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LRH1 エネルギーと水を大切に使う
1. 建物の工夫で省エネ
1.1 建物の熱負荷抑制
評価内容
暖冷房エネルギーの削減度合いを評価するため,外界との熱の出入りを抑制する性能を評価対象とす
る。評価基準は「QH1.1.1.1 断熱性能の確保」と同じである。
評価レベル
【加 点 条 件 の有無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
暖 冷 房 負 荷 を削 減 するための建 物 の基 本 性 能 として,断熱性能 を評価する。
レベル1から4まで
レベル1から4までの基 準 は「住 宅 の品 質 確 保 の促 進 等 に関 する法 律 」に規 定 する日 本 住 宅 性 能 表 示 基 準 の評
価 方 法 基 準 における「5-1省 エネルギー対 策 等 級 」に準 ずることとし,断 熱 地 域 区 分 ごとに定 められた以 下 のいずれ
かの基 準 で評 価 する。
① 年 間 暖冷 房 負 荷
② 熱 損 失係 数 等
③ 熱 貫 流率 等
具 体 的 な基 準 値 及 び算 出 方 法 については,日 本 住 宅 性 能 表 示 基 準 の評 価 方 法 基 準 を参 照 のこと。更 に詳 しい
算 出 方 法 は,「住 宅 の省 エネルギー基 準 の解 説 」(IBEC)で詳細 に解説されている。また,「PartⅢ 3.2評 価のための
参 考 資 料 」に断熱 地 域 区 分 を示 す。
日 本 住 宅 性 能 表 示 基 準 「5-1省 エネルギー対 策等級」
レベル5
レベル5の基 準 は,「住 宅 事 業 建 築 主 の判 断 の基 準 」の断 熱 性 能 区 分 に準 じ,次 の表 に示 す熱 損 失 係 数 以 下 で
あることする。
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レベル5の基 準「エネルギーの使 用 の合理 化に関 する法 律 」における「住 宅 事 業 建 築 主 の判 断 の基 準 」に示 された
「断 熱 性 能 の区分 」の内 ,地 域 を区 分 毎 に以 下 の区分 をみたすこと。
地域区分
耐 熱 性 能 の区 分
備 考(熱損失係数(W/㎡K)の目安 )
Ⅰa,Ⅰb
(オ)
1.4以 下
Ⅱ
(エ)
1.6以下
Ⅲ
(エ)
(エ)
(エ)
2.1以下
Ⅳa,Ⅳb
Ⅴ
Ⅵ
(オ)
2.1以下
2.1以下
3.7以下
(所定 の日射遮蔽措置 を施すこと)
ここで,Ⅵ地 域 の基 準 における「所 定 の日 射 遮 蔽 措 置 」とは,窓 の日 射 遮 蔽 措 置 が,下 記 ①②のいずれかに該 当
することとする。
① 窓 の夏 期 日 射 侵 入 率 を面 積 加 重 平 均 した値 が,住宅全体 で0.30以下 であること。
② 各 窓 のガラスの仕 様 ,カーテン等 の付 属 部 材の仕様,及 び,ひさし,軒 等の日除 けの組合 せが,下 記のいずれ
かであること。
,
,
,
,
なお,上 記 の熱 損 失 係 数 のほか,「住 宅 事 業 建 築 主 の判 断 基 準 ガイドブック」(IBEC)の「断 熱 性 能 等 判 断 資 料 」
に記 載 の他 の判断 方 法 (熱 貫 流 率 など)により判 断 することもできる。
(http://ees.ibec.or.jp/index.phpを参 照 。)
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LRH1 エネルギーと水を大切に使う
1. 建物の工夫で省エネ
1.2 自然エネルギー利用
評価内容
日射熱や自然風などの自然エネルギーを利用し,暖冷房エネルギーを削減することができる手法につい
て評価する。
なお,太陽熱給湯は「LR H 1.2.2.1 給湯機器」,太陽光発電は「LR H 1.2.5.2 太陽光発電システム」でそ
れぞれ評価するため本項目では評価しない。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
基準
レベル3を満たさない。
(該当するレベルなし)
日射熱の利用により暖房エネルギーを 10%程度削減できる。
レベル3
あるいは,自然風の利用により冷房エネルギーを 10%程度削減できる。
日射熱の利用により暖房エネルギーを 20%程度削減できる。
レベル4
あるいは,自然風の利用により冷房エネルギーを
日射熱の利用により暖房エネルギーを 20%程度削減でき、
レベル5
かつ自然風の利用により冷房エネルギーを 20%程度削減できる。
注)沖縄県では「暖房エネルギー削減(日射熱の利用)」を,寒冷地では「冷房エネルギー削減(自然風の
利用)」を評価対象外とする。この場合,レベル4は評価せず,評価対象を20%程度削減できればレベ
ル5と評価する。
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
自 然 エネルギーを利 用 して暖 冷 房 エネルギーを削 減 するためには,地 域 の気 候 特 性 や立 地 などの条 件 を勘 案 し
た上 で,適 切 に手 法 を計 画 する必 要 がある。
この計 画 手 順 と,見 込 まれる暖 冷 房 エネルギー削 減 効 果 が「自 立 循 環 型 住 宅 への設 計 ガイドライン」(IBEC)に示
されている。本 項 目 では,これに基 づき評 価 を行うこととする。
なお,本 評 価 方 法 とは別 に,地 域 の気 候 特 性 や立 地 などの条 件 に基 づき,自 然 エネルギーにより削 減 できる暖 冷
房 エネルギーを定 量 的 に試 算 できる場 合 には,その削減率 によって評価 してもよい。
以 下 に,「自 立 循 環 型 住 宅 への設 計 ガイドライン」に基 づく評 価 手 法 を,「日 射 熱 の利 用 」と「自 然 風 の利 用 」の順
に示 す。暖 房 エネルギーの削 減 効 果 は【日 射 熱 の利 用 】のSTEP6の表 における「暖 房 エネルギー削 減 効 果 」で,冷房
エネルギーの削 減 効 果 は【自 然 風 の利 用 】のSTEP3の表における「冷房エネルギー削減効果」で判断 する。
【日 射 熱 の利 用】
STEP1 日 射 熱 利 用 の条 件 確 認
日 射 熱 を有 効 に利 用 するためには,建 物 の断 熱 性 能 と集 熱 面 となる開 口 部 (以 下 ,集 熱 開 口 部 )面 積 が一 定 以
上 であることが求 められる。具体 的 には次 の2つの条 件 を確 認 し,これらのいずれか一 つでも満 たされない場 合 は,「日
射 熱 の利 用 」による評 価 はできないこととする。
条 件 1: 「LR H 1.1.1 建 物 の熱 負 荷 抑 制 」でレベル4を満たすこと。
条 件 2:延 べ面積 に対 する集 熱 開 口 部 の面積 の割 合 が10%以 上 であること。このときの集 熱 開 口 部 の方 位 ※は,
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真 南 から東 又 は西 に30°以 内 であること。
※「開 口 部 の方 位 」とは,開口 部 から屋 外 に向 かう法 線 の向 き(開 口 部 の両 端 を結 ぶ直 線 に垂 直 な方 向
で室 内 から屋 外 に向 かう向 き)をいう。
STEP2 パッシブ地 域 区 分 の選 択
建 設 地 を,次 の3区 分 から選 択 する。これは,冬 期 の日 射 量 と気 温 から地 域 の日 射 特 性 を区 分 したパッシブ地 域
(PSP)区 分 であり,当 該 建 設 地 の区 分 は本 マニュアルの「PartⅢ3.2 評 価 のための参 考 資 料 (参 考 資 料 2)」に示 す
都 道 府 県 ・市 町 村 区 リストに基 づき選 択 することができる。
STEP3 日 照 障 害 の影 響 による立 地 区 分 の選 択
日 射 熱 を取 得・利 用 する効果 は,建 物 が受 ける日 照 障 害 の影 響 ,すなわち建 物 の日 照 時 間 が大 きく関 係 する。こ
こでは,日 照 障害 の影 響 の程 度 により,立 地 を次 の3つに区分 する。
,
,
,
なお,日 照 時 間 は,原 則 として日 影 図 などを用 いて建 物 ごとに確 認 する。ただし,南 側 が道 路 や公 園 に接 するなど,
明 らかに終 日 日 照 を得 られる場 合 は確 認 することなく「立地3」と判断できる。
STEP4 建 物 の方 位 区 分 の選 択
日 射 熱 を取 得 ・利 用 する効 果 は,集 熱 開 口 部 が面 する方 位 が大 きく関 係 する。開 口 部 の方 位 は,地 域 区 分 に係
わらず真 南 から東 又 は西 に30°以 内 であることが集 熱 上 効 果 があり,この範 囲 を超 えると集 熱 量 は急 減 する。した
がって,集 熱 の対 象 となる開 口 部 の方 位 は,真 南 から30°以 内 であることを条 件 とし,その範 囲 内 において真 南 を基
準 として次 の2つに区分 する。
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STEP5 日 射 熱利 用 手 法 の分 類
採 用 した日 射 熱 利 用 手 法 を,次 の3手 法 に分類 する。
なお,日 射 熱 利 用 手 法 として評 価 するための要件 を以下 に示 す。
STEP6 日 射 熱 利 用 による暖 房 エネルギーの削 減効果
以 上 により分 類 した「パッシブ地 域 区 分 」「立 地 」「方 位 」「手 法 」をもとに,下 記 表 から暖 房 エネルギーの削 減 効 果
を求 める。手 法 は枠 内 のいずれかの組 み合 わせであれば良 いこととする。
,
,
【自 然 風 の利 用】
STEP1 立 地 区 分 の選 択
建 設 する住 宅 の風 上 側 に卓 越 風 を遮 蔽 する建 物 があるかどうかなど,敷 地 周 辺 の状 況 により,自 然 風 の利 用 可
能 性 が変 わり,また省 エネルギーに有 効 な手 法 が異 なる。ここでは,自 然 風 利 用 を評 価 するための立 地 条 件 を次 の3
つに区 分 する。
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STEP2 自 然 風利 用 手 法 の分 類
採 用 した自 然 風 利 用 手 法 を,次 の5手 法 に分類 する。
自 然 風 利 用 手 法 の設 計 例 を以 下 に示 す。これらは,日 射 熱 利 用 と異 なり評 価 のための要 件 ではないが,上 記 の
手 法 に該 当 するかの判 断 の目 安 とする。
手法
自然風利用の設計例
・卓越風の方向を確認し,壁面,屋根面の風圧力差を検討し,風圧力差の大きい2カ
手法1
所以上に通風に有効な開口部を配置する。
・通風を確保したい部屋を風上側に計画する。
・適切な開口面積を確保する。
・卓越風の方向を確認し,卓越風が流れていく壁面にサンルームや出窓等を設置し,
手法2
風上側に開口部を設ける。
・卓越風の方向を確認し,卓越風が流れていく壁面に開口部を設け,フェンス,植栽,
袖壁等を設置してその部分の風圧力を高める。
手法3
・屋根面で風圧係数が負になる部分を確認し、天窓や頂側窓等を設ける。
・温度差換気をとるために十分な高低差のある高所と低所に窓を設ける。
手法4
・高所に大きな窓を設ける・
・高所の窓として、天窓、頂側窓、排気塔などを設置する。
手法5
・できるだけ開放的な間取りとし,通風に配慮した内部建具(引戸,欄間,格子戸,開
口付き扉など)とする。
※実質的なエネルギー削減効果を得るためには上記以外にも様々な点に注意を払う必要がある。具体的な設
計方法については「自立循環型住宅への設計ガイドライン」などが参考となる。
STEP3 自 然 風利 用 による冷 房 エネルギーの削 減効果
以 上 により分 類 した「立 地 」「手 法 」をもとに,下記表から冷房エネルギーの削減効果 を求める。
(参 考 )上 記 基 準 を「自 立 循 環 型 住 宅 への設 計 ガイドライン」の目標レベルに置きかえると下表となる。
レベル
基準
レベル3
「3.4日射熱の利用」における目標レベル2,あるいは「3.1自然風の利用」における目標
レベル1を達成する。
レベル4
「3.4日射熱の利用」における目標レベル3,あるいは「3.1自然風の利用」における目標
レベル2を達成する。
レベル5
「3.4日射熱の利用」における目標レベル3,および「3.1自然風の利用」における目標レ
ベル2を達成する。
※表 中 の数 字 は上 記 ガイドラインの節 を示 す。
京都重点項目
B(推奨内容)
LRH1 エネルギーと水を大切に使う
2. 設備の性能で省エネ
2.1 暖冷房設備
2.1.1 暖房設備
《自然からつくる-自然環境の利用》
評価内容
暖房設備による暖房エネルギー消費量の削減対策を評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
基準
レベル2を満たさない。
民間を含む一体的空間において,機器効率がレベル3を満たさない暖房設備を採用し
ている。
民間を含む一体的空間において,機器効率が一般的な暖房設備を採用している。
(該当するレベルなし)
民間を含む一体的空間において,機器効率が高い暖房設備を採用している。
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※「Q H 1.1.3.1 適 切 な暖房 計画 」で主 要 な居 室 において,暖 房 設 備 を設 置 しなくても快 適 な温 熱 環 境 を確 保 する
ことができると判 断 され,暖 房 設 備 が不 要 と判断され全く計画されていない住宅の場合,レベル5と評価 する。
【評 価 対 象 外 】
※無 し
≪推 奨 内 容 ≫
・日射熱,自然風以外の自然エネルギーを利用している。
(例)地熱利用,井水利用など
・機器効率が高い暖房設備のうち,ペレットストーブを利用している。
解 説
評 価 対 象 設 備 は,居 間 を含 む一 体 的 空 間 における暖 房 設 備 の内 ,「Q H 1.1.3.1 適 切 な暖 房 計 画 」で評 価 した快
適 な温 熱 環 境 を確 保 するための「主 たる暖 房 設 備」として使用 する機器 とする。
レベル1:機 器 効 率 が不 明 な場 合 。
レベル2:レベル3,レベル5相 当 の機 器 効 率 と判断できない場合。
レベル2の判 定 の目 安 は以 下 のとおり。
【暖 房 設 備 が「LR H 1.2.1.2 冷 房 設 備 」で評 価 したものと同一(冷暖兼用機器)の場合】
・「LR H 1.2.1.2 冷 房 設 備 」でレベル1のもの
【暖 房 設 備 が「LR H 1.2.1.2 冷 房 設 備 」で評 価 したものと異なる場合】
・「LR H 1.2.2.1 給 湯 機 器 」でレベル2となる熱源機 による温水暖房
温 水 暖 房 専 用 熱 源 機 の場 合 はその機 器 効率 が「LR H 1.2.2.1 給湯機器 」のレベル2相当のもの
・電 気 ヒーター式 床 暖 房
・蓄 熱 式 電気 暖 房 器
レベル3:暖 房 設 備 の機 器 効 率 が一 般 的 なものを採用 する場合,レベル3と評価 する。
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レベル3の判 定 の目 安 は以 下 のとおり。
【暖 房 設 備 が「LR H 1.2.1.2 冷 房 設 備 」で評 価 したものと同一(冷暖兼用機器)の場合】
・「LR H 1.2.1.2 冷 房 設 備 」でレベル3のもの
【暖 房 設 備 が「LR H 1.2.1.2 冷 房 設 備 」で評 価 したものと異なる場合】
・「LR H 1.2.2.1 給 湯 機 器 」でレベル3となる熱源機 による温水暖房
温 水 暖 房 専 用 熱 源 機 の場 合 はその機 器 効 率 が「LR H 1.2.2.1 給湯機器 」のレベル3相当のもの
・燃 焼 式 FFストーブ
・燃 焼 式 半 密 閉 型 ストーブ
レベル5:暖 房設 備 の機 器 効 率 が高 いものを採用 する場合,レベル5と評価 する。
レベル5の判 定 の目 安 は以 下 のとおり。
【暖 房 設 備 が「LR H 1.2.1.2 冷 房 設 備 」で評 価 したものと同一(冷暖兼用機器)の場合】
・「LR H 1.2.1.2 冷 房 設 備 」でレベル5のもの
【暖 房 設 備 が「LR H 1.2.1.2 冷 房 設 備 」で評 価 したものと異なる場合】
・「LR H 1.2.2.1 給 湯 機 器 」でレベル5となる熱源機 による温水暖房
温 水 暖 房 専 用 熱 源 機 の場 合 はその機 器 効率 が「LR H 1.2.2.1 給湯機器 」のレベル5相当のもの
・再 生 可 能 な植 物 由 来 の材 料 を燃 料 として使用 している暖房
また,「Q H 1.1.3.1 適 切 な暖 房 計 画 」で主 要 な居 室 において,暖 房 設 備 を設 置 しなくても快 適 な温 熱 環 境 を確 保
することができると判 断 される住 宅 の場 合 ,レベル5と評価する。
暖 房 機 器 は,暖 房 専 用 機 ・冷 暖 房 兼 用 機 ・給 湯 暖 房 兼 用 機 など熱 源 機 の種 類 が多 様 な上 ,放 熱 器 のバリエー
ションも数 多 く存 在 する。また,居 間 を含 む一 体 的 空 間 においても複 数 種 類 の暖 房 機 器 が併 用 されるケースも多 い。
上 記 以 外 の暖 房 設 備 を評 価 する場 合 には,機 器効率 をカタログ等 で確 認し,上記 の暖房 設備 と比較して評価 された
い。
≪京 都 独 自 の考 え方 ≫
・京都市では,都市特性上,とりわけ日射熱の利用に取り組み難い状況がある。それを補完するものとして,地熱利用や井水
利用等を自然エネルギーとして取り扱う。
・地熱利用暖房,井水利用暖房については,実際の事例が少なく未だ発展途上の技術であるため,機器効率によりレベル3
(一般的な機器効率のもの)又はレベル5(機器効率が高いもの)として一律に定めることは難しい。したがって,レベル3以上
の暖房(機器効率によりレベル5としても評価可能)として取り扱う。
・「持続可能な森林」の循環性や維持に寄与するペレットの利用をより推奨する立場から,ペレットストーブを推奨内容とする。
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京都重点項目
B(推奨内容)
LRH1 エネルギーと水を大切に使う
2. 設備の性能で省エネ
2.1 暖冷房設備
2.1.2 冷房設備
《自然からつくる-自然環境の利用》
評価内容
冷房設備による冷房エネルギー消費量の削減対策を評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
居間を含む一体的空間において,特に取組みなし。
(該当するレベルなし)
