Download (57)【要約】 本発明は、シトクロム P450分子の精製法を提供し、この方法

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JP 2005-528109 A 2005.9.22
(57)【 要 約 】
本 発 明 は 、 シ ト ク ロ ム P450分 子 の 精 製 法 を 提 供 し 、 こ の 方 法 は 、 シ ト ク ロ ム P450分 子 を 宿
主細胞培養物において発現させること;前記培養物から前記細胞を回収して高塩濃度バッ
ファー中に前記細胞を懸濁すること;前記細胞を溶解して細胞片を除去し、高塩濃度溶解
液 を 得 る こ と ; 前 記 溶 解 液 に 界 面 活 性 剤 を 添 加 し て 高 塩 濃 度 -界 面 活 性 剤 溶 解 液 を 得 る こ
と ; な ら び に 前 記 溶 解 液 か ら 前 記 P450を 回 収 す る こ と を 含 ん で な る 。 本 方 法 は 結 晶 化 に 適
し た P450タ ン パ ク 質 の 収 量 を 与 え る 。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
シ ト ク ロ ム P450を 精 製 す る 方 法 で あ っ て 、 以 下 の ス テ ッ プ :
(a) 宿 主 細 胞 培 養 物 に お い て シ ト ク ロ ム P450分 子 を 発 現 さ せ る こ と ;
(b) 前 記 培 養 物 か ら 前 記 細 胞 を 回 収 し 、 12∼ 110 mS/cmの 電 気 伝 導 度 を 有 す る 塩 バ ッ フ ァ
ーに前記細胞を懸濁すること;
(c) 前 記 細 胞 を 溶 解 し 、 細 胞 片 を 除 去 し て 高 塩 濃 度 溶 解 液 を 得 る こ と ;
(d) 前 記 溶 解 液 に 界 面 活 性 剤 を 添 加 し て 高 塩 濃 度 -界 面 活 性 剤 溶 解 液 を 得 る こ と ; お よ び
(e) 前 記 溶 解 液 か ら 前 記 P450を 回 収 す る こ と ;
を 含 ん で な る が 、 た だ し 、 前 記 塩 バ ッ フ ァ ー が 200∼ 1000mMの 濃 度 を 有 す る 場 合 、 P450は 2
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20位 が プ ロ リ ン で 置 換 さ れ た ヒ ト 2C9 P450で は な い 、 前 記 方 法 。
【請求項2】
前 記 塩 バ ッ フ ァ ー が 200∼ 1000mMの 塩 濃 度 を 有 す る 、 請 求 項 1 に 記 載 の 方 法 。
【請求項3】
界 面 活 性 剤 が 0.015∼ 1.2% v/vの 濃 度 で 添 加 さ れ る 、 請 求 項 1ま た は 2 に 記 載 の 方 法 。
【請求項4】
ス テ ッ プ (e)が 、
(e(i)) 前 記 P450を ア フ ィ ニ テ ィ 担 体 に 結 合 さ せ る こ と ;
(e(ii)) 前 記 担 体 を 高 塩 濃 度 -界 面 活 性 剤 洗 浄 液 中 で 洗 浄 す る こ と ;
(e(iii)) 高 塩 濃 度 -界 面 活 性 剤 バ ッ フ ァ ー 中 に 前 記 P450を 取 り 出 し 、 P450-高 塩 濃 度 -界 面
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活性剤調製物を得ること;および
(f) 前 記 調 製 物 を 迅 速 に 脱 塩 し て P450-低 塩 濃 度 調 製 物 を 取 得 す る こ と ;
によって実施される、請求項1∼3のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
ス テ ッ プ (f)が 、 サ イ ズ 排 除 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ り 前 記 調 製 物 か ら 塩 を 除 去 す る こ
とによって行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
P450が ポ リ ヒ ス チ ジ ン タ グ を 保 有 す る 、 請 求 項 1 ∼ 5 の い ず れ か 1 つ に 記 載 の 方 法 。
【請求項7】
P450が CYP1、 2、 3ま た は 4フ ァ ミ リ ー の メ ン バ ー で あ る 、 請 求 項 1 ∼ 6 の い ず れ か 1 つ
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に記載の方法。
【請求項8】
P450が CYP2フ ァ ミ リ ー の メ ン バ ー で あ る 、 請 求 項 7に 記 載 の 方 法 。
【請求項9】
P450が 2C9ま た は 2C19で あ る 、 請 求 項 8 に 記 載 の 方 法 。
【請求項10】
P450が そ の N末 端 の 膜 挿 入 要 素 に 欠 失 を 含 ん で な る 、 請 求 項 1 ∼ 9 の い ず れ か 1 つ に 記
載の方法。
【請求項11】
前 記 P450の N末 端 配 列 が 、 N末 端 膜 挿 入 要 素 の 代 わ り に 、 配 列 MAKKTSSKGRま た は MAYGTHSH
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GLFKKを 含 ん で な る 、 請 求 項 1 0 に 記 載 の 方 法 。
【請求項12】
前 記 P450が 配 列 番 号 2、 4、 6ま た は 8を 有 す る 、 請 求 項 1 1 に 記 載 の 方 法 。
【請求項13】
P450の 結 晶 化 を さ ら に 含 ん で な る 、 請 求 項 1 ∼ 1 2 の い ず れ か 1 つ に 記 載 の 方 法 。
【請求項14】
シ ト ク ロ ム P450の 結 晶 。
【請求項15】
前 記 P450が 2C19で あ っ て 、 前 記 結 晶 が 格 子 サ イ ズ a=158Å 、 b=158Å 、 c=212Å ( a、 bお
よ び cに つ い て +/-5% ) 、 α =90° 、 β =90° 、 γ =120° 、 お よ び 空 間 群 P321を 有 す る 、 請
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求項14に記載の結晶。
【請求項16】
前 記 P450が 2D6で あ る 、 請 求 項 1 4 に 記 載 の 結 晶 。
【請求項17】
前 記 P450が 、 空 間 群 I222お よ び 単 位 格 子 サ イ ズ a=77Å 、 b=99Å 、 c=129Å ( a、 bお よ び c
に つ い て +/-5% ) 、 β =90° を 有 す る ; ま た は 空 間 群 C2お よ び 単 位 格 子 サ イ ズ a=152Å 、 b=
101Å 、 c=78Å ( a、 bお よ び cに つ い て +/-5% ) 、 α =90° 、 β =120° 、 γ =90° を 有 す る 3A
4で あ る 、 請 求 項 1 4 に 記 載 の 結 晶 。
【請求項18】
請 求 項 1 3 に 記 載 の 方 法 に し た が っ て 結 晶 を 調 製 す る こ と 、 そ の 結 晶 を x線 回 折 に 供 す
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る こ と 、 お よ び 得 ら れ た 回 折 パ タ ー ン を 解 析 し て 前 記 P450の 原 子 の 3次 元 座 標 を 決 定 す る
こ と を 含 ん で な る 、 シ ト ク ロ ム P450の 結 晶 構 造 を 決 定 す る 方 法 。
【請求項19】
配 列 番 号 5 の 2D6の コ ー ド 配 列 を 有 す る シ ト ク ロ ム P450 2D6を 発 現 さ せ る た め の 核 酸 。
【請求項20】
請求項19に記載の核酸を含んでなる細菌発現ベクター。
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【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本 発 明 は シ ト ク ロ ム P450分 子 を 特 に 結 晶 化 に 適 し た 形 に 調 製 す る 方 法 に 関 す る 。
【背景技術】
【0002】
シ ト ク ロ ム P450は 、 微 生 物 、 植 物 お よ び 動 物 の 多 く の 種 に お い て 生 理 学 的 に 重 要 な 化 合
物を代謝するヘムタンパク質の、非常に大きく複雑な遺伝子スーパーファミリーである。
シ ト ク ロ ム P450は 、 ス テ ロ イ ド 、 胆 汁 、 脂 肪 酸 、 プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン 、 ロ イ コ ト リ エ ン 、
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レチノイドおよび脂質といった多岐にわたる内在性化合物の酸化的、過酸化的ならびに還
元的代謝において重要である。上記酵素の多くはまた、薬物、環境化合物および汚染物質
を含めた広範な生体異物も代謝する。
【0003】
哺 乳 類 シ ト ク ロ ム P450は 、 ミ ト コ ン ド リ ア 内 膜 ( I型 ) ま た は 細 胞 の 小 胞 体 ネ ッ ト ワ ー
ク ( II型 ) の い ず れ か に 見 出 さ れ る 50∼ 55 kDaの ヘ ム -チ オ ラ ー ト 酵 素 で あ る 。 II型 す な
わ ち ミ ク ロ ソ ー ム 酵 素 は 、 N末 端 の 膜 貫 通 α -へ リ ッ ク ス に よ っ て 膜 に し っ か り と 固 定 さ れ
た内在性膜タンパク質である。この酵素の大部分は、細胞内腔ではなく脂質二重膜の細胞
質 側 に 面 し て い る 。 活 性 の た め に 、 シ ト ク ロ ム P450は フ ラ ビ ン タ ン パ ク 質 NADPH-シ ト ク ロ
ム P450オ キ シ ド レ ダ ク タ ー ゼ お よ び 、 場 合 に よ っ て は 、 シ ト ク ロ ム b5を 含 め た 他 の 膜 酵 素
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成 分 を 必 要 と す る 。 あ る 1 つ の シ ト ク ロ ム P450オ キ シ ド レ ダ ク タ ー ゼ は 、 P450と 直 接 相 互
作 用 し て 、 必 要 と さ れ る 2電 子 を NADPHか ら 転 移 す る こ と に よ っ て 、 す べ て の 哺 乳 類 ミ ク ロ
ソ ー ム 酵 素 の 活 性 を 補 助 す る 。 シ ト ク ロ ム b5は あ る 種 の P450ア イ ソ フ ォ ー ム お よ び 特 定 の
基 質 に 対 し て 電 子 伝 達 を 高 め る た め に 必 要 で あ る 。 シ ト ク ロ ム P450は 、 O2 分 子 の 2つ の 酸
素 原 子 の う ち 1つ を 多 様 な 基 質 に 取 り 込 む こ と が で き る が 、 同 時 に も う 1つ の 酸 素 原 子 を 2
つ の 電 子 に よ っ て H2 Oに 還 元 す る 。 シ ト ク ロ ム P450は 、 ヒ ド ロ キ シ ル 化 、 エ ポ キ シ 化 、 N、 S-、 お よ び O-脱 ア ル キ ル 、 N-酸 化 、 ス ル ホ キ シ ド 化 、 脱 ハ ロ ゲ ン 、 お よ び 他 の 反 応 を 触
媒することが知られている。
【0004】
P450ス ー パ ー フ ァ ミ リ ー の 遺 伝 子 は Nelsonら ( Pharmacogenetics, 6;1-42, 1996) に よ
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っ て 分 類 さ れ 、 そ の 開 示 内 容 は 参 考 と し て 本 明 細 書 に 含 め る も の と す る が 、 こ こ で Nelson
はこのファミリーを構成する遺伝子の体系的な命名法を提案した。この命名法は、当技術
分 野 で 広 く 使 用 さ れ 、 本 明 細 書 で も 採 用 さ れ て い る ( ” CYP” の 接 頭 語 は 、 サ ブ フ ァ ミ リ
ー グ ル ー プ を 指 す 場 合 に は 省 略 さ れ る ) 。 Nelsonら は 、 P450配 列 に 関 す る デ ー タ ベ ー ス シ
ークエンスエントリーへの相互参照を提供する。
【0005】
ホ モ ・ サ ピ エ ン ス は 、 配 列 決 定 さ れ た ア イ ソ フ ォ ー ム が 総 計 で 50を 超 え る 、 17の シ ト ク
ロ ム P450遺 伝 子 フ ァ ミ リ ー お よ び 42の サ ブ フ ァ ミ リ ー を 有 す る 。 フ ァ ミ リ ー 1、 2お よ び 3
の シ ト ク ロ ム P450は 薬 物 代 謝 の 主 要 経 路 を 構 成 す る 。 多 く の 薬 物 は 、 循 環 系 か ら の ク リ ア
ラ ン ス の た め に 、 お よ び 薬 理 学 的 な 不 活 化 の た め に 、 シ ト ク ロ ム P450に よ る 肝 代 謝 に 依 存
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す る 。 逆 に 言 え ば 、 一 部 の 薬 物 は P450に よ っ て 薬 理 学 的 に 活 性 の あ る 代 謝 物 に 体 内 で 変 換
さ れ る に 違 い な い 。 既 知 の す べ て の 薬 物 の 50% が P450に よ っ て 修 飾 さ れ 、 多 く の 見 込 み の
あ る リ ー ド 化 合 物 が シ ト ク ロ ム P450と の 相 互 作 用 の た め に 開 発 段 階 で 中 止 さ れ る と 推 定 さ
れる。薬の発見においてもっとも重大な問題の1つは、薬物リード物質の代謝および修飾
に 関 す る シ ト ク ロ ム P450の 役 割 を 予 測 す る こ と で あ る 。 一 連 の リ ー ド 化 合 物 に 関 わ る 代 謝
上の問題を早期に検出することは、製薬業にとって最重要事項である。主要なヒト薬物代
謝 シ ト ク ロ ム P450の 結 晶 構 造 を 得 る こ と は 、 P450酵 素 が ど の よ う に 薬 物 分 子 を 認 識 す る か
について、および薬物結合の様式について、詳細な情報を提供するので、ドラッグデザイ
ンのためにきわめて有益であると思われる。このことは言い換えると、製薬会社が、代謝
クリアランスを改善し、開発中の化合物の損耗率を減少させるための戦略を開発すること
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を可能にするであろう。
【0006】
現 在 ま で に 、 8つ の シ ト ク ロ ム P450構 造 が X線 結 晶 構 造 解 析 に よ っ て 解 明 さ れ て お り 、 公
開 ド メ イ ン と し て 利 用 で き る 。 5つ の 構 造 は 細 菌 の シ ト ク ロ ム P450に 対 応 す る : P450cam(
CYP101 Poulosら 、 1985, J. Biol. Chem., 260, 16122) 、 P450BM3の ヘ ム タ ン パ ク 質 ド メ
イ ン ( CYP102 , Ravichandranら 、 1993, Science, 261, 731) 、 P450terp( CYP108, Hase
mannら 、 1994, J. Mol. Biol. 236, 1169) 、 P450eryF( CYP107A1, Cupp-Vickeryお よ び P
oulos, 1995, Nature Struct. Biol. 2, 144) 、 お よ び P450 14α -ス テ ロ ー ル デ メ チ ラ ー
ゼ ( CYP51, Podustら 、 2001, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 98, 3068) 。 シ ト ク ロ ム P45
0norの 構 造 は 脱 窒 真 菌 Fusarium oxysporumか ら 得 ら れ た ( Shimizuら 、 2000, J. Inorg. B
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iochem. 81, 191) 。 最 近 、 始 原 菌 ( 古 細 菌 ) Sulfolobus solfataricus由 来 の 好 熱 性 シ ト
ク ロ ム P450 (CYP119)の 結 晶 構 造 が 報 告 さ れ た ( Yanoら 、 2000, J. Biol. Chem. 275, 310
86-31092) 。 8番 目 の 構 造 は 、 ウ サ ギ の 2C5ア イ ソ フ ォ ー ム で あ っ て 、 哺 乳 類 の シ ト ク ロ ム
P450の 初 め て の 構 造 で あ る ( Williamsら 、 2000, Mol. Cell. 5, 121-131) 。 構 造 が 解 明
さ れ た シ ト ク ロ ム P450は す べ て 大 腸 菌 ( E,Coli) で 発 現 さ れ た 。 現 在 ま で の と こ ろ 、 哺 乳
類 シ ト ク ロ ム P450の 結 晶 化 が 細 菌 の シ ト ク ロ ム P450と 比 較 し て 特 に 困 難 で あ っ た 理 由 は 、
こ れ ら の タ ン パ ク 質 の 性 質 に あ る 。 細 菌 の シ ト ク ロ ム P450は 可 溶 性 で あ る の に 対 し て 、 哺
乳 類 の P450は 内 在 性 膜 タ ン パ ク 質 で あ る 。 哺 乳 類 シ ト ク ロ ム P450は 、 膜 に 組 み 込 む た め の
切 断 不 可 能 な シ グ ナ ル 配 列 と し て 機 能 す る 、 短 く て 疎 水 性 の 強 い N末 端 セ グ メ ン ト に よ っ
て 小 胞 体 の 膜 に は め 込 ま れ て い る 。 哺 乳 類 シ ト ク ロ ム P450タ ン パ ク 質 の 残 り の 部 分 は 細 胞
