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平成 21年度
修士論文
単軸圧 縮加 工 に よる
超 平滑面創成 に関す る研 究
指導教員
三重 大学大学院
物理 工学専攻
工学研究科
松井
博士前期 課程
ナノプロセ ッシング研究室
小川
三重大学大学院
広祐
工学研究科
正仁
准教授
記号
・面積 測度 を持 つ物 理 量
A.
dd:試 験片 の見 か け上 の接 触 面積
・ 剥離領 域 の総 面積
Ap .
As:試 験 片 の面積
Az:零 点集 合 要 素 面積
d k :複 素 フー
βk :複 素
リエ係 数 の実部
フー リエ係 数 の虚 部
かZ:零 点集 合 法 に よ るフ ラク タル 次元
pps:パ ワー スペ ク トル 法 に よ るフ ラクタル 次 元
・長 さ測 度 を持 っ物 理 量
L.
エZ:零 点集 合 要 素周 囲長
Ls:相 対 す べ り量
〟 :離散信 号 のデ ー タ数
PMAX : 最 終荷 重
n :平均 面圧
a
pme
Ra:算術 平均 粗 さ
Rae:AFM
算 術 平均 粗 さ相 当値 )
断 面 曲線 にお け る算 術 平均粗 さ (
Rz:最 大 高 さ粗 さ
最 大 高 さ粗 さ相 当値 )
e:AFM 断 面 曲線 にお け る最 大 と最小 の差 (
Rz
算術 平 均 面粗 さ)
sa:AFM 画像 にお け る算 術 平 均粗 さ (
SR :走査範 囲
Sp:パ ワー スペ ク トル 密 度
V:体積 測 度 を持 っ物 理 量
x :D 次元測 度 を持 つ物 理 量
札 :複 素 フー リエ係 数
一
c:圧 縮 率
e
・試 験 片 初期 板 厚
o.
t
∫:試 験 片板 厚
xn :離 散 記 号
α:ゼ ロ点集 合 次 元 の近似 直線 の勾配
β:パ ワー スペ ク トル 次 元 の近 似 直線 の勾配
剥 離 面積 率
γ:
♂:ゼ ロ点集 合 次 元 の相 対 カ ッ ト量
・波長
A.
p:摩 擦係 数
三重大学大学院
工学研究科
目次
第 1章
緒 論 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・1
第 2章
実 験 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ● ● ● ・3
2.
1 供 試 材 と試 験 片 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
・3
● ● ● ● ● ● ● ● ● ・7
2.
2 圧 縮 試 験 工 具 の製 作 ・ ・
2.
3 圧 縮 試 験 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ● ● ● ・13
2.
3.
1 カ ー ボ ン蒸 着 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ● ● ● ・13
6
2.
3.
2 菜 種 油 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ● ● ● ・1
・16
2.
3.
3 圧縮試験装置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2.
3.
4 圧縮試験条件 ・・・・・・・
● ● ● ・17
2.
3.
5 圧縮試 験 手順 ・ ・・・・ ・・・
● ● ● ・18
● ● ● ・1
9
2.
4 触 針 式 表 面 粗 さ計 (
sur
f
t
e
s
tSJ
‑
400)に よ る評 価 方 法 ・ ・ ・ ・ ・
AFM)
に よ る観 察 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
2.
5 原 子 間力顕微 鏡 (
● ● ● ・22
2.
5.
1 装 置 と原 理 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ● ● ● ● ● ・ ・ ・ ・22
2.
5.
2 観 察 の 手 順 と条 件 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ● ● ● ● ● ● ● ●
2.
6 工 具 表 面 の カ ー ボ ン蒸 着 膜 剥 離 面 積 率 の測 定 ・ ・ ● ● ● ● ● ・ ・ ・ ・27
2.
7 有 限要 素 法(
FEM)
解 析 ・ ‑ ̀・ ・ ・ ‑
・‑
・
● ● ● ● ● ・ ・ ・ ・29
2.
7.
1 解 析 モ デ ル と条 件 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ● ● ● ● ● ● ● ●
2.
7.
2 摩 擦 係 数 〃の決 定 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
●●●●●●●●
2.
7.
3 相 対 す べ り量 Lsと工 具 接 触 面 圧 p の 計 算 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
第 3章
●●●
カ ー ボ ン蒸 着 工 具 を 用 い た 圧 縮 加 工 に よ る 平 滑 化 挙 動 ・ ・ ・ ・ ・32
● ● ● ● ● ● ● ● ・32
3.
1 圧 縮 率 と表 面 粗 さの 関係
AFM)
に よ る表 面 の観 察 と評 価 ・ ・ ・ ・ ・ ・
3.
2 原 子 間力 顕微 鏡 (
● ● ● ・34
FEM)
解 析 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・40
3.
3 有 限要素法(
第 4章
菜 種 油 を 用 い た 圧 縮 加 工 に よ る 平 滑 化 挙 動 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・46
・ ・ ・ ・ ・・ ・・ ・46
4.
1 圧 縮 率 と表 面 粗 さの 関係
AFM)
に よ る表 面 の観 察 と評 価 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・47
4.
2 原 子 間力 顕微 鏡 (
三重大学大学院
工学研究科
4.
3 有 限要 素法 (
FEM)
解 析 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・51
第 5章 圧 縮 加 工 に お け る 工 具 表 面 処 理 の 影 響 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・54
5.
1 圧 縮 率 と表 面 粗 さの 関係 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・54
5.
2 原 子 間力顕微 鏡 (
AFM)に よ る評 価 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・54
5.
3 有 限要 素法 (
FEM)
解 析 結 果 の 比 較 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・5
6
第 6章
加 工 品 表 面 の フ ラ ク タ ル 解 析 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 58
6.
1 フ ラ ク タル の 説 明 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・58
6.
2 フ ラ ク タル 次 元 の決 定 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・59
6.
2.
1 零 点集 合 次 元 ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・
0
・ ・ ・6
6.
2.
2 パ ワー ス ペ ク トル 次 元 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・61
6.
3 AFM シ ス テ ム に お け る フ ラ ク タル 次 元 の測 定 法 ・ ・・・ ・・ ・・・ 63
6.
3.
1 零 点 集 合 次 元 かZの 測 定 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 63
6.
3.
2 パ ワー ス ペ ク トル 次 元 Dpsの測 定 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・65
6.
4 零 点 集 合 次 元 かZに よ る加 工 品表 面 の解 析 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 67
6.
5 パ ワー ス ペ ク トル 次 元 Dpsに よ る加 工 品 表 面 の解 析 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・70
第 7章
結 論 ・・・・・・・・・・・・・・
・ ・ ・75
・ ・ ・77
謝 辞 ・・・・・・
・ ・ ・ ・ ・78
参 考 文 献 ・・・・・・・・・・・・
三重大学大学院
工学研究科
1
第 1章
緒論
物理学者 リチ ャー ド ・p ・ファイ ンマ ン(
1
)
がナ ノメー トル オー ダーの加 工技術 の可能性 を
示唆 してか ら約 50年 ,今やナ ノテ クノロジー は,半導体,小型燃料電池,バイオ ・医療機
器 ,構 造 ・機 能材料 な どの様 々な分野 において我 々の生活 に欠 かせ ない もの となった.ま
た,
この技術 を応用 した次世代 半導体や次世代デ ィスプ レイ も研 究 され,今 はま さにナ ノテ
クノロジー の時代 とな り,今後益 々一
発展 してい くもの と考 え られ る. したが って,機械部
品や 半導体デバ イ スな どの工業製 品において も,ナ ノメー トルオー ダー の加 工 を行 うた め
の高精度 かつ高品位 な超平滑面の需要が高ま り, さらな る加 工技術 の発展が望 まれ てい る.
現在 このナ ノメー トルオー ダーでの超精密加 工 を行 うた めの手法 として, リソグラフィ,
ナ ノマ シニ ング,レーザ加 工,イオ ンビー ム, LI
GA プ ロセ スな ど(2)が挙 げ られ るが,大森
ら(3)の超微細 ダイヤモ ン ド砥石 を用いた単結晶 シ リコンの超平滑加 工の研究,森 ら(4)の化学
的現象 を利用 した EEM(
El
a
s
t
i
cEmi
s
s
i
onMa
c
hi
ni
ng)
の開発 と物理化学的な加 工現象 を利用 し
た cvM(
Che
mi
c
a
lVa
por
i
z
a
t
i
onMa
c
hi
ni
ng)
の開発 に加 え,それ らを用いた加 工面解析 の研 究
の よ うにシ リコンな どの高分子材料や ガ ラスに関す る研 究が多 く行 われ てい る.機械部 品
の一般的 な材料 で ある金属 を素材 とした超精密加 工 の研 究 はまだ十分ではな く,超精密加
工の金属‑ の応用 が期待 され てい る.
金 属 の加 工法 には鋳造 ,溶接 ,切削加 工,塑性加 工 な どがあるが, 中で もプ レス等 で材
料 に大 きな力 を加 えて変形 させ る塑性加 工は,歩留 り,省 資源 ,生産速度,材 質改善性 ,
加 工精度等 の点で利 点があ り,素材 か ら最終製 品の製造 に至 るまでの広範 囲 にわたって極
めて重要 な役割 を果 た してい る.塑性加 工を用いた加 工表面の平滑化 では,池(5)らの塑性加
工の トライボ ロジー現象 と微細表面形状 の加 工 との関連 に関す る研 究,中村 ら(6)の面圧 と相
対すべ り量 を独立 に変更 した場合 の表 面平滑化条件 の確 立,村 岡 ら(7)の段つ きダイスを用い
たサブ ミクロンの表面粗 さと残留応力 の低減 ,王(8)らの しごき加 工による平滑表面形成 の最
適条件 ・形成機構 お よび平滑化 の限界 の基礎 的な研 究,Loge
e
s
wa
r
a
n ら(9)の金属薄膜 の圧力
誘起表 面変形 に よる超平滑金属表面の生成 に関す る研 究等 が行 われ てい る. しか し,いず
れ の研 究 において もナ ノスケール まで立 ち入 ってい るものは少 ない.金属 を素材 とした塑
性加 工 を用 いて微細 な機械部 品や超平滑面 を製作す ることが出来れ ば,表面の改質 に加 え,
コス ト削減や生産速度 の向上 な どで生産性 を改善す るこ とができ,今後 の工業 の発展 に欠
かせ ない技術 にな る と考 え られ る.
そ こで,ナ ノプ ロセ ッシング研 究室 では最 も基本 的 な加 工法 で ある単軸圧縮加 工 に よっ
て超平滑面 を創成す るこ とを 目的 とし,研 究 を行 って きた.服部(
1
0)はアル ミニ ウムの精密
圧縮試験 で用 い る工具表面 の仕 上 げ方法 の改善お よび評価方法 の確 立 を行 った.大野 (ll)は
工具 の研 磨方法 を改善 し, アル ミニ ウムお よび無酸素銅 の圧縮加 工 にお ける粗 さの評価 お
よび表面の凹凸形状 の評価 に用い るナ ノメー トル スケール で表面 を再現できる 3 次元 コン
ピ
ュー タシ ミュ レー シ ョンの開発 を行 った.井川(
1
2)は無酸素銅 の圧縮加 工 において平滑化
三重大学大学院
工学研究科
2
現象 と相対変位量の関係 についての検討 を行 った.また,フラクタル解析 にお けるプ ログ
1
3
)
は試験片形状 を帯板状か ら円板状 に変更 し,圧縮後の試
ラム処理 の改良を行 った.戸 田(
験片表面の評価や相対すべ り量 と平滑化 の関係 を検討 した.山 口(
1
4)は圧縮率 を大 き くした
場合 の試験片の平滑化挙動 について検討 し,潤滑剤 を変更 した際の試験片表面‑ の影響 に
ついて解析 した.
本研 究では, 山口(14)が作製 した工具 よ りも表面粗 さが大 きい工具 に変更 し,アル ミニ ウ
ムを用いた圧縮実験 における工具 の表面粗 さによる影響 について調べた.また,工具表面
処理 の影響 を調べ るために,潤滑剤 を変更 した実験 も行 った.実験結果 の検討 では,触針
式表面粗 さ計 を用いて圧縮前後の試験片表面を評価 した.また,原子間力顕微鏡 (
AFM)
を用
いた試験片表面の観察 による粗 さの評価 を行い,有限要素法(
FEM)
解析 を用いて工具 と材料
間の相対すべ り量 を求 め,相対すべ り量 と平滑度の関係 を検討 した.また,試験片表面の J
凹凸形状 を複雑 さについて,超平滑面の創成挙動 を検討す るために,試験片表面のフラク
タル解析 による評価 も行 った.
三重大学大学院
工学研究科
3
第 2章
実験方法
本研究では,アル ミニ ウム焼なま し材 の円板試験片 を用いた圧縮試験 を行 い,圧縮試験
前後 の試験片表面 を触針式表面粗 さ計お よび原子間力顕微鏡 (
AFM)
で測定 して評価 を行 っ
た.そ して,有限要素法(
FEM)
解析 を用いて超平滑面創成挙動 に影響 を及 ぼす因子の一つで
ある材料流動量の違いによる平滑化‑の影響 を調査 した.
本章では,実験方法お よび各解析 の具体的手順 についての詳細 を示す.
2
.
1 供試材 と試験片
A1
0
5
0
BD‑
H1
4
)を用いた.Tabl
e2
.
1に
本実験では供試材 としてアル ミニ ウム引抜 き材 (
化学成分 を示す.
5
mm の棒材 よ り,直径 7
mm,高 さ 1
0
mm の円筒 を旋削 し,マイ クロソー(
笠
試験片は直径 1
井商工株式会社製,RCA‑
0
0
5
)
を用いて板厚が 1
mm になるよ うに切断 し,#1
5
0
0のサ ン ドペ
ト
L
m のアル ミナ(
株式会社 フジ ミインコーポ レーテ ッ ド製)
を砥粒 としたナイ
ーパー と粒径 3
0
0
mm)
で圧縮表面を研磨 して板厚 を 0
.
8
mm
ロンクロス(リファイ ンテ ック株式会社製,直径 2
として試験片 とした.以下に試験片の研磨手順,F
i
g
.
2.
1に試験片の寸法を示す.
(
1
)#1
5
0
0のサ ン ドペーパーによる研磨
1
. 試料研磨機(リファイ ンテ ック株式会社製)
にサ ン ドペーパー を しわがでない よ うに
固定 し,サ ン ドペーパーに蒸留水 を一滴た らし,指で薄 く伸ば して均一に広げる.
2. エ タノールで脱脂 した試験片を Fi
g
.
2
.
2に示 した治具にセ ッ トす る.その様子 を Fi
g
.
2.
3に示す.試験片 をセ ッ トす る穴の深 さは直径 7
mm,高 さ 6
.
5
mm の円柱 を移動 さ
i
g
.2
.
2に示す矢印の部分 を適度 に押 さえて調整
せ ることによって変更可能なので,F
す る.
3. 軽 くサ ン ドペーパーに押 し付 けなが ら円を描 くよ うに 5分程度研磨す る.この とき,
試験片表面 を均一に研磨す るために工具 を時々回転 させ る.順 当に研磨 されてい る
とジャ リジャ リとい う研磨音が して,研磨 を行 った範囲が黒っぽい灰色 になる.そ
の様子 を F
i
g.
2.
4に示す.
4. 研磨後,試験片 をエタノールで脱脂 し,目視 によって大きな傷等がないか確認す る.
5. 傷等が無 けれ ば,試験片を治具か ら外 し,試験片の裏側 も同 じよ うに治具 にセ ッ ト
し,研磨す る.
6
. その後,マイ クロメータを用いて板厚が 0
.
8
3±0
.
01
mm になってい るかを確認 し,不
十分 な ら再び研磨す る.研磨後は試験片を取 り付 けていた治具はエタノールで脱脂
す る.
(
2) ナイ ロンバ フ研磨
1
. 蒸留水で湿 らせ たナイ ロンクロスを試料研磨機 の台 にセ ッ トす る.その様子 を Fi
g.
2
.
5に示す.
三重大学大学院
工学研究科
4
2. ナイ ロンクロス上に Fi
g.
2.
6に示す粒径 3ト
L
m のアル ミナ砥粒 を二滴 ほ どた らす .
3. エ タノール で脱脂 した試験片 をセ ッ トした治具 を軽 くナイ ロンクロスに押 し付 けな
が ら円を描 くよ うに 1
0分程度研磨す る.この際,
サン ドペーパーの時 と同様 に Fi
g.
2.
2
に示す矢印の部分 を適度に押 さえて調整す る.
4. 研磨後,試験片 をエ タノールで脱脂 し,目視 によって大きな傷等がないか確認す る.
5. 傷等が無 けれ ば,試験片を治具か ら外 し,試験片の裏側 も同 じよ うに治具 にセ ッ ト
し,研磨す る.
6. マイ クロメータを用いて板厚が 0.
80±0.
02mm になっているかを確認 し,不十分な ら
再び研磨す る.
7. 研磨後,試験片 を取 り付 けていた治具 はエタノールで脱脂す る.使用 したナイ ロン
クロスは試料研磨機 か ら外 し,蒸留水で研磨剤 を洗い流す.
8. その後,触針式表面粗 さ計(ミツ トヨ製
sur
f
t
e
s
tSJl
400)
で試験片の測定を行い,最
大高 さ粗 さRz
‑0.
6±0.
1
pm,
算術平均粗 さRa
‑0.
08±0.
01になってい ることを確認 し,
不十分であれば再度研磨 を行 う.Fi
g.
2.
7に試験片初期表面の AFM 像 の例 を示す.
作成 した試験片に焼なま し処理 を施 した.焼なま し処理 は,試験片 をアル ミホイル で包
み,カンタル相場炉(
東海高熱工業株式会社製)
を用いて 360℃ 以上に保温 した状態で 1時間
加熱 し,その後室温で冷却 した.
Ta
bl
e.
2.
1 アル ミニ ウム引抜 き材(
AI
O5
0
BD‑
H1
4)
の化学成分
Fi
g.
2.
1 試験片の寸法
三重大学大学院
工学研究科
7
2
.
2 圧縮試験工具 の製作
Fi
g.2.
8に圧縮試験 に用いた工具の製作手順 と各工程終了後 の圧縮部表面の最大高 さ粗 さ
Rzの 目安 を示す .
G
r
n
i
d
n
i
(
A
s
r
e
c
e
i
v
e
d
)
g
Rz
=0.
95l
pm]
A
#
1
2
0
0
A
l
u
m
i
n
a
1
0
m
i
n
■
La
ppmg
L叩pmg
WA#4000
Al
umi
na
WA#8000
Al
umi
na
15mi
n
5
mi
n
Rz
=0.
50l
pm]
Rz
=0.