居間を含む一体的空間において,機器効率が一般的な冷房設備を採用している。
(該当するレベルなし)
居間を含む一体的空間において,機器効率が高い冷房設備を採用している。
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※「Q H 1.1.2.2適 切 な冷 房 計 画 」で主 要 な居 室 において,冷 房 設 備 を設 置 しなくても快 適 な温 熱 環 境 を確 保 する
ことができると判 断 され,冷 房 設 備 が不 要 と判断され全く計画されていない住宅の場合,レベル5と評価 する。
【評 価 対 象 外 】
※無 し
≪推 奨 内 容 ≫
・日射熱,自然風以外の自然エネルギーを利用している。
(例)地熱利用,井水利用など
解 説
評 価 対 象 設 備 は,居 間 を含 む一 体 的 空 間 における冷 房 設 備 の内 ,「Q H 1.1.2.2適 切 な冷 房 計 画 」で評 価 した快
適 な温 熱 環 境 を確 保 するための「主 たる冷 房 設 備」として使用 する機器 とする。
レベル1:レベル3,レベル5相 当 の機 器 効 率 と判断できない,あるいは不明な場合。
レベル3およびレベル5:統 一 省 エネラベルの多段階評価 で評価 する。
(参 考 )統 一 省 エネラベルの多 段 階 評 価 とトップランナー基準値(2010年 7月現在)
【注 意 】多 段階 評 価 および基 準 値 は適 宜 見 直される場合があるため,最新の基準値 を参照のこと
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トップランナー基 準 値
目標
年度
2010会計年度:冷暖房/壁掛け形4.0KW以下(APF基準)
2012会計年度:冷暖房/壁掛け形4.0KW超,壁掛形以外のもの,マルチエアコン(APF基準)
冷暖房兼用形
目標
基準値
冷房能力
冷房能力
壁掛形
寸法フリー
壁掛形以外のもの
マルチエアコン
~3.2kW
5.8
6.6
5.2
~4.0kW
4.9
6.0
4.8
~5.0kW
~6.3kW
5.5
5.0
5.4
~7.1kW
7.1kW超
4.5
4.3
5.4
5.4
※寸法規定:室内機の横幅寸法800mm以下かつ高さ295mm以下の機種
※寸法フリー:上記以外の機種
ルームエアコンのAPF・COPは,メーカーカタログの他経 済産業省資源エネルギー庁 webサイト「省エネルギー政 策
について(3)トップランナー制 度 」で機 種 毎 に確 認 できる。
http://www.enecho.meti.go.jp/policy/saveenergy/save03.htm
旧 式 の機 器 で最 新 の達 成 率 で判 断 できないものについては,原 則 レベル1評 価 となる。ただし,トップランナー基 準
に定 める方 法 に基 づき,独 自 に算 出 した達 成 率 を用 いて評価 してもよい。
トップランナー基 準 の対 象 ではない冷 房 設 備 (電気以外のエネルギーを暖房 の熱源 とするもの,高気密 ・高断熱住
宅 用 ダクト空 調 システム,多 機能 ヒートポンプシステムエアコン等 )については,冷 房 機 能 の機 器 効 率 をカタログ等 で確
認 し,冷 房 機 能 がほぼ同 等 であるトップランナー基 準対象機器の目標基準値 を目安 として評価 する。なお,高断熱住
宅 用 ダクト空 調 システムについては,「住 宅 事 業 建 築 主 の判 断 の基 準 におけるエネルギー消 費 量 計 算 方 法 の解 説 」
(IBEC)に平 均 的 な性 能 値 が示 されており,ここから求 められるCOPに基づいてレベルを判断 してもよい。
(参 考 )ヒートポンプ式 セントラル空 調 システムの2008年 7月時点 カタログデータ平均値
≪京 都 独 自 の考 え方 ≫
・京都市では,都市特性上,とりわけ自然風の利用に取り組み難い状況がある。それを補完するものとして,地熱利用等を自然
エネルギーとして取り扱う。
・地熱利用冷房,井水利用冷房については,実際の事例が少なく未だ発展途上の技術であるため,機器効率によりレベル3
(一般的な機器効率のもの)又はレベル5(機器効率が高いもの)として一律に定めることは難しい。したがって,レベル3以上
の冷房(機器効率によりレベル5としても評価可能)として取り扱う。
語句の説明
【COP】
消 費 電 力 1kW当 たりの冷 房 ・暖 房 能 力 (kW)を表 したもの。この値 が大 きいほど,エネルギー消 費 効 率 が良 く,省
エネ性 の高い機 器 といえる(COP=Coefficient of Performance)。
【APF】
通 年 エネルギー消 費 効 率 。JIS C 9612に基 づき,ある一 定 の条 件 のもとにエアコンを運 転 した時 の消 費 電 力
1kW当 りの冷 房 ・暖 房 能 力を表 したもの。省 エネルギー法 で新 たに設 定 された2010年 度 目 標 製 品 の評 価 基 準 として
採 用 された。
【トップランナー基 準 】
トップランナー基 準 は,省 エネ法 の中 で定 められているもので,エネルギー消 費 機 器 の製 造 又 は輸 入 の事 業 を行 う
者 に対 し,機 器 の目 標 とするエネルギー消 費 効 率 の向 上 を義 務 付 けた法 律 。対 象 となる品 目 ごとに,区 分 ごとのエネ
ルギー消 費 効 率 の目 標 値 と,目 標 を達 成 する年度が定められている。
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LRH1 エネルギーと水を大切に使う
2. 設備の性能で省エネ
2.2 給湯設備
2.2.1 給湯機器
評価内容
給湯機器によるエネルギー消費量の削減対策を評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
下記以外
電気温水器(通電制御型)
燃料系瞬間式給湯器
(該当するレベルなし)
燃料系潜熱回収瞬間式給湯器,電気ヒートポンプ式給湯器,太陽熱温水器,
太陽熱給湯システム(自然循環式/直接集熱,強制循環式/直接集熱,強制循環式/
間接集熱)
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※家 庭 用 コージェネレーションシステムを採 用 する場合は,LRH1.2.5.1に従 い評価 する。
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
電 気 温 水 器 (通 電 制 御 型 以 外 )を採 用 する場 合,レベル1と評価 する。
なお,通 電 制 御 機 能 とは,給 水 温 度 等 の諸 条 件 から必 要 な湯 温 及 び湯 量 に沸 き上 げるための熱 量 を算 出 し,所
要 通 電 時 間 数 を算 出 して通 電 開 始 時 間 を制 御 する機能。メーカーカタログ等 で機能の有無 を確認 することができる。
なお,太 陽 熱 温 水 器 及 び太 陽 熱 給 湯 システムを利 用 している場 合 ,評 価 ソフトにおいては,まず太 陽 熱 利 用 と組
み合 わせて使 用 する給 湯 機 器 のレベルを選 択 する。更 に太 陽 熱 温 水 器 又 は太 陽 熱 給 湯 システムのどちらか該 当 す
る方 を選 択 する。この入 力 は,評 価 レベルへの加 点 は行 われないが,ライフサイクルCO 2 排 出 量 の算 出 時 に,太 陽 熱
利 用 における効 果 が反 映 される仕 組 みとなっている。
(参考 )
電 気 ヒートポンプ式 給 湯機 は,過 去の湯 の使 用 量 を学 習 して翌 日 に必 要 な湯 を沸 かすが,リモコン(運 転 モード)の
設 定 により余 裕 分 を多 めに沸 かすことも少 なめに沸 かすこともできる。運 転 モードを各 メーカーが勧 める最 も効 率 的 な
モード(「省 エネモード」と呼 ばれるもの。メーカー・機 種 により呼 称 は異 なる。)に設 定 することで,更 に省 エネ効 果 を高
めることができる。
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LRH1 エネルギーと水を大切に使う
2. 設備の性能で省エネ
2.2 給湯設備
2.2.2 浴槽の断熱
評価内容
浴槽断熱による給湯エネルギー消費量の削減対策を評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
非断熱タイプの浴槽部分を断熱外皮の外側に露出して設置する場合。
(該当するレベルなし)
非断熱タイプの浴槽部分を断熱外皮の内側に設置する場合,あるいは断熱タイプの浴
槽部分を断熱外皮の外側に露出して設置する場合。
(該当するレベルなし)
断熱タイプの浴槽部分を、断熱外皮の内側に設置する場合。
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※浴 槽 が無 い場合
解 説
浴 槽 に貯 めたお湯 の保 温 性 が悪 いと,追 い焚 きが必 要 となることから給湯 エネルギー消 費量 の増加に繋 がる。この
対 策 を評 価 するために,「浴 槽 の断 熱 性 能 の有 無 」と「住 宅 の断 熱 外 皮 と浴 槽 の位 置 関 係 」の組 み合 わせによりレベ
ル分 けを行 う。ここで評 価 される「浴 槽 の断 熱 性 能 の有無 」は,次の条件 を満 たすことを目安 として判断する。
「浴 槽 の断 熱性 能 の有 無 の判 断 の目 安 」
浴 槽 内 のお湯 (42℃程 度 )の温 度 が2℃低 下 するのに4時間以上 であること。
(目 安 として,想 定 する外 気 温 度 が5℃の場合)
以 下 ,浴 室 のタイプにより整理 する。2以 上 の浴室 を有 する場合は,利用率 が最も高い浴室で評価する。
在 来 工 法 浴 室 の場 合
原 則 として非 断 熱 タイプ浴 槽 として評 価 する。在 来 工 法 浴 室 (湿 式 工 法 )は現 在 でも広 く普 及 しているが,浴 槽 が
接 しているブロックやモルタル,コンクリートへの放 熱 ロスが多 く見 込 まれる。これは外 断 熱 工 法 の住 宅 や,置 き型 の浴
槽 を設 置 する場 合 も同様 である。また,一部 の部 材 にパネルを用 いる乾 式 タイプの在 来 工 法 浴 室 についても,非 断 熱
タイプ浴 槽 と判 断 する。ただし,上 記の「浴槽の断 熱 性 能 の有 無 の判 断 の目 安 」を満 たすことが確 認 できれば,断 熱 タ
イプ浴槽 として評 価 することができる。
ユニットバス の場合 (断 熱 /非 断 熱 両 タイプの区 別 は後 述)
① 非 断 熱 タイプユニットバス
浴 槽 が非 断 熱 であれば,非 断 熱 タイプ浴 槽 として評 価 する。浴 室 が1階 に設 置 され,浴 槽 が住 宅 の床 下 断 熱 外
皮 の外 側 に露 出 する場 合 は,レベル1と評 価 する。
一 方 ,浴 槽 が断 熱 外 皮 の内 側 に設 置 されている場合は,レベル3と評価する。
② 断 熱 タイプユニットバス
浴 槽 が断 熱 タイプであれば,断 熱 タイプ浴 槽 として評 価 する。保 温 性 能 を高 めた浴 槽 が1階 に設 置 され,住 宅 の
床 下 断 熱 外 皮の外 側 に露 出 する場 合 は,レベル3と評価 する。
浴 槽 を住 宅の断 熱外皮 内側に設 置 した場合 は,浴 槽 内 部 から見 て断 熱 層 が2重 になることから,レベル5と評 価
する。
なお,浴 槽 の断 熱 だけでなく,浴 室 の断 熱まで含 めて「浴 槽 の断 熱 性 能 の有 無 の判 断 の目 安 」が確 保 されている
113
場 合 は,基 準 の「断 熱 タイプの浴 槽 部 分 」を「断熱 タイプの浴室部分」と読み替えて評価してもよい。
(参 考 1)浴 槽 と住 宅 断 熱 外 皮 の関 係 による評 価レベル
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
114
(参 考 2)断熱 タイプユニットバスの主 な仕 様 (2007年 9月時点)
浴槽の断熱
・ 浴槽に断熱材(発泡フォーム系または真空断熱材等)を装着している等,浴槽の保温性
能に配慮しているもの。
浴槽蓋の断熱
・ 芯材に断熱材(発泡フォーム系または真空断熱材等)を用いている等,浴槽蓋の保温性
能に配慮しているもの。
防水パンの断熱
・ 断熱シートを防水パン下部に敷設している,あるいは,防水パン裏面に断熱材(発泡フォー
ム系等)を装着している等,浴室の保温性能に配慮しているもの。
壁パネル・天井パネル等の断熱
・ パネル裏面に断熱材(発泡フォーム系等),断熱シートを装着している等,浴室の保温性
能に配慮しているもの。
(参 考 3) 各 浴室 タイプのイメージ
在 来 工 法 浴 室 のイメージ
断 熱 タイプユニットバスの構 造 イメージ1
非断熱 タイプユニットバスの構造イメージ
断熱 タイプユニットバスの構造 イメージ2
115
断熱浴槽蓋 模式図
防水パン断熱シート 模式図
116
LRH1 エネルギーと水を大切に使う
2. 設備の性能で省エネ
2.2 給湯設備
2.2.3 節湯型機器および給湯配管
評価内容
台所・浴室の節湯型機器,給湯配管および追い焚き配管によるエネルギー消費量の削減対策を評価
する。
評価レベル
【加 点 条 件 の有無 】
※あり
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
ヘッダー方 式 給 湯 配 管 を採 用 した場 合 ,通 常 ,ヘッダーから先 の住 宅 設 備 機 器 に至 る配 管 径 を細 くすることがで
き,先 分 岐 方 式 に比 べて捨 て湯 の量 が少 なくなる。このため,ここでは先 分 岐 方 式 給 湯 配 管 の採 用 をレベル2,ヘッ
ダー方 式 給 湯 配 管 の採 用 をレベル3とした。更 に,下 記 の取 組 により加 点 することで,いずれも最 大 レベル5と評 価 す
ることができる。
【加 点 条 件 】
その1からその5,それぞれの条 件 を満 たすことで,レベルを最大3段階あげることができる。
その1 台 所 用 水 栓 に節 湯 型 機 器 (「節 湯 A」「節 湯 B」「節 湯 AB」)を採 用 している場 合 はレベルを1上 げることができ
る。
その2 浴 室 用 水 栓 に節 湯 型 機 器 (「節 湯 A」「節 湯 B」「節 湯 AB」)を採 用 している場 合 はレベルを1上 げることができ
る。
その3 住 宅 の断 熱 外 皮 貫 通 部 から給 湯 機 器 までの給 湯 配 管 延 長 が5m以 下 である場 合 ,又 は,断 熱 外 皮 の室 内
側 に給 湯 機 器 が設 置 されている場 合 はレベルを1あげることができる。
その4 住 宅 の断 熱 外 皮 貫 通 部 から給 湯 機 器 までの給 湯 配 管 に断 熱 がなされている場 合 ,レベルを1上 げることがで
きる。
その5 浴 槽 の追 い焚 き配 管 全 般 に断 熱 がなされている場合,レベルを1上 げることができる。
加 点 条 件 における配 管 の断 熱 とは,給 湯 及 び追 い焚 き配 管 に発 泡 フォーム系 等 の断 熱 材 が施 されていることとす
る。以 下 に断 熱材 ,断 熱 材 一 体 型 配 管 の事 例 を示 す。
117
架 橋 ポリエチレンフォーム系 断 熱 材 の例
(通 称 :ペフ)
断熱材一体型配管の例(追 い焚 き用)
(通称:高断熱ペアチューブ)
語句の説明
【節 湯 型 機 器 】
住 宅 事 業 建 築 主 の判 断 の基 準 では,シングルレバー湯 水 混 合 水 栓 ,ミキシング湯 水 混 合 水 栓 ,サーモスタット湯
水 混 合 水 栓 のいずれかであり,かつ下表 に示 す節 湯 A,節 湯 B,節 湯 ABのいずれかの種 類 にあてはまるものを節 湯 型
機 器 としている。
節 湯 種 類 の定 義 ((社 )日 本 バルブ工 業 会 による)
118
LRH1 エネルギーと水を大切に使う
2. 設備の性能で省エネ
2.3 照明・家電・厨房機器
評価内容
照明・家電・厨房機器によるエネルギー消費量の削減対策を評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
下記採点表による採点が,2点未満
(該当するレベルなし)
下記採点表による採点が,2点以上4点未満
下記採点表による採点が,4点以上7点未満
下記採点表による採点が,7点
[採 点 表 1]及び[採 点 表 2]に示 す5機 種の省 エネ基 準 達 成 率 ,あるいは統 一 省 エネラベルの多 段 階 評 価 で評価
する(電 気 クッキングヒーターの場 合 はガスこんろではなく,[採 点 表 3]で評 価 する)。5機 種 の合 計 点 数 を「採 点 」とし,
上 表 に照 らし合 せて評 価 する。なお,複 数 台 保 有 する場 合 は,当 該 住 居 において最 も使 用 率 が高 いと見 込 まれる1
台 のみを対 象 に評 価 する。
[採点 表 1]
照明
電気
器具
冷蔵庫
多段階評価3つ星以
多段階評価3つ星以
上,またはLED照明
上
多段階評価2つ星以
多段階評価2つ星以
下
下
点数
2点
0点
[採点 表 2]
点数
テレビ
電気
1点
0点
便座
液晶・プラズマ
ブラウン管
こんろ
多段階評価3つ星
多段階評価3つ星
多段階評価3つ星
省エネ基準達成率
以上
以上
以上
100%以上
多段階評価2つ星
多段階評価2つ星
多段階評価2つ星
省エネ基準達成率
以下
以下
以下
100%未満
[採点 表 3]
電気クッキング
点数
1点
0点
ヒーター
IHクッキングヒーター(こんろ口数の1/2以
上がIH加熱方式のもの)
上記以外
【加 点 条 件 の有無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
ガス
119
解 説
ここで対 象 とする5機 種 は,2010年 7月 時 点 でトップランナー基 準 の特 定 機 器 に指 定 されている設 備 機 器 から,特
にエネルギー消 費 量 が大 きく,生 活 必 需品 であるものを選 んだ(ただし,電 気 クッキングヒーターは指 定 されていないた
め別 基 準 とした)。
機 種 ごとに定 める省 エネ基 準 達 成 率 ,あるいは多段階評価の結果 が採点表 に示 す基準を満 たせば2点か1点 と採
点 されるが,当 該機 器 を“保 有 していない”ことも同等として2点か1点と採点 することができる。
なお,「照 明 器 具 」については,居 間 を含 む一 体 的 空 間 の主 照 明 (ここでは,通 常 ,同 時 に使 っている照 明 全 てを
指 す)として用 いられる蛍 光 灯 ,又 はLED照 明 を評 価 することとする。対 象 となる照 明 器 具 が複 数 種 ある場 合 は,最 も
個 数 の多 い照 明 器 具 で判 断 する。最 も個 数 の多 い照明 器具 が蛍 光灯 で,かつ複 数種ある場 合 は,省エネ基準 達成
