Download -人工衛星データを利用した リモートセンシング-

Transcript
衛星データを用いて地球を観測しよう
本教材は宇宙とのつな
がりを軸として科学を
身近に感じてもらうた
めに作った科学教材で
す。本教材の利用によ
る事故等については一
切責任を持ちかねます
ので、本教材の利用は、
経験のある指導者の指
導の下に行って下さい。
目標と
ねらい
対象学年
●教材提供●
日本宇宙少年団
苫小牧分団 藤島豊久氏
2012 年 4 月 1 日 発行
子どもたちに、
「だいち」や「ランドサット」などのような各種人工衛星データの活
用によるソフトウェアの操作・光学基礎・地図の理解などを学んでもらい、これらのデー
タを子どもたちの身近なものとすることによって、将来宇宙関連はもとよりそれ以外の
分野にも広く進出できる人材育成を目指し、社会の様々な分野での人工衛星利用の可能
性が広がることを期待します。
また、子どもたちが地球観測衛星のデータを利用して地球の状況や宇宙の歴史・環境
を知ることで、自分たちの住む地球を広い視野で理解することを目標とします。
さらには、ほんもの体験をすることにより興味関心だけでなく、新学習指導要領によ
る「科学的に探究する能力の基礎と態度を育てる」事ができます。
小学校高学年以上
(指導者自身の基礎知識が必要なので、参考文献を熟知の上指導して下さい)
所要時間
2 〜3時間
●材料と道具
パソコン:OS Windows XP、Windows Vista、Windows 7
通信回線:インターネット回線(大容量データのダウンロードができること)
人工衛星解析ソフトウェア:【EISEI】Windows XP、Windows Vista、Windows7
Windows XP の場合は別途 Net Framework(2.0 〜 3.5)が必要
【SatelliteEye】Windows XP、WindowsVista、Windows7、Windows8
人工衛星データ:無料サンプル掲載ホームページ(参考ページ参照)
簡易分光器:活動教材集参照
いろ・色パレット:http://eisei-data.jp/contest
光源(R、G、B):http://eisei-data.jp/contest
GPS で宝探し:活動教材集参照
その他資料:参考ページ参照
人工衛星
7-1
人工衛星
-人工衛星データを利用した
リモートセンシング-
1 リモートセンシングとは
人工衛星
人工衛星リモートセンシング
短波放射
オゾン層破壊
航空機リモートセンシング
●雲分布
●雲水量
積雪
雪水
●氷床分布
地表面
●エネルギー収支
フロン
長波放射
●オゾン等
●エアロゾル
雪氷圏変動
CO2 等
火山
地球熱収支
風化
砂漠
●土壌水分
●土地被覆
(植生等)
●積雪水量
氷床
陸氷融出
融出
●海氷分布
海面上昇
海面昇温膨張
大気
地球放射
●大気温度
●風
●水蒸気
●海面温度
風
CO2 吸収
蒸発・熱フラックス
海流
●地表面温度
海中ブイ(海中情報)
植物プランクトン
海
●塩分濃度
●海色・海洋生物
リモートセンシングとは、物体を直接測定器などの機器によって調査することとは異なり、物に触らずに離れ
た場所から調査することを言い、上図は代表的なリモートセンシングの例を表しています。
航空機によるリモートセンシングは人工衛星によるものとは異なり詳細なデータを取得できますが、気象条件
によってはリアルタイムな情報を得られない場合や、航空機の高度が低いため狭い範囲の測定となります。
一方、人工衛星によるリモートセンシングはオゾン層の破壊や CO2 の測定などの空気中の成分の測定や、地
表面温度、海面温度、植生、災害現場の把握など一度に広範囲の測定が可能です。また、世界中どこでも定期的
に長期的に観測ができます。
2 地球観測からデータの提供まで
地球観測衛星は永遠に地球上を周回しているのではなく、地上の運
用局によって軌道の維持や機器の保守などを管理されています。また、
受信局によるデータの受信や記録、補正したデータの提供等を行いま
す。図は人工衛星から受信したデータを地上受信アンテナで受信した
後、データ処理を行いフォーマット後に画像として蓄積し、様々な補
