Download PDFファイル - AgriKnowledge
Transcript
市販ELISAキットを使用した作物残留農薬分析における妨害 とホウレンソウでの妨害回避法の検討 誌名 埼玉県農林総合研究センター研究報告 = Bulletin of the Saitama Prefectural Agriculture and Forestry Research Center ISSN 13467778 著者 小林, 由美 佐藤, 賢一 巻/号 7号 掲載ページ p. 56-65 発行年月 2008年3月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所 Tsukuba Office, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat 埼玉農総研研報 ( 7 )56 ・ 6 5,2007 市販 ELISAキットを使用した作物残留農薬分析における妨害と ホウレンソウでの妨害回避法の検討 小 林 由 美 へ 佐 藤 賢一料 V e g e t a b l eE x t r a c t sI n t e r f e r ew i t h ELISA f o rP e s t i c i d eR e s i d u e Ana r y s i sa n d E x c l u t i o nMethodo fI n t e r f e r i n gS u b s t a n c eonS p i n a c h YumiKOBA YASH , I KenichSATO 要約 本県の主要農産物であるダイ コン,ニンジン,ネギ,ブロツ コ リーとホウレンソウの 市販 ELISAキ ッ ト7種類(ホリパ ・バイオテクノロジー (現在は堀場製作所)製の SmartAs s a y シリ ーズのアセタミプリド,イプロジオン,イミダクロプリド,クロルフェナピル,クロロタ ロニル,フェニト ロチオン測定用キッ トと SDI 社製のダイアジノン測定用キット)による残 留農薬分析 について検討した .今回検討した作物のうちホウレンソウを除けば,従来から示さ れている方法(磨砕均質化試料からメタノールで農薬を抽 出し ,水で適宜希釈後市販 ELISAキ ッ トに供 し測定する)による分析で,機器分析 と同程度の分析結果が得られ,分析値への妨害 の程度は微小で、あった.ホウレンソウは,一部 ELISA キッ トで,吸光度が大きく低下し,分 析値に大きな誤差が生じた.ホウレンソ ウの ELISA キッ トによる妨害回避法として,限外ろ 過 を分析法に取 り入れることにより,機器分析と同程度の分析結果が得られる . 農作物の安全 ・安心確保の取り組みとして生産履 がその測定値に及ぼす妨害の程度を確認し,妨害の 歴の管理 ・公開が重要視されている .特に消費者の 大きいホウレンソウについては,限外ろ過の利用に 残留農薬への関心は高く,生産者はそれに応えるた より,妨害を回避 できたのでここに報告する . めに農薬使用暦や残留農薬分析結果の公表を始 めて なお,本報告は先端技術を活用した農林水産研究 いる .残留農薬分析は分析機関に委託されることが 高度化事業 「 残留農薬評価 のための地域特産物の分 多いが ,時間と費用の点から生産者自らが生産現場 類法及び迅速検出法の開発 ( 200 3. . .20 0 5)J による で実行可能な迅速かっ簡便な残留農薬の分析法が求 成果の一部である。 められている . 迅速かっ簡便な残留農薬分析手法として ELISA 材料および方法 法は注目されるが, 作物体に含まれる央雑物により 擬陽性を示すマ トリクス効果があるなどの問題点が 1 試料 指摘されて い る(津村 ら , 1 9 9 2) . 特に,ネギとホウ ダイコン,ニンジン,ネギ,ブロッコリーおよび レンソウについては,作物成分の影響が大き い こと ホウレンソウは農林総合研究センターで栽培され, . も報告されている(中揮, 2000) 農薬使用履歴の明らかなサンプルを用いた . そこで,本県主要農産物であるダイコン,ニンジ 2 試薬 ン,ネギ,ブロッ コ リーおよびホウレンソウを対象 有機溶媒は残留農薬分析用,その他の試薬は残留 とし ,市販 ELISA キ ッ ト7種類に対し作物中成分 農薬分析用及び特級品,水は純水を用いた.標準品 1回大会 ( 2 0 0 6年 3月)に発表した . 本研究の一部は,農薬学会第 3 本 農産物安全性担当 ( 現水 田農業研 究所),料農産物安全性担当 pHU n hv 小林ら:EL lSAによる作物残留農薬分析の際の妨害と回避法の検討 ( 1 ) 既知の農薬濃度における,作物試験溶液と は,農薬分析用を,有機溶媒に溶解し適宜希釈して 用いた. 1 0%メタノール含有水との比較 3 ELISAキット 先の調整法で得られた作物試験溶液,および対照 EL lSA キ ッ トは,ホリパ・バイオテクノロジー 溶液としての 10%メタノール含有水(メタノール 製の SmartAssay シリーズを主に用いた.アセタミ :水= 1 : 9,v / v )に , EL lSAキ ッ トの測定範囲で農 プリド(測定範囲: (以下同じ) 0. 3. . . .4ppb),イプ 薬標準品を添加し,農薬標準溶液列を作成した.試 ロジオン(1.5. . . . 30ppb),イミダクロプリド ( 2. . . . 験溶液と対照の EL lSAで得られた吸光度を比較し, 2. . . .I O p p b ),クロロ 1 0 0 p p b ),クロルフェナピル ( 作物由来の妨害の有無や程度を検討した. 0 . 1 5 . . . . . . .1 5 p p b ),フェニトロチオン ( 0 . 1 5 タロニル ( ダイアジノン試験用の作物試験溶液は,磨砕均質 . . . . 