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ウェーブメモリとマイクロコンピュータを用いた積算器
の製作
二木, 治雄
琉球大学理学部紀要 = Bulletin of the College of Science.
University of the Ryukyus(42): 49-64
1986-10
http://ir.lib.u-ryukyu.ac.jp/handle/123456789/12547
Bulletin of the College of Science
University of the Ryukyus No.42:49-64 (1986)
Co~struction
of signal averager using wave memory
and microcomputer
Haruo NIKI
Department of Physics, Division of General Education,
University of Ryukyus, Nishihara, Okinawa 903-01, JAPAN
(Received 21 May 1986)
Abstract
Signal Averager is constructed using wave memory (NF product: WM-852)
and microcomputer (Hitachi product: BASIC MASTER LEVEL 3 MARK 5).
Memory capacity, sampling time, and averaging number of the signal averager
are 1024 words, 50 n sec -1 sec, and maximum 256, respectively.
Sweep time
of high speed compared with conventional averager is realized with our apparatus.
BASIC and ASSEMBLER are used for computer language.
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ＨａｒｕｏＮＩＫＩ
5０
２装通
２－１ウェーブメモリ】Ｉ
ウェーブメモリは、人間の目には見えない高速の現象を記録しぃ再生速度を変えて、人'１１１
の目で、その現象を観illIできる様に、記録されたデータを１１}生できる機器である。
ウェープメモリは、入力部、Ａ/Ｄ変換部、メモリ部、出力部よりなる。ウェーブメモリと
しては、ＮＦ製ＷＭ－８５２を使用した。ＷＭ－８５２は、通常仕様で２チャンネルの入力回路を有
するが、都合により１チャンネル仕様を使用した。ウェープメモリのブロック図を図ｌに示
す。
⑤⑤④□⑥～壷
▲埒
科］
三J-蒜
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Fig.１．Ｂｌｏｃｋｄｉａｇｒａｍｏｆｗａｖｅｍｅｍｏｒｙ（modelWM-852productedbyNF)．
入力信号は、入力結合回路、入力減衰器、入力アンプを経てＡ/Ｄ変換器に加えられる。Ａ／
Ｄ変換器は８ビットからなり、変換速度は50,秒である。メモリはＢＩＰＯＬＡＲＲＡＮＤＯＭ
ＡＣＣＥＳＳＭＥＭＯＲＹで、メモリの記憶容量は、１チャンネル1024ワードである。デジタル
偏号として記録された入力偏号は、Ｄ/Ａ変換器を通して、適当な速度に設定されたスピー
ドで、アナログ信号として出力され、Ｘ－Ｙレコーダ等で記録できる。
入力信号に対するトリガ動作には、外部、内部、マニュアルの３動作がある。外部トリか
は、ＡＲＭ動作の後のトリガ信号で動作する。そのトリガ信号は、トリか入力アッテネータ
切換器、トリかカップリング･切換器、トリガスロープ切換器、トリガレベル切換器を通って
デイレイ回路に入る。デイレイ回路ではトリか信号を設定された時間だけ遅らせてから、
メモリ動作をスタートさせるか、または、ストップさせる。内部トリガは、入力信号（記録
する信号）によってトリか信号を発生させるモードで、その後の動作は、外部トリガと同様
になる。マニュアルトリガは、ディレイ回路の後から入力されるので、遅延動作を行うこと
Constructionofsignalaverager
5１
Ｉ土できない。
2－２マイクロコンピュータ
マイクロコンピュータは、日立製ベーシックマスターレベル３マーク５である:)レベル３
マーク５は、ＭＰＵに究極の８ビットといわれる6809を装伽した８ビットマイクロコンピュ
ータである。ＲＡＭは、６４Ｋバイト（ＢＡＳＩＣ時は40Ｋバイト）で、ＤＩＳＫベーシック使用時の
メモリーマップを、図２に示す｡(５）
ＷＯＲＫＡＲＥＡ（１）
（１）
２
aHO400
０噸
aHOOOO
-……･GRAPHIC…･….． 鰍…
----..RAM
〆5Ｂ｢『--鞠.、
COLOR
RAM
ARE"…(§1..