1
0l
pm]
Rz
=0.
06l
pm]
(
3)
(
4)
La
ppmg
W
(
1
)
(
2)
Fi
g
.
2
.
8工具の製作手順
Fi
g.
2.
8に示 した(
1
)
〜(
4
)
の各工程 についての詳細 を以下に示す.
(
1
)
研磨前
Fi
g
.
2
.
9に工具の寸法 を示す.工具 は S
KDl
l
工具 の製作 はオネ ス トン株式会社 に依頼 した.
鍋 ,焼 き入れ硬 さ HRC6
0‑6
2であ り,納入時には表面 に研 削 を施 した状態であった. この
ときの工具表面の最大高 さ粗 さは Rz
‑0.
95pm である.
41
5̲
o
?
.
0
2
I i
i
l
■
‑
(
a
)
上工具
(
b)
下工具
Fi
g
.
2.
9 工具 の寸法
三重大学大学院
工学研究科
卜
8
(
2)
ラ ッピング(
wA#1
200)
製作手順 を以下に示す.Fi
g.
2.
1
0に使用す る物 の外観 を示す.
1
. エ タノール で脱脂 した wA#1
200用 の定盤 の上 に研磨砥粒 である WA#1
200のアル ミナ
(
株 式会社 フジ ミイ ンコーポ レーテ ッ ド製)
を少量のせ る.
2. 研磨液 である洗油(
灯油)
をアル ミナ と 1対 20程度 の割合 で供給 し,指 で よ く混ぜ薄 く伸
ば して均一 に広 げる.
3. エ タノール で脱脂 した工具 を軽 く定盤 に押 し付 けなが ら円を描 くよ うに 1
0分程度研磨
す る.この とき,工具表面 を均一 に研磨す るために工具 を時々回転 させ る.また,工具
と定盤 の間にほこ り等が入 ると工具表面に影響 を与 えるので,定盤上 にほこ り等が付 か
ない よ うに注意す る.研磨 中に必要以上に力が必要 となる,引っかか るよ うな感 じを受
ける とい うときには,アル ミナ砥粒 と洗油の割合 が良 くないか,工具 と定盤 の間にほこ
りが入 った とい うことが考 え られ る.このよ うな ときは工具表面が傷付いて研磨 が うま
くいかない こ とがあるので,工具表面,定盤 をエ タノール でよく脱脂 し,ラ ップ加 工を
や り直す.なお,順 当に研磨 されてい るとシャ リシャ リとい う研磨音が して,研磨 を行
った範 囲が黒 っぽい灰色にな り,Fi
g.
2.
11に示す よ うに工具表面に木 の枝 の よ うな模様
が出来 る.
4. 研磨後,工具 をェ タノール で脱脂 し, 目視 によって大 きな傷等がないか確認す る.その
後,触針式表面粗 さ計(ミツ トヨ製
sur
f
t
e
s
tS
J
‑
4
0
0
)
で測定 を行い,Rz
‑0.
3(
恒m 以下,
Ra
‑0.
1
0L
l
m 以下になってい ることを確認 し,不十分であれば再度 ラップ加 工 を行 う.Fi
g.
2.
1
2に研磨後 の工具表面を示す.
5. 研磨 が終了 した後,定盤 をエ タノールで よく脱脂 してか らマシン油(
出光興産
G‑
46)
を
供給 し,
指で薄 く伸 ば して定盤全体 に均一に広 げる.
Fi
g.
2.
1
3にマシン油の外観 を示す .
(
a
)
wA#1
200用 の定盤
(
b)
WA#1
200のアル ミナ砥粒
Fi
g.
2.
1
0 用意す る物 (
wA#1
200)
三重大学大学院
工学研究科
(
C
)
洗油
10
(
3)ラ ッピング(
wA#4000)
製作手順 を以下に示す Fi
g.
2.
1
4に使用す る物の外観 を示す.
1
. エ タノール で脱脂 した WA#4000用の定盤 の上 に研磨砥粒 である WA#4000のアル ミナ
(
株式会社 フジ ミイ ンコーポ レーテ ッ ド製)
をごく少量のせ る.
2
. 研 磨液 であ るス ピン ドル 油(
TRUS
CO 製 TO‑
S
PI
O
)
を指先 につ けてか らそれぞれ を指
で均一 にな るよ うに よく混ぜ て薄 く広 げる.ス ピン ドル 油は多す ぎない よ うに容器 の
縁 できって調整す る. ここで,アル ミナ砥粒 とス ピン ドル油は 1対 20程度 の割合 とす
る.
3. その後,エ タノール で脱脂 した工具を軽 く定盤 に押 し付 けなが ら円を描 くよ うに 5 分
程度研磨す る. この とき,(
2)と同様 に工具表面 を均一 に研磨す るために工具 を時々回
転 させ る.また,工具 と定盤 の間にほ こ り等が入 る と工具表 面 に影響 を与 えるので,
定盤 上 にほ こ り等 が付 かない よ うに注意す る.研磨 中に必要以上 に力 が必要 とな る,
または引っかか るよ うな感 じを受 ける, とい うときにはアル ミナ砥粒 と油の割合 が良
くないか,工具 と定盤 の間にほこ りが入 った とい うことが考 え られ る. この よ うな と
きは工具表 面が傷付 き研磨 が うま くいかない ことがあるので,工具表面,定盤 をエ タ
ノール で よ く脱脂 し, ラ ップ加 工をや り直す .なお,順 当に研磨 され てい る とシャ リ
シャ リとい う研磨音 が して,研磨 を行 った範 囲が黒 っぽい灰色 にな り,工具表面 に木
g.
2.
1
5に示す.
の枝 のよ うな模様 が出来 る.その様子 を Fi
4. 5分以上研磨す る と定盤上のス ピン ドル油の油膜が薄 くな り,工具表面 と定盤 が直接接
触 して工具表 面 に傷 ができる原 因になるので,新 たにス ピン ドル油 を少量付 け足 して
面積 が 3倍程度 にな るよ うに薄 く伸ば してか ら再び 5‑1
0分間研磨 を行 う.この とき,
工具表面 を均一 に研磨す るために工具 を時々回転 させ る.また,工具 と定盤 の間にほ
こ り等 が入 る と工具表面 に影響 を与 えるので,定盤 上 にほ こ り等 が付 かない よ うに注
意す る.
5. 研磨後, 目視 して表 面が十分 に平滑化 されていない よ うであれ ば,定盤 を脱脂 し再び
wA#4000のラ ップ加 工 を行 う. 目視 によって 目標通 りの平滑化 が成 されてお り,大 き
な傷等 がない こ とが確認 で きれ ば,工具表面 をエ タノール で脱脂す る.その後,表面
粗 さ計で Rz
‑0.
1
0pm 以下になってい ることを確認す る. さらに算術平均粗 さRaにおい
て も Ra
‑0.
03ト
I
m とい う基準 を定め,二つの値が どち らも基準 を満 た してい るかを確認
す るこ ととした. ここで,粗 さの基準 を満 た していない よ うであれ ば再度 ラ ップ加 工
g.
2.
1
6に研磨後 の工具表面 を示す.
を行 う.Fi
6. 研磨 が終了 した後,定盤 をエ タノール で よく脱脂 してか らマ シン油 を供給 し,指 で薄
く伸 ば して定盤全体 に均一 に広 げる.
三重大学大学院
工学研究科
ll
(
a
)
wA#4000用 の定盤
(
b)
WA#4000のアル ミナ砥粒
(
C
)
ス ピン ドル油
Fi
g.
2.
1
4 用意す る物 (
wA#4000)
Fi
g.
2.
1
5 研磨 中の工具表面(
WA#4000)
Fi
g.
2.
1
6 研磨後の工具表面(
WA#4000)
(
4)ラ ッピング(
wA#8000)
g.2.
1
7
WA#8000 のアル ミナ砥粒 を用いてラップ加 工を行 う.製作手順 を以下に示す.Fi
に使用す る物 の外観 を示す.
1
. WA#8000で使用す る定盤 の上 にアル ミホイル を しわができない よ うに敷 いて, ゴムで
固定す る.
2. 次 に,WA#8000の定盤 の上 に WA#8
000のアル ミナ(
株式会社 フジ ミイ ンコーポ レーテ
三重大学大学院
工学研究科
1
2
ッ ド製)
をごく少量,蒸留水 と家庭用洗剤 を 20対 1程度 に混ぜ た もの と蒸留水 を 1滴 た
らし,指で均一になるよ うに混ぜ て薄 く広 げてい く.
3. その後,エ タノールで脱脂 した工具 を軽 く定盤 に押 し付 けなが ら円を描 くよ うに 5 分
程度研 磨す る. この とき,工具表面 を均一 に研磨す るために工具 を時々回転 させ る.
また工具 と定盤 の間にほこ り等が入 る と工具表面に影響 を与 えるので,定盤 上 にほこ
り等 が付 かない よ うに注意す る.
4. 研磨後, 目視 して表面が十分 に平滑化 されていない よ うであれ ば,定盤 の場所 を変 え
て再び WA#8000のラップ加 工 を行 う.目視 によって 目標通 りの平滑化 が成 され てお り,
大 きな傷等 がない ことが確認 できれ ば,工具表面 をエ タノール で脱脂す る.その後,
表面粗 さ計で Rz
≒ 0
.
06L
l
m,Ra
≒0.
01
ト
L
m となっていれ ば完成 である.ただ し,高 さ 7mm
の下工具 については,勉 が 目標 の値 に達 していたな ら原子間力顕微鏡 (
AFM)
で も測定
し,Rz
e
≦0.
08L
l
m,Rae≦0.
02L
l
m (
SR‑20pm) となっていることを確認す る.
5. ここで,粗 さの基準 を満 た していない よ うであれ ば再度 ラップ加 工 を行 う.研磨後 の
工具 の外観 を Fi
g.
2.
1
8に,表面の AFM 像 を Fi
g.
2.
1
9に,表面の AFM 像 か ら得 た断面
曲線 を Fi
g.
2.
20に示す .
(
a
)
wA#8000用 の定盤
(
b)
WA#8000のアル ミナ砥粒
Fi
g.
2.
1
7 用意す る物 (
wA#8
000)
WA#8000)
Fi
g.
2.
1
8研磨後 の工具表面(
三重大学大学院
工学研究科
1
3
0
0
2
00
0x2
0
.
0
0【
u
mlI0
.
0
0‑7
0
0
.
0
0【
n
m】
Fi
g.
2.
1
9 工具表面の AFM 像 (
wA#8000)
00 0 0 0 00
54321 1
l2
I
己
u\1tP!aH
5
1
0
15
Hor
i
z
ont
alpos
i
t
i
on/
L
tm
Fi
g.
2.
20 工具表面の断面 曲線 (
wA#8000)
2
.
3 圧縮試験
圧 縮試 験 では,工具表 面 にカー ボ ン蒸着 を施 した実験 と潤 滑剤 と して菜種 油 を使 用 した
実験 を行 った.
2.
3.
1 カー ボ ン蒸着
エ タ ノール に よって脱脂 した工具表面 にカー ボ ン蒸着 を行 うにあた り使用 したカー ボ ン
¢×
蒸着装置お よびその手順 を以下に示す .カーボ ン蒸着 は真 空蒸着用 カー ボ ン(日新 EM 株式
会社
5 1
00mm)
を真 空蒸着装置(
明石製作所製)
を用 いて真空蒸着 した.真 空蒸着装置 の
外観 を Fi
g.
2.
21に示す .
(
1
)試料 のセ ッ ト
床 にあ る青 いハ ン ドル を回 し冷却用水 を流す .電源 を入れ ,全 てのバル ブが閉ま ってい
三重大学大学院
工学研究科
1
4
るのを確認す る.MAI
N,R.
P.
のボタンを入れバルブ③ を開き,D.
P.
ボタンを入れ 13‑ 15分
待つ.バル ブ①,②が閉まってい るのを確認 しバルブ④ をゆっ くり開 く.ベル ジャー と本
Pオイル ライオン Sを染み
体の隙間を埋 めるため必要 に応 じて真空グ リースを塗布す る.D.
込ませ た紙 を置 く.試料 をシャッターに当た らない よ うに高 さを調整 してセ ッ トす る.炭
素棒 を Fi
g.2.
22の よ うにセ ッ トしベルジャーを閉める.炭素棒 はグライ ンダー (日立工機
3mm 程度 の針状 (
Fi
g.
2.23参照)に削る.この時,折れない程度 になるべ く
製)を用いて 1
細 くす ると蒸着が成功 しやすい.
(
2)荒 引きお よび本 引き
バル ブ④ を閉めバルブ①が閉まってい るのを確認 しバルブ③ を閉めてか らバル ブ② を開
け,真空室の荒 引きをす る.真空ポンプの荒引きの音が消 えるまで待 ち,真空度 を確認す
るため
V.
S
.
ボタンを押 し放電光が青紫色になるのを確認す る.バルブ② を閉めバルブ③,
S.
ボタンを押 し放電光が透明になるのを確認 し,その後
① の順 に開け,本 引きをす る.V.
1
0分程度待つ.
(
3)蒸着操作
EVAP.
ボタン,G.
S.
スイ ッチの順 に入れ E.
S.
つまみを 2にす る.炭素棒が切れ工具 に落 ち
A.
ノブを回 し電流 を 1
0A 未満 に上げ数秒待
ることがあるので必ず シャ ッターを閉める.V.
ち,更に炭素棒が赤 くなるまで電流 を上げる.シャ ッター を開けると同時に電流 を 30‑40A
程度まで上げ,膜厚が約 20nm となるよ うに蒸着 させ る.任意の膜厚 になるよ うに蒸着 させ
るためには,蒸着 させ る秒数ではな く,蒸着膜 の色の濃淡 での判断が有効である.電流 を
30‑40A 程度まで上げた後,火花が散 りだ してか ら 1‑2秒で V.
A.
ノブ,E.
S.
つまみ,G.
S.
,
EVAP.
を戻 し,一度膜の色 を確認 して色が薄 けれ ば再度電流 を上げて蒸着す るとい う操作 を
繰 り返す と,任意の膜厚 に仕上げ易 くなる. 目安 として,電流 を上げた後 10‑20秒程度蒸
着す ると膜厚 が約 20nm となる.炭素棒は 30秒程度で溶 けて無 くなって しま うので, これ
らの作業は手早 く終わ らせ なけれ ばな らない.
(
4)試料 の取 り出 し
V.
A.
ノブを戻 し E.
S.
つまみを 0に した後 G.
S.
,EVAP.
の順 にスイ ッチを切 る.試料交換 を
2) を行 う.
す る場合 はバルブ① を閉め (
(
5)装置の停止
バル ブ① を閉め (
2) に従ってベル ジャー内か ら試料,炭素棒 を取 り出 してガラスやステ
3) (
4)の操作を行 って真空に しバルブ① を閉めた後 D.
P.
ージ等 をアセ トンで清掃す る. (
ボタンを切 り 15‑30分待つ.バルブ③ を閉めバルブ⑤ を開き R.
P.
の排気音 を確認 し R.
P.
ボ
N ボタンを切 る.拡散ポンプの
タンを切 る.バルブ⑤以外が閉まっているのを確認 し MAI
ボイ ラーが十分に冷 えるまで冷却用水 を 30分程度流 してお く.冷却用水 を止 め電源 を切 り
バルブ⑤ を閉める.
三重大学大学院
工学研究科
1
6
2.
3.
2 菜種油
液体潤 滑剤 として菜種油 (
ナカライテスク) を使用 した.工具表面に可能 な限 り薄 く潤
g.
2.
24に用意す
滑油 を塗布す るため,以下のよ うに して菜種油にエタノール を混合 した.Fi
る物 の外観 を示す.
(
1
)菜種油0.
05ml
を注射器 (
テルモ シ リンジ製
容量 I
ml
)で ビーカー (
容量 1
00ml
) に とり,
希釈率0.
25
vo1
% となるよ うにエタノール20
ml(
純度 1
00%)をメスシ リンダー (
容量20ml
)
で測 り,入れ る.そ して,かき混ぜ棒 (
長 さ1
50mm) で ビーカーの底 に菜種油が残 らな
い よ うによく擾拝す る.
(
2)工具表面に稀釈 した菜種油を平筆 で出来 る限 り薄 く,均等 に塗布す る.
(
3)エ タノールが完全 に揮発す るまで約 1分待つ.工具表面全体に油が均等 に塗布 できてい
ることを 目視 で確認す る.
(
a
)
菜種拍
(
b)
エタノール
(
d) メスシ リンダー
(
C
)
平筆
(
e
) 注射器, ビーカー,かき混ぜ棒
Fi
g.
2.
24 用意す るもの
2.
3.
3 圧縮試験装置
圧縮試験 にお ける加圧装置 には,万能試験機(
島津製作所製,REH‑
50型)
を使用 した.Fi
g.
2.
25に圧縮試験装置の外観 を示す.この試験機 は,最大圧縮荷重 として 9.
8,24.
5,49,98,
245,490
kN の 6段階の レンジがあ り,最大で 490kN の負荷が可能である.また,圧縮板 の
000分の 1となってお り,圧縮速度 は 0
最大間隔は 800mm,圧縮荷重の最小 目盛 は各々の 1
‑80mm/
mi
nの間で調節可能 である.上工具 と下工具それぞれの圧縮工具 は Fi
g.
2.
26に示す
よ うにダイセ ッ ト(
双葉電子工業製)
に設置 した.
三重大学大学院
工学研究科
1
7
Fi
g.2.
25 万能試験機(
島津製 作所製 ,REH‑
50型)
t桓匹rdi
ebl
der
Ⅰ
Jw
di
ebl
de
r
Fi
g.
2.
26 圧縮 工具 とダイセ ッ トの概 略 図
2.
3.
4 圧縮試 験 条件
本研 究で は,ひず み の表 面形状‑ の影響 を調べ るた めに圧 縮率 e
cを変化 させ て実験 を行
った.圧縮 率 e
cの算 出は次式 か ら行 うもの とす る.
e
c
t
o
‑
t
わ
xl
u) (
%)
(
t
o.
・試験片初期板厚 ,i:圧縮後試 験片板厚)
圧 縮試 験 時 のひず み速度 は 2mm/
mi
n として実験 を行 った.
三重大学大学院
工学研究科
(
2.
1
)
1
8
また,圧縮 中の荷重 と変位 の変化 を知 るために万能試験機 と変位測定器 (
ONO SOKKI製
LI
NEAR GAUGE SENSOR GS‑
11
2)に 接 続 し た デ ジ タ ル ゲ ー ジ (
ONO SOKKI 製
DI
GI
TAL‑
ANALOG OUTGAUGEDGl
450
)
を レコーダーp EC製オムニエース Ⅱ RA1
200)
に
つなぎ,出力 され る電圧 を記録 した.そ して,出力 された電圧 と荷重,電圧 と変位 量の校
正 を行 った.
