 有 サむト“National Innovation Foundation in
るずいうこずではない。そうではなくステヌゞ 1においお
support of grassroots innovations”(2013) を蚭けおい
“その堎しのぎ”の颚土のある土地でグロヌバルな補品を
る。グラスルヌツむノベヌションずは Seyfang ずSmith
研究開発するこずによりむノベヌションが起こるこずず
(2007) によっお瀺された貧困を解決するため草の根レ
再定矩できる。ここでいうむノベヌションずはGE ヘルス
ベルの発明を共有するずいう考え方である。このサむト
ケアがむンドで開発した持ち運び可胜な心電図のように
ではこぎながら広範囲に蟲薬をたける自転車や倪陜光線
補品そのもののノベヌションの堎合もある。たた東芝メ
で蚊を焌き殺す機噚雚が降った時に掗濯物を家の䞭
ディカルシステムズが CTスキャナヌを䜜るにあたっお画
に取り入れるシステムなどが玹介されおいる。Zeschky,
期的に安䟡な組み立お方法を䞭囜で確立したようなプロ
Widenmayer, および Gassmann (2011) によっお既存の
セス革新の堎合もある。
゜リュヌションよりもたいおい劣っおみえるが超䜎コスト
な補品をもっお厳しい資源の制玄に察応するフリュヌガ
2ステヌゞ 3先進囜垂堎での砎壊的むノベヌション
ルむノベヌションが説明されおいる。このフリュヌガルむノ
新興囜で珟地のニヌズに合わせた商品の研究開発を
ベヌションも新興囜固有のむノベヌションに含たれる。
行うこずで生たれたむノベヌションを先進囜垂堎ぞず逆
むンドデリヌず拠点ずする消費 者調査 䌚瀟 Market
波及させるこずで先進囜䌁業は砎壊的むノベヌションを
Xcel Data Matrix Pvt. Ltd 瀟 の CEO で あ る R.Vishal
成し遂げる可胜性を高めるこずができる
Govindarajan
Oberoi 氏ぞの取材によれはむンドでは廃材を組み合わ
and Ramamurti, 2011。メむンナヌザヌの声ばかりに耳
せお自動車を䜜るような
「工倫」は日垞的に盛んに起きお
を傟け性胜向䞊のみに特化する既存技術の延長ばかり
いるずいう。たたオヌルドデリヌのメむンバザヌルでは
を行っおいるずいずれ安䟡で特定の性胜に絞った砎
䞡隣の建物のコンクリヌト壁の間にベニダ板を枡し原朚
壊的技術を甚いた商品に垂堎シェアを取っお代わられおし
で補匷しただけの
「店舗」を目にするこずができる。ある
たうむノベヌションのゞレンマ
Christensen and Bower,
いは䞭囜においおも䞭囜の春秋航空瀟が
“立ち乗り”飛
1996ぞの察策ずしおリバヌスむノベヌションは有甚ず
行機を構想しおいたこずも蚘憶に新しい
CCTV, 2013。
思われる。砎壊的むノベヌションずなる可胜性の高い商品
むンドでビゞネスコンサル業を展開するINFOBRIDGE
ずしおは前述の GE ヘルスケアの超音波蚺断機が代衚
瀟の Managing Director の繁田奈歩氏ぞの取材によれ
䟋だが
Govindarajan and Ramamurti, 2011先進囜
ばこういった
「工倫」の動機は
“その堎しのぎ”の心理
ではなし埗なかったコストダりンを新興囜の事情に合っ
であるずいう。新興囜特有の苛酷なビゞネス環境・生掻
た補造方法で実珟した東芝メディカルシステムズの CT
環境ならではの問題に盎面した際にこのような
“その堎
スキャナヌもその䞀䟋ずなり埗る。ただここで泚意しお
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
62
先進囜䌁業によるリバヌスむノベヌションの可胜性
おきたいのは必ずしもリバヌスむノベヌションにおいお
によっおはじめお可胜ずなるからである
Govindarajan
新興囜で生たれるむノベヌションすべおが砎壊的むノ
and Trimble, 2010。
ベヌションになる可胜性を秘めおいる蚳ではないこずで
珟地の研究開発機関で業務を行っおいるスタッフが
ある。砎壊的むノベヌションがおこるには砎壊的技術
暙的垂堎に新興囜垂堎のみを考えおいる堎合にはその
が既存垂堎党般の芁求を満たしおいるこずが背景にある
新興囜の研究開発機関を恒垞的にチェックするメカニズ
Bower and Christensen1995
。新興囜垂堎の消費者
ムが必芁である。぀たり䌁業に誘導の意図があるか吊
のニヌズの䞭でも䜎䟡栌小型化携垯性ずは異なる性
かは䌁業が珟地での珟地垂堎のみを察象にした商品開
質の现かで特殊なニヌズが䞀郚の先進囜垂堎の既存顧
発やマヌケティング方法生産技術などのあらゆるビゞネ
客である消費者のニヌズず合臎する堎合がありこのよう
ス圢態の内実を恒垞的に理解し補品が新興囜垂堎に
なニヌズをくみ取った商品が砎壊的むノベヌションになる
普及した埌も本囜に逆波及できるものを探し出すメカニ
可胜性は䜎いず思われる。東芝むンド瀟で開発されたむ
ズムが䌁業の内郚に存圚するか吊かずいうこずず同矩で
ンド人の囜民的スポヌツであるクリケットを特別鮮明な画
ある。
像で芳戊できるクリケットモヌド付のテレビがその䞀䟋で
東芝メディカルシステムズの倧連医甚機噚開発セン
ある
NNA2013
。このような特殊なニヌズをくみ取り機
タヌが䜎䟡栌普及型 CTスキャナヌを開発する際暙的
胜が加えられた商品に関しおはたずえむンドやその他の
垂堎に新興囜ず日本垂堎が含たれおいた。たたGE ヘル
囜で倧きく普及しむノベヌションずなり埗たずしおも既
スケアの䞭囜向けに珟地で開発された小型超音波蚺断
存の商品を凌駕する可胜性は極めお䜎いず思われる。
装眮が始めは䞭囜垂堎のみが暙的ずされおいたが埌
に瀟内のグロヌバル超音波補品協議䌚ずいうメカニズム
によっお先進囜に逆波及されたこず
Govindarajan and
Ⅲ . 誘導型リバヌスむノベヌションずは
Trimble, 2010も誘導型リバヌスむノベヌションず呌ぶこ
ずができる。
Ⅱ. の. の最埌にも述べたように本論文では“起こ
䞀方パナ゜ニックの䞭囜生掻研究䞭心で開発され䞭
すもの”を誘導型リバヌスむノベヌションず呌び
“起きるも
囜垂堎ず日本垂堎で普及した陀菌機胜付掗濯機は䞭囜
の”を偶発型リバヌスむノベヌションず呌ぶ。
向けの商品を先進囜に逆波及させるためのメカニズムが
誘導型リバヌスむノベヌションの条件は圓該䌁業が
䞍圚の䞭で起こった偶発型リバヌスむノベヌションずいえ
珟地の研究開発機関の暙的垂堎に新興囜垂堎のみなら
る。商品䌁画の際に䞭囜偎のスタッフず密に連携し䌁画
ず先進囜垂堎を含んでいるこずである。それは始めか
内容を恒垞的に理解する責任者が日本の本瀟に存圚し
ら先進囜を暙的垂堎ずしお芏定しおいる堎合だけでなく
その責任者によっお日本垂堎ぞも逆波及させるこずが決
途䞭から先進囜垂堎をも暙的ずするように明確に倉曎さ
定された。加えお䞭囜生掻研究䞭心で開発したものを他
れた堎合も含む。逆にこの条件を満たさないものは偶
の新興囜で販売するこずは考えおおらず他の新興囜の生
発型ず呌ぶべきであろう。
掻研究所ずの連携はない。ここで䞻匵したいこずはこの
ここで留意すべきは珟地の研究開発機関で業務を
日本の責任者は䞭囜垂堎を暙的ずした商品䌁画を恒垞
行っおいるスタッフが暙的垂堎に先進囜も考慮するよう
的にチェックしおいる存圚なのであり先進囜に新興囜で
に指瀺される必芁はないずいうこずである。逆に新興囜
のむノベヌションを逆波及させようず恒垞的にチェックし
垂堎のニヌズのくみ取りを怠るこずはリバヌスむノベヌ
おいるメカニズムずは芋なせないずいうこずである。新興
ションの実珟からは遠ざかっおしたう。なぜならリバヌ
囜向けの研究開発の内実を理解する個人や組織の突発
スむノベヌションずは新興囜独自のニヌズをくみ取るこず
63
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
先進囜䌁業によるリバヌスむノベヌションの可胜性
的な刀断で新興囜でのむノベヌションを先進囜ぞず逆
ロヌカルフィット゜リュヌションずいうのも今埌重芁ずなっ
波及させるこずを偶発型リバヌスむノベヌションずし誘導
おくるず思われるがそのためには珟地のニヌズを䞊手く
型リバヌスむノベヌションず区別するこずが可胜であるず
吞い䞊げられる人材やネットワヌクの構築が需芁になる。
考える。そしお偶発型リバヌスむノベヌションよりも誘導
東芝トペタ自動車本田技研工業などの倧手日系メヌ
型リバヌスむノベヌションの方が倧きなむノベヌションを
カヌは䞭囜ずむンドに研究開発拠点は蚭けおいるもの
実珟する可胜性が高いず考えられる。この前提を螏たえ
の垂堎の现やかなニヌズの反映は実珟できおいないこず
リバヌスむノベヌションの䞭でも誘導型リバヌスむノベヌ
も倚いように芋受けられる。
ションを実珟させやすい商品を次項で探る。
同様に前述の GE ヘルスケアの䞭囜で開発された超
音波蚺断機ずむンドで開発された心電蚈も 4 ぀の特城を
持぀商品ずいえる。これらの商品はコストダりンによる
. 誘導型リバヌスむノベヌションの実珟可胜性が高い商
䜎䟡栌化のみならず携垯性やバッテリヌの利甚䜿い
品の特性
やすさメむンテナンスず修理の容易さなどの珟地特有の
恒垞的に先進囜ぞ逆波及させるメカニズムを蚭眮する
ニヌズを珟地人スタッフの提案によるニヌズのくみ取りに
動機が高い商品の特城ずしお以䞋の 4 ぀が挙げられる。
よっお生たれた
ゎビンダラゞャン・トリンブル, 2012。東
①専門品
芝メディカルシステムズの CTスキャナヌに芋られるよう
②グロヌバルスタンダヌド性胜が求められる商品
な新興囜で達成されたロヌコスト化の技術確保はGE
③既存技術の延長が垞に求められる商品
ヘルスケアの超音波蚺断機ず心電蚈に芋られる新興囜特
④既存技術の䟡栌䜎䞋が求められる商品
有の耇数のニヌズを反映させる取り組みぞの準備段階で
たず専門品は新興囜の消費者のうち先進囜の消
あるずも芋なすこずができる。
費者ず同じ所埗や嗜奜を持぀消費者には容易に受け入れ
オリンパスの内芖鏡事業の䟋はどうであろうか。筆者
られる可胜性が高い。しかし新興囜でのそのような消
の取材では先進囜䞭心の研究開発䜓制の䞭で新興囜
費者は限られ他の先進囜䌁業ずの激しいシェア争いに
向けの補品開発を実行しおいるが新興囜での普及目暙
晒される。そしお新興囜で垂堎芏暡を広げるためには倧
を達成できおいないずのこずであった。同瀟の新興囜向
胆なコストダりンが必芁ずなる。専門品はグロヌバルス
けの補品である
「アクセオン」は䟋えばむンドの奥地の町
タンダヌド性胜を備えるこずが商品開発の䞊で前提ずされ
医者などに向けお普及を目指しおいるが以䞋の問題があ
る堎合が倚い。それず同時に既存顧客のニヌズに応える
り実珟できおいないのが珟状のようだ。
既存技術の延長
Bower and Christensen, 1995) が垞に
①そもそも内芖鏡を䜿う高床医療が行われおいない
求められる。さらには既存の性胜を持぀商品の䟡栌䜎䞋
②内芖鏡を䜿いこなせない医者が倚い
も必芁ずされる。
③補品メむンテナンス䜓制が確立しにくい
東芝メディカルシステムズの䜎䟡栌普及型 CTスキャ
④䜎䟡栌化のために画質性胜をやや萜ずしたずころ先
ナヌはこれらの条件にすべおあおはたる。䜎䟡栌普及型
進囜需芁をずれなくなった
CTスキャナヌは䞀郚の高床医療を行う医療斜蚭のみが
先進囜においおもおおむね 10人に 1 人に限られおいる
䜿う専門品であり前述の 4 ぀の商品特城がある。しか
内芖鏡を扱える医垫は新興囜ではさらに皀な存圚だ。
し求められる医療の質は新興囜でも先進囜でも同じで
アクセオンは内芖鏡の普及が進んでいない囜に単機
あり珟段階でコストダりン以倖の新興囜のニヌズを補
胜化・䜎䟡栌化で珟地化を詊みた結果思うように垂堎
品に反映させるこずの必芁性は重芖されおいない。それ
を開拓できずに倱敗しおしたっおいるような印象を受け
ぞれの囜毎の医療事情や病院での蚺断事情を考慮した
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
る。
64
先進囜䌁業によるリバヌスむノベヌションの可胜性
オリンパスの内芖鏡は誘導型リバヌスむノベヌションの
に難しい。パナ゜ニック䞭囜で開発された陀菌機胜付掗
4 ぀の特城を朜圚的には持っおいる商品だずいえる。珟圚
濯機の堎合䞭囜人の
“倖の䞖界は非垞に汚い”ずいう独
の新興囜向けモデルがうたく普及しおいない珟状から脱
特の感芚を反映させた商品である。䞭囜人のこのような衛
华するためにはたず珟地での研究開発が必芁である。
生意識はいくら掗剀を入れおも機械で掗っただけでは
誘導型リバヌスむノベヌションになりやすい商品特城を持
䞍十分であり肌に觊れる䞋着は別に手掗いする行動に
぀内芖鏡で耇数の新興囜のニヌズをくみ取っお研究開
珟れおいた。この行動から通垞の掗剀では萜ちにくい菌
発が実珟されれば先進囜ぞの逆波及の可胜性も十分高
を陀菌する機胜を備えた掗濯機が生たれ䞭囜で普及し
いずいえる。
おいる。そしお日本にも逆波及させたわけだが
“ 極床
医療機噚業界は誘導型リバヌスむノベヌションの 4 ぀の
のきれい奜き”ずいう独特で现かいニヌズは他の垂堎では
特性を持぀商品が倚いので比范的リバヌスむノベヌショ
必芁ずされおいないこずが倚い。逆波及させる際に共通
ンを起こしやすい業界だず考える。さらに商品の特性の
ニヌズが芋぀けづらいのである。このような商品に察しお
他にも医療業界においおリバヌスむノベヌションを誘導し
は恒垞的に逆波及させようずチェックするメカニズムを
やすい理由がある。それは逆波及先である先進囜偎の
蚭眮する動機が䜎く偶発型リバヌスむノベヌションにな
医療機噚の消費者の賌買力が新興囜の消費者ず同皋床
りやすいずいえる。
である堎合があるからである。䟋えばアメリカは保険制
床が敎備されおおらずそのため医療斜蚭の栌差が倧き
Ⅳ. 誘導型リバヌスむノベヌションの制限芁因ず
い囜であるず思われる。そのため各病院の賌買力に栌
差がありこの珟状は新興囜の垂堎ずさほど倉わらない
その克服
可胜性がある。先進囜アメリカであっおも朜圚的ずは蚀
誘導型リバヌスむノベヌションを実行するにあたり先
わず医療機噚の䜎䟡栌普及機皮ぞの新興囜ず倉わらな
進囜䌁業は以䞋のリスクを考慮する必芁があるず考えら
い需芁がしっかり存圚しおいるず考えられる。
れる。
. 偶発型リバヌスむノベヌションになりやすい商品の特
カニバリれヌションのリスク
性
新興囜で生たれたむノベヌティブな補品を先進囜ぞず
リバヌスむノベヌションが商品の特性䞊起こるこずが
逆波及させる際には収益の倧きな既存補品ずのカニバ
皀である新興囜の珟地向けの商品が突発的に逆波及す
リれヌションが起こる可胜性がある。東芝メディカルシス
る偶発型リバヌスむノベヌションずなりやすい商品の特城
テムズではカニバリれヌションに察凊するために商品䌁
ずしお以䞋の 2 ぀が挙げられる。
画の最初の段階から考慮され入念な話し合いのもず
①最寄品及び買回り品
投入時期を決定する。そのようにするこずで圱響を極力
②珟地の文化によっお䜿甚方法や嗜奜が倧きく異なる商
抑える努力が必芁である。
品
パナ゜ニックの䞭囜生掻研究䞭心で研究開発されおい
る家電がその䟋である。もずもず単䟡が専門品のように
技術流出のリスク
高䟡でないため賌買力の䜎い新興囜の消費者が最初か
新興囜で研究開発を行うず自瀟技術の挏えいの可胜
ら察象顧客に含たれおいる。加えお珟地特有のニヌズを
性が高たる。前述の䞭囜のトペタによるず䞭囜で開発
くみ取った商品は先進囜ぞ逆波及させるこずが基本的
するには今埌技術流出の問題を乗り越える必芁があ
65
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
先進囜䌁業によるリバヌスむノベヌションの可胜性
るずいう。確かに新興囜での技術流出は先進囜䌁業に
地で研究開発する先進囜䌁業であればステヌゞにあ
ずっお死掻問題である。䞀方東芝メディカルシステムズ
たる新興囜固有のむノベヌションの実珟は可胜であるから
では技術流出を防ぐためにコア技術を芁する䜜業は日
である。新興囜でむノベヌションが生たれるには前述の
本で行う。倧連ぞは完成したコア郚品を送り倧連では
䞭囜やむンドの䜜り手や消費者の
“その堎しのぎ”の創造
珟地調達した郚品ずずもに組み立お䜜業を行っおいる。
や行動からいかに良いポむントや真のニヌズのみを培底
倧連での技術はすでに競合他瀟も䜿甚しおいるような技
的に芋極め反映させ掗緎された商品ずしお仕䞊げお
術であるため技術挏えいは防げるそうだ。しかし東芝
いくかがポむントである。Drucker (1985) はむノベヌショ
メディカルシステムズもいずれは倧連医甚機噚開発セン
ンは富を創造する胜力に資源を䞎えるのであり人が利
タヌにロヌコスト化のみならず䞭囜向けの補品開発を行
甚方法を芋぀け経枈的な䟡倀を䞎えない限り䜕ものも
う必芁が生じた堎合には技術流出察策をさらに匷化し
資源ずはなりえないず述べる。先進囜䌁業の䞭でも特に
なければならないかもしれない。
歎史ある倧䌁業においおは長幎の経隓から新興囜固有
の資源の掻甚に長けおいるず思われる。
二぀目の理由は先進囜䌁業が前述の誘導型リバヌ
人材流出のリスク
スむノベヌションの実珟可胜性が高い 4 ぀の特性を持぀
人材流出も被進出囜が流動的な劎働垂堎であるであ
商品の研究開発に新興囜を掻甚するこずで開発分担およ
る堎合には䌁業掻動の足かせずなる。東芝メディカルシス
び先進囜垂堎での砎壊的むノベヌションを期埅できるか
テムズではか぀おは䞭囜では教育しおも数幎でやめお
らである。先進囜の研究開発拠点では既存技術の延長
同業他瀟からヘッドハンティングされおしたう䟋が倚かっ
のみに泚力する傟向が匷い。䞀方䜎䟡栌で限られた機
たずいう。察策ずしおは絊䞎を䞊げるこず管理者を珟
胜を持぀商品ぞの䞀定の需芁が期埅される新興囜は先
地人にするこず昇進プロセスを明確にするこずなどの制
進囜䌁業がそのような商品を研究開発に泚力しやすい環
床面の拡充ず仕事を通じおやりがいを高めるなどであっ
境であるずいえる。
たずいう。たたこれから珟地での゚ンゞニア採甚を増や
䞉぀目の理由は先進囜䌁業はステヌゞ 3 を実行しや
す方針を決めおいる東芝むンド瀟においおも人材流出は
すい立堎にあるからである。先進囜䌁業は先進囜垂堎で
課題ずなっおいる。日本ぞ転勀する昇進プランなど瀟内
すでにブランドずしお䞀定の信頌がある堎合も倚く販売
での次のステップを明確にしスタッフの愛瀟粟神や誇り
網も持぀ため新興囜で採甚されたむノベヌションを容易
を逊うこずが倧切だずいう。
に逆波及させ埗る。先進囜䌁業は先進囜偎の瀟䌚倉化を
芋極め新興囜発のむノベヌションを逆波及させる力を珟
段階で十分に持っおいるず考えられ新興囜䌁業よりもそ
â…€. 結論
の点に関しおはリバヌスむノベヌションの実珟は優䜍であ
先進囜䌁業は誘導型リバヌスむノベヌションを実行す
る。
る䟡倀がある。
ここたで先進囜䌁業によるリバヌスむノベヌションの掻
甚性に぀いお蚀及しおきたが結論ずしおは先進囜䌁
限界ず今埌
業が誘導型リバヌスむノベヌションを起こせる可胜性は高
本論文には 3 ぀の倧きな限界ず今埌のさらなる研究の
く先進囜䌁業にずっおメリットがあるず思われる。
必芁性が挙げられる。
䞀぀目の理由は新興囜の地堎の䌁業でなくずも珟
䞀぀目の限界は事䟋が䞍足しおいるこずである。未だ
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
66
先進囜䌁業によるリバヌスむノベヌションの可胜性
リバヌスむノベヌションを達成した事䟋が非垞に限られお
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謝蟞
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Create Far from Home, Win Everywhere , Allston:
ペタ䞊海支瀟の蟻村春暹氏パナ゜ニック
䞭囜有限公叞の王仁
Harvard Business School Pr.小林喜䞀郎解説枡郚兞子蚳
氏Honda Cars India Ltd. 瀟の藀井広䞀郎氏公益財団法人医療
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NNA.むンド. 参照先 : NNA.ASIA: http://nna.jp/free/
瀟の山岡正雄氏INFOBRIDGE 瀟の繁田奈歩氏Market Xcel
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Data Matrix Pvt. Ltd 瀟の R.Vishal Oberoi 氏をはじめずする
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取材に協力しおくださったすべおの関係者の方々に深く感謝を申し
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ど 珟地ニヌズ取り蟌み」電子版。
a ffordable, good- enough products .”TH E ART OF
日本経枈新聞
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11 面。
67
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
オヌラルセッション ― 報告抂芁
情報革呜によるBtoBマヌケティング・
コミュニケヌションの倉化ず
経隓䟡倀の蚎求
青山孊院倧孊倧孊院 囜際マネゞメント研究科 博士課皋
青山孊院倧孊倧孊院 囜際マネゞメント研究科 教授
山口 平八郎
井田 昌之
芁玄
組織間ビゞネスであるBtoB は情報革呜ずずもに発展した。この BtoB におけるマヌケティング・コミュニケヌションはそ
の本質の解明もたた倉化の朮流もただ十分に解析されおいるずはいえず本報告はこの領域に関するものである。
本報告では産業の倧芏暡な倉革である20 䞖玀初頭の米囜産業革呜および今日の情報革呜に共通する着県点を芋いだ
しそれらを俯瞰し次にBtoB におけるマヌケティング・コミュニケヌションに぀いお経隓䟡倀の蚎求ずいう芳点でその
像ず倉化の朮流をずらえるこずができるこずを瀺しおいる。たた実䟋に基づき経隓䟡倀によるBtoB のクロスメディアマヌ
ケティングの有効性を確認しようずしおいる。
キヌワヌド
情報革呜BtoBマヌケティング・コミュニケヌション賌買プロセスモデル経隓䟡倀
本報告では情報革呜の革新技術である情報通信サヌ
マヌケティング・コミュニケヌションは時代ずずもに倉化
ビスの円滑な䌁業ぞの導入に向けた BtoB マヌケティン
する芁玠を持っおいる。特に組織間ビゞネスであるBtoB
グ・コミュニケヌションの有効性に぀いお述べおいる。具
は情報革呜ずずもに発展したのでBtoB におけるマヌケ
䜓的には革新技術によっお倧芏暡な倉革のあった第䞀
ティング・コミュニケヌションはその本質の解明もたた
次産業革呜期を振り返り今日の産業革呜期ず察比的に
倉化の朮流もただ十分に解析されおいるずはいえない。
解析するこずでマヌケティング・コミュニケヌションの倉
よっお匕き続きBtoBビゞネスにおける賌買刀断基準
化に぀いお述べ次に顧客に遞ばれる䟡倀すなわち経
である経枈合理性を察象に経隓䟡倀に察する理論化に
隓䟡倀の定矩を明確にするずずもにそれを組み入れた
基づくアプロヌチ法に぀いお及び組織の賌買プロセス
BtoB におけるマヌケティング・コミュニケヌションの有
モデルの理論の確立に぀いお研究を進めおいきたい。
効性を論じおいる。有効性の怜蚌にあたっおは情報革
呜の革新技術を取り扱う情報通信産業 A 瀟を取り䞊げ
参考文献
情報凊理・情報䌝送技術の導入の効甚である経隓䟡倀
浅井慶䞉郎・枅氎滋
1998
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を様々なメディアず人間ずの有機的な連動を行うクロス
阿久接 聡・石田 茂
2002
『ブランド戊略シナリオ―コンテクスト・
ブランディング』ダむダモンド瀟。
メディアマヌケティングにおいお展開した事䟋を扱っおい
岡本慶䞀
2004
「ブランドず経隓䟡倀」青朚・恩蔵盎人
『補品・ブ
る。A 瀟の事䟋では顧客䌁業に察する玄 1,500 件のア
ランド戊略』有斐閣アルマpp.205。
ンケヌト結果においお玄 9 割がA 瀟の取り組みに察し
小原博
2012
『アメリカ・マヌケティングの生成』䞭倮経枈瀟。
満足しおいるず回答しおいる。情報凊理・情報䌝送技術
坂本枅
2012
「フォヌドシステムず分業の機胜の科孊化
1」
『経営
研究』63
3pp.133-160。
分野での経隓䟡倀によるBtoB のクロスメディアマヌケ
ティングは有効性があるず考えおいる。
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
68
情報革呜による BtoB マヌケティング・コミュニケヌションの倉化ず経隓䟡倀の蚎求
霋藀雅通
2005
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堀田䞀善
2003
『マヌケティング思想史の䞭の広告研究』日本経枈
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田䞭掋
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『消費者行動論䜓系』䞭倮経枈瀟。
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2013 幎 9月29 日最終確認。
平山匘
2007
『ブランド䟡倀の創造』晃掋曞房。
䜙田拓郎
2011
『BtoB マヌケティング』東掋経枈新報瀟。
䜙田拓郎
2000
『カスタマヌ・リレヌションの戊略論理』癜桃曞房。
山口平八郎・進藀矎垌
2012
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ケティングコミュニケヌション方法論の提案―情報通信サヌビ
スの賌買プロセスの事䟋分析―」
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幎 11 月第 58 号pp.2-19。
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山 口 平 八 郎・ 井 田 昌 之
2013
“THE BACKGROUND OF
TH E BI RTH OF A I DA”
I nternat iona l C onference
E N T E R P R I S E C H A L L E N G E : I M P ROV I N G S M E
COMPETITIVENESS Proceedings of ICECH2013 in
HANOIpp.501-507
69
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
オヌラルセッション ― フルペヌパヌ
新垂堎の圢成期における補品開発
― 高玚炊飯噚垂堎の事䟋研究 ―
滋賀県立倧孊 人間文化孊郚 生掻デザむン孊科 助教
宮尟 孊
芁玄
近幎コモディティ化の回避を目的ずしお新たな垂堎を圢成するマヌケティングが泚目を集めおいる。しかし垂堎はある
生産者の打ち手をきっかけにしお事埌的に圢成されるものであり特定の生産者がそれを自由にコントロヌルするこずは難し
い。本研究では新たな垂堎が圢成する局面をより深く理解するこずを目的に高玚炊飯噚垂堎の圢成を取り䞊げそこでの
新補品開発に぀いおの事䟋研究を行った。垂堎を圢成するきっかけずなった補品ず埌に続いた補品の開発プロセスを比范した
結果圓初の垂堎の認識には倧きな違いはないもののそのあずのプロセスが異なるこずを芋出した。技術の瀟䌚的圢成アプ
ロヌチによる分析によればこの違いは䞻䜓の行為物的存圚および構造的芁因の結び぀きの違いずしお描くこずができた。
これらのこずから新たな垂堎を圢成する補品の開発においおは他の䞻䜓物的存圚あるいは構造的芁因を利甚しお既
存の垂堎ずの結び぀きを匱める必芁があるこずが瀺唆された。
キヌワヌド
垂堎の圢成新補品開発技術の瀟䌚的圢成事䟋研究炊飯噚
Ⅰ. はじめに
避するために新垂堎を圢成するこずを䌁図したずしおも
それを事前にすべお蚈画するこずは難しい。
近幎既存垂堎のコモディティ化を回避する方法ずし
本研究ではある垂堎が圢成された局面を取り䞊げ
お新垂堎の創造が泚目を集めおいる
Christensen and
その過皋での補品開発を詳现に怜蚎する。これを通じ
Raynor, 2003; Kotler and de Bes, 2003; 楠朚・阿久接 ,
お新たな现分化垂堎が圢成される局面に぀いお我々の
2006。コモディティ化ずはある垂堎における補品間の
理解を深めるこずが本研究の目的である。
差別化芁因が少なくなり䟡栌競争が激化するこずをいう
本皿の構成は以䞋のずおりである。次節では先行研
延岡 , 2006; 恩蔵 , 2007
。コモディティ化を回避するた
究レビュヌを経お詳现な研究課題を瀺す。次に本研究
めには新たな差別化芁因を芋出し競争のない新たな
で甚いる分析枠組みを提瀺する。そのうえで事䟋研究
垂堎を圢成するこずが有効だず考えられおいる
Kim and
を行いそこからの発芋事項ずそれに぀いおの考察を瀺
Mauborgne, 2005
。
す。最埌に結論を述べお本皿をしめくくる。
しかし生産者にずっお新たな垂堎を䜜り出すこずは容
易ではない。その理由の1぀が垂堎圢成の事埌性であ
Ⅱ. 先行研究レビュヌ
る。通垞垂堎は现分化されおいるがその现分化垂堎
は生産者ず消費者が盞互䜜甚を繰り返した結果ずしお圢
生産者ず消費者が出䌚い取匕を行う堎である垂堎
成される
Rosa, et al.1999
。換蚀すれば新たな垂堎
は通垞いく぀かの䞋䜍垂堎に现分化されおいる
Day,
は事前にそこにあるものずいうよりはある生産者の打ち
Shocker and Srivastava, 1979。现分 化垂堎は生産
手
䟋えば新補品の発売をきっかけに消費者ず生産
者が競争盞手を把握したり
Porac et al., 1995消費者
者が盞互䜜甚するこずで事埌的に圢成されるものだずい
が賌買時に商品を遞択する際の足堎ずしお機胜しおいる
えよう。であるならばある生産者がコモディティ化を回
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
70
新垂堎の圢成期における補品開発―高玚炊飯噚垂堎の事䟋研究―
Ⅲ . 分析枠組み
Shocker, et al.1991
。たた新補品開発にあたっおは
垂堎を现分化しタヌゲットずする消費者を特定したうえ
本研究では事䟋の分析枠組みずしお
「技術の瀟䌚的圢
でその消費者のニヌズを知り競合ず差別化するこずが求
成アプロヌチ」を採甚する。
められる
Kotler and Keller, 2006
。
技術の瀟䌚的圢成は技術決定論を吊定し技術の内
近幎现分化垂堎に関する議論においおは構築䞻矩
容を明らかにするずずもに技術ず瀟䌚の動的な盞互䜜甚
的芖座による研究が泚目を集めおいる。構築䞻矩的芖座
を明らかにしようずする研究領域である
MacKenzie and
においおは现分化垂堎は客芳的な実圚物ずいうよりも
Wajcman, 1999; Williams and Edge, 1996
。そこに含た
生産者ず消費者が盞互䜜甚を繰り返すこずによっお共有
れる研究矀は技術ず瀟䌚の耇雑な盞互䜜甚を研究察象
した認識枠組みであるずみなされる
Rosa, et al.1999。
ずしある技術ず瀟䌚の関係が圢成されたプロセスを瀟
このような芖座によれば现分化垂堎はすでにある実圚
䌚から技術ぞの圱響および技術から瀟䌚ぞの圱響の
物ずいうよりも生産者の打ち手によっお構築しうるものず
䞡偎面に配慮しながら解き明かすずいう関心を共有しお
みなすこずができる。換蚀すれば生産者は様々なマヌ
いる。
ケティング掻動によっお新たな垂堎を圢成し競争を有利
近幎この技術の瀟䌚的圢成の研究矀から技術ず瀟
に運ぶこずが可胜ずなるのである
Kim and Mauborgne,
䌚を研究するための方法―研究アプロヌチ―を抜出する
2005。
詊みがなされおいる
原 , 2007; Sørencen, and Williams,
しかし新たな垂堎を圢成するのは容易ではない。
2002
。原
2007はこの研究アプロヌチを
「技術の瀟䌚
生 産 者は䞍 確 実性の高 い 新たな垂 堎ではなく既
的圢成アプロヌチ」ず呌び
1䞻䜓による技術の柔軟な
存の垂堎で顕圚 化しおいる需芁に応える傟向にある
解釈ずその垰結
2物的存圚による䞻䜓の制玄技術の
Christensen, 1997
。たた新たな垂堎は生産者の打ち
慣性および物的存圚の倉化
3構造による䞻䜓の制玄
手に察しお事埌的に圢成されるため新補品の開発時に
ず䞻䜓の行為による構造の圢成ずいう3 ぀の芖点にも
そのすべおを蚈画するこずは困難である
石井1998
。で
ずづき技術ず瀟䌚の動的な盞互䜜甚を説明するものずし
あるならば新たな垂堎を圢成する補品を開発した組織
おいる。
はいかにしおこれらの壁を乗り越えたのだろうか。近
本研究では補品開発ず垂堎の関係を技術ず瀟䌚の動
幎新しい垂堎を圢成するような革新的な補品開発にお
的な関係の1぀ずみなす。そのうえである垂堎の圢成ず
いおは事前にすべおの情報を集めお合理的に刀断する
その過皋での補品開発を
1補品開発およびその補品
のではなく手に入る限られた情報にもずづいお開発が
を導入する垂堎に係る䞻䜓の行動・解釈・盞互䜜甚
2
すすめられるこずが指摘されおいる
Brettel, et al.2012;
䞻䜓の行為ず生み出される補品ずの関係そしお
3䞻䜓
栗朚・氎越・吉田 , 2012
。しかしこのような事䟋の研
の行為ず垂堎構造ずの関係ずいう3 ぀の芖点から分析
究は端緒に぀いたばかりであり我々の知識は未だ限ら
する。これたでの構築䞻矩的芖座による垂堎の研究は
れおいる。そこで本研究では新たな垂堎が圢成する局
生産者ず消費者の盞互䜜甚による認識枠組みの共有に泚
面に぀いおの理解を深めるこずを目的ずし垂堎が圢成す
目しおきたが
Rosa et al.1999技術の瀟䌚的圢成ア
る過皋における新補品開発を取り䞊げ詳现な事䟋研究
プロヌチによる研究はそこに技術的な偎面からの説明
を行うこずを課題ずする。
を加えるこずで補品開発ず垂堎のダむナミクスをより詳
现に解き明かすこずが期埅できる
宮尟2009
。
71
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
新垂堎の圢成期における補品開発―高玚炊飯噚垂堎の事䟋研究―
Ⅳ. 事䟋研究
コヌドずしお抜出し時系列に沿っお事䟋ずしお再構築し
た 2。たたその䜜業に䞊行しお技術の瀟䌚的圢成アプ
1. 事䟋の遞択ず研究方法
ロヌチに沿った分析を行った。すなわちむンタビュヌ
本研究では高玚炊飯噚ずいう新たな垂堎が圢成さ
デヌタおよび 2 次資料から䞻䜓の行為䞻たる構造的芁
れた事䟋を取り䞊げその過皋で発売された 4 ぀の補品
因䞻たる物的存圚をコヌドずしお抜出し事䟋の蚘述に
の開発プロセスに぀いお怜蚎を行った。炊 飯噚の平均
反映させるずずもにその盞互䜜甚を分析した。
単䟡は 1990 幎代埌半から 2000 幎代にかけお䞋がり続
けおいたが2006 幎の高玚炊飯噚の登堎によっお䞊昇
に転じた。このこずから高玚炊飯噚の垂堎はコモディ
2. 背景
ティ化の回避ずいう問題意識に適した事䟋だず考えた。た
炊飯噚は日本で最も䞀般的な家電補品のひず぀であ
た開発事䟋ずしおは䞉菱電機株匏䌚瀟
以䞋䞉菱電
る。1955 幎に東芝から党自動匏の電気炊飯噚が発売さ
機の
「本炭釜 NJ-WS10」
タむガヌ魔法瓶株匏䌚瀟
以
れお以来炊飯噚垂堎では家事の省力化ずご飯の味の
䞋タむガヌ魔法瓶の
「土鍋 IH 炊飯ゞャヌ炊きたお
向䞊を目指しお倚くの家電メヌカヌによる競争が繰り広
JKF-A」
象印マホヌビン株匏䌚瀟
以䞋象印の
「圧力
げられおきた 3。しかし2000 幎代に入り幎間出荷台数
IH 炊飯ゞャヌ『極め炊き』NP-SA10」
およびシャヌプ株
600 䞇台幎間出荷金額 9 億円で垂堎はほが暪ばいずな
匏䌚瀟の
「ヘルシオ炊飯噚 KS-PX10A」を取り䞊げた。こ
り平均単䟡も15,000 円皋床に䜎迷しおいた
図 2
。
れらは高玚炊飯噚垂堎の圢成初期の補品およびその
そのような䞭䞉菱電機は 2006 幎 3月に
「本炭釜 NJ-
埌に続いた補品であり事䟋間の比范に適圓であるず考
WS10」をメヌカヌ垌望小売䟡栌 115,000 円で発売した。2
えた。事䟋で取り䞊げた補品の開発期間および発売時
䞇円や 3 䞇円の補品が䞻流で高䟡栌のものでも7 䞇円
期は図 1のずおりである。
皋床の炊飯噚垂堎においお10 䞇円を超える䟡栌の補品
事䟋研究のデヌタは開発に携わった関係者ぞのむン
は競合メヌカヌ流通そしお消費者に驚きをもっお迎
タビュヌ および新聞雑誌䌁業のニュヌスリリヌス等
えられた 4。䞉菱電機の本炭釜は欠品が発生するほど消
の 2 次資料を利甚するこずにより収集した。デヌタから補
費者に奜評だったためその埌他のメヌカヌも次々ず高
品開発および関係者の垂堎認識に関連するテキストを
䟡栌の炊飯噚を発売しおいった 5。かくしお高玚炊飯噚
1
ずいう新たな垂堎が圢成されたのである 6。
図ヌ 1 事䟋研究に取り䞊げた補品の開発期間ず発売時期
2003
2004
2005
2004幎2月
2006
2007
2008
2009
2010
2012
2011
2006幎3月
䞉菱電機「本炭釜」
2003幎ごろ
2006幎9月
タむガヌ魔法瓶「土鍋釜」
2009幎1月
2010 幎9月
象印「極め矜釜」
2007幎ごろ
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
72
2012 幎10月
シャヌプ
「ヘルシオ炊飯噚」
新垂堎の圢成期における補品開発―高玚炊飯噚垂堎の事䟋研究―
200,000
20,000
8,000
160,000
16,000
6,000
120,000
4,000
80,000
2,000
40,000
幎間出荷台数
垂堎芏暡
2010
2008
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
1990
1988
1986
1984
1982
1980
0
1978
0
12,000
8,000
平均単䟡円
10,000
垂堎芏暡癟䞇円
幎間出荷台数千台
図ヌ 2 炊飯噚垂堎の掚移
4,000
0
幎床
平均単䟡
出所日本電機工業䌚および䞉菱電機より入手したデヌタにもずづき筆者䜜成
こそ䟡倀がある」ず解釈しナヌザヌに察しお
「貎重な補
3. 䞉菱電機による本炭釜の開発
品なので䞁寧に扱っおください」ず説明するこずで補品の
本炭釜 NJ-WS10 は2006 幎 3月に䞉菱電機が発売し
䟡倀を高める戊略をずった。マヌケティングを担圓した宮
た内釜の玠材に玔床 99.9% の炭玠を甚いた炊飯噚であ
厎は次のように話しおいる。
る。炭玠は誘導加熱方匏
Induction Heating: IH 方匏
に適した玠材であるため埓来の金属補の内釜に比べお
宮厎割れるものなんかを工業補品ずしお出しちゃいかん
匷い火力での炊飯が可胜ずなる。そのため米のでんぷ
ずいうのは本圓に垞識なのです。だけどそこで発
んの分解がすすみ甘味を持った矎味しいご飯を炊くこ
想を転換しお本物だから割れるんですよ倧切に
ずができる。
䜿っおくださいねず蚀っお売ればいいじゃないで
䞉菱電機䜏環境研究開発センタヌの長田が内釜を炭
すかずいうふうに頭を切り替えるこずができた
で䜜るずいうアむデアを埗たのは 2004 幎 2 月のこずであ
んですね。
る。あるテレビ番組で炭補の鍋が玹介されおいたのを芋
た長田は炭でできた釜でご飯を炊けばきっずおいしい
もう1぀の問題は内釜の生産性の䜎さだった。原材
ご飯が炊けるず考えた。炭玠補の内釜を補造できるメヌ
料の焌成切削による成圢などに時間がかかるため炭
カヌを探し出し詊䜜品を䜜っおご飯を炊いおみるず非垞
玠補の内釜の生産リヌドタむムは玄 5 か月で月間の生産
に矎味しい。消費者調査の結果も良奜で開発を進める
台数も1,000 台が限床だった。このような事情による欠品
こずずなった。
を防ぐため開発チヌムはプレスリリヌスを䞭止せざるを
この補品の開発では開発チヌムは䞻に 2 ぀の課題に
埗なかった。たた䜜業に時間ず手間がかかるため内釜
盎面するこずになった。1぀は炭玠補の内釜が割れやす
の生産コストは非垞に高いものになったずいう 8。
いずいう問題だった7。しかし開発チヌムは
「割れるから
詊䜜品が完成した 2005 幎の終わりごろ開発チヌム
73
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
新垂堎の圢成期における補品開発―高玚炊飯噚垂堎の事䟋研究―
は流通䌁業
家電量販店などぞ補品をプレれンテヌショ
栌な補品ではたったくシェアをずれおいなかった。すなわ
ンした。このずき流通䌁業から䟡栌を䞊げおも売れるず
ち利益率の䜎い商品が事業の䞭心になっおおり利益
いう指摘があったずいう。圓初開発チヌムは炭玠補の
の出にくい状態になっおいたのである。
内釜の補造コストを螏たえおその圓時垂堎で販売され
なんずかしおこの状況を打砎しようず考えた゜リュヌ
おいた炊飯噚の䞭でもっずも高䟡なものず同皋床8 侇
ショングルヌプ 9は消費者ぞのアンケヌト調査を行った。
円皋床の䟡栌を想定しおいた。しかし流通䌁業のマネ
キヌワヌドをいく぀か提瀺しどれがもっずもおいしいご
ゞャヌからは 10 䞇円前埌でも売れるのではないかず提
飯を連想するかずいう調査を行ったのである。その結
案されたのである。
果もっずもおいしくご飯が炊けそうだず評䟡されたもの
この流通䌁業からの提案は開発チヌムの考え方を
が
「土鍋」だった。
倧きく倉えるこずずなった。10 䞇円を超えるような䟡栌の
この調査から土鍋を炊飯噚に採甚するずいうアむデ
炊飯噚が備えるべき特城はどのようなものなのか。開発
アは生たれたもののそれが開発の軌道に乗るたでには
チヌムは様々なアむデアを出し梱包する際に本䜓を䞍織
倧倉な困難があった。土鍋は電流を通さないためIH によ
垃補の袋に入れる内釜 1぀ひず぀に固有のシリアル・ナ
る加熱ができないのは明らかであるし寞法がばら぀くの
ンバヌを入れる内釜に曞家の把莫山氏の曞で
「本炭釜」
が圓たり前で家電補品の品質管理に察応できるずも思
ずレヌザヌ印字するずいった工倫が採甚された。
えない。ずころが展瀺䌚などで様々なメヌカヌを探玢し
かくしお2006 幎 3月に䞉菱電機は本炭釜を発売した。
た結果高い寞法粟床で土鍋を補造できるメヌカヌが芋
発売圓初䞉菱電機は月産 1,000 台皋床を芋蟌んでいた
぀かった。たた土鍋の呚囲に導電性のある玠材を塗垃
が売䞊は予想を超え発売から半幎で 10,000 台を超え
するこずでIH による加熱も可胜であるこずが分かった。
た。
その埌も技術開発は難航したが土鍋を炊飯噚の内釜に
採甚するこずの目途はたった。
゜リュヌショングルヌプでは販売促進に取り組むため
4. タむガヌ魔法瓶による土鍋 IH 炊飯ゞャヌの開発
のプロゞェクト・チヌムを結成した。土鍋の補造コストを
土鍋 IH 炊飯ゞャヌ土鍋 IH 炊飯ゞャヌ炊きたお
考えるず開発䞭の補品は圓時のタむガヌ魔法瓶の炊飯
JKF-Aは2006 幎 9月にタむガヌ魔法瓶が発売した陶
噚の䞭では最も高䟡栌なものになる。少しでも消費者に
噚補の内釜を備えた炊飯噚である。通垞の IH 匏炊飯噚
その䟡倀を感じおほしいず考えたプロゞェクト・チヌムは
の内釜は金属で䜜られおいるが土鍋 IH 炊飯ゞャヌの
「おひ぀セット」ずいう挔出を考案した。炊飯噚のパッケヌ
内釜は玠焌きの陶噚に釉薬をかけお焌成するずいう方
ゞを開けるず朚のしゃもじおひ぀のふたなべしきな
法で䜜られおいる。陶噚の内釜は蓄熱性が高いためは
どがセットで封入されおおりそれを䜿えば内釜の土鍋
じめはゆっくりず加熱し埐々に枩床を䞊げお炊き䞊げる
をそのたた食卓に出せるようにしたのである。
ずいう理想的な炊飯が可胜になるずいう。たた土鍋が
现かい氎蒞気の気泡を発生させるため炊きあがったご
金䞞おもおなしの感芚ですね。土鍋日本おもおなし
飯は空気を含んだふっくらしたものになるずいう。
ずいった日本人ならではの感性に響く買った人が
土鍋 IH 炊飯ゞャヌの開発がはじたったのは2003 幎
満足するようなこずをしようず考えたのです。圓時
のこずである。圓時のタむガヌ魔法瓶は炊飯噚の事業
はただ䟡栌蚭定を確定できおなかったのですが
に぀いお匷い危機感を抱いおいた。同瀟は垂堎で第 2
少なくずもタむガヌの䞭では䞀番高い商品になるだ
䜍のシェアを有しおいたが䜎䟡栌の補品が䞻流で高䟡
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
ろうずいうのがあったのでそれだけ高いものを
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新垂堎の圢成期における補品開発―高玚炊飯噚垂堎の事䟋研究―
買っおいただいたお客様に買っお良かったず思っ
象印による極め矜釜の開発は2009 幎 1月のプロゞェ
おいただこうず。
クト発足から始たった。圓時象印は 19,800 円や 29,800
円ずいった䟡栌の炊飯噚では高いシェアを誇っおいた。し
このようにプロゞェクトチヌムが発売の準備を進めおい
かし2006 幎 3月に䞉菱電機が
「本炭釜」を発売しお以
たころ2006 幎 3月に䞉菱電機が本炭釜を発売した。こ
降成長が芋られた高玚炊飯噚の垂堎には参入できおいな
の本炭釜の発売はタむガヌ魔法瓶にずっお奜機になった。
かった。この状況に危機感を抱いた商品䌁画郚長がお
これを受けお土鍋 IH 炊飯ゞャヌの䟡栌を芋盎すこずが
客様に本圓に満足しおいただける炊飯噚を䜜ろうずプロ
できたのである。圓時のタむガヌ魔法瓶の炊飯噚は最も
ゞェクトを発足させたのである。
高䟡栌のものでもメヌカヌ垌望小売䟡栌が 63,000 円だっ
プロゞェクトチヌムは
「おいしいご飯ずはどのようなもの
た。ずころがそのような䟡栌では土鍋の補造コストを考
か」をもう䞀床確認しようず考えかたど炊きでおいしい
えるず利益を確保するのが難しい。䞀方で経隓のない
ご飯を提䟛するずいう有名店の食べ歩きをおこなった。そ
高䟡栌を぀けるこずはリスクが倧きい。開発チヌムがこの
こで芋぀かったのが倧阪府堺垂にある
「銀シャリ屋 げこ
ようなゞレンマに盎面しおいたずころに本炭釜が登堎し
亭」である 10。プロゞェクトチヌムは店の䞻人に䟝頌し
たのである。開発チヌムは高䟡栌でもそれに芋合った
炊飯䞭の釜内の枩床枬定を行った。そのデヌタにもずづ
䟡倀があるず感じた消費者はその商品を買っおくれるのだ
いお炊飯プログラムを組み立おげこ亭の炊飯を炊飯噚
ず考えた。さらに販売店ずの商談でも䟡栌を䞊げおも
で再珟しようず考えたのだった。その他にも掗米の仕方
倧䞈倫ではないかずの意芋をもらった。かくしお土鍋 IH
や蒞らしのやり方などに぀いおも話を聞き様々なノりハ
炊飯ゞャヌはタむガヌ魔法瓶ではこれたでになかった
りを埗た。
84,000 円
メヌカヌ垌望小売䟡栌皎蟌ずいう高い䟡栌
䞀方でプロゞェクトチヌムは蚭蚈の怜蚎も進めおい
で発売されるこずになったのである。
た。その過皋で出おきたアむデアが昔ながらのかたどを
むメヌゞした矜釜を炊飯噚の内釜に採甚するずいうもの
だった。たたげこ亭でのデヌタ採取もこのアむデアを支
5. 象印による極め矜釜の開発
持しおいた。げこ亭の釜は浅くお広く矜釜が暪からの火
極め矜釜
圧力IH 炊飯ゞャヌ
『極め炊き』NP-SA10は
を受け止め均䞀に熱が䌝わるようになっおいたのであ
象印マホヌビン株匏䌚瀟が 2010 幎 9月に発売した炊飯
る。かくしお内釜は呚囲に矜を぀けた矜釜ずし釜の䞋
噚である。矜釜ずはかたどでご飯を炊く際に䜿甚する釜
からIH で加熱するずずもに暪から矜を通じおヒヌタヌ
のように呚囲にリング状の突起
矜が぀いた釜のこず
で加熱するずいうアむデアが固たった。
である。極め矜釜はこの矜釜の圢状を暡しおおり内釜
ずころが矜釜圢状の内釜を量産化するのにはかな
の呚囲に矜を぀けおいる。この矜を通じおヒヌタヌからの
りの困難があった。通垞の炊飯噚の内釜はアルミの板
熱が内釜の暪から䌝わるずずもに矜の䞋郚が空気を含
をプレスしお補造するが矜を぀けようずするずプレスで
んだ断熱局になるため釜党䜓を均䞀に加熱するこずが
成圢するこずはできない。そこで象印では溶かしたア
できる。たた内釜が䞀般的な炊飯噚ず比べお浅く広い
ルミを䜎圧で釜の圢状に成圢する溶湯鍛造ずいう手法を
圢状になっおいるためご飯が自重で抌し぀ぶされるこず
採甚した。溶湯鍛造で最終的な圢状よりも倧きく成圢し
がなくふっくらずしたご飯が炊きあがる。このためたる
工䜜機械で矜釜の圢状に削り出すのである。そのうえで
でかたどで炊いたようなおいしいご飯を炊くこずができる
内釜の倖面には IH に反応するためのメッキを内面には
ずいう。
フッ玠コヌティングを斜し内釜が完成する。開発チヌム
75
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
新垂堎の圢成期における補品開発―高玚炊飯噚垂堎の事䟋研究―
は委蚗先の工堎ず協力しながら鍛造の品質安定性や
䞉菱電機の本炭釜が重芁な圹割を果たしたずシャヌプの
削り出しの寞法安定性ずいった問題をクリアし安定しお
田村は話しおいる。
生産する方法を確立しおいった。
象印は 2010 幎 9月に極め矜釜を発売した。メヌカヌ垌
田村
炊飯噚の1,000 億のマヌケットずいうのは非垞
望小売䟡栌は 115,500 円
皎蟌でこれたでの象印の炊
に日本の䞭では魅力的ですし倧きなマヌケット
飯噚ずは䞀線を画す高い䟡栌を぀けるこずずした 。同
ですけどもタむガヌ魔法瓶さんずか象印マホヌ
瀟の補品ずしおはこれたでにない高い䟡栌ではあったが
ビンさんずいう専業のメヌカヌさんもいらっしゃる。
開発担圓者は売れる自信はあったずいう。結果ずしお極
非垞にコンペティションの厳しい参入障壁が逆に
め矜釜は象印の想定を超えたヒット商品ずなった。圓初
蚀うず高いです。だから魅力的ですがやはりプ
は幎間で 3 䞇台の販売ずいう目暙を立おたが予想以䞊
レヌダヌが倚いのでなかなか入りにくいず蚀えば
に売れ行きがよく9 か月でこの目暙を達成しおしたったの
入りにくいわけです。でもそれを䞉菱電機さんが
である。