(4)
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ＷＯＲＫＡＲＥＡ（２）
USER
ＲＡＭＡＲＥＡ
&H8AFC
35580
DlSKBASIC
RAMAREA
aＨＡＯＯＯ
40960
ROMＡＲＥＡ
BASIC
＆
MONITOR
(24KBYTE）
&HFFOO
aHFFFF
I/OADDRESS
INTERRUPT
VECTＯＲ
65280
65535
Fig.２．Memorymapofmicrocomputer(ＢＡＳＩＣＭＡＳＴＥＲＬＥＶＥＬ３ＭＡＲＫ５ｐｒｏｄ・
uctedbyHitachi)．
2－３ＰＩＡ
ＰＩＡとは、PeripherallnterfaceAdapterの略で、ＭＰＵと周辺装置との間を電気的に並列
に適合させるものである｡３Ｍ）
ＰＩＡの特長を列記すると次の様になる。
1)ＭＰＵとの間のデータのやりとりは、８ビット双方向データバスである。２)ＭＰＵとデ
ータのやりとりをするポートが２つある。３)どのポートもビット毎にデータのやりとりが
できる。４)割り込み制御のできるラインが４本ある。５)ＭＰＵとＩ／Ｏとのデータのやり
とりを自動的に行うハンドシェーク機能がある。６)以上の各機能はすべてプログラムで制
御できる。７)データーバスは、高インピーダンスでスリーステートドライバであり、入力
時には標準ＴＴＬ１個の負荷を接続することができる。またＢポートの出力時にはＮＰＮの
トランジスタ１個を直接ドライブすることができる。
5２
ＨａｒｕｏＮＩＫＩ
IＲＱＡ３８
lntemPIStat塵
ＣＯ㎡､CIA
Contrd
Regﾋﾞ甑Ａ
RＡ
Ｄｏ３３
ｑ２９
alaDi”Ction
RegisterA
Dataas
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Bufね盾
（ＤＢＢ）
Ｂ）
outputB喧
冒6pr5U1￣１
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Pe｢iphe厄I
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Regder
（BIR）
A
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Buslnput
ＣＳｚＺ３
ＲＳｏ３６
ＲＳ３５
Ｒ/Ｗ２１
Ｅz５
PeTipheral
lnterface
Cｈ lｐ
B
Select
and
R/Ｗ
ＣｏｍｒｏＩ
。‐Ｊｎａ氏ａ３
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’一
ＣＳｏ２２
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幅内ｍｍＰＰＰＰ
ＳＳ＝Ｐｉｎｌ
旧川Ⅲ口腔暗応而
ＶＶ
ｃｃ＝Ｐｉｎ２０
恥恥剛恥恥恥叫恥
Ｄ６２７
Ｄ７２６
２３４５６７８９
Ｄ５２８
３９ＣＡｚ
RegiSterA
Ｄ１３２
Ｄｚ３１
ｑ３０
ﾑOＣＡ８
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ＲＥＳ３４
Conlnol
ＤａｔａＤｉ殖ction
RegisterB
にＲＢＩ
RegisterB
pDRB）
ｒｒｕｐＩＳ巴
ｌＲＱＢ３７
ｏｎｔｒｃＩ
Fig.３．BlockdiagramofPIA（PeripherallnterfaceAdapter)．
ＰＩＡ
ｕＣ５８２１
Fig.４．ＰｉｎａｓｓｉｇｎｍｅｎｔｏｆＰＩＡ．
l８ＣＢ１
１９ＣＢ２
ConstrL1ctionofsignalaverager
5３
PIAのＢＬＯＣＫ図は、図３に示す。又、ＰＩＡのピン配置図を区１４に示す。
２－４ウェーブメモリのI/Oポート