その結果,荷重 については
98[
kN]レンジの場合 :荷重値 [
N]
‑98
2.
60×出力電圧 [
mV】
49[
kN]レンジの場合 :荷重値 [
N]
‑493.
1
3×出力電圧 【
mV]
24.
5[
kN]レンジの場合 :荷重値 [
N]
‑247.
96×出力電圧 [
mV]
の関係 が得 られ,変位 については 「
変位値 [
mm]
‑0.
098
2×出力電圧 [
V]
」の関係 が得 られた.
2.
3.
5 圧縮試験手順
圧縮試験の実験手順 を以下に示す.全ての実験はこの手順 に従って行 った.
(
1
)
試験片表面の汚れや ほこ りな どを除去す るためにエ タノール を洗浄剤 として超音波洗浄
を 3分間行 う.
(
2)
超音波洗浄後,圧縮工具 と試験片をダイセ ッ トに取 り付 ける.
(
3)
圧縮 を行 う万能試験機 の電源 を入れ実験前に約 2分間慣 らし運転 をす る. これ は試験機
に油の循環 をさせ るためである.
(
4)
組み付 けの完了 したダイセ ッ トを万能試験機 に設置 し,変位測定機 を設置す る.
万能試験機 に荷重値 出力用のコー ドをつなぎ, レコーダーに接続す る.また,変位測定
器 のデジタルゲージもレコーダーに接続す る
(
5)
試験片 と上工具の間隔を数 mm 程度まで接近 させ る. この とき,徐々にス ピー ドを遅 く
して接触す る直前 になった ら圧縮速度 を 2
mm/
mi
nとす る.
ここで, レコーダーの記録 を開始す る.
(
6)
そのまま圧縮速度 2
mm/
mi
nで下降 させなが ら,指針が動 き始めた時点で変位測定機 の値
を 0にす る.
(
7)
圧縮速度 2
mm/
mi
nで圧縮 し,変位測定機 の変位 よ り板厚 を推測 し目標値 まで圧縮す る.
圧縮終了後 に圧縮試験機 より荷重の値 を,変位測定機 よ り変位 の値 を記録す る.
(
8
)
圧縮試験後,試験片の弾性変形部分 を考慮 し,急激 な除荷 を避 けるために無負荷の状態
mm/mi
nで万能試験機 の圧縮部分 を上昇 させ る.
に達す るまで 2
ここで, レコーダーの記録 を終了す る.
(
9)
無負荷の状態 に達 した後, さらに上昇 させ る.
(
1
0)
完全 に上昇が完了 してか ら万能試験機 よ りダイセ ッ トを取 り外 して,試験片の裏表が分
か るよ うに試験片 を取 り出す.また, この時に試験片 ・工具 ともに表面状態が変わ らな
い よ うに注意す る.
(
ll
)
試験片表面に付着 した潤滑剤等 を除去す るために再びエ タノールで超音波洗浄 を行 う.
三重大学大学院
工学研究科
1
9
実験後試験片は板厚 tを測定 し,初期板厚 t
oより圧縮率 e
cを求める.
(
1
2)
レコーダーの記録 よ り荷重 一変位 の関係 を求める.
(
1
3)
その後,試験片は AFM で観察 を行 う.
(
1
4)
表面粗 さ計で粗 さ計測 をす る.
(
1
5)
計測終了後は空気 中の水分が表面‑付着す ることを防 ぐために工具お よび試験片 はデ
シケータ内に保存す る.
2.
4 触針式表面粗 さ計(
sur
触s
tSJ‑
400)
による評価方法
,算術平均粗 さRaの測定方法について説明す る.触針式表面
本節 では,最大高 さ粗 さ Rz
粗 さ測定装置(
Sur
鮎s
eSJ
‑
400)
の外観 を Fi
g.2.
27に示す.触針式表面粗 さ計は Fi
g.2.
28に示
0pm 程度の触針 で表面を直接 トレース し,その触針 の上下を差動 トラ
す よ うに先端半径 2‑1
ンスな どで電気的な信号に変換 し,出力す るものである.本装置の触針 は,材質がダイヤモ
ン ド,先端半径が 2ト
L
m,先端角度が 600 である.触針表面粗 さ計(
sur
鮎s
tSJ
‑
400)
の使用方
法 を以下に示す.
(
1
) 電源 を入れ る.バ ッテ リー残量が少ない ときは AC アダプタを接続す る.
(
2) 試料表面 をアル コールで洗浄 し,計測 したい場所の左端が触針 の下に来 るよ うにす
る.
(
3) 測定条件 を変更す る.現在 の設定条件 は画面左上に表示 されてい る.
pa
gel
/
3」 ‑
・ 測定 レンジ (
測定分解能) を変更す る場合,画面の 「
測定条件」‑ 「
「
pa
ge
2/
3」‑ 「レンジ」の順 にタッチ し,任意の レンジを選択す る.レンジは 「
800(〟
m)
」, 「
80」 , 「
8」 の順 に感度が上が り,デフォル トは 「
800」 である.表面が粗
い ものや表面粗 さが未知の試料 を測定す る場合 は 「
800」 を選択 し,測定結果 に応
じて より高感度の測定 レンジに変更す る. 「レンジ」をタ ッチす ると変更が決定 さ
e2.
2に本研究で使用 した レンジを示す.
れ る.Tabl
・ 測定曲線 を変更す る場合,画面の 「
測定条件」‑ 「
曲線」の順 にタッチ し,良(
粗さ
曲線)
を選択す る. 「
曲線」 をタッチす ると変更が決定 され る.
・ 基準長 さを変更す る場合,画面の 「
測定条件」‑ 「A.
C」 の順 にタ ッチ し,佳意の
基準長 さに設定す る. 「九C」 をタッチす ると変更が決定 され る.
・ 評価長 さを変更す る場合 は,区間数 を変更す ることで評価長 さを変更す ることがで
8mm,区間数 5 ‑評価長 さ 1
.
25mm) .画面の 「
測定条件」
きる (
例 :基準長 さ 0.
‑ 「
N」 の順 にタ ッチ し,任意の区間数 を選択す る.また, 「
L」 をタッチす ると
N」 をタ ッチす ると変更が決定 さ
評価長 さを任意の値 で指定す ることができる. 「
れ る.
08
mm または
カ ッ トオフ値 は基準長 さに応 じて 自動で変更 され るが,基準長 さが 0.
0.
25mm の場合のみ変更す ることができる.変更す る場合 は,画面の 「
測定条件 」
‑ 「九S
」 の順 にタ ッチ し,カ ッ トオフ値 を指定す る. 「九S
」 をタッチす ると変更
三重大学大学院
工学研究科
2
0
が決定 され る.本研究では 2.
5〝m で測定を行 った.
・ 変更が終了 した ら,画面左 下の[
∃巨
コ (ホーム)をタ ッチ してホーム画面に戻 して
お く.
(
4) ホーム画面の ≧ ヨ (
DAT) をタ ッチ して DAT画面 にす る.スタン ドの上下ハ ン ド
[
ル を回 し,触針 を試料 に接触 させ る.画面のスタイ ラス位置表示が 0 付近の ところ
.
0〃m になるよ うに調整す る. (
上下位
で‑ ン ドル を固定 し,本体の上下ツマ ミで 0
置決 め)
(
対象切 り換 え) をタッチす る.表示が 「***** 回転」であことを確
認 し, 「
START」ボタンを押す と,水平出 しが開始 され る.測定終了後,画面に 「
○
○ 回転」 と表示 され るので,一度触針 を試料か ら離 し,本体の斜傾 ツマ ミを表示
回転数だ け回す. (
表示が正の場合は時計回 り,負 の場合 は反時計回 り)
(
6
) 水平出 し後の表示が 0.
0
0回転 になるまで(
5)
を繰 り返す.
(
7) 校正 を行 う.校正 は検 出器 (
触針等) を着脱 した場合 に行 い,それ以外 では定期的
に行 えば よい.従 って,普段 はこの工程 を行わな くて もよい.
(
8
) 画面左下の⊂ 憂コ (
ホーム)をタッチ してホーム画面に戻す .ホーム画面で r
START」
ボタンを押す と計測が開始 され る.計測が終了す ると,画面に Ra値,Rz値が表示 さ
れる (
Fi
g.
2.
29参照).
(
9) 計測結果 の Raを確認 し,基準長 さが適切であるか どうかを確認す る.(
3)
の基準長 さ
を変更す る場合 を参考 に,基準長 さの設定画面を表示す る.画面には設定値 の横 に,
適応す る Raの範 囲が表示 されてい るため,計測結果 か らその範囲内にある基準長 さ
を選択す る.基準長 さを変更 した場合は,そのまま再度計測す る.
(
1
0)計測終了後, 「
pkI
NT」 ボタンを押す と計測結果がプ リン トされ る.
(
l
l
)計測結果 を保存す る場合 は, コンパ ク トフラッシュを挿 し込み,
存/
呼出)‑
(
デー タ保
(
データ保存) をタッチす る.ファイル名入力画面が表示 され る
三コ (エンタ‑) を押す と結果 が保存 され る.
のでファイル名 を入力 し,[
※ コンパ ク トフラッシュは SJ
‑
4
0
0本体でフォーマ ッ トした ものに しか保存できない.
(
1
2)触針 を試料か ら離 し,電源 を切 る.バ ッテ リーを充電す る場合 は AC アダプタを接続
したままに し,充電完了後 AC アダプタをはずす.
ここで 自動的 に出力 された Ra値,Rz
値 をそれぞれ算術平均粗 さ Ra
,最大高 さ粗 さ Rz と
す る.
三重大学大学院
工学研究科
21
Fi
g.
2.
27 触針式表面粗 さ計(
sur
鮎s
tSJ
‑
400)
の外観
Fi
g.
2.
28 触針式表面粗 さ計の原理 図
Ta
bl
e2.
2 触針式表面粗 さ計(
sur
te
f
s
tsJ
‑
400)
で使用 した レンジ
レンジ
8pm
80L
t
m
800ト
t
m
測定対象
WA#工後工具
8000
ラ ップ加
WA#4
000
ラップ加
工後工具
WA#工後工具
1
200
ラップ加
三重大学大学院
工学研究科
22
Fi
g.
2.
29 測定結果 の画面表示
2.
5 原子 間力顕微鏡(
AFM)
による観察方法(
】
5)
2.
5.
1 装置 と原理
SPM(
Sc
a
n
ni
ngPr
o
beMi
c
r
os
c
o
pe
)
装置 とその周辺 システムの外観写真 を Fi
g.2.
30に示す.
3(
島津製作所製)
,ホス トコンピュータ(
DELL製 opTI
PLEXGX‑
1
50
)
,
これ らは本体 spM9500J
カ ラーデ ィスプ レイモニター(
MI
TSUBI
SHI製
RD1
7
GXⅡ) ,除振台 (
MEI
RI
TSU 製
AZ
‑S
)か ら構成 されてい る.
装置 は大別す ると,SPM ユニ ッ ト,制御ユニ ッ トお よびデー タ処理系か ら構成 され る.
SPM ユニ ッ トは,試料 を三次元 に動作 させ る ェ ゾスキャナ,試料表面の凹凸 を検知す る
ピ
カ ンチ レバーな らびに光て こ検 出部,AFM ‑ ツ ドを試料表面に対 して大 き く上下 させ る Z
軸駆動部お よび除振機構か ら構成 され る.また,制御ユニ ッ トはスキャンコン トロー ラ(
X,
Y,Z軸 出力)
,フィー ドバ ックコン トロー ラ(
DSPによるデ ジタル フィー ドバ ック方式)
およ
び制御 コンピュー タによ り,スキャナに装着 した試料 を走査 ・フィー ドバ ック制御 して測
定デー タを収集す る.その測定デー タな どは,通信イ ンター フェースを通 してデー タ処理
系‑渡 され る.そ してデー タ処理系 は通信イ ンター フェースを介 して制御 ユニ ッ トか らの
測定デー タをホス トコンピュー タに取 り込み, リアル タイムでモニタに表示す る.また,
測定デー タはホス トコンピュー タにおいて画像表示,画像処理お よび画像解析 を行 うこと
が可能である.
三重大学大学院
工学研究科
23
Fi
g.
2.
30 SPM 装置お よび周辺装置 の外観
SPM‑9500
J
3の主な仕様 は,以下の通 りである.
・最大走査範 囲(
X ・Y):3
0l
L
t
m]×30lL
l
m]
・最大測定範 囲(
Z):5l
L
L
m]
・変位 検 出系 :LD/ 光て こ/4分割 ps
D
・試料最大形状 :◎2
4[
mm]×8[
mm]
・制御 方 法 :Di
gi
t
a
l
‑
Si
gna
トPr
oc
e
s
s
o
r
(
DSP)
に よるデ ジ タル 方式
・画像処理 :傾斜補正, ノイズ ライ ン除去,局所 フィル ター,周波数 フィル ター,画
像拡大,画像反転 ,画像回転 な ど
・画像 解 析 :断 面形 状解 析 ,線 粗 さ解析 ,表 面粗 さ解析 ,パ ワー スペ ク トル解析 , 自
己相 関解 析 , フ ラ クタル解析 な ど
・画像表示 :濃淡画像表示(
測長可能)
,3次元表示 (
Sol
i
d,He
i
ght
,Li
ne
s
,Me
s
h)
等
また, S
PM 観察 に用いたカ ンチ レバーは OLI
MPUS製 の Mi
c
r
oc
a
nt
i
l
e
ve
rである.微小構
造体材料 として優 れた特性 を示す ことで,広 く用い られ てい る.
Mi
c
r
oCa
nt
i
l
e
ve
rの主 な仕様 を以下 に示す.
・製 品名 :OMCL‑
TR8
00
PSA‑
1
・材質 :窒化 シ リコン(
Si
N)
三重大学大学院
工学研究科
24
本研究で使用 した SPM では,高倍率での試料表面の凹凸像が得 られ る AFM(
At
omi
cFor
c
e
Mi
c
r
os
c
ope
)コンタク トモー ド,AFM ダイナ ミックモー ド,STM モー ドお よび表面走査時の
水平力が得 られ る LFM モー ドがあるが,本研究では,AFM コンタク トモー ド (
カンチ レバ
ー接触式) を使用 して試料表面の観察 と解析 を行 った.
AFM は,試料表面にカンチ レバーを接近 させ ることによって試料表面 とカンチ レバー と
の間に働 く原子間力 を検 出 し,試料表面の形状 を観察す る装置である.一般 に,物質表面
間ではファンデル ワール ス力,クー ロン力な どの原子間力が働いている.カ ンチ レバーは
Fi
g.
2.
31に示す よ うな微少な構造体であ り,半導体プ ロセスを用いて生成 されてい る.この
g.2.
32の点
カンチ レバー を試料表面に近づけると,試料 との間で働 く原子間力 によって Fi
線 で示す よ うにカ ンチ レバーがたわむ. このわずかな変位 は,離れた位置で検 出す ること
によ り拡大 され る.実際の装置では,半導体 レーザか らの レーザ光 をカ ンチ レバー背面で
反射 させ,その反射光の位置移動 をカンチ レバーか ら離れた位置 に配置 された分割型 フォ
トダイオー ドで検 出す る. この検出法は光てこ検出法 と呼ばれ,AFM の測定に最 も多 く用
い られてい る検出方法である.
この よ うにカ ンチ レバー と試料表面間で働 く局所的な力 を,カンチ レバーのたわみ とし
て検 出 し, この力 を一定に保つ よ うに探針 一試料間の距離 を制御 しなが ら試料表面 に沿 っ
て走査 して この制御量 を試料表面像 として画像化す る.
Fi
g.
2.
31 カンチ レバーの外形図
三重大学大学院
工学研究科
25
Pho
t
ode
t
e
c
t
o
r
Fi
g.
2.
32 光て こ検 出法
2.
5.
2 観察の手順 と条件
本研 究では,以下のよ うな手順で試料の AFM 観察 を行 った.
(
1
)
制御ユニ ッ トとパー ソナル コンピュータの電源 を入れ装置を起動す る.SPM manage
rを
起動す る.
(
2)
AFM ‑ ツ ド部両側面にあるクランプ レバーをゆるめ,AFM ‑ ツ ド部全体 を少 し持 ち上
げ後方 に移動 させ ると試料ホル ダを装着す るスキャナ上面が露出す るので,そ こ‑ ピン
セ ッ トを用いて試料ホル ダを装着す る.
(
3)レーザスポ ッ トをカンチ レバー先端‑移動 させ,フォ トダイオー ド位置 を調整す る.
(
4)
観察条件 として,走査範囲,走査速度,画素数,Z レンジ,オペ レーテ ィングポイ ン ト,
pゲイ ン,Ⅰゲイ ン,走査モー ドを Ta
bl
e2.
3のよ うに設定す る.
(
5)
高速 アプ ローチを行い,カンチ レバーを試料ホル ダに近づける.
続 い て,精密 アプ ローチ を行 う.精密 アプ ローチが終 了す る と自動 的 に走査 が始 ま り,
オ ンライ ンアプ リケー シ ョン画面上 に画像デー タが表示 され る.
(
6)
続 けて観察す る場合 は手順(
4)と(
5)
の操作 を繰 り返 し,AFM 画像 を得 る.
(
7)
作業が終了 した らカンチ レバーを上昇 させて試料 を取 り出す.
三重大学大学院
工学研究科
26
Ta
bl
e2.
3 AFM の観察条件
Ma
t
e
r
i
a
l
Tool
A1
050BD
S
R
20L
L
m
×8
20L
L
m
×4
Zr
a
nge
Sc
a
nnl
●
ngr
a
t
e
Numbe
rofpi
xel
s
Ope
r
a
t
l
●
ngpOl
●
nt
Pga‑
●
n
Ⅰga
i
n
2Hz
51
2×51
2
1
10
0.
01
工具お よび試験片表面は圧縮試験前後 に AFM 観察 を行 った.走査範 囲 S
R は 20L
t
mX
20L
l
m(
S
R‑2
0
pm)とした.画像 の解像度 は最大 51
2×51
2画素で出力 され る.試験片は工具 と
材料 の相対すべ り量 による平滑化挙動 の影響 を調べ るため,圧縮試験後 の表面の半径 r
‑0,
1
,2,3mm の 4箇所 において測定 を行 った.AFM によ り表面観察 を行 う場所 を Fi
g.2.
33
に示す.
eでの評価 を
AFM による平滑度 を表わす指標 として, これまでは最大高 さ粗 さ相 当値 Rz
行 ってきた.これ は,最大高 さ粗 さRzに相 当す るもので,Fi
g.
2.