2ppb (高感度タイプ))それぞれの測定用キット 化試料にメタノールを加え振とう抽出,ろ過後に試 である.キット内容は,抗体プレート (96ウェル, 8 料の 200倍および 1000倍に水で希釈し作成した. x12列),標準試薬 L,標準試薬 H,酵素標識物試 対照は 薬,発色試薬,反応停止試薬,プレートシール,取 1 : 9 9,v / v ) を{吏用した. 扱説明 書からなる. 1%メタノール含有水(メタノール:水= ( 2 ) Blank試料で作成した作物試験溶液と標準 その他 SDI社製の EnviroGard シ リーズのダイア 試薬 L との比較 ジノンキ ッ ト(測定範囲:0 . 0 3. . . .0 . 5 p p b ) を使用し 農薬添加試験により,吸光度が事離する場合は低 9 6ウェル, 1 2 た.キ ッ トの内容は,抗体プレート ( 濃度域でその度合いが大きいことが明らかとなっ x 8列),農薬標準試薬,酵素標識物試薬,発色試 た.そこで,試験対象農薬が含まれていない作物試 薬,反応停止試薬,取扱説明書からなる. 料 (Blank試料)を抽出し、作成した作物試験溶液 lSA キットの定量下限濃度の吸光 と対照として EL 4 装置 EL lSA 法 :吸 光 光 度 計 (SmartReader r MPR ・0 1J ) 度を比較することにより作物が EL lSA に及ぼす妨 機器分析法:高感度窒素燐検出器付きガスクロマト 害の程度を調べた . EL lSA キ ッ トの定量下限濃度 グラ フ (GC17A,hp6890),高速液体クロマトグラ r t Assayν リーズの場合メーカーがキット は , Sma フ (LP7000) に付属した農薬標準液(標準試薬L)の濃度とした. ・ 5 ELISAでの分析方法 ダイア ジノンキットの場合は 0. 03ppb とした.試験 B / B O%) 結果は,数回の平均をとるため吸光度比 ( 磨砕均質化試料 20gにメタノール 100mL加え, 30 で表した .B/ BO%の求め方は下記の式による. 分間振とう後,ろ紙 ( N o .5B) でろ過, ImL 分取し 水 7.5mL を加えて希釈したものを作物試験溶液と 作物試験協夜の ELISAで鳴られた吸光度 した. B/ BO %= . . _ _. 対照(I併もメタノーノレ)の ELISA で得られた吸光度 測定用 EL lSA キットの操作方法はメーカ一指定 x 100 の方法に従 った. 分析値の算出は,以下の方法で、 行った.①試験溶 ( 3 ) 妨害要因の推定(ホウレンソウと他の葉莱 ELlSAによって得た吸 lSA キ ッ トで操作し 液および標準試薬 L,H を EL 類の試験溶液における 発色させる.②その発色の濃淡を分光光度計で数値 光度の比較) (妨害要因物質のイミダクロプリ 化し吸光度を得る.③標準試薬の EL lSA で得られ ド精製操作における挙動) た吸光度での検量線に試験溶液で得られた吸光度を ホウレンソウにおけるイミダクロプリド分析で吸 あてはめ,分析値を算出する.以下,本報告で吸光 光度減少という妨害が明確に現れた.そこで,妨害 度は ELlSA操作によって得られた波長 450nmの吸 要因となる物質が,葉緑素の多く含まれる葉菜類に 光度を示す. 共通の物質か,ホウレンソウに特有の物質かを明ら なお,試験によっては,水もしくは 50%リン酸 かにするため,ホウレンソウおよび参考としてシュ を磨砕均質化時に添加,あるいは試料とメタノール ンギク,コマツナ, の割合および希釈率の変更を行 った. イミダクロプリドを添加し, EL lSA で得られた吸 6 作物が ELISAによる分析値に及ぼす妨害の有無 光度を比較した. ミツバ,ネギの作物試験溶液に ワ t FD 埼玉農総研研報 ( 7 ) 5 6・6 5,2007 さらに,妨害要因物質を推定するため, HPLC に ターの効果はイミダクロプリド,抽出溶媒の変更お よるホウレンソウのイミダクロプリド分析で用いら よび活性炭粉末の効果はイミダクロプリドとダイア れる精製操作の途中で分取した試料液から ELISA ジノンそれぞれの測定用 ELISAキットを使用した. 測定に悪影響を及ぼす有機溶媒をエパポレーターで ( 3 ) 限外ろ過の利用(イミダ クロプリ ド) 留去し,これを 10%メタノールに再溶解し ELISA 限外ろ過の有効性が玄米等で報告されている(畠 キ ッ トで測定し,妨害要因物質を推定した.精製操 山ら 2 0 0 4 ) ことから,その効果について試験した. 作は以下の手順で、 行った.多孔性ケイソウ土カラム 試験には、 ADVANTEC 製限外ろ過膜フィルター にホウレンソウの有機溶媒抽出液から有機溶媒を留 0, 0 0 0 ) を使用し, ユニット (USY-I,分画分子量 1 去したものを負荷し,ヘキサンを流下して央雑物を イミダクロプリドを添加後に限外ろ過処理したホウ 分画除去する(画分1).次にヘキサン/酢酸エチ レンソウ試験溶液とイミダ クロプリド添加 10%メ ル混液を流下しイミダクロプリドが含まれる画分を タノール含有水(対照)の吸光度を比較した.さら ).その溶出液の有機溶媒を留去 溶出する(画分 2 に数品種のホウレンソウ試験溶液の限外ろ過処理と し,ヘキサンに再溶解後シリカゲノレミニカラムに負 無処理の ELISA によって得た吸光度を比較した. 荷する.ヘキサンを流下し爽雑物を分画除去する(画 また,限外ろ過によ って妨害物質を分離したこと ).