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神 奈 川 、 平 4 不 23・ 平 5 不 12、 平 7.10.12 命 申立人 令 化学一般東京労働組合 同 化学一般東京労働組合ソキア分会 被申立人 株式会社ソキア 主 1 書 文 被申立人は、平成4年度冬季一時金支給額の減額の問題について、申立人 ら組合と誠実に団体交渉をしなければならない。 2 被申立人は、本命令を受けた後、速やかに下記の文書を申立人らに手交し なければならない。 記 当 社 が 、貴 組 合 に 対 し 、平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 支 給 額 の 減 額 の 問 題 に 関 す る 団 体 交 渉 に 誠 実 に 対 応 し な か っ た こ と は 、神 奈 川 県 地 方 労 働 委 員 会 に お い て労 働 組 合 法 第 7条 第 2号 に該 当 する不 当 労 働 行 為 であると認 定 されました。 今後、再びこのような行為を繰り返さないようにいたします。 平成 年 月 日 化学一般東京労働組合 執行委員長 X1 殿 化学一般東京労働組合ソキア分会 分会長 X2 殿 株式会社ソキア 代表取締役 3 Y1 申立人らのその余の申立てを棄却する。 理 第1 1 由 認定した事実 当事者 (1) 被 申 立 人 被 申 立 人 株 式 会 社 ソ キ ア ( 以 下 「 会 社 」 と い う 。) は 、 肩 書 地 に 本 社 を 置 き 、足 柄 上 郡 松 田 町 、厚 木 市 及 び 東 京 都 町 田 市 に 工 場 を 、全 国 各 地 に営業所を有し、測量機器一般の製造・販売を目的とする株式会社であ り 、そ の 正 社 員 数 は 、神 労 委 平 成 4 年( 不 )第 23号 不 当 労 働 行 為 救 済 申 立 事 件( 以 下「 平 成 4 年( 不 )第 23号 事 件 」 と い う 。) 申 立 時 、 約 650名 である。 な お 、会 社 の 平 成 4 年 1 月 1 日( 社 名 変 更 日 )前 の 社 名 は 、株 式 会 社 測機舎である。 - 1 - (2) 申 立 人 申 立 人 化 学 一 般 東 京 労 働 組 合 ( 以 下 「 組 合 」 と い う 。) は 、 東 京 及 び そ の周 辺 の 地 域 の主 と し て化 学 産 業 の 従 業 員 に よっ て 組 織 さ れ た労 働 組 合 で あ る 。 そ の 組 合 員 数 は 、 平 成 4 年 ( 不 ) 第 23号 事 件 申 立 時 、 約 130 名である。 申 立 人 化 学 一 般 東 京 労 働 組 合 ソ キ ア 分 会( 以 下「 分 会 」と い う 。)は 、 組合の下部組織であり、会社の従業員によって組織された労働組合であ る 。 そ の 組 合 員 数 は 、 平 成 4 年 ( 不 ) 第 23号 事 件 申 立 時 、 26名 で あ る 。 な お 、 会 社 に は 、 分 会 以 外 に 、 会 社 の 従 業 員 約 450名 に よ っ て 組 織 さ れ た 全 国 金 属 機 械 労 働 組 合 ソ キ ア 支 部 ( 以 下 「 ソ キ ア 支 部 」 と い う 。) が存在する。 2 平 成 4 年 ( 不 ) 第 23号 事 件 申 立 前 の 労 使 事 情 (1) 昭 和 45年 5 月 10日 、 分 会 の 前 身 で あ る 総 評 化 学 同 盟 測 機 舎 支 部 が 松 田 工場に勤務する従業員を中心に結成され、その後本社に勤務する従業員 も同支部に加入した。 昭 和 45年 7 月 に は 、松 田 工 場 に 勤 務 す る 従 業 員 の 過 半 数 が 同 支 部 の 組 合 員 で あ っ た が 、そ の 後 、組 合 員 数 は 減 少 し 、昭 和 46年 5 月 に は 20数 名 となった。 (2) 昭 和 45年 5 月 18日 、 総 評 化 学 同 盟 測 機 舎 支 部 に 対 抗 す る 形 で 結 成 さ れ た 新 産 別 全 国 金 属 機 械 労 働 組 合 測 機 舎 支 部( ソ キ ア 支 部 の 前 身 組 合 )は 、 組 合 員 数 を 増 や し 、 昭 和 46年 5 月 に は 会 社 の 従 業 員 の ほ と ん ど が 同 支 部 の組合員となった。 (3) 以 降 、 組 合 及 び 分 会 ( 以 下 、 総 評 化 学 同 盟 測 機 舎 支 部 等 前 身 の 労 働 組 合 を 含 む 。)と 会 社 と の 間 で 、多 く の 労 使 紛 争 が 発 生 し 、組 合 又 は 分 会 は 、 次のとおり不当労働行為救済申立て等を行った。 ア 昭 和 46年 8 月 、分 会 は 、東 京 都 地 方 労 働 委 員 会 に 不 当 労 働 行 為 救 済 申立てを行った。 イ 昭 和 49年 5 月 、 昭 和 50年 5 月 及 び 昭 和 51年 12月 、 組 合 又 は 分 会 は 、 東京都地方労働委員会にあっせん申請を行った。 ウ 昭 和 55年 9 月 、 昭 和 59年 10月 及 び 昭 和 60年 11月 、 組 合 及 び 分 会 は 、 当委員会に不当労働行為救済申立てを行った。 昭 和 55年 9 月 及 び 昭 和 59年 10月 の 不 当 労 働 行 為 救 済 申 立 事 件 は 、そ れ ぞ れ 当 委 員 会 に お い て 和 解 が 成 立 し 、終 結 し た が 、昭 和 60年 11月 の 不 当 労 働 行 為 救 済 申 立 事 件 に つ い て は 、当 委 員 会 は 一 部 救 済 命 令 を 発 した。 (4) 昭 和 60年 11月 の 不 当 労 働 行 為 救 済 申 立 事 件 は 、 そ の 後 、 再 審 査 事 件 と し て 、中 央 労 働 委 員 会( 以 下「 中 労 委 」と い う 。)に 係 属 し た が 、中 労 委 は 、 平 成 4 年 2 月 19日 付 け で ポ ス ト ノ ー チ ス ( 文 書 の 掲 示 ) を 命 ず る 命 令を発し、同年3月5日、組合及び分会と会社は、中労委の命令書写し を受領した。 - 2 - (5) 会 社 は 、 平 成 4 年 3 月 10日 か ら 同 月 17日 ま で の 間 、 中 労 委 の 命 令 に 従 い、本社及び松田工場に文書を掲示した。 同時に、会社は、掲示した文書に併記する形で、中労委の命令に関す る会社の見解を掲示した。 (6) 会 社 は 、 文 書 の 掲 示 に よ っ て 、 中 労 委 に 係 属 し た 不 当 労 働 行 為 救 済 申 立 事 件 は 終 結 し た と 主 張 し た が 、 組 合 及 び 分 会 は 、「 会 社 の 言 分 を 付 記 」 した文書の掲示は不当であり、かつ、文書の掲示だけでは事件は終結し ていないと主張した。 (7) 組 合 及 び 分 会 と 会 社 は 、 平 成 4 年 3 月 19日 か ら 同 年 9 月 10日 ま で 、 中 労委の命令以降の労使関係の正常化に向けて、5回の団体交渉などを実 施したが、解決金の支払、会社の責任者の謝罪などを巡り、話合いは進 展 せ ず 、 平 成 4 年 9 月 10日 、 組 合 及 び 分 会 と 会 社 は 、 団 体 交 渉 が 平 行 線 であることを確認した。 (8) 以 後 、 組 合 及 び 分 会 は 、 本 社 及 び 工 場 の 最 寄 り の 駅 で の ビ ラ の 配 布 、 会 社 の 会 長 及 び 社 長 の 自 宅 並 び に そ の 周 辺 で の 要 請 活 動( 数 回 )、会 社 の 大 株 主 である銀 行 及 び保 険 会 社 に対 する要 請 活 動 などを繰 り返 し行 った。 一方、会社は、組合及び分会の主張と活動に対して、社内報「ソキア ニュース」などを使って反論や抗議をし、労使関係はさらに悪化してい った。 3 会社における一時金の算定 (1) 一 時 金 支 給 の 取 扱 い ア 昭 和 50年 代 か ら 、会 社 と 分 会 と は 、そ の 年 度 の 一 時 金 の 配 分( 平 均 支 給 率 等 )及 び 支 給 額 に つ い て 、年 度 の 初 め に 協 議 し 、協 定 を 締 結 し てきた。 平 成 4 年 度 及 び 平 成 5 年 度 に お い て も 、そ れ ま で と 同 様 、年 度 の 初 めに一時金の配分及び支給額を労使協定によって取り決めた。 イ し か し 、具 体 的 な 考 課 金 額( 考 課 査 定 に よ っ て 上 乗 せ す る 額 ) に つ い て は 、協 定 し た 配 分 に 基 づ い て 会 社 が 決 定 し 、昭 和 54年 頃 か ら 、会 社は、分会に対して、査定ランク(平成4年度以降は、上位からS、 A 、A ’、B 、B ’、C 、D の 7 段 階 )と 考 課 金 額 と の 関 係 を 示 し た 表 ( 以 下 「 考 課 査 定 ラ ン ク 表 」 と い う 。) を 通 知 し て い た 。 考課査定ランク表の内容は、年度によって異なっていた。 ウ 会 社 と 分 会 と は 、考 課 査 定 ラ ン ク 表 に 関 し 、過 去 に 次 の よ う な や り とりをしたことがあった。 昭 和 62年 度 、会 社 が 、従 業 員 の 年 齢 を 3 段 階( 40歳 未 満 、40歳 以 上 50歳 未 満 、50歳 以 上 )に 分 け 、査 定 ラ ン ク が 同 一 で あ る 場 合 に は 、年 齢 の低 い 従 業 員 に 考 課 金 額 が 多 く 加 算 される 考 課 査 定 ラ ンク表 を決 定 し 、そ れ に よ り 一 時 金 の 支 給 を 実 施 し た 際 、分 会 は 年 齢 に よ る 区 分 を 廃 止 し て ほ し い と 要 望 し 、会 社 は 翌 年 度 に 考 課 査 定 ラ ン ク 表 の 年 齢 に よる区分を廃止したことがあった。 - 3 - さ ら に 、 平 成 2 年 度 、 会 社 が 、 従 業 員 の 年 齢 を 2 段 階 ( 48歳 未 満 、 48歳 以 上 )に 分 け 、同 じ 査 定 ラ ン ク で あ る な ら ば 、年 齢 の 低 い 従 業 員 に 考 課 金 額 が 多 く 加 算 さ れ る 考 課 査 定 ラ ン ク 表 を 決 定 し 、そ れ に よ り 一 時 金 の 支 給 を 実 施 し た 際 、分 会 は 年 齢 の 区 分 に よ っ て 生 じ た 差 額 の 支 給 を 要 求 し 、会 社 は 翌 年 度 に は 考 課 査 定 ラ ン ク 表 の 年 齢 に よ る 区 分 を廃止したことがあった。 エ 会 社 は 、平 成 4 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 時 か ら 、分 会 に 対 し て 、考 課 査定ランク表を示さなくなった。 (2) 考 課 査 定 の 方 法 等 ア 会 社 の 一 時 金 の 考 課 査 定 の 対 象 期 間( 以 下「 査 定 対 象 期 間 」と い う 。) は 、夏 季 一 時 金 が 前 年 の 10月 か ら 3 月 ま で の 6 か 月 間 、冬 季 一 時 金 が 4月から9月までの6か月間であった。 イ 会社の考課査定は、基本的には、主任及び係長による第一次査定、 課 長 に よ る 第 二 次 査 定 、部 長 に よ る 第 三 次 査 定 が 順 次 行 わ れ 、統 括 本 部 長 、生 産 本 部 長 、営 業 本 部 長 及 び 技 術 本 部 長 の 各 本 部 長 が そ れ ぞ れ 調整、決定し、その結果を統括本部に提出することになっていた。 具 体 的 に は 、部 長 に よ る 第 三 次 査 定 の 段 階 で 、そ れ ま で の 点 数 評 価 が 査 定 ラ ン ク に 振 り 分 け ら れ 、各 本 部 長 の 段 階 で 、考 課 査 定 が 妥 当 か どうか最終的な判断をしていた。 ウ 考 課 査 定 は 、一 定 の 項 目 に つ い て 基 準 に 従 い 、従 業 員 を 相 対 評 価 す るものであった。 評 価 の 項 目 は 、一 般 従 業 員( 後 記 (3)の ア の 7 等 級 以 下 の 等 級 の 者 ) で は 、 服 装 、 就 業 活 動 、 業 務 能 率 及 び 成 果 で あ り 、 監 督 者 ( 後 記 (3) の ア の 4 等 級 か ら 6 等 級 ま で の 者 )で は 、服 務 、就 業 活 動 、管 理 監 督 、 指 導 調 整 及 び 審 査 報 告 で あ っ た 。第 一 次 査 定 及 び 第 二 次 査 定 で は 、こ れ ら の 項 目 に つ い て 、点 数 で 評 価 を し て い た が 、一 般 の 従 業 員 で は 成 果 の 項 目 、に 監 督 者 で は 審 査 報 告 の 項 目 に よ り 多 く の 配 点 が な さ れ て いた。 平 成 4 年 度 及 び 平 成 5 年 度 の 場 合 、会 社 は 、上 位 か ら S 、A 、A ’、 B 、 B ’、 C 、 D の 7 段 階 の 査 定 ラ ン ク に つ い て 、 B ラ ン ク と B ’ ラ ンクの中間が中程度の勤務成績と考えていた。 な お 、 会 社 に は 、 査 定 結 果 に か か わ ら ず 、 役 職 定 年 ( 57歳 )以 上 の 年齢の従業員の考課金額を一律に最低保障額とするきまりがあった。 エ 会 社 は 、決 定 し た 一 時 金 の 支 給 方 法 に つ い て 、そ の 支 給 日 の 一 、二 週間程度前に、分会に通知していた。 (3) 平 成 4 年 度 夏 季 一 時 金 支 給 額 の 算 定 方 法 ア 平 成 4 年 5 月 25日 、 会 社 と 分 会 と は 、 次 の よ う な 協 定 を 締 結 し た 。 「 平成4年度年間総賃金に関する協定書 平 成 4 年 度 年 間 総 賃 金 に 関 し 、会 社 と 組 合 に 於 い て 交 渉 の 結 果 、下 記 の 内 容 で 合 意 を み た の で 、こ こ に 文 書 を も っ て 協 定 し 、そ れ ぞ れ 各 - 4 - 壱通を保有する。 記 (中略) 〔2〕平成4年度一時金 1. 支給額及び配分 夏 季:一 時 金 算 定 基 準 の 2.725ヶ 月( 内 考 課 査 定 枠 0.436ヶ 月 を含む)する。 年 末:一 時 金 算 定 基 準 の 2.725ヶ 月( 内 考 課 査 定 枠 0.436ヶ 月 を含む)する。 一 時 金 算 定 基 準 と は( 新 基 本 給 + 精 皆 勤 手 当 + 資 格 ・ 役 職 手 当)とする。 (中略) 4. 支払日 夏季 7月3日(金)を目途とする。 年末 12月 4 日 ( 金 ) を 目 途 と す る 。 」 こ の 協 定 を 結 ぶ 過 程 で 、会 社 は 分 会 に 対 し て 、一 時 金 に つ い て 、支 給 額 を 重 視 し た い こ と 、職 能 資 格 等 級( 管 理 職 を 除 く 従 業 員 は 、上 位 か ら 4 等 級 、5 等 級 、 6 等 級 、 7 等 級 、8 等 級 、 9 等 級 及 び 10等 級 に 区 分 さ れて いた。)が6 等 級 以 上 の 等 級 の 者 は 5万 円 単 位 で刻 む こと 、 7 等 級 以 下 の 等 級 の 者 の 端 数 金 額 は 万 円 単 位 で 切 り 上 げ る こ と 、査 定 ラ ン ク の 段 階( そ れ ま で の 査 定 ラ ン ク は 、 S 、A 、 B 、 C 及 び D の 5 段階)を増やすことなどを説明した。 し か し 、協 定 の 締 結 段 階 で は 、会 社 の 新 し い 考 課 査 定 の 方 法 が 決 定 さ れ て な く 、会 社 の 説 明 内 容 は 、従 来 ど お り 、定 率 に よ り 算 定 し た 額 に考課金額を加算する支給方法であった。 イ 会 社 は 、従 来 か ら 、夏 季 一 時 金 及 び 冬 季 一 時 金 の 支 給 時 期 に 、 そ れ ぞれの一時金の支給方法を決定していた。 平 成 4 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 日 の 約 1 週 間 前 に 、会 社 は 分 会 に 対 し て 、次 の 文 書 に よ り 、夏 季 一 時 金 の 支 給 方 法 を 通 知 し た 。ま た 、会 社 は 、考 課 査 定 を 行 う 管 理 職 に 対 し て も 、同 じ 文 書 に よ っ て 支 給 方 法 の 説明を行った。 「 92年 度 夏 季 賞 与 査 定 に つ い て 本年度より賞与の支給総額を重視し、次のような支給方法とする。 (中略) 1. 支給 ① 支給総額-(基本給+精皆勤手当+役職手当+ (万円単位とする) (賞与算定基準) 資 格 手 当 ) ×2.289 = 考 課 査 定 相 当 加 算 額 尚 、 役 職 手 当 、 資 格 手 当 は 3 月 31日 現 在 と す る 。 (中略) - 5 - 2. 考課査定について 従来考課査定は各等級別の考課ランクに従って査定金額を加算 する方法をとっておりましたが、本年度より支給総額によるラン クを設定し 支給総額≧基本支給額+考課査定最低保証額 を満たす事とした。 (以下略) 」 平 成 4 年 度 夏 季 一 時 金 は 、4 等 級 、5 等 級 及 び 6 等 級 の 者 に つ い て は 、5 万 円 単 位 の 額 で 支 給 さ れ 、7 等 級 、8 等 級 、9 等 級 及 び 10等 級 の 者 に つ い て は 、1 万 円 単 位 の 額 で 支 給 さ れ た 。支 給 額 は 、上 述 の 文 書 に 記 載 さ れ て い る「 支 給 総 額 」 で あ る が 、 そ の 算 定 方 法 は 定 率 に よ り算定した額に考課金額を加算するものであった。 