34に示す よ うに断面曲線 の
最大 と最小の差であ り,局所的かつ微視的な部分での粗 さ評価 に適 してい る と考 え られ る.
今回,面全体の粗 さの評価 を行 うため,算術平均粗 さ Raを 2次元 に拡張 した算術平均面粗
さを Saと定義 し,Saでの評価 も行 った ところ,Rz
eでの評価 とほぼ同 じ傾 向であった.そ こ
で,AFM 測定において表面粗 さの傾 向を調べ る際には主に Saで評価 した.また,材料流動
eではな く,断面曲線 か ら取得 した算術平均粗 さを算
による方向性 の違いを調べ る際には Rz
g.
術平均粗 さ相 当値 Ra
eと定義 して評価 した.Raeの測定については,各測定位置 において Fi
半径方向)と 0方向(
r方向に直角な方向(
円周方向)
)
を測定 した.
2.
33に示す よ うに r方 向(
Fi
g.
2.
33 圧縮後試験片の AFM 観察 を行 う場所
三重大学大学院
工学研究科
27
0
0
0
3 2 日H
0
uu\竜 !
a
H
1
0
Ho
iz
r
o
n
t
a
l
ps
i
t
i
o
n/L
l
m
Fi
g.
2.
34 Rz
eの定義
2.
6 工具表面のカーボン膜剥離面積率の測定
カーボンを蒸着 させた工具 を用いて圧縮試験 を行 う場合,工具表面のカーボン膜 の剥離
が起 きることがある.そ して, これ によって工具 と試験片が金属接触 して試験片表面が粗
くなるとい うよ うに,カーボン膜の剥離は平滑化 に大きく影響 を及ぼす もの と考 えられ る.
そ こで本節 では,工具表面のカーボン膜の剥離が平滑化 に及 ぼす影響 を調べ るために定義
した剥離面積率ク
の 求め方 を以下に示す.
(
1
)デ ジタルカメラ(
FUJ
I
FI
LM 製,Fi
nPi
xSI
Pr
o)とマイクロレンズp i
kon製,Mi
c
r
o‑
NI
KKOR)
を用意 し,Fi
g.
2.
35のよ うにコピースタン ドに設置す る.
(
2)工具を厚 さ 3
mm のアク リル板で斜 めに した状態で黒色のシー トの上に載せ撮影す る.
鮮 明な画像データを得 るために,工具には出来 る限 り強 く光を当て,さらに白い紙で光
g.
2.
36に示す.工具を斜 めに したのは剥離面積率の大きい
を反射 させ る.その様子 を Fi
工具で, 目視 した ときの表面状態の画像データが得 られなかったためである.
(
3)画像データを Wi
n
ROOF Ve
r
.
5.
0(
MI
TANICORPORATI
ON 製)
に取 り込み,グレースケ
ール に変換す る.
(
4)見かけ上の接触範囲を楕 円 ROIを用いて手動で設定す る.
(
5) しきい値 を決定 し二値化す る.この とき,しきい値 はカーボン蒸着 を施 した工具表面 と
g.
2.
37に示す.目安
蒸着 していない工具表面 との色調 に着 目し決定す る.その様子 を Fi
80,カーボン膜 の色が薄い工具
として,カーボン膜の色が濃い工具では しきい値は 50‑
20‑
1
70となる.
では しきい値 は 1
(
6)剥離面積率 γは以下の式 よ り算出 され る.
告×100 [%1
(
2.
2)
・‑
(
Ap :剥離 した面積,AA:見かけ上の接触面積)
三重大学大学院
工学研究科
2
9
(
b)
二値化後
(
a
)
二値化前
Fi
g.
2.
37 圧縮後 工具表 面のデ ジタル カメラ像 の一例
(
アル ミニ ウム焼 なま し材 ,ec‑38%, y ‑ 70%)
2.
7 有 限要素法 (
FEM)
解析
2.
7.
1 解 析 モデル と条件
圧 縮試 験 にお ける工具 と試 験片 の相対すべ り量や測定箇所 の面圧 等 を知 るた めに剛塑性
有 限要素法 (
FEM)
に よるシ ミュ レー シ ョンを行 った.
解析 には Vi
r
t
ua
lFor
gi
ng(コマ ツ産機製 ,
バ ー ジ ョン 1
.
07.
03)を使用 し,変形抵抗 は材料試 験で得 られ た結果 を用 いた.解析対象 は軸
Fi
g.2.
38に FEM 解析 モデル と境界条件 ,
Ta
bl
e2.
4に FEM 解析 条件 を示す .
対称 を仮 定 した.
7.
5
Fi
g.
2.
38
FEM 解析モデル と境界条件
三重大学大学院
工学研究科
30
Ta
bl
e2.
4 FEM 解析条件
表面マーカ粒子数
208
マーカ粒子数
46
26
節点数
31
09
要素数
298
6
工具節点数
4
要素表面節点数
244
2.
7.
2 摩擦係数〝の決定方法
本実験 をシ ミュ レー トす るためには,工具 と試験片間の摩擦係数〟 を決定す る必要がある.
g.2.
39に示す よ うに未知の〟に初期値 を与えて FEM 解析 を実行 し,加工荷重 を
そ こで,Fi
求 める.そ して,FEM 解析か ら求めた加工荷重 と実験で得 られた荷重の比較 を行いなが ら〃
を 0.
01刻みで変化 させ,両者 の差の絶対値が最小 となる〃を求めて実験時の工具 と試験片
間の摩擦係数であるとした.
最終荷重 を実験値 と比較
L
t
を 0.
01刻 みで与 えた際に実験値 に最 も近づ く
YES
Fi
g.
2.
39 摩擦係数〟の決定方法
三重大学大学院
工学研究科
31
2.
7.
3
相対すべ り量 Lsと工具接触面圧 pの計算
g.
2.
40に示す よ うに圧縮前の試験片表面
材料流動が平滑化 に及 ぼす影響 を調べ るため,Fi
上のある点が圧縮す ることによ り移動 した移動距離 を工具 と材料の相対すべ り量 Lsと定義
し,FEM よ り計算 した.また,FEM よ り工具接触面の面圧 を計算 し,工具接触面圧 p と相
対すべ り量 L
sの関係 も調べた.
Be
f
o
r
ed
e
f
o
r
ma
t
i
o
n
Af
t
e
rd
e
f
o
r
ma
t
i
o
n
Fi
g.
2.
40 相対すべ り量 L
sの‑
定義
三重大学大学院
工学研究科
32
第 3章
カーボ ン蒸着 工具 を用いた圧縮加 工に よる平滑化挙動
本章では,圧縮試験工具の表面にカーボン蒸着 を施す ことで工具 と試験片表面の金属接
触 を避 け,超平滑な表面を持 った加 工品を創成す ることを 目的 として,アル ミニ ウム焼 な
ま し材試験片の圧縮加 工を行 った結果 を示す.なお,結果 の整理では,表面粗 さ計 による
表面の観察,AFM による表面の観察,FEM 解析 による変形 シ ミュレーシ ョンを行い,超平
滑面の創成挙動 について検討 した.
3
.
1 圧縮率 と表面粗 さの関係
Fi
g.3.
1に圧縮前 と最 も平滑化が進んだ圧縮率 e
c
‑27% に圧縮 した試験片の外観 を示す.圧
縮加 工により試験片表面が鏡面化 された様子が分か る.
Fi
g.3.
2に触針式表面粗 さ計 よ り得 られた工具 と圧縮試験後の試験片表面の算術平均粗 さ
工具表面粗 さ Ra≒5nm)
Raを示す.なお,工具表面粗 さの影響 を調べ るため,
・山口(14)の結果 (
も示す.本研究の工具 (
Ra≒ 10nm)を Tool
‑
1
,山 口の工具 (
Ra≒ 5nm)を Tool
‑
2とし,Tool
‑
1
,
Tooト2によって圧縮 された試験片 をそれぞれ Spe
c
i
me
n‑
1
,
Spe
c
i
me
n‑
2と称す ることにす る.
Fi
g.3.
3 に各圧縮率にお ける工具表面のカーボン蒸着膜 の剥離面積率 γを測定 した結果 を示
me
n‑
2においてはr
>40%の場合 に Raが大き くな り,圧縮率 e
c≒ 3
0%程度までが平
す.speci
滑化 の限界 と考 え られたが,speci
me
n‑
1においてはr>4
0
%であってもRaはそれ ほ ど大 きな
me
n‑
1は e
c≦3
0%では Spe
c
i
me
nl
2ほ ど平滑化 は進
値 にな らず,平滑化が進んでいる.Speci
んではいない ものの,それ ほ ど大きな差は見 られない.Speci
me
n‑
2の Raが大き くなる e
c>
30%では Spe
c
i
me
n‑
2 と同程度か逆に小 さな Raを示 している.また,spe
c
i
me
n‑
1において e
c
≒50%程度か らは,Raが大き くなっている.また,Spe
c
i
me
n‑
1では Spe
c
i
me
n‑
2 よ りも工具
の Raに近い値 に平滑化す ることができた.
各実験 において測定 された最終荷重 pMAXと圧縮後の試験片の断面積Asより以下の式か ら
平均面圧 pm
e
a
nを求めて検討 を行 った.
P n
1
L
.A.r
m ea
/
MPa
(
3.
1
)
Fi
g.3.
4に平均面圧 pm
e
a
nと圧縮率 e
cの関係 を示す. To
ol
‑
2では剥離面積率が大きい とこ
‑
1では,剥離面積率が大きい ところで
ろで平均面圧 pme
a
nz
f
j
大 きくなっている.しか し Tool
も平均面圧が大き くなってはいない.Tool
‑
2では剥離の影響が大きいが,Tool
‑
1では剥離の
影響 をあま り受 けていない. これ は,カーボン蒸着膜が剥離 し,工具 と試験片 との金属接
‑
2の方が Tool
‑
1よ りも凝着 Lやすかったためではないか と考 えら
触が生 じた場合 に,Tool
れ る.
三重大学大学院
工学研究科
3
4
900
0
0
0
0
′
0
3
t
Z
d
MJ
u
D
a
lu
d
0 1
0 20 30 40 50 60
Comp
r
e
s
s
i
ves
t
r
a
i
ne
C/0
/
.
Fi
g.
3.
4 平均面圧 pme
a
nと圧縮率 e
cの関係
3.
2
原子間力顕微鏡(
AFM)
による表面の観察 と評価
AFM を用いて試験片の局所的な観察 を行 った.Fi
g.3.
5に試験片初期表面の AFM 像 を,
Fi
g.
3.
6に Tool
‑
1で最 も平滑化が進 んだ ec‑27% に圧縮 した試験片の AFM 像 を示す.中央部
に位置す る測定箇所 r
‑0mm や測定箇所 r
‑1
mm では外周部 に比べて表面が粗 くなっている.
‑2mm では外側 に向かって材料流動が見 られ,測定箇所 r
‑3mm ではよ り顕著な
測定箇所 r
材料流動が見 られ,平滑化が進 んでい る.
Fi
g.
3.
7に Tool
‑
1における圧縮試験前後の試験片表面お よび工具表面のS
aと圧縮率 e
cの関
係 を示す.ば らつきはあるものの,おおむね圧縮率 ecが大きくなるほ ど s
aは小 さくなって
お り,平滑化が進む ことがわかる. このば らつ きの原因には蒸着膜 の厚 さな どの影響が考
え られ るが,はっき りしていない.また,Fi
g.3.
2で示 したよ うに,e
c≒ 5
0%程度か らは Ra
が大 き くなったが,品 においてはそれ ほ ど大き くなっていない. これは,品 では基準長 さ
‑20%程度までは中央部で
が短 く,大きな凹凸 を測定できていないためだ と考 え られ る.e。
‑0mm の S
aが大きく,外周部分である r
‑3mm の S
aが小 さくなっているが,それ以上
ある r
の圧縮率では測定箇所の違いはそれ ほ ど見 られ ない.圧縮率によっては工具 と同 じかそれ
以上の平滑度が得 られてい る.
Fi
g.3.
8に測定箇所 r
‑0mm,r
‑1
mm,r
‑2mm,r
‑3mm の S
aと圧縮率 ecの関係 を示す.比
‑
2の結果 も示す.圧縮率 e
c
≦3
0%程度までは Spe
c
i
me
n‑
1は Spe
c
i
me
n‑
2ほ ど
較 のため,Tool
平滑化が進んでいないが,ec>30%では同程度か rが大 きい外周部分では逆に Saが小 さくな
c
i
me
n‑
2 の方が剥離 の影響 を大き く受 けてい ることがわかる.
ってい る.Raと同様 に Spe
r
‑0mm の e
c≦3
0%において工具の差が大 き くなってお り,工具表面粗 さの影響 は圧縮率が
小 さく,材料流動 の小 さい部分 に大 き く現れ ると考 え られ る. これは材料流動が小 さい部
分では工具‑の転写が平滑化 の主な要因のため と考 え られ る.逆 に材料流動 の大 きい外周
部分では しごき効果が平滑化 の主な要因 と考 え られ るので工具表面粗 さの影響が小 さくな
ったのではないか と考 えられ る.
三重大学大学院
工学研究科
35
Fi
g.
3.
9に圧縮率 e
c
‑5
‑20%,e
c
‑24
‑35
%,e
c
‑37
‑42%,e
c
‑47
‑5
4%の Saと測定箇所 rの関係
Fi
g.3.
9(
a
)
では,
e
c
‑5% と e
c
‑20% を除いて rが大きい外周 ほ どsaが小 さくなってい る.
を示す.
外周 に行 くほ ど材料流動が大き く, しごき効果が大きくなったため と考 え られ る.e
c
‑5%の
場合 は圧縮率が小 さいため,材料流動 によるしごき効果が小 さく,中央部分の高い面圧 に
c
‑1
3%,
よる工具の転写効果が大きいため,中央部の Saが小 さくなっていると考 えられ る.e
1
7%で外周部分の 品 が小 さくなってお り,それ以上圧縮率が大きくなると中央部分 と外周
部分の差は小 さくなってい る.
Fi
g.3.
1
0に圧縮率 e
c
‑1
3%,1
7% の場合の Saと測定箇所 rの関係 を示す.比較のため,
Tool
‑
2
のe
c
‑1
4%,23%の結果 も示す.rが小 さい中央部分では,Speci
me
n1
2の方が S
aが小 さく,r
が大きい外周部分ではその差が小 さくなっている.中央部分では工具の表面粗 さの影響が
大き く,外周部分では工具表面粗 さの影響が小 さくなってい ることがわかる.
また,AFM 測定 における測定方向による違いを検討す るため, AFM 画像か ら断面曲線
g.3.
ll
‑Fi
g.3.
1
4に Ra
eと測定方向の関係 を示す.
を取得 し,Ra
eの測定 も同時に行 った.Fi
Fi
g.3.
11は圧縮率 e
c
‑5
‑20% ,Fi
g.3.
1
2は圧縮率 e
c
‑24‑35
%,Fi
g.3.
1
3は圧縮率 e
c
‑37
‑42%,
Fi
g.3.
1
4は圧縮率 e
c
‑47
‑5
4%の場合である.中央部 に近い測定箇所 r
‑1
mm では円周方向 と
‑3mm では,特 に材料流動が大
半径方向の差 はほ とん ど見 られないが,外周部の測定箇所 r
きい高圧縮率において,円周方向よりも半径方向の Ra
eの値 が小 さくなってお り,材料流動
の方向に平滑化が進む ことが分かる.
三重大学大学院
工学研究科
37
0 1
0 20 .
30 40
.5
0 6
0
Comp
r
e
s
s
I
VeS
t
r
a
l
ne
c/
0
/
o
Fi
g.
3.
7 Saと圧縮 率 e
cの関係
0 1
0 20 30 4
.
0 50 60
Comp
r
e
s
s
i
ves
t
r
a
l
ne
c/
0
/
.
0
1
0 20 30 40 50 60
Co
mp
r
e
s
s
i
v
es
t
r
a
i
ne
C/
0
/
.
(
b)測定箇所 r
‑1
mm
(
a
)測定箇所 r
‑0mm
0 1
0 20 30 49 50 60
Comp
r
e
s
s
i
ves
t
r
a
l
ne
c/0/.
0 1
0 20 30 49 50 60
c/
0
/
o
Comp
r
e
s
s
i
ves
t
r
a
l
ne
(
d)測定箇所 r
‑3mm
(
C
)測定箇所 r
‑2mm
Fi
g.
3.
8 品 と圧縮 率 e
。の関係
三重大学大学院
工学研究科
38
0 0
3 2
t
mJOS
0
2
3
4
Me
a
s
ur
e
dpos
i
t
i
on〟/
孤
1
0
1
2
3
4
m
Me
a
s
ur
e
dpos
i
t
i
onr/
(
a
)e
c
‑5
‑20%
(
b)e
c
‑24‑35%
AI
05
0‑
0(
Ca
r
b
on
)
=
c
Z
Ae
Tl
葺pe
F
e
eC
̲
=;
3,
i.
o
g
:
0
≡
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‑e
c
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‑
0
40
2
1
0
‑
/
o
l
0
4
1
2
3
m
Me
a
s
ur
e
dpos
i
t
i
onr/
0 0
つ
J 2
t
mI
JO
S
0 0
3 2
U
U
JoS
40
ー0
1
2
3
r
r
m
Me
a
s
ur
e
dpos
i
t
i
onr/
(
C
)e
c
‑37
‑42%
(
d)e
c
‑47
‑5
4%
Fi
g.
3.
9 S
a と測定箇所 rの関係
A
f1
0
S
;Oe
l
:
笹
●
賀a
f
??
e
z
n
?
=
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i.
S
o
t
.
g
一
一Tool
‑
1
‑ Tool
‑
2
SR‑20ト
l
m
0
1
2
3
4
Me
a
s
ur
e
dpos
i
t
i
on r/mm
Fi
g.
3.
1
0 S
a と測定箇所 rの関係 (
e
c
‑1
3
‑23%)
三重大学大学院
工学研究科
39
5
0
40
A1
05
0
‑
0(
Ca
r
b
o
n
)
r
r
m,
S
R‑20pm
r‑3
e
c‑ 5
0
/
.
e
c
‑1
.
/ ノ ‡e
C
1
0
S
p
e
c
i
me
n
‑
1
O
r
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r
e
c
t
i
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n
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3
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0
l
‑
一2
1〇
0
二
一
一
e
c
T
◆ ⁝
:
‑
、
‑
0 0
3 2
t
uuJ
a
D
q
%%%%ー
51317201
0
︼
二二二二O
ee
cc
e
c
e
c
T
HE
)
A1
05
01
0(
Ca
r
b
o
n
)
mm,
S
R‑20
L
l
m
40 r‑1
一一一
‑‑
●.
