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R
ドイツのリングフェダー社とベルリン工科大学が共同で開発した独創的な軸・ハブ締結要素シュパンリングを我々、竹田商事(株)
が国内の機械業界にご紹介して以来、多くのエンジニアからこのメカニズムが支持され、日本の工業界においてもごく一般的な機械
要素として認知して戴くまでになりました。しかしながら、素晴らしいアイデアから生まれた製品にはコピー商品が出回るのは世の
常です。対比的に考えればコピー商品が出回って初めて本物が存在するのですが、長年のノウハウとバックデータそして実績を持っ
ているオリジナル製品とコピー商品は果たして同一のものでしょうか?ノウハウを持たずコストのみを追求し開発コストをかけず、
安易に外観コピーした商品が、トライ&エラーを繰り返してきたオリジナルメーカの隠された開発トレースや素材・製法までコピー
するのは難しいことです。
しかし設計者が一体どの製品が品質的に優れているのか?採用前に逐一実験評価するのは困難です。
そのため長期的な視野でマシー
ンエレメントを選択しなければなりません。目先のコスト低減を優先するあまり、軽度な事故でも復旧と信頼回復コストが数千倍・
数万倍になることがしばしばあります。
コスト低減を追求しながら高性能化・コンパクト化・高寿命化などの二律背反を実践するために、もっとも大切な技術情報は限界設
計の見極めに関するものです。数多くの要素の集合体であるマシーンがより完成度を高め、さらに最終的には総合コストを低減する
ために、
設計時に危険度の判断や無駄を省き機構の改善アドバイスなどの高付加価値のノウハウを提供できる製品がどれなのかを判
断しなければなりません。
私たちは、それらのノウハウをうまく設計者にお伝えすることが私たちの最も重要な課題であると信じ努力しています。しかしそれ
らのノウハウのすべてをこのカタログ上に表現するのは不可能ですので、
ここでは製品の輪郭だけにとどめていることをご理解戴き、
設計時には是非とも当社の技術情報あるいはメーカコネクションをご利用戴きますようお願い致します。
大阪本社 : 530-6591 大阪市北区中之島 3-6-32
TEL : 06-6441-1503
FAX : 06-6441-1916
東京営業所: 113-0033 東京都文京区本郷 3-5-2
TEL : 03-3815-6501
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名古屋営業所: 460-0008 名古屋市中区栄 1-22-16
TEL : 052-203-1103
FAX : 052-203-1104
http://www.takeda-trade.co.jp
[email protected]
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R
特長
............................................................................................................................................ 4
規格表
............................................................................................................................................ 6
規格表説明
............................................................................................................................................ 7
ハブ必要外径寸法(1set 使用時)............................................................................................................................. 8
ハブ必要外径寸法(複数使用時)............................................................................................................................. 9
計算
............................................................................................................................................ 10
ハブと中空軸の計算
............................................................................................................................................ 11
組み付け・分解