本炭釜その 3 幎埌に出されたした蒞気レスいわ
11
ゆるむノベヌションで乗り越えられたわけです。ず
いうこずはやり方次第ではチャンスありかなずい
6. シャヌプによるヘルシオ炊飯噚の開発
うこずで
「これはやろう」ず決心したした。
ヘルシオ炊飯噚 KS-PX10A はシャヌプが 2012 幎 10
月に発売したゞャヌ炊飯噚である。ヘルシオ炊飯噚は
開発チヌムが次に考えなければならなかったのは炊
炊飯噚のふたに
「かいおんナニット」ず呌ばれる機構が蚭
飯噚の補品コンセプトである。開発チヌムは他瀟ず同様
眮されおおり掗米炊飯のプロセスで米を撹拌するこず
に炊いたご飯のおいしさを远求しようず考えたが圌らが
ができる。このかいおんナニットは1米の衚面にある栄
ずった技術的なアプロヌチは異なっおいた。このころたで
逊成分を残しお掗米する2炊飯䞭に撹拌するこずで炊
に内釜の工倫によっおおいしいご飯を远求するずいう業
きムラをなくす3炊飯䞭に発生する泡を消しお吹きこが
界動向は明らかになっおいた 1 2。しかし開発チヌムが
れを抑え匷い火力で炊飯するずいう機胜を持っおい
ずったのはご飯の炊きムラをなくすこずでおいしいご飯
る。このためヘルシオ炊飯噚は栄逊成分が豊富でおい
を炊くずいう方法だったのである。シャヌプは 2004 幎
しいご飯を炊くこずができるずいう。
から電子レンゞの技術を応甚した業務甚の炊飯噚を販売
シャヌプの調理システム事業郚が炊飯噚垂堎に泚目し
しおいたのだがこの補品は倧量のご飯を炊いおも炊きム
はじめたのは 2007 幎ごろのこずだった。圓時シャヌプ
ラがないず奜評だった 1 3。開発チヌムはこの経隓にもず
は䞻力ずしおいた液晶テレビの事業で苊戊を匷いられお
づいお炊きムラをなくすこずこそがおいしいご飯を炊く
おりそれ以倖の事業機䌚を暡玢し始めおいた。そのよ
秘蚣だず考えたのである。
うな䞭で調理システム事業郚が泚目したのが炊飯噚
さらにシャヌプはおいしいだけではなく健康にも良
垂堎だった。しかしプロゞェクト・チヌムは炊飯噚垂堎
いご飯を炊くこずができるずいうコンセプトを考案した。
ぞの参入は容易ではないこずにも気づいおいた。炊飯噚
2009 幎の倏ごろ開発チヌムが調理システム事業郚の
垂堎で高いシェアを誇っおいたのは象印やタむガヌ魔法
事業郚長にプレれンテヌションを行ったずころ他瀟ず同
瓶であり調理家電に特化しおいるために競争力が高い。
じ
「ご飯のおいしさ」だけで勝負するのは難しいためお
぀たりシャヌプのような総合家電メヌカヌにずっお炊飯
いしさず健康を䞡立させるコンセプトを怜蚎せよず指瀺
噚垂堎は参入しにくいのである。
が出たのである。シャヌプはりォヌタヌオヌブン
「ヘルシ
このような炊飯噚垂堎に参入するずいう意思決定には
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
76
新垂堎の圢成期における補品開発―高玚炊飯噚垂堎の事䟋研究―
オ」でおいしさず健康の䞡立ずいうブランド・むメヌゞを確
したず蚀えよう。
立しおいるためそれを螏襲し匷化すべきずいう指摘で
ではなぜ䞉菱電機・タむガヌ魔法瓶は開発䞭の炊飯
あった。
噚の䟡栌を既存のものを超えお高く蚭定したのだろうか。
開発チヌムは新たに炊飯ず健康ずの関係を探り始め
事䟋からはその理由をいく぀か指摘するこずができる。
た。グルヌプ・むンタビュヌの結果䞻婊は玄米の栄逊成
第 1に䞡瀟ずも既存の炊飯噚事業に問題を抱えおいた。
分に泚目しおいるこずが分かった。倧孊ずの共同研究な
䞉菱電機は炊飯噚垂堎で小さなシェアしか有しおおらず
どにより掗米の方法を工倫すれば癜米の衚面に残っ
タむガヌ魔法瓶は䜎䟡栌品ではシェアを有しおいたもの
おいる玄米の栄逊成分を損ねずに掗米できるこずも明ら
の利益が出にくい状態にあった。そのため䜕らかの手
かになった。かくしお本䜓の蓋の内偎に回転するナニッ
を打ずうず考え炭や土鍋で内釜を䜜るずいうアむデアを
トず矜を取り付け釜内郚の米を機械的に掗米し手で
埗たのである。第 2 に状況を打砎するためのアむデアを
掗米するよりも栄逊成分を残しおご飯を炊くこずができ
埗たもののそのアむデアは販売䟡栌を高くしなければ利
るずいう技術が開発された 。
益を埗られるものではなかった。本炭釜も土鍋釜も補造
その埌も様々な問題を乗り越え2012 幎 10月にシャヌ
が難しくコストが高くなっおしたう。そのためアむデア
プはヘルシオ炊飯噚を発売した。メヌカヌ垌望小売䟡栌
を商品化するためにはある皋床䟡栌を高くせざるを埗
は蚭定しなかったが圓初の実勢売䟡は 7 䞇円皋床ず
なかったのである。第 3 に倖郚からの指摘が圓初の想
なった 。
定以䞊の䟡栌を぀けるきっかけずなった。開発チヌムは
14
15
補造コストにもずづいお高い䟡栌を蚭定したもののそれ
は既存の補品の䞭では高い䟡栌ずいう皋床だった。それ
â…€. 発芋事項ず考察
が流通䌁業の指摘を受けおこれたでの垂堎にはない
ほどの高い䟡栌を蚭定するこずができたのである。
事䟋研究からの発芋事項でもっずも重芁なものの1぀
たた䞉菱電機・タむガヌ魔法瓶はこのような高い䟡
は4 ぀の補品開発事䟋においお開発チヌムによる䟡栌
栌蚭定を受けお補品に工倫を斜しおいた。䞡瀟ずも高
蚭定のメカニズムに類䌌性がみられたこずである。䞉菱電
い䟡栌を぀けたもののそれを消費者が受け入れるかど
機およびタむガヌ魔法瓶は結果ずしお流通䌁業からの
うかには䞍確実性があった。そこで補品をその䟡栌に
指摘などにより䟡栌を改定するこずにはなるが開発䞭の
芋合ったものにするよう䞍織垃で包むシリアルナンバヌ
補品の䟡栌に぀いお圓時の垂堎で最高倀の補品ず同皋床
を入れるおひ぀セットを぀けるずいった様々な工倫を
にしようず考えおいた。象印・シャヌプも同様に先行す
斜したのである。これらの工倫は消費者に高䟡栌なだ
る高玚炊飯噚の䟡栌を想定しお自瀟補品の䟡栌を蚭定
けでなくその䟡栌に芋合った䟡倀のある炊飯噚ずしお受
しおいた。䞉菱電機・タむガヌ魔法瓶ず象印・シャヌプの
け入れられるこずを期埅しおいた。
䞡グルヌプでは想定しおいた䟡栌垯は異なるがこれ
䞀方象印・シャヌプの補品開発では異なるプロセス
は象印・シャヌプによる開発の時点では高玚炊飯噚が
が芳察された。たず開発の始たりの時点で象印・シャヌ
登堎しおいたからにすぎず本質的な䟡栌蚭定のメカニズ
プは高玚炊飯噚の垂堎に
「参入する」ず考えおいた。その
ムは
「圓時の垂堎の䟡栌を参考にし最も高䟡なものに合
ため䟡栌を高く蚭定するこずが前提ずなり補造コスト
わせる」ずいうものだったずいえよう。タむガヌ魔法瓶の事
が高くなっおも新たな技術を開発するずいう戊略で技術
䟋で述べたように䟡栌を高くしたいが既存のものを超え
開発がすすめられおいたず考えられる。象印は内釜の圢
お高い䟡栌を蚭定するにはリスクがある。そのためメヌ
状を倉えたために本䜓も1 から蚭蚈しなおしおいる䞊に
カヌ各瀟は確実な需芁が芋蟌める既存の䟡栌垯を参照
77
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
新垂堎の圢成期における補品開発―高玚炊飯噚垂堎の事䟋研究―
内釜の補造にも埓来
プレスずは異なる技術
揚湯鍛造
るず次のように敎理できる
図 3
。
を採甚しおいた。シャヌプもすべおの郚品ずその金型を
䞉菱電機・タむガヌ魔法瓶の事䟋ではいずれも革新
新たに蚭蚈しおいた。察照的に䞉菱電機は本炭釜の
的な補品のアむデアを創造するずころから開発プロセスが
開発にあたっお本䜓は既存のものを流甚したしタむガヌ
始たっおいる
䞻䜓の行為①。この革新的なアむデアは
魔法瓶も土鍋釜の圢状は既存の内釜の圢状をそのたた
既存の炊飯噚垂堎においお同瀟が満足のいく地䜍を築け
採甚した。すなわち象印・シャヌプは高玚炊飯噚垂堎
おいないずいう問題がきっかけずなっお生たれた
構造的
に参入するにあたっお技術開発によっお先行する䌁業ず
芁因の圱響②。技術開発が進み補品のプロトタむプが
差別化するこずを䌁図したずいえよう。
できおくるずその補造コストを原因ずしお少なくずも既
以䞊の発芋事項は技術の瀟䌚的圢成アプロヌチによ
存の垂堎では最も高䟡な補品にするずいう考えが生たれ
図―3 技術の瀟䌚的圢成アプロヌチによる事䟋の敎理
䞉菱電機・タむガヌ魔法瓶の事䟋
物的
存圚
補品
③
①
䞻䜓の
行為
アむデア創造
技術開発
â‘€
䟡栌蚭定
発売販促
④
倖郚の指摘
②
構造的
芁因
⑥
高玚炊飯
ゞャヌ垂堎
既存の炊飯ゞャヌ垂堎
象印・シャヌプの事䟋
物的
存圚
補品
⑹
⑧
䞻䜓の
行為
䟡栌蚭定
アむデア創造
技術開発
⑩
構造的
芁因
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
発売販促
⑩
高玚炊飯ゞャヌ垂堎
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新垂堎の圢成期における補品開発―高玚炊飯噚垂堎の事䟋研究―
た
物的存圚の圱響③
。しかし流通䌁業からの指摘
物的存圚および構造的芁因の関係が異なっおいるこず
もあり䞡瀟は䟡栌を改定した
䞻䜓の行為④
。さらに
が指摘できる。埌に続く補品の開発ではすでに圢成さ
䞡瀟は䟡栌にみあったパッケヌゞの工倫を行い補品を
れた垂堎構造が前提ずなり䞻䜓の行為や生み出される
販売した
物的存圚の圢成⑀
。これらの補品は高玚
物的存圚はその構造に䟝存したものずなる。兞型的には
炊飯噚垂堎を圢成するきっかけずなった
構造的芁因の圢
本研究の事䟋でみたように既存の垂堎に差別化された
成⑥。
補品を持っお参入するこずになるだろう。しかし新たな
䞀方象印・シャヌプの事䟋では高玚炊飯噚垂堎を
垂堎を圢成する補品では既存の垂堎構造ぞの䟝存を断
前提に
構造的芁因の圱響⑊
䟡栌を蚭定するずころ
ち切らなければならない。このずき開発䞭の補品ずいっ
から開発プロセスが始たっおいる
䞻䜓の行為⑧。アむ
た物的存圚や倖郚の組織ずいった他の䞻䜓ずの盞互䜜
デア創造や技術開発においおもこの䟡栌が前提ずなっお
甚が利甚されるのである。
いる。すなわちこれらのプロセスはいずれも高玚炊飯噚
技術の瀟䌚的圢成ず関連する研究領域ではGiddens
垂堎を前提に進められおいるのである
構造的芁因の圱
1984のいう構造の二重性ず同様に物的存圚や構造的
響⑊
。結果ずしお生み出された補品は先行する高玚
芁因は䞻䜓の行為を制玄するずずもにその行為を行うた
炊飯噚ず技術的な差別化がなされたものになり
物的存
めの資源ずもなるこずが指摘されおいる
Bijker and Law,
圚の圢成⑚それらはたた高玚炊飯噚垂堎を圢成しお
1992; 加藀2010; Orlikowski, 1992。本研究でも芋られ
いったのである
構造的芁因の圢成⑩
。
たように既存の垂堎は新たな垂堎を構想するこずを劚
以䞊の発芋事項は次のようなこずを瀺唆しおいる。た
げる。しかし技術には解釈の柔軟性があるため
Pinch
ずある補品が新たな垂堎を圢成するきっかけになったず
and Bijker, 1987新たな垂堎を構想する機䌚がないわ
しおもその補品の開発チヌムはその垂堎が存圚するこ
けではない。このずき他の䞻䜓や物的存圚あるいは
ずを芋通しおいたわけではない。䞊で敎理したように新
構造的芁因を利甚するこずで既存の垂堎構造ずの結び぀
たな垂堎を圢成した補品の開発チヌムも圓初は既存の
きを匱め新たな垂堎を圢成するきっかけを䜜り出すこず
垂堎構造を前提に開発を進めおいた。このこずは埌に
が可胜ずなるのである。
続いた補品の開発ず比范するこずでより鮮明になる。すな
わち䞉菱電機・タむガヌ魔法瓶のグルヌプも象印・シャヌ
プのグルヌプも開発䞭の補品を既存の垂堎のなかで高
Ⅵ . 結論ずむンプリケヌション
䟡栌なものずしおポゞショニングしようずしたのは同じな
本研究の目的は新たな垂堎が圢成される局面で補品
のである。開発チヌムは自らが参加しようずしおいる垂堎
を開発する組織がその垂堎を芋出すプロセスを明らか
を前提に開発を進めざるを埗ない。これは垂堎構造が
にするこずにあった。この目的に察しお本研究では技術
垂堎参加者の認識枠組みずしお働き
Rosa et al.1999
の瀟䌚的圢成アプロヌチによる事䟋研究をおこない以
認識枠組みは組織の行動の前提ずなる
加護野1988ず
䞋の 3 点を明らかにした。第 1に新たな垂堎を圢成する
いう先行研究の指摘ず敎合的である。
補品ず埌に続く補品はいずれも既存の垂堎を参照しお
では新たな垂堎を圢成した補品の開発チヌムはい
開発を進めおいた。第 2 に䞀方で開発プロセスは䞡者
かにしお既存の垂堎構造による制玄を乗り越え新たな
で異なり新たな垂堎を圢成する補品では途䞭で垂堎
垂堎を構想するこずができたのだろうか。技術の瀟䌚的
に぀いおの認識が倉化しおいたのに察し埌に続いた補
圢成アプロヌチによる分析からは新たな垂堎を圢成す
品は圓初から新たな垂堎を前提ずしお開発を進めおいた。
る補品の開発ず埌に続く補品の開発では䞻䜓の行為
第 3 に新たな垂堎を圢成する補品ず埌に続いた補品ず
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Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
新垂堎の圢成期における補品開発―高玚炊飯噚垂堎の事䟋研究―
ではその開発プロセスにおける䞻䜓の行為物的存圚
謝蟞
および構造的芁因の関係が異なっおいた。すなわち新
貎重な時間を割いおむンタビュヌに応じおくださった䞉菱電機グ
たな垂堎を圢成する補品の開発においおは他の䞻䜓や
ルヌプタむガヌ魔法瓶株匏䌚瀟象印マホヌビン株匏䌚瀟およ
びシャヌプ株匏䌚瀟の関係者の方々に深くお瀌申し䞊げたす。た
物的存圚あるいは構造的芁因を利甚するこずで既存の
た本 研究のきっかけ䜜りずむンタビュヌの実珟にご協力いただ
垂堎構造ずの結び぀きを匱め新たな垂堎を圢成するきっ
いた株匏䌚瀟アむ・キュヌブの広野郁子様にも深くお瀌申し䞊げ
かけを䜜り出しおいたのである。
たす。なお本 研究は科研費
研究掻動スタヌト支 揎課題番号
23830053の助成を受けた研究の䞀郚です。
本研究の理論的な含意ずしおはマヌケティング研究
における技術の瀟䌚的アプロヌチの有効性を指摘するこ
泚
ずができる。構築䞻矩的芖座による垂堎構造の研究は
1 事 䟋 研 究にあたっおむンタビュヌさせおいただいた方ず
実圚物ずしおの垂堎から共有された認識枠組みずしおの
その日付は 以䞋のずおりである。事 䟋 の 蚘 述には 现 心 の
垂堎ずその認識枠組みが共有される過皋に研究察象をシ
泚 意 を 払った がありうべ き誀 謬 は 筆 者 の 責 に åž° する。
フトさせた
Rosa et al.1999
。これらの研究は圓然
䞉菱電機
「本炭釜」䞉菱電機ホヌム機噚株匏䌚瀟 家電補
関係者がいかにしお垂堎を認識しおいたかを䞻たる関
品技術郚長 長田正史 様同 営業郚 䌁画課 マヌケティンググ
心ずしおいる。しかし本研究でも芋られたように開発
ルヌプ グルヌプリヌダヌ 宮厎睊子 様同 営業郚 次長 å…Œ 䌁
画課 課長 暋口裕晃 様同 営業郚 クリヌナヌ営業課 担圓
チヌムによる垂堎の認識は物的存圚や構造的芁因の圱
課長 赀石郜良 様
4 名2011幎 11月16日䞉菱電機株匏䌚
響も受けおいる。換蚀すれば関係者による垂堎の認識
瀟 デザむン研究所 䞻管技垫長 䞭町剛 様
2012 幎 1月11日
は関連する物的存圚や構造的芁因の圱響を考慮するこ
同 リビング・デゞタルメディア事業本郚 リビング・デゞタルメ
ずでより深い理解が可胜ずなる。技術の瀟䌚的圢成アプ
ディア技術郚長 小西広繁 様同 リビング・デゞタルメディア
ロヌチはそのような分析を可胜にするずいえるだろう。
技術郚開発䌁画 G 専任 䞭村茝男様
2 名2012 幎 1月30 日。
タむガヌ魔法瓶
「土鍋釜」タむガヌ魔法瓶株匏䌚瀟 ゜リュヌ
本 研究は実践的にも重芁な含意を有しおいる。コモ
ショングルヌプ 商品䌁画チヌム 金䞞等 様同 ゜リュヌ
ディティ化を回避しようずする䌁業は新たな垂堎を圢成
ショングルヌプ SP チヌム 加藀晋也 様同 ゜リュヌション
すべきだがそれは容易ではない。垂堎圢成が事埌的で
グルヌプ SP チヌム 䌎 小 誉 矎 様
3 名2012 幎 11 月1日
ある䞊に垂堎の認識は近芖県的になりがちだからであ
象印
「極め矜釜」象印マホヌビン株匏䌚瀟 第䞀事業郚 マ
る
Christensen, 1997楠朚 , 2010
。しかし新たな垂堎
ネヌゞャヌ 宇郜宮定 様同 第䞀事業郚 マネヌゞャヌ 埌
藀譲 様同 第䞀事業郚 サブマネヌゞャヌ 野間雄倪 様
を圢成する機䌚がないわけではない。このずき既存の
同 広 å ± グル ヌプ 垂 川 なな 緒 様
3 名2012 幎 3 月 1 日
垂堎を参照しお刀断を䞋すのではなく他の䞻䜓物的
シャヌプ
「ヘルシオ炊飯噚」シャヌプ株匏䌚瀟 健康・環境
存圚そしお構造的芁因を利甚し新たな垂堎を圢成す
システム事業本郚 調理システム事業郚 新芏事業掚進プロゞェ
クトチヌム チヌフ 田村友暹 様同 健康・環境システム事業
るきっかけを䜜り出すこずが必芁ずなる。本研究ではそ
本郚 調理システム事業郚 新芏事業掚進プロゞェクトチヌム 係
の具䜓的なプロセスを䟋瀺した。
長 宮本掋䞀 様
2 名2012 幎 12 月10 日。
しかしながら本研究に課題が残されおいないわけで
2 詳现な事䟋研究は宮尟
2013a; 2013b, 2013cを参照。
はない。第 1に高玚炊飯噚垂堎が圢成されたプロセス
3『日経デザむン』1999 幎 6月1日号pp.83-90。
における消費者の圹割はほずんど分析の俎䞊に茉っおい
4『日経゚レクトロニクス』2006 幎 4 月10 日号pp.34-35および
『日経゚レクトロニクス』2006 幎 11 月 6 日号pp.51-58。
ない。たた高玚炊飯噚垂堎ずいう1぀の垂堎の圢成プ
5『日経トレンディ』2007 幎 7月1日号pp.84-86。
ロセスを分析したにすぎない。今埌はこれらの課題に぀
6 䞊蚘の雑誌蚘事ではこれらの高䟡栌垯の補品を指しお
「高玚
いおも怜蚎が必芁であろう。
家電」
「高玚炊 飯噚」ずいう蚀葉が甚いられおいる。Rosa et
al.
1999によれば生産者ず消費者が共有した垂堎に぀いお
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
80
ンタフェむス』癜桃曞房pp.3-21。
の認識は䞡者が甚いるストヌリヌを調べるこずで把握するこ
恩蔵盎人
2007
『コモディティ化垂堎のマヌケティング論理』有斐
ずができる。本研究でもこの Rosa et al.
1999の方法にのっず
閣。
り雑誌蚘事においお
「高玚家電」
「高玚炊飯噚」ずいう蚀葉が
加護野忠男
1988
『組織認識論―䌁業における創造ず革新の研究
甚いられおいるこず関係者ぞのむンタビュヌにおいおもこれら
―』千倉曞房。
の蚀葉が甚いられたこずをもっお
「高玚炊飯噚」ずいう现分化垂
加藀俊圊
2011
『技術システムの構造ず革新―方法論的芖座に基
堎が生産者ず消費者に共有されたずしおいる。
づく経営孊の探求』癜桃曞房。
7 もちろん通垞の取り扱いでもすぐに割れおしたうずいうわけで
栗朚契・氎越康介・吉田満梚
2012
『マヌケティング・リフレヌミン
はない。しかし金属補の内釜はぞこんだり傷が぀いたりする
グ―芖点が倉わるず䟡倀が生たれる』有斐閣。
こずはあっおも決しお割れるこずはない。そのような金属補の
楠朚建
2010
「むノベヌションの
「芋え過ぎ化」―可芖性の眠ずその
内釜の性質ずず比范するず割れる可胜性があるずいうだけで
克服」
『䞀橋ビゞネスレビュヌ』57
4, pp.34-51。
問題芖されるのである。
楠朚建・阿久接聡
2006
「カテゎリヌ・むノベヌション脱コモディ
8 実際の生産コストは明かされおいない。内釜を亀換する際には
ティ化の論理」
『組織科孊』39
3pp.4-18。
15,000 円をナヌザヌから受け取っおいるが実際の補造コスト
延岡健倪郎
2006
『MOT
技術経営入門』日本経枈新聞出版瀟。
はこれよりも高いずのこずである。
原拓志
2007
「研究アプロヌチずしおの
『技術の瀟䌚的圢成』」
『幎
タむガヌ魔法瓶では商品䌁画を担圓する郚眲を゜リュヌション
å ± 科孊・技術・瀟䌚』No.16pp.37-57。
グルヌプず呌んでいる。
宮尟孊
2009
「補品カテゎリの瀟䌚的圢成」
『日本経営孊䌚誌』No.
10げこ亭は炊飯ゞャヌの業界では有名で倚くのメヌカヌが芖察
24pp.3-15。
に蚪れおいたずいう。しかし䞻人の村嶋氏は昔気質の職人で
宮尟孊
2013a
「象印マホヌビン株匏䌚瀟による圧力IH 炊飯ゞャヌ
口数も少なくメヌカヌからは容易に協力を䟝頌できない雰囲
『極め炊き』の開発」
『人間文化』No. 33, pp.45-52。
気だった。プロゞェクトチヌムの宇郜宮も開発ぞの協力を䟝頌
宮尟孊
2013b
「䞉菱電機
「本炭釜 NJ-WS10」の開発」
『神戞倧孊倧
するのには躊躇したが事情を話すず快く協力しおくれるこずに
孊院経営孊研究科ディスカッションペヌパヌ』No.2013-15。
なったずいう。
宮尟孊
2013c
「シャヌプ株匏䌚瀟
「ヘルシオ炊飯噚」の開発」
『神
11これたではメヌカヌ垌望小売䟡栌で 10 䞇円以䞋実勢売䟡で
戞倧孊倧孊院経 営孊 研究科ディスカッションペヌパヌ』No.
7 䞇円皋床のものが象印で最も高䟡な炊飯噚だった。
2013-17。
12䞊述の䞉菱電機の本炭釜タむガヌ魔法瓶の土鍋釜象印の極
Bijker, W. E. and J. Law (Eds.) (1992), Shaping technology
め矜釜などが該圓する。
/ building society: Studies in sociotechnical change ,
13業務甚マむクロ波炊飯噚 GY-MS25A
2004 幎 1 月発売。この
補品は本䜓の䞊䞋にマグネトロンを蚭眮し䞊䞋からマむクロ波
Cambridge, MA: MIT Press.
で加熱するこずで倧量の米を炊いおも炊きムラが少ないずいう
Brettel, M., R. Mauer, A. Engelen, and D. Küpper (2012),
特城を有しおいた。
“Corporate effectuation: Entrepreneurial action and its
impact on R&D project performance,”Journal of Business
14圓初シャヌプの技術者は炊きムラをなくすずいう目的で炊飯䞭
Venturing , 27 (2), pp.167-184.
の米を撹拌する技術を開発しおいた。その方法は磁石を組み
蟌んだ矜を内釜の底に蚭眮し倖郚からの磁力でその矜を回し
Christensen, C. M. (1997), The innovator’s dilemma: When
お撹拌するずいうものだった。ずころが掗米時にも機械的な
new technologies cause great firms to fail , Boston, MA:
撹拌を斜そうずするず掗米した氎を捚おる際に内釜の底に蚭
Harvard Business School Press.玉田俊平倪監修・䌊豆原
眮した矜がずれおしたい元に戻せないこずが刀明した。このた
匓蚳
『むノベヌションのゞレンマ』翔泳瀟2001幎
Christensen, C. M. and M. E. Raynor (2003), The innovator’s
めシャヌプの技術者は撹拌のための技術開発をやり盎しか
solution , Boston, MA: Harvard Business School Press.玉
いおんナニットを開発したのである。
15䟡栌 .com の䟡栌掚移グラフによる
http://kakaku.com/item/
田俊平倪監修・櫻井祐子蚳
『むノベヌションぞの解』翔泳瀟
K0000410230/price history/2013 幎 9月25日アクセス。
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82
オヌラルセッション ― フルペヌパヌ
成熟垂堎における
新補品・新サヌビス開発に関する考察
― 倖食䌁業の事䟋から ―
宮城倧孊 食産業孊郚 フヌドビゞネス孊科 教授
鶎岡 公幞
宮城倧孊 事業構想孊郚 事業蚈画孊科 准教授
高力 矎由玀
宮城倧孊 食産業孊郚 フヌドビゞネス孊科 准教授
堀田 宗埳
芁玄
新補品・新サヌビスに関しおは様々な先行研究があるが最近では成長垂堎であるハむテク業界あるいは技術革新が日
進月歩の自動車業界医療・補薬業界などが取り䞊げられるこずが倚く成熟垂堎における同研究は泚目されづらい。特に倖
食産業は少子高霢化人口枛少の盎接的圱響を匷く受けるため長期的䞍況が続いおいるず蚀われ䞻芁な倖食䌁業はア
ゞアを䞭心ずした海倖垂堎開拓には熱心である䞀方囜内垂堎においおは手詰たり感すらあるかもしれない。その結果消費
者が知芚できるレベルでの技術革新は乏しく新補品・新サヌビスが日垞的に発売されおは消えおいく倚産倚死の状態が繰
り返されおいる倖食においおは十分な研究蓄積があるずは蚀い難い。しかしながら
「俺のフレンチ・俺のむタリアン」
俺の株
匏䌚瀟や
「東京チカラめし」
䞉光マヌケティングフヌズなどの人気の高い倖食サヌビスが毎幎生たれおいるのも事実である。
本皿では成熟産業ず考えられおいる倖食産業を敢えお事䟋ずしお取り䞊げその競争優䜍性の諞条件に関しお再怜蚌した䞊
でヒット補品が生み出されるメカニズムに぀いお考察する。
キヌワヌド
コモディティ化䟡栌競争ニッチ差異化新䟡倀創造
Ⅰ. はじめに
んだ分野の䞀぀であるずいわれおいる。
では倖食の
「産業化」が始たったのはい぀頃なのか。
1倖食産業の抂芁
岩枕は昭和 40 幎埌半に
「日本に存圚しなかった新しい
倖食産業の垂堎芏暡は平成 24 幎で前幎より1.5
商品を思いもしなかった販売方法で提䟛するファストフヌ
増加の 23 兆 2,386 億円ずなっおいる。しかしこの垂堎
ド店幹線道路沿線に立地する広く明るく合理的な䟡栌
芏暡の掚蚈を始めた昭和 50 幎
8 兆 5,773 億円ず比范す
の郊倖型ファミリヌレストランずそれらを党囜的に展開し
るず2.7 倍も拡倧しおいる。この垂堎芏暡を他産業ず比
た䌁業」が出珟したず確認し぀぀も倖食産業ずいう蚀葉
范するず囜内の自動車小売業の幎間販売額
新車・䞭
が定着したのは昭和 50 幎半ばず述べおいる。
叀車バむク等の幎間販売額は15 兆 5,669 億円癟貚
この倖食産業の定着が昭和 50 幎半ばずいう考え方は
店・スヌパヌの幎間販売額は 15 兆 1,555 億円であり倖
昭和 50 幎代に入り行政偎が倖食産業の急成長に泚目
食産業の垂堎芏暡が他産業に比べおも劂䜕に倧きい芏
し斜策の䞀環ずしお取り䞊げられるようになったこずを
暡になっおいるか䌺える。
意味しおいるず掚察できる。
たた食を倖郚に䟝存する割合
食の倖郚化率は昭
䞀方小田は昭和 42 幎 7月から始たった資本の自由化
和 50 幎が 28.4であったものが平成 23 幎には 44.1ず
 第 1 次2 次 1でサヌビス業や飲食店が指定業皮ずな
䞊昇しおおり倖食産業の進展が消費者の食生掻を倧き
り珟圚リヌディングカンパニヌずしお存圚する日本マクド
く倉化させおいる状況ずなっおいる。
ナルド
株
珟 日本マクドナルドホヌルディングス
株

しかし倖食産業は
「遅れおきた成長産業」いわれわ
日本ケンタッキヌフラむドチキン
株

株デニヌズゞャ
が囜の戊埌経枈の発展の䞭で最も遅れお
「産業化」が進
83
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
成熟垂堎における新補品・新サヌビス開発に関する考察―倖食䌁業の事䟋から―
パン
珟株セブンアむ・フヌドシステムズなどの倖
おおり昭和 56 幎には倖食問題研究䌚が
「倖食産業の
資系䌁業が日本で本栌的な進出を開始したほかこずぶ
珟状ず展望」で倖食ず内食の区分経営構造や倖食消費
き食品
珟
株すかいらヌく

 株ダスキン ロむダル
動向などの珟状分析倖食産業の展望に぀いおの研究を
2
詊みおいる。
株
株モスフヌドサヌビス
株ロッテリアなど流通
系メヌカヌ系資本も1号店を昭和 45 幎から 49 幎にかけ
その埌も昭和 58 幎に原・皲垣昭和 62 幎に土井など
お出店し倖食垂堎に参入を果たしたこずから小田が蚀
が圓時の倖食産業の構造分析や動向などをたずめおい
う倖食の
「産業化」の具䜓的な時期は昭和 45 幎以降ず考
る。
えられる。
しかしいずれも倖食産業の基瀎的デヌタが䞍足しお
以䞊のこずから考えるず倖食が
「産業化」されおから
いるこずもあり特定のテヌマや珟状の玹介将来芋通し
珟圚たで抂ね 40 幎が経過しおいるこずになる。
などの分析が䞭心であった。
このように倖食産業の基瀎デヌタ䞍足や実態把握が䞍
十分であっこずから昭和 56 幎蟲林氎産省が倖食産業
2これたでの倖食産業をめぐる孊術的研究
の基瀎的デヌタの収集及び研究や政策的調査研究をお
以䞊みおきたように倖食産業が囜民経枈を構成する重
こなう
財倖食産業総合調査研究センタヌ珟財食
芁な産業であるず認知され始めたのは昭和 45 幎以降で
の安党・安心財団 附属機関 倖食産業総合調査研究セン
あるずいう考えのもず倖食産業をめぐるどのような孊術
タヌ以䞋倖食総研を蚭立その埌省内に倖食産業
的な研究がなされたかを芋るこずにする。
察策宀
珟 倖食産業宀が蚭眮され行政面で本栌的な
昭和 45 幎前埌の倖食産業の垂堎芏暡は通商産業省
倖食産業振興ぞの察応が行われようになった。
珟 経枈産業省の商業統蚈衚 3によるず昭和 43 幎が
倖食総研では蚭立圓初基瀎デヌタずしおの倖食産
1 兆 6,643 億円昭和 45 幎が 2 兆 3,771 億円昭和 47 幎
業垂堎芏暡の掚蚈に関する研究既存店の売䞊高・客
が 3 兆 1,928 億円ずなっおおり倧きく䌞びおいる。
単䟡・客数の調査のほか業皮・業態の研究倖食産業
このような垂堎芏暡の拡倧のほか昭和 42 幎からの資本
の日米比范の研究倖食産業発展の基瀎ずなったフラン
の自由化や消費者のラむフスタむルの倉化経枈掻動の
チャむズチェヌンの研究などの基瀎的研究を発衚平成
掻発化などもかみ合っお倖食が急成長を遂げおいった。
幎代に入っおからは堀田が倖食産業史ずしおの倖食幎
このこずにより倖食が泚目され倖食に぀いおの研究が掻
衚の線纂等も行ったが倧郚分の実瞟発衚は政策的研
発化しおいった。
究や実態調査が䞭心であった。
昭和 48 幎に蟲林倧臣の私的諮問機関食品工業察策
倖食総研の基瀎デヌタの蓄積が進むず平成元幎に懞
懇談䌚に倖食産業小委員䌚が蚭眮され倖食産業の動
田は倖食産業の発展過皋を萌芜期圢成期成長期
向ず問題点今埌の方向ず斜策に぀いお
「倖食産業に関す
成熟期の぀の段階に区別し各段階のむノベヌションを
る斜策の方向」ずいう報告曞がたずめられおいる。
敎理説明しさらに小売業の業態発展の理論である
「小
昭和 50 幎に力石は米囜のレストラン経営の基瀎に぀
売の茪の理論」

「業態ラむフサむクル説」を揎甚しお倖
いおゞョンストヌクのボストン倧孊でのフヌドサヌ
食産業のチェヌンオペレヌションの組織革新調理加工
ビス・マネゞメント講矩のための教科曞を翻蚳し玹介し
の工業化ずいった生産過皋の革新接客サヌビスなどの
おいる。
販売の革新を論じおいる。
昭和 54 幎山口・小山が
「倖食サヌビス産業」で倖食
たた平成幎には堀田が初めお倖食産業ぞの異業皮
の定矩産業の範囲特性などに぀いお本栌的な分析をし
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
の参入に぀いおの状況を敎理分析しおいる。
84
成熟垂堎における新補品・新サヌビス開発に関する考察―倖食䌁業の事䟋から―
以䞊のように特定テヌマに぀いおの孊術的な研究はみ
長した䞀぀の芁因はチェヌン展開でありそれが進展し
られるが経営・経枈理論を基瀎ずしお倖食産業党䜓
たのは
「調理の倖郚化」でありその䞭でセントラル・キッ
を䜓系的に分析しようした詊みは決しお倚くない状況に
チンや仕様曞発泚ずいう技術革新が導入されたず分析し
ある。
おいる。
その䞭で平成 8 幎岩枕が
「倖食産業論」で倖食産業
成熟期の経営展開ではたず倖食産業の成熟化が昭
を䜓系的に分析し぀いで岩枕を螏襲した小田が平成 16
和 60 幎前埌から始たったずの認識のもず既存店舗売䞊
幎に
「倖食産業の経営展開ず食材調達」を発衚しおいる。
高の䜎迷䜎䟡栌戊略ず差別化戊略の珟状ず背景を分析
岩枕は昭和幎代の倖食産業の珟状氎準に基づいお倖
しおいるほか倖食䌁業の倚業皮・倚業態化を倖食店舗
食産業の基本的枠組みの認識方法を確立し倖食産業
そのものが商品であるずいう芳点からマヌケティング論の
「商品のラむフサむクル」で分析を詊みおいる。
の特性ず実態を明らかにしおいる。
具䜓的には過去の孊術的研究の倖食内食の抂念を
第二は倖食産業の食材調達の分析である。この分野
敎理し食物の調理の䞻䜓調理堎所喫食の堎所の違
は過去にはほずんど明らかにされおいなかった研究分野
いによっお倖食䞭食・内食を定矩しおいるほか飲食店
である。小田は食材調達の諞機胜ずその構造を
「調理の
の機胜に぀いおも蚀及しおいる。
倖郚化」で説明が぀かない野菜の調達に぀いお倖食産業
チェヌン展開の成長に぀いおは埓来の飲食店が持぀
の成熟期の䞭で䞻䜓関係ず差別化戊略ずいう芖点から
食材仕入から調理メニュヌの提䟛たでを同䞀空間で実
実需者が産地たで入り蟌こみ食材の調達を行う垂盎的
斜する調理技術䜓系を
「自己完結型調理技術」ず䜍眮づ
な食材調達システムずいう新しいシステムを実䟋で蚌明し
け䞀方調理過皋の同䞀空間的䞀貫性を解消するこず
おいる。
すなわち前凊理䞻調理は異なる堎所で行い飲食店内
では盛り぀け提䟛に特化する調理技術䜓系を
「開攟型
今埌の課題ず方向性
調理技術䜓系」ずいう新しい抂念で
「調理の倖郚化」の
今埌の倖食産業の孊術的研究の課題ずしおは埓来た
進展がチェヌン展開の成長に圱響しおいるず説明しおいる。
での研究成果は倖食産業の成長期から成熟期にかけお
たた戊埌における倖食産業の成長過皋ずその芁因を
の研究が倚く芋られた。
倧衆消費瀟䌚ず成熟瀟䌚の䞡面から分析しおいるほか
しかし倖食産業の垂堎芏暡が平成 9 幎を境に今た
ベッカヌの
「時間配分の理論モデル」を甚いお倖食産業の
で倖食産業が経隓したこずがない 8 幎連続のマむナス成
成長芁因の䞀぀である
「女性の瀟䌚進出」を家事劎働の
長ずなっおおり平成 9 幎以降の䜎成長䞋での倖食産業
倖泚化が倖食であるずの芖点に立っお䞻婊の時間配分行
の孊術的な研究はなさおらずこの成熟化䜎成長期の
動ず倖食需芁ずの関連を分析しおいる。さらに倖食䌁業
研究をするこずは意矩深いものず考えられる。
の競争の性栌ず特城に぀いお.ベむンらの産業組織
具䜓的には倖食産業成長の原動力であったチェヌン理
論を基にしお定匏化実蚌を詊みおいる。
論は倖食マヌケットが瞮小傟向にある䞭倧きく倉化し
小田は
「倖食産業の急成長の芁因ずその構造特性そ
おいるず考えられるこずである。
れがわが囜フヌドシステムの圢成に䞎えた圱響等を解明
チェヌン理論は今たで芋たように岩枕がメニュヌ面で
するこずは
『食』をめぐる経枈掻動を理解する䞊で極めお
の
「調理の倖郚化」がチェヌン展開を掚進しおきた䞀぀の
重芁な分析課題」であるずいう認識のもず
たず
第䞀に倖
芁因ずしおいるが倖食マヌケットのマむナス成長の䞭で
食産業の経営展開を成長期ず成熟期に分け論じおいる。
店舗間競争の激化客数枛少による売䞊高の枛少ずいう
具䜓的には成長期の経営展開では倖食産業が急成
85
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
成熟垂堎における新補品・新サヌビス開発に関する考察―倖食䌁業の事䟋から―
状態になっおおり消費者ニヌズの倉化ずずもに
「調理の
これたで䞀般的に倖食産業における垂堎セグメントは
倖郚化」の質的偎面が倉化しおいるこずそれに関連す
「業皮」ず
「業態」の掛け合わせで考えられおきた。䟋えば
る食材の調達に぀いおも埓来の量の確保品質の均䞀
ハンバヌガヌ・ファストフヌドやむタリアン・ファミリヌレス
化䟡栌の安定いう倖食産業の食材仕入の原則が倉化し
トランずいったずらえ方である。その垂堎においおタヌ
おいるこずに぀いおの解明が必芁ず思われる。
ゲットをどこに眮きどのようなポゞションを取るのかず
以䞊のように平成幎以降の倖食産業のメニュヌ  食材
いった点が䟋えば
「新しい店」を䜜る際の戊略の基準で
調達出店政策将来展望に぀いお経営 経枈孊的偎面
あった。倚くの倖食䌁業は新店の開発を
「新業態開発」
から研究する必芁性がある。
ずいう蚀葉を甚いるがほずんどの堎合
「新しいコンセプ
トの店」に過ぎない。圓該䌁業が手掛けおいなかったず
いう意味での新しい
「セグメント」や
「タヌゲット」に察しお
Ⅱ. 倖食産業の競争芁因
マヌケティング・ミックスの組換えや競合他瀟ずの違いを
明確にするこずによっお
「新しさ」を創出するずいうこず
日本囜内における倖食産業垂堎は人口動態から考えお
である。他産業に比べお革新的な技術力による開発の占
も今埌䌞長しおいく可胜性はほずんどない。しかしなが
める割合が小さい倖食産業においおは
「新しさ」は構
ら倖食産業は䟝然ずしお 23 兆円ずいう芏暡を持぀垂
成芁玠の組換えや
「リフレヌム」にならざるを埗ない。しか
堎であり参入障壁が䜎い業界であり垂堎党䜓に占め
しながら構成芁玠の組換えや
「リフレヌム」の可胜性の
る倧手チェヌン䌁業のシェアが確実に䞊がっおきおいるず
限界が芋えおいるずは蚀えない。
はいえ䞊䜍 10 瀟のシェアが 10皋床ずいう極めお寡占
倖食産業における競争芁因でもっずも倧きいず考えら
床の䜎い垂堎にあっおそこにある䌁業は垞に厳しい競
れるのは
「䟡栌」である。1990 幎代に入りバブルが厩壊
争にさらされおいる。
し
「䞍況知らず」の業界ず蚀われおいた倖食産業぀いに
倖食産業における競争芁因ずはいかなるものか。
本栌的な
「䟡栌競争」の時代を向かえるこずになる。1992
補品のマネゞメントを考える際には通垞圓該補品の
幎トップ䌁業のマクドナルドが期間限定ながらハンバヌ
STPずそれに基づくマヌケティング・ミックスがいかに
ガヌを100 円で提䟛し1993 幎にかけおすかいらヌくは
競合他瀟ず差異化が図られおいるかどうかが重芁ずなる
䜎䟡栌ブランドの
「ガスト」を開発する。既存のチェヌン䌁
がサ ヌビス産 業に おいおは加えお
「People」
 人 
業における
「䜎䟡栌化」が始たりその実珟のための様々
「Physical Evidence」
物的環境芁玠

「Process」
提䟛
な取り組みすなわち調達コストの䜎枛サヌビスの簡
過皋も芁玠ずなる 4。すなわちサヌビス産業である倖
略化等がその実珟を可胜ずした。 食産業の堎合メニュヌ商品
䟡栌業態ず食材調達
チャネル
プロモヌションに加えお埓業員
人
店舗
の造䜜やテヌブル・怅子食噚等の備品等
物的
Ⅲ . 倖食垂堎の倚様化ず差異化戊略
環境芁玠さらに店内・倖におけるオペレヌションシス
テム
提䟛過皋ずいった芁玠の構成が求められるこずに
倖食の垂堎芏暡は1997 幎をピヌクにその埌は 20
なる。
兆円台前半ずなっおいる。垂堎芏暡は今埌拡倧しないず
したがっお圓然ながら競争芁因は狙うずころの垂堎
いわれおいる䞀方で業態の倚様化・郜垂郚における店舗
分野ずタヌゲットその分野におけるポゞショニングの優
過剰による過圓競争垂況悪化による倖食支出の手控え
䜍性さらにこれらのマネゞメント芁玠䞀぀䞀぀のクオ
等の圱響で消費が䜎迷し客単䟡が䞋萜するなど取
リティであり統合されたストヌリヌ性ずいうこずになる。
り巻く環境はたすたす厳しさを増しおいる。぀たり倖食
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
86
成熟垂堎における新補品・新サヌビス開発に関する考察―倖食䌁業の事䟋から―
垂堎党䜓はコモディティ化した成熟垂堎になり぀぀ある。
らんぷ亭がAussie Beef 䜿甚の牛䞌を提䟛し9月17日
成熟化ずは垂堎の䌞びが䜎調もしくはマむナス成長にな
にはれンショヌが展開しおいる
「すき家」で同じくAussie
り商品やサヌビスだけでは競争芁因にはなり埗なくなっ
Beef 䜿甚の牛䞌提䟛次いで10 月束屋フヌズが䞭
お差別化が困難な垂堎環境になっおいるこずである。平
囜産牛肉
䞭囜の牛肉は茞入犁止ずなっおいるためタケ
成 3 幎以降倖食䌁業がメニュヌの差別化が困難になっ
ノコ等を混ぜた牛肉調敎品ずしお茞入を䜿甚その埌
たこずからメニュヌ䟡栌の匕き䞋げで集客匷化を図り
Aussie Beef 䜿甚の牛䞌を提䟛しおいる。
売䞊高の増加・維持察策を始めたが消費者には期間限
しかし吉野家は過去のいきさ぀もありAussie Beef
定のメニュヌ䟡栌の匕き䞋げでは目新しいメニュヌ戊略ず
を䜿甚した牛䞌を提䟛しなかった。 は映らなかった。倖食䌁業ずしおも䞀時的な集客匷化に
蟲林氎産省および厚生劎働省は平成 17 幎 12 月異
はなっおも継続的な利益の向䞊には繋がらなかったこず
垞プリオンが蓄積されやすい脳せき髄扁桃等の危険
でマヌケットの䌞びが停滞状況ずなり成熟化がたすたす
郚䜍を陀去したカナダ産ずUSビヌフの茞入を再開した
進んでいる状況にある。
が結局平成 18 幎 7月27日に指定斜蚭を限定しお茞入
この結果差異化できた䌁業は成長するが差異化で
再開ずなる。
きなかった䌁業は䟡栌競争に陥り次第に䌁業䜓力を消耗
さらに平成 25 幎 2 月から埓来の 20 ヶ月霢の牛肉茞
するずものず予想される。各䌁業の技術的氎準は同質化
入から芏制が緩和され30 ヶ月霢の牛肉が茞入されるこ
し各ブランドの差別化ポむントは次第に乏しくなりや
ずになった。
がおコモディティ化しおいく。コモディティ化が進みブラ
2牛䞌業界の動向
ンド間の差別化が困難になればどうしおも䟡栌競争ぞ
ず陥りやすい。スヌパヌマヌケットやコンビニの匁圓総
平成 14 幎幎末に発生した米囜 BSE 以前の牛䞌業界を
菜ずの䟡栌競争が䞀段ず激しく均䞀居酒屋
ファストフヌ
みるず日経 MJの飲食店ランキングでは平成 13 幎床
ドなど䜎䟡栌業態の息切れが目立぀䞭
䟡栌競争に陥っ
の牛䞌倧手 4 瀟の売䞊高が
「吉野家」が 1,021 億円
「す
おいる業態ずしお牛䞌チェヌンが挙げられる。では次に倖
き家」が 272 億円
「束屋」が 451 億円
「なか卯」が 198
食業界の䞭でも牛䞌業界事䟋に
業界リヌダヌの倉遷ず
億円平成 14 幎床の売䞊高は
「吉野家」が 1,005 億円
「すき家」が 330 億円
「束屋」が 520 億円
「なか卯」が
メニュヌ䟡栌の匕き䞋げに぀いお芋おみるこずにする。
201 億円ずなっおおり米囜での BSE 発生以前では
「吉
野家」が牛䞌業界をリヌドしおいたこずになる。
1. 牛䞌チェヌン業界の状況
しかし米囜での BSE 発生埌前述のように
「吉野家」
1米囜での BSE 発生ず牛䞌業界
は牛䞌には米囜産牛肉が䞍可欠だずし豪州産牛肉に
平成 14 幎 12 月24日米囜で BSE が発生同月26日
倉曎するこずなく牛䞌の提䟛を䌑止した。
蟲林氎産省は米囜産牛肉の茞入を停止した。
「吉野家」以倖の䌁業では導入時期の違いはあれ
倖食産業の䞭で牛肉を䞻食材ずしおいるステヌキ店
各瀟豪州産やニュヌゞヌランド産牛肉にシフトし牛䞌
焌肉店そしお牛䞌店などでは倧きな被害を受けた。
の提䟛を再開した。
そのような䞭牛䞌業界では圚庫があったこずで牛
このこずが業界リヌダヌ倉化の䞀぀の出来事ずなっお
䞌提䟛は続けられおいたが平成 16 幎 2 月䞭旬には䞻
いる。
芁な牛䞌店から牛䞌の提䟛が出来なくなっおいた。
さらに米囜産牛肉茞入が解犁になった平成 18 幎以
再び牛䞌が提䟛されたのは平成 16 幎 2 月19 日神戞
降
「吉野家」も牛䞌提䟛を開始するこずになるが牛䞌
87
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
成熟垂堎における新補品・新サヌビス開発に関する考察―倖食䌁業の事䟋から―
の䟡栌で業界の倉化が出おくる。
は
「すき家」ず考えられるが詳现に芋るず新䟡栌の牛
平成 18 幎以降
「吉野家」

「すき家」

「束屋」では期
䞌の提䟛が倧䜓
「束屋」から始たっおおりその圱響が他
間限定で牛䞌䟡栌を 250 円 270 円で販売し客数増加
瀟ぞず波及しおいるこずを考えるずプラむスリヌダヌは
「束
に図ろうずしおいたが
「束屋」が平成 21幎 12 月3 日から
屋」ず考えるこずもできる。
牛めし䞊 380 円から 320 円
280 円に倀䞋げしたのは平成
最近では成熟傟向が芋られる牛䞌業界であるが䞉
24 幎 1 月16日からに
「すき家」では同幎 12 月7日か
光マヌケティングフヌズが展開する焌き牛䞌の
「東京チカ
ら牛䞌 330 円を 280 円にそれぞれ恒垞的な倀䞋げを行っ
ラめし」の出店が加速し泚目を集めおいるほかアヌク
たが
「吉野家」は牛䞌䞊 380 円で提䟛を続けた。
ランドサヌビスが東京・新橋に肉めし
「岡むら屋」を出店
その結果既存店売䞊高増枛率は平成 22 幎では
「す
するなどニッチでの展開を考えおいる䌁業も散芋できる。
き家」
「束屋」ではプラスに掚移し
「吉野家」は䜎迷する
牛䞌業界では牛䞌ずいう商品のコモディティ化を防
状況ずなっおいる。
ぐために蚀い換えるず他瀟ずの差別化を図るためにメ
ちなみに
「吉野家」が牛䞌䞊の䟡栌を 280 円したのは
ニュヌの改蚂や䟡栌の調敎などを行い消費者の商品に
平成 25 幎 4 月18日からである。
察する芖点を倉える努力を行っおいる。
この間日経 MJの平成 20 幎床売䞊高ランキングで牛
さらに前述したように煮る牛䞌ではなく焌く牛䞌
䞌業界のリヌダヌは
「吉野家」
から
「すき家」
に入れ替わっ
を提䟛しお泚目を集めおいる䌁業や
「すた䞌」ずいう食材
おいる。
が牛肉ではなく豚肉の商品を提䟛しおいる䌁業の出店加
速など䟡栌での競争ではなく商品の違いで消費者に
3牛䞌業界の課題
蚎求しおいる䌁業の進出により牛䞌業界の競争激化はた
以䞊芋おきたように牛䞌業界は米囜での BSE 発生に
すたす加熱するず思われる。
䌎う食材仕入の問題ずメニュヌ䟡栌の倉動のタむミングの
違いにより業界リヌダヌの倉曎がおきたように思われる。
たた珟圚の牛䞌業界のプラむスリヌダヌは䞀般的に
図衚— 各牛䞌䌁業の既存店売䞊高の掚移

40.0
吉野家
30.0
すき家
20.0
束屋
10.0
0.0
-10.0
-30.0
H21 幎 1 月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
H22 幎 1 月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
H23 幎 1 月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
H24 幎 1 月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
-20.0
資料各瀟 HP による
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
88
成熟垂堎における新補品・新サヌビス開発に関する考察―倖食䌁業の事䟋から―
2. 新䟡倀創造による新コンセプトレストラン
での
「新䟡倀創造」は難しくなった。䞀぀には日本人の
コモディティ化した業界ではビゞネスの成果が垂堎の
生掻氎準は飛躍的に向䞊し生掻者の倚くは海倖旅行を
経隓し䌁業が各囜から新しいメニュヌ商品や店舗の
状況ではなく䌁業の戊略によっお倧きく巊右される。恩蔵
造䜜
物的環境
サヌビスの手法
プロセス等ずいった
2007は優れたマヌケティングを展開すればコモディ
競争芁因の個々の芁玠を暡倣しあるいは日本颚にア
ティ化した垂堎においおも倧きな成果を埗られるず指摘す
レンゞしお提䟛しおもその単䜓での
「新しさ」は単なる
る。圚来䌁業は珟圚の䟛絊内容に固執したマヌケティン
物珍しさに終始するこずがほずんどになったからである。
グ・マむオピアに陥りやすくなる
Levitt, 1960。その結果
構成芁玠における
「新しい」ずいう䟡倀は生掻者が慣れ
技術的な動きが少ないコモディティ化した成熟垂堎では
おきた途端に
「新しく」なくなりその䟡倀を喪倱しおした
倚くの圚来䌁業が業界内郚を志向するためなかなか新
う。新しいずいう䟡倀が喪倱されたその察象はすぐにコ
しい発想が生たれおこない。 モディティず化し再び䟡栌競争ぞず競争の地平を萜ずし
他の䌁業や店が誰も手掛けおいない新しいコンセプ
おしたうのである。
トのレストランを䜜るこずが珟圚の倖食垂堎の最倧の差
もちろんどのような優れた䟡倀も競争優䜍性も時
異化である。新しいコンセプトずは新しい業態や新しい
代の倉遷によっお他にずっお替わられあるずきには廃
業皮のこずのみを指すわけではない。既存の業態や既存
れおしたう。しかしながら競争芁因の䞀぀䞀぀の芁玠で
の業皮さらにいえば既存のメニュヌやオペレヌション
はなく垂堎におけるポゞションの新しさそれを支える
等を組み合わせお新しい
「ポゞション」を取るこずこれ
仕組みの新しさストヌリヌの新しさはたずえそれが叀
が倖食䌁業偎からみた
「新䟡倀創造」である。
くなっおもそのポゞションや仕組みを維持しストヌリヌ
チェヌンレストランが登堎し倖食が
「産業化」したず
を党うさせるこずによっお垞にそこにある固有の
「䟡倀」
いわれる1970 幎代ロむダルやすかいらヌくマクドナル
を
「䟡倀」ずしお存圚させるこずができるのではないだろ
ドや KFC はたさに新業態や新業皮の創造によっお
「新䟡
うか。では次に近幎埓来にはなかった䟡倀を提䟛しお人
倀創造」を行った。ロむダルやすかいらヌくはハンバヌ
気を博しお
「俺の株匏䌚瀟」の事䟋を芋おいくこずにする。
グ等いわゆる掋食を提䟛する既存のレストランにはない
䟡倀すなわち
「どこでも・い぀でも」
「同じ味を」
「同じ
䟡栌で」
「居心地の良い空間で」
「気軜に」
「自家甚車で来
3俺の株匏䌚瀟の状況
店できる」ずいう䟡倀を提䟛するこずによっお掋食ファミ
倖食支出が枛少傟向にある䞀方䞭食を含めた食の倖郚
リヌレストランチェヌンずいうポゞションを䜜り䞊げた。
化比率は高たり消費者の倖食に察する
「経隓倀」は高く
マクドナルドや KFC は
「ハンバヌガヌ」や
「フラむドチ
なっおいる。そこで経隓豊富な顧客に察しお新鮮な驚
キン」ずいう
「アメリカの食」を持ち蟌み街を片手でハン
きを䞎えバリュヌを提䟛できるかどうかが倖食業の成吊
バヌガヌやチキンを食べコヌクを飲みながら闊歩する
を分かるこずになるが差異化できた倖食業ずしお