正を加え、記録媒体として提供するまでを示しています。
地上受信アンテナ
記録
データ処理
01010101010101010101010101
01010101010101010101010101
01010101010101010101010101
01010101010101010101010101
01010101010101010101010101
01010101010101010101010101
010101010101
受信局でのデータ作成の流れ
人工衛星
7-2
補正
01010101010101010101010101
01010101010101010101010101
01010101010101010101010101
01010101010101010101010101
01010101010101010101010101
01010101010101010101010101
010101010101
配布
3 人工衛星画像の紹介
下の画像は広島県呉市付近です。日本が打ち上げた「だいち」という人工衛星に搭載されたセンサーで測定し、
データとして送ってきたものですが、それらを地上で補正したものです。
人工衛星
トゥルーカラー フォルスカラー
ナチュラルカラー
左の画像は人間の目で見たときに近い色(トゥルーカラー)で表しています。瀬戸内海は海の色があざやかに
見え、陸地は深い森の部分が濃い緑、平地部はやや褐色がかって見えます。
中央の画像はフォルスカラーと呼び、植物が元気であれば濃い赤になりますが市街地等は褐色となり植物の少
ないことがわかります。近年では農業分野に利用され、稲の収穫時期や植物の成育情報の分析などに利用されて
います。
右の画像はナチュラルカラーと呼び、元気な植物は濃い緑色となり、ゴルフ場などの芝面では薄い黄緑色とな
ります。海のような水域では深い藍色や黒く写るため、ため池などの調査に適しています。どの画像にも瀬戸内
海に白っぽく写っているのは雲の画像です。
「ランドサット」や「だいち」はセンサーに近赤外線バンドを持っていま
す(バンド4)。画像をフォルスカラーやナチュラルカラーで表す場合、
近赤外線バンドを合成します。
このバンドは水の部分では吸収しやすいため暗く見え、植物では反射
が強くなり明るく見えます。バンド2やバンド3と合成することにより
緑色や赤色が強調されます。
近赤外線バンド
左の画像は「ランドサット」衛星が観測した九州西部付近の温度情報
を表しています(バンド6)。海水温は低く、陸域と比べ濃い青で表され、
平地では赤や黄、黄緑色となり海水温と比べ高くなっていることがわか
ります。陸域の中央付近は濃い青で表されていますが、高い山なので平
地と比べ温度が低くなっています。また、特に赤い箇所は市街地に見ら
れアスファルトや建物の屋根などによるものですが、普賢岳などの活火
山も地表の温度が高いのでより赤く表されます。
人工衛星は地上約 700km の宇宙空間からでも地上と同じように観測で
きるので広範囲に観測することができ、暖流と寒流の境や海流の様子な
どがわかります。
LANDSAT 衛星 Band6
人工衛星
7-3
4 センサーとバンド
(1)光と目
人工衛星
私たちが普段感じている光は太陽の光が物体に反射して識別(色や形)できますが、夜間、太陽光の当たらな
い暗闇では灰色がかったり真っ暗で何も見えない状態となります。人間の眼は赤や緑、青に反応する錐体、弱い
光に反応する杆体が、光に反応し視神経に伝えます。
人工衛星の場合も同じで青、緑、赤の3色のセンサーを持っていればカラー画像を得られます。パソコンやテ
レビのディスプレイがその応用となります。
〈眼の構造〉
強膜
毛様体筋
赤色に反応
視細胞
脈絡膜
赤錐体
瞳孔
光
網膜
水晶体
角膜
視軸
硝子体
前眼房
虹彩
中心窩
明暗
緑色に反応
緑錐体
黄斑
明暗
視神経乳頭
(盲点)
青錐体
後眼房
杆体
視神経
青色に反応
錐体
(2)「ランドサット」衛星
下記の表は米国で打ち上げた「ランドサット」の情報です。新たに打ち上げられた人工衛星ではバンド数が増
えていることと、高度の違いから回帰日数や解像度の違いがわかります。
人工衛星名
