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USB AUDIO 基板の特徴
1.USB2.0 HiSpeed インターフェース※1 を備えた PC があれば、他の PC オーディオデ
バイスが無くとも、サンプリング周波数 192kHz までのステレオ wave ファイルを再生可
能。また、ステレオ DSD フォーマット(DSDIFF ファイル)のファイルを PC から直接再
生することができます。DSD は 2.8MHz と 5.6MHz の両方のサンプリング周波数に対応し
ています。
2.USB 転送には一般のファイル転送などに使う「バルク転送モード」が採用されており、
USB 基板上に搭載された水晶発振器(22.5792MHz / 24.576MHz)ベースで動作させるこ
とが可能ですので(もちろん PLL を使いません)、一般的な USB オーディオと違って、ジ
ッタによる音質劣化を気にしなくて済みます。しかもメモリバッファ DAI のように、再生
開始時に数秒間遅れるということもありません。
「再生」ボタンを押すとすぐに音楽が始ま
ります。
3.Wave ファイルは、PCM フォーマットで S/PDIF から出力可能。同時にスタンダード
24bit 右詰めフォーマットでシリアル出力可能です。
DSD ファイルは、内蔵デシメーションフィルタにより 88.2kHz の PCM フォーマットに変換
されて S/PDIF から出力可能。同時に DSD のままシリアル出力も可能です。
4.TI の高性能 4ch A/D コンバータ IC PCM4204 を搭載。PCM なら 44.1kHz から 192kHz
までの wave ファイルでステレオ録音が可能。DSD なら 2.8MHz、および 5.6MHz でステ
レオ、もしくは 4ch 録音が可能(アナログのフロントエンド回路が必要→別途頒布)。1 台
で 5.6MHz サンプリングの DSD 4ch 同時録音は世界初(かも)。
5. USB 経由で音声信号をファイルへ記録するだけでなく、録音時にも S/PDIF からデジ
タル出力します。PCM 録音中は S/PDIF から録音中のサンプリング周波数でデジタル出力
し、DSD 録音中は ch1 / ch2 の信号が 88.1kHz の PCM 信号に変換されて S/PDIF からデジ
タル出力します。※2
6.4ch で DSD 録音されたファイルは添付の Windows アプリで ch1 / ch2 と ch3 / ch4
の 2 本の DSDIFF ファイルに分解することができます。
7.録音された DSDIFF ファイルは添付の Windows アプリで PCM 信号(wave ファイル)
に変換することができます※3。変換に際して、通常の 24bit wave ファイルにするか、32bit
浮動小数点 wave ファイルにするかを選択可能です。
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8.別途頒布の 8 点 LED レベルメータ基板を使うと、録音時に 4ch 分(4ch は DSD 録音
時)の録音レベルをモニターすることが可能です(ご自身で作られても可)。このレベルメ
ータにはドロップ検出機能も備わっており、USB の転送速度や PC 側の何らかの事情でフ
ァイル書き込みが間に合わなかったことを検知すると、ピークレベル用の(一般には赤色
を実装)LED が点灯しっぱなしになって知らせてくれます(4GB 制限による自動終了時を
含め、録音終了と同時に消灯)。
9.USB 基板には別途頒布の DSD1794A 搭載 DAC 基板を接続することも可能。USB 基
板は、再生するファイルのフォーマット(PCM / DSD)に応じて自動的に DSD1794A の
レジスタを書き換え(設定し)ます。選択ファイルが DSDIFF であれば DSD1794A が自動
的に DSD モードで再生します。
10.一般的な Windows のオーディオクラスを使用しておりません。ファイルの音声デー
タをそのままの形で無加工で「転送」することによって録再を行います。したがって
Windows のカーネルミキサーがどうのこうのといった心配はありません。そのため、本基
板では専用のドライバーソフト、および専用のアプリケーションを使用します(録音され
たファイルは業界標準に準拠していますので一般的な DAW に受け渡すことが可能です)。
11.32kHz の Wave ファイルはサポートしません。また、放送規格の BWF もサポート
しません。
本基板は技術者ならびにそれに準ずる電気的知識をお持ちの自作オーディオファンの方の
ための商品です。一般のオーディオファンの方のための商品ではありません。
誤った使い方をすると発火などに到る可能性もございます。
また、デバイスドライバのインストールなどを平気で行ってしまえる程度の PC スキルを
お持ちの方を想定しております。PC の互換性がらみのサポートはできませんので、あらか
じめご了承ください。
本基板を使用したことに起因する人身災害、物損事故に関して当方(エレクトロアート)
は責任を負いませんのでご了承ください。
説明書
第1版
2009/12/14
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USB 基板ハードウェア取扱説明書
1.電源
5V±0.25V(300mA)程度 2 ピンコネクタ「P1」
の 1 番ピンに 5V, 2 番ピンに GND
(デジタル)、
同じく 2 ピンコネクタ「P8」の 1 番ピンに 5V, 2 番ピンに GND を接続(A/D アナログ)。