............................................................................................................................................ 12
設計上のヒント
............................................................................................................................................ 13
実用例
............................................................................................................................................ 16
公差表
............................................................................................................................................ 18
技術質問シート
............................................................................................................................................ 20
3
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特長
RINGFEDER シュパンリング RfN7012 は、クサビと摩擦を活
用した画期的な機械式力ばめ締結要素で、
シンプルなメカニズ
ムと強靱な部材は、他の締結方法にない特徴を持ち、世界各国
における 40 年来の耐用実績から、その信頼性を高く評価され
ています。
F i g . 1 シュパンリング RfN7012
均質な面圧力による伝達性能
RINGFEDER シュパンリング RfN7012 の 1 セットの伝達可能
トルクが要求トルクに比べ不足するとき、
複数使用することに
よって伝達力の増加が可能ですから超重負荷にも対応できま
す。(6 ページ参照)
高い信頼性
このカタログに示されている伝達トルクおよびスラスト伝達力
は保証値であり、規格表のトルク T スラスト Fax 容量内の負
荷であれば、静的、動的、あるいは、衝撃的荷重であっても許
容します。
豊富な経験と各種の試験によって、
シュパンリングと軸および
ハブの接触面にはオイルを塗布し、摩擦係数μ=0.12にされる
ことを推奨します。
簡単な機械加工
軸とハブ穴の表面加工の許容値は、Ra ≦ 3.2 μ m ですから精
度管理はきわめて容易です。
高い互換性
シュパンリング RfN 7012 の内外輪の径方向変位量は大きくと
れますので、
ルーズなはめあい公差でもトルク損失なく使用で
きます。(7 ページ参照)
簡単な取付け
シュパンリング RfN 7012 は、焼きばめの組立時のように、軸
とハブの温度差は不要で、
適正なトルクレンチとソケット類が
あれば、簡単に固定できます。
4
R
簡単な取外し
シュパンリング RfN 7012 の構造は、対向した2 個のクサビと
内・外輪およびロッキングボルトで構成され、輪バネの基本原
理に基づいて設定されたダブル角のクサビ(約 28 度)は分解に
際しても、ロッキングボルトを緩めるだけでリラックスし、同
時にハブも軸上を自由に移動させることができますから分解、
再調整がたやすくなります。
悪環境における高い順応性
ロッキングボルトを締めた後は、各接触面が完全に密着し、機
能面への異物や錆の侵入を防ぎます。
無限の適用範囲
シュパンリング RfN 7012 は、あらゆる形状のハブ、ボスと軸
の締結に適合し他の締結方法たとえば圧入、キー、スプライ
ン、コッタなどが用いられた箇所には、すべて使用可能です。
実用例として、ギアーホィール、チェインスプロケット、カム、
カムプレート、ベルトプーリ、ブレーキディスク・ドラム、フ
ライホィール、各種カップリング、クラッチ、中空軸タイプ減
速機、フランジ、ロープドラム、トラックホィール、インペラ
などについては特に絶対の信頼性をもって締結できます。
高度の位置調整機能
シュパンリング RfN 7012 は、
軸上に段付きを必要としません
ので、ハブを軸上の任意の位置に固定でき、さらに取付け角度
も無段階に調整できます。
完全な走行性
シュパンリング RfN 7012 は、
完全な面接合の摩擦締結要素で
すから、どの部分においてもアソビ(ガタ)はありません。
高寿命
シュパンリング RfN 7012 の締結後は、
可動部分がまったくあ
りませんので、金属疲労の蓄積がなく、必要に応じてロッキン
グボルトを更新するだけで数次の取付け取外しを行なうことが
できます。
両振り軸に対する高い疲れ強さ
シュパンリング RfN 7012 は、軸・ハブ穴ともキー溝を必要と
しませんから、
最小の切り欠き効果と最大の極断面係数を有効
に活用することによって、
より耐久力のあるコンパクトな設計
ができます。
過負荷保護機能
シュパンリング RfN 7012 は、