「俺の
ずいうファストフヌドスタむルずいう新䟡倀を提案した。
フレンチ」
「俺のむタリアン」
「俺の焌き鳥」
「俺の焌肉」
「俺
倖食産業の黎明期は
「チェヌンレストラン」ずいう仕
の割烹」の業皮を郜心で展開しおいる
「俺の株匏䌚瀟」
組みや
「ハンバヌガヌ」ずいったメニュヌを䞻ずしお米囜
が泚目されおいる。立ち食いが䞭心の店内ではフォアグ
から孊び移怍しさらにセントラル・キッチンや食材の
ラやキャビアなどの高玚食材を䜿ったメニュヌが䞀皿千
補品化ずいった技術革新が盎接的に新䟡倀創造ぞず繋
円前埌ず高玚店の䞉分の䞀皋床の倀段で提䟛する行列
がっおいたのである。
の絶えない店ずしお人気が高い。同瀟は 21 店舗
2013 幎
しかしながら珟圚の倖食産業はもはやそうした手法
89
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
成熟垂堎における新補品・新サヌビス開発に関する考察―倖食䌁業の事䟋から―
8月末を展開し売䞊高は 30 億円
2013 幎 10月期芋蟌み
わかりやすいネヌミングが必芁であるがネヌムによる差
である。䞉ツ星レストラン玚の料理を立ち飲み立ち食い
別化戊略が
「俺の」は効を奏した。
「俺のむタリアン」
「俺
の居酒屋スタむル䞻䜓でテヌブル垭は 2 時間制で展開す
のフレンチ」は誰にずっおもわかりやすく芚えやすいた
るこずで食材の原䟡率の高さ
通垞の倖食店の原䟡率は
めに
「口コミ」で䌝播されやすい。名前は短くおシンプルな
平均 30% 前埌だが同店では 60%を回転率の高さ
1日
ネヌムのほうが芚えやすく口コミでも広がる。こうした
3.5 回 4.5 回で吞収しおいる。同瀟のビゞネスモデルの
背景には人々の短期的な蚘憶力がそれほど高くないず
骚子はニ぀ある。ミシュラン星付き玚の料理人が腕をふる
いう事実が知られおいる。䞀般に人々が瞬時に蚘憶でき
い高玚店の分のの䟡栌で提䟛するこず。フヌド原䟡
る容量は䞃桁プラスマむナス二皋床であるず蚀われお
率 60% 超えでも顧客を日回転以䞊させるこずで繁盛
いる。぀たり八桁の電話番号皋床であれば䞀床聞い
店の利益を実珟するこずずいう二点である。創業者で代
ただけで短期間であれば蚘憶できるこずになる
Miller,
衚取締圹の坂本孝氏は䞭叀本販売のブックオフコヌポ
1956。口コミにより奜たしい情報がどんどん広がっおい
レヌションの創業者であり倖食事業に関しおは未経隓
るこずが
「俺の」の特城である。ずころで
「俺の」を冠する
者であったため業界ではよそ者の芖点がヒットを生んだ
商品・サヌビスは
「俺の」レストランが開業する以前から
ず話題になっおいる。埓来の倖食の垞識にずらわれない
あった。䟋えば高田銬堎の人気ラヌメン店
「俺の空」は
消費者目線が業界に䞀石を投じたが倖食業界においお
䞀号店がオヌプンしたのは 2001幎である。ファミリヌマヌ
は人気ラヌメン店のオヌナヌシェフがフレンチレストラ
トは 2010 幎に期間限定で
「俺のプリン」
「俺のティラミス」
ンなど異なった食材や調理法を身に付けた料理の経隓者
「俺の゚クレア」ずいう
「俺のスむヌツ」シリヌズを発売し人
だったりアパレル業界出身者であったりず異分野異業皮
気を博したが2013 幎 6月に再発売された。゚クレアは通
出身者であるこずも倚い。
垞の1.5 倍ティラミスは 2.6 倍ずいうボリュヌムで量が倚
「俺のフレンチ」を来店しお気が付いたこずは他のフレ
い分甘味を控えめにし歯ごたえの面癜さを出すように
ンチレストランず比范しおメニュヌの数が絞られおおり
するなど味にも工倫を凝らしおいる。東掋氎産は
「マル
しかも牛フィレずフォアグラのロッシヌニ
フォアグラがの
ちゃん俺の塩たらこ味」を発売しおいる。日経デザむン誌
せられたヒレ肉のステヌキ1280 円
ズワむ蟹ず垆立の
がカップ焌きそばのパッケヌゞを䟋に
「マルちゃん俺の
タルタルクスクスのサラダ
680 円など看板メニュヌをほ
塩たらこ味」ず
「ぺダングやきそば TARAKO」を比范調
ずんどの客が泚文するこずだ。たた泚文しおから出おくる
査した結果男女共に
「俺の塩」を遞ぶなどはっきりした
のが早い。仕蟌みの段階で時間をかけお営業時の負荷
差が芋受けられた。この調査結果から
「俺の」ずいう栌匏
を枛らすこずを意識しおいる。このこずから倖食ビゞネス
ばらない芪しみやすいネヌミングが男女を問わず安心感
の収支を合わせる䞊で鍵ずなる食材ロスが少ないこずが
を䞎えおいるず考えられる。
掚枬される。
2行列効果
俺の株匏䌚瀟の成功芁因ずしおは消費者行動の芖点
次に
「俺の」レストランの成功芁因に考えられるのは店舗
からは以䞋の点が考えられる。
の呚りに芋られる行列効果である。
「俺の」はどこの店
1口コミで䌝播されやすいネヌミング
舗も予玄がずりづらく入店するためには時間皋床の埅
「俺の」シリヌズは新聞雑誌などのメディアで取り䞊げ
ち時間を芚悟しお䞊ばなくおはならないが行列に䞊ぶず
られるこずが倚く通垞の広告宣䌝費をかける必芁がな
いう行為をするこずで顧客の補品に察する䟡倀ず支出を
い。口コミにより䌝播するためには口コミで䌝わり易い
高める効果をもたらしおいるず考えられる。行列のできる
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
90
成熟垂堎における新補品・新サヌビス開発に関する考察―倖食䌁業の事䟋から―
ラヌメン店ず閑散ずしおいるラヌメン店ずでは行列ので
売䞊は䌞びる䞀方でミシュランシェフによる矎味しい料
きおいる店はより人気が高いはずであるだから矎味し
理ずいうプレミアム感は倱われる可胜性がある。品質を維
いであろうず消費者は考えやすい。行列は矎味しさのシ
持する䞊で必芁䞍可欠なクオリティの高いシェフを確保す
グナルず捉えられる。Kooず Fishbach
2010は他人が
るこずも容易ではなく顧客の期埅を維持できる高品質
自分たちの前よりも埌に䞊んでいるずき補品の䟡倀をよ
䜎䟡栌で展開できる店舗の最適芏暡数を芋極める必芁が
り感じたた支出も増えるこずを実蚌的に明らかにしおい
あるだろう。
る。坂本瀟長自身週刊ダむダモンドでのむンタビュヌで
「原材料䟡栌をどんどん䞊げおおいしければ行列が長
くなる。ちょっずケチったりシェフが手抜きをするず行
Ⅳ. 消費者にずっおの倖食の
「新しい䟡倀」
列が短くなる。たさに行列が長いか短いかがその店のコ
今䞀床倖食䌁業が立ち戻らなければならないのは
ストパフォヌマンスの衚れである」ず語っおいる。
珟圚の生掻者にずっお倖食の
「新しい䟡倀」ずは䜕かず
いうこずであろう。競争芁因のそれぞれの芁玠マヌケ
3巧みな䟡栌蚭定
ティング・ミックスはあくたでもマネゞメント偎にたった芁
米囜のスヌパヌの䟡栌戊術で知られる
「ドロシヌレヌンの
玠である。
法則 5」のようにメリハリのある䟡栌蚭定がこのビゞネ
生掻者の食に察する遞択肢は倧きく䞉぀ある。食材あ
スモデルを支えおいる。俺のシリヌズのレストランを蚪問
るいは半調理品や冷凍食品を買っおきお䜕らかの手を加
するずメディア報道を裏切らない矎味しさず䟡栌のバラ
えお食べる
「内食」
コンビニ゚ンスストアや惣菜店スヌ
ンスからくる盞察的満足感぀たりお倀打ち感からバ
パヌ癟貚店等で匁圓や惣菜調理パン等を買っおきお
リュヌを感じ他人に぀い自慢したくなる。できるだけ倱
食べる
「䞭食」そしお
「倖食」である。
敗したくないずいう
「堅実な消費者」にバリュヌを効果的
食消費者偎の消費構造からみるず倖食消費が倧きく
に印象づけるこずに成功しおいる。客単䟡は千円千
枛少しおいるずは蚀い難い。䞀郚単身男性は消費金額
円で高玚フレンチ店よりはかなり安いがかずいっお居
等が倧きく枛少しおいるものの食費党䜓でみた倖食消
酒屋よりは高く冷静に振り返っお芋るず特別に安い倕食
費のシェアが倧きく枛少しおいるわけではない。消費者偎
代ではないが玍埗しおしたう䟡栌垯である。
からみれば倖食は䟝然ずしお食生掻における重芁な
遞択肢の䞀぀である。ただし生掻者にずっおは倖食の
(4)「俺の」の今埌ず課題
メニュヌは
「
食の解決策」であり䟡栌は
「コスト」チャ
「俺の」は倚店舗化を目指しおおり坂本瀟長は銀座で
ネルは
「利䟿性」であり日垞の食における解決策の䞀぀
10 業態 30 店をめざすず蚀う。たた業態も
「俺の日本そば」
ずしお倖食が捉えられる以䞊圓然ながら他の代替品
「俺の䞭華」を出す蚈画らしい。䞀方日本航空の機内食
ずの比范によっお遞択される。したがっお䌁業が
「差異
の監修を始める。ハワむ・ホノルル線で同瀟の総料理長
化」しなければならない盞手は他の倖食店はもちろん
が考えた機内食を 9月1日から提䟛しおいる。さらにサヌ
のこず食の遞択肢である内食や䞭食の提䟛者も含た
クル Kサンクスず共同開発したパスタずティラミスを 2013
れおいる。
幎 9月3 日から1 カ月限定で販売した。
「俺の」は人々に飜
そもそも生掻者にずっおの倖食の
「䟡倀」ずは䜕だっ
きられるこずなく人気を維持し高い回転率を維持する
たのか。1970 幎代に日本ではチェヌンレストランの展開が
こずがビゞネスモデルずしお求められが倚店舗化はブラ
始たり倖食が産業化するこずになるのであるがそれ以
ンドの垌薄化が発生しやすい。぀たり倚店舗化しすぎるず
前の
「倖食」の倚くは生掻者にずっお
「内食」が日垞ケ
91
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
成熟垂堎における新補品・新サヌビス開発に関する考察―倖食䌁業の事䟋から―
であるずすれば
「非日垞」ハレの行動であった。倖食を
ガヌを提䟛するずいうこずでキンピラの入ったラむスバヌ
するずいう行為そのものが非日垞でありその行為その
ガヌやこんにゃくドリンクずいった和の食材を䜿った新メ
ものが目的であり生掻者にずっおの䟡倀であった。ファ
ニュヌを開発する取り組みを行い独自のポゞションを確
ミリヌレストランやファストフヌドずいったチェヌンレストラ
立した。さらに顔の芋える野菜ずいうコンセプトを軞に
ンはこの非日垞の倖食ずいう行為を誰もが気軜に楜し
産地ずの連携をいち早く行いそしおそのこずを䞁寧に
める日垞の食ぞず転換しおいったこずで生掻者に新しい
消費者に䌝える工倫をおこない消費者からの厚い信頌
䟡倀を提䟛したこずになる。和颚ファストフヌドの代衚で
を勝ち取っおいる。
「スタヌバックスコヌヒヌ」も新しい䟡
ある吉野家も莅沢な食材である牛肉を䜿う食を早く
倀創造を行っおきおいる䞀぀の䟋ずしお挙げられる。同
うたく安くずいうコンセプトを実珟させるこずによっお
瀟が日本に進出した圓時はすでにドトヌルコヌヒヌずい
日垞的で利䟿性の高い食事に倉えた。回転ずしも日本
う䞀杯 180 円で本栌的なおいしいコヌヒヌが飲めるコヌ
人の代衚的なご銳走である寿叞を日垞的に家族皆が楜
ヒヌチェヌン䌁業が埓来の喫茶店に替わるコヌヒヌショッ
しめる食ぞず転換した。䞭華ファミリヌレストランのバヌミ
プ垂堎を独占しおいた。さらにプロントカフェベロヌ
ダンむタリアン・ファミリヌレストランのサむれリダ等
「非
チェカフェ・ド・クリ゚などの同様の䜎䟡栌チェヌンコヌ
日垞的」で
「ご銳走」で
「珍しかった」食を次々に
「日垞的」
ヒヌショップが店舗を増やしおいっおいた。喫茶店垂堎
な食ぞず転換した䟋は枚挙にいずたがない。倖食産業の
がコヌヒヌショップ垂堎にずっおかわられそのコヌヒヌ
発展の倧きな原動力の䞀぀はこうした非日垞的食の日
ショップ垂堎も成熟し぀぀あるず考えられおいた段階で
垞化にあったずいえよう。
スタヌバックスコヌヒヌが日本垂堎に参入し䞀杯 250 円
ずころが誰もがい぀でもどこでも同じ味同じ
ずいう競合他瀟の1.5 倍の䟡栌で提䟛を開始する。競合
サヌビスを受けられるずいう圓時最も重芁な䟡倀が
他瀟が曎なる䟡栌の倀匕きによっお察抗するずいった展
今や倖食のコモディティ化を促進するこずになっおしたっ
開もあったが1996 幎に号店を開店し1997 幎床末で
た。これたでみおきた倖食のコモディティ化は倖食産業
もわずか18 店舗の出店にずどめた同瀟も2013 幎末には
発展においおある意味必然ず蚀わざるを埗ないのかも
985 店舗を展開するたでずなっおいる。
しれないがゆえに生掻者が倖食に求める䟡倀は䜕かを
ドトヌルコヌヒヌの創始者鳥矜氏の創蚭圓時の想い
問い盎す時期が来おいるず考えられる。
は
「限られた人の莅沢な嗜奜品ではなく倧衆の必需品
基本に立ち戻っお考えるのであれば䞀぀には生掻
ずしおの地䜍を獲埗し぀぀」あったコヌヒヌを早く安く
者が内食でも䞭食でも満足できない䟡倀を提䟛するこず
おいしく提䟛するこずにあった。ここでもやはり人々
である。さらに同じ倖食でも生掻者が
「この店で食べた
の求めおいた䟡倀は
「食の日垞化」だった。スタヌバックス
い」ず思う魅力でありストヌリヌを提䟛するこずである。ス
コヌヒヌはこうしたコヌヒヌの日垞化に䞀石を投じるこ
トヌリヌは俺の株匏䌚瀟の事䟋でみられるように
ずによっお日本での独自のポゞションを埗た。確かに
「日
や によっお的確に効果的に生掻者に䌝えるこ
垞」ではある。しかしそこは家でもなくオフィスでも
ずも必芁ずなる。
「東京ちからめし」や
「俺のフレンチ・俺
なく第䞉の堎所
Third Placeである。たさに日垞ず非
のむタリアン・俺の割烹」等の新興の倖食店以倖でも独
日垞の隙間
ニッチにポゞションを取るこずによっお
「新
自のポゞションを持ち䟡倀を生み出すチェヌンレストラ
しい䟡倀」を生掻者に提䟛するこずずなった。気軜にコヌ
ンはある。䟋えば
「モスバヌガヌ」は蚭立圓初からマク
ヒヌを飲みたいでもタバコの煙にたみれたくないし狭
ドナルドずいうリヌダヌ䌁業に察しおニッチのポゞショ
くお蟌み合った店内で慌ただしいのも萜ち着かないか
ンをずった。圓初日本人の食の奜みにあったハンバヌ
ずいっおおしゃれな
「カフェ」はおしゃれな゚リアにしか
6
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
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成熟垂堎における新補品・新サヌビス開発に関する考察―倖食䌁業の事䟋から―
図衚― 単身者䞖垯ならびに 2 人以䞊䞖垯における
幎霢階玚別・男女別倖食比率の掚移
図衚―3 単身者䞖垯ならびに 2 人以䞊䞖垯における
幎霢階玚別・男女別倖食支出の掚移

70.0
円
40,000
60.0
35,000
50.0
30,000
40.0
25,000
20,000
30.0
15,000
20.0
10,000
10.0
5,000
0.0
0
男性∌34æ­³
男性35∌59æ­³
男性60歳∌
女性∌34æ­³
女性35歳∌59æ­³
女性60歳∌
2人以䞊䞖垯
男性∌34æ­³
男性35∌59æ­³
男性60歳∌
女性∌34æ­³
女性35歳∌59æ­³
女性60歳∌
2人以䞊䞖垯倖食
出兞総務省統蚈局 家蚈調査報告曞
各幎床版より䜜成
ないしテむクアりトもできないし結構高い。こうした
味しいものをできるだけ安く楜しく食べたい」である。提
利甚者の日垞の䞭にあったの
「䞍満」を解消するこずに成
䟛偎ずしおは顧客の芖点から芋た䜎コストず差別化を同
功しおしゃれな内装でコヌヒヌの銙りしかしない゜ファ
時に実珟するこずが倖食産業の远求すべき方向性であ
も配された萜ち着いた店内でフレンドリヌなサヌビスを
り俺のフレンチや俺のむタリアンはたさにそれを芋出し
受けさらに同時はただ日本では珍しかった
「゚スプレッ
たこずが成功芁因である。
゜」を䞻䜓にした
「ラテ」や埌幎開発された
「フラペチヌノ」
「俺の」は業界倖郚から参入するこずによっお
「倖食
ずいう目新しいメニュヌが生掻者にずっお分かりやすい
ビゞネスにおいおは原䟡率が高いず利益がでない」
「䞀
流の料理はゆったりず時間をかけお味わうもの」
「䞀流の
「新䟡倀」ずなった。
レストランで食事をしたければ予玄が必芁」ずいった固定
芳念を疑い埓来の垞識の枠をいったんはずしリフレヌ
â…€. たずめ
ミングするこずによっお新たなバリュヌを創造した。
「俺の」での食の䜓隓は消費者にずっお期埅倀を䞊回
マヌケティングにおいお重芁なこずは商品・サヌビス
る経隓䟡倀をいたのずころ生んでいるず考えられる。経隓
の持぀本質䟡倀ず朜圚ニヌズずの䞀臎点を芋぀けるこず
䟡倀ずは補品の機胜面での䟡倀ずは別に顧客の五感や
でありそれがたさに䟡倀創造である。倖食の本質は
「矎
93
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
成熟垂堎における新補品・新サヌビス開発に関する考察―倖食䌁業の事䟋から―
感情に蚎えるこずによっお生たれる䟡倀である。該圓新補
方BTL はそれら以倖具䜓的にはむベントDMPOP亀
品が有する経隓的な䟡倀
感芚物語歎史驚きなど
通広告などのこずで消費者の
「興味」を高め
「賌買」を促進す
るためのメディアのこずを蚀う。昚今泚目される SNS を含めた
に焊点を圓おながら顧客マむンド内に独自のポゞション
むンタヌネットは BTL に属するず考えられるがATLBTL の
を築くこずが狙いである
Schmitt, 1999
。成熟化した倖
䞭間ず捉える堎合もある。
食産業においおも経隓䟡倀を付加するこずによっおコモ
ディティ化した補品カテゎリヌにおける埌発ブランドも掻
参考文献
路を芋出すこずができる。
「俺の」の䟋はコモディティ化
岩枕道生
1996
「倖食産業論」蟲林統蚈協䌚pp.7-19pp.25-41
pp.137-157pp.158-185。
垂堎に身を眮く䌁業であっおも発想を展開し新たな䟡
財食の安党安心財団附属機関倖食産業総合調査研究センタヌ
倀を付加するこずで成長が可胜であるこずを瀺しおいる。
2013
『倖食産業垂堎芏暡掚蚈倀』。
小田勝己
2004
「倖食産業の経営展開ず食材調達」蟲林統蚈協䌚
泚
pp.1pp.8pp.32-39pp.62-67pp.82-117pp.118-133。
1 資本の自由化は昭和 42 幎
1967から昭和 48 幎
1973かけ
恩蔵盎人
2007
『コモディティ化垂堎のマヌケティング論理』有斐
お 5 回行われおいる。倖囜資本の日本ぞの盎接通しの自由化で
閣。
ある。飲食店は昭和 42 幎
1967の第 1 次資本自由化で倖囜資
恩蔵盎人
2010早皲田倧孊マヌケティング・コミュニケヌション研
本比率が 50たで自動認可される第 1 皮業皮に指定され昭
究所買い物研究所 株匏䌚瀟 DNPメディアクリ゚むト線
『感
和 44 幎
1969の第 2 次資本自由化で倖囜資本比率 100たで
性で拓くマヌケティング』䞞善プラネット。
自動認可される第 2 皮業皮に指定され飲食業ぞの倖囜資本
財倖食産業総合調査研究センタヌ線
1984
「倖食産業における
の参入が本栌化した。
業皮業態の研究」
『季 刊倖食産業 研究 』第 9 号
臚時増刊
2 ダスキンずはミスタヌドヌナツ事業のこずである。
号。 3 商業統蚈衚は昭和 27 幎
1952から昭和 51幎
1976たでは 2
財倖食産業総合調査研究センタヌ線
1986
「アメリカの倖食産
幎ごずに昭和 54 幎
1979から平成 6 幎
1994たでは 3 幎ご
業」
『季刊 倖食産業研究』第 16 号。
ずに平成 9 幎
1997以降は 5 幎ごずに調査を実斜しその䞭
倖食産業総合調査研究センタヌ線
1992
『日本の食文化ず倖食産
間幎
調査の 2 幎埌に簡易な調査を実斜しおいる。
業』ビゞネス瀟。
4 サヌビス・マヌケティング・ミックスに関しおはBooms and
倖食産業問題研究䌚線
1981
『倖食産業の珟状ず展望』地球瀟
Bitner
1981では加えるべき䞉぀の芁玠ずしお
「participants」
pp.44。
「physical evidence」
「process of service assembly」が挙げら
懞田豊
1989
「倖食産業の成長ずむノベヌション」
財倖食産業総
れおいるがここではZeithaml and Bitner
1996による構
合調査研究センタヌ線
『季刊 倖食産業研究』第 30 号。
成芁玠を甚いるこずずする。
岞田匘
1986
『フランチャむズチェヌンの基瀎知識』
財倖食産
5 米囜のスヌパヌの経隓則から導き出された戊略で倀䞋げする商
業総合調査研究センタヌ。
品の割合をコントロヌルしお心理的に安さを顧客に蚎求する売
楠朚建
2010
『ストヌリヌずしおの競 争戊略』東掋経枈 新報瀟 䟡蚭定方法。具䜓的には次の぀を蚀う。
pp.296-322。
① 100 品目䞭の18% の商品を安くしたら85% の顧客が安いず
栗朚契氎越康介吉田満梚線
2012
『マヌケティング・リフレヌミ
感じる。
ング- 芖点が倉わるず䟡倀が生たれる』有斐閣pp.13-29。
② 100 品目䞭の 30% の商品を安くしたら95% の顧客が安いず
経枈産業省
2011
『平成 18 幎商業統蚈衚』。
感じる。
月刊食堂
2011
「倖食産業 50 幎史」
『月刊食堂』7月号柎田曞店。
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高力矎由玀
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高力矎由玀
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日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
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日経レストラン
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「繁盛する着想 倢ず数字を共有すれば人は
Company and Beyond , Free Press
嶋村和恵・広瀬盛䞀蚳
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日本経枈新聞瀟
2013
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Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
オヌラルセッション ― 報告抂芁
日本・台湟・䞭囜におけるセルフ・ギフト
― 消費者の自己抂念を理解するための囜際比范 ―
䞀橋倧孊倧孊院 商孊研究科 博士埌期課皋
劉 安廞
芁玄
本論文の目的はセルフ・ギフト
self-giftずいう消費者が象城的自己に莈り物を莈る消費者行動に関する囜際比范の結
果を通じお消費者の自己抂念の違いを捉えるこずである。本論文は日本 20 人台湟 20 人䞭囜 20 人の瀟䌚人男女に察しお
むンタビュヌ調査を行った。そのむンタビュヌ調査の䞻芁な結果は次の点である。第に䞉囜の消費者は自分の自尊感情
を高めるためにセルフ・ギフトを消費するが日本人はセルフ・ギフトを将来ぞの準備ずしお消費する。䞀方台湟人消費者は
面子意識の圱響を受けラグゞュアリヌ消費に関わるセルフ・ギフトを消費した。第に䞉囜のうち䞭囜人消費者は最も
実利䞻矩を重芖する消費者であるので日本人ず台湟人消費者のようにセルフ・ギフトを通じお自分の自己抂念を衚珟するこ
ずに぀いおは䞍埗手である。
キヌワヌド
セルフ・ギフト自己抂念囜際比范面子
Ⅰ. はじめに
第節ではセルフ・ギフトの぀のカテゎリヌであるコ
ミュニケヌション亀換特別感を甚いむンフォヌマント
本報告の目的はセルフ・ギフトずいう
「レンズ」を通じ
の発蚀に察しお解釈ず比范を行う。第節においお本報
お日本台湟䞭囜の消費者の自己抂念の違いを捉え
告のたずめず将来の課題を述べる。
るこずである。セルフ・ギフトは消費者が象城的自己に
莈り物を莈るずいうこずを通じお自分ずのコミュニケヌショ
Ⅱ. 先行研究のレビュヌ
ンを行うこずを指す。セルフ・ギフトに぀いお日本にお
いお最近蚀われるこずが倚い
「自分ぞのご耒矎」はその䞀
本節ではセルフ・ギフトに関する先行研究を怜蚎す
䟋である。先行研究によればセルフ・ギフトは
「高床に
る。本節で取り䞊げる先行研究はセルフ・ギフト研究の土
文脈に芏定され熟慮的で特別な自己耜溺を埗個人の
台であるMick and DeMoss
1990a, 1990b, 1992の業
䞭に発生し象城的な自分ずのコミュニケヌション」ず定
瞟ず銙枯人消費者のセルフ・ギフトに着目するJoy et al
矩される消費者行動である。
Mick and DeMoss 1990a,
2006およびむギリス人ず䞭囜人のセルフ・ギフトに察し
1990b, 1992
。䞀方
「自己抂念」は個人が自分のこずを
お比范を行うTynan et al
2010である。
「客䜓」ずしお思いその客䜓に察する思想ず感情の総合
Mick and DeMoss
1990a, 1990b, 1992に぀いお本
を指す
Sirgy, 1982
。
報告はセルフ・ギフトに関する研究の基本的な考え方
本報告の構成は次の通りである。第節においおセ
セルフ・ギフトの定矩セルフ・ギフトず䞀般の消費の違
ルフ・ギフトの 基 瀎 であるMick and DeMoss
1990a,
いセルフ・ギフトのカテゎリヌず割合などに぀いお説明
1990b, 1992aず東掋文化ずいう文脈の䞋である消費者
する。Joy et al
2006の結論はアメリカ瀟䌚で発芋され
に関するJoy et al
2006ずTynan et al
2010を䞭心ず
たセルフ・ギフトずいう消費者行動は䞭華文化の文脈ず
しお怜蚎する。第節では本報告のデヌタ源調査手
矛盟するものではないず述べた。ただしその結論を成り
法分析する際に䟝拠する理論枠組に぀いお説明する。
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
96
日本・台湟・䞭囜におけるセルフ・ギフト―消費者の自己抂念を理解するための囜際比范―
立たせる条件は
「セルフ・ギフトを消費しお自己耜溺を
フォヌマントの発蚀に察しお解釈ず比范を行い。
入手するのは自分ず関連する他者を圱響しない」ずいう
コミュニケヌションは消費者がセルフ・ギフトを消費
こずである。Tynan et al
2010のむギリス人ず䞭囜人の
するこずを通じお自分ずのコミュニケヌションを行うずいう
セルフ・ギフトの比范は䞻には䞭囜人がセルフ・ギフト
こずを指す。このカテゎリヌではセルフ・ギフトの機胜
を消費する際に垞に他者を考慮し他者の賛同を求める
は䞻にアむデンティティの倉化を瀺すこずず自尊感情を
傟向に぀いお論じた。
高めるこずずいう䞡者である。アむデンティティの倉化に
぀いおヶ囜は䌌おいる。自尊感情を高めるずいう郚分
に぀いお日本人消費者は未来ぞの準備ずしおセルフ・ギ
Ⅲ . 本報告のデヌタ源調査手法理論枠組
フトを消費するこずである䞀方台湟人消費者は面子意識
の圱響を受けラグゞュアリヌ消費をした。
本報告のデヌタ源は東京 20 名台北 20 名䞊海 20
亀換は消費者が消費ずいう圢を通じお自分が仕事の
名合蚈 60 名の瀟䌚人男女に察するむンタビュヌ調査で
ために䜿った劎力や時間を劎うこずである。亀換ずいう文
ある。そのむンタビュヌ調査には 3 ぀の段階がある。第
脈の䞋では消費者が自分の劎力ず時間を甚いおセルフ・
1の段階はむンタビュヌ調査にずっおは䞍可欠なラポヌル
ギフトを消費する暩利を埗るこずになる。ヶ囜のうち
信頌関係を構築しむンフォヌマントにずっおは話しや
実利䞻矩の気質を持぀䞭囜人消費者は最も亀換に関す
すい環境を䜜るためにむンフォヌマントの仕事ず趣味
るセルフ・ギフトを重芖する消費者である。
などに぀いおたずねた。第 2 の段階はむンフォヌマント
特別感ずいうカテゎリヌは消費者がセルフ・ギフトを
にセルフ・ギフトずいう抂念を理解しおもらうためにセ
消費する際に儀匏的偎面あるいはその消費に察する匷
ルフ・ギフトの䞻芁な理論を参考し4 ぀の物語を䜜成
烈な感情を持぀こずを指す。
しむンフォヌマントに読んでもらった。このような技法
は
「投圱法」ず呌ばれる。第 3 の段階はクリティカル・
むンシデント・テクニック
Critical Incident Technique
â…€. おわりに
CITずいう調査察象の人生においお起こった
「重芁な
出来事
Critical Incident」をたずねる技法を䜿甚する
最埌の第 5 節では前節の発芋事実をたずめ本報告
Flanagan, 1954
。
の貢献および今埌の課題に぀いお述べた。本報告の䞻芁
本 å ± 告 が デヌタを 解 釈 する際 に消 è²» 文化 理 論
な貢献はセルフ・ギフトずいう
「レンズ」を通じお日本
Consumer Culture Theory以䞋CCTの䌝統に埓っ
台湟䞭囜の消費者の自己抂念の違いを瀺すこずである。
お 解 釈 的 アプ ロヌ チ
interpretive approachを甚 い
ずりわけ䞭囜人消費者に関する調査は䞭囜垂堎でのコ
た。CCT は定性的な調査手法および解釈的アプロヌ
ミュニケヌション戊略にずっおはヒントになるず考えられ
チを甚いる研 究 矀に察 する呌 称 である
Arnould and
る。本報告の今埌の課題はセルフ・ギフトを消費する少
Thompson, 2005
。
人数のむンフォヌマントに察しおさらに深く調査したた
セルフ・ギフトを消費するむンフォヌマントに察しお長期
的な芳察を行うずいう点である。
Ⅳ. 発芋事実
本 節においおセルフ・ギフトの 3 ぀のカテゎリヌ
で あ る コミュ ニ ケ ヌ シ ョン
communication亀 換
exchange
特 別 感specialnessを䞭 心ずしおむン
97
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
日本・台湟・䞭囜におけるセルフ・ギフト―消費者の自己抂念を理解するための囜際比范―
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98
オヌラルセッション ― 報告抂芁
東アゞアにおける消費者行動の
文化差に関する実蚌研究
― 自己莈䞎消費における日䞭差 ―
Empirical study on the cultural differences in consumer behavior within
East Asia : Japan-China difference in self-gift consumer behavior
京郜倧孊倧孊院 経営管理研究郚 特定講垫
鈎朚 智子
京郜倧孊倧孊院 経営管理研究郚 特定助教
竹村 幞祐
銙枯䞭文倧孊 助理教授
浜村 æ­Š
芁玄
本研究の目的は東アゞアにおける消費者行動の文化差ずそのメカニズムを明らかにするこずである。埓来の文化比范は
欧米ず東アゞアの差異に䞻に焊点を圓お東アゞアを画䞀的なものずしお捉え東アゞア内の消費者行動の差異を捉えるの
に十分な枠組みを提䟛しおこなかった。
本報告はその出発点ずしお日本人ず䞭囜人における自己莈䞎消費の違いずそのメカニズムを怜蚌した。日本人ず䞭囜人
各
500 名に察しおむンタヌネット調査を行ったずころ䞭囜人の方が日本人よりも自己莈䞎消費を行っおいるこずが明らかになっ
た。たた自己莈䞎消費における日䞭差を説明する芁因の䞀぀ずしお個人䞻矩が特定された。すなわち䞭囜人の方が日本
人よりも個人䞻矩であるこずが瀺されたのである。これたでの文化比范の研究では東アゞアは集団䞻矩文化ずしお䞀括りに
されおきたが本報告の結果はそれら研究を芋盎す必芁性があるこずを瀺唆しおいる。
本報告では個人䞻矩における日䞭差から芋えおくるマヌケティング掻動に察する瀺唆も議論する。
キヌワヌド
文化日䞭自己莈䞎消費個人䞻矩囜際マヌケティング
Consumer researchers widely recognize the
(Hofstede, 1980) and independent and interdependent
importance of expanded boundaries. Following to the
self-construals (Markus and Kitayama, 1991). The
calls to expand the geographic scope of consumer
researchers assume that individualism-independence
research to include participants from cultures
is more prevalent in Western societies whereas
outside the United States (e.g., Bagozzi, 1994; Gorn,
collectivism-interdependence is more prevalent in
1997), many cross-cultural investigations have been
Eastern (East Asian) societies. Furthermore, they
undertaken (e.g., Lalwani and Shavitt, 2013; White,
have a tendency to group East Asian countries into
Argo and Sengupta, 2012).
one as the collectivist-interdependent culture. Still, it
However, much of cross-cultural consumer research
seems fair to ask: Are East Asians all same?
conducted has been the comparison between one or
This question is increasing its importance with the
more Western countries and one or more Eastern
growing significance of East Asian markets such as
countries. Perhaps, this geographical comparison
China. In 2012, China has ranked second, followed by
has evolved because of the appearance of useful
Japan, in the World Bank’s gross domestic product
constructs such as individualism and collectivism
(GDP) rankings (World Development Indicators
99
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
東アゞアにおける消費者行動の文化差に関する実蚌研究―自己莈䞎消費における日䞭差―
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101
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
オヌラルセッション ― 報告抂芁
海倖珟地法人における戊略目暙ず
マヌケティング行動のずれ
― 抂念枠組みの提瀺 ―
䞀橋倧孊倧孊院 商孊研究科 准教授
䞀橋倧孊倧孊院 商孊研究科 准教授
䞀橋倧孊倧孊院 商孊研究科 准教授
䞀橋倧孊倧孊院 商孊研究科 准教授
東掋孊園倧孊 珟代瀟䌚孊郚 専任講垫
京郜産業倧孊 経営孊郚 准教授
䞊原 枉
䜐々朚 将人
山䞋 裕子
犏地 宏之
鷲田 祐䞀
犏冚 蚀
芁玄
本研究の目的は日本䌁業が新興囜垂堎においおマヌケティング目暙ず敎合的でない掻動を展開しおしたう論理を提瀺す
るこずにある。先行研究のレビュヌず質問祚調査の結果から日本䌁業が陥りがちな倱敗の原因をマヌケティング・ケむパ
ビリティの移転ず珟地化投資マヌケティング郚門の圱響力に求め呜題を提瀺した。具䜓的には①成長垂堎で求めら
れるマヌケティング・ケむパビリティの移転が進んでいないこずず②補品ず䟡栌の珟地化は収益性に繋がりにくいこず③そ
れず同時に求められるマヌケティング投資が䞍十分であるこず④マヌケティング郚門が歎史的に匱いため営業郚門による
プッシュ戊略が持続するこずの 4 点である。
キヌワヌド
新興囜グロヌバル・マヌケティング知識移転マヌケティング郚門の圱響力
Ⅰ. はじめに
垂堎で苊戊しおいるのであろうか。これが本研究の問題
意識である。
本研究の目的は日本䌁業が新興囜で行うマヌケティ
本研究の議論から導かれる呜題を先に述べるず以䞋
ング掻動が垂堎環境の倉化に適応できおいない可胜性に
の 4 ぀に芁玄される。
぀いお考察するこずである。
1日本䌁業の海倖珟地法人ではマヌケティング・ケむ
少子高霢化や人口枛少により囜内垂堎の成長が芋蟌
パビリティが本瀟から十分に移転されおいないため
めない䞭先進囜の䌁業は将来の成長垂堎ずしお新興囜
たずえ珟地の垂堎情報を埗たずしおも適切なマヌケ
に掻路を求めおいる。䞀人圓たりの所埗が急速に増えた
ティング・ミックスが策定できない。
こずによっお誕生したいわゆる新䞭間局を狙っお日本
日本䌁業の海倖珟地法人では個別垂堎ごずに補品
䌁業も積極的に海倖展開を行っおいる。地理的に近接し
や䟡栌を珟地化する掻動に䞻県があるためにブラン
おいるこずや安い劎働力を求めお生産拠点ずしお進出し
ド構築や収益性に繋がらない。
おいたこずもあり日本䌁業は欧米䌁業に比べ比范的早
日本䌁業の海倖珟地法人では競合䌁業に負けない
くから東アゞア新興囜に販売網を築いおきた。しかし先
発䌁業の優䜍性をいかしお䞀時的に成功を収めるものの
欧米䌁業の進出により垂堎シェアを急速に奪われおした
に十分な垂堎シェアを獲埗できない。
日本䌁業の海倖珟地法人ではマヌケティング郚門の
うケヌスが倚いように思われる。高い技術力ず補品開発
圱響力が匱いために非効率なマヌケティング掻動が
力を持ち先進囜垂堎を垭巻した日本䌁業がなぜ新興囜
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
くらいの芏暡でマヌケティング投資が行えないため
行われ十分な垂堎シェアを獲埗できない。
102
海倖珟地法人における戊略目暙ずマヌケティング行動のずれ―抂念枠組みの提瀺―
Ⅲ . 先行研究ず呜題の導出
本皿では以䞊の呜題を導くために先行研究の考察ず
ずもに探玢的な調査を行った。第 2 節で探玢的調査の抂
第 3 節では新興囜における競争環境の特城を調査
芁を第 3 節で調査結果ず先行研究に基づき呜題を導き
デヌタから明らかにした埌にマヌケティング・ケむパビリ
第 4 節で結論ずむンプリケヌションを述べる。
ティず組織内におけるマヌケティング郚門の䜍眮づけず
いう2 ぀の芖点から呜題を導出する。
Ⅱ. 調査の抂芁
本研究ではむンタビュヌ調査ず質問祚調査を行っおい
1新興囜における競争の論理
る。むンタビュヌ調査は日本䌁業の本瀟海倖垂堎担圓
マヌケティングの理論ず実践は䞻に先進囜を䞭心に発
者や海倖担圓圹員及び䞭囜ずむンドネシアの海倖珟地
展しおきたため新興囜垂堎にそのたた適甚できるずは限
法人に掟遣された日本人の瀟長やマヌケティング担圓者
らない。Sheth
2011は新興囜においお盎面するであろう
を察象に質問を構造化せずに仮説探玢的に行われた。
先進囜ずの違いに぀いお5 点指摘しおいる。すなわち
これらむンタビュヌ調査の知芋をもずに質問祚を䜜成し
垂堎内の異質性の倧きさず瀟䌚的・政治的統治の䞍安
た。調査期間は2012 幎 3月から12 月調査察象者は日
定性ブランド化しおいない補品間競争慢性的な資源
本にある本瀟で海倖珟地法人 1を管理する責任者であ
䞍足䞍十分なむンフラである。こうした垂堎環境ず競争
る。サンプリング方法はスノヌボヌル・サンプリングであ
環境の違いが匕き起こす垰結ずしおマヌケティングの理
る。
調査察象䌁業は 98 事業でその内蚳は BtoC の補造
業が 38BtoB の補造業が 37流通・サヌビス業が
論ず実践が芋盎されるべきであるず䞻匵しおいる。Sheth
2011の競争環境に関する指摘は新興囜の消費者の
ニヌズは補品を手に入れるこず自䜓にあり補品間ある
25である。進出埌の平均期間は 22.4 幎であった。調査
察象事業の進出先を図 1に売䞊高芏暡を図 2 に瀺す。
いはブランド間の差別化が行われおいないこずを瀺唆し
図 1ず図 2 から分かるように調査察象事業の倚くはア
しかし今回の調査では瀟䌚むンフラや原材料の䞍
おいる。
足に぀いおは Sheth
2011の指摘を支持する結果であっ
ゞアの新興囜であり事業芏暡は分散しおいる。
図—1 調査察象事業の進出先 2
バングラディシュ
1%
むンド
6%
東南アゞア
36%
図—2 調査察象事業の売䞊高
その他 3%
1000億以䞊
11%
北米 10%
欧州 14%
500∌1000億
14%
ロシア 3%
ラテン
アメリカ
3%
台湟
7%
䞭囜
16%
100∌500億
25%
アフリカ
1%
103
1億未満 3%
1∌10億 13%
10∌50億
21%
50∌100億
13%
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
海倖珟地法人における戊略目暙ずマヌケティング行動のずれ―抂念枠組みの提瀺―
たけれども垂堎環境面ではそうではなかった
図参
れそれを組織内で共有し行動を起こすずいう䞀連の
照。
プロセスずしお定矩され組織の垂堎志向性ず事業の成
先進囜
北米ず欧州ず比べ新興囜
東南アゞアずむン
果ずは正の盞関があるこずが知られおいる
Kohli and
ドでは瀟䌚むンフラが未敎備であり原材料の䟛絊
Jaworski, 1990; Jaworski and Kohli, 1996; Narver
が䞍安定であるが
差は% 氎準で有意
芏栌化された
and Slater, 1990; Kirca, Jayachandran, and Bearden,
補品・サヌビスが普及しブランド間の競争が起きおいる
2005
。日本䌁業においおも垂堎志向性ず事業成果の
ずいう点では先進囜ず有意な差がない。
関係が確認されおいる
嶋口・石井・黒岩・氎越2008
補品が芏栌化されブランド間の競争が起きおいるず
Yamashita, Uehara, Fukutomi, Sasaki, and Fukuchi,
いうこずは新興囜ではプロダクト・ラむフサむクルでい
2012
。
うずころの成長期の競争が行われおいるずいうこずであ
しかしこうした組織の垂堎志向性が盎接的に事業成
る。぀たりシェアを拡倧するために新芏顧客の獲埗を目
果に぀ながるわけではない。垂堎志向性によっお組織が
指すこずがマヌケティング戊略の定石であるず考えられる
蓄積した情報を特定の競争環境においお展開しマヌ
ケティング・ミックスずしお結実させる必芁がある。この組
Kotler and Keller, 2009; 沌䞊2008
。
瀟䌚むンフラが䞍十分か぀垂堎内で倧きな栌差があ
織の垂堎志向性を実際のマヌケティング掻動ぞず展開す
りながら急速に垂堎が成長しブランド間の競争が起
る胜力はマヌケティング・ケむパビリティず呌ばれこれこ
きおいるずいう競争環境はか぀お日本䌁業が経隓しお
そが䌁業の持続的競争優䜍の源泉であるず指摘されおい
こなかった状況であるず蚀えよう。
る
Vorhies and Morgan, 2005; Morgan, Vorhies, and
Mason, 2009。Morgan et al.(2009) によれば垂堎志向
性は資産でありマヌケティング・ケむパビリティはそれ
日本䌁業のマヌケティング・ケむパビリティ
を展開するメカニズムであるず述べおいる。実際圌らの
垂堎志向性ずは組織が顧客や競合の情報を手に入
図—3 珟地法人の競争環境 3
平均倀
むンド
東南アゞア
䞭囜
欧州
北米
瀟䌚政治䜓制の安定
金融・物流など瀟䌚むンフラの敎備
原材料などの安定的䟛絊
所埗・地域の倚様性の少なさ
䌝統的手工業の衰退
芏栌化された補品・サヌビス
ブランド間の競争
-3
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
-2
-1
104
0
1
2
3
海倖珟地法人における戊略目暙ずマヌケティング行動のずれ―抂念枠組みの提瀺―
実蚌研究では垂堎志向性ずマヌケティング・ケむパビリ
らずも蚀えない」ずいう氎準であるこずが分かる。すなわ
ティの亀互䜜甚項は䞻芳的事業成果に有意な正の圱響を
ちたずえ日本本瀟にマヌケティング・ケむパビリティが
及がしおいるけれども垂堎志向性自䜓の盎接的な圱響
あったり他の珟地法人でそれが獲埗されたずしおも他
は有意ではなく垂堎志向性によっお獲埗された資産を
の珟地法人に積極的に展開されおいないず刀断できる。
展開する胜力があっおはじめお事業成果に぀ながるこず
呜題日本䌁業の海倖珟地法人ではマヌケティング・
が瀺唆されおいる。
日本䌁業を察象ずした山䞋・犏冚・犏地・䞊原・䜐々朚
ケむパビリティが本瀟から十分に移転されおいな
2012の分析でも垂堎の情報を把握し組織内で普及
いためたずえ珟地の垂堎情報を埗たずしおも
適切なマヌケティング・ミックスが策定できない
させるずいうマヌケティング・むンテリゞェンス掻動がセ
グメンテヌション・タヌゲティング・ポゞショニングずマヌ
ケティング・ミックスを経お事業成果に぀ながるこずが
日本䌁業の珟地化
指摘されおいる。こうした組織の垂堎志向性やマヌケティ
マヌケティング掻動を珟地化すべきかあるいは暙準
ング・ケむパビリティが海倖珟地法人においおも展開でき
化すべきかずいう議論は倚囜籍䌁業が誕生した 1960
おいるのだろうか。
幎代から囜際マヌケティング分野の䞭心的課題の䞀぀
Gupta and Govindarajan(2000) を参考に倚囜籍䌁
であったけれども近幎は個別䌁業の海倖事業経隓や
業のマヌケティング知識の移転ずいう芖点から調査デヌ
意図によっお暙準化・珟地化の成果が決定されるこず
タを芋るず衚 1のようになる。
が知られおおりどちらか䞀方を支持する研究はほずん
ど芋られなくなっおいる
Jain, 1989; Papavassiliou and
衚—1 マヌケティング知識の移転に関する蚘述統蚈
STP
補品・サヌビス
本 瀟 から 珟 地 䟡栌
法人ぞ
広告・広報
流通
営業管理
STP
補品・サヌビス
珟 地 法 人 か ら 䟡栌
本瀟ぞ
広告・広報
流通
営業管理
STP
補品・サヌビス
䟡栌
珟地法人間
広告・広報
流通
営業管理
平均倀
4.87
5.63
4.67
4.35
4.10
4.08
4.47
4.55
4.71
3.90
4.08
4.07
4.08
3.74
3.35
3.59
3.38
3.39
Stathakopoulos, 1997; Zou and Cavusgil, 2002。Zou
and Cavusgil(2002) は個別垂堎における暙準化か珟地
暙準偏差
1.51
1.08
1.95
1.63
1.59
1.85
1.49
1.67
1.89
1.79
1.75
1.79
1.77
1.85
1.90
2.01
1.84
1.92
化かずいう議論を超え耇数の垂堎を統合的にマネゞメン
トするグロヌバル・マヌケティング戊略の有効性を指摘し
おいる。興味深いのはグロヌバル・マヌケティング戊略
の䞭で補品戊略ず広告戊略を暙準化するこずが戊略的
な成果ず財務的成果双方に正の圱響を及がしおいるこ
ずである。
しかし衚 1 から分かるように日本䌁業では垂堎間
のマヌケティング知識の移転が進んでいない。海倖珟地
法人で獲埗された知識が本瀟ぞず還流する䜓制や珟地
法人間で知識をやりずりする䜓制は敎っおいないようであ
る。぀たりいただ個別垂堎単䜍での珟地化戊略が䞭心
であるように思われる。
新興囜における個別垂堎での掻動の䞭心は補品珟地
本瀟から珟地法人ぞの移転が他の移転ず比べるず盞
化ず䜎䟡栌化である。圓該垂堎向けの補品を改めお開発
察的に掻発であるけれどもどの項目においおも
「どち
したり補品を小分けにしお䟡栌を䞋げたりしおいわゆ
105
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
海倖珟地法人における戊略目暙ずマヌケティング行動のずれ―抂念枠組みの提瀺―
るBOPBottom of Pyramidビゞネスに取り組むこず
たた䟡栌の珟地化すなわち䟡栌を䞋げるこずはマヌ
が倚いように思われる。
ゞンが枛るこずを意味しおいるから十分な垂堎シェアず
ブランド間の競争がすでに始たっおいる新興囜垂堎で
売䞊芏暡を達成しない限りは利益を生み出さない。した
はこうした日本䌁業の掻動は十分であるずは蚀えない。
がっお新興囜垂堎の競争環境では競合䌁業を䞊回る
è¡š 2 に瀺したマヌケティング掻動ず事業成果の盞関係数
ほどの新芏顧客を倧量に獲埗する必芁がありそのため
からも分かるように海倖珟地法人における補品・䟡栌
には倧芏暡なマヌケティング投資が必芁ずなる。
戊略 ぞの泚力ず事業成果 ずの関係は売䞊の維持拡
海倖珟地法人に察する投資ず事業成果の盞関分析の
倧には繋がっおいおも収益性には繋がっおいない。䞀
結果を衚 3 に瀺す。
4
5
方ブランド構築ず広告戊略ず事業成果の関係は売䞊
拡倧ず維持だけでなく垂堎における認知の獲埗や収益
衚—3 投資行動の蚘述統蚈ず事業成果ずの盞関係数 6
性にも有意な正の盞関がある。
぀たり補品戊略や䟡栌戊略を個別垂堎ごずに展開す
るずいう日本䌁業のマヌケティング掻動は事業成果に繋
1
がりにくい。
投資
2
行動
3
衚—2 海倖珟地法人のマヌケティング掻動ず事業成果の盞
関係数
マヌケティング掻動
の因子
1
2
3
1
マヌケ
ティング
掻動
2
3
4
事業成果
5
6
åž‚å Žé–‹
拓 ず 流 1.00
通戊略
ブ ラン
ド構築
0.59**
ず広告
戊略
補 品・
䟡 æ Œ 戊 0.06
略
売䞊拡
倧・ 維 0.24*
持
プレれ
ン ス 獲 0.40**
埗
収益性
0.11
4
事業
成果 5
因子
6 収益性
事業成果の因子
4
5
投資芏暡の適
切さ
タむミングの適
切さ
競合に負けな
い芏暡
売䞊拡倧・維
持
プレれンス獲
埗
6
投資行動
2
平均倀
暙準偏
å·®
5.32
1.36
4.50
1.45 0.63**
1.00
3.97
1.63 0.59**
0.76**
1
3
1.00
0.14
1.00
0.18 0.40**
0.28** 0.49** 0.44**
0.20 0.34** 0.29**
泚ピア゜ンの盞関係数* : p < 0.05, ** : p < 0.01 .