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質スペース内に突出した球形構造をとる。
【0007】
哺 乳 類 の シ ト ク ロ ム P450の 大 半 は 肝 臓 に あ る が 、 腸 壁 、 肺 、 腎 臓 、 副 腎 皮 質 お よ び 鼻 粘
膜 上 皮 を 含 め て 、 他 の 臓 器 お よ び 組 織 は 特 定 の シ ト ク ロ ム P450を 高 濃 度 に 有 し て い る 。 い
く つ か の シ ト ク ロ ム P450酵 素 を 哺 乳 類 ミ ク ロ ソ ー ム か ら 単 離 す る こ と に は 成 功 し た が 、 組
織 か ら の 精 製 は 重 大 事 で あ る 。 精 製 を 困 難 に す る の は 、 ヒ ト 組 織 に お い て シ ト ク ロ ム P450
を入手しにくいこと、限定された収率、高度のアミノ酸同一性を共有する強く関連したア
イソフォームを分離するのが難しいこと、このタンパク質の疎水的な性質、界面活性剤の
使用、および時に精製中に失活することである。組織からの精製法は、ミクロソーム膜の
調 製 、 膜 結 合 型 シ ト ク ロ ム P450の 界 面 活 性 剤 に よ る 抽 出 、 連 続 的 な 精 製 ス テ ッ プ お よ び 最
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終精製での界面活性剤の除去を必要とする。これらの手順に従って単離されたシトクロム
P450は 、 強 い 凝 集 傾 向 、 低 い 溶 解 性 お よ び 乏 し い 単 分 散 性 を 示 し 、 結 晶 化 に つ な が ら な い
特徴であった。
【0008】
哺 乳 類 シ ト ク ロ ム P450に 関 す る 構 造 研 究 は 、 単 一 の シ ト ク ロ ム P450の 高 濃 度 発 現 を 可 能
にする異種発現系、ならびに溶液中のこのタンパク質の溶解性および性質を向上させるた
め の 配 列 の 変 更 を 併 せ て 必 要 と す る こ と が あ る 。 哺 乳 類 シ ト ク ロ ム P450は 、 哺 乳 類 細 胞 培
養、酵母、バキュロウイルスおよび細菌を包含する多種多様な系において、今日では日常
的 に 組 換 え タ ン パ ク 質 と し て 発 現 さ れ る ( Methods in Enzymology, Vol. 206, Academic
Press, 1991を 参 照 さ れ た い ) 。 生 物 物 理 学 的 研 究 も し く は 構 造 研 究 を 目 的 と し て 、 い く
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つ か の ミ ク ロ ソ ー ム P450酵 素 を 大 量 に 低 コ ス ト で 発 現 す る た め に 細 菌 の 系 が 良 好 に 用 い ら
れ た ( Barnesら 、 1991, Proc. Natl. acad. Sci. USA 88 , 5597-5601) 。 大 腸 菌 に お け
る い く つ か の 全 長 哺 乳 類 シ ト ク ロ ム P450の 発 現 は 、 現 在 で は 文 献 で 十 分 に 証 明 さ れ て い る
( Fisherら 、 1992, FASEB J. 6, 759-764; Richardsonら 、 1995, Arch Biochem. Biophys
. 323, 87-96; Gillamら 、 1995, Arch. Biochem. Biophys. 317, 374-384) 。 大 腸 菌 に お
け る 発 現 を 最 適 化 す る た め に 有 利 と な る よ う に 、 タ ン パ ク 質 の N末 端 の 2,3の 残 基 の 変 更 が
記 載 さ れ て い る 。 第 2コ ド ン を ア ラ ニ ン 残 基 に 変 更 す る こ と が よ く 用 い ら れ る 。 し か し な
が ら 、 こ れ ら の 全 長 シ ト ク ロ ム P450の 物 理 的 性 質 は 、 哺 乳 類 組 織 か ら 単 離 さ れ た シ ト ク ロ
ム P450に つ い て 記 載 さ れ た 内 容 と き わ め て 類 似 し て お り 、 し た が っ て 、 結 果 と し て 得 ら れ
たタンパク質は、構造研究に受け入れられない可能性がある。
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【0009】
N末 端 の 膜 ア ン カ ー 領 域 の 欠 失 は 、 異 種 系 で 達 成 さ れ る 高 レ ベ ル 発 現 と 併 せ て 、 X線 結 晶
構 造 解 析 の た め の 、 調 製 用 の 量 の 可 溶 性 哺 乳 類 シ ト ク ロ ム P450を 得 る 手 段 を 与 え る こ と が
で き る 。 こ れ は 、 N末 端 疎 水 性 シ グ ナ ル 配 列 の 除 去 に よ っ て 、 ミ ク ロ ソ ー ム 膜 ア ン カ ー を
失 っ た 機 能 性 シ ト ク ロ ム P450フ ォ ー ム が 与 え ら れ る と い う 仮 説 に 基 づ く 。 こ う し た タ ン パ
ク 質 は 、 疎 水 性 が 低 く 、 お そ ら く は 可 溶 性 で す ら あ っ て 、 推 定 さ れ る よ う に X線 結 晶 構 造
解析に供しやすいことが見込まれる。
【0010】
N末 端 を 除 去 す る こ と に よ り 可 溶 性 哺 乳 類 シ ト ク ロ ム P450を 作 る い く つ か の 試 み が 、 異
な る グ ル ー プ に よ っ て 文 献 に 報 告 さ れ て い る 。 シ ト ク ロ ム P450の 類 似 し た N末 端 欠 失 が い
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ずれの場合にも用いられたが、ただし使用された精製法および得られた結果は大きく異な
る。したがって、改善された、より一般的に適用可能な精製法が必要である。
【0011】
Johnsonの グ ル ー プ は シ ト ク ロ ム P450 N末 端 の 欠 失 を 巧 く 利 用 し て 、 初 め て 哺 乳 類 P450
の X線 結 晶 構 造 を 解 明 し た ( Williamsら 、 2000, Mol. Cell. 5, 121-131) 。 こ の グ ル ー プ
( Wachenfeltら 、 1997, Arch. Biochem. Biophys. 339, 107-114; Cosmeら 、 2000, J. Bi
ol. Chem. 275, 2545-2553) は 、 N末 端 の 残 基 3-21を 欠 失 さ せ て 、 ウ サ ギ 2C3お よ び 2C5ア
イソフォームを大腸菌で発現させた。結果は、トランケートされたタンパク質が細胞膜と
の塩依存的会合を示すことを明らかにし、膜貫通ドメインの除去が、こうした本来の膜タ
ンパク質を、界面活性剤を使用せずに精製することができる表在性膜タンパク質に変換す
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ることを示唆する。その結果得られた精製タンパク質は、主に二量体および四量体であっ
た 。 ウ サ ギ ・ シ ト ク ロ ム P450 2C5の 結 晶 化 に お け る 困 難 は 、 膜 貫 通 配 列 の 除 去 、 お よ び 膜
結合に関与すると考えられる領域の改変を組み合わせることによって克服された。
【0012】
Kempfら ( Kempfら 、 1995, Arch. Biochem. Biophys., 321, 277-288) は 、 ヒ ト ・ シ ト
ク ロ ム P450 2D6の 、 N末 端 25ア ミ ノ 酸 を N末 端 Metコ ド ン に 続 く ヘ キ サ -ヒ ス チ ジ ン で 置 換 し
た一連の構築物の、大腸菌における発現を解析した。タンパク質を高濃度の塩で膜から可
溶 化 し た 後 、 界 面 活 性 剤 C1 2 E9 の 存 在 下 、 も し く は 非 存 在 下 で 、 Ni
2 +
キレートアフィニテ
ィ ー ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ っ て 精 製 し 、 次 い で DEAE-Sephacelお よ び ハ イ ド ロ キ シ ア パ
タイト樹脂を用いて精製した。その結果から、界面活性剤の非存在下では、タンパク質は
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多 量 体 状 態 へ の 強 い 凝 集 傾 向 を 示 す こ と が 明 ら か に な っ た 。 50% を 超 え る タ ン パ ク 質 が 高
度 に 凝 集 す る 。 非 イ オ ン 系 NP40を 精 製 の 間 ず っ と 使 用 し て サ ン プ ル 中 に 保 持 す る 場 合 、 タ
ン パ ク 質 を 単 量 体 に 解 離 さ せ る こ と が で き る 。 高 度 に 精 製 す る た め に 3本 の カ ラ ム が 必 要
で あ り 、 最 終 的 な 収 率 は 20% で あ っ た 。
【0013】
Gillamら (Gillamら 、 1995, Arch. Biochem. Biophys. 319, 540-550)は 、 ヒ ト シ ト ク
ロ ム P450 2D6の 一 連 の N末 端 修 飾 構 築 物 の 、 大 腸 菌 に お け る 発 現 を 調 べ た 。 こ れ ら の う ち
の い く つ か は 、 あ る 程 度 の シ ト ク ロ ム P450 2D6を 生 成 し た が 、 発 現 率 に は 相 当 な ば ら つ き
が あ っ た 。 最 高 の 構 築 物 は N末 端 疎 水 性 領 域 の 除 去 を 伴 う も の で あ っ た 。 発 現 さ れ た シ ト
ク ロ ム P450を 最 初 に 界 面 活 性 剤 Triton X114の 存 在 下 で 膜 か ら 抽 出 し た 後 、 界 面 活 性 剤 の
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存在下でフラボドキシンアフィニティーカラムおよびハイドロキシアパタイトを用いて精
製した。最終調製物において透析によって、もしくは大量洗浄によって界面活性剤を除去
した。その結果から、たとえその膜アンカー配列を欠失させても、当該タンパク質はなお
膜に結合し、界面活性剤を用いて抽出する必要があることが明らかになった。シトクロム
P450 2D6の 全 体 的 な 回 収 率 は 20% 未 満 で あ る 。 タ ン パ ク 質 の 凝 集 状 態 に 関 す る デ ー タ は 提
示されなかった。
【0014】
Perneckyら (Perneckyら 、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1993, 90, 2651-2655)は 、 ウ
サ ギ N切 断 型 シ ト ク ロ ム P450 2B4お よ び 2E1、 な ら び に い く つ か の キ メ ラ を 大 腸 菌 で 発 現 さ
せ た 。 タ ン パ ク 質 を 細 菌 溶 解 液 か ら 1% n-オ ク チ ル -β -D-グ ル コ ピ ラ ノ シ ド で 抽 出 し 、 続
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い て GSH-Sepharoseカ ラ ム で 精 製 し 、 GSTタ グ を 外 す た め に ト ロ ン ビ ン で 処 理 し た 。 最 後 に
、残存する界面活性剤をハイドロキシアパタイトカラムで調製物から除去した。結果から
、 界 面 活 性 剤 の 非 存 在 下 で は ト ラ ン ケ ー ト 型 シ ト ク ロ ム P450 2E1は や は り 大 部 分 が 凝 集 し
( 5量 体 ) 、 シ ト ク ロ ム P450 2B4は 平 均 し て 8量 体 の 大 き さ の 高 分 子 量 凝 集 体 の 混 合 物 で あ
ることが示された。このタンパク質を単量体型に変えるためには界面活性剤の添加が必要
であった。
【0015】
Larsonら (Larsonら 、 1991, J. Biol. Chem, 266, 7321-7324)は 、 ア ミ ノ 酸 3-29を 欠 い
て 、 全 長 シ ト ク ロ ム P450と 同 様 に 大 腸 菌 に お い て 発 現 さ れ た ウ サ ギ ・ シ ト ク ロ ム P450 2E1
が 大 部 分 は 膜 画 分 に 存 在 す る こ と を 明 ら か に し た 。 pH 11で 0.1M Na2 CO3 を 用 い て こ の ト ラ
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ン ケ ー ト 型 シ ト ク ロ ム P450を 膜 か ら 遊 離 で き な い こ と は 、 短 く な っ た シ ト ク ロ ム P450が 膜
と 一 体 と な っ て 結 合 し て い る 証 拠 を 提 供 す る 。 こ の タ ン パ ク 質 は 、 n-オ ク チ ル -β -D-グ ル
コピラノシドを界面活性剤として使用して大腸菌の膜から可溶化した後、部分精製された
。
【0016】
Saragaら (Saragaら 、 1993, Arch. Biochem. Biophys. 304, 272-278)は 、 ウ シ ・ ミ ク
ロ ソ ー ム 17β -ヒ ド ロ キ シ ラ ー ゼ シ ト ク ロ ム P450( P450c17) の 、 N-末 端 疎 水 性 シ グ ナ ル
ア ン カ ー 配 列 ( 残 基 2-17) を 欠 い た 切 断 型 を 発 現 さ せ た 。 そ の 結 果 は 、 ト ラ ン ケ ー ト 型 シ
ト ク ロ ム P450が 主 と し て 膜 に 結 合 し て い る こ と を 示 す 。 こ の タ ン パ ク 質 に 関 す る 情 報 は 提
示されなかった。
40
【発明の開示】
【0017】
上 記 の 先 行 技 術 の よ う な 努 力 に も か か わ ら ず 、 今 な お P450を 組 換 え 宿 主 細 胞 か ら 、 確 実
に 、 し か も X線 結 晶 構 造 研 究 お よ び P450タ ン パ ク 質 に 結 合 す る 小 分 子 の 結 晶 学 的 ス ク リ ー
ニングに供せられるのに十分な量および品質で、該タンパク質の結晶形成を可能にする収
率 で 、 精 製 す る 方 法 を 開 発 す る 必 要 が あ る 。 精 製 さ れ た P450タ ン パ ク 質 は 、 他 の 多 く の 目
的 、 た と え ば 薬 物 を 発 見 し て 薬 物 と 上 記 分 子 と の 相 互 作 用 を 分 析 す る た め の NMR研 究 お よ
びハイスループットスクリーニング法にも有用である。
【0018】
本 発 明 は 、 P450の 効 率 的 な 単 離 お よ び 精 製 を 提 供 す る こ と に よ っ て 先 行 技 術 の 問 題 点 を
50
(7)
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克 服 す る こ と を 目 的 と す る 。 本 研 究 に お い て 、 本 発 明 者 ら は 、 先 行 技 術 の 問 題 は P450が そ
の単離精製の間に凝集しやすい点にあることを見出した。本発明者らは、これまで判明し
て い な か っ た 上 記 の 理 由 の 1 つ が 、 当 技 術 分 野 に お い て 、 P450発 現 宿 主 細 胞 を 溶 菌 前 に 低
イオン強度のバッファーに再懸濁する必要があるとされる点にあると考えている。
【0019】
加 え て 先 行 技 術 は 、 溶 菌 後 、 膜 画 分 か ら P450を 採 取 す る た め に 、 細 胞 を 界 面 活 性 剤 と 接
触させる前に宿主細胞の膜画分を回収する(通常、高速超遠心による)必要があることも
教示する。
【0020】
こ れ ら の ス テ ッ プ は 、 細 胞 溶 解 液 か ら の P450の 収 率 を 低 下 さ せ る 。 本 発 明 者 ら は 、 こ こ
10
で 、 分 離 し た 膜 画 分 を 回 収 す る 必 要 な し に 細 胞 溶 解 液 か ら P450を 回 収 す る 方 法 を 見 出 し た
。この方法は、回収プロセスの早い段階で高イオン強度(すなわち高い塩濃度)のバッフ
ァーを使用して、非凝集状態のタンパク質の高い回収率を与える。
【0021】
し た が っ て 、 第 1の 態 様 に お い て 、 本 発 明 は P450の 精 製 法 を 提 供 す る が 、 こ こ で 前 記 方
法は下記のステップを含んでなる:
(a) 宿 主 細 胞 の 培 養 物 に お い て シ ト ク ロ ム P450分 子 を 発 現 さ せ る こ と ;
(b) 前 記 培 養 物 か ら 前 記 細 胞 を 回 収 し 、 12∼ 110 mS/cmの 電 気 伝 導 度 を 有 す る 塩 バ ッ フ
ァー中に前記細胞を懸濁すること;
(c) 前 記 細 胞 を 溶 解 し 、 細 胞 片 を 除 去 し て 高 塩 濃 度 溶 解 液 を 得 る こ と ;
20
(d) 前 記 溶 解 液 に 界 面 活 性 剤 を 添 加 し て 、 高 塩 濃 度 -界 面 活 性 剤 溶 解 液 を 得 る こ と ; な
らびに
(e) 前 記 P450を 前 記 溶 解 液 か ら 回 収 す る こ と 。
【0022】
塩 バ ッ フ ァ ー は 、 200∼ 1000 mMの 塩 濃 度 を 有 す る こ と が 好 ま し い 。
【0023】
界 面 活 性 剤 は 、 0.015∼ 1.2% v/vと な る よ う 添 加 す る こ と が 好 ま し い 。
【0024】
あ る い は ま た 、 こ れ は 好 ま し く は な い が 、 界 面 活 性 剤 を ス テ ッ プ (c)で 細 胞 片 を 除 去 す
る前に添加することができる。
30
【0025】
も っ と も 好 ま し い の は 、 塩 バ ッ フ ァ ー が 200∼ 1000 mMの 塩 濃 度 を 有 し 、 界 面 活 性 剤 が 0.
