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REALTEC
パルスエンコーダー倒立振子
(RTC02P)
取扱説明書
(有)リアルテック
Rel.2014.10.21
回転型倒立振子 RTC05C 概説
REALTEC
1)概説
最初は 倒立振子の実験の前に配線チェックを兼ねて、アームの角度制御実験を推奨
します。
2)アーム角度制御
2-1)フィードバックゲイン
アーム角度制御システムの概念図は次の様になります。 Fig.2-1 参照。
PIDコントローラー
I
θi
P
Vi
D
Kc
慣性負荷
モーター
Km,Jm,R
Jl
T
(I)
θo
(ωo )
パワーアンプ
θo
Vo
センサー
Fig.2-1
制御電圧 Vi を入力とし、負荷の制御角θを出力とする伝達関数を求める。
o
= モーター軸の角度
o = モーターの角速度
I = モーター電流
Vi = モーターへの電圧
K m = モータートルク定数
R = モーターコイル抵抗
T
= モータートルク
J m = モーターイナーシャ
J l = 負荷イナーシャ
J  J m  J l = 合成イナーシャ とすると、
ニュートンの運動方程式より
d 2o
T   J m  J    o J  J
dt 2
回転型倒立振子 RTC05C 概説
1
--------------------------(2-1)
REALTEC
又、モータートルクは電流に比例するので
T  Km I
------------------------------------------------------------------(2-2)
求める伝達関数は電流 I ではなく電圧 Vi なので I を Vi に変換する。
モーターへの電圧と回転速度の関係は Fig.2-2 を
参照し、逆起電力 Ve は 逆起電力定数
K e ( K m ) と回転速度 o に比例する事を
Vi
モーター
L
Ve
I
R
Fig.2-2
考慮すると
Vi  IR  Ve
 IR  K mo ---------------------------------------------------------(2-3)
(2-3)式を入力 Vi と出力  o の関係式にするため、(2-2)より
T
I
K m ----------------------------------------------(2-4)
(2-4)に(2-1)を代入すると
T
J d 2 o
I

*
K m K m dt 2
--------------------------------(2-5)
(2-3)に(2-5)を代入すると
d o
J d 2 o
Vi  IR  K mo 
*
R

K
m
K m dt 2
dt
d o
JR d 2 o


K
m
K m dt 2
dt
--------------------------------(2-6)
d
d 2
 s ,   2  s 2 )
式(2-6)をラプラス変換すると(  
dt
dt
Vi 
JR
JR 2
 o s 2  K m o s   o (
s  K m s) -----------(2-7)
Km
Km
(2-7)式より伝達関数は
o
Vi

1
RJ 2
s  Kms
Km
回転型倒立振子 RTC05C 概説
---------------------------------(2-8)
2
REALTEC
(2-8)式に、下記パラメーター
K m  0.023Nm / A
R  8.3
J  0.00053Kgm2
を代入すると伝達関数は
 o s 
Vi s 

1
1

8.30.00053 2
s  0.023s 0.19s 2  0.023s
0.023
回転型倒立振子 RTC05C 概説
3
---------------(2-9)
REALTEC
3)制御系の設計
2)で求めた伝達関数に比例ゲイン K p と微分ゲイン K d を追加した下図の様な
制御システムを考え、最適な比例ゲイン K p と微分ゲイン K d を設計する。
Fig.3-1参照。
θi +
+
-
Kp
s
モーター駆動部
1
Vi
θo
0.19s 2+0.023s
Kd
Fig.3-1
d
 s  j で、出力角度  o を微分することを
図中sはラプラス変換素子
dt
表しています。
Fig.3-1の伝達関数を求めてみましょう。
 o  {( i   o ) * K p  s o * K d } *
 i *
Kp
0.19s 2  0.023s
 o を左辺にまとめると(3-1)は
 o (1 
K p  sKd
 o *
1
0.19s 2  0.023s
K p  sKd
0.19s 2  0.023s
---------(3-1)
0.19s 2  0.023s  K d s  K p
)  o
0.19s 2  0.023s
0.19s 2  0.023s
0.19s 2  (0.023  K d ) s  K p
Kp



