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Ⅳ ヒートアイランド現象の緩和
建築設備からの人工排熱対策
(H-1~6)
敷地と建築物の被覆対策
(H-7~21)
風環境への配慮
(H-22~38)
●ヒートアイランド現象の緩和
建築設備からの人工排熱対策
1 指針策定の背景
ヒートアイランド現象の原因をよく表すのが地表面における熱収支の変化である。ヒートア
イランド現象、すなわち都市の気温上昇は、大きくは太陽放射を受けた地表面と大気との間の
熱交換に人工排熱が加わって生じた問題といえる。地表面(建築物等を含む)と大気との間の
熱の出入りを、熱の種類毎に分類し、それぞれの収支を現況(東京 23 区)と自然状態(建築物等
がない自然の状態)で比較したのが表 4-1-1 である。自然状態に比べて現況は、緑などの減少
により、蒸発潜熱が減少し地表面温度が上昇し、赤外放射(上向き)と対流顕熱が増加してお
り、これに人工排熱が加わっている。これらのうち都市の大気温度に直接影響を及ぼすのが、
対流顕熱と人工排熱(顕熱)である。
東京23区における人工排熱(顕熱)は、1日当たり 27W/㎡と見積もられ(表 4-1-1)
、
人工排熱(顕熱)のうち約半分は建築設備から排出されている。
(図 4-1-2)
50 0
自然状態
現況
日平均熱量(W/㎡)
40 0
30 0
20 0
大
気
か
ら
の
赤
外
放
射
日
射
10 0
反
射
地
表
か
ら
の
赤
外
放
射
対
流
顕
熱
蒸
発
潜
熱
人
工
顕
熱
人
工
潜
熱
地
中
へ
の
熱
伝
導
0
都市
図 4-1-1 東京23区における現況と自然状態の日平均熱収支の比較
表 4-1-1 東京 23 区における現況と自然状態の日平均熱収支の比較
A
現況
日射
反射
328.3
B.
自然状態
A-B
差
328.1
単位(W/㎡)
内容
関連する要因
0.2
69.4
68.5
赤外放射
(上向き)
458.3
426.2
0.9 地表面被覆で反射される日射
赤外放射
(下向き)
358.1
351.3
対流顕熱
90.5
65.9
24.6 地表面被覆から大気への顕熱
地表面の人工化
蒸発潜熱
53.2
126.6
-73.4 地表面被覆から大気への潜熱
緑・水面の減少
人工顕熱
26.9
0
人工潜熱
5.2
0
伝導
14.9
-7.8
気温(参考)
26.7
19.3
32.1 地表面被覆から大気に放出される 地 表 面 温 度 の 上
放射熱
昇
6.8 大気中から地表面に放出される放
射熱
26.9 空調や自動車などから大気への 人工排熱の増加
顕熱
5.2 冷却塔などから大気への潜熱
22.7 地表面から地中への熱伝導
7.4 地上 2.5m、23 区平均
顕熱:物質を加熱する際にその物質の温度上昇に使われる熱のことで、ここでは加熱された地表面から大気へ対流熱伝達
で移動する熱と空調機などから熱い空気として排出される人工的な熱を指している。
潜熱:物質の状態変化のためだけに費やされる熱で、ここでは地表面や緑、水冷式の空調機などからの水分の蒸発に使わ
れる熱(気化熱)を指している。
H-1
自動車顕熱,
39.8 %
23区人工
建物顕熱,
45.7 %
排熱(顕熱)
26.9W/㎡
工場等顕熱,
13.0 %
注)人工排熱(顕熱)には事業
地冷顕熱,
1.5 %
所の煙突から排出される熱も含
む。
図 4-1-2 東京 23 区人工排熱(顕熱)の排出源構成比
2 配慮すべき事項
【建築設備からの人工排熱の低減に係る事項】
3 評価基準と適用用途
住宅以外の用途
段階1
人工排熱の顕熱(物質の状態を変えずに、温度を変化させるために費やされる熱量をいう。
以下同じ。
)の量及び全熱(顕熱及び潜熱(物質の状態変化のとき、温度の変化を伴わない
で吸収し、又は放出される熱量をいう。以下同じ。)の和をいう。以下同じ。)の量を知事
が別に指定する計算方法※により算出し、延べ面積当たりの1日の人工排熱の顕熱の量及
び全熱の量を表示すること。
段階2
段階1に掲げる方法により算出した延べ面積当たりの1日の人工排熱の顕熱の量が 1.5 メ
ガジュール/㎡以下又は全熱の量が 3.0 メガジュール/㎡以下であること。
※「知事が別に指定する計算方法」は「人工排熱計算ツール(独立行政法人建築研究所 足永靖信研究室の監修)
」
とし、下記のアドレスから取得することができる。
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/building/index.htm
また、利用にあたっては別冊の「人工排熱計算ツール取扱説明書」を参照すること。なお、同取扱説明書は上
記アドレスでも取得できる。
※※顕熱の量及び全熱の量については小数点第 2 位以下を四捨五入する。
4 解説
A.考え方
都市において主要な人工排熱源となっている建築物のうち、住宅以外の用途の建築物を対象
とする。住宅と住宅以外の複合建築物の場合は、住宅以外の用途部分を対象とする。
建築主自らが建築物からの人工排熱を排出段階で捉え(参考参照)
、認識することを重要と考
え、
「人工排熱計算ツール」により計算し、表示することで段階 1 への適合とする。
さらに算出された顕熱量または全熱量が一定量以下に削減されていることで段階2への適合
とする。
また、排熱の排出高さなど、排出方法を工夫し、生活空間への影響に配慮している場合は、
その内容を記載する。ただし、この評価は行わない。
H-2
B. 工場等の取扱い
人工排熱に係る評価は、建築設備からの人工排熱量が一定量以下であることを評価するもの
で、知事が指定する計算方法である「人工排熱計算ツール」により、省エネルギー計画書等の
データに基づき、熱源機器を中心に建築設備からの排熱量(顕熱及び全熱)を計算するもので
ある。
一方、工場用途の建築物については、生産設備からの人工排熱も多い。また、駐車場や倉庫
では、熱源機器以外のエネルギー使用量が主で、省エネルギー計画書も照明設備のエネルギー
使用量のみを記載するものとなっている。以上から、これらの「工場等」の用途については、
人工排熱対策の評価対象としないものとする。
5 取組・評価書記載事項
住宅以外の用途
概要
建築設備からの人工排熱の低減に係る事項(排出高さ等の配慮等)
詳細
延べ面積あたりの1日の人工排熱顕熱量
延べ面積あたりの1日の人工排熱全熱量
6 参考
(1)排出段階の人工排熱
建築物から排出される人工排熱の算出方法には、供給段階、消費段階、排出段階がある。供
給段階は当該建築物に供給されるエネルギー(電力、ガス、石油等)で捉えることができ、消
費段階は当該建築物の設備機器等によって消費されるエネルギー(電力、ガス、石油等)で捉
えることができる。排出段階は、建築物の空調機器や煙突、放熱器、給湯器から大気や下水な
どに排出される熱を捉えるものである。
この場合、供給・消費段階が供給・消費されるエネルギーを対象としているのに対し、排出
段階の排熱は、快適な空間を作り出すために日射など自然由来の熱とともに、人体発熱やOA
機器等からの発熱も含めて、室内の熱を屋外にくみ出す行為を対象に、それらを顕熱、潜熱、
温排水に分けて捉えている点が大きく異なる。
ヒートアイランド現象の緩和という観点からすると、建築設備から大気に排出される人工排
熱の量や、気温上昇に直接影響を与える顕熱量を捉える必要がある。特に顕熱での排出がどれ
くらいになるのかといった排熱の質を把握することが重要である。従って、排出段階での人工
排熱の算出により評価を行うことが有効である。
H-3
日射、壁面貫流
空調排熱(顕熱、潜熱)
照明器具
OA機器
空調機器
換気装置
厨房機器
給湯施設
燃焼施設
電力供給量
ガス供給量
石油供給量
電力消費量
換気ロス(顕熱、潜熱)
ガス消費量
燃焼系排熱(顕熱、潜熱)
石油消費量
下水排熱(温水)
人体発熱
【供給段階】
【消費段階】
【排出段階】
図 4-1-3 建築物における人工排熱の把握の段階
(2)人工排熱計算ツール
「人工排熱計算ツール」では、以下のような建築設備について排出段階の排熱量を計算して
いる。
大気
A:日 射
B:貫 流 熱
送電損失
2.5%
【東京電力 接続供給約款】
送電端発電効率 39.12%
【電気事業連合会】
8,659
3,877
大気
建物
C:人体発熱
食糧
7,039
-1,287
1,729
64,259
2,092 D:換 気
1,729
電力
発電所
1,729
E:動力(空調部) 4,035
0