摩擦力で負荷を伝達する機構で
すから、正しい設計と組立てがなされているとき、能力以上の
負荷を感知したときシュパンリングは必ずスリップし、
より重
要なパーツを保護することができます。
このような目的でシュ
パンリングをご使用されるときは、
あらかじめ適正な関連部材
についてご相談ください。
簡単な設計計算
このカタログは設計に必要なデータを早見表で用意されていま
す。
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シュパンリング RfN7012 規 格 表
寸法
伝達許容量
トルク
接触圧力
ロッキングボルト 締付トルク 取外し用
DIN912-12.9規格
指定値
タップ穴
スラスト シャフト側 ボス側
本数
6
質量
R
規格表説明
組込み条件
件::
組込み前に、シュパンリング RfN 7012 と軸・ハブの各接触面
にオイルを塗布された状態で規格値T, Fax, p, p' は適合します。
(摩擦係数 μ =0,12)
詳細については、取扱説明書をご参照ください。
L1
dD
D
d
l
L
表面あらさ :
軸・ハブ穴とも
Ra ≦ 3.2 μ m
Fig.2 RINGFEDER シュパンリング RfN 7012
d x D, L, I, L1 = 基本寸法、締付け前
T
= 伝達可能トルク
Fax = 伝達可能スラストカ
p
= 接触面圧、対軸
p'
= 接触面圧、対ハブ穴
TA = 締付けトルク、ロッキングボルト 1 本当り
(トルクレンチをご使用のこと)
dD = 分解用補助タップ径、フロントスラストリングの 2
∼ 5 カ所に設けてあり、その設置箇所はメッキボル
トが配置されています。
(ご注意 締付け時メッキボルトも TA 値で締付けま
す。)
はめあい公差
差::
シュパンリング RfN 7012 の内外輪には、Fig.2 のように、ス
リットがあるため、径方向の変位量は大きく、比較的ルーズな
公差でも対応し、伝達トルクの損失もありません。公差のガイ
ドラインは下記のとおりです。しかし、シュパンリング RfN
7012のスラストリング(くさび)に偏荷重をあたえないように、
軸(d)がマイナス公差の時はハブ穴(D)はプラス公差にし、
逆に、
軸(d)がプラス公差の時はハブ穴(D)はマイナス公差にします。
つまり、、軸(d)側とハブ穴(D)側のクリアランスは、できるだけ
等量になるよう選定してください。等量でない場合は、その差
が IT 9 を超えないようにご注意ください。
軸 :: k11 ∼ h 1 1 の 全 公 差
穴:: N11 ∼ H 1 1 の 全 公 差
ハブ穴
適合例
複数使用時の伝達可能トルク :
伝達可能トルク T では不足の場合は、複数の RfN 7012 を使用
することによって、伝達トルクの増加が可能です。
n sets の伝達可能トルク Tn は次式のとおり整数倍です。
DN D
R
b
1
Tn=n x T (n ≦ 4sets)
d
シュパンリングの能力アップと使用限界
シュパンリングの能力アップと使用限界::
シュパンリング RfN 7012に組込まれているロッキングボルト
の強度区分は 12.9 ですが、規格表の締付けモーメント TA は
10.9 を基準にして設定していますので、軸・ハブの剛性に余
裕がある場合は、ロッキングボルトの締付けモーメントを約
120%まで増やし、伝達可能トルクを増加させることができま
す。
(強度区分 12.9 の締付けモーメント TA 値は 10 ページを参照)
一方、よりコンパクトなデザインをする場合や、軸・ハブの剛
性が不足するときは、
締付けモーメントを抑えることによって
可能となります。ただし許容下限界は規格値 TA の 60% です。
センタリング
F i g . 3 シュパンリング RfN 7012 によりハブを締結
DN
=
b ≧ L1
ハブの必要外径寸法
(8、9 ページ参照)
(L1 は 6 ページに記載)
シュパンリング RfN 7012 のみで、軸とハブの完全な芯出しを
行うことはできませんので、上図のように Centering(イン
ロー)部分のクリアランスとハメアイ長さが、設計上重要なポ
イントとなります。特に高い回転精度を要求される場合、イン
ロー部のクリアランスはできるだけ小さく、
またハメアイ長さ
も軸径以上にされるようお勧めします。
機構的にハブの長さ等
に制約がある場合はご相談下さい。
規 格 値 の 6 0 % ∼ 1 2 0 % の領域において、
T , Fa x, p, p' の
の領域において、T
使用時以外
%使
各データ間には比例関係が成立します。
100%
、ハブの必要外径
の中空軸の許容穴径 d a と 、
ハブの必要外径 D N に つ い て
は 1 1 ページの数式で求めることができます。
7
シュパンリング
RfN 7012
DN (mm)
必要最小ハブ外径寸法
ハブの材料降伏点
Rp0.2 (N/mm2)
寸法
ボルトの
締め付け
トルク
dxD
mm
TA
Nm
150
180
200
220
250
270
300
350
400
14
14
14
14
14
14
14
14
14
14
14
35
35
35
35
35
35
35
70
70
70
70
70
70
125
125
125
125
125
125
125
190
190
190
190
295
295
295
405
405