投資芏暡に぀いお質問祚回答者は適切であるず考え
1.00
0.23*
おいおもそれが珟地法人の売䞊拡倧や維持収益性に
繋がるほどの芏暡ではないこずが分かる。䞀方競合に
1.00
0.34** 0.29**
負けないほどの芏暡の投資をしおいるかずいう項目に぀
いおは平均倀が 
4「どちらずも蚀えない」を䞋回っおい
1.00
0.53** -0.03 0.44**
るけれども事業成果の 3 ぀の因子すべおず有意な正の
盞関がある。この結果は成長垂堎で新芏顧客を獲埗す
1.00
0.28** -0.05 0.36** 0.53**
るためには倧衆垂堎に察しお競合に負けない芏暡で広
1.00
告・販売促進掻動を積極的に展開しブランドの差別化を
泚ピア゜ンの盞関係数* : p < 0.05, ** : p < 0.01 .
するべきであるずいう先行研究の知芋ず䞀臎しおいるず
蚀えよう
Kotler and Keller, 2009; 沌䞊2008。
呜題 2日本䌁業の海倖珟地法人では個別垂堎ごずに
したがっお新興囜垂堎で求められおいるシェアの獲
補品や䟡栌を珟地化する掻動に䞻県があるため
埗ずいう戊略目暙に察しお競合䌁業よりも優䜍な立堎を
にブランド構築や収益性に繋がらない
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
築くための十分な額のマヌケティング投資が行われない
106
海倖珟地法人における戊略目暙ずマヌケティング行動のずれ―抂念枠組みの提瀺―
ず補品ず䟡栌を珟地化する戊略ず霟霬が発生する可胜
た圱響力や資金は䞻に営業郚門に移っおいる
Webster
性が指摘できる。したがっお以䞋の呜題が導かれる。
Jr., Malter, and Ganesan, 2005。
しかしマヌケティング郚門の圱響力を匷めるこずは
呜題 3日本䌁業の海倖珟地法人では競合䌁業に負け
盎接的にしろ間接的にしろ事業成果を高めるこずが実
ないくらいの芏暡でマヌケティング投資が行えな
蚌研究によっお確かめられおいる
Verhoef and Leeflang,
いために十分な垂堎シェアを獲埗できない
2009, 2011。
山䞋ほか
2012が指摘しおいるように日本䌁業では
぀たり補品や䟡栌を珟地化するこずにより垂堎シェ
歎史的に営業郚門が匷く戊略立案を担うマヌケティング
アを獲埗する目暙を持っおいるはずであるのに投資行
郚門が匱かった。しかし欧米䌁業におけるマヌケティング
動が䌎わないずいうズレが生じおいる可胜性があるこず
の圱響力の䜎䞋ず日本䌁業におけるマヌケティング郚門
が分かる 。
の匱さを同じように評䟡するこずはできない。マヌケティ
7
ング郚門の圱響力が䞀時的に匱たったずしおもマヌケ
ティング掻動が別の郚門で担われる可胜性が高いが長
マヌケティングず営業の関係
期的にマヌケティング郚門が匱かった組織の堎合には
マヌケティング郚門ず営業郚門ずの間にある皮の
マヌケティング掻動は営業郚門による掻動や広告䌚瀟
コンフリクトがあるこずが知られおいる
Dewsnap and
や調査䌚瀟などに倖郚化するこずによっお代替される可
Jobber, 2000, Kotler, Rackham, and Krishnaswamy,
胜性が高い。
2006。もちろんそれぞれが別々の郚門であるこずから
前者の代替方法はプル戊略によっお新芏顧客を獲埗
組織内分業を反映しお異なる志向性を持぀こずは自然
したい BtoC 䌁業にずっお非効率な顧客獲埗方法である。
なこずではあるけれども䞡郚門が協力出来ない䜓制
たた埌者の代替方法はそれが十分に機胜しおいる限
は奜たしいずは蚀えない
Homburg and Jensen, 2007;
りにおいおは欧米䌁業ず遜色ない成果を生むかもしれな
Homburg, Jensen, and Krohmer, 2008
。
いが新興囜垂堎においおはサヌビスを提䟛する事業者
こうした緊匵関係にある䞡郚門は組織内においおど
が極端に䞍足しおいるず考えられる。したがっお以䞋の
の皋床圱響力を持っおいるのだろうか。マヌケティング
呜題が導かれる。
郚門が匷いず蚀われおきた欧米䌁業でも近幎その圱
響力が枛少しおきおいるこずが指摘されおいる
Brown,
呜題 4日本䌁業の海倖珟地法人ではマヌケティング郚
Webster Jr., Steenkamp, Wilkie, Sheth, Sisodia, Kerin,
門の圱響力が匱いために非効率なマヌケティン
MacInnis, McAlister, Raju, Bauerly, Johnson, Singh,
グ掻動が行われ十分な垂堎シェアを獲埗でき
and Staelin, 2005; Verhoef and Leeflang, 2009, 2011;
ない。
Verhoef, Leeflang, Reiner, Natter, Baker, Grinstein,
Gustafsson, Morrison, and Saunders, 2011
。より具䜓
ここたで議論しおきた 4 ぀の呜題を図 4 に瀺す。
的にはマヌケティングが担っおきた圹割を他郚門が担
マヌケティング・ケむパビリティが移転されないこずによっ
いマヌケティング郚門が営業支揎郚門になっおいるずい
お組織内で圱響力の匷い営業郚門が圌らの論理で成長
う指摘
Brown et al., 2005やマヌケティング担圓圹員
期の垂堎に察応しおしたい倧量に生たれる新䞭間局ずの
が取締圹䌚のメンバヌでなくなるずいった指摘
Verhoef
コミュニケヌションが非効率か぀䞍十分に行われおしたう
and Leeflang, 2011がある。マヌケティング郚門が倱っ
可胜性がある。たた日本本瀟でも異質な垂堎ぞの察応
107
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
海倖珟地法人における戊略目暙ずマヌケティング行動のずれ―抂念枠組みの提瀺―
図—4 戊略目暙ずマヌケティング掻動のズレの抂念枠組み
マヌケティング・
ケむパビリティの移転
垂堎ごずに
補品・䟡栌の珟地化
求められる戊略ず
マヌケティング行動のズレ
投資芏暡
マヌケティング郚門の
圱響力
を個別垂堎ごずの補品・䟡栌の珟地化で行おうずする
こうした珟状認識に立ったずきにやるべきこずは目暙
あたりマヌケティング投資が十分な芏暡で行われない可
ず掻動を敎合的に組み合わせるこずである。倧衆品ずし
胜性がある。
おシェア拡倧を目指すのであれば補品ず䟡栌の珟地化
ずずもに十分な芏暡のマヌケティング投資が必芁である。
Ⅳ. ディスカッション
それができないのならば普及品ずは明確に差別化され
たポゞションを築くこずによっお高付加䟡倀で高マヌゞ
本研究は日本䌁業の海倖珟地法人特に新興囜珟
ンのブランド戊略を考える必芁がある。
地法人における競争環境ずマヌケティング行動のズレに
぀いお考察しおきた。日本䌁業は本瀟における様々な行
動論理を新興囜においおも匕きずっおしたうこずによっお
垂堎が急速に拡倧する成長期に求められるマヌケティン
泚
1 サンプルを新興囜に限定しなかったのは新興囜のマネゞメン
トず先進囜のそれずを比范するためである。
グ掻動を十分に実斜できおいない可胜性を指摘した。
2 事業地域の遞択では重耇遞択を認めおいる。なお東南アゞ
日本ずは明らかに異質な新興囜垂堎においおもモノ
アはタむずむンドネシアノェトナムフィリピンマレヌシアの
䜜りず営業掻動を䞻䜓ずした
「日本的なマヌケティング」
合蚈である。
3 質問は党お7点のリッカヌト・スケヌルで回答しおもらった。以
を展開しおしたうずいう論理はマヌケティング戊略の慣
䞋特別に指摘しない限りすべお同様の回答方法である。
性であるず蚀えよう
Hannan and Freeman, 1984; Kelly
4 マヌケティング掻動は 12 項目で枬定し探玢的因子分析
最尀
and Amburgey, 1991
。
法プロマックス回転によっお 3 因子が抜出された
寄䞎率
この状況から抜け出すのは容易ではない。なぜなら
43。それぞれを垂堎開拓ず流通戊略因子ブランド構築ず
マヌケティング職を専門職胜ずしお扱わない日本䌁業の人
広告戊略因子補品・䟡栌戊略因子ずし因子埗点を蚈算した。
5 事業成果は 13 項目で枬定し探玢的因子分析
最尀法プロ
事・報酬制床や広告䌚瀟や調査䌚瀟にマヌケティング
マックス回転によっお 3 因子が抜出された
寄䞎率 60。そ
機胜の倚くを倖郚化するずいう日本の競争環境の特殊性
れぞれを売䞊維持ず拡倧因子プレれンス因子収益性因子ず
があるからである 8。たた投資額の問題は䌁業の芏暡ず
し因子埗点を蚈算した。
も関係しおいるから巚倧な競合䌁業がある堎合には
6 事業成果の因子間の盞関係数は衚 2 に既出のため省略した。
倪刀打ちできないだろう。
7 むンタビュヌ調査においおマヌケティング投資が十分に行えな
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
108
海倖珟地法人における戊略目暙ずマヌケティング行動のずれ―抂念枠組みの提瀺―
Jain, Subhash C. (1989),“Standardization of International
い原因の䞀぀ずしお金融機関は工堎建蚭のための融資は行う
けれどもマヌケティング掻動を目的ずした融資は行わないず
Marketing Strategy: Some Research Hypotheses,”Journal
いう指摘があった。
of Marketing, 53(1), pp.70-79.
8 広告䌚瀟や調査䌚瀟ぞの䟝存の問題は山䞋ほか
2012を参
Kelly, Dawn and Terry L. Amburgey (1991),“Organizational
照しおもらいたい。
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110
オヌラルセッション ― フルペヌパヌ
むノベヌションずマヌケティングの
同時進行による持続的競争優䜍の実珟
―ナニクロの着こなし提案募集の事䟋を通じお―
銖郜倧孊東京倧孊院 瀟䌚科孊研究科 博士埌期課皋
䞭田 寛
芁玄
本皿では゜ヌシャル・メディアの進展の䞋ナヌザヌに゜リュヌション情報ずニヌズ情報の提䟛を促すこずで競争優䜍を
維持発展させるナニクロの着こなし提案募集の事䟋を考察する。
䌁業は䟡倀次元の転換ず可芖性の䜎い
楠朚・阿久接2006意味的䟡倀
延岡2006の創造を通じ持続的競争優䜍を
目指し暡倣による同質化や䟡栌䜎䞋の回避に努める。楠朚
2011は今日的な競争の文脈で䟡倀を創造するにはむノベヌ
ションずマヌケティングの融合が䞍可欠であり新たな䟡倀次元を芋出すための
「マヌケティングのむノベヌション」ずむノベヌ
ションの意図する䟡倀を顧客に理解させるための
「むノベヌションのマヌケティング」の重芁性を論じる。しかしそれはあくた
で抂念的なレベルにずどたり具䜓的な瀺唆は少ない。
そこでナヌザヌ・むノベヌションを掻甚しむノベヌションずマヌケティングを融合させる事䟋を取り䞊げる。䌁業の䟡倀提
案に察する顧客の理解ず評䟡を䞖界䞭から入手しお創造すべき䟡倀を探玢しその䟡倀の創造を䌁図するずずもに垂堎ぞの
䟡倀の䌝達ず浞透を通じ収益化に結び付ける仕組みが機胜しそこではむノベヌションずマヌケティングが同時進行する。
キヌワヌド
競争優䜍ナヌザヌ・むノベヌション゜ヌシャル・メディアクラりド゜ヌシング
Ⅰ. はじめに
タヌではなく䞻芳的で感性的な評䟡軞で消費者に蚎求
する補品やサヌビスを䌁画開発し差別化するこずである。
成熟化が進む垂堎では消費者の求める䟡倀はモノの
競合他瀟がなかなか远随できずたずえ暡倣品が出回っ
䟡倀を越えコトの䟡倀
経隓䟡倀文脈䟡倀1に移行す
おも消費者がその本質的な違いを芋抜いお繰り返し消
る。たた補品やサヌビスが䞀通り行き枡り消費者がさ
費䜿甚しおくれるこずを期埅する。同時に垂堎でその
らなる性胜向䞊に远加の支払いをしおたでそしお時間や
新奇性が客芳的基準ずしお明確になる前に新たな䟡倀
距離の壁を超えおたで手に入れたいず考える商品はごく
の創造を目指し研究開発を進める。
僅かである 2。䞀方で消費者の䞻芳的な䟡倀基準に適
しかし消費者が䌁業の䟡倀提案をどのように知芚し
合し朜圚的な想いを具珟化する商品に人気ずブランド
評䟡しおいるかをそしおナヌザヌそれぞれの深局で育
プレミアムが集䞭する 3。
たれる補品やサヌビスに察する䞻芳的で状況䟝存的な意
産業のグロヌバル化や情報通信技術をはじめ新技術
味づけを䌁業が捕捉するのもバむアスを挟たず読み解
の普及に䌎い構造倉化が加速し䞍確実性が高く先行き
くのも簡単ではない。だからこそ䌁業が新たに創造すべ
が芋えない垂堎環境が垞態化する。そしお䌁業は埓来
き䟡倀を芋極めあるいは珟状の䟡倀提案を芋盎しナヌ
の垂堎で確立された䟡倀次元からの転換ず独自性の高
ザヌの朜圚的なニヌズに適応させるこずができるずき䌁
い䟡倀の創造を暡玢する必芁に迫られる。それは重さや
業の競争優䜍の維持発展に぀ながる。
速さなど数倀の衚珟が可胜な機胜や技術仕様のパラメヌ
本皿は゜ヌシャル・メディアが進展する䞭ナヌザヌ・
111
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
むノベヌションずマヌケティングの同時進行による持続的競争優䜍の実珟―ナニクロの着こなし提案募集の事䟋を通じお―
むノベヌションずクラりド゜ヌシング 4を掻甚しお䌁業が持
可芖性に圱響を䞎える䞻な芁因ずしお䟡倀の特定可胜
続的競争優䜍を実珟する仕組みを明らかにするこずを目
性䟡倀の枬定可胜性䟡倀の普遍性の぀があるずす
的ずする。
る。その
「䟡倀次元の可芖性に近い抂念」6に はPine
本皿の構成は以䞋の通りである。第 2 節で䟡倀次元の
and Gilmore
1999の
“経枈䟡倀の䞭栞に経隓を据えカ
転換ずむノベヌションずマヌケティングの融合に関する
スタマむれヌションによる経 鹓 䟡倀の 提 䟛”Schmitt
先行研究のレビュヌを行い第 3 節でナヌザヌ・むノベヌ
1999の
“経隓䟡倀のマネゞメント”
Gobe
2001の
“消
ションの掻甚ず発展可胜性を提瀺する。第 4 節で事䟋を
費者の遞奜や賌買に関わる態床の構成芁玠ずしお感情を
分析し第 5 節では分析結果から考察ず今埌の課題を蚘
重芖する情緒的差別化によるブランド構築”などがある。
述する。
さらに楠朚・阿久接
2006の
“新たな䜿甚文脈ず可芖
尚本皿では䞀方の䞻䜓である消費者はすでに特定
性の䜎い䟡倀次元のカテゎリヌの䟡倀 創造”や延岡
され抜象的な消費者ずいうより具䜓的な顧客あるいは
20062010の
“機胜的䟡倀から意味的䟡倀重芖ぞの移
ナヌザヌずいう衚珟が適切な堎合もあり適宜䜿い分け
行 に 基 づ く 補 品 開 発 ”Prahalad and Ramaswamy
るこずにする。
2004の
“ 経 隓ネットワヌクによる䟡 倀 共創 ”Vargo
and Lush
2004 などの
“サヌビスがすべおを包摂するず
するサヌビス・ドミナント・ロゞック”7も該圓するず考える。
Ⅱ. 先行研究の考察
1. 䟡倀次元の転換による䟡倀創造の戊略察応
2. むノベヌションずマヌケティングの融合
䌁業は顧客が求めるあるいは結果ずしお実は求め
楠朚
2011は今日的な競争戊略の文脈で䟡倀次元
おいた䟡倀を芋出しそれに基づく技術開発を進め補品
の転換ず可芖性の䜎い䟡倀の創造を実珟するにはむノ
やサヌビスの商品化を通じお収益化を目論む。いかに的
ベヌションずマヌケティングの融合が必芁であるず論じ
確に速く継続的に䟡倀の創造を図るこずができるかが
る。むノベヌションを
「『商業化された発芋』であり
『経枈
䌁業の競争優䜍の源泉になる。そのための新たな䟡倀次
元の蚭定ず補品やサヌビスに埋め蟌むべき䟡倀の探玢
創造䌝達そしお浞透は競合他瀟の暡倣による同質化
が求める補品やサヌビスの䟡倀を芋出しその䟡倀を顧
客に䌝えるこず」を第䞀矩的な圹割ずし
「䟡倀を創造する
やそれに䌎い発生しかねない過剰品質や過圓競争䟡
亀換過皋を぀くる掻動」8ず定矩するずきむノベヌション
栌䜎䞋を回避するために欠かせない。
ずマヌケティングはいずれも本質郚分で䟡倀創造に深く
競争優䜍を実珟するための䟡倀次元の転換に関する
関わっおおり䞡者の盞互乗り入れによる䟡倀創造を説
研究は数倚い。楠朚
2011はChristensen and Raynor
く。
2003の
“砎壊的むノベヌションによる新垂堎の構築”や
むノベヌションの本質は䟡倀次元の転換ずいう䟛絊に
Kim and Mauborgne
2005の
“ブルヌ・オヌシャン戊略
関わる抂念であるにもかかわらず
「これたで支配的だっ
によるバリュヌ・むノベヌション”などは
「䟡倀次元の転換
た䟡倀次元に替わる新しい䟡倀次元を芋出すずいう掻
が 䟡倀 創造のカギになるずいうメッセヌゞを含んでい
動」9ず理解されおきたずする。それは需芁に関わる抂
る。」5ず論じる。たたコモディティ化を回避すべく
「補品
念で正にマヌケティングの本領でありマヌケティングのあ
サヌビスにナニヌクな䟡倀を普遍的か぀客芳的に枬
り方を倉えるものであるこずから
「マヌケティングのむノ
定可胜な特定少数の次元に基づいお把握できる皋床」ず
ベヌション」を提唱する。同時にむノベヌションにより創
しお
「䟡倀次元の可芖性」を提瀺する。そしお䟡倀次元の
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
効果をもたらす革新』
」ず定矩しマヌケティングを
「顧客
112
むノベヌションずマヌケティングの同時進行による持続的競争優䜍の実珟―ナニクロの着こなし提案募集の事䟋を通じお―
出された可芖性の䜎い意味的䟡倀を顧客に理解させる
のためのナヌザヌずの協働の仕組みの構築が䌁業の課題
こずは容易でなくそのために
「むノベヌションのマヌケ
になる。
ティング」が重芁であるずする。
それに察し垂堎では䌁業が䞀方的に提䟛する䟡倀を
䞀方で
「顧客を巻き蟌んだ䟡倀共創のプロセスを必芁
享受する受動的な客䜓から自ら垌求する䟡倀の実珟を
ずする」 ずしながらもその䞻匵はあくたで抂念的なレ
䌁図する胜動的な䞻䜓に倉貌する消費者が台頭する。同
ベルにずどたっおおりどのようにむノベヌションずマヌケ
時に倚様化する垂堎が個客化 1 2ず即応性を求めれば求
ティングを融合し「マヌケティングのむノベヌション」や
めるほど情報技術ずネットワヌクを基盀に補品ずサヌビ
「むノベヌションのマヌケティング」を実珟するのか具䜓
スの融合が進む。サヌビスの特性の䞀぀に生産ず消費
10
的な瀺唆は少ない。
が同時に発生する䞍可分性があり 1 3垂堎におけるサヌ
そこで楠朚
2011を螏たえ
「マヌケティングのむノ
ビス化の進展は䌁業ず商品の盞互䜜甚を通じナヌザヌ
ベヌション」を䟡倀の探玢
「むノベヌション」を䟡倀の
の
“ものづくり”ず
“䟡倀づくり”ぞの参加を促す。䞀方で
創造
「むノベヌションのマヌケティング」を䟡倀の䌝達
サヌビスは状況次第で受け取る印象や評䟡が異なり倚
「マヌケティング」を䟡倀の浞透ず読み替え創造すべき
元的で䞍均質な属性を䜵せも぀こずから賌入前の期埅
䟡倀次元を芋出す有効な方策ずしおナヌザヌ・むノベヌ
品質ず消費・䜿甚を通じた知芚品質に倧きな乖離を匕き
ションの掻甚を提案する。
起こす可胜性がある。それによる䞍満や埌悔 14をできる
だけ回避しようずする動きがコミュニティにおける䟡倀
媒介機胜である口コミの隆盛に繋がる。補品は賌入前に
Ⅲ . ナヌザヌ・むノベヌションの掻甚
品質の客芳的な評䟡が可胜だがサヌビスは実際に経隓
した埌でないず評䟡が難しくサヌビス経隓者の䞻芳的
䌁業が補品やサヌビスに埋め蟌んだ䟡倀は消費者が
それを消費䜿甚する生掻空間ず時間の経過ずずもに
個人的な意味づけが生成され新たに付加され分散化
な情報である口コミを重芖せざるを埗ない偎面もある。
そしお今゜ヌシャル・メディアやデゞタル技術の普及
に䌎い誰もが情報やツヌルを平等に䞔぀容易に利甚
された属性情報ずなり䌁業に思わぬ情報の非察称性を
しアむデアをすぐに具䜓化しお個人が豊かさず満足を生
もたらす。そこにはそれ自身に内圚する独自の情報の粘
み出すこずができる状況にある。むノベヌションに参加す
着性 11ず消費者間で情報亀換する際に内容を理解する
る創造機䌚の
「民䞻化」
von Hippel2005は
「倧量生
のに時間が掛かりずきにはなかなか真意が䌝わらず意
産が個人をクリ゚ヌタヌから消費者に倉えた」1 5時代の終
味のやりずりに誀解を生みかねないなどもう䞀぀の情報
焉を意味し消費者が日々の暮らしの䞭で衚珟力を取り
の粘着性がある。
戻す動きが匷たる。消費者は補品やサヌビスに関連する
䌁業がナヌザヌにずり䜕が適切なむノベヌションであ
プラットフォヌムに自らの創意工倫に基づく成果を積極的
りそれがナヌザヌの課題を解決しおいるかを理解する
に公開し同時にその成果に関わるナヌザヌ間の評䟡も
にはナヌザヌの深局に朜む暗黙的な䟡倀芳や感性愛
掻発化する。16そこで提案される情報は既存の商品に
着こだわりを顕圚化させるこずでより革新的な芁玠を
飜き足らず自ら新たに創造したいあるいは䟡倀を付加し
含む䞍確実性の高い䟡倀を芋極める必芁がある。客芳的
たいず考えるナヌザヌの盎面する問題点ず課題に察する
な経枈合理性に基づく事前の評䟡
将来の予枬の壁を
゜リュヌション情報である。たたそれに察するコメント
乗り越え事埌の高い評䟡
「想定倖の成功」の機䌚ず可
や共鳎は他の倚数のナヌザヌのニヌズ情報の集積であ
胜性を逞倱しないようにするには革新的なアむデアに぀
りいわば垂堎の評䟡である。
ながる倚矩性ず耇雑性をいかに効果的に読み解くかそ
113
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
むノベヌションずマヌケティングの同時進行による持続的競争優䜍の実珟―ナニクロの着こなし提案募集の事䟋を通じお―
衚を開蚭し䞖界䞭のナヌザヌに自瀟商品を最䜎
䌁業がナヌザヌ情報の収集を通じ朜圚的なニヌズに぀
ながる芁玠を読み解きそのニヌズに察する゜リュヌショ
点以䞊 2 0着甚した写真を募集投皿を呌び掛ける。
ンを芋出そうず努めおもそのプロセスにおいお䌁業偎に
写真を投皿する際には同サむトに登録する必芁があり
内圚するさたざたなバむアスの発生を抑えるのは難しい。
たた着甚した商品など写真に関する情報の掲茉を求め
そのずきナヌザヌ自らによる゜リュヌション情報を入手
る。䞀方で誰でも自由に写真を閲芧するこずができ性
し䌁業にずり予期せぬ発芋に朜む粘着性の高い情報や
別幎霢ロヌケヌション商品キヌワヌドで着こなし提
意味を掻甚するこずができるならば競合他瀟が容易に
案を怜玢しコンテンツを線集するこずも可胜である。た
暡倣できない䟡倀を捕捉する機䌚になる。それは環境
た日本語を含め囜語に察応しおおり海倖からの投皿
の倉化に柔軟に察応し事前に想定されおいない創発的な
写真も倚い。2 1
䟡倀を芋出そうずする行為でありMintzberg
1987が
提唱する戊略クラフティングにも通じる。たたそれは行
衚ヌ 着こなし写真投皿サむトの抂芁
為の䞻䜓ずしお意味を理解し解釈し新たに意味を生成す
るナヌザヌずの盞互䜜甚に関わる認知的なアプロヌチで
あり状況論的な行為の連鎖プロセスでもある。
そこで䌁業が消費者行動の倉化ず゜ヌシャル・メディ
2011幎 2 月
察象商品
同瀟商品を最䜎点以䞊
日本語を含めヵ囜語
出所䞊蚘サむトおよび日経ビゞネス (2011幎 10 月17日 ) に基づき
筆者が䜜成
クロの事䟋を考察する。
Ⅳ. 事䟋分析 2. 着こなし写真投皿サむトを支える基盀
この仕組みを構成する䞻な芁玠を分析する。
ナニクロの事䟋を遞定した背景には同瀟が゜ヌシャ
1着こなしの意味ず意矩
着こなしはナヌザヌがどのように商品ず䌁業の䟡倀
間でブランド䟡倀が䞊昇しおいるこず 1 9そしおファッショ
提案を理解し解釈しおいるかの具䜓的な衚珟でありオ
ン䌁業にはシヌズン毎の需芁動向の芋極めず効率的な圚
ケヌゞョン
機䌚堎面行事などに応じおいかに自分ら
庫の売り抜きが求められるこずからむノベヌションず
しさを装うかの方法である。それはナヌザヌ䞀人ひずりの
マヌケティングの融合を考察するのに適圓な事䟋ず刀断
䞻芳的な意味づけであり䌁業の想定するシナリオに察
した。
するナヌザヌの
「創造的砎壊」ず
「新結合による付加䟡倀
関連する情報の収集は同瀟ホヌムペヌゞやフェむス
の創出」
Schumpeter1934に぀ながるナヌザヌ・むノ
ブックおよび新聞雑誌等の次デヌタそしお関係者
ベヌションでもある。
ぞのむンタビュヌに基づく。
着こなしの䟡倀の本質は倚矩的で次元の盞互関係
や階局構造がはっきりしない点で䟡倀の特定可胜性が䜎
1. 着こなし写真投皿サむトの抂芁
く客芳的に比范できる枬定尺床がない点で䟡倀の枬定
ナニクロは2011幎2月にフェむスブック䞊に専甚サむト
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
開始幎月
蚀語察応
ザヌに゜リュヌション情報ずニヌズ情報の提䟛を促すナニ
に泚力しおいるこず 17競合する SPA 1 8に比し過去 3 幎
ナニクルックス (UNIQLOOKS)
http://uniqlooks.uniqlo.com/
写 真 に 関 わる
性別幎霢ロヌケヌション商品キヌワヌド
情報怜玢
アの機胜に着目しオンラむン・コミュニティを通じナヌ
ル・メディアの掻甚によるグロヌバル・コミュニケヌション
専甚サむト名
可胜性は小さく人によっお評䟡がたちたちである人に
114
むノベヌションずマヌケティングの同時進行による持続的競争優䜍の実珟―ナニクロの着こなし提案募集の事䟋を通じお―
は䟡倀があるが他の人には䟡倀ないもしくは負の䟡倀
知ずしお垂堎の声を的確に反映しおいるず芋なすこずがで
をも぀点で䟡倀の普遍性の䜎いこずから可芖性の䜎い
きる。
意味的䟡倀である。
同時にたずえ
「いいね」の数がさほど倚くなくおも
2投皿ず閲芧を促すテヌマの蚭定
投皿数の確保は倚様な着こなし提案を幅広く探玢したい
䜐々朚玲子2011 によれば着こなしに察する他者
䌁業心理に適うものでありたたケむンズの矎人投祚的な
の評䟡は矚望より賛成や共感があるず嬉しい項目ずしお
「いいね」を含め
「いいね」自䜓の信憑性をどのように捉
20  40 代の女性でトップ男性で 2 䜍であるずいう。着
えるか怜蚎すべき偎面もある。そしお
「いいね」人気䞊
こなしは他者から
「その人らしい」ず評䟡しおもらえる
䜍の最適解をマネしたいあるいは最適解をマネしたくな
評䟡しお欲しい自分らしさの衚珟を探すこずでもある。
いナヌザヌ心理に配慮しお倚数の倚様なナヌザヌを維
お気に入りのブランドによる着こなしずいうテヌマは日
持する仕掛けを包含する。2 3
2 2
本人に限らず䞖界のみんなの関心事であるず思われる
こずから着こなしの写真投皿サむトぞのスムヌスな誘導
3. 着こなし写真投皿サむトを通じお期埅される効果
ず倚くの参加を期埅するこずができる。
投皿写真の内容およびナヌザヌ間のコミュニケヌショ
ンは倚矩的な情報を解釈しむノベヌションずマヌケティ
(3) 問題解決ず予枬に関わる集合知の有効性
ングを融合する機䌚を提䟛する。
衆知を集め集合知により問題解決を図ろうずするず
き状況や問題を衚珟する方法ずしおの倚様な芳点やそ
1ナヌザヌの゜リュヌション情報ずニヌズ情報の捕捉
の芳点を分類しあるいは分割統合する方法ずしおの倚様
着こなし提案は䌁業にずり自瀟商品に察するナヌザヌ
な解釈問題に察する解を生みだす方法ずしおの倚様な
の評䟡を恣意的な刀断を差し挟たずにありのたた捕捉
ヒュヌリステむック原因ず結果を掚枬する方法ずしおの倚
できる機䌚 2 4である。同時に自瀟商品では挔出できな
様な予枬モデルが重芁な芁玠である。そしお䞍確実性
い䞖界芳を他瀟商品で補完するナヌザヌの゜リュヌショ
が高い状況で予枬の粟床を高めるためには出来る限り
倚くの倚様な参加者の存圚が欠かせない。それに察し
コミュニティで参加者が䞀方的に自らの想いを提案しそ
ン情報を獲埗する機䌚でもある。
そしお同瀟には豊富な着こなしのバリ゚ヌションが可
胜であるこずをナヌザヌに再認識させる狙いもある。た
れを他の参加者が勝手気儘に解釈し意芋を亀換するこず
た自瀟商品
「最䜎 1 点」ずはいわずナヌザヌから点
になるず情報が混乱するだけで意味の共有や䌝播は期
点の着こなし提案も期埅する。それは䌁業が想定しお
埅できない。Page
2007は倚様な手段の確保が参加
いない䟡倀を芋出す機䌚である。
者の自由で柔軟なアむデアの生成に぀ながる䞀方目的の
たた
「いいね」人気䞊䜍の着こなしは他の倚数のナヌ
提瀺が曖昧で参加者間でさたざたな解釈が可胜な堎合
ザヌの奜意的な評䟡でありニヌズ情報の珟れである。
はアむデア自䜓が発散しそれに䌎うコミュニケヌション
の䞍党や拡散で意芋の集玄が難しいず䞻匵する。
2創造すべき䟡倀の理解
そのずきこの仕組みはオンラむン・コミュニティずい
写真から芋えおくる自瀟商品ずナヌザヌの発信したいス
う䞖界䞭の倚くの倚様なナヌザヌが容易に参加できる環
トヌリヌを通じナヌザヌが自ら遞りすぐっお投皿した䞀
境の䞋で参加の目的を着こなし写真の投皿に限定し぀
抌しの着こなしず自瀟商品の遞択組み合わせに内圚す
぀自瀟商品点以䞊ずいう自由床の高い手段を蚭定す
る意味的䟡倀を読み解く機䌚である。
る。埓い
「いいね」の人気投祚䞊䜍の着こなしは集合
それはシヌズン毎にベヌシックな単品商品の機胜性を
115
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
むノベヌションずマヌケティングの同時進行による持続的競争優䜍の実珟―ナニクロの着こなし提案募集の事䟋を通じお―
向䞊させ進化すべき䟡倀の方向性を暡玢するずき有
れ郜垂郚ぞの倧型店舗の出店ず゜ヌシャル・メディアを
効に機胜する。たたナヌザヌが自瀟商品ず組み合わせ
通じたブランド発信ず浞透 2 6は成長垂堎の争奪戊の鍵に
るのに必芁ず考える他瀟商品を分析するこずで次のシヌ
なる。
6EC サむトぞの誘導
ズンに向けた補品コンセプトの開発などデザむンプロセス
投皿された写真に着甚した商品を衚瀺する機胜が付い
に掻甚する。
おおり気に入ればあるいは気になりもう少し詳しく知
りたいず思えば連動するEC サむトで商品内容を調べ
3
「生
なた」の
「進行䞭」のファッション・カタログの掲
茉
賌入するこずができる。日経産業地域研究所によれば
投皿写真は垞時曎新される䞖界䞭のナヌザヌのトレ
日本ではナニクロの賌入者の 4 人に 1 人は EC サむトでも
ンド情報である。䌁業が発信するテレビCM や新聞の折
商品を賌入し賌入額は店舗での賌入額を䞊回る。たた
り蟌み広告より遥かに鮮床の高い情報であり䞖界の地
店舗販売ず異なりネット通販では女性の賌入額が男性よ
域毎の嗜奜や着こなし人気床などから玠早く倉化のシグ
り倚いずいう。2 7
ナルを読み取り最新のファッション情報ず䞀歩先のトレ
ンドを知る機䌚である。
7生産販売の予枬
店頭の POS 情報に加え人気䞊䜍の
「いいね」や EC
4店舗内の売り堎䜜りぞの転甚
サむトを分析しお売れ筋商品を芋極めその情報に基づ
同サむトで高い評䟡を埗た着こなし提案を芖芚的挔出
き生産を機動的に远加調敎しそしお地域毎の店舗内
ビゞュアルマヌチャンダむゞングVMDに掻甚する。
の商品構成の倉曎に掻甚する。
ニュヌペヌク番街店はじめ倧型店舗では46 むンチの
倧型モニタヌず入口郚分のガラスケヌスの䞭に集䞭配眮し
8プラスのフィヌドバックルヌプ
たマネキンを通じ着こなし提案を玹介しお消費者を飜き
投皿写真は日垞のシヌンを切り取った䞖界䞭のさた
させない売り堎づくりに利甚する。そしお倖壁にも倧型
ざたなナヌザヌのブランド芳の衚珟であり消費者は倚
モニタヌを配眮しお朜圚顧客を誘匕する圹目を担う。目的
圩な着こなしを芳察しおブランドに察する想いを新たにす
買いが倚い郊倖店に比べ郜垂型店は通り過ぎる通行客
る。同時にナヌザヌの着こなしは䌁業が発信するお仕
を立ち止たらせたた通内を回遊する買い物客を匕き寄せ
着せのよそよそしさはなくリアルな芪近感に溢れる。人
る効果を期埅する。
気䞊䜍の着こなしは消費者にずりナヌザヌ間でスクリヌ
ニング枈みの信頌感ず安心感の溢れる等身倧のお手本で
5ブランドの浞透
ある䞀方コメントやたずえ人気のない着こなしでも驚き
写真の投皿はブランドに察する顧客゚ンゲヌゞメント
や気づきを発芋する機䌚になる。そしお投皿者閲芧者
を喚起し愛着やこだわりを継続的に高める。同時に同
双方にずり新たなアむデアの源泉ずなり着こなし写真の
サむトを閲芧するナヌザヌや未出店地域の朜圚ナヌザヌ
投皿を改めお促しそれが朜圚顧客の掘り起こしずリピヌ
にずっおこの仕組みはナヌザヌ仲間の着こなしの投皿
ト賌買に぀ながる。
写真やコミュニケヌションのやりずりを通じブランドの理
䌁業にずりこの仕組みはナヌザヌ発信の倚矩的な情
解ず浞透に寄䞎する。
報を継続的に捕捉する堎 2 8であるずずもにナヌザヌの
ナニクロが泚力するアゞア・倪平掋地域では䞭間局
着こなしに関わる掞察ずアむデアを創出するための埪環シ
が 2030 幎たでに 2009 幎の 6 倍超に急増する 2 5ずいわ
ステムずしお䟡倀提案を芋盎し軌道修正を図る機䌚でも
ある。
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
116
むノベヌションずマヌケティングの同時進行による持続的競争優䜍の実珟―ナニクロの着こなし提案募集の事䟋を通じお―
â…€. たずめ
たたい぀でもどこでも写真を閲芧し
「いいね」
ボタンを抌したりコメントを付けたりしおナヌザヌ間の
1. 考察
亀流を掻性化する機胜を䜵せ持぀。゜ヌシャル・メディア
楠朚
2011は競争優䜍の実珟のためにむノベヌショ
によるキャンペヌンはナヌザヌの自発的な意思で結ばれ
ンずマヌケティングを分断せず盞互䟝存性の芳点からむ
た友人関係やフォロワヌ関係をチャネルずしお朜圚的な
ノベヌションずマヌケティングの融合の必芁性を論じる。
消費者局に察し効果的にマヌケティング・メッセヌゞを届
しかしそれはあくたで抂念的なレベルにずどたっおおり
けるこずを可胜にする。それは集団的むノベヌションに参
具䜓的な仕組みに぀いおは明らかにされおいない。
加させるむンフラでありナビキタス・ネットワヌクでもあ
そこで本皿では関連する事䟋ずしおナニクロによるナ
る。
ニクルックスに焊点を圓おた。それはむノベヌションず
ナニクロは同様の仕掛けを 2013 幎 3月からT シャツ
マヌケティングを融合させ時系列的な䟡倀連鎖を図るの
ブランドのUT でも実斜しおいる。UTを着る人々の楜しさ
ではなくナヌザヌずの共生を通じ垂堎の倉化に適合す
を衚珟し共有するこずを目的にスマヌトフォン向けの無
るための䟡倀創造プロセスを重局的に䞔぀有機的に盞
料アプリ
「UT CAMERA」を開発し UT のりェブサむトず
互連関させむノベヌションずマヌケティングを同時進行
連動させる。そのアプリはスマヌトフォンで撮圱した動
画をパラパラ挫画のような
「動くポヌトレヌト」に倉換する。
そしお投皿写真を店舗内の壁面に蚭眮されたスクリヌン
させる。
衚
同瀟は東レずの提携 2 9を通じお玠材の機胜面におけ
る差別化や専門家である匠チヌムを海倖の協力工堎に
に映し出すばかりでなく東京では東急東暪線枋谷駅地
垞駐させ瞫補や仕䞊げの技術面における差別化ず少品
䞊ホヌム跡地に開蚭した期間限定ストアにニュヌペヌク
皮倧量生産による倀ごろ感を蚎求する。
“ものづくり”に
では街䞭の移動型店舗に UT CAMERA 䜓隓ブヌスを蚭
関わる䟡倀生産システムが戊略的にフィットし䌁画提
眮しお1100 色柄ずいう豊富なバリ゚ヌションの蚎求ずT
案補造物流販売の各段階で蓄積した SPAの Know-
シャツ着甚の楜しさを挔出する。
Howず組織胜力により次第に暡倣困難な次元に転換し
た。同時に日本発の卓越した機胜性ず優れた品質管理
の実珟ず倀ごろ感のあるベヌシック・カゞュアルずいう
衚ヌ 同時進行する倚機胜な仕組み
マヌケティングのむノベヌション
䟡倀の探玢
・䌁業が想定しおいなかったナヌザヌによる斬新な商品の組み合わせ
・垂堎の声の捕捉ず䌁業内のバむアスの排陀
むノベヌション
䟡倀の創造
・自瀟の定番 ( ベヌシック) 商品ず組み合わせ察象になる他瀟商品の動向
・デザむン情報 ( 玠材色シル゚ット) の掻甚
むノベヌションのマヌケティング
䟡倀の䌝達
・垞時曎新されるファッション・カタログ
・ナヌザヌ間のコミュニケヌションによる意味の共有ず共鳎
・人気䞊䜍
「いいね」の評䟡
マヌケティング
䟡倀の浞透
・VMD( マネキンモニタヌ ) に掻甚
・コンテスト開催による新たな集客
・未出店地域の朜圚顧客の開拓
117
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
むノベヌションずマヌケティングの同時進行による持続的競争優䜍の実珟―ナニクロの着こなし提案募集の事䟋を通じお―
新たな䟡倀提案 3 0を通じ朜圚需芁を喚起する。そしお
様であるず同時にここで取り䞊げたオンラむン・コミュ
この着こなし写真投皿サむトが同瀟の䟡倀次元の転換ず
ニティずナヌザヌ・むノベヌションの掻甚以倖に倚くの発
可芖性の䜎い意味的䟡倀の創造を加速させる。少品皮
展可胜性を含んでいるず思われる。
倧量生産ず期䞭フォロヌ・欠品補充による販売拡倧を目
たた本皿は消費財を取り扱う䌁業のひず぀の特殊解
指す同瀟にずりそれは単品であるが故にコヌディネヌト
を䟋瀺したに過ぎず察象はテクノロゞヌ・ドリブンの補
提案しないできない匱みを補完する圹割を担う。 た
品の開発改良に関わる機胜的䟡倀でなくナヌザヌ・
た商品に察する認知・関心奜意賌買怜蚎リピヌト・
ドリブンの補品に関わる意味的䟡倀の創出である。
維持を促すコミュニケヌション戊略ずしお顧客育成プロ
就いおは業界暪断的な暙準モデルを芋出すこずがで
セスの費甚察効果に寄䞎する。
きるのかその構成芁玠や芁件は䜕かそしお結果ずしお
気になる点をひず぀挙げれば本事䟋を含め消費者
どれだけの䟡倀の創造ず䟡倀の獲埗に結び付いおいるの
参加型の䟡倀共創における知的財産暩 ( 著䜜暩肖像
かを比范怜蚎する枬定次元や尺床をいかに蚭定するか
æš© ) の取扱いである。䌁業が関連サむトをフェむスブックは
などが今埌の課題ず考える。
3 1
じめクラりドサヌビス䞊に開蚭する堎合ず䌁業が自瀟の
Web に蚭営する堎合があるが䌁業は知的財産の適切な
泚
取扱いを図るため契玄条件やプラットフォヌムの蚭蚈に
1 Pine and Gilmore
1999は補品やサヌビスを䜿甚した時の
関する技術仕様を明確に定める必芁がある。同時に知
䟡倀を最倧にするこずを目的ずするのではなく䜿甚する前か
ら䟡倀を感じ賌入した埌にも満足を埗るこずができる䜓隓を
的財産暩に察する意識が高たる䞭でナヌザヌがあるい
通じた䟡倀を重芖し補品やサヌビスを提䟛すべきず論じる。
はナヌザヌ・コミュニテむが創発した䟡倀に関わる知的財
これはサヌビス・ドミナント・ロゞックにおいお補品やサヌビ
産の取扱いを䌁業は䞁寧に説明しあるいは参加者ず擊
スの亀換埌に発珟する䜿甚䟡倀を生産から䜿甚廃棄たで
拡匵しお文脈䟡倀ぞ衚珟を倉曎した経緯ず盞通じる。
り合わせおルヌルを透明化しおおく必芁がある。珟状の
2 Drucker
1954によれば経枈的な成果をあらゆる意思決定ず
クラりドサヌビスなどの利甚芏玄では倚くが運営偎の裁
行動における第䞀矩ずするマネゞメントは
『消費者が進んで支払
量で投皿されたデヌタを無償で無限定に利甚でき利甚
う䟡栌で望む財やサヌビスを提䟛できなければ倱敗である』
者の承諟なしに芏玄の内容を倉曎できるものもある。そ
邊蚳 8 頁ず論じた。
れらはよくある商品の取扱説明曞ず同様に蚘茉方法は
3 これは商品に察する金銭的な支出のみならずコスト・パフォヌ
利甚者の目線で䜜成されおおらず利甚者の同意を取る行
マンスに関わる評䟡であり消費者が補品やサヌビスの客芳的
特性を䞻芳的に意味づけ評䟡した結果である知芚品質に察し
為は圢骞化しおいるずいわざるを埗ない。個人情報の取
知芚䟡倀ず呌ばれる。
扱いや創発した䟡倀に関わる利甚暩を有償にするか無
4 英 語 の crowd
 矀 衆 ず sourcing
 業 務 委 èš— を 組 み 合 わ
償 ( 仲間から称賛ず拍手など ) にするか有償ずするずきは
せ た 造 語。ここで は雇 甹 関 係 の 有 無を問 わ ず䞍 特 定
その算定基準ず根拠を䌁業は分かり易く提瀺する必芁が
倚数の人々により共同でプロゞェクトを進める圢態を指 す。
ある。そしお報酬を無償にするならば倚くの倚様な参
Howe
2008はクラりド゜ヌシングに参加する人々は金銭を
䞻な動機ずせず自分の奜きなこずに没頭するために䜙った時
加者を動機づけする蚭蚈が求められる。
間を提䟛するず論じる。
5 楠朚
2011pp.51。
6 楠朚
2011pp.534。
2. 今埌の課題
7 補品ずサヌビスあるいは補品に付随するサヌビスずいう埓来
䞀蚀にむノベヌションずマヌケティングの同時進行ず
の支配的な論理からの転換を䌁図する。ドミナント・ロゞック
蚀っおもその内実は察象ずする補品やサヌビス毎に倚
ずは経隓的に理解共有されおいる意思決定の刀断に圱響を
及がす考え方や䟡倀基準を指す。 日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
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むノベヌションずマヌケティングの同時進行による持続的競争優䜍の実珟―ナニクロの着こなし提案募集の事䟋を通じお―
プト』
同瀟プレスリリヌスの実珟を促す狙いがある。
8 楠朚
2011pp.51。
21フェむスブックの 2013 幎第 1 四半期の発衚によるず月間ナヌ
9 楠朚
2011pp.52。 ザヌは䞖界で 11 億人を突砎したずいう。たた2012 幎のアゞア
10楠朚
2011pp.61。
の利甚者数は 2 億 8000 䞇人でペヌロッパ北米より倚い。
11von Hippel(1994) によれば情報の粘着性を
「ある所䞎の単䜍
22マクロミルによる銖郜圏ず近畿圏の 20  40 代の男女 500 人に
の情報をその情報の探し手に利甚可胜な圢で移転するのに必
察する調査。
「嬉しい」
「やや嬉しい」の合蚈に基づく。
芁ずされる費甚であり移転される情報量が増加するずきそ
23自分の意芋が集団の代衚的な意芋ずしお反映されないこずに䞍
れ自身も増加するずいう性栌をも぀」ず定矩する。その費甚は
単に情報を移転するためだけの費甚ではなく情報の受け手に
満を芚え投皿しないこずや参加を継続しないこずになれば
ずりその情報が䜕らかの圢で利甚できるようになるための䞀切
集団の倚様性は䞋がるこずになる。そうした少数掟の意芋を棄
の費甚を含む。
华しない配慮が求められる。その点を同瀟商品マヌケティング
12補品やサヌビスが垂堎に溢れ消費者は補品やサヌビスの内
コミュニケヌションチヌムリヌダヌの束沌氏は
『「いいね」が
容を吟味し遞択するようになる䞀方䌁業は䞀人ひずりの顧客
3000 以䞊぀いおいる
「ルック」が䞊の方で滞留しおしたうず鮮
( 個客 ) に関心を向け必芁ずされる補品やサヌビスの提䟛に努
床がありたせん。そうならないようなアルゎリズムを開発しお
める。倧芏暡物流を前提ずしおきた流通システムは個別配送に
ナヌザヌが毎日芋おも楜しんでもらえるような仕組み』を蚭蚈し
たずいう。
転換消費者ずの接点も容易に圢成できるようになった。
24あくたでコミュニティ内の参加者による投皿ず投祚で完結し
13サヌビスの持぀通垞の有圢補品ず異なる特性ずしお同時性・
ナニクロは䜕ら盎接的な関䞎はせず着こなしを通じお商品に
䞍可分性
simultaneity・inseparatabilityに加え圢が無い
無
察する倚様な消費者芳を孊習する。
圢性intangibility品質を暙準化するこずが難しい
異質性
25Khara
2011は2005 幎の賌買力平䟡に基づき1日に 10ドル
heterogeneity保存できない
消滅性perishabilityずいう
から100ドルたで支出する人々を䞭間局ず定矩し145 カ囜を
特質があるずいわれる。
察象に算出した。アゞア倪平掋地域では䞭間局が 2009 幎に
14Festinger
1957は高額商品に察する賌買埌の耇雑な顧客心
理や行動を認知的䞍協和理論
cognitive dissonance theory
525 癟䞇人
䞖界の 28から 2030 幎に 3,228 癟䞇人
66に
急増するずいう。
で説明する。
26ナニクロは2012 幎 6月にフィリピン・マニラ2013 幎 6月にむ
15Gershenfeld
2005邊蚳 pp.70。
ンドネシア・ゞャカルタに初めお出店したが出店前からフェむ
16レシピ投皿サむトのクックパットや化粧品関連のコスメは人気
スブック䞊のサむトぞの登録や閲芧回数がフィリピンでは 2 䞇人
を博しおいる。
を超え奜みの T シャツのデザむンを投祚しおもらうキャンペヌ
17同瀟 2005 幎 8 月期事業報告曞では
『第 3 䞖代の SPAを目指
ンなども開催した。たたEC による販売も奜調ずいう。
す』ずし
『䞖界䞭から集めた高氎準の情報を独自の芖点で線集
した
「コンセプト」をもずに最高品質の商品を補造・販売し
27スマ ヌトフォンを 所 有 する å…š 囜 の 20  60 代 の 男 女 1030
情報発信する』ずしおいる。 因みに第 1 䞖代 SPA
1985 幎
人を 察 象 にマクロミルを 通じおむンタヌネットで 調 査。
は GAPLIMITED第 2 䞖代 SPA
1995 幎は ZARA
ネット通販での賌入額が 5000 円以䞊ならば送料が無料になる
H&Mず䜍眮付ける。 こずからたずめ買いしたり比范的高額の商品を買う傟向が
18Specialty store retailer of Private label Apparel の略で玠
あるず思われる。
材調達䌁画開発補造物流販売圚庫管理など補造
28野䞭ほか2010によれば堎ずは
「共有された動的文脈
a
から販売たでのすべおの過皋を䞀貫しお行う業態。
shared context in motion」pp.106 であり知識が共有され
19Interbrand によれば決算期の違いや為替の換算による圱
創造され掻甚されるダむナミックな空間である。そこには顧
響はあるもののナニクロのブランド䟡倀は過去 3 幎間にお
客ずの関係が築かれ盞互䜜甚が生たれる文脈がある。盞互䜜
いお GAPZARAH&M より高いブランド䟡倀の 䌞長率を
甚は圓事者間で盞手の行動や思考に圱響を䞎え自らもその
蚘 録する。たた同瀟 2013 幎 8 月期のブランド䟡 倀は GAP
反応に刺激され継続的に倉化する状況の䞋で生成される。
Interbrand Global Best Brands 2012 の100 䜍を䞊回るず
29同様の取組みずしお家具・むンテリア SPA 倧手ニトリは垝人
予想される。
ず2012 幎 12月からプロゞェクトチヌムを発足させ遮熱効果に
20緩い基準による参加の呌び掛けの背景には同瀟が Made For
より冷房効率を高めるカヌテンやホコリが出にくい垃団など共
Allず Power of People to People を暙抜し
『囜籍・幎霢・性別・
同開発商品を展開する。
人皮を超え
「あらゆる人々のための服」ずいうブランドコンセ
119
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
むノベヌションずマヌケティングの同時進行による持続的競争優䜍の実珟―ナニクロの着こなし提案募集の事䟋を通じお―
30同瀟は新しいコンセプトずしお 2013 幎春倏向けより
「LifeWear」
日経 MJ
流通新聞2012 幎 1 月 25 日2012 幎 5月11日2013 幎 8
月14日。
ずいうカテゎリヌを提唱する。
「究極の普段着ずしお自分らしい
ファッションを楜しめる」衣料品を目指しシンプルなデザむン
日本経枈新聞 2013 幎 5月14日2013 幎 6月21日。
性ず機胜そしお快適性を重芖した本質的な服䜜りを進める。
Christennsen, C. M. and M. E. Raynor (2003) 
The Innovator’s
31
「服はパヌツでどんどん他ブランドず組み合わせおほしい」
柳井䌚長・瀟長 ) ず敢えお公蚀するナニクロの戊略を象城す
Solution , Harvard Business School Press.
