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NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE
Title
模写受信機の発振周波数の偏差について
Author(s)
梅園, 茂
Citation
長崎大学水産学部研究報告, v.27, pp.115-120; 1969
Issue Date
1969-08
URL
http://hdl.handle.net/10069/31285
Right
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http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp
115
模写受信機 の発 振周波 数 の偏差 に ついて
梅
On
the
園
Deviation
茂
of the
Oscillating
of Facsimile
Receiver
Shigeru
The facsimile
increasing
carried
the
receiver
phase signal
of measurements
1.
on the "Nagasaki
year by
year .
of the crystal
and some considerations
It is usual
of the oscillating
UMEZONO
mounted
out on the deviation
that
the deterioration
frequency,
Frequency
To
Maru" had been gradually
test
it,
measurements
oscillating
frequency
are reported
here :
of crystal
but incase of the present
.
were
The results
piece results
in a decrease
apparatus,
it has resulted
in an increase.
2.
The
deterioration
time of electrification
of the thermostat
longer,
the tank and the oscillating
3.
The
condenser
worsening
a horizotal
consequently
its action
enhances
inactive
and
the temperature
the
in
frequency.
of the oscillating
of the adjustment
to approach
which
makes
circuit
condition
remarkably
makes
worse,
and
the
effect
causes
the
of the
curve
line.
長 崎丸 に装 備 す る模 写 受信 機 は,経 年 的 に 位 相 信 号 の傾 斜量 が増 大 した た め,水
周波 数 の偏 差 に つ い て測 定 を お こな っ た の で,そ
の結 果 お よび これ に つ い て の考 察 を報 告
す る.
資
料
お
よ
晶発 振
び
方
1.模
写受信機用受信機
NMR240S形
2.模
写 受信 機
NXA340A形
3.受
信周波数
4.ベ
ル ト回転 数
法
9∼22mc/s
120r.p.m.
5,測
定周波数
5kc/s±
6.協
動 係数
576と288
7.線
密 度
8.同
期周波数
5。03本/mm
50c/s
△f
116
長崎大学水産学部研究報告 第27号(1969)
9.同期調整範囲
土2×10−5
槽内温度の変化による水晶発振周波数と受画面の位相信号の
10,測定方法
傾斜測定
考 察 お よ び 結 果
送信側と受信側の同期を保つための協動係数eは次式で与えられる.
e =:一一liL−Dd ・・・… i)
p
ここにDは円筒の直径,Pは画線幅で,いずれもmmの単位で示したものとし, dは画
線密度で正規の協動係数は352である.
現在気象図や新聞放送のように密度の高い走査が要求されるものについては576が用い
られている1). このように模写受信記録の操作は,送信側と受信側が完全に同期した速度
で行なわねばならないが,無線回路では走査モーターと同一周波数電源で使用することが
出来ないため,受信側では独立に送信側と一致した周波数電源を装備する必要がある.模
写受信機NXA340Aは5kc/sの水晶発振器を有し,その周波数確度は10−5である2).
記録が送り出される時の画面の縦方向歪は約1.5mm程度で実用上問題にならない.
尚調整のため水晶発振周波数微調整回路が付してあり,画面の曲りを更に修正すること
が出来るようになっている.最初は同期電源に切り換えると駆動用モーターが停止するの
で,故障原因はマルチバイブレーター回路にあるものと推測した.若し受信側の水晶発振
周波数が偏差零の場合を考えても,送信側の偏差が問題になる.日本が1950年半加入した
W.M.0(World Meteorological Organization)によれば,偏差△fによる発振周波
数の補正は,自局の偏差を補正し且つ送信側の独立同期周波数のズレに対処するため±2.5
×10−5の変化量をもつよう勧告している1).NXA340A形ではV.Cの周波数微調範囲は
Fig.1 Aの如く土4×10−5以上に設計されているので,微調が効かなくなったことは,
中心周波数foより大きく異った周波数を発振していることになる.水晶片に67.5。土1.5。
算12
8
(×10−5)
4
(+)
o
( 一一)
fOl
fO 2
fT・:15==3
@こごここ=
4
0 60 120 2b6一一一ri−iZhi5.i
トV・C・→トFixed C. →l
Fig. 1. Change of oscillating frequency according to change of capacity.