+e
‑
■
ト
3
0
、
く
U
Q
q
Q20
ヒ ==◆
‑
!
≡
≡==7‑
me
n
‑
1
0
r
Di
r
e
c
t
i
o
n
(
a
)測定箇所r
‑1
mm
(測 定箇所r‑3mm
F
i
g
.
3.
l
lR
a
eと測定方 向の関係 (
e
c
‑
5
‑20%
)
b )
0 0
3
2
u
u
J
a
o
q
r
Di
r
e
c
t
i
o
n
O
r
Di
r
e
c
t
i
o
n
0
(
a
)測定箇所 γ‑1
mm
Fi
g.
3.
1
2
(
b)測定箇所 r‑3mm
Ra
eと測定方向の関係 (
e
c
‑24‑35%)
50
0 0
3 2
ut
L
t
J'
"'
Z
l
A1050‑0(Carbo
n
)
mm ,
S
R‑20ト
L
m
40 r=1
+e
c
‑3
7
0
/
.
Z
=e
c
=3
8
2
:
+e
c
‑4
2
0
/
.
‑
‑To
o
l
‑
1
一 号
β
r
Di
r
e
c
t
i
o
n
O
r
Di
r
e
c
t
i
o
n
(
b
)測定箇所 r‑3mm
(
a
)測定箇所 r‑1
mm
Fi
g.
3.
1
3
Ra
eと測定方向の関係 (
e
c
‑37‑42%)
三重大学大学院
工学研究科
40
50
A
1
05
0
‑
0(
C
)
r=1
mm,
SR 2
(
恒m
⊂
二
三
・
+
E
l
⊂
コ
0 0
3 2
5
i
;
E
l30
q
)
Q
q
Q20
‑
こここ
こ
㈲描 脚仙
40
u
l
uJaDq
%%%%l
arbo
n
E
ヨ
冨
i
E≡罰
Sp
e
c
i
me
n
⊆
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i
‑1
O
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r
0
Di
r
e
r
c
t
i
o
n
Dir
ec
to
n
i
(
a
)測 箇 所 r 1
mm
(
b)測定箇所
‑
e
c
mm
r ‑3
F
i 314 Ra
eと測定方 向 の 関係( ‑47
‑54%)
g
.
.
3.
3 有 限要素法 (
FEM)
解析結果
Fi
g.
3.
1
5に実験 と FEM にお ける荷重 p と圧縮 率 ecの関係 の例 を示す.なお,実験 の圧縮
率 ecは変位 Sよ り求 め,変位 Sは,実験 中の弾性変形 を考慮 して次の式 よ り求 めた.
S=Sr‑DSx
1
(
3.
2)
L.
i1
・
ここで,Sr:レコーダ出力 の変位 ,Ds:総弾性変形量(
行程最後 の レコー ダ出力 の変位 ⊥(
圧
縮前 の試験片 の高 さ(
実測値)
一圧縮後 の試験片の高 さ(
実測値)
)
)
,pM :
行程最後 の荷重,p.
・
行程 srでの荷重である.実験 と FEM はおおむね一致 してい る.
Fi
g.
3.
1
6に試験片の変形 の様子 を示す.中心部 の相対すべ り量は小 さく,外周部 ほ ど相対
すべ り量 が大 き くな る傾 向があるこ とが分 か る.また,各実験 にお ける最終荷重 と一致す
るよ うに決定 した摩擦係数 〃 は,圧縮 率によってば らつ きがあ り,各実験での潤 滑状態 は
多少違 いがある と考 え られ る.
Fi
g.
3.
1
7に FEM 解析 による工具接触面圧 p と相対すべ り量 L
sの関係 を示す.中央部 であ
るL
s
=0
mm での面圧 が非常に大 きいが,Lsが大 きい ほ ど面圧 が小 さくなってい るこ とが分
か る.また,圧縮率 e
cが大 き くな る と面圧 が大 き くなるこ とも分か る.
Fi
g.
3.
1
8に Saと相対すべ り量 Lsの関係 を示す .ば らつ きはあるが,相対すべ り量 Lsが大
き くな るほ ど品 が小 さくなる傾 向が見 られた.
Fi
g.3.
7において圧縮率 e
c‑2
0%以下 と圧縮率が小 さい場合 に測定箇所 に よる違 いが大 き
いため,Fi
g.3.
1
9に低圧縮率 にお ける算術平均面粗 さ 品 と工具表面 と試験片表 面の相対す
べ り量 Lsの関係 を示す .比較 のため,Tool
‑
2の e
c
‑1
4%,23% の結果 も示す .spe
c
i
me
n‑
1で
は Lsが大 き くな るほ どSaが小 さくな るが,spe
c
i
me
n‑
2では Spe
c
i
me
n‑
1ほ どの違 いは見 られ
ない .工具表面粗 さが大 き く,圧縮 率が小 さい場合 に平滑効果 に与 える材料流動 の影響 が
大 きい こ とがわか る.
三重大学大学院
工学研究科
41
Fi
g.3.
20に Tool
‑
1の e
c
‑49%まで圧縮 した試験片 にお ける測定方 向の違い に よる Raeと相
対すべ り量 左 の関係 を示す .相対すべ り量 左 が大 き くなるほ ど,円周方 向 と比較す る と半
径 方 向の方が Raeが小 さくなってい る.円周方 向 よ り半径方 向の方 が材料流動 による平滑効
果 が大 きい と考 え られ る.
0H
=
\
d pt0
2
5
‖
H
毒
5
1
0
5 1
0 1
5 30 25 30
Compr
e
s
s
i
ves
t
r
a
l
nec /0
/
o
Fi
g.
3.
1
5 荷重 p と圧縮率 e
cの関係
三重大学大学院
工学研究科
43
0
0
0
3
0
0
0
2
0
0
0
1
+
+
‑
+
‑
OU
ddM JdaJnSSad
J 13t
1
2
u
A1
050‑
0(
Ca
r
bon)
Tool
‑
1
FEM
e
c
e
c
e
c
e c
e c
‑
5
0
/
.
1
30
/
0
‑ 1
70
/
.
‑2
00
/
.
‑2
40
/
.
‑
0.
2 0.
4 0.
6 0.
8 1 1
.
2
Ls/r
T
m
0
0
0
2
d
1
2
MJ
daJnSSJdT3t1
O
2uU
0
0
0
3
(
a
)e
c
=5
‑24%
0
0
0
1
3
0
0.
2 0.
4 0.
6 0.
8 1 1.
2
上∫/mm
0
0
0
3
A
1
050‑
0 (
Ca
rb
o
n )
Tool
‑1
%%%%
0
日H
0
0
0
どcececec
M
E
Z :Hl
F E
0
00
ノ
20
ノ
3344
二
二二
二二二
0
0
0
2
t
Z
dM JdaJnSS
aJd13quOU
(
b)e
c
‑27‑37%
0.
2 0.
4 0.
6 0.
8 1 1.
2
Ls/mm
(
C
)e
c
=38
‑49%
Fi
g.
3.
1
7 FEM 解析 による工具接触面圧 p と相対すべ り量 L
sの関係
三重大学大学院
工学研究科
4
4
2
.
8 1 1
6 0.
4 0.
2 0.
0 0.
m
r
Ls/r
%
4
‑2
‑5
c
)e
a
(
2
.
8 1 1
6 0.
4 0.
2 0.
0 0.
Ls/mm
%
7
‑3
7
‑2
c
b)e
(
2
.
8 1 1
6 0.
4 0.
2 0.
0 0.
mm
ri
LL
%
9
‑4
8
=3
c
)e
C
(
sの関係
8 Saと相対 すべ り量 L
1
3.
g.
Fi
三重大学大学院
工学研究科
45
n
me
i
c
pe
1 S
n‑
me
i
c
pe
S
.
/
0
4
1
‑
c
トe
く
%
3
1
‑
c
e
+
‑23%
. 一一ec
/
70
‑1
c
→ー e
‑
2
)
2
n
‑
o
l
b
o
r
o
a
T
C
P(
1050‑‑
‑
1
一TooA1
m
L
ト
0
2
‑
SR
▲
ー
.
‑
▲
一
0
1
0.
3
2 0.
0.
m
r
Ls/r
4
0.
%)
3
‑2
3
‑1
c
e
sの関係 (
9 Saと相対 すべ り量 L
1
3.
g.
Fi
2
.
8 11
6 0.
4 0.
2 0.
.
00
上∫/mm
%)
9
‑4
ec
eと相対 すべ り量 Lsの関係 (
20 測定方 向の違 いによる Ra
3.
g.
Fi
三重大学大学院
工学研究科
46
第 4章
菜 種 油 を用 い た圧 縮 加 工 に よ る平 滑化 挙 動
本 章 で は 工 具 表 面 に液 体 潤 滑剤 と して菜 種 油 を塗 布 す る こ とで 工具 と試 験 片 表 面 の 間
の金 属 接 触 を避 け,超 平 滑 な表 面 を持 った加 工 品 を創 成 す る こ とを 目的 と して , アル ミニ
ウム焼 な ま し材 の圧 縮加 工 を行 った結果 を示 す .
なお ,結 果 の整 理 にお い て は第 3章 と同様 に,表 面粗 さ計 に よ る表 面 の観 察 ,AFM に よる
表 面 の観 察 ,FEM 解 析 に よる変形 シ ミュ レー シ ョンを行 い ,超 平 滑 面 の創 成 挙 動 につ い て
検 討 した .
4.
1 圧 縮 率 と表 面粗 さの 関係
Fi
g.4.
1に圧 縮 前 と最 も平 滑化 が進 んだ圧 縮 率 e
c‑4
5% の試 験 片 の外観 を示 す .圧 縮加 工
に よ り試 験 片 表 面 が鏡 面化 され た様 子 がわ か る.
Fi
g.4.
2 に触 針 式表 面粗 さ計 よ り得 られ た工具 と圧 縮 試 験 前後 の試 験 片表 面 の算 術 平 均
粗 さ Raを示 す .第 3章 と同様 に, 工具表 面粗 さの影 響 を調 べ るた め, 山 口の結 果 も示 す .
Spe
ci
me
n‑
1,Speci
me
n‑
2共 に e
cが大 き くな るに従 って Raが小 さ くな ってい る.工具 表 面粗
さの違 い は あま り見 られ ない . Speci
me
n‑
1で は Speci
me
n‑
2 よ りも工具 の Raに近 い値 に平
me
n‑
2 にお い て は, ec>30% にお い て も平 滑化 が進 ん で い る
滑化 す る こ とが で きた . Speci
こ とか ら,カ ー ボ ン蒸 着 工具 を用 い た場合 よ りも大 きな e
cで も試 験 片表 面 が荒 れ ず に平 滑
化 され る こ とが わ か る.
(
a)
圧 縮 前試 験 片
(
b)
圧 縮 後試 験 片 (ec‑45%)
Fi
g.4.
1 圧 縮 試 験 前 後 のアル ミニ ウム焼 な ま し材 試 験 片 の外観 (
Tool
‑
1,菜 種 拍)
三重大学大学院
工学研究科
47
0 1
0 20 30 40 50 60
Comp
r
e
s
s
i
ves
t
r
a
i
ne
C/0
/
.
Fi
g.4.
2 算術 平均粗 さ Raと圧 縮 率 e
cの関係
4.
2 原 子 間力 顕微 鏡 (
AFM)に よる表 面 の観 察 と評価
AFM を用 い て試 験 片 の局所 的 な観 察 を行 った.Fi
g.4.
3に初期 表 面 の AFM 像 を,Fi
g.4.
4
に最 も平 滑化 が進 ん だ圧縮 率 e
c
‑45%の試 験 片 の AFM 像 を示 す . 中央部 に位 置す る測 定箇
所r
‑0mm で は表 面 が粗 くな ってい るが,そ の他 の測 定箇所 で は表 面 の様 子 に大 きな違 い は
見 られ ない .また,カー ボ ン蒸 着 工具 を用 い た場合 の よ うな顕 著 な材 料流動 も見 られ ない .
Fi
g.4.
5 に圧 縮試 験前 後 の試 験片表 面 お よび 工具表 面 の Saと圧 縮 率 e
c の関係 を示す .
e
c
‑29%の r
‑0mm を除 き,おおむ ね e
cが大 き.
(な るほ ど saは小 さくな ってお り,平 滑化 が
進 ん でい る.
e
c
‑29%程 度 まで は 中央部 で あ る r
‑0mm の Saが大 き く,
外周 部分 で あ る r
‑3mm
の Saが小 さ くな ってい るが,それ 以上 の圧 縮 率 で は測 定箇所 の違 い はそれ ほ ど見 られ ない .
圧 縮 率 に よって は工具 と同 じかそれ 以 上 の平 滑度 が得 られ てい る.
Fi
g.4.
6に測 定箇所 r
‑0mm,r
‑1
mm,r
‑2mm,r
‑3mm の Saと圧 縮 率 e
cの関係 を示 す .比
較 のた め, Tool
‑
2 の結果 も示 す .おお むね speci
men‑
2 の方 が saが小 さ くな ってい るが,
それ ほ ど大 きな違 い は見 られ ない .
Fi
g.4.
7に圧 縮 率 e
c
‑6‑25%, e
c
‑29‑45%の Saと測 定箇所 rの 関係 を示 す . ば らつ きは あ
るが, 中央 部 の r
‑0mm では Saが大 き く, rが大 き くな るほ ど saが小 さ くな る傾 向が見 ら
れ る.特 に e
c≦2
9%で 中央部 分 と比 べ て外周 部 分 の Saが小 さ くな ってお り, しごき効果 の
影 響 が大 きい こ とが わか る. しか し, それ 以 上圧縮 率 が大 き くな る と中央 部分 と外周 部 分
の差 は小 さ くな ってい る.
eの
また,AFM 測 定 にお け る測 定方 向 に よ る違 い を検討 す るた め,第 3章 と同様 に,Ra
測 定 も同時 に行 った .
Fi
g.4.
8に AFM 画像 か ら得 た断 面 曲線 の例 を示す .菜 種 油 を用 いた場
g.4.
8(
b)に示 す よ うな深 い溝 が見 られ た・これ は,液体潤 滑剤 で あ る菜 種 油 が部
合 で は,Fi
分 的 に閉 じ込 め られ ,オイル ピ ッ トが で きた もの と考 え られ る. このた め,菜 種 油 を用 い
た場合 で は測 定箇所 に よるば らつ きが大 き くな った .
Fi
g.4.
9 と Fi
g.4.
1
0に Ra
eと測 定方 向 の関係 を示 す .Fi
g.4.
9は圧 縮 率 e
c
‑6‑25%の場合 ,
Fi
g.4.
1
0は圧 縮 率 e
c
‑29‑45%の場合 で あ る.中央部 に近 い測 定箇所 r
‑1
mm で は 円周 方 向 と
半径 方 向 の差 は ほ とん ど見 られ ない が,外 周部 の測 定箇所 r
‑3mm で は,特 に材料 流動 が大
きい 高圧縮 率 におい て, 円周 方 向 よ りも半径 方 向 の Rae の値 が小 さ くなってお り,潤 滑状
三重大学大学院
工学研究科
48
態 が 良 い ときは カー ボ ン蒸 着 工具 の場合 と同様 に材 料流 動 が大 きい ところで 半径 方 向 の方
が よ り平 滑化 され る傾 向が見 られ る.
0.
00
30.
00x30.
00l
L
J
m] Z OO0 ‑ 70000l
nm]
Fi
g.4.
3 試 験 片初 期 表 面 の AFM 像 の例 (
ec
‑0% , sR‑20L
L
m)
0.
00
0.
00
0
0‑300.00【nm]
00(
um】 Z 0.
20.
00x20.
(a)測
定
20.
00x20.
00r
uml Z O̲
00 ‑300.
00l
nml
r
‑ 0m m
箇 所
(b)測
0.
00
20.
00x20.
00【
pm) Z 0.
00‑300.
00【
nm]
定
箇
所
r‑ 1m m
0.
00
20.
00x20.
00h
J
m】 Z 0̲
00 I300.
00l
nm]
(
C
)
測 定箇所 r‑2mm
(
d)
測 定 箇所 r‑3mm
Fi
g.4.
4 圧 縮 試 験 後 の試 験 片表 面 の AFM 像 の例 (
ec
‑45%,SR‑20L
t
m, Tool
‑
1,菜 種 拍)
三重大学大学院
工学研究科
49
0
0 20 30 40 50
1
.
/
C/0
ne
i
a
r
t
ves
i
s
s
e
Compr
)
1
‑
Tool
5 Saと圧 縮 率 ecの 関係 (
g.4.
Fi
0 29 30 40 50
1
0
.
ne 0
i
a
r
t
VeS
I
s
s
e
Compr
C//
0 30 40 50
.
0 2
0 1
.
/
C/0
ne
i
a
r
t
VeS
I
s
s
e
Compr
mm
‑1
測 定箇所 r
b)
(
mm
‑0
測 定箇所 r
)
a
(
0 30 40 50
0 2.
1
0
.
ne 0
i
a
r
t
VeS
I
s
s
e
Compr
C//
0 20 30 40 50
1
.
/
C/0
ne
i
a
r
t
ves
i
s
s
e
Compr
0
mm
‑3
測 定箇所 r
d)
(
‑2mm
測 定箇所 r
C)
(
cの 関係
6 Saと圧 縮 率 e
g.4.
Fi
三重大学大学院
工学研究科
50
0
3
0 0
ム
3 つ
S
JO
u
r
u
\OS
u
∈
0
2
4
3
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1
nm
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i
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e
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s
a
Me
3
2
1
m
r
r
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t
i
dpos
e
ur
s
a
Me
‑29‑45%
b)ec
(
‑6‑25%
c
)e
a
(
7 Saと測 定箇 所 rの 関係
g.4.
Fi
0
2
鳥!3H
1
uuJ
t
0
0
00000
0
U
h
42 2
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0 0 0
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t
t
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1
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t
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r
Ho
5
1
0
1
5
n/pm
o
i
t
i
os
p
l
a
t
n
o
z
i
r
Ho
b)菜 種 油 を用 い た場 合
(
a)カー ボ ン蒸 着 工具 を用 い た場合
(
‑2mm, 円周 方 向)
‑50% ,r
ec
(
‑2mm, 円周 方 向)
‑42%, r
ec
(
sR‑20pm)
8 AFM 画像 か ら得 た断 面 曲線 の例 (
g.4.
Fi
50
0
2
ヒ=
:c
0
3
;
こ二‡en
[
[
J."'
u
u
L
0
2
q
u
Ja
こ
%%%%l
015 1
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C
︻
l
2
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l
1
0
3
u
u
)
l
doi
e
e
s
pe
Ra
0(
050‑
A1
SR‑20pm
mm,
40 r‑1
c‑6
+e
c
+e
===義
S
p
1
n‑
me
i
ec
r
0
n
o
i
t
c
e
r
Di
r
0
n
o
i
ect
r
Di
‑3mm
測 定箇所 r
b)
(
測 定箇所 r‑1mm
a)
(
‑6‑25%)
ec
eと測 定 方 向 の 関係 (
9 Ra
g.4.