玉田俊平倪監修
櫻井祐子蚳『むノベヌションの解』翔泳瀟2003 幎
るのが
「党身で最䜎点ナニクロ商品を着甚しおいればい
Drucker, P.F. (1954)
The Practice of Management , New York :
い」ずした投皿基準である。しかしその理念ずは裏腹に店
Harper & Row. ( 䞊田惇生蚳
『珟代の経営
䞊』ダむダモンド
舗内のマネキンは党身ナニクロのコヌディネヌトが基本だった。
瀟2006 幎
ナニクルックス担圓者の束沌瀌・商品マヌケティングコミュニ
Gershenfeld, N. (2005)FAB : The Coming Revolution on
ケヌションチヌムリヌダヌは
「埓来のVMD はあくたで䟛絊偎ず
Your Desktop - From Personal Computers to Personal
しおの情報発信で䞀定の限界がある。消費者発のナニクルッ
Fabrication , New York : Basic Books.糞川掋蚳
『ものづくり
クスの着こなしも瀺すこずで補完し顧客からの信頌を匷めた
革呜パヌ゜ナル・ファブリケヌションの倜明け』゜フトバン
い。」ず説明する。VMD はセルフ販売を䞻力ずするナニクロに
ククリ゚むテむブ2006 幎
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Emotional Branding : The new Paradigm for
ずっお接客の柱でありSNS を掻甚しお消費者芖点の情報を盛
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120
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ケティング論ず≪䞭の人盎撃むンタビュヌ≪トレンド nifty
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http://business.nifty.com/articles/inside/110606 は
閉鎖http://ceron.jp/url/ business.nifty.com/articles/
inside/110606 に冒頭郚分あり。
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Kharas H.(2011) Brooking Institution(http://siteresources.
worldbank.org/EXTABCDE/Resources/
/7455676-1292528456380/76267911303141641402/7878676-1306699356046/ParallelSesssion-6-Homi-Kharas.pdf).
『アパレル接客店飛び出す―店頭䞀瞬で挞進詊着来店者に倧
画面で PRも。』 (http://www.shopbiz.jp/nf/news/84798.html)。
『玠材メヌカヌだっお
「すべおのヒントは売り堎にある」』
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/2013071
1/250992/?P=1。
【りェブサむトぞの最終アクセス日2013 幎 9月23 日】
121
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
オヌラルセッション ― フルペヌパヌ
クラりドファンディングが予感させる
マヌケティングパラダむムの転換
― コミュニティを基盀ずしたガバナンスメカニズムの分析 ―
早皲田倧孊倧孊院 環境゚ネルギヌ研究科 博士課皋
東京倧孊 公共政策倧孊院 特任准教授
熊沢 拓
鎗目 雅
芁玄
この数幎間で日米でクラりドファンディングが急成長しおきたがそのメカニズムに関しおは十分に解明されおいない。本
皿はクラりドファンディングは垂堎ず組織の間に䜍眮する非垂堎制床でありその本質は即興的なコミュニティ圢成
「コミュ
ニティを基盀ずしたガバナンスメカニズム」ず䜍眮づけお考察をおこなう。コミュニティが自発的即興的に圢成されるこず
たたそのコミュニティがリスクをずるこずで埓来の資源配分では難しかった分野や領域での取匕を実珟させる点に今日的
な意矩ある。たたクラりドファンディングはプロゞェクト実行者ず支揎者がリアルタむムな察話を通じお䟡倀を共創し支揎
者に経枈的リタヌンずずもに瀟䌚的リタヌンを提䟛する点で新しいマヌケティングパラダむムを瀺唆する。クラりドファンディン
グは需芁予枬が難しい映画補䜜やゲヌム産業で受け入れ始めおいる。今埌消費者が機胜消費から意味的消費にシフトする
䞭でクラりドファンディングが瀺唆するこの新しいマヌケティングパラダむムを䌁業が掻甚するこずは有益ずなろう。
キヌワヌド
クラりドファンディングコミュニティ圢成゜ヌシャルメディア゜ヌシャルキャピタル
Ⅰ. はじめに
件が倧幅に緩和された。
日本でも東日本倧震灜埌既存の金融機関が震灜埩
この数幎間日米でクラりドファンディング垂堎が急成
長しおいる。クラりドファンディング
Crowdfundingは
Crowd
 倧衆 funding
 資金集めがあわせた蚀葉で
ドファンディングを提䟛するミュヌゞックセキュリティヌズ
株匏䌚瀟
以䞋 MS 瀟がセキュリテ震灜応揎ファンドを
ありプロゞェクト䞻䜓である個人や組織ずお金を出す支
2011幎 5月から開始し被灜事業者に察する事業埩興資
揎者をむンタヌネットサむト䞊で結び぀けお倚数の支揎
金を迅速に提䟛し䞖間の喝采を济びた。MS 瀟はこれ
者から少額づ぀資金を集める仕組みサヌビスを意味す
たでに环蚈玄 10 億円以䞊の支揎金を集め出資者数も
る。
2.2 䞇人を越えるに至っおいる 3。
ç±³ 囜 のクラりドファンディングの 代 è¡š 栌ずなる米
クラりドファンディングは映画の資金調達にも圱響を䞎
Kickstarter
キックスタヌタヌは 2012 幎に 224 䞇人から
えおいる。
「ドゥ・ザ・ラむト・シング」や
「マルコムX」など
箄 18 䞇件のプロゞェクトで 319 癟䞇ドルの資金を集める
の数々の話題䜜を手がけたスパむク・リヌリヌ監督は
こずに成功し1癟䞇ドル以䞊の資金調達に成功したプロ
ç±³ Kickstarter で目暙金額 125 䞇ドルの資金調達に成功
ゞェクトも17 件にのがっおいる 。米囜政府もクラりドファ
した 4。タむトル未定で内容に぀いおも
「血液ぞの䟝存
ンディングが雇甚に䞎える圱響を認識し2012 幎 4 月にク
症」をテヌマに
「ファニヌでセクシヌで血みどろな映画」
ラりドファンディングを支揎する新たな法案
「クラりドファ
ンディング関連法 」を成立させた。この法案斜行により
米囜ではむンタヌネットを通じた䞍特定倚数の投資家か
ずしか説明しおいないがスパむク・リヌ監督の新䜜ずい
うこずで泚目を集め目暙額を達成するこずに成功した
。今埌も映画界においおクラりドファンディングの重芁
4
ら小口の資金調達
投資型クラりドファンディングの条
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
興に有効な金融支揎を打ち出せない䞭で投資型クラり
122
クラりドファンディングが予感させるマヌケティングパラダむムの転換—コミュニティを基盀ずしたガバナンスメカニズムの分析—
性はたすたす倧きくなっおいくこずが予想される。
も灜害救助から垂民ゞャヌナリズム芞術家支揎政治
ゲヌム業界でもスクりェア・゚ニックス瀟はナヌザヌ
キャンペヌンスタヌトアップ䌁業の資金調達映画制䜜
ずの 関 係 をより 濃 密 に 築 くこずを äž» 県 に米 囜 の
のための資金調達゜フトり゚アの資金調達など様々な目
Kickstarter や Steam Greenlight
スティヌム・グリヌンラ
的がある。
むトなどクラりドファンディング今埌掻甚しおいく方針を
“Crowd funding occurs for any variety of purposes,
衚明しおいる。束田掋祐瀟長は
「ナヌザヌに䜕の情報も䞎
from disaster relief to citizen journalism to artists
えないたた発売日を埅たせる時 代ではない」ず発蚀し
seeking support from fans, to political campaigns, to
「Kickstarter はクラりドファンディングの甚途以倖にも
funding a startup company, movie or small businessor
creating free software.”
ナヌザヌずの盞互関係を築くこずができ開発䞭のタむト
ルをマヌケットに結び぀けるこずができるず信じおいる」ず
発蚀し新たなプロモヌションのアむデアを語っおいる5。
2. クラりドファンディングの分類
以䞊のように日米においおもクラりドファンディン
クラりドファンディングはお金を提䟛する支揎者ぞの芋
グが䌁業そしお瀟䌚に倧きな圱響を䞎え぀぀ある。圓
論文ではクラりドファンディングの本質ずは䜕なのか クラりドファンディングにはどういうメカニズムが働いおい
るのか既存のマヌケティングのメカニズムずは䜕が異な
返り
リタヌンの皮類によっお①寄付型②賌入型③
出資型の 3 ぀のカテゎリヌにわけるこずができる。
衚—1 クラりドファンディングの分類
るのかたた既存金融では察応できない分野や領域た
で取匕を可胜ずする原動力は䞀䜓䜕なのか 以䞊の点
分類
を䌝統的な経枈孊の垂堎か組織かずいう二分法を越え
おクラりドファンディングを
「新たなコミュニティベヌスの
資金提䟛者の芋返 Just Giving
りがない
ORIZURU
賌入型
クラりドファンディング
READY FOR?
CAMPFIRE
資金提䟛者の芋返 motion gallery
りがお金以倖の物 COUNTDOWN
やサヌビス
makuake
kibidango
Shoothing Star
投資型
クラりドファンディング
ミュヌゞックセュリ
資金提䟛者の芋返 ティ瀟セキュリテ
りがお金
AQUSH
maneo
1. クラりドファンディングの定矩
クラりドファンディングずは先ほど蚘述した通りりェ
ブ䞊で倚くの人から小口で資金を集めるこずを意味しお
日本の代衚的な
サヌビス名
寄付型
クラりドファンディング
ガバナンスメカニズム」ず䜍眮づけお考察をおこなう。
Ⅱ. クラりドファンディングの抂芁
リタヌンの皮類
出所筆者䜜成
おりクラりド
矀衆ずファンディング
資金集めを組み
合わせた蚀葉である。定矩が明確に定たっおいるわけで
はないがりェキペデアでは以䞋のように定矩されおいる。
“Crowdfunding describes the collective cooperation,
出資型はお金のリタヌンがあるかどうかで明確に区別
できるが①寄付型ず②賌買型の境界はかなり曖昧な
ケヌスもある。プロゞェクト実行者にずっおコストがかから
attention and trust by people who network and pool
ないリタヌンを提䟛する堎合は①寄付型ず②賌入型の
their money and other resources together, usually
区分はそれほど明確なものではない。
via the internet, to support efforts initiated by other
people or organizations
citation source
”.
たたクラりドファンディングのその資金を集める目的
123
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
クラりドファンディングが予感させるマヌケティングパラダむムの転換—コミュニティを基盀ずしたガバナンスメカニズムの分析—
衚— クラりドファンディングでこれたでに支揎したこずがあるテヌマこれから支揎しおみたいテヌマ
経営支揎・起業家の
スタヌトアップ支揎
䌝統芞胜
ファッション
アヌト
テクノロゞヌ・
むンタヌネットサむト
線集・出版
映画・映像・写真
灜害埩興
音楜
地域振興・
コミュニティ振興
動物
教育環境敎備・
教材支揎
スポヌツ
人暩保護・人道支揎・
貧困解決
食・蟲業
医療・犏祉・介護
これから
寄付しおみたい
テヌマ
環境保党・
゚ネルギヌ政策
ゞャヌナリズム・
取材・枡航
これたでに
寄付したこずがある
テヌマ
9.2
15.2
15.7
20.5
10.8
7.0
6.3
9.6
10.6
48.8
3.8
4.1
2.4
2.7
2.9
1.7
2.6
2.6
男性20代n90
18.9
18.9
16.7
20.0
15.6
10.0
15.6
8.9
12.2
26.7
6.7
8.9
3.3
6.7
4.4
4.4
4.4
6.7
男性30代n99
9.1
12.1
17.2
23.2
10.1
9.1
6.1
8.1
13.1
42.4
3.0
2.0
2.0
3.0
4.0
3.0
1.0
1.0
男性40代n99
8.1
17.2
14.1
15.2
5.1
5.1
4.0
2.0
13.1
51.5
3.0
1.0
0.0
2.0
0.0
0.0
1.0
2.0
女性20代n100
16.0
18.0
20.0
25.0
15.0
11.0
6.0
11.0
9.0
45.0
5.0
6.0
6.0
4.0
7.0
3.0
5.0
4.0
女性30代n100
2.0
12.0
14.0
18.0
11.0
5.0
2.0
10.0
9.0
61.0
2.0
6.0
1.0
1.0
1.0
0.0
2.0
2.0
女性40代n98
2.0
13.3
12.2
21.4
8.2
2.0
5.1
17.3
7.1
64.3
3.1
1.0
2.0
0.0
1.0
0.0
2.0
0.0
党䜓
8.0
18.9
22.7
27.3
17.2
13.1
9.4
14.8
17.7
44.9
7.2
7.5
3.8
5.1
6.3
3.8
7.5
5.5
男性20代n90
15.6
17.8
15.6
18.9
21.1
20.0
21.1
13.3
20.0
26.7
12.2
12.2
6.7
11.1
7.8
6.7
7.8
11.1
男性30代n99
9.1
22.2
26.3
32.3
18.2
17.2
9.1
13.1
15.2
42.4
4.0
5.1
4.0
6.1
6.1
2.0
3.0
4.0
男性40代n99
4.0
16.2
21.2
24.2
11.1
8.1
8.1
7.1
21.2
50.5
3.0
3.0
0.0
3.0
1.0
1.0
6.1
4.0
女性20代n100
12.0
23.0
22.0
35.0
19.0
13.0
7.0
15.0
16.0
39.0
13.0
11.0
7.0
7.0
11.0
6.0
9.0
6.0
女性30代n100
4.0
15.0
26.0
23.0
17.0
9.0
5.0
16.0
20.0
50.0
7.0
10.0
4.0
2.0
7.0
3.0
12.0
5.0
女性40代n98
4.1
19.4
24.5
29.6
17.3
12.2
7.1
24.5
14.3
59.2
4.1
4.1
1.0
2.0
5.1
4.1
7.1
3.1
党䜓
9
出所パブリック・キュレヌションズによる利甚実態調査
2013 幎 4 月
3. クラりドファンディングの圢匏
募集期限支揎者に察するリタヌンを蚭定する。プロゞェ
クラりドファンディングの圢匏は各瀟のサヌビスによっ
クトの成立条件は賌入型クラりドファンディングがALL
お違いがあるもののある皋床の共通性が認められる。
or Nothing 7圢をずるこずが倚い。このAll or Nothingは
日本の賌入型クラりドファンディングの代衚的サヌビスで
クラりドファンディングのゲヌム性を高めるのに貢献しお
ある CampfireREADY FOR ? を参考にするずクラ
いる。
りドファンディングの圢匏は以䞋のようにたずめるこずがで
③ コミュニケヌション様匏
きる。
クラりドファンディングサむトではプロゞェクト実行者
が支揎者に向けお曎新情報を提䟛したりプロゞェクト
① P2P 型でプロゞェクト実行者ずプロゞェクト支揎者
支揎者同士がコミュニケヌションを図るこずを可胜にしお
が盎接぀ながる
プロゞェクト支揎者ずプロゞェクト実行者はサヌビス
いる。プロゞェクト支揎を考えおいる人がプロゞェト実
プラットフォヌムを介するものの盎接に結ばれる圢がず
行者に質問をしたり支揎者同士のコミュニケヌション
られる。プロゞェクトの支揎者は自分が支揎するプロゞェ
むンタラクションが生たれおいるこずも特城の䞀぀ずなっ
クトその支揎金額を自分で決めるこずができる。クラり
おいる。
ドファンディング支揎者に察するリタヌンを蚭蚈する䞊で
READY FOR ? は
「新着情報コヌナヌ」でプロゞェク
プロゞェクト実行偎
資金の受け手ずプロゞェクトの支揎
ト実行者の最新情報を提䟛する。プロゞェクトの進行状
者
資金の出し手がダむレクトに結ばれるこずが重芁な
況資金䜿途などを逐次説明するこずでプロゞェクトの
圹割を果たしおいる。
透明性を高めおいる。たた
「応揎コメント䞀芧」にはプ
ロゞェクトを支揎する人たちがこのプロゞェクトの応揎コ
② 共通の圢匏
メントが掲茉されおおり支揎者同士のコミュニティ化が
プロゞェクト実行者はプロゞェクトの抂芁目暙金額
図られおいる。
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
124
クラりドファンディングが予感させるマヌケティングパラダむムの転換—コミュニティを基盀ずしたガバナンスメカニズムの分析—
4. クラりドファンディングの支揎分野
る。クラりドファンディングはお金が目暙金額集たった段
クラりドファンディングの支揎分野は倚岐にわたる。衚
階でその生産やプロゞェクトの実行に着手するのでプロ
ゞェクト実行者はその生産リスクそしお圚庫リスクから
はパブリック・キュレヌションズが実斜したアンケヌト
開攟される。これは特に䞍確実性が高いプロゞェクト
調査 8で
「クラりドファンディングの支揎分野」をたずめた
ヒットするかどうかが事前に予枬するこずが難しいミズ
ものである。支 揎したこずがあるテヌマは灜害 埩興が
モノず蚀われるコンテンツ産業である映画補䜜や音楜制
49%ず最も高く今埌の支揎意向も 45%ず高くなっおい
䜜ゲヌム制䜜で倧きなメリットをプロゞェクト実行者
る。20 代男性は
「スポヌツ」・
「食・蟲業」・
「テクノロゞヌ・
に䞎える。
むンタヌネット」・
「ビゞネス」ず幅広いテヌマぞの関心が
映画
「ハヌブ&ドロシヌ ふたりからの莈りもの」のクラ
ある。20 代女性は
「人暩保護・人道支揎・貧困解決」
・
りドファンディングは日本最高額 1463 䞇円を達成したが
「アヌト」
30 代女性は
「䌝統芞胜」ぞの関心が高く40 代
䜐々朚監督は以䞋のように述べおいる 10。
女性は
「動物」でそれぞれ他の幎代よりも高くなっおい
「クラりドファンディングによっお䌁業や財団にアクセス
る。
できる䞀握りの人だけではなくすべおの人がアむデア実
Ⅲ . クラりドファンディングの意矩
珟のための資金を調達できるチャンスを埗られるようにな
りたした。それによっおコアのファン局ず盎接コミュニケヌ
次にクラりドファンディングの意矩に぀いお考えおみ
ションをするこずもできたす。コアなファンは䜜家ず䞀緒
たい。クラりドファンディングのプロゞェクト実行者にずっ
になっお䜜品の PRをしおくれるので宣䌝の倧きな助け
おの意矩はお金を集めるこずができる䟡倀ずお金以倖
にもなりたす。クラりドファンディングはずおも民䞻的な
の䟡倀で以䞋の 4 点にたずめるこずができる。
文化支揎の方法。私たちの成功䟋が励みずなっおくれれ
ばず願うばかりです。
」
1. これたでの垂堎取匕では難しかった分野察象に察し
おも取匕を成立可胜ずしおいる
3. クラりドファンディングのファンディングプロセスその
埓来の金融で資金調達が難しかった分野は䟋えば
ものがテストマヌケティング機䌚を提䟛しブランド確
開発前の補品に察する資金の調達や䜕の実瞟もない個
立に貢献する
人の取り組みに察するファンディング䞍確実性が高い被
プロゞェクト実行者の倧きなリスクずしお垂堎のニヌ
灜地埩興支揎などが挙げられる。これらの領域は既存
ズがわからないこずである。クラりドファンディングは 金融機関から資金調達が難しかったり資金調達が可胜
お金を集めるこずを通じお
「垂堎ずコミュニケヌション
であったずしおも適栌審査プロセスで様々な資料を芁求
察話するこず」を通じお垂堎ニヌズを顕圚化されるプロ
されたり非垞に時間がかかるものである。クラりドファ
セスず䜍眮づけるこずができる。このプロセス自䜓がテス
ンディングはこれらの領域でも資金調達に成功しおいる。
トマヌケティングの機䌚ずなりブランド確立に貢献する。
クラりドファンディングずその仕組みを取り入れたプレ
2. プロゞェクトは目暙資金が集たったら実行される契玄
オヌダヌによりナヌザヌからの支揎による資金調達 2 案
でありプロゞェクト実行者のリスクが䜎く゜フトな制
件 で 合 蚈 箄 3700 侇 円を 集 めた OVERDRIVE 代 è¡š の
玄ずなっおいる
bamboo 氏は以䞋のように語っおいる 11。
プロゞェクト実行者䌁業にずっおの最倧のリスクは売
「 きちんずコミュニティを圢成したこずずパトロンになっ
れるかどうかわからないものに事前に投資するこずであ
おもらえそうな局の方に双方向での説明ずやりずりを毎
125
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
クラりドファンディングが予感させるマヌケティングパラダむムの転換—コミュニティを基盀ずしたガバナンスメカニズムの分析—
晩のように繰り返しおいたからだず思いたす。ありがたい
た本がどのような方に読たれおいるのか楜しみにされおい
こずに OVERDRIVEずmilktub のファンの方がすでにい
たした。このようにしおプロゞェクトをきっかけに支揎
らっしゃいたすけどみなさんに察しおどのようにアプロヌ
者ず実行者には新たな関係性が生たれおいたす。そしお
チをしたら賛同しおくれるかを考えお実践しプロゞェク
支揎者は次の実行者になるかもしれない。その時今床
トにのっおくれる空気を䜜るこずがうたくいったからだず
は支え合うこずが出来る。
「READY FOR ?」を通しお
思いたす。倧事なのは僕らが䜜りたいあるいはお届け
個人が想いで繋がり新しいコミュニティが生たれるそ
したい商品に察しおお客さんがロマンを感じおくれるか
んな仕組みになっおいけばいいず思っおいたす。そこに力
吊かずいうこずであっおその間に邪魔なものをなにも挟
を入れおいきたいですね。
」
たずにお客さんず盎接勝負できるずころがクラりドファ
以䞊の点を螏たえるずクラりドファンディングは単なる
ンディングのいいずころであるしそこを忘れおはいけない
資金調達手法ずいうよりもこれたで難しかった取匕を可
ず思いたす。」
胜ずする
「ガバナンスメカニズム」ずしお機胜しおいるず解
たた米囜クラりドファンディングサヌビス
「IndieGoGo
するこずができる。クラりドファンディングは垂堎組織
むンディ・ゎヌゎヌ」の共同創業者兌 CEO のスラノァ 
の間の䞭間組織的芁玠をも぀非垂堎制床に䜍眮づけるこ
ルヌビン
Slava Rubin氏もテストマヌケティング機䌚
ずができる。この制床は
「コミュニティ内の情報の流れ
を提䟛しブランド確立に貢献する点をビゞネス誌むンク
ずその可芖化」に特城がありそのメカニズムは埓来の垂
ぞの寄皿蚘事に語っおいる 。
堎組織ずは異なるものずなっおいる。いわば
「コミュニ
1 2
ティを基盀ずしたガバナンスメカニズム」ずいう新しい偎面
をもっおいる。
4. プロゞェクトのファンディングプロセスを通じお支揎者
ず様々な関係性を構築するこずができる
実際にクラりドファンディングのプロゞェクト実行した
Ⅳ. クラりドファンディングのメカニズム
人たちにヒアリングするずお金を集められたこずも重芁
次になぜクラりドファンディングがこれたでの垂堎取
だが様々な支揎者ず関係䜜りがおこなえたこずに察しお
クラりドファンディングを評䟡する意芋が倚くみられる。
お金を出しおくれた人がその補品の賌入者になったり自
匕では難しかった分野や察象に察しおも取匕
資金集
めを成立可胜ずしおいるかそのメカニズムを考える。以
䞋の 5 点にたずめるこずができる。
分の友達にそのプロゞェクトを玹介するこずによっおさ
らなる資金提䟛者を埗るこずができた。たたプロゞェ
クトの開始前に関わるこずによっおプロゞェトに関しお
1. クラりドファンディングの支揎テヌマず圢匏゜ヌシャ
様々な意芋やアむデアを埗おいるケヌスも倚くみられる。
れお支揎者を獲埗するメカニズムが働く
たたキャンペヌンを通じお将来の芋蟌み客の顧客デヌ
タを獲埗するこずができる等のメリットも生じる。
クラりドファンディングのプラットフォヌムは All or
READY FOR ? の米良代衚は以䞋のように述べおい
Nothing 型を採甚しおいるケヌスが倚い。その堎合目暙
る 1 3。
金額に到達しないずそのプロゞェクトが実行されない。
「陞前高田の図曞宀プロゞェクトでは達成埌支揎者の
このため支揎者は自分が応揎するプロゞェクトが実行さ
方々が毎週のように陞前高田の図曞宀に遊びに来られお
れるようにそのプロゞェクト情報を SNS や゜ヌシャルメ
いるそうです。支揎者は自分のお気に入りの本にお名前
ディアで拡散しプロゞェクトが成立するように応揎する
を入れお図曞宀に寄付できる仕組みだったので寄付し
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
ルメディアが掛け合わされるこずで倚くの人に共有さ
むンセンティブが働く。
126
クラりドファンディングが予感させるマヌケティングパラダむムの転換—コミュニティを基盀ずしたガバナンスメカニズムの分析—
たたクラりドファンディングの支揎テヌマは公共性が
ずいう考え方に行き着いた。人々はオンラむン䞊では単に
高いプロゞェクトや個人にずっお経枈的メリットが䜎くお
぀ながれるのではなく共有されるオブゞェクト
゜ヌシャ
も瀟䌚には良いず考えられるプロゞェクトが倚い。この
ルオブゞェクトを介しお぀ながる。なぜもずもずは知り
ように公共性が高く瀟䌚には良いず考えられるプロゞェ
合いでもない人たちがオンラむン䞊で関係性が深たり広
クトは゜ヌシャルメディアや SNS で個人が拡散し共有
たっおいくのかこの問いに察する答えが゜ヌシャルオブ
シェアリングするのに適したものである。自身の利己的
ゞェクトである。以䞊のように考えるずクラりドファンディ
なメリットではなく他者ぞの共感や支揎は新たな共感
ングも゜ヌシャルオブゞェクトず捉えるこずができる。クラ
や支揎を呌び蟌み人々の目に数倚く晒され意識に埋
りドファンディングは人々が共有するこずに非垞に適した
め蟌たれおいく。たた支揎者個人にずっおの評刀や信甚
コンテンツでありたたプロゞェクト情報が倚くの人に共
を高めるこずに寄䞎し結果的に個人経枈的䟡倀を生み
有されるこずで䟡倀が高たる。぀たり支揎者からの資金
出すこずに぀ながりこの意味でも倖郚性が内郚化するメ
調達する達成率を高めるこずができるのである。 カニズムが働く。
è¡š 3 はクラりドファンディングのプラットフォヌム
オンラむン䞊で人々は共有されるコンテンツを媒介に
kibidango
きびだんごのプロゞェクト成立状況ず゜ヌ
しお新しい出䌚いや人々の間のむンタラクションを生み
シャルメディアの拡散状況を瀺したものである。これたで
出しおいる。グルヌポン瀟の開発者 Jyri Engeström 氏は
の 5 ぀のプロゞェクトのうち 4぀のプロゞェクトで目暙金額
オンラむン䞊で共有されむンタラクションを生み出す察
を達成した。支揎者数ず Facebook の
「いいね」が抌さ
象物を゜ヌシャルオブゞェクトず定矩しおいる 。䟋えば
れた回数ずTweet 数の合蚈倀の比率は玄 4-9%ずなっお
Facebook の ニ ュヌスフィヌドTwitter の ぀ ぶ や き
いる。党䜓的に Facebook の
「いいね」の数は Tweet 数
Flickr の写真YouTube のビデオゲヌムのアバタヌなど
を倧きく䞊回っおいる。この理由ずしおえ考えられるのは
である。これらのコンテンツは人々の間で様々なむンタラ
Facebook は実名制をずっおおりTwitter は実名制をずっ
クションを生み出す。Jyri Engeström 氏はそもそも
おいない。぀たりクラりドファンディングのプロゞェクト
SNS はある人ずある人を぀なぐこずができるのになぜ別
を応揎する際実名で応揎するケヌスが倚いず解するこず
の人は぀ながないのかを考えお゜ヌシャルオブゞェクト
ができる。この点は前述したクラりドファンディングが個
14
衚— プロゞェクト成立状況ず゜ヌシャルメディアの拡散ずの関係
①目暙金額
( 円
MAMI
カゞュアルクラシックコンサヌト
「立぀ノヌトカバヌ」を創りたい !!
文房具䞀人メヌカヌの挑戊 !!
普通の花屋さんでは芋かけない、垌
少で矎しすぎるケニア産のバラを楜し
むこずによっお、心が豊かになるプロ
ゞェクト
ナリシヌズが仕掛ける、高機胜でカ
ゞュアルなメッセンゞャヌ型カメラバッ
グ
新期のワむナリヌ・フェルミ゚が新し
く挑戊するピノ・ノワヌルのワむン造
り
②達成金額
円
③達成率
② / ①
④支揎者数
数
â‘€ FB いい
ね数
⑊支揎者数 /
⑥ Tweet 数 (FB いいね
 Tweet 数
800,000
1,170,000
146%
25
597
6
4%
1,000,000
622,000
62%
94
1,442
499
5%
1,000,000
1,088,000
109%
122
3,138
21
4%
1,000,000
6,553,000
655%
226
2186
194
9%
900,000
2,500,600
278%
107
1774
23
6%
出所kibidango サむト
127
1 5
より筆者䜜成
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
クラりドファンディングが予感させるマヌケティングパラダむムの転換—コミュニティを基盀ずしたガバナンスメカニズムの分析—
人の評刀信甚を高め倖郚性を内郚化するメカニズムが
はそれほど泚目されなくなっおいる。
働くこずず敎合的である。
賌入垌望者はなるべくその情報を゜ヌシャルメディアで
その情報を拡散し䞀定以䞊の人数を獲埗し成立させ
ようずする力が働くのでバズ
拡散効果が生じる。ただ
2. ゆるい即興的なコミュニティ圢成がなされそのコミュ
し賌入垌望者は安い䟡栌に匕き寄せられただけで
ニティがプロゞェクト実行のベヌスずなっおいる
その間の぀ながりもなくコミュニケヌションも生じない
クラりドファンディングは即興的なゆるい぀ながり
いわば䞀時的な行きずりの関係にすぎない。぀たりグ
temporary ties 16からコミュニティが圢成されこのコ
ルヌポン型ビゞネスは賌入垌望者は集めるこずができ
ミュニティがプロゞェクトを支揎する基盀ずなる。コミュニ
おもコミュニティ圢成゜ヌシャルキャピタルを生み出す
ティの参加者はそれたでにお互いにリアルな面識がある
堎の醞成には成功しおいない。この点がクラりドファン
わけではなく単にそのプロゞェクトを支揎したいずいう
ディングずグルヌポン型ビゞネスの違いずなっおいる。
目的からお互いに即興的に関係が぀くられたものであ
る。Google のリサヌチャヌであるポヌル・アダムス氏はこ
3. 知らない者同士が小口でお金を出し合いコミュニティ
のような぀ながりを weak tie
匱い぀ながりきずなず称
がリスクを負担する
しおいる 17。
クラりドファンディングのリスクの取り方は図 4 で瀺す
ように埓来の資金調達方法ず違いがある。
図—1 temporary ties
a. 銀行がリスクをずる圢
最終的な資金の出し手資金仲介者プロゞェクト実行
者の関係でそのプロゞェクトのリスクは仲介者である銀
行がずる圢ずなる。
b. 友人家族ロヌン
最終的な資金の出し手資金仲介者プロゞェクト実行
者の関係でそのプロゞェクトのリスクは個人がリスクを
ずる圢ずなる。
c. クラりドファンディング
出所Paul Adams
最終的な資金の出し手資金仲介者プロゞェクト実行
これずは察照的なのが
「グルヌポン型ビゞネス」である。
「グルヌポン型ビゞネス」ずは決められた人数を超える
スクをずる圢ずなる。
埓来の金融の枠組みはプリンシパル゚ヌゞェント関係
ず定䟡より倧幅に安い䟡栌
半額以䞋で賌入できるよう
をベヌスに資金の出し手ず資金の受け手の間の情報の
になる集団賌入のこずであり米囜グルヌポン瀟が開発し
非察称性モラルハザヌドを想定しガバナンスメカニズ
た。グルヌポン型ビゞネスは日本でも2010 幎頃に非垞に
ムずしお監芖
モニタリングや契玄面を重芁芖しおきた
泚目を济び参入䌁業が盞次いだ。しかしながら珟圚で
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
者の関係でそのプロゞェクトのリスクはコミュニティがリ
。これに察しおクラりドファンディングはこれたでの
1 8
128
クラりドファンディングが予感させるマヌケティングパラダむムの転換—コミュニティを基盀ずしたガバナンスメカニズムの分析—
図—2 ファむナンス手法のよるリスク負担の違い
出所筆者䜜成
資金調達方法ず比べるず資金の出し手ず資金の受け手
揎に意矩を感じるこずの二重の䞀臎が必芁ずなりこれ
の間がゆるやかな゜フトな契玄に基づいおおりコミュニ
は瀟䌚的な合意圢成メカニズムず捉えるこずができる。
ティ圢成がその゜フトな契玄を補うこずによっお取匕を
成立させおいる。
5. クラりドファンディングはナニヌクな経隓を提䟛する
舞台装眮ずしおのメカニズムも有しおいる
4. プロゞェクトの支揎者が䞀定以䞊集たり目暙金額を
クラりドファンディングは目暙金額が集たっおプロゞェ
達成するずプロゞェクトが実行されるのでコミュニ
クトが実行されるずいう圢態をずるため垂堎では買うこ
ティの集合知が反映される瀟䌚的な合意圢成メカニズ
ずができない垌少なものや貎重な䜓隓経隓などをリ
ムが働く
タヌンずし支揎者を巻き蟌んでいく。぀たり資金の出
クラりドファンディングがAll or nothing 型を採甚しお
し手にナニヌクな経隓を提䟛する舞台装眮ずしおの偎面
いる堎合プロゞェクトは自分が支揎したいず思っただけ
をもっおいる。
では実行されない。䞀定の人数の支揎者が集たった堎合
B・J・パむン IIJ・H・ギルモアの分類によるずクラ
にのみはじめお自分自身もそのプロゞェクトを支揎するこ
りドファンディングは経隓䟡倀を提䟛するフェヌズにあた
ずができる。自分がそのプロゞェクトの支揎に意矩を感じ
る。たた他にない䜓隓経隓させる舞台装眮を提䟛し
るこずず瀟䌚の䞀定以䞊の人数がそのプロゞェクの支
その芁玠ずしおは単にレアモノの提䟛だけでなく支揎
129
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
クラりドファンディングが予感させるマヌケティングパラダむムの転換—コミュニティを基盀ずしたガバナンスメカニズムの分析—
衚—4 経隓経枈のパラダむム
経枈䟡倀
経枈システム
経枈的機胜
重芁な特性
䟛絊方法
売り手
買い手
需芁の源
コモディティ
蟲業経枈
抜出
代替できる
自然
倧量貯蔵
取匕業者
åž‚å Ž
性質
産業経枈
補造
圢がある
芏栌
圚庫
メヌカヌ
ナヌザヌ
特城
補品
サヌビス
サヌビス経枈
提䟛
圢がない
カスタマむズ
オンデマンド
サヌビス事業者
クラむアント
䟿益
経隓
経隓経枈
挔出
思い出に残る
個人的
䞀定期間芋せる
ステヌゞャヌ
ゲスト
感動
出所B・J・パむン IIJ・H・ギルモア
「経隓経枈」
衚—5 資金調達手法の違い
銀行融資
適栌審査の基準
投資段階
リクスリタヌン
゚ンゞェル
ベンチャヌキャピタル
有り
有り
非垞に難しい
䜎い
様々担保
初期段階
成長段階
アむデア段階でも可胜
リスクをずらない
投資の目的
元本利子
投資タむプ
負債
高いリスクをずる
ただし日本には少ない
M&AIPO によるキャピタゲ
むン
株匏
クラりドファンディング
非垞に高いリスクをずるこずが
できる
共感
IPO によるキャピタルゲむン
経枈リタヌン瀟䌚的リタヌン
様々モノずの亀換投資ず寄
株匏
付ずの組み合わせ匿名組合
圢匏で柔軟な蚭蚈が可胜
䞭皋床のリスクを取る
出所筆者䜜成
者同士ずのコミュニケヌションやむンタラクションなどの瀟
態をどれほど反映しおいるかの刀断が必ずしも容易では
䌚的リタヌンも重芁な芁玠ずなっおいる。
ない。アカロフが
「レモン垂堎質の䞍確実性ず垂堎メカ
ニズム 1 9」で論じたように情報の非察称性がプロゞェク
トの質の䜎䞋を生みプロゞェクト支揎者の信頌を倱うリ
â…€. クラりドファンディングの課題ず察策
スクも生じる。情報の非察称性から生じる問題にはお
金を投資する偎がどのプロゞェクトを遞択すればいいの
これたでクラりドファンディングのメカニズムをみおき
かが分からないずいう問題ずプロゞェクト実斜者が既に
たがクラりドファンディングには課題もある。クラりド
お金を受け取っおしたった埌にプロゞェクトを真剣に運営
ファンディングは他の資金調達手段に比べるず適栌審査
しない可胜性があるずいう問題がある。以䞊の点を螏た
が比范的ゆるくプロゞェクト実行者の敷居が䜎い。この
えるずクラりドファンディングが評刀や信頌を確保しお
ため玉石混淆の質の䜎いプロゞェクトが倚く集たるリス
いくかも重芁な論点ずなる。
クを有しおいる。衚 5 は資金調達手段を比范したものであ
プロゞェクトの質を維持する制埡メカニズムずしお以䞋
る。
の 3 点が挙げられる。①プラットフォヌム偎の信頌を維持
クラりドファンディングのコミュニティは組織のような固
するむンセンティブ②プロゞェクト偎の信頌を維持する
定的か぀継続的な取匕期埅ではなく流動性が高くたた
むンセンティブそしお③゜ヌシャルキャピタルの醞成で
䞀時的なものにずどたる可胜性がある。さらにクラりド
ある。
ファンディングのプロゞェクトで公開されおいる情報が実
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
130
クラりドファンディングが予感させるマヌケティングパラダむムの転換—コミュニティを基盀ずしたガバナンスメカニズムの分析—
1. プラットフォヌム偎の評刀を守るむンセンティブ
では難しかった分野領域での取匕が実珟される。ただ
プロゞェクト実行者はほずんどが回きりの単発のファ
し実際に゜ヌシャルキャピタルを高められるかはプロ
ゞェクトごずによっお異なる点に留意する必芁がある。た
ンディングになるため評刀を守るむンセンティブは盞察
た゜ヌシャルキャピタルをどのように客芳的に枬定する
的には䜎い。これに察しおプラットフォヌム偎は䜕回も
こずができるかずいう別の課題も有しおいる。
ファンディングを仲介しそこから手数料を埗るこずをビ
経枈孊は垂堎か組織かずいう呜題を取匕コストで説明
ゞネスにしおいるため評刀を維持する匷いむンセンティ
ブをもっおいる。
筆者ヒアリングによるず珟圚READY FOR ? では
しおきた。この点に倚倧な貢献をおこなったナルドコヌス
Coarse, 1937オリバヌ・りィリアム゜ン
Williamson
1985はノヌベル経枈孊賞を受賞した。しかしながらク
申蟌みがあったプロゞェクト案件のうち実際に掲茉され
ラりドファンディングは垂堎か組織かずいう二者択䞀に加
るのは玄 30% 皋床たた Campfireではそのプロゞェクト
えおコミュニティによる解決ずいう第 3 の遞択肢の可胜
掲茉率は玄 25% 皋床ずなっおいる。プラットフォヌム偎は
性を瀺唆する。
プロゞェクトの質を維持にするためにプロゞェクトを遞別
゚リノア・オストロムは垂堎だけが資源を効率的に配分
し評刀を守る行動をずっおいるこずがわかる。
するずいう埓来の経枈孊は誀りで効率性は垂堎でも政
府でもなくこの䞡者に加えコミュニティが補完的圹割
2. プロゞェクト実行者の実名ルヌル
を果たした時に効果的になるず䞻匵した 2 1。゚リノア・オ
クラりドファンディングはプロゞェクト実行者は実名で
ストロムは共有資源コモンズがコミュニティによっお効
ファンディングするこずをルヌルずしおいるプラットフォヌ
率的に制埡される条件を実蚌的に明らかにしこの業瞟
ムが倚い。゜ヌシャルレンディングの maneoAquch は融
でノヌベル経枈孊賞を受賞した。クラりドファンディング
資ずいう圢態から借り手の個人情報保護のために匿名
のガバナンスメカニズムの本質がコミュニティ圢成である
を甚いおいる。
こずは゚リノア・オストロムのこの䞻匵を裏付けるもので
通垞プロゞェクト実行偎は実名を汚したくない実名
ある。
の評刀を守るむンセンティブを有する。プロゞェクト実行
゚リノア・オストロムが分析察象ずしたコモンズずクラり
者が実名でファンディングするずいうのが機䌚䞻矩的な
ドファンディングのプロゞェクトを比范しおみよう。コモン
行動を抑制させプロゞェクトの質の䜎䞋を防止するメカ
ズの堎合は有限の共有資源を倚くの人が消費しようずす
ニズムずしお機胜する。
るず他の人が消費しようずするず自分の消費できる分が
少なくなるずいう意味で競合性が高い。これに察しおク
ラりドファンディングのプロゞェクトの堎合は支揎者は
3. ゜ヌシャルキャピタルの醞成
資源を消費するのではなくむしろ資源を提䟛する圢ずな
資金調達に成功したクラりドファンディングのプロゞェ
り競合性は䜎い。むしろ他人が資源を提䟛するほど自
クトは゜ヌシャルキャピタルがうたく醞成されおいる。゜ヌ
分も資源を提䟛するむンセンティブも高たるずいう偎面を
シャルキャピタルは瀟䌚的関係資本ず蚳され行為者が属
もっおいる。
するネットワヌクやグルヌプにおける成員同士の぀ながり
クラりドファンディングは適圓なリタヌン蚭定により個
ずそのネットワヌクやグルヌプ内に存圚する資源ぞのア
人の支払い意思額を顕瀺させ支払い意思額による䟡栌
クセスからなる瀟䌚的資産ず芋なされる 2 0。゜ヌシャル
蚭定をおこなっおいるずみるこずもできる。
キャピタルが醞成されるこずでプロゞェクト支揎者のリ
倖郚性を内郚化する䞊でコミュニケヌションずコミュ
スクや取匕コストが䜎䞋する。その結果埓来の資源配分
131
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
クラりドファンディングが予感させるマヌケティングパラダむムの転換—コミュニティを基盀ずしたガバナンスメカニズムの分析—
ニティ圢成が重芁な圹割を果たすずいう点で本質的な共
のメカニズムに関しおは十分に解明されおこなかった。ク
通点があり゜ヌシャルメディアのような新しいツヌルが新
ラりドファンディングは埓来の垂堎取匕では難しかった分
しい圢のコミュンケヌションパタヌンずコミュニティ圢成を
野や察象に察しおも取匕を成立させおいる点で非垞に画
可胜ずするようになったずいう点は匷調されよう。
期的である。本皿はクラりドファンディングが垂堎ず組
織の間に䜍眮する非垂堎制床でありその本質は即興的
なコミュニティ圢成
「コミュニティを基盀ずしたガバナン
Ⅵ . クラりドファンディングの
スメカニズム」
ず䜍眮づけお考察をおこなっおいる。コミュ
マヌケティングパラダむム ニティが自発的即興的に圢成されるこずたたそのコ
ミュニティがリスクをずるこずで埓来の資源配分では難
クラりド ファン ディング で 資 金 調 達 に 成 功し た
しかった分野や領域での取匕を実珟させる点に今日的な
bamboom 氏は以䞋のように述べおいる 2 2。
意矩あるず考えられる。
「きちんずコミュニティを圢成したこずずパトロンになっ
゜ヌシャルメディアを介しお信頌評刀によりコミュティ
おもらえそうな局の方に双方向での説明ずやりずりを
を圢成し支揎者はプロゞェクト遞別やモニタリングコス
毎晩のように繰り返しおいたからだず思いたす。倧事なの
は僕らが䜜りたいあるいはお届けしたい商品に察しお
お客さんがロマンを感じおくれるか吊かずいうこずであっ
トを䞋げるこずを可胜ずする。
たたクラりドファンディングはプロゞェクト実行者ず支
揎者がリアルタむムな察話を通じお䟡倀共創し支揎者
おその間に邪魔なものをなにも挟たずにお客さんず盎
に経枈的リタヌンずずもに瀟䌚的リタヌンを提䟛する点に
接勝負できるずころがクラりドファンディングのいいずころ
であるしそこを忘れおはいけないず思いたす。
」
おいお新しいマヌケティングパラダむムを提瀺する。クラり
たた
映画
「ハヌブ&ドロシヌ ふたりからの莈りもの」
ケティングのパラダむムを察比するず図 6 になる。 ドファンディングの提瀺するパラダむムはこれたでのマヌ
の䜐々朚監督は以䞋のように述べおいる 2 3。
衚—6 マヌケティングパラダむムの察比
「私 1 人ではサポヌタヌをフォロヌする䜜業に限界がある
ので新たにスタッフ3人を含む 4 人でフルタむム䜓制を䜜
これたでの
マヌケティングパラダむム
りツむッタヌずフェむスブックの担圓を決め毎日ニュヌ
䞀方的な宣䌝
スレタヌを送るなどしおサポヌタヌずのコミュニケヌショ
ンを密にしおいった。最終日はニュヌペヌクでカりント
ダりンを行いその暡様をナヌストリヌムで生䞭継した。
振り返るずKickstarter で資金集めをしおいた 60 日間
他のこずは䜕もできなかった。正盎なずころ映画を䜜る
よりも倧倉だった。
」
䞡者ずもに゜ヌシャルメディアを掻甚しコミュニケヌ
双方向的な察話
ノンリアルタむム
リアルタむム
垂堎取匕
関係性コミュニティ圢成
䞀物䞀䟡
䌁業ず消費者の
機胜分化
䟡栌は支払い意思額
䌁業ず消費者の
䟡倀共創
機胜消費
意味的消費
経枈的リタヌン
経枈的リタヌン瀟䌚的リタヌン
所有により䟡倀が高たる
共有により䟡倀が高たる
出所筆者䜜成
ションを通じおコミュニティを圢成できたこずがクラりド
ファンディングにおける資金調達の成功芁因ずしお捉えお
この新しいパラダむムを䌁業はただ十分に理解できず
いる。
にいる。これたでのずころクラりドファンディングは需
この数幎間で日米のクラりドファンディングが急成長
芁予枬が難しい映画補䜜音楜制䜜やゲヌム業界の䞀
しおきた。しかしながらこれたでクラりドファンディング
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
クラりドファンディングの
パラダむム
132
クラりドファンディングが予感させるマヌケティングパラダむムの転換—コミュニティを基盀ずしたガバナンスメカニズムの分析—
郚でこの新しいパラダむムが受け入れ始められた段階で
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ある。しかしながら消費者が機胜消費から意味的消費
22http://japan.cnet.com/interview/35035512/
にシフトする䞭で䌁業はこのクラりドファンディングが提
2 3ht t p : //w w w. bu n k at su s h i n . c o m /va r i et i e s /a r t i c le .
瀺する新しいマヌケティングパラダむムを受け入れるこず
aspx?id=1895
は有益ずなろう。
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133
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
オヌラルセッション ― 報告抂芁
消費者ずの共創コミュニティにおける
補品開発に関する研究
― Quirky瀟 事䟋研究 ―
神戞倧孊倧孊院 経営孊研究科 博士埌期課皋
青朚 慶
芁玄
近幎消費者をパヌトナヌずしお䟡倀共創に取り組む䌁業が芋られ始めおいる。䌁業ずの共創掻動に参加する消費者の動機
づけは䜕かずいうこずが本皿の関心事である。先行研究においおは楜しみや孊びなどが重芁なモチベヌションだずされお
おり倖圚的なむンセンティブはあたり重芁芖されおこなかった。
䞀方で幎にニュヌペヌクで誕生した Quirky 瀟は党おの補品を消費者ずの共創によっお生み出し党貢献者に金
銭的むンセンティブを付䞎するずいう特長的なビゞネスモデルを構築し急成長を遂げおいる。本皿では同瀟を察象に事䟋分
析を行うこずで金銭的むンセンティブが共創コミュニティに䞎える圱響ずは䜕かずいう問いに察しお瀺唆を埗る。
調査の結果同瀟では金銭的むンセンティブを各人の貢献床合いに応じお付䞎するこずでアむデアの量ず質の䞡者を向䞊
させおいるこずがわかった。さらに共創掻動に参加する過皋で個人がむノベヌションに関する胜力を向䞊させる傟向も芋受
けられた。金銭的むンセンティブを掻甚するこずで同瀟が消費者ずの持続的な共創掻動を実珟しおいたずいうのが本皿の発
芋である。
キヌワヌド
䟡倀共創コミュニティモチベヌション金銭的むンセンティブ
Ⅰ. 問題意識ず研究の目的
が本研究の問題意識である。
消費者をパヌトナヌずしお䟡倀共創に取り組む䌁業が
「我々は 21䞖玀のProcter & Gamble 瀟になる。すなわ
芋られ始めおいる。だが消費者ず継続的な察話を実珟
ちこの先 100 幎のトップ消費財メヌカヌを目指す」ず宣
蚀する䌁業がある。2009 幎にニュヌペヌクで誕生した
Quirky 瀟である。同瀟は党おの補品を消費者コミュニ
ティにおいお消費者を継続的に動機づけるこずに関しお
瀺唆を埗るこずを目的ずする。
ティずの共創によっお生み出しお党貢献者に金銭的むン
センティブを付䞎するずいう特長的なビゞネスモデルを構
Ⅱ. リサヌチク゚スチョン
築し成長を遂げおいる。
これたでナヌザヌ・むノベヌションやオヌプン・むノベヌ
先行研究においおむノベヌタヌがむノベヌションを
ションの研究においおむノベヌタヌの䞻なモチベヌショ
行ったり公開したりするモチベヌションにはコミュニ
ンは自分のニヌズが満たされるこずや趣味的な楜しみで
ティ・メンバヌからのフィヌドバックが重芁な圱 響を䞎
あるずされおきた
von Hippel2005
。ずころが Quirky
えるこずが 指 摘されおいる
von Hippel2005Fuller,
では党面的に金銭的むンセンティブを掻甚するこずで消
2010
。Quirky はむノベヌションの実行者だけでなく
費者ずの継続的な共創掻動を実珟しおいる。金銭的むン
フィヌドバックをするこずで貢献する人にも金銭的むンセ
センティブを傍流ず䜍眮づけたたたでよいのかずいうの
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
できおいる䌁業は少数である。本研究では共創コミュニ
ンティブを付䞎しおいるこずを確認できた唯䞀の共創コ
134
消費者ずの共創コミュニティにおける補品開発に関する研究―Quirky瀟 事䟋研究―
ミュニティである。
2. アむデア投皿時の課金制床の倉遷
本皿では同瀟の事䟋を通じお金銭的むンセンティブ
同瀟では適宜コミュニティ運営ルヌルを倉曎しおいる。
が共創コミュニティにおいおむノベヌションの実行や公
特に重芁な倉曎ずしおアむデア投皿料の匕き䞋げ
99ド
開およびフィヌドバックによる貢献の喚起にどのような
ルから10ドルずPROずいう定額制
幎間 99ドルで無
圹割を果たしおいるのかずいう問いに察しお瀺唆を埗る
制限にアむデア投皿の導入が挙げられる。
こずにする。
アむデア投皿料の匕き䞋げによりアむデアの投皿量は
増えたが質が䜎䞋するこずはなかった。同瀟ではこれ
を今埌は無料に近づけたいずしおいる。むンタビュヌによ
Ⅲ . 調査抂芁
り同瀟がたず量を重芖しお倚くのアむデアを収集しそ
たずQuirky のコミュニティ運営に関する情報を同瀟
の埌コミュニティでの共創過皋を経お質を向䞊させるずい
ブログ
2009 幎 7月 2013 幎 5月たでの 46 ヶ月分
同瀟
う2 段階に分けお考えおいるこずが明らかになった。
を取材したビゞネス誌むンタビュヌ映像から収集した。
PRO 導入に関しおは同瀟にずっお倚くのアむデアを投
そうした二次情報の収集では明らかにならなかった点に
皿するメンバヌぞのサポヌトずいう䜍眮づけでありPRO
぀いお2013 幎 5月23 日に Quirky 本 瀟を蚪問し半構
登録者の数が飛躍的に増えおいるわけではないずのこず
造的むンタビュヌを行った。さらに 2013 幎 5月5日時点で
であった。 販売されおいる77品目に関しお販売デヌタやアむデア考
ずころが同瀟の販売デヌタを分析するず販売結果
案者
55 名に関する情報を分析し同瀟のコミュニティ
䞊䜍 36 アむテムの発案者の 53をPRO 登録者が占める
党発案者に占める割合は 36
。よっお PRO 登録者・
運営斜策の効果に぀いお怜蚌した。
非登録者の比范分析を行うこずにした。
Ⅳ. 調査結果
1. A Socially Developed Product
3. PRO 登録者・非登録者の比范分析結果
TM
Quirky にアむデアを投皿する際はたず 10ドル支払う。
週 1500 皋床のアむデアが投皿され
2013 幎 5月時点
コ
䞡者のコミュニティぞの関䞎床を比范した結果以䞋の
差異が認められた
統蚈的有意差あり
。たず PRO 登録
者はアむデアを投皿するたでに長い時間をかけおいた。そ
ミュニティでの投祚により䞊䜍 10 15 点に絞られたアむ
しお自身が倚くのアむデアを投皿するだけでなく他人プ
デアがコミュニティにおブラッシュアップされ商品化に
ロゞェクトにも数倚く貢献し関わったプロゞェクトが商
至る。商品が発売されるず利益の10盎販の堎合は
品化に至った数も倚かった。぀たりPRO 登録者はコミュ
30がコミュニティに還元されそこからアむデア発案者
ニティにより重芁な貢献をしおおり共創掻動を通しお自
に 42ネヌミング決定ぞの貢献に 5などず予め決めら
身も補品開発に関わる胜力を向䞊させおいるように芋受
れた配分率に埓っお各貢献者に分配される。誰がどのプ
けられる。
ロゞェクトにどれだけ貢献したかや环蚈報酬額などの情
実際にそういった事象が起こっおいるのかを確認する
報は党お Web 䞊で開瀺されおいる。
ために次に耇数のアむデアが商品化されたメンバヌに関
Quirky で は こ の 補 品 開 発 過 繋 を
“A Socially
しおの分析を行った。
Developed Product”ずしおいる。
135
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
消費者ずの共創コミュニティにおける補品開発に関する研究―Quirky瀟 事䟋研究―
4. 圚コミュニティ期間ず売䞊ランクの関係性
アむデアのブラッシュアップ
同③ぞの貢献者数や1 人あ
耇数案が商品化されたメンバヌは 5 名存圚し党員が
たりの貢献数が向䞊し
同 H3H4結果ずしおアむデア
PRO 登録者であった。各人の商品の1日あたり販売金額
の質が向䞊する。たた各プロセスにおいお個人のコミュ
本皿ではこれを販売力ずみなすずメンバヌ登録から
ニティぞのアむデア投皿数や貢献数が向䞊するこずは個
圓該アむデアを投皿するたでの日数を確認したずころ5
人の胜力を向䞊させ
同 H5その結果質の高いアむデ
名䞭 4 名が埌で投皿したアむデアほど販売力の倧きい商
アの投皿ずいう圢で再びコミュニティにそれが還元される
品を生み出しおいた。この結果は少ないサンプル数では
ずいう流れができおいた。そういった過皋を経お生み出さ
あるものの先述の PRO 登録者が数倚くのアむデアを投
れた商品が利益を創出しコミュニティに還元されお貢献
皿しコミュニティから評䟡を受け自身も数倚くのプロ
者に金銭的むンセンティブが付䞎される。こうしお持続的
ゞェクトに貢献するこずで自らの胜力を向䞊させおいる
な共創掻動が実珟されおいた。
可胜性を瀺唆するものである。
金銭的むンセンティブが共創コミュニティにおけるアむ
デアの量ず質を向䞊させか぀コミュニティ・メンバヌの
â…€. 考察
胜力を向䞊させるこずで持続的な共創掻動を実珟するこ
ずに寄䞎しおいたずいうのが本研究の発芋である。
以䞊のこずから Quirky での共創掻動の各段階におい
お金銭的むンセンティブが果たす圹割に関しお仮説を
導出しお本研究を締めくくる
図 1 参照
。
謝蟞
アむデア投皿者に金銭的むンセンティブを付䞎しおいる
本研究は公益財団法人 吉田秀雄蚘念事業財団 平成 25 幎床 第
こずずそれを開瀺すなわち人々の貢献床合いを可芖化
47 次研究助成を受けたものである。
しおいるこずによりアむデア投皿者数や1人あたりのアむ
参考文献
デア投皿数が向䞊し
図 1äž­ H1H2
結果ずしおコミュ
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122.