率 が一 番 高 い種類 で評 価 する。ただし,主 照 明 に白熱灯が含まれる場合は0点 として評価 する。
本 評 価 は,評 価 する時 点 で公 開 されている最 新 のトップランナー基 準 の目 標 値 で判 断 することとする。原 則 ,目 標
値 に対 し達 成 率 100%以 上 である場 合 を得 点 対 象 とするが,2006年 に始 まった「統 一 省 エネラベル」の表 示 対 象 製
品 の場 合 は,多 段 階 評 価 の3つ星 以 上 で得 点 できることとする。2010年 7月 時 点 では,エアコン,テレビ,電 気 冷 蔵
庫 ,電 気 便 座 ,蛍 光 灯 器 具 の5種 類 がこの対 象 製 品 となっており,それぞれの機 器 の目 標 達 成 率 に応 じて星 の数 が
決 まるしくみとなっている。目 標 達 成 率 と星 の数 の関 係 は毎 年 見 直 される。最 新 情 報 は次 のホームページで確 認 でき
る(http://www.eccj.or.jp/labeling_program/otoku/otoku.pdf)。別 の製 品 についても,今 後 新 たに統 一 省 エネラ
ベルの表 示 対 象 製 品 として追 加 された場 合 は,この考え方 に従って判断 することとなる。
なお,各 家 電 機 器 の省 エネ基 準 達 成 率 は,メーカーカタログの他,経済産業省資源エネルギー庁のトップランナー
制 度 の「省 エネ機 器 カタログ」の最 新 版 で機 種 毎 に確認できる。
(http://www.enecho.meti.go.jp/policy/saveenergy/save03.htm)
旧 式 の機 器 で最 新 の達 成 率 で判 断 できないものについては,原 則 0点 評 価 となる。ただし,トップランナー基 準 に定
める方 法 に基 づき,独 自 に算 出 した達 成 率 を用 いて評価してもよい。
また,類 似 製 品 であるがトップランナー基 準 の対 象 範 囲 外 である等 の理 由 により,達 成 率 が公 開 されていない機 器
についても,原 則 0点 評 価 とする。ただし,本 評 価 で得点される基準相当 の省エネ性能 があると判断できる場合は,得
点 することができることとする。
語句の説明
【トップランナー基 準 】
「LR H 1.2.1.2 冷 房 設 備 」の「語 句 の説 明 」参 照。
【省 エネラベリング制 度 】
トップランナー基 準 で定 められた目 標 値 に対 する各製品の達成度 を一般消費者 に伝えるための表示制度。
【統 一 省 エネラベル】
小 売 事 業 者 が製 品 の省 エネルギー情 報 を表 示 するための制 度 。省 エネラベリン
グ制 度 がエネルギー消 費 効 率 の目 標 基 準 値 に対 する達 成 度 の表 示 であるのに対 し,
統 一 省 エネラベルは現 時 点 の同 種 製 品 全 体 の中 における省 エネ性 能 のレベルを5
段 階 で評 価 する。現 時 点 では,エアコン,テレビ,電 気 冷 蔵 庫 ,電 気 便 座 ,蛍 光 灯
器 具 が対 象 。星 の数 が多 いほど省 エネ性 能 が高い。
統一省エネラベルの例
120
LRH1 エネルギーと水を大切に使う
2. 設備の性能で省エネ
2.4 換気設備
評価内容
換気設備によるエネルギー消費量の削減対策を評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
(該当するレベルなし)
(該当するレベルなし)
一般の換気システムを採用している。
一般の換気システムに比べ,消費電力が 70%以下の換気システムを採用している。
一般の換気システムに比べ,消費電力が 40%以下の換気システムを採用している。
【加 点 条 件 の有無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
採 用 する換 気 システムの年 間 消 費 電 力 量 (単位換 気量あたり)を計算し,下 表の基準値 と比較 することにより評価
を行 う。
年 間 消 費 電 力 量 は,例 えば次 の式 で計 算 する。複数のシステムが設置されている場合は,全てを積算する。
年 間 消 費 電 力 量 (kWh/年 ・(m 3 /h)) = Σ{システム消費電力 (W) × 年間システム稼働率 (-)}
× 24(h/日 ) × 365(日/年 )
÷ {気積(m 3 ) × 換気回数 (回 /h)}÷1000
システム消 費 電 力 :換 気 システムの定 格 消 費 電 力 。通 常 ,カタログなどに掲 載 されている。不 明 な場 合 はメーカー
に問 い合 わせる。
年 間 システム稼 働 率 :ハイブリッド換 気 のように自 然 換 気 を併 用 する場 合 ,あるいは消 費 電 力 が変 動 する場 合 など
は,年 間 あたりのシステム稼 働 率 を別 途 求 めて定格消費電力 に乗じる。
気 積 :建 物 全 体 の気 積 。建 築 基 準 法 の換 気 規定対象のみならず,全気積 を対象 とする。
(参考 )
基 準 とした年 間 消 費 電 力 量 は,現 在 の標 準 的 な換 気 システムの消 費 電 力 量 を延 床 面 積 130㎡の住 宅 で120W
程 度 と考 え,この値 の,70%,40%以 下 の消 費 エネルギーの場合 を,それぞれレベル4,5とした。
121
LRH1 エネルギーと水を大切に使う
2. 設備の性能で省エネ
2.5 エネルギー利用効率化設備
2.5.1 家庭用コージェネレーションシステム
評価内容
家庭用コージェネレーションシステムによるエネルギー利用の効率化について評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
(該当するレベルなし)
(該当するレベルなし)
取組みなし。
家庭用コージェネレーションシステムを導入しており,レベル5を満たさない場合。
家庭用コージェネレーションシステムを導入し,エネルギー利用の高い効果が期待でき
る場合。
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
コージェネレーションシステムはオンサイトで発 電 し,それに伴 う排 熱 を給 湯 や暖 房 として利 用 することでエネルギー
の効 率 的 利 用 を図 るものである。エネルギー消 費削減効果が十分に発揮されることを判断 する上 で,居住時の電 力 ・
熱 の需 要 量 と,システムによる発 電 ・排 熱 利 用 のマッチングが主たる指標 となる。
ここでは,これら電 力 ・熱 の需 要 の確 認 を下 記 基準 により行う。家庭用のコージェネレーションシステムには,燃料 電
池 式 とガスエンジン式 の2種 類がある。従 来 はガスエンジン式 のみを評 価 対 象 としていたが,燃 料 電 池 式 についても平
成 21年 度 から市 場 導 入 されたので評 価 対 象 に加 える。 方 式 の種 類 によってレベル5と評 価 するための確 認 事 項 の
内 容 が異 なるので,評 価 対 象 住 宅 に設 置 される種類 を確認の上,評価 を行う。
レベル5と評価するための確認事項(ガスエンジン式コージェネレーションシステム)
①②の双方を満たすこと
①電力負荷
照明設備,冷蔵庫,常時換気設備が採用されており,以下に示す家電製品のいずれ
の確認
かの合計台数が8台以上設置されている。
・ルームエアコン室内機(全館空調方式は3台とカウント)
・電子レンジ ・電気炊飯器 ・食器洗浄乾燥器 ・パソコン
・カラーテレビ・洗濯機(乾燥機能付き含む) ・温水洗浄便座
②熱負荷の
a.およびb.を満足しているものとする。
確認
a. 生活人数が3人以上であること。生活人数とは,住宅を日常的に利用する(暮らす)
人数とする。
b. 床暖房等の温水暖房端末を1系統以上用いていること。
レベル5と評価するための確認事項(燃料電池式コージェネレーションシステム)
①電力負荷
照明設備,冷蔵庫,常時換気設備が採用されており,以下に示す家電製品のいずれ
の確認
かの合計台数が8台以上設置されている。
・ルームエアコン室内機(全館空調方式は3台とカウント)
・電子レンジ ・電気炊飯器 ・食器洗浄乾燥器 ・パソコン
・カラーテレビ・洗濯機(乾燥機能付き含む) ・温水洗浄便座
122
なお,家 庭 用 コージェネレーションシステムが導 入 された場 合 は,「LR H 1.2.2.1給 湯 機 器 」の評 価 は,以 下 のように
行 う。
本 評 価 でレベル5であれば,「LR H 1.2.2.1給湯機器」はレベル5と評価 する。
本 評 価 でレベル4であれば,「LR H 1.2.2.1給湯機器」はレベル3と評価 する。
(参考 )
家 庭 用 コージェネレーションシステムは,住 宅 の熱 需 要 (給 湯 や暖 房 ),電 力 需 要 を予 測 し,省 エネが実 現 できると
判 断 した場 合 に発 電 を行 う。ガスエンジン式 と燃 料 電 池 式 は,内 部 機 構 ,発 電 効 率 ,排 熱 回 収 効 率 がそれぞれ異 な
るため,以 下 の考 え方 に基 づきレベルを評 価 することとした。
●ガスエンジン式
「日 本 の住 宅 におけるエネルギー消 費 」((社 )日 本 建 築 学 会 ,平 成 18年 10月 )によると,3人 世 帯 におけるエネル
ギー消 費 量 は,電 力 需 要 =12.2kWh/日 ,給 湯 需 要 =13.7kWh/日 (40℃換 算 で約 470㍑/日 )となる。これに
暖 房 需 要 を加 算 することにより,ガスエンジン式 コージェネレーションシステム導 入 による省 エネルギー効 果 を見 込 むこ
とが出 来 る範 囲 とし,3人 世帯 を下 限値 とし,使 用 人 数 が3人 以 上 で,電 力 負 荷 を見 込 むことが出 来 る家 電 製 品 を保
有 している場 合をレベル5とした。
また,ガスエンジン式 コージェネレーションシステムの設 置 に伴 う補 助 金 制 度 *1 の交 付 要 件 として,「床 暖 房 等 の温
水 端 末 が設 置 されていること」が盛 り込 まれていることから,ガスエンジン式 コージェネレーションを導 入 してレベル5と評
価 する場 合 は,補 助 金 交 付 対 象 の住 宅 であることを前提とした。
*1:「ガスエンジン給 湯 器 導 入 支 援 補 助 金 制 度 」 有 限 責 任 中 間 法 人 都 市 ガス振 興 センター(2010年 7月 現
在)
●燃 料 電 池 式
燃 料 電 池 式 コージェネレーションシステムは,2005年 度 から2008年 度 まで,(財 )新 エネルギー財 団 が中 心 とな
り,3,307サイトにおいて定 置用 燃 料 電 池 大 規 模 実証事業を実施し,2009年度 から普及段階 に入った。
2008年 度 定 置 用 燃 料 電 池 大 規 模 実 証 事 業 報 告 会 資 料 ((財 )新 エネルギー財 団 )によると,2007年 度 に設
置 したサイトの1年 間 の運 用 実 績 から,電 力 需 要 =12kWh/日 ,熱 需 要 =4.20kWh/日 (40℃換 算 で約 145㍑/
日 )以 上 のサイトで省 エネ効 果 が確 認 されている。また,自 立 循 環 型 住 宅 開 発 委 員 会 フェーズ2(IBEC)において,1
人 世 帯 の湯 使 用 量 の平 均 値 が約 180リットルと報 告 されている。このことから,電 力 負 荷 の確 認 はガスエンジン式 と同
一 の内 容 とし,熱 需 要 は評 価 対 象 住 宅 を日 常 的 に利用していることを条件 として,生活人数は問 わないこととした。
123
LRH1 エネルギーと水を大切に使う
2. 設備の性能で省エネ
2.5 エネルギー利用効率化設備
2.5.2 太陽光発電システム
評価内容
太陽光発電システムの導入による,エネルギー削減効果について評価する。
なお,太陽熱暖房は「LR H1.1.2 自然エネルギー利用」,太陽熱給湯は「LR H1.2.2.1 給湯機器」でそれ
ぞれ評価するため本項目では評価しない。
評価レベル
省エネルギー率k値を求め,LRH1.2.1.1~2.5.1の項目で求めた得点を補正する。
太陽光発電システムによる発電エネルギー量(GJ/年)
省エネルギー率 k =
住宅全体の一次エネルギー消費量(GJ/年)
k値を用いて,LRH1.2.1.1~2.5.1の得点を下式により補正する。
各採点項目の得点
補正後の得点
=
(1.0-k)
※ただし、補正後の得点は+5点を上限とする(k≧1の場合,全項目が5点となる)。
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※太 陽 光 発 電 システムがない場 合 は,k=0とする。
解 説
太 陽 光 発 電 システムは,太 陽 光 で発 電 し,住 宅 内 の消 費 電 力 の一 部 を賄 い,余 剰 分 は売 電 することができる設
備 である。ただし,ここでは,この売 電 分 も含 めた発 電 量 全 てを建 物 全 体 の消 費 エネルギーを削 減 する分 ととらえて評
価 する。
まず,1年 間 の「太 陽 光 発 電 システムによる発 電 エネルギー量 」と「住 宅 全 体 の一 次 エネルギー消 費 量 」(電 力 に
限 らない)を求 め,その比 である省 エネルギー率 kを計 算 する。これは,太 陽 光 発 電 がどれだけ消 費 エネルギー分 を賄
えるかの指 標 であり,値 が大 きいほど効 果 が大 きいことを意味 する。
次 に,このk値 を用 いて「LR H 1.2.設 備 の性 能 で省 エネ」に関 する全 ての項 目 (LR H 1.2.1.1~1.2.5.1)の採 点 結 果 を
割 り増 しする。例 えば,LR H 1.2.1.1の得 点 が3で(ランク3),k値 が0.6ならば,補 正 後 の得 点 は3÷(1-0.6)=7.5,
上 限 は5なので,得 点 は5と補 正 される。k値 が1以上の場合は,全てを5点 として補正する。
以 下 に,k値 算 出 に必 要 な「太 陽 光 発 電 システムによる発 電 エネルギー量 」と「住 宅 全 体 の一 次 エネルギー消 費
量 」の求 め方 を示 す。ただし,適 切 な方 法 であれば,この方法 に限らず求めても良 い。
【太 陽 光 発 電 システムによる発 電 エネルギー量 の求め方 】
簡 易 な方 法 としては,太 陽 光 発 電 システムメーカーの発電電力 量予測 サービスを用 いる方法 があるが,表 1から近
隣 の代 表 都 市 における発 電 量 を用 いてもよい。代 表 として1kW,3kW,4kWの値 を示 すが,これ以 外 の容 量 について
は,単 純 に1kWの値 に乗 じることで求 める。更 に,表 1は南 向 き,傾 斜 角 30°の値 であるため,この条 件 と異 なる場 合
は図 2,図 3を参考 に発 電 量 を補 正 する必 要 がある。
124
詳 細 な方 法 としては,NEDOから公 開 されている日 射 量 データベースなどを利 用 して計 算 することが可 能 である。
(NEDO技 術 開 発 機 構 ,(MONSOLA00(801) 全 国 801地 点 ・方位別傾斜角別斜面日射量 データ)
(計 算 例 ) 大 阪 ・東 向 き・傾 斜 角 20°で3kW設置の場合
30.6GJ × 80% × 98.4% = 24.1GJ
表 1 主 な都 市 での年 間 発 電 量 の例
(単 位 GJ,一次エネルギー換算値)
※1 表 1はNEDOデータベースMONSOLA 00を
用 いて算 出 方 位 角 0度 (南 )傾 斜 角 30度 ,
積 雪 による発 電 量 低 下 は考 慮 していな
い。
図 1 (参 考 )年 平 均 全 天 日 射 量
の平 均 値
図 2 太 陽 光 発電パネルの設置方位 による補正率
125
図 3 太 陽 光 発電パネルの傾斜角 による補正率
【住 宅 全 体 の一次 エネルギー消 費 量 の求 め方 】
住 宅 の消 費 エネルギー量 は立 地 ,建 物 仕 様 ,住 まい方などの様 々な条件 により異なるため,評 価対象 建物 におけ
る個 別 の条 件 を考 慮 し,建 物 ごとに推 計 することが望 ましいが,表 2に示 す標 準 的 な住 宅 における値 を用 いて計 算 し
てもよい。
表 2 戸 建 住 宅 の標 準 消 費 エネルギー量 (一次 エネルギー量 単位GJ/年 ・世帯)
(参 考 1)「太 陽 光 発 電 の新 たな買 取 制 度 」について
「エネルギー供 給 事 業 者 による非 化 石 エネルギー源の利用及 び化石エネルギー原 料の有効な利用の促進 に関 す
る法 律 (エネルギー供 給 構 造高 度 化 法 )」に基 づき,太 陽 光 発 電 からの余 剰 電 力 について,太 陽 光 発 電 の普 及 拡大
を目 的 として,従 来 の買 取 価 格 に比 べ高 い価 格 ※1 で電 力 会 社 に売 ることができる「太 陽 光 発 電 の新 たな買 取 制 度 」
が平 成 21年 11月 からスタートした。
本 制 度 では,太 陽 光 発 電 を設 置 する建 物 用 途及 び太陽光発電の設置年度毎 に異なる買取単価 が適用され,設
置 後 10年 間 は,同 一 の買 取 単 価 での買 取 りが行 われる ※2 。
なお,買 取 費 用 については,全 ての電 力 需 要 家 が薄 く広 く負 担 する「全 員 参 加 型 」の制 度 となっており,標 準 的 な
一 般 家 庭 の場 合,1ヶ月 あたり数 十 円 ~100円 未満の負担 とされている。
※1 平 成 22年 4月 1日 から平 成 23年 3月 31日 までに電 力 会 社 に設 置 を申 し込 み,平 成 23年 6月 30日 までに売 買
を開 始 した場 合 ,住 宅 用 (10kW未 満 )は48円 /kWh,非 住 宅 用 は24円 /kWh。自 家 発 電 設 備 等 併 用 の場 合 ,
住 宅 用 (10kW未 満 )は39円 /kWh,非 住 宅 用 は20円 /kWh。なお,最 新 の買 取 価 格 は,資 源 エネルギー庁 再
生 可 能 エネルギー推 進 室 の買 取 制 度 ポータルサイト(http://www.enecho.meti.go.jp/kaitori/)で確 認 でき
る。
126
※2 発 電 設 備 等 に変 更 がない場 合 。
買 取 制 度 の概 要 (平 成 22年 7月 現 在 )
出典:資源 エネルギー庁太陽光発電買取制度室
127
LRH1 エネルギーと水を大切に使う
3. 水の節約
3.1 節水型設備
評価内容
節水型設備による上水消費量の削減対策を評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
取組みなし。
(該当するレベルなし)
評価する取組みのいずれかを採用している。
評価する取組みの内,2つ以上を採用している。
評価する取組みの内,3つ以上を採用している。
評 価 する取 組
No.