観測バ
ンド数
打上げ日
運用終了日
高度
LANDSAT-1
LANDSAT-2
LANDSAT-3
LANDSAT-4
LANDSAT-5
LANDSAT-6
LANDSAT-7
4
4
4
7
7
7
8
1972.07.23
1975.01.22
1978.03.05
1982.07.16
1984.03.01
1993.10.05
1999.04.15
1978.01.06
1978.01.06
1983.03.31
2001.06.15
運用中
−
運用中
917km
917km
917km
705km
705km
軌道投入失敗
705 km
搭載
センサー
RBV/MSS
RBV/MSS
RBV/MSS
MSS/TM
MSS/TM
ETM+
回帰日数
解像度
18日
18日
18日
16日
16日
80/80m
80/80m
40/80m
80/30m
80/30m
16日
30/15m
バンド1は沿岸水、バン
LANDSAT TM のバンド表
バンド
1
観測波長帯
0.45∼0.52μm
地表分解能
2
0.52∼0.60μm
3
0.63∼0.69μm
4
0.72∼0.90μm
5
1.55∼1.75μm
植物水分、雪、雲区別
7
2.08∼2.35μm
熱水変質岩
6
10.40∼12.50μm
30m
観測幅
観測項目
185×185km
120m
ド2は植物の活性度、バン
沿岸水
ド3は植物のクロロフィル
植物活性
吸収、バンド4はバイオマ
クロロフィル吸収
スや水塊の分布、バンド5
バイオマス、水塊
地表面、海面温度
は植物の水分、雪と雲の区
別、バンド6は温度のマッ
ピング、バンド7は地表面
や海面を解析する場合に用
いられます。
人工衛星
7-4
(3)波長帯と対象物の反射・放射特性
地球上の物体は波長帯ごとに反射や放射の強さの違いがあります。リモートセンシングでは青、緑、赤、近赤
外線、熱赤外線、マイクロ波を利用します。
主に植生などを解析、バンド5と7は(1.55 ~ 1.75μm、2.08 ~ 2.35μm)土や植物の水分、バンド6は(10.4
~ 12.50μm)放射熱を利用し地球上の温度の解析に使用されます。
※ 1 μm = 1/1,000 mm
葉っぱは緑色の光を反射するので緑色に見えます。また、近赤外線は強く反射します。一方で葉緑素を使って
青色と赤色を吸収し、光合成を行います。
この性質を利用し、葉っぱに反射する近赤外線と赤色を合成して植物の状況を把握するのがフォルスカラーです。
近赤外=強い反射
緑=反射
反射するとエネルギーを取り込めない
吸収
吸収
可視光
赤外線
100
左の図は縦軸に植物による反射率、横軸には電
80
青
(吸収)
植物による 60
反射率
40
(%)
磁波の波長(μm)を表したものです。近赤外線
の波長領域である 0.8 ~ 1.2(μm)が非常に強
近赤外線
(非常に強い反射)
く反射していることがわかります。
20
緑
(強い反射)
赤(吸収)
0
0.4
0.8
1.2
1.6
2.0
2.4
電磁波の波長(μm)
人工衛星
7-5
人工衛星
「ランドサット」TM5では、バンド 1 ~バンド7を使用しています。バンド1~バンド4は(0.45 ~ 0.90μm)
(4)熱赤外線バンド
ランドサットには(バンド6)熱赤外を感知するセンサーが搭載されています。熱赤外は過去のデータを見る
ことにより陸域では地表温度、特に市街地のヒートアイランド現象を比較することができます。また、火山活動
人工衛星
や季節変化による植物の状態、海域では海水温から漁場の情報提供などが行われています。
下の左側の画像は 2006 年7月 17 日、世界第2位の産油国クウェートの画像(バンド6)です。日本と違い
海水や地表の温度が大きく違うことがわかります。また、赤丸円内には円形農場があり、周囲の地表面(土漠)
と違い温度が低く、海水温とほぼ同じことがわかります。一方で青丸円内に見られるように農場の作物が育って
いない場合は、周囲の温度より高くなっていることがわかります。アマゾンの熱帯雨林の森林破壊は、必要以上
の焼畑や伐採により、今なお破壊が進んでいます。生物が生きていくために必要な酸素を作り出す大きな働きが