さらにヘキサン/酢酸エチル混液を流下し 分 3 を確認するため,ろ過膜上に残った残濯をメタノー ),酢酸エチノレを流下しイミダ クロプリド (画分 4 ルに再溶解しつつ回収し,水で希釈後 ELISA で測 定した. ) . が含まれる画分を溶出する(画分 5 7 妨害回避法の検討(ホウレンソウ) アセタミプリド,イプロジオン,クロルフェナピ ( 1 ) 試験溶液の希釈による妨害回避効果 ル,フェニトロチオンとダイアジノン各々の測定用 ホウレンソウを試料とした ELISA で、 吸光度が小 ELISA キ ットについてもホウレンソウによる分析 さくなる(つまり分析値が大きくなる)測定妨害が 妨害の限外ろ過処理による回避効果を無処理と比較 おきる.そこで、ホウレンソウが原因となる妨害の し確認した . 回避法を検討した.先の調整法で得られたホウレン 8 機器分析法との比較評価 ソウ試験溶液を 10%メタノーノレでさらに追加希釈, ELISA キ ッ トを用い,ほ場で農薬製剤を散布し ELISA キット(イミダクロプリド測定用)に供し て栽培したサンプルについて ELISA 法と機器分析 妨害回避可能な希釈倍率とその時の測定範囲を調べ 法による測定値の比較評価を行った. ELISA 法に た.試験は,イミダクロプリド測定用 ELISA キッ よるホウレンソウのイミ ダク ロプリド分析には,限 トを使用した. 外ろ過,ダイアジノン分析は 50%メタノール含有 ( 2 ) メンブレンフィルターあるいは抽出溶媒の 水抽出法による妨害回避法を加えた. ELISA 法に よるブロツコリーのダイアジノン分析は 300倍と 変更による妨害回避効果 500倍希釈溶液を用いた. ホウレンソウからメタノールによって農薬と共に 抽出される妨害要因物質の除去法を検討した.水で 希釈したメタノールを抽出溶媒にすることによる妨 結 果 害要因物質溶出抑制の効果,メンブレンフィルター による妨害要因物質除去効果,抽出時の活性炭粉末 1 作物が ELISAIこ及ぼす妨害の有無 添加処理による妨害要因物質吸着除去効果について ( 1 ) 既知の農薬濃度における,作物試験溶液と 10%メタノーノレ含有水との比較 無処理の吸光度と比較した .メンブレンフィルター 4 5 μ mと 0. 2μ mを使用し数品種のホウ は孔径 0. 作物から作成した試験溶液と対照の 10%メタノ レンソウを試験した.活性炭粉末はイミダクロプリ ール含有水にそれぞれ既知濃度の農薬を添加して得 ド試験は Envi・Carb粉末 (SPELCO社製)を試料重 ' " ' '3 られた吸光度をプロットしたものの一部を図 1 に示した. 量の 1 0%, ダイアジノン試験はグラファイトカー ボンブラック粉末 (GL サイエンス社製)を試料重 イミダクロプリドを添加したネギ試験溶液および I・ 同 量使用した .メ ンブレンフィル 量の 2割 ・5害J イプロジオンを添加したニンジン試験溶液の吸光度 。 。 FHU 小林ら:ELISAによる作物残留農薬分析の際の妨害と回避法の検討 は , 10%メタノール含有水に農薬添加した対照のそ 加濃度における吸光度はおおむね一致していた. れと測定範囲内においておおむね一致していた.フ 0. 900 ェニトロチオンを添加したネギの試験溶液は,低濃 0 . 8 0 0 0. 700 度域で対照に比べて吸光度が小さくなったが,全体 大¥ 1 0 % メ9 1 ー ル ー~ ホウレンソウ Q 0 . 6 0 0 的に吸光度は一致していた.クロロタロニノレを添加 票 日 したニンジンとダイコン(葉および根)試験溶液は, i !0. 400 500 0. 300 測定濃度全体で対照と比べて吸光度がわずかに小さ 0. 200 くなった(図 1 ).イミダクロプリドを添加したホ 0. 1 0 0 ウレンソウ試験溶液は,対照に比べ吸光度が大きく 0 。一 0 . ¥よミ D - ∞o 1 0 イミダクロプリド温度(即b ) ).ダイアジノンを添加したネギと 減少した(図 2 1 0 0 ホウレンソウの試験溶液は,希釈倍率によって結果 図 2 イミダクロプリドを添加したホウレンソウ試 に違いがあった. 200 倍希釈で作成したネギとホウ 験 溶 液 と 対 照 (10 % メ タ ノ ー ル 含 有 水 ) の レンソウ試験溶液の吸光度は対照の吸光度に比べて ELISAで得られた吸光度 ※ lプ ロッ トは 2サ ンプルの吸光度平均を表す 小さかった. しかし, 1000 倍希釈で作成した試験 溶液は,対照とほぼ同じ吸光度であった(図 3 ) . ∞ 1 . 4 00 ~ 1 . 2 ∞ 十 , . . . . 1似)() 。ニンジン ∞ 世 曜 日ロ 米 0. 4 ∞ ロ 君 。 醐 、¥ 0. 2 蝉 、 民 D L_ 一一一ー一一-~一一一一一 1 0 0 . 4 ∞ 一 一 一 0. 300 。 ー-0-10'メタノール 02 凹 ネギ oαm B' < ¥ 失 ~ 1 脚 ~ト一 10‘メタノ一Jル レ , 。 g Auvnu 醐醐 出回噌 F 列 仰 仙 ね 2 仙 ン 薫 ヘ ¥ イ {J ン成 凹¥ ロニンジン 企 g ・ 回 0 00 倒 0. 7 ∞ 十 O似四 十 │ 司 <0制 ト g om ト 0. 2 回 l 0 . 0 0 0 ' ー ー 一 ー ー ー 0. 1 一 一 ー 一 一 ヲロ白骨ロニル温度(即b ) ネギ 10 ∞倍希釈液 0. 1 0 1 . 00 ダイアジノン濃庚 ( p p b ) ゐ ー¥ ¥ 、 図 3 ダイアジノンを添加したホウレンソウとネギ 、 1 0 %メタノール含有水) の試験溶液と対照 ( n I-4-1日'"タゾール ‘ ' ∞ ~ 0 ネギ 0 β∞ 」一一一一ー一日叫ん一一一一一-- - ~ 0. 1 0. 2 叩 ロ 0. 0 1 ¥ ロ _ . . . _ 司 』 守 一 一 一 一 _ _ . 1 . . . 一 一 一 ー 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 」 0. 0∞ 0" A 0. 5 ∞十 、 子、 . . ..1 0 唱メヲノール 0 ネギ 200 倍希釈液 0. 