本基板は USB セルフパワーで使用します。
録音に使わない場合でも「P8」には必ず電源を印加しておいてください。A/D コンバータ
のデジタル電源が「P1」からの給電になっています。
「P1」
「P8」をともに給電しないと A/D
コンバータ PCM4204 が破壊されます。
2.S/PDIF 出力
ピンジャック J1 からは 2ch の S/PDIF 信号が出力されます。
再生時
再生ファイルの両チャンネル(ステレオ)
録音時
A/D コンバータの ch1 / ch2
PCM モード
再生あるいは録音時の周波数
DSD モード
88.2kHz に変換された PCM
※チャネルステータスはサンプリング周波数情報のみを載せたコンスマーモードとなります。
3.USB
USB コネクタ X1 は B タイプの標準コネクタです。本基板は USB2.0 HiSpeed 接続において
使用します。PC との接続には USB2.0 HiSpeed 対応のケーブルをお使いください。
PC 側の USB コントローラには、Intel のチップセット内蔵タイプをお使いいただくのが無
難だと思います。動作を確認した PC は、ThinkPad X31(かなり古い PC ですが大丈夫でし
た。おそらく最近のネットブックでもいけると思います)と、Intel Core2Duo の自作 PC
(Intel チップセット)です。
残念ながら、PC との互換性に関する保証はできませんがご了承ください。
対象 OS は一応 WindowsXP Service Pack2 以降です。動作確認は XP の Service Pack3 にて
行いました。Windows7 については追って実施します。Vista については USB 廻りの性能が
落ちるようです。
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4.GPIO(General Purpose IO)
6 ピンコネクタ「P6」は多目的 I/O ピンとなっています。
ピン番号
再生時 (Digital Audio)
録音時 (Level Meter)
1.
BCLK(PCM) / DSDCLK(DSD)
SFT_CLK (shift clock)
2.
LRCK(PCM) / DSD_L(DSD)
LT_CLK12 (ch1,2 latch clk)
3.
SDATA(PCM) / DSD_R(DSD)
LT_CLK34 (ch3,4 latch clk)
4.
SCLK
LED13 (ch1,3 level data)
5.
‘L’(PCM) / ‘H’(DSD)
LED24 (ch2,4 level data)
6.
GND
GND
※再生時の Digital Audio フォーマットは、PCM モードではスタンダード右詰め 24bit になります。
※録音時には 74HC595(汎用シフトレジスタ IC)を接続してレベルメータを構成できます。
本基板を主に再生機として使用する場合、
「P6」に外部 DAC 基板を接続した構成にすること
が多いと思います。そのような場合、録音時にはレベルメータ信号が DAC 基板に入力する
ことになります。そこで、
「JP2」をショートすると録音時には「P6」出力が’L’に固定さ
れます。
また、本基板を主に録音機として「P6」にレベルメータ基板を繋いで運用する場合、再生
時にはレベルメータ基板にオーディオ信号が出力されます。「JP3」をショートすると再生
時には「P6」出力が’L’に固定されます(ただし別途頒布基板では 74HC595 をクリアして
いませんので、LED はモード切替の瞬間に点灯していた LED がそのまま点灯し続けます)。
「P6」コンフィギュレーション(参考)
JP2
JP3
「P6」のふるまい
ショート
ショート
Reserve
ショート
オープン
録音:’L’/再生:音声
オープン
ショート
録音:メーター /再生:’L’
オープン
オープン
録音:メーター /再生:音声
5.DAC 等制御 I/O
3 ピンコネクタ「P2」は I2C 制御バス(I2S ではありません)でレジスタ設定などをするた
めのコネクタです。別頒布の DSD1794A 基板などを使用する際に接続します。
この I2C バスは起動時に USB IC チップが EEPROM からプログラムコードを読み込む際、お
よび PC から基板上の FPGA の設定をする際にも使われます。すべて共通の配線になってい
ますので、このコネクタと外部デバイスとの配線は極力短くしてください。
通常、I2C バスの SCL, SDA にはプルアップ抵抗が必要ですが、すでに USB 基板上にありま
すので、外部デバイスの基板には不要です。
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ピン番号
機能
1.
SCL(制御クロック)
2.
SDA(制御データ)
3.
GND
6.A/D コンバータ用アナログ・フロントエンド基板接続コネクタ
本基板には 4ch の A/D コンバータである、PCM4204 が実装されていますが、その前段に必
要なアナログ・フロントエンド回路は実装されていません(実装スペースもありません)。
PCM4204 のデータシートに記載された OPA1632 を使った回路が使用できます。別途頒布す
る 2ch OPA1632 フロントエンド基板を使うこともできます。これを使用する場合は、フロ
ントエンド基板 2 枚で 4ch 分となります。
もちろん、ご自身で工夫された回路をお使いいただくのが一番楽しいと思います。
Ch1/ch2 用の「P4」
ピン番号
機能
1.
ch1 非反転信号入力
2.
ch1 反転信号入力
3.