失われつつあります。
下の写真の左側はサーモグラフィーカメラで撮影したものですが、上述した人工衛星画像(バンド6)とよく
似ているカラーです。測定波長の違いはありますがどちらも熱赤外領域のバンドを使用していますので、原理は
同じです。
(人工衛星 10.40 ~ 12.50μm、カメラ 8 ~ 13μm)
バンド4は近赤外領域ですが、赤外線フィルター(波長 0.76μm 以上の光を通すフィルター)とデジタルカ
メラを利用して人工衛星画像と同じような写真を作成することができます。
赤外線写真
可視光写真
赤外線写真
(左使用ランプは LED)
可視光写真
使用フィルター:富士フィルム IR76(7.5cm×10cm 程度) 撮影する場合は、太陽を直接目で見ないこと
人工衛星
7-6
5 画像の合成
人工衛星
トゥルーカラー
フォルスカラー
ナチュラルカラー
人工衛星から送られてくる画像はバンド1~4のように見た目はカラー画像ではなく、決められた波長で観測
した画像となるのでモノトーン(グレースケール)で見えます。地上で様々な解析を行う場合、例えばバンド 1
~ 3 を茶色線のように重ねると(合成)トゥルーカラーが出来ます。バンド1~3はそれぞれ赤(R)緑(G)
青(B)のフィルターを通して観測した画像を合成した結果、私たちの目で見たものに近い画像が現れます。バ
ンド 4 は赤外線という電磁波で観測した画像ですが、このバンド 4 を重ねることによって目で見た画像に近い
画像(トゥルーカラー画像)だけではわからなかったことも発見しやすくなります。その代表的なものがフォル
スカラーやナチュラルカラーです。フォルスカラーは黄色線のように重ねると出来ます。植物の活性度を調査す
る場合などに利用されます。ナチュラルカラーは黒色のように重ねると出来ます。健康な植物は明るい緑色に見
えるので市街地と植物領域の境界がはっきりし、トゥルーカラーで見るよりも湖沼や河川、海が濃く見えるので
水域などの調査に利用されます。
人工衛星
7-7
6 人工衛星データ解析ソフトの紹介
本文の説明で紹介する専用ソフト、【EISEI】の詳しい取扱につきましては(財)日本宇宙少年団のホームペー
ジを参照して下さい。(付録)
人工衛星
【EISEI】のサポートするファイル形式
読み込める画像形式:
ALOS/PRISM L1B2R、L1B2G(UTM 座標系のみ)
ALOS/AVNIR-2 L1B2R、L1B2G(UTM 座標系のみ)
ALOS/PALSAR L1.5(UTM 座標系のみ)
GOSAT/CAI L1B+
Landsat/MMS、TM、ETM+ GLCF プロダクト
ASTER/GDEM
JPEG
PNG
Windows Bitmap
保存出来る画像形式:
GeoTIFF
JPEG
PNG
Windows Bitmap
主な機能
画像の拡大・縮小、複数の画像を並べて表示、表示の連動、縮尺表示、輝度温度バー表示、バンド間演算(植
生指数)
、レベルスライス、色合成、色・明るさ調整、切出し保存、印刷
本文の説明で紹介する専用ソフト、【SatelliteEye】の詳しい取扱につきましては(財)日本宇宙少年団のホー
ムページを参照して下さい。
【SatelliteEye】のサポートするファイル形式
読み込める画像形式:
TIFF:R8G8B8 非圧縮、8 ビット白黒非圧縮
LANDSAT:上記と同じ TIFF 形式
BMP:BCB のライブラリに依存
JPEG:BCB のライブラリに依存
AVNIR2:CEOS 形式 レベル 1B2
PRISM:CEOS 形式 レベル 1B2
R10:REMO10 用の一部の BIL や BSQ
※このほかに、簡易閲覧版として
SatImage Viewer というソフトもあります。
保存出来る画像形式:Windows Bitmap
主な機能
画像の拡大・縮小、複数の画像を並べて表示、表示の連動、温度分布、温度バー表示、植生指票、色合成、色・
明るさ調整、画像間演算、保存
人工衛星
7-8
科学する心を
育てよう
人工衛星データを解析して学習に役立てるという試みは、誰もが「難しいのでは?」と考え
るでしょう。小学校の理科や社会科の単元では人工衛星の仕組みと共通である基礎の一部を取