1 ∞ 回 0. 8 ( 珂 1 . 2 叩 I d.ホウレンソウ 1000倍希釈 0. 2 ∞ 1 0 イミダヲロヲJ ド温度(押b ) イプロジオン濠度 (ppb) 1 . < 0 < 刻 。 [ 01¥官 0. 8 田 ¥ 向 ー0.600 1 ¥λ I 。 ‘ ∞ }-4ー_ . . ' . 1 0 ‘メタノーJ レ ロム 。醐 、官 回 1 脚 ト 号 t <0. 8 ∞ ト 0 . 0 0 0 0. 7 ∞ 1 . 2 0 。 1 . 6 0 . 1 の ELISAで得られた吸光度 1 0 ※ lプ ロッ トは 2サンプルの吸光度平均を表す 7: x . ニトロチオン温度(押 b ) 図 l 農薬を添加した作物試験溶液と対照 ( 1 0%メ ( 2 ) 81ank試料で作成した試験溶液と標準試薬 L タノール含有水)の ELISAで得られた吸光度 との比較 ※ lプ ロッ トは 3サン プルの平均吸光度を表す ELISA キットと作物の組み合わせで得られた吸 光度比 (BIBO%) を表 1に示した.ニンジン・ネギ ダイコン(葉および根)はクロロタロニル以外に とダイアジノンの組合せ以外はいずれの作物も アセタミプリド・クロルフェナピルについて,ニン 8/BO%は 1 0 0 以下となり, 1 0 %メタノールより小 ジンはイプロジオンとクロロタロニル以外にアセタ さかった.ネギとアセタミプリド,クロロフェナピ ミプリド・クロルフェナヒ。 ル・ダイアジノンについ ル,ブロ ッコリーとクロルフェナヒ。 ル・ダイアジノ て,ネギはイミダクロプリド・ダイアジノン・フェ ン,ホウレンソウとアセタミプリド・イプロジオン ニトロチオン以外にアセタミプリド・クロルフェナ ・イミダクロプリド・クロルフェナヒ。 ル・高感度フ ピルについて,ブロツコリーはアセタミプリド・ク ェニトロチオン・ダイアジノン,ニンジンとクロル ロルフェナヒ。 ル・フェニトロチオンについて試験し フェナヒ。 ル・ダイコン葉とクロルフェナヒ。 ル・クロ た.この組み合わせにおいて,いずれの作物の試験 ロタロニル,ダイコン根とクロルフェナヒ。 ルそれぞ、 溶液も対照の 10%メタノール含有水と同じ農薬添 れの ELISA において 81ank試料(試験対象農薬を QU FD 埼玉農総研研報 ( 7 )56・6 5, 2007 表 1 8 1 a n k試料および標準試薬 Lの吸光度と 10%メタノールの比 (8/ 80%1)) ホ ぢー レ 子 7 i 7 ヂイコ ン棄 ヂイコン寝 穣翠衰薬L 覧( n= 自 ) 82%士l 95 覧: ! : 2 弛( n = 6 ) 92 覧 : ! :4 %( n = 3 ) 9 5 覧: ! : 2 弛( n= 3 ) 92首 : ! : 2 覧( n = 9 ) 96 首: ! : 2 %( n = 6 ) n= 6 ) 88%土 鳩 ( 覧: ! : 2 弛( n = 6 ) 97 96 %: ! : 2 首( n = 6 ) 9 4% : ! : 2 略( n = 6 ) 覧: ! : 3 事( n = 6 ) 89 87 覧: ! : I弛( n= 6 ) 32%: ! : 1弧( n = 6 ) 首: ! : 7 覧( n = 6 ) 90 90 覧: ! : 2 首( n = 6 ) 87%: ! :I 覧( n = 6 ) 80 首: ! : 1覧( n = 6 ) 83%: ! :3 %( n = 9 ) %: ! : 4 覧( n=6) 89 93 覧: ! : 5 覧( n= 6 ) 88 弧: ! : 3 覧( n = 6 ) 95 覧: ! : 4 覧( n = 5 ) 97 首±持 ( n= 6 ) 90 覧: ! : 2 事( n= 6 ) 93%: ! : 2 首( n = 6 ) 93%: ! : 2 覧( n = 6 ) 87 略: ! : 3 也( n= 3 ) 9 1覧 : ! : 2 弛( n = 3) 斉家蔑薬て搾務 ~ ブロツコす アセタミプリド 88首 : ! : 2 置い=自) イプロ ジオ ン イミダクロプリド クロルフェナ ピル 90%土 浦 ( n = 9 ) 98%: ! : 5 覧( n= 2 ) 89 覧: ! : 5 ' H n= 3 ) 一 クロ ロタロニノレ 2 ) 一 ーンジン フェニトロチオン 3 ) 79 首 ±符 ( n = 6 ) 7 8 覧 ±怖い= 3 ) 69 同 士 拘( n= 6 ) 94 覧 ±柑 ( n = 3 ) ダイアジノン 4) 0 1%:!:怖い= 2 86 覧: ! : 2 買い= 8 ) 100 覧: ! : 7 耳( n= 2 ) 1 0 4 弛±時 ( n = 2 ) 作物平均 90 覧 88% 76 弧 95 覧 9 1覧 1)B / 回世 l 立、 ( B l a n k試料の吸光度 /1 0 包メタノールの吸光度) の百分率土様準誤差 ( n =サンプル数) 74 覧: ! : 2 % ( n = 3 ) 95%: ! : 2 覧( n =l1) 9 1慣i 88 首 農薬標準品 Lとそれより吸光度が小さくなる組み合わせは太字で裂す 2)クロロタロニルの吸光度は 0 . 1 %リン隊合有の 1 0 %メタノールの吸光度を B Oとしている 3) EL lSAキ ットは高感度タイ プを使用した 4)ダイアジノンは 作物試験溶液の希釈率は下記の通 り 、 標準訳業 L は0 . 0 3 p p bを作成した ネ キ '・1 0 0 0倍 、 γ。ツコト ・印刷吾、制レンゾウ・ l ∞o倍、 ニンンツ ・900倍 含まない試料)がキット付属の標準試薬 L より小 分析で用いられる精製操作の各段階の分取画分を さい吸光度で、あった.ホウレンソウのイミダクロプ E L I S Aキットで測定した結果は,表 2に示すとお リド分析の場合に吸光度は大きく減少した.