Download 1. 調査の背景と目的

Transcript
1. 調 査 の 背 景 と 目 的
1.1 調 査 の背 景
ガ ス・石 油 機 器 に つ い て は 、取 り 外 し に 工 事 が 必 要 な 設 備 機 器( ガ ス 瞬 間 湯 沸 器 、
ガスふろがま、石油給湯器等)と非設備機器(卓上型ガスコンロ、ガスファンヒー
ター、石油ファンヒーター等)に大きく区分される。
過去に経済産業省設置の「ガス・石油機器リサイクル懇談会」において、懇談会
中 間 報 告 書 「 ガ ス ・ 石 油 機 器 の リ サ イ ク ル の 促 進 に 向 け て 」( 平 成 12 年 7 月 ) が 取
りまとめられており、使用済みガス・石油機器フローの把握結果と今後の取組の方
向性が示されている。
また、ガス・石油機器は、資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用
促進法)の対象製品に指定されているため、産業構造審議会廃棄物・リサイクル小
委員会において「品目別廃棄物処理・リサイクルガイドライン」フォローアップが
行われている。
( 1)「 ガ ス ・ 石 油 機 器 リ サ イ ク ル 懇 談 会 」 懇 談 会 中 間 報 告 書 に つ い て
過 去 に経 済 産 業 省 に設 置 されていた「ガス・石 油 機 器 リサイクル懇 談 会 」では、使 用 済
みガス・石 油 機 器 フローと今 後 の取 組 の方 向 性 について以 下 のとおり示 されている。
① ガス・石 油 機 器 のフローについて
懇 談 会 中 間 報 告 書 では、ガス・石 油 機 器 全 体 としては、消 費 者 からの排 出 量 の約 5 割
が新 製 品 配 達 時 等 に小 売 事 業 者 によって引 き取 られ、残 りの約 5 割 は消 費 者 から直 接
自 治 体 に排 出 されていると推 計 している。また、使 用 済 み製 品 の処 理 段 階 において、排
出 量 の約 6 割 を民 間 処 理 業 者 が、約 4 割 を自 治 体 が、それぞれ処 理 ・リサイクルしている。
その結 果 、金 属 の回 収 可 能 量 180 千 t(推 計 値 )のうち、総 排 出 量 の約 6 割 にあたる約
160 千 t の金 属 が回 収 され、残 りの約 20 千 t の金 属 が未 回 収 (直 接 埋 立 あるいは破 砕
処 理 後 埋 立 )となっていると推 計 している。
設 備 機 器 、非 設 備 機 器 の違 いについてみると、設 備 機 器 は、消 費 者 から排 出 される量
の 9 割 弱 が新 製 品 配 達 時 等 に小 売 事 業 者 によって引 き取 られ、約 1 割 が自 治 体 に排 出
されている。一 方 、非 設 備 機 器 については、約 7 割 が消 費 者 から直 接 自 治 体 に排 出 され
ており、小 売 事 業 者 等 による引 き取 りは約 3 割 である(図 1.1∼1.3 参 照 )。
1
図 1.1
使用済みガス・石油機器のフロー
(出所)ガス・石油機器のリサイクルの促進に向けて
( ガ ス ・ 石 油 機 器 リ サ イ ク ル 懇 談 会 、 平 成 12 年 7 月 )
2
図 1.2
使用済みガス・石油機器(設備機器)の処理・リサイクル状況
(出所)ガス・石油機器のリサイクルの促進に向けて
( ガ ス ・ 石 油 機 器 リ サ イ ク ル 懇 談 会 、 平 成 12 年 7 月 )
3
図 1.3
使用済みガス・石油機器(非設備機器)の処理・リサイクル状況
(出所)ガス・石油機器のリサイクルの促進に向けて
( ガ ス ・ 石 油 機 器 リ サ イ ク ル 懇 談 会 、 平 成 12 年 7 月 )
4
② ガス・石 油 非 設 備 機 器 の回 収 ・リサイクルシステムのあり方 について
懇 談 会 中 間 報 告 書 では、ガス・石 油 機 器 のリサイクルシステムのあり方 を具 体 的 に検
討 するにあたっては、多 様 な機 器 それぞれの特 性 を考 慮 することが必 要 であとし、非 設 備
機 器 (設 置 にあたり施 工 を必 要 としないもの)について以 下 の点 を指 摘 している。
・非 設 備 機 器 の場 合 、消 費 者 による持 ち帰 りが行 われることが多 い製 品 も含 まれており、