015∼ 1.2% v/vと な る よ う に 添 加 さ れ る こ と で あ る 。
【0026】
回 収 ス テ ッ プ は 一 般 に 、 高 塩 濃 度 -界 面 活 性 剤 溶 解 液 か ら の P450の ア フ ィ ニ テ ィ ー 精 製
を包含するが、これは高濃度の塩の存在が当面のイオン交換精製ステップという選択肢を
除外するためである。
【0027】
し か し な が ら 、 ひ と た び P450が ア フ ィ ニ テ ィ ー 精 製 ( た と え ば 、 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー )
によって精製されたならば、結晶化できるように生成物のさらなる精製を可能にするため
40
に、塩を除去する必要がある。先行技術において、塩の除去は一般的には透析によって行
わ れ る 。 し か し な が ら 、 本 発 明 者 ら は 、 こ の プ ロ セ ス が 数 時 間 に わ た っ て ( 通 常 12∼ 24時
間 ) 徐 々 に 塩 を 除 く た め 、 P450の 凝 集 お よ び 変 性 を 引 き 起 こ し 、 し た が っ て 望 ま し く な い
ことを見出した。本発明者らは、迅速な脱塩がこうした問題をかなりの程度まで解決する
ことを見出した。
【0028】
し た が っ て 、 も う 一 つ の 態 様 に お い て 、 上 記 の ス テ ッ プ (e)は 下 記 に よ っ て 実 施 す る こ
とができる:
(e(i)) 前 記 P450を ア フ ィ ニ テ ィ ー 担 体 に 結 合 さ せ る こ と ;
(e(ii)) 前 記 担 体 を 高 塩 濃 度 -界 面 活 性 剤 洗 浄 液 中 で 洗 浄 す る こ と ;
50
(8)
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(e(iii)) 高 塩 濃 度 -界 面 活 性 剤 バ ッ フ ァ ー 中 に 前 記 P450を 取 り 出 し 、 P450-高 塩 濃 度 -界
面活性剤調製物を得ること;ならびに
(f) 調 製 物 を 迅 速 に 脱 塩 し て P450-低 塩 濃 度 調 製 物 を 取 得 す る こ と 。
【0029】
ス テ ッ プ (f)は 、 サ イ ズ 排 除 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ っ て 、 ま た は 同 等 の 時 間 ス ケ ー ル
の間に脱塩を与える他の方法によって、前記調製物から塩を除去することにより実施する
ことが好ましい。
【0030】
上 記 ス テ ッ プ e(i)-(iii)は 、 精 製 法 の 初 期 段 階 を 通 じ て P450を 高 塩 濃 度 の 界 面 活 性 剤 バ
ッ フ ァ ー 中 に 維 持 す る が 、 そ の こ と は P450の 回 収 を 促 進 す る 。
10
【0031】
調製物をさらなる精製および不純物除去手順、たとえば陽イオン交換クロマトグラフィ
ー、場合によっては、その後さらにサイズ排除クロマトグラフィー、に供することが可能
であって、一層高度に精製されたタンパク質調製物が得られる。
【0032】
回収されたタンパク質調製物を、たとえばハンギングドロップ法もしくは当技術分野の
他 の 従 来 技 法 に よ っ て 結 晶 化 し 、 X線 結 晶 構 造 解 析 に 供 す る こ と が で き る 。 も う 一 つ の 態
様 に お い て 、 本 発 明 は P450タ ン パ ク 質 分 子 の 結 晶 、 お よ び P450分 子 の 結 晶 構 造 を 得 る 方 法
を 提 供 す る が 、 こ の 方 法 は 前 記 結 晶 を X線 回 折 に 供 す る こ と 、 お よ び 得 ら れ た 回 折 パ タ ー
ン を 解 析 し て 前 記 P450の 原 子 の 3次 元 座 標 を 決 定 す る こ と を 含 ん で な る 。
20
【0033】
特 定 の 態 様 に お い て 、 本 発 明 の 結 晶 は 、 格 子 の 大 き さ a=158Å 、 b=158Å 、 c=212Å 、 α =
90° 、 β =90° 、 γ =120° 、 お よ び 空 間 群 P321を 有 す る P450 2C19で あ る 。 別 の 態 様 に お い
て 、 本 発 明 は 、 空 間 群 I222お よ び 単 位 格 子 サ イ ズ a=77Å 、 b=99Å 、 c=129Å 、 β =90° を 有
す る ; も し く は 空 間 群 C2お よ び 単 位 格 子 サ イ ズ a=152Å 、 b=101Å 、 c=78Å 、 α =90° 、 β =
120° 、 γ =90° を 有 す る 、 3A4の 結 晶 を 提 供 す る 。
【0034】
当 業 者 で あ れ ば 、 結 晶 の 格 子 の 大 き さ が 結 晶 化 を 繰 り 返 す と 、 好 ま し く は 1∼ 2Å 程 度 で
あ る が 、 5% 程 度 変 動 す る 可 能 性 が あ り 、 こ う し た 変 動 は 本 発 明 の 精 神 お よ び 範 囲 に 含 ま
れることを認識するであろう。
30
【0035】
本発明が下記のステップ:
(a) 宿 主 細 胞 培 養 に お い て シ ト ク ロ ム P450分 子 を 発 現 さ せ る こ と ;
(b) 前 記 細 胞 を 前 記 培 養 物 か ら 回 収 す る こ と 、 お よ び 前 記 細 胞 を 200∼ 1000 mMの 伝 導 率 を
有する塩バッファー中に懸濁すること;
(c) 前 記 細 胞 を 溶 解 し 、 細 胞 片 を 除 去 し て 、 高 塩 濃 度 溶 解 液 を 提 供 す る こ と ;
(d) 前 記 溶 解 液 に 界 面 活 性 剤 を 添 加 し て 、 高 塩 濃 度 -界 面 活 性 剤 溶 解 液 を 得 る こ と ; な ら
びに
(e) 前 記 P450を 前 記 溶 解 液 か ら 回 収 す る こ と ;
を 含 ん で な る シ ト ク ロ ム P450の 精 製 法 を 提 供 す る 限 り に お い て 、 こ の 方 法 は 、 残 基 220が
40
プ ロ リ ン で 置 換 さ れ た ヒ ト 2C9で あ る シ ト ク ロ ム P450分 子 を 除 外 す る 。
【0036】
不 明 確 性 を 回 避 す る た め に 、 上 記 の 除 外 は タ ン パ ク 質 を 膜 内 に 埋 め 込 む N末 端 セ グ メ ン
ト の N末 端 欠 失 、 ト ラ ン ケ ー シ ョ ン 、 お よ び / ま た は 置 換 を 有 す る も の 、 な ら び に ア フ ィ
ニティー精製を可能にするポリペプチドタグを有するものを含めた、そういったあらゆる
ヒ ト 2C9 P450を 包 含 す る 。
【0037】
P450結 晶 を 調 製 す る た め の 上 記 方 法 に よ っ て 得 ら れ た こ の よ う な P450分 子 の 使 用 、 ま た
はその後のそれらの解析使用も除外される。
【0038】
50
(9)
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下 記 の P450分 子 は 、 上 記 の 但 し 書 き に 含 ま れ る :
i) 配 列 番 号 77の 2C9-FGル ー プ
ii) 配 列 番 号 78ま た は 79の 2C9P220分 子
iii) 配 列 番 号 80の 2C9-FGル ー プ K206E
iv) 220位 が プ ロ リ ン に よ っ て 置 換 さ れ た 、 配 列 番 号 81の 2C9野 生 型 P450; 場 合 に よ っ て は
上記において
(a) 上 記 の (i)、 (ii)、 (iii)も し く は (iv)の 前 記 2C9 P450分 子 が 、 N末 端 疎 水 性 膜 貫 通 ド
メ イ ン の ト ラ ン ケ ー シ ョ ン を 含 ん で な り 、 場 合 に よ り そ の 領 域 を 短 い も の ( た と え ば 1個
以 上 ( た と え ば 3、 4ま た は 5個 ) の 正 に 荷 電 し た ア ミ ノ 酸 を 含 有 す る 8∼ 12ア ミ ノ 酸 配 列 )
で 置 き 換 え て も よ く 、 特 に こ の 場 合 N末 端 配 列 は 最 初 の 30ア ミ ノ 酸 の 代 わ り に MAKKTSSKGR
10
とする;および/または
(b) (i)、 (ii)、 (iii)も し く は (iv)の 前 記 2C9 P450分 子 が 、 タ ン パ ク 質 の 回 収 お よ び 精 製
を 可 能 に す る C末 端 ポ リ ヒ ス チ ジ ン タ グ の よ う な タ グ を 含 ん で な る 。 4-ヒ ス チ ジ ン タ グ は
そういったタグの1つである;および/または
(c) 220位 に プ ロ リ ン 置 換 を 有 す る 2C9が 、 1∼ 10個 ま で ( 1、 2、 3、 4、 5、 6、 7、 8、 9ま た
は 10個 ) の ア ミ ノ 酸 の 、 等 価 物 も し く は よ り 少 な い 数 の ア ミ ノ 酸 に よ る 置 換 を 包 含 す る 。
【0039】
別 の 態 様 に お い て 、 本 明 細 書 に 提 示 し た 本 発 明 の 実 施 形 態 は 、 P450が い ず れ か の ヒ ト P4
50タ ン パ ク 質 で あ る 場 合 に 塩 バ ッ フ ァ ー は 500 mM KPiで な い こ と を 提 供 す る 。
【0040】
20
発明の詳細な説明
シ ト ク ロ ム P450
本 発 明 者 ら は 、 本 発 明 の 新 規 精 製 法 が 大 半 の シ ト ク ロ ム P450タ ン パ ク 質 に 広 く 適 用 可 能
であると確信するが、それはその方法が精製の初期段階で可溶性の脱凝集形態の上記タン
パク質を与えることを目的としているためである。
【0041】
当 該 の シ ト ク ロ ム P450フ ァ ミ リ ー は フ ァ ミ リ ー CYP1、 CYP2、 CYP3、 CYP4、 CYP5、 CYP6、
CYP7A、 CYP7B、 CYP8、 CYP9、 CYP10、 CYP11、 CYP12、 CYP13、 CYP14、 CYP15、 CYP16、 CYP17
、 CYP18、 CYP19、 CYP21、 CYP24、 CYP26、 CYP27、 CYP46、 CYP51 お よ び CYP52を 包 含 す る
。 こ れ ら の う ち 、 脊 椎 動 物 の シ ト ク ロ ム フ ァ ミ リ ー 、 す な わ ち フ ァ ミ リ ー CYP1、 CYP2、 CY
30
P3、 CYP4、 CYP5、 CYP7A、 CYP7B、 CYP8、 CYP11、 CYP17、 CYP19、 CYP21、 CYP24、 CYP26、 CY
P27、 CYP46 お よ び CYP51が 特 に 注 目 さ れ る 。
【0042】
上 記 の う ち 、 CYPサ ブ フ ァ ミ リ ー は 、 1A (特 に 1A1お よ び 1A2)、 1B (特 に 1B1)、 2A (特 に
2A6、 2A7、 2A13)、 2B (た と え ば 2B6)、 2C (特 に 2C8、 2C9、 2C18お よ び 2C19)、 2D (特 に 2D
6)、 2E (特 に 2E1)、 2F (特 に 2F1)、 2J (特 に 2J2)、 3A (特 に 3A4、 3A5お よ び 3A7)、 4A (特
に 4A11、 4A20)、 4B (特 に 4B1)、 4C、 4D、 4E、 4F (特 に 4F2、 4F3、 4F8、 4F11、 4F12)、 5A
(特 に 5A1)、 7A (特 に 7A1)、 7B (特 に 7B1)、 8A (特 に 8A1)、 8B (特 に 8B1)、 11A (特 に 11A1
)、 な ら び に 11B (特 に 11B1、 11B2)サ ブ フ ァ ミ リ ー を 包 含 す る 。
【0043】
40
上 記 の フ ァ ミ リ ー お よ び サ ブ フ ァ ミ リ ー の ヒ ト 遺 伝 子 を 含 め て 、 ヒ ト シ ト ク ロ ム P450遺
伝 子 は 特 に 興 味 深 い 。 遺 伝 子 の 配 列 は 、 SwissProtを 含 め て 、 多 数 の 公 開 デ ー タ ベ ー ス で
利 用 で き る 。 ヒ ト P450は 、 1A1 (SwissProt P04798 (特 に 指 示 の な い 限 り 、 下 記 の 記 載 事
項 は す べ て SwissProt))、 1A2 (P05177)、 1B1 (Genbank/EMBL U03688)、 2A6 (P11509)、 2A
7 (P20853)、 2A13 (Genbank/EMBL U22028)、 2B6 (P20813)、 2C8 (P10632)、 2C9 (P11712)
、 2C18 (P33260)、 2C19 (P33261)、 2D6 (P10635)、 2E1 (P05181)、 2F1 (P24903)、 2J2 (G
enbank/EMBL U37143)、 3A3 (P05184)、 3A4 (P08684 or M18907)、 3A5 (P20815)、 3A7 (Ge
nbank/EMBL NM_000765)、 4A20 (Genbank/EMBL AJ131016)、 4B1 (P13584)、 5A1 (P24557)
、 4A11 (Genbank/EMBL L04751)、 4F2 (Genbank/EMBL U02388)、 4F3 (Q08477)、 4F8 (Genb
ank/EMBL AF133298)、 4F11 (Genbank/EMBL AF236085)、 4F12 (Genbank/EMBL AC004523)、
50
(10)
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7A (P22680)、 7A1 (Genbank/EMBL X56088)、 7B1 (Genbank/EMBL AF029403)、 8A1 (Genban
k/EMBL AF297048)、 8B1 (Genbank/EMBL AF090318)、 11A1 (P05108)、 11B1 (P15538)、 11B
2 (P19099)、 17 (P05093)、 19 (P11511)、 21 (P04033)、 24 (Genbank/EMBL L13286)、 CYP
26 (Genbank/EMBL NM_000783)、 27 (Q02318)、 46 (Genbank/EMBL NM_006668)、 お よ び 51
(Genbank/EMBL U23942)を 包 含 す る 。
【0044】
上 記 メ ン バ ー の 非 ヒ ト 相 同 体 、 す な わ ち 上 記 タ ン パ ク 質 に 対 し て 高 度 ( >70% ) の 配 列
同一性を有する、本明細書の記載と同一のサブファミリーからの非ヒトタンパク質、も興
味 深 い 。 他 の 哺 乳 類 P450に は 、 2D15 (Genbank/EMBL D17397) お よ び 3A12 (P24463)と い
っ た イ ヌ P450、 な ら び に 3A1 (P04800)と い っ た ラ ッ ト P450が あ る 。
10
【0045】
当 該 タ ン パ ク 質 の 特 別 な 一 群 は 、 ヒ ト CYP2 お よ び CYP3フ ァ ミ リ ー で あ る が 、 と り わ け
2Cお よ び 2Dサ ブ フ ァ ミ リ ー で あ る 。 CYP2フ ァ ミ リ ー に は 少 な く と も 7つ の サ ブ フ ァ ミ リ ー
が あ り 、 こ れ ら は 2A6、 2A7、 2A13、 2B6、 2C8、 2C9、 2C18 お よ び 2C19、 2D6、 2E1、 2F1
な ら び に 2J2を 包 含 す る 。 4つ の ヒ ト 2Cシ ト ク ロ ム P450分 子 、 2C8、 2C9、 2C18 お よ び 2C19
は 特 に 興 味 深 い 。 3A4、 3A5 お よ び 3A7 CYPも ま た 、 関 心 が も た れ る 。
【0046】
本発明において、シトクロムへの言及は、全長膜結合型配列だけでなく、このタンパク
質 を 膜 内 に 埋 め 込 む N末 端 セ グ メ ン ト の 欠 失 を 有 す る 上 記 タ ン パ ク 質 も 包 含 す る も の と 理
解 さ れ よ う 。 こ の よ う な ト ラ ン ケ ー ト 型 タ ン パ ク 質 は 、 P450の 精 製 を 向 上 さ せ る 目 的 で 、
20
当 技 術 分 野 に お い て 広 く 作 製 さ れ て い る 。 た と え ば 、 von Wachenfeldtら 、 Archives Bioc
hem. Biophys. 339, 107-114, 1997を 参 照 さ れ た い 。 野 生 型 タ ン パ ク 質 の 対 立 遺 伝 子 変 異
体および突然変異体もシトクロムへの言及によって本発明に包含される。
【0047】
た と え ば 、 2C19に 関 し て は 、 11個 の 現 在 知 ら れ て い る 対 立 遺 伝 子 、 す な わ ち CYP2C19*1A
、 CYP2C19*1B、 CYP2C19*2A、 CYP2C19*2B、 CYP2C19*3、 CYP2C19*4、 CYP2C19*5A、 CYP2C19*
5B、 CYP2C19*6、 CYP2C19*7、 お よ び CYP2C19*8が あ る 。 上 記 お よ び そ の 他 の CYP対 立 遺 伝
子が当技術分野で知られている。上記の、および多くの他の対立遺伝子のリストの1つが
、 http://www.imm.ki.se/CYPalleles/で 利 用 で き る 。 3A4に つ い て は 、 現 在 20個 を 越 え る
既 知 の 対 立 遺 伝 子 変 異 体 が 、 2D6に つ い て は 50個 を 越 え る 変 異 体 が 存 在 す る 。
30
【0048】
変 異 体 は 、 野 生 型 配 列 か ら の 最 低 1個 の ア ミ ノ 酸 の 置 換 も し く は 欠 失 を 特 徴 と す る P450
である。このような変異体は、たとえば部位特異的突然変異誘発、または天然もしくは非
天然アミノ酸の取り込みによって、作製することができる。したがって、変異体は、天然
も し く は 合 成 P450に お い て 少 な く と も 1 つ の ア ミ ノ 酸 残 基 を 異 な る ア ミ ノ 酸 残 基 で 置 き 換
え る こ と に よ っ て 、 お よ び / ま た は 、 天 然 ポ リ ペ プ チ ド の 内 部 で 、 も し く は P450に 相 当 す
る ポ リ ペ プ チ ド の Nお よ び / ま た は C末 端 で ア ミ ノ 酸 残 基 を 付 加 お よ び / ま た は 欠 失 さ せ る
こ と に よ っ て 得 ら れ る P450ポ リ ペ プ チ ド で あ る 。
【0049】
変異体を作製するために、前記タンパク質中に存在するアミノ酸を、同様の性質、たと
40
えば、疎水性、疎水性モーメント、抗原性、αへリックスもしくはβシート構造を形成も
しくは破壊する性向など、を持つ他のアミノ酸で置き換えることができる。タンパク質の
置 換 変 異 体 は 、 そ の タ ン パ ク 質 配 列 中 の 少 な く と も 1つ の ア ミ ノ 酸 が 除 去 さ れ て そ の 箇 所
に異なる残基が挿入された変異体である。アミノ酸置換は、一般に、単一残基についてで
あるが、機能的制約に応じてクラスターとすることもできる。アミノ酸置換は保存的アミ
ノ 酸 置 換 を 包 含 す る こ と が 好 ま し い 。 挿 入 的 ア ミ ノ 酸 変 異 体 は 、 1以 上 の ア ミ ノ 酸 が 導 入
された変異体である。これは、配列内のみならずアミノ末端および/またはカルボキシ末
端融合も可能である。
【0050】
P450の 立 体 構 造 に 有 意 に 干 渉 し な い ア ミ ノ 酸 の 置 換 、 欠 失 お よ び 付 加 は 、 ひ と つ に は 、
50
(11)
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置 換 、 付 加 も し く は 欠 失 の 起 こ る P450の 領 域 に よ っ て 決 ま る 。 分 子 の 高 度 に 変 動 す る 領 域
においては、保存的置換のみならず非保存的置換も、分子の立体構造を有意に損なうこと
なく許容されることがある。高度に保存された領域、もしくは重要な二次構造を含む領域
においては、保存的アミノ酸置換が好ましい。
【0051】
保存的アミノ酸置換は当技術分野でよく知られており、関連するアミノ酸残基の極性、
電荷、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒性の類似に基づいて行われる置換
を包含する。たとえば、負電荷を有するアミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン
酸がある;正電荷を持つアミノ酸にはリジンおよびアルギニンが挙げられる;類似した親
水値を有する非荷電極性ヘッド基をもつアミノ酸は、下記を包含する:ロイシン、イソロ
10