ウ 平 成 4 年 度 夏 季 一 時 金 の 査 定 ラ ン ク と 考 課 金 額 の 関 係 は 、次 の と お りとなっていた。 な お 、会 社 は 、 こ の 考 課 査 定 ラ ン ク 表 を 、 分 会 に は 示 し て い な か っ た。 「 平 成 4 年 5 月 26日 統括本部 92年 Y2 夏季賞与について 1. 支給額 (中略) 2. 考課査定 考課査定のランク表を以下の通りとする。 1992年 度 考課金額 4級 340,000 28 28 320,000 27 (S) 300,000 26 280,000 25 25 260,000 24 (A ) 240,000 23 220,000 22 210,000 21 21 200,000 20 (A ’ ) 190,000 19 180,000 18 170,000 17 5級 6級 7級 8~ 10級 27 (S ) 26 (S) 24 (A ) 23 (A) 23 (S) 22 (S ) 20 ( A ’) 17 (B) 19 19 (A ’ ) (A ) 18 (A ) - 6 - 160,000 16 16 150,000 15 (B ) 140,000 14 130,000 13 13 120,000 12 (B ’ ) 110,000 11 100,000 10 90,000 9 9 80,000 8 (C ) 70,000 7 60,000 6 50,000 5 40,000 4 16,000 3 3 15,000 2 (D ) 2 0 1 1 (D) 1 (注)( 15 15 (B ) (A ’ ) 12 (B ’ ) 11 11 ( B) ( B ’) 10 (B ) 8 (C) 7 7 6 (C ) (B ’ ) (B ’ ) 4(C ) 4 5 5 5 (D) (D) (D) 1 14 ( A ’) 1 1 (C ) )は査定ランクを示し、当委員会が付記したものである。 (4) 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 支 給 額 の 算 定 方 法 ア 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 日 の 約 1 週 間 前 に 、会 社 は 分 会 に 対 し て 、次 の 文 書 に よ り 、冬 季 一 時 金 の 支 給 方 法 を 通 知 し た 。ま た 、会 社 は、考課査定を行う管理職に対しても、同年度夏季一時金と同様に、 この文書によって支給方法の説明を行った。 平 成 4 年 11月 17日 統括本部長 Y2 92年 度 冬 季 賞 与 支 給 に つ い て 今 回 の 賞 与 支 給 は 、 昨 年 迄 の 基 礎 支 給 額 ・考 課 額 の 別 建 表 示 か ら 、 今夏季同様支給総額を重視した万円単位の総支給額方式とする。 1. 支給 支給総額-(基本給+精皆勤手当+役職手当+資 (万円単位とする) (賞与算定基準) 格 手 当 ) ×2,289= 考 課 査 定 相 当 加 算 額 尚 、 役 職 手 当 、 資 格 手 当 は 9 月 30日 現 在 と す る 。 2. 4~6等級の支給方法 ① 同 等 級 に つ い て は 、4 等 級 115万 円 、5 等 級 110万 円 、6 等 級 105 万 円 を上 限 として考 課 査 定 相 当 額 が下 記 の最 低 保 証 額 の人 を除 き、 5万円単位とする。 ② 考課査定相当最低保証額は5万円+万円未満の端数切り上げと - 7 - する。 ③ 考課査定相当が最低保証額の人は支給総額が①の5万円単位の 額にならない場合もある。 3. 7~9等級の支給方法 支給総額は1万円単位とする。 (中 略) 5. 考課査定について 昨 年 迄 、考 課 査 定 は 各 等 級 別 の 考 課 ラ ン ク に 従 っ て 査 定 金 額 を 加 算 す る 方 法 を と っ て お り ま し た が 、本 年 度 よ り 支 給 総 額 に よ る ラ ン クを設定し 支給総額≧基本支給額+考課査定最低保証額 を満たす事とした。 以上 (以下略) 」 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 額 は 、4 等 級 、5 等 級 及 び 6 等 級 の 者 で は 、5 万 円 刻 み の 支 給 額 ラ ン ク に 査 定 ラ ン ク が 直 接 対 応 す る 方 法 で 決定された。 他 方 、7 等 級 、8 等 級 、9 等 級 及 び 10等 級 の 者 の 支 給 額 は 、同 年 度 の夏季一時金と同じ方法で決定された。 イ 平 成 4年 度 冬 季 一 時 金 の査 定 ランクと支 給 額 及 び考 課 金 額 の関 係 は、 次のとおりとなっていた。 な お 、会 社 は 、 こ の 考 課 査 定 ラ ン ク 表 を 、 分 会 に は 示 し て い な か っ た。 「 監督者(4~6等級) 92年 冬 季 賞 与 考 課 査 定 基 準 4等級 賞与算定基礎額 S 35万 円 以 上 115 115 110 105 100 35万 円 未 満 A A’B 115~ 110 110 105 100 B’C 95 D 95 90 90 85 5等級 賞与算定基礎額 S A 34万 円 以 上 110 110 105 100 95 90 85 29万 円 以 上 105 105 100 95 90 85 80 29万 円 未 満 100 85 80 75 70 95 A’B 90 B’C D 6等級 賞与算定基礎額 S A A’B 33万 円 以 上 105 105 100 B’C D 95 90 85 80 28万 円 以 上 105~ 100 95 90 85 80 75 70 28万 円 未 満 100~ 95~ 90 85 80 75 70 65 60 1993年 5 月 11日 - 8 - 作成者 「 Y2 印」 一 般 ( 7 等 級 ~ 10等 級 ) 92年 冬 季 賞 与 考 課 査 定 基 準 7等級 ラ ン 賞与算定基礎額 ク (千 円 ) 25万 円 迄 25万 円 超 30万 円 超 30万 円 迄 Ⅰ ( 2 4 0 ) S ―― ―― Ⅱ ( 1 9 0 ) A S ―― Ⅲ ( 1 5 0 ) A’ A S Ⅳ ( 1 1 0 ) B A’ A Ⅴ ( 7 0 ) B’ B A’ Ⅵ ( 4 0 ) C B’ B Ⅶ ( 1 6 ) D C、D B’、C、D 8 ~ 10等 級 ラ ン 賞与算定基礎額 ク (千 円 ) 23万 円 迄 23万 円 超 28万 円 超 28万 円 迄 Ⅰ ( 2 2 0 ) S ―― ―― Ⅱ ( 1 8 0 ) A S ―― Ⅲ ( 1 4 0 ) A’ A S Ⅳ ( 1 0 0 ) B A’ A Ⅴ ( 6 0 ) B’ B A’ Ⅵ ( 4 0 ) C B’ B Ⅶ ( 1 5 ) D C、D B’、C、D 1993年 5 月 11日 作成者 ( 注 ) 査 定 Ⅰ ~ Ⅶ の( Y2 印」 )の 考 課 金 額 は 、平 成 4 年 度 夏 季 一 時 金 の 考 課査定ランク表に準じ、当委員会が付記したものである。 ウ 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 支 給 に 関 す る 会 社 の 考 え 方 は 、各 従 業 員 の 一 時 金 の 支 給 額 は 、 当 人 の 業 績 を 反 映 し た も の で あ る べ き で あ り 、「 支 給総額」を重視するというものであった。 4 等 級 、5 等 級 及 び 6 等 級 の 者 に つ い て は 、考 課 査 定 ラ ン ク 表 か ら 直接に支給額が決定される方式であった。 7 等 級 、 8 等 級 、9 等 級 及 び 10等 級 の 者 に つ い て は 、 従 来 の よ う に 定 率 に よ る 支 給 額 に 考 課 金 額 を 加 算 す る 方 式 で あ っ た が 、算 定 基 礎 額 ( 基 本 給 、 精 皆 勤 手 当 、役 職 手 当 、及 び 資 格 手 当 の 額 の 合 計 額 ) を そ の 額 に よ っ て 3 ラ ン ク に 区 分 す る こ と に よ り 、算 定 基 礎 額 の 高 い 者 の 考課金額を抑える方式であった。 - 9 - (5) 平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 支 給 額 の 算 定 方 法 ア 平 成 5 年 5 月 21日 、 会 社 と 分 会 と は 、 次 の よ う な 協 定 を 締 結 し た 。 「 1993年 度 年 間 総 賃 金 に 関 す る 協 定 書 1993年 度 年 間 総 賃 金 に 関 し 、 会 社 と 組 合 に 於 い て 交 渉 の 結 果 、 下 記 の 内 容 で 合 意 を み た の で 、こ こ に 文 書 を も っ て 協 定 し 、そ れ ぞ れ 各壱通を保有する。 記 (中略) 〔 2 〕 1993年 度 一 時 金 1. 支給額及び配分 夏 季 : 一 時 金 算 定 基 準 の 2.50ヶ 月 ( 内 考 課 査 定 枠 0.40ヶ 月 を含む)する。 年 末 : 一 時 金 算 定 基 準 の 2.50ヶ 月 ( 内 考 課 査 定 枠 0.40ヶ 月 を含む)する。 一時金算定基準とは(新基本給+精皆勤手当+資格・役職 手当)とする。 (中略) 4. 支払日 夏季・7月2日(金)を目途とする。 年末 イ 12月 3 日 ( 金 ) を 目 途 と す る 。 」 平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 日 の 約 1 週 間 前 に 、会 社 は 分 会 に 対 し て 、次 の 文 書 に よ り 、 夏 季 一 時 金 の 支 給 方 法 を 通 知 し た 。ま た 、こ の 年 、Y 2 常 務 取 締 役 統 括 本 部 長 ら は 、特 に 各 事 業 所 を 回 り 、考 課 査 定 を す る 部 課 長 に 同 じ 文 書 を 配 布 し て 、一 時 金 の 支 給 方 法 な ど に つ い て 説明した。 「 1993年 6 月 24日 統括本部長 1993年 度 夏 季 賞 与 に つ い て 今回の賞与支給は、下記の方式により行うこととします。 従来より賞与は支給総額そのものが会社への貢献度となるという考 え 方 で 考 課 査 定 を 行 っ て 来 ま し た 。こ れ ら を 明 確 化 す る 為 に 同 一 成 果 で ある 場 合 は賞 与 算 定 基 礎 額 の 少 な い人 に考 課 加 算 額 が 従 来 同 様 多 く 配分されように致しました。 (中略) 〔1〕支給方法 支給総額は昨年度同様万円単位とする。 支給総額-(基本給+精皆勤手当+資格・役職手当) (万円単位) (賞与算定基礎額) ×2.1= 考 課 査 定 相 当 加 算 額 と し 、 考 課 査 定 相 当 額は各等級毎の最低保障額を保障する。 - 10 - 尚 、 資 格 ・ 役 職 手 当 は 3 月 31日 現 在 と す る 。 〔 2〕4~ 6等 級 の支 給 方 法 は総 額 支 給 方 式 として次 のとおりとする。 1 . 4 等 級 に つ い て は 110万 円 、 5 等 級 105万 円 、 6 等 級 100万 円 を総支給額の上限とし、総支給額を決定する。 2. 総支給額は考課査定相当額が下記最低保障の人を除き、5万 円単位とする。 3. 考課査定相当加算額の最低保障額は4万円とし、最低保障額 の 場 合 は 、5 万 円 単 位 の 金 額 に 拘 ら ず 、基 礎 支 給 額 + 4 万 円 + 万円未満の端数切上げ額とする。 4. 賞与考課の評価点は総支給額および考課相当加算額の各項目 毎 に 評 価 点 を 設 定 し そ の 合 計 点 と す る 。( 別 表 ) 〔 3 〕7 ~ 9 等 級 の 支 給 方 法 は 基 礎 支 給 額 に 査 定 相 当 額 を 加 算 す る 方 式とする。 1. 賞与考課の評価点は総支給額および考課相当加算額の各項目 毎 に 評 価 点 を 設 定 し そ の 合 計 点 と す る 。( 別 表 ) (以下、略) 別表 ウ (略) 」 平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 査 定 ラ ン ク と 考 課 金 額 の 関 係 は 、次 の と お りとなっていた。 な お 、会 社 は 、 こ の 考 課 査 定 ラ ン ク 表 を 、 分 会 に は 示 し て い な か っ た。 「 1993年 5 月 勤労部 1993年 度 夏 季 賞 与 考課査定基準(案) 4等級 単位:万円 賞与算定基礎額 37万 円 以 上 37万 円 未 満 S A 110 110 105 A’ B B’ C D 105 100 95 90 85 100 95 90 85 80 ※ 考 課 査 定 相 当 加 算 額 は 32万 円 以 下 と す る 。 5等級 単位:万円 賞与算定基礎額 S 35万 円 以 上 31万 ~ 35万 未 A 105 A’ B B’ C D 100 95 90 85 80 105 100 95 90 85 80 75 95 90 85 80 75 70 65 満 31万 円 未 満 ※ 考 課 査 定 相 当 加 算 額 は 30万 円 以 下 と す る 。 6等級 単位:万円 賞与算定基礎額 34万 円 以 上 S A 100 - 11 - A’ B B’ C D 95 90 85 80 75 29万 ~ 34万 未 95 90 85 80 75 70 65 85 80 75 70 65 60 55 満 29万 円 未 満 ※ 考 課 査 定 相 当 加 算 額 は 28万 円 以 下 と す る 7等級 賞与算定基礎額 考 課 相 当 金 額 220千 円 27万 円 迄 27万 円 ~ 32万 円 32万 円 超 S ―― ―― 180 A S ―― 140 A’ A S 100 B A’ A 60 B’ B A’ 35 C B’ B 15 D C B’ ※ 総 支 給 額 の 上 限 を 90万 円 と す る 。 8 ~ 10等 級 賞与算定基礎額 考課相当金額 210千 円 24万 円 迄 24万 円 ~ 28万 円 28万 円 超 S ―― ―― 170 A S ―― 130 A’ A S 90 B A’ A 50 B’ B A’ 35 C B’ B 14 D C B’ ※ 総 支 給 額 の 上 限 を 80万 円 と す る 。 4 平成4年度夏季一時金、同冬季一時金及び平成5年夏季一時金の支給額 と考課査定の状況 (1) 一 時 金 支 給 額 の 状 況 ア 平 成 4 年 度 の 夏 季 一 時 金 及 び 冬 季 一 時 金 は 、そ れ ぞ れ 平 成 4 年 7 月 3 日 及 び 同 年 12月 4 日 に 、平 成 5 年 夏 季 一 時 金 は 、平 成 5 年 7 月 2 日 に支給された。 イ 分 会 の 組 合 員 ( 以 下 「 分 会 員 」 と い う 。) に 支 給 さ れ た 一 時 金 の 支 給額は、次のとおりであった。 (単位:円) - 12 - 氏 ウ 名 平成4年度 平成4年度 平成5年度 夏季一時金 冬季一時金 夏季一時金 支 支 支 給 額 給 額 給 額 X3 1,100,000 1,000,000 850,000 X4 1,100,000 1,100,000 ―― X5 1,050,000 1,000,000 950,000 X6 1,100,000 1,100,000 ―― X7 1,050,000 1,000,000 950,000 X8 1,050,000 1,000,000 900,000 X9 920,000 920,000 850,000 X 10 950,000 850,000 800,000 X 11 950,000 950,000 900,000 X 12 1,000,000 950,000 900,000 X 13 1,000,000 950,000 900,000 X 14 850,000 800,000 750,000 X 15 800,000 770,000 720,000 X 16 880,000 880,000 820,000 X 17 870,000 870,000 810,000 X 18 910,000 870,000 810,000 X 19 900,000 900,000 830,000 X2 900,000 870,000 810,000 X 20 670,000 640,000 600,000 X 21 780,000 780,000 720,000 X 22 610,000 610,000 560,000 X 23 640,000 640,000 590,000 X 24 800,000 800,000 740,000 X 25 620,000 620,000 580,000 X 26 620,000 620,000 580,000 X 27 590,000 590,000 550,000 X 28 600,000 560,000 520,000 X 29 590,000 550,000 520,000 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 支 給 当 時 、分 会 員 で あ っ た 28名 の う ち 、そ の 支 給 額 が同 年 度 夏 季 一 時 金 の支 給 額 と比 較 して減 額 になった者 は14名 で あ り 、同 額 の 者 は 14名 で あ っ た 。こ の 減 額 に な っ た 14名 の 者 が 、平 成 4 年 ( 不 ) 第 23号 事 件 の 救 済 申 立 対 象 者 と な っ て い る 。 上 記 の 分 会 員 28名 の う ち 、X 6 は 平 成 4 年 12月 9 日 に 、X 4 は 同 月 15日 に 、X 10は 平 成 5 年 10月 末 に 、X 29は 平 成 6 年 4 月 に 、そ れ ぞ れ 分会を脱退した。 - 13 - エ 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 支 給 額 が 減 額 に な っ た 14名 の 分 会 員 の う ち 、 当 時 、 分 会 の 役 員 で あ っ た 者 は 、 X 3 、 X 8 、X 9 、X 12、X 18及 び X2である。 オ 平 成 5 年( 不 )第 12号 不 当 労 働 行 為 救 済 申 立 事 件( 以 下「 平 成 5 年 ( 不 ) 第 12号 事 件 」 と い う 。) の 救 済 申 立 対 象 者 は 、 平 成 4 年 ( 不 ) 第 23号 事 件 の 救 済 申 立 対 象 者 の う ち 、 X 3 を 除 い た 13名 で あ る 。 (2) 一 時 金 に 係 る 考 課 査 定 の 状 況 一時金に係わる分会員の査定ランクの推移は、次のとおりである。 なお、会社は、組合及び分会に対して、分会員の査定ランクを示して いなかった。 平成3年度 氏名 平成4年度 平 成 5年度 夏 季 冬 季 夏 季 冬 季 季 一時金 一時金 一時金 X3 B B B B’ H X4 A A A A’ ― X5 B B B B’ B’ X6 A B A’ A’ ― X7 B B B B B X8 B B B B B’ X9 D D D D C X 10 A A A B B X 11 B B B B B X 12 B B B B B X 13 B B B’ B B X 14 A A A A’ A’ X 15 C C B’ B B X 16 B B B A A X 17 B B B A A X 18 B B B A’ A’ X 19 C C B’ A’ A’ X2 C C B’ B B X 20 C C C C C X 21 D D D C C X 22 C C D C C X 23 C C C B’ B’ X 24 D D D C C X 25 D D D C C - 14 - 一時金 夏 一時金 X 26 D D D C C X 27 D D D C C X 28 B B B B’ C X 29 B B B B’ B’ ( 注 ) H は 、 年 齢 が 57歳 以 上 の 従 業 員 で 、 考 課 金 額 が 最 低 保 障 額 と な る 者を示している。 な お 、X 4 及 び X 6 は 、分 会 を 脱 退 し た た め 、平 成 5 年 度 夏 季 一 時金に係る査定ランクに関する資料が提出されていない。 (3) 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 に お け る 支 給 額 の 増 減 と 査 定 ラ ン ク の 変 化 と の 関係(平成4年度夏季一時金との比較) ア 一 時 金 支 給 額 の 増 減 に つ い て 見 る と 、 管 理 職 を 除 い た 従 業 員 512名 の う ち 、 支 給 額 が 増 額 に な っ た 者 が 69名 ( 13.5% )、 支 給 額 が 減 額 に な っ た 者 が 63名 ( 12.3% ) で あ り 、 約 75% の 従 業 員 ( 380名 ) は 支 給 額の増減がなかった。 分 会 員 28名 について 見 ると、支 給 額 が 増 額 に な っ た 者 が 0 名( 0% )、 支 給 額 が 減 額 に な っ た 者 が 14名( 50.0% )で あ り 、50% の 分 会 員( 14 名)の支給額の増減がなかった。 ま た 、分 会 員 以 外 の 従 業 員 に つ い て 見 る と 、49名 の 者 は 支 給 額 が 減 額になっていた。 イ 一 時 金 に 係 る 査 定 ラ ン ク の 変 化 に つ い て 見 る と 、管 理 職 を 除 い た 従 業 員 512名 の う ち 、 2 ラ ン ク 以 上 下 が っ た 者 が 24名 ( 4.7% )、 1 ラ ン ク下 がった者 が73名( 14.3% )、ランクに変 化 のない者 が237名( 46.3% )、 1 ラ ン ク 上 が っ た 者 が 94名 ( 18.4% )、 2 ラ ン ク 以 上 上 が っ た 者 が 84 名 ( 16.4% ) で あ っ た 。 分 会 員 28名 について見 ると、2ランク以 上 下 がった者 が1名( 3.6% )、 1 ラ ン ク 下 が っ た 者 が 6 名 ( 21.4% )、 ラ ン ク に 変 化 の な い 者 が 7 名 ( 25% )、 1 ラ ン ク 上 が っ た 者 が 9 名( 32.1% )、 2 ラ ン ク 以 上 上 が っ た 者 が 5 名 ( 17.9% ) で あ っ た 。 ま た 、分 会 員 以 外 の 従 業 員 に つ い て 見 る と 、90名 の 者 は 査 定 ラ ン ク が下がっていた。 ウ 一時金の支給額の増減とそれに係る査定ランクの変化との関係をみ ると、次のとおりである。 (ア) 管 理 職 を 除 く 従 業 員 査定ランク -2 以上 (単位:名) -1 0 +1 +2 以上 合 計 支給額増額 0 17 23 21 8 69 支給額同額 13 26 202 64 75 380 - 15 - 支給額減額 11 30 12 9 1 63 合 24 73 237 94 84 512 計 (イ) 分 会 員 (単位:名) 査 定 ラ ンク -2 以上 -1 0 +1 +2 以上 合 計 支 給 額 増額 0 0 0 0 0 0 支 給 額 同額 0 1 3 5 5 14 支 給 額 減額 1 5 4 4 0 14 合 1 6 7 9 5 28 計 (ウ) 7 等 級 の 者 (単位:名) 査定ランク -2 以上 -1 0 +1 +2 以上 合 計 支給額増額 0 0 10 8 3 21 支給額同額 0 1 17 7 46(3) 71(3) 支給額減額 1 7 3 7(3) 0 18(3) 合 1 8 30 22(3) 49(3) 110(6) 計 ( 注 )( )は分会員を示している。 な お 、 8 等 級 、 9 等 級 及 び 10等 級 の 者 に つ い て は 省 略 し た 。 エ 7 等 級 で 、査 定 ラ ン ク が 上 が っ て い る 者 が 多 い こ と に つ い て 、会 社 は 、「 総 額 支 給 方 式 」 に 移 行 し た 場 合 、 算 定 基 礎 額 の 高 い 者 に 査 定 ラ ン ク を 付 け な い と 一 時 金 支 給 額 が 急 激 な 減 額 に な っ て し ま う の で 、考 課 査 定 に際 してある程 度 考 慮 した 旨 を、本 件 審 問 におい て、陳 述 し た。 (4) 平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 に お け る 支 給 額 の 増 減 と 査 定 ラ ン ク の 変 化 と の 関係(平成4年度冬季一時金との比較) 上 記 3 の (3)ア 及 び (5)の ア で 述 べ た と お り 、平 成 4 年 度 及 び 平 成 5 年 度 の 一 時 金 の 平 均 支 給 率 等 が 異 な る の で 、そ の 平 均 支 給 率 等 の 違 い を 考 慮 し て 、平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 額 を 修 正 し 、そ の 修 正 し た 額 を 平 成 4年 度 冬 季 一 時 金 の支 給 額 と対 比 して、その増 減 について見 てみると、 次のとおりである。 ア 一 時 金 支 給 額 の 増 減 に つ い て 見 る と 、 管 理 職 を 除 い た 従 業 員 501名 の う ち 、 支 給 額 が 増 額 に な っ た 者 が 75名 ( 15.0% )、 支 給 額 が 減 額 に な っ た 者 24名( 4.8% )で あ り 、 約 80% の 従 業 員( 402名 )は 支 給 額 の 増減がなかった 分 会 員 26名 に つ い て 見 る と 支 給 額 が 増 額 に な っ た 者 が 0 名 ( 0% )、 支 給 額 が 減 額 に な っ た 者 が 3 名( 11.5% )で あ り 、約 88% の 分 会 員( 23 名)は支給額の増減がなかった。なお、支給額が減額した分会員は、 X 3 、 X 8 及 び X 28で あ る 。 - 16 - ま た 、分 会 員 以 外 の 従 業 員 に つ い て 見 る と 、21名 の 者 は 支 給 額 が 減 額になっていた。 イ 一 時 金 に 係 わ る 査 定 ラ ン ク の 変 化 に つ い て 見 る と 、管 理 職 を 除 い た 従 業 員 501名 の う ち 、 2 ラ ン ク 以 上 下 が っ た 者 が 5 名 ( 1.0% )、 1 ラ ンク下 がった者 が37名( 7.4% )、ランクに変 化 のない者 が384名( 76.6% )、 1 ラ ン ク 上 が っ た 者 が 72名 ( 14.4% )、 2 ラ ン ク 以 上 上 が っ た 者 が 3 名 ( 0.6% ) で あ っ た 。 分 会 員 26名 について見 ると、2ランク以 上 下 がった者 が1名( 3.8% )、 1 ラ ン ク 下 が っ た 者 が 2 名 ( 7.7% )、 ラ ン ク に 変 化 の な い 者 が 23名 ( 88.5% )、 1 ラ ン ク 上 が っ た 者 が 0 名 ( 0 % ) 2 ラ ン ク 以 上 上 が っ たもの0名(0%)であった。 ま た 、分 会 員 以 外 の 従 業 員 に つ い て 見 る と 、39名 の 者 は 査 定 ラ ン ク が下がっていた。 ウ 一 時 金 の支 給 額 の 増 減 と そ れ に 係 る 査 定 ラ ン ク の 変 化 と の 関 係 を見 ると、次のとおりである。 (ア) 管理職を除く従業員 査定ランク -2 以上 (単位:名) -1 0 +1 +2 以上 合 計 支給額増額 0 0 2 70 3 75 支給額同額 1 19 380 2 0 402 支給額減額 4 18 2 0 0 24 合 5 37 384 72 3 501 計 (イ) 分 会 員 (単位:名) 査定ランク -2 以上 -1 0 +1 +2 以上 合 計 支給額増額 0 0 0 0 0 0 支給額同額 0 0 23 0 0 23 支給額減額 1 2 0 0 0 3 合 1 2 23 0 0 26 計 (ウ) 7 等 級 の 者 (単位:名) 査定ランク -2 以上 -1 0 +1 +2 以上 合 計 支給額増額 0 0 1 12 1 14 支給額同額 0 8 81(6) 0 0 89(6) 支給額減額 0 4 2 0 0 6 合 0 12 84(6) 12 1 109(6) 計 - 17 - ( 注 )( )は分会員を示している。 な お 、 8 等 級 、 9 等 級 及 び 10等 級 の 者 に つ い て は 省 略 し た 。 エ 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 と 平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 に つ い て 、支 給 額 の 増 減 と そ れ に 係 る 査 定 ラ ン ク の 変 化 と を 対 比 す れ ば 、管 理 職 を 除 く 分 会 員 以 外 の 従 業 員 及 び 分 会 員 と も に 、支 給 額 及 び 査 定 ラ ン ク の 変 動 は 減少した。 5 分会具に対する会社の一時金の考課査定に関する説明 会 社 で は 、昭 和 54年 頃 か ら 、一 時 金 の 支 給 日 直 前 に 、一 時 金 の 考 課 査 定 を実 施 した直 属 の管 理 職 が部 下 と個 別 に面 接 を行 い、査 定 結 果 、査 定 理 由 、 支給額などについて説明を行っていた。 平成4年度冬季一時金及び平成5年度夏季一時金についても、それぞれ の支給日直前に、各分会員は、管理職から査定結果、査定理由、支給額な どについて説明を受けた。 その説明の概要は、次のとおりであった。 (1) X 3 ア 平成4年度冬季一時金(査定1ランク下降) 説明者は、支給額及び評価点に言及した。 加 え て 、説 明 者 は 、評 価 点 が 満 点 に 近 い 位 置 付 け で あ る と い う 自 覚 に基づいて仕事を進めてほしいと述べた。 イ 平成5年度夏季一時金(査定は最低保障) 説 明 者 は 、支 給 額 及 び 考 課 金 額 の 最 低 保 障 額 に 言 及 し 、役 職 定 年 に なったのでこのような支給額になったと述べた。 (2) X 5 ア 平成4年度冬季一時金(査定1ランク下降) 説 明 者 は 、支 給 額 と 評 価 点 に 言 及 し た が 、支 給 額 の 減 額 に つ い て の 説明をしなかった。 イ 平成5年度夏季一時金(査定ランク変更なし) 説明者は、支給額に言及した。 (3) X 7 ア 平成4年度冬季一時金(査定ランク変更なし) 説 明 者 は 、支 給 額 と 評 価 点 に 言 及 し 、支 給 額 の 減 額 は 与 え ら れ た 仕 事が期限までにできなかったためであると述べた。 加 え て 、 説 明 者 は 、 I S O 9000と い う 機 種 の 資 料 が で き て い な い 、 ゲージの管理規定を作成してほしいなどと述べた。 イ 平成5年度夏季一時金(査定ランク変更なし) 説明者は、支給額と評価点に言及した。 (4) X 8 ア 平成4年度冬季一時金(査定ランク変更なし) 説 明 者 は 、最 初 に 評 価 点 に 言 及 し、支 給 額 が減 額 にな ったと述 べ た。 加えて、支給額の減額は会社の販売成績が落ちているためである、 - 18 - 査定ランクは夏季一時金と同じランクであると説明した。 イ 平成5年度夏季一時金(査定1ランク下降) 説明者は、最初に評価点に言及し、次に支給額を説明した。 加 え て 、説 明 者 は 、支 給 額 が 減 額 に な っ た こ と に つ い て 、春 闘 の 結 果、一時金の支給月数が減っているからではないかと述べた。 (5) X 10 ア 平成4年度冬季一時金(査定2ランク下降) 説 明 者 は 、支 給 額 が 減 額 に な っ た こ と と 、そ れ は 横 浜 営 業 所 の 成 績 が悪かったからであるというようなことを説明した。 イ 平成5年度夏季一時金(査定ランク変更なし) 説 明 者 は 、前 任 者 の 評 価 の た め 、特 に コ メ ン ト を し な か っ た が 、支 給額を記載したメモを渡した。 (6) X 12 ア 平成4年度冬季一時金(査定ランク変更なし) 説 明 者 は 、支 給 額 と 評 価 点 に 言 及 し 、支 給 額 の 減 額 は 支 給 方 法 の 変 更と病気欠勤のためであると述べた。 ま た 、説 明 者 は 、病 気 欠 勤 は 自 己 管 理 が で き て い な い か ら で あ る と 述べた。 イ 平成5年度夏季一時金(査定ランク変更なし) 説明者は、支給額と評価点に言及した。 ま た 、 説 明 者 は 、 X 12の 健 康 状 態 を 尋 ね た 。 (7) X 13 ア 平成4年度冬季一時金(査定1ランク上昇) 説 明 者 は 、評 価 点 に 言 及 し た だ け で 、支 給 額 に つ い て 説 明 を し な か った。説明者は、支給額が減額になった理由について、特に説明しな かった。 イ 平成5年度夏季一時金(査定ランク変更なし) 説明者は、支給額及び評価点を説明した。 (8) X 14 ア 平成4年度冬季一時金(査定1ランク下降) 説 明 者 は 、支 給 額 が 減 額 に な っ た と 述 べ 、 そ の 理 由 は 、カ タ ロ グ の 制 作 に あ た っ て 、周 囲 と の 調 整 を せ ず に 独 自 の 判 断 で そ れ を 作 っ た の が「成長性」の不足に相当すると説明した。 イ 平成5年度夏季一時金(査定ランク変更なし) 説 明 者 は 、支 給 額 と 評 価 点 に 言 及 し 、支 給 額 は 夏 季 一 時 金 と 同 額 で あるというような趣旨の説明をした。 (9) X 15 ア 平成4年度冬季一時金(査定1ランク上昇) 説明者は、支給額及び評価点に言及した。 加 え て 、 説 明 者 は 、 資 料 の コ メ ン ト が 客 観 性 に 欠 け 、「 成 長 性 」 が - 19 - 不足しているという理由で評価点を下げたと説明した。 イ 平成5年度夏季一時金(査定ランク変更なし) 説 明 者 は 、前 任 者 の 評 価 で あ る と 言 う だ け で 、具 体 的 な 説 明 を し な かった。 (10) X 18 ア 平成4年度冬季一時金(査定1ランク上昇) 説明者は、支給額及び評価点に言及した。 ま た 、説 明 者 は 、担 当 業 務 が 変 わ っ た が 、 他 の 人 よ り は 覚 え が 早 い と ほ め る 一 方 で 、支 給 額 の 減 額 は Q C 活 動 に 活 発 で な い た め で あ る と 説明した。 イ 平成5年度夏季一時金(査定ランク変更なし) 説明者は、支給額と評価点に言及した。 ま た 、 説 明 者 は 、 X 18の 担 当 業 務 に つ い て 尋 ね た 。 (11) X 2 ア 平成4年度冬季一時金(査定1ランク上昇) 説 明 者 は 、支 給 額 が 減 額 し た こ と に つ い て 、担 当 業 務 で あ る 塗 装 に お い て 塗 り む ら が 多 発 し 、仕 事 の 成 果 が あ ま り 上 が っ て い な い か ら で あると説明した。 イ 平成5年度夏季一時金(査定ランク変更なし) 説明者は、支給額と評価点に言及した。 (12) X 20 ア 平成4年度冬季一時金(査定ランク変更なし) 説明者は、支給額に言及したが、評価点には言及しなかった。 ま た 、説 明 者 は 、支 給 額 の 減 額 に つ い て 、 年 次 有 給 休 暇 を ま と め て 取 得 し た た め で あ る と 述 べ た 。加 え て 、説 明 者 は 、担 当 業 務 の 改 良 及 び 改 善 を 求 め た に も か か わ ら ず 、改 善 な ど を し な か っ た た め で も あ る と説明した。 