0
G:照 明
106,609
0
0
H:コンセント
5,540
I:電化厨房
0
J:ガス厨房
0
0
(A+B+C+D+E
+G+H+I+J)
43,470
空調負荷
(**)
P: :空冷
電動チラー
K:ボイラ
658
0
0
P: :水冷
電動チラー
0
(*)
0
0
0
Q:蒸気・温水
吸収冷凍機
(**)
0
排ガス 112
0
0
N:空 冷
室外機
0
42,351
0
M:パッケー
ジ
エアコン
12,228
0
0
石油
天然ガス
-805
F:動力(非空調部)
23,532
O:冷却塔
-6,788
86,338
79,550
3,091
5,724
2,633
(*)
546
43,470
L:給 湯
R: 直焚
吸収冷凍機
5,612
79,550
546
AHU,,FCU
41,692
41,692
DHC温熱
海
下水
DHC冷熱
注)DHC排熱分について建物からの排熱量に加算する。
【供給段階】
【CO2評価指標】
【消費段階】
【省エネルギーまたは省コスト評価指標】
【排出段階】 【ヒートアイランド評価指標】
図 4-1-4 人工排熱計算ツールで計算される建築設備からの排熱の内容
H-4
(3)排出高さ(特に配慮した場合は概要欄へ記入する。)
建築物下層で排出された排熱は、直接生活環境に影響を与える。また、建築物下層では、建
物密度が高く換気力が低いため、排出された熱が滞留しやすい。このため、排熱方法の工夫に
より生活環境へ与える影響を抑え、建築物の外部熱環境の改善を図ることが重要である。
建築設備から排出される排熱は、ボイラ、直焚吸収式冷温水発生機、冷却塔、空冷ヒートポ
ンプ(ビルマル)に大別される。東京都で実施したアンケート調査によれば、各設備からの排
熱高さと建物高さには次のような関係が見られる。
(図 4-1-5)
ボイラ、直焚吸収冷温水発生機、冷却塔の排熱高さは比較的建物高さと一致しており、建築
物の最上部から排出されている例が多く、生活環境に与える影響は小さい。一方、冷媒管の配
管長の制限などから空冷ヒートポンプは各階毎に設置されていることが多いため、建築物下層
部分では歩行者空間などの生活空間へ直接排出しない配慮が求められる。
150
150
100
排熱高さ(m)
排出高さ(m)
100
50
50
0
0
50
100
150
0
建物高さ(m)
0
50
ボイラ
100
150
直焚吸収式冷温水発生機
150
100
100
排出高さ(m)
排出高さ(m)
150
50
50
0
0
0
50
100
150
0
建物高さ(m)
50
100
建物高さ(m)
冷却塔
空冷ヒートポンプ
図 4-1-5 設備別排熱高さの分布
H-5
150
《参考文献・出典等》
図 4-1-1 東京 23 区における現況と自然状態の日平均熱収支の比較 : 平成 13 年度ヒートアイランド対策手法調査
検討業務報告書(環境省)を基に作成
表 4-1-1 東京 23 区における現況と自然状態の日平均熱収支の比較 : 平成 13 年度ヒートアイランド対策手法調査
検討業務報告書(環境省)を基に作成
図 4-1-2 東京 23 区人工排熱(顕熱)の排出源構成比 : 平成 13 年度ヒートアイランド対策手法調査検討業務報告書
(環境省)を基に作成
図 4-1-3 建築物における人工排熱の把握の段階 : 平成 15 年度都市における人工排熱抑制によるヒートアイランド
対策調査(国交省・環境省)を基に作成
図 4-1-4 人工排熱計算ツールで計算される建築設備からの排熱の内容 : 足永靖信他:自然系および機器系の由
来を考慮した建築設備の排熱のオーダー分析(大規模建物の熱代謝特性に関する研究 その1)、空気調和・衛生工
学会大会学術講演論文集、2004.9、pp.1063-1066 を基に作成
図 4-1-5 設備別排熱高さの分布 : 東京都排熱調査に関わるアンケート調査結果
H-6
●ヒートアイランド現象の緩和
敷地と建築物の被覆対策
1 指針策定の背景
ヒートアイランド現象の原因として、人工排熱のほかに、緑や水面の減少による地表面の人
工化が挙げられる。表 4-1-1 に示すように、日射量は現況と自然状態で一定であるが、地表面
からの対流顕熱は自然状態の 1.4 倍となっている(表 4-1-1)
。これは、地表面の人工化によ
って、都市が受ける日射からの熱エネルギーの一部が蒸発潜熱から、気温を上昇させる対流顕
熱に置き換わっていることを示している。
また、日中人工被覆に蓄えられた熱が、日没後気温の低下とともに放出され、夜間の気温低
下を妨げ、熱帯夜の一因ともなっている。こうした温まりやすく冷めにくい都市の被覆状況を
改善していくには、緑や水面の確保とともに人工被覆自体の改善を進めていく必要がある。
2 配慮すべき事項
【敷地と建築物の被覆の改善に係る事項】
3 評価基準と適用用途
全用途に適用
段階2
敷地と建築物の被覆の改善に係る表 11 に掲げる対策について、各対策評価面積の合計が、敷地面積
の 20%以上であること。
表11 敷地と建築物の被覆の改善に係る事項
事項の種類
緑
地
事項の内容
対策評価面積
地上部及び建築物上における樹
地上部及び建築物上における樹木、芝、
木、芝、草花等の植栽
草花等の植栽のなされた部分の面積(蒸
散効率の低い植栽の場合は、知事が別に
指定する方法により補正を行った面積
※3とする。
)
水
面
地上部及び建築物上における池、
噴水その他の常時水面のある施設
左欄の施設等における常時水面のある
部分の面積に補正係数2を乗じた面積
等の敷設
保水性被覆材
地上部及び建築物上における保
水性の高い被覆材(知事が別に定
保水性の高い被覆材の敷設面積に補正
係数 1/2 を乗じた面積
める方法により保水性が高いと認
められる被覆材※1 をいう。以下
同じ。
)の敷設
高反射率被覆材
建築物の屋上における反射率の
高い被覆材(知事が別に定める方
反射率の高い被覆材の敷設面積に補正
係数 3/4 を乗じた面積
法により反射率が高いと認められ
る被覆材※2をいう。以下同じ。
)
の敷設
段階3
敷地と建築物の被覆の改善に係る表 11 に掲げる対策について、各対策評価面積の合計が、敷地面積
の 30%以上であること。
H-7
※1 知事が別に定める方法により保水性が高いと認められる被覆材とは、以下をいう。
① 保水性建材
被覆材全体を水没させて飽和状態としたときの体積含水率(被覆材の体積に対する被覆材が含ん
でいる水の体積の割合)が 20%以上であり、かつ以下の試験方法において 5 時間以上にわたり
表面温度を 50℃以下の状態で維持することができる被覆材、及び当該被覆材に採用されている
技術と同一の技術を用いて製造されている被覆材
(試験方法)
・ 試験体:150 ㎜×150 ㎜、厚み 30 ㎜、白色又は最も淡色のもの
・ 試験環境:室温 30℃、相対湿度 40%、風静穏
・ 試験体全体を水没させて飽和状態とした後、試験体を電子天秤に設置し、試験体上面から
30cm 離しハロゲンライト 800W を照射して、試験体内部の水分を蒸発させる。その際の表
面温度と質量の経時変化を測定する。表面温度は、試験体上面の端部に設置した測定点で計測
し、試験体の表面温度が定常状態になるまで測定を続ける。
ハロゲンライト
断熱材
パラフィンによる断湿
試験体
熱電対
データロガー
電子天秤
図 4-2-1 保水性建材の試験方法概念図
② 保水性舗装
降雨などによる水分を舗装体内に吸収保持し、徐々にその水分を蒸発させる機能をもつ層を舗
装の上層(保水性機能層と呼ぶ)に有することにより保水性を高めた舗装(保水性舗装)。なお都が
採用している車道での保水性舗装の基本的構造は、図 4-2-2 のとおりで、保水材として、保水性
機能層に水、結合材(セメント)、石粉体などを主体とした保水性パウダー、減水剤、凝結遅延剤な
どを充てんしている。
表
層
(保水性機能層)
路床
図 4-2-2
保水性舗装の基本的構造
H-8
基
層
路
盤
※2 知事が別に定める方法により反射率が高いと認められる被覆材とは、次のいずれかに該当
する塗料とする。
① 灰色(JIS Z 8102:2001(物体色の色名)に基づく)N6(マンセル表色系で明度が 6 の
無彩色)の塗料について、以下の試験方法において得られた日射反射率が 45%以上となる
もの。
② ①の塗料と同一の技術により製造されている灰色 N6 以外の色のもの。
③ ①②以外の塗料で、以下の試験方法において得られる日射反射率が 45%以上となるもの。
(塗料の色は試験で用いた色に限る。
)