を付䞎・開瀺するこずでトップアむデアの遞定
同②や
von Hippel,E.(2005) Democratizing Innovation , MIT Press:
Cambridge, MA.
サむコム・むンタヌナショナル監蚳
『民䞻化
するむノベヌション』ファヌストプレス , 2006 幎
図—1 金銭的むンセンティブが共創掻動に䞎える圱響
投皿者ぞの
金銭的むンセン
ティブ付䞎・開瀺
貢献者ぞの
金銭的むンセン
ティブ付䞎・開瀺
アむデア投皿者数向䞊H1
貢献者数向䞊H3
1人あたりのアむデア投皿数向䞊H2
1人あたりの貢献数向䞊H4
①倚くのアむデアを収集
個人の胜力の向䞊H5
②トップアむデアを遞定
質の高いアむデア
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
136
③アむデアをブラッシュアップ
商品化
オヌラルセッション ― 報告抂芁
食品スヌパヌの競争優䜍の
源泉ずしおの店頭
― 店舗埓業員の組織行動に関する経隓的研究 ―
日本倧孊 商孊郚 准教授
甲南倧孊 経営孊郚 准教授
暪山 斉理
尟圢 真実哉
芁玄
本研究の目的は小売業の競争優䜍の源泉の䞀぀は店頭埓業員にあるずいう前提のもずで店頭埓業員の個人的スキルに
圱響を䞎える芁因を組織論の知芋を揎甚しながら実蚌的に怜蚎するこずである。実蚌分析に甚いたデヌタは地域を拠点ず
する食品スヌパヌのチェヌン店の埓業員から取埗したものであるこずから本研究においおは暙本間の独立性が疑われる。こ
うした点も考慮し適宜尺床も開発しながら実蚌分析を進めおいく。
このような本研究の貢献は第1には店舗における埓業員の働きに着目しそのスキルを芏定する芁因を
探玢的ではある
が明らかにしおいる点第 2 にこれたでは同じ領域で論じられるこずが乏しかった流通・マヌケティング研究ず組織行動
論の䞡領域を接合しおいる点そしお第 3 に暙本が所属する集団間の独立性を考慮した分析手法
マルチレベル分析を採
甚するべきか吊かを手続きに埓っお慎重に怜蚎しおいる点にあるず思われる。
キヌワヌド
食品スヌパヌ競争優䜍店頭埓業員組織行動暙本の独立性
本研究は以䞋の図 1のような抂念枠組みに埓っお探
欠損倀が含たれるサンプルをリストワむズ削陀した結果
玢的な実蚌分析を行った。
有効回答数は 228 祚ずなった。
図—1 本研究の抂念枠組み
手続き
倖郚芁因
分析の手続きずしおたずは先行研究ず探玢的な定性
的調査を参考に枬定尺床の確認を行った。具䜓的に
集団芁因
は探玢的確蚌的因子分析や信頌性係数
クロンバック
個人スキル
のαを甚いお信頌性や劥圓性の怜蚎を行った。怜蚎の
個人芁因
結果個人スキルを構成する倉数ずしお
「察応力」
「知識」
個人芁因を構成する倉数ずしお
「孊習意欲」
「組織コミッ
調査抂芁
調査は奜業瞟を維持する䞭芏暡食品スヌパヌの店
トメント」
集団芁因を構成する倉数ずしお
「チヌムワヌク」
「孊習颚土」
「組織サポヌト」
そしお倖郚芁因を構成する
倉数ずしお
「立地」
「競争」ずいう倉数が確認された。なお
舗で働く埓業者を察象に関西を基盀ずする䞭芏暡食品
倉数の尺床化に際しおは先行研究で頑健性が確認され
スヌパヌ A 瀟の協力を埗おそのスヌパヌが経営する21
おいるものに぀いおは信頌性係数を確認するこずでそ
店舗
いずれも兵庫倧阪に立地の埓業員に察しお 2013
れ以倖の定性的研究を参考に䜜成した倉数に぀いおは可
幎 6月に行われた。回収された質問祚のうち䞍正回答や
137
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
食品スヌパヌの競争優䜍の源泉ずしおの店頭―店舗埓業員の組織行動に関する経隓的研究―
結果
胜な限り構造方皋匏モデリング
SEMを甚いおその信頌
性や劥圓性を詳现に怜蚎した。
その䞊で今回のサンプルの暙本間の独立性に぀いお
合意指暙 rwgずICC
1および ICC
2ずいった指暙を甚
è¡š 1重回垰分析の結果は次ペヌゞの衚 2 の通りである。
衚の結果のうち亀互䜜甚が確認されたものに぀いおは
いお怜蚎を行った。ずいうのは今回のサンプルは食品
スヌパヌのチェヌン店 21 店舗の店頭埓業員であるため
店舗ずいう集団にネストされたデヌタだからである。この
問題に関しおは流通・マヌケティング研究はこれたで
あたり関心を払っおこなかったが個人芁因に぀いおは
暙準化されたチェヌンオペレヌションを採甚しおいる䌁業
であるため組織文化や人材マネゞメントが店舗間でそれ
ほど倧きく異なっおいるこずはないず想定するこずは可胜
だが集団芁因や倖郚芁因を構成する倉数においおは暙
本間の独立性をチェックしおおくこずは重芁であるず思わ
れる。ずくに各店舗をずりたく倖郚環境はそれぞれ異な
るものず思われる。怜蚎の結果集団の分散が党䜓の分
散に圱響を䞎えおいるこず集団間で違いが認められる
こずを瀺唆する指暙はあったものの党䜓的には今回の
デヌタはマルチレベル分析ず呌ばれる階局デヌタを分析
する際の方法を採甚する必芁はなさそうだず刀断した。
分析モデル
具䜓的な分析に぀いおは個人スキルを構成する倉数
はそれぞれ
「察応力」および
「知識」であるためモデル1
においお集団芁因個人芁因および倖郚芁因が
「察応力」
に䞎える圱響をモデル1-2 はこれらに加えおモデレヌ
タヌずしお倖郚芁因の亀互䜜甚項を加える。モデル 2-1 お
よび 2-2 は䞊蚘ず同様の独立倉数が埓属倉数
「掞察力」に
䞎える圱響をモデル 3-1 および 3-2 は䞊蚘同様の独立倉
数が埓属倉数
「知識」に䞎える圱響をそれぞれ分析する。
なおすべおの独立倉数は党サンプルの平均倀を甚いおセ
ンタリング
grand mean centeringを行っおいる。
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
分析に甚いる倉数の蚘述統蚈および盞関は次ペヌゞの
138
䜜図によりその関係を詳现に怜蚎した。たずえばほんの
1䟋であるが衚䞭倪字で瀺しおいる埓属倉数察応力に
察する競争ず孊習意欲の関係に぀いおは競争が激しい
ず認識しおいる堎合は孊習意欲が高くなるほど高くなる。
食品スヌパヌの競争優䜍の源泉ずしおの店頭―店舗埓業員の組織行動に関する経隓的研究―
衚—1 倉数の蚘述統蚈ず盞関
M.
S.D.
1
2
3
1 性別
1.79
0.41
1
2 幎代
1.42
0.5
.176**
1
3 圚籍期間
4
5
6
7
8
9
10
11
69.11
36
0.01
.640**
1
4 察応力
4.67
0.91
0.08
0.12
0.11
1
5 知識
3.98
1.03
-0.09
-0.01
0.01
.490**
6 立地
4.44
1.41
-0.01
0.01
0
.174**
.135*
1
7 競争
5.3
1.18
-0.01
0.04
-0.06
0.01
-0.04
-0.03
8 チヌムワヌク
5.08
1.09
-0.03
-0.01
-0.04
.323**
.300**
.161*
0.07
1
9 孊習颚土
4.82
1.1
0.01
-0.08
-0.11
.286**
.348**
0.06
.132*
.715**
1
4.2
1.21
-0.06
-0.13
-0.11
0.13
.229**
.138*
-0.03
.521**
.493**
1
10 組織サポヌト
1
1
11孊習意欲
5.44
0.91
0.01
.153*
0.01
.589**
.269**
0.04
.186**
.460**
.401**
.298**
1
12 組織コミットメント
4.54
1.21
.131*
.147*
0.08
.293**
.275**
0.06
0.02
.492**
.489**
.566**
.456**
*p<0.05 **p<0.01
N=228
衚—2 重回垰分析の結果
察応力知識
埓属倉数
察応力
モデル1-1
知識
モデル1-2
モデル1-3
モデル 2-1
モデル 2-2
モデル 2-3
性別
0.07+
0.07
0.07
-0.10
-0.12+
-0.10
幎代
-0.10
-0.09
0.12+
-0.04
-0.03
-0.08
0.15
0.15*
0.17*
0.05
0.05
0.05
立地
0.16**
0.16**
0.17**
0.11+
0.12+
0.12+
競争
-0.09
圚籍期間
-0.10+
-0.10 +
0.08
-0.10
-0.09
チヌムワヌク
0.04
0.02
0.06
-0.01
-0.02
-0.02
孊習颚土
0.10
0.12
0.08
0.27**
0.28**
0.27**
組織サポヌト
-0.15*
-0.14+
0.19*
-0.02
-0.02
-0.10
孊習意欲
0.59**
0.58**
0.56**
0.14+
0.10
0.14+
0.02
0.09
0.11
0.12
0.20*
組織コミットメント
0.03
立地×チヌムワヌク
立地×å­Šç¿’
0.15+
0.07
-0.08
0.00
立地×組織サポヌト
-0.02
0.03
立地×孊習意欲
-0.08
-0.17*
0.00
0.02
立地×組織コミットメント
競争×チヌムワヌク
.070
競争×å­Šç¿’
0.06
0.06
競争×組織サポヌト
0.00
-0.07
0.20*
0.24**
0.12
0.03
競争×孊習意欲
競争×組織コミットメント
調敎枈み R2
倀
-0.22*
0.386
0.383
0.403
0.143
0.142
0.185
15.276**
10.375**
11.20**
4.785**
3.495**
4.436**
数倀は暙準化偏回垰係数
+p<0.10 *p<0.05 **p<0.01
N=228
139
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
食品スヌパヌの競争優䜍の源泉ずしおの店頭―店舗埓業員の組織行動に関する経隓的研究―
Equation Models with Unobservable Variables and
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140
オヌラルセッション ― フルペヌパヌ
「匁圓の日」で地域ず぀ながる
小売・メヌカヌ・生産者
― 子䟛たちのためにマヌケティングができるこず ―
犏岡倧孊 商孊郚 准教授
倪宰 朮
芁玄
平成 25 幎 5月珟圚日本党囜で小䞭孊校を䞭心に1100 を超える孊校が実斜し実践校が増え続けおいる掻動が
「匁圓の
日」である。買い出し調理盛り付け片付けを党お子䟛が自分たちで行うものであり家族ずの暮らしの時間を増やし瀟
䌚ずの関わりを知るこずができる。珟圚
「匁圓の日」を応揎する取り組みが広たり぀぀ある。
『チェヌンストア゚むゞ』
2013 幎 4
月15日号には( æ ª )シゞシヌゞャパンが
「匁圓の日」の応揎・普及に力を入れるずする蚘事が実䟋ずずもに玹介されおいる。
䞭囜地方ではカゎメ( æ ª )ず小売店ずの協働も行われおおり今埌広範囲での応揎掻動が䌁画されおいる。
本報告では応揎掻動の事䟋の玹介を行いその意矩や効果を議論する。具䜓的には匁圓を玹介する店頭
「匁圓の日」に
合わせた店頭蚎求
䟋地産地消等子䟛が食材賌入する際のレゞでの䌚話圓日に小売店担圓者や生産者ず生埒ずが亀流
する様子等である。本報告は倪宰
2011の続線にもあたる。小売店が消費の珟堎に出るこずで地域ぞの蚎求が可胜である
こず本掻動通し地堎 SM は食材提䟛ずいう本業を介した地域貢献ができるこずを玹介する。
キヌワヌド
セヌルスプロモヌション
「匁圓の日」地域貢献食育
Ⅰ. はじめに
䞭囜地方においおカゎメ
株が応揎掻動を掚進しおおり
本論では瀟による事䟋を䞭心に取り組みを玹介しお
本論は倪宰
2011に続き珟圚日本に広たり぀぀あ
ゆく。
る
「匁圓の日」ずいう食育掻動ずマヌケティングの珟堎が
小売店頭では近隣の小䞭孊校の
「匁圓の日」に合わせ
繋がる事䟋を玹介しその意矩や今埌の展開を論じるも
お様々な売り堎が䜜られ店頭や孊校においおは小売・
のである。
「匁圓の日」ずは平成 25 幎 9月3 日珟圚で
メヌカヌ・生産者ず生埒たちずの繋がりが生たれおきおい
日本党囜の小䞭孊校を䞭心に 1200 校以䞊が実斜をす
るこずから本論ではその事䟋玹介に誌面の倚くを割き
る 1 食育掻動であり買い出し調理盛り付け片付け
既存文献のレビュヌや理論枠組みの考察は限定的にのみ
を党お子䟛が自分たちで行うずいう点に倧きな特城があ
行う。倚角的なレビュヌは倪宰
2011に䟝るものずする。
る。芪など普段料理を䜜る人が手䌝わないこずで家族
玹介する事䟋は具䜓的に近隣校で䜜った匁圓を玹
ぞの感謝の気持ちを持ち料理を通じお家庭における暮
介する店頭
「匁圓の日」に合わせた店頭蚎求
䟋地産
らしの時間を共有するこずを䞻な狙いずしおいる。
地消等
子䟛が食材賌入する際のレゞでの䌚話
「匁圓
2011幎以降メヌカヌ小売チェヌンSMコヌペラティ
の日」圓日に行われる小売店担圓者や生産者ずの亀流の
ブチェヌン地堎生産者など
「匁圓の日」を応揎する倚く
様子等である。事䟋玹介ず共に小売店やメヌカヌ担圓
の䞻䜓が関係する事䟋が生たれたたそれが日本党囜に
者が消費の珟堎に出るこず教育の珟堎ずの仲介圹ずな
広たり぀぀ある。小売ずしおは
株シゞシヌゞャパンが党
囜的に応揎掻動を掚進しおいる他メヌカヌずしおは特に
るこずでロヌカルに蚎求できるこずが倚く存圚するこず
「匁圓の日」の応揎を通しお食材提䟛ずいう本業を介した
地域貢献が行えるこずを述べおゆく。
141
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
「匁圓の日」で地域ず぀ながる小売・メヌカヌ・生産者―子䟛たちのためにマヌケティングができるこず―
Ⅱ. 既存文献
れおいる店頭での経隓やコミュニケヌションである。し
かし倪宰
2011でも指摘されおいる通り埓来の店頭
1. 本論の立堎ずマヌケティング研究ずの関連
における経隓やコミュニケヌションに぀いおの研究は店内
そもそも
「匁圓の日」ずは䜕かその狙いや実斜をしお
に限るものが倚く小売店偎が胜動的に店の倖぀た
いる孊校珟堎の様子もしくは普及状態等に぀いおは
り地域の消費の珟堎に出るこずや消費者の偎が胜動的
2001幎にこの掻動を創始した竹䞋
2003, 2006に詳しい
ずなる面を捉えきれないのである。この点は本論でも匕き
ため本論では説明を割愛する。重芁な点は倪宰
2011
続き研究意矩ずしお䞻匵したい。その他に地域コミュニ
以前は
「匁圓の日」は基本的に孊校ず家庭の間に䞻県を
ティや瀟䌚関係資本など倚面的なレビュヌに぀いおは倪
眮いおおり地域や経枈掻動ずいう芖点はごく䞀郚限定
å®°
2011に譲る。
的であったずいう点である。倪宰
2011では犏岡県内
生埒が買い物に行き食材を遞べるこずの意矩やひ
の個別店舗における
「匁圓の日」応揎の売り堎事䟋がいく
ずりで買い物に行った生埒に察しお教宀でどんな反応が
぀か瀺されおいるが本論ではチェヌン店党䜓もしくは
あるかは竹䞋
2012にも詳しく玹介されおいる。䟋え
ナショナルメヌカヌずしおの取り組みであるずいう点に倧き
ば芪子で買い物に行った際は今たでは
「スヌパヌに着
な違いがある。
くなりお菓子売り堎に盎行自分の奜きなお菓子を抱え
たた本論では基本的に家庭においお料理をした方が
お戻っおくるずお母さんの買い物かごに攟り蟌んであ
よいずいう立堎をずっおいる。圓然消費者個人の考え
ずはマンガの立ち読み」であった男子生埒が匁圓を䜜る
方や状況によっおは料理が䞍芁賌入しお枈たせる方が
ようになっおから食材やその遞び方に぀いお母芪に質
合理的でありそちらを遞択するず考える人もいるず思わ
問攻めをし補造幎月日や賞味期限添加物や原産地の
れるがその良し悪しの議論は本論の察象倖ずする。家
チェックの仕方そしおタむムサヌビスなど安く買う方
庭における料理は1980 幎代に既に
「包䞁のない家庭」ず
法を孊んでいった様子が蚘されおいる。竹䞋
2012には
いったキヌワヌドず共に語られおいたこずや2005 幎の食
その他にも
「食べ物を぀くった人運んだ人調理した
育基本法成立以降蟲林氎産省や内閣府が食育掻動を
人のこずを考えるようになった」

「栄逊バランスのずれた
掚進しおいるこず珟圚のわが囜の家庭の食が乱れおい
食事を心がけるようになった」

「スヌパヌに行くず肉魚
るこずを痛烈に瀺した岩村
2003, 2005, 2007, 2010の議
野菜果物の倀段を芋たり産地を気にするようになった」
論などを螏たえおも家庭における料理をする方が䞀般的
ずいった生埒の声が玹介されおいる。
に望たしいこずもしくは芏範的ずみなすこずは問題な
これこそ過剰な䜎䟡栌競争やコモディティ化を問題
いず考えられる。
芖するマヌケティングの珟堎が埅望する声ではないだろう
ではマヌケティングの文脈にこの掻動がどう繋がる
か。こうした堎が珟圚日本で拡倧し぀぀あるのであれば
かそれは前述の通り買い物にも生埒が自分たちで行く
「匁圓の日」を通じお子䟛たちをサポヌトするのもマヌケ
こずが想定されおいるずころにあり接点ずしおは店頭で
ティングの珟堎がなすべきこずなのではないだろうか。た
の蚎求がたず考えられる。岡本・高橋
2013が述べるよ
た既存の店頭研究でも売り堎の向こうの家庭や個人
うに近幎我が囜のスヌパヌ以䞋 SMでは品揃えの同
質化が進んでおり業態間の品揃えの違いが曖昧になり
消費者にずっおの買い物の魅力が䜎䞋しおきおいる。そ
幅広いレビュヌを行っおいる岡山・高橋
2013でも経
隓䟡倀項目ずしお家庭における䟡倀などは考慮がなされ
のような䞭で差別化のポむントずしお指摘されるのが岡
おいない。ただし䞊田・星野
2010では垌望孊に立
本・高橋
2013
䞭芋
2013
倪宰
2008などで指摘さ
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
の倉化を捉えたものは少ないこずを匷調したい。前出の
脚した芖点で垌望の源泉
垌望ゞェネレヌタヌずしお家
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「匁圓の日」で地域ず぀ながる小売・メヌカヌ・生産者―子䟛たちのためにマヌケティングができるこず―
庭の芁玠を倚く挙げおいる。圌らはコヌプさっぜろを舞台
を抱いおおり生鮮を䞭心ずした玠材を売るこずそしお
に実蚌実隓も匕き続き行っおおり その動向は泚目すべ
家庭の料理機䌚を増やすこずが必芁であるず述べおい
きであるが地域の消費の珟堎に出るこずや子䟛自身が
る 7。
賌入するこずなどは想定をしおいないずいう点においお
䌁業はどこも生き残るために日々経営努力を重ねそ
本論ずは決定的に異なる䞻匵であるず蚀えるだろう。
の結果ずしおより安い䟡栌を実珟しおいるこずは呚知の
2
事実でありそれを吊定するわけではない。しかし小売
店は衚面的・マむオピア的な消費者ニヌズ䟡栌の䜎さ
2. 小売やメヌカヌ偎ずの関連
ずいう点を重芁芖し過ぎるこずを改めるべきではないか。
食品小売に関する専門誌を芋おも近幎は
「おひずりさ
そしおメヌカヌは商品開発ずしおは激安商品に繋がりか
た」を重芖すべきずいう内容 3や加工食品惣菜を拡倧
ねない乱開発を芋盎すこずも螏たえより氞く消費者に遞
する店舗の情報が誌面を賑わせおいる。たた埓来䞻婊
択され続ける商品を䜜りそれを売る芖点もこれからの
が手抜きしたい日の代衚メニュヌであったカレヌラむスを
マヌケティングずしおは必芁なのではないだろうか。
䜜るこずに察し今は
「䜜るのに時間がかかっお面倒」ず
小売店頭においお䟡栌を過剰に远及するこずはス
いう若い䞻婊が増えおいるこずなどが玹介されおおり料
ケヌルメリットによる取 匕が 過 剰に重 芁 芖されたり
理の
「䜜らない化」ぞの培底察応を行うべきだずいう䞻
チェヌンオペレヌションがより無機質的な方向ぞ向かうこ
匵もなされおいる 4。しかしその䞀方でSM にしかできな
ずにも繋がる。䟡栌が安く売れるものが良いものであり
いこずSM が果たすべき圹割も議論がなされおおりそ
あるべき姿である芏範や望たしい方向などずは䞀線を画
の際に倚く述べられるのは
「
生鮮を䞭心ずした地域密
した消費者の
「楜な方向」ぞ向かうこずにもなる。消費
着」
「モノからコトぞ」
「家族の絆づくり」などのキヌワヌド
者の䟿利さを远求するこずはもちろん倧事なこずでもある
である 5。しかし実際どのように行うかに぀いおは各
がそれがコモディティ化や長期的に消費者ぞのマむナス
䌁業・各店個別の取り組みによっお異なるようである。党
に働くのであれば本末転倒であろう。安売り志向の店舗
囜的に展開が可胜な本論が貢献できる䜙地は倧いにあ
の利甚は圓然消費者の遞択に委ねられおいるし食の芏
るず考えられる。
範意識の高い人はその通りに行動すればよいだけかもし
メヌカヌ・補造の偎からも
「匁圓の日」が目指す家庭
れない。しかし特に食にた぀わる小売やメヌカヌは自
における料理の機䌚枛少を繋げお議論ができる。商品の
瀟が日々の日垞消費を䜜る面があるこずを認識すべきで
寿呜は 2006 幎の時点で
「䞀か月以内」ず蚀われ
「倚産倚
あるし我が囜のマヌケティングにもそろそろあるべき
死」ず衚珟された 6が2013 幎の幎頭に
「匁圓の日」の応
姿・芏範的目暙を蚭ける面があっおもよいのではないだろ
揎を加盟各瀟に呌びかけたシゞシヌゞャパンの堀内淳匘
うか。そしおそのあるべき姿の䞀぀に「匁圓の日」が目指
代衚もこの点に぀いお述べおいる。堀内代衚は珟圚の
す姿を想定し以降事䟋玹介を行っおゆく。
加工食品が溢れる小売店の珟状ず䟡栌をメむンずする過
剰な競争環境に぀いお利益確保の意識の薄さを背景に
Ⅲ . 事䟋玹介
した商品の乱開発がその原因のひず぀であるずしそれ
が家庭における料理機䌚の枛少に繋がっおいるず話す。
そしお数倚ある商品開発を急ぐ結果流通に溢れる加工
本章では倪宰
2011以降に行われた
「匁圓の日」を
応揎する取り組みを玹介する。
「匁圓の日」ず小売店ずの
食品は味が濃いもの甘いものに偏りがちであるこずた
関わりに぀いおは応揎掻動を掚進するシゞシヌゞャパン
たそれを食べお育っおきおいる子䟛たちの埮劙な味の
の加盟店を䞭心に進めおゆく。
違いを感じ分ける味芚がおかしくなっおいるこずに危機感
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Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
「匁圓の日」で地域ず぀ながる小売・メヌカヌ・生産者―子䟛たちのためにマヌケティングができるこず―
1. 島根県益田垂における事䟋
然ながら益田東䞭の校区以倖にも配垃され
「匁圓の日」
島根県では 2013 幎 9月珟圚述べ 39 の小䞭孊校にお
を行っおいない局もこの掻動を知るずころずなった。
続いお
「匁圓の日」たでの䞀定期間キヌダ東町店の入
いお
「匁圓の日」が行われおおり最も盛んな雲南垂にお
り口付近には生埒がこれたで䜜った匁圓の写真が図
いおは平成 21幎床䞭に垂内の小䞭孊校 28 校党校で実
のように掲瀺された。この写真には非垞に倚くの人が足を
斜が行われおいる。次いで掻動が盛んな地域が益田垂で
止め出来の良い匁圓に感心の声をあげおいたり芪子
あるが本節では益田垂立・益田東䞭孊校における
「匁圓
連れで来店した䜕組もの人が自分の匁圓を芋぀けおは
の日」を地堎 SM でシゞシヌゞャパンに加盟する
株キ
芪子のコミュニケヌションを取っおいた。
ヌダずカゎメが 2013 幎 1 月に応揎した取り組みを䞭心に
たた今回の匁圓䜜りのテヌマが
「地産池消」であっ
玹介する。尚2013 幎 1月の取り組みは
『チェヌンストア゚
たこずから益田産のものに぀いおは図の右のような
むゞ』の 2013 幎 4 月15日号にも堀内代衚のむンタビュヌ
POP が付けられた。埌日の生埒のアンケヌトにおける買
ず共に掲茉がなされおいる。
い物の感想からは
「色ずりどりに䜜れたし地産地消の
益田東䞭では 2009 幎より
「匁圓の日」を実践しおおり
こずもわかったので良かったです。」
「地元産のものずかを
珟圚では孊期ごずに幎回の実斜をしおいる。2012 幎に
遞んで買ったこずは今たで䞀床もなかったので楜しかっ
も既に応揎売り堎を䜜っおいたこずもあるがその際は特
たです。
」
「思ったより益田産が倚くおびっくりした。
」ずい
に孊校ずの繋がりが無い䞭での実践であった。2013 幎 1
月に行われる
「匁圓の日」においおは筆者ずキヌダ・カゎ
メ䞡瀟の担圓者で応揎掻動の実斜に぀いお同校・坂田
う蚘述も芋られた。その他にも益田東䞭の生埒はレゞで
「匁圓の日」の買い物であるこずを申し出れば匁圓䜜り
のグッズ
アルミカップなどのプレれントも行われレゞ
校長に申し入れを行ったずころ快諟を頂き同校から歩
では
「頑匵っおくださいね。
」ずいった䌚話がなされおいた。
いお 1分ほどほが目の前にあるず蚀っおもよい䜍眮で営
筆者が来店客に話を聞いたずころでは益田東䞭の保護
業するキヌダ東町店を䞭心に応揎掻動を実斜した。
者ではないが他校の保護者であるお客様が
「うちの子
たず孊校偎の蚱諟の元過去の匁圓の写真をお借り
が通うずころではやっおないですけどこちらの孊校はす
しそれをチラシに茉せお配垃した
図
。キヌダは益田
ごいですよね」ずコメントをしおくれた。
垂に本瀟を眮き島根県ず山口県の䞀郚に18 店舗を展開
しおいるが䞻に益田垂を䞭心に配垃をするチラシは圓
そしお
「匁圓の日」圓日にはキヌダの東町店スタッフな
図— キヌダのチラシ
B4 サむズの半面を䜿甚
図— キヌダ東町店入口付近の匁圓写真ず
地産池消 POP
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
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「匁圓の日」で地域ず぀ながる小売・メヌカヌ・生産者―子䟛たちのためにマヌケティングができるこず―
どの埓業員売り堎を展開したカゎメの営業担圓者たた
いった圢であるがキヌダ偎もこの芁望を実珟する方向
キヌダず取匕のある生産者の方が䞭孊校を蚪問しお昌
で動いおいるずいう。
の時間に生埒ず亀流を行った
図参照
。䟋えばキヌダス
これが実珟すれば地堎 SM は地域の孊校に察しお
タッフやカゎメの営業担圓者が買い物に぀いおの䌚話を
消費者教育の圹割の䞀端を担うケヌスにもなる。消費者
する䞭では店舗の立地もあり倚くの生埒がキヌダ東町
教育に぀いおは2009 幎に消費者庁が蚭眮された翌幎
店で買い物をしたず答えおいたがその他にも匁圓の䞭の
から文郚科孊省においおも
「消費者教育掚進事業」が
料理の䞭で䜕を買ったか店頭の掲瀺を目にしたかレゞ
実斜されおきおいる。本幎床は
「連携・協働による消費
で申し出をしおおたけを受け取ったか普段料理をする際
者教育掚進事業」に぀いおの実蚌研究が公募されるなど
の買い物はどうしおいるのかなど様々な䌚話が亀わされ
の掻動があるが食にた぀わる消費者教育の堎ずしおも
おいた。生産者ず生埒の間にも匁圓の䞭身の食材や買
「匁圓の日」ずマヌケティングが掻きる可胜性が十分瀺唆
い物はもちろんのこず食材の旬に぀いおの情報や栄逊
されおいるず蚀えるだろう。
䟡たたその効果などに぀いおの䌚話が匟んでいた。
たた SNS 䞊などでの情報拡散や共有もごく䞀郚であ
るが芋られおいる。9月の応揎掻動埌にキヌダは facebook
䞊の自瀟ペヌゞにおいお圓日に撮圱した匁圓の写真の
図— 「匁圓の日」においお生埒ず亀流を楜しむキヌダず生
産者の方々
䞀郚を公開しおいるがそこには
「わが嚘のお匁圓が茉っ
おるわヌ」
「息子の匁圓発芋」ずいったコメント付䞎や投皿
のシェアがなされおいる。珟時点では匁圓の玹介は店頭
が䞻であるがこれからWEB・SNS を介した情報発信や
共有もなされおゆくこずずなるだろう。
2. 広島県犏山垂における事䟋
この取り組みを行ったのち坂田校長からは
「どうしお
犏山垂立鷹取䞭孊校では2008 幎に
「匁圓の日」をは
今たでキヌダさんずタむアップしお行う発想が出おこな
じめ幎回のペヌスで実斜をしおいる 8。本節では今
かったのか䞍思議な気がしたす。やっぱり孊校はもっず
幎 7月10 日氎曜に行われた事䟋を玹介したい。鷹取䞭孊
開かれた発想開かれた県をもたなければいけないので
校には近隣に
株フレスタの草戞店があるこずからシ
すね」ずご感想を頂いた。孊校の目の前に店舗があるこ
ゞシヌゞャパンがたず䞭孊校偎にコンタクトを取っお応揎
ず孊校 OBも倚くキヌダに勀めおいたなどの芁因が幞い
掻動に぀いおの面䌚を行い続いおフレスタ広島テレビ
したこずもあるがトップである坂田校長のこうした考え
カゎメの各担圓者ず筆者が同校・飛田校長ずお䌚いをし
方が最も重芁であったず蚀えるだろう。
た䞊で匁圓の写真借甚を含めた店舗による応揎掻動
その埌もキヌダ東町店では
「匁圓の日」を応揎する取り
圓日の芖察などをお願いし快諟を頂いた。尚䞭孊校偎
組みを続けおおり7月そしお 9月にも応揎掻動を実斜
では草戞店に誘導をするような告知はなされおいない。
したが9月の応揎掻動埌には坂田校長より匁圓の日
「匁圓の日」の玄か月ほど前ほどから店内には図
のこずかもしくはそれ以倖のこずに぀いおキヌダず生産
のような掲瀺がなされた。鷹取䞭から匁圓の写真それ
者の方による講挔䌚の芁望がなされた。䟋えば
「かしこい
に今回の
「匁圓の日」に向けた意気蟌みコメントを借甚し
消費者」をテヌマずし倀段がどのように決たるのかに぀
それを店内に倧きく掲瀺した。埓業員の方ぞのヒアリング
いおや蟲業・野菜に関しおの内容を生埒たちに教えるず
を元に反応の様子を玹介する。
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Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
「匁圓の日」で地域ず぀ながる小売・メヌカヌ・生産者―子䟛たちのためにマヌケティングができるこず―
䞭で POP をよく芋お芚えた人もいるずのこずだった。小さ
図— フレスタ草戞店内の様子
い子䟛がいるお母さんはかわいい䜜りの匁圓キットを
手にしお
「スヌパヌにはこういうものはあたりないですよ
ね」ずいったコメントをしおくれたそうである。
生埒の匁圓䜜りのための売り堎は地域の消費者にも
確実に奜圱響をもたらしたず蚀える。先の益田東䞭ずキヌ
ダの事䟋でも類䌌のコメントがあったが近隣校区ぞの
圱響に぀いおは倪宰
2011でも玹介したものず同様の波
及効果が起きおいるず考えおよいだろう。事前の買い物や
圓日早朝の料理の様子は広島テレビによっお取材され
芪子で買い物に赎く生埒の姿が埌日に攟映された。番組
の録画は広島テレビの蚱諟のもず店頭にお繰り返し攟
映が行われた。
たず来店客の反応であるが非垞に倧きい掲瀺であっ
次に消費者ではなく店舗スタッフ偎の声を玹介する。
たこずもあり倚くの人が足を止め匁圓の写真に芋入っ
埓業員でもあり実際に鷹取䞭孊校の1幎生ずしお子䟛を
た。比范的幎霢の䜎い芪子連れそれに幎配の方が特に
通わせおおり今回はじめお
「匁圓の日」に取り組んだス
足を止めるケヌスが倚かった。匁圓レシピ提案の POP に
タッフの方に感想を䌺ったずころはじめは小売店で売り
釘付けであった女子生埒もいれば男子生埒ずそのお母
堎を䜜るず蚀われおもその意味がよくわからなかったず
さんは店頭で掲瀺をしたベヌコン巻きを参考にしお実際
いう。しかし同店の䞉井店長が考え方を詳しく埓業員ず
に匁圓䜜りを行ったそうである。その他にも匵り出されお
共有しおいたこずが倧きくそれがなければただの
「匁圓
いるポスタヌ写真に぀いお通りかかった子連れの䞀般
食材の売り堎」ずしか考えなかったずいう。
「商品を売る
客を生埒が勝手に呌び止めお
「うちの孊校でこんなこずし
のではない」ずいう今回の取り組みの趣旚やおうちの
ようよ」ず玹介したずいう極端な䟋もあれば高校に進
人ぞの感謝に気づき家族ずの時間を共有するずいった理
孊した OB・OG が鷹取䞭孊校を蚪問した際に
「フレスタ
念をしっかりず理解した䞊で売り堎䜜りが行えたこずが
の写真みたよ」
「スヌパヌの写真をお母さんがみたよ」ずい
良かったず語っおくれた。
う声を寄せおくれたずいう。
䞉井店長からは
「犏山垂内に広たり思った以䞊に反
圓然目にするのは鷹取䞭の生埒ず保護者だけではな
響があった」
「孊校偎から
『ありがずう』ず蚀われたこずが
い。来店する高霢のお客様からは
「䞊手じゃねぇ」
「よく
䜕よりの成果」ずコメントを頂いた。今回鷹取䞭での取り
䜜っおる」
「次の写真を楜しみにしおたすね」
ずいった
組みが店舗やテレビを通しお地域に知られたこずで他
暖かいコメントが寄せられた。他校の小孊校高孊幎ほど
の孊校でも
「匁圓の日」を始めるずいった声が寄せられ
の芪子連れも
「すごいねヌ」ず声をあげながら匁圓の写
たほかむヌトむンコヌナヌに偶然居合わせた生掻指導
真を芋぀めたた
「鷹取䞭孊校ではこんなこずをしおるん
の先生から
「ありがずうございたす」ず蚀っお頂いた゚ピ
ですね」ずいう他校の保護者ずのやりずりもあったずい
゜ヌドを語っおくれた。たた筆者が草戞店を取材䞭にも
う。たたこれは埌日談だが子䟛の匁圓䜜りももちろんで
偶然鷹取䞭・飛田校長が埡瀌に店舗を蚪れたのだが
あるが䜕より毎日おかずを䜜るママさんの参考になった
地域の校長先生ず談笑ができるお店埡瀌を蚀いに蚪れ
ずいう意芋が聞かれた。掲瀺がなされおいるこずが噂で
おくれるお店は党囜にどれほどあるだろうか。こうした
広たりスコッチ゚ッグなど実際にこの数週間の掲瀺の
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
146
「匁圓の日」で地域ず぀ながる小売・メヌカヌ・生産者―子䟛たちのためにマヌケティングができるこず―
こずができる店舗が地堎 SM が目指す地域密着ではな
続いお同瀟氞野雄倪瀟長ず本郚バむダヌである䞉奜
いだろうか。
和也氏ぞのむンタビュヌより氞野の取り組みの芁点を探
る。たず挙げられるのはひず蚀に
「匁圓䜜りのための売
り堎を実珟した」ずいっおも非垞にきめ现かい察応をし
3. 宮厎県における事䟋
おいる点である。鮮魚切身は䞀枚から甚意し玠材から
宮厎県では2010 幎より
「匁圓の日」に県の教育委員䌚
の匁圓䜜りを応揎するために粟肉売り堎でも加工品ず
が積極的に取り組んでおり2010 幎床には 152 校2011
しおはハムなどの䞀郚のみに蚎求を絞っお行った。たた
幎床には 335 校ず県ずしお党囜最倚の実践校数を誇っ
冷食の売り堎にも䞀切蚎求は䜜らなかったずいう。通垞
おいる。その考え方や構想効果に぀いおは県のホヌム
匁圓食材ずいえば加工肉冷食コヌナヌが思い぀くもの
ペヌゞ 9に詳现が掲茉されおいるが小売店の応揎ずしお
であるがこうしたずころにも意矩の理解ずいうポむント
は2013 幎床より
「ながの屋」
「食の森うめこうじ」など 12
を垣間芋るこずができる。
店舗を運営する
株氞野が取り組みを開始しおいる。宮
たた今回応揎掻動を実斜するにあたっおはたず店
厎県における
「匁圓の日」掚進を担圓をする教育庁・スポヌ
長クラスの埓業員に毎週の䌚議の䞭で
「匁圓の日」の意
ツ振興課によれば2010 幎以降小売が関䞎するのは初
矩を䜕床も䌝えたずいう。売らんかなにはならず食材
めおであったそうである。氞野ずしおの取り組みのきっか
に感心を持っおもらうずいった点の共有に時間をかけた。
けはシゞシヌの党囜トップ䌚にお竹䞋和男氏が講挔を
続いお䞉奜氏が行ったこずは店員ずの意識共有である。
行ったこずにあるずいう。以降ではたずシゞシヌゞャパン
少なくずも回は珟堎の方ずの話し合いを行いその意矩
の瀟内報
「シゞシヌニュヌス」
2013 幎 6月1日号に蚘茉
を䌝えるこずを重芖した。その䞊で䞉奜氏は珟堎からの
された内容をもずに氞野の取り組みを玹介しおゆく。
提案を募ったずいう。自分の子䟛が䜜るず考えたらどん
たず氞野偎から県の教育委員䌚に応揎掻動を行いた
な売り堎になるかなどを埓業員が考え出し応揎の売り
い旚打蚺を行い実践校のリストを確認したのちに各
堎が出来おいったずいう。
店近隣の孊校にコンタクトを取った。宮厎垂立・広瀬北小
今回の掻動を通しお䞉奜氏は
「瀟内特に小売の珟堎
孊校における
「匁圓の日」の応揎を実斜した䜐土原本店で
スタッフに奜圱響があった」こずを匷調されおいた。䞊で
は今幎 5月に 2 回応揎のための売り堎が実珟した。店
述べたずおり埓業員による提案を埅った䞊で売り堎䜜
舗入り口の颚陀宀に匁圓の写真を掲瀺子䟛向けのレシ
りを行ったが
「匁圓の日」が終わっおからも埓業員が自
ピも甚意し
「匁圓の日」前日倕方は倚くの芪子連れで賑
発的に売り堎に手䜜りPOP を䜜るようになったのである。
わったずいう。広瀬北小孊校の枅氎聡校長は
「子䟛は店
実際に芖察させお頂いた䜐土原本店には手䜜りの倧型
頭の匁圓の写真をみお意欲が沞き参考にもなったはず
POP が掲瀺しおおり
図 5 参照
様々なメッセヌゞが発
です。地元食材を知るこずも
『地産池消』の面から倧切で
信されおいたがこうした手䜜りの蚎求は以前は無かっ
このような偎面からの支揎は非垞にありがたく感じおいた
たものだそうだ。䞉奜氏によるず青果売り堎に最も倉化
す」ず感想を述べおいる。
「匁圓の日」の掚進を担圓しお
があり今回の応揎掻動においお賌入する人の立堎に立っ
いる教育庁・スポヌツ振興課の担圓・前村賢䞀氏のコメ
お考えたこずが倧きかったずいう。
ントでも
「
『地産池消』や
『食の安党・安心』を掚進しおい
倪宰
2011ではレゞにおける生埒ずの䌚話をした埓
る地堎スヌパヌでは地域の連携ずいう点でぎったりだず
業員が
「生埒さんず䌚話をしおいるず働く方の意識も倉
感じたした」ず述べられおおりこれたで無かった芖点で
の応揎に奜意的な反応を瀺しおいるこずがわかる。
わっおきたすよね」ず感想を述べた䟋を玹介しおいるが
「匁圓の日」に限らず売り堎䜜り顧客のこずを考える姿
147
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
「匁圓の日」で地域ず぀ながる小売・メヌカヌ・生産者―子䟛たちのためにマヌケティングができるこず―
勢そのものにも奜圱響があった事䟋のひず぀ずいえるだろ
はこれたで既に
「匁圓の日」を実践しおきおいるが倧塚
う。
䞭孊校ずしお実践をするこずは初めおである。ここでも今
たた氞野の掻動では考え方を珟堎ず培底的に共有す
埌に繋がる印象的な動きがあったので玹介したい。
るずいう点がフレスタ・草戞店で行われた掻動ず共通す
校区は新興䜏宅街であり゚リアにはフレスタのほか
るずころがあり今埌のマヌケティング珟堎による応揎掻
2 ぀の店舗が競合状態にあるがこの店舗に
“孊校サむ
動でも鍵になっおくるポむントず蚀えるだろう。
ドから”
「匁圓の日」応揎の芁請がなされたのである。3 ぀
の店舗に教職員が盎接出向き応揎が䟝頌されたずのこ
ずで各店ずもに協力をする方向で怜蚎がなされおいる。
図ヌ ながの屋食の森うめこうじ 䜐土原本店の売り堎の
様子
本論の執筆時点での予定でありただ぀の店舗の抂芁
を詳しく調べられおおらず珟堎の様子等を玹介ができ
ないが小売やメヌカヌの偎からではなく孊校・教育機
関の偎からのアプロヌチがあったずいう点は非垞に倧き
な䟋のひず぀ではないかず考えおいる。今埌この゚リア
での取り組みも詳しく取材し玹介をしおゆきたい。
氞野の掻動以倖にも宮厎県ではビゞネスず繋がる
Ⅳ. 考察
ケヌスが珟れおおり生埒が考案した匁圓が限定で商品
化された䟋がある。2013 幎 2 月宮厎県小林垂の匁圓店
以䞊倧きく぀の事䟋を玹介しおきた。今回の
「匁圓
「くた扇」にお同垂の東方䞭孊校の生埒がアむデアを出
の日」の応揎掻動を敎理し
「実斜する際のポむント」ず
した匁圓が実際に商品化されおいる 。
「匁圓屋にあった
倪宰
2011で述べた以倖の
「実斜効果」ずをたずめるず
らいい匁圓」ずいうテヌマの回に持ち寄られた匁圓をベヌ
それぞれに䞋蚘の点が挙げられる。
10
スにしおいるずいう。
県党䜓でトップダりンの掚進をしおいるこずは教育の
応揎掻動実斜おけるポむント
珟堎でも
「匁圓の日」の考え方の認知に枩床差があるずい
・ 孊校ずの繋がりを有するこず。それによっお匁圓写真
う問題点はあるものの珟圚各校がバラバラの日皋で行っ
の掲瀺圓日の芖察など応揎掻動の幅が倧倉広たる。
おいるものが将来的には日皋を揃えお実斜するこずも十
教育機関のほうから䟝頌がなされるケヌスも出おきお
分に考えられる。もしそうなれば個別店舗でなく䌁業
いる。
レベルで様々な情報発信などの応揎掻動が展開可胜ずな
・ 応揎掻動を行う䞭で特に小売店の担圓者や珟堎ス
るだろう。
タッフに察しお
「匁圓の日」の考え方や意矩に぀いお
共有を行うこずが重芁。
4. 今埌蚈画されおいる応揎掻動
・ 将来的には消費者教育の䞀端を地堎 SM が担うこずも
考えられる。
事䟋の最埌ずしお2013 幎 10月に実斜予定の内容を玹
介する。広島垂・倧塚䞭孊校においおは校区内の 2013
幎 10月に倧塚䞭孊校ず校区内の䌎南小孊校ず倧塚小
孊校の校が䞀斉に匁圓の日を実践する。䌎南小孊校で
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
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「匁圓の日」で地域ず぀ながる小売・メヌカヌ・生産者―子䟛たちのためにマヌケティングができるこず―
【応揎掻動による効果】
単発のセヌルス・プロモヌションでは決しおなく地域に
・ 生埒ずその保護者だけでなく幎代や校区に関わらず
根差し豊かな食生掻ず䌚話が溢れる家庭その家庭に
地域党域に奜圱響があるこず。特にレシピなどは
「匁
おける暮らしの時間を共有するこずに意矩がある。埓っ
圓の日」に関わらず保護者の参考になっおいる。
お䞀回行うず継続が求められる面もある。シゞシヌ
・「地産池消」など明確なテヌマを持っお生埒たちぞの
ゞャパンの堀内代衚は
「匁圓の日」の応揎掻動は 10 幎単
アプロヌチが可胜であるこず。
䜍の息の長い取り組みずなるず正鵠を埗た展望を述べ
・ 応揎売堎䜜りを通しお埓業員が䞻䜓的に動きだす
おいるがこの応揎掻動は長期的に瀟䌚や子䟛を取
きっかけずもなり埗るこず。
り巻く環境をより良い方向倉える取り組みである。今埌日
本党囜で様々なケヌスが生たれそれが長期的に継続し
倪宰
2011では原則ずしおは小売店による勝手連応
おゆくこずを期埅したい。
揎ずしお捉えおいたが益田東䞭孊校倧塚䞭孊校のケヌ
スでみたように孊校偎からの䟝頌で実斜が行われる
謝蟞
ケヌスもしくは孊校偎からの働きかけによっお協働が発
本研究を進めるにあたっおは取材や取り組みの実珟に圓たり
展する可胜性が高いこずが分かった。
様々な方々にお䞖話になりたした。益田垂立益田東䞭孊校・坂田仁
志校長倧畑園枝先生犏山垂立鷹取䞭孊校・飛田掋悟校長吉
「匁圓の日」の創始者で普及掻動に努める竹䞋和男氏
岡里恵先生広島垂立倧塚䞭孊校・和田吉匘校長
株シゞシヌゞャ
も子䟛の食環境を解決するひず぀の鍵は子䟛が良い
パン・堀内淳匘代衚同瀟広報宀・芹柀正満様楢原利明様カゎ
消費者になるこず生産者やメヌカヌが良いものを䜜っお
メ
株
・宮地雅兞様若月掋䞀様尟関匘道様鎌野恵䞀様
株
いるず分かる囜民・消費者を育おるこずだずしおいる。
キヌダ・領家康元瀟長斎藀正矎専務橋本喜矩様
株フレスタ・
そのためにも SM などの珟堎に行っお芋お觊った䞊で
西名歊史様山本壮䞀郎様同瀟草戞店長・䞉井基嗣様広島テ
レビ攟送
株
・江頭宏芏様
株氞野・氞野雄倪瀟長䞉奜和也
買うこずが奜たしくただ激安の商品を求めお買っおした
様その他にも沢山の方々にお䞖話になりたした。この堎を借りお
う状況を倉えおゆかなければならないずしおいる 11。本
埡瀌を申し䞊げたす。ありがずうございたした。
論で瀺した事䟋はその実珟に向けた䞀歩ずもなり埗る
だろう。
最埌に
「匁圓の日」応揎掻動の展望に぀いお述べたい。
泚
1「 匁 圓の日実 è·µ æ ¡ 䞀芧 」
http://bentounohi.kids.coocan.jp/
今回玹介した売り堎はひずえに小売店スタッフの努力に
zissen.htmlず2013 幎 8月の竹䞋和男氏の講挔に基づく数字。
よるものである。匁圓の写真を䞊べるだけでも店舗スタッ
尚倪宰
2011で玹介をした 2010 幎 10 月時点では 650 校以䞊
であった。
フには倧きな劎力がかかるしスタッフが孊校に芖察に
2 孊習院マネゞメントスクヌルの
「未来店舗の本質研究䌚」ずしお
いけばそれだけ店舗に割く人員がいなくなる。埓っお応揎
継続研究がなされおいる。2013 幎 7月行われた店舗実隓の報告
掻動は個店䞻矩ではなく本郚䞻導による効率化が極限
セミナヌでは垌望の源泉ずしお家族や子䟛を䞭心に掲げ子育
たでなされたオペレヌションを行っおいる䌁業地産池消
お期・子離れ期などラむフステヌゞによっお蚎求を倉えるコヌ
ナヌを店内に蚭眮したこずの効果怜蚌の玹介がなされた。
ずは逆に党囜芏暡・グロヌバルなスケヌルメリットを生
3『食品商業』2012 幎 12月号
第 41å·»12 号
「既に
“食事は人前”
かしお䜎䟡栌を実珟しおいる䌁業には基本的な理念が
が垞識 ファミリヌ願望捚お顧客察応せよ」商業界。
マッチしない面があるず考えられる。逆に生鮮を䞭心ず
4『激流』2013 幎 3月号特集
「食品スヌパヌの逆襲」内における
した地堎 SM が基本的には応揎掻動にマッチしおいる
石橋忠子氏の蚘事
「異業皮を超える食品スヌパヌの䟡倀づくりが
始たった」より。
だろう。
たたこの応揎掻動は䜕かの食材のみを売る掻動や
5 同䞊の蚘事より抜粋。
6『日経ビゞネス』2006 幎 5月29 日号特集
「商品の寿呜は週間
倚産倚死はショヌトセラヌで勝぀」。
149
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
「匁圓の日」で地域ず぀ながる小売・メヌカヌ・生産者―子䟛たちのためにマヌケティングができるこず―
7 2013 幎 9月における筆者むンタビュヌによる。
䞭芋真也
2013
「食品スヌパヌにおけるストア・ロむダルティ圢成
8 同校の
「匁圓の日」では実践校ずしおは珍しいパタヌンだず思
に関する䞀考察ストア・ロむダルティ圢成䞊新たな店舗環
われるが衚地制床が蚭けられおおり努力賞や校長賞などが決
境芁因ずしおの
「䜓隓䟡倀芁因」及び
「人的 /コミュニティ芁因」
定される。これは保健委員䌚ずいう生埒の偎から䞊がっおきたア
の有効性怜蚌に぀いお」日本消費者行動研究孊䌚第 46 回消
むデアであり教員の偎から蚭けたものではないずいう。同校の
費者行動研究コンファレンス発衚資料。
ホヌムペヌゞをみればトップペヌゞに校長賞の匁圓が掲瀺され
おいるのがわかるが
「匁圓の日」が孊校広報の玠材ずしおも掻
甚されおいる。
9宮厎県ホヌムペヌゞ
「自分で䜜る
『みやざき匁圓の日』」http://
www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/kyoiku/sports/
bentou/page00090.html
10西日本新聞 2013 幎 2 月23 日朝刊。
112013 幎 5月における筆者むンタビュヌによる。
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岩村暢子
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曞房。
岩村暢子
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岩村暢子
2010
『家族の勝手でしょ―写真 274 枚で芋る食卓の喜
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「“ 垌望 å­Š ”に基づく未 来 店 舗
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「小売䌁業のブランド構築ずコミュニケヌ
ション―ネットスヌパヌぞの拡匵を求めお―」
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竹䞋和男
2003
『“匁圓の日”がやっおきた―子䟛・芪・地域が育
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竹䞋和男
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『台所に立぀子どもたち
“匁圓の日”からはじたる
「く
らしの時間」―銙川・囜分寺䞭孊校の食育 シリヌズ子どもの
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竹䞋和男
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倪宰朮
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「䟡倀蚎求型プロモヌションに関する䞀考察 : 店頭プ
ロモヌションにおける経隓䟡倀アプロヌチ」
『犏岡倧孊商孊論
叢』53
3pp.347-363。
倪宰朮
2011
「「匁圓の日」ず小売店胜動的に地域ずコミュニケヌ
ションする店舗」
『季 刊マヌケティングゞャヌナル』30
4,
pp.30-42。
倪宰朮
2012
「幞犏床ず料理行動に関する基瀎デヌタ」
『犏岡倧孊
商孊論叢』56
4pp.429-447。
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
150
オヌラルセッション ― 報告抂芁
「日陰の堎」ずしおのコミックマヌケット
― 腐女子を事䟋ずしお ―
䞀橋倧孊倧孊院 商孊研究科 博士埌期課皋
呉 䜳蓉
芁玄
本論文はコミックマヌケット
以䞋
「コミケ」に察する質的調査の結果をたずめたものである。コミケずは幎に回東京
ビックサむトで開催される日本最倧の同人誌即売䌚である。本研究の目的はコミケは参加者にずっおどのような意味をも぀
のか探究するこずである。そのために筆者は回コミケに参䞎芳察を実斜し50 名の腐女子 ( ふじょし)にむンタビュヌした。
スティグマ理論
Goffman1986ず神聖消費
sacred consumption理論
Belk, Wallendorf, and Sherry1989に基づいお
デヌタを分析した䞊でコミケは
「日陰の堎
black places」
Goffman1986ずいう圹割を果たしおいるため神聖性がある
ずいうこずが明らかになった。぀たり腐女子にずっおコミケは秘密の趣味を持぀同奜の士がその趣味を隠すこずなく亀流
ができる心地の良い堎であるため圌女たちは䞖俗的な日垞ずは察照的な特別な意味をコミケに芋出しおいる。
キヌワヌド
スティグマ神聖化腐女子コミックマヌケット
本論文はコミックマヌケット
以䞋
「コミケ」に䞎えら
䞋しおいる。しかし近幎の参加者数は暪ばいの状況を
れた意味を理解するこずを目的ずしおいる。コミケずは
続けおいる
玉川2007
。぀たりコミケを参加する人が
毎幎の月
お盆ず12 月
幎末に東京ビッグサむト
東
同人誌を求めるこずのみならず他のものも求めおいるの
京囜際展瀺堎においお開催される同人誌即売䌚である。
ではないだろうか。それを探究するのが本論文の目的で
1975 幎に初めお開催されお以来35 幎以䞊続いおいる。
ある。
2013 幎月のコミケ 84 の統蚈資料によるず日間の開
以䞊の問題意識を螏たえお本論文は
「コミケはどのよ
催期間䞭に䞇千名のサヌクル参加者ず玄 59 䞇名の䞀
うな意味を持぀のか」ずいう問いを明らかにする。䞊述の
般参加者がこのむベントに参加した。
友人の発蚀はむスラム教埒が䞀生に床メッカぞ行きた
か぀お筆者はコミケ 77
2009 幎 12 月に参加した経
い気持ちの衚れず同じではないだろうか。したがっお本
隓を台湟の友人に話した。台湟においお同人誌即売䌚
論文が特に焊点を合わせるのはコミケずいう堎に備わ
によく参加しおいた友人は
「うらやたしいな。私も生きお
る神聖性である。
いるうちに床でもよいからコミケに参加したい」ず述
そこで本研究は質的調査を採甚した。質的調査は収
べた。この圌女の発蚀がこの研究に取り組むきっかけ
集したデヌタに基づき蚀葉や文章人々の行動の持぀
である。ここを起点ずしお次のような疑問が生たれた。
個人的たた瀟䌚的文化的な意味を読み取っお明らか
すなわち
「圌女のようなオタクにずっおコミケはどのよう
にするこずを目的ずする
䜐藀2006
。本研究が着目した
な意味を持぀のか」ずいう疑問である。
のはコミケの意味である。したがっお質的調査を採甚
特に近幎むンタヌネットの普及に䌎い同人誌のネッ
するこずが劥圓であるず考えられる。
ト販売が増加する傟向にある。たたむンタヌネットを通
本論文では具䜓的にはオタクのひず぀の皮類である
じお自分の䜜品を披露するこずができる。ネット販売が
腐女子
ふじょし
 野村総合研究所2005ず呌ばれる
同人誌即売䌚の代替ずなる流通の堎になっおいるのであ
人々を調査察象ずした。腐女子ずは男性同性愛の物語
る。したがっおコミケは同人誌即売䌚ずしおの機胜が䜎
を奜む女性を指す
唐沢・岡田2007北村2010岡郚
151
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
「日陰の堎」ずしおのコミックマヌケット―腐女子を事䟋ずしお―
2008杉浊2006a杉浊2006b
。
たたここにいるず普段にやっおはいけないこずも
筆者は䜐藀
2002が提案した
「挞次構造化法的アプ
蚱される。このようにコミケの参加は日垞的な生掻ず
ロヌチ 」にしたがっおたずコミケの参䞎芳察を実斜し
盞反する。それは神聖ずいう抂念ず繋がりがある。
「神
た。2011幎 12月に開催されたコミケ 81ず2012 幎月に開
聖
sacred」は日垞 的ずか 平凡を 意 味 する「 侖 俗
催されたコミケ 82 に参加しコミケにおけるオタクの行動
profane」ず察立する抂念であり特別であるこずを指
を盎に芳察した。参䞎芳察から収集したデヌタに基づき
す
Belk, Wallendorf, and Sherry1989。腐女子は日垞
リサヌチクェスチョンを修正し研究課題や芁因を絞り蟌
的に行ったパッシングがコミケの日においお必芁ではなく
んだ。こうした過皋を経お筆者はスティグマずいう抂念
なるので自由に自分の趣味を語るこずができる。このよ
に泚目し始めた。神聖化ずスティグマの繋がりを䞭心に
うな日垞のパッシング行動が䞍芁であり気楜に仲間に亀
むンタビュヌによっお怜蚌を行った。最埌には50 名の腐
流できる堎が腐女子ずっお特殊な堎である。このよう
女子をむンタビュヌした。
にコミケが開催する日は平日ず異なる普段やらないこ
調 査 の 結 果 に よっおコミケ は
「 日陰 の å Ž
black
ずをやる日である。぀たり
「䞖俗」の平日に察しコミケ
places」ずいう機胜を持぀ため神聖性があるずいうこず
が開催する日は
「神聖」な意味を持぀。
を刀明した。
さらにコミケは歎史があり最初の同人誌即売である
腐女子は腐女子ではない人々に吊定的に捉えられお
ため同人文化の代衚ず蚀われる。したがっおコミケは
いる
岡郚2008
。぀たり圌女らはスティグマを持っお
他の同人誌即売䌚ず比べお神聖性の皋床が異なり別
いる。スティグマずは Goffman
1986が提出した抂念で
栌の立堎を持぀。
1
ある。人々は未知の人ず亀流する際にある属性によっお
人を分類する習慣を持぀。もしある属性によっお人が
泚
望たしくない皮類に分類される堎合にはこの皮の属性
1「挞次構造化法的アプロヌチ」ずはデヌタ収集ずデヌタ分析を
はスティグマである。このようなスティグマを持぀人は自
しながらリサヌチクェスチョンを修正しより具䜓的な問題を
構築するアプロヌチを指す
分の面目を倱わないようにパッシング
passingしおい
る。぀たり自分のスティグマに関する情報を管理し操
参考文献
䜜する
Goffman1986
。
盞田矎穂
2005
「コミックマヌケットの珟圚サブカルチャヌに関
同じように腐女子は自分の面目を倱わないようにた
する䞀考察」
『広島修倧論集』45
pp.149-201。
た他者を䞍快させないように自分が腐女子であるこず
東浩玀
2001
『動物化するポストモダンオタクから芋た日本瀟䌚』
を隠しおいる。したがっお圌女らは垞に状況に応じお
腐女子である自分ず普通の女性である自分を䜿い分ける。
そのようにしお自分の本性をさらけ出さないように努め
岩田次倫
1998
「
『堎』ずしおのコミケット党䜓像を探る」
『囜際おた
く倧孊1998 幎最前線からの研究報告』光文瀟pp.301-22。
䞊野啓子
2004
『マヌケティング・むンタビュヌ』東掋経枈新報瀟。
おいる。
岡田斗叞倫
1996
『オタク孊入門』新朮文庫。
しかしコミケに参加する際にはこのような努力は必
岡郚倧介
2008
「腐女子のアむデンティティ・ゲヌムアむデンティティ
芁ずされない。コミケにいる人は皆仲間であるため
パッシングする必芁がないのである。このような堎所を
の可芖䞍可芖をめぐっお」
『認知科孊』15
pp.671-81。
唐沢俊䞀・岡田斗叞
2007
『オタク論』創出版。
北村倏矎
2010
「腐女子を朜圚化させるものは䜕かオタク集団内
Goffman
1986は
「日蔭の堎所」ず呌んだ。こうした堎で
のホモ゜ヌシャリティからみる圌女たちの芏範」
『女性孊幎報』
は独特の陜気な雰囲気があるため人が自分の仲間の
31pp.32-55。
間にあっお気楜にできる
Goffman1986
。
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
講談瀟珟代新曞。
152
「日陰の堎」ずしおのコミックマヌケット―腐女子を事䟋ずしお―
コミックマヌケット準備䌚
2005
『コミックマヌケット30
‘sファむル』
Motivation,”Psychological Review , 98, pp.224-53.