1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
節水型便器(大小洗浄切替機能付,洗浄水量:8L/回,小6L/回以下)
台所用水栓に節湯型機器(「節湯 A」「節湯 B」「節湯 AB」)を採用している
浴室用水栓に節湯型機器(「節湯 A」「節湯 B」「節湯 AB」)を採用している
食器洗浄機
その他の削減手法
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
便 所 ,浴 室 ,台 所 ,洗 面 において節 水 型 設 備 及 び節 湯 型 機 器 を使 うことを評 価 する。節 湯 型 機 器 も節 水 につな
がることから評価 する。
同 一 種 類 の設備 が複数 台 ある場 合 でも,1つの取 組 として評 価 する。また,例 示 している取 組 以 外 にも,水 量 調 整
が容 易 であったり,止 水 機 構 が付 いた水 栓 なども評価対象 とすることができる。
なお,節 水 型 便 器 の洗 浄 水 量 値 の設 定 は,環境共生住宅認定基準 2009年度版(IBEC)に準拠 する。
(参 考 1)環 境 共 生 住 宅 認 定 基 準 2010年 度 版 6.特 定 評 価 項 目 の解 説 と運 用 ,6.2.3 水 資 源 の高 度 有 効 利 用
(節水 )
節 水 型 便 器 とは,洗 浄 水 量 表 示 の場合は大洗浄時8リットル以下,
小 洗 浄 時 6リットル以 下 ,タンク有 効 水量表示の場合は大洗浄時6リットル以下,
小 洗 浄 時 4リットル以 下 とする。
128
京都重点項目
A’(全国版準用)
LRH1 エネルギーと水を大切に使う
3. 水の節約
3.2 雨水の利用
《自然からつくる-自然環境の利用》
評価内容
雨水利用による上水消費量の削減対策を評価する。
評価レベル
【加 点 条 件 の有無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
≪評 価 する取 組 ≫
・雨水タンクとして,敷地内に設ける池や蹲(つくばい)等を評価
解 説
ここでは,雨 樋 に接 続 して取 水 できる雨 水 タンクを評価対象 とし,次 に示す基準 によりレベル4と5に区別 する。
レベル4:タンク容量 が80リットル以 上 であること。
レベル5:次の基 準 ※1 を全て満 たすこと。
⇒ 用 途 に応 じて水 質 浄 化 処 理 がなされていること。
⇒ 上 水 の使 用 量 を10%以 上 削 減 していること。
⇒ 潅 水 だけではなく,水 洗 便 所 などの室内における生活用水 に活用 すること。
※1 環 境 共生住 宅 認 定基 準2010年 度 版 (IBEC)の提 案類 型「2-5 水 資 源の高 度 有効 利用 」より
129
京都重点項目
A’(全国版準用)
LRH1 エネルギーと水を大切に使う
4. 維持管理と運用の工夫
4.1 住まい方の提示
《ともに住まう-自然とともに住まう》
(自然を感じられる計画)
評価内容
省エネルギーに資する住まい方を推進する情報が,住まい手に提示されていることを評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
取組なし。
レベル2
(該当するレベルなし)
レベル3
設備毎の取扱説明書が居住者に手渡されている。
レベル3に加え,省エネに関する住まい方について一般的な説明がすまい手になされてい
る。
レベル3に加え,当該住宅に採用された設備や仕様に関して,個別の建物・生活スタイル
ごとに対応した適切な住まいがすまい手になされている。
又は,
レベル3に加え,設備等に限らず,省エネルギー・低炭素化に繋がる生活スタイルを誘発
する,又は前提とした建築計画となっている。(自由記述による)
レベル4
レベル5
基準
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
省 エネルギー型 の建 物 や設 備 であっても,使 い方 次 第 では効 果 が十 分 に得 られないこともある。ここでは,省 エネ
ルギーに資 する住 まい方 を推 進 する情 報 が,住 まい手に提示されていることを評価する。
レベル3の取 組 例 :
給 湯 器 や空 調 設 備 などの建 物 に組 み込 まれた設備 の取扱説 明書 が,すまい手 に手渡 されていることを評価 する。
これにより,すまい手 は説 明書 をもとに適 切 なメンテナンスを行 うことが可 能 となり,エネルギー消 費 効 率 など設 備 の性
能 を維 持 することができる。
レベル4の取 組 例 :
(財 )省 エネルギーセンター発 行 の「かしこい住 まい方 ガイド」など,一 般 に公 開 されているパ
ンフレットなどを利 用 した省 エネに関 する住 まい方 が説明 されていること。
「かしこい住 まい方 ガイド」は下 記ホームページからダウンロード可能(2010年 7月 現 在 )
http://www.eccj.or.jp/pamphlet/living/06/index.html
レベル5の取 組 例 :
採 用 した設 備 や仕 様 の動 作 原 理 や効 果 的な使 い方 まで踏 み込 み,個 別 の条 件 に合 わせた適 切 な説 明 が行 われ
ること。例 えば,パッシブ的 手 法 として通 風 の工 夫 を取 り入 れた場 合 ,当 該 住 宅 における設 計 思 想 を解 説 し,効 果 的
に通 風 を行 うため,どんな時 にどの開 口 を開放 すればよいか,立地条件などに合 わせた説明 が行われること。
130
≪京 都 独 自 の考 え方 ≫
・本 来 のあり方 としては,すまい手 自 らが主体 的 に選 択 する生 活 スタイル(季 節 ごとに建 具 を入 れ替 えるなど低 炭 素化
に繋 がるような暮 らし方 )があり,それが建 築 計 画 と融 合 していることが望 ましい。そのような場 合 も評 価 できるよう基
準 を追 加 した。
131
LRH1 エネルギーと水を大切に使う
4. 維持管理と運用の工夫
4.2 エネルギーの管理と制御
評価内容
エネルギーの管理と制御によるエネルギー消費量の削減対策を評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
(該当するレベルなし)
(該当するレベルなし)
取組みなし。
基準
レベル4
エネルギー消費に関する表示機器,負荷低減装置等を採用している。
レベル5
エネルギーを管理する仕組みがあり,それにより消費エネルギーの削減が可能である取
組みがなされている。
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
レベル4と評 価するには,以 下 のa~cのいずれかの対策 がなされている場合 とする。
レベル5と評 価するには,エネルギー消 費量の上 限 値 などを設 定 することにより,エネルギー管 理 を行 うことのできる
「省 エネナビ」登 録 の機 器 相 当 の消 費 エネルギー表 示 機 が設 置 されている場 合 で,更 にdの条 件 を同 時 に満 たすこと
とする。
a. 電 力 ,ガス,水 道 など,いずれかの消 費 量 の表 示 機 能 のある機 器 を採 用 している場 合 。(消 費 量 はエネルギー
量 ,エネルギーコスト等 の形 式 を問 わない)
b. 機 器 に付 随 せず,コンセントやガス栓 等 の端 末 に設置 することにより,電力 やガスの消費 量の表示機能 のある装
置 を導 入 している場 合 。
c. 電 力 消 費 機 器 の使 用 状 況 に応 じ,分 岐 回路 を遮断 する機能 を有 する分電盤 (ピークカット機能付き分電盤)を
採 用 している場 合 。
d.エネルギーの消 費 状 況等により,住 宅 内の主 要 なエネルギー消 費 機 器 の2台 以 上 (ルームエアコン,床 暖 房 等
の空 調 設 備 機 器 ,照 明 機 器 ,給 湯 機 器 など)を一括停止するなどの制御機能 を持つこと。
(参考 )
「省 エネナビ」登 録 の機 器 システム条 件 (抜 粋)
(最 新 の情 報 は省 エネルギーセンターのホームページ http://www.eccj.or.jp/navi/index.htmlを参 照 )
◇ 電 力 使 用 量 と省 エネ目 標 使 用 量 を金額換算 して表示 できる。
◇ 料 金 体 系 と目 標 値 は使 用 者 が設 定 できる。
◇ 測 定 精 度 はすべての測 定 範 囲 において±5%以内。
◇ 測 定 結 果 が即 時 (5分 以 内 )に表 示 できる。
◇ 視 覚 的 な表 示 が行 われる。
◇ その他
132
レベル5の評 価 対 象 のイメージは,現 在 ,技 術 開 発 が進 行 している,エネルギーや室 内 環 境 をリアルタイムでモニタ
リングした結 果 をもとに,設 備 機 器 等 を自 動 的 に制 御 する仕 組 みである。これらは一 般 的 に「HEMS」(Home Energy
Management System)と呼 称 されることが多 いが,HEMSの定義 が定まっている状況ではないため,ここでは上記の条
件 を満 たすことを評 価 基 準 とした。
(参 考 )消 費 エネルギー表 示 機 の例
電 力 ,ガス,水 道 等 ,何 らかのエネルギーの消 費 状 況 をリモコン等 で表 示 し,生 活 者 がそれを確 認 することにより,
省 エネ行 動 をとることが期待 できる。
図 1は燃 料 電 池 のリモコンの例 であるが,燃 料 電 池 の発 電 量 と電 力 の購 入 量 が表 示 されており,住 宅 全 体 の電 力
消 費 量 が確 認 できる。このように,エネルギー消 費 量 が確 認 できる機 能 を導 入 している場 合 はレベル4と評 価 する。ま
た,給 湯 機 器 等 エネルギーの消 費 量 が大 きく,消 費 量 を確 認 できる機 能 がある場 合 においても,レベル4と評 価 出 来
る。
省 エネナビ登 録 表示 機能 のうち,エネルギーの使 用 目 標 を管 理 する機 能 を利 用 することにより,更 なる省 エネ行動
をとることが期 待 できる。
図 2のように省 エネナビ登 録 機 器 を採 用 するだけではレベル4であるが,機 器 使 用 状 況 により,消 費 エネルギーの大 き
い機 器 2台 以 上 を一 括 で停 止 する機 能 を付 加 することにより,レベル5と評 価 することが出 来 る。なお,一 括 で停 止 す
る機 能 は,住 宅 の内 外 を問 わず,当 該 機器 を遠隔 で操作 できる機能 を前提 とする。
133
LRH2 資源を大切に使いゴミを減らす
1. 省資源,廃棄物抑制に役立つ材料の採用
1.1 構造躯体
評価内容
構造躯体における省資源に役立つ材料(リサイクル材,再生可能材料),廃棄物抑制に役立つ材料(リ
サイクル可能な材料)の採用およびリユースに関する取組を評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
採点項目(LRH2.1.1.1 木質系住宅,LRH2.1.1.2 鉄骨系住宅,LR H2.1.1.3 コンクリート系
住宅)を選択して評価を行う。
解 説
本 評 価 は,住 宅 の構 造 により採 点 項目 (LR H 2.1.1.1木 質 系 住 宅 ,LR H 2.1.1.2鉄 骨系 住宅 ,LR H 2.1.1.3コンクリート
系 住 宅 )を選 択 して評 価 を行 う。また,混 構 造 の住 宅の場 合は,該 当する部 分の評価 をそれぞれ行 い,評価 レベルを
床 面 積 により加 重 平 均 するものとする。結 果 が整 数 とならない場 合 は,小 数 点 第 1位 を四 捨 五 入 した結 果 の整 数 を
評 価 レベルとする。
図 「1.1構 造躯体」の評価レベルの算定方法
語句の説明
134
【リユース,リサイクル】
リユース,リサイクルを定 義 するに当 たって,3R(Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル))の評
価 について整 理 しておく。
本 評 価 では,省 資 源 に役 立 つ材 料 (リサイクル材 ,再 生 可 能 材 料 )の採 用 によるバージン資 源 投 入 量 の削 減 に
よってリデュースを評 価 している。また,廃 棄物 抑 制 に役 立 つ材 料 (リサイクル可 能 な材 料 )の採 用 やリユースに関 する
取 組 もリデュースに貢 献 するものとして評 価 している。(概念を下図 に示す。)
,
図 省 資 源 ,廃棄物抑制 に役立つ材料の概念
出典:「建物のLCA指針」((社)日本建築学会,2006),“資源循環性・廃棄物の評価指標の定義” に加筆
リユース,リサイクルについては,本 基 準 では「循環型社会形成推進基本法」に従 い,下記の通 り定義 する。
・リユースとは同 法 で言 う「再 使 用 」とし,下 記 の行為 を言う。
○循 環 資 源 (廃 棄 物 等 のうち有 用 なもの)を製 品 としてそのまま使 用 すること(修 理 を行 ってこれを使 用 することを
含 む。)。
○循 環 資 源 (廃 棄 物 等 のうち有 用 なもの)の全 部又は一部 を部品 その他製品の一部として使用すること。
・リサイクルとは同 法 で言 う「再生 利 用 」とし,循 環 資 源 (廃 棄 物 等 のうち有 用 なもの)の全 部 又 は一 部 を原 材 料 として
利 用 することをいう。
【リサイクル材 】
本 基 準 では,下 記 の通 り定 義 する。
・リサイクルされた材 料 又 はそれらを使 用 した部 材 。(リサイクルの量的 な評価は考慮 しない。)
・「国 等 による環 境物 品等 の調 達の推進 等に関 する法 律 」(グリーン購 入 法 )第 6条 第 1項 の規 定 に基 づく「環 境 物品
等 の調 達 の推 進 に関 する基 本 方 針 」に定 められた特 定 調 達 品 目 。(特 定 調 達 品 目 については,適 宜 見 直 しが行
われるので,最 新 情 報 は環 境 省 のHPを参 照 のこと。)
135
【再 生 可 能 材 料 】
本 基 準 では,資 源 枯 渇 の恐 れの少 ない材 料 を意味 し,以下 の何 れかに該 当 するものを言 う。一般 に自然 素材 とは
工 業 製 品 以 外 の幅 広 い材 料 を指 すが,ここでは資源保護の観点から鉱物資源由来の素材(石材等 )は評価 しない。
・持 続 可 能 な森 林 から産 出 された木 材
・利 用 可 能 になるまでの期 間 の短 い植 物 由 来 の自然素材 (竹,ケナフ等 )
【リサイクル可 能 な材 料 】
本 基 準 では,リサイクルの比 較 的 容 易 なアルミ,鉄,銅 を言う。
【持 続 可 能 な森 林 から産 出 された木 材 】
持 続 可 能 な森林 から産 出 された木 材 の対 象 範囲は以下を指 す。(型枠は評価 に含めない。)
1.間 伐 材
2.持 続 可 能 な森 林 経 営 が営 まれている森 林 から産 出 された木 材 (証 明 方 法 は,「木 材 ・木 材 製 品 の合 法 性 ,持 続
可 能 性 の証 明 のためのガイドライン」(林 野 庁,平成 18年 後掲 )に準拠する。)
3.日 本 国 内 から産 出 された針 葉 樹 材
なお,日 本 では,諸 外 国 のような持 続 可 能 な林 業 が行 われている森 林 を原 産 地 と証 明 する制 度 は普 及 段 階 にあ
り,スタンプの刻 印 などにより明 示 された木 材 の流 通 はわずかである。そこで,現 実 的 には,間 伐 材 や,通 常 は持 続 可
能 な森 林 で生 産 されていると推 測 されるスギ材 などの針 葉 樹 材 を持 続 可 能 な森 林 から産 出 された木 材 として扱 う。
平 成 12年 建 告 第 1452号 (木 材 の基 準 強 度 を定 める件 )にリストアップされている針 葉 樹 の内 ,以 下 のように日 本 国
内 で産 出 されたものは持 続 可 能 な森 林 から伐 採 されていると考 えて概 ねよい。
また,この定 義 に合 致 する木 材 を原 料 とする集 成 材 ,合 板 等 の木 質 材 料 も「持 続 可 能 な森 林 から産 出 された木
材 」と考 えて良 い。
<日 本 国 内 から産 出 された針 葉 樹 の例 >
あかまつ,からまつ,ひば,ひのき,えぞまつ,とどまつ,すぎ
(参 考 1)森 林 認証 制 度 について
独 立 した森 林 認 証 機 関 が定 めた基 準 に基 づき,第 三 者 機 関 が森 林 を経 営 する者 の森 林 管 理 水 準 を評 価 ・認 証
する仕 組 み。代 表 的 な森 林 認 証 制 度 として,FSCやPEFCなどがあるが,他 にも普 及 している制 度 がいくつかある。代
表 的 な制 度 を列 挙 する。