Fi
三重大学大学院
工学研究科
0
2
51
l
)
A1
050‑
0(
Ra
pe
s
e
e
doi
40 r‑1
mm ,
S
R‑20pm
t
0 0
3 2
m a
o
u
A1
050‑0(
Ra
pe
s
e
e
doi
l
)
40 r‑3r
r
‑,
SR‑20L
l
m
J
+ e
c‑
29%
‑
e
c‑
420
/
.
‑ ec‑45%
一
一Tool
‑
1
≡1
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∈≡ …
1
0 …̲
S
pe
c
i
me
n
‑
1
O
r
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r
e
c
t
i
on
+e
c‑
29%
j30
= e
c
≡宣言o
o
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‑1
一
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82
0
1
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̲̲̲…
ヒ
ュ
一寸
S
pe
c
i
me
n‑
1
O
r
Di
r
e
c
t
i
on
(
b)
測 定箇所 r
‑3
mm
(
a
)
測 定箇所 r
‑1
mm
Fi
g.4.
1
0 Ra
eと測 定方 向 の関係 (
ec
‑29‑45%)
4.
3 有 限要 素法 (
FEM)
解 析結果
cの関係 の例 を示 す . なお,実験 の圧
Fi
g.4.
11に実験 と FEM にお け る荷 重 p と圧 縮 率 e
縮率 e
c は,第 3章 と同様 に して求 めた.菜 種 油 を使 用 した実験 にお い て も,実験 と F
EM
はお お む ね一致 してい る.
Fi
g.4.
1
2に FEM 解析 に よる試 験 片 の様 子 を示 す ・中心部 の相 対す べ り量 は小 さ く,外周
部 ほ ど相 対 すべ り量 が大 き くな る傾 向が あ る こ とが わか る. また,各 実験 にお け る最 終荷
重 と一 致す る よ うに決 定 した摩擦係 数 〃 は,圧 縮 率 に よって ば らつ きが あ り,各 実験 で の
潤 滑状 態 は多少違 い が あ る と考 え られ る.
Fi
g.4.
1
3に圧 縮 率 e
c
‑6‑25%,e
c
‑29‑45%の FEM 解 析 に よる工具接 触 面圧 p と相 対す べ り
‑0
mm での
量 Lsの関係 を示 す .カー ボ ン蒸 着 工具 を使 用 した場合 と同様 に中央部 で あ る Ls
c
面圧 が非 常 に大 きい が,Lsが大 きい ほ ど小 さ くなってい るこ とが わか る.また,圧 縮 率 e
が大 き くな る と面圧 が大 き くな る こ ともわ か る.
Fi
g.4.
1
4に圧縮 率 e
c
‑6‑25%,e
c
‑29‑45%の Saと相 対すべ り量 Lsの 関係 を示す ・相 対す
べ り量 Lsが大 き くな るほ ど Saが小 さ くな る傾 向が見 られ た が ,圧 縮 率 が小 さい場 合 の
Ls
‑0
mm を除い て,相 対 すべ り量 Lsの違 い に よる Saにそれ ほ ど大 きな違 い は見 られ なか っ
た.
eと相
Fi
g.4.
1
5に Tool
‑
1の e
c
‑29%ま で圧 縮 した試 験 片 にお け る測 定方 向の違 い に よる Ra
対す べ り量 Lsの関係 を示す . 円周 方 向, 半径 方 向 ともに相 対す べ り量 Lsが大 き くな るほ
eが小 さくな る傾 向が あ るが,半径 方 向 の方 が Ra
eが小 さ くなってい るこ とか ら,円周
ど Ra
方 向 よ り半径 方 向 の方 が材料 流動 に よる平 滑効果 が大 きい と考 え られ る.
三重大学大学院
工学研究科
3
5
0
/
0
.
/
0
0
.
/
‑ 2 10
.
/
50
‑2
‑6
‑ 1
0
0
0
e c
0
0
5
e c
S
c
ec
1
e
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uO
1
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3
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J
0
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‑
‑
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1
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0
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1
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J
Tooト1
FEM
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2
5
1
\d a
)
l
doi
e
e
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Ra
0(
050‑
貞 000 A1
8
6 0.
4 0.
2 0.
0.
Ls/m
2
0.
0
4
.
Ls /
6
.
0
mm
0
8
.
1
29‑45%
c‑
b)e
(
6‑25%
c=
a)e
(
sの関係
3 FEM 解 析 に よる工 具接 触 面圧 p と相 対す べ り量 L
1
g.4.
Fi
2
8 1 1.
6 0.
4 0.
2 0.
0 0.
2
8 1 1.
6 0.
4 0.
2 0.
0 0.
ー
Ls/m
Ls/mm
29‑45%
c‑
b)e
(
6‑25%
c‑
)e
a
(
sの 関係
4 Saと相対 すべ り量 L
1
g.4.
Fi
6
5 0.
4 0.
3 0.
2 0.
10.
0 0.
Ls/m
‑29%)
c
e
eと相 対す べ り量 Lsの 関係 (
5 測 定方 向 の違 い に よる Ra
1
g.4.
Fi
三重大学大学院
工学研究科
4
5
第 5章
圧 縮加 工 にお け る工具 表 面処理 の影 響
て検討 した .なお ,結 果 の
本 章 で は,工 具表 面処理 の違 い が平 滑化 に及 ぼす影 響 につ い
EM 解析 に よる変 形
の観 察 , F
整 理 で は,表 面粗 さ計 に よる表 面 の観 察 ,AFM に よる表 面
シ ミュ レー シ ョンに つ いて, 工具表 面処理 の影 響 を検 討 した.
1 圧 縮 率 と表 面粗 さの 関係
5.
1 に触 針 式 表 面粗 さ計 よ り得 られ た工具 と圧 縮試 験 後 の試 験 片表
g.5.
Fi
さ Raを示 す .Raに大 きな違 い は見 られ ない が,カ ー ボ ン蒸 着
面 の算術 平均粗
の方 が小 さな値 を得 る こ とが
で きた .
0 60
0 20 30 年0 5
0 1
.
/
0
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c
e
n
l
a
r
t
s
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v
i
s
s
e
r
p
m
o
C
1 算術 平均粗 さ Raと圧 縮 率 ecの関係
g.5.
Fi
AFM)に よる表 面 の観 察 と評価
2 原 子 間力 顕微 鏡 (
5.
‑3mm の算 術 平均 面粗 さ saと圧 縮 率 ecの
‑2mm,r
mm,r
‑1
‑0mm,r
2に測 定箇所 r
g.5.
Fi
ら外周 部 ほ ど平 滑化 され てい る
関係 を示す .いず れ の条件 におい て も,材 料 流動 の影 響 か
で同程 度 の 乱 とな ってい る.
傾 向が見 られ る.中心部 での ば らつ きは大 きい ものの ,各条件
は条件 が 同 じで測 定位 置 が
b)
a) と(
4に試 験 片表 面 の AFM 像 を示 す . (
g.5.
3と Fi
g.5.
Fi
ぶ。に大 きな差 は あま り見 られ
わず か に異 な る AFM 像 で あ る.カ ー ボ ン蒸 着 工具 の場合 は
に示 す よ うなオ イル ピ ッ トと思 われ る大 きな溝 が
)
b
4(
g.5.
なか ったが ,菜 種 油 の場合 は,Fi
このオ イル ピ ッ トは, 面圧 の高
見 られ ,場 所 に よって 測 定値 のば らつ きが大 き くな った .
mm で多 く見 られ た.
‑1
‑0mm,r
い 中心部 付 近 の r
nm
‑8
‑2mm で,Sa
‑27%の r
c
e
最 も平 滑化 され た の は,カ ー ボ ン蒸 着 工具 を用 い た圧 縮 率
で あった .
三重大学大学院
工学研究科
55
0 10 20 30 40
0Co1m0pr2e0ssiv3e0stra4l.0ne5c0/0/.60
.
/
C/0
ne
i
a
r
t
ves
i
s
s
e
Compr
mm
‑1
b)測 定 箇 所 r
(
‑0mm
)測 定 箇所 r
a
(
0C1o0mpr2e0ssiv3e0str4al.0ne5c0/0/.60
0
0 20 30 49 50 60
1
o
/
nec/0
i
a
r
t
ves
i
s
s
e
Compr
‑3mm
d)測 定 箇 所 r
(
‑2mm
)測 定 箇 所 r
C
(
2 Saと圧 縮 率 ecの 関係
g.5.
Fi
三重大学大学院
0
50 6
工学研究科
56
0
.
0
C
000
∝
)
2
0.
OOY2つ.
00l
L
J
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Max5 00【
nml
(
a)r
=0m m
(Sa‑ 16 n
Fi
g.5.
3試験片
表
2
0.
00x2000:
pl
】I‑
∨a
y500.
3Ol
nr
n)
m)
面の
(b) r‑ 0m m (Sa‑ 14nm )
A
FM
像 (カ ー
ボ
ン 蒸
, ec‑49% , SR ‑ 20L
tm )
着
1
L
.
\I・
・
:
T. ]
︻
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」
‑
r
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F
1
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‑
1
,
.
0.
0
0
3
:
00【
nm】
20.
00x2
00 Um)ヱVaX500.
(
a)r‑0mm(
Sa
‑1
7nm)
00
0.
2OOOx2
OUU山r
n
JiMか b
CO.
L
I
U暮
nr
nJ
(
b)r
‑0mm(
Sa
‑39nm)
Fi
g.5.
4 試 験片表 面 の AFM 像(
菜種 拍, ec‑10%,SR‑20L
l
m)
5.
3 有 限要 素 法 (
FEM)
解析結果
Fi
g.5.
5に相 対 す べ り量 Lsと圧 縮 率 e
cの関係 を示 す .Fi
g.5.
5(
a
)は測 定箇所 r
‑1
mm の場
g.5.
5(
b)は測 定箇所 r‑2mm の場合 , Fi
g.5.
5(
C
)は測 定箇所 r‑3mm の場合 で あ る. 中
令 , Fi
心部 の r‑1mm にお い て は, カー ボ ン蒸 着 よ り菜種 油 を用 い た方 が 上∫が大 き くな ってい る
のが わ か るが,r‑2mm にな る と Lsの差 が少 な くな り,r‑3mm で は ほぼ 同 じ値 となってい
る. したが って, 中心部付 近 で は菜種 油 を用 い た方 が Lsが大 きい こ とが わか った.
Fi
g.5.
6に Saと相 対 す べ り量 L
sの 関係 を示 す .カー ボ ン蒸 着 と菜 種 油 ともに相 対 すべ り
量 Lsが大 き くな るほ ど Saが小 さ くな る傾 向は見 られ るが,明確 な違 い は見 られ なか った.
三重大学大学院
工学研究科
7
5
5●4●3●2●
0 0 0 0
uuJS7
0 10
20 30 40 50
o
/
neC/0
i
a
r
t
ves
i
s
es
Compr
0
0 20 30 40 50
1
o
/
0
C/
ne
i
a
r
t
ves
i
s
es
Compr
b)r‑2mm
(
a)r=1mm
(
l
0
0
0 5
0 20 30 4
1
o
/
0
C/
ne
i
a
r
t
ves
i
s
s
e
Compr
=3mm
C)r
(
cの 関係
sと圧 縮 率 e
5 相 対 す べ り量 L
g.5.
Fi
5
l
s
JO
u
r
u
5
l
0
l
0
l
s
O
J
u
ur
0
5
4 0.
3 0.
2 0.
1 0.
0.
2
8 1 1.
6 0.
4 0.
2 0.
0 0.
Ls/mm
Ls/mm
b)ec‑45%,49%
(
)ec‑24%, 25%
a
(
6 Saと相 対 す べ り量 Lsの 関係
g.5.
Fi
三重大学大学院
工学研究科
58
第 6章
加 工 品表 面 の フ ラ ク タル解 析
面 の観 察 , FEM 解 析 に よる
前 章 まで は,表 面粗 さ計 に よ る表 面 の観 察 ,AFM に よる表
ら評価 した. 本 章 で は,試 験片
変形 シ ミュ レー シ ョンを行 い,試 験 片表 面 を粗 さの観 点 か
の創 成 挙動 を検 討 す るた
表 面 の凹凸 形 状 を複 雑 さ とい う観 点 か ら評価 す る こ とで超 平滑面
めに, 試 験 片表 面 の フ ラクタル解 析 を行 った .
1 フ ラクタル の説 明
6.
に よって 提 唱 され た
)
6
1
(
ot
br
975年 に フ ラ ンスの 数 学者 Mandel
)とは, 1
al
t
c
a
r
f
フ ラク タル (
usが語源 とな ってい る.これ は特徴 的 な長 さを持 た
t
c
a
r
幾何 学 の概 念 で あ り,ラテ ン語 の f
特徴 的 な長 さを持 た ない 図形 とは,
ない よ うな図 形 や構 造 ,現象 な どの総 称 の こ とで あ る.
体 で近似 で き る よ うに フ ラ
言 い換 えれ ば近似 が難 しい図 形 の こ とで あ る.例 えば車 を直方
ま りこ こで言 う特徴 的 な長 さ
クタル 図形 を何 か単純 な図形 で近似 す る こ とは出 来 ない .つ
きわ めて
の概 念 の基本 は, 「
とは, そ の対象 に付 随す る代表 的 な長 さを指 す . フ ラクタル
よって 出来 上 が ってい る とみ な
複雑 な図形 で あ って もそれ は ご く単純 な図形 の繰 り返 しに
す 」 こ とに あ る.
己ア フ ィンフ ラクタル の 2つ の種類 が あ る.
フ ラクタル には, 自己相 似 フ ラクタル と自●
と全 く同 じ形 状 にな る厳
自己相 似 フ ラクタル とは, 図形 の一部 を等 方 的 に拡 大す る と全体
自己相 似 フ ラク タル の こ とを指
密 な 自己相 似 フ ラクタル と, ほぼ 同 じ形状 にな る統計 的 な
2の シル
g.6.
1に示 す コ ツホ 曲線 ,Fi
g.6.
す .厳 密 な 自己相 似 フ ラクタル の例 と して は,Fi
3のカ ン ト‑ル集 合 な どが挙 げ られ る.ま た,統 計 的 な
g.6.
ピンス キー の ギ ャスケ ッ ト,Fi
線 等 の地形 ,河川 の蛇 行や 分
自己相 似 フ ラクタル の例 と して は, 山や谷 な どの地 表や海 岸
岐 の様 子 ,肺 や 血 管 の構 造 ,植 物 の構 造 が挙 げ られ る(17).
方 的 に拡 大す るので はな く
これ に対 して 自己ア フ ィンフ ラク タル とは, 図形 の一部 を等
フ ィンフ ラ クタル と, ほぼ
異方 的 に拡 大 した とき全 体 と全 く同 じ形状 にな る厳密 な 自己ア
こ とを指 す . 自己ア フ ィンフ ラ
同 じ形 状 にな る とい う統 計的 な 自己ア フ ィン フ ラクタル の
sの フ ラクシ ョナル ・
nNes
otと va
br
ndel
クタル の例 と して は,金 属表 面 プ ロフ ィルや Ma
が挙 げ られ る.
18)
ブ ラ ウン運 動(
雑 で あ るた めに接 線 ,接
この よ うに フ ラクタル は,拡 大 して も元 の形 状 と同 じよ うに複
つ.
平面 の 引 き よ うが な く,微 分 を定義 で きない とい う特徴 を持
1 コ ツホ 曲線
g.6.
Fi
三重大学大学院
工学研究科
59
2 シル ピンス キー の ギ ャス ケ ッ ト
g.6.
Fi
I
HI HI
I
日日
HI
HI l
I
HI
I
I
I
I
0
β
1
3
2/
日日
l
II
I
I
1
3 カ ン ト‑ル集 合
6.
g.
Fi
2 フ ラクタル 次元 の決 定法
6.
い られ る.そ の物 理 的意 味
通 常 , フラク タル 特性 を定 量化 す るの にフ ラクタル 次元 が用
,直感 的 に説 明す る と 「フ ラ
は扱 う対象 に よって 異 な るの で一般 的 な説 明 は困難 で あ るが
9)とい
1
や 曲面 の形 状 が よ り複 雑 で あ る こ と」 (
輪 郭 を含 む)
クタル 次元 が大 きい とは, 曲線 (
うこ とで あ り, 曲線 , 曲面 の複雑 性 を示す 指標 で あ る.
面 は 2次元 ,空 間 は 3次
ユー ク リッ ド幾何 学 にお い て,点 は 0次元 , 直線 は 1次 元 ,平
の数 字
17). これ らの次 元 は全 て整 数 で あ り,そ
元 ,そ して相 対論 で は空 間 は 4次 元 とな る(
元 は非整 数 の次元 を持 つ とい
は独 立 に選 べ る変数 の数 と一 致す る. しか し, フラク タル 次
し,小 数部 は図形 の複雑 さ
う特徴 を持 つ .そ の整 数 部 は どの次 元 の空 間 内 にあ るのか を示
を示す .
て きた が,確 立 され た もの
これ まで に フラ クタル 次元 の測 定法 と して各 種方 法 が試 され
らか で はない .そ のた め本研 究
が ない上 ,得 られ た フ ラクタル 次元相 互 の理論 的 関係 も明
断 面形 状 を評 価 す るた め
で は,対 象表 面 の横 断 面形 状 を評価 す るた めに零 点集 合 法 を,縦
にパ ワー スペ ク トル 法 を用 い て フ ラクタル 次元 を求 めた.
三重大学大学院
工学研究科
0
6
1 零 点集 合 次 元
2.
6.
‑0 とな るす べ て の点 の集 合 ,す な わ ち あ
y)‑ V0
x,
y)に対 して V(
x,
零 点集 合 とは ,曲面 V(
表 面 が 自己ア フ
. この方 法 は 「
る物 体 の表 面 を基 準 面 で切 った ときの切 り口の 輪 郭 を指 す
は 自己相 似 とな り, そ の フ ラ ク
ィンで あ っ て も面 内等 方性 で あれ ば得 られ る零 点集 合 要 素
に基 づ い てい る. こ こで, 零 点
タル 次 元 は表 面 の次 元 よ り 1だ け小 さ くな る」 とい う原 理
4
g.6.
を求 め る こ とが で き る.Fi
集 合 要 素 で あ る周 囲長 と面積 を測 定すれ ば フ ラクタル 次 元
素 か ら零 点集 合 次元 を求 め るた
に零 点集 合 法 の原 理 を模 式 図 で示 す .図 に示 す零 点集 合 要
めには 次 の よ うな測 度 の関係 を用 い る.