GND
4.
ch1/ch2 入力の中点バイアス出力
5.
ch2 非反転信号入力
6.
ch2 反転信号入力
Ch3/ch4 用の「P5」
ピン番号
機能
1.
ch3 非反転信号入力
2.
ch3 反転信号入力
3.
ch3/ch4 入力の中点バイアス出力
4.
GND
5.
ch4 非反転信号入力
6.
ch4 反転信号入力
※ch1/ch3 が Lch で、ch2/ch4 が Rch になります(ch3, ch4 は DSD 録音時のみ)。
「P4」
「P5」とでは、3 番ピンと 4 番ピンの機能が入れ子になっています。
とくに別途頒布のフロントエンド基板を接続の際は十分お気を付け下さい。反対に接続す
ると A/D コンバータ IC チップを破壊します。
頒布フロントエンド基板と接続する場合は、USB 基板の「P4」と接続する方の配線は 3 番
と 4 番を入れ子にしてください。
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なお、PCM4204 の評価基板の回路図は参考になると思います(TI サイト” sbau104.pdf”)。
PCM4204 は差動入力でともにおおよそ+1V から+4V の範囲(約 3Vp-p)でフルに振れたときに
0dBFS になるようです。
何らかの事情でさらに振幅の大きな信号が入力した場合、-0.3V から+5.3V の範囲を超える
と PCM4204 は破壊の可能性があるとされています(電源電圧を超えるわけですから・・・)。
そのような大振幅の信号が入る可能性がある場合にはショットキーダイオードなどによる
クリッパ回路が必要になるとされています。USB 基板、フロントエンド基板には含まれて
おりませんのでご注意ください(入手性の問題があるのかもしれませんが上記評価基板に
も入っておりません)
。
録音機能を使用しない場合、「P4」「P5」の 1,2 番ピン、5,6 番ピンはそれぞれ 0.1uF 程度
の C で GND にバイパスしておくとよいようです(前出の” sbau104.pdf”をご参照くださ
い)。
7.レベルメータ機能
本基板の 4ch レベルメータの仕様は下記のとおりです。
別途頒布 LED メータ基板回路上の LED
点灯信号レベル
LED8/LED16/LED24/LED32
OVL
LED7/LED15/LED23/LED31
-1dB
LED6/LED14/LED22/LED30
-4dB
LED5/LED13/LED21/LED29
-9dB
LED4/LED12/LED20/LED28
-14dB
LED3/LED11/LED19/LED27
-24dB
LED2/LED10/LED18/LED26
-36dB
LED1/LED9 /LED17/LED25
-60dB
全灯から無灯までの遷移時間:約 0.74 秒
無灯から全灯までの遷移時間:ほぼ瞬時
※多少誤差がある可能性もあります。大切な録音の前には必ず事前チェックをしてクセを掴んでからお臨み
下さい。
本基板のレベルメータ機能は、録音時の取りこぼし検出を兼ねています。USB 転送やその
他、PC のレイテンシの瞬間的な悪化などによって、ディスクへの記録が間に合わない場合
がないとはいえません。そのような場合には LED8/LED16/LED24/LED32(LED24/LED32 は DSD
の 4ch 録音時のみ)が点灯状態になることで知らせてくれます。
その状態は、録音終了時までホールドされます。
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※1. 一応、Intel チップセット内蔵の USB2.0HiSpeed インターフェース対応ということにします(申し訳あ
りませんが、条件に合致していても動作がうまくない場合が無いとは言い切れません)
。
外付けのハブなどを経由させず、直接 PC のコネクタにつなげてください。また、キーボードやマウス以外
の他の USB 機器は同時に動かさないようにしてください(極力専用にした方がよいという意味です)
。
※2. DSD128 録再時の PCM 変換は簡易変換となっています。DSD64 からの変換よりも若干性能が劣ります。も
ちろん。録音された DSD データは PCM4204 出力そのものですので、添付アプリで高性能な変換をお楽しみ
いただけます。
※3. アプリでは、変換元の DSD ファイルが DSD64 か DSD128 かを自動認識して 1/32 の周波数にデシメートし
ます。つまり、DSD128 の DSDIFF は 176.4KHz の wave ファイルに、DSD64 の DSDIFF は 88.2KHz の wave ファ
イルに変換されます。アプリのバージョンアップで 1/64 との選択ができるようにするかもしれません。
※4. 本基板をご使用になる際は、PC の省電力設定をすべて OFF にしてください。また、
(特に)録音時はス
クリーンセーバも止めた方がよいと思われます。基板自体もスタンバイからの復帰はサポートしておりま
せん。
※5. 同じ USB IC チップを使用したデバイスがすでにインストールされている場合、競合して使用できない
可能性があります(未確認)。そのような場合は競合デバイスを一時削除してお使いいただけますようにお
願いします。
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