り入れていますが、それだけでは実際には人工衛星学習には結びつきません。この学習は第一
に、子どもたちに興味を持ってもらうことから始めなければなりませんが、どうしても難しい
を利用し人工衛星の機能との理論上の結びつきを理解させることが大切なことです。また、多
くの小学生が高学年からパソコンを使用しているのでデータの解析学習は興味をそそることで
しょう。就学前の子どもが保護者に「太郎君はまだ早いよ」といわれても、マウスから手を離
さないで一心にディスプレイをのぞき込んで、画像の面白さにのめり込んでいるところを見た
ことがあります。鮮明な画像や世界中の画像が見えることは好奇心から学習への誘い水とも
なっています。しかし、これだけでは単に画像を見るだけで終わってしまい、しばらく画面に
向かっていると飽きてしまい本来の目指すところへは進みません。
そこで専用ソフトを操作し、選んだ人工衛星画像の特徴を自ら発見し、疑問に思ったことを
考え、画像の背景を解いていかなければなりませんが、そのためにはやはり基礎が必要となり
ます。研究者が実施していることを学ぶために、どうしても導入教材が必要になります。そこ
で導入教材を利用しながらどのように学習を進めていけばよいのかを、以下にまとめてみまし
た。
(1)難しいという意識を取り除くためには
基礎学習から始めるのではなく画像が持つ面白さから紹介する。年齢にもよるがソフトウェ
アの操作から始めてもよいのです。(実習)
例えば低学年では
① Google earth を利用し世界中の場所を調べる。
②人工衛星画像を利用し、同一箇所で年代の異なる画像を比較し、どの場所がどのように変
化したかを調べる。
③地球環境を話し合う。
例えば高学年では
① Google earth を利用し世界中の場所を調べ、疑問に感じたところの人工衛星画像を入手
し解析する。
②同一箇所で年代の異なる画像を比較し、どの場所がどのように変化したかを調べ何故その
ようになったのか原因を調査する。場合によっては現地に出向きフィールドワークを行う。
(2)人工衛星画像の違いを知る
Google earth は解像度が良く乗用車程度の大きさであればその有無が確認できますが、あ
まり解像度の高くない人工衛星画像は敬遠されてしまいます。しかし、Google earth が可視
光であるのに対し、「ランドサット」や「だいち」の画像は他のバンド帯域の画像情報を持っ
ています。こちらの画像では見えにくいがこちらの画像なら見えやすい。あるいは画像を解析
すると可視光ではわからなかったものが見えてくる、といった具合です。それぞれのセンサー
や画像が持っている特徴を理解した上で利用するのがよいでしょう。
(3)導入教材の利用
導入教材は基礎を補うにはかかせない材料です。人工衛星学習では大人さえもが ”難しいの
では” という気持ちが先行してしまいます。興味を持たせたり難しい理論や仕組みを説明する
上での手助けにもなります。
例えば
①波長(バンド)では「簡易分光器」を製作しいろいろな光を分光実験する。または光の概
念を知る上で色合成をするために「色・いろパレット」を製作する。
②赤外線では「赤外線フィルター」を応用し、デジカメで撮った画像を合成したり、サーモ
人工衛星
7-9
人工衛星
理論を理解しなければ先へ進めない箇所があります。あきらめてしまうのではなく、導入教材
グラフィーカメラを利用し、地上でも人工衛星と同じような画像を得られることを実験します。
③様々な画像の解析例を挙げ、解析の面白さを体験してもらいます。
(4)画像解析
人工衛星
導入教材として様々な解析例を紹介するのも必要ですが、子どもたちが自ら発見し疑問に
思った場所や気づいた場所をパソコンを使って解析することの楽しさは、とても大切なことで
す。地理で学んだことをもう一度画像で確認したり、自然や歴史からその国の出来事を知るきっ
かけにもなります。
参考
関係機関や関連教材の紹介
1. 人工衛星データ解析ソフトの入手先
ホームページ上にはいろいろな解析ソフトがありますがここでは教育に役立てていただく主旨から製作者
のご了解を得てご紹介します。
(1)
「Satellite Eye」
Satellite Eye 取扱説明書