度 とは 1次元測 度 が長 さ,2
一般 に,物 体 の測 度 に は次 の 関係 が成 立す る.こ こでい う測
を一般 化 した概 念 で あ る.
次元測 度 が面積 ,3次 元 測度 が体積 とい うよ うに長 さや 面積
)
1
6.
(
L∝ Al/2 ∝ v l/3
度 を持 つ フ ラク
ここで ,L は長 さ,A は面積 , Vは体 積 で あ る.D 次元 測
17).
)は次 式 の よ うに一 般 化 で き る(
1
4.
とす る とき式 (
タル 物 理 量 を x
)
2
.
6
(
L Al/2 ∝ vl′3 ∝ xl/D
に表 す と直線 の勾 配 αが得
零 点集 合 要 素 の面積 を A,周 囲長 を x と して, 両対 数 グ ラフ
∝
2)よ り次式 で表 す こ とがで き る.
6.
られ る. した が って X は式 (
x∝ AD/2
3)
6.
(
合 法 の フ ラクタル 次 元 を Dzで
した が って ,D‑2αが フ ラクタル 次元 とな る.以 降 ,零 点集
表 す こ とにす る.
,等方 性 を持 つ とき に有 効 で
なお零 点集 合 法 は,表 面 プ ロフ ィル が ラ ンダ ム性 ,一様 性
を持 っ と考 え られ るが ,本研 究
あ る との指 摘 が あ り,金 属表 面 は多少 な りとも面 内異 方 性
で は面 内等方 性 を仮 定 す る こ とに した .
位
n
o
i
t
c
e
ss
s
o
)
S
t
岱e
孝r
(
4 零 点集 合 法 の概 要
g.6.
Fi
三重大学大学院
工学研究科
61
6.
2.
2 パ ワー スペ ク トル 次元
パ ワー スペ ク トル 次元 とは,表 面断面 曲線 に対 して FFT解析 を行 い ,得 られ るパ ワー ス
2
0
)
の説 明 か ら行 う.
ペ ク トル密 度 spと波長 Aとの関係 か ら得 られ る. まず , フー リエ変換 (
与 え られ た信 号 の 中に, どの よ うな周波数 の成 分 が含 まれ てい るか を調 べ るのが周波数
分析 で あ る.精 度 の高い周波数 分析 を行 うには コン ピュー タに よるデ ィジ タル 処理 が必要
とな り, コン ピュー タを使 った周 波数 分析 の基本 とな る考 え方 が フー リエ 変換 で あ る.
アナ ログ非周期信 号 x(
t
)に対す るフー リエ変換 は,
x(f ) ‑I:x )e‑j
2
ddt
(
(
6・
4)
t
t
で定義 され る.デ ィジ タル信 号(
離散信 号)
の周波数 分析 を扱 う場合 に は, フー リエ変換 も
離散値 に対 して定義 され な けれ ばな らない .
離散信 号 xn‑x(
n)(
n‑0,1
,2,… ,n)の離散 フー リエ変換(
DFT)
は,
〟‑1
(
6.
5)
xk‑ ∑ x
n
e
‑
j
2mk/"
〃=0
まデー タ番 号 ,N はデ ー タ数 で あ る.式(
6.
5)
を
で定義 され る.Xkは複 素 フー リエ係数 ,n t
分解 して,正弦波 ,余弦波成 分 で表す と,
〟
‑
1
A‑
∑
c
os
(
27
mk/N)
〃
=x
〟
‑
1
Bk‑∑
xsi(2mk/N)
〝
=
k
0
0
(
6.
6)
n
n n
(
6.
7)
7
とお く と
Xk ‑Ak ‑ j
Bk
と書 け,Ak, Bk と Xkの関係 は,
I
xk
r
2‑A
k
2
+B
k
2
(
6.
8)
とな る.Xkの 2乗値 がパ ワー スペ ク トル で あ る.
式(
6.
4)を直接 計算す る とデ ー タ数 N に対 し N2回 の複 素計算 を要 し, コン ピュー タの計
算 時 間 が ほぼ乗 除算 の回数 に比例 す る こ とか ら,妥 当な精度 で周 波数 分析 結果 を得 るた め
には, か な りの時 間 がかか って しま う.そ こで,式(
6.
5)を実際 に計算す る とき には,高速
フー リエ変換(
FFT)
を用 い る.この方法 は,1
965年 に Cool
e
yと Tuke
yに よって発表 され た.
高速 フー リエ変換 とは回転子 と呼 ばれ るものの性質 を使 って複 素乗 算 ・加 算 の計算 回数 を
減 ら し,離散 フー リエ変換 を高速 に行 う手法 であ る.
次 に,自己ア フィンフラクタル 曲線 v
b
(
t
)
のスペ ク トル密度 とフ ラクタル 次元 Dp
sの関係
を,
「
フ ラクタル イ メー ジ」(18)よ り引用 して以下 に説 明す る.
自己ア フ ィンフラクタル の V
H
(
i
)
はf
Bm(
Fr
a
c
t
i
ona
lBr
owni
a
nMot
i
on)
関数 で あ り, tと V
H
を各 々異 な る比率 H(
0<H<1
)
で拡 大 した ときに,そ の形状 を統計 的 に繰 り返す .つ ま り,
tを r倍 す る と(
t‑
r
t
)
,V
Hは r
H倍 にな る (
V
H ‑ r
Hv
H)性 質 を持 つ .
ここで,Xt
t
)を f
Bm 関数 とす る と,適 当にスケー リング され た関数
三重大学大学院
工学研究科
62
9)
6.
(
)
t
r
x(
)‑÷
t
Y(
r
つ .よっ て スペ ク トル密 度 も同
は,r>0を満 たす rにつ い て X と統 計 的 に同一 の性 質 を持
じはず で あ る.
.,
1
6.
(
o<t<T
, ,
t
r
r)= Y(
,
∫
y(
)‑* x(
t
それ以外
0
と し, 以 下 の よ うな表 記 法 を用 い る.
7
,7
t
,刀, Y(
t
,乃は X(
t
(
,刀,SY
(t
i
7の フー リエ 変換 ,s
,7
t
, Y(
)
,T
t
7は各 々X(
,7
t
(
,FY
)
,T
F^t
のスペ ク トル密 度 で あ り,FYは次 式 の よ うに計 算 され る.
r
,
11
6・
(
S
,
did
2
e‑
,
S
x(
dt‑封
dt
2
e‑
,
t
T,‑fY(
f,
FY(
,それ ぞれ 置 き換 え る と明
この 2番 目の積 分 式 にお いて S/r を tで,ds/rを dtに よって
らか に
2)
1
6.
(
T)
r
i,
Fx(
T,‑未
f,
FY(
,乃のスペ ク トル密 度 は
t
で あ る. よって , Y(
SY (f
1
T)‑
,
1
3)
1
6.
(
以 下 の結 果 を得 る.
とな り,㍗‑‑ の極 限 を考 え る こ とは rT‑ ‑ に等価 な ので,
‑
T)
f,
(
SY
)
i
(
1
+
H
x
s
r2
4,
1
6・
(
スペ ク トル密 度 は一 致 しな けれ
Y は X に適 当なス ケー リング を施 した もの な ので,パ ワー
ば な らない .す な わ ち,
‑
)
T
f,
(
x
S
5)
1
6.
(
rを再度 ′で置 き換 え る と,
/
で あ る.形 式 的 にf‑1と し, 1
f)∝
Sx(
1
f2
H
'1
1
fP
6)
1
6.
(
6)を一般 化 し, スペ ク トル密 度 関数 を SpU)とす る と
1
6.
とな り,式 (
∝
7)
1
6.
(
f)
Sp(
) な らば
.
t
ons
〟 ‑c
とな る. こ こで信 号波 の進 む速 度 が一 定 (
18)
6.
(
^β
=
x
A)c
sp(
にプ ロ ッ トす る と勾配 βの
のべ き乗 の形 で表 され る.こ の SpU)を波長 1との両 対 数 グ ラフ上
の持 つ フ ラクタル 次元 Dpsに は次 の 関係 が与 え られ る.
)
i
この勾 配 Pとf(
直線 状 にな る.
三重大学大学院
工学研究科
63
0≦β<1
Dps ‑ 2,
3
D ps
‑E+
,
Dps‑1
‑β
9)
1
6.
(
l≦ β ≦ 3
3<P
た だ し,E は変数 の 自由度 を表 し,本 研 究 の よ うな断 面 曲線
の場合 は 1で あ る.
3 AFM シ ステ ム にお け るフ ラクタル 次 元 の測 定法
6.
1 零 点集 合 次 元 Dzの測 定準
3.
6.
mX
l
20L
Rが '
て走査 範 囲 s
フ ラ ク タル 解 析 を行 うた めの試 料 表 面画 像 は,AFM を用 い
き補 正 を行
0pm)の条件 で求 め,SPM に備 え られ てい る ソフ トウェ ア に よって傾
R‑2
S
m(
20p
Ⅹ方 向の平 均値 」 と 「面 フ イ ッ ト」 の 2つ で あ り, それ ぞれ 処 理 ボ タ
った .補 正方 法 は 「
は必要 に応 じて ノイ ズ ライ
ンを押 す こ とに よって ソフ トウェ アが 自動 的 に行 う.画 像 情報
ON 製 )に取 り込
TANI CORPORATI
MI
nROOF (
ン除去 を行 い ,画像 処理 ソフ トウェ ア Wi
nROOFで開 き, グ
FF形 式 画像 を wi
. この TI
)
)
a
5(
g.6.
Fi
FF形 式 に変換 した(
め る よ うに TI
る.
. そ して キ ャ リブ レー シ ョンを行 い 1画素 の長 さを設 定す
)
b)
5(
g.6.
Fi
レー画 像 化す る(
2画 素 で表示 され てい るの で 1画 素
2×51
m の場 合 51
t
0L
R‑2
キ ャ リブ レー シ ョンの値 は,S
零 点集 合 要 素 で あ る面
)
)
C
5(
g.6.
Fi
nm で あ る.そ して, そ の画像 を 2値 化 し(
1
の長 さは 39.
0
面積 が 1
zを得 た . ここで零 点集 合 要 素 が境 界 線 に接 してい るデー タ と,
積 Azと周 囲長 L
画 素以 下 のデ ー タは削 除 した .
てい るグ レー画 像 を しきい 値
零 点集 合 カ ッ ト面 をつ くるに は,色 調 が 256階調 で表 され
の最 大 高 さか らのカ ッ ト量
で 2値 化 しな くて はな らない . この 2値 化 のた めに AFM 画像
で表 され る.
を相 対 カ ッ ト量 と して表 す こ とに した. 相 対 カ ッ ト量 ∂は次式
256‑しきい値 ×1
00 %
∂=
256
20)
6.
(
, 80% の 5種類 で あ る.
本研 究 で使 用 した相 対 カ ッ ト量 は 18% , 34% , 49% , 65%
6
g.6.
o氏製 )に取込 み ,Fi
os
r
c
Mi
(
次 に,得 られ た零 点集 合 要素デ ー タ を表 計算 ソフ トExcel
,横 軸 を面積 Azと して両 対数 グ ラフを作成 した .両者 の関係
に示す よ うに縦 軸 を周 囲長 Lz
の勾 配 αか ら零 点集 合 次 元
に対 して べ き乗 近 似 を適 用 す る こ とで近 似 直線 を求 め, 直線
要素デ ー タ を 1つ の グ ラフ
かZ‑2αを得 た .こ こで,3つ の AFM 画像 か ら得 られ る零 点集合
にプ ロ ッ トす る こ とで信 頼性 を高 めた .
数
8% ,34% ,49% ,65% , 80% で求 めた通 常 の場 合 の両対
7に相 対 カ ッ ト量 ∂を 1
g.6.
Fi
グ ラフ を示す .相 対 カ ッ ト量 に
グラ フ と8=65% だ けの両 対数 グ ラフ, 6=80% だ けの両 対数
よる違 い は ほ とん どない こ とがわ か る.
三重大学大学 院
工学研究科
5
6
5
0
l
JZ7
4
0
l
4
0
l
m
t
0
l
\zq
5
∈u
09
081
07 1
061
05 1
041
1 1
0
3
1
0
3
07
061
051
1041
m2
dz/n
m2
Az/n
%
0
8
65%,
49%,
4%,
3
%,
8
1
♂‑
)
a
(
%
芦65
(
)
b
(
09
081
1
5
Jz7
4
0
=U
出 0
日
m
t
102 104 106 108 1010
Az/nm 2
%
0
8
6=
)
C
(
7 相 対 カ ッ ト量 の違 い に よ る比 較
g.6.
Fi
パ ワース ペ ク トル 次 元 Dpsの測 定 法
1節 で説 明 した傾 き補 正 を行 った試 料 表 面 画像 を用 い る.
3.
.
パ ワー スペ ク トル 法 で も 6
り離散 的 な高 さ値 を求 め る必 要
パ ワー スペ ク トル 次 元 を求 め るた め に は, まず 断 面 曲線 よ
M に備 え られ てい る断 面形 状 解 析 ソフ トに よっ
が あ る. そ こで, そ の試 料 表 面画 像 を AF
が改 良
3)
1
0を用 い て戸 田(
c6.
i
s
lBa
ua
s
tVi
f
o
os
r
c
を表 示 す る.次 に,Mi
)
)
a
(
8
6.
g.
Fi
て 断 面 曲線 (
を行 い ,パ ワー ス
FFT)
p」を用 い て高速 フー リエ 変換 (
vb
T.
改 良 1次 元 FF
した プ ログ ラム 「
られ たパ ワー スペ ク トル密 度 sp
ペ ク トル 密 度 spと波 長 Aの 関係 を得 た . この よ うに して得
.本 研 究 で用 い た試 験 片 に
)
b)
(
8
6.
g.
Fi
と波長 Aか ら,パ ワー スペ ク トル 次 元 Dpsを算 定 した (
めた .ま た ,得 られ た Dpsは,
は方 向性 が あ るた め,円周 方 向 と半径 方 向 にお い て Dpsを求
各 試 料 につ き 3回測 定 した もの の平均 値 を採 用 した .
M の ス キ ャ ン方 向 に測 定 した Dpsとス キ ャン方 向
今 回 ,工具 表 面 を測 定 した とこ ろ,AF
に測 定 した Dpsが小 さ くな る傾
と垂 直 の方 向 に測 定 した Dpsの値 が異 な り, ス キ ャ ン方 向
Dpsが得 られ るはず で あ る. そ
向 が得 られ た . 工具 表 面 は方 向性 を持 ってい ない の で 同 じ
2
3.
6.
三重大学大学院
工学研究科
6
6
0度 回転
を9
9に示 す よ うに,工具 の A方 向 と B方 向の測 定 を行 った後 ,工具
6.
g.
こで,Fi
1に測 定結果 を示 す .A,B ともに ス キ ャ ン
e6.
し,再 度 A 方 向 と B 方 向 を測 定 した.Tabl
4 と異 な る値 にな る こ
1,垂 直方 向 に測 定 した場 合 は Dps≒ 1.
方 向 に測 定 した場 合 は Dps≒ 1.
と異 な る こ とや ピェ ゾス
とがわ か った . これ は縦 方 向 に抜 き出 した断 面 曲線 が実際 の断面
は半径 方 向の測 定 にはス キ ャ
キ ャナ の方 向性 に よる もの と考 え られ る. したが って, 今 回
ン方 向 に測 定 した値 を使 用 した .
0 0
3 2
H
a
竜!
uuJ
0
1
on旬 m
i
t
i
alpos
ont
z
i
Hor
断 面 曲線
a)
(
u/ds
l
u
z
0‑2
1
10
‑ 1
00
1
n
‑旬l
/
1
01
10 2
p と波長 1の関係
パ ワー スペ ク トル密 度 s
b)
(
8 パ ワー スペ ク トル 法 にお ける処 理 の流れ
g.6.
Fi
三重大学大学院
工学研究科
67
Scandi
r
ect
i
on
Scandi
r
ect
i
on
Rot
at
e900
1■
Fi
g.6.
9 測 定方 向 を変 えた Dpsの測 定 (
Tool
‑
1
)
Tool
‑
1
)
Ta
bl
e6.
1 Dps測 定結果 (
Dps(
s
ca
ndi
r
ec
t
i
on)
Dps(
ve
r
t
i
caldi
r
ec
t
i
on)
A
1.
ll
1.
38
B
1.
08
1
.
35
6.
4 零 点集 合 次 元 Dzに よる加 工品表 面 の解析 結 果
g.6.
1
0に工具 表 面 お よび
零 点集 合 法 に よって表 面細部 の凹凸形 状 につ い て検討 す る.Fi
試 験 片 表 面 の周 囲長 L
zと面積 A
zの関係 の一例 を示 す .L
zと A
zの関係 が直線 性 を持 ってい
る こ とか ら,工具表 面お よび試 験片表 面 は フ ラクタル 性 を有す る とい うこ とが確 認 で き る.
Fi
g.6.
11にカー ボ ン蒸 着 工具 を用 い た Tool
‑
1の Dzと圧縮 率 e
cの関係 , Fi
g.6.
1
2に菜 種
油 を用 い た Tool
‑
1の Dzと圧 縮 率 ecの関係 を示 す . 比較 のた め,Tool
‑
2 の結果 も示 す .
Tool
‑
1の場合 , 工具 と初期試 験片 の Dzが ほ とん ど変 わ らず ,圧縮 率 e
cが増加 して も有意
な変化 は見 られ ず , ば らつ きが大 き く測 定箇所 に よ る違 い も良 くわか らない . Tool
‑
2と比
Tool
‑
2で は全 体 的 に工具 の pzよ り大 きな値 とな ってい る.
べ る とば らつ きが大 き く,また,
菜種 油 につ い て もば らつ きが大 き く有意 の変化 は見 られ ない .
Fi
g.6.
1
3にカ ー ボ ン蒸 着 工具 を用 い た Tool
‑
1での Dzと相 対す べ り量 Lsの 関係 ,
Fi
g.6.
1
4
に菜 種 油 を用 い た Tool
‑
1での Dzと相 対す べ り量 Lsの関係 を示す .相 対す べ り量 が大 き く
な る こ とに よる βZの値 の有意 な変化 は見 られ なか った.
Fi
g.6.
1
5にカ ー ボ ン蒸 着 工具 を用 い た Tool
‑
1にお け る Dzと Saの関係 , Fi
g.6.
1
6に菜種
油 を用 い た Tooト1にお け る かZと 範 の関係 を示 す .比較 のた め,Tool
‑
2の結 果 も示 す .βZ
とぶ。の間 に有意 な 関係 は見 られず ,平 滑化 が進 む こ とに よる βZの変化 は見 られ なか った.