フェニ りであった.多孔性ケイソウ土カラムで分画したホ トロチオン分析でもホウレンソウの吸光度は他作物 ウレンソウのメタノール抽出物は,ヘキサン画分(1) に比べ減少した. ではイミダクロプリドが検出されず,ヘキサン/酢 ( 3 ) 妨害要因の推定(ホウレンソウと他の葉菜 酸エチル混液画分 ( 2 )でイミダクロ プ リドが検出さ E L I S Aによって得た吸 れた.その後の,シリカゲルミニカラムによる精製 光度の比較) (妨害要因物質のイミダクロプリ ではイミダクロプリドはヘキサン画分(3)では検出 類の試験溶液における . 5 6 されず,ヘキサン/酢酸エチル混液画分(4)で 3 ド精製操作における 挙動) 作物試験溶液の色はシュンギクがもっとも濃く, ppm,その後の酢酸エチル画分 ( 5 )で 1 . 1 2ppm検出 次にホウレンソウが濃かった.ネギはもっとも色が された.供試サンプルにはイミダクロプリド剤は使 薄かった. E L I S A によ って得た吸光度がもっとも 用されていない. 事離したのは,ホウレンソウだった.コマツナは低 表 2 ホウレンソウの精製過程で分取した成分 濃度域でやや吸光度が小さくなったもののほぼ対照 E L I S Aによるイミダクロプリド測定値 E L I S A 測定値(ppm) 分取画分 の と同じであった.シュンギク・ネギ・ミツバの作物 試験溶液は,対照の 10%メタノールと E L I S Aによ 多孔性ケイソウ土カラム ヘキサン ヘキサン/酢酸エチル シリカケツレミニカ ラ ム ヘキサン ヘキサン/酢酸エチル 酢酸エチル って得た吸光度がほぼ同じで、あった(図 4 ) . ホウレンソウの HPLC によるイミダクロプリド 一 ・ -1 凹メ骨ノール 1 2 田 1 . 000 ロ シ斗ンギヲ 。 A コマツナ ネギ ム ミ ッ J¥ 。ホウレンソウ D 0 . 8 ∞ 0 . 2 5 3 . 5 2 ( 3 ) ( 4 ) ( 5 ) 0 . 0 9 3 . 5 6 1 . 12 2 妨害回避法の検討(ホウレンソウ) 組 栄 0 . 6 回 g 0 . 4 ∞ ( 1 ) ( 2 ) O ( 1 ) 試験溶液の希釈による妨害回避効果 O ホウレンソウ試験溶液を追加希釈していくと,得 O 0 2 叩 られた吸光度は 10%メタノールのそれに近づいた 0皿J O L.ーー一一一一一一一←一一一一一一ー--~ 1 0 イミダクロプリド温度(Pp b ) ∞ 図 4 イミダクロプリドを添加したホウレンソ ウと他の葉菜類の吸光度 ※ lプロットは 2サ ンプル の 吸 光 度 平 均 ( 図 5 ).通常の希釈倍率である 5 1 倍希釈より 5 1 x8倍, 5 1 x8倍より 5 1 x1 6倍とい うように希 釈 を 大 き く す る ほ ど 対 照 の 10%メタノールの吸光 度との事離は小さくなった. ( 2 ) メンブレンフィルターあるいは抽出溶媒の -60- 小林ら:ELISAによる作物残留農薬分析の際の妨害と回避法の検討 みの結果イミダクロプリド測定の場合,対照との吸 変更による妨害回避効果 光度~離の状況は無添加と同様大きかった. 作物試料から農薬を抽出するのに使う溶媒である 6 ).ダイアジノン測定の場合は活性炭粉末(グラフ メタノールに水を加えその含有割合を少なくし妨害 ∞ 0. 8 0. 700 0. 600 ∞ ァイ トカ ーボンパウダー)の抽出時添加量が増すほ 。 0. 900 対照区 10ν'/, I J 白 5 1倍 希 釈 企 5 1x8倍希釈 G- 5 1x16倍 希 釈 Eb lSA の結果得られた吸光度は対照に近づいた ど EL ( 図8 ). 0. 6 0 0 倒 0. 5 ボ 0. 5 5 0 r g 【).400 0. 300 I ミ¥ ロー (同図 -. 8- ' -8-_ 制 0. 4 5 0 r O } I 0 月I-J~抽出 e 栄 0. 4 ∞ 醤 0 . 3 5 0 0. 100 0. 000 10 日 \~ ! ト 8 │ ・対照 ( 1 1 1 "' 1 ー ル) 門 昌 X M U ー O0 0 0. 200 0 . 5 ∞ 0 . 3 0 0 I 0 50\.. ,/-J~ 抽出 。 問 ! 10''''1ール抽出 100 日 イミダクロプリド;a度 ( p 凶) 0200 図 5 ホウレンソウ試験溶液の希釈による妨害回避 効果(イミダクロプリド) 1000 100 10 Fイ7シ' 1 ン; J 度( p 同) 図 7 抽出方法の違いによるによる妨 害回避効果 (ホウレンソウ・ダイア ジノン) ※ lプ ロ ッ トは 2サン プルの吸光度平均を表す 物質の溶出抑制を試みた結果を図 6,8に示す.イ ※ lプ ロッ トは lサ ンプルの吸光度 を表す ミダクロプリド測定の場合,どの抽出溶媒を用いて 100 %, 95% 90 也ト 85¥ I 水 /岬 J ー刷 9 9 : 1 ) 8 0 %│ I で調製した塵聾 帽"晶の唖先度 7 5% I に封する鼠厳区 7 0 %• も,得られたホウレンソワ抽出液の吸光度は対照の 1 0%メタノールと比べて小さくなった(図‘6 ) . メ ^ . , タノール抽出 < 50%メタノール含有水抽出 < 10% メタノール含有水抽出 <水抽出の順に吸光度は大き の唖光度( ,) "" I 65% ' l 一一一一一ーー-- ~単Z汁 1 くなり,対照に近づいたが黍離は大きかった .ダイ ・本ウレン con t 11 ロホウレンGC820也 ロ本ウレン GCB50 % 直主佐沼9 ! 11 也! t アジノン測定の場合,結果にばらつきが大きいもの のメタノール抽出 < 50%メタノール含有水抽出 < 0 0. 05 0. 2 0. 