梅園:模写受信機の発振周波数の偏差について
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A.Heater
A [=亘コ
B. Crystal
s
S.Thermostat
100p
⊥T励
v.c
C
6.3 V. to Heater
Fig. 2. Connection of crystal oscillating circuit.
の温度を表示してある理由は,これが正常使用温度という意味ではなく,66。∼69。の範囲
内の1点を基準にして水晶片をカットしてあるということである.正常な水晶片ではこの
基準点を中心に1。位の変化をなし,それに対する周波数の変化量は略10−5程度である2).
回路はピーアースP・一F方式がとられている3).Fig.2の回路においてV.Cは漂遊容量
を含め100P.f位であり,△fはあってもV.Cの指度を大略中央にしたとき,中心周波
数foを示していたが,次第に位相信号の傾斜が右方に直線的に増大し, V.Cを最大容量
(Cと併わせて120P.f)としても,正常な状態にもどらず実用上支障をきたした.このこ
とは発振条件が満足されず,水晶戦評は恒温槽が不良になったことを示すものであり,測
定の結果は双方とも不良化していることが判明した.水晶片の周波数測定は受画記録によ
り2式をもちいて実測するのが通例である,
△‘・=tX,×5。ガ・・一2)
ここにしは記録紙の送り出し長さ,Xは位相信号で測定した傾斜量,△fは中心周波数fo
からの偏差,364は記録紙幅(何れもmm)2).独立同;期周波数の許容偏差についてはW.
M.Oはベルトの回転数をその標準値に対して,5×10’6以内に維持すべきであるとしてい
る.即ち同期電動機によってベルトをドライブする場合には,この値が独立同期部の主発
振水晶片の周波数安定度に対応して考えればよく,5×10’6という値は送信側と受信側の
独立同期周波数が互に反対側に偏差を示したとき,画面中位相信号でみた傾斜は1/55とな
ることを示しそれを許容している.
△Lmm一弩欝………3)
△Lは位相の傾斜量,Lは記録紙の幅である2),364 mmの記録紙を使用した場合6.6mm
であるが,△fが土に大きくなれば短時間のうちに受画面が記録紙よりはみ出す結果実用
にならない.
恒温槽の構造をFig,3に示す. Aは筒形ヒータ・一, BはAに押入してある水晶片・C
は容器である.サーモスタットの点滅状態と町内温度の関係はFig・4の通りである.1は
サーモスタットが正常,皿は不良になってからの温度差である.温度の上昇は発振周波数
長崎大学水産学部研究報告 第27号(1969)
ユ18
難
’tii,’
へ
へ
^O 一一
し ら
@泌
へ ら
も も
ヤ ら
へ も
@Radiation
o﹃︾
6
一一一一一
渓解
7
00
も。﹂3煙ΦαEΦト
orD
驚ぢOE﹂Φ‘ト
Φ£
7
みか
Heat i ng
/〃
Fig. 3. Structure of thermostat.
@15 20
丁ime(minute)
Fig. 4.
Relation between temperature in thermostat and time of switchings.
に影響する.サーモスタットと恒温槽の不良化はfoより高い周波数の発振をおこし, V.C
の微調可変範囲をはるかに越えて受画面の位相信号の傾斜は益々大きくなる.Fig.1のB
はそれを示す.規定値より閣内温度が高いのが発振周波数を高める原因となっていること
が判ったので,極端な試みとしてヒーター回路を断の状態において求めた曲線がFig.1の
Cである.このBとCの曲線から,温度差よりも水晶片の不良が発振周波数に対して大き
く影響していることが判明した.槽内温度の測定方法は恒温槽に水晶片のかわりに温度計
を押入し,パテにて保持して槽内外の温度の流通をしや断した.加熱回路に抵抗を接続し
たが,電流が小さくなるだけで,サーモスタットの通電時間が長くなり良い結果は得られ
なかった.