涂尔干
爱匥尔
2011
『宗教生掻的基本圢匏』商務印曞通。
コミケット。
コミックマヌケット準備䌚
2011
「コミックマヌケット35 呚幎調査」
『コミックマヌケット 81 カタログ』コミケットpp.1315-34。
小山たゆ子ずオタクな仲間たち
2011
『コミケの教科曞』株匏䌚瀟
デヌタハりス。
䜐藀郁哉
2002
『フィヌルドワヌクの技法問いを育おる仮説を
きたえる』新曜瀟。
䜐藀郁哉
2006
『フィヌルドワヌク 増蚂版曞を持っお街ぞ出よう』
新曜瀟。
䜐藀郁哉
2008
『質的デヌタ分析法原理・方法・実践』新曜瀟。
霜月たかなか
2008
『コミックマヌケット創䞖蚘』朝日新曞。
杉浊由矎子
2006a
『オタク女子研究腐女子思想䜓系』原曞房。
杉浊由矎子
2006b
『腐女子化する䞖界東池袋のオタク女子たち』
䞭倮公論新瀟。
高 橋 すみれ
2005
「
「 やおい 化 」する芖 線その戊 略 にむけお
―『DEATH NOTE』同人 挫 画を䟋に」
『 女 性 å­Š 幎 å ± 』26
pp.20-40。
玉川博章
2007
「ファンダムの堎を創るずいうこずコミックマヌケッ
トのスタッフ掻動」
『それぞれのファン研究』颚 塵 瀟pp.1153。
䞭森明倫
1989
「僕が
『おたく』の名づけ芪になった事情
『おたく』
呜名第 1 号の原皿を党文採録」
『おたくの本
別冊宝島 104
号』JICC 出版pp.89-100。
野村総合研究所
2005
『オタク垂堎の研究』東掋経枈新報瀟。
森川嘉䞀郎
2008
『趣郜の誕生萌える郜垂アキハバラ 増補版』
幻冬舎文庫。
米沢嘉博
1989
「コミケット 䞖界最倧のマンガの祭兞十二䞇
人を集め億の金が動く同人誌即売䌚のむンサむド・ストヌ
リヌ」
『おたくの本
別冊宝島 104 号』JICC 出版pp.75-88。
吉本たいた぀
2009
『おたくの起源』NTT 出版。
Belk, Russell W., Melanie Wallendorf, and John F. Sherry
Jr (1989),“The Sacred and the Profane in Consumer
Behavior: Theodicy on the Odyssey,”Journal of Consumer
Research , 16 (1), pp.1-38.
GoffmanErving
1986, Stigma: Notes on the management
of spoiled identity , Simon & Schuster, Inc. (Original work
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石黒毅蚳
『スティグマの瀟䌚孊烙印を抌さ
れたアむデンティティ』せりか曞房 ,2003 幎
Kozinets, Robert V. (2001),“Utopian Enterprise: Articulating
the Meaning of Star Trek’s Culture of Consumption,”
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Markus, Hazel Rose, and Kitayama, Shinobu (1991),“Culture
and the Self: Implications for Cognition, Emotion, and
153
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
オヌラルセッション ― フルペヌパヌ
珟堎で
「圹に立぀」
事䟋研究の蚘述様匏の詊論
― アクタヌネットワヌク理論の展開 ―
京郜工芞繊維倧孊 デザむン経営工孊郚門 助手
入江 信䞀郎
芁玄
オックスフォヌド倧孊 Said ビゞネススクヌルの教科曞シリヌズのひず぀ずしおOxford University Press から2005 幎に刊
行された単行本 Reassembling the SocialAn Introduction to Actor-Network-Theory (Latour2005)はアクタヌネットワヌ
ク理論の抂説曞である。アクタヌネットワヌク理論は科孊哲孊から掟生した科孊人類孊の領域で二元論を回避した事䟋
蚘述を詊みおいる。二元論はたずえば
「自然科孊ず瀟䌚科孊」ずいったように思考に先立っおヒトの䞖界ずモノの䞖界を
あらかじめ切り分けおおく。しかし珟実においおはたずえば新補品も朜圚需芁も法芏制もヒト的なこずずモノ的なこ
ずずずが分ちがたく混淆しおいるため二元論での事䟋蚘述は実務を珟実から乖離させる可胜性がある。ではアクタヌネッ
トワヌク理論に基づいた事䟋蚘述はどのように二元論を回避しえるのだろうか。本皿では二元論を回避する詊みであるアク
タヌネットワヌク理論を経営孊の事䟋研究に甚いるこずを想定しお筆者なりに再構成し具䜓的な事䟋を蚘述し぀぀玹介す
る。
キヌワヌド
アクタヌネットワヌク理論Actor Network Theory事䟋研究ケヌススタディヌ芏制緩和
Ⅰ. 問題蚭定
業を軌道に乗せたベンチャヌ䌁業
「株匏䌚瀟フリヌル」の
創業時の事業化過皋を蚘述するこずにしよう。事業が軌
統蚈的実蚌研究では扱え切れない事柄を捉えるた
道に乗ったフリヌルが創造した新事業はCT や MRIず
めに事 䟋 研究の方 法論 が 語られおきた
Glaser and
いった埓来もっぱら倧病院に蚭眮されおきた高床か぀
Strauss1996=1967Yin1996=1984
。しかし事 䟋
高額な蚺断機噚をトラックに車茉し小芏暡病院や蚺療
研究においおも芁因を蚘述しようずするこずで結果的
所にも掟遣する
「メディカル・モバむル・サヌビス」
以䞋
「モ
に読者が珟堎で成功するために
「圹に立぀」知識から遠
バむル」である。フリヌルは埪環噚内科を専門ずする平
ざかっおしたうずいう困難がある。この問題を広く二元論
川雅之医垫によっお 1992 幎に蚭立され創業時はUCG
の問題ず考えれば経隓的デヌタを数倀から文章に倉え
超音波画像蚺断装眮骚塩定量枬定装眮電子内芖
れば問題が解決されるわけではないこずになる
このこず
鏡を䞭叀のキャンピングカヌに車茉しサヌビスを開始し
は
「定量研究」で二元論を回避するこずが䞍可胜ではな
た。1995 幎には CT 搭茉車を開発し2001幎末には北
い可胜性も想定する
。そこで本皿では二元論の問題
海道から鹿児島たで玄180 カ所の病院や蚺療所などでモ
を回避する詊みの䞭でも短い事䟋蚘述に揎甚し易いず
筆者が考えるアクタヌネットワヌク理論の蚘述様匏を
背景ずなっおいるものの芋方を筆者なりに再構成しお玹
50 名資本金 28,250 䞇円CT 車 10 台ず MRI 車 5 台を
保有し玄 7 億円を売り䞊げた。2000 幎には矀銬県倢起
介する。
業倧賞
初代倧賞を受賞2002 幎にはニュヌビゞネス協
䟋ずしお法芏制の厳しい医療機噚事業においお新事
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
バむルが利甚されるに至った。 2002 幎末時点で埓業員
議䌚のアントレプレナヌ倧賞最優秀賞を受賞した。フリヌ
154
珟堎で
「圹に立぀」事䟋研究の蚘述様匏の詊論―アクタヌネットワヌク理論の展開―
ルの事業はマスメディアや業界誌のビゞネス蚘事で医
党くありたせんでしたからね。ただ県ず旧厚生省
療機噚業界ずいう極めお芏制の厳しい領域で制床的障壁
ずは結構やりあいたしたよ。そこで
「どういう圢で
を克服した事䟋ずしお䟋えば以䞋のような成功物語ず
あれば問題がないのか」ずこずん぀き぀めおいった
しお蚘述されおきた。
のです。最終的には
「これなら問題ない」ずいう接
点を芋぀けるこずができたした。
『DIGITAL MEDICINE』2001幎・月号pp.1
しかし日本では初めおの詊みであったため圓初
保健所県厚生省ずの間で䜕床もトラブルがあった。
「患者さんによかれず思い䜕かを始めおも芏制されおし
ビゞネス蚘事でよく芋られる成功芁因を蚘述する様
たいたす。医療法は患者のためにあるず思っおいたの
匏は間違っおいないずいう意味では
「正しい」
。しかし
ですが行政のためにあるのではないかず疑問に思う
これから法芏制を克服しお事業を軌道に乗せたいず思っ
ようになりたした」
。様々な壁にぶ぀かりながらも今た
おいる読者には有効か぀実行可胜な
「圹に立぀」知識を
で乗り越えられおきたのは先生の匷い意志ず超音
この事䟋蚘述から芋いだすこずは難しい。この問題は二
波怜査技垫でもある奥さたの支えがあったから。
元論に関連しお生じる芁因に還元するこずの問題ずしお
指摘されおきた。日本の経営孊では石井
1993によっ
『こんにちは東芝です』1999 幎 10月pp.11
お明瀺的に提起され倚くの事䟋研究が蓄積されなか
蚘者行政ずの調敎も倧倉だったそうですね。
でも沌䞊
1999や Hara
2003は技術が瀟䌚的に圢
平川最初は圓時の厚生省や自治䜓からクレヌムが぀きた
成されお行く過皋を詳现な歎史ずしお蚘述するこずを詊み
した。機噚を貞し出すだけなのに
「株匏䌚瀟が医
おいる。しかし沌䞊
1999や Hara
2003のような倧著
療行為をするのは医療法違反だ」ず芋圓違いの文
を手がけられる者は皀である。筆者を含め事䟋研究を
句を蚀っおきたり。CT 車は X 線を䜿うため移動
行おうずする者の倚くはアりトプットずしお䞇字皋床の
先の県の事前チェックが必芁なんですが
「䜿甚日
事䟋研究論文を䜜成するこずが倚い。この短い蚘述の範
の 2 日前に車を持っおこい」ず無理をいっおきたり。
囲内で二元論や芁玠ぞの還元を回避した事䟋研究はどの
最近は倉わっおきたしたけどね。
ように可胜なのだろうか。筆者が提案するのはアクタヌ
蚘者医療費の高隰に぀ながるずの批刀もあるのでは。
ネットワヌク理論を揎甚し圓該事䟋のアクタヌネットワヌ
平川高額な機材を遊ばせられないず患者を怜査挬け
クの圢成過皋を蚘述するこずで
1自明芖された垞識を
にする病院がある䞀方機材がないので怜査を先
盞察化し
2可芖化されたアクタヌネットワヌクを手がか
延ばしにしたら手遅れになったずいう地方の病院
りに代案を提瀺するこずである。
もある。このアンバランスを調敎するのが移動医療
です。今や日本の CT や MRI の台数は䞖界䞀。移
Ⅱ. アクタヌネットワヌク理論の特城ず展開
動医療に倉われば党䜓の装眮数は少なくお枈む
から医療費の軜枛に぀ながりたす。
『朝日新聞』2002 幎 3月10 日
アクタヌネットワヌク理論はクヌンのパラダむム論
Kuhn1971=1962以降のいわゆるポストモダン的科
孊論の問題を克服する詊みずしお提唱された。その内容
蚘者旧来の殻を砎る行為にはいろいろず軋蜢があった
は改蚂の過皋にある
井山・金森2000金森2000
のでは
金森・䞭島2002状態が今日でも続いおおり自然科孊
平川たあ医垫が察応するずいうこずで法埋䞊の問題は
ず瀟䌚科孊ずいったヒトの䞖界ずそれ以倖の䞖界を思
155
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
珟堎で
「圹に立぀」事䟋研究の蚘述様匏の詊論―アクタヌネットワヌク理論の展開―
考に先立っお切り分けないためにヒト的なアクタヌず非ヒ
タヌにずっお働きかけの䜙地は少ない。ならば匷倧アク
ト的アクタヌずを区別せず同列のアクタヌずしお扱うずこ
タヌの目的自䜓を倉えおしたえばよい
翻蚳。䟋えば
ろに特城がある。䞖界をフラットにするだけであるずいう
匱小アクタヌに郜合の良い目的にすり替え
戊術もっ
批刀
金森2000もあるが二元論を回避する蚘述様匏
ず培底しお新しい目的や集団を䜜っおしたう
戊術ず戊
を提瀺した意矩は倧きくその可胜性を開拓するこずが
術
その際匷倧アクタヌに他の可胜性を芋えないたた
我々の仕事のひず぀だず筆者は考える。
にしおおき
戊術競合に察しおもどのような戊術を甚
いたのか隠蔜し
戊術匷倧アクタヌの成果は匱小アク
タヌの貢献によるものだず思わせる
戊術
。仕掛けが回
1. アクタヌアクタンアクタヌワヌルド
りだしたずきには自分たちが必芁䞍可欠の存圚になっお
アクタヌネットワヌク理論はアクタヌの埌を远跡しア
いるようにしおおく
翻蚳。Latour
1999=1987をもず
クタヌのネットワヌクが圢成されおいく過皋を蚘述するこ
に意蚳しお䞀芧にするず次のようになる。
ずを提案する。その際アクタヌをヒト的なアクタヌであ
るのかモノ的なアクタヌであるのか瀟䌚的なアクタヌ
翻蚳匷倧アクタヌの目的に迎合
であるのかを意図的に考慮せず同列のアクタヌずしお扱
翻蚳匷倧アクタヌの唯䞀の道ずしお仮構
う。ただしアクタヌの䞭でもこれから新たに実珟した
翻蚳 3匷倧アクタヌの近道ずしお仮構
い䞖界
「アクタヌワヌルド」を構想するアクタヌ本皿では
翻蚳 4匷倧アクタヌの目的自䜓を再構成する
起業家
「平川」は
「アクタン」ず呌ばれる。
戊術匷倧アクタヌの目的をずらす
アクタンはアクタヌワヌルドを実珟するために倚様な
ヒ
戊術新しい目的を創造する
ト的モノ的瀟䌚的アクタヌをネットワヌクしおいかな
戊術新しい集団を創造する
ければならない。ここで問題ずなるのがアクタンは匱小
戊術他の方法を隠蔜
なアクタヌでありアクタンが結び぀きたいアクタヌが匷倧
である堎合である。創業間もないベンチャヌ䌁業には
有胜は人材は来おくれないし機噚は蚀うこずを聞いおく
れないし業界の慣行や芏制は謎だらけだ。そこで匱小
なアクタンは匷倧アクタヌを自分に結び぀けるために
匷倧アクタヌに察しお
「翻蚳」ずいう働きかけを行う。
戊術貢献床の審理に勝぀
翻蚳 5必芁䞍可欠な状態でいる
ビゞネスの珟堎で日垞的に行われおいるにもかかわら
ず瀟䌚科孊での分析が十分に行われおこなかった
「政治
的かけひき」を理論的に取り扱う可胜性がここに拓かれ
おいるず筆者は考える。そしおLatour が提瀺したリス
2. アクタヌネットワヌクを圢成する
「翻蚳」の 3 偎面
トを暪断する3 ぀の偎面があるず筆者は考える。すなわ
Latour
1999=1987は
「翻蚳」の類型ずしお぀の䟋
ち
1プラスを䜜る
2マむナスを䜜る
3他の可胜性
を瀺しおいる。もっずも単玔なものは匱小アクタヌが匷
の隠蔜
れロにする
の 3 ぀である。これらの぀は互い
倧アクタヌの問題解決に圹立぀ず思わせるこず
翻蚳
に重耇せず党集合をなすず考えられるので劥圓な類型
でありそれでだめなら匷倧アクタヌが行こうずしおいる
だず考えられる。
道が遮断されおいるず思わせる
翻蚳
。それでだめな
ら匱小アクタヌの勧める道が匷倧アクタヌにずっおより
3.「委任」
アクタヌずアクタヌネットワヌクの関係
短い道であるず思わせる
翻蚳
。しかしこれらはいず
アクタヌネットワヌク理論ではアクタヌネットワヌクを構
れも匷倧アクタヌの目的を前提ずしおいるために匱小アク
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
156
珟堎で
「圹に立぀」事䟋研究の蚘述様匏の詊論―アクタヌネットワヌク理論の展開―
成する芁玠であるアクタヌずアクタヌネットワヌクずの関
クタヌネットワヌクは背景に抌しやられそのうちに
「単玔
係を
「委任」ずいう甚語で理解する。䟋えば持業組合
化」されお内蚳が䞍明な抜象甚語ずなり抜象甚語に
長ずいうアクタヌは持垫たち等からなる業業組合ずいう
抜象甚語を接いで語る難解さが可胜になっおしたう。
アクタヌネットワヌクに
「委任」されおいる。機械論的シス
具䜓的なアクタヌのネットワヌクを抜象甚語にするこず
テム論であれば組合長は組合のひず぀䞊の階局に䜍眮
ぞの譊戒は事䟋研究を行う際に重芁である。たずえば
しお䞊から䞋ぞの暩力を有するがアクタヌネットワヌクの
資料を調べるにしおもむンタビュヌ調査を行うにしおも
䞖界では
「委任」されおいるだけであるから業業組合で
もっずもらしい抜象甚語で玍埗しおしたうず圓該の抜象
決定し組合に委任された組合長が行政や研究者に衚明
甚語の䞭身であるアクタヌネットワヌクを明らかにするた
した方針ずは異なる行動をずる持垫が登堎し埗るこずを
めの調査や質問がなされなくなっおしたう。
圓然のこずずしお想定する。この意味で持業組合長は
抜象甚語を甚いずにアクタヌネットワヌクの圢成過皋
組合員ず同䞀平面䞊に䜍眮する。
を蚘述しようずするず蚘述する者にずっおの善 / 悪の刀
本皿の事䟋で玹介する平川医垫を
「委任」で理解する
断が蚘述に入り蟌む䜙地が狭められる。埌述の事䟋で
ず
「平川医垫」は病院の建物蚺察宀患者UCG か
はいわゆる
「圹所仕事」が登堎するがベンチャヌの成
らなるアクタヌネットワヌクに委任されおいる。
「モバむル
功事䟋では
「圹所仕事」は悪なる問題ずしお䜍眮づけられ
UCG」は平川医垫や UCG 怜査技垫などを含むアクタヌ
がちでありその排陀が
「芏制緩和」ずしお語られがちで
ネットワヌクに委任されおいる。そしおこれら぀のアク
ある。しかし抜象甚語を甚いるこずを犁欲しお蚘述しよ
タヌネットワヌクは同䞀平面䞊のベン図のように䞀郚を重
うずするず
「圹所仕事」の内蚳のアクタヌネットワヌクの
耇させ぀぀も平面に有り続ける。぀たり機械論的シス
探玢に意識が向きえいうなれば
「ロヌカルな合理性」ず
テム論のような䞊䞋方向の階局構造をもたせないのであ
もいうべき芖点から事䟋を蚘述するこずが可胜になる。
る。
このこずで事䟋研究ずしおの代案を提瀺できる可胜性
が高たるこずが期埅できるのである。
4. フラットな䞖界ず
「ロヌカル合理性」
Ⅲ . アクタヌネットワヌク理論の
このような蚘 述様 匏であればどのような事䟋でも
蚘述可胜になる。単に䞖界をフラットにしただけ
金森
2000ず理解するこずもできる。しかし筆者はこのフ
ラットさが事䟋研究を行ううえでの資源になるず考える。
アクタヌネットワヌク理論でのアクタヌは具䜓的な
thing で固有名詞もしくは固有名詞に準ずる名称をも぀。
そしお二元論であればアクタヌネットワヌクを単玔化し
お抜象抂念でひずくくりにする。本皿の事䟋でで蚀えば
「瀟䌚」
「開発」
「需芁」
「芏制」
「制床的障壁」
「圹所仕事」
「資
甚語を甚いた事䟋蚘述
以䞋ではフリヌル瀟の創業期の事業が立ち䞊がるた
での経緯をモバむル UCG 事業に焊点をあお平川ずい
うアクタンがどのように
「モバむル UCG」ずいうアクタヌ
ネットワヌクを構成しお行ったのかを蚘述しお行く。
なお以䞋の事䟋蚘述は入江・束嶋
2005を元デヌ
タずしお䜜成された入江
2006を経営孊の事䟋研究に
匕き寄せお再構成したものである。
源」
「情熱」
「時代の趚勢」
「コミュニケヌション胜力」など
である。このような抜象抂念で括るず圓該抜象抂念はア
クタヌネットワヌクの1 階局䞊に䜍眮するこずになる。そし
1. 新補品開発ヒトに働きかけるモノ
お抜象抂念が頻繁に甚いられるずきその内容であるア
平川は1959 幎に富山県の医垫の家庭に生たれ3 幎
157
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
珟堎で
「圹に立぀」事䟋研究の蚘述様匏の詊論―アクタヌネットワヌク理論の展開―
間の浪人生掻を経お聖マリアンナ医科倧孊に進孊した。
を特泚した。熟緎が必芁なUCG の操䜜は怜査技垫であ
卒業埌は研修医ずしお勀務しおいた S 粟神科病院
400
る劻が行い怜査結果をもずに平川が蚺断した。
床で専任の埪環噚内科医になる。そこで平川が盎面し
「新補品開発」の通垞の蚘述ではヒトがモノに働きか
たのは慢性疟患が䞻な粟神科病院は収入面で䞍利で
ける。しかしアクタヌネットワヌク理論ではモノ的アク
あるだけでなく患者が他の医療機関から差別されるず
タヌもたたヒト的アクタヌず同様に働きかける。平川が自
いう事実だった。平川が勀める病院では蚭備が少ないた
前の UCG が必芁だず感じたのは医垫ずしおであった。し
め蚺療できない患者を別の病院で蚺おもらうために送り
かしUCG 車のためにたずはUCG を賌入するために
出すが十分な怜査がされなかったり手術を頌んでも瞫
借金をせねばならずさらに業務委蚗を請け負うために
合糞が抜かれないたた送り返されるこずが続いた。その
は有限䌚瀟の瀟長にならざるをえない。平川が瀟長に
ため平川は病院内で蚺察するために超音波画像蚺断
なったのはUCG 車によっおであった。UCG 車はもの蚀
機噚
UCGを自分が勀務しおいる S 粟神科病院に蚭眮
わぬモノだが平川に働きかけ平川を医垫から瀟長に倉
する必芁を感じるようになった。
化させたのである。぀たり通垞の理解でのようにヒト
勀務先の病院で UCG を買うように求めるこずこずは簡
的アクタヌがモノ的アクタヌに働きかけるだけでなくモ
単だったが高額医療機噚を賌入しお採算を取るために
ノ的アクタヌもたたヒト的アクタヌに働きかける。この関係
䞍必芁な怜査を行わざるをえないずいう医療のあり方に
はモバむル UCG が構想される以前においおも同じで
疑問を抱いおいた平川は自身が掛け持ちで勀務しおい
ある。UCG があるこずで
「平川」ずいう名字を付䞎された
た぀の病院の院長らに 1぀の機噚を共甚するこずを提
人物は埪環噚内科専門医たりえるのである。もし病院
案した。最初に
「モバむル」のサヌビスを契玄したのは平
の建物蚺察宀患者UCGこれらがない沙挠に平川
川自身が勀務しおいた病院ず超音波蚺断技垫でもある
ひずりが立っおいる状態では
「平川医垫」は存圚しえな
平川の劻
超音波怜査技垫の知り合いの病院など平川
い。このようにアクタヌネットワヌク理論ではヒト的ア
の個人的な぀おのある぀の病院だった。
クタヌずモノ的アクタヌずを同列のアクタヌずしお扱いあ
UCG は高額な医療機噚だった。平川は矀銬県信甚組
るアクタヌず別のアクタヌの関係はアクタヌネットワヌク
合から2 千䞇円を借り入れお UCG を賌入し有限䌚瀟フ
を介しお盞互に互いの根拠ずなり合う盞互的構成
䞊野
リヌルを蚭立した。3 ぀の病院ずの間で業務委蚗料を
1999の関係ずしお理解する。
病院が受け取る蚺療報酬の半分皋床ずするこずを取り
「平川医垫」は
「粟神病院の建物蚺察宀粟神病患
決めモバむルは走り出した。瀟名の
「フリヌル」は free
者UCG からなるアクタヌネットワヌク」に委任されおい
from ill に由来する。
る。
「モバむル UCG」は
「粟神病院平川医垫粟神病
最初のモバむル UCG 車は平川が玄 350 䞇円で賌入
患者他の病院瞫合糞UCGUCG 怜査技垫からなる
した䞭叀のキャンピングカヌだった。UCG 自䜓はキャス
アクタヌネットワヌク」に委任されおいる。そしおこれら
タヌ付きのラックに倧きめのパ゜コン䞀匏を茉せた皋床
぀のアクタヌネットワヌクは同䞀平面䞊のベン図のよう
の倧きさで病院内では病宀間を移動させお䜿われおい
に䞀郚を重耇させ぀぀も平面に有り続ける。぀たり機
た。したがっおUCG を車に茉せるこず自䜓は技術的
械論的システム論のような䞊䞋方向の階局構造をもたない
には困難なこずではなかった。圓初は埌郚ドアに぀けた
のである。
スロヌプをロヌプで匕っ匵りあげお積み蟌んだが劻が助
ここでモバむル UCG を二元論で理解するずすれば
手の女性ず 2 人だけで怜査に行く堎合などのこずを考え
たず䞖界がヒトの䞖界ずモノの䞖界ずに二分されヒト
半幎埌にリフトず簡易ベッドを取り付けた専甚の運搬車
の䞖界に居る平川氏ずいう䞻䜓の倖郚
環境のモノの䞖
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
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珟堎で
「圹に立぀」事䟋研究の蚘述様匏の詊論―アクタヌネットワヌク理論の展開―
界に UCG 車が䜍眮づけられる。同時に平川がヒトの䞖
解するこずになる。
界にあっおUCG 車ずいうモノの䞖界の぀䞊の階局に䜍
通垞の蚘述ではこれら事前に想定できなかった需芁
眮しUCG 車ずいうモノのシステムはキャンピングカヌ
は
「朜圚需芁」ず蚘述される。埌に平川は CT 車を走らせ
ずUCGずいうモノのサブシステムから構成されるこずにな
るが圓時の医療機噚の業界誌を芋るずCT の修理の
る。こうしお平川ずUCG の間にはヒトの䞖界ずモノの
際に代わりの機噚をメヌカヌが貞し出すこずが必芁だずす
䞖界を区切る境界ずモバむル UCGずその構成芁玠を区
る蚘事はあっおも日本に CT 車があればいいのだがず
切る境界が生じ平川ずUCG の距離が遠くなっおしたう。
いう蚘述は芋圓たらない。アメリカで CT 車が普通に走っ
こうなるずUCG あっおこその埪環噚内科医であるこず
おいるのを芋た医垫は
「さすがアメリカ」ず感嘆しおも
や他病院で差別される粟神病患者を自分でしっかり蚺
それを日本に導入しようずは考えなかったのである。
療したいずいう平川の動機は
「モバむル UCG 開発者平
川」ずいう単玔化された甚語の背景に抌しやられ本筋ず
3. 問題
「委任」ず
「ロヌカル合理性」
は盎接関係のない
「゚ピ゜ヌド
挿話」ずしお蚘述される
こういったこずを日本の医垫や医療機噚メヌカヌずい
こずになっおしたう。
うアクタヌの
「思い蟌み
ミクロ芁因」や
「業界の慣習
マ
クロ芁因」ずいった
「問題」ずしお蚘述するこずをアクタヌ
2. 朜圚需芁
「プラスを䜜る」
ネットワヌク理論は回避しそのこずでアクタヌを
「委任」
UCGCTMRI など高床医療のために必芁ずされお
しおいるネットワヌクに意識を向ける可胜性を䜜り出す。
いる怜査装眮の金額は少なくずも 3 千䞇円から億円前
するず日本ず米囜では異なる病院間の競争のあり方を
埌ず高額で芏暡の倧きな病院でないず賌入は難しい。
蚘述するこずになる。囜民皆保険である日本ず異なり米
これらを車茉しおレンタルするサヌビスがあれば小芏暡
囜では病院は保険䌚瀟の傘䞋にある。それゆえ高額医療
医療機関にずっお自院で高床な怜査が可胜になるだけ
機噚は耇数の病院で共有するものであり車茉しない堎
でなく肺ガン怜蚺・脳ドックずいった高収入の怜蚺もで
合は病院ず別に高額医療機噚を集めた怜査センタヌを
きる。このこずで蚭備投資費をたかなうための過剰な怜
蚭眮するこずが普通に行われおきた。これに察しお日本
査を行う必芁がなくなる効果も期埅できる。患者にずっお
では倪平掋戊争敗戊埌の混乱期に医療機関の数を増
はかかり぀けの蚺療所や病院で怜査を受けられるため
やすこずが最優先されたたため個人経営の病院の比率が
遠方の倧病院たで埀埩する必芁がなくなり心理的な䞍
高く1980 幎代以降は郜垂郚では医療機関の数が充足
安が軜枛されるず同時に気軜な来院が可胜になるこず
しお倒産が生じるようになり病院間の競争の䞭で患者
で病気の早期発芋にも぀ながる。行政にずっおは医療
を獲埗するために高額でも高床な医療機噚を導入する
の質の向䞊ず医療費削枛を䞡立できる可胜性がある。
こずになったのである。ここでアクタヌネットワヌク過皋
平川はモバむルの有甚性を語る際にこのようなマクロ
を蚘述しようずするず
「瀟䌚」的芁因である
「競争」ずいう
的な
「需芁」を語る。このような抜象化されたマクロ的な
「需
甚語を䜿うこずを犁欲するこずになり結果的に競争察
芁」が蚘述されるずきには勀務先の粟神病院内で患者
応のために病院が患者サヌビス向䞊ではなく機噚の導
を自分で怜査しお蚺療したいずいう平川の動機は背景
入が行われたのはなぜなのかを蚘述者に調べるこずを芁
に移される。しかしアクタヌネットワヌクの過皋を蚘述
求する。このこずを医療関係者に問えば医療法で病院
すればモバむル UCG が需芁に適合する圢で䜜られた
の広告に制玄があるこずが語られるだろう。駅前にある
のではなく需芁がモバむル UCG によっお䜜られたず理
病院の看板広告には病院名連絡先蚺療内容などし
159
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
珟堎で
「圹に立぀」事䟋研究の蚘述様匏の詊論―アクタヌネットワヌク理論の展開―
か曞かれおいない。医療法によっお医療機関の広告に厳
かし電話からヶ月もしないうちに平川が勀務する S
しい芏制がかけられおいるためである。病院の広告では
粟神科病院ぞ保健所の監査が入りフリヌルの事業が
「業
UCG 怜査CT 怜査MRI 怜査などは広告に蚘茉できる
務委蚗法に違反しおいる」ずいう指摘がなされた。監査が
数少ないセヌルスポむントでありそれゆえ日本の病院は
入るずいうこず自䜓その察応に远われる病院にずっお非
倒産を免れるためには高額医療機噚を買い続けるよりほ
垞に倧きな負担ずなる。曎にそこで指摘を受けるずいうこ
かなかったずいう
「ロヌカル合理性」を蚘述するこずがで
ずは蚱認可の倚い医療機関の経営においお極めお重倧
きる。医療機関が高額医療機噚を賌入するのも高床蚺
な問題であった。
断機噚を車茉するこずを思い぀かなかったこずも芏制を
S 粟神科病院の院長から
「保健所から違法であるず
アクタヌずしお含むネットワヌクに
「委任」されおのこずなの
指摘されたのだがどうなんだ」ず聞かれた平川は早速
だず理解されるのである。
保健所に問い合わせたが違法である根拠が明確に説
明されなかった。
「以前はいいず蚀ったではないか」ず平
川が蚀うず保健所は
「いいずは蚀わなかった」
「蚀った芚
4. 制床的障壁モノず文曞の䜵眮による
「珟実の構成」
えはない」ず繰り返したずいう。保健所に問い合わせおも
フリヌルを蚭立した圓初の業務圢態は平川が UCG を
埒があかない。そこで平川は保健所を管蜄する県の医
車茉した車で䟝頌先の病院や蚺療所に行きその医療
務課に電話した。しかしここでも保健所ず同様の抌し
機関の駐車堎で患者の心臓超音波怜査を行うずいうもの
問答が繰り返された。
だった。医療法では民間䌁業の医療行為
蚺断ず治療
平川は医療六法を䞉日かけお熟読し
「業務委蚗
に
を犁じおいるがたずえば絊食枅掃血液怜査などは
関する法
の業務の䟋に茉っおいないこずをやったら違
民間䌁業ぞの業務委蚗が認められおおり医療法のなか
反なのか」ず県の医務課に質問した。しかしやはり具䜓
の業務委蚗に関する条文にはこれらの業務委蚗の䟋が
的な条文にもずづいた説明はなされず
「望たしくない」
「前
列挙されおいる。ただしUCG 怜査の倖泚はこれらの
䟋がない」ずいういわゆる
「お圹所的」な回答が繰り返さ
䟋には蚘茉されおいない。なぜならUCG が普及する以
れた。
前に䜜成された条文だからである。しかし平川にずっお
玍埗できない平川は監督官庁である厚生省に電話を
医療機関が UCG 怜査をフリヌルに倖泚するこずは既に
かけた。どの郚眲に盞談したら良いのか分からなかった
広く普及しおいる血液怜査の倖泚ず類䌌のこずずしお䜍眮
ため代衚番号にかけ
「こういうこずでもめおるんですけ
づけるこずができそこに法的問題があるずは考えられな
どどちらに盞談したらいいですか」ずオペレヌタヌに
かった。念のため平川が地元の保健所に確認したずこ
告げた。するず
「法埋のこずですので総務課です」ず総
ろ
「問題ない」ずいう回答だったずいう。しかししばら
務課に電話がたわされた。平川が事情を説明するず厚
くしおからフリヌルの業務は
「違法」であるずいう指摘が
生省総務課の担圓者は
「法的には問題ない」ず答えた。
保健所からなされたのであった。
このこずを平川が県の医務課に告げるず県の医務課の
モバむル UCG のサヌビスを始めお玄幎が経った頃
フリヌルに電話がかかり
「蚺断を受けたい」ずいう問い
合わせがあった。もしフリヌルの瀟員がこれを了承すれ
職員は
「厚生省もだめだず蚀っおいる」ず蚀った。平川が
「
厚生省のどこが蚀っおいるんだ」ず問い぀めるず厚
生省の指導課に連絡し
「だめだ」ずいう回答を受けたず
ば医療機関以倖の蚺断を犁じおいる医療法に違反する
いう。そこで平川は厚生省指導課に出かけその理由を
こずになる。フリヌルの瀟員は䞀貫しお
「蚺断は病院で
問い正した。こうしお確認できたこずは医療法のなかで
ないずできないので病院に行っおください」ず答えた。し
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
の業務委蚗に関する法埋の条文のなかに業務委蚗の䟋
160
珟堎で
「圹に立぀」事䟋研究の蚘述様匏の詊論―アクタヌネットワヌク理論の展開―
無い」ず回答したのだ。
絊食掃陀掗濯アルバむト医垫血液怜査などが
挙げられおいるがその䞭に UCG 怜査が含たれおいない
しかし条文には制限列挙なのか䟋瀺列挙なのかの蚘
こずが取り締たりを担圓する指導課では問題芖されお
茉がない。そしお指導課はすでに蚘述されお条文に基
いるずいうこずだった。
づいお取り締たりを行う。このため指導課は条文に蚘
しかしそもそも業務委蚗法で認められた項目に入っ
茉されおいない UCG 怜査に関しおは刀断するこずがで
おいないずいうこずがなぜ違法行為になるのかずいう平
きない。その結果指導課はモバむル UCG を
「望たしくな
川の質問に察しおは厚生省指導課からも
「望たしくない」
い」ず蚀いその理由を尋ねられれば
「前䟋がない」ず答
えるより他ないのである。
「前䟋がない」ずいう回答しか返っおこなかった。厚生省
総務課では
「法的には問題ない」ずいう回答であったにも
モバむル UCG の前に立ちはだかった匷固な実䜓ずしか
かかわらずである。このように
「芏制」ず呌ばれる制床的
思えない
「法芏制」は法埋を䜜成する総務課ず取り締た
障壁の障壁たるゆえんのひず぀はそれが違法であるの
りを担圓する指導課ずいう官僚機構の分業ず䟋瀺列
かないのかに぀いおの法解釈が官僚組織の郚局によっ
挙ず制限列挙の区別が条文でなされおいないずいうこず
お異なる点にある。たらい回しされ぀づけた起業家の倚く
にUCG 車がネットワヌクされたこずによっおいうなれ
は消耗し途方に暮れるだろう。
ば
「瀟䌚的に構成された珟実」
Berger and Luckmann
1977=1967だず理解できる。法埋の条文それ自䜓は「芏
制」ではない。そしお法埋の条文がベンチャヌにずっお
5. 圹所仕事官僚機構の
「ロヌカル合理性」
芏制の圓事者ずしお敵芖されがちな
「お圹所」ではある
が厚生省の官僚のやり取りを積み重ねお行くこずで平
のいわゆる
「芏制」ずなるのはこのネットワヌクが起業家
平川には䞍可芖であるこずによる。
アクタヌネットワヌクを蟿っお行き官僚機構の分業ず
川ずは別のアクタヌネットワヌクに委任されおいるアクタヌ
条文が䜜られおいく過皋そしお制限列挙 / 䟋瀺列挙に
である官僚にも
「ロヌカルな合理性」があるこずを平川は
぀いお理解すれば
「業務委蚗法に茉っおいないこずを
理解しおいく。
行ったら違法なのか」ずいう質問に察し法埋を䜜る郚
業務委蚗法が成文化される過皋では病院内の掃陀
眲である厚生省総務課が「問題ない」ず答えるのず同時
や絊食などは圹所のお䌺いを立おるたでもなく珟堎で
に条文に埓っお取り締たりを行う厚生省指導課が職務
自発的に倖泚が始たっおいた。それが公共の犏祉にずっ
を厳密に実行するためには
「望たしくない」
「前䟋がない」
お望たしいこずであり䞀郚で行われおいる間は厚生省
ず回答せざるを埗ないこずも理解できる。この理解にもず
は黙認する。しかしこの倖泚がある皋床普及するずず
づけば
「望たしくない」
「前提がない」
ずいう
「圹所仕事」は
さんな業者による事故などを未然に防ぐために総務課
官僚が職務を忠実に実行しおいるこずずしお理解される。
は通達を出したり条文を改蚂しおいくのである。
いわゆる
「芏制」はこのアクタヌネットワヌクが「単玔
平川は関係者を尋ね歩いおいくうちに法埋の条文の
化」されお
「ブラックボックス」になっおいる状態であり
具䜓䟋の蚘述様匏には䟋瀺列挙ず制限列挙ずがあるこ
起業家にずっお䜕がどうなっおいるのか芋えないこずに
ずを知る。制限列挙は
「これ以倖は認めない」ずいう䟋瀺
よっお法埋の条文は
「芏制」ずなる。モバむル UCG を厚生
であり業務委蚗で蚘茉されおいた絊食や掃陀は単に䟋
省指導課が「望たしくない」ず語るこずをもし平川が
「官
を瀺すだけの䟋瀺列挙でありUCG 怜査が䟋瀺列挙の
僚制の逆機胜」ずいった
「瀟䌚」の䞖界の抜象的な甚語で
䟋に含たれおいないこずは違法であるこずの根拠にはな
理解するず平川が取りうる行動は芏制緩和を䞻匵す
らない。それゆえ法を䜜成する総務課は
「法的には問題
るこずになるだろう。これに察しお平川はアクタヌネット
161
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
珟堎で
「圹に立぀」事䟋研究の蚘述様匏の詊論―アクタヌネットワヌク理論の展開―
ワヌクを蟿るこずで平川の前に立ちはだかったいわゆ
所はモバむルを吊定するこずをしなくなっおいった。それ
る法
「芏制」が官僚機構の分業䟋瀺 / 制限列挙の䞍区
でも県や厚生省指導課に
「望たしくない」ず蚀われたの
別UCG 車これらからなるアクタヌネットワヌクだず理
では事業継続に䞍安が残る。特に新たに病院に営業
解した。このこずによっお平川はマスメディアで芏制緩
をかけるずきには倧きなデメリットである。そこで平川は
和を蚎える代わりに厚生省の内郚に理解者を探し埌
同郷の友人などの぀おをたどり厚生省関連団䜓の内郚
に事態を反転させる
「翻蚳」を実珟する行動をおこすこず
にモバむル UCG に理解を瀺すA 氏を探しだした。A 氏に
ができたのである。
盞談するずアメリカでは普通の
「いいシステムだね。よく
思い぀いたねえ。ああ必芁だったの。なるほどねえ。」ず
蚀い
「頭のかたいや぀だずだめだから柔らかいのを玹
6. 手打ち
「マむナスを䜜る」
介する」ず厚生省指導課課長補䜐 B 氏が玹介された。平
平川が保健所や県ずの間で抌し問答を繰り返しおい
川は B 氏に業務に぀いおの別の解釈を提案し指導課の
た頃病院や䌁業などの怜蚺を請け負っおいる県の倖郭
黙認を埗るにいたるのである。モバむル UCG の別の解釈
団䜓の線レントゲン怜蚺車がたたたたS 粟神科病院
ずは病院がフリヌルに UCG 怜査を業務委蚗するのでは
に停車しおいた。平川にずっおは芋慣れた光景であった
なくフリヌルが UCG の機噚だけを病院に䞀時的にレン
が怜蚺のスタッフの䞭に保健所の職員がいたので改め
タルし平川が別途アルバむト医垫ずしおその病院に赎く
およく芋るず怜蚺を行う際には医垫が監督するこずが法
ずいう組み合わせである。
で定められおいるのにもかかわらず医垫がいないこずに
気づいた。このこず自䜓は医垫䞍足のなかで線レン
平川
平川が
「医療機械を貞し出したすそれならいい
トゲン怜蚺車の装眮が安党か぀簡䟿に運甚できるこずか
ですか」
B 氏が
「いいですよ」
「で人間もこう
ら日本では垞態化しおいるこずである。このこずを承知
やっお行きたすよ」
「おおそれもいいね」
「で組み
のうえで平川があえおこのこずを問いただすず保健所の
職員は
「ここ
S 粟神科病院に医者がいるからいいんだ」
ずいう。これは県の倖郭団䜓が線レントゲン怜査ずい
ねこれは駄目ずは蚀えんね」ず。最埌は
「うちの
おすみ぀きを䞎えるわけにはいかない。ただしだ
う業務を病院から委蚗されおいるこずを意味する。しか
めだずは蚀わない」
しX 線レントゲン怜査は業務委蚗の条文の䟋には含
たれおいない。そこで平川は
「県の倖郭団䜓の違法行為
平川は県の違法行為を指摘し続けたが県がフリヌル
を保健所は黙認しおいる」ず平川は保健所ず県の医務課
の業務を容認するこずに盎接的に぀ながらなかった。日
にテヌプレコヌダヌを持ち蟌んで盎談刀した。
「マスコミ
本は法治囜家だから圓然のこずである。しかし業務委
に出たら蚎えられるんじゃないですか」ず平川は X 線レン
蚗からレンタルにするずいう代案を瀺しお法に党く抵觊し
トゲン怜蚺車ずマスコミずをネットワヌクするこずをほのめ
ないだけでなく医療の質ず医療費のバランスを取るずい
かすこずで
「マむナスを䜜る」こずを行った。
うマクロ的メリットを語り県の違法行為に぀いお行政蚎
平川の申し立おを受けた保健所の担圓者は県の倖郭
蚟をも蟞さない姿勢を芋せるこずで厚生省が県に察する
団䜓の行為が違法であるこずを認めた。平川は圓時の心
働きかけを行いフリヌルず
「圹所」ずの間の
「業務委蚗法
境を
「それは嬉しかったですよ」ず振り返る。このような経
違反」に関わる確執はひずたずの決着をみたのである。
緯の埌で保健所の担圓者が䌚議で
「県の蚀っおいるこ
ずおかしい」ず発蚀するようになったずいう。こうしお保健
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
合わせなんです。この手はどうですか」
「なるほど
162
珟堎で
「圹に立぀」事䟋研究の蚘述様匏の詊論―アクタヌネットワヌク理論の展開―
平川県ず揉めに揉めたから俺も
「県の違法行為やる
おいかないから。こういうこずをやりたいず。で
ぞ」ずいっお囜にもあげお。厚生省にも知り合い
しょ 業務委蚗ではなくレンタルなら問題ない
がいたからその蟺たで党郚話したら囜は県に
ず説明できるわけないでしょ 筆者解釈が異なるずいうのはうたく䜿えるずいうか
電話した。
「これ以䞊フリヌルずもめるな。これで終
逆に有利にはたらく
わりにしろ」
。でしゃんしゃんおな話。
「その代わ
平川有利にはなる。これが画䞀化されお党郚同じ解釈
りレンタルにしなさい」ずいうこず。
「業務委蚗は
だったら逆に突っ蟌みどころがなくなりたすね。
やめおレンタルず人を貞し出す方匏ならだめだ
平川戊う䞊で䞀番゚ネルギヌがかかるのは法制床の
ずいえないから。そのかわりお前も県を぀぀く
郚分。今でもそうですよ。ただ芏制があるからベ
な」ず。
ンチャヌはうたくいくんですよ。最初からオヌプン
厚生官僚がモバむル UCG を黙認したこずは日本の官
だったら誰でもできおたずえば医療は株匏䌚瀟
僚機構が䞀䌁業の瀟長の恫喝に屈したずいうこずではな
でも誰でもできたすならずこずん食い尜くされお
い。埌述するモバむル UCG を明瀺的に合法ずする手続
いるでしょ。ベンチャヌが入る隙なんお無いくらい
きである医療審議䌚での法改正の方法を教えたのは
倧手が隙間無く入っおきお。逆に芏制があったから
B 氏なのである。厚生省ずしお望たしいず考える事業が
いろんな隙間があった。なんでやらなかったのか。
普及するたでの間黙認するこずが公共の犏祉にかなうず
いいシステムだねず。䜕で日本になかったのか。
刀断したず理解すべきだろう。
逆に芏制があるずいい面もあるんです。芏制もう
ちの䌚瀟が倧きくなるに぀れお少しず぀壊しおい
く。いきなりやるず党郚入っおくるから。少しづ぀や
7. 芏制競合排陀の資源
れば。うちがやりたいず思うずころを厩しおいけば
平川は厚生省からモバむル UCG に぀いおの黙認を取
倧手はなかなか入っお来れない。
り付けるに至った。このこずは平川が厚生省をひずかた
たりの
「お圹所」ずしおではなく
「芏制」の内蚳であるアク
本事䟋研究で芏制が結果的に競合排陀の
「資源」に
タヌネットワヌクを明らかにしおいくこずで可胜になっおい
なったこずはベンチャヌ育成のためには芏制緩和が䞍
る。具䜓的な行動ずしおは官僚ずコンフリクトが生じお
可欠だずする通説に単䞀事䟋で疑問を投げかける。今
も法に基づいお説明しお理解を埗るこずを意図的に行っ
日
「芏制」ず呌ばれる法埋の条文はか぀お公共の犏祉
たのである。その過皋で
「芏制」が競合排陀の
「資源」に
に資するために䜜成されたものが幎月を経お珟状にそぐ
なるずいう自䜓が生じたずいう。
わなくなったものを含むが生産的な匱小アクタヌを保護
するものが少なくない。このこずを考慮せずに芏制を緩
平川東京郜の保健所が
「できるわけない」ず怒鳎り蟌
和しさえすれば二十幎あたり続く日本の䞍景気が解消さ
んできお怒鳎り぀けおきたんだけど郜の医務課
れるかのように語るこずは匱小アクタヌ矀による地道な
の幹郚ず話しお
「これならできたすね玍埗した
生産掻動の機䌚ず公共の犏祉が毀損される可胜性があ
した」。 笑い話があっお
 郜の医務課に
「ある
る。
業者が平川さんのパンフレットもっおきお
モバむ
ルをやりたいっお蚀っおきたんですよ。そのひず
を駄目だっお返したした」っお。法埋を持っ
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Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
珟堎で
「圹に立぀」事䟋研究の蚘述様匏の詊論―アクタヌネットワヌク理論の展開―
8. 積極的に䜕もしない
「れロにする」
でも
「勝おるよ」ず蚀っおくれおいるし。そのこずのメ
圹所ずの折衝を重ねる過皋で平川は
「芁望曞」を䜜成
リット。今は䜕か。
倧きくなった幎埌ならやる
かもしれない。今は倧手は入りにくいし
「お前の
するずいう方策を知る。医療機噚メヌカヌの担圓者から
所違法じゃないか」
「いやあそうじゃないんです
「党囜の事䟋を集めお芁望曞を出すずいいよ。
圹所が
ク
よ」
「どうやっおるの」
「いやあ秘密ですよ」っお
レヌム蚀っおきおもあんなの法埋じゃねえ」ずいうアド
蚀っおおけば。
バむスをもらったのである。メヌカヌも圹所の郚眲毎に芋
解が異なるこずで業務が行き詰たるこずがありそういう
ここで平川が行っおいる
「翻蚳」は行政蚎蚟を起した
堎合には芁望曞を出すのだずいう。芁望曞を提出する際
りマスコミにリヌクしたりするこずを積極的に
「しなかっ
の芁領のひず぀は曞類を床だけどこかの郚眲に出す
た」こずだ。批刀の倚い圹所を蚎蚟で負かすこずができれ
のではなく耇数の郚眲の担圓者に特定の順番で次々ず
ば平川はマスメディアの䞭で芏制に勝利した英雄になれ
曞類を提出しおいくこずなのだずいう。最埌にはマスコミ
ただろう。しかし平川はあえお蚎蚟を起こさなかった。
に情報を流しお圹所が察応せざるを埗ない理由を提䟛す
蚎蚟で勝っおも事業のノりハりが公開されたのでは意
る段取りだが倚くの堎合はその前に芁望曞に察する回
味が無い。たたモバむルを正匏に法埋の条文に入れる
答が来るものなのだずいう。
ずなるず厚生劎働倧臣のもず医療審議䌚を開き膚倧な
最も明快な正攻法は業務委蚗の条文の䟋に UCG 怜
事務䜜業をこなさなければならいうえに結果的に芏則ず
査を远加するこずである。厚生省ずいう官僚機構の最高 しおは厳しいものになっおしたう可胜性があるずいう指
責任者である厚生倧臣のもずで条文が改蚂されれば各
摘を厚生省の担圓者から埗おいた。そのため平川瀟長
郚眲はそれにもずづいお行動できる。しかしこの正攻法
はれロのたたにしおおくずいう
「翻蚳」を積極的に行っ
は膚倧な曞類䜜業が必芁ずされ芏制ずしおより厳栌な
たのである。
ものになるだけでなく競合排陀の資源の内容を公開す
るこずになるため䞊策ではないのである。
9. 成功芁因
「単玔化」で䜜られるブラックボックス
平川県の違法行為で蚎蚟を起こすこずもできた。しかし
フリヌルがベンチャヌ関連の賞を受賞しお以降成功
厚生省関係者が
「そこたでやる 厳しい方にな
事䟋ずしお蚘事が曞かれるようになった。フリヌルの事䟋
るよ」。そこたでやるず逆にオヌプンになっちゃいた
から倚くを孊ぶこずができるのはネットワヌク圢成過皋
すからねえ。ベンチャヌずしおはオヌプンになるの
での
「翻蚳」であるず思われるが平川は明瀺的には語っ
は善し悪しがあるんで。[ 䞭略問題点だけを指摘
]
おこなかった。その堎合どのような蚘述になるのだろう
されおむしろ䞍利な方向になる可胜性がありた
か。あらためお冒頭で玹介したビゞネス蚘事を怜蚎しお
すからね。衚だっおやるず。・・・芏制が厳しくな
みよう。
る可胜性がありたす。いやそれは認めないずか
ね。
「もっず頑匵っお倧きくなっおね」ずいうのが
厚
生省関係者のAさんず Bさんの意芋でしたね。
1事業の成功に焊点が圓おられるず瀟䌚的な朜圚需
芁ずいうマクロ的な芁因が蚘述される。
筆者医療法が参入をふせぐ壁にもなっおいる
平川そうそう。マスコミ䜿っおも簡単なんですけどあ
蚘者行政ずの調敎も倧倉だったそうですね。
んたりおおっぎらにやっお。裁刀簡単に起こせるん
平川最初は圓時の厚生省や自治䜓からクレヌムが぀きた
ですよ。勝おる自信もあるんですよ。厚生省の内郚
した。機噚を貞し出すだけなのに
「株匏䌚瀟が医
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
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珟堎で
「圹に立぀」事䟋研究の蚘述様匏の詊論―アクタヌネットワヌク理論の展開―
療行為をするのは医療法違反だ」ず芋圓違いの文
党くありたせんでしたからね。ただ県ず旧厚生省
句を蚀っおきたり。CT 車は X 線を䜿うため移動
ずは結構やりあいたしたよ。そこで
「どういう圢で
先の県の事前チェックが必芁なんですが
「䜿甚日
あれば問題がないのか」ずこずん぀き぀めおいった
の日前に車を持っおこい」ず無理をいっおきたり。
のです。最終的には
「これなら問題ない」ずいう接
最近は倉わっおきたしたけどね。
点を芋぀けるこずができたした。
蚘者医療費の高隰に぀ながるずの批刀もあるのでは。
『DIGITAL MEDICINE』2001幎・月号pp.1
平川高額な機材を遊ばせられないず患者を怜査挬け
にする病院がある䞀方機材がないので怜査を先
平川は翻蚳を党く語らないわけではなくほのめか
延ばしにしたら手遅れになったずいう地方の病院
しおはいる。
「最近は倉わっおきたしたけどね」
「ずこずん
もある。このアンバランスを調敎するのが移動医療
぀き぀めおいった」
。これらを
「時代の趚勢」や
「コミュニ
です。今や日本の CT や MRI の台数は䞖界䞀。移
ケヌション胜力」ずいった抜象甚語で
「単玔化」しお理解
動医療に倉われば党䜓の装眮数は少なくお枈む
するず芁因による説明に違和感を感じにくくなる。
から医療費の軜枛に぀ながりたす。
芁因による蚘述は間違っおいるわけはないが読者が
『朝日新聞』2002 幎 3月10 日
自分の珟堎で問題解決を行う堎面では手がかりに乏し
い。感動的な成功物語は誰もが勇気づけられるものだ。
2起業家個人に焊点があおられるず心理的特性ずい
しかし既存の芋方に捉われない発想が必芁だ」
「頑匵
うミクロ的芁因が蚘述される。
れ」
「あきらめるな」ずいった粟神論以䞊のメッセヌゞが
蚘述されるこずは少ない。フリヌルの事䟋で蚀えば医療
しかし日本では初めおの詊みであったため圓初保健
の質ず医療費のアンバランスを解消しえる方法を思い぀く
所県厚生省ずの間で䜕床もトラブルがあった。
「患者
こずができれば事業になるだろうが我々が動員可胜な
さんによかれず思い䜕かを始めおも芏制されおしたいた
資源をどうすれば実珟可胜なのかを思い぀くこずはでき
す。医療法は患者のためにあるず思っおいたのですが行
ないだろう。匷い意志ず劻の支えがなければ事業の成功
政のためにあるのではないかず疑問に思うようになりたし
は難しいだろうがあれば事業が必ず成功するわけでは
た」。様々な壁にぶ぀かりながらも今たで乗り越えられお
ない。問題をずこずん぀き぀めれば成功できるかもしれな
きたのは先生の匷い意志ず超音波怜査技垫でもある
いが我々が抱える事業の問題に぀いお具䜓的にどのよ
奥さたの支えがあったから。
うに぀き぀めおいけばいいのだろうか 少なくずも䞊蚘
『こんにちは東芝です』1999 幎 10月pp.11
぀のビゞネス蚘事に芋られる芁因の蚘述からは䜕も埗
られない。 3これから起業しようずする人を読者ずしお想定しお圹
立ちそうな蚘述をしようずするずマクロずミクロの芁因だ
Ⅳ. 考察ビゞネス蚘事ず
けではものたりない。そのような堎合にはコミュニケヌ
事䟋研究論文の事䟋蚘述の違い
ション胜力が蚘述される。
マスメディアや業界誌などのビゞネス蚘事ではアク
蚘者旧来の殻を砎る行為にはいろいろず軋蜢があった
タヌネットワヌクが
「単玔化」され芁因に還元されお蚘述
のでは
される。しかしこのこずはビゞネス蚘事の䟡倀を損な
平川たあ医垫が察応するずいうこずで法埋䞊の問題は
わない。ビゞネス蚘事が
「委任」されおいるアクタヌネット
165
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
珟堎で
「圹に立぀」事䟋研究の蚘述様匏の詊論―アクタヌネットワヌク理論の展開―
ワヌクを考慮すればこれらの蚘事の最優先事項は速報
井山匘幞・金森修
2000
『珟代科孊論 : 科孊をずらえ盎そう』新曜
瀟。
性だずいう
「ロヌカルな合理性」を理解できる。速報性
䞊野盎暹
1999
『仕事の䞭での孊習 : 状況論的アプロヌチ』東京
を仕事ずするビゞネス蚘事によっおわれわれ事䟋研究を
倧孊出版䌚。
行おうずする者
所属が倧孊であれ䌁業であれは斬新
金森修
2000
『サむ゚ンス・りォヌズ』東京倧孊出版䌚。
な事䟋の存圚を知るこずができる。われわれ事䟋研究者
金森修・䞭島秀人
2002
『科孊論の珟圚』勁草曞房。
沌䞊幹
1999
『液晶ディスプレむの技術革新史 : 行為連鎖システム
の仕事はここからである。
ずしおの技術』癜桃曞房。
その際事䟋の斬新さが䜕に由来するのかに぀いお理
BergerP.L. and T.Luckmann (1967)
The social construction of
解するためにアクタヌネットワヌクを蟿るこずで自明芖
reality : a treatise in the sociology of knowledge Anchor
されおきた垞識を盞察化し代案を蚘述するこずができ
Books.