イシン、バリン、グリシン、アラニン;アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン
;フェニルアラニン、チロシン。他のアミノ酸置換は当技術分野において周知のことであ
る。
【0052】
あ る 場 合 に お い て 、 P450結 合 ポ ケ ッ ト も し く は 触 媒 残 基 に 対 し て ア ミ ノ 酸 残 基 を 置 換 、
欠 失 、 お よ び / ま た は 付 加 す る こ と は 、 そ の ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る cDNAの 中 に 使 い や
すいクローニング部位を与えるために特に有利または好都合であって、ポリペプチドの精
製 な ど に 役 立 つ 。 こ の よ う な 、 P450の 立 体 構 造 を 実 質 的 に 変 化 さ せ な い 置 換 、 欠 失 お よ び
/または付加は、当業者には明らかであろう。
【0053】
20
変 異 体 は 、 そ れ ら が 誘 導 さ れ た 元 の P450野 生 型 タ ン パ ク 質 の 酵 素 活 性 を 示 す こ と が 望 ま
しい。
【0054】
加 え て 、 P450は 、 ア フ ィ ニ テ ィ 精 製 を 可 能 に す る ポ リ ペ プ チ ド タ グ を 含 む こ と が で き る
。 4∼ 10個 ま で の ヒ ス チ ジ ン 残 基 を 有 す る ポ リ ヒ ス チ ジ ン タ グ は こ の 目 的 に 好 適 で あ る 。
他 の タ グ と し て は 、 グ ル タ チ オ ン S-ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ タ グ ( GST) 、 ス ト レ プ ト ア ビ ジ
ン タ グ 、 MBP( マ ル ト ー ス 結 合 タ ン パ ク 質 ) タ グ 、 CBD( セ ル ロ ー ス 結 合 ド メ イ ン ) タ グ 、
も し く は HA( 赤 血 球 凝 集 素 ) タ グ な ど の よ う な 、 抗 体 が 結 合 可 能 な エ ピ ト ー プ タ グ が あ る
。このようなタイプのタグは、学術的および商業的供給元から当業界で広範に利用できる
。
30
【0055】
タ グ は 、 P450の Cも し く は N末 端 に 付 け る こ と が で き る 。
【0056】
配 列 番 号 2は 、 本 発 明 者 ら が 結 晶 の 調 製 に 使 用 し た ト ラ ン ケ ー ト 型 2C19 P450の 配 列 を 示
す 。 も う 一 つ の 態 様 に お い て 、 本 発 明 は 、 本 明 細 書 に 示 さ れ た ト ラ ン ケ ー ト 型 2C19の 配 列
を有する単離されたタンパク質、およびその結晶を提供する。
【0057】
宿主細胞
P450が 発 現 さ れ る 宿 主 細 胞 は 、 当 業 者 が 実 験 の 都 合 上 使 用 を 希 望 す る 適 当 な 宿 主 細 胞 な
ら 、 い ず れ で も よ い 。 シ ト ク ロ ム P450分 子 は 、 大 腸 菌 に お い て よ く 発 現 さ れ る が 、 こ の 宿
40
主細胞のために多数のベクター系が存在し、これを使用することができる。
【0058】
他 の 宿 主 細 胞 と し て は 、 酵 母 、 た と え ば S.cerevisiae、 昆 虫 、 ま た は 哺 乳 類 、 た と え ば
CHO細 胞 が あ る 。 前 記 お よ び 他 の 多 く の 宿 主 細 胞 タ イ プ の 発 現 系 は 、 当 技 術 分 野 で 広 く 利
用可能である。
【0059】
P450が 構 成 的 に 発 現 さ れ る 、 ま た は 誘 導 さ れ る よ う に 、 宿 主 細 胞 を 構 築 す る こ と が で き
る。
【0060】
ひ と た び 宿 主 細 胞 が 培 養 さ れ て P450を 発 現 し た な ら ば 、 細 胞 は 当 技 術 分 野 で 利 用 可 能 な
50
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標準的技法によって回収することができる。簡便な手段は、細胞を損なわずにペレット化
させるように低速遠心によって細胞を回収することである。
【0061】
本 発 明 の 方 法 は バ ッ チ 型 の 細 胞 培 養 に 適 し て お り 、 た と え ば 10∼ 100リ ッ ト ル の 大 量 バ
ッ チ を 除 外 す る わ け で は な い が 、 100 mlか ら 10リ ッ ト ル ま で の 細 胞 の バ ッ チ 量 は 現 行 の 実
験設備でうまく処理することができる。
【0062】
塩バッファー
これは細胞を懸濁するために使用される、高いイオン強度を有するバッファーである。
そ れ は 、 た だ ち に 溶 解 し て 12∼ 110 mS/cmの 電 気 伝 導 度 を 有 す る バ ッ フ ァ ー を も た ら す 塩
10
を 含 ん で な る 。 こ の よ う な バ ッ フ ァ ー は 、 200∼ 1000 mMの 範 囲 の 濃 度 を 有 す る 塩 で あ る こ
とが望ましい。塩は、陰イオンのカリウムもしくはナトリウム塩であることが好ましい。
望 ま し く は 、 陰 イ オ ン は 塩 素 も し く は リ ン 酸 イ オ ン で あ り う る 。 リ ン 酸 カ リ ウ ム ( KPi)
が特に好ましい。
【0063】
好 ま し い 塩 濃 度 は 、 25∼ 35 mS/cm、 た と え ば 約 30 mS/cm、 の 電 気 伝 導 度 を 与 え る よ う に
選 択 さ れ る 。 特 に 好 ま し い 塩 濃 度 は 、 500 mM前 後 、 た と え ば 500± 50 mMで あ る 。
【0064】
バ ッ フ ァ ー は 、 pH範 囲 を 6.5∼ 8.0、 好 ま し く は 7.0∼ 7.6に 維 持 さ れ る 。 バ ッ フ ァ ー は 、
タンパク質の精製のために当技術分野で通常使用される他の試薬、たとえばグリセロール
20
、 β -メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 DNア ー ゼ 、 pH緩 衝 剤 、 ヒ ス チ ジ ン 、 イ ミ ダ ゾ ー ル お よ び プ
ロテアーゼインヒビターなどを含有することができる。
【0065】
細胞溶解
細胞は、たとえば音波処理、連続フローセル破壊、もしくはフレンチプレスに入れると
いった物理的手段によって溶解することができるが、その結果、細胞壁が破壊されて細胞
の内容物が塩バッファー中に分散する。フレンチプレスもしくは連続フローセル破壊装置
内 で 上 記 を 達 成 す る た め に 、 10,000∼ 20,000 psiで 前 記 を 作 動 さ せ る こ と が で き る 。
【0066】
細 胞 片 を 除 去 す る ( た と え ば 、 約 10,000∼ 25,000 g (た と え ば 約 22,000 g)で の 低 速 遠
30
心 に よ っ て 、 ま た は 70,000 gに 達 す る 短 時 間 高 速 遠 心 に よ る ; す な わ ち 、 ホ ー ル セ ル は い
ずれもペレット化されるが、膜画分はペレット化しないようにする)。細胞片(たとえば
ペ レ ッ ト 化 し た 細 胞 ) を も う 1回 溶 解 に 供 し 、 こ の 、 も う 1回 か ら 得 ら れ た 細 胞 片 フ リ ー の
溶解液を前に得られた溶解液と合わせることができる。
【0067】
その後、溶解液は、超遠心によって膜画分を単離する必要もなく、いつでもそのまま当
該方法の次の段階に使用することができる。
【0068】
界面活性剤
溶解液が得られたら、実験設備の制約を考慮しつつ、可能な限り速やかに溶解液に界面
40
活 性 剤 を 添 加 す る こ と が 望 ま し い 。 こ れ は 、 細 胞 片 フ リ ー の 溶 解 液 を 調 製 し て か ら 1時 間
以 内 に 、 好 ま し く は 30分 以 内 に 、 溶 解 液 を 界 面 活 性 剤 と 接 触 さ せ る こ と を 意 味 す る 。
【0069】
使用可能な界面活性剤は、分子および細胞生物学分野で生体物質の回収および処理に都
合よく使用されるものである。多数の異なるタイプの界面活性剤がこの目的のために利用
可 能 で あ る 。 こ う し た 界 面 活 性 剤 の 多 く は 、 分 子 量 が 約 350∼ 1000、 た と え ば 400∼ 800の
範囲である。それらは、陰イオン界面活性剤、たとえばコール酸もしくはその塩(たとえ
ばナトリウム塩)およびデオキシコール酸もしくはその塩(たとえばナトリウム塩)、な
ら び に 両 性 イ オ ン 界 面 活 性 剤 、 た と え ば CHAPS( 3-[(3-コ ー ル ア ミ ド プ ロ ピ ル )ジ メ チ ル ア
ン モ ニ オ ]-1-プ ロ パ ン ス ル ホ ナ ー ト ) を 包 含 す る 。
50
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【0070】
特に好ましい種類の界面活性剤は、非イオン界面活性剤である。当技術分野で利用でき
る 各 種 の 非 イ オ ン 界 面 活 性 剤 が あ る 。 非 イ オ ン 界 面 活 性 剤 は 、 オ ク チ ル -β -D-グ ル コ ピ ラ
ノ シ ド ; ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル の エ ー テ ル 、 た と え ば C2-10ア ル キ ル フ ェ ノ ー ル エ ー テ
ル ; お よ び ア ル キ ル ポ リ オ キ シ エ チ レ ン を 包 含 す る 。 こ の よ う な 化 合 物 は 分 子 量 範 囲 が 50
0∼ 800 Daで あ っ て 、 Nonident
T M
P40、 IGEPAL CA630、 C1 2 E9 お よ び Triton
T M
X-100な ど
を包含するが、これらは市販されている。
【0071】
界 面 活 性 剤 は 、 溶 解 液 中 の 界 面 活 性 剤 濃 度 が 0.015% ∼ 1.2% v/vと な る よ う に 添 加 さ れ
る 。 添 加 す る 界 面 活 性 剤 の 量 は 、 0.1∼ 0.5% の 範 囲 が 好 ま し い が 、 約 0.15∼ 0.4% が よ り
10
好 ま し く 、 約 0.2∼ 0.4% 、 た と え ば 約 0.3% が も っ と も 好 ま し い 。
【0072】
界 面 活 性 剤 は 、 望 ま し く は 溶 解 液 の イ オ ン 強 度 の 低 下 が 10% を 越 え な い よ う な 量 で 添 加
される。
【0073】
P450の 回 収
本 発 明 者 ら は 、 本 発 明 に 従 っ て 調 製 さ れ た 上 記 の 高 塩 濃 度 -界 面 活 性 剤 溶 解 液 が 、 当 技
術 分 野 で こ れ ま で 経 験 し た よ り も は る か に 高 い レ ベ ル で 単 分 散 の 形 で P450タ ン パ ク 質 の 回
収をもたらすことを見出した。上記のように、塩濃度の高いバッファーの存在は、直ちに
イオン交換クロマトグラフィーステップを行うことを妨げるが、次のステップとしてアフ
20
ィニティー精製を行うことができる。
【0074】
ア フ ィ ニ テ ィ ー 精 製 は 、 P450に 対 す る リ ガ ン ド が 結 合 す る よ う な ア フ ィ ニ テ ィ ー 担 体 マ
トリックスを用意する形をとることができる。担体は、樹脂、ビーズ(たとえばガラス、
も し く は ポ リ ス チ レ ン の よ う な ポ リ マ ー ) 、 磁 性 ビ ー ズ 、 な ど と す る こ と が で き る 。 P450
がタグを含有する場合、リガンドはタグと同族のものとなり、たとえばヒスチジンタグの
場 合 は Ni-NTA、 ス ト レ プ ト ア ビ ジ ン タ グ の 場 合 は ビ オ チ ン 、 な ど で あ る 。 リ ガ ン ド は ま た
、 HAタ グ の よ う な エ ピ ト ー プ タ グ 、 も し く は P450の エ ピ ト ー プ の い ず れ か に 対 す る 抗 体 で
あってもよい。
【0075】
30
P450が 担 体 に 結 合 す る 条 件 下 で 溶 解 液 を ア フ ィ ニ テ ィ ー 担 体 と 接 触 さ せ る 。 結 合 後 、 担
体 を 洗 浄 す る 。 洗 浄 バ ッ フ ァ ー は 高 塩 濃 度 -界 面 活 性 剤 バ ッ フ ァ ー と す べ き で あ る が 、 こ
こでこのバッファーは溶解液バッファーと同一でも異なっていてもよい。好ましくは同一
である。もし異なる場合には、それでも、上記で指定されたような塩および界面活性剤濃
度を有する。
【0076】
洗 浄 後 、 P450を 担 体 か ら 分 離 さ せ る 。 担 体 を カ ラ ム に 詰 め 、 高 塩 濃 度 -界 面 活 性 剤 バ ッ
フ ァ ー ( 前 段 落 の も の と 同 一 で も 、 異 な っ て い て も よ い ) を 用 い て P450を 溶 出 す る こ と に
よ っ て こ れ を 行 う こ と が で き る が 、 こ の バ ッ フ ァ ー は P450の リ ガ ン ド か ら の 分 離 を も た ら
す よ う に 改 変 さ れ て い る 。 た と え ば 、 Ni-NTAに つ い て は 、 バ ッ フ ァ ー は ヒ ス チ ジ ン も し く
40
は イ ミ ダ ゾ ー ル を 、 P450の Hisタ グ を 除 去 す る の に 十 分 に 過 剰 な 濃 度 で 含 有 す る こ と が で
きる。他の種類のタグについては、適当な競合物質を使用することができる。
【0077】
脱塩
回 収 さ れ た P450を そ の 後 、 迅 速 な 脱 塩 ス テ ッ プ に よ っ て 脱 塩 す る 。 本 発 明 者 ら は 、 10∼
30分 、 好 ま し く は 10分 以 内 に 高 塩 濃 度 か ら P450が 分 離 さ れ る よ う な 流 速 で 、 サ イ ズ 排 除 カ
ラ ム を こ の 目 的 に 使 用 す る こ と が で き る こ と を 見 出 し た 。 そ の 後 、 P450は 、 低 塩 濃 度 バ ッ
ファーを用いたカラムからの溶出によって回収される。
【0078】
何か1つの特定の理論に制約されることは望まないが、本発明者らは、たとえば透析に
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よ っ て 徐 々 に 脱 塩 す る こ と は P450の 凝 集 お よ び 変 性 を も た ら す が 、 迅 速 な 脱 塩 ス テ ッ プ は
相当程度、凝集を減らすと確信する。
【0079】
低塩濃度バッファーは、上記の高塩濃度バッファーと同様の塩、たとえばナトリウムも
しくはカリウム塩(塩化物もしくはリン酸塩など)が好ましく、この場合もリン酸カリウ
ム が 好 ま し い 。 「 低 塩 濃 度 」 と は 50 mM未 満 を 意 味 す る が 、 20 mM未 満 が 好 ま し く 、 さ ら に
約 10 mMが 好 ま し い 。 こ の 段 階 で 、 バ ッ フ ァ ー 中 に 界 面 活 性 剤 を 保 持 す る 必 要 は な い 。
【0080】
さらなる精製
脱塩ステップの後、即座に、すなわちサンプルを保存または凍結することなく、調製物
10
をさらに精製に供することが望ましい。これは、脱塩した溶出液をそのまま次の精製カラ
ムにかけることによって達成することができる。そうでない場合は、脱塩ステップからの
溶 出 液 を 集 め て 1時 間 以 内 に カ ラ ム に 供 す る 。 タ ン パ ク 質 調 製 物 を さ ら に 精 製 し 、 も し く
は濃縮する目的で、多くの技法が当技術分野において知られているが、これらの例につい
ては、実施例でその概略を説明する。その例は、弱陽イオン交換カラム、たとえばカルボ
キ シ メ チ ル -Sepharose
T M
、 BioRex
T M
70、 カ ル ボ キ シ メ チ ル -Biogel
T M
など、ならびに強陽
イ オ ン 交 換 カ ラ ム 、 た と え ば MonoSを 包 含 し 、 こ れ ら は 界 面 活 性 剤 を さ ら に 除 去 す る た め
に 使 用 す る こ と が で き る 。 た と え ば 、 脱 塩 し た シ ト ク ロ ム P450を そ の ま ま 、 あ ら か じ め 10
mM Kpi、 pH 7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 0.2∼ 2.0 mM DTT、 1 mM EDTA (「 バ ッ フ ァ ー 1」 )
で 平 衡 化 さ せ た CM Sepharose
T M
カ ラ ム ( た と え ば 、 5 ml HiTrapカ ラ ム 、 Pharmacia) に ア
20
プ ラ イ す る こ と が で き る 。 そ の 後 、 次 の 段 階 溶 出 プ ロ ト コ ー ル は 、 AKTA FPLCシ ス テ ム で
行 う こ と が で き る ; カ ラ ム 容 積 の 10∼ 20倍 容 の バ ッ フ ァ ー 1で 洗 浄 し 、 界 面 活 性 剤 を 完 全
に 除 去 す る た め に 、 そ の 後 10∼ 20倍 容 の 10 mM KPi, PH 7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 0.2∼ 2
.0 mM DTT、 1mM EDTA、 75 mM KCl も し く は NaClで 洗 浄 す る 。 そ の 後 、 P450は 、 KClも し
く は NaCl濃 度 を 500 mMに 増 や し た 上 記 の 後 者 の バ ッ フ ァ ー に よ っ て 溶 出 さ れ る 。
【0081】
状 況 に 応 じ て 、 上 記 に 引 き 続 い て サ イ ズ 排 除 カ ラ ム 、 た と え ば 、 Superose
T M
、 Sephacryl
T M
T M
、 Superdex
などを行うことも選択可能である。陽イオン交換もしくはサイズ排除ス
テップのいずれかから回収されたタンパク質を濃縮して、結晶化もしくは他の用途に適し
た 溶 液 を 得 る こ と が で き る 。 20∼ 120 mg/ml、 た と え ば 20∼ 80 mg/mlの 濃 度 を 、 本 発 明 を
30
用いて達成することができる。
【0082】
結晶形成
タンパク質の結晶を得るための多くの方法がそれなりに知られている。好都合なことに
、 タ ン パ ク 質 は 最 終 的 に 、 市 販 の 濃 縮 装 置 を 使 用 す る こ と に よ っ て 高 濃 度 の 塩 (た と え ば 5
00 mM NaClも し く は KCl)を 用 い て 、 10∼ 100 mMリ ン 酸 カ リ ウ ム 中 10∼ 60 mg/ml、 た と え ば
20∼ 40 mg/ml、 に ま で 濃 縮 さ れ る 。 タ ン パ ク 質 の 結 晶 化 は 、 0.5∼ 2μ lの ハ ン ギ ン グ ド ロ
ップ法によって始められ、タンパク質は、ある範囲の蒸気拡散バッファー組成に対して、
5∼ 25℃ に て 蒸 気 拡 散 に よ っ て 結 晶 化 す る 。
【0083】
40
一 般 的 に 、 蒸 気 拡 散 バ ッ フ ァ ー は 、 0∼ 27.5% 、 好 ま し く は 2.5∼ 27.5% PEG 1K-20K、
好 ま し く は 1-8K、 も し く は PEG 2000MME-5000MME、 好 ま し く は PEG 2000 MME、 ま た は 0∼ 10
% Jeffamine M-600、 お よ び / ま た は 5∼ 20% 、 た と え ば 10∼ 20% プ ロ パ ノ ー ル 、 も し く
は 15∼ 20% エ タ ノ ー ル 、 も し く は 約 15% ∼ 30% 、 た と え ば 約 15% 2-メ チ ル -2,4-ペ ン タ ン
ジ オ ー ル (MPD)を 含 ん で な り 、 任 意 に 0.01 M∼ 1.6 Mの 塩 も し く は 塩 類 、 お よ び / ま た は 0
∼ 0.15 M、 た と え ば 0∼ 0.1 Mの 溶 液 バ ッ フ ァ ー 、 お よ び / ま た は 0∼ 35% 、 た と え ば 0∼ 15
% 、 の グ リ セ ロ ー ル 、 お よ び / ま た は 0∼ 35% PEG300-400を 含 む ; し か し な が ら 、 好 ま し
いのは:
10∼ 25% PEG 1K-8K、 も し く は PEG 2000MME、 も し く は 0∼ 10% Jeffamine M-600、 お よ び
/ ま た は 5∼ 15% 、 た と え ば 10∼ 15% の プ ロ パ ノ ー ル も し く は エ タ ノ ー ル を 含 ん で な り 、
50
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任 意 に 0.1 M∼ 0.2 M 塩 も し く は 塩 類 、 お よ び / ま た は 0∼ 0.15 M、 た と え ば 0∼ 0.1 Mの 溶