イ 平成5年度夏季一時金(査定ランク変更なし) 説明者は、支給額と評価点に言及した。 続 け て 、説 明 者 は 、担 当 業 務 の 改 善 に つ い て 、資 料 を 出 す よ う に 指 示したがまだ提出されていないことに言及した。 そ の 後 、 説 明 者 と X 20と は 、 業 務 の 役 割 に つ い て 話 し 合 っ た 。 (13) X 28 ア 平成4年度冬季一時金(査定1ランク下降) 説 明 者 は 、支 給 額 に 言 及 し 、支 給 額 の 減 額 は 出 勤 時 間 が ぎ り ぎ り で 勤務態度がよくないためであると説明した。 イ 平成5年度夏季一時金(査定1ランク下降) 説明者は、支給額と評価点に言及した。 加えて、説明者は、前任者の評価であると説明した。 (14) X 29 - 20 - ア 平成4年度冬季一時金(査定1ランク下降) 説 明 者 は 、支 給 額 と 査 定 を 1 ラ ン ク 下 げ た こ と に 言 及 し 、支 給 額 の 減 額 は 、専 門 的 知 識 を 身 に つ け て も ら わ な く て は 困 る の で 、今 回 は 勉 強してもらうためであると説明した。 イ 平成5年度夏季一時金(査定ランク変更なし) 説 明 者 は 、支 給 額 と 評 価 点 に 言 及 し 、支 給 額 は 夏 季 一 時 金 と 同 額 で あると述べた。 会社は、一時金の査定結果、査定理由、支給額などについて、逐一全 部を説明することはなく、初めての考課査定の場合やその期間に特別な こ と が あ っ た 者 に は 査 定 理 由 を 説 明 し 、通 常 の 場 合 に は 、支 給 額 、 評 価 点、注意すべき事項などを説明していた。 平成4年冬季一時金及び平成5年度夏季一時金の考課査定に関する説 明においても、分会員に対して、査定理由などを言った場合と言わない 場合とがあり、その説明の仕方は様々であった。 また、平成5年度夏季一時金について、会社は、統括本部長を中心と して、考課査定をする部課長に対して「総額支給方式」を説明するとと もに、一時金の考課査定に関する説明のための面接を実施する管理職に 対 しては、面 接 時 に評 価 点 と支 給 額 は必 ず説 明 するように指 導 していた。 面 接 を 実 施 し た 管 理 職 に は 、「 総 額 支 給 方 式 」 に 言 及 す る 者 も 言 及 し ない者もいた。 6 分 会 員 X 3 及 び X 14の 一 時 金 の 査 定 理 由 に 関 連 す る 事 項 (1) X 3 が 担 当 し た 前 方 交 会 法 の ソ フ ト ウ ェ ア は 、 平 成 4 年 6 月 頃 に 骨 格 が完成し、取扱説明書ももとめられたが、測定精度上でいろいろな問題 があり、平成4年冬季一時金に係わる査定対象期間である同年9月まで に、製品として納入することができなかった。 (2) X14が作 成 したカタログの内 「 、 GPS」という測 量 機 械 のカタログは、 平成4年9月に印刷され、その後、2度増刷された。会社は、このカタ ロ グ を 内 容 の 乏 し い も の と 評 価 し て い た 。ま た 、 「 S E T 5 」及 び「 ブ ロ ス 」 と い う 測 量 機 械 の カ タ ロ グ は 、 そ れ ぞ れ 平 成 3 年 12月 及 び 平 成 4 年 6月に印刷されたものであった。それらは、いずれも、男性アスリート の図柄を使用していたが、会社は、イメージや内容で問題のあったカタ ログと評価していた。 7 平成4年度冬季一時金支給後の労使交渉の推移 (1) 平 成 4 年 ( 不 ) 第 23号 事 件 申 立 て ま で の 経 過 ア 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 日 直 後 の 平 成 4 年 12月 7 日 、組 合 及 び 分 会 は 、会 社 に 対 し て 、一 時 金 の 支 給 額 の 減 額 に つ い て 、団 体 交 渉 を 申し入れた。 イ 会 社 は 、こ の 団 体 交 渉 の 議 題 が 具 体 的 で な い と の 理 由 で 、組 合 及 び 分会に対して、議題の具体的内容の説明を求める旨の回答をしたが、 組 合 及 び 分 会 の 再 度 の 団 体 交 渉 を 求 め る 申 入 れ に 対 し て 、平 成 4 年 12 - 21 - 月 15日 も し く は同 月 17日 に 松 田 工 場 で 団 体 交 渉 に 応 ず る 旨 の 回 答 を し た。 ウ 平 成 4 年 12月 16日 及 び 同 月 17日 、団 体 交 渉 の 開 始 時 間 及 び 開 催 場 所 に つ い て 、労 使 間 で 再 度 の 事 務 折 衝 を 行 っ た が 、合 意 に 至 ら ず 、同 日 に予定されていた団体交渉を実施することができなかった。 エ そ こ で 、会 社 は 、平 成 4 年 12月 24日 の 午 後 5 時 か ら 1 時 間 程 度 の 団 体 交 渉 を 松 田 工 場 で 実 施 す る こ と を 提 案 し た が 、こ れ も 開 催 場 所 に つ い て 労 使 間 で 合 意 に 至 ら ず 、結 局 、同 年 内 に 団 体 交 渉 を 実 施 す る こ と はできなかった。 な お 、こ れ ま で 、組 合 及 び 分 会 と 会 社 と は 、団 体 交 渉 を 松 田 工 場 で 実 施 す る 場 合 、午 後 6 時 30分 か ら 午 後 7 時 頃 に か け て 開 始 す る こ と が 多かった。 (2) 平 成 5 年 ( 不 ) 第 12号 事 件 申 立 時 ま で の 経 過 ア 分 会 は 、平 成 5 年 5 月 、平 成 5 年 度 の 年 間 総 賃 金 に 関 し て 、会 社 と 交 渉 し た 際 に 、ま た 、同 年 6 月 末 、同 年 度 の 夏 季 一 時 金 の 支 給 方 法 に つ い て 、会 社 が 分 会 に 通 知 し た 際 に 、平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 方 法 も し く は 会 社 が 主 張 す る 一 時 金 の「 総 額 支 給 方 式 」に つ い て 、特 に 会社に質問をしたことはなかった。 イ 平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 は 、平 成 5 年 7 月 2 日 に 支 給 さ れ た が 、支 給 日 直 前 に会 社 が行 った従 業 員 に対 する一 時 金 の考 課 査 定 に関 する説 明 に お い て も 、 分 会 員 が 、 上 司 に 対 し て 、「 総 額 支 給 方 式 」 に つ い て 特 に説明を求めたことはなかった。 分 会 が 、「 総 額 支 給 方 式 」 が ど の よ う な 一 時 金 の 考 課 査 定 方 式 で あ るかを理 解 したのは、当 委 員 会 における本 件 の調 査 及 び審 問 を通 じて、 同年の夏頃であった。 ウ 平成5年度夏季一時金の支給後、組合及び分会は、平成4年(不) 第 23号 事 件 が 当 委 員 会 に 係 属 中 で あ り 、そ の 中 で 平 成 4 年 度 冬 季 に 支 給 さ れ た 一 時 金 の 減 額 理 由 を 争 っ て い る と の 理 由 で 、平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 額 が平 成 4年 度 夏 季 一 時 金 の そ れ と比 較 し て減 額 に な っ ていることを議 題 にした団 体 交 渉 を会 社 に申 し入 れたことはなかった。 ま た 、会 社 は 、平 成 5 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 時 か ら 、文 書 を 読 み 上 げる形で一時金の考課査定に関する説明を行うようになった。 8 本件申立て等について (1) 平 成 4 年 ( 不 ) 第 23号 事 件 平 成 4 年 12月 28日 、申 立 人 ら は 、被 申 立 人 が 、① 分 会 員 の 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の支 給 額 を 正 当 な理 由 なく同 年 度 夏 季 一 時 金 の支 給 額 に 比 較 し て 減 額 し た こ と 、② こ の こ と に 関 し て 、組 合 及 び 分 会 が 団 体 交 渉 を 申 し 入 れ た に も か か わ ら ず 、誠 実 に 対 応 を し な か っ た こ と 、が 不 当 労 働 行 為に該当するとして、本件申立てに及んだ。 請求する救済内容は次のとおりである。 - 22 - ① 平成4年度冬季一時金の支給額の差別是正及びバックペイ ② 誠実な団体交渉の実施 ③ 不利益取扱の禁止 ④ ポストノーチス (2) 平 成 5 年 ( 不 ) 第 12号 事 件 平 成 5 年 10月 4 日 、申 立 人 ら は 、被 申 立 人 が 分 会 員 の 平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の支 給 額 を 正 当 な理 由 な く 平 成 4 年 度 夏 季 一 時 金 の支 給 額 に 比 較 して減額したことが不当労働行為に該当するとして、本件申立てに及ん だ。 請求する救済内容は次のとおりである。 ① 平成5年度夏季一時金の支給額の差別是正及びバックペイ ② 不利益取扱の禁止 ③ ポストノーチス 平 成 5 年 11月 1 日 、当 委 員 会 は 、平 成 4 年( 不 )第 23号 事 件 及 び 平 成 5 年 ( 不 ) 第 12号 事 件 を 併 合 し た 。 (3) 分 会 員 の 一 時 金 支 給 額 と 本 件 救 済 申 立 対 象 者 分 会 員 の 平 成 4 年 度 夏 季 一 時 金 、同 年 度 冬 季 一 時 金 及 び 平 成 5 年 度 夏 季一時金の支給額、本件申立ての救済申立対象者等については、別表の とおりである。 (4) 本 件 結 審 前 後 の 労 使 事 情 本 件 結 審 前 後 の 、当 委 員 会 に お け る 和 解 等 及 び 当 事 者 に よ る 自 主 交 渉 において、本件の話合いによる解決、労使関係の正常化などが模索され た。 こ れ ら の 話 合 い に お い て 、当 事 者 間 の 懸 案 事 項 で あ っ た「 労 使 協 議 会 設 置 問 題 」、「 人 事 に 係 る 協 定 締 結 問 題 」な ど で は 、か な り 具 体 的 な 話 合 い が な さ れ た も の の 、そ の 他 の 問 題 で は 話 し 合 い が 進 展 せ ず 、結 局 、当 委員会における和解及び当事者による自主交渉は不調に終わった。 第2 1 判断及び法律上の根拠 当事者の主張 (1) 申 立 人 の 主 張 被申立人が、分会員の一部に対し、平成4年度冬季一時金及び平成5 年度夏季一時金の支給において、査定ランクを下げ、支給額を減額した こ と は 、分 会 員 の 組 合 活 動 を 理 由 と す る 不 利 益 取 扱 で あ り 、労 働 組 合 法 第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為である。 また、被申立人が、申立人らの平成4年度冬季一時金支給額の減額の 問題を議題とする団体交渉の申入れを拒否したことは、労働組合法第7 条第2号に該当する不当労働行為である。 (2) 被 申 立 人 の 主 張 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 及 び 平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 額 は 、被 申 立 人 会 社 に 対 す る貢 献 度 を これ ま で よ りも 重 視 し て厳 格 に 考 課 査 定 を 実 施 - 23 - した結果であり、分会員を不利益に扱ったものではない。 被申立人は、平成4年度冬季一時金に関する団体交渉を拒否したもの ではない。その団体交渉が実施されなかったことについては、申立人ら に責任がある。 したがって、本件申立てはいずれも棄却されるべきである。 2 当委員会の判断 (1) 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 及 び 平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 額 の 減 額 に つ いて 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 及 び 平 成 5 年 夏 季 一 時 金( 以 下 、適 宜「 本 件 一 時 金 」 と い う 。) の 支 給 に お い て 、 一 部 の 分 会 員 の 支 給 額 が 、 平 成 4 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 額 に 比 し 、 前 記 第 1 の 4 の (1)の イ で 認 定 し た と お り、減額になっていることについては、当事者間に争いがない。 申 立 人 ら は 、被 申 立 人 に よ る 上 記 の 一 時 金 の 支 給 額 の 減 額 に は 正 当 理 由 が な く 、そ の 真 意 は 、分 会 員 を 他 の 従 業 員 と 差 別 す る こ と に よ り 、申 立 人 ら 組 合 を 弱 体 化 さ せ る と こ ろ に あ っ た と 主 張 す る の に 対 し 、被 申 立 人 は 、こ れ を 否 定 し 、分 会 員 の 支 給 額 の 減 額 は 、平 成 4 年 度 の 冬 季 一 時 金の支給時から採用した新考課査定方式に基づく考課査定の結果に過ぎ ないと主張する。 よって、以下に、ア イ 本件一時金における考課査定方式変更の経緯、 本件一時金の支給額の増減、ウ 分会員の査定ランクの変化、エ 本件一時金の支給額の増減と分会員の不利益取扱の有無、オ 分会員に 対する査定理由の合理性につき、順次検討し、被申立人による分会員の 本 件 一 時 金 の 支 給 額 の 減 額 が 、申 立 人 ら の 主 張 す る よ う に 、分 会 員 の 組 合活動を理由とした被申立人の差別的意図に基づく不利益取扱に当たる かどうかを判断する。 ア 本件一時金における考課査定方式変更の経緯 (ア) 被 申 立 人 会 社 に お け る 一 時 金 の 考 課 査 定 方 式 は 、 前 記 第 1 の 3 の (3)、 (4)及 び (5)で 認 定 し た よ う に 、 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 時から、以下のように変更された。 す な わ ち 、平 成 4 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 時 ま で は 、一 時 金 は 、 「算 定 基 礎 額 」に 一 定 率 を 掛 け て 算 定 し た 額( 以 下「 一 律 支 給 額 」と い う 。)と「 考 課 金 額 」( 考 課 査 定 に よ り 上 乗 せ す る 額 )と か ら 成 っ て い た 。後 者 は 、職 能 資 格 等 級 が 4 等 級 か ら 10等 級 ま で の 、管 理 職 を 除 く す べ て の 従 業 員 に 対 す る も の で 、各 人 の 査 定 ラ ン ク( 平 成 4 年 度 以 降 は 、 上 位 か ら S 、A 、A ’、B 、B ’、C 、D の 7 ラ ン ク ) に 応 じ た 所 定 の 額 で あ り 、こ れ を「 一 律 支 給 額 」に 加 算 し て 、そ れ ぞ れの一時金の支給額を算定していた。 し か し 、平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 時 か ら 、4 等 級 か ら 6 等 級 ま で の 者 に つ い て は 、査 定 ラ ン ク に 基 づ い て 直 接「 支 給 総 額 」を 決 定 す る「 総 額 支 給 方 式 」が 採 ら れ る こ と に な っ た 。ま た 、7 等 級 以 - 24 - 下 の 等 級 の 者 に つ い て も 、そ れ ま で の「 一 律 支 給 額 」に「 考 課 金 額 」 を 加 算 す る 方 式 で あ る こ と に 変 わ り は な か っ た が 、被 申 立 人 は 、前 記 第 1 の 3 の (4)の イ 及 び (5)の ウ で 認 定 し た と お り 、 「算定基礎額」 に 応 じ て 同 一 等 級 の 者 を 三 つ の グ ル ー プ に 分 け 、「 算 定 基 礎 額 」 の 高いグループに属する者は同一査定ランクであっても「考課金額」 が低額になる「考課金額」と査定ランクとの相関関係表を作成し、 考 課 査 定 方 式 を 変 更 し た 。こ の 変 更 の 主 旨 は そ れ ま で の 年 功 的 賃 金 制度を改めるというものであった。 7 等 級 以 下 の 等 級 の 者 に つ い て は 、上 述 の よ う に 、 「算定基礎額」 の 高 額 の 者 の 支 給 額 を 抑 制 す る た め 上 記 の 表 を 作 成 し た が 、特 に 7 等 級 の 者 に つ い て は 、こ の 表 に よ っ て は 従 前 と 同 一 の 査 定 ラ ン ク で あ っ て も 、平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 額 が 同 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 額 よ り 相 当 減 額 に な る 場 合 が あ る た め 、被 申 立 人 会 社 は 、支 給 額 の 急 激 な 減 額 を 緩 和 す る よ う に 、査 定 ラ ン ク に つ い て 一 定 の 調 整 を 行った。 