5 , . イルー ル 温 度 帥} ・ 細 . . . . , . .Iu'l'lのac 図 8 活性炭粉末の抽出 時処理による妨害回避効果 (ホウレンソウ ・ダイア ジノン) 10%メタノール含有水抽出の順に吸光 度が大きくな ). 10%メタノール含有 り,対照に近づいた(図 7 ※ lプ ロッ トは 2サ ンプル の吸光度を表す 水による抽出は,ほぽ対照と閉じ吸光度であった . 抽出後の希釈液をメンブレンフィノレターによって o 鼠料無し(Hl%;I?ノール) ロ メ9ノール抽出 1 . 200 A O 。ロ 8 AU 40% 恩 OA回 。 盟 国 山 。 蜘L . . 川W 0. 200 OXAり 0. 400 舎 8 0% mg M酉叫 ∞ ~ 0. 6 g 1 1訓 1 ∞ 司 ↓E ¥ 0. 800 性6 制月 し抽出 1 0 唱 メヲノール抽出 純水抽出 同m V 一 ヘ¥ 。 1 一 a w似無 一 回 jotA一 ∞o ろ過し妨害物質の除去を試みた結果を図 9に示す. A メヲノール +ENVI-C.巾摘出 A ~ 20 情 ~ \8 。 唱 0 1 0 ∞ J /~ . A . . 4 j ; 'J . )" n 1 - /;ll'l.l{.) ->S~ _'I2f ず んb ィ 'PJFJ f 帳 、 t l ' i ' . . . . . Y 吟 イミダクロプリド濃度( p p b ) ぐ 品種名 図 6 抽出方法の違いによる妨害回避効果(ホウレ 図 9 メンブレンフィルターによる妨害回避効果 ンソウ ・イミダクロ プリ ド ホ ウ レ ン ソ ウ ・イミ ダクロプリド) ※ lプ ロ ッ トは 2サ ンプル の平均吸光度を表す ※ lプ ロ ッ トは 2サ ンプルの平均吸光度を表す 抽出時の活性炭粉末添加による妨害物質吸着の試 イミダクロプリドの含まれていないホウレンソウか 唱EA FO 埼玉農総研研報 ( 7 )56・65, 2007 ら作成した作物試験溶液の E L I S Aによって得た吸 涯の 光度は対照の 10%メタノールや定量限界濃度の農 E L I S Aによって得た吸光度は,限外ろ過無処 理の試験溶液と同様に小さく,対照と事離していた ( 図 1 2 ) . 薬標準品 L のそれと比べ小さくメンブレンフィル ターでろ過しない場合と同様で、あった. イミダクロプリド以外の測定キットについても限 ( 3 ) 限外ろ過の利用(イミダクロプリド) 外ろ過処理と無処理を比較した.試験した 6種類の 文献で限外ろ過膜フィルターユニットに妨害回避 80%は 1 0 0に キットにおいても,無処理と比べ ,8/ 効果があるとされていたので,市販の限外ろ過フイ 1 2 0 怯 酬[ 。 。口 口 口 口 (ADVANTEC USY ・I)がホウレン ノレターユニット ~ 6 0 鴨 醤 。<> :[ EE J レンソウ試験溶液にイミダクロプリドを添加し,限 外ろ過した試験溶液と対照の吸光度は良く一致して > < > < > < 。 唱 。 いた(図 1 0 ). Y J U fr PU J 1~匹、司P 4 ρ 爪 JFJ ゃ ん n u U 内 Aυ U 内 u ︽ n u u 内 ︽ Aunu υ ︽ nυ υ 内 n u U 守e oroaaマ nunwwmO ' UAUAUnununu , ︽ , 4 吟 . . . . T~ t 品種名 V 図 1 1 限外ろ過による妨害回避効果(ホウレンソ mg 刷世到 ウ・イミダクロプリド) ※ lプロットは 4サンプルの平均吸光度を表す 0 . 3 0 0 I 0. 200 0. 100 ト 0. 000 口 恒 8 0 弛 E L I S A分析に使用できるか試験した.ホウ ソウの ロ 1 1 D O :iロ ¥- ~ー 1 0%メ骨ノール w ロ ホウレンソウ rl O 倒 一 一一一一ー一一←一一一一一一一~ 1 0 100 イミダクロプリド濃度 ( p p b ) ロ 口 6 念 ロ │ 扇 面一 一 一 1 @ ロ限外ろ過処理 ∞ │ C ;J ィルトに残ったもの [ 図 1 0 イミダクロプリド添加後限外ろ過処理したホ 玉、'::/l . . : 十 ~.) ウレンソウ試験溶液と 1 0 %メタノールの吸光 FY4cγ ,~ " , ' i i ‘ , . : : . i ' " . . . { 冒 干 ' 度比較 ※ lプロットは 2サンプルの平均吸光度を表す J 少 図 1 2 限外ろ過による妨害回避効果(ホウレンソウ ・イミ ダクロプリド) 81ank試料による試験の結果,品種の異なるホウ ※ lプロットは 2サンプルの平均吸光度を表す レンソウでも限外ろ過後の供試液は対照と同様の吸 ) . 近づいた(表 3 光度を示し,限外ろ過しない供試液の吸光度とは明 らかに異なった(図 11).限外ろ過膜上に残った残 表 3 ホウレンソウの E L I S Aにおける限外ろ過による妨害回避効果 (8/80%, ) ) 一 - 薬 い ー 一 1) B/BO%は試験溶液の吸光度を 10%メタノーノレの吸光度で除した百分率 ( 2点平均) 2) E L I S Aキットは高感度タイ プを使用した -- 肌酬州側側馴 一 一 一 端 1 一一一 一 一 一一一 JAl 一 一 一ン 一 一 一 m 印刷m一 同 訓 肌 川mmMm一 一オ 一 肌刊拘m 一 / Aりノ 一 8 3 9 8 6一 9 m m 8 9 8一 一hV一 叩 一吠 一 % 川町苅%偽% %一 % % % % % 九せ一 qJqd'IFhdqJ 泊 AUηJqJqdA 吐凋せ 一小ノ 一 8 9 4l 0 8 7一 0 10 10 10 10 1 9一 一プ 一 一 一 一一一 一 凶 一哨 一 一 消 防 銚 潟 市 郊 郊m m 効 % 強 一 g 9 4川γ 広一 山川町引引制 一 一助 一 商 示 月 ン 加 ホ 一一一 一ラ 一 %%%%%偽一 %%%%%% 一 t 一nhunvηJqdηIT土 a4RUQdQJAA Q U 一川 一 7 9 4 9 5 5一 999899 アセタミプリド イプロジオン イミダクロプリド 無処理 クロルフェナヒ。 