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1092A
YAMAKI
サイドスラスター取扱説明書 YSS-30/YSS-30H/YSS-25L
本書は据え付けを行っていただくプロの皆様方を対象に
作成いたしております。従いましてごく基本的な手順・
安全上の注意点等につきましては割愛させていただき、
本製品を据え付けていただくうえで最低限必要なポイン
トだけをご説明いたしております。
2002年3月作成
山本機工株式会社
❶ 主要要目
YSS-30・YSS-30H 4翼-D295
モーター形式 M3B−036
M3B−027
260㎏f
80ℓ/min
170㎏f/㎠
210㎏f
60ℓ/min
174㎏f/㎠
M5B−028
(オプション)
公称最大推力
最大流量
必要有効圧力(最大流量時)
260㎏f
65ℓ/min
230㎏f/㎠
重量 YSS-30→44㎏ ・ YSS-30H→57㎏
オイル ハイポイドギヤオイル80W-90 約0.8ℓ
YSS-25L 4翼-D245
モーター形式 公称最大推力
最大流量
必要有効圧力(最大流量時)
M3B−018
M3B−027
M3B−036
160㎏f
160㎏f
160㎏f
48ℓ/min
168㎏f/㎠
58ℓ/min
105㎏f/㎠
70ℓ/min
82㎏f/㎠
重量 40㎏
オイル ハイポイドギヤオイル80W-90 約0.8ℓ
❷ 工事前にご注意いただくこと
⑴ 油圧回路の流量に合わせそれぞれ3種類のモーターセットをご用意しました。
YSS-30・YSS-30Hの場合
流量が80ℓ/min近く確保できるなら ☞M3B-036
流量が60ℓ/min前後なら ☞M3B-027
流量が60ℓ/min前後でも高圧が確保出来るなら ☞M5B-028 (オプション仕様)
(例えばクレーンの油回路等)
YSS-25Lの場合
流量が50ℓ/min前後なら ☞M3B-017
流量が60ℓ/min前後なら ☞M3B-027
流量が70ℓ/min前後なら ☞M3B-036
一般の漁労機械、例えばウィンチでは、圧力が一定のままで油流量を増やしてゆくと
上げる力は一定で巻き取りスピードだけが早くなります。
しかしサイドスラスターはプロペラを駆動しているため、油流量を増やしてゆくと
プロペラ回転は上がりますが、必要とする馬力もいわゆる三乗曲線に沿って上昇してゆきます。
つまり油流量を増やしてゆくとそれに伴い圧力の上昇も必要となります。
この理由により
例えばせっかく80ℓ/min近い油流量が確保できるのに、M3B-027セットのYSS-30をご利用いただいても
60ℓ/min(M3B-027セットの最大流量)を超えたあたりで必要圧力が180㎏f/㎠を超え
その後も流量増加に従い圧力が急上昇するため結果としてリリーフ弁が噴き、
油は流れるがプロペラは回らず、油温ばかり上昇するという結果を招くことになります。
また逆に
60ℓ/min前後の回路にM3B-036セットのYSS-30をご利用いただいてもプロペラは1400rpm程度しか
回転しませんから推力も計算上160㎏f程度しか発揮できません。(この時必要とする圧力は110㎏f/㎠程度です)
同じ回路にM3B-027セットのYSS-30をご利用いただくとプロペラは1600rpm回りますので推力は、210㎏fも発揮
することが出来ます。
1
⑵ 構造上サイドスラスターは下図のようにプロペラの回転方向により推力に差が生じます。
使い勝手によりいずれの方向の推力をより大きくご使用になりたいかご確認の上、船体への取付を行って下さい。
小
大
小
小
水の流れ
大
大
水の流れ
大
小
⑶ モータードレンは必ず直接タンクに単独で戻して下さい。
M3Bモーターはドレンに1.5㎏f/㎠以上の背圧がかかると軸シール油漏れが発生します。
必ず単独配管で直接タンクに戻して下さい。(口径3/8")
もし単独配管がどうしても不可能な場合、背圧が1.5㎏f/㎠以上かからないよう配管口径を
充分大きく設定して下さい。
過去の事故例として、
ドレンの集合配管をしたが他のモーターからのドレン量が予想より多かったため、背圧が上がり
M3Bモーター側へ逆流し軸シールより吹き出した事故が報告されています。