ウェーブメモリは、入出力制御のために、コントロールI/O、ディジタルデータＩ／Ｏ、デ
ィジタルアドレスI/Oを有し、そのピン番号は、図５に示す。今回は、その内のコントロー
ルI/O、およびディジタルデータI/Oを使用している。
コントロールＩ／Ｏ
1）READ/ＷＲＩＴＥ
WRITEの外部制御信号入力。（Ｈ)→(L)の信号でREAＤ状態からＷＲＩＴＥ状態に変化。
2）ＲＥＰＥＡＴ/ＳＩＮＧＬＥ
読み出しモードの外部制御信号入力。（Ｈ)レベルでＲＥＰＥＡＴ、（L)レベルでSINGLEo
3）ＡＮＡLOG/DIGITAL
ANALOG/DIGITALの外部制御信号入力。（Ｈ）レベルでＡＮＡＬＯＧ、（Ｌ)レベルで
ＤＩＧＩＴＡＬｏ
４）（－)/(＋）
ディレイの(－)/(＋)外部Ilill御信号入力。（Ｈ)レベルで(－)、（L)レベルで(＋)。パネル面
のスイッチは(－)側に設定。
5）ＭＡＳＴＥＲ/ＳＬＡＶＥ
ＭＡＳＴＥＲ/ＳＬＡＶＥのステイタス信号出力。ＭＡＳＴＥＲで(Ｈ)レベル、ＳＬＡＶＥで(L)レ
ベル。
6）RESET
RESETの外部入力信号、パルス幅は、”秒程度の負パルスが最適。
7）DELAYTRIG
デイレイのかかるトリか信号入力。パルス幅は、1/f秒以上の負パルス。
8）ＭＡＮＴＲＩＧ
ＭＡＮＴＲＩＧの外部入力信号。パルス幅は、１匹秒以上の負パルス。
９）ＳＴＡＲＴ
ＳＴＡＲＴの外部入力信号。パルス幅はｌ似秒以上の負パルス。
10）ＷＲＩＴＥＥＸＴ
ＷＲＩＴＥＣＬＯＣＫの外部制御信号入力。
11）ＷＲＩＴＥＣＬＯＣＫ（SAMPLINGPERIOD）
ＷＲＩＴＥＣＬＯＣＫ入力。負パルスの立下りで、ｌサンプル、データ書き込み。
12）ＲＥＡＤＥＸＴ
ＲＥＡＤＣＬＯＣＫの外部制御信号入力。（Ｈ)→(L)で内部より外部クロック動作に変化。
13）ＲＥＡＤＣＬＯＣＫ
ＲＥＡＤＣＬＯＣＫ入力。負パルスの立下りでｌワード、データ読み出し。
14）READ/ＷＲＩＴＥＳＴＡＴＵＳ
ＲＥＡＤ/ＷＲＩＴＥのステイタス信号出力。（Ｈ)レベルでＲＥＡＤＳＴＡＴＵＳ，（L)レベルで
ＷＲＩＴＥＳＴＡＴＵＳｏ
１５）ＲＥＡＤＹＳＴＡＴＵＳ
ＲＥＡＤＹのステイタス信号出力。（Ｈ)状態でＲＥＡＤＹ。
●
ＨａｒｕｏＮＩＫＩ
5４
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麺ＣＯＮＴＲＯＬ
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Ｉ／Ｏ
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Fig.５
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Pinassignmentatl／Ｏｐｏｒｔｓｏｆｗａｖｅｍｅｍｏｒｙ．
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／ｏ
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ＧＮＤ
Fig.５．Ｐｉｎａｓｓｉｇｎｍｅｎｔａｔｌ／Ｏｐｏｒｔｓｏｆｗａｖｅｍｅｍｏｒｙ．
16）ＡＲＭＣＯＮＴＩＮ
ＡＲＭの外部制御信号入力。パルス幅は１β秒以上の負パルス。
17）ＢＵＳＹＳＴＡＴＵＳ
ＢＵＳＹのステイタス信号出力。（L)状態でＢＵＳＹｏ
１８）ＳＴＲOBE
読み出しのデータストローブ信号出力。パルス幅は250,秒の負パルス
注）ｌ、５，６，７，８，９，１１，１９は､マスタ時出力、スレーブ時入力端子となる。
スレーブ動作である。
通常は、
Constructionofsigna］averager
5５
ディジタルアドレスＩ／Ｏ
ディジタルデータの入出力接栓で、ディジタルデータを処理する場合に使用する。信号
はＴＴＬレベル、負論理、オフセットバイナリである。ディジタルでデータを入出力する時