液 バ ッ フ ァ ー 、 お よ び / ま た は PEG400を 含 む ; し か し な が ら 、 さ ら に 好 ま し い の は :
15∼ 20% PEG 3350も し く は PEG 4000も し く は PEG 2000MME、 ま た は 0∼ 10% Jeffamine M600、 ま た は 5∼ 15% 、 た と え ば 10∼ 15% の プ ロ パ ノ ー ル も し く は エ タ ノ ー ル を 含 ん で な り
、 任 意 に 0.1 M∼ 0.2 M 塩 も し く は 塩 類 、 お よ び / ま た は 0∼ 0.15 M 溶 液 バ ッ フ ァ ー を 含
む。
【0084】
塩は、ハロゲン化物(たとえば臭化物、塩化物もしくはフッ化物)、酢酸、ギ酸、硝酸
、硫酸、酒石酸、クエン酸またはリン酸のアルカリ金属(特にリチウム、ナトリウムおよ
びカリウム)、アルカリ土類金属(たとえばマグネシウムもしくはカルシウム)、アンモ
10
ニ ウ ム 、 鉄 ( III) 、 鉄 ( II) 、 ま た は 遷 移 金 属 ( た と え ば 亜 鉛 ) 塩 と す る こ と が で き る
。これは、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、酢酸アンモニウム
、酢酸リチウム、酢酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、
酢酸亜鉛、塩化アンモニウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナ
トリウム、臭化カリウム、ギ酸マグネシウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸アン
モニウム、硝酸アンモニウム、硝酸リチウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硫酸アン
モニウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、酒石酸二ナトリウム、酒石酸
ナトリウムカリウム、酒石酸二アンモニウム、リン酸二水素カリウム、クエン酸三ナトリ
ウ ム 、 ク エ ン 酸 三 カ リ ウ ム 、 酢 酸 亜 鉛 、 塩 化 鉄 ( III) 、 塩 化 カ ル シ ウ ム 、 硝 酸 マ グ ネ シ
ウム、硫酸マグネシウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水
20
素二カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、クエン酸三リチ
ウム、塩化ニッケル、ヨウ化アンモニウム、クエン酸水素二アンモニウムを包含する。
【0085】
溶 液 バ ッ フ ァ ー は 、 も し あ る と す れ ば 、 た と え ば 、 Hepes、 Tris、 イ ミ ダ ゾ ー ル 、 カ コ
ジ ル 酸 塩 、 ク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム / ク エ ン 酸 、 ク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム / HCl、 酢 酸 / 酢 酸
ナ ト リ ウ ム 、 リ ン 酸 塩 -ク エ ン 酸 塩 、 リ ン 酸 カ リ ウ ム ナ ト リ ウ ム 、 2-(N-モ ル ホ リ ノ )-エ タ
ン ス ル ホ ン 酸 / NaOH (MES)、 CHES、 ま た は ビ ス -ト リ ス プ ロ パ ン を 包 含 す る 。
【0086】
pH範 囲 は 4.2∼ 8.5に 維 持 さ れ る こ と が 望 ま し く 、 4.7∼ 8.5が 好 ま し い 。
【0087】
30
結 晶 は 、 Hampton Research社 ス ク リ ー ニ ン グ キ ッ ト 、 ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル ( PEG)
/ イ オ ン ス ク リ ー ン 、 PEGグ リ ッ ド 、 硫 酸 ア ン モ ニ ウ ム グ リ ッ ド 、 PEG/ 硫 酸 ア ン モ ニ ウ ム
グリッドなどを使用して、調製することができる。
【0088】
P450の イ ン ヒ ビ タ ー 、 た と え ば 、 フ ル オ ロ キ サ ミ ン も し く は 2-フ ェ ニ ル イ ミ ダ ゾ ー ル の
存在下で結晶化を行うこともできる。
【0089】
結晶化に影響を与えることが確認された添加剤を結晶化条件に加えることができる。添
加剤の存在がサンプルの結晶化を助け、しかもその添加剤が結晶の質を高めることができ
る 場 合 に は 、 予 備 的 な 結 晶 化 条 件 の 最 適 化 の 際 に 、 Additive Screens、 た と え ば Hampton
40
Additive Screensを 使 用 す べ き で あ る 。 こ の Additive Screensは グ リ セ ロ ー ル 、 ポ リ オ ー
ル 、 お よ び タ ン パ ク 質 結 晶 化 に お け る 他 の タ ン パ ク 質 安 定 化 剤 を 使 用 し ( R. Sousa. Acta
. Cryst. (1995) D51, 271-277) 、 も し く は 二 価 陽 イ オ ン を 使 用 す る ( Trakhanov, S. お
よ び Quiocho, F.A. Protein Science (1995) 4,9, 1914-1919) 。
【0090】
本発明は下記の実施例によって説明される。
【実施例】
【0091】
発現ベクター
オ レ ゴ ン 大 学 ( University of Oregon, Eugene, Oregon) の F.W. Dahlquist教 授 か ら 提
50
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供 さ れ た 発 現 ベ ク タ ー pCWOri+を 使 用 し て 、 ト ラ ン ケ ー ト 型 ヒ ト シ ト ク ロ ム P450を 大 腸 菌
株 XL1 Blue( Stratagene) に お い て 発 現 さ せ た 。 5’ 末 端 を 修 飾 し た シ ト ク ロ ム P450 cDNA
を pCWOri+ベ ク タ ー の ポ リ リ ン カ ー 内 の NdeI/SalIク ロ ー ニ ン グ 部 位 に 導 入 し た 。 膜 貫 通 ド
メ イ ン を 構 成 す る 、 ヒ ト シ ト ク ロ ム P450 2C9お よ び 2C19の 天 然 の N末 端 の 残 基 2-29を 、 モ
チ ー フ AKKTSSKGR( 配 列 番 号 9、 図 1) に よ っ て 置 換 し た 。 タ ン パ ク 質 の 発 現 を 向 上 さ せ る
た め に 第 2コ ド ン と し て ア ラ ニ ン を 導 入 し た 。 高 塩 濃 度 バ ッ フ ァ ー 中 で の タ ン パ ク 質 の 精
製 を 容 易 に す る た め に 4ヒ ス チ ジ ン タ グ を 3’ 末 端 に 挿 入 し た 。 2C19タ ン パ ク 質 の コ ー ド 配
列 を 配 列 番 号 1と し て 示 す 。
【0092】
細菌発現
10
XL1 Blue細 胞 の た だ 1 つ の ア ン ピ シ リ ン 耐 性 コ ロ ニ ー を 、 Terrific Broth (TB) 中 で 37
℃ に て 一 晩 、 ほ と ん ど 飽 和 す る ま で 撹 拌 し な が ら 増 殖 さ せ 、 そ れ を 新 し い TB培 地 に 接 種 す
る た め に 使 用 し た 。 mlあ た り 100μ gの ア ン ピ シ リ ン を 含 有 す る TB培 地 中 で 37℃ 、 200 rpm
で 、 OD600nm = 0.4と な る ま で 細 菌 を 増 殖 さ せ た 。 ヘ ム 前 駆 体 δ -ア ミ ノ レ ブ リ ン 酸 ( 80 m
g/ml) を 、 誘 導 の 15分 前 に 、 1 mM IPTGと と も に 添 加 し 、 そ の 後 温 度 を 30℃ に 変 化 さ せ た
。 穏 や か に 撹 拌 し な が ら ( 185 rpm) 30℃ に て 48∼ 72時 間 、 細 菌 培 養 を 続 け た 。
【0093】
タ ン パ ク 質 の 精 製 - 実 施 例 1(a)
10000 x gで 10分 間 、 細 胞 を 遠 心 に よ り ペ レ ッ ト 化 し 、 500 mM Kpi、 pH7.4、 20% グ リ
セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル の 1:1000
20
希 釈 物 (Calbiochem)、 0.01 mg/ml (約 40 U/ml) DNア ー ゼ 1 お よ び 5 mM MgSO4 中 に 再 懸 濁
し た 。 最 終 容 量 は 、 培 養 物 リ ッ ト ル 当 た り 多 く て も 50 mlで あ る 。
【0094】
Constant Systems社 の 細 胞 破 砕 装 置 に 12000 psiで 2回 通 す こ と に よ っ て 細 胞 を 溶 解 し た
。 そ の 後 、 70000 x gで 4℃ に て 30分 間 遠 心 す る こ と に よ っ て 細 胞 片 を 除 去 し た 。
【0095】
界 面 活 性 剤 IGEPAL CA630 (Sigma) を 最 終 濃 度 0.3% (v/v)と な る よ う に 細 胞 溶 解 液 に 1
滴 ず つ 添 加 し 、 そ の 溶 解 液 を 、 あ ら か じ め 洗 浄 し た NiNTA 樹 脂 (Qiagen) と と も に 一 晩 4
℃ に て 撹 拌 し な が ら イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 NiNTA 樹 脂 を 4℃ に て 2000 xg で 2分 間 遠 心 す る
こ と に よ っ て ペ レ ッ ト 化 し 、 樹 脂 の 20倍 容 の 500 mM KPi、 pH7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 10
30
mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 50 mM グ リ シ ン 、 プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル の 1:10
00 希 釈 物 、 0.3% (v/v) IGEPAL CA630で 洗 浄 し 、 樹 脂 を 4℃ に て 2000 xg で 2分 間 遠 心 す る
こ と に よ っ て ペ レ ッ ト 化 し た 。 そ の 樹 脂 を 10倍 容 の 500 mM KPi、 pH7.4、 20% グ リ セ ロ ー
ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 7.5 mM ヒ ス チ ジ ン 、 プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー の 1:1
000 希 釈 物 、 0.3% IGEPAL CA630 で 洗 浄 し 、 樹 脂 を 上 記 の よ う に 遠 心 す る こ と に よ っ て
回 収 し た 。 最 終 的 に 、 こ の 樹 脂 を 4℃ に て カ ラ ム に 充 填 し 、 シ ト ク ロ ム P450を 500 mM KPi,
pH7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 100 mM ヒ ス チ ジ ン 、 プ ロ テ
ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル の 1:1000 希 釈 物 、 0.3% (v/v) IGEPAL CA630で 溶 出 し た 。
【0096】
NiNTAカ ラ ム か ら 得 ら れ た シ ト ク ロ ム P450 を 、 AKTA FPLC シ ス テ ム (Pharmacia) の HiP
rep 26/10 脱 塩 カ ラ ム (Pharmacia)を 用 い て 速 や か に (<10分 )、 10 mM KPi, pH 7.4、 20%
グ リ セ ロ ー ル 、 0.2 mM DTT、 1mM EDTA 中 に 脱 塩 し た 。 こ の と き 流 速 は 5ml/ 分 で 、 16 ml
の 画 分 を 集 め た 。 脱 塩 さ れ た シ ト ク ロ ム P450を そ の ま ま 、 あ ら か じ め 10 mM KPi, pH 7.4
、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 0.2 mM DTT、 1 mM EDTA で 平 衡 化 し た CM Sepharose カ ラ ム (Pharm
acia)に か け た 。 そ の 後 、 次 の 段 階 溶 出 プ ロ ト コ ー ル を AKTA FPLC シ ス テ ム に よ っ て 実 施
す る ; 界 面 活 性 剤 を 完 全 に 除 去 す る た め に カ ラ ム 容 積 の 20倍 容 の 10mM KPi, pH 7.4、 20
% グ リ セ ロ ー ル 、 0.2mM DTT, 1mM EDTA, 75 mM KCl で 洗 浄 し 、 濃 度 を 500 mMに 上 昇 さ せ
た KClを 有 す る 上 記 バ ッ フ ァ ー で 溶 出 す る 。 表 1お よ び 表 2は そ れ ぞ れ 上 記 の ス テ ッ プ に よ
る 2C9お よ び 2C19の 回 収 率 を 示 す 。
40
(17)
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【表1】
10
【0097】
【表2】
20
30
【0098】
P450画 分 は 微 量 濃 縮 装 置 ( セ ン ト リ プ レ ッ プ ( Centriprep) も し く は セ ン ト リ コ ン ( Ce
ntricon) 30) を 用 い て 濃 縮 し た 。 P450結 晶 は こ の 調 製 物 か ら 得 ら れ た 。
【0099】
上 記 の プ ロ ト コ ー ル の 繰 り 返 し で は 、 CM Sepharoseカ ラ ム か ら 得 ら れ た P450サ ン プ ル を
Superose 6 HR10/30ゲ ル 濾 過 カ ラ ム ( Pharmacia) の 上 部 に ア プ ラ イ し 、 100 mM KPi, pH7
.4、 300 mM KCl、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 0.2 mM DTTを 含 有 す る バ ッ フ ァ ー を 用 い て 0.2 ml/
分 で 溶 出 し た 。 タ ン パ ク 質 を 集 め 、 結 晶 化 ア ッ セ イ の た め に セ ン ト リ コ ン を 用 い て 40 mg/
mlま で 濃 縮 し た 。
【0100】
40
タ ン パ ク 質 の 精 製 - 実 施 例 1(b)
P450 2C19を 上 記 の よ う に 細 菌 で 発 現 さ せ て 、 細 胞 を 10000 x gで 10分 間 遠 心 し て ペ レ ッ
ト 化 し 、 500 mM KPi, pH7.4、 20 % グ リ セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 プ ロ
テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル (Calbiochem)の 1:1000 希 釈 物 、 10 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 0.0
1 mg/ml DNア ー ゼ 1 お よ び 5 mM MgSO4 中 に 再 懸 濁 し た 。 最 終 的 な 容 積 は 多 く て も 培 養 物 リ
ッ ト ル あ た り 50 mlで あ る 。
【0101】
Constant Systems社 の 細 胞 破 砕 装 置 に 12000 psiで 2回 通 す こ と に よ っ て 細 胞 を 溶 解 し た
。 そ の 後 70000 xgで 4℃ に て 30分 間 遠 心 す る こ と に よ っ て 細 胞 片 を 除 去 し た 。
【0102】
50
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界 面 活 性 剤 IGEPAL CA630 (Sigma)を 、 最 終 濃 度 0.3% (v/v)と な る よ う に 細 胞 溶 解 液 に 1
滴 ず つ 添 加 し 、 そ の 溶 解 液 を 、 あ ら か じ め 洗 浄 し た NiNTA 樹 脂 (Qiagen) と と も に 一 晩 4
℃ に て 撹 拌 し な が ら イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 NiNTA 樹 脂 を 4℃ に て 2000 xg で 2分 間 遠 心 し て
ペ レ ッ ト 化 し 、 樹 脂 の 20倍 容 の 500 mM KPi、 pH7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ
ト エ タ ノ ー ル 、 10 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル の 1:1000 希 釈
物 、 0.3% (v/v) IGEPAL CA630で 洗 浄 し 、 樹 脂 を 4℃ に て 2000 xg で 2分 間 遠 心 す る こ と に
よ っ て ペ レ ッ ト と し た 。 そ の 樹 脂 を 10倍 容 の 500 mM KPi, pH7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 10
mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 20 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー の 1:1000
希 釈 物 、 0.3% IGEPAL CA630 で 洗 浄 し た 後 、 樹 脂 の 5倍 容 の 500 mM KPi, pH7.4、 20% グ
リ セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 50 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ
10
タ ー の 1:1000 希 釈 物 、 0.3% IGEPAL CA630 で 洗 浄 し た 。 洗 浄 の 合 間 に 、 樹 脂 を 上 記 の よ
う に 遠 心 す る こ と に よ っ て 回 収 し た 。 最 終 的 に 、 こ の 樹 脂 を 4℃ に て カ ラ ム に 充 填 し 、 シ
ト ク ロ ム P450を 500 mM KPi, pH7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、
300 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル の 1:1000 希 釈 物 、 0.3% (v/v)
IGEPAL CA630で 溶 出 し た 。
【0103】
そ の 後 P450画 分 を 、 Vivaspin 30微 量 濃 縮 装 置 ( セ ン ト リ プ レ ッ プ も し く は セ ン ト リ コ
ン 30微 量 濃 縮 装 置 に 等 し い ) を 用 い て ほ ぼ 上 記 の よ う に 濃 縮 し た 。 タ ン パ ク 質 結 晶 を 調 製
するために回収された画分を使用した。このプロトコールの繰り返しでは、タンパク質画
分 を Superose 6 HR10/30ゲ ル 濾 過 カ ラ ム に か け て 、 結 晶 化 の 前 に 既 述 の よ う に 溶 出 し た 。
20
【0104】
品質評価
CM Sepharoseま た は Superose 6か ら 得 ら れ た 最 終 調 製 物 の 品 質 を 下 記 に よ っ て 評 価 し た
:
市 販 の ゲ ル ( Nugen) を メ ー カ ー の 使 用 説 明 書 に し た が っ て 用 い て SDSポ リ ア ク リ ル ア ミ ド
ゲ ル 電 気 泳 動 を 行 い 、 続 い て CBB染 色 を 行 っ た 。 ゲ ル の デ ジ タ ル 画 像 を ス キ ャ ン す る こ と
に よ っ て 推 定 さ れ る 純 度 は 、 95% を 下 回 ら な い と 推 定 さ れ た 。
【0105】
凝 集 状 態 を 評 価 す る た め に 、 Superose 6 HR10/30カ ラ ム ( Pharmacia) を 用 い た ゲ ル 濾
3
過 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー を 行 っ た 。 こ の カ ラ ム の 分 画 範 囲 は 5 x 10 か ら 5 x 10
6
Daま で で
30
あ っ て 、 し た が っ て 、 大 き な 複 合 体 の 分 割 に よ く 適 合 す る 。 カ ラ ム を 、 100 mM KPi, pH7.