i
o
0.19s 2  0.023s
0.19s 2  0.023s
なので伝達関数は
Kp
o

i 0.19s 2  (0.023  K d ) s  K p

Kp
0.19s 2  0.023  K d s  K p
回転型倒立振子 RTC05C 概説

s2 
4
Kp
0.19
0.023 K d
0.19
s
Kp
0.1
---(3-2)
REALTEC
sの2次系の一般式次式です。
o
n 2
 2
i s  2 n s  n 2
-----------------------------------(3-3)
と(3-2)と(3-3)を比較し、最適な角周波数  n とダンピング係数  を仮定して
それを満足する比例ゲイン K p と微分ゲイン K d 求めてみましょう。
ステップ入力に対する最初のオーバーシュートのピークまでの時間 t p を0.4秒後、
ダンピング係数  を典型的な0.707と仮定すると、
tp 
n 

n 1  

2
 0.4 -------{8)2次系のステップ応答の項を参照}
0.4 1  0.707 2
 11.1
、一方
n 2 
Kp
0.19 より
K p  n  0.19  11.12  0.19  23.4V / rad
2
radを度に変換すると
K p  23.4V / rad *
微分ゲイン K d は 2 n 

180
 0.41V / deg
0.023  K d
より
0.19
K d  2 o  0.19  0.023  2  0.707 11.1 0.19  0.023
 2.982  0.023  2.96V /( rad / sec)
radを度に変換すると
K d  2.96V /( rad / sec) *
回転型倒立振子 RTC05C 概説

 0.052V /(deg/ sec)
180
5
REALTEC
コントローラー USBA04 と Matlab/Simulink とを使用した場合のサンプルプログラムは
次の様になります。
Fig.3-2 参照。
Fig.3-2
Kac : モーター軸のパルスエンコーダーからのパルス数を角度(度)に変換するゲインです。
パルスエンコーダーは 500P/1 回転。 コントローラー内の 4 逓倍回路でパルス数は
2,000P/1 回転になります。
K ac  360 / 2,000P  0.18 度/P になります。
ー(マイナス)符号は システムをネガティブフィードバックにする為付けます。
註 1) チェック方法は SW を 0 側に倒し、アームを手で押さえてプログラムをスタートし
アームを少し手で動かした時、モーターに戻す力が働けば正常なネガティブ
フィードバックです。 動かした方向に働けば異常なポジティブフィードバック
ですので、符号を反転します。
註 2) かなり大きな負荷(イナーシャ)をモーターがギア無しでドライブする為、
微分ゲインが大きくなります。 その結果、微分によるノイズが大きくなり
静止状態で微振動が発生します。 ギアが介在している場合は逆起電力
定数はギア比倍されて大きくなるので、その分、微分ゲインは小さくて
済みますから微振動は 発生しなくなります。
註 3) 倒立振子の場合は Kac の符号はアーム角制御の反対(+)になります。
回転型倒立振子 RTC05C 概説
6
REALTEC
註)最大駆動可能速度の検討
ニュートンの運動方程式とモーターが発生する力の式は
T  J *  K m * I ---------------------------(5-1)
ここで
 -----------------------------角加速度
I  0.5 A --------------------使用電流{ I max  12V /(8.3  0.5)  1.36 A }
K m  0.023Nm / A -------トルク定数
J  5.3 *104 Kgm2 ---慣性負荷(イナーシャ)

角度 90度  rad を 何秒で駆動できるかを検討してみましょう。
2
K m * I 0.023Nm / A * 0.5 A 0.0115Kgm 2 / sec 2



4
2
J
5.3 *10 Kgm
5.3 *104 Kgm 2
 2.16 *103 *104 rad / sec2  21.6rad / sec2
   *t
 * t 2 21.6rad / sec 2 * t 2 