(2)
「EISEI」
EISEI 取扱説明書(簡易版)
上記はいずれも財団法人日本宇宙少年団(YAC)のホームページ(http://eisei-data.jp/contest/)で
入手できます。 2. サンプルデータ入手先
ホームページ上からサンプルデータを取得できる機関を紹介します。
・財団法人 日本宇宙少年団(YAC)http://eisei-data.jp (期間限定)
・リ モ ー ト セ ン シ ン グ 技 術 セ ン タ ー(RESTEC) http://www.alos-restec.jp/staticpages/index.php/
service-sampledata/ ・地球観測研究センター(EORC) http://www.eorc.jaxa.jp/imgdata/publication/eorc_cd_dvd-rom.html
3. 無料で入手できる「ランドサット」のデータ
下記サイトで米国が打ち上げた「ランドサット」衛星から送られた画像を入手できます。
・米国メリーランド大学 http://glcfapp.glcf.umd.edu:8080/esdi/index.jsp
・
「ランドサット」画像データ ダウンロード取扱説明書 http://eisei-data.jp/analysis/landsat.html
4. 有料で入手する場合の主なホームページ ・株式会社 パスコ http://www.pasco.co.jp
・一般財団法人リモート・センシング技術センター http://www.restec.or.jp
・地球観測研究センター http://www.eorc.jaxa.jp
5. 日本の主な宇宙機関のホームページ
・宇宙航空研究開発機構(JAXA) http://www.jaxa.jp/
・地球観測研究センター(キッズ) http://www.eorc.jaxa.jp/kids/index.html ・宇宙科学研究所(キッズ) http://www.kids.isas.jaxa.jp
6. 参考ホームページ例
・人工衛星データを使った体験学習プログラム http://eisei-data.jp
人工衛星
7-10
・画像を駆使した漁場探索 http://www.sof.or.jp/jp/news/201-250/230_2.php
・気象庁・過去の気象データ http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/
・夜の地球 http://agora.ex.nii.ac.jp/~kitamoto/research/rs/world-lights.html.ja
・自然と生態系 http://www.eorc.jaxa.jp/hatoyama/experience/library
http://www.eorc.jaxa.jp/imgdata/topics/2004/tp040213.html
7. 導入教材 http://www.eisei-data.jp/development/composition.html
・人工衛星データ学習シート
・光の3原色で色を合成してみよう 「色・いろパレットの製作」 ・光を分光しよう「簡易分光器の製作」
・GPS を体験しよう、GPS で地球の大きさを測ろう
・人工衛星をよく知ろう「人工衛星は何故落ちないの」
キーワード
センサー(リモートセンシング)、人工衛星解析ソフト、人工衛星画像のダウンロード、
バンド、赤外線、軌道、観測幅、人工衛星写真・航空写真、分解能、トゥルーカラー・フォ
ルスカラー・ナチュラルカラー、植生指標、分光、季節変化・経年変化、 R(赤)、G(緑)、
B(青)、色合成、だいち・ランドサット、導入教材、フィールドワーク(現地調査)
教材提供 :日本宇宙少年団苫小牧分団 藤島豊久氏
発行 :宇宙航空研究開発機構 宇宙教育センター
人工衛星
協力 :財団法人日本宇宙少年団 YAC 株式会社学習研究社 財団法人日本宇宙フォーラム
©JAXA2012 無断転載を禁じます
7-11
人工衛星
・不法投棄を監視する http://www.nies.go.jp/sympo/2002/pos/04.pdf