なお、これらの塗料は、揮発性有機化合物の含有量ができる限り少ない塗料であることが望ま
しい。
(試験方法)
試験体:溶融亜鉛メッキ鋼板 50 ㎜×50 ㎜(厚さ 1 ㎜)に試験を行う塗料を塗料製造業者の
定める仕様に基づいて塗布したもの。
・入射角、反射角がそれぞれ 8 度となる対称位置に分光光度計と光源を設置し、可視及び近赤外
線の波長域(300~2,500nm)の分光反射率を JISR3106(板ガラス類の透過率・反射率・
放射率日射熱取得率の試験方法)に従って測定する。その測定結果から同 JIS の計算方法に基づ
いて日射反射率を算出する。
図 4-2-3 高反射率塗料の試験方法概念図
※3 蒸散効率の低い植栽の場合は、知事が別に指定する方法により補正を行った面積とは、以下
をいう。
補正係数を 1/3 として、当該植栽により緑化された面積に乗じて得られる面積。
4 解説
A.考え方
人工被覆に以下のような対策を講じることにより対流顕熱の低減を図ることができ、ヒート
アイランド現象の緩和に大きな効果を有する。
①地上部での対策
蒸発散により地表面の温度上昇を抑制する緑地や水面を確保し温熱環境を改善する。なお、
水温は外気温に左右されにくく、周囲環境に対して低温源としての役割も果たす。
舗装面に保水性被覆材を用いることによって、
土壌や草地と同様に蒸発散効果が周囲の温
熱環境を改善する。
②建築物上(壁面を含む)での対策
屋上や壁面を緑化することにより、周囲の温熱環境や建築物内の熱負荷を改善することが
H-9
できる。
屋上に高反射率被覆材を用いて日射の反射率を高めたり、
保水性被覆材を用いて蒸発散作
用を働かせたりすることにより、
周囲の温熱環境や建築物内の熱負荷を改善することができ
る。
B.基準
各被覆対策の量と質を総合的に評価するため、各被覆対策に対して地上部緑化を基準とした
対流顕熱削減効果と蒸発散効果から導いた補正係数を設定し、次式で求めた対策率を指標とす
る。
対策率=各対策評価面積*の合計/敷地面積
*対策評価面積=対策面積×補正係数**
**補正係数:[地上部緑化を1とした対流顕熱減少効果]×[同緑化を1とした蒸発散効果]
対策率が 20%以上 30%未満を段階 2、30%以上のものを段階 3 への適合とした。
具体的な対策と補正係数を表 4-2-1 に示す。
表 4-2-1 対策と補正係数
建築物上
補正
係数
地上部
屋上等緑化
下記以外の植栽
緑
化
壁面
地上部緑化
屋上等緑化
壁面
(樹木、草地・芝地、そ (樹木、草地・芝地、その
緑化
他)
の他)
蒸散効率の低い地被
類 注1)
水 面
保水性被覆材
1
1/3
池、噴水、水路等
池
保水性舗装、保水性建
保水性建材
材
高反射率塗料
(白色の塗料やタイル等
も可)
高反射率被覆材
2
1/2
3/4
補正係数は、(独)建築研究所足永靖信研究室の UCSS(都市気候予測システム)の予測結果を参考にした。
緑化・・・地上部の樹木、草地・芝、建築物の屋上や壁面の緑化面積を対策面積とする。面積
の算定方法については本マニュアルの「緑の量の確保」による。ただし、本評価におい
ては「緑の量の確保」では対象としていない地上部の草地・芝も評価の対象とする。
水面・・・地上部の池・水路等、建築物の屋上等の池等、常時水面がある部分の面積を対象面
積とする。
保水性被覆材・・・地上部や建築物の屋上等に施工された保水性舗装、保水性建材の面積を対
策面積とする。評価の対象とする保水性被覆材は、前出の「知事が別に定める方法により
保水性が高いと認められる被覆材について」による。この知事が定める基準に基づく試験
については、公的な第三者機関が実施する試験によることが望ましい。ただし、すでに
東京都が実施した試験(図 4-2-8、図 4-2-9)において評価済みのものについては、その
結果を用いることができる。
H - 10
高反射率被覆材・・・可視光だけではなく日射の 50%を占める近赤外線領域(赤外放射)を効率
的に反射する塗料の屋上敷設面積を対策面積とする。評価対象とする高反射率被覆材は、
前出の「知事が別に定める方法により反射率が高いと認められる被覆材について」による。
この知事が定める基準に基づく試験については、公的な第三者機関が実施する試験によ
ることが望ましい。ただし、すでに東京都が実施した試験(図 4-2-12、図 4-2-13)に
おいて評価済みのものについては、その結果を用いることができる。なお、地上部や壁
面への施工は、人や他の建築物への影響が考えられるため、対策面積から除外する。
注1)屋上における各植栽の物性値等調査結果(東京都環境科学研究所)
・ ヒートアイランド緩和効果に影響を及ぼす蒸発効率について、芝、セダム、イワダレソ
ウの3種類の植物を用いて測定した結果によれば、散水頻度を減らした時期で比較すると、
芝は平均してセダムの 2 倍程度、イワダレソウは平均してセダムの 4 倍程度高い、蒸発効
果が生じる結果となった。
5 取組・評価書記載事項
概要
詳細
敷地と建築物の被覆の改善に係る事項
① 緑地による対策評価面積(G)
② 水面による対策評価面積(H)
③ 保水性被覆材による対策評価面積(I)
④ 高反射率被覆材による対策評価面積(J)
総対策評価面積(G+H+I+J),敷地面積(C)
総対策評価面積の敷地面積に対する割合((G+H+I+J)/C)
詳細欄への記入に際しては次の表を利用する。
表 4-2-2 総対策評価面積の敷地面積に対する割合の算出方法
位置
対策面積
(㎡)
被覆材の種類
建築物上
合計
対策評価面積(㎡)
1
(G1)
緑化のうち蒸発効率の低
い植物
1/3
(G2)
水面
2
(H1)
保水性被覆材
1/2
(I1)
緑化(樹木、草本、芝)
1
(G3)
緑化のうち蒸発効率の低
い植物
1/3
(G4)
水面
2
(H2)
保水性被覆材
1/2
(I2)
高反射率被覆材
3/4
(J)
緑化(樹木、草本、芝)
地上部
補正係数
-
-
(C)
敷地面積(㎡)
H - 11
(G1+G2+G3+G4+
H1+H2+I1+I2+J)
((G1+G2+G3+G4+
H1+H2+I1+I2+J)/
対策率(%) C) ×100
(%)
6 参考
(1)対策に当たっての留意事項
① 蒸発による対策効果が有効な場所で実施する。
・ 壁面緑化は、陽が当たらない場所(北側の壁面、隣棟間隔がほとんどなく隣接建築物に面
した壁面など)に適用しても、あまり効果がなく、植栽の生育環境上の問題もある。
・ 保水性舗装や保水性建材は、建築物の影など陽が当たらず、もともと日向に比べて表面温
度が低いような場所で適用しても温度低減効果は小さい。
② 樹木による風通しの阻害に注意する。
風通しの悪い場所に樹木の緑化を行うと、風を遮り熱が溜まりやすくなると考えられるため、
風通しに配慮する。
③ 対策効果を維持するための運用、維持管理を行う。
・ 人工水面などの水面は、管理上の理由などにより水を抜いてしまうと対策効果が失われる
ので、水面を維持する運用が必要である。
・ 保水性被覆材は、散水(あるいは降雨)後の蒸発速度ができるだけ長時間持続し、温度低
減効果が続くような被覆材料を選ぶとともに、定期的な散水など維持管理も必要である。
・ 高反射率塗料は経年変化とともに反射率が低下しないような塗料を選ぶとともに、経年劣
化を考慮して必要に応じて塗り直し等の維持管理を行っていく必要がある。
④ 高反射率塗料の原料と使用場所に配慮する。
揮発性有機化合物の含有量ができる限り少ないほうが望ましい。また、地上部や壁面への塗
布については反射光による影響が考えられるため、
塗布する場所は周辺の環境に十分配慮する
必要がある。
⑤ 雨水浸透に配慮する。
保水性舗装については、建築物の北側などの効果の低い場所や樹木等の周辺については、雨
水浸透に配慮して、透水性舗装との組み合わせによる施工を工夫する。
(2)緑化の温度上昇抑制効果と蒸発散効率
9月 12日 12時
測定点
9月12日18時
9月12日15時
2400
(mm)
位置
1800
天井内
1200
電子天秤
25℃
1~3℃
600
ヤブ ラン 130
無処理
ヤブ ラン 200
室内
0
20
30 40 50
温度 (℃ )
図 4-2-4
60
20
30 40 50
温度 (℃ )
60 20
30 40 50
温度(℃)
60
温度の測定断面と断面温度分布
屋上緑化区(土厚 130 ㎜区、土厚 200 ㎜区)と緑化しない区画の屋上表面温度と階下天井の表面温度などを測
定したところ、表面温度は、9 月 12 日 12 時のデータでは、緑化区が約 30℃であったのに対し、緑化しない区画は