FSC : Forest Stewardship Council
(http://www.fsc.org/)
1993 年 創 設 。 ド イ ツ ・ ボ ン に 非 営 利 ・ 非 政 府 の FSC 本 部 (FSC
International)があり,世 界 の各 国 ・地 域 で下 部 組 織 が展 開 している。FSC森
林 認 証 規 格 は,国 ・地 域 ごとに異 なり,FSC本 部 が掲 げる10項 目 の原 則 と,そ
れらに基 づく56項 目 の基 準 をベースに,各 国 ・地 域 のニーズに即 した個 別 の
規 格 が設 けられている。また,森 林 認 証 と共 に,林 産 物 の加 工 過 程 経 路 のト
レーサビリティの確 立 と完 成 した林 産 物 がFSC認 証 森林 およびその他FSCの定
める基 準 を満 たしていることを保 証 する生 産 ・加 工 ・流 通 過 程 の管 理 の認 証
(Chain of Custody;CoC認 証 )も実 施 している。
136
SFI : Sustainable Forestry Initiative
(http://www.sfiprogram.org/)
1994年 に,全 米 最 大 の企 業 会 員 数 を誇 る林 産 業 界 団 体 の全 米 林 産 物 製
紙 協 会 (AF&PA)が創 設 し,北 米 で最 も利 用 されている森 林 認 証 制 度 。PEFCと
ATFS そ れ ぞ れ と 相 互 認 証 を 行 っ て い る 。 2007 年 1 月 よ り 独 立 し た 機 関 ,
Sustainable Forestry Initiative,Inc.により運 営 されている。SFI ® の基 準 は持 続
可 能 な森 林 管 理 ,木 材 の調 達 方 針 ,公 開 報 告 ,継 続 的 な改 善 ,違 法 伐 採 の
抑 制 を含 む13項 目 から構 成 されている。
ATFS : American Tree Farm System
(http://www.treefarmsystem.org/)
1941年 に創 設 された,アメリカで最 も古 い森 林 認 証 制 度 。ワシントンDCに本
部 を置 く非 営 利 組 織 American Forest Foundationが実 施 。主 に,小 規 模 な森
林 オーナーを対 象 とし,各 森 林 認 証 制 度 のなかで最 も多 くの参 加 者 を擁 してい
る。第 三 者 認 証 を採 り入 れている。SFI ® との相 互認証 を実施 している。
PEFC 森 林 認 証 プ ロ グ ラ ム : Programme for the Endorsement of Forest
Certification Schemes
(http://www.pefc.org/internet/html/)
1999年 創 設 。各 国 の独 立 した持 続 可 能 な森 林 認 証 規 格 制 度 がお互 いの
規 格 を承 認 することを目 的 に加 盟 ,運 営 する NGO である。本部はルクセンブル
グ に あ り 現 在 3 1 カ 国 の 森 林 認 証 規 格 制 度 が 加 盟 し て い る 。 ( 前 述 の SFI ® ,
ATFSも加 盟 。)各 国 の森 林 認 証 規 格 制 度 は,政 府 間 プロセスと言 われる持 続
可 能 な森 林 管 理 のための国際 森林 管理 基準 を採 用 し,林 業 組 合 ,森 林 所 有 ・
管 理 者 ,製 材 業 者 ,木 材 製 品 流 通 業 者 ,紙 ・パルプ製 造 ・販 売 業 者 ,環 境 保
護 団 体 ,各 種 関 係 団 体 などのステークホルダーによって自 主 的 に策 定 ,運 営 さ
れている。生 産 物 認 証 CoC認 証 も行 い,第 3者 機関 により認証される。
SGEC:Sustainable Green Ecosystem Council 「緑 の循環認証会議」
(http://www.sgec-eco.org/)
2003年 創 設 。世 界 的 に推 奨 されている持 続 可 能 な森 林 管 理 の考 え方 をも
とに,人 工 林 の割 合 が高 く,所 有 規 模 が小 さいという日 本 の森 林 の実 情 を踏 ま
えてつくられた国 際 性 を持 つ基 準 。日 本 が参 加 している「モントリオール・プロセ
ス」(国 際 基 準 )を踏 まえて定 められたSGECの7つの基準 ・36の指標 から「認証
単 位 」の実 情 に応 じた「審 査 要 件 」(具 体 的 な審 査 項 目 )を設 定 した上 で,審 査
が行 われる。森 林 認 証 と共 に分 別 ・表 示 システムとして「SGEC認 証林産 物取扱
認 定 事 業 体 」の認 定 (所 謂 CoC認 証 )も運 営 している。
137
(参 考 2)政 府 の調 達 する木 材 ・木 材 製 品 について
政 府 は,平 成 18年 2月 28日 に閣 議 決 定 された「環 境 物 品 等 の調 達 の推 進 等 に関 する基 本 方 針 」に従 い,林 野
庁 が発 表 した「木 材 ・木材 製品 の合 法性 ,持 続 可 能 性 の証 明 のためのガイドライン」に基 づいた調 達 を推 進 することに
なった。これは平 成 17年 7月 に英 国 で開 催 されたグレンイーグルズ・サミットで政府調 達・貿易 規制 ・木材 生産国支援
などの具 体 的 行 動 に取 り組 むことを決 めた流 れによるものである。
林 野 庁 ガイドラインにおける合 法 性 ,持 続 可 能性の証明方法の概略は,下記の通 りである。
① 森 林 認 証 制度 およびCoC認 証 制 度 を活 用 する方法
森 林 認 証 を取 得 した森 林 から生 産 された木 材 ・木 材 製 品 がCoC認 証 と連 結 し,認 証 マークが押 印 されている
ことにより証 明 する方 法 。(イメージ図 を下 記に示 す。)
② 業 界 団 体 の自 主 的 行 動 規 範 による方 法
業 界 団 体 において自 主 的 行 動 規 範 を策 定 した上 ,各 事 業 者 が証 明 書 を発 行 することで証 明 する方 法 。(イ
メージ図 を下記 に示 す。)
138
③ 個 別 事 業 者の独 自 の取 組 による方 法
個 別 企 業 が,独 自 の取 組 により証 明 する方 法。(イメージ図 を下記 に示す。)
(参 考 3)グリーン購 入 集 成 材 について
「国 等 による環 境 物 品 等 の調 達 の推 進 に関 する法 律 」(いわゆる「グリーン購 入 法 」)に基 づき,平 成 16年 3月 に閣
議 決 定 された「環 境 物 品 等 の調 達 の推 進 等 に関 する基 本 方 針 」(「PartⅢ 3.2 評 価 のための参 考 資 料 (参 考 資 料
3))によって,国 等 が優 先 的 に購 入 する特 定 調 達 品 目 として原 料 の一 部 に間 伐 材 等 を使 用 している製 材 ,集 成 材 ,
再 生 木 質 ボードが指 定 された。なお,「グリーン購入集成材」は日本集成材工業協同組合 による呼称である。
京都重点項目
LRH2 資源を大切に使いゴミを減らす
B(推奨内容)
C(独自加点)
1. 省資源,廃棄物抑制に役立つ材料の採用
1.1 構造躯体
1.1.1 木質系住宅
《大切に使う-省資源》《自然からつくる-自然素材の利用》
評価内容
木造軸組工法,2×4工法,木質パネル工法,木質ユニット工法等の木質系住宅の構造躯体に持続可
能な森林から産出された木材がどの程度使用されているかを評価する。
評価レベル
【加 点 条 件 の有無 】
※あり
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し(京 都 重点 項 目 による加 点 条 件 あり)
【評 価 対 象 外 】
※「LR H 2.1.1.2 鉄 骨 系 住 宅 」あるいは「LR H 2.1.1.3 コンクリート系住宅 」の場合
≪推 奨 内 容 ≫
・持続可能な森林から産出された木材のうち,地域産木材を使用している。
≪京 都 重 点 項 目 による加 点 条 件 ≫
京都重点項目による加点条件
加点ポイント
1.構造躯体の一定割合以上に,リユース材又は自然に還る素材を使用している。
1
2.構造躯体の過半に,リユース材又は自然に還る素材を使用している。
2
※「一定割合以上」とは具体的には体積比で20%以上とする。
⇒京都重点項目の加点を適用し,かつ合計でレベル5を超える場合は,別途,独自システムで加点評価する。
解 説
この項 目 では,木 造軸組 工法,2×4工法 ,木 質 パネル工 法 ,木 質 ユニット工 法 等 の木 質 系 住 宅 の構 造 躯 体 への
持 続 可 能 な森 林から産 出 された木 材 の使 用 割 合 で評価を行う。
ここでいう構 造 躯 体 とは,柱 ,梁 ,筋 交 い,小 屋 組 および耐 力 壁 等 を構 成 する構 造 用 合 板 を指 し,基 礎 構 造 は含
まない。
なお,レベル4における「過 半 」とは構 造 躯 体 に占 める体 積 で判 断 し,「持 続 可 能 な森 林 から産 出 された木 材 」の割
合 が0.5を満 たさない場合はレベル3とする。
【加 点 条 件 】
その1,その2,それぞれの条件 を満 たすことで,レベルを最 大 2段 階 あげることができる。ただし,レベルが5を超 える
場 合 はレベル5として評 価 する。
その1 「木 材 ・木 材 製 品 の合 法 性 ,持 続 可 能 性 の証 明 のためのガイドライン」(林 野 庁 ,前 掲 (参 考 ②)参 照 )におけ
139
140
る「①森 林 認 証 制 度 およびCoC認 証 制 度 を活 用 する方 法 」,「②業 界 団 体 の自 主 的 行 動 規 範 による方 法 」
又 は「③個 別 事 業 者 の独 自 の取 組 による方 法 」によって合 法 性 ,持 続 可 能 性 が証 明 された木 材 を過 半 に使
用 している場 合 は,評 価 を1レベル上 げる。なお,①の方 法によって合法性 ,持続可能性 が証明された木材 が,
第 三 者 性 の観 点 からはより望 ましいが,現 状 における流 通 実 態 や合 法 性 等 が証 明 された木 材 ・木 材 製 品 の
利 用 促 進 の重 要 性 等 も踏 まえ,②,③の方法 による証明も評価 するものとする。
その2 既 存 建 築 躯 体 等 のリユース材 が構 造 躯 体 の一 部 に使 用 されている場 合 は評 価 を1レベル,過 半 に使 用 され
ている場 合 は評 価 を2レベル上 げる。
語句の説明
【持 続 可 能 な森 林 から産 出 された木 材 】
「持 続 可 能 な森 林 から産 出 された木 材 」の定 義は,「LR H 2.1.1 構造躯体」参照 のこと。
141
京都重点項目
A(全国版準用)
LRH2 資源を大切に使いゴミを減らす
1. 省資源,廃棄物抑制に役立つ材料の採用
1.1 構造躯体
1.1.2 鉄骨系住宅
《大切に使う-省資源》
評価内容
軽量鉄骨造,重量鉄骨造,鉄骨ユニット工法等の鉄骨系住宅の構造躯体に電炉鋼がどの程度使用さ
れているかを評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
(該当するレベルなし)
(該当するレベルなし)
構造躯体に電炉鋼が使用されていない,または確認することができない。
構造躯体の一部に電炉鋼が使用されている。
構造躯体の過半に電炉鋼が使用されている。
【加 点 条 件 の有 無 】
※あり
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※「LR H 2.1.1.1 木 質 系 住 宅 」あるいは「LR H 2.1.1.3 コンクリート系住宅 」の場合
解 説
この項 目 では,軽 量 鉄 骨 造 ,重 量 鉄 骨 造 ,鉄 骨 ユニット工 法 等 の鉄 骨 系 住 宅 の構 造 躯 体 への電 炉 鋼 の使 用 割
合 で評 価 を行 う。高 炉 鋼 の製造 時 にも鉄 スクラップを混 入 するためリサイクル材 とも考 えられるが,その割 合 が2~3%
と少ないため,ここでは評 価 対象 としない。
ここでいう構 造 躯 体 とは鋼 材 から製 造 された柱 ,梁 ,小 屋 組 ,土 台 を指 し,床 ・野 地 板 ,外 壁 下 地 等 に用 いられる
合 板 類 および基 礎 構 造 は含 まない。
鋼 種 の判 断 については,電 炉 鋼 と高 炉 鋼 では製造業者 が異なるため,それによって判断して良 い。
レベル4,5については構 造 躯 体 に占 める電 炉 鋼 の割 合 (重 量 )で判 断 し,0.5未 満 の場 合 はレベル4,0.5以 上 の
場 合 はレベル5とする。
【加 点 条 件 】
既 存 建 築 躯 体 等 のリユース材 が構 造 躯 体 の一 部 に使 用 されている場 合 は評 価 を1レベル,過 半 に使 用 されてい
る場 合 は評 価 を2レベル上 げる。ただし,レベルが5を超 える場合はレベル5として評価する。
語句の説明
【電 炉 鋼 】
回 収 された鉄 スクラップを電 気 炉 で溶 解 して製造 される鋼材。
142
京都重点項目
A(全国版準用)
LRH2 資源を大切に使いゴミを減らす
1. 省資源,廃棄物抑制に役立つ材料の採用
1.1 構造躯体
1.1.3 コンクリート系住宅
《大切に使う-省資源》
評価内容
鉄筋コンクリート造,鉄筋コンクリート壁式構造等のコンクリート系住宅の省資源に対する取組を評価す
る。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
(該当するレベルなし)
(該当するレベルなし)
評価する取組み1~2のうち,何れにも該当しない。
評価する取組み1~2のうち,1つに該当する。
評価する取組み1~2のうち,2つに該当する。
評 価 する取 組
No.
1
2
基準
構造躯体コンクリートに混合セメント(高炉セメント,フライアッシュセメント)またはエコセメ
ントを用いている。(捨てコン,腰壁への使用は評価しない。)
構造躯体コンクリートに再生骨材またはコンクリート用スラグ骨材を用いている。(捨てコ
ン,腰壁への使用は評価しない。)
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※「LR H 2.1.1.1 木 質 系 住 宅 」あるいは「LR H 2.1.1.2 鉄骨系住宅」の場合
解 説
この項 目 では,鉄 筋 コンクリート造 ,鉄 筋 コンクリート壁 式 構 造 等 のコンクリート系 住 宅 の省 資 源 に対 する取 組 の評
価 を行 う。ここでいう構 造 躯 体 には,捨 てコン,腰 壁 及 び基 礎 構 造 は含 まないが,取 組 についての量 的 な評 価 を行 わ
ない。
ただし,再 生 骨 材 やスラグ骨 材 を使 用 したコンクリートの使 用 範 囲 に制 限 がある点 には注 意 を要 する。詳 細 は,JIS
A5308「レディーミクストコンクリート」を参 照 のこと。
語句の説明
混 合 セメント(高 炉 セメント,フライアッシュセメント),エコセメント,及 びコンクリート用 スラグ骨 材 は,「国 等 による環 境
物 品 等 の調 達 の推 進 に関 する法 律 」(いわゆる「グリーン購入法」)で指定された資材である。
【混 合 セメント】
ポルトランドセメントを主 体 にし,これにケイ酸 質混和剤,高炉 スラグ微粉,フライアッシュなどを混和したセメント。
【高 炉 セメント】
急 冷 した高 炉 スラグ微 粉 を混 和 剤 として用 いた混合 セメント。混合量によりA種,B種,C種がある。
【フライアッシュセメント】
微 粉 炭 燃 焼 後 の副 産 物 であるフライアッシュを混和剤 として用 いた混合 セメント。
143
【エコセメント】
都 市 ごみの焼 却 残 渣 (焼 却 灰 とばいじん)などの廃棄物を主原料 として製造 するセメント。
【再 生 骨 材 】
解 体 構 造 物 から排 出 されたコンクリートやコンクリート製 品 をクラッシャーで粉 砕 ・分 別 し,再 度 コンクリートに使 用 す
る骨 材 。
【コンクリート用 スラグ骨材】
鉄 鋼 製 造 工程 の副 産 物 であるスラグから製 造されたコンクリート用骨材
144
LRH2 資源を大切に使いゴミを減らす
1. 省資源,廃棄物抑制に役立つ材料の採用
1.2 地盤補強材・地業・基礎
評価内容
地盤補強材・地業・基礎の省資源に対する取組を評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
(該当するレベルなし)
(該当するレベルなし)
評価する取組み1~3のうち,何れにも該当しない。
評価する取組み1~3のうち,1つに該当する。
評価する取組み1~3のうち,2つ以上に該当する。
評 価 する取 組
No.