⑷ サイドスラスター単独の油圧回路を設けることをお薦めします。
もし設備の都合上それが無理な場合でも同一回路でサイドスラスターを他の漁労機と
同時使用するような設計は避けて下さい。
ウィンチ等の場合ですと仮に2台が直列に配置されていても同時に能力いっぱいの荷がかからなければ
さほど問題はないかもしれません。しかしサイドスラスターはプロペラを駆動していますから
回れば常にその回転数での最大馬力が必要です。ウィンチの場合ですと荷がかかったときだけ
設定圧力まで上がるだけですが、サイドスラスターでは油が流れた直後に設定圧力まで上がります。
同時使用すると言うことは、先ほどの例をとりますと、ちょうど片側のウィンチが
精いっぱいの荷を巻き上げている最中にもう一方のウィンチでものを巻こうとするようなものです。
また同じ理由により分流弁で分けた回路でサイドスラスターを駆動する回路構成もあまりお薦めできません。
重複しますが、サイドスラスターでは油が流れた直後に設定圧力まで上がります。
例えばYSS-30を120ℓ/min回路を分流弁で分けて60ℓ/minで使用するとします。
M3B-027セットで有効圧力が174㎏f/㎠ですから油が流れた直後にこの圧力まで上昇します。
しかしご承知のように分流弁では別れる前の流量(この場合ですと120ℓ/min)でこの圧力を必要としますから
消費馬力も120ℓ/min-174㎏f/㎠分が必要となります。スラスターが必要とする馬力の2倍です。
ところがサイドスラスターを使用するのは普通エンジンが低回転の時です。あまり馬力に余裕のない
この回転域でスラスターを使うと予想以上に馬力を消費し、最悪の場合はエンジンを止めてしまうトラブルも
あり得ます。
従って最も理想的な方法としては、例えばYSS-30の場合
単独ポンプの回路構成で、スラスターを使用したい回転数(例えばアイドルの650rpm)で
70ℓ/min程度吐出するポンプ設定にしてM3B-036セットをご使用いただき、風が強い時など少しエンジンをふかして
80ℓ/min付近までポンプ回転を上げる、というようなことが考えられます。
2
❸ 船体への組込
充分な積層を施して下さい。
(最低8層以上)
☜
☜
段差・隙間は必ずパテ埋めを
施して下さい。
延長ダクトは、弊社でも
オプションとしてご用意いたしております。
巻末寸法図内に記載しています。
本体スラスター部ダクトと船体の間は充分強度のある固定方法で
設置して下さい。
左図のように延長ダクトのみで
船体と固定するような方法は
避けて下さい。
3
プロペラへのビニール等の巻き込みを防止するため
ガードを設けて下さい。
船体形状や取付場所によって必要な形状大きく異なるため、ガードはYSS-30本体に
付属しておりません。オプションで巻末の主要寸法図の中に描かれたような比較的ど
こにも組み付けやすい形状のものをご用意いたしておりますのでご利用下さい。
A
B
電蝕を避ける必要がある場合は、
このナットを利用してアース線を
取って下さい。
喫水が浅い船では上図のように延長ダクトを斜めに
下げる方法が、エアー吸い込みの防止に有効です。
延長ダクト
4
❹ 配管例 ①電磁クラッチ SR1225/T6C
②油圧ポンプ T6CM-B**-1R(L)03
③リリーフ弁 R5V08-593-12-A1
④電磁弁 SDH4SGS-ADB-04C-D24-30
⑤チェック弁 HTIC-06-50-10
⑥スイッチパネル 右頁参照
④電磁弁
a
A
⑥スイッチパネル
P
B
b
T
⑤チェック弁
+
-
DC24V
③リリーフ弁
バッテリー
②油圧ポンプ
④電磁弁
T
Y
B
4ポート共
A PT3/4"
PF3/4"
PT1/4"
P
A
PF3/4"
ドレン
B
サイドスラスター
YSS-30
PF3/8"
単独でタンクへ戻して下さい。
パイロット圧ドレン
⑤チェック弁
電磁弁作動用のパイロット圧を取るため
クラッキング圧力を利用しています。
①電磁クラッチ
PT1"
PT1"
③リリーフ弁
ポンプ組込タイプ
PT1 1/2"
②油圧ポンプ
オイルタンク
主機前クラッチの
プーリー
上図は電磁弁を使用したごく一般的な例ですが、
左右の切り返しを頻繁に行う必要のある船では
舶用切換弁(大電(株)製など)を使用した回路も好結果を得ています。