約 55℃となり、25℃程度の差がみられた(図 4-2-3)。また、本調査の建物屋上には断熱処理がされていたが、階
下天井温度でも 1~3℃程度の差がみられた(図 4-2-3)。
H - 12
芝乾燥区
スラジライト区
イワダレソウ区
200
0.9
180
0.8
160
0.7
140
0.6
120
蒸発効率
1.0
0.5
100
0.4
80
0.3
60
0.2
40
0.1
20
0.0
(MJ)
芝区
土壌区
日積算日射量
日積算日射量(MJ)
セダム区
0
8/19
8/21
8/23
8/25
8/27
8/29
8/31
9/2
9/4
日付
9/6
9/8
9/10
9/12
9/14
9/16
9/18
9/20
図 4-2-5 日積算の日射量と蒸発散量
※蒸発散量の測定が行えなかった日は部分的に測定データがない。
● 各種植栽による蒸発散効率の実験
・
ヒートアイランド緩和効果に影響を及ぼす蒸発効率について、芝*1、セダム*2、イワダレソウ*3 の3種類の植物
を用いて測定した。
・
芝やイワダレソウを植栽した区画では、定期的に散水を行った時期*4(8 月下旬)の蒸発効率が 0.3~0.6、散
水頻度を減らした時期*5(9 月中旬)でも 0.2 以上の蒸発効率を維持した。一方、セダムを植栽した区画は、定期
的に散水を行った時期は蒸発効率が 0.4 程度となったが、散水頻度を減らした時期には 0.1 以下となるなど、植物
の種類や散水状況により蒸発効率に違いがみられた。
・
散水頻度を減らした時期で比較すると、芝は平均してセダムの 2 倍程度、イワダレソウは平均してセダムの4倍
程度、蒸発効果が生じる結果となった。
*1 芝:イネ科。多年草。花期は 5~7 月。耐乾性に優れている。
*2 セダム:ベンケイソウ科。小型多肉植物の総称。花期は 5~6 月。耐乾性に優れている。
*3 イワダレソウ:クマツヅラ科。多年草。花期は 7~9 月。耐暑性・耐寒性に優れている。
*4 定期的に散水を行った時期:1 日 1 回 5 ㎜散水
*5 散水頻度を減らした時期:3 日 1 回 5 ㎜散水
H - 13
(3)保水性被覆材の温度上昇抑制効果
図 4-2-6 路面温度の上昇抑制と排水性(低騒音)機能を併せ持つ構造での路面温度上昇抑制
保水性建材
来
従
大気との
長波の放射収支
日射の反射
大気への
潜熱の増大
大気との
大気への
潜熱・顕熱
長波の放射収支
日射の反射
潜熱
顕熱
保水性建材
通常の建材
蓄熱
蓄熱
建 築部
建 築部
屋内
屋内
建物内部への熱貫流量
建物内部への熱貫流量
図 4-2-7 保水性建材の概要
建物表面等において、通常の建材で施工された場合には、雨水は表面を流れて排水溝へ流出してしまうため、表面
は晴天時には乾燥状態となり、蓄熱して高温化する。一方、保水性建材は、製品中に存在する微細な連続気孔等に水
分を貯えることができ、この水分が太陽熱で温められ蒸発するときに、潜熱として周囲の熱を吸収し表面温度を下げるた
め、建築部材表面温度、ひいては周辺気温の上昇を抑制する効果がある。建築部材表面温度の低下により、室内温度
上昇の抑制、さらには空調負荷の低減(省エネルギー)にも貢献することができる。
保水原理による分類
ア)素材中の連続的な微細工の毛細管現象により、水分を保持するもの
イ)素材中に保水性の高い特殊保水材や植物繊維を混合することにより、保水性能を確保するもの
成分の状況
保水性建材の主成分としては、セメント及び骨材によるものが多い。セメントの代替として、ごみ焼却炉、高炉、下水汚泥
等からのスラグが用いられる製品もある。
H - 14
80
70
温度 (℃)
60
50
No.1社
No.7 社
40
30
No.1
No.4
No.7
No.10
No.13
No.16
No.19
20
10
No.2
No.5
No.8
No.11
No.14
No.17
No.3
No.6
No.9
No.12
No.15
No.18
0
0
10
20
30
40
50
時 間 ( hr)
図 4-2-8 保水性被覆材の表面温度経時変化の測定結果
1400
No .1
No .4
No .7
No .1 0
No .1 3
No .1 6
No .1 9
1200
No.7 社
No.3
No.6
No.9
No.12
No.15
No.18
2
蒸発速度(
g / h2)
rr/m)
/m
(g/h
No.1社
1000
No.2
No.5
No.8
No.11
No.14
No.17
800
600
400
200
0
0
10
20
30
40
50
時 間 ( hr)
図 4-2-9 保水性被覆材の蒸発速度経時変化の測定結果
・
試験体全体を水没させて飽和状態とした後、試験体上面からハロゲンライト 800Wを照射し、試験体上面の端
部に設置した測定点による表面温度の変化を、各試験体の表面温度が定常状態になるまで測定を行った。
・
35℃~40℃付近において表面温度の上昇が一時停滞し、表面温度上昇を抑制する製品がある一方で、表面
温度上昇を抑制しないで終局温度(蒸発速度がほぼ収束している40時間後の表面温度と設定)に到達してしま
う製品も見られた。
・
温度上昇の停滞が見られた試験体は、試験開始前の体積含水率が大きいものに多く見られ、温度上昇の停
滞が見られなかったものは、試験開始前の体積含水率が小さいものに多く見られた。
・
中には、体積含水率が大きいが、温度上昇を抑制する効果が小さい傾向を示すものもあった。
H - 15
保水性アスファルト混合物※1 の標準的な物理性状
保水性アスファルト混合物の標準的な物理性状は以下のとおりである。
① 供試体の採取
保水性舗装表面より、φ10cm×(保水機能を有する厚さ)のコアを供試体として採取。
② 乾燥重量(Wd)
供試体を60℃の恒温室内で24時間乾燥させて、供試体の乾燥重量を測定する。
③ 湿潤重量(Wt)
20℃の恒温水槽に供試体を24時間水浸させた後、供試体回りの水滴をウエスで軽く拭き取
り、供試体の湿潤重量を測定する。
④ 各供試体の保水量の算定
保水量(kg/㎡)=(Wt-Wd)/コア上面の面積
表 4-2-3 保水性アスファルト混合物の標準的な物理性状
保水性アスファルト混合物の厚さと保水材充てん率※2
保水量(kg/㎡)
厚さ 10cm
100%
6.5 以上
厚さ 10cm
75%
5.0 以上
厚さ 5cm
100%
3.0 以上
注)このほか物理性状としてアスファルト舗装の曲げ強度ホイールトラッキング試験などの強度試験
がある。
※1 保水性アスファルト混合物 : 母体アスファルト混合物※3 に保水材を充填したアスファルト混合物
※2 保水材充てん率 : 母体アスファルト混合物(保水材を充填させる前の特殊開粒度アスファルト混合物)の空隙充てん率
※3 母体アスファルト混合物 : 保水性舗装に用いる母体となるアスファルト混合物で、保水材を充填させる前の特殊開粒度
アスファルト混合物
保水性舗装の標準的な構造
保水性アスファルト混合物
40mm
60mm
表 層
(保水性機能層)
骨材最大粒径 13mm
目標空隙率 21%
骨材最大粒径 20mm
目標空隙率 23%
基
層
路
盤
路床
※保水性機能層(保水性アスファルト混合物)は特殊開粒度アスファルト混合物に保水材を充填。
図 4-2-10 保水性舗装の基本的構造
H - 16
(4)高反射率被覆材(塗料)
塗料 G(標準塗料)
塗料 F(既存:塗料なし)
塗料 E(高
塗料 D(高反射率塗料)
塗料 C(高反射率塗料)
62.0 (℃)
58.0
塗料 B(高反射率塗料)
54.0
50.0
46.0
塗料 A(高反射率塗料)
42.0
38.0
34.0
30.0
約62℃
約47℃
図 4-2-11 建物上における高反射率塗料の実験(東京都、武蔵工業大学近藤研究室、塗料メーカー5 社)
反射率の高い塗料や仕上げ材の使用により建築躯体における蓄熱を抑制することができる。平成 16 年度に
実施した実験では、既存コンクリート面の表面温度が約62℃であるのに対し、高反射率塗料を塗布した面は約
47℃で、約15℃の表面温度上昇を緩和する効果が見られた。ただし、使用に当たっては建物が錯綜した空間
での反射光の行方に注意する等の配慮が必要である。
(%)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
1
料
0
標
準
試
.2
o
N
o .2
N
.1
o
N
N
o
.1
9
8
7
6
o.