580
580
780
780
780
780
1000
1000
1000
1000
69
69
69
75
75
82
82
96
96
105
105
130
130
132
132
151
152
169
196
200
203
223
226
247
265
269
302
297
330
347
374
380
408
413
430
470
530
578
585
642
693
700
748
762
790
828
853
865
895
925
65
65
65
70
70
77
77
87
87
96
96
117
117
120
120
136
138
152
176
180
184
199
203
219
236
242
268
270
296
312
335
344
366
375
390
428
475
518
533
572
618
636
680
700
715
758
786
800
825
855
62
62
62
67
67
74
74
84
84
92
92
111
111
114
114
128
131
143
166
171
175
189
193
208
223
230
254
257
282
297
317
328
349
357
372
408
453
490
507
545
590
610
653
670
690
726
755
770
800
825
61
61
61
66
66
72
72
81
81
89
89
107
107
111
111
123
126
138
160
165
169
181
186
199
214
222
243
250
272
286
304
316
336
346
360
395
436
472
492
526
568
588
630
646
665
705
732
750
775
805
59
59
59
63
63
69
69
78
78
85
85
103
103
106
106
118
121
132
152
157
161
173
178
189
203
212
231
240
260
273
291
302
321
333
346
379
416
450
472
505
545
564
605
623
640
675
705
725
750
775
58
58
58
62
62
68
68
76
76
84
84
100
100
104
104
115
118
128
149
153
158
169
173
185
198
206
225
234
252
266
284
296
313
325
338
370
405
440
462
493
533
553
592
610
630
660
695
715
740
765
57
57
57
61
61
67
67
74
74
81
81
97
97
101
101
111
115
124
144
148
154
164
168
178
192
200
218
228
245
258
275
288
303
316
329
360
394
425
450
480
517
537
575
594
615
650
675
695
715
740
55
55
55
59
59
65
65
72
72
79
79
93
93
98
98
107
111
120
138
143
148
158
162
172
184
193
209
220
237
249
265
278
292
305
317
348
380
410
433
462
500
519
556
576
595
625
655
675
695
720
54
54
54
58
58
64
64
71
71
77
77
91
91
95
95
104
108
116
134
139
144
153
157
166
178
187
203
214
230
242
257
270
284
298
310
339
369
396
423
450
486
506
542
562
585
608
640
660
680
705
19
20
22
24
25
28
30
32
35
38
40
42
45
48
50
55
60
65
70
75
80
85
90
95
100
110
120
130
140
150
160
170
180
190
200
220
240
260
280
300
320
340
360
380
400
420
440
460
480
500
x
x
x
x
x
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x
x
x
x
x
x
x
x
47
47
47
50
50
55
55
60
60
65
65
75
75
80
80
85
90
95
110
115
120
125
130
135
145
155
165
180
190
200
210
225
235
250
260
285
305
325
355
375
405
425
455
475
495
515
545
565
585
605
シュパンリング
RfN 7012
dxD
mm
19
20
22
24
25
28
30
32
35
38
40
42
45
48
50
55
60
65
70
75
80
85
90
95
100
110
120
130
140
150
160
170
180
190
200
220
240
260
280
300
320
340
360