 rad
2
2
2
t

21.6
sec2  0.38 sec
度
θo
θi
この結果から、最初のオーバーシュートの
ピークまでの時間を0.4秒に設定しても
少し余裕が有る事がわかりました。
0
0.5Aの時の電圧Viは
t
TP
t(s)
Vi=(8.3+0.5)Ωx0.5A=8.8Ωx0.5A=4.4V
9Vの電源を使うと十分余裕が有ります。
註)スタート時 Vi  cmd * K p  90 deg* 0.41V / deg  36.9V の電圧がモーターに
掛かります。12Vの電源を使用した場合、12Vで飽和し電流は
12V/8.8Ω=1.36A(>0.5A) なので、 t
回転型倒立振子 RTC05C 概説
 0.38 sec になります。
7
REALTEC
4)アームイナーシャ
パルスエンコーダーフォルダー
主軸
パルスエンコーダー
アーム
10
19.2
20
0.1
4-1)アームイナーシャ(材質アルミの比重=2.7)
アーム質量を ma とすると
ma  20  3  0.1 2.7  16.2 g  0.016Kg
2
 0.2 
4
2
I a  ma r  0.016  
  0.016  0.01  1.6 *10 Kgm
 2 
2
4-2)パルスエンコーダー I p (パルスエンコーダーフォルダーを含む)
m p  10 g  0.01Kg
I p  0.01  0.192  0.00037  3.7  104 Kgm 2
2
総合イナーシャ J b は
J b  I a  I p  I s  1.6  3.7104  5.3 104 Kgm
 0.00053Kgm2
回転型倒立振子 RTC05C 概説
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REALTEC
5)倒立振子の入力信号の較正(キャリブレーション)ゲイン
倒立振子制御システムの概念図はFig.7-1になります。
Fig.7-1
アーム角センサーと振子角センサーはパルスエンコーダーなので入力信号はパルス数です。
コントローラーのフィードバックゲインの計算はフィードバック信号を度(又はラジアン)として
取り扱ってますからパルス数を度に変換しなければなりません。
<アーム角の場合: K ac >
パルスエンコーダーは500パルス/1回転です。 そのパルスはI/Oボードの4逓倍回路で
500x4=2,000パルス/1回転に分解能があがります。
K ac  360 deg/ 2,000P  0.18 deg/ P
<振子角の場合: K pc >
パルスエンコーダーは300パルス/1回転です。 そのパルスはI/Oボードの4逓倍回路で
300x4=1,200パルス/1回転に分解能があがります。
その結果、アームのキャリブレーションゲイン K pc は
K pc  360 deg/ 1,200P  0.3 deg/ P
註 1) K pc の極性のチェック方法は 振子を手で垂直に立て、押さえた状態で
プログラムをスタートします。 振子を少し倒した時、アームがその倒れを補正
する方向に動いたら正常です。 更に倒す方向に動いたら以上ですから
極性を反転します。 現状は+が正しい状態です。
回転型倒立振子 RTC05C 概説
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REALTEC
6)倒立振子のサンプルプログラム
6-1)通常の倒立振子のサンプルプログラム
振子を垂直上方にセットしてスタートするサンプルプログラムは次の様になります。
Fig.6-1
6-2)自立倒立振子のサンプルプログラム
振子を垂直下方の静止状態からスタートし振り上げて立たせるサンプルプログラムは
次の様になります。
Fig.6-2
回転型倒立振子 RTC05C 概説
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7)仕様
 モーター
型番------------------FN30-U153N1E
トルク定数-------------0.023Nm/A
モーターコイル抵抗-------8.3Ω
5
2
ローターイナーシャ---------- 1*10 Kgm
 パルスエンコーダー
型番-----------------RE12D-300
パルス数--------------300P/1 回転
出力抵抗-----------1KΩ
質量-----------------10g
 パワーアンプ
モータードライバー -----L6207
最大電流-----------2.5A
入力信号-----------制御電圧:0~4V、極性信号 CW,CCW:TTL レベル
電源-----------------12V/1.5A
 アーム
有効長--------------20cm
3
2
イナーシャ---------------- 1 *10 Kgm
 振子
長さ-----------------20cm
質量-----------------16g
 形状
重さ-----------------500g
外形-----------------20(W)x18(D)x25(H)cm
回転型倒立振子 RTC05C 概説
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8)2 次系のステップ応答
Vo  s 
Vi  s 
Transfer Function
n 2

s  s n s   n 2
2
By Laplace Inverse Transformation

Step Response Vo t   1 
e   n t
1
2

sin n 1   2 t  tan1
1 2


<Step response>
Vo(t)
1.9
1.8
δ=
0.
1
1.7
1.6
0.2
1.5
0.
3
1.4
1.3
4
1.2
0.
1.1
5
0.
6
0.
Vi
0.8
.0
0.9
0.
8
7
0.
δ
=1
1.0
1.
5
0.7
0.6
0
2.
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
1
3
2
4
5
6
C(t)
7
9
8
10
11
12
13
ωn t
Cmax
1.0
Max.
overshoot
1
Fig.3-8
Cmin
1.0
0

1 
回転型倒立振子 RTC05C 概説
2
2
3
4
1 2
1 2
1 2
12
nt