1
o.
1
N
N
N
o.
1
5
4
3
o.
1
N
o.
1
N
N
o.
1
2
1
0
o.
1
N
o
N
o.
1
o
.9
.8
N
o
.7
N
o
.6
N
N
.4
o
o .5
N
N
o .2
o .3
N
N
N
o .1
白色
灰色
黒色
図 4-2-12 高反射率塗料の日射反射率測定結果
・
分光光度計を用いて可視及び近赤外線(赤外放射)の波長域(300~2,500nm)の分光反射率を測定し、その測定値から
JIS の計算方法に基づいて日射反射率を算出して、各製品の日射反射率性能について比較した。
・
白色の高反射率塗料では、製品毎の反射率のばらつきは小さく、標準塗料との比較でも大きな差はみられなかった。灰
色・黒色では、製品毎の反射率のばらつきが大きくみられた。
H - 17
60
標準塗料
No.18
55
50
45
40
表面温度 (℃)
35
30
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
12
13
14
17
18
19
20
21
22
No.12
25
20
15
10
5
0
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
時刻
図 4-2-13 高反射率塗料の表面温度測定結果(測定日:2004 年 3 月 8 日,塗料:黒色)
・
屋外に設置した架台上に、黒色の高反射率の塗料を塗布した面を上向きとした試験片を縦横列に設置し、1 時間ご
との表面温度の測定を行った。No.1~21 は高反射率塗料を塗布した試験片で、No.22 は標準塗料を塗布した試験片で
ある。なお、試験片の番号は図 4-2-12 の実験と一致している。
・
標準塗料の最高表面温度が 56℃を超えているが、例えば No.12 の製品では約 36℃程度に表面温度が抑えられてお
り、約 20℃の表面温度上昇抑制効果を示している。一方、No.18 製品のように標準塗料製品同等まで表面温度が上昇
している製品もあるなど、製品性能差が顕著に現れている。
H - 18
試験体A
100
試験体⑭
白(初期)
黒(初期)
灰(初期)
90
白(曝露後1)
黒(曝露後1)
灰(曝露後1)
白(曝露後2)
黒(曝露後2)
灰(曝露後2)
80
分光反射率 (%)
70
60
50
近赤外線領域
40
30
20
10
0
500
1000
1500
2000
2500
波長 (nm)
100
90
80
分光反射率 (%)
70
60
50
40
近赤外線領域
30
試験体B
試験体⑧
白(初期)
黒(初期)
灰(初期)
20
10
白(曝露後1)
黒(曝露後1)
灰(曝露後1)
白(曝露後2)
黒(曝露後2)
灰(曝露後2)
0
500
1000
1500
2000
2500
波長 (nm)
図 4-2-14 高反射率塗料の日射反射率の経年劣化の測定結果
・
曝露期間:2004.9.7~2005.3.22
・
測定日時:曝露前、2005.1.6(曝露日数 121 日)、2005.3.22~23(曝露日数 196 日)
・
上記と同様の分光光度計による分光反射率の測定を行った結果、曝露前(曝露日数 0 日)と曝露日数 196 日につい
て、日射反射率(%)の低下量を比較した。
・
一般に可視光線の波長域では経年劣化が著しく、近赤外線(赤外放射)の波長領域では経年劣化が著しいもの(図上
段)とあまり劣化が進まないもの(図下段)との差が見られた。
H - 19
高反射率被覆材(塗料)の反射原理
現行の製品における高反射率を確保する方法としては、
以下のように分類することができる。
ア)塗料中の中空微粒子(セラミックビーズ等)による塗膜表面での太陽光の乱反射
光の反射及び断熱効果のある中空微粒子を塗料に含有し、微粒子表面で太陽光を反射す
るものである。赤外光を反射する特殊顔料と合わせて用いられている製品もある。微粒子
としては、セラミックバルーンやガラス球が用いられている。
可視光を反射
太陽光線(赤外線)を反射
上塗
中塗
下塗
中空セラミックバルーン
屋根・壁などの下地
図 4-2-15 中空微粒子による高反射率塗料のイメージ
イ)特殊顔料による近赤外線領域(赤外放射)での反射率の向上
近赤外領域(赤外放射)での波長をよく反射する特殊顔料を用いるものである。可視域の
反射率の高い上塗などと組合せて用いられる場合や、中空微粒子と一緒に用いられる製品
もある。
太陽光線(赤外線)を反射
可視光を反射
上塗
中塗
下塗
特殊顔料
屋根・壁などの下地
図 4-2-16 特殊顔料による高反射率塗料のイメージ
H - 20
《参考文献・出典等》
図 4-2-2 保水性舗装の基本的構造 : 保水性舗装(車道) 設計・施工要領(東京都)を基に作成
図 4-2-4 温度の測定断面と断面温度分布 : 平成 15 年度屋上緑化技術のヒートアイランド現象緩和効果調査(東京都)
図 4-2-5 日積算の日射量と蒸発散量 : 平成 15 年度屋上緑化技術のヒートアイランド現象緩和効果調査(東京都)
図 4-2-6 路面温度の上昇抑制と排水性(低騒音)機能を併せ持つ構造での路面温度低減効果 : 東京都土木技術研究
所ホームページ
図 4-2-8 保水性被覆材の表面温度経時変化の測定結果 : 平成 15 年度高反射率塗料・保水性建材におけるヒートアイ
ランド現象緩和効果調査概要(東京都)http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/heat/index.htm
図 4-2-9 保水性被覆材の蒸発速度経時変化の測定結果 : 平成 15 年度高反射率塗料・保水性建材におけるヒートアイ
ランド現象緩和効果調査概要(東京都)http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/heat/index.htm
表 4-2-3
保水性アスファルト混合物の標準的な物理性状 : 保水性舗装(車道) 設計・施工要領(東京都)を基に作成
図 4-2-10 保水性舗装の基本的構造 : 保水性舗装(車道) 設計・施工要領(東京都)
図 4-2-11 建築物上における高反射率塗料の実験 : 2005 年 8 月報道発表資料(東京都)
図 4-2-12 高反射率塗料の日射反射率測定結果 : 平成 15 年度高反射率塗料・保水性建材におけるヒートアイランド現
象緩和効果調査概要(東京都)http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/heat/index.htm
図 4-2-13 高反射率塗料の表面温度測定結果 : 平成 15 年度高反射率塗料・保水性建材におけるヒートアイランド現象
緩和効果調査概要(東京都)http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/heat/index.htm
図 4-2-14 高反射率塗料の日射反射率の経年劣化の測定結果 : 高反射率塗料製品の日射反射性能に関する研究(そ
の3)屋外暴露による性能変化,日本建築学会大会学術講演梗概集,2005
H - 21
●ヒートアイランド現象の緩和
風環境への配慮
1 指針策定の背景
地表面から大気に放出される対流顕熱と自動車排ガス等による排熱は地表面付近の大気に影響を与えて
いる。また東京都排熱調査におけるアンケート調査結果でも、建築物から排出される人工排熱のほとんど
が 100m 以下の高さで排出されている(図 4-1-5)
。このように都市で放出される熱のほとんどが 100m
以下の低層大気に放出されている。放出された熱は都市の風によって移流・拡散され、また風が運んでく
る冷気によって都市の気温は上昇が抑制されている。このような役割を果たす風を、都市においては積極
的に活用する必要がある。
2 配慮すべき事項
【望ましい風環境の確保を図るために行う建築物の形状及び配置に係る事項】
3 評価基準と適用用途
全用途に適用
段階2
夏の主風向に直交する最大敷地幅に対する見付幅(特定建築物の基準階において夏の主風向
により最大敷地幅に投影した幅をいう。以下同じ。
)の比が 0.4 以下であること又は特定建築物
の最大高さ(特定建築物が風に対して最も影響を与える形状の高さをいう。
)に対する夏の主風