また、新 しい機 器 を買 っても古 いものも使 用 したり、あるいは予 備 として保 管 すること
などがある。
・設 備 機 器 とは異 なり、配 達 時 に小 売 事 業 者 が引 き取 っていない場 合 が多 く、自 治 体
に排 出 されている割 合 が高 いので、まず家 庭 から事 業 者 への回 収 ルートを構 築 する
ことが必 要 。
・この場 合 、消 費 者 が活 用 しやすい回 収 ルートを整 備 することが肝 要 であり、宅 配 便 等
の活 用 、事 業 者 が指 定 する場 所 への消 費 者 による持 ち込 みといった方 法 も考 えられ
る。
・消 費 者 が自 治 体 に排 出 した使 用 済 み製 品 については、金 属 回 収 率 の高 い民 間 処 理
業 者 へ引 渡 を促 進 させるための取 組 を自 治 体 と事 業 者 の連 携 のもとで行 うことも有
効 と考 えられる。
( 2)「 品 目 別 廃 棄 物 処 理 ・ リ サ イ ク ル ガ イ ド ラ イ ン 」 フ ォ ロ ー ア ッ プ に つ い て
ガス・石 油 機 器 は、資 源 の有 効 な利 用 の促 進 に関 する法 律 (資 源 有 効 利 用 促 進 法 )に
おいて、「原 材 料 等 の使 用 の合 理 化 など使 用 済 物 品 等 の発 生 抑 制 に取 組 むことが求 め
られる『指 定 省 資 源 化 製 品 』」と「リサイクル等 が容 易 な製 品 の設 計 ・製 造 など再 生 資 源
又 は再 生 部 品 の利 用 の促 進 に取 組 むことが求 められる『指 定 再 利 用 促 進 製 品 』」に指 定
されている。
資 源 有 効 利 用 促 進 法 に基 づき事 業 者 の取 組 を進 めるために「品 目 別 廃 棄 物 処 理 ・リ
サイクルガイドライン」が定 められ、定 期 的 にフォローアップが行 われている。ガス・石 油 非
設 備 機 器 について、社 団 法 人 日 本 ガス石 油 機 器 工 業 会 の取 組 として報 告 されたフォロー
アップ(産 業 構 造 審 議 会 廃 棄 物 ・リサイクル小 委 員 会 、平 成 18 年 10 月 )の内 容 は以 下
のとおりである。
・「ガス・石 油 機 器 の不 法 投 棄 の実 態 と自 治 体 での処 理 ・処 分 上 での問 題 点 調 査 」を
実 施 した結 果 、不 法 投 棄 は少 なく、懸 念 材 料 として残 油 抜 き取 りが徹 底 されてないこ
と等 が分 った。これを踏 まえ、消 費 者 の「ガス・石 油 機 器 製 品 廃 棄 時 の残 油 ・乾 電 池
抜 き取 り状 況 に関 する調 査 」を実 施 した結 果 、残 油 ・乾 電 池 抜 き取 りに関 する知 識
はあるが、実 際 に抜 き取 り方 法 を知 らない人 もいるので、具 体 的 抜 き取 り方 法 の再
啓 発 が必 要 であることが分 った。このため、以 下 の施 策 を展 開 した。
5
・残 油 ・乾 電 池 の抜 き取 りに対 する、消 費 者 への啓 発 広 報 活 動 の徹 底 (廃 棄 時 注 意 チ
ラシの作 成 、取 扱 説 明 書 への追 記 を行 った)。
・残 油 抜 き取 りが行 い易 い付 属 品 の検 討 と廃 棄 時 注 意 事 項 の本 体 表 示
・自 治 体 (燕 市 ・三 条 市 ・明 石 市 ・大 和 郡 山 市 ・東 京 都 23 区 ・仙 台 市 ・福 岡 市 ・北 九 州
市 )を訪 問 しての実 態 調 査 及 び意 見 交 換 会 を行 った結 果 、ガス・石 油 機 器 の処 理 は、
不 燃 物 (粗 大 ごみ)として回 収 ・リサイクルされており特 段 問 題 ないが、更 に自 治 体 ル
ートの回 収 をより効 果 的 に行 うため、「廃 棄 時 注 意 チラシ」などの啓 発 活 動 は是 非 継
続 して進 めてもらいたい等 の意 見 を頂 いた。
・上 記 調 査 結 果 等 を参 考 に、工 業 会 にて回 収 システム案 を詳 細 に分 析 した結 果 、現 状
の自 治 体 回 収 システムをベースに更 に合 理 化 を進 めることが有 効 であるとの結 論 と
なった。
・平 成 17 年 度 に全 国 の自 治 体 の処 理 状 況 を把 握 するために市 町 村 と一 部 事 務 組 合