工具 の βZと初期試 験 片 の βZが ほ とん ど変 わ らなか ったた め,平滑化 が進 ん で も βZが
変化 しなか った のか,βZでは平滑化 挙 動 を捉 え る こ とが で きない のか ど うか は現在 の とこ
ろわ か らない . 工具 と初期試 験片 の βZに差 が あ る場合 の実験 が必 要 で あ る.
三重大学大学院
工学研究科
68
09
08 1
07 1
06 1
05 1
04 1
03 1
1
09
08 1
07 1
06 1
05 1
04 1
03 1
1
Az/nm 2
dz/nm2
mm)
‑1
%, r
38
c‑
e
試 験 片表 面(
b)
(
a)工 具 表 面
(
g.6.10
Fi
周 囲長 Lzと面積 Azの 関係
6
0 20 30 40 50 0
0 1
.
/
nec/0
l
a
r
t
ves
i
s
s
e
Compr
(
F
Too
)
a
ig
ト
.6
.l l
0 20 30 40 50
0 1
。/%
ne
i
a
r
t
ves
i
s
s
e
mpr
Co
2
‑
Tool
b)
(
1
Dzと圧 縮 率 ecの 関係 (カ ー ボ ン蒸 着 )
6
0 20 30 年0 50 0
0 1
.
/
nec/0
l
a
r
t
ves
i
s
s
e
m
Co pr
0 20 30 号0 50 60
0 1
.
/
/0
nec
l
a
r
t
ves
i
s
s
e
Compr
2
‑
Tool
b)
(
I
‑
Tool
)
a
(
2
1
g.6.
Fi
Dzと圧 縮 率
三重大学大学院
菜 種 拍)
ecの 関係 (
工学研究科
9
6
2
.
8 1 1
6 0.
4 0.
2 0.
0 0.
Ls/mm
0
8
6 0.
4 0.
2 0.
0.
Ls/m m
‑27‑49%
。
b)e
(
=5‑24%
c
)e
a
(
カー ボ ン蒸 着)
3 Dzと Lsの関係 (
1
g.6.
Fi
2
.
8 1 1
6 0.
4 0.
2 0.
0 0.
Ls/m
菜種 拍)
4 Dzと Lsの関係 (
1
g.6.
Fi
0
20
40
gα /nm
60
80
カー ボ ン蒸 着)
5 かZと 範 の関係 (
1
6.
g.
Fi
三重大学大学院
工学研究科
1
2
1.
70
0
20
60
40
∫α /nm
80
菜 種 拍)
6 Dzと saの 関係 (
1
g.6.
Fi
5 パ ワー スペ ク トル次 元 Dpsに よる加 工 品表 面 の解 析結果
6.
い て検討 した .
次 に,パ ワー スペ ク トル法 に よって表 面細部 の凹凸 形状 につ
を示 す .FFT解
7に工具 表 面 お よび試 験片表 面 の断 面 曲線 と FFT解析 結果 の一例
1
g.6.
Fi
性 を持 ってい る こ とか ら, フ ラ
析 の結 果 ,パ ワー スペ ク トル密 度 sp と波長 1の関係 が直線
クタル 性 を有す る こ とが確 認 で き る.
1の 円周 方 向 にお け る Dpsと圧 縮 率 ecの 関係 ,
‑
8にカー ボ ン蒸 着 工具 を用 い た TooI
1
g.6.
Fi
率 ecの関係 を示 す .比
9にカー ボ ン蒸 着 工具 を用 い た半径 方 向 にお け る Dpsと圧縮
1
g.6.
Fi
2共 にば らつ きが大 き く, どち らの方 向 も平
‑
1,Tool
2の結果 も示 す .Too‑
‑
較 の た め,Tool
.
滑化 が進 ん で も試 験 片 の Dpsには有 意 の関係 は認 め られ ない
21
g.6.
1の 円周 方 向 にお け る Dpsと圧 縮 率 ecの 関係 , Fi
‑
20に菜 種 油 を用 い た Tool
g.6.
Fi
2の
‑
を示 す .比較 の た め,Tool
に菜 種 油 を用 い た半径 方 向 にお け る Dpsと圧 縮 率 ecの 関係
験 片 の Dps
1で は どち らの方 向 も平 滑化 が進 ん で もば らつ きが大 き く,試
結果 も示す .Too‑
2にお い て は ecが大 き くな る と Dpsも大 き くな る
には有 意 の 関係 は認 め られ ない が, Too‑
傾 向が見 られ る.
sと相 対 す べ り量 Ls
1にお ける Dp
‑
23にカー ボ ン蒸 着 工具 を用 い た Tool
g.6.
22と Fi
g.6.
Fi
27‑49% の場合 で
c‑
23は圧縮 率 e
g.6.
‑24%の場合 ,Fi
c‑5
22は圧縮 率 e
g.6.
の関係 を示 す .Fi
sと相 対す べ り量 Lsの関係 を示
1にお け る Dp
‑
24に菜種 油 を用 い た Tool
g.6.
Fi
あ る. また ,
き くな る こ とに よる Dpsの値
す .ば らつ きが大 き く,い ず れ の条件 も相 対 す べ り量 Lsが大
の有意 な変化 は認 め られ ない .
26に菜種
g.6.
sと saの関係 ,Fi
1にお け る Dp
‑
25にカー ボ ン蒸 着 工具 を用 い た Tool
g.6.
Fi
合 で は,
こお け る Dpsと Saの関係 を示す ・ カー ボ ン蒸着 工具 を用 いた場
1を
‑
油 を用 いた Tool
sが大 き くな る傾 向が あ る こ とが わ か る.Saが
saが小 さい範 囲 にお い て は試 験片表 面 の Dp
に よ り, 工具 表 面 よ りも大
小 さ くな る と工具 の Dpsよ りも大 き くな ってお り, しごき効果
も同様 な傾 向 が見 ら
sとな った ので はない か と考 え られ る.菜 種 油 を用 いた場 合 で
きな Dp
ー ボ ン蒸 着 の方 が しごき効果
れ るが カー ボ ン蒸 着 工具 よ りは小 さな Dpsとな ってい る.カ
が大 きか った た めで はない か と考 え られ る.
三重大学大学院
工学研究科
71
s
‑ Jd
t
z
0
0
0
0
0
0
0
0
2
1
1
2
3
4
5
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11
5
0
5
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zont
i
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2
0‑
1
20
0
10
0‑1
1
1
01
1
10
2
pm
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工具表 面
)
a
(
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00000 002
54321 1
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0
20
5
1
10
5
on/pm
i
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zont
i
Hor
2
0‑
1
1
0‑
1
01
00 1
Pm
A/
1
10
2
試 験 片表 面
b)
(
7 断 面 曲線 お よび FFT解 析 結 果
1
g.6.
Fi
0 50 60
.
0 20 30 4
0 1
.
/
nec/0
l
a
r
t
ves
i
s
s
e
Compr
0
0 50 60
.
0 20 30 4
1
.
/
nec/0
l
a
r
t
ves
i
s
s
e
Compr
b)Tool‑2
(
1
‑
)Tool
a
(
カー ボ ン蒸 着 ,円周 方 向)
8 Dpsと圧 縮 率 ecの関係 (
1
g.6.
Fi
三重大学大学院
工学研究科
72
0
6
0 20 30 40 50 60
0 1
.
/
c/0
ne
i
a
r
t
ves
i
s
s
e
Compr
0 50 0
0 20 30
1
.
/
C/0
ne
i
a
r
t
ves
i
s
s
e
Compr
4
2
‑
b)Tool
(
1
‑
)Tool
a
(
カー ボ ン蒸 着 ,半径 方 向)
9 Dpsと圧 縮 率 ecの関係 (
1
g.6.
Fi
0
′
● 4●
1 1
u
d
S
0
′
.
● 4
H
H H
H
S
u
d
0 50 60
.
4
0
0 3
02
01
。/%
l
a
r
t
ves ne
i
0 50 60
.
0 20 30 4
0 1
.
/
c/0
ne
l
a
r
t
ves
i
s
s
e
Compr
s
s
e
Compr
菜種 拍 , 円周 方 向)
20 Dpsと圧 縮 率 ecの関係 (
g.6.
Fi
4●
U
∠
●
1 1
u
d
S
.
6. 4
1 1
SdcT
010 20 30 40 50 60
.
/
C/0
ne
i
a
r
t
ves
i
s
s
e
Compr
0 20 30 40 50 60
0 1
.
/
C/0
ne
i
a
r
t
ves
i
s
s
e
Compr
菜 種 拍 , 半径 方 向)
21 Dpsと圧 縮 率 ecの 関係 (
g.6.
Fi
三重大学大学院
工学研究科
73
2
.
8 1 1
6 0.
4 0.
2 0.
0 0.
上∫/mm
2
8 1 1.
6 0.
4 0.
2 0.
0 0.
Ls/m
半径 方 向
b)
(
)円周方 向
a
(
%,カー ボ ン蒸 着)
‑24
ec‑5
2 Dpsと Lsの関係 (
2
6.
g.
Fi
2
.
8 1 1
6 0.
4 0.
2 0.
0 0.
上∫/mm
6
4 0.
2 0.
0 0.
8
0.
1
2
1.
Ls/mm
半径 方 向
b)
(
)円周方 向
a
(
23 Dpsと Lsの関係 (ec‑27‑49%,カー ボ ン蒸 着)
6.
g.
Fi
2
.
8 1 1
6 0.
4 0.
2 0.
0 0.
Ls!mm
2
.
8 1 1
6 0.
4 0.
2 0.
0 0.
Ls/mm
半径 方 向
b)
(
)円周方 向
a
(
菜種 拍)
4 Dpsと Lsの 関係 (
2
6.
g.
Fi
三重大学大学院
工学研究科
4
7
8
0.
0
20
40
60
80
8
0.
0
20
gα/nm
40
60
80
m
Sa/r
半径 方 向
b)
(
)円周 方 向
a
(
カー ボ ン蒸 着)
25 Dpsと saの 関係 (
6.
g.
Fi
8
0.
0
20
40
un
Sa /r
60
80
8
0.
0
20
半径 方 向
b)
(
)円周 方 向
a
(
菜 種 拍)
26 Dpsと saの 関係 (
g.6.
Fi
三重大学大学院
40 60
m
Sa/r
工学研究科
80
75
第 7章
結論
本研 究 で は,ナ ノ レベル での金 属 の塑性加 工技術 を開発 す る こ とを 目的 と し, 単軸圧 縮
加 工 に よる超 平 滑 面創 成 挙動 につ いて検討 を行 った .最 大高 さ粗 さ Rz≒60nm,算術 平均粗
0nm の表 面 を持 った工具 を製 作 し,圧 縮試 験 を行 った.圧 縮試 験 の際 , 工具 と試
さ Ra≒ 1
験 片 の間 の金 属接触 を避 け るた め に, 工具表 面 に潤 滑剤 と してカー ボ ン蒸 着膜 ,菜 種 油 を
使 用 して実験 を行 った .そ して,表 面粗 さ計 に よる表 面 の観 察 ,AFM に よる表 面 の観 察 ,
FEM 解 析 に よる変形 シ ミュ レー シ ョンを行 い ,試 験 片表 面 の超 平滑面 の創 成 挙動 につ い て
明 らか に した . また,試 験片表 面 の凹凸形 状 を複 雑 さ とい う観 点 か ら評価 し,超 平 滑 面 の
創 成 挙動 を検討 す るた めに,零 点集 合 次元 Dz,パ ワー スペ ク トル 次元 Dpsを求 め,ナ ノフ
ラ クタル 構 造 につ い て も調 べ た . また, それ ぞれ の実験 で従 来 の工具 (
最 大 高 さ粗 さ Rz
≒1
0nm,算術 平均粗 さ Ra
≒5nm) との挙動 の違 い及 び潤 滑剤 の違 い が平滑化 に及 ぼす影 響
につ い て も検討 した .
以 下 に本研 究 に よって得 られ た結果 を示 す .
(
1
)カー ボ ン蒸 着 工具 を使 用 した圧縮試 験 で は,算術 平均粗 さ Ra,算術 平均 面粗 さ saとも
に,圧 縮 率 が 30% を超 えて もカー ボ ン蒸 着膜 の剥離 の影 響 を受 けず に小 さ くな り,従
Ra≒5nm) と同程 度 か逆 に小 さくなった.圧縮 率 に よって
来 の表 面粗 さが小 さい 工具 (
は工具 と同 じかそれ 以上 の平 滑度 が得 られ た .圧 縮 率 30%以 下 で は,表 面粗 さの小 さ
い 工具 ほ ど平 滑化 は進 んで はい ない ものの, それ ほ ど大 きな差 はみ られ なか った.
(
2)カー ボ ン蒸 着 工具 を使 用 した圧 縮試 験 で は, 工具表 面粗 さの影 響 は圧縮 率 が小 さ く,
材 料 流動 の小 さい部 分 に大 き く現れ る と考 え られ る. これ は材 料流 動 が小 さい部 分 で
は工具 ‑ の転 写 が平 滑化 の主 な要 因 のた め と考 え られ る.逆 に材 料 流動 の大 きい外 周
部 分 で は しごき効 果 が平 滑化 の主 な要 因 と考 え られ るので工具表 面粗 さの影 響 が小 さ
くな った の で は ない か と考 え られ る. ま た, 円周 方 向 よ り半径 方 向 の方 が材 料 流 動 に
よる平 滑効 果 が大 きい こ とが わか った .
(
3)菜種 油 を使 用 した圧 縮 試 験 で は,圧 縮 率 が大 き くな るに従 って Ra
,S
aともに小 さ くな
り, お お む ね従 来 の工具 の方 が小 さ くな った が , それ ほ ど大 きな違 い は見 られ な か っ
た.
(
4)カー ボ ン蒸 着 と菜 種 油 を比較 す る と,表 面粗 さに は明確 な違 い は見 られ な か った が,
菜種 油 の場 合 ,測 定箇所 に よるば らつ きが大 き くな った. これ は, オイル ピ ッ トが形
成 され た た め と考 え られ る.最 も平 滑化 され た の はカー ボ ン蒸 着 の場合 で あ った . ま
た, 中心部 付 近 で は菜 種 油 の方 が カー ボ ン蒸 着 よ りも相 対 す べ り量 が大 きい こ とが わ
か った .
(
5)フ ラ ク タル 解 析 (
零 点集 合 法 お よび パ ワー スペ ク トル 法)に よって圧 縮 試 験 にお け る試
験 片 表 面 お よび 工 具表 面細 部 の微 視 的 な 凹 凸形 状 を調 べ た結果 , フ ラク タル 性 を有す
るこ とが確 認 され た.
(
6)零 点集 合 次 元 は平 滑化 に伴 う変化 は認 め られ なか った .カー ボ ン蒸 着 工具 を用 い た場
合 で は,
Saが小 さい範 囲 におい て は試 験 片表 面 のパ ワー スペ ク トル 次元 Dpsが大 き くな
る傾 向が あ る こ とが わか った .saが小 さ くな る と工具 の Dpsよ りも大 き くな ってお り,
三重大学大学院
工学研究科
76
しごき効果 に よ り,工具表 面 よ りも大 きな Dpsとな った ので は ない か と考 え られ る.莱
種 油 を用 い た場合 で も同様 な傾 向 が見 られ るが, カー ボ ン蒸 着 工具 よ りは小 さな Dps
とな ってい る. これ は,
カー ボ ン蒸 着 の方 が しごき効果 が大 きか った た めで は ない か と
考 え られ る.
三重大学大学院
工学研究科
77
謝辞
本 研 究 の遂 行 お よび論 文 作 成 に あた り, 終 始懇 切 な る ご指 導 い た だ きま した松 井 正 仁 准
教 授 , 中村 裕 一 准 教 授 ,牧 清 次郎 教授 , な らび に工具 の作製 な どにつ い て多 くの貴 重 な御
指 導 をい た だ き ま した村 井健 一技 術 専 門員 に深 く感 謝 い た します .
さ らに, 実 験 お よび 考 察 に際 して,惜 しみ ない ご協力 をい た だ い た ナ ノプ ロセ ッシ ン グ
研 究 室 赤塚 幸 平 氏 , 宮本 達馬 氏 な らび にナ ノプ ロセ ッシ ン グ研 究 室 諸 氏 に深 く感 謝 い た し
ます .
三重大学大学院
工学研究科
8
7
参 考文 献]
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レー シ ョン‑ の展 開 , 電 子 情 報
2) 岡本 和 也 :半 導 体 製 造 技 術 の動 向 とシ ス テ ム イ ンテ グ
(
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39‑
,8
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C巻 , 11号 (
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D研
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72
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11
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文集 (
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アル ミニ ウム合 金 棒 材 の超 平 滑
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, 日本 機 械 学 会 第 1
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63
11
59‑
11
,W.Wu,
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4年 度 修 士論 文 (三 重 大
成 1
服 部 清 一 ,超 精 密 鍛 造 品 のナ ノ表 面 特 性 に 関 す る研 究 ,平
0)
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(
2002)
学 大 学 院 工 学研 究 科 ), (
三重大学
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(
2004)
大 学 院 工 学 研 究 科 ), (
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井 川 恵 里 ,金 属 の圧 縮 加 工 にお け る平 滑 化 挙 動 ,平 成 1
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2005)
学 院 工 学研 究 科 ), (
三重 大学 大 学 院
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戸 田耕 平 ,塑 性 加 工 に よ る超 平 滑 面 の創 成 ,平 成 1
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学 大 学 院 工 学 研 究 科 ), (
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1
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5
, 4‑
982)
1
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1
(
,H 8
986)
1
高 安 秀 樹 :フ ラ ク タル ,朝 倉 書 店 , (
7)
1
(
山 口昌哉 監 訳):フ ラ ク タル ・イ
ハ イ ン ツ ・オ ッ トー パ イ トゲ ン,デ ィー トマ ‑ ザ ウペ (
8)
1
(
40
, 39‑
990)
1
メー ジ, シ ュプ リンガ 一 ・フ ェア ラー ク東 京 , (
の適 用 ,塑 性 と加 工 ,40巻 ,
黒 崎 靖 ,松 井 正仁 :塑 性 加 工表 面 問題 ‑ の フ ラ ク タル 手 法
9)
1
(
639
, 635‑
7)
999‑
1
462号 (
面 プ ロフ ィル の フ ラ ク タル 解
20)中西 章 :等 2軸 引 張 りを受 け るア ル ミニ ウム薄 板 自由表
(
,8
996)
1
,(
三重 大 学 大 学 院 工学研 究科)
析 , 平 成 7年 度 修 士論 文 (
三重大学大学院
工学研究科