向に直交する最大空地幅(最大敷地幅から見付幅を除いた空地幅のうち最大の幅をいう。
)の比
が 0.3 以上であること。
4 解説
A.考え方
建築物の配置や形状が夏の主風向の通風を妨げていないことを評価する指標として、見付幅比(夏の主
風向に直交する最大敷地幅に対する見付幅の比)を採用し、この値が小さいことを評価する。
中層建築物は、高層建築物に比べ建ぺい率いっぱいに建築する傾向があるため、見付幅比で評価した場
合、高層建築物に比べ評価が悪くなりやすい。一方、中層建築物は、高層建築物に比べ、上空の風を遮ら
ないことから、ある程度の空地を確保し、夏の主風向を妨げない工夫をしていることを最大空地幅比(最
大高さに対する夏の主風向に直交する最大空地幅の比)により評価する。
B.基準
見付幅比が 0.4 以下、または最大空地幅比が 0.3 以上のどちらか一方を満たす場合に段階 2 への適合と
する。
(1)夏の主風向の決定について
夏の主風向は南として評価を行う。ただし、特定建築物の近傍に METROS20 観測地点(図 4-3-8)ま
たは、常時監視局観測地点(図 4-3-11、図 4-3-15)があれば、その測定データを夏の主風向として採用
することができる。なお、この場合、高層建築物については、METROS20 観測データや測定高度の高い
常時監視局のデータを採用することが望ましい。
また、特定建築物の計画地において実際に測定したデータにより夏の主風向を決定することもできる。
特に臨海部や河川、大規模緑地等に近接する地域については、地域特有の風があることが想定されるため
測定することが望ましい。
こうした地域特有の主風向を決定するための測定にあたっては次の点を考慮することが望ましい。
・ 7~8 月のうちの 2 週間以上測定されたものであること。
・ 昼間(12~17 時)に測定されたものであること。
H - 22
・ 複数年以上測定されたものであること。
・ 比較的最近測定されたものであること。
(2)基準階
一般的に複合用途の建築物では、過半の用途が事務フロアーならば事務フロアーを基準とするが、風環
境への配慮に関する評価においては、建築物の形状が夏の主風向の通風に最も影響を与える階を基準階と
して、見付幅を求めるものとする。
(3)見付幅の捉え方
夏の主風向に直交する最大敷地幅(ad)に対する見付幅(特定建築物の基準階において夏の主風向によ
り最大敷地幅に投影した幅:bc)の比(bc/ad)を算出する。見付幅比の考え方を図 4-3-1~3 に示
す。
夏の主風向に直行する線
d
c
夏の主風向
※見付幅比=bc/ad
ad:最大敷地幅
bc:見付幅
b
a
図 4-3-1 見付幅の捉え方(平面図)
基準階
見付幅
基準階
見付幅
夏の主風向に直行する断面①
夏の主風向に直行する断面②
※見付幅=ab+cd
a
基準階
b
c
d
h2
f
e
h1
夏の主風向に直行する断面③
図 4-3-2 基準階と見付幅 (断面図)
H - 23
高さh1に比べて高さh2
がかなり大きいため主
風向を遮る基準階はab
とcdとする。
したがって、abとcdの和
が見付幅となる。
a
b
※見付幅=(ab+cd)/2
d
高さ h1 と h2 がほぼ同じ
大きさのため、ab 部分と
cd 部分は主風向を遮る影
響力を同等程度持つと考
えられる。したがって、ab
と cd の平均が見付幅とな
る。
基準階
h2
基準階
h1
c
夏の主風向に直行する断面④
図 4-3-3 基準階と見付幅 (断面図)
夏の主風向に直行する線
b
a
ア
d
e
※見付幅比=bc/ae
夏の主風向
c
ウの部分に比べてアとイの部分が
かなり高いため、bcが見付幅とな
り、最大敷地幅aeに対する見付幅
bcの比が見付幅比となる。
もし、ア、イ、ウの高さがほぼ同じ
であれば、bd が見付幅となる。
ウ
イ
高さ 20m
高さ 100m
図 4-3-4 高層建築物(平面図②)の見付幅比
(4)最大空地幅比
特定建築物の最大高さ(特定建築物が風に対して最も影響を与える形状の高さ:H)に対する夏の主風向に
直交する最大空地幅(最大敷地幅から見付幅を除いた空地幅のうち最大の幅:W)により求める。
PH
※PH は除く
H(最大高さ)
W(最大空地幅)
図 4-3-5 中層建築物(立面図)の最大空地幅比(W/H)
H - 24
夏の主風向に直行する線
d
※最大空地幅比=ab/H
c
ad:最大敷地幅
bc:見付幅
ab:最大空地幅(cdよりabの方
が大きいため)
H:建築物の最大高さ
b
a
夏の主風向
図 4-3-6 中層建築物(平面図)の最大空地幅比(W/H)
(5)敷地周辺の風環境への配慮
建築物の配置にあたっては敷地内にとどまらず周辺の建築物の状況を考慮し、夏の主風向の通風に配
慮する必要がある。図 4-3-7 では、特定建築物を建物 A 側に配置する場合と、建物 B 側に配置する場
合で、見付幅比、最大空地幅比は変わらないが、建物 A 側に配置した方が、建物 B 側との間隔を大きく
とることができ、主風向の通風を確保する上で望ましい。
夏の主風向に直行する線
c
d
b
建物B
a
夏の主風向
建物 A
図 4-3-7 建築物の配置と隣地との関係
(6)留意事項
一団地指定の場合、近隣の建築物との離隔中心線を仮想境界線として、最大敷地幅を求める。特定建築
物の増築のように、敷地内に特定建築物以外の建築物がある場合も同様に、既存の建築物との離隔中心線
を仮想境界線とする。
H - 25
5 取組・評価書記載事項
概要
望ましい風環境の確保を図るために行う建築物の形状及び配置に係る事項
詳細
夏の主風向に直行する最大敷地幅(L)とその投影見付幅(K)
、見付幅比(K/L)
夏の主風向に直交する最大空地幅(M)
、最大高さ(N)
、最大空地幅比(M/N)
詳細の欄の記入に際しては次の表を利用する。
【見付幅比】
主風向
見付幅比
a. 最大敷地幅
(
b. 見付幅 (
m)
b/a
【最大空地幅比】
主風向
m)
(
)
最大空地幅比
最大空地幅 W
高さ H
W/H
(
(
(
m)
m)
)
6 参考
(1)夏の主風向
東京における夏の上空風は、東京湾方面から進入してくる海風が主体をなしている。この海風は 12
時頃から顕著になり、17 時頃まで日中の間ほぼ恒常的に南方向から風速 5m/s、気温は地上よりも 2
~3℃低い風(東京タワー高度 250m 常時監視局、2000~2004 年の 7、8 月平均)として東京地方
に吹き込み、首都圏に冷熱をもたらす働きをしている。
また、地域によっては臨海部の海風、河川沿岸の河川風、大規模緑地や公園をわたって進入してくる
風など、冷熱源として保全すべき風がある。こうした風がある場合には、これを測定し、主風向として
建築物の配置や形状を考えることが重要である。
H - 26
① METROS 観測地点
表 4-3-1 METROS20 観測地点別風速観測高さ
NO
所在地
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
練馬区
板橋区
北区
足立区
武蔵野市
練馬区
豊島区
杉並区
新宿区
千代田区
観測高度
(m)
61.3
44.1
34.0
83.2
92.0
128.3
41.6
56.2
92.1
86.6
NO
所在地
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
台東区
江戸川区
港区
江東区
調布市
世田谷区
港区
品川区
江東区
大田区
図 4-3-8 METROS20 観測地点
H - 27
観測高度
(m)
43.8
30.2
193.0
31.7
90.4
85.0
118.7
34.1
53.2
38.1
NO.1(H=61.3)
NO.2(H=44.1)
N
NO.3(H=34.0)
N
NW
N
NW
NE
40
3.7 m/s
W
E
SW
3.2 m/s
W
SE
E
SW
SW
N
NW
NE
4.6 m/s
W
SE
40
20
E
0.5 %
SW
S
NO.7(H=41.6)
N
SW
N
NW
NE
E
3.5 m/s
W
SE
40
20
E
0.5 %
SW
S
3.9 m/s
W
SE
NO.10(H=86.6)
NO.12(H=30.2)
N
NW
E
SE
NE
40
20
0.2 %
NW
NE
40