ル ) フェニトロチオン 2 ダイアジノン アセタミプリド イプロジオン イミダクロプリド 限外ろ過処理 クロルフェナヒ。 ル フェニトロチオン 2) ダイアジノン 一一 ノ 、 。 対象農薬 L 円 n hu 小林ら :ELISAによる作物残留農薬分析の際の妨害と回避法の検討 ppm _ -. .7' ロヮヨ ). ヲ ロ J l .7エ ナピル ・ネキ・. ~日Jl. 7工ナピJI. 6 ~ y: 1 . 11x-0. 01 r: :0. 99 坦 ( サンプル敏 122) . . ロ ヰ キ . ・7 セ 世 ミ プ リ ド 1 I t ./ ロネキ. ・イ ミ ダ ヲ ロ7. リ ド /・ Aホウレンソウ・イミダヲロ7. ) ド1 ) ' Oノ 盆 ・二ル. ン・知ロ知ニJI. o~.イコン領 ・ 知ロ知ニル o~.イコン葉・ 9日ロ知ニJI. xホウ レンソ ウ ・ fイ7 シソ ン xプ ロッ : 1 ) . ず イ7 シ ソン ω 問︿的コ MHE エ ニト ロ チ オ ン 白科.・ 7 4 2 2 4 8 ppm 6 1) EUSA測定値は隈外ろ過処理を加 えた分析 j 去による 機器分析法測定値 図 1 4 EL ISAキッ トによる 5作物の残留農薬測定値と機器分析法による測定値との相関性 3 機器分析法との比較評価 ウレンソウは妨害が大きい.ネギとブロツコリーは 3 に示す作物と農薬の組み合わせで,機器分 図 1 大きくないが妨害を示しやすいといえる.ニンジン 析法 ( GC, HPLC) と ELISA 法による分析値の相 やダイコンは妨害が少ない.しかし,ホウレンソウ 関性と傾きを調べた.相関係数 rは 0 . 9 9( p 値 =2 . 6 を除いて今回試験したダイコン,ニンジン ,ネギ, x1 0- ,傾きは 1 . 11(標準誤差:t0. 01 ),切片は一0. 0 1 ブロッコリーは ELISA による分析値に影響を及ぼ (標準誤差 : t0. 02 ) を示し ,双方には高い相関関係 さないか,あったとしても極小 さい.先の既知濃度 があり,傾きから EL ISA 分析の方がやや測定値が の農薬添加試験の傾向からも, B 1ank試料の吸光度 高く なるものの,両分析法で閉じ値が得られること が定量限界濃度の標準試薬 L より大きいならば, が認め られた(図 1 4). それ以上の濃度の測定では妨害はなく,一般的な使 1 01 ) 用における測定には影響しないと考える.そして 考 ELISA キ ッ トは根菜類の一部の農薬を除いて基準 察 値を確認するのに十分高い感度を有している . した 作物が E L I S A Iこ及ぼす妨害の確認 がって,測定範囲の低濃度域での誤差に注意する必 作物抽出液由来の妨害が起こることはイチゴ、やハ 要はあるものの,基準値の確認のための使用に問題 ーブ類や大阪しろななどで報告がある(渡辺ら にはならないと考える . 2005 ) (橋本 ・権田 2004) (矢吹ら 2004).同濃度の そこで, EL ISA に及ぼす妨害が大きいホウレン コントロール(作物試料を含まない対照)より吸光 ソウで妨害要因を明らかにしようと試みた .イミダ 度 が小さくなる妨害は, ELISA測定値を実際の作 クロプリド分析に及ぼす妨害は,シュンギクやコマ 物残留濃度より多く誤り,測定対象農薬使用歴のな ツナとの比較から葉菜類に共通の葉緑素ではなく, い作物からも残留があるように誤認させる.既知濃 精製操作における挙動から イ ミダクロプリドに極性 度の農薬を添加した 作物 試 験 溶 液 と 対 照 の 比 較 か などが近い物質であると推定する .また GC分析の ら,妨害は低濃度域でより多く現れることがわかる. 際には妨害となるネギ類の臭気成分やアブラナ科の 低濃度域のみ吸光度が草離する作物と農薬の組み合 含有窒素成分、ミツバの香気成分などは ELIS A分 わせもある. 析に大きな妨害は及ぼさないといえる . 分析対象農薬を含まない作物試料 ( Blank 試料) 2 妨害回避手法の検討 から作成した試験溶液と対照(作物試料無 しメタノ 妨害の大きいホウレンソウのイミダクロプリドお ール 1 0%含有水)および定量限界濃度の農薬添加 よびダイアジノン分析について回避法を検討した . した対照の比較から,供試したいずれの作物もわず 試験溶液の追加希釈によってリンゴなどの果実類 かな妨害を ELISA に及ぼした . さらに ,作物によ は ELISA に及ぼす妨害が回避できるといわれてい って ELISA に及ぼす妨害の程度に傾向がある. ホ δ 円 広U 埼玉農総研研報 ( 7 )5665,2007 ・ る(渡辺ら 2005,2 0 0 6 ) . ホウレンソウのイミダク いにかかわらず限外ろ過処理は妨害回避効果があっ ロプリド分析の際にも試験溶液(通常は作物の 5 1 た.また,限外ろ過されずに残った物質が ELISA 倍液)の 1 6倍追加希釈によって ELISAにおよぼす を妨害す石ことから,限外ろ過によって妨害物質が 妨害は小さくなったが,対照の¥0%メタノールと 除去できることも確認できた.イミダクロプリド分 閉じ吸光度で、はなかった.イミダクロプリド測定用 析での結果からメンブレンフィルターでは妨害を回 の ELISAキ ットは 2. , . 100ppbがその測定範囲であ 避できなかったので,妨害要因物質は容易にメンブ るため, 1 6倍の追加希釈(作物試料の 816倍)に レンフィルターを通過するほと刀、さい. しかし, よってもホウレンソウの残留基準値 5ppmは測定範 セル生成の原因物質が限外ろ過されたことによるの 囲にある.