には、外部よりデバイスの指定のため、端子２３，２４，２５を(L)レベルにする必要がある。
ディジタルデータｌ／０
ディジタルアドレスの入出入接栓として使用する。信号は、ＴＴＬレベル､負論理、ストレ
ートバイナリである。書込み、読み出し時に外部よりアドレスを指定する場合、外部クロッ
クと外部アドレスコントロールで指定する。
２－５ウェーブメモリとＰＩＡの接続
ウェーブメモリとＰＩＡの接続を図６に示す。ウェーブメモリのステイタス信号関係は、
各ＰＩＡのＣＡ１、ＣＢｌ端子に接続された。パルス入力が必要な、スタート、リードクロック、
リセット、マニュアルトリかは、パルスモードを利用できるＣＡ２、ＣＢ２端子を利用した。
アナログ入力で書き込み時、ディジタル入力で書き込み時、シングル状態で読み出し時の
w」 ＝
、堅監T（
ＢＵＳＹＳｍＫＴＵＳ
ＲＥＡＤＣＬＯＣＫ
READMRITE
READEXT
REPRIiHSINGLE
MAST/SLAyE
RESET
‘lIWiIH5)誌{閥
（‐)ノ(+ｊ
ＷＲｌＴＥＥＸＴ
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RＥＡＤＹＳＴＡＴＵＳ
ＭＡＮＴＲＩＧ
＝
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＝
ＲＡＯ
ＲＡ１
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ＦⅢN３
ＰＡ４
ｐＡ５
ＲＡ６
ＲＡ７
ＣＡｌ
PＯＲＴＡ
＄ＦＦ６０
＄ＦＦ６１
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PＢＯ
ＰＢ１
ＰＢ２
ＰＢ３
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ＰＢ５
ＰＢ６
ＰＢ７
ＣＢ１
ＣＢ２
CＯＮＮＥＣＴＯＲ
PＯＲＴＢ
$ＦＦ６２
$FＦ６３
ＰＡＯ
ＰＡ１
ＰＡ２
ＰＡ３
ＲＡ４
ＲＡ５
ＰＡ６
ＦＡ７
ＣＡ１
ＰＯＲＴＡ
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CＯＮＮＥＣＴＯＲ
ＰＢＯ
ＰＢ１
ＰＢ２
ｐＢ３ＰＯＲＴＢ
藍(鰯）
ＰＢ７
ＣＢ１
ＣＢ２
Fig.６．DiagramconnectmgwavememorywithＰＩＡ．
タイムチャートを、それぞれ、図７，図８，図９に示す。これらのタイミングチャートを参
照して、コンピュータプログラムを作成した。
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７９ＩｊＡＤＲ＝＆Ｈ７ＦＯＱ＋エ升回
ＢＯＯＳＵ＝ＰＥＥＫ（ＡＤＲ＋１）岳三ｓと＋ＰＥＥＫ（ＡＤＲ）
Ｂ１０ＱＵＴ＝ＳＵ′ＤＩＶ
Ｂ三〔ｌＺＦＱＵＴ＝〈ＺＳＳＴＨＥＮＧＤＴＤＢ４０
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Ｂ７ＯＲＥＴＵＲＮ
ＢＢＩ:ＩＲＥｌｖＩ－－－ＡＵＴＯ１ｖＩＡＴＩＣＳＵＢ－－－－
Ｂ９ＯＬＥＴｌｖｌｌｖｌ＝１
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Fig.10（Continued)．
る。４１０行から６２０行までは、ウェーブメモリからコンピュータヘの入力や積算されたデー
タの割り算結果が格納される＆H7BOO番地～＆H7EFF番地（1024バイト）を、ディスプ
レイに表示する。730行から870行までは、＆H7FOO番地～＆H86FF番地にためられた積算
結果を適当な与えられた数で割って、その結果を＆H7BOO番地～＆H7EFF番地に格納
するプログラムである。８８０行から1140行までは、積算作業を自動化している。このプログ
ラムでは、途中で積算結果を中断して、その結果をディスプレイで観察して、その後、積算