これ以外にもスラスターを船の方向制御に利用するユニットが
操舵機メーカーの(株)マロール及びユニカス工業(株)より
販売されておりますのでご利用下さい。
5
memo
JIS
ISO
(テーパー) PT R(雄ネジ)
Rc (雌ネジ)
(平行ネジ) PF G
(テーパー雄ネジ用) PS
Rp
平行雌ネジ
スイッチパネルは用途に合わせ4種類を
ご用意いたしております。
❺ スイッチパネルの結線
タイプ1 標準 スラスター・クラッチ 電磁クラッチ
又は
油圧クラッチ
N
5
N
+
DC24V
N
1
YAMAKI
小
大
P
2
水の流れ
大
小
SOL
本図は、この方向にスラスターを
組み込んだ場合の結線図です。
b
SOL
SOL
SOL
a
電磁弁の上蓋を外した状態
タイプ2 標準+デッキ用スイッチ追加タイプ
電磁クラッチ
又は
油圧クラッチ
N
5
N
P
3
YAMAKI
この方向にスラスターを組み込んだ
場合は、電磁弁1・2又は3・4の結線を
図と逆にして下さい。
+
DC24V
N
4
電磁弁は、DC24V-1.6A
消費電流40Wです。
SOL
SOL
b
SOL
P
SOL
a
電磁弁の上蓋を外した状態
2
1
キャップタイヤケーブルは
φ11.4〜φ12.6をご使用下さい。
裏蓋をはずした状態
タイプ3 スラスターのみ
タイプ4 スラスターのみ デッキ用スイッチ追加タイプ
N
N
P
1
YAMAKI
2
+
DC24V
N
3
4
YAMAKI
電磁弁の上蓋を外した状態
電磁弁の上蓋を外した状態
a
SOL
SOL
1
裏蓋をはずした状態
キャップタイヤケーブルは外径
φ11.4〜φ12.6をご使用下さい。
SOL
SOL
b
SOL
タイプ5 スラスターのみ・前後二基
N
SOL
a
電磁弁の上蓋を外した状態
船首用
3
4
N
P
+
DC24V
N
SOL
b
SOL
6
SOL
2
a
YAMAKI
電磁弁の上蓋を外した状態
SOL
1
船尾用
b
2
SOL
SOL
b
SOL
SOL
a
P
SOL
+
DC24V
SOL
N
P
❻ 電磁弁形状
形式 SDH4SGS-ADB-04C-D24-30
サブプレートSD4S-04L付
166
96
120
4-φ11
ザグリφ17.5
190
206.5
222
20
A
⇩
ポート配列(A矢視図)
P
T
4-PT3/4"
ドレンポート Y
(PT1/4ネジ)
B
A
Y
結線図
SOL
+
DC24V
b
SOL
SOL
SOL
a
電磁弁の上蓋を外した状態
DC24V-1.6A
消費電流40W
7
❼ 分解・脱着要領
⑴ プロペラを抜き出します。
プロペラナット
M20対辺30
ワリピンφ4×35ℓ
M8(対辺13)ダブルナット
締め付けトルク0.8〜1.9Kgm
⑵ 下部のケーシングを外します。
M8(対辺13)
締め付けトルク0.8〜1.9Kgm
パッキン 325-124-400
組みつけ時は、液状ガスケット併用のこと
⑶ モーター付の上部ケーシングを
ダクトより抜き取ります。 オーリング G70-A305
オーリング P11-A305
8
❽ 保守・点検・その他
給油口 兼 通気口
⑴ オイル交換時期と交換方法
交換時期 最低一年に一度は点検の上
交換して下さい。
レベルゲージ
オイルの入れ過ぎにご注意下さい。
異常発熱により重大事故の
可能性があります。
使用油 ハイポイドギヤオイルSAE#80W-90
油 量 0.8ℓ
レベル
ギヤオイルは粘度が高く冬季など給油口から
では非常に時間がかかることがあります。
下図のようにモーターを上に抜き出して
直接入れると短時間で作業が行えます。
ドレンプラグ
⑵ 保護亜鉛の交換
交換時期は船や環境により大きく左右されます。
少なくとも1年に一度の交換は必要と考えますが、
それ以前に上架する機会があれば是非点検を行って下さい。
保護亜鉛(左右2個)
品番325-121-401
M8六角穴付ボルト各2本使用
6mm六角レンチ
⑶ 実際にお使いになられるユーザー様に守っていただきたい
操作上の注意点は、特に以下の2点です。
急激な正転・逆転の繰り返し操作は、避けて下さい。
設定回転以上にエンジン回転を上げることは避けて下さい。
9
⑷ 製造番号を控えておいて下さい。