380
400
420
440
460
480
500
x
x
x
x
x
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x
x
x
x
x
x
x
x
ハブの材料降伏点
Rp0.2 (N/mm2)
ボルトの
締め付け
トルク
寸法
47
47
47
50
50
55
55
60
60
65
65
75
75
80
80
85
90
95
110
115
120
125
130
135
145
155
165
180
190
200
210
225
235
250
260
285
305
325
355
375
405
425
455
475
495
515
545
565
585
605
DN (mm)
必要最小ハブ外径寸法
TA
Nm
150
180
200
220
250
270
300
350
400
14
14
14
14
14
14
14
14
14
14
14
35
35
35
35
35
35
35
70
70
70
70
70
70
125
125
125
125
125
125
125
190
190
190
190
295
295
295
405
405
580
580
780
780
780
780
1000
1000
1000
1000
79
79
79
87
87
96
96
113
113
127
127
168
168
163
163
200
192
223
258
257
256
294
291
335
359
347
409
368
425
447
493
480
525
511
531
582
682
764
725
800
864
868
929
931
932
1009
1026
1024
1060
1097
72
72
72
78
78
86
86
99
99
111
111
140
140
141
141
164
163
184
213
215
218
242
243
270
290
290
330
316
355
374
406
408
440
440
457
501
571
628
624
680
734
747
800
811
821
879
904
911
943
976
69
69
69
75
75
82
82
94
94
104
104
130
130
132
132
151
152
169
196
199
202
222
225
247
265
268
302
296
329
346
374
380
407
411
428
469
528
578
584
633
683
699
748
762
775
826
853
863
894
924
66
66
66
72
72
79
79
90
90
99
99
122
122
125
125
142
144
159
184
188
192
209
212
231
248
253
282
281
310
327
351
359
384
390
406
445
498
543
554
599
647
664
710
726
740
787
815
827
856
886
63
63
63
68
68
75
75
85
85
94
94
115
115
118
118
132
135
148
171
176
180
195
199
214
230
237
262
265
290
306
327
337
359
368
383
419
466
506
522
562
607
625
669
686
702
744
773
787
815
843
62
62
62
67
67
73
73
83
83
91
91
111
111
114
114
128
131
143
165
170
174
188
192
206
221
229
252
257
280
295
315
326
347
357
371
406
450
488
506
544
587
606
649
666
683
722
752
767
794
821
60
60
60
65
65
71
71
80
80
88
88
106
106
110
110
122
125
136
158
163
167
179
184
197
211
219
241
247
269
283
301
313
332
343
357
391
431
467
487
522
564
583
625
643
660
697
727
743
769
795
58
58
58
62
62
69
69
77
77
84
84
101
101
105
105
115
119
129
149
154
159
170
174
186
199
208
227
236
255
268
285
298
315
327
340
373
409
442
465
497
537
556
596
614
632
666
696
713
738
763
56
56
56
61
61
67
67
74
74
81
81
97
97
101
101
111
115
124
144
148
153
163
168
178
191
200
218
227
245
258
274
287
303
316
329
360
394
424
449
479
517
537
575
594
613
644
674
692
716
741
R
計算
伝達トルク T
伝達スラスト力
実際必要トルク T R の 吟 味 トルクとスラスト力が同時に負荷されるときは、