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梅 園:模 写 受 信 機 の発 振 周 波 数 の 偏差 に つ い て
Fig.
5.
Change
of
the
phase
signal
according
to
メ ー カ ー に お い て 実 測 した 多 数 の デ ー タ ー に よ れ ば,水
はfoよ
foよ
change
of
capacity.
晶 片 が 経 年 的 に 不 良 に な る場 合
り も低 い 周 波 数 で 発 振 す る よ う に な る と い う こ とで あ るが,本
り も 高 い 発 振 周 波 数 と な る こ とが あ る こ と も 判 っ た.Fig.1の
機 の場 合 の よ うに
曲 線 か ら 判 る よ う に,
水 晶 片 が 正 常 で あ る 時 と不 良 化 し た 時 で は 容 量 効 果 に 大 ぎ な 違 い が あ ら お れ る.Fig.1の
fo1とfo2の
点 で 比 較 す る と,fo2の
方 が 曲 線 が 横 に な り容 量 の 変 化 に よ る 周 波 数 の 変 化
に シ ヤ ー プ 性 が な く な っ て い る.Fig.5の1.2.3は
1のb∼cは
外 付 容 量 を 略60P.fと
は60p.f+30p.fと
し て 受 画 し た も の で あ る.こ
好 で あ っ た 時 の 記 録 で あ る が,発
除 去 す る の に 約240P.fを
Fig,5の2a∼b,b∼cの
れ は 水 晶 片 お よ び サ ー モ ス タ ツ トが 良
の点 を 中 心 に
大 き くな っ て か らは,こ
土30P.fに
れ を
して も 位 相 の 傾 斜 は
如 く殆 ん ど あ らわ れ な か っ た.Fig.5の3は240P.f土50P.f
ず か にcの
効 果 に よ る位 相 の 傾 斜 が 見 ら れ た.(Fig.1
照)
要
1.水
な り,a∼bは60P.f-30P.f,c∼d
振 機 構 が 不 良 に な り △fが
必 要 と し,こ
と し て 受 画 し た も の で あ る が,わ
B参
そ れ ぞ れ 容 量 効 果 の 比 較 で あ る.
した 時foと
晶 片 が 不 良 に な る と,発
約
振 周 波 数 は 低 くな る こ とが通 例 で あ るが 本 機 の場 合 は 高 く
な った.
2.サ
ーモ ス タ ツ トの老 化 は作 動 が綬 慢 とな り通 電 時 問 を長 くし て,槽
内 温 度 と発 振 周 波
長崎 大 学 水 産学 部 研 究 報 告
120
第27号(1969)
数 を 高 くす る
3発
振 条 件 か 悪 くなれ は,微 調 整 回路 の コ ン テ ンサ ー の効果 か 著 し く悪 くな り,曲
線か
横 に な る.
測 定 に 関 し御 協 力 い たた い た 阿部 茂 夫 船 長,矢
た い た 日本 無 線KKの
文
1)日
本 電 波協 会 編
田殖 朗 一 航 な らひ に 資 料 の提 出 を い た
荒 木 康 雄 所 長 代 理 に衷 心 よ り謝 意 を表 す る
献
無 線 工 学 ハ ノ トフ ノク(写 真 電 送 装 置),オ
ー ム社,東 京,llO9∼1113
(1962)
2)日
本 無 線(株)模
3)太
原彦一
写 受 信 装 置 取 扱 説 明書,26∼29(1962、
無 線 工学 通 論,共 立 出 版(株),東
京,183∼184(1956)