4、 300 mM KCl、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 0.2 mM DTTを 含 有 す る バ ッ フ ァ ー を 用 い て 0.2 ml/
分 で 溶 出 し た 。 お よ そ 40 mg/mlの 濃 度 の 0.2 mlタ ン パ ク 質 サ ン プ ル を 使 用 し た 。 280 nmで
の吸光度をモニターし、ピークを集めて、動的光散乱を用いて分析した。
【0106】
光散乱
830.3 nmで の レ ー ザ ー 照 射 を 用 い て 、 90° に て 蛍 光 光 度 計 石 英 セ ル 内 で DLSに よ っ て サ
ン プ ル ( 0.15 ml) を 分 析 し た 。 デ ー タ は 、 広 範 な ダ イ ナ ミ ッ ク レ ン ジ に わ た る 変 動 可 能
な広がりを有するログ相関器を用いて、集められた。すべての測定は、ゲル濾過カラムか
ら 直 接 集 め ら れ た サ ン プ ル を 用 い て 20℃ に て 行 わ れ た 。 実 施 は 、 通 常 、 平 均 し て そ れ ぞ れ
40
10秒 を 10回 行 っ た 。 分 子 量 の 推 定 値 を 得 る た め に 、 摩 擦 比 1.26お よ び 偏 比 容 0.726を 用 い
た。
【0107】
本発明の新規精製法を用いて調製されたサンプルは、下記によって示されるように、す
ぐれた溶解性を有し、顕著な凝集の欠如を示した:
- 遠 い チ ャ ン ネ ル 外 挿 と 測 定 さ れ た 平 均 散 乱 と の 比 が 常 に 0.999か ら 1.003の 間 に あ る ;
- 平 均 計 数 率 が 有 意 に 変 動 せ ず 、 標 準 偏 差 は 約 1% 程 度 で あ っ た ;
- 両 側 指 数 フ ィ ッ テ ィ ン グ に よ る 自 己 相 関 関 数 の 解 析 か ら 、 2C9は 推 定 分 子 量 約 180 kDaを
有 し 、 2C19は 推 定 分 子 量 約 160 kDaを 有 す る こ と が 示 さ れ た が 、 す な わ ち 両 者 は と も に わ
ず か 4個 の サ ブ ユ ニ ッ ト か ら な る オ リ ゴ マ ー で あ る ;
50
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- サ ン プ ル が 20℃ で ( 24時 間 に わ た っ て ) 良 好 な 安 定 性 を 示 す 。
【0108】
公開されたプロトコールによって調製されたサンプルは、ひどい凝集の徴候を示す:
- 標 準 偏 差 が 10% を 超 え る 、 散 乱 光 強 度 の 大 き な 揺 ら ぎ ;
- 自 己 相 関 関 数 の 解 析 が 、 非 常 に 緩 慢 な 指 数 関 数 的 減 衰 を 示 し 、 多 数 の P450サ ブ ユ ニ ッ ト
6
か ら な る 大 き な 凝 集 物 ( 分 子 量 > 10 Da) の 存 在 を 示 し た 。 こ れ ら の サ ン プ ル は 高 度 の 多
分散性も示す;
- サンプルはまた時間の関数としてさらなる凝集を示す。
【0109】
公 開 さ れ た 方 法 に よ り 調 製 さ れ た サ ン プ ル 中 の 、 上 記 の よ う な 深 刻 な 凝 集 の 徴 候 は 、 20
10
nm孔 径 を 通 し た サ ン プ ル 濾 過 も し く は 200,000gに て 30分 間 の 遠 心 後 も な お 見 ら れ た 。
【0110】
実 施 例 1 (c)
細菌での発現
P450 2C19を 発 現 す る 細 胞 を 上 記 1(a)の よ う に 増 殖 さ せ た 。
【0111】
タンパク質精製
細 胞 を 10000gで 10分 間 遠 心 し て ペ レ ッ ト 化 し 、 500 mM KPi, pH 7.4、 20% グ リ セ ロ ー
ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 0.1% (v/v) プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル (Cal
biochem)、 10 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 40U/ml DNア ー ゼ 1 お よ び 5 mM MgSO4 を 含 有 す る バ ッ
20
ファー中に再懸濁した。
【0112】
Constant Systems社 の 細 胞 破 砕 装 置 に 10000 psiで 2回 通 す こ と に よ っ て 細 胞 を 溶 解 し た
。 そ の 後 、 22000 gで 4℃ に て 30分 間 遠 心 す る こ と に よ っ て 細 胞 片 を 除 去 し た 。
【0113】
界 面 活 性 剤 IGEPAL CA630 (Sigma) を 、 10% ス ト ッ ク 溶 液 か ら 、 最 終 濃 度 0.3% (v/v)と
な る よ う に 細 胞 溶 解 液 に 1滴 ず つ 添 加 し 、 そ の 溶 解 液 を 、 あ ら か じ め 洗 浄 し た NiNTA 樹 脂
(Qiagen) と と も に 一 晩 4℃ に て 撹 拌 し な が ら イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 タ ン パ ク 質 の 結 合 し た
NiNTA 樹 脂 を 4℃ に て 2000 g で 2分 間 遠 心 す る こ と に よ っ て ペ レ ッ ト と し た 。 樹 脂 の 20倍
容 の 500 mM KPi、 pH7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 10 mM イ ミ
30
ダ ゾ ー ル 、 プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル の 1:1000 希 釈 物 、 0.3% (v/v) IGEPAL CA6
30で 樹 脂 を 洗 浄 し 、 樹 脂 を 4℃ に て 2000 xg で 2分 間 遠 心 す る こ と に よ っ て ペ レ ッ ト と し た
。 次 に そ の 樹 脂 を 10倍 容 の 500 mM KPi, pH7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ
タ ノ ー ル 、 20 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 0.1% (v/v)プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー 、 0.3% IGEPAL C
A630 で 洗 浄 し 、 上 記 の よ う に 遠 心 す る こ と に よ っ て 樹 脂 を 回 収 し た 。
【0114】
こ の 樹 脂 を 4℃ に て カ ラ ム に 充 填 し 、 シ ト ク ロ ム P450を 500 mM KPi, pH7.4、 20% グ リ
セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 300 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 0.1% (v/v)プ ロ テ ア ー
ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル 、 0.3% (v/v) IGEPAL CA630で 溶 出 し た 。
【0115】
40
NiNTAカ ラ ム か ら 得 ら れ た シ ト ク ロ ム P450 を 速 や か に 、 HiPrep 26/10 脱 塩 カ ラ ム (Phar
macia)を 用 い て 、 流 速 5ml/分 で 、 10 mM KPi, pH7.4、 20% glycerol、 2.0 mM DTT、 1mM E
DTA 中 に 脱 塩 し た 。
【0116】
脱 塩 さ れ た シ ト ク ロ ム P450を そ の ま ま 、 あ ら か じ め 10 mM KPi, pH 7.4、 20% グ リ セ ロ
ー ル 、 2.0 mM DTT、 1 mM EDTA で 平 衡 化 し た CM Sepharose カ ラ ム (Pharmacia)に か け た 。
次 の 段 階 溶 出 が 適 用 さ れ た : カ ラ ム 容 積 の 20倍 容 の 10mM KPi, pH 7.4、 20% グ リ セ ロ ー
ル 、 2.0mM DTT、 1mM EDTAで 洗 浄 し 、 界 面 活 性 剤 を 完 全 に 除 去 す る た め に 75 mM KClを 含 む
上 記 バ ッ フ ァ ー で 洗 浄 し 、 そ の 後 、 KCl濃 度 を 500 mMに 高 め た 上 記 バ ッ フ ァ ー で 溶 出 し た
。
50
(20)
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【0117】
タ ン パ ク 質 は 、 結 晶 化 ア ッ セ イ の た め に 微 量 濃 縮 装 置 を 用 い て 40 mg/mlま で 濃 縮 し た 。
【0118】
機能性アッセイ
P450 2C9お よ び 2C19に 関 す る 活 性 測 定 は 、 LS分 光 計 (Perkin Elmer Instruments)を 用 い
て蛍光法により実施した。
【0119】
20ピ コ モ ル の P450 2C9を 、 0.1ユ ニ ッ ト の 精 製 ヒ ト ・ オ キ シ ド レ ダ ク タ ー ゼ を 用 い て 、
基 質 で あ る 100μ Mの メ ト キ シ -4-(ト リ フ ル オ ロ メ チ ル )-ク マ リ ン 、 NADPH再 生 系 ( こ れ は 1
+
.3 mM NADP 、 3.3 mM グ ル コ ー ス -6-リ ン 酸 、 お よ び 0.1ユ ニ ッ ト の グ ル コ ー ス -6-リ ン 酸
10
デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ を 包 含 す る ) の 存 在 下 に 、 最 終 容 積 300μ lの 25 mM KPi, pH7.4、 3.3 mM
MgCl2 中 で 再 構 成 し た 。 37℃ で 数 分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し 、 7-ヒ ド ロ キ シ -4-(ト リ フ ル オ ロ
メ チ ル )-ク マ リ ン を 代 謝 産 物 の 標 準 品 と し て 使 用 し て 、 代 謝 速 度 を 測 定 し た 。 使 用 し た 励
起 波 長 お よ び 発 光 波 長 は そ れ ぞ れ 409お よ び 530 nmと し た 。 2C9の 活 性 は 、 0.94 ± 0.09 n
mol/分 /nmol P450で あ る と 測 定 さ れ た 。
【0120】
P450 2C19に 関 す る 活 性 測 定 は 、 20ピ コ モ ル の P450 2C19を 用 い て 行 わ れ 、 0.1ユ ニ ッ ト
の 精 製 ヒ ト ・ オ キ シ ド レ ダ ク タ ー ゼ を 用 い て 、 基 質 で あ る 10μ Mジ ベ ン ジ ル フ ル オ レ セ イ
+
ン 、 NADPH再 生 系 ( こ れ は 1.3 mM NADP 、 3.3 mM グ ル コ ー ス -6-リ ン 酸 、 お よ び 0.1ユ ニ ッ
ト の グ ル コ ー ス -6-リ ン 酸 デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ を 包 含 す る ) の 存 在 下 で 、 最 終 容 積 300μ lの 2
20
5 mM KPi, pH7.4、 3.3 mM MgCl2 中 で 37℃ に て 再 構 成 し た 。 ヒ ド ロ キ シ -ジ ベ ン ジ ル フ ル オ
レセインを代謝産物標準品として使用した。使用した励起波長および発光波長はそれぞれ
485お よ び 538 nmと し た 。 2C19の 活 性 は 、 1.27 ± 0.06 nmol/分 /nmol P450で あ る と 測 定
された。
【0121】
結晶化
P450 2C19の 結 晶 化 は 、 0.1 M HEPES, pH6.0、 1.6 M 硫 酸 ア ン モ ニ ウ ム 、 2.5% PEG 600
0に 対 し て 20∼ 40 mg/mlの タ ン パ ク 質 で 達 成 さ れ た 。 結 晶 は 2週 間 の 期 間 を か け て 、 初 期 沈
澱から濃褐色の針状晶として成長した。
【0122】
30
P450 2C19の さ ら な る 結 晶 化 を 、 次 の よ う な さ ま ざ ま な 条 件 に 対 し て 10∼ 60 mg/mlの タ
ンパク質濃度で行った:
0.15 M∼ 0.2 Mフ ッ 化 ア ン モ ニ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 Mフ ッ 化 ナ ト リ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 Mフ ッ 化 カ リ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M 塩 化 ア ン モ ニ ウ ム 、 15∼ 20% PEG3350;
0.15 M∼ 0.2 M 塩 化 リ チ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M 塩 化 マ グ ネ シ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.3 M 塩 化 ナ ト リ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M 塩 化 カ リ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
40
0.15 M∼ 0.2 M 硝 酸 ナ ト リ ウ ム 、 15∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M 硝 酸 リ チ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M 硝 酸 カ リ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M 硝 酸 ア ン モ ニ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M ギ 酸 マ グ ネ シ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M ギ 酸 ナ ト リ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M ギ 酸 カ リ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M ギ 酸 ア ン モ ニ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M 酢 酸 ア ン モ ニ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M酢 酸 リ チ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
50
(21)
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0.15 M∼ 0.2 M酢 酸 ナ ト リ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M酢 酸 カ リ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M 硫 酸 リ チ ウ ム 一 水 和 物 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M硫 酸 ナ ト リ ウ ム 十 水 和 物 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M硫 酸 カ リ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M硫 酸 ア ン モ ニ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M 酒 石 酸 二 ナ ト リ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M 酒 石 酸 ナ ト リ ウ ム カ リ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M 酒 石 酸 二 ア ン モ ニ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
0.15 M∼ 0.2 M リ ン 酸 二 水 素 カ リ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
10
0.15 M∼ 0.2 M ク エ ン 酸 三 カ リ ウ ム 、 15% ∼ 20% PEG 3350;
20% PEG 3350;
0.05∼ 0.2 M イ ミ ダ ゾ ー ル pH 7.0∼ 8.0、 10∼ 20% 2-プ ロ パ ノ ー ル 、 0∼ 15% PEG400;
0.1 M Tris pH 8.5、 20% PEG 1000;
0.1 M ク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム pH 5.5∼ 5.6、 20% PEG 3000;
0.1 M Tris pH 7.0∼ 7.6、 15∼ 25% PEG 2000MME;
0.1 M Hepes pH 7.2∼ 7.6、 0∼ 0.2 M NaCl、 20∼ 25% PEG 3000;
0.1 M イ ミ ダ ゾ ー ル pH 8.0、 0.2 M 酢 酸 カ ル シ ウ ム 、 10% PEG 8000;
0.01 M 塩 化 鉄 (III)六 水 和 物 、 0.1 M ク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム 二 水 和 物 pH 5.6、 0∼ 10% Je
ffamine M-600;
20
0.1 M カ コ ジ ル 酸 ナ ト リ ウ ム 、 pH 6.5、 0.2 M 硫 酸 ア ン モ ニ ウ ム 、 15∼ 30% PEG 8000;
0.1 Mカ コ ジ ル 酸 ナ ト リ ウ ム 、 pH 6.5、 0.2 M 酢 酸 マ グ ネ シ ウ ム 、 10∼ 20% PEG 8000;
0.1 Mカ コ ジ ル 酸 ナ ト リ ウ ム 、 pH 6.5、 0.2 M酢 酸 亜 鉛 、 9∼ 18% PEG 8000;
10% 2-プ ロ パ ノ ー ル ;
0.1 M Tris pH 7.0∼ 7.4、 15 % 2-プ ロ パ ノ ー ル ;
0.3 M酢 酸 ナ ト リ ウ ム 、 0.1 M イ ミ ダ ゾ ー ル -HCl pH 7.0、 25% MPEG 2K;
0.2 M 硫 酸 リ チ ウ ム 、 0.1 M イ ミ ダ ゾ ー ル -HCl pH 7.0、 25% MPEG 2K;
0.2 M 臭 化 カ リ ウ ム 、 0.1 M イ ミ ダ ゾ ー ル -HCl pH 7.0、 25% MPEG 2K;
0.1 M HEPES、 pH 7.0∼ 7.5; 5∼ 10% 2-プ ロ パ ノ ー ル 、 10∼ 20% PEG 4000、 0∼ 15% グ
リセロール;
30
0.1 M Tris pH 7.0∼ 8.2、 15∼ 20% エ タ ノ ー ル ;
0.1 M Tris pH 7.0∼ 7.6、 20∼ 27.5% PEG 3000;
0.1 M HEPES、 pH 7.2∼ 7.4; 15∼ 20% PEG 8000;
0.1 M カ コ ジ ル 酸 、 pH 7.0; 15∼ 25% PEG 2000MME;
0.1 M イ ミ ダ ゾ ー ル 、 pH 7.0、 15∼ 25% PEG 2000MME;
0.1 M Tris pH 7.0∼ 7.6、 0∼ 0.2 M 酢 酸 カ ル シ ウ ム 、 20∼ 25% PEG 3000;
0.1 M HEPES pH 7.4、 0∼ 0.1 M 酢 酸 カ ル シ ウ ム 、 20% PEG 3000;
0.1 M HEPES pH 7.0∼ 7.2、 20% PEG 2000MME;
0.05∼ 0.085 M Tris pH 8.4∼ 8.5、 0.2 M 硫 酸 リ チ ウ ム 、 25∼ 25.5% PEG 4K、 0∼ 15 グ
リセロール;
40
0.05∼ 0.25 M K2HPO4、 15∼ 25% PEG 3350、 0∼ 10% グ リ セ ロ ー ル ;
0.10 M カ コ ジ ル 酸 ナ ト リ ウ ム 、 pH 6.6、 20% PEG 3350;
0.10 M カ コ ジ ル 酸 ナ ト リ ウ ム 、 pH 6.5、 0.20 M 酢 酸 マ グ ネ シ ウ ム 、 15% MPD;
0.05 M KH2PO4、 10% PEG 8000;
0.10 M 酢 酸 、 pH 4.5、 0.20 M 酢 酸 亜 鉛 、 20% PEG 1000;
0.10 M 酢 酸 、 pH 4.5、 0.20 M 酢 酸 カ ル シ ウ ム 、 30% PEG 400;
0.10 M 酢 酸 、 pH 4.5、 0.20 M 塩 化 ナ ト リ ウ ム 、 1.26 M 硫 酸 ア ン モ ニ ウ ム ;
0.10 M Tris-HCl、 pH 8.5、 0.20 M 塩 化 マ グ ネ シ ウ ム 、 15% PEG 4000;
0.10 M HEPES、 pH 7.5、 0.20 M 塩 化 マ グ ネ シ ウ ム 、 15% イ ソ プ ロ パ ノ ー ル ;
0.10 M HEPES、 pH 7.5、 0.20 M 塩 化 マ グ ネ シ ウ ム 、 15% PEG 400;
50
(22)
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0.10 M HEPES、 pH 7.5、 0.75 M 硫 酸 リ チ ウ ム ;
0.10 M リ ン 酸 -ク エ ン 酸 、 pH 4.2、 0.20 M 硫 酸 リ チ ウ ム 、 20% PEG 1000;
0.10 M リ ン 酸 -ク エ ン 酸 、 pH 4.2、 0.20 M 塩 化 ナ ト リ ウ ム 、 10% PEG 3000;
0.10 M リ ン 酸 -ク エ ン 酸 、 pH 4.2、 0.20 M 硫 酸 ア ン モ ニ ウ ム 、 20% PEG 300、 10% グ リ
セロール;
0.085 M ク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム 二 水 和 物 pH 5.6、 0.2 M 酢 酸 ア ン モ ニ ウ ム 、 25.5% PEG 4
K、 15% グ リ セ ロ ー ル ;