その合成力の
実際トルク TR がシュパンリング RfN 7012 の伝達可能トルク
Fa x
シュパンリング RfN 7012の締結方法は、力ばめのメカニズム
と同じです。いずれも、伝達許容スラスト力 Fax や伝達トルク
T は、内輪と軸および外輪とハブの接触面圧 p によって影響を
受けます。力ばめの接触面圧pはハブを加熱するか軸を冷却し
た後、それらの収縮または拡張によって発生します。一方、
シュパンリング RfN 7012の場合は、ロッキングボルトの締付
けにより、スラストリングが軸方向にシフトし、その結果、内
外輪に径変位をあたえて接触面圧 p を発生します。
T を超過しないようチェックしなければなりません。
(
2
Tg + F g ・ d
2
TR =
Tg
Fg
d
)
2
8)
= 最大必要トルク
= 最大必要スラスト力
= 軸径
1)∼4)式は、一般的な摩擦締結に適合する数式で、5)、6)式は、
シュパンリング RfN 7012 の特有な形状を考慮したものです。
なお6)式中のkは、豊富な実験データを基にサイズごとに決定
されたセーフティ・マージンです。
許容ラジアルロード
シュパンリング RfN 7012 が許容するラジアル力 Fr は、次式
で求めた接触圧力 Prad が、シュパンリング RfN 7012 の接触
圧力 p(6 ページ規格表参照)より低くなるように設計します。
Fax = FN ・
1)
Prad = Fr
d・l
FN = p ・ At
2)
d
I
At = d ・ π ・ l
3)
ラジアルロードが作用する構造の場合、中空軸の許容穴径 dB
とハブの必要外径DNの計算は、両接触圧力(p+prad)を含めて計
算します。
T = FN ・
・ d
FN =
F
tan
T = FN ・
4)
2
=
F
0.381
tan β = 0.25
tan ρ = µ = 0.12
= 軸径
= シュパンリング RfN 7012 の
内・外輪の軸方向の長さ
5)
・ d
・k
2
ロッキングボルト
前述したとおり、加圧力 F は、ロッキングボルトの初張力 Fv
と本数の積で、伝達可能トルクを絶対確実なものとするため
に、
ロッキングボルトの締付けはトルクレンチを使用して行わ
なければなりません。
6)
シュパンリング RfN 7012 の加圧力 F は、ロッキングボルトに
よって与え、それはロッキングボルトの初張力 Fv と本数の積
に一致します。伝達可能スラスト力 Fax と伝達可能トルク T の
関係は次式のとおり。
Fax =
9)
2
d ・T
次表はロッキングボルトの各サイズにおける強度区分ごとの、
適正締付けトルクとその際の初張力です。
7)
ボルト強度区分による ボルト径ー締付トルクー軸力
8.8
dG
M 4
M 5
M 6
FN
W3
W1
ρ
F
β
F
W4
W2
FN
10.9
12.9
TA
Fv
TA
Fv
TA
2.9
6.0
10
3 900
6 350
9 000
4.1 5 450
8.5 8 950
14
12 600
4.9 6 550
10
10 700
17
15 100
(M 7)
M 8
(M 9)
16
25
36
13 200
16 500
22 000
23
35
51
18 500
23 200
30 900
28
41
61
22 200
27 900
37 100
M 10
M 12
M 14
49
86
135
26 200
38 300
52 500
69
120
190
36 900
54 000
74 000
83
145
230
44 300
64 500
88 500
M 16
M 18
M 20
210
290
410
73 000
88 000
114 000
295
405
580
102 000
124 000
160 000
355
485
690
123 000
148 000
192 000
M 22
M 24
M 27
550
710
1050
141 000
164 000
215 000
780
1000
1500
199 000
230 000
302 000
930
1200
1800
239 000
276 000
363 000
M 30
1450
262 000
2000
368 000
2400
442 000
TA = 締め付けトルク(Nm)
FV = 初張力(N)
(オイルで潤滑されたロッキングボルト、μ total = 0.14)
F i g . 4 シュパンリング RfN 7012 の断面と力作用図
10
Fv
σ
σ
σ
σ
σ
σ
Δ
σ
Δ
Δ
σ
δ
Δ
δ
δ
δ
Δ
R
組付けと分解
別紙取扱説明書、および納品時、現品に添付する 8 カ国の取扱
説明書も併せてご参考にしてください。
組付け
分解
シュパンリングは接触圧力と摩擦によって作用面に発生する力
を利用しますので、
作用面の状態とロッキングボルトの適正な
締付けは、たいへん重要なポイントになります。
1.
シュパンリング RfN 7012 のクサビ勾配は、
セルフロックテー
パではありませんので、徐々にロッキングボルトを緩めます
と、各部品は自動的に分離します。
軸ハブの各接触面の清掃を行ったあと、
マシンオイルを薄
く塗布しハブを所定位置にセットします。
シュパンリング
はオイルに全体を浸した後、
ウェスか清掃紙の上に数分間
放置し、余分なオイルを除去してから、ハブの中に挿入し
ます。
2.