1
2
2
基準
混合セメント(高炉セメント,フライアッシュセメント)またはエコセメントを用いている。
再生骨材またはコンクリート用スラグ骨材を用いている。
地盤改良材として、地盤改良用製鋼スラグを用いている。
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
この項 目 で評 価 する取 組 は,基 本 的 に採 点 項 目 「LR H 2.1.1.3コンクリート系 住 宅 」と同 じであり,取 組 については量
的 な評 価 を行 わない点 も同 じであるが,「国 等 による環 境 物 品 等 の調 達 の推 進 に関 する法 律 」(いわゆる「グリーン購
入 法 」)で指 定 された地 盤 改 良 用 製 鋼 スラグを追加している。
ただし,再 生 骨 材 やスラグ骨 材 を使 用 したコンクリートの使 用 範 囲 に制 限 がある点 には注 意 を要 する。詳 細 は,JIS
A5308「レディーミクストコンクリート」を参 照 のこと。
語句の説明
【地 盤 改 良 用 製 鋼 スラグ】
天 然 砂 (海 砂 ,山 砂 )の代 わりに使 用 することができる製鋼 スラグ
混 合 セメント,高 炉 セメント,フライアッシュセメント,エコセメント,再 生 骨 材 ,コンクリート用 スラグ骨 材 については,
「LR H 2.1.1.3 コンクリート系 住 宅 」を参 照 のこと。
京都重点項目
LRH2 資源を大切に使いゴミを減らす
1. 省資源,廃棄物抑制に役立つ材料の採用
1.3 外装材
B(推奨内容)
C(独自加点)
低炭素景観創出
《大切に使う-省資源》《自然からつくる-自然素材の利用》
評価内容
外装材における省資源に役立つ材料(リサイクル材,再生可能材料)および廃棄物抑制に役立つ材料
(リサイクル可能な材料)の採用を評価する。
評価レベル
評 価 する取 組
,
,
,
【加 点 条 件 の有無 】
※無 し(京 都 重点 項 目 による加 点 条 件 あり)
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
≪推 奨 内 容 ≫
・持続可能な森林から産出された木材のうち,地域産木材を使用している。
≪京 都 重 点 項 目 による加 点 条 件 ≫
京都重点項目による加点条件
1.外装の一定割合以上に,既存建築躯体等のリユース材,又は自然に還る素材が使用さ
れている。
加点ポイント
1
145
146
2.外装の過半に,既存建築躯体等のリユース材,又は自然に還る素材が使用されている。
2
※「一定割合以上」とは具体的には体積比で20%以上とする。
⇒京都重点項目の加点を適用し,かつ合計でレベル5を超える場合は,別途,独自システムで加点評価する。
解 説
この項 目 における外 装 材 とは外 装 を構 成 する主 要 材 料 のみを指 し,ルーバーや面 格 子 などの附 帯 品 ,水 切 類 は
除 く。評 価 対 象 となる外 装 材 は,屋 根 葺 材 ,防 水 材 ,屋 根 下 地 材 ,防 水 下 地 材 ,外 壁 材 ,外 壁 下 地 材 および断 熱
材 とする。
外 装 材 における,省 資 源 に役 立 つ材 料 (リサイクル材 ,再 生 可 能 材 料 )および廃 棄 物 抑 制 に役 立 つ材 料 (リサイク
ル可 能 な材 料 )の採 用 を評 価 し,得 点 率 によって評価 する。
断 熱 材 以 外 の取 組 の大 小 については,面 材 として使 用 を「大 」,桟 木 ,ジョイナー等 の線 的 な使 用 を「小 」と見 なす。
なお,金 具 やねじ,釘 など使 用 部 位 が限 定 されるものは取組 と見なさない。
断 熱 材 における取 組 の大 小 については,全 面的 にリサイクル材 が使用 されている場合を「大」,一部にでも使用 され
ている場 合 を「小 」とする。
(参 考 1)【リサイクル材 】の事例
品名
タイル(再生材料を使用)
木粉混入樹脂建材(木粉と熱可
主要用途
外壁
使用原材料
下水汚泥焼却灰,溶融スラグ,廃ガラス,廃
セラミック等
瓦桟,広小舞
廃プラスチック,木粉
外壁下地
廃プラスチック
断熱材
廃木材,ペットボトル,古紙
ロックウール
断熱材
高炉スラグ
グラスウール
断熱材
リサイクルガラス
下地材
廃木材
下地材
廃木材
外壁面材
古紙パルプ,高炉スラグ
塑性樹脂を混連・成形した建材)
再生プラスチック
リサイクル断熱材(セルローズファ
イバーを含む)
再生木質ボード
(パーティクルボード)
再生木質ボード
(繊維板)
窯業系サイディング材
上記以外で,廃棄物や他産業の副産物を利用した外装材
(参 考 2)【再 生可 能 材 料 】の事 例
・持 続 可 能 な森 林 から産 出 された木 材
・利 用 可 能 になるまでの期 間 の短 い植 物 由 来 の自然素材 である茅葺 き屋根,藁葺 き屋根等。
(参 考 3)【リサイクル可 能 な材 料 】の事 例
アルミ,鉄 ,銅
(参 考 4)評 価 対象 材 料 の流 通 に関 する問 題 点
評 価 対 象 となる材 料 (リユース,リサイクル材 ,再 生 可 能 材 料 ,リサイクル可 能 な材 料 )が入 手 しにくい場 合 ,大 手
メーカーであれば独 自 にそれらを生 産 することができる(例えば,メーターモジュールの国産針葉樹 合板)が,一般の工
務 店 ではそのような対応 が不 可能 なため評 価 が不 利 になることも考 えられる。企 業 規 模 が評 価 に影 響 することは当然
避 けるべきであるが,現 時 点 では有 効 な解 決 策 を見 付 けることが困 難 であるため,この件 については,将 来 の検 討 課
題 としたい。
147
≪ 京 都 独 自 の 考え 方 ≫
・
「持続可能な森林から産出された木材」は,省資源に役立つ材料として評価される。そのうち地域産木材を推奨す
る。
・また,木材以外の自然素材のうち,廃棄エネルギーが少ないものについても,同様に取り扱う。
語句の説明
リユース,リサイクル材 ,再 生 可 能 材 料 ,リサイクル可能な材料 については,「LR H 2.1.1 構造躯体 」を参照のこと。
京都重点項目
148
LRH2 資源を大切に使いゴミを減らす
B(推奨内容)
C(独自加点)
1. 省資源,廃棄物抑制に役立つ材料の採用
1.4 内装材
《大切に使う-省資源》《自然からつくる-自然素材の利用》
評価内容
内装材における省資源に役立つ材料(リサイクル材,再生可能材料,植物由来の自然素材)および廃棄
物抑制に役立つ材料(リサイクル可能な材料)の採用を評価する。
評価レベル
評 価 する取 組
【加 点 条 件 の有無 】
※無 し(京 都 重点 項 目 による加 点 条 件 あり)
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
≪推 奨 内 容 ≫
・持続可能な森林から産出された木材のうち,地域産木材を使用している。
≪京 都 重 点 項 目 による加 点 条 件 ≫
加点条件
1.内装の一定割合以上に,既存建築躯体等のリユース材,又は地域産木材,又は自然に
還る素材が使用されている。
2.内装の過半に,既存建築躯体等のリユース材,又は地域産木材,又は自然に還る素材
が使用されている。
加点ポイント
1
2
149
※「一 定 割 合 以 上 」とは具 体 的 には見 付 の面積比 で20%以上 とする。
※「内 壁 仕 上 げ」には,建 具 を含 むものとする。
⇒京都重点項目の加点を適用し,かつ合計でレベル5を超える場合は,別途,独自システムで加点評価する。
解 説
評 価 対 象 とする内 装 材 は,床 ,内 壁 ,天 井 それぞれの仕 上 げ材 と下 地 材 である。なお,断 熱 材 は「LR H 2.1.3 外
装 材 」で評 価 するため,ここでは評 価 しない。
内 装 材 における省 資 源 に役 立 つ材 料 (リサイクル材 ,再 生 可 能 材 料 )及 び廃 棄 物 抑 制 に役 立 つ材 料 (リサイクル
可 能 な材 料 )の採 用 を評 価 し,得 点 率 によって評価 する。
取 組 の大 小 については,何 れかの居 室 において面 材 (腰 壁 としての使 用 を含 む)として使 用 を「大 」,巾 木 ,廻 り縁,
桟 木 等 の線 的 な使 用 を「小 」と見 なす。なお,金 具 やねじ,釘など使用部位 が限定されるものは取組 と見なさない。
(参 考 1)【リサイクル材 】の事例
品名
タイル(再生材料を使用)
木粉混入樹脂建材(木粉と熱可
塑性樹脂を混連・成形した建材)
再生木質ボード
(パーティクルボード)
再生木質ボード
(繊維板)
せっこうボード
主要用途
内壁
使用原材料
下水汚泥焼却灰,溶融スラグ,廃ガラス,廃
セラミック等
内壁(腰壁)
廃プラスチック,木粉
下地材
廃木材
下地材
廃木材
下地材
脱硫石膏
上記以外で,廃棄物や他産業の副産物を利用した外装材
(参 考 2)【再 生 可 能 材 料 】の事 例
・持 続 可 能 な森 林 から産 出 された木 材
・利 用 可 能 になるまでの期 間 の短 い植 物 由 来 の自然素材 である竹 フローリング,ケナフ壁紙,畳,竹小舞等。
(参 考 3)【リサイクル可 能 な材 料 】の事 例
アルミ,鉄 ,銅
(参 考 4)評 価 対 象 材 料 の流 通 に関 する問 題 点
評 価 対 象 となる材 料 (リユース,リサイクル材 ,再 生 可 能 材 料 ,リサイクル可 能 な材 料 )が入 手 しにくい場 合 ,大 手
メーカーであれば独 自 にそれらを生 産 することができる(例えば,メーターモジュールの国産針葉樹 合板)が,一般の工
務 店 ではそのような対応 が不 可能 なため評 価 が不 利 になることも考 えられる。企 業 規 模 が評 価 に影 響 することは当然
避 けるべきであるが,現 時 点 では有 効 な解 決 策 を見 付 けることが困 難 であるため,この件 については,将 来 の検 討 課
題 としたい。
≪京 都 独 自 の考 え方 ≫
・外 装 材 に準 じる。
・京 都 では,中 古 建 具 の流 通 が充 実 しているため,建具も内装材 に含めたうえで,リユース等 を評価 する。
語句の説明
リユース,リサイクル材 ,再 生 可 能 材 料 ,リサイクル可能な材料 については,「LR2.1.1 構造躯体」を参照のこと。
150
(評 価 事 例 )
木造軸組充填断熱工法
木造軸組外張断熱工法
151
枠組充填断熱工法
京都重点項目
152
B(推奨内容)
D(独自基準)
LRH2 資源を大切に使いゴミを減らす
低炭素景観創出
1. 省資源,廃棄物抑制に役立つ材料の採用
1.5 外構材
《大切に使う-省資源》《自然からつくる-自然素材の利用》
評価内容
外構における省資源に役立つ材料(リサイクル材,再生可能材料)の採用を評価する。
評価レベル
レベル
基準
レベル1
(該当するレベルなし)
レベル2
下記に示す取組1~5のうち,何れも採用していない。
レベル3
一定割合以上において,下記に示す取組1~5のうち,何れかを採用している。
レベル4
過半において,下記に示す取組1~5のうち,何れかを採用している。
レベル5
大半において,下記に示す取組1~5のうち,何れかを採用している。
※「一定割合以上」「大半」とは具体的にはそれぞれ体積比で 20%以上,80%以上とする。
評 価 する取 組
取組
No.
1
リサイクル材の使用
2
リユース材の使用
3
4
5
「持続可能な森林から算
出された木材」の使用
利用可能になるまでの期
間が短く資源枯渇の恐れ
が少ない植物由来の自然
素材の使用
自然素材で廃棄エネル
ギーが少ないもの
・窯業廃土,廃ガラス等から製造した舗装用ブロックの通路,駐車場へ
の使用
・木粉と熱可塑性樹脂から製造した人工木材を利用した屋外デッキ設
置
・その他,廃棄物や他産業の副産物を利用した外構材の使用
・再利用石材による敷石
・古レンガを利用した花壇
・「持続可能な森林から算出された木材」を利用した屋外デッキの設置
・その他,「持続可能な森林から算出された木材」の外構への応用
・竹製品の使用
・その他,利用可能になるまでの期間が短く資源枯渇の恐れが少ない
植物由来の自然素材の外構への応用
・地域で産出された土
・地域で産出された石 等
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
≪推 奨 内 容 ≫
・持続可能な森林から産出された木材のうち,地域産木材を使用している。
153
解 説
この項 目 では省 資 源 に役立つ材 料 としてリサイクル材 ,再 生 可 能 材 料 (持 続 可 能 な森 林 から産 出 された木 材 又 は
利 用 可 能 になるまでの期 間 が短 く資源 枯渇の恐 れが少 ない植 物 由 来 の自 然 素 材 )を評 価 するが,あくまでも素 材 とし
ての評 価 であり,植 栽 としての使 用 は評 価 しない。
外 装 材 ,内 装 材 ではリサイクル可 能 な材 料 として金 属 系 材 料 を評 価 しているが,外 構 ではアルミの使 用 が一 般 的
であるため,評 価 対 象 から除 外 している。
≪京都独自の考え方≫
・外装材に準じる。
語句の説明
リサイクル材 ,再 生 可 能 材 料,持 続 可 能 な森 林 から産 出 された木 材 については,「LR H 2.1.1 構 造 躯 体 」を参 照 の
こと。
154
京都重点項目
B(推奨内容)
LRH2 資源を大切に使いゴミを減らす
2. 生産・施工段階における廃棄物削減
2.1 生産段階(構造躯体用部材)
《大切に使う-省資源》
評価内容
構造躯体用部材の生産・加工段階における廃棄物削減の取組を評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
(該当するレベルなし)
(該当するレベルなし)
構造躯体用部材の生産・加工段階における副産物の発生抑制,リサイクル推進に対す
る取組みの指示が無く,かつ実際の取組みも行われていない。
(該当するレベルなし)
構造躯体用部材の生産・加工段階における副産物の発生抑制,リサイクル推進に対す
る取組みについて設計図書等で指示されているか,または実際の取組みが行われてい
る。
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※工 場 における構 造 躯 体 用 部 材 の加 工 工 程 が無く施工現場 での加工のみの場合。
≪推奨内容≫
・地域産木材を使用し,かつ京都市地域内の工場で加工された,ウッドマイレージの小さい材が使用されている。
・現地で得られるリユース材(古材)を積極的に使用している。
解 説
この項 目 では,部 材 の生 産 ・加 工 段 階 における廃棄物削減の取組の中で,構造躯体用部材の取組を評価 する。
基 本 的 に当 該 物 件 における取 組 を評 価 するが,企 業 としての廃 棄 物 削 減 の取 組 も評 価 し,木 造 におけるプレカット
工 場 ,鉄 骨 造 における鉄 骨 生 産 工 場 ,鉄 筋 コンクリート造 における鉄 筋 加 工 場 およびプレハブメーカーの生 産 工 場 の
取 組 も評 価 対 象 とし,ISO14001認 証 取 得 又 はゼロエミッションを達 成 又 は同 等 の取 組 を実 施 している場 合 ,レベル5
と見 なす。取 組の例 を下 記 に示 す。
副 産 物 の発 生 抑制 の例
・邸 別 生 産 による工 程 内 仕 掛 品 の削 減
・定 尺 物 からのロスの少 ない部 材 取 り
・簡 易 梱 包 や通 箱 によるサプライヤから生 産 工場 への部品納入 等
副 産 物 のリサイクル推 進 の例
・副 産 物 分 別 の徹 底
・木 材 端 材 のパーティクルボードへのリサイクル,木粉 とPPバンドによる人工木材製造などのマテリアルリサイクル
・木 材 端 材 コジェネシステムによるエネルギー回 収 等
≪京 都 独 自 の考 え方 ≫
・地域産木材を京都市地域内の工場で加工する場合,循環型社会への貢献のほか,流通の際の省 CO2 も図ることができる。
また,現地で得られるリユース材も同様である。それらの場合は,生産・加工段階において低炭素化に寄与するため,評価基
準に加える。
155
京都重点項目
B(推奨内容)
LRH2 資源を大切に使いゴミを減らす
2. 生産・施工段階における廃棄物削減
2.2 生産段階(構造躯体用以外の部材)
《大切に使う-省資源》
評価内容
構造躯体用以外の部材の生産・加工段階における廃棄物削減の取組を評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
(該当するレベルなし)
(該当するレベルなし)
レベル4を満たさない。
生産・加工段階で副産物の発生抑制,リサイクル推進に取り組んでいる構造躯体用部
材以外の建材を1つあるいは2つ採用するよう設計図書等で指示されているか、実際の
取組みが行われている。
生産・加工段階で副産物の発生抑制,リサイクル推進に取り組んでいる構造躯体用部
材以外の建材を3つ以上採用するよう設計図書等で指示されているか,実際の取組み
が行われている。
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
≪推奨内容≫
・地域産木材を使用し,かつ京都市地域内の工場で加工された,ウッドマイレージの小さい材が使用されてい
る。
・現地で得られるリユース材(古材)を積極的に使用している。
解 説
この項 目 では,部 材 の生 産 ・加 工 段 階 における廃 棄 物 削 減 の取 組 の中 で,構 造 躯 体 用 部 材 以 外 の取 組 を評 価
する。評 価 対 象 となる部 材 は内 外 装 材 料 であり,住設機器,管工機材,電設資材,空調機材等は対象 としない。
ここで言 う生産 ・加 工 段 階 で副 産 物 の発 生 抑制,リサイクル推進 に取 り組 んでいる建材 とは,下記の2つを指す。
・生 産 工 場 がISO14001認 証 を取 得 している建材
・広 域 認 定 制 度 を取 得 しているメーカーの建 材
また,プレハブメーカーの生 産 工 場 のように構 造 躯 体 用 部 材 およびそれ以 外 の部 材 生 産 を行 っている場 合 も評 価
対象 とし,ISO14001認 証 取 得 又 はゼロエミッションを達成している場合,レベル5と見なす。
≪京 都 独 自 の考 え方 ≫
・構造用躯体部材に準じる。
語句の説明
【広 域 認 定 制 度 】
製 造 事 業 者 等 (製 品 の製 造 ,加 工 ,販 売 等 の事 業 を行 う者 )が使 用 済 み自 社 商 品 の回 収 /再 資 源 化 を円 滑 に
行 なうことができるように,「廃 棄 物 の処 理 及 び清 掃 に関 する法 律 」の特 例 規 定 として設 けられた制 度 。平 成 6年 に創
設 された「広 域 再 生 利 用 指 定 制 度 」を発 展 させる形 で,平 成 15年 に制 度 の運 用 が始 まった。製 造 事 業 者 等 が,回
収 /再 資 源 化 システムに関 する回 収 ルート,再 資 源 化 内 容 ,委 託 先 の概 要 等 を環 境 省 に申 請 し審 査 を受 けることに
156
よって,廃 棄 物 の輸 送 ・処 理 に関 する広 域 認 定 を環 境 省 から受 けることができる。この認 定 によって,産 業 廃 棄 物 処
理 業 (収 集 運 搬 ,処 分 )の許 可 なしに,使 用 済 み自 社商品を日 本 全国 で広 域的 に有償にて回 収 /再資 源化 すること
が可 能 となる。
157
LRH2 資源を大切に使いゴミを減らす
2. 生産・施工段階における廃棄物削減
2.3 施工段階
評価内容
施工現場における廃棄物削減の取組を評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
(該当するレベルなし)
(該当するレベルなし)
施工段階における副産物の発生抑制,リサイクル推進に対する取組みの指示が無く,か
つ実際の取組みも行われていない。
(該当するレベルなし)
施工段階における副産物の発生抑制,リサイクル推進に対する取組みについて設計図
書等で指示されているか,または実際の取組みが行われている。
【加 点 条 件 の有無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
この項 目 では,施 工 段 階 における廃 棄 物 削 減の取組 に対する評価 を行う。
基 本 的 に当 該 物 件 における取 組 を評 価 するが,企業 としての廃棄物削減の取組 も評価対象 とする。
施 工 段 階 における廃 棄 物 削 減 の取 組 の例 を下 記 に示す。
廃 棄 物 削 減 の例
・プレカット等 による現 場 加 工 の削 減
・メタルフォーム使 用 による型 枠 材 の削 減
・副 産 物 分 別 の徹 底
・副 産 物 の回収
また,施 工 現場 でISO14001認 証 取 得 又 はゼロエミッションを達成している場合,レベル5と見なす。
158
京都重点項目
A(全国版準用)
LRH2 資源を大切に使いゴミを減らす
3. リサイクルの促進
3.1 使用材料の情報提供
《大切に使う-省資源》
評価内容
住宅に使用されている材料のリサイクルや廃棄に対する情報提供の有無について評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