0.10 M ク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム 二 水 和 物 、 pH 5.6、 0.20 M 酢 酸 ア ン モ ニ ウ ム 、 15% PEG 4
000;
0.1 M ク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム -HCl、 pH 5.6、 10% PEG 4000、 10% イ ソ プ ロ パ ノ ー ル ;
10
0.10 M ク エ ン 酸 ナ ト リ ウ ム 、 pH 5.5∼ 5.6、 20% PEG 3000;
0.10 M リ ン 酸 Na/K、 pH 6.2、 0.20 M 塩 化 ナ ト リ ウ ム 、 20% PEG 1000;
0.10 M MES、 pH 6.0、 0.20 M 酢 酸 亜 鉛 、 10% PEG 8000。
【0123】
結 晶 は 2週 間 の 期 間 に わ た っ て 様 々 な 形 態 − 濃 褐 色 針 状 晶 、 六 方 晶 柱 、 も し く は 楕 円
体 − に成長した。
【0124】
X線 結 晶 構 造 解 析 に よ る 結 晶 の 解 析 か ら 、 2C19の ト ラ ン ケ ー ト 型 タ ン パ ク 質 の 結 晶 は 、
格 子 の 大 き さ が a=158Å 、 b=158Å 、 c=212Å 、 α =90° 、 β =90° 、 γ =120° で あ っ て 空 間
群 P321で あ る こ と が 明 ら か に な っ た 。 格 子 の 大 き さ は 繰 り 返 し 結 晶 化 す る と 1か ら 2Å だ け
20
変動する可能性があり、これらの大きさへの言及は、こうした変動への言及を包含する。
【0125】
2C9の 結 晶 化 は 、 200 mM 硫 酸 ア ン モ ニ ウ ム 、 100 mM MES, pH 6.0、 5∼ 30% PEG 6000中
の 20 mg/mlで 得 ら れ た 。 2C9の 小 さ な 結 晶 が 2週 間 か け て 、 塊 に な っ た 茶 色 の ブ ロ ッ ク と し
て出現した。
【0126】
2C19の 結 晶 化
あ る 範 囲 の 条 件 下 で イ ン ヒ ビ タ ー と と も に 2C19を 結 晶 化 し た 。 10倍 モ ル 過 剰 ( 通 常 3.7
∼ 7.4 mM) の イ ン ヒ ビ タ ー 、 た と え ば フ ル ボ キ サ ミ ン も し く は 2-フ ェ ニ ル イ ミ ダ ゾ ー ル を
水 ま た は エ タ ノ ー ル に 懸 濁 し て 、 典 型 的 な 例 で は 20∼ 40 mg/mlの 2C19 P450タ ン パ ク 質 の
30
溶 液 に 添 加 し た 。 得 ら れ た 混 合 物 を 4℃ に て 10∼ 60分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 そ の 結 果 得
ら れ た イ ン ヒ ビ タ ー -タ ン パ ク 質 混 合 物 を 、 上 記 プ ロ ト コ ー ル か ら 選 択 さ れ た 方 法 に よ る
結晶化の試行に使用した。
【0127】
実 施 例 2: 2C19-1Bの 結 晶 化
Richardsonら (Arch. Biochem. Biophys. 323(1):87-96 (1995))に よ っ て す で に 特 性 が
明 ら か と な っ て い る 野 生 型 2C19*1B cDNAを 作 製 し た 。 も と も と は 二 重 変 異 体 2C19*1B R150
H D414H( 上 記 ク ロ ー ン 2C19) が 分 離 さ れ 、 発 現 さ れ た 。 こ の 変 異 体 を 、 Stratagene社 製 Q
uick Changeキ ッ ト を 用 い て 部 位 特 異 的 突 然 変 異 誘 発 に よ っ て 2段 階 で 野 生 型 2C19*1B配 列
( 下 記 配 列 番 号 3お よ び 配 列 番 号 4に 示 す ) に 戻 し た 。
40
【0128】
2C19-1Bの 構 築
オ レ ゴ ン 大 学 ( University of Oregon, Eugene, Oregon) の F.W. Dahlquist教 授 か ら 提
供 さ れ た 発 現 ベ ク タ ー pCWOri+を 使 用 し て 、 ト ラ ン ケ ー ト 型 ヒ ト シ ト ク ロ ム P450を 大 腸 菌
株 XL1 Blue( Stratagene) に お い て 発 現 さ せ た 。
【0129】
Richardsonら (Arch. Biochem. Biophys. 323(1):87-96 (1995))に よ っ て す で に 特 性 が
明 ら か と な っ て い る 野 生 型 2C19*1B cDNAを も と に し た 野 生 型 ク ロ ー ン 2C19-1Bを 、 ク ロ ー
ン 2C19に 存 在 す る 2個 の 変 異 を Stratagene社 製 Quick Changeキ ッ ト を 用 い て 部 位 特 異 的 突
然 変 異 誘 発 に よ っ て 2段 階 で 正 す こ と に よ っ て 作 製 し た 。 H150Rの 復 帰 突 然 変 異 は 次 の 相 補
50
(23)
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的オリゴヌクレオチド対:
5’ CAAGAGGAAGCCCGCTGCCTTGTGGAGGAG3’ (配 列 番 号 12)お よ び
5’ CTCCTCCACAAGGCAGCGGGCTTCCTCTTG3’ (配 列 番 号 13)を 用 い て 行 わ れ た 。
【0130】
H414Dの 復 帰 突 然 変 異 は 、 次 の 相 補 的 オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド 対 5’ CCCTCGTCACTTTCTGGATGAA
GGTGGAAATTTTAAG3’ ( 配 列 番 号 14) お よ び 5’ CTTAAAATTTCCACCTTCATCCAGAAAGTGACGAGGG3
’ ( 配 列 番 号 15)を 用 い て 行 わ れ た 。 元 に 戻 っ た コ ド ン に 下 線 を 付 す 。
【0131】
細菌での発現
XL1 Blue細 胞 の 単 一 の ア ン ピ シ リ ン 耐 性 コ ロ ニ ー を 、 ほ ぼ 飽 和 状 態 ま で 振 盪 し な が ら Te
10
rrific Broth(TB)中 で 37℃ に て 一 晩 増 殖 さ せ て 、 新 し い TB培 地 に 接 種 す る た め に 使 用 し た
。 細 菌 は 、 2リ ッ ト ル 容 フ ラ ス コ で 185 rpm、 37℃ に て 、 ア ン ピ シ リ ン 100μ g/mlを 含 有 す
る TB培 地 1リ ッ ト ル 中 で 、 OD600nm=0.4ま で 増 殖 し た 。 ヘ ム 前 駆 体 δ -ア ミ ノ レ ブ リ ン 酸 ( 8
0 mg/l) を 1 mMイ ソ プ ロ ピ ル -β -D-チ オ ガ ラ ク ト ピ ラ ノ シ ド ( IPTG) に よ る 誘 導 の 30分 前
に 添 加 し て 、 温 度 を 25℃ に 下 げ た 。 撹 拌 下 で 25℃ に て 72時 間 、 細 菌 の 培 養 を 続 け た 。
【0132】
タンパク質の精製
細 胞 を 10000gで 10分 間 遠 心 し て ペ レ ッ ト 化 し 、 500 mM KPi, pH 7.4、 20% グ リ セ ロ ー
ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 0.1% (v/v) プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル (Cal
biochem)、 10 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 40U/ml DNア ー ゼ 1 お よ び 5 mM MgSO4 を 含 有 す る バ ッ
20
ファー中に再懸濁した。
【0133】
Constant Systems社 の 細 胞 破 砕 装 置 に 10000 psiで 2回 通 す こ と に よ っ て 細 胞 を 溶 解 し た
。 そ の 後 、 22000 gで 4℃ に て 30分 間 遠 心 す る こ と に よ っ て 細 胞 片 を 除 去 し た 。
【0134】
界 面 活 性 剤 IGEPAL CA630 (Sigma) を 、 10% ス ト ッ ク 溶 液 か ら 、 最 終 濃 度 0.3% (v/v)と
な る よ う に 細 胞 溶 解 液 に 1滴 ず つ 添 加 し 、 そ の 溶 解 液 を 、 あ ら か じ め 洗 浄 し た NiNTA 樹 脂
(Qiagen) と と も に 一 晩 4℃ に て 撹 拌 し な が ら イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 タ ン パ ク 質 の 結 合 し た
NiNTA 樹 脂 を 4℃ に て 2000 g で 2分 間 遠 心 す る こ と に よ っ て ペ レ ッ ト 化 し た 。 樹 脂 の 20倍
容 の 500 mM KPi、 pH7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 10 mM イ ミ
30
ダ ゾ ー ル 、 プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル の 1:1000 希 釈 物 、 0.3% (v/v) IGEPAL CA6
30で 樹 脂 を 洗 浄 し 、 樹 脂 を 4℃ に て 2000 xg で 2分 間 遠 心 す る こ と に よ っ て ペ レ ッ ト と し た
。 次 に そ の 樹 脂 を 10倍 容 の 500 mM KPi, pH7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ
タ ノ ー ル 、 20 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 0.1% (v/v)プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー 、 0.3% IGEPAL
CA630 で 洗 浄 し 、 上 記 の よ う に 遠 心 す る こ と に よ っ て 樹 脂 を 回 収 し た 。
【0135】
こ の 樹 脂 を 4℃ に て カ ラ ム に 充 填 し 、 シ ト ク ロ ム P450を 500 mM KPi, pH7.4、 20% グ リ
セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 300 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 0.1% (v/v)プ ロ テ ア ー
ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル 、 0.3% (v/v) IGEPAL CA630で 溶 出 し た 。
【0136】
40
NiNTAカ ラ ム か ら 得 ら れ た シ ト ク ロ ム P450 を 速 や か に 、 HiPrep 26/10 脱 塩 カ ラ ム (Phar
macia)を 用 い て 、 流 速 5ml/分 で 、 10 mM KPi, pH 7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 2.0 mM DTT、
1mM EDTA 中 に 脱 塩 し た 。
【0137】
脱 塩 さ れ た シ ト ク ロ ム P450を そ の ま ま 、 あ ら か じ め 10 mM KPi, pH 7.4、 20% グ リ セ ロ
ー ル 、 2.0 mM DTT、 1 mM EDTA で 平 衡 化 し た CM Sepharose カ ラ ム (Pharmacia)に か け た 。
次 の 段 階 溶 出 が 適 用 さ れ た : カ ラ ム 容 積 の 20倍 容 の 10mM KPi, pH 7.4、 20% グ リ セ ロ ー
ル 、 2.0mM DTT、 1mM EDTAで 洗 浄 し 、 界 面 活 性 剤 を 完 全 に 除 去 す る た め に 75 mM KClを 含 む
上 記 バ ッ フ ァ ー で 洗 浄 し 、 そ の 後 、 KCl濃 度 を 500 mMに 高 め た 上 記 バ ッ フ ァ ー で 溶 出 し た
。
50
(24)
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【0138】
タ ン パ ク 質 は 、 結 晶 化 ア ッ セ イ の た め に 微 量 濃 縮 装 置 を 用 い て 40 mg/mlま で 濃 縮 し た 。
【0139】
2C19-1Bの 結 晶 化
2C19-1Bの 結 晶 は 、 ハ ン ギ ン グ ド ロ ッ プ 蒸 気 拡 散 法 に よ っ て 成 長 さ せ た 。 10mM Kpi pH 7
.4、 0.5 M KCl、 2mM DTT、 1mM EDTA、 20% グ リ セ ロ ー ル 中 の 40mg/mlの タ ン パ ク 質 を 、 0.
5μ lの 液 滴 を 用 い て 1:1の 割 合 で リ ザ ー バ ー 溶 液 と 混 合 し た 。 2C19-1Bの 結 晶 は 下 記 を 含 有
するリザーバー溶液上で成長した:
0.1 M K2HPO4、 25% PEG 3350
0.15 M K2HPO4、 20% PEG 3350
10
0.15 M K2HPO4、 25% PEG 3350
0.2 M K2HPO4、 20% PEG 3350
0.2 M K2HPO4、 25% PEG 3350
0.25 M K2HPO4、 20% PEG 3350
0.25 M K2HPO4、 25% PEG 3350
0.1 M Tris-HCl pH 8.4、 0.1 M 硫 酸 リ チ ウ ム 、 15% PEG 4000
0.05 M Tris-HCl pH 8.4、 0.2 M硫 酸 リ チ ウ ム 、 20% PEG 4000
0.05 M Tris-HCl pH 8.4、 0.2 M硫 酸 リ チ ウ ム 、 25% PEG 4000
0.1 M Tris-HCl pH 7、 20% MPEG 2000
0.1 M HEPES pH 7.5、 0.2 M 塩 化 ナ ト リ ウ ム 、 20% PEG 3000
20
0.1 M イ ミ ダ ゾ ー ル -HCl pH 8、 10% イ ソ プ ロ パ ノ ー ル
0.1 M Tris-HCl pH 7、 20% エ タ ノ ー ル
【0140】
結 晶 は 25℃ に て 1日 以 内 に 形 成 さ れ 、 針 状 、 棒 状 、 お よ び 六 方 晶 の 形 態 を 有 す る 。
【0141】
実 施 例 3 − 2D6の 精 製 お よ び 結 晶 化
2D6構 築 物 の 設 計
ヒ ト シ ト ク ロ ム P450の 異 種 発 現 は 、 適 切 に 折 り 畳 ま れ た タ ン パ ク 質 の 低 収 率 を も た ら す
こ と が 多 い 。 加 え て 、 シ ト ク ロ ム P450は 膜 貫 通 ド メ イ ン お よ び 多 く の フ レ キ シ ブ ル ル ー プ
を含有する。これらの要因は、構造決定に十分なタンパク質の生産、またはタンパク質の
30
結晶化能を妨げる可能性がある。低発現の理由の1つは、発現のために使用される大腸菌
宿主に対するヒト遺伝子の異なったコードの偏りにあると考えられる。これが発現に何ら
か の 影 響 を 及 ぼ す か ど う か を 判 定 す る た め に 、 ヒ ト シ ト ク ロ ム P450 2D6の 、 ト ラ ン ケ ー ト
さ れ Hisタ グ を 付 し た 形 の コ ド ン 最 適 化 型 を 作 製 し た 。 こ の 構 築 物 は ま た 、 タ ン パ ク 質 の
膜 貫 通 ド メ イ ン を 除 去 し 、 C末 端 Hisタ グ を 導 入 し 、 変 異 型 タ ン パ ク 質 の 作 製 に 使 用 す る た
め に 適 切 に 間 隔 を お い た 制 限 酵 素 切 断 部 位 を DNAレ ベ ル で 組 み 込 む よ う に 設 計 さ れ た 。
【0142】
ヒ ト シ ト ク ロ ム P450 2D6の タ ン パ ク 質 コ ー ド 配 列 は 、 公 開 ア ク セ ス デ ー タ ベ ー ス ( Swis
sProt P10635) か ら 得 ら れ た 。
【0143】
40
そ の 後 、 こ の タ ン パ ク 質 の 膜 貫 通 ド メ イ ン を 除 去 し ( 残 基 1-33) 、 発 現 を 助 け る た め に
リ ー ダ ー 配 列 を 付 加 し ( makktsskgr) 、 そ し て 1個 の グ リ シ ン 、 1個 の ア ラ ニ ン お よ び 4ヒ
ス チ ジ ン タ グ を 分 子 の C末 端 に 付 加 し た 。 グ リ シ ン お よ び ア ラ ニ ン を 付 加 し て 、 タ グ を 変
え る た め に 使 用 さ れ る sacI制 限 酵 素 切 断 部 位 を 組 み 込 ん だ 。 こ れ が 結 果 と し て 望 ま し い タ
ン パ ク 質 配 列 ( 配 列 番 号 6) を も た ら し た 。
【0144】
こ の タ ン パ ク 質 配 列 を 、 次 に 、 Lasergeneプ ロ グ ラ ム の パ ッ ケ ー ジ ソ フ ト の 一 部 で あ る E
ditSeqを 用 い て 逆 転 写 し た 。 こ の プ ロ グ ラ ム は 、 大 腸 菌 で も っ と も 高 頻 度 に 使 用 さ れ る コ
ド ン で 逆 転 写 す る オ プ シ ョ ン を 含 む 。 こ れ は 、 逆 転 写 さ れ た DNA配 列 を も た ら し た 。 縮 重
型の配列も作製し(考えられるあらゆるコドンの使用を表す配列)、この配列を、発現に
50
(25)
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使 用 さ れ た pCWベ ク タ ー に は 存 在 し な い 制 限 酵 素 切 断 部 位 ( す な わ ち 、 イ ン サ ー ト に ユ ニ
ークな部位)の存在についてスキャンした。その後、ユニークな制限酵素切断部位がコー
ド 配 列 の 全 体 に わ た っ て 約 100bp間 隔 で 確 実 に 付 加 さ れ る よ う に す る た め に 遺 伝 子 の コ ド
ン使用を変更した(コードされるタンパク質は変えないようにする)。このようにして、
ユニークな制限酵素切断部位を分散配置することによってタンパク質のいかなる部位の除
去/置換も容易に可能となることが期待された。これは、結果として遺伝子アセンブリに
よ っ て 生 成 さ れ る 望 ま し い 遺 伝 子 配 列 ( 配 列 番 号 5) を も た ら し た 。
【0145】
本 発 明 で 使 用 さ れ る 2D6の DNA配 列 お よ び タ ン パ ク 質 配 列 を 、 配 列 番 号 5お よ び 6に 示 す 。
も う 一 つ の 態 様 に お い て 、 本 発 明 は 、 配 列 番 号 5の 配 列 を 有 す る 核 酸 、 好 ま し く は DNAを 提
10
供 す る 。 こ の DNAは 2D6を 発 現 さ せ る た め の 発 現 ベ ク タ ー に 含 め る こ と が で き る 。 発 現 ベ ク
タ ー は 、 細 菌 宿 主 細 胞 、 特 に 大 腸 菌 に お い て 2D6を 発 現 さ せ る た め に 設 計 さ れ た 細 菌 発 現
ベクターであることが好ましい。
【0146】
pCWベ ク タ ー 中 の 最 適 化 2D6を コ ー ド す る こ の DNAで 形 質 転 換 さ れ た 、 結 果 と し て 得 ら れ
た 宿 主 細 胞 は 、 驚 異 的 高 レ ベ ル の 発 現 ( 50∼ 90 mg/l) を 示 し 、 こ れ は 構 造 研 究 の た め に
特に有利である。
【0147】
上 記 実 施 例 1で の タ ン パ ク 質 と 同 様 に 、 P450の N-ト ラ ン ケ ー シ ョ ン は 、 MAKKTSSKGR( 配
列 番 号 10) の N末 端 配 列 を も た ら し た 。
20
【0148】
実験
構築物作製
ヒ ト シ ト ク ロ ム P450 2D6の タ ン パ ク 質 コ ー ド 配 列 は 、 公 開 ア ク セ ス デ ー タ ベ ー ス ( Swis
sProt P10635) か ら 得 ら れ た 。 そ こ で こ の タ ン パ ク 質 の 膜 貫 通 ド メ イ ン を 除 去 し ( 残 基 133) 、 発 現 を 助 け る た め に リ ー ダ ー 配 列 を 付 加 し ( makktsskgr、 配 列 番 号 10) 、 グ リ シ ン
、 ア ラ ニ ン お よ び 4ヒ ス チ ジ ン タ グ を い ず れ も 1 つ 、 分 子 の C末 端 に 付 加 し た ( 注 記 : グ リ
シ ン お よ び ア ラ ニ ン を 付 加 す る こ と に よ り 、 タ グ を 変 え る た め に 使 用 さ れ る sacI制 限 酵 素
切 断 部 位 を 組 み 込 ん だ ) 。 こ の 結 果 、 望 ま し い タ ン パ ク 質 配 列 ( 配 列 番 号 6) が も た ら さ
れた。
30
【0149】
こ の タ ン パ ク 質 配 列 を 、 次 に 、 Lasergeneプ ロ グ ラ ム の パ ッ ケ ー ジ ソ フ ト の 一 部 で あ る E
ditSeqを 用 い て 逆 転 写 し た 。 こ の プ ロ グ ラ ム は 、 大 腸 菌 で も っ と も 高 頻 度 に 使 用 さ れ る コ
ド ン で 逆 転 写 す る オ プ シ ョ ン を 含 む 。 こ れ は 、 逆 転 写 さ れ た DNA配 列 を も た ら し た 。 縮 重
型の配列も作製し(考えられるあらゆるコドンの使用を示す配列)、この配列を、発現に
使 用 さ れ る pCWベ ク タ ー に は 存 在 し な い 制 限 酵 素 切 断 部 位 ( す な わ ち 、 イ ン サ ー ト に ユ ニ
ークな部位)の存在についてスキャンした。その後、ユニークな制限酵素切断部位がコー
ド 配 列 の 全 体 に わ た っ て 約 100bp間 隔 で 確 実 に 付 加 さ れ る よ う に す る た め に 遺 伝 子 の コ ド
ン使用を変更した(コードされるタンパク質は変えないようにする)。このようにして、
ユニークな制限酵素切断部位を分散配置することによってタンパク質のいかなる部位の除
40
去/置換も容易に可能となることが期待された。これは、結果として望ましい遺伝子配列
( 配 列 番 号 5) を も た ら し た 。
【0150】
上 記 の コ ド ン 最 適 化 2D6配 列 に 対 す る 配 列 を 、 両 方 の DNA鎖 と も 50bpの オ リ ゴ に 分 割 し た