ロッキングボルトを軽く締めた段階で、
ハブの位置決めを
します。
3.
トルクレンチを使用して、
ロッキングボルトの締付けトル
ク値TA を 2∼ 3段階に分けて徐々に対角的に締込みます。
4.
最後に、時計周りで全ロッキングボルトが締付けトルク
TA で確実に締まっているか確認します。
もし数回の着脱後に損傷を受けたワッシャーは、その都度、交
換してください。
ロッキングボルトを全部緩めても、
重量物のハブがシュパンリ
ングに荷重をかけて、分解が困難な場合もあります。その時は
絶対にロッキングボルトを取り外さないでください。
フロント
スラストリングが飛び出し作業者を傷付ける場合があるからで
す下述する方法を実行されるかぎり、
さほどの困難もなく分解
ができます。
分解用めねじは、サイズごとに 2 ∼ 5 本用意されています。ま
た分解用めねじは、貫通してはいません。
分解用めねじをジャッキスクリュウとして使用できません。
ご参考 4項の作業を開始される前に 30∼ 60 分間のナジミ時
間を設定されることによって、
よりよい応力分布を得ることが
できます。
ロッキングボルトを緩めても、
リアースラストリングが自動的
に緩まないときは、ロッキングボルトの頭部を軽く叩きます
と、各部のバネ作用によってリアースラストリングは、後部に
移動してリラックスします。
モリブデン系減摩剤(モリコートなど)を含有するオイル、グリ
スあるいは、同系統の減摩剤の使用は絶対に避けて下さい。
再使用のシュパンリングあるいは、
よごれたシュパンリングを
使用されるときは、各部品ごとに清掃し、注油しなければなり
ません。特に、粉塵や微細な鉄粉が接触面に付着した古いシュ
パンリングは摩擦係数が極端に低下しますので、
入念にクリー
ニングしてください。
同様にフロントスラストリングが外れ難いときは、
メッキされ
たロッキングボルトだけを取り外し、分解用めねじ(dD)に合致
したボルトをねじ込み前方に軽く叩きます。また、深いハブ穴
にセットされたシュパンリングを一体物で取り外ずすときに
も、分解用めねじを利用できます。
各サイズともメッキされたロッキングボルトが数本あり、
そこ
にワッシャーがセットれていますが、
それは分解用めねじを保
護するためです。
しかしメッキされたロッキングボルトも他の
ロッキングボルトと同様の機能を分担していますので、
締め忘
れのないようご注意ください。
dD
6
5
4
3
2
Fig.7
1
dG
1
2
3
4
5
6
リヤスラストリング
アウターリング
インナーリング
フロントスラストリング
ワッシャー
ロッキングボルト
F i g . 6 シュパンリング RfN7012 各部名称
Fig.8
12
R
設計上のヒント
ハブ
シュパンリング
RfN7012
軸
Centering
Fig.9
RINGFEDER シュパンリング RfN 7012 の 使 用 例
Fig.10
RINGFEDER シュパンリング RfN 7012
Fig.11
トラックホイール
RINGFEDER シュパンリング RfN 7012 はシャフトとハブを
確実に固定し、回転トルクとスラスト荷重を、同時に伝達する
ことができます。軸とハブのセンタリング部は、できるだけ長
く、また、はめあいのクリアランスをできるだけ小さくしま
す。そのことにより回転精度は高まり、リムに負荷される応力
を無理なく吸収します。
Fig.12
フランジ型軸継手
中、大型軸の場合、軸側に段付けをする事により、フランジの
加工はストレート穴で済み、
フランジの番手も下げることがで
きます。
13
R
設計上のヒント
Fig.13
軸の連結
ハブ穴には特に段付けを必要としませんが、通し穴の場合は、
回転精度を高めるため、
ハブ内部に芯出し用のカラーを入れま
す。
Fig.14
アーム、
カム
、ア
、カ
レバー、
摩擦締結方式ではどのような角度にでも無段階にレバーなどを
固定することができます。
Fig.15
フライホイール
シュパンリング RfN 7012の構造は、シングルテーパではない
ため、締付け時のハブの移動は起こりません。したがって、軸
受けが遊ぶことはありませんが、
特に大きなプリロードを必要
とする時は、軸端から十文字様の治具で、ハブをプレスしなが
ら数本のロッキングボルトを締めた後、
治具を取外し通常の組
付けを行うことをお奨めします。
Fig.16
ベベルギア
ベベルギアの回転トルクとギア歯圧によるスラスト荷重を同時
に固定します。