Constructionofsignalaverager
5９
を継続できる特徴を有する。
３－２アセンブラプログラム
アセンブラプログラムは、図11に示す:)'7),Ｇ１このプログラムは、ウェーブメモリをコントロ
ールして、積算を効率的に行うためのプログラムである。＆H7000番地～＆H7033番地まで
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Fig.１１．（Continued)．
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Fig.１１．（Continued)．
6１
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升升ＥＲＲＯＲＣ□ＵＮＴＣ
Fig.１１．（Continued)．
は、ＰＩＡの入出ポートを初期化する。＆H7034番地～＆H7047番地では、ＰＩＡ１のポートＡ
を入力に設定する。＆H7048番地～＆H705B番地では、ＰＩＡ１のポートＡを出力に設定する。
図６よりわかる様に、ＰＩＡ１のポートＡは、データ入出力ポートである。＆H705C番地～＆
H70EC番地までは、ウェーブメモリの各モード設定である。
＆H70ED番地～＆Ｈ７０Ｆ８番地は、積算データ領域＆H7FOO番地～＆H86FF番地をクリ
アする。
＆H70F9～＆H712C番地は､ウェーブメモリのデータをコンピュータに転送して＆Ｈ７ＢＯＯ
番地～＆H7EFF番地に保;存し、＆H7FOO番地～＆H86FF番地の領域にＤＡＴＡを積算する。
＆H712D番地～＆H7168番地では、コンピュータのデータをウェーブメモリに再転送する。
ConstructionofsignalaverageT
O
6３
＆H7169番地～＆H7181番地は、6M算命令である。
＆H7182番地～＆H71B4番地では、自動的に穂算を行う。
４蟻輪
データーを樅算した結果は、図12に示す。
入力レンジを岐小入力電圧レンジである０．１Ｖ（ｐ￣ｐ）レンジにして、入力電圧約0.06Ｖ
を入力した｡入力波形はサイン波で､周波数は10Ｈｚである｡ウェーブメモリのサンプリングタイ
ムは、２，秒であった.Ｘ－Ｙレコーダへの出力は、サンプリングタイム0.1秒で行った。
(a）
(b）
Ｈ１，
Fig.12．Signaloutputprocessedbythecomputer：（a）onemeasurement；（b）Ｄａｔａ
□
averagedovertenmeasurments．
図12で（ａ）は１回の測定で、入力電圧が小さいので、ほんのすこしであるが、雑音がのっ
ている。しかし、１０回秋算を行った（ｂ）では、雑音は消えている。双方の波形も同一で、
十分の械算能力があることが、証明された。
今後の問題点は、表示、および除算速度をはやめてより使い易くすることである。
鮒辞
本研究をまとめるにあたって、教養部の伊芸諒寛教授に御助言を戴いたことを心から感謝
します。また、1985年度卒研生（物理学科）であった梅木辰夫、大城一文、および1986年度
卒研生（物理学科）上地宏一、津波篤夫、比嘉正、辺土名浩の諸氏の御助力に感謝します。
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ＨａｒｕｏＮＩＫＩ
文献
1）
｢MODELWM-852ウェーブメモリ取扱説明轡」（ＮＦ)。
2）
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3）
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４５６７８
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星山浩樹､｢はじめて読む6809｣(アスキー)(1984)。