な お 、 9 等 級 及 び 10等 級 の 者 に つ い て は 、「 算 定 基 礎 額 」 に よ る グ ル ー プ 分 け は あ る も の の 、い ず れ も「 算 定 基 礎 額 」が 低 く 、同 一 の グ ル ー プ に 属 す る た め 、こ の グ ル ー プ 分 け は 実 質 的 に は 支 給 額 に 影響しなかった。 上 記 の よ う に 、平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 時 か ら 考 課 査 定 方 式 が 変 更 さ れ 、従 業 員 は こ の 新 方 式 に よ り 考 課 査 定 を 受 け る こ と に な っ た 。 そ の 結 果 、「 算 定 基 礎 額 」 が 高 額 の 者 は 相 対 的 に 支 給 額 が 減 額 に な る 傾 向 が あ っ た 。ち な み に 、分 会 員 に つ い て 見 て み れ ば 、分 会 員 は 、同 一 等 級 内 に お い て「 算 定 基 礎 額 」が 高 い グ ル ー プ に 属 す る者 が多 いところから、支 給 額 が減 額 になった者 の比 率 が高 かった。 ま た 、査 定 ラ ン ク と そ れ に 対 応 す る「 支 給 総 額 」も し く は「 考 課 金 額」との関係が変更されたことにより、査定ランクの上昇または、 下 降 が 直 ち に 支 給 額 の 増 減 に つ な が ら ず 、平 成 4 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 額 と 比 較 し て 、査 定 ラ ン ク が 下 が っ て も 支 給 額 が 増 額 に な っ た 者 や 、反 対 に 査 定 ラ ン ク は 上 が っ て も 支 給 額 が 減 額 に な っ た 者 も あ った。 (イ) 前 記 第 1 の 3 の (1)の イ 及 び エ で 認 定 し た と お り 、 被 申 立 人 会 社 は、平成3年度冬季一時金の支給時まで、一時金に係る査定ランク 及びこれに基づく「考課金額」を決定していたが、決定した査定ラ ン ク と「 考 課 金 額 」と の 関 係 を 示 し た「 考 課 査 定 ラ ン ク 表 」を 申 立 人 分 会 に 通 知 す る と い う 慣 行 を と っ て き た 。こ れ に よ っ て 、各 分 会 員は、その支給額から「一律支給額」を差し引いて「考課金額」を 求 め 、「 考 課 査 定 ラ ン ク 表 」 か ら 、 自 分 が ど の 査 定 ラ ン ク に 該 当 す るかを知ることができた。 し か し な が ら 、 前 記 第 1 の 3 の (1)の エ で 認 定 し た と お り 、 被 申 - 25 - 立 人 会 社 は 、平 成 4 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 時 か ら 、申 立 人 分 会 に 対 し て 、「 考 課 査 定 ラ ン ク 表 」 を 提 示 し な く な っ た 。 さ ら に 、 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 時 か ら 、 上 記 (ア)で 述 べ た と お り 、 考 課 査 定 方 式 が 変 更 さ れ た こ と に よ り 、分 会 員 は 本 件 一 時 金 の 支 給 に お い て ど のよ う な 考 課 査 定 が 行 わ れ た か を容 易 に把 握 し 得 ない 状 況 に なっ たことが認められる。 (ウ) 前 記 第 1 の 2 の (7)及 び (8)で 認 定 し た よ う に 、平 成 4 年 は 、申 立 人分会と被申立人会社との間で、懸案となっていた諸問題について の 団 体 交 渉 が 行 き 詰 ま り 、申 立 人 分 会 は 、そ の 打 開 の た め に 、本 社 や工場の最寄り駅でのビラの配布、被申立人会社の会長及び社長の 自 宅 並 び に その 周 辺 で の要 請 活 動 や大 株 主 で ある 金 融 期 間 な どに 対 す る 要 請 活 動 な ど を 繰 り 返 し 、被 申 立 人 会 社 も こ れ に 対 し て 社 内 報 で反論するなど、労使関係が極めて悪化していた。 被 申 立 人 は 、こ の よ う な 時 期 に 、分 会 員 の 一 時 金 支 給 額 に も 影 響 を 与 え る 、上 記 (ア)及 び (イ)で 述 べ た 考 課 査 定 方 式 の 変 更 や「 考 課 査 定 ラ ン ク 表 」の 通 知 の 慣 行 の 廃 止 を し た の で あ る か ら 、こ の 間 の 経 緯 に つ き 、申 立 人 分 会 に 対 し 、十 分 に 説 明 す べ き で あ っ た と 思 わ れ る が 、後 記 (2)で 述 べ る よ う に 、被 申 立 人 は 、団 体 交 渉 に お い て も 、 そ の 他 の 話 合 い に お い て も 、申 立 人 分 会 に 十 分 な 説 明 を す る こ と な く実施した。 申 立 人 分 会 が行 った 上 記 の 要 請 活 動 な どの 仕 方 に つい ては問 題 が な く は な い と 思 わ れ る が 、本 件 に お け る 当 事 者 間 の 直 接 の 争 点 と は 認 め ら れ な い の で 、こ の 件 の 当 否 は 別 と し て 、本 件 一 時 金 を 巡 る 紛 争 の 発 端 は 、申 立 人 分 会 に 対 す る 被 申 立 人 会 社 の 一 時 金 の 考 課 査 定 方 式 に つい て の説 明 不 十 分 に よる と こ ろが 大 き い と認 め ざ る を得 な い 。申 立 人 分 会 が 、分 会 員 の 本 件 一 時 金 の 支 給 額 が 平 成 4 年 度 夏 季 一 時 金 の そ れ に 比 し 減 額 に な り 、し か も 、そ の 理 由 を 十 分 に 説 明 さ れ な か っ た た め に 、申 立 人 分 会 に 対 す る 意 図 的 な 差 別 で あ る と の 疑 念 を抱 いた としても、成 り行 きか ら見 て、無 理 からぬ と ころであ る 。 イ 本件一時金の支給額の増減 (ア) 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 及 び 平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 額 に つ い て、被申立人は、管理職を除く全従業具に関する増減率を示してい る。 こ れ に よ り 、平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 額 に つ い て 、管 理 職 を 除 く従 業 員 とそのうちの分 会 員 とを対 比 すると、前 記 第 1の4の(3) の ア 及 び ウ で 認 定 し た と お り 、そ の 支 給 額 が 同 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 額 と 比 較 し て 減 額 に な っ た 者 は 、 管 理 職 を 除 く 従 業 員 で は 512名 中 63名 で 、対 象 者 の 12.3% で あ る の に 対 し 、分 会 員 で は 28名 中 14名 で 、 対 象 者 の 5.0% で あ っ た 。 支 給 額 が 増 額 に な っ た 者 は 、管 理 職 を 除 く 従 業 員 で は 69名 で 、対 - 26 - 象 者 の 13.5% で あ る の に 対 し 、 分 会 員 で は 該 当 者 が い な か っ た 。 (イ) 次 に 、 前 記 第 1 の 4 の (4)の ア 及 び ウ で 認 定 し た と お り 、 平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 額( 平 成 4 年 度 及 び 平 成 5 年 度 の 一 時 金 の 平 均 支 給 率 等 の 違 い を 考 慮 し て 修 正 し た 額 )の 増 減 を 、平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の そ れ と の 対 比 で 見 る と 、支 給 額 が 減 額 に な っ た 者 は 、管 理 職 を 除 く 従 業 員 で は 501名 中 24名 で 、対 象 者 の 4.8% で あ る の に 対 し 、 分 会 員 で は 26名 中 3 名 で 、 対 象 者 の 11.5% で あ っ た 。 支 給 額 が 増 額 に なっ た者 は、管 理 職 を 除 く 従 業 員 では 75名 で 、対 象 者 の 15.0% であるのに対し、分会員では該当者がいなかった。 また、平成5年度夏季一時金の支給額(現に支給された額)を、 平 成 4年 度 夏 季 一 時 金 のそれと比 較 してみると、前 記 第 1の4の(1) のイで認 定 したとおり 、分 会 員 は 全 員 減 額 に な っ て い る が 、これは 、 前 記 第 1 の 3 の (3)の ア 及 び (5)の ア で 認 定 し た と お り 、被 申 立 人 会 社 と 申 立 人 分 会 と の 賃 金 に 関 す る 協 定 に よ り 、平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 平 均 支 給 率 が 下 が っ た ( 平 成 4 年 度 は 2.725か 月 、 平 成 5 年 度 は 2.50か 月 で あ る 。) こ と が 影 響 し て い る と 思 わ れ 、 一 時 金 の 平 均 支 給 率 の 引 下 げ に よ っ て 、支 給 額 が 減 額 に な っ た の は 他 の 従 業 員 も 同 様 で あ る こ と を 考 慮 す れ ば 、分 会 員 に 支 給 さ れ た 一 時 金 の 支 給 額 の 多 寡 の 対 比 だ け で は 、被 申 立 人 が 分 会 員 に 対 し て 差 別 的 取 扱 を し たかどうかの判断は困難である。 (ウ) 以 上 の と お り 、本 件 一 時 金 の 支 給 額 を 平 成 4 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 額 と 比 べ た 場 合 、額 の 増 減 と い う 視 点 か ら 見 る 限 り で は 、特 に 分 会 員 に は 増 額 に な っ た 者 が 一 人 も な く 、逆 に 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 で は 半 数 の 分 会 員 が 減 額 に な っ て い る 点 に お い て 、分 会 員 が 他 の 従 業 員 に 比 し 、よ り 不 利 益 な 考 課 査 定 を 受 け た の で は な い か と の 疑 念 を 抱 か せ る 。そ こ で 、以 下 、さ ら に 査 定 ラ ン ク の 変 化 に つ い て 検 討 する。 ウ 分会員の査定ランクの変化 (ア) 被 申 立 人 会 社 に お け る 考 課 査 定 の 手 続 の 概 略 は 、 前 記 第 1 の 3 の (2)で 認 定 し た と お り で あ る 。 被 申 立 人 会 社 が 設 定 し た 評 価 の 項 目 や 基 準 に つ い て は 、服 務 の 項 目 についての評 価 方 法 や成 果 の項 目 への多 くの点 数 の配 分 などの当 否 に つ き 当 事 者 間 に 主 張 の 対 立 は あ る が 、そ の 合 理 性 を 全 く 否 定 す る に 足 り る 申 立 人 ら の 側 の 疎 明 が な い の で 、以 下 、被 申 立 人 会 社 の 実 施 し た 査 定 の 評 価 の 項 目 や 基 準 が 概 ね 妥 当 な も の と し て 、査 定 ラ ンクの変化の状況を検討する。 な お 、申 立 人 ら が 、平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 及 び 平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 に 係 る 各 分 会 員 の 査 定 ラ ン ク を 具 体 的 に 知 っ た の は 、本 件 審 問 において被申立人が提出した疎明資料によってである。そのため、 申 立 人 ら は 、本 件 申 立 て に 際 し て は 、従 来 の 考 課 査 定 方 式 を 前 提 と - 27 - し て 、支 給 額 が 減 額 に な っ た 分 だ け 査 定 ラ ン ク が 引 き 下 げ ら れ た と 主 張 し 、被 申 立 人 が 疎 明 資 料 と し て 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 及 び 平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 に 係 る 各 分 会 員 の 査 定 ラ ン ク を 提 示 し た 後 は 、被 申立人の提示した査定ランクそのものの合理性を争っている。 し か し 、前 記 ア で 述 べ た と お り 、平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 時 か ら 、被 申 立 人 会 社 に お け る 一 時 金 の 考 課 査 定 方 式 は 変 更 さ れ て い る の で 、当 委 員 会 は 、考 課 査 定 方 式 が 変 更 さ れ た こ と を 前 提 と し た 上 、一 時 金 の 支 給 額 の 増 減 と 、被 申 立 人 が 明 ら か に し た 分 会 員 の 査 定ランクの変化との関係を検討することとする。 (イ) ま ず 、平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 に お け る 管 理 職 を 除 く 全 従 業 員 ( 512名 ) の 査 定 ラ ン ク を 、 同 年 度 夏 季 一 時 金 の そ れ と 比 較 す る と 、 前 記 第 1 の 4 の (3)の イ で 認 定 し た と お り 、 2 ラ ン ク 以 上 下 が っ た 者 が 24名 、 1 ラ ン ク 下 が っ た 者 が 73名 で あ る の に 対 し 、 1 ラ ン ク 上 が っ た 者 が 94名 、2 ラ ン ク 以 上 上 が っ た 者 が 84名 で あ っ た 。査 定 ラ ン ク に 変 化 が な か っ た 者 が 237名 い た 。 次 に 、分 会 員( 28名 )の 査 定 ラ ン ク に つ い て 比 較 す る と 、同 じ く 前 記 第 1 の 4 の (3)の イ で 認 定 し た と お り 、 2 ラ ン ク 以 上 下 が っ た 者 が 1 名 、1 ラ ン ク 下 が っ た 者 が 6 名 で あ る の に 対 し 、1 ラ ン ク 上 が っ た 者 が 9 名 、2 ラ ン ク 以 上 上 が っ た 者 が 5 名 で あ っ た 。査 定 ラ ンクに変化がなかった者が7名いた。 さ ら に 、 前 記 第 1 の 4 の (3)の ウ で 認 定 し た と お り 、 支 給 額 が 減 額 に な っ た 14名 の 分 会 員 の 査 定 ラ ン ク の 変 化 を 見 る と 、2 ラ ン ク 以 上 下 が っ た 者 が 1 名 、1 ラ ン ク 下 が っ た 者 が 5 名 、査 定 ラ ン ク に 変 化 が な か っ た 者 が 4 名 、1 ラ ン ク 上 が っ た 者 が 4 名 で あ っ た 。こ れ に 対 し 、支 給 額 に 増 減 が な か っ た 14名 の 分 会 員 の 査 定 ラ ン ク の 変 化 を 見 る と 、1 ラ ン ク 下 が っ た 者 が 1 名 、査 定 ラ ン ク に 変 化 が な か っ た 者 が 3 名 、1 ラ ン ク 上 が っ た 者 が 5 名 、2 ラ ン ク 以 上 上 が っ た 者 が5名であった。 以 上 の よ う に 、平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 に 係 る 査 定 ラ ン ク に つ い て は 、分 会 員 に も 、分 会 員 以 外 の 従 業 員 に も 、査 定 ラ ン ク の 上 が っ た 者 、下 が っ た 者 、変 化 の な い 者 が お り 、さ ら に 、支 給 額 が 減 額 に な っ た 分 会 員 に 限 定 し て み て も 、査 定 ラ ン ク の 上 が っ た 者 や 変 化 の な い 者 も お り 、査 定 ラ ン ク の 点 で 特 に 分 会 員 が 一 律 に 不 利 益 な 考 課 査 定をされたと言うことはできない。 (ウ) 次 に 、平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 に 係 る 分 会 員 の 査 定 ラ ン ク を 、平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の そ れ と 比 較 す る と 、 前 記 第 1 の 4 の (4)の イ 及 び ウ で 認 定 し た と お り 、 分 会 員 26名 の う ち 、 査 定 ラ ン ク の 変 化 の あ った者は、2ランク以上下がった者が1名、1ランク下がった者が 2名であり、いずれも支給額が減額になっていた。前記第1の4の (1)の イ で 認 定 し た と お り 、 平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 分 会 員 の 支 給 - 28 - 額 は 、 残 り の 23名 の 分 会 員 に つ い て も 減 額 に な っ て い る が 、 査 定 ラ ンクには変化がなかった。 