14
R
設計上のヒント
Fig.17
軸マウント式減速機
この方式の減速機は軸継手が不要ですから、効率が高く、さらにコンパクト化が可能となります。
l
fm
Fig18
ベルトコンベアのプーリ
当図、あるいはこれに類する構造の場合は、軸の許容たわみ量を確実に守らなくてはなりません。
推奨たわみ許容値は、軸受間距離を基準にして次のとうりです。
fm/l = 1/2000 ∼ 1/3000
また、軸とプーリのねじりの剛性に差異が生じる当図のような場合は、原動機側のシュパンリングが全負荷トルクを伝達できるよう
に設計しなければなりません。
15
R
実用例
Fig.19
クレーン
ケーブルドラム
締結強化と現地組立て機能
Fig.20
バケットホィールエキスカベータ
バケットホィール
軸とハブの剛性強化および現地組立てとメンテナンスの容易性
Fig.21
クランクプレス
メィンギアー
クランクプレスは下死点に最大荷重が発生しその変動トルクの
吸収と、
補修時の位相変更によりメィンギアーの高寿命化が図
れる
Fig.26
自動機械
カム タイミング調整用
16
R
Fii g . 2 3
船舶用プロペラ
RfN 7012 二個使用
Fig.24
圧延機
Fig.25
カークラッシャーの搬送装置
スプロケット
締結強化と角度調整機能をチェインのテンション調整に応用
Fig.26
鍛圧機械
ノックアウト用カム
タイミング調整と大きなトルク変動の発生する箇所に適用
Fig.27
鍛圧機械
多板式クラッチのインターナルギアー
耐衝撃荷重性と可調整機能を利用
Fig.28
パイプカッティングミル
V ベルトプーリーに RfN 7012 を使用
ベベルギアー
トルクとスラストの同時締結
17
R
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ご設計の構想・図面の段階から竹田商事株式会社のエンジニア
リングサービスをお申し付け下さい。専任の技術員が国内・海
外で蓄積されたバックデータをもとに、設計、技術計算、適用
工具の選定など、適切なアドバイスをさせて頂きます。
19
R
技術サポート
貴社名
部課名
お名前
ご住所
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ご質問を電話、Fax、e-mail などでご連絡ください。最適な情報を可能な限り迅速にご提供いたします。
負荷条件
最大トルク
最大曲げモーメント
最大負荷スラスト力
最大ラジアル荷重
Tg
Mg
Fg
Fr
使用条件
軸径
中空軸の内径
適合軸の回転数
適合ハブ外形寸法
適合ハブの幅寸法
適合ハブの降伏点
dw
dB
n
DN
B
Rp0.2N
適合軸の降伏点
組み立て時の温度
稼動時の軸の温度
稼動時のハブの温度
max
max
max
max
=
=
=
=
............................ Nm
............................ Nm
............................ kN
............................ kN
Rp0.2w
=
=
=
=
=
=
=
............................ mm
............................ mm
............................ rpm
............................ mm
............................ mm
............................ N/mm2
............................ N/mm2
t1
t2
t3
= ............................ ℃
= ............................ ℃
= ............................ ℃
質問または追加条件
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( Windows・Macintosh ハイブリッド)
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R7012J 2011.06
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