の自 治 体 等 に対 し、4 品 目 (卓 上 型 ガスコンロ、ガス・石 油 ファンヒーター、ガス・石 油
ストーブ、ガス瞬 間 湯 沸 器 )の回 収 ・リサイクルの状 況 についてアンケート調 査 を実 施
した。調 査 結 果 に基 づき全 国 におけるリサイクル状 況 を推 計 したところ、各 自 治 体 で
の分 別 や金 属 回 収 (鉄 、アルミ、銅 など)が進 んでおり、前 回 (平 成 11 年 )の調 査 結
果 以 上 の高 いリサイクル率 にあるとの結 果 が得 られた。
・自 治 体 (北 海 道 旭 川 市 ・占 冠 村 、和 歌 山 県 上 富 田 町 、鹿 児 島 県 錦 江 町 ・南 大 隈 町
など)を訪 問 してのリサイクル実 態 調 査 、意 見 交 換 会 、ガス石 油 機 器 工 業 会 からのリ
サイクル促 進 のための提 案 を行 った。
1.2 本 調 査 の目 的
前述のとおり、ガスコンロ、石油ストーブ等のガス・石油機器は、資源の有効な
利 用 の 促 進 に 関 す る 法 律( 資 源 有 効 利 用 促 進 法 )に お い て 、
「原材料等の使用の合理
化 な ど 使 用 済 物 品 等 の 発 生 抑 制 に 取 組 む こ と が 求 め ら れ る『 指 定 省 資 源 化 製 品 』」と
「リサイクル等が容易な製品の設計・製造など再生資源又は再生部品の利用の促進
に 取 組 む こ と が 求 め ら れ る 『 指 定 再 利 用 促 進 製 品 』」 に 指 定 さ れ て お り 、 業 界 団 体 、
機器メーカー等により様々な取組が進められているところである。
ガス・石油機器は、取り外しに工事が必要な設備機器(ガス瞬間湯沸器、ガスふ
ろがま、石油給湯器等)と非設備機器(卓上型ガスコンロ、ガスファンヒーター、
石 油 フ ァ ン ヒ ー タ ー 等 ) に 大 き く 区 分 さ れ る 。 1.1( 1) に 述 べ た と お り 経 済 産 業 省
設 置 の 「 ガ ス ・ 石 油 機 器 リ サ イ ク ル 懇 談 会 」 が 平 成 12 年 7 月 に ま と め た 中 間 報 告
書 で は 、 使 用 済 み ガ ス ・ 石 油 機 器 は 年 間 約 25 万 t 排 出 さ れ て お り 、 そ の う ち 設 備
機 器 の 回 収 は 民 間 ル ー ト 86% 、自 治 体 ル ー ト 14% に 対 し 、非 設 備 機 器 は 民 間 25% 、
自 治 体 75% と い う 状 況 で あ る こ と か ら 、非 設 備 機 器 は 自 治 体 や 消 費 者 等 の 協 力 を 得
6
て各品目の特性を踏まえた回収リサイクルシステムを設計、構築する必要があると
提言されている。
一 方 、や は り 1.1( 2)に 示 す と お り 平 成 17 年 10 月 に 出 さ れ た 産 業 構 造 審 議 会 廃
棄物・リサイクル小委員会の「品目別廃棄物処理・リサイクルガイドラインの改定
及びフォローアップ」では、社団法人日本ガス石油機器工業会が自治体を訪問して
実態調査及び意見交換を行った結果として「ガス・石油機器の処理は、不燃物(粗
大ごみ)として回収・リサイクルされており特段問題ない」との実態も示されてい
る。
上記状況を踏まえ、本調査は、主に自治体の粗大ごみや不燃ごみとなっている使
用済みガス・石油非設備機器の排出、処理・リサイクルの現状を調査し、効率的な
回収や関係主体が連携したリサイクルシステム等の検討をすることで、資源有効利
用の促進に資することを目的として実施した。具体調査内容を以下に示す。
(2)ガス・石油非設備機器の解体・リサイク
ルフロー及び技術の検討
・素材構成の把握
・フローから見た改善点の把握
(1)ガス・石油非設備機器の排出状況の把握
・品目別廃棄物排出量の把握
・処理・リサイクル状況の把握
(ユーザー、自治体、販売店、処理業者に
対するアンケート調査を実施)
(3)3R促進に向けた方策の検討
・現状のフローに対する評価
・3R促進に向けた関係者の役割
・3R促進に向けた方策の実施による効果
の把握
○調査対象とするガス・石油非設備機器
・卓上型ガスコンロ
・カセットコンロ
・卓上型ガスオーブン・ガスグリル
・ガス炊飯器
・ガスファンヒーター・ガスストーブ
・しん式石油ストーブ
・石油ファンヒーター
(・ガス瞬間湯沸器(⇒設備機器(参考情報として状況))
図 1.4
調査項目
7