しかし,今回の試験の際にホウレンソウ か,妨害要因がミセルではないことを示すのかは明 試験溶液の及ぼす妨害の大きさは常に一定ではなく らかにできなかった.供試された ELISA キットす 品種や作型によっても異なり,完全に妨害が回避で べてにおいて妨害回避効果があったことから,ホウ きていない場合に追加希釈によって妨害による測定 レンソウの ELISA には限外ろ過処理を取り入れた 誤差も拡大されるため,追加希釈は実用的ではない 方が良いといえる. ミ と考える.ダイアジノン測定用の ELISAキットは, 3 機器分析法との比較評価 試料の標準的な希釈方法がマニュアルとして添付さ 機器分析法と ELISA法による分析値を比較した. れていない.作物の 200倍希釈溶液と¥0 00倍希釈 ELISA法でホウレンソウのイミダクロプリドおよ 溶液で試験した結果は, 200倍では妨害が大きく びダイアジノンを分析する場合は,限外ろ過による ¥ 000倍では妨害がなかった .ホウレ ンソウの他に 妨害回避法を加えた.相関性および傾きから ELISA ニンジン,ネギとブロッコリーについても添加試験 法は,機器分析法と同程度の精度を有していると判 の結果などから希釈が十分に大きければ妨害は回避 断された. できると考える.妨害を及ぼさない十分な希釈倍率 以上の結果から,野菜のほとんどは従来から示さ は,妨害を示しやすい作物とそうではない作物によ れている方法(磨砕均質化試料からメタノールで、農 って異なるが, 600倍 . . . . . . , ¥ 000倍 であると推定する . 薬を抽出し,水で適宜希釈後市販 ELISA キットに 抽出溶媒に水を混合しメタノールの含有割合を小 供し測定する)で分析しても機器分析と同程度の分 さくすることで妨害要因物質の抽出を抑制する試み 析結果になる,つまり妨害の程度は微小であると筆 は,ダイアジノン分析には有効で,イミダクロプリ 者は考える. しかし,ホウレンソウではメタノール ド分析にはその効果はほとんどない.抽出時の活性 で抽出されるホウレンソウ由来の成分が ELISA キ 炭粉末添加処理による妨害要因物質を吸着除去する ットでの反応を妨害し,吸光度を小さくするので, 試みもまた,ダイアジノン分析には有効で,イミダ 分析値に誤差が生じる.妨害回避法として,限外ろ クロプリド分析にはその効果はない.このことは, 過を分析法に取り入れることによって,他の野菜と 妨害要因物質が分析対象農薬によって異なることを 同様に機器分析と同じ分析結果になる 。 示唆する.つまり ELISA共通の発色反応に妨害が 働くのではなく,抗原抗体反応の際に妨害がおこる 引用文献 と筆者は推定する.ただし,ホウレンソウは多くの ELISAに対し妨害を及ぼすので,妨害要因物質は l 種類ではなく多種類が複合していることも考えられ 天野昭子・矢野秀治 ( 2 0 0 6 ) :フェニトロチオンおよ る. びイミダクロプリド測定用 ELISA キットにおけ 作物が ELISA に及ぼす妨害はミセルの影響によ るキュウリのマトリクス効果について,日本農薬 学会誌 v o 1 3 1 N o . 4,425・4 3 0 . るもので. ,限外ろ過膜によってそれを除外すること ができるといわれている(畠山ら 2 0 0 4 ).また,限 橋本良子・権回優子 ( 2 0 0 4 ) :アセタミプリドイムノ 外ろ過による妨害回避効果は,様々な作物で試験さ アッセイキットのセリ科作物(ハーブP類)ベの適 れ確認されている(天野,矢野 2 0 0 6 ) (E.Hatakey a m a 用 . 第 27回 残 留 農 薬 分 析 研 究 会 講 演 要 旨 集 2 0 0 6 ).今回の試験結果で品種や ELISAキ ットの違 7 1 7 5 . -64ー 小林ら :EL lSAによる作物残留農薬分析の際の妨害と回避法の検討 E . H a t a k e y a m ae ta J (2006):D e t e r m i n a t i o no fi m a z a l i l 坂真智子ら ( 2005):市販 EL lSA キ ッ トの作物残留 i t s by a n e n z y m e l i n k e d r e s i d u e s i n c i t r u s 合u 分析 における活用 について .第 28 回残留農薬研 i m m u n o s o r b e n ta s s a y.1 1 t hIUPACBooko fA b s t r a c t s 究会講演要旨集 3 1・3 6 . ( 2)2 0 0 . 渡辺栄喜 畠山えり子 ( 2004):市販 EL lSA キットによる玄米 ら( 2005):ネオニコチノ イド 系殺 虫剤 ア セタミプリド用 EL lSA キ ッ トの性能評価及び農 , 中の残留農薬分析.岩手県環保研センタ一年報 4 作物 中残留分析への応用. 第 28 回残留農薬研 究 9 0 9 4 . 会講演要旨集 中津裕之 ( 2000):残留農薬のイムノアッセイキッ ト 3741 . ・ 渡辺栄喜 ( 2006):イムノアッセ イ で農作物 中の残留 による分析 .食品中残留農薬検査の迅速化 に関す 農薬を簡易かっ迅速に検出する . 農業および園芸 . 2年度 ,7 3・1 1 7. る調査研究研究報告書平成 1 1巻 第 9号 ,9 8 1・987. 第8 津村ゆかりら ( J9 9 2):市販分析 キッ トによる食品中 矢吹芳教ら ( 2004):酵素免疫測定法による大阪特産 残留農薬の分析及びガスクロマ トグラフ法との 比 農産物 の残留農薬分析 .第 27 回残留農薬研 究会 較検討.食衛誌 vo . I 3 3, N o . 5,458466. 講演要旨集 ・ 7 67 7 . ・ F hu ρ 0