(該当するレベルなし)
(該当するレベルなし)
住まい手に対して,住宅に使用されている材料のリサイクルや廃棄に対する情報提供を
行っていない。
(該当するレベルなし)
住まい手に対して,住宅に使用されている材料のリサイクルや廃棄に対する何らかの情
報提供を行っている。
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※上 記 取 組 が困 難 な場 合 は,躯 体 ,内 ・外 装 に面材 ・線材 として使用 されている材料を特 定 できるメーカー,製品
名 ,型 番 等 の情 報 提 供 も評 価 対 象 とし,その場 合 ,レベル5とみなす。この場 合 ,接 合 金 物 (ねじ,釘 類 ),接 着
剤 ,両 面 テープ,シーリング材 ,塗 料 等 副 資 材 や木 材 ,石 材 ,土 等 の自 然 素 材 については,情 報 提 供 を必 要 と
しない。
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
この項 目 では,住 宅 に使 用 されている材 料 のリサイクルや廃棄 に対 する情報提供 を評価 する。
具 体 的 には,材 料 のリサイクル方 法 や廃 棄 に当 たっての解 体 作 業 ・処 分 方 法 に関 する注 意 事 項 が住 まい手 に提
供 されていることを評 価 する。
リサイクルに関 する技 術 開 発 や新 たな環 境 汚 染 問 題 の発 生 等 ,将 来 の状 況 を予 想 することは非 常 に困 難 であり,
実 際 に提 供 できるのは新 築 時 点 での情 報 でしかないが,解 体 時 に住 宅 に使 用 されている材 料 を特 定 できることが非
常 に重 要 であるので,評 価 対 象 に加 えた。この場 合 ,材 料 組 成 が提 供 されていることが望 ましいが,材 料 特 定 に関 す
る情 報 提 供 が現 実 的 であるため,躯 体 ,内 ・外 装に面材・線材 として使用されている材料 を特定 できるメーカー,製品
名 ,型 番 等 の情 報 提 供 を評価 対 象 としている。接 合 金 物 (ねじ,釘 類 ),接 着 剤 ,両 面 テープ,シーリング材 ,塗 料等
副 資 材 については,施 工 現 場 で調 達 される場 合が多 いため,対象からは除外 している。
情 報 提 供 については図 面 等 の紙 媒 体 に限 定 せず,磁 気 媒 体 やインターネットを通 じての情 報 提 供 も評 価 の対 象 と
する。
当 該 物 件 における取 組 だけでなく企 業 としての取 組 も評 価 するが,対 象 とする住 宅 に使 用 されていない材 料 (例 え
ばアスベスト)に関 する情 報 提 供 は評 価 しない。
住 宅 に使 用 されている材 料 の情 報 提 供 は,発展途上の段階 にあり実例は少ない。新 たな取組 に期待 する。
159
LRH3 地球・地域・周辺環境に配慮する
1. 地球環境への配慮
1.1 地球温暖化への配慮
評価内容
地球温暖化への配慮の程度を,住宅の建設から居住,改修,解体・処分までに排出される二酸化炭素
排出量(「ライフサイクルCO2」と呼ぶ)により評価する。
評価レベル
レベル
本採点項目のレベルはライフサイクルCO2の排出率を1~5に換算した値(少数第1位ま
レベル1
~
レベル5
で)で表される。なお,レベル1,3,5は以下の排出率で定義される。
レベル1 : ライフサイクルCO2排出率が,一般的な住宅(参照値)に対して125%以上
レベル3 : ライフサイクルCO2排出率が,一般的な住宅(参照値)と同等
レベル5 : ライフサイクルCO2排出率が,一般的な住宅(参照値)に対して50%以下
【加 点 条 件 の有無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
住 宅 は,建 設 から居 住 ,改 修 ,解 体 ・処 分 までの様 々な段 階 で化 石 燃 料 を消 費 し,それに関 連 して多 くの二 酸 化
炭 素 を排 出 する。もう少 し具 体 的 にいえば,建 設 段 階 では,資 材 を採 掘 し,これを部 材 化 し,現 場 に輸 送 して施 工 す
る。また,居 住 段 階 では,生 活 のために電 気 ,ガス,水 を消 費 し,建 物 の部 材 や設 備 を交 換 する。これら住 宅 に係 る
様 々な行 為 に関 連 して排 出 される二 酸 化 炭 素 の量 は日 本 全 体 の1/6に及 ぶとされており,住 宅 に係 る温 暖 化 対 策
は重 要 な課 題 である。
ここでは,評 価 対 象 住 宅 の建 設 から解 体 ・処 分 までに排 出 される二 酸 化 炭 素 排 出 量 (ライフサイクルCO 2 )を一 般
的 な住 宅 と比 較 し,その削 減 効 果 を評 価 する。ただし,ライフサイクルCO 2 の計 算 は相 当 の時 間 と専 門 的 な知 識 を必
要 とする作 業 であり,住 宅 建 設 に係 る実 務 段 階 で行 うことは困 難 である。このため,ライフサイクルCO 2 に影 響 が大 きい
他 の採 点 項 目 (Q H 2,LR H 1の中 から選 ばれた17項 目 ,次 頁 表 を参 照 )の評 価 結 果 を用 いて,簡 易 的 に計 算 すること
にする。他 にもCO 2 排 出 量 に影 響 をもつ様 々な取 組 があるが,ここでは,比 較 的 影 響 が大 きく,一 般 的 な評 価 条 件 を
設 定 し易 い取 組 に絞 り,評 価 対 象 としている。
17の採 点 項 目 全 てをレベル3として計 算 した結 果 が,一 般 的 な住 宅 のライフサイクルCO 2 排 出 量 (「参 照 値 」と呼
ぶ)となる。本 採 点 項 目 の評価 レベルは,この参 照 値 と評 価 対 象 建 物 の排 出 量 の比 (「排 出 率 」と呼 ぶ)の大 きさで決
まる。このとき,排 出 率 が100%であればレベル3,50%以 下 であればレベル5,125%以 上 であればレベル1となる。
以 上 を式 で示 すと次 式 となる。
排 出 率 = 評 価 対 象 建 物 の排 出 量 / 参照値
排 出 率 が100%以 下 の場 合
LR H 3.1のレベル = -0.04 × 排出率 + 7
(ただし,LR H 3.1の最大 レベルは5)
160
排 出 率 が100%を超 える場 合
LR H 3.1のレベル = -0.08 × 排 出率 + 11
(ただし,LR H 3.1の最低 レベルは1)
図 LR3.1の評価 レベルと排出率の関係
なお,詳 細 な計 算 方 法 は「PartⅢ 2.ライフサイクルCO 2 について」に詳しく示 す。
以 上 の計 算 は,専 用 ソフトウェアを使 えば自 動 的 に行 われ,結 果 は「結 果 」シートの「ライフサイクルCO 2 (温 暖 化 影
響 チャート)」に一 般 的 な住 宅 (参 照 値 )と比 較 して示される。(「戸建標準計算」の場合)
更 に,この結 果 は参 照 値 からの削 減 率 の大 きさに応 じてレベル1~5の間 の実 数 に換 算 され,その数 値 はそのまま
スコアとして,同 「結 果 」シートの「中 項 目 毎 の評 価 (バーチャート)」に示 される。このとき,参 照 値 と同 じライフサイクル
CO 2 排 出 量 であればレベル3,参 照 値 に対 し50%以下の排出量 であればレベル5となる。
表 ライフサイクルCO 2 の計算に用いられる採点項目
採点項目
計算への使い方
QH2
1.長寿命に
1.1 躯体
長 く 使
対する基本
1.2 外壁材
「建設」「改修・修繕・解体」
い続け
性能
1.3 屋根材,陸屋根
のCO2排出量計算に使用
る
2.維持管理
2.2 維持管理の計画・体制
LRH1
1.建物の工
1.1 建物の熱負荷抑制
エネル
夫で省エネ
1.2 自然エネルギー利用
ギ ー と
2.設備の性
2.1.1 暖房設備
水を大
能で省エネ
2.1.2 冷房設備
切に使
2.2.1 給湯設備
う
2.2.2 浴槽の断熱
2.2.3 節湯型機器および給湯配管
2.3 照明・家電・厨房機器
2.4 換気設備
2.5.1 家庭用コージェネレーションシステム
2.5.2 太陽光発電システム
3.水の節約
3.1 節水型設備
3.2 雨水の利用
「居住」のCO2排出量計算に
使用
161
LRH3 地球・地域・周辺環境に配慮する
2. 地域環境への配慮
2.1 地域インフラの負荷抑制
評価内容
居住時に発生する地域インフラへの負荷を抑制するための対策を評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
(該当するレベルなし)
評価する取組み1~6のうち,何れも採用していない。
評価する取組み1~6のうち,何れか1つに取り組んでいる。
評価する取組み1~6のうち,何れか2つ以上に取り組んでいる。
評価する取組み1~6のうち,何れか4つ以上に取り組んでいる。
評 価 する取 組
分類
No.
基準
3
外構部への降雨を浸透させるため,外構面積の過半を植栽地(池を含む)や透水
性舗装など透水性を有する仕上げとしている。
屋根への降雨を浸透させるため,雨水地下浸透施設(浸透ます,浸透トレンチ等)
を設置している。
雨水貯留・利用施設を設備している。
4
生ごみの排出量を削減するため,生ごみ処理設備を設置している。
5
住宅内あるいは外構部に分別ストックスペースを設置している。
6
上記以外の地域のインフラの負荷抑制に努めている。
1
雨水排水
負荷の抑制
生活ごみ
処理負荷の
抑制
その他
2
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
1)雨 水 排 水 負 荷 の抑 制
雨 水 を地 面 に浸 透 させることは,地 域 の雨 水 排水 処理負荷 を抑 制 することに加 え,地域 の自 然の水循 環 を保 全
する上 でも重要 な対 策 である。評 価 対 象 となる取 組 として,植 栽地 や裸地 など雨 水浸透 が可能 な外構部 分を確保
することや,浸 透 ます・浸 透 トレンチ等 を用 い計画的な経路を設けて雨水浸透 を図 ることが挙げられる。
なお,地 下 水 位 が高 いなどの理 由 により計 画 的 な雨 水 排 水 処 理 が必 要 な場 合 (浸 透 させるべきでないと判 断 さ
れる場 合 )は雨水 貯 留 ・利 用 設 備 の設 置 のみが評価 する取組 となる。
2)生 活 ごみ処 理 負 荷 の抑 制
日 常 生 活 で排 出 する廃 棄 物 の発 生 を抑 制 する対 策 の有 無 について評 価 する。生 ごみについては,生 ごみ排 出
量 を縮 減 する生 ごみ処 理 設 備 を設 置 することを評価 する。
生 ごみ処 理 設 備 :コンポスター(堆 肥 化 設 備 )や生 ゴミ処 理 機 ,ディスポーザー(処 理 槽 を有 し,残 渣 を下 水 に排
水 しないものに限 る)。ただし,屋 外 で堆 肥 化 を行 う場 合 には,防 臭 ,防 虫 ・防 鼠 等 に配 慮 する
必 要 がある。
資 源 ごみ(可燃 ごみ,不燃 ごみを除 く)については,5種 類 以 上 を分 別 しストックすることを支 援 するスペース・施 設
162
を評 価 する。(分 別 例 :カン,ビン,ペットボトル,新聞 ・段 ボール,食品 トレー,牛乳パックなど。)
3)その他
汚 水 処 理 負 荷 を低 減 する対 策 や,積 雪 寒 冷 地 における敷 地 内 での雪 処 理 対 策 など,上 記 以 外 の地 域 インフラ
の負 荷 を低 減 する取 組 を評 価 する。
・汚 水 処 理 負 荷 を低 減 する対 策
積 極 的 に浄 化 槽 を設 置 するなど,汚 水 処 理 負 荷 インフラへの負 荷 を低 減 させる対 策 を評 価 する。下 水 道 末 整
備 地 区 においては,法 令 ・指 導 に基 づき設 置 する規模・性能のものは評価 しないが,指導される浄化性能 を大 き
く上 回 るものを設 置 した場 合 は評 価 することとする。
・積 雪 寒 冷 地 における敷 地 内 での雪 処 理 対 策
屋 根 雪 や敷 地内 の積雪 を敷地 内 で処理 し,地 域 における雪 処 理 対 策 の負 荷 を低 減 させる対 策 を評 価 する。具
体 的 には,敷 地 内 に十 分 な堆 雪 スペースを確 保 している場 合 や融 雪 地 を設 置 している場 合 ,屋 根 を無 落 雪 構
造 としている場 合 などを評 価 する。
・その他
163
低炭素景観創出
LRH3 地球・地域・周辺環境に配慮する
2. 地域環境への配慮
2.2 既存の自然環境の保全
評価内容
地形,表土,樹木・緑地の保全,自生種の採用等,既存の自然環境・自然資源を保全する対策を評価
する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
既存の自然環境・自然資源の保全について全く配慮がされていない。
(該当するレベルなし)
既存の自然環境・自然資源の保全について,一部配慮されているがレベル 4 を満たさな
い。
既存の自然環境・自然資源の保全について,標準的な配慮や取組みを行っている(ポイ
ント3以上)
既存の自然環境をほとんど改変せず,積極的に保全に努めている
(ポイント 5 以上)
評 価 する取 組
分類
No.
地形の保全
1
従前の地形を改変せず,保全している。
2
表土の保全
2
従前の表土を概ね保全している。(従前の表土が植栽に適さな
いため,良質な土壌を客土した場合も含む)
1
3
(高木:樹高 4.0m以上)
① 従前生えていた高木を保全している。
2
4
(低・中木:樹高 0.3m以上 4.0 未満)
② 従前生えていた低・中木を保全している。
1
5
(高木:樹高 4.0m以上)
新植する高木に地域の自生種を採用している。
2
6
(低・中木:樹高 0.3m以上 4.0m未満)
新植する低木に地域の自生種を採用している。
1
既存樹木
の保全
地域の自生
種の採用
取組み
ポイント
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
本 項 目 は既 存 の自 然 環 境 や自 然 資 源 を可 能 な限 り保 全 する取 組 を評 価 するものであり,以 下 の取 組 が対 象 とな
る。
1)地 形 の保 全
戸 建 住 宅 においても斜 面 に位 置 する敷 地 などでは大 幅 な造 成 を行 うことも少 なくない。地 形 は地 域 環 境 や地 域
景 観 の基 本 であるため,従 前 の地 形 を大 きく改 変 しないように配 慮 する。更 地 を購 入 し計 画 する際 には,更 地 にす
る際 の地 形 や表 土 の保 全 状 況 について調 査 ・確認 することが望 ましい。
164
※地 形 を保 全していると認 められる場 合
・竣 工 後 に従 前 の地 形 が概 ね継 承 されている状態。
・基 礎 工 事 等 により,やむを得 ず建 築 本 体下部 を掘削 することはかまわない。
・アプローチの確 保 等 のため,やむを得 ず接道部分のごく一部 を改変 することはかまわない。
※地 形 を保 全していると認 められない場 合
・大 幅 な地形 改 変 を伴 って新 たに造 成 された土地 を取得 し,計画する場合。
・造 成 時 点 での保 全 状 況 が確 認 できない場合。
2)表 土 の保 全
腐 食 質 を多 く含 み植 物 の成 長 に必 要 な養 分 を含 む表 土 は,長 い時 間 を経 て形 成 されてきた生 態 系 の基 盤 であ
り,自 然 環 境 の重 要 な構 成 要 素 である宅 地 の造 成 ・住 宅 の建 設 時 に,この表 土 を保 全 するよう配 慮 する。更 地 を
購 入 し計 画 する場 合 には,更 地 にする時 点 での地形 や表土の保全状況について確認することが望 ましい。
※表 土 を保 全していると認 められる場 合
・竣 工 後 ,地 表 面 に従 前 の表 土 が残 されている状 態 (造 成 工 事 などに伴 い一 度 除 去 した表 土 を,最 終 的 に敷
地 の表 層部 分 に戻 し利 用 している場 合 を含む)。
・基 礎 工 事 等 により,やむを得 ず建 築 本 体 下 部 に位 置 する表 土 を掘 削 し排 出 することはかまわない(できるだけ
敷 地 内 で活 用 することが望 ましい)。
・擁 壁 新 設 工 事 等 により,やむを得 ず擁 壁 周 辺 に位 置 する表 土 を掘 削 し排 出 することはかまわない(できるだけ
敷 地 内 で活 用 することが望 ましい)。
・植 物 の生 育 に支 障 をきたすなど既 存 の表 土 が良 質 でない場 合 に,積 極 的 に土 壌 改 良 を行 うことは,「保 全 し
ている」とみなす。
※表 土 を保 全していると認 められない場 合
・大 幅 な地形 改 変 を伴 って新 たに造 成 された土地 を取得 し,計画する場合。
(対 象 敷 地 について,造 成 主 体 が表 土 の保全 に取 り組んでいる場合 を除 く)
165
3)既 存 樹 木 の保 全
敷 地 内 の既 存 の樹 木 は,長 い時 間 をかけ成 長 し安 定 した地 域 環 境 および地 域 景 観 の重 要 な構 成 要 素 となって
いる。これら既 存 樹 木 を保 全 し継 承 するよう配慮 する。
※建 て替 えに際 し,既 存 樹 木 (シラカシ・ケヤキ等 )を保全した事例
4)地 域 の自 生 種 の採 用
計 画 地 が含 まれる地 域 の気候 ・風土 に適 した樹 種 を採 用 することは,地 域 の生 態 系 にもなじみ,地 域 に育 まれて
きた自 然 景 観 を継 承 する安 定 した緑 化 とすることができる。また,樹 種 を配 慮 するだけでなく,樹 木 ・草 本 の調 達 先
にも配慮 することが望 ましい。
通 常 ,庭 造 りに使 われる樹 木 や下 草 は,施 主 の好 みにより選 ばれることが多 いが,それらの中 には外 国 から移 入
された種 や,国 内 産 であっても遠 距 離 から運 ばれるものも含 まれ,地 域 の生 態 系 に影 響 を与 える場 合 があると指 摘
されている。そこで,植 栽 樹 種 ・草 本 種 を選 択 する場 合 には,地 域 の生 態 環 境 を保 全 するために,できるだけ地 域
の自 生 種 (あるいは郷 土 種 ・地 域 性 系 統 種 )を採用 するよう配慮 することが望ましい,
なお,敷 地 に従 前 から生 えていた樹 木 を保 全 した場合,自生種 と同等にカウントしてもよい。
※自 生 種 ,郷土 種 ,地 域 性 系 統 種
自 生 種 とは,自 然 分 布 している範 囲 内 に分布する種 ,亜種又はそれ以下の分類群 をさす。
郷 土 種 とは,地 域 に自 生 分 布 する植 物 を指 す。ただし厳 密 な定 義 はなく,上 記 「自 生 種 」として用 いられる場 合
や,国 内 産 の「自 生 種 」をさす場 合 ,「地 域性系統」をさす場合など,多義に使 われてきた。
地 域 系 統 種 とは,自 生 種 のうち,ある地 域 の遺 伝 子 プールを共 有 する系 統 。遺 伝 型 とともに,形 態 や生 理 的 特
性 などの表 現 型 や生 態 的 地 位 にも類 似 性 ・同一性 が認められる集団 をさす。
(出 典 :「生 物 多 様 性 保 全 のための緑 化 植物の取 り扱 い方 に関 する提言」日本緑化工学会)
※自 生 種 等 の特 定 方 法 について
自 生 種 については,地 域 の自 治 体 の公 園 緑 地 関 連 部 署 や造 園 業 者 に問 い合 わせたり,郷 土 地 誌 等 の文 献
から調べることができる。
166
※苗 木 の調 達先 について
郷 土 産 の苗 木 の入 手 が難 しい場 合 には,下 記 に示 す「生 物 多 様 性 保 全 のための国 土 区 分 (試 案 )」を参 考
に,計 画 地 の含 まれる区 分 内 で生 産 された苗 を調達することが望 まれる。
「生 物 多 様 性 保 全のための国土区分(試案)」環境省
※自 生 種 の取り扱 いに関 する参 考 資 料
「生 物 多 様 性 保 全 のための緑 化 植 物 の取 り扱 い方に関 する提言」日本緑化工学会
URL:http:// www.biodic.go.jp/cbd/opinion/greensi.pdf (PDFファイル)
167
京都重点項目
LRH3 地球・地域・周辺環境に配慮する
3. 周辺環境への配慮
3.1 騒音・振動・排気・排熱の低減
A(全国版準用)
低炭素景観創出
《ともに住まう-地域とともに住まう》
(地域環境やコミュニティーへの配慮)
評価内容
敷地内から発生する騒音・振動,排気・排熱などにより隣接する住宅等に与える影響を低減する屋外設
置の設備機器に対する取組を評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
特に配慮なし。
(該当するレベルなし)
騒音・振動,排気・排熱の発生源が,隣接する住宅等に著しい影響を与えないよう一般
的な配慮を行っている。
レベル3に加え,騒音・振動,排気・排熱の発生源に対する,いずれか一部について取組
みがなされている。
レベル3に加え,騒音・振動,排気・排熱の発生源の全てについて取組みがなされてい
る。
評 価 する取 組
No.