以 上 の と お り 、平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 に お い て 、支 給 額 が 減額になった分会員は必ずしも査定ランクが下がった訳ではなく、 両 者 の 間 に 直 接 の 相 関 関 係 は 見 ら れ な い 。加 え て 、前 記 第 1 の 4 の (4)の ア 及 び イ で 認 定 し た と お り 、 分 会 員 外 の 従 業 員 に も 、 支 給 額 が 減 額 に な っ た 者( 21名 )や 査 定 ラ ン ク が 下 が っ た 者( 39名 )が い る こ と を 考 慮 す れ ば 、こ こ で も 分 会 員 が 一 律 に 不 利 益 な 考 課 査 定 を 受けたと認めることは困難である。 (エ) 前 記 ア の (ア)で 述 べ た と お り 、 被 申 立 人 会 社 は 、 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 に 係 る 査 定 ラ ン ク の 決 定 に 際 し 、「 算 定 基 礎 額 」 の 高 額 の 従 業員に対して査定ランクの調整を行っていた。すなわち、前記第1 の 4 の (3)の ウ 及 び エ で 認 定 し た よ う に 、 被 申 立 人 会 社 は 、 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 に お い て 、7 等 級 の 者 の う ち 、「 算 定 基 礎 額 」 の高額の者については、査定ランクを上げないと支給額が下がりす ぎるとして、その査定ランクについて調整を行った。 被 申 立 人 会 社 に よ る こ の 調 整 は 、従 業 員 に 対 す る 客 観 的 な 能 力 査 定 の 原 則 を 曲 げ る も の で あ る こ と 、会 社 の 恣 意 的 な い し 意 図 的 な 判 断 の 入 り込 む余 地 のあ る こ とな ど の点 で 問 題 が あ るこ と を否 定 で き な い が 、一 方 、被 申 立 人 会 社 が 、こ の 調 整 に 際 し て 、特 に 分 会 員 の 査 定 ラ ン ク に つ い て 、差 別 的 な 取 扱 い を し た と 断 定 す る こ と は 難 し い。 エ 本件一時金の支給額の増減と分会員の不利益取扱の有無 本 件 一 時 金 の 支 給 額 の 増 減 に つ い て 見 れ ば 、前 記 イ で 述 べ た 、① 分 会 員 の う ち 、半 数 の 者 の 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 額 が 同 年 度 夏 季 一 時 金 の支 給 額 より 減 額 になって いること② 本 件 一 時 金 の支 給 額 が 減 額になった分会員の比率が管理職を除く従業員に比して相対的に高い こ と 、③ 分 会 員 に は 支 給 額 が 増 額 に な っ た 者 が い な い こ と な ど の 事 実 か ら 見 る 限 り 、本 件 一 時 金 の 支 給 に お い て 、分 会 員 が 不 利 益 な 取 扱 い を受けたのではないかとの疑いを抱かせる。 し か し 、本 件 一 時 金 に 係 る 分 会 員 の 査 定 ラ ン ク の 変 化 と い う 視 点 か ら 見 れ ば 、平 成 四 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 に お い て は 前 記 ア 及 び ウ で 述 べ た 、① 同 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 の 場 合 と 違 っ て 、考 課 査 定 が 新 た な 方 式 に 基 づ き 行 わ れ た た め 、支 給 額 の 増 減 と 査 定 ラ ン ク の 上 昇 、下 降 と が 必 ず し も 相 関 関 係 に な い こ と 、② 分 会 員 の う ち 、半 数 の 者 は 新 方 式 に よ っ て も 支 給 額 に 増 減 が な く 、し か も 、査 定 ラ ン ク が 上 昇 し た 分 会 員 の 比 率 が 高 い こ と 、支 給 額 が 減 額 に な っ た 分 会 員 に つ い て も 、そ の査 定 ラ ン クが 不 変 の 者 及 び査 定 ラン クが 上 がっ た者 が その 半 数 を 超 え て お り 、査 定 ラ ン ク が 下 が っ た 者 は 6 名 に 過 ぎ な い こ と 、③ 被 申 立 人 会 社 は 、 査 定 ラ ン ク の 決 定 に 際 し 、「 算 定 基 礎 額 」 の 高 額 の 者 の 支 - 29 - 給 額 が 下 が り す ぎ な い よ う に 調 製 を 加 え て い る が 、こ の 調 整 が 、分 会 員 を差 別 的 に不 利 益 に扱 ったと断 定 できないことなどの事 実 、加 えて、 申 立 人 ら が 主 張 す る 格 差 は 、分 会 員 と 分 会 員 以 外 の 従 業 員 と の そ れ と い う よ う に 、比 較 対 象 者 の 範 囲 が 広 す ぎ る こ と 等 か ら 見 て 、一 時 金 の 支 給 額 の 算 定 に つ き 、分 会 員 だ け が 特 に 不 利 益 に 差 別 さ れ た と は 断 定 し難い。 平 成 5年 度 夏 季 一 時 金 の支 給 においても、ほぼ同 じことが言 える上 、 査 定 ラ ン ク が下 がっ た 者 は分 会 員 の中 でも 3 名 と極 め て 小 数 の 者 に 限 ら れ て い る こ と か ら 見 て 、分 会 員 だ け が 特 に 不 利 益 に 差 別 さ れ た と は 断定し難い。 以 上 、本 件 一 時 金 の 支 給 に お い て 、一 部 の 分 会 員 の 支 給 額 が 減 額 に なったこと又は査定ランクが下がった者が多いという事実だけでは、 被 申 立 人 が 、分 会 員 に 対 し 、分 会 員 で あ る こ と の 故 に 、一 律 に 不 利 益 に差別的取扱をしたと断定することは困難である。 し か し な が ら 、こ の こ と は 、分 会 員 が 、分 会 員 で あ る こ と 又 は 組 合 活 動 を し た こ と の 故 に 、個 別 的 に 不 利 益 な 考 課 査 定 を 受 け た か ど う か の 判 断 と は 別 の 問 題 で あ る か ら 、以 下 に 、支 給 額 が 減 額 に な っ た 分 会 員 又 は 査 定 ラ ン ク が 下 が っ た 分 会 員 の 扱 い に つ い て 、と り わ け 被 申 立 人 が 主 張 す る 査 定 理 由 の 当 否 を 中 心 と し 、差 別 的 取 扱 の 有 無 に つ て 検 討をすることとする。 オ 分会員に対する査定理由の合理性 前 記 第 1 の 5 で 認 定 し た と お り 、本 件 一 時 金 の 支 給 に お け る 被 申 立 人会社の従業員に対する査定結果、査定理由、支給額などの説明は、 従 来 と 同 様 、各 支 給 日 の直 前 に 、それぞれ直 属 の管 理 職 から行 われ た。 分 会 員 に つ い て も 同 様 で あ っ た 。し か し 、分 会 員 に 対 す る 説 明 の 長 さ 及 び そ の 内 容 の 濃 淡 、そ れ に 対 す る 分 会 員 の 反 論 等 の 態 様 は ま ち ま ち で あ り 、そ の 具 体 的 内 容 に つ い て 、両 当 事 者 と も 疎 明 し て い る わ け で は な い の で 、当 委 員 会 と し て は 、分 会 員 に 対 す る 査 定 理 由 の 合 理 性 に つ い て は 、本 件 審 問 に お い て 明 ら か に さ れ た と こ ろ か ら 判 断 す る 外 は ない。 申 立 人 ら は 、被 申 立 人 の 主 張 す る 個 々 の 分 会 員 の 査 定 理 由 は 正 当 性 又 は 合 理 性 に 欠 け る と 主 張 す る の で 、以 下 、一 時 金 別 に 、そ の 支 給 額 が減額になった分会員について検討する (ア) 平 成 4 年 冬 季 一 時 金 の 支 給 に お け る 査 定 理 由 と そ の 合 理 性 a X3(査定1ランク下降) 被申立人は、査定対象期間内に、ソフトウエア作成業務におい て、業績向上につながる成果がなかったための評価である。具体 的には、前方交会法のソフトウエアを平成4年9月までに仕上げ るように指示していたが、最終的に完成したのは平成5年の1月 から3月までの期間であったと主張する。これに対して、申立人 - 30 - らは、所属の課長は高く評価したと言っていた、他に担当してい る業務において成果があがっている、開発関連の業務は遅れるこ ともあり、業務が達成された段階で考課も回復すべきであるなど と反論するので、以下、判断する。 ところで、申立人らは、一時金の支給額が減額になった分会員 が、より高い査定ランクに格付けされるべきであったと主張する が、その査定ランクを特定していない。 したがって、当委員会は、申立人らが格付けされるべきであっ たと主張する査定ランクは、仮に減額されなかったならば、支給 されたであろう支給額に、平成4年度冬季一時金に係る「考課査 定ランク表」において対応する査定ランクであると推認する(以 下 、 各 分 会 員 に つ い て も 同 様 で あ る 。)。 X3の支給額が、申立人らが主張する減額されなかった額と仮 定する場合には、その査定ランクは、平成4年度夏季一時金に係 る 査 定 ラ ン ク ( 以 下 「 前 期 ラ ン ク 」 と い う 。) よ り 1 ラ ン ク 上 の A’となる。 前 記 1 の 6 の (1)で 認 定 し た 事 実 及 び 申 立 人 ら が 、 被 申 立 人 の 査 定 理 出 の 主 張 に 対 す る 反 論 の 中 で 、「 開 発 関 連 の 業 務 は 遅 れ る こともある」と述べているところから見ると、X3は査定対象期 間内に期待していた業務上の成果が見られなかったとの被申立人 の主張にはそれなりの信憑性がある。 他方、申立人らの側においても、X3の職務能力、業績等が、 この査定対象期間において、少なくとも同人と勤務歴、職務能力 又は業積等において対比し得る2ランク上位に格付けされた者と 比べて劣るところのないものであることを疎明していない。 これらの事実を総合判断すると、被申立人の主張する査定理由 を全く不合理なものであると認めることは困難である。 b X5(査定1ランク下降) 被申立人は、X5が係長の地位にあり、部下を引っ張っていか なければならない立場にありながら、査定対象期間内にそれが見 られない上、平成4年度夏季一時金それと比較して徐々に積極性 がなくなったため、1ランク下げる評価をしたと主張するので、 以下、判断する。 X5の支給額が、申立人らが主張する減額されなかった額と仮 定する場合には、前期ランクと同じ査定ランクのBにすることが 必要である。 被 申 立 人 の主 張 に対 し、申 立 人 らは具 体 的 な反 論 をしていない。 また、被申立人がX5の査定ランクを1ランク下げる理由とし ては、やや抽象的に過ぎるきらいがある。しかしながら、X5の 係長という職制としての地位あるいは職務から、積極性に欠ける - 31 - 者の査定ランクが引き下げられることがあっても、直ちに不自然 とは断じ得ない。 被申立人会社の1ランク下げたことが、特に意図的あるいは差 別的になされたと認めるべき事実についての申立人らの疎明もな いところから、申立人らの主張を採用することは困難であると言 わざるを得ない。 c X7(査定ランク変更なし) 被申立人は、査定対象期間内に、特別に業績が目立って上がっ て い な い と い う 評 価 で あ る と 主 張 す る 。 ま た 、 I S O 9000の 問 題 については、査定ランクを落とすまでのことではないが、査定理 由の一つではあり、X7は品質保証部に所属し、監督職相当の5 等 級 で あ る か ら 、 平 成 4 年 初 め か ら I S O 9000の 準 備 を 始 め る の は当然であるとも主張する。さらに、考課査定に関する説明にお いて、ゲージの管理規程を作成してほしいなどと述べだのは希望 を言ったにすぎないとも主張する。これに対して、申立人らは、 I S O 9000の プ ロ ジ ェ ク ト は 平 成 4 年 12月 か ら 準 備 を 始 め 、 平 成 5年 4月 からスター トしているので、査 定 対 象 期 間 とずれがある、 ゲージの管理規定などの資料の作成の遅れについては、業務の優 先順位を変えるように指導すれば足りる問題であると反論するの で、以下、判断する。 X7の支給額が、申立人らが主張する減額されなかった額と仮 定する場合には、その査定ランクは、前期ランクより1ランク上 のA’となる。 X7は査定対象期間内に「目立った業績を上げていない」との 被申立人の主張に対し、申立人らは具体的な反論をしていない。 加えて、申立人らは、X7の職務能力、業績等が、この査定対 象期間において、少なくとも同人と勤務歴、職務能力又は業績等 において対比し得る1ランク上位に格付けされた者と比べて劣る ところのないものであることを疎明していない。 したがって、会社の主張する査定理由が全く不合理であると認 めることは困難である。 d X8(査定ランク変更なし) 被申立人は、X8の業務、業績等は、ともに平成4年度夏季一 時 金 の査 定 対 象 期 間 のそれらと変 わらなかったと主 張 する。また、 販売する者とX8のきように間接サービスをする者とは、一体不 可分の関係として努力する必要があるとして、X8の評価の根拠 としているので、以下、判断する。 X8の支給額が、申立人らが主張する減額されなかった額と仮 定する場合には、その査定ランクは、前期ランクより1ランク上 のA’となる。 - 32 - 被 申 立 人 の主 張 に対 し、申 立 人 らは具 体 的 な反 論 をしていない。 加えて、申立人らは、X8の職務能力、業積等が、この査定対 象期間において、少なくとも同人と勤務歴、職務能力又は業績等 において対比し得る1ランク上位に格付けされた者と比べて劣る ところのないものであることを疎明していない。 したがって、被申立人の査定理由を全く不合理であると認める ことは困難である。 e X 10( 査 定 2 ラ ン ク 下 降 ) 被申立人は、一般的に、海外勤務の者の査定ランクを1ランク な い し 2 ラ ン ク 高 く し て い る が 、 X 10は 査 定 対 象 期 間 中 に 帰 任 し たので、国内勤務の基準で考課査定した評価である、すなわち、 海 外 勤 務 中 は2ランクを加 えていたが、国 内 の勤 務 となったので、 2ランク削ったものであると主張する。また、職種の変更は考課 査 定 の 中 で 配 慮 し て い る 、 X 10の 場 合 に つ い て も 考 慮 し て い る と 主 張 す る 。 こ れ に 対 し て 、 申 立 人 ら は 、 X 10は 海 外 で 経 理 を 担 当 し、帰国して営業に戻ったのであるから、職務内容が変わった場 合に査定点を加点するとういう慣行を適用すべきである。また、 X 10は 、 平 成 4 年 7 月 末 に 帰 国 し て お り 、 査 定 対 象 期 間 の 3 分 の 2の期間は海外勤務であるから、2ランク削るのは疑問であると 反論するので、以下、判断する。 X 10の 支 給 額 が 、 申 立 人 ら が 主 張 す る 減 額 さ れ な か っ た 額 と 仮 定する場合には、前期ランクと同じ査定ランクAにすることが必 要である。 ところで、被申立人会社に、従来から、海外勤務者について、 その期間中査定ランクを上乗せする慣行があること及び職種が変 更された場合には、査定ランクにつき何らかの配慮をする慣行が あることは、当事者間に争いがない。 X 10の 場 合 、 海 外 か ら 帰 任 し た こ と に よ り 、 査 定 ラ ン ク が 下 が ることは避けられないと思われる。しかしながら、平成4年度冬 季一時金の査定対象期間の半ば以上の期間を海外で勤務していた X 10の 査 定 ラ ン ク を 、 被 申 立 人 が 、 帰 国 後 の 考 課 査 定 で 査 定 ラ ン クを2ランクも下げたことの理由、また、その職種変更に伴い、 被申立人がどのような配慮をしたかについて、被申立人は何らの 疎明もしていないので疑問が残る。 しかしながら、他方、本件一時金の支給額の減額問題が発生し た 背 景 に 、 前 記 第 1 の 2 の (7)及 び (8)で 認 定 し た 被 申 立 人 会 社 と 申立人分会との間の労使関係の悪化があったことを考えれば、帰 国 早 々 で 特 に 活 発 な 組 合 活 動 を し て い た と の 説 明 の な い X 10に つ いて、被申立人会社があえて支給額を減額すべく、査定ランクを 下げたと推認するのは困難と言わざるを得ない。 - 33 - 申 立 人 ら の 側 も 、 X 10の 職 務 能 力 、 業 績 等 が 、 こ の 査 定 対 象 期 間において、帰国後も前期ランクと同じランクに格付けされ得る 程度のものであることを疎明していない。 し た が っ て 、 海 外 勤 務 か ら 帰 任 し た X 10の 査 定 ラ ン ク を 、 海 外 勤務以前の査定ランクに戻したとする被申立人の主張する査定理 由を全く不合理なものであると認めることはできない。 f X 12( 査 定 ラ ン ク 変 更 な し ) 被申立人は、平成4年度の夏季一時金と冬季一時金のいずれの 査 定 対 象 期 間 内 に も 病 気 欠 勤 ( 病 気 欠 勤 日 数 は そ れ ぞ れ 15日 と 5 日 で あ る 。) は あ っ た が 、 冬 季 一 時 金 の 査 定 対 象 期 間 内 の ほ う が 病気欠勤日数がすくないということで同じ評価とした。