ここに製造番号が打刻されています。
将来部品ご発注の際、この製造番号を
一緒にご連絡いただきますとより正確な
お届けが可能になります。
10
❾ 主要寸法・各部の名称
YSS-30 標準FRPダクトタイプ
ポートAB
G3/4" 深さ19
ドレンポートD G3/8"
油圧モーター
デニソン社製
M3B-036-1N01
M3B-027-1N01
オイルレベルゲージ
92
146
A
φ344
1
125
33
B
使用オイル
ハイポイドギヤオイル
80W−90 約0.8ℓ
315
給油口(PT1/2")
エアーブリーザー
又は プラグ
保護亜鉛
216
品番 325-121-403
プロペラナット 対辺30mm
ワリピン φ4×35ℓ
4翼D295プロペラ
品番 325-150-300
ドレンプラグ
PT1/8
カバーキット(オプション)
品番 325-190-300
140
FRP延長ダクト1200mm(オプション)
品番 325-138-401
170
310
(M5B-028組込の場合は 別途図面をご請求願います。)
YSS-30 ダクトレス
(120)
パッキン 品番325-124-400
インローφ 125
A
215
保護亜鉛
品番325-121-403
146
92
B
M8スタッドボルト 8本
品番396-8193-402-1
ナット,PW,SW付
外径φ 160
216
使用オイル
ハイポイドギヤオイル
80W−90 約0.8ℓ
ドレンポートD G3/8"
8等分-M8×1.25
PCD 142
A矢視図
A
125
オイルレベルゲージ
ポートAB G3/4" 深さ19
33
エアーブリーザー
又は プラグ
70
1
給油口(PT1/2")
油圧モーター
デニソン社製
M3B-036-1N01
M3B-027-1N01
プロペラナット 対辺30mm
ワリピン φ4×35ℓ
4翼D295プロペラ
品番 325-150-300
φ 300
ドレンプラグ
PT1/8
100
モーター付本体重量 31Kg
(プロペラ含む)
(M5B-028組込の場合は 別途図面をご請求願います。)
11
80
80
16
YSS-30H FRPハッチタイプ
365
408
161
油圧モーター
給油口(PT1/2")
35
ポートAB
G3/4" 深さ19
デニソン社製
M3B-036-1N01
エアーブリーザー
又は プラグ
M3B-027-1N01
ドレンポートD G3/8"
オイルレベルゲージ
487
使用オイル
ハイポイドギヤオイル
80W−90 約0.8ℓ
φ318
φ302
215
プロペラナット 対辺30mm
ワリピン φ4×35ℓ
保護亜鉛
ドレンプラグ
PT1/8
品番 325-121-403
135
カバーキット(オプション)
品番325-190-300H
4翼D295プロペラ
品番 325-150-300
135
250
250
(M5B-028組込の場合は 別途図面をご請求願います。)
YSS−25L
エアーブリーザー
又は プラグ
油圧モーター(デニソン社製)
M3B-018-1N01
M3B-027-1N01
M3B-036-1N01
146
給油口(PT1/2")
158
ドレンポートD G3/8"
32
ポートAB
G3/4" 深さ19
A
オイルレベルゲージ
B
保護亜鉛
φ250
196
使用オイル
ハイポイドギヤオイル
80W−90 約0.8ℓ
145
品番 325-121-403
プロペラナット 対辺24mm
ワリピン φ4×30ℓ
145
24
カバーキット(オプション)
品番326-190-300
4翼D245プロペラ
品番 325-151-300
ドレンプラグ
PT1/8
12
138
138
148
132
延長ダクト(オプション)
品番326-138-400
長さ1200mm
山本機工株式会社
本社 〒515-0302 三重県多気郡明和町大淀 札幌 〒065-0043 札幌市東区苗穂町11丁目2-11 福岡 〒811-1313 福岡市南区曰佐3丁目37-23 TEL0596-55-2121 FAX0596-55-3111
TEL011-752-7220 FAX011-752-8220
TEL092-588-7120 FAX092-572-5658