1
騒音・振動の発生
源への取組み
2
排気・排熱の発生
源への取組み
取組み
エアコン室外機や給湯設備など,屋外に設置される設備機器の騒音・振動
源について,
・敷地境界における騒音値を 40dB(A)以下としていること。
・機器と基礎を分離するための防振ゴムの挿入,共鳴等を防止するための配
管指示固定を完全に行うなどの措置をとっていること。
燃焼系設備機器やエアコン室外機などの排気・排熱源について,
・隣接する建物の開口部,吸気口およびその周辺に排気・排熱を排出しない
配置。
・排気・排熱が自らの敷地内はもちろん,隣接敷地内の植栽などに影響を与
えないよう配置していること。
【加 点 条 件 の有無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※屋 外 設 備機 器 (排 気 口 を含 む)を設 置 しない場合はレベル5として評価 する。
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
本 基 準 では,生 活 騒 音 ,悪 臭 などの近 隣 への影響は,評価対象から除外 する。
評 価 の対 象 となる項 目 の何 れも,隣 地 に既 に家 が建 っている場 合 ,主 要 居 室 の開 口 部 の位 置 に配 慮 して設 置 す
ることが重 要 である。
1)レベル3でいう「一 般 的 な配 慮 」の目 安
① 騒 音 ・振 動 対 策 :騒 音 ・振 動 の発 生 源 に対 しては,騒音値 が敷地境界部 で45dB(A)以下 であること。また,防
振 のため適 切 な施 工 が行 われていること。
② 排 気 ・排 熱対 策 :排 気 ・排熱 の発 生 源 に対 しては,隣 接 する建 物 の開 口 部 付 近 に直 接 排 気 しないよう配 慮 し
ていること。
2)レベル4では,レベル3を満 たした上 で,一 部 の機 器 について積 極 的 な配 慮 (騒 音 ・振 動 の発 生 源 に対 しては評 価
する取 組 1,排 気 ・排 熱 の発 生 源 に対 しては評価 する取組2)を行っていることとする。
3)レベル5は全 ての機 器 について積 極 的 な配 慮(評価 する取組1,2)を行っていることとする。
168
(参 考 )発 生 源 の騒 音 値 を45dB,40dBまで減 衰させるために必要な最低距離
距 離 に伴 う点 音 源 の減 衰 式 を次 式 とする。
L=L 0 -20×log(r/r 0 )
L(dB):受 音 点 (音 源 からrm地 点 )における騒音レベル
L 0 (dB):騒 音 発 生 機 器 の騒 音 値(音源 から1m(r 0 )地点)
従 って,40dBまで減 衰 させるために必 要な距離は,
R(m)=10^{(L 0 (dB)-40(dB))/20}
同 様 に,45dBまで減 衰 させるために必 要 な距離は,
R(m)=10^{(L 0 (dB)-45(dB))/20}
となる。
40dB,45dBまで減衰させるのに必要な距離
,
169
京都重点項目
LRH3 地球・地域・周辺環境に配慮する
3. 周辺環境への配慮
3.2 周辺温熱環境の改善
A’(全国版準用)
低炭素景観創出
《ともに住まう-歴史とともに住まう》(地域環境やコミュニティーへの配慮)
評価内容
風通しへの配慮やヒートアイランド防止への配慮等,評価対象住宅を含む地域一体に対する熱的な負
荷を低減する取組について評価する。
評価レベル
レベル
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
基準
(該当するレベルなし)
(該当するレベルなし)
特に取組みなし
評価する取組み1~4のうち,何れか1つに取り組んでいる
評価する取組み1~4のうち,何れか2つ以上に取り組んでいる
評 価 する取 組
No.
1
2
3
4
取組
敷地周辺への風通しに配
慮する。
(①又は②に取り組んでい
ること)
敷地内に緑地や水面等を
確保する。
地表面被覆材 に配慮す
る。
(①又は②に取り組んでい
ること)
建築外装材料等に配慮
する
(①又は②に取り組んでい
ること)
①卓越風向に対する建築物の見付面積率 60%未満
②背面空地や坪庭(中庭)の連担性により,周辺の通風に配慮している。
・敷地面積に対する緑化等面積率 10%以上
①敷地面積に対する舗装面積率 20%未満
②敷地面積に対する日射反射面積率 10%以上
①屋根面積に対する屋根緑化等面積率+日射反射率又は長波放射率の
高い屋根材の面積率 20%以上
②外壁面積に対する壁面緑化面積率 10%以上
【加 点 条 件 の有 無 】
※無 し
【条 件 によるレベル変 更 】
※無 し
【評 価 対 象 外 】
※無 し
解 説
敷 地 外 の熱 的負 荷 の低 減 に資 する取 組 について評価 する。
1)敷 地 周 辺 への風 通 しに配 慮 する。
・周 辺 の住 宅 において風通 しを確 保 できるようにするためには,評 価 対 象 住 宅 の風 下 となる敷 地 への風 通 しに配 慮 す
ることが望 ましい。
170
・本 項 目 では,敷 地 周 辺 への風 通 しの配 慮 について,夏 期 の卓 越 風 向 (最 も多 い風 向 )に対 する建 物 の見 付 面 積 の
比 率 により評 価 する。
見 付 面 積 率 =Sb/(Ws×Hb)×100%
Sb
:卓 越風 向 の建 築 物 の見 付 面 積
Ws
:卓 越風 向 に直 交 する最 大 敷 地 幅
Hb
:住 宅 の最 高 高 さ
※夏 季 の卓 越 風 向 の確 認 方 法
a. 計 画 地 近 傍 の観 測 点 のデータを活 用
・アメダスポイント
・消 防 署 等
b. aが得 られない場 合 は,市 町 村 等 で取 りまとめてい
る地 域 の気 象 データを活 用
※対 象 とする最 大 敷 地 幅
風 向 と,対 象 とする最 大 敷 地 幅 は右 図 のように設定 す
る。
風 向 :敷 地 や建 物 に対 し斜 め方 向 の場 合 は,右 図 の
範 囲 で代 表 風 向 を定 める(A,B,C,D)
算 定 対 象 距離 方 向 :卓 越 風 向 に直 行 する方向
・卓 越 風 向 がA及 びBの場 合 は方 向 ①
・卓 越 風 向 がC及 びDの場 合 は方 向 ②
2)敷 地 内 に緑 地 や水 面 等 を確 保 する。
・地 表 面 温 度 や地 表 面 近 傍 の気 温 上 昇 を抑 えるためには,敷地内 に緑地 や水面等を確保 することが望 ましい。
・本 項 目 では,緑 地 等 の規 模 について緑 化 等 面積率 により評価 する。
・ここで緑 化 等面 積 率 とは,敷 地 面 積 に対 する,芝生 ・草本 ,低木 等の緑 地面積 ,中 ・高 木の樹 冠の水 平投影面 積,
池 などの水 面 面 積 ,保 水 性 舗 装 面 積 の合 計の比率 とする。
緑 化 等 面 積 率 =(芝 生 ・草 本 ・低 木 等 の緑 地 面 積 +中 ・高 木 の樹 冠 の水 平 投 影 面 積 +池 などの水 面 面 積 +保
水 性 舗 装 面 積 )/敷 地 面 積 ×100%
3)地 表 面 被 覆材 に配 慮 する。
・舗 装 など地 表 面 を被 覆 する際 には,夏 期 日 中 の日 射 取 得 による被 覆 材 の高 温 化 や蓄 熱 を抑 制 することが望 まし
い。
・本 項 目 では,高 温 化 や蓄 熱 しにくい地 表 面 被 覆材 を採用する取組 について,①又は②の何 れかにより評価 する。
① 舗 装 面 積を小 さくする取 組 について舗 装 面積率 により評価 する。
舗 装 面 積 率 =舗 装 面 積 /敷 地 面 積 ×100%
*ただし,舗 装面 積 から夏 期に明 らかに直 達 日 射 の当 たらない敷 地 部 分 や保 水 性 の高 い舗 装 材 の面 積 は除
外 してよい。
② 日 射 反 射率 の高 い舗 装 材 を採 用 する取 組 について日射反射面積率 により評価 する。
171
日 射 反 射 面 積 率 =高 反 射 性 (低 日 射 吸収率)舗装面積/敷地面積 ×100%
*日 射 反 射 率 の高 い材 料 については,(参考3)を参照のこと。
4)建 築 外 装 材料 等 に配 慮 する。
・屋 根 や外 塀 材 料 に配 慮 し,夏 期 日 中 の日 射 取得 による建物躯体の高温化 や蓄熱を抑制 することが望 ましい。
・本 項 目 では,建 築 外 装 材 料 に対 する取 組 について,①又は②の何 れかにより評価 する。
① 屋 根 緑 化 や日 射 反 射 率 の高 い屋 根 材 等 を採用 する取組 について,屋根緑化等面積率 により評価する。
屋 根 緑 化 等 面 積 率 =屋 根 緑 化 又 は日 射 反 射 率 ・長 波 放 射 率 の高 い屋 根 材 の使 用 面 積 の合 計 /屋 根 面
積 ×100%
*日 射反 射 率 ・長 波 放 射 率 の高 い材 料 については,(参考3)を参照のこと。
② 壁 面 緑 化 の取 組 について,壁 面 緑 化 面 積率 により評価 する。
壁 面 緑 化 面 積 率 =壁 面 緑 化 の採 用 面 積の合計/外壁面積×100%
(参 考 1)計 画 地 周 辺 の風 況 の把 握 方 法 について
計 画 地 で実 測し把 握 することが理 想 的 だが,現 実 的 には大 規 模 な開 発 等 で環 境 アセスメントを実 施 する場 合 等 に
限 られる。そこで,以 下 の情 報 ソース等 から,極 力 計 画 地 近 傍 の気 象 データを確 認 することで対 応 する。なお,以 下
の情 報 ソースでは,風 向 だけでなく,各 種 気 象 データも得られるので,参考にされたい。
① 京 都 地 方 気 象 台 ホームページ(気 象 庁 ホームページのデータのもとになる)
・「京 都府 の気 象 」毎 年 の年 報 に月 別 最多風向 が記載
・京 都 地方 気 象 台 (http://www.jma-net.go.jp/kyoto/)
② 計 画 地 近 傍 の消 防 署
消 防 署 が気 象 観 測 を実 施 しデータを保 有 している場合がある。
③ 近 傍 の大規 模 開 発 事 業 等 に関 連 する環境アセスメントデータ
計 画 地 が,大 規 模 な住 宅 開 発 地 内 や,大 規 模開発 に近い立 地 であれば,大規 模開発 に関 わる環境 アセスメ
ントデータを参照 することが可 能 。
(参 考 2)保 水 性 舗 装
保 水 性 材 料 は,一般 に販 売される製 品 が増 えてはいるが,材 料 中 の水 の量 などにより蒸 発 冷 却 効 果 が変 化 する。
ヒートアイランド対 策 の観 点 からその性 能 を評 価 する方 法 が確 立 されているとはいえず,関 連 の研 究 機 関 等 で検 討 が
進 められている。従 って,基 準 値 の設 定 に関 しても多 くの部分 が今後の検討課題 である。
現 在 市 場 に出 ている保 水 性 材 料 を分 類 すると表 1のようになる。表 には代 表 的 なものが示 されているが,アスファ
ルト以 外 の材 料 に保 水 材 を組 み合 わせたものなど,他 にも様 々な製 品 がある。保 水 性 材 料 への給 水 方 法 が降 水 によ
るものと人 為 的 に給 水 するものとで蒸 発 冷 却 効 果 に差 が生 じるとともに,製 品 の日 射 反 射 率 の違 いによっても表 面 温
度 に差 が生 じる。屋 上 ・ベランダ・バルコニーなどに用 いられる保 水性建 材と歩 道 ・車道 ・駐 車場 ・広 場などに用 いられ
る保 水 性 舗 装 材 では,強 度 などの必 要 性 能 が異なる点にも配慮 する必要 がある。
インターロッキングブロック舗 装 技 術 協 会 が出 している保 水 性 舗 装 の基 準 値 の例 を表 2に示 す。現 段 階 ではこの基
準 値 を参 考 とすることが妥 当 であると考 えられる。また,保 水 性 舗 装 技 術 研 究 会 により保 水 性 舗 装 の室 内 照 射 試 験
方 法 が示 されている。ある照 射 条 件 のもとで保 水 性 舗 装 の表 面 温 度 が一 般 舗 装 と比 較 して何 ℃低 温 になるかを評
価 するものである。
172
表 1 保水性材料の事例
表 2 保水性舗装の基準値の例 1)
評価者
保水性
インター
0.15g/cm
ロッキング
以上
3
吸水性
すべり抵抗性*
曲げ強度*
寸法の許容差*
70%以上
歩道:BPN40
歩道:
歩道:幅±
以上
3.0N/mm2
2.5mm,厚さ
ブロック舗
車道:BPN60
以上
+4mm,-1.0mm
装技術協
以上
車道:
車道:幅±
5.0N/mm2
2.5mm,厚さ±
以上
2.5mm
会
*屋上・ベランダ・バルコニーなどに適用される保水性建材には特に必要とされない性能基準。
〈引 用 文 献 〉
1):社 団 法 人 インターロッキングブロック舗 装 技 術 協会:保水性舗装用インターロッキングブロック品質規格,2005
(参 考 3)日 射 反射 率 の高 い材 料
ヒートアイランド対 策 への関 心 の高 まりから,高 反 射 率 塗 料 ,高 反 射 率 防 水 シートは一 般 に市 販 されている。また,
東 京 都 などの自 治体 がヒートアイランド対 策 技 術 として普 及 の支 援 を行 うとともに,各 製 品 の試 験 を実 施 している。この
ような背 景 のもと,塗 膜 の日 射 反 射 率 の求 め方 がJIS K 5602として2008年 に制 定 された。今 後 は統 一 した試 験 方
法 による試 験 結果 に基 づき,より良 い技 術 が普 及 していくと思 われる。
日 射 反 射 率 や長 波 放 射 率 の基 準 値 に関 して,ヒートアイランド対 策 の観 点 から設 定 されているのは,東 京 都 の事
例 やそれに倣 ったものはあるが,今 後 他 の技 術 (緑 化 や保 水 性 材 料 )との比 較 も念 頭 に入 れて検 討 されると思 われる。
幾 つかの業 界 団 体 では独 自 に基 準 を定 めているところがある。社 団 法 人 日 本 塗 料 工 業 会 の規 格 JPMS27,合 成 高
分 子 ルーフィング工 業 会 のKRK S-001高 反 射 率 防 水 シート規 格 を下 表 に示 す。防 水 シート,塗 料 の他 に,瓦 ,ス
レート,金 属 系 材 料 ,膜 材 料 ,ガラスなど様 々な分 野 で同 様 の性 能 を持 つと想 定 される材 料 の開 発 と建 築 分 野 での
利 用 が進 められているが,各 性 能 が客 観 的 に評 価 される段 階 には至 っていない。これらの材 料 に関 しても,基 準 値 と
しては塗 料 や防 水 シートの値 に準 じると想 定 される。
なお,外 壁 や舗 道 を高 反 射 率 化 する場 合 には,通 行 人 などへ反 射 日 射 の影 響 が現 れないよう注 意 する必 要 があ
る。特 に高 層 ビルの外 壁 を高 反 射 率 化 した場 合 ,都 市 の地 表 面 近 傍 に入 射 する日 射 熱 は増 える傾 向 となるため望
ましくない。また,日 射 反 射 率 は時 間 とともに低 下 することが指 摘 されており,性 能 変 化 に対 する配 慮 も必 要 である。2
年 の屋 外 暴 露 試 験 後 の日 射 反 射 率 が初 期 の日射反射率の80%以上 であることが望 ましい。
173
表 日 射 反 射率,長波放射率の基準値の例
評価者
日射反射率
長波放射率
推進事業,規格等
社団法人日本
明度L*値が40.0以下の場合は,
-
JPMS27 耐候性屋根用
塗料工業会
近赤外域における日射反射率が
塗料(2009年)
40.0%以上であること,明度L*
値が40.0を超す場合は.近赤外
域における日射反射率(%)が明
度L*値の値以下であること。
合成高分子
ルーフィング工
業会
東京都
近赤外域(波長:780nm~
-
水シート規格(2008年)
2500nm)において50.0%以上
50%以上(灰色)第三者機関に
KRK S-001 高反射率防
-
クールルーフ推進事業
て測定
(2006年)
注 )長 波 放 射 率 は,塗 料 ,防 水 シートに関 しては,何 れの製 品 も0.9程 度 であり基 準 値 が設 定 されていないが,金
属 屋 根 などの場 合 には小 さな値 になる場合 が多いため注意 する必要がある。
以 下 に関 連 情 報 が紹 介 されているホームページアドレスを示 す。(2010年 7月現在)
クールルーフ推 進 協 議 会 HP http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/heat/coolroof/index.html
≪京 都 独 自 の考 え方 ≫
・京都では,都市特性上,隣地からの距離が十分に確保し難い状況があり,それに替えて,背面空地や坪庭を連続させること
で通風等を相互に確保し合っていた。また,軒・庇は都市にあって日陰を形成する重要な要素である。このため,それらにつ
いても,評価する取組に加える。
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