4.1 m/s
SE
S
N
NE
E
SW
NO.11(H=43.8)
N
20
0.2 %
S
NW
NE
40
20
SW
SE
NO.9(H=92.1)
NW
0.2 %
E
S
40
3.7 m/s
20
0.4 %
N
NE
S
W
SE
NO.8(H=56.2)
SW
5.0 m/s
S
NW
NE
40
E
SW
SE
NO.6(H=128.3)
40
20
1.5 %
E
S
NW
NE
20
0.9 %
N
4.4 m/s
W
W
SE
NO.5(H=92.0)
N
W
3.2 m/s
S
NO.4(H=83.2)
W
40
20
0.5 %
S
NW
NE
40
20
0.4 %
NW
NE
3.7 m/s
W
E
0.2 %
SW
40
20
SE
4.8 m/s
W
E
0.1 %
SW
S
図 4-3-9 METROS20 風配図(1)
集計期間:2002 年 8 月,2003-2004 年 7・8 月(5 ヶ月間)、時間帯区分:昼(12-17 時)
(円内 上段:有風時平均風速,下段:無風(calm,0.4m/s 以下)出現率)
H - 28
20
SE
S
NO.13(H=193.0)
NO.14(H=31.7)
N
NO.15(H=90.4)
N
NW
N
NW
NE
40
2.8 m/s
W
E
SW
4.8 m/s
W
SE
E
SW
SE
NO.18(H=34.1)
N
NW
E
SW
NW
NE
4.0 m/s
W
SE
40
20
E
1.3 %
SW
S
SE
4.0 m/s
W
NO.19(H=53.2)
SW
N
NW
NE
NE
40
4.7 m/s
E
0.5 %
SW
SE
S
40
20
4.1 m/s
W
20
E
0.1 %
SW
SE
S
図 4-3-10 METROS20 風配図(2)
集計期間:2002 年 8 月,2003-2004 年 7・8 月(5 ヶ月間)、時間帯区分:昼(12-17 時)
(円内 上段:有風時平均風速,下段:無風(calm,0.4m/s 以下)出現率)
H - 29
E
SE
S
NO.20(H=38.1)
N
20
0.2 %
S
NW
NE
40
20
0.7 %
SE
S
40
5.3 m/s
E
0.2 %
N
NE
20
SW
NO.17(H=118.7)
N
W
5.2 m/s
W
S
NO.16(H=85.0)
W
40
20
0.0 %
S
NW
NE
40
20
0.3 %
NW
NE
② 常時監視局(23 区)観測地点
表 4-3-2 常時監視局(23 区)観測地点別風速観測高さ
NO
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
測定局名
東京タワー
中央区晴海
港区白金
文京区本駒込
江東区大島
品川区豊町
品川区八潮
目黒区碑文谷
大田区東糀谷
世田谷区世田谷
観測高度
(m)
250.0
12.5
45.0
37.0
29.0
17.5
19.0
20.0
24.0
31.0
NO
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
測定局名
世田谷区成城
渋谷区宇田川町
中野区若宮
杉並区久我山
荒川区南千住
板橋区氷川町
練馬区石神井台
練馬区北町
練馬区練馬
足立区西新井
観測高度
(m)
12.0
30.5
17.5
12.0
20.5
18.0
18.5
20.0
13.5
15.5
図 4-3-11 常時監視局(23 区)観測地点
H - 30
NO
21
22
23
24
25
測定局名
足立区綾瀬
葛飾区水元公園
江戸川区鹿骨
江戸川区春江町
江戸川区南葛西
観測高度
(m)
19.0
10.0
9.5
20.5
20.0
1:東京タワー250m(H=250.0)
2:中央区晴海(H=12.5)
N
3:港区白金(H=45.0)
N
NW
N
NW
NE
40
5.0 m/s
W
E
SW
1.5 m/s
W
SE
E
SW
N
NW
NE
2.9 m/s
W
SE
E
SW
7:品川区八潮(H=19.0)
N
SW
N
NW
NE
3.3 m/s
W
SE
40
20
E
0.1 %
SW
S
3.9 m/s
W
SE
10:世田谷区世田谷(H=31.0)
12:渋谷区宇田川町(H=30.5)
N
NW
NW
NE
40
NE
40
20
E
SE
SE
S
N
NE
E
SW
11:世田谷区成城(H=12.0)
N
20
0.1 %
S
0.4 %
NE
40
E
NW
SE
9:大田区東糀谷(H=24.0)
40
20
SW
E
S
NW
0.6 %
20
0.6 %
N
NE
S
W
SE
8:目黒区碑文谷(H=20.0)
SW
2.9 m/s
S
NW
NE
40
20
0.1 %
S
3.4 m/s
SE
40
E
SW
W
SW
6:品川区豊町(H=17.5)
40
20
0.3 %
E
S
NW
NE
20
0.6 %
N
NW
2.6 m/s
W
SE
5:江東区大島(H=29.0)
N
W
4.1 m/s
S
4:文京区本駒込(H=37.0)
W
40
20
2.6 %
S
4.3 m/s
NE
40
20
1.2 %
NW
NE
2.0 m/s
W
E
4.7 %
SW
40
20
SE
2.3 m/s
W
E
0.3 %
SW
S
図 4-3-12 常時監視局(23 区)風配図(1)
集計期間:2000-2004 年 7・8 月平均(10 ヶ月間)、時間帯区分:昼(12-17 時)
(円内 上段:有風時平均風速,下段:無風(calm,0.4m/s 以下)出現率)
H - 31
20
SE
S
13:中野区若宮(H=17.5)
14:杉並区久我山(H=12.0)
15:荒川区南千住(H=20.5)
N
N
N
NW
NW
NE
40
3.7 m/s
W
E
SW
3.1 m/s
W
SE
E
SW
N
NW
NE
2.9 m/s
W
SE
E
SW
W
SE
N
SE
S
21:足立区綾瀬(H=19.0)
N
NW
NE
3.3 m/s
W
SE
40
20
E
0.5 %
SW
S
3.5 m/s
W
SE
22:葛飾区水元(H=10.0)
24:江戸川区春江町(H=20.5)
N
NW
NE
40
E
SE
NW
NE
40
20
1.3 %
SE
S
N
NE
E
SW
23:江戸川区鹿骨(H=9.5)
N
20
0.1 %
S
NW
NE
40
E
SW
NW
NE
40
20
1.1 %
E
0.9 %
N
NW
20
SW
20:足立区西新井(H=15.5)
S
2.8 m/s
S
19:練馬区練馬(H=13.5)
SW
NE
40
20
0.9 %
S
2.6 m/s
SE
40
E
SW
W
SW
18:練馬区北町(H=20.0)
40
20
0.8 %
E
S
NW
NE
20
0.1 %
N
NW
2.7 m/s
W
SE
17:練馬区石神井台(H=18.5)
N
W
3.5 m/s
S
16:板橋区氷川(H=18.0)
W
40
20
0.6 %
S
2.5 m/s
NE
40
20
0.5 %
NW
NE
3.1 m/s
W
E
0.2 %
SW
40
20
SE
3.5 m/s
W
E
0.4 %
SW
S
図 4-3-13 常時監視局(23 区)風配図(2)
集計期間:2000-2004 年 7・8 月平均(10 ヶ月間)、時間帯区分:昼(12-17 時)
(円内 上段:有風時平均風速,下段:無風(calm,0.4m/s 以下)出現率)
H - 32
20
SE
S
25:江戸川区南葛西(H=20.0)
N
NW
NE
40
4.0 m/s
0.2 %
W
SW
20
E
SE
S
図 4-3-14 常時監視局(23 区)風配図(3)
集計期間:2000-2004 年 7・8 月平均(10 ヶ月間)、時間帯区分:昼(12-17 時)
(円内 上段:有風時平均風速,下段:無風(calm,0.4m/s 以下)出現率)
H - 33
③ 常時監視局(多摩)観測地点
表 4-3-3 常時監視局(多摩)観測地点別風速観測高さ
NO
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
測定局名
八王子市片倉町
八王子市館町
八王子市横山
立川市錦町
武蔵野市関前
青梅市東青梅
府中市宮西町
調布市深大寺南町
町田市中町
町田市能ケ谷町
観測高度