山口節郎蚳
『日垞䞖界の構成 : アむデンティティず瀟䌚
る。本皿で盞察化された自明芖された垞識は
「ベンチャヌ
の匁蚌法』新曜瀟1977 幎 = 山口節郎蚳
『珟実の瀟䌚的構成
育成のためには芏制緩和が䞍可欠」だずいう語りである。
本皿では芏制緩和すればベンチャヌ育成に぀ながるず
: 知識瀟䌚孊論考』新曜瀟2003 幎
Glaser B.G. and A. L . Strauss (19 67 )
The discovery of
grounded theory : strategies for qualitative research 
は䞀抂には蚀えないだけでなくベンチャヌの事業機䌚
Aldine Pub. Co.
埌藀隆倧出春江氎野節倫蚳
『デヌタ察
ず公共の犏祉を枛ずる可胜性が指摘された。本事䟋研究
話型理論の発芋 : 調査からいかに理論をうみだすか』新曜瀟
によっお瀺された代案は官僚機構の法敎備過皋を螏た
1996 幎
HaraT. (2003)
Innovation in the pharmaceutical industry :
えたうえでアクタヌネットネットワヌクを圢成するために 3
the process of drug discovery and development Edward
぀の翻蚳類型
プラスを䜜るマむナスを぀くるれロのた
Elgar.
たにするを実行するず理解するこずである。
本 çš¿ の理 論 的な新しさは以䞋の 2 ぀である
1
Latour の 5 ぀の
「翻蚳」を3 ぀の偎面ずしお再構成し事
Kuhn T.S. (1962)
The structure of scientific revolutions 
University of Chicago Press.
䞭山茂蚳
『科孊革呜の構造』み
すず曞房1971幎
LatourB. (1987)
Science in action : how to follow scientists
䟋蚘述での汎甚性を高めたこず
2アクタヌネットワヌク
and engineers through society  Harvard University
理論の蚘述に察しおなされる
「フラット」さが
「ロヌカルな
Press.川厎勝高田玀代志蚳
『科孊が䜜られおいるずき : 人
合理性」ぞの感床を高めアクタヌネットワヌクの蚘述に
類孊的考察』産業図曞1999 幎
貢献しうるこずを瀺した。
LatourB. (2005)
Reassembling the social: an introduction
to actor-network-theory  Oxford University Press
Clarendon lectures in management studies.
謝蟞
YinR.K. (1984)
Case study research : design and methods
本研究はJSPS 科研費 24653083 の助成を受けたものです。
Sage Publications.
近藀公圊蚳
『ケヌス・スタディの方法』千
倉曞房1996 幎
参考文献
石井淳蔵
1993
『マヌケティングの神話』日本経枈新聞瀟
『マヌケ
ティングの神話』岩波曞店岩波珟代文庫2004 幎。
入江信䞀郎
2006
「アクタヌネットワヌク論に基づいたむノベヌショ
ンの蚘述」䞊野盎暹他線著
『科孊技術実践のフィヌルドワヌク
ハむブリッドのデザむン』せりか曞房pp.128-51。
入江信䞀郎・束嶋登 2005
「起業家はどのように法芏制に向き合う
のか ?: 株匏䌚瀟フリヌル」東京郜立倧孊 GSBリサヌチペヌ
パヌVB-05-03。
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
166
オヌラルセッション ― フルペヌパヌ
組織における顧客理解の高床化
― アクションリサヌチによるカスタマヌ・ビゞットの導入効果の探玢 ―
神戞倧孊倧孊院 経営孊研究科 教授
栗朚 契
関西倖囜語倧孊 倖囜語孊郚 准教授
田村 盎暹
神戞倧孊倧孊院 経営孊研究科 教授
䞉矢 裕
プラむミクス
株マヌケティング本郚・経営䌁画郚 執行圹員
氞井 康子
芁玄
本研究では
「カスタマヌ・ビゞット」
CVの導入を通じお顧客ニヌズのシステマティックな充足に向けた取り組みが䌁業
内に生たれおいくずいう
「組織における顧客理解の高床化」のプロセスを怜蚎する。CVずはB to B 䌁業が耇数郚門のメン
バヌでチヌムを組織し盎接顧客を蚪問する調査プログラムでありアメリカではヒュヌレッドパッカヌド瀟をはじめずする
耇数の䌁業組織においお導入事䟋が報告されおいる。しかし組織の専門分化がゆるやかだずされる日本䌁業においお CVに
どのような効果が芋蟌めるかの経隓的研究はなされおいない。CV は日本䌁業ぞの導入が進んでおらず珟堎実隓的なアプ
ロヌチが必芁なこずから本研究では
「アクションリサヌチ」の方法を採甚する。本研究のリサヌチサむトであるプラむミクス
株匏䌚瀟はこの新しいプログラムの導入を通じお動かなかった組織が顧客ニヌズの充足に向けお党瀟的に動き出すずい
う
「導入効果」を䜓隓するこずになった。
キヌワヌド
アクションリサヌチ質的マヌケティングリサヌチカスタマヌ・ビゞット顧客志向B to B マヌケティング
Ⅰ. カスタマヌ・ビゞット・プログラムずは
䌁業蚪問ずは区別しお行うべき掻動である。CVの特城は
マヌケティング研究開発生産など䌁業の耇数の郚門
顧客志向はマヌケティング研究の䞭心的課題である
の代衚者で構成された調査チヌムが耇数の顧客䌁業を
が顧客志向を掚進する組織倉革ずいう問題に぀いお
盎接蚪問しむンタビュヌを行い経営陣に報告するずい
は十分な研究が行われおこなかったずの指摘がある
うプログラムの組み立おにある
McQuarrie, 1991。その
Kennedy, Goolsby and Arnould2003
。これに察し
ねらいは第 1にプロゞェクトの意思決定に関わる人た
お実務の珟堎では顧客志向の実践や定着をうながすさ
ちに顧客䌁業が珟堎で盎面しおいるあいたいで耇雑
たざたなプログラムが生み出されおきた。カスタマヌ・ビ
な問題に盎接接する機䌚を提䟛するこずで顧客䌁業
ゞット
CVはそのひず぀である。CV はアメリカのヒュヌ
ずの関係を深めるこずずずもに顧客ニヌズの理解および
レット・パッカヌド瀟においお確立されたプログラムであ
その共有化をうながすこずであり 1第 2 にさらにはそこ
りIBMアップルマむクロ゜フトモトロヌラをはじめず
から組 織 倉 革を導くこずである
a
McQuarrie2008
する倚くのアメリカのリヌディング䌁業に採甚されおきた。
p. Ⅹ
。このようにCVの䞻芁なねらいは顧客䌁業を蚪
McQuarrie, 2008 p.ⅹⅲ
。
CV はB to B 䌁業に適した質的なマヌケティング・
リサヌチ・プログラムである。顧客䌁業ぞの蚪問は営業
問するこずで組織倉革を導くこずでありこの点で Cooper
2011がボむス・オブ・カスタマヌVOC法のひず぀ず
しお挙げる
「顧客蚪問チヌム」ずは異なっおいる 2。
郚門を䞭心に倚くの B toB 䌁業が日垞的に行っおいる。
しかしCV は営業郚門などが日垞的に行っおいる顧客
CV で は さら に 以 例 のような 察 応 が 求 め ら れ る
McQuarrie, 1991。第 1に CVの調査チヌムは調査課
167
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
組織における顧客理解の高床化―アクションリサヌチによるカスタマヌ・ビゞットの導入効果の探玢―
題ず関わる耇数郚門の代衚者によっお構成される。ただ
においお顕著であった
Corey and Star1971Levitt
しここで McQuarrie
1991はCVの調査チヌムに加
1983 Webster1992 山䞋・犏冚・犏地・䞊原・䜐々朚
わるメンバヌの兞型的な所属郚門ずしお営業郚門を挙げ
2012, pp.30-31
。このような珟実のもずでCVずいう
おいない。これは調査チヌムの蚪問が営業郚門によ
郚門を越えたクロス・ファンクショナルな顧客蚪問のプロ
る日垞的な顧客䌁業蚪問ずは異なる目的のもずで行われ
グラムは開発された。CVが顧客ニヌズの理解に加えお
るための線匕きだず考えられる
b
。なお同論文はCVの
その共有が進むずいう効果を匷調しおいる
McQuarrie
調査チヌムが䞊蚘
2の蚪問先を遞択する際には営業
2008, p.7のはそのためだず考えられる。
郚門に協力を求めるべきだず述べおいる。蚪問ぞの参加
しかし日本䌁業に぀いおはアメリカ䌁業ず比范し
は求めないが助蚀は求めるのである。営業郚門の頭越し
お組織の専門分化がゆるやかだずの指摘がなされおき
に圌らの担圓䌁業を蚪問するこずはトラブルのもずだから
た
Clark and Fujimoto1991 èš³ pp.339-341 楠 朚
である。
1998, 川䞊2005, p.171山䞋・犏冚・犏地・䞊原・䜐々
第 2 に CVの調査チヌムのメンバヌは蚪問に先立ち
朚2012pp.49-50
。そしおその理由ずしおは日本䌁業
耇数回のミヌティングを行い蚪問先遞択ずむンタビュヌ
では長期雇甚のもずで埓業員のゞョブロヌテヌションが
内容に぀いお蚎議する。これは行き圓たりばったりの調
広く行われおおりその結果ずしお郚門の壁を越えた盞互
査ずならないようにするこず及び特定の郚門が特定
の業務理解が進んでいるこずが挙げられおきた。
の顧客から自郚門に郜合のよい情報を聞き出すこずに
では日本䌁業に CV を導入した堎合にもアメリカ䌁
終始しおしたわないようにするための仕掛けである
c 。
業ず同様に顧客理解の共有が新たな組織倉革に向け
第 3 に CV では蚪問の準備ずむンタビュヌそしお報
た動きを生み出すずいう効果が期埅できるのだろうか。専
告を行う調査チヌムのメンバヌずは別にモデレむタヌ
進
門分化がゆるやかだずいうこずはvon Hippel
1994が
行圹ずなる人物を甚意する。モデレむタヌは質的調査の
いう郚門間の情報の移転コストが䜎いずいうこずである。
専門家あるいはそのトレヌニングを受けた人物が望たし
このように特城付けられる日本䌁業においおもCV によ
くその圹割は調査目的や CVの芁件に沿っお各チヌム
る顧客理解の共有による効果は生じるず期埅しおよいの
の掻動が的確に行われるように助蚀や確認そしお察倖
だろうか。そしおもしこのような効果が期埅できるので
的な調敎などを行うこずである
d
。
あればそれは専門分化がゆるやかな組織であっおも
第 4 に CV ではその実斜に先立っお自瀟の経営陣
どのような局面においお組織内の顧客理解の共有によ
から調査の結果次第では䌁業の方針や郚門の掻動を
る倉革に向けた動きが阻害されおしたうからなのだろう
倉曎する甚意があるこずを確認しおおく。たた調査チヌ
か。これたでのずころ日本で CVの導入は進んでいない
ムには各郚門の䞭栞人材の参加を求めるため各郚門の
ためにこの問いに察しお経隓的な回答をサヌベむやむ
長の合意を埗おおくこずも必芁である
e
。
ンタビュヌなどにより埗るこずは困難である。
3
そこで本研究ではB to B 分野の日本䌁業をリサヌチ
サむトずしおアクションリサヌチを行い①組織の専門分
Ⅱ. 日本䌁業にカスタマヌ・ビゞットは有効か
化がゆるやかな日本䌁業においおもCVによる顧客理解
顧客志向は䌁業のなかで党瀟的に共有されるべき
の共有化は組織倉革の動きをうながすのかそしお②も
組織文化ずされるが珟実にはその実践はマヌケティ
しこの効果が出珟するのであればそれはどのようなメカ
ングずいう特定の郚門の業務ず芋なされがちでありこの
ニズムによるのかずいう2 ぀の課題に぀いお怜蚎する。な
傟向は特に匷倧なマヌケティング郚門をも぀アメリカ䌁業
お本研究では以䞊のリサヌチク゚スチョンにもずづき
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
168
組織における顧客理解の高床化―アクションリサヌチによるカスタマヌ・ビゞットの導入効果の探玢―
CVの
「効果」に぀いおは顧客志向を掚進する動きに乏
プロゞェクトの党おのミヌティングむンタビュヌ調査報
しかった組織がこの志向に沿った新たな掻動を倚面的
告䌚の資料を残すずずもに参加者の発蚀を蚘録するよ
に展開し始めるずいう事実をもっお確認するこずにする。
うにしこれらの資料や蚘録にくり返し立ち返りながら怜
蚎を行うこずで客芳性の確保に努めるこずにした。
Ⅲ . アクションリサヌチの導入
本研究はわが囜に導入が進んでいなかったプログラ
ムを研究者が介入しお䌁業内に生起させそのプロセ
アクションリサヌチは研究者が 珟 象に察しおアク
スを組織成員の意識や行動の倉化を螏たえお継続的に
ションを仕掛けながらデヌタ収集を行う研究方法であ
芳察しようずするものである。したがっお以䞊のような
る
Lewin19451946Kaplan, 1998 侉 矢 2002
特城をも぀アクションリサヌチの方法の採甚が適切ず考
Greenwood and Levin2007
。䞊述した本研究の課題
えた。たたわれわれがアクションリサヌチの成果を公衚
に取り組むうえで本研究がアクションリサヌチの方法を
するこずでマヌケティング分野の実蚌研究のあり方に぀
採甚する理由は以䞋に挙げるこの研究方法の 3 ぀の特
いおも䞀石を投じるこずになるのではないかずも考えおい
城に由来する。
る。
第 1の理由はアクションリサヌチではただ生起し
おいない経営珟象であっおも研究者が介入しお生起さ
せられるずいう点である。アクションリサヌチは珟堎実
Ⅳ. リサヌチサむトの抂芁
隓的な性栌を持っおおり研究者偎が珟実の䞖界に介入
しその珟象を぀くり出すこずができる
Kaplan1998
本研究のリサヌチのサむトはプラむミクス株匏䌚瀟で
Kaplan and Norton2001䞉矢2007
。
ある 4。同瀟は倧阪垂犏島区に本瀟をおく産業甚機械
第 2 の理由はアクションリサヌチでは珟象が起きる
補造䌁業である。埮粒化機真空乳化機研究甚小型ミ
以前の状態から始たる倉化プロセスに぀いおの継続的な
キサヌ等を補造し高速攪拌機の専門メヌカヌずしお業
芳察が可胜だずいう点である。アクションリサヌチのもず
界をリヌドする地䜍を確立しおいる。幎間売䞊高は玄 40
では䌁業の䞻芁なアクションが研究者偎からの提案も
億円である。
螏たえお行われる。そのためアクションに先立぀時点か
プラむミクス瀟の䞻芁郚門は販売を担圓する営業郚
らの関連デヌタ収集が可胜ずなり早期からの継続的な
蚭蚈を担圓する技術郚開発ず来瀟テストを担圓する研
芳察が実珟する
Kaplan1998䞉矢2002
。
究所補造を担圓する生産郚立䌚い怜査
出荷補品の
第 3 の理由は他の質的研究の方法ず比范しおアク
怜査やクレヌム察応を担圓する品質保蚌宀アフタヌ
ションリサヌチでは研究者が組織の内郚者の芖点で
サヌビスを担圓するサヌビス郚から成る
2012 幎圓時。
芳察するこずが容易になるずいう点である。アクションリ
執行圹員課長が管理職ずしお各郚門に配眮されおおり
サヌチは䞀般的なケヌス研究などず比范しおも質的
経営幹郚は圹員ず執行圹員の12 名で構成されおいる。
デヌタを組織成員の意識や行動の倉化を螏たえお収集
プラむミクス瀟を本研究のリサヌチサむトに遞択した理
するこずをより容易ずする
Kaplan1998䞉矢2002
由は以䞋である。第 1に本研究がスタヌトした 2011幎圓
Greenwood2007
。
時同瀟では顧客関係構築が党瀟的な経営課題ずなっ
アクションリサヌチの難点は研究者自身がアクショ
おいた。この課題が CVの実斜によっお改善される可胜
ンの開始・導入のプロセスにコミットするため研究者
性があったため同瀟からプログラム実斜に぀いおの賛同
による恣意的な操䜜が行われやすくなるずいう点である
を埗るこずができた。
Greenwood2007䞉矢2002
。そこで本研究では
169
第 2 にCVずいうB to B 䌁業に適したプログラムを
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
組織における顧客理解の高床化―アクションリサヌチによるカスタマヌ・ビゞットの導入効果の探玢―
日本䌁業に導入した堎合の効果を確認するこずが本研
ら実斜しおきた無蚘名アンケヌト調査では顧客か
究の課題である。プラむミクス瀟はこの導入䌁業の条件
らの指摘を改善するこずはできおもさらに高い満足
に適合する。すなわち同瀟は産業甚機械を補造する瀟
床に぀ながる掻動を生み出すには䞍十分である。
2経営幹郚の顧客蚪問機䌚はあっおも顧客の満足芁
員数玄 200 名の䞭堅䌁業であり専門分化が高床に進ん
因を共有するための掻動になっおいない。
でいるわけではない。技術生産品質保蚌研究所ア
3顧客の具䜓的な満足芁因を把握するこずで党瀟的
フタヌサヌビスの各郚門は党囜 2 カ所の拠点に集玄され
おおり営業郚門は党囜 3 カ所の集玄されおいる。倚くの
な業務の仕組みの改善などが進むず考えられる。
瀟員は長期雇甚のなかでゞョブロヌテヌションを䜓隓す
以 䞊の 指 摘 ぞ の 察 応策 のひず぀ずしおプラむミ
る。そしお郚門間のコミュニケヌションも良奜である。プ
クス瀟より本 研究グルヌプのメンバヌの䞀人である
ラむミス瀟はB to B 分野における組織の専門分化が
神戞倧孊の栗朚にアドバむスの䟝頌があった。その結果
ゆるやかな日本䌁業のひず぀だずいえる。
プラむミクス瀟はヒュヌレット・パッカヌド瀟で採甚され
以䞊よりプラむミクス瀟は本 研究にずっお劥圓なリ
おいた CV を参考に新たなプログラムを実斜しそのプロ
サヌチサむトだず刀断した。
セスに本研究グルヌプがアクションリサヌチずしお関わる
こずになった。同瀟における CVの導入は単䞀チヌムに
よる詊行的な実斜
2011幎 2-7月ず耇数チヌムによる
â…€. カスタマヌ・ビゞット・プログラムの導入 5
本栌的な実斜
2011幎 8月 -2012 幎 7月の 2 段階で行わ
1. 導入の経緯ず実斜内容の抂芁
れた。詊行的な実斜ず本栌的な実斜は共に①経営陣ぞ
プラむミクス瀟における CVの導入は同瀟が参加しお
の提案ず承認を経お② CVチヌムによる調査そしお
いた 2010 幎 12 月の日本経営品質賞
JQAフィヌドバック
③執行圹員䌚ぞの報告を行うずいう手順で行われた。
を受けお行われた。このフィヌドバックレポヌトで同瀟
なお䞡段階の CVチヌムによる調査の詳现は図 1  2
は以䞋のような課題の指摘を受けた。
に瀺す通りである。
1珟行の顧客満足床調査
プラむミクス瀟が 2003 幎か
図—1 CV チヌムによる調査
詊行的な実斜
CVチヌムによる調査
2011幎
蚪問前
第3回
第1回
第2回
ミヌティング
ミヌティング ミヌティング ミヌティング
1 瀟目
4 月28 日
5月12 日
5月20 日
6月 8 日
蚪問
1 瀟目
6月13 日
蚪問埌
蚪問前
ミヌティング ミヌティング
2 瀟目
1 瀟目
6月13 日
6月22 日
蚪問
2 瀟目
6月22 日
蚪問埌
経営幹郚ぞ
ミヌティング
の報告
2 瀟目
6月30 日
6月30 日
図—2 CV チヌムによる調査
本栌的な実斜
CVチヌムによる調査
2011-2012 幎
蚪問前ミヌ
蚪問埌ミヌ 蚪問前ミヌ
第 1 回ミヌ 第 2 回ミヌ 第 3 回ミヌ
蚪問
ティング
ティング
ティング
ティング
ティング
ティング
1 瀟目
1 瀟目
1 瀟目 2 瀟目
Aチヌム 10 月31日 11 月17日 2 月1日
2 月29 日
3月7日
3月7日
5月14日
S チヌム 10 月19 日 11 月14日 1 月19 日 3月12 日 3月13 日 3月13 日 メヌルでの
ミヌティン
グ
M チヌム 10 月26 日 11 月4日 12 月21日 2 月 8 日
2 月9 日
2 月14日 2 月27日
N チヌム 11 月1日 11 月22 日 1 月26 日 2 月16 日
3月2 日
3月 5日
3月 5日
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
170
蚪問埌ミヌ
最終ミヌ 経営幹郚ぞ
ティング
ティング の報告
2 瀟目
5月14日 5月14日 5月21日 5月24日
3月19 日 3月19 日 4 月12 日 4 月27日
蚪問
2 瀟目
3月1日
3月15日
3月1日
3月15日
3月14日 4 月9 日
3月21日 4 月9 日
組織における顧客理解の高床化―アクションリサヌチによるカスタマヌ・ビゞットの導入効果の探玢―
2. 新たな取り組みの始動
芁性が明らかになった。オヌダヌ情報の共有を進め
䞀連の CVの実斜から浮かびあがっおきたプラむミク
る
サヌビス郚
。メむンテナンスパックの怜蚎を行う
サヌビス郚
。玍入埌のフォロヌを匷化する。突発的
ス瀟の䞻芁な改善課題は2012 幎月の 7月26 日の執行
メむンテナンスの察策を進める。
圹員䌚においお最終的に以䞋の 6 点に敎理され改善の
これらのなかで特に緊急床が高いず執行幹郚が刀断し
取り組みが進められるこずになった。いく぀かの項目に぀
た課題は第 2 の立䌚い怜査の芋盎しであった。そしお
いおは改善のための担圓郚眲が決定された
以䞋の項目
瀟内怜査のデヌタを立䌚い怜査前に顧客に届けるずい
の括匧内が担圓郚眲。
う改善提案がなされた。この改善案を実斜するためには
1顧客䌁業ぞのタむムリヌな察応CV を通じお顧客
工皋の改善をあわせお怜蚎する必芁があるずの議論がな
䌁業偎よりメむンテナンス等に関する連絡ミスの指
された。立ち䌚い怜査の改善に向けた今埌の取り組みの
摘があった。連絡ミスが無いようシステムを再構築す
芁点は以䞋の 2 点である。たず第 1に瀟内での工皋開瀺
る。生産工皋の進捗状況を顧客に䌝えるシステムの
を掚進する。珟状では䞍具合が発生した時に自郚門で
再怜蚎を行う。
なんずかしようずするために党䜓ずしおの察応に遅れが
2立䌚い怜査の芋盎しCV を通じお立ち䌚い怜査に
出るずの意芋が出された。今埌は関係郚眲で情報を共
あたっおは瀟内怜査デヌタを事前に顧客䌁業に届
ける工皋改善の必芁があるこずが浮き圫りになった。
工皋管理システムの再怜蚎を行う
情報システム課
。
立䌚い怜査の内容倉曎を怜蚎する
品質保蚌宀
。怜
有するこずでより効果的な解決策を実斜し玍期の遅れ
を改善するずいう方針が確認された。第 2 に顧客䌁業
ぞの工皋開瀺も進める。こうした情報の共有が顧客䌁業
ずのコミュニケヌションの充実に぀ながるこずの確認がな
査甚ナヌティリティヌの充実をはかる。怜査前の顧客
された。
ずのコミュニケヌションの充実に取り組む。
3玍入仕様曞の䜍眮づけの再怜蚎CV を通じお顧
客䌁業偎は芋積もり段階では现かい仕様はただ確
Ⅵ . CV プログラムの効果
定しおおらず泚文埌に詳现を決めるずいうスタンス
が䞻流であるこずがわかった。芋積もりの䜓制の再
CV は顧客蚪問を越える顧客蚪問である。すなわち
構築を行う
経営幹郚
。
CVずは䌁業の各郚門や個別の担圓者による散発的
4提案営業の匷化CV を通じおコンサルティング力
な顧客蚪問の限界を克服するためのナニヌクな察応の
のある瀟員を育成する必芁があるこずが浮き圫りに
パッケヌゞングである。アクションリサヌチを通じおこの
なった。顧客ずのコミュニケヌションの充実をはか
CVずいうプログラムのさたざたな効果がプラむミクス瀟に
る。営業教育の再怜蚎を行う。業界別察応に取り組
おいおも再確認された。以䞋にその芁点を挙げる。
む。
第 1にプラむミクス瀟の事䟋ではCVの実斜が顧客
5取扱説明曞の充実CV を通じお取扱説明曞の蚘
䌁業ずの関係の深化をうながしたり新たな顧客ニヌズの
述の䞍十分さそしお顧客䌁業ぞの郚品取り寄せ時
理解ず共有をうながしたりしおいた。これは第 1 節で述
間の事前呚知などの情報提䟛の重芁性が明らかに
べたように顧客䌁業ずの盎接的な接觊機䌚の少ない郚
なった。取扱説明曞の改蚂を行うずずもにメむンテ
門のメンバヌが顧客䌁業を蚪問したこずの効果だず考え
ナンス情報の文曞化を進める
広報宀
。
られる。たたその結果ずしお耇数の新たな組織的な取
6メむンテナンス䜓制の充実CV を通じお迅速なメ
り組みが始動した
第 1 節
aに察応。なおこの前提条
むンテナンスのための補修甚䞻芁郚品の垞備の必
件ずしおプラむミクス瀟は高速攪拌機垂堎のリヌダヌ的
171
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
組織における顧客理解の高床化―アクションリサヌチによるカスタマヌ・ビゞットの導入効果の探玢―
な地䜍にあるため顧客䌁業の CV ぞの協力を匕き出し
あった。以䞋ではそのためにプラむミクス瀟でのアク
やすかったず考えられるこずも蚘しおおくべきだろう。この
ションリサヌチなかで生じおいたひず぀の興味深い動き
前提条件はCV を円滑に実斜しやすい䌁業の条件ずも
を振り返る。
なるように思われる。
CVの実斜を通じお浮かびあがっおきたプラむミクス
第 2 にプラむミクス瀟の事䟋ではCV は党瀟的な最
瀟の 6 ぀の改善課題のひず぀に玍入仕様曞の問題 
適化に぀ながる顧客ニヌズの発芋をうながしおいた。これ
すなわち顧客䌁業は玍入仕様曞を自瀟の確定した意向
は第 1 節で述べたように耇数郚門の代衚でチヌムを
を瀺すものずは考えおおらずプラむミクス瀟偎の玍入仕
構成し蚪問に先立っお蚪問先の遞択ずむンタビュヌ内
様曞の䜍眮づけずは霟霬があったずいう問題  がある。
容を入念に蚎議したこずの効果だず考えられる
第 1 節
c
ずはいえ営業郚に限っおいえばこの玍入仕様曞の問
に察応。
題はCV を実斜する以前から呚知の事実であった。そ
第 3 にプラむミクス瀟の事䟋ではCVの蚪問目的は倚
のためCV によりこの問題が指摘されたこずに営業郚は
くの堎合日垞的な営業掻動ずは異なるものずしお明確に
驚いた。すなわち営業郚ではすでに認識しおいた問題
蚪問先䌁業に䌝わっおいた。これは第 1 節で述べたよ
であるにもかかわらず瀟内にはその認識が共有化されお
うにCVの調査チヌムに営業郚門のメンバヌが加わらな
いなかったこずがCVの実斜を通じお顕圚化したのであ
かったこずの効果だず考えられる
第 1 節
bに察応。
る。その理由ずしおは以䞋の 3 点が考えられる。
第 4 にプラむミクス瀟の事䟋では調査チヌムは CVの
第 1に営業の珟堎は担圓する顧客䌁業の認識を熟
実斜プロセスを通じお入念な蚎議を行ったりコンフリ
知しおいたが自瀟の党瀟的な仕組みずの霟霬があるな
クトを乗り越えたりするなどさたざたな困難を乗り越え
かで担圓者あるいはセクション・レベルの局所的な察応
なければならなかった。このような困難があるために第
によっお問題に察凊しおいた。このような察凊療法の暪行
1 節で述べたようにCV は各皮の調敎や確認や助蚀を行
は問題が顕圚化せず党瀟的な課題の共有に぀ながら
うモデレむタヌが参加するプログラムずなっおいるのだず
ないずいう事態を匕き起こしおいた。
考えられる
第 1 節
dに察応
。
第 2 に蚭蚈を担圓し玍入仕様曞を䜜成する技術郚
第 5 にプラむミクス瀟の事䟋では調査チヌムのメン
に぀いおは営業郚からの情報を受けお顧客䌁業の芁
バヌは高い意欲でこれらの困難に前向きに挑んでいた。
望に合わせたその郜床の個別の䜜業を行っおいた。その
これは第 1 節で述べたように実斜に先立ち経営陣の
ため党瀟的な改善提起をする必芁があるずいう認識に
合意を埗おいたこずの効果だず考えられる
第 1 節
eに
たでは぀ながっおいなかった。
察応。
第 3 に圓時経営幹郚は仕様内容の理解に関する別
のトラブルが盞次いでいたこずから別の角床から玍入
Ⅹ . ディスカッション
仕様曞の充実ずいう課題に取り組んでいいた。この結果
党瀟的な仕組みを新たに改善するずいうさらに時間的
本節では第 2 節で提瀺した研究課題ぞの今回のア
な負荷やリスクを匕き受ける取り組みには消極的になっお
クションリサヌチからの瀺唆を蚎議する。本研究の課題
は組織の専門分化がゆるやかな日本䌁業においおも
CV による顧客理解の共有化は組織倉革の動きをうなが
以䞊のようにCV 導入を通じお芋出された玍入仕様
曞に関わる問題は特定の郚門や担圓者が重芁な顧客
すのかそしおもしこの効果が出珟するのであればそ
察応䞊の課題を発芋しおいながらそれが党瀟的に共有
れはどのようなメカニズムによるのかずいう2 ぀の問い
されないずいう問題であった。このこずを螏たえるずCV
ぞの回答の手がかりずなる経隓的な事象を埗るこずで
日本マヌケティング孊䌚 カンファレンス・プロシヌディングス vol.22013
いた。
172
組織における顧客理解の高床化―アクションリサヌチによるカスタマヌ・ビゞットの導入効果の探玢―
を実斜するこずのひず぀の効果は特定の郚門や担圓者
぀の効果的なツヌルずなるこずが確認された。たたその
が顧客の問題を理解するだけでは瀟内に十分に浞透し
効果が出珟するメカニズムに぀いお経隓的な事象を螏た
ない認識が郚門や担圓者を越えた共有ず取り組みぞず
えた仮説提瀺を行うこずができた。
深化しおいくこずにあるず考えるこずができそうである。
顧客志向を個別の郚門や担圓者に啓蒙するだけでは
CVの導入以前にもプラむミクス瀟の営業担圓者は
䞍十分なのはその結果ずしおこれらの郚門や個人によ
同様の顧客理解をしおいたわけだがそれらの情報は瀟
る局所的な問題解決が組織に蔓延しおしたう恐れがあ
内では十分に共有されおいなかった。これは組織の専
るからである。そしおそのために党瀟的でシステマティッ
門分化ずいうよりはコンテクストの理解をずもなわない
クな顧客察応の導入が遅れるのであれば問題である。
情報共有の難しさに加えお課題の解決が局所的に行わ
CVの導入はこのようなマヌケティング問題ぞの察応に
れおしたうこずの逆機胜
Merton1957蚳 pp.46から
有効だずいえる。CV には顧客察応に関する理解の共有
生じた事態である。すなわちこれは長期雇甚やゞョブ
を郚門の壁を越えおうながすこずでよりシステマティッ
ロヌテヌションによる専門分化の緩和や担圓者や郚門
クな顧客察応に向けた取り組みぞず組織党䜓を導く効
間のコミュニケヌションが良奜であるこずだけでは解消
果がある。このこずを本研究ではアクションリサヌチを
しそうにない問題だずいえる。なぜならパッチワヌク的
螏たえお確認するこずでCVの効果に぀いおの理論的説
であるずはいえ課題ぞの察凊ができおいる以䞊圓の
明の拡充を行った。
郚門や担圓者はそれ以䞊積極的に瀟内に働きかけよう
さらに実務に向けおは本研究から以䞋のような瀺唆
ずはしないからである。
を提瀺できる。今日の日本䌁業を取り巻く垂堎環境のも
担圓者や郚門のレベルで県前の課題を迅速に解決し
ずではより耇雑化し倚様化する顧客䌁業のニヌズの充
おいく。このこず自䜓は悪いこずではない。しかしその
足によりシステマティックに察凊しおいく必芁性が高
ために組織がより優れた解決方法の暡玢に向かわなく
たっおいるずの指摘がある
石井2004, pp.55-58。この
なるのであればそれは問題である。CVの導入を通じお
こずを考えるず今埌は組織の専門分化がゆるやかだ
プラむミクス瀟は同様の局所的察応の逆機胜の問題を
ずされる日本䌁業においおもCV による顧客理解の高床
他の局面  すなわち第 5 節で取り䞊げた立ち䌚い怜
化 すなわち郚門の壁を越えた察応が必芁ずなる顧客
査の局面  においおも芋出しおいる。
ニヌズの理解ず共有をはかるこず  が必芁ずされる堎
耇数郚門のメンバヌで盎接顧客を蚪問する CV はこ
面は広がっおいくものず思われる。
うした改善の䜙地のある局所的察応の存圚を発芋し認
最埌に本研究には研究方法に関する貢献ず限界があ
識の共有化ず党瀟的な取り組みの始動をうながすのに有
るこずに぀いおも述べおおきたい。研究方法に関する本
効だずいえそうである。本研究がアクションリサヌチを通
研究の貢献ずしおはわが囜のマヌケティング分野の経
じお芋出したこの仮説的なメカニズムはCVの効果が
隓的研究においおこれたでほずんど採甚されるこずの
組織の専門分化がゆるやかな日本䌁業においおも十分
なかったアクションリサヌチを実斜したずいうこずである。
に期埅できるこずを瀺唆するものである。
ずはいえ本研究で報告したのは導入から幎半のプロ
セスに䟝拠した怜蚎に過ぎない。これに぀いおはわれ
われは今埌も匕き続きアクションリサヌチを継続しお
Ⅷ . 結び
いきたいず考えおいる。たたアクションリサヌチ䞀般に
぀きたずう限界ずしお本研が芋いだした発芋物はシン
本研究では組織の専門分化がゆるやかな日本䌁業に
グルケヌスに䟝拠したものあり倖郚劥圓性が䜎いずいう
おいおもCV は顧客志向の空転を乗り越えるためのひず
173
Japan Marketing Academy Conference Proceedings vol.22013
組織における顧客理解の高床化―アクションリサヌチによるカスタマヌ・ビゞットの導入効果の探玢―
批刀を免れないこずも確認しおおかなければならない。こ
匕甚文献
の限界に぀いおは将来的にCV を導入する日本䌁業が
石井淳蔵
2004
『営業が倉わる顧客関係のマネゞメント』岩波ア
クティブ新曞。
増えおいくこずを願うずずもにその際には本研究で埗
川䞊智子
2005
『顧客志向の新補品開発マヌケティングず技術の
られた知芋の劥圓性をさらに倚数のケヌスで怜蚎し䜓
むンタフェむス』有斐閣。
系化しおいく必芁があるこずを指摘しおおく。われわれず
楠朚建
1998
「機胜マネゞャヌず補品マネゞャヌむノベヌションの
しおは匕き続きプラむミクス瀟の組織倉革の進展を芋守
管理者比范」
『ビゞネスレビュヌ』45
3pp.17-37。
䞉矢裕
2002
「管理䌚蚈システムの導入の研究方法トラむアンギュ
るずずもにCVの掻甚がさらに倚くの日本䌁業に広がっ
レヌションずアクションリサヌチの有効性」
『䌚蚈』161
5, pp.
おいくこずを願っおいる。
96-109。
䞉矢裕
2007
「日次決算導入がもたらす組織行動ぞの圱響‐株匏
泚
䌚瀟ドンクにおけるアクションリサヌチ‐」
『原䟡蚈算研究』31
1 このように情報の入手にあたっお珟堎に盎接出向く方が効率的
1pp.1-13。
ずなるのは情報移転のコストが高い堎合である。Von Hippel
山䞋祐子・犏冚蚀・犏地宏之・䞊原枉・䜐々朚将人
2012
『日本䌁
1994によれば情報の移転のコストが高たるのはコヌド化
業のマヌケティング力』有斐閣。
されおいない暗黙的な情報を入手しようずする堎合その理解
Clark, K. and T. Fujimoto (1991), Product Development
に高床なスキルが必芁ずなる情報を入手しようずする堎合そし
Performance , Harvard Business School Press.
田村明比叀
お必芁な情報量が倚い堎合である。
èš³
『補品開発力日米欧自動車メヌカヌ 20 瀟の詳现調査』ダ
2 CVず類䌌の手法にCooper
2011がボむス・オブカスタマヌ
むダモンド瀟 , 1993 幎
VOC法のひず぀ずしお挙げる
「顧客蚪問チヌム」がある
蚳
Cooper, R. G. (2011), Winning at New Products: Creating Value
pp.216-218。VOC の 8 ぀の手法のなかでも顧客蚪問チヌム
through Innovation , 4th edition, Basic Books.
浪江䞀公蚳
は䌁業の人気が高く有効性が最も高いずされる手法である。
『ステヌゞゲヌト法補造業のためのむノベヌションマネゞメ
CVず顧客蚪問チヌムには顧客蚪問を調査䌚瀟に任せるので
ント』英知出版 , 2012 幎
はなく自分たちでクロスファンクショナルなむンタビュヌチヌム
Corey, E. R. and S. H. Star (1971), Organization Strategy: A
を぀くり実斜するずいう点構造化され入念に䜜成されたむ
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ンタビュヌガむドの必芁性を匷調する点そしお倖郚の専門家
Day, G. S. (1999),“Misconceptions about Market Orientation,”
の支揎を受ける点など倚くの共通点がある。ずはいえ通垞
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VOC の顧客蚪問チヌムはマヌケティング販売
営業技術
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の 3 名皋床で構成されるずいう点は本文で埌述する CVの調
Research: Social Research for Social Change, Second
査チヌムの構成ずは異なる。こうした盞違が生じるのはVOC
Edition , SAGE Publications.
の顧客蚪問チヌムのねらいが新補品のアむデアの獲埗にあるの
Kaplan, R. S. (1998, "Innovation Action Research: Creating
に察しCVのねらいが組織倉革を導くための顧客理解の共有
New Management Theory and Practice," Journal of
化だずいう違いがあるためだず考えられる。
Management Accounting Research, 10(1), pp.89-118.
3 Day
1999は顧客志向の誀甚の䞀䟋ずしお䌁業の各郚門が
Kaplan, R. S., and D. P. Norton (2001), The Strategy-focused
ばらばらに顧客にアプロヌチし自郚門に郜合のよい話を匕き
Organization: How Balanced Scorecard Companies Thrive
出し党䜓ずしおの䌁業を迷走させる問題を挙げおいる。
in the New Business Environment , Harvard Business
4 以䞋のプラむミクス瀟の抂芁は同瀟の資料にもずづいおいる。
School Press.
5 以䞋のカスタマヌ・ビゞット・プログラムの導入の経緯はプラ
Kennedy, K. N., J. R. Goolsby and E . J. Arnould (20 03),
むミクス瀟の資料およびアクションリサヌチを通じおわれわれ
“ Implementing a Customer Orientation: Extension
が収集した䞀次デヌタにもずづいおいる。
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Japan Marketing Academy
Conference Proceedings vol.2
2013 幎11月10 日発行
Online edition : ISSN 2188-1677
発行者 石井淳蔵
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