また、健 康管理については日頃から上司が指導していたと主張するので、 以下、判断する。 X 12の 支 給 額 が 、 申 立 人 ら が 主 張 す る 減 額 さ れ な か っ た 額 と 仮 定する場合には、その査定ランクは、前期ランクより1ランク上 のA’となる。 被 申 立 人 の主 張 に対 し、申 立 人 らは具 体 的 な反 論 をしていない。 加 え て 、 申 立 人 ら は 、 X 12の 職 務 能 力 、 業 績 等 が 、 こ の 査 定 対 象期間において、少なくとも同人と勤務歴、職務能力又は、業績 等において対比し得る1ランク上位に格付けされた者と比べて劣 るところのないものであることを疎明していない。さらに、この 期 間 にX12に病 気 欠 勤 日 数 があったことは争 いのない事 実 である。 したがって、被申立人の主張する査定理由を全く不合理である と認めることは困難である。 g X 13( 査 定 1 ラ ン ク 上 昇 ) 被申立人は、営業の第一線での経験を生かし、迅速な修理業務 に 成 果 を 上 げ た い と い う 評 価 で あ る と 主 張 す る 。 ま た 、 X 13は 、 この査定対象期間内に異動があったが、業務内容の変更は基本的 になく、このような場合には異動に伴う査定ランクヘの配慮をし ていないのが従来からの取扱いであるとも主張するので、以下、 判断する。 X 13の 支 給 額 が 、 申 立 人 ら が 主 張 す る 減 額 さ れ な か っ た 額 と 仮 定する場合には、その査定ランクは、前期ランクより2ランク上 のA’となる。 被 申 立 人 の主 張 に対 し、申 立 人 らは具 体 的 な反 論 をしていない。 加 え て 、 申 立 人 ら は 、 X 13の 職 務 能 力 、 業 績 等 が 、 こ の 査 定 対 象期間において、少なくとも同人と勤務歴、職務能力又は、業績 等において対比し得るさらに1ランク上位に格付けされた者と比 べて劣るところのないものであることを疎明していない。 したがって、被申立人の主張する査定理由を全く不合理である - 34 - と認めることは困難である。 h X 14( 査 定 1 ラ ン ク 下 降 ) 被 申 立 人 は 、 査 定 対 象 期 間 内 に 、 X 14が 作 成 し た カ タ ロ グ が 、 イメージに比較して内容に乏しい、費用対効果を考えていない、 機械の機能や用途についての具体的な説明が少ない、応用できる 測量分野をもっと採り入れるべきで、これによって、セールスの 方法が違ってくるなどと批判し、これらが査定ランクをさげた理 由であると主張する。これに対して、申立人らは、斬新性につい て、他方でちょっとやり過ぎとの評価もあるが、特に考課査定に 大 き く 影 響 す る 問 題 で は な い 、 加 え て 、 X 14の 異 動 後 の 改 訂 版 の カタログも同人が作成したものを踏襲していると反論するので、 以下、判断する。 X 14の 支 給 額 が 、 申 立 人 ら が 主 張 す る 減 額 さ れ な か っ た 額 と 仮 定した場合には、前期ランクと同じ査定ランクのAにすることが 必要である。 と こ ろ で 、 X 14の 査 定 ラ ン ク が カ タ ロ グ の 出 来 具 合 だ け で 決 定 さ れ た と す れ ば 、 X 14が 査 定 対 象 期 間 内 に お い て 作 成 し た カ タ ロ グ の 内 容 と こ の 期 間 内 及 び そ の 前 後 の 期 間 に お い て X 14以 外 の 者 によって作成されたカタログの内容とを詳細に比較して、査定ラ ンクとの関係を逐一検討する外はないが、申立人ら及び被申立人 からはそのような事実についての主張も疎明も得られなかった。 前 記 第 1 の 6 の (2)で 認 定 し た 事 実 か ら 見 る 限 り 、被 申 立 人 が 、 X 14の 査 定 ラ ン ク を 特 に 1 ラ ン ク 下 げ た 理 由 は や や 説 得 性 に 欠 け る と こ ろ が あ る 。他 方 で 、申 立 人 ら も 、X 14の 作 品 に つ い て 、 「ち ょ っ と や り 過 ぎ と の 評 価 が あ る 。」と 認 め て い る と こ ろ か ら 見 て 、 X 14の 主 要 な 業 務 で あ る カ タ ロ グ 作 成 に 良 い 評 価 を 与 え な か っ た ため、査定ランクを下げたとの被申立人の主張を全く根拠のない ものとすることも困難である。 さらに、本件一時金の支給額の減額問題が発生した背景に、前 記 第 1 の 2 の (7)及 び (8)で 認 定 し た 被 申 立 人 会 社 と 申 立 人 分 会 と の間の労使関係の悪化があったことを考えれば、申立人分会の役 員でもなく、その間に特に活発な組合活動をしていたと認められ な い X 14に つ い て 、 被 申 立 人 が あ え て 支 給 額 を 減 額 に す べ く 、 査 定ランクを下げたと推認するのは困難と言わざるを得ない。 加 え て 、 申 立 人 ら の 側 は 、 X 14の 職 務 能 力 、 業 績 等 が 、 こ の 査 定対象期間において、少なくとも同人と勤務歴、職務能力又は業 績等において対比し得る1ランク上位に格付けされた者と比べて 劣るところのないものであることを疎明していない。 以 上 の 事 実 を 総 合 判 断 す れ ば 、 被 申 立 人 の 主 張 す る X 14に 対 す る査定理由には問題がないとは言えないが、さりとて、これを全 - 35 - く合理性に欠けると断定することも困難である。 i X 15( 査 定 1 ラ ン ク 上 昇 ) 被申立人は、査定対象期間内に、自己判断が先行し、上司との 相談は欠けるものの、比較的多い仕事量をスムーズにこなしたと の 評 価 で あ る と 主 張 す る 。 ま た 、 X 15の 現 職 務 に 係 る 経 験 年 数 は 10年 以 上 で あ り 、 平 成 4 年 8 月 頃 、 平 成 4 年 度 の 第 1 四 半 期 の 業 界の販売動向、ソキアの販売シェア及び業界の価格動向の資料に ついて、もう少しコメントを詳しく書くように指示していると主 張 す る 。 こ れ に 対 し て 、 申 立 人 ら は 、 被 申 立 人 が X 15は 自 己 判 断 が先行していると主張しているが、このことについては、あらか じめ注意なり、指示なりがあってしかるべきものであると反論す るので、以下、判断する。 X 15の 支 給 額 が 、 申 立 人 ら が 主 張 す る 減 額 さ れ な か っ た 額 と 仮 定する場合には、その査定ランクは、前期ランクより2ランク上 のA’となる。 査 定 ラ ン ク が 1 ラ ン ク 上 が っ た X 15に 対 す る 被 申 立 人 の 主 張 に は矛盾があり、被申立人が主張する査定理由の信憑性には疑問が 残ると言わざるを得ない。 し か し な が ら 、 X 15は 、 こ の 査 定 対 象 期 間 に お い て 、 査 定 ラ ン ク が 1 ラ ン ク 上 が っ て お り 、 申 立 人 ら は 、 X 15の 職 務 能 力 、 業 績 等が、この査定対象期間において、少なくとも同人と勤務歴、職 務能力又は業績等において対比し得るさらに1ランク上位に格付 けされた者と比べて劣るところのないものであることを疎明して いない。 したがって、被申立人の主張する査定理由を全く不合理である と認めることは困難である。 j X 18( 査 定 1 ラ ン ク 上 昇 ) 被申立人は、査定対象期間内に、業務が変わっており、本人の 努力も見られる、加えて、被申立人会社も従業員が多くの業務を 経験し、多能工化することを目指しているので、そういう点を評 価したと主張する。又、QC活動において積極性がないとの説明 は、査定ランクを下げた理由ではなく、積極的にやってほしいと いう希望であると主張するので、以下、判断する。 X 18の 支 給 額 が 、 申 立 人 ら が 主 張 す る 減 額 さ れ な か っ た 額 と 仮 定する場合には、その査定ランクは、前期ランクより2ランク上 のAとなる。 被 申 立 人 の主 張 に対 し、申 立 人 らは具 体 的 な反 論 をしていない。 被申立人会社の査定ランクの段階から判断すれば、被申立人会 社では、Aという査定ランクはかなり優秀な従業員に与えられる ものと思われる。 - 36 - 加 え て 、 申 立 人 ら は 、 こ の 査 定 対 象 期 間 に お い て 、 X 18の 職 務 能力、業績等が、この査定対象期間において、少なくとも同人と 勤務歴、職務能力又は、業績等において対比し得るさらに1ラン ク上位に格付けされた者と比べて劣るところのないものであるこ とを疎明していない。 したがって、被申立人の主張する査定理由を全く不合理である と認めることは困難である。 k X2(査定1ランク上昇) 被申立人は、製品に多少の不良品がでたりもするが、仕事は一 生懸命やっているのであれば、中位の成績でよいと評価したと主 張するので、以下、判断する。 X2の支給額が、申立人らが主張する減額されなかった額と仮 定する場合には、その査定ランクは、前期ランクより2ランク上 のA’となる。 被 申 立 人 の主 張 に対 し、申 立 人 らは具 体 的 な反 論 をしていない。 加えて、申立人らは、この査定対象期間において、X2の職務 能力、業績等が、この査定対象期間において、少なくとも同人と 勤務歴、職務能力又は業績等において対比し得るさらに1ランク 上位に格付けされた者と比べて劣るところのないものであること を疎明していない。 したがって、被申立人の主張する査定理由を全く不合理である と認めることは困難である。 l X 20( 査 定 ラ ン ク 変 更 な し ) 被 申 立 人 は 、平 成 4 年 度 夏 季 一 時 金 の 査 定 対 象 期 間 と 比 較 し て 、 遂行した業務内容にそれほど大きな変化はないということで、同 じ 評 価 で あ る と 主 張 す る 。 し か し 、 X 20に 対 し て は 、 仕 事 上 の 改 良及び改善、つまり基板の全数検査をしない工夫の提案を求めて い た と 主 張 す る 。 さ ら に 、 X 20は 、 年 次 有 給 休 暇 の と り 方 、 手 続 の 方 法 に 問 題 が あ り 、 X 20が 所 属 す る 製 造 部 の 現 場 で は 、 年 次 有 給休暇の計画的、平均的取得を指導していたのであるから、考課 査定は指導を守らない人が指導を守っている人より悪くなって当 然 で あ る と 主 張 す る 。 こ れ に 対 し て 、 申 立 人 ら は 、 X 20は 8 等 級 であり、同人には検査の制度を改善する権限がない、年次有給休 暇の計画的、平均的取得に関する被申立人会社の指導は、不当な ものであると反論するので、以下、判断する。 X 20の 支 給 額 が 、 申 立 人 ら が 主 張 す る 減 額 さ れ な か っ た 額 と 仮 定する場合には、その査定ランクは、前期ランクより1ランク上 のB’となる。 査 定 ラ ン ク に 変 更 の な か っ た X 20に 対 す る 被 申 立 人 の 主 張 に は 矛盾があり、被申立人が主張する査定理出の信憑性には疑問が残 - 37 - るといわざるを得ない。 し か し な が ら 、 申 立 人 ら は 、 X 20の 職 務 能 力 、 業 績 等 が 、 こ の 査定対象期間において、少なくとも同人と勤務歴、職務能力又は 業績等において対比し得る1ランク上位に格付けされた者と比べ て劣るところのないものであることを疎明していない。 したがって、被申立人の主張する査定理由を全く不合理である と認めることは困難である。 m X 28( 査 定 1 ラ ン ク 下 降 ) 被申立人は、平成4年度の夏季一時金と冬季一時金のそれぞれ の査定対象期間内の勤務態度を比較した場合、冬季一時金の査定 対象期間内の出勤状況が悪くなったための評価である。再三、注 意したにもかかわらず、改善がみられないなど、自己管理が悪い ためであると主張する。さらに、評価は相対評価であるから、他 に出勤状況のよい人がいれば、マイナスの評価をせざるを得ない とも主張する。これに対して、申立人らは、出勤時間ぎりぎりで も仕事には問題はない、同僚の中にも、同様の出勤状況の者がい ると反論するので、以下、判断する。 X 28の 支 給 額 が 申 立 人 ら が 主 張 す る 減 額 さ れ な か っ た 額 と 仮 定 する場合には、全期ランクと同じ査定ランクBにすることが必要 である。 申立人らは、出勤時間がぎりぎりでも仕事上問題がないこと及 び同僚の中にも同様の出勤状況の者がいることを指摘するが、他 に出勤状況のよい人がいれば、マイナスの評価をせざるを得ない との被申立人の主張にも、それなりの理由がある。 加 え て 、 申 立 人 ら は 、 X 28の 職 務 能 力 、 業 績 等 が 、 こ の 査 定 対 象期間において、少なくとも同人と勤務歴、職務能力又は業績等 において対比し得る1ランク上位に格付けされた者と比べて劣る ところのないものであることを疎明していない。 したがって、被申立人の主張する査定理由を全く不合理である と認めることは困難である。 n X 29( 査 定 1 ラ ン ク 下 降 ) 被申立人は、査定対象期間内に、期待していた実績が上がって いないこと、つまり幅広い知識をもっと多く身に付け、それを通 じて、より深く堀り下げた仕事をしてもらいたがったが、通常の ルーチンワークをこなすだけで期待に沿わず、その部分が不満足 であるための評価であると主張する。また、勉強してもらうため に、わざと1ランク下げるようなことはしないとも主張する。こ れに対して、申立人らは、税務、商法などの勉強は日常の仕事に は直接関係がない、また、講習会に出てくれと言われたのに出な かったことや、担当職務を遂行できなかったということはないと - 38 - 反論するので、以下、判断する。 X 29の 支 給 額 が 、 申 立 人 ら が 主 張 す る 減 額 さ れ な か っ た 額 と 仮 定する場合には、前期ランクと同じ査定ランクのBにすることが 必要である。 被申立人が主張する査定理由と申立人らの反論との争点は、業 務遂行に対する被申立人と申立人らとの考え方の違いであり、被 申立人が主張する査定理由が妥当なものでないと断定することは 難しい。 加 え て 、 申 立 人 ら の 側 は 、 X 29の 職 務 能 力 、 業 績 等 が 、 こ の 査 定対象期間において、少なくとも同人と勤務歴、職務能力又は、 業績等において対比し得る1ランク上位に格付けされた者と比べ て劣るところのないものであることを疎明していない。 したがって、被申立人の主張する査定理由を全く不合理である と認めることは困難である。 (イ) 平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 に お け る 査 定 理 由 と そ の 合 理 性 平 成 5 年( 不 )第 12号 事 件 に お い て 、申 立 人 ら は 、別 表 に 記 載 の と お り 、平 成 4 年 度 及 び 平 成 5 年 度 の 一 時 金 の 平 均 支 給 率 等 の 違 い を 調 整 し た 上 で 、平 成 4 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 額 と 平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 額 と を 比 較 し 、平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 に お い て も 、平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 と 同 様 に 、支 給 額 の 減 額 が 継 続 し ていると主張する。 し か し な が ら 、 前 記 第 1 の 4 の (4)の ア で 認 定 し た と お り 、 救 済 申 立 対 象 者 と さ れ た 13名( 平 成 4 年( 不 )第 23号 事 件 の 救 済 申 立 対 象 者 の う ち 、X 3 を 除 く 13名 )の う ち 、X 8 及 び X 28を 除 く X 5 外 10名 の 分 会 員 が 、平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 額 と の 比 較 で 、平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 額 が 減 額 に な っ て お ら ず 、加 え て 、こ れ ら の分 会 員 の平 成 5年 度 夏 季 一 時 金 に係 る査 定 ランクが平 成 4年 度 冬 季 一 時 金 に 係 る 査 定 ラ ン ク と 同 じ で あ る と こ ろ か ら 、こ れ ら の 分 会 員 に つ い て は 、 上 記 (ア)で 述 べ た 、 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 に 係 る 査 定ランクの合理性の判断をもって足りると考える。 他 方 、平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 額 が 減 額 に な り 、か つ 、査 定 ラン ク も平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 に 係 る 査 定 ラ ンク か ら さ らに 下 が っ た X 3 、X 8 及 び X 28に つ い て は 、平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 に お い て 、平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 時 と は 別 に 、個 別 的 に 不 利 益 な 考 課 査 定 を 受 け た と も 考 え ら れ る の で 、平 成 5 年 度 夏 季 一 時 金 の 支 給 に お け る 査 定 理 由 の 合 理 性 に つ い て 検 討 す る 。