(m)
14
6
6
20
19
12
20
16
30
13
NO
36
37
38
39
40
41
42
43
44
測定局名
小金井市本町
小平市小川町
福生市本町
狛江市中和泉
東大和市奈良橋
清瀬市上清戸
多摩市愛宕
西東京市田無町
西東京市下保谷
図 4-3-15 常時監視局(多摩)観測地点
H - 34
観測高度
(m)
25
22
23
9
13
10
16
27
11
26:八王子市片倉(H=14)
27:八王子市館町(H=6)
28:八王子市横山(H=6)
N
N
NW
N
NW
NE
40
3.9 m/s
W
E
SW
2.0 m/s
W
SE
E
SW
31:青梅市東青梅(H=12)
N
E
SW
3.2 m/s
W
SE
40
20
E
0.5 %
SW
S
34:町田市中町(H=30)
N
NW
NE
E
SW
NE
40
20
0.7 %
NW
NE
40
2.1 m/s
W
SE
40
20
E
4.4 %
SW
3.8 m/s
W
SE
S
SE
S
37:小平市小川町(H=22)
N
NW
N
NW
NE
NE
40
E
SE
NW
NE
40
20
0.6 %
E
SW
36:小金井市本町(H=25)
N
20
0.3 %
S
35:町田市能ケ谷(H=13)
S
SE
N
NW
E
SW
33:調布市深大寺南(H=16)
N
20
1.2 %
S
32:府中市宮西町(H=20)
SW
2.5 m/s
W
SE
S
3.6 m/s
NE
40
20
0.7 %
NW
NE
40
W
SE
S
NW
NE
E
10.2 %
N
NW
20
SW
30:武蔵野市関前(H=19)
2.8 m/s
W
SE
N
W
2.1 m/s
S
29:立川市錦町(H=20)
W
40
20
9.7 %
S
3.2 m/s
NE
40
20
0.1 %
NW
NE
3.5 m/s
W
E
0.5 %
SW
40
20
SE
2.8 m/s
W
E
1.0 %
SW
S
図 4-3-16 常時監視局(多摩)風配図(1)
集計期間:2000-2004 年 7・8 月平均(10 ヶ月間)、時間帯区分:昼(12-17 時)
(円内 上段:有風時平均風速,下段:無風(calm,0.4m/s 以下)出現率)
H - 35
20
SE
S
38:福生市本町(H=23)
39:狛江市中和泉(H=9)
N
40:東大和市奈良橋(H=13)
N
NW
N
NW
NE
40
2.9 m/s
W
E
SW
2.6 m/s
W
SE
E
SW
SE
43:西東京市田無町(H=27)
N
NW
NE
40
NE
40
20
E
SW
SE
S
NW
2.7 %
E
0.6 %
N
NE
20
SW
42:多摩市愛宕(H=16)
N
2.4 m/s
3.1 m/s
W
S
41:清瀬市上清戸(H=10)
W
40
20
1.0 %
S
NW
NE
40
20
0.4 %
NW
NE
SE
1.4 m/s
W
S
E
11.8 %
SW
40
20
SE
3.7 m/s
W
20
E
0.2 %
SW
S
SE
S
44:西東京市下保谷(H=11)
N
NW
NE
40
2.7 m/s
W
20
E
1.6 %
SW
SE
S
図 4-3-17 常時監視局(多摩)風配図(2)
集計期間:2000-2004 年 7・8 月平均(10 ヶ月間)、時間帯区分:昼(12-17 時)
(円内 上段:有風時平均風速,下段:無風(calm,0.4m/s 以下)出現率)
(2)対策に当たっての留意事項
・ 連続したオープンスペースは上空風と下層大気の熱交換を活発にするために有効であり、夏の主風向に
対してオープンスペースが連続して確保されるよう建築物を配置することが望まれる。
・ 下層風については、敷地の接道条件、周囲の建築物の状況等により変化するため、夏の主風向ばかりで
はなく、海風、河川風など地域の特性に応じた配慮をする必要がある。また、風害への配慮も必要であ
る。
(3)海陸風循環
海岸地方で海陸の温度差が原因となって吹く風で、日中は海面よりも地面の温度が高くなり、地面で熱
せられた空気は上昇し、下層の 500~600m では海上の冷たい空気が陸上へと流れ込み(海風)
、その上
空 2km までは陸上の暖かい空気が海上へと流れ出すという海陸風循環が生まれる。日没後は逆に地面の温
H - 36
度が下がるため、下層では陸から海に向かって陸風が吹く。海陸風の風速は 2~5m/s であるが、一般に
海風の方が陸風よりも強い。東京では、夜間になっても地表面の温度が高いため、気象条件によっては日
没後も海風(南風)が続く日がある。
[昼間の海風]
[深夜の陸風]
図 4-3-18 東京における海陸風
(4)上空風の阻害による弱風域の拡大
高層建築物が建ち並ぶ都心部では高
風速の鉛直分布
層建築物による海風の阻害が見られ、
250
大手町周辺では風速1m/s 以下の弱風
200
都市内風速(例)
層が地上 50m 近くにまで達している
自然風速
(べき指数0.15)
と推定されている。このように高層建
築物が多い都心部では弱風層が厚くな
り、地表面付近で放出された熱の上空
風との熱交換が低下し、地表面付近の
150
高さ(m)
気温が高温化する原因の一つになって
いると考えられる。このため、上空風
に影響を及ぼすような高層建築物で
100
高層建築物
が建ち並ぶ
ことによっ
て都市内の
弱風域が拡
大し、鉛直
方向の換気
が阻害され
る。
は、上空風(海風)の主風向に対して
障害とならないような形状をとること
が望ましい。
一方、低層住宅が建ち並ぶ郊外では
50
0
0
2
4
風速(m/s)
建
都心部よりも弱風層が薄くなるため、
築
都心部では阻害の要因にならなかった
物
ような高さの建物でも、上空風に影響
6
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を及ぼす可能性があり、都心部に比べ
て低い建築物でも同様の配慮が必要で
ある。
図 4-3-19 500m メッシュ(例)における昼間平均風速分布(推定)
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《参考文献・出典等》
表 4-3-1 METROS20 観測地点別風速観測高さ : METROS20(東京都環境科学研究所)
図 4-3-8 METROS20 観測地点 : METROS20(東京都環境局)
図 4-3-9 METROS20 風配図(1) : METROS20(東京都環境局)
図 4-3-10 METROS20 風配図(2) : METROS20(東京都環境局)
表 4-3-2 常時監視局(23 区)観測地点別風速観測高さ : 常時監視局(23 区)(東京都環境局)
図 4-3-11 常時監視局(23 区)観測地点 : 常時監視局(23 区)(東京都環境局)
図 4-3-12 常時監視局(23 区)風配図(1) : 常時監視局(23 区)(東京都環境局)
図 4-3-13 常時監視局(23 区)風配図(2) : 常時監視局(23 区)(東京都環境局)
図 4-3-14 常時監視局(23 区)風配図(3) : 常時監視局(23 区)(東京都環境局)
表 4-3-3 常時監視局(多摩)観測地点別風速観測高さ : 常時監視局(多摩) (東京都環境局)
図 4-3-15 常時監視局(多摩) 観測地点 : 常時監視局(多摩) (東京都環境局)
図 4-3-16 常時監視局(多摩) 風配図(1) :常時監視局(多摩) (東京都環境局)
図 4-3-17 常時監視局(多摩) 風配図(2) : 常時監視局(多摩) (東京都環境局)
図 4-3-18 東京における海陸風 : 東京都ホームページ 2004 年7月の気温と風の日変化(東京都環境科学研究所作成)
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/heat2/heat_htm/observation_results/2004summer/200407anime.htm
図 4-3-19 500m メッシュ(例)における昼間平均風速分布(推定) : 平成16年度ヒートアイランド現象による環境影響に関する調査
報告書(環境省)
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