た だ し 、X 3 に つ い て は 、平 成 5 年( 不 )第 12号 事 件 に お い て 救 済 申 立 対 象 者 と さ れ て い な い が 、一 時 金 の 支 給 額 が 減 額 に な り 、査 定 ラ ン ク も 下 が っ ていることから、念のためその理由を検討する。 a X3(査定は最低保障) - 39 - 被申立人は、X3は役職定年となったため、査定ランクは最低 保障であるHとしたと主張するので、以下、検討する。 前 記 第 1 の 3 の (2)の ウ で 認 定 し た と お り 、 被 申 立 人 会 社 に は 役 職 定 年 ( 57歳 ) の 制 度 が あ り 、 X 3 の 考 課 金 額 は そ の 年 齢 か ら 最低保障額となるきまりがあり、被申立人の主張する査定理由を 問題とする余地はない。 b X8(査定1ランク下降) 被申立人は、他の従業員に対する電気に関する知識面での指導 を要 請 していたが、その指 導 が十 分 でなかったための評 価 である、 つまり、5等級は、部下を直接に指導あるいは監督をして、業務 を推進する立場にありながら、指導の要請に対して、X8は「私 は そ の 職 制 で は な い 。」 と 答 え て い る と 主 張 す る 。 ま た 、 平 成 5 年4月の昇格査定の段階で、直属の部長は、X8の昇格の推薦に ついて、同人に話していない、もともと、X8は昇格の基準に達 す る 点 数 を 持 っ て い な い と 主 張 す る 。こ れ に 対 し て 、申 立 人 ら は 、 現場で業務が遂行されているのは、X8が指導しているからであ る、平成5年4月の昇格査定時に、直属の部長がX8の昇格を推 薦したと同人に言ったと反論するので、以下、判断する。 X8が電気に関する知識を他の従業員に対して十分に指導しな かったとの被申立人の査定理由の主張については、申立人らは、 指導していると真っ向から反論している。被申立人の主張及び申 立人らの反論は、ともに具体的な疎明がなく、その主張及び反論 を比較検討することは難しい。 加えて、申立人らは、X8の職務能力、業績が、この査定対象 期間において、少なくとも同人と勤務歴、職務能力又は業績等に おいて対比し得る者と比較し、劣るところのないものであること を疎明していない。 したがって、被申立人の主張する査定理由を全く不合理である と認めることは困難である。 c X 28( 査 定 1 ラ ン ク 下 降 ) 被申立人は、この査定対象期間内も出勤時間が遅いことがほと んどであったので、査定ランクを1ランク下げたと主張する。こ れに対して、申立人らは、本当に改善を求めるならば、考課査定 に関する説明時に、同様の主旨のことを説明するべきであると反 論するので、以下、判断する。 被申立人の主張に対し、申立人らの具体的な反論がないので、 その主 張 を比 較 検 討 することはできないが、被 申 立 人 の主 張 には、 それなりの理由がある。 加 え て 、 申 立 人 ら は 、 X 28の 職 務 能 力 、 業 績 等 が 、 こ の 査 定 対 象期間において、少なくとも同人と勤務歴、職務能力又は業績等 - 40 - において対比し得る、1ランク上位に格付けされた者と比べて劣 るところのないものであることを疎明していない。 したがって、被申立人の主張する査定理由を全く不合理である と認めることは困難である。 以上、本件において、一時金の支給額が減額になった分会員に対す る 被 申 立 人 の 主 張 す る 査 定 理 由 に つ い て 検 討 し た 結 果 、こ れ を 全 く 合 理性に欠けると認めることは困難であると判断する。 確 か に 、本 件 一 時 金 の 支 給 額 が 減 額 に な っ た 分 会 員 の う ち 、査 定 ラ ンク も各 直 前 の一 時 金 に係 る査 定 ラン クに 比 し下 がっ た 者 に対 す る 被 申 立 人 の 主 張 す る 査 定 理 由 は 、あ る 場 合 に は 簡 単 に 過 ぎ 、あ る 場 合 に は 、こ れ ら の 者 の 査 定 ラ ン ク の 評 価 に つ き 、そ れ ら の 分 会 員 と 同 等 の 勤 務 歴 、職 務 能 力 又 は 業 績 等 を 有 す る 者 と の 対 比 を 通 じ て 、そ の 相 当 性 の 論 拠 と する など の 具 体 性 あ る いは 比 較 の 客 観 性 に お いて 欠 け る 面 が あ り 、必 ず し も 説 得 力 が あ る と は 言 い 難 い も の が あ る が 、双 方 の 疎 明にかんがみ、これを全く信用し難いものと断ずることはできない。 当 時 の 労 使 関 係 の 状 況 及 び 後 記 (2)に 述 べ る 被 申 立 人 の 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 に 関 す る 団 体 交 渉 へ の 対 応 か ら 見 た 場 合 、分 会 員 に 対 す る 本 件 一 時 金 の 支 給 に お け る 考 課 査 定 に 際 し て 、被 申 立 人 の 反 分 会 的 意 思 の 入 り 込 む 余 地 が あ っ た こ と は 否 定 し 得 な い と し て も 、申 立 人 ら の 側 も 、本 件 一 時 金 の 支 給 額 が 減 額 に な っ た 分 会 員 に 対 す る 低 い 査 定 が これらの分会員の組合活動等によるものであることを積極的に疎明し ていない以上、その主張を認めることはできない。 カ 小括 上 記 オ で 判 断 し た と お り 、本 件 一 時 金 の 支 給 に お け る 査 定 理 由 に つ き 、一 時 金 の 支 給 額 が 減 額 に な っ た 分 会 員 に つ い て 、両 当 事 者 の 主 張 及 び 反 論 を 検 討 し た 結 果 、一 部 の 者 に つ い て は 被 申 立 人 の 主 張 に 釈 然 と し な い 部 分 が 残 る こ と は 否 定 で き な い が 、被 申 立 人 が 、そ れ ら の 者 が 特 に 分 会 員 で あ る こ と 又 は 組 合 活 動 を 行 っ た こ と の 故 に 、あ る い は 申 立 人 らが 主 張 するよ うな労 使 間 の紛 争 対 立 時 の申 立 人 らの行 動 に 対 す る 報 復 と し て 、一 時 金 の 考 課 査 定 に お い て 低 い 査 定 を し た と 断 定 す るには申立人らの疎明をもってしては不十分と言わざるを得ない。 (2) 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 に 関 す る 団 体 交 渉 に つ い て ア 当事者の主張 申 立 人 ら は 、申 立 人 ら が 行 っ た 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 支 給 額 の 減 額 の問題を議題とする団体交渉の申入れに被申立人が誠実に対応しなか っ た の は 、分 会 員 に 対 し 違 法 、不 当 な 差 別 を し た 結 果 、こ の 問 題 で 申 立 人 らから追 求 されるのを恐 れ、団 体 交 渉 を回 避 し続 けたものであり、 正当な理由がないと主張する。 こ れ に 対 し 、被 申 立 人 は 、平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 に 関 す る 団 体 交 渉 は 、申 立 人 ら が 開 催 場 所 に こ だ わ っ た た め 実 施 で き な か っ た も - 41 - の で あ る 、申 立 人 ら は 労 使 交 渉 の 実 施 に 何 の 努 力 も し な い で 本 件 申 立 て に 及 ん だ も の で あ り 、被 申 立 人 は 団 体 交 渉 を 拒 否 は し て い な い と 反 論するので、以下、判断する。 イ 本件団体交渉における被申立人の対応 前 記 第 1 の 2 の (3)な い し (8)で 認 定 し た と お り 、申 立 人 ら と 被 申 立 人 と の 間 に は 、 平 成 4 年( 不 ) 第 23号 事 件 申 立 前 、多 く の 労 使 紛 争 が 発生し、申立人らは、幾つかの不当労働行為救済申立て等を行った。 そ の う ち 、昭 和 60年 11月 の 不 当 労 働 行 為 救 済 申 立 事 件 に つ い て は 、再 審 査 事 件 として中 労 委 に係 属 し、中 労 委 は、平 成 4年 2月 19日 付 けで、 ポストノーチスを命ずる命令を発した。 そ の 後 、こ の 命 令 の 履 行 と 事 件 の 終 結 に 関 す る 労 使 の 見 解 が 異 な っ た こ と か ら 、労 使 関 係 の 正 常 化 に 向 け て 、数 回 の 団 体 交 渉 が 行 わ れ た が 、平 成 4 年 9 月 に は 決 裂 に 至 っ た 。申 立 人 ら は 、本 社 や 工 場 の 最 寄 り 駅 で の ビ ラ の 配 布 、申 立 人 会 社 の 会 長 及 び 社 長 の 自 宅 並 び に そ の 周 辺 での要 請 活 動 並 びに 大 株 主 であ る銀 行 や保 険 会 社 に 対 する要 請 活 動 な ど を 繰 り 返 し 行 っ た 。こ れ に 対 し て 、被 申 立 人 は 社 内 報 な ど で 反 論 等を行い、労使関係はさらに悪化していった。 以 上 の よ う な 労 使 関 係 を 背 景 と し て 、申 立 人 ら は 、分 会 員 に 対 す る 平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の 支 給 額 の 減 額 に つ い て 、団 体 交 渉 を 申 し 入 れ た が 、そ の 開 催 場 所 及 び 開 始 時 間 に つ い て 労 使 間 で 合 意 が で き ず 、結 局 、団 体 交 渉 を 実 施 す る に 至 ら な か っ た こ と に つ い て は 、前 記 第 1 の 7 の (1)で 認 定 し た と お り で あ る 。 そ の 理 由 の 当 否 は 別 と し て 、被 申 立 人 が 本 件 団 体 交 渉 に 応 じ よ う と し な か っ た 理 由 に つ い て は 、さ ら に 検 討 す る 必 要 が あ る 。前 記 第 1 の 3 の (1)の エ で 認 定 し た と お り 、 被 申 立 人 会 社 は 、 平 成 4 年 度 以 降 、 申 立 人 分 会 に 対 し て 、 査 定 ラ ン ク と そ れ に 対 応 す る 「 支 給 総 額 」も し く は「 考 課 加 算 額 」と の 関 係 を 示 す「 考 課 査 定 ラ ン ク 表 」を 提 示 せ ず 、 さ ら に 、前 記 第 1 の 5 で 認 定 し た と お り 、従 来 か ら 実 施 し て い る 一 時 金の支給日直前の従業員に対する考課査定に関する説明においても、 変 更 し た 考 課 査 定 方 式 に つ い て 説 明 を し な か っ た 。加 え て 、前 記 第 1 の5で 認 定 した分 会 員 に対 し てな された 考 課 査 定 に 関 す る説 明 と 本 件 審 問 に お い て 被 申 立 人 が 主 張 し た 査 定 理 由 と の 間 に は 、明 ら か に 齟 齬 が 見 ら れ る 。こ れ ら の こ と か ら 判 断 す れ ば 、被 申 立 人 は 、考 課 査 定 方 式 の 変 更 に よ っ て 一 時 金 の 支 給 額 が 減 額 に な っ た こ と に つ い て 、申 立 人分会に対し、意識的に説明を回避したと考えざるを得ない。 こ れ ら の 事 情 が 、平 成 4 年 9 月 以 降 、上 述 の と お り 、両 者 の 労 使 関 係 が 極 端 に 悪 化 し て い る 中 で 、被 申 立 人 が 意 図 的 に 分 会 員 の 一 時 金 の 支 給 額 を 減 額 し 、又 は 査 定 ラ ン ク を 下 げ た と の 疑 念 を 、申 立 人 ら に 抱 かせたとしても無理からぬことである。 加 え て 、 前 記 第 1 の 3 の (3)の ウ 、 (4)の イ 及 び (5)の ウ で 認 定 し た - 42 - と お り 、申 立 人 ら が 変 更 さ れ た 考 課 査 定 方 式 の 内 容 を 明 確 に 把 握 し た の は 本 件 審 問 に お い て で あ る こ と や 、 前 記 第 1 の 3 の (1)の ウ で 認 定 したとおり、過去に、被申立人会社が決定した「考課査定ランク表」 について、申立人分会が反対した事実があることなどを勘案すれば、 被 申 立 人 が 申 立 人 ら の 申 し 入 れ る 団 体 交 渉 に 応 じ な か っ た の は 、団 体 交 渉 の 開 催 場 所 及 び 開 始 時 間 に 関 し 、相 互 に 意 思 の 疎 通 に 欠 け る と い う 事 情 が あ っ た に せ よ 、交 渉 相 手 で あ る 申 立 人 ら に 対 す る 誠 実 な 対 応 と は 言 い 難 い 。被 申 立 人 は 、申 立 人 ら が 変 更 し た 考 課 査 定 方 式 に 強 く 反 発 す る で あ ろ う こ と を あ ら か じ め 見 越 し て 、平 成 4 年 度 冬 季 一 時 金 の支給に関する交渉を回避しようとしたものと認められる。 (3) 不 当 労 働 行 為 の 成 否 ア 平成4年度冬季一時金及び平成5年度夏季一時金の支給における、 分 会 員 の 支 給 額 の 減 額 又 は 査 定 ラ ン ク の 下 降 に つ い て は 、 前 記 (1)で 判 断 し た と お り 、分 会 員 で あ る こ と 又 は 組 合 活 動 を 理 由 と し た も の と 判 定 す る に は 、疎 明 不 十 分 と 言 わ ざ る を 得 な い 。し た が っ て 、労 働 組 合法第7条第1号に該当する不利益取扱であるとする申立人らの主張 を採用することはできず、棄却のほかはない。 イ 平 成 4年 度 冬 季 一 時 金 の支 給 に関 する団 体 交 渉 については、上 記 (2) で 判 断 し た と お り 、被 申 立 人 が 申 立 人 ら の 一 時 金 支 給 額 の 減 額 の 問 題 に つ い て の 申 入 れ に 誠 実 に 対 応 し な か っ た も の で 、労 働 組 合 法 第 7 条 第2号に該当する不当労働行為であると言わざるを得ない。 ウ 分 会 員 に 対 す る 不 利 益 取 扱 を 通 じ て 、被 申 立 人 が 申 立 人 ら 組 合 の 運 営 に支 配 介 入 することの禁 止 を求 める、申 立 人 らの申 立 てについては、 前 記 ア で 判 断 し た と お り 、分 会 員 に 対 す る 不 利 益 な 取 扱 い が あ っ た と 認めることができない以上、棄却のほかはない。 3 救済方法 申立人らによる本件申立ては、長年にわたり当時者間に継続して発生し た 労 使 紛 争 に よ っ て 、そ れ ぞ れ の 相 手 方 に 対 す る 不 信 感 が 増 幅 し 、両 者 間 の正常な話合いが期待できなくなった状況の下でなされた。被申立人は、 このような状況の下で、本件一時金の支給の方式を変更し、しかも、これ を 申 立 人 分 会 に あ ら か じ め 知 ら せ る こ と な く 実 施 に 移 し た 。そ の 結 果 と し て 、従 来 に 比 し 、一 時 金 の 支 給 額 が 減 額 に な っ た 分 会 員 が こ れ を 申 立 人 分 会 に 対 す る 被 申 立 人 の 嫌 悪 に よ る 差 別 的 取 扱 と し て 、団 体 交 渉 に お け る 説 明を求めたのは無理からぬことであると考える。 当 委 員 会 は 、本 件 一 時 金 の 支 給 額 の 減 額 が 分 会 員 で あ る こ と 又 は 組 合 活 動 に よ る も の と す る 申 立 人 ら の 主 張 を 、疎 明 不 十 分 の 故 に 、不 当 労 働 行 為 と 断 定 す る こ と は 困 難 と 判 断 し た が 、被 申 立 人 の 主 張 す る 査 定 理 由 が 十 分 に具体的、客観的なものであると判断した訳ではなく、これらを含めて、 当 事 者 間 の 団 体 交 渉 に お い て 、自 主 的 に 解 決 す べ き も の と し て 、被 申 立 人 に主文第1項の措置を命ずる。 - 43 - 加 え て 、前 記 第 1 の 8 の (4)で 認 定 し た と お り 、本 件 結 審 前 後 に お い て 、 当 事 者 間 に は 、 本 件 減 額 問 題 以 外 に も 、労 使 協 議 会 設 置 問 題 や 人 事 に 係 る 協定締結問題など、団体交渉における話合いが必要と判断される幾つかの 問題が残されている。 し た が っ て 、当 委 員 会 は 、申 立 人 ら の 申 し 入 れ た 団 体 交 渉 に お い て 、被 申 立 人 が こ れ ら の 問 題 を 含 め て 誠 実 に 対 応 し 、当 事 者 間 の 十 分 な 話 合 い に より解決するように期待するものである。 ま た 、申 立 人 ら は 陳 謝 文 の 掲 示 を 求 め て い る が 、当 委 員 会 は 文 書 の 手 交 をもって足りると考えるので、被申立人に主文第2項の措置を命ずるもの である。 よ っ て 、 労 働 組 合 法 第 27条 及 び 労 働 委 員 会 規 則 第 43条 を 適 用 し 、 主 文 の と お り命令する。 平 成 7 年 10月 12日 神奈川県地方労働委員会 会長 (別表 略) - 44 - 秋田成就 ㊞