。 こ れ ら の オ リ ゴ は 反 対 側 の 鎖 に 由 来 す る オ リ ゴ と 25bpだ け 重 な り 合 う よ う に 設 計 し た 。
【0151】
2D6ア セ ン ブ リ の た め に 用 い た オ リ ゴ (す べ て の オ リ ゴ (配 列 番 号 16∼ 71)を 5’ -3’ で 示
す)
2D6ass5'1 CATATGGCTAAAAAAACCTCTTCTAAAGGCCGACCGCCGGGTCCGCTGCC
2D6ass5'2 GCTGCCAGGCCTGGGTAACCTGCTGCATGTGGACTTCCAGAACACCCCGT
50
(26)
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2D6ass5'3 ACTGCTTCGACCAGCTGCGTCGTCGTTTCGGTGACGTGTTCTCTCTGCAG
2D6ass5'4 CTGGCTTGGACCCCGGTTGTTGTTCTGAACGGTCTGGCTGCTGTTCGCGA
2D6ass5'5 AGCTCTGGTTACCCACGGTGAAGACACCGCTGACCGTCCGCCGGTCCCGA
2D6ass5'6 TCACCCAGATCCTGGGTTTTGGTCCGCGTTCCCAAGGTGTTTTCCTGGCT
2D6ass5'7 CGTTACGGACCGGCTTGGCGTGAACAGCGTCGTTTCTCTGTTTCTACCCT
2D6ass5'8 GCGTAACCTGGGTCTGGGTAAAAAATCTCTGGAACAGTGGGTTACCGAAG
2D6ass5'9 AAGCTGCATGCCTGTGCGCTGCTTTCGCTAACCACTCTGGTCGTCCGTTC
2D6ass5'10 CGTCCGAACGGTCTGCTGGACAAAGCTGTTTCTAACGTTATCGCTTCTCT
2D6ass5'11 GACCTGCGGCCGCCGTTTCGAATACGACGACCCGCGTTTCCTGCGTCTGC
2D6ass5'12 GGACCTGGCTCAGGAAGGTCTGAAAGAGGAGTCTGGTTTCCTGCGTGAA
10
2D6ass5'13 GTTCTGAACGCTGTTCCGGTTCTGCTGCACATCCCAGCTCTGGCTGGTAA
2D6ass5'14 AGTTCTGCGTTTCCAGAAAGCATTCCTGACCCAGCTGGACGAACTGCTGA
2D6ass5'15 CCGAACACCGTATGACCTGGGACCCGGCTCAGCCGCCACGTGACCTGACC
2D6ass5'16 GAAGCTTTCCTGGCTGAAATGGAAAAAGCTAAAGGTAACCCGGAATCTTC
2D6ass5'17 TTTCAACGATGAAAATCTGCGTATCGTTGTTGCTGACCTGTTCTCCGCGG
2D6ass5'18 GTATGGTTACCACCTCTACCACCCTGGCTTGGGGTCTGCTGCTGATGATC
2D6ass5'19 CTGCACCCGGATGTACAGCGTCGTGTTCAGCAGGAAATCGACGACGTTAT
2D6ass5'20 TGGCCAGGTTCGTCGGCCGGAAATGGGTGACCAGGCTCACATGCCGTACA
2D6ass5'21 CCACCGCTGTTATCCACGAAGTTCAGCGCTTCGGTGACATCGTTCCGCTG
2D6ass5'22 GGTATGACCCACATGACCTCTCGTGACATCGAAGTTCAGGGTTTCCGTAT
20
2D6ass5'23 CCCGAAAGGTACCACCCTGATCACCAACCTGTCTTCTGTTCTGAAAGACG
2D6ass5'24 AAGCTGTTTGGGAAAAACCGTTCCGTTTCCATCCGGAACACTTCCTGGAC
2D6ass5'25 GCTCAGGGTCACTTCGTTAAACCGGAAGCTTTCCTGCCGTTCTCTGCTGG
2D6ass5'26 TCGTCGTGCTTGCCTGGGTGAACCGCTGGCTCGTATGGAACTGTTCCTGT
2D6ass5'27 TCTTCACCTCTCTGCTGCAGCACTTCTCTTTCTCTGTTCCGACCGGTCAG
2D6ass5'28 CCGCGTCCGTCTCACCACGGTGTTTTCGCTTTCCTGGTTTCTCCGTCTCC
2D6ass3'1
GTCGACTCAGTGGTGGTGGTGAGCTCCACGCGGAACAGCGCACAGTTCGTACGGAGACGGAGAAACCAGG
AAAGCGA
2D6ass3'2 AAACACCGTGGTGAGACGGACGCGGCTGACCGGTCGGAACAGAGAAAGAG
30
2D6ass3'3 AAGTGCTGCAGCAGAGAGGTGAAGAACAGGAACAGTTCCATACGAGCCAG
2D6ass3'4 CGGTTCACCCAGGCAAGCACGACGACCAGCAGAGAACGGCAGGAAAGCTT
2D6ass3'5 CCGGTTTAACGAAGTGACCCTGAGCGTCCAGGAAGTGTTCCGGATGGAAA
2D6ass3'6 CGGAACGGTTTTTCCCAAACAGCTTCGTCTTTCAGAACAGAAGACAGGTT
2D6ass3'7 GGTGATCAGGGTGGTACCTTTCGGGATACGGAAACCCTGAACTTCGATGT
2D6ass3'8 CACGAGAGGTCATGTGGGTCATACCCAGCGGAACGATGTCACCGAAGCGC
2D6ass3'9 TGAACTTCGTGGATAACAGCGGTGGTGTACGGCATGTGAGCCTGGTCACC
2D6ass3'10 CATTTCCGGCCGACGAACCTGGCCAATAACGTCGTCGATTTCCTGCTGAA
2D6ass3'11 CACGACGCTGTACATCCGGGTGCAGGATCATCAGCAGCAGACCCCAAGCC
2D6ass3'12 AGGGTGGTAGAGGTGGTAACCATACCCGCGGAGAACAGGTCAGCAACAAC
40
2D6ass3'13 GATACGCAGATTTTCATCGTTGAAAGAAGATTCCGGGTTACCTTTAGCTT
2D6ass3'14 TTTCCATTTCAGCCAGGAAAGCTTCGGTCAGGTCACGTGGCGGCTGAGCC
2D6ass3'15 GGGTCCCAGGTCATACGGTGTTCGGTCAGCAGTTCGTCCAGCTGGGTCAG
2D6ass3'16 GAATGCTTTCTGGAAACGCAGAACTTTACCAGCCAGAGCTGGGATGTGCA
2D6ass3'17 GCAGAACCGGAACAGCGTTCAGAACTTCACGCAGGAAACCAGACTCCTCT
2D6ass3'18 TTCAGACCTTCCTGAGCCAGGTCCAGCAGACGCAGGAAACGCGGGTCGTC
2D6ass3'19 GTATTCGAAACGGCGGCCGCAGGTCAGAGAAGCGATAACGTTAGAAACAG
2D6ass3'20 CTTTGTCCAGCAGACCGTTCGGACGGAACGGACGACCAGAGTGGTTAGCG
2D6ass3'21 AAAGCAGCGCACAGGCATGCAGCTTCTTCGGTAACCCACTGTTCCAGAGA
2D6ass3'22 TTTTTTACCCAGACCCAGGTTACGCAGGGTAGAAACAGAGAAACGACGCT
50
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2D6ass3'23 GTTCACGCCAAGCCGGTCCGTAACGAGCCAGGAAAACACCTTGGGAACGC
2D6ass3'24 GGACCAAAACCCAGGATCTGGGTGATCGGGACCGGCGGACGGTCAGCGGT
2D6ass3'25 GTCTTCACCGTGGGTAACCAGAGCTTCGCGAACAGCAGCCAGACCGTTCA
2D6ass3'26 GAACAACAACCGGGGTCCAAGCCAGCTGCAGAGAGAACACGTCACCGAAA
2D6ass3'27 CGACGACGCAGCTGGTCGAAGCAGTACGGGGTGTTCTGGAAGTCCACATG
2D6ass3'28 CAGCAGGTTACCCAGGCCTGGCAGCGGCAGCGGACCCGGCGGTCGGCCTT
【0152】
PCRに よ っ て 持 ち 込 ま れ る エ ラ ー を 最 小 限 に す る よ う に 、 遺 伝 子 を 4つ の 部 分 で ア セ ン ブ
ル し た 。 使 用 し た オ リ ゴ は 、 2D6ass5’ 1-7お よ び 2D6ass3’ 22-28、 2D6ass5’ 6-15と 2D6as
s3’ 12-22、 2D6ass5’ 15-21と 2D6ass3’ 8-14、 な ら び に 2D6ass5’ 20-28と 2D6ass3’ 1-9で
10
あった。
【0153】
オ リ ゴ を 100pM/μ lと な る よ う に 滅 菌 水 に 再 懸 濁 し 、 各 オ リ ゴ の 5μ lを エ ッ ペ ン ド ル フ
に 入 れ た 。 次 に 、 こ の 混 合 物 を さ ま ざ ま の 量 ( 1、 2、 4μ l) で 下 記 の PCRサ イ ク ル に 供 し
、
ス テ ッ プ 1 40℃ に て 2分
ス テ ッ プ 2 72℃ に て 10秒
ス テ ッ プ 3 94℃ に て 15秒
ス テ ッ プ 4 40℃ に て 30秒
ス テ ッ プ 5 72℃ に て 20秒 + サ イ ク ル 当 た り 2秒
20
ス テ ッ プ 6 4℃ に 保 持
ス テ ッ プ 3∼ 5を 39回 繰 り 返 し た 。
【0154】
そ の 後 、 4つ の 遺 伝 子 断 片 を 、 全 長 産 物 を 富 化 す る た め の 回 収 PCRに お い て 、 各 ア セ ン ブ
リの末端プライマーを使用することによって回収した。これらの反応は下記のサイクルパ
ラメーターにしたがい、
ス テ ッ プ 1 95℃ に て 2分
ス テ ッ プ 2 95℃ に て 30秒
ス テ ッ プ 3 57/60℃ に て 30秒
ス テ ッ プ 4 72℃ に て 1分
30
ス テ ッ プ 5 72℃ に て 10分
ス テ ッ プ 6 4℃ に 保 持
ス テ ッ プ 2∼ 4を 25回 繰 り 返 し た 。
【0155】
そ の 後 、 こ れ ら の 遺 伝 子 断 片 を 、 そ の DNA末 端 に Aオ ー バ ー ハ ン グ を 付 加 す る た め に 、 Ta
qポ リ メ ラ ー ゼ と と も に 72℃ に て 10分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 こ の 方 法 に よ っ て 、 断 片 の
ベ ク タ ー pCR4(Invitrogen)へ の TOPOク ロ ー ニ ン グ が 可 能 と な っ た 。
【0156】
次 に 、 TOPOク ロ ー ニ ン グ さ れ た 断 片 を 、 そ れ ら が 正 し い こ と を 確 認 す る た め に DNA配 列
決 定 に 供 し た 。 4つ の 遺 伝 子 構 築 断 片 の う ち 3つ は 正 し い 配 列 を 有 し た が 、 1つ は フ レ ー ム
40
シ フ ト 突 然 変 異 を 含 ん で い た 。 部 分 遺 伝 子 2D6ass5’ 15-21お よ び 2D6ass5’ 20-28を 含 有 す
る pCR4ク ロ ー ン を 制 限 酵 素 AfeIお よ び NcoI(NEB)で 消 化 し た 。 そ の 後 2D6ass5’ 15-21 AfeI
NcoI断 片 を 2D6ass5’ 20-28ベ ク タ ー 内 に 連 結 し て 、 オ リ ゴ 2D6ass5’ 15-28に わ た る 遺 伝
子 部 分 を 含 有 す る pCR4ク ロ ー ン を 作 製 し た 。
【0157】
5’ 6-15を 含 有 す る 遺 伝 子 部 分 を 制 限 酵 素 BlpIお よ び PciIに よ っ て 消 化 し て 、 同 じ 制 限
エ ン ド ヌ ク レ ア ー ゼ で 消 化 し た pCR4ク ロ ー ン 2D6ass5’ 15-28に 挿 入 し た 。 こ れ に よ っ て オ
リ ゴ 2D6ass5’ 6-28に わ た る 遺 伝 子 断 片 が 作 製 さ れ た 。
【0158】
オ リ ゴ 2D6ass5’ 1-7に わ た る 遺 伝 子 部 分 を 含 有 す る pCR4ベ ク タ ー を 制 限 エ ン ド ヌ ク レ ア
50
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ー ゼ NdeIお よ び RsrIIで 消 化 し 、 オ リ ゴ 2D6ass5’ 15-28に わ た る 遺 伝 子 部 分 を 含 有 す る pCR
4ク ロ ー ン を 制 限 エ ン ド ヌ ク レ ア ー ゼ RsrIIお よ び SalIで 消 化 し た 。 2D6配 列 を 含 有 す る 2つ
の DNA断 片 を 、 次 に 、 制 限 エ ン ド ヌ ク レ ア ー ゼ NdeIお よ び SalIで 消 化 し た pCWori+ベ ク タ ー
に 3部 分 連 結 し た 。 す べ て の 連 結 反 応 は 、 Rapid Ligationキ ッ ト (Roche)の 取 扱 説 明 書 に
し た が っ て 実 施 さ れ た 。 結 果 と し て 得 ら れ た 2D6コ ド ン 最 適 化 配 列 は 1つ の フ レ ー ム シ フ ト
エ ラ ー を 含 有 し 、 こ れ は そ の 後 、 Quickchange突 然 変 異 誘 発 プ ロ ト コ ー ル ( Stratagene)
および以下に示すプライマーを用いて修正された。
( す べ て の オ リ ゴ を 5’ -3’ で 示 す )
2D6 RT+RS 5' GTAACCTGGGTCTGGGTAAAAAATCTCTG (配 列 番 号 72)
2D6 RT+RS 3' CAGAGATTTTTTACCCAGACCCAGGTTAC (配 列 番 号 73)
10
【0159】
修 正 さ れ た 産 物 の ア リ コ ー ト を 用 い て 大 腸 菌 XL1 Blue株 を 形 質 転 換 し 、 ア ミ ノ 末 端 ト ラ
ン ケ ー ト 型 2D6を コ ー ド す る プ ラ ス ミ ド pCW-2D6を 得 た 。
【0160】
2D6の 細 菌 で の 発 現
XL1 blue細 胞 の 単 一 の ア ン ピ シ リ ン 耐 性 コ ロ ニ ー を Terrific Broth(TB)中 で 振 盪 し な が
ら ほ と ん ど 飽 和 状 態 と な る ま で 37℃ に て 一 晩 増 殖 さ せ 、 新 し い TB培 地 に 接 種 す る た め に 使
用 し た 。 細 菌 は 2リ ッ ト ル 容 フ ラ ス コ 内 で 185rpm、 37℃ に て 1リ ッ ト ル の 100μ g/mlア ン ピ
シ リ ン 含 有 TB培 地 中 で OD600nm = 0.5ま で 増 殖 し た 。 1mMイ ソ プ ロ ピ ル -β -D-チ オ ガ ラ ク ト
ピ ラ ノ シ ド ( IPTG) と と も に イ ン キ ュ ベ ー ト す る 30分 前 に ヘ ム 前 駆 体 δ -ア ミ ノ レ ブ リ ン
20
酸 ( 80 mg/l) を 添 加 し て 、 温 度 を 25℃ に 下 げ た 。 25℃ に て 48∼ 72時 間 撹 拌 し な が ら 細 菌
培養を続行した。
【0161】
2D6タ ン パ ク 質 の 精 製
細 胞 を 10000 gに て 10分 間 遠 心 に よ り ペ レ ッ ト 化 し て 500 mM KPi, pH 7.4、 20% グ リ セ
ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 0.1% (v/v) プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル (
Calbiochem)、 10 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 40U/ml DNア ー ゼ 1 お よ び 5 mM MgSO4 を 含 有 す る バ
ッファー中に再懸濁した。
【0162】
Constant Systems社 の 細 胞 破 砕 装 置 に 10000 psiで 2回 通 す こ と に よ っ て 細 胞 を 溶 解 し た
30
。 そ の 後 、 22000 gで 4℃ に て 30分 間 遠 心 す る こ と に よ っ て 細 胞 片 を 除 去 し た 。
【0163】
界 面 活 性 剤 IGEPAL CA630 (Sigma) を 、 10% ス ト ッ ク 溶 液 か ら 、 最 終 濃 度 0.15% (v/v)と
な る よ う に 細 胞 溶 解 液 に 1滴 ず つ 添 加 し 、 そ の 溶 解 液 を 、 あ ら か じ め 洗 浄 し た NiNTA 樹 脂
(Qiagen) と と も に 一 晩 4℃ に て 撹 拌 し な が ら イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 タ ン パ ク 質 の 結 合 し た
NiNTA 樹 脂 を 4℃ に て 2000 g で 2分 間 遠 心 す る こ と に よ っ て ペ レ ッ ト と し た 。 樹 脂 の 20倍
容 の 500 mM KPi、 pH7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 10 mM イ ミ
ダ ゾ ー ル 、 プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル の 1:1000 希 釈 物 、 0.15% (v/v) IGEPAL CA
630で 樹 脂 を 洗 浄 し 、 樹 脂 を 4℃ に て 2000 xg で 2分 間 遠 心 す る こ と に よ っ て ペ レ ッ ト 化 し
た 。 次 に そ の 樹 脂 を 10倍 容 の 500 mM KPi, pH7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト
40
エ タ ノ ー ル 、 20 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 0.1% (v/v) プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー 、 0.15% IGEP
AL CA630 で 洗 浄 し 、 上 記 の よ う に 遠 心 す る こ と に よ っ て 樹 脂 を 回 収 し た 。
【0164】
こ の 樹 脂 を 4℃ に て カ ラ ム に 充 填 し 、 シ ト ク ロ ム P450を 500 mM KPi, pH7.4、 20% グ リ
セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 300 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 0.1% (v/v) プ ロ テ ア ー
ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル 、 0.15% (v/v) IGEPAL CA630で 溶 出 し た 。
【0165】
NiNTAカ ラ ム か ら 得 ら れ た シ ト ク ロ ム P450 を 速 や か に 、 HiPrep 26/10 脱 塩 カ ラ ム (Phar
macia)を 用 い て 、 流 速 5ml/分 で 、 10 mM KPi, pH 8.0、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 2.0 mM DTT、
1mM EDTA 中 に 脱 塩 し た 。
50
(29)
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【0166】
脱 塩 さ れ た シ ト ク ロ ム P450を そ の ま ま 、 あ ら か じ め 10 mM KPi, pH 8.0、 20% グ リ セ ロ
ー ル 、 2.0 mM DTT、 1 mM EDTA で 平 衡 化 し た CM Sepharose カ ラ ム (Pharmacia)に か け た 。
次 の 段 階 溶 出 を 適 用 し た : カ ラ ム 容 積 の 20倍 容 の 10mM KPi, pH 8.0、 20% グ リ セ ロ ー ル
、 2.0mM DTT、 1mM EDTAで 洗 浄 し 、 界 面 活 性 剤 を 完 全 に 除 去 す る た め に 75 mM KClを 含 む 上
記 バ ッ フ ァ ー で 洗 浄 し 、 そ の 後 、 KCl濃 度 を 500 mMに 高 め た 上 記 バ ッ フ ァ ー で 溶 出 し た 。
【0167】
タ ン パ ク 質 は 、 結 晶 化 ア ッ セ イ の た め に 微 量 濃 縮 装 置 を 用 い て 40 mg/mlま で 濃 縮 し た 。
【0168】
タンパク質の特性決定
10
最終調製物の品質を下記によって評価した:
(a) SDSポ リ ア ク リ ル ア ミ ド ゲ ル 電 気 泳 動
市 販 の ゲ ル ( Nugen) を メ ー カ ー の 使 用 説 明 書 に し た が っ て 使 用 し て SDSポ リ ア ク リ ル ア
ミ ド ゲ ル 電 気 泳 動 を 行 っ た 後 、 CBB染 色 を 行 っ た 。 ゲ ル の デ ジ タ ル 画 像 を ス キ ャ ン す る こ
と に よ っ て 評 価 さ れ る 純 度 は 、 少 な く と も 95% で あ る と 推 定 さ れ た 。
【0169】
(b) 質 量 分 析 法
Bruker “ BioTOF” エ レ ク ト ロ ス プ レ ー 飛 行 時 間 型 装 置 を 使 用 し て 質 量 分 析 を 行 っ た 。
サ ン プ ル を 保 存 バ ッ フ ァ ー か ら 直 接 メ タ ノ ー ル / 水 / ギ 酸 ( 50:48:2 v/v/v) に 1000倍 希
釈 す る か 、 あ る い は C4カ ラ ム を 用 い た 逆 相 HPLC分 離 に 供 し た 。 2+お よ び 1+荷 電 状 態 を 用 い
20
て 、 ボ ン ベ シ ン お よ び ア ン ジ オ テ ン シ ン Iに よ っ て 較 正 を 実 施 し た 。 デ ー タ は 200∼ 2000m/
zの 範 囲 か ら 得 ら れ 、 引 き 続 い て Bruker社 の X-massプ ロ グ ラ ム に よ っ て 処 理 さ れ た 。 質 量
の 精 度 は 一 般 的 に 10000分 の 1未 満 で あ っ た 。
【0170】
2D6の 質 量 ス ペ ク ト ル : 53606.8 Da (測 定 値 )
53604.0 Da (N末 端 メ チ オ ニ ン を 除 い た 予 測 値 )
【0171】
2D6の 結 晶 化
2D6の 結 晶 は ハ ン ギ ン グ ド ロ ッ プ 蒸 気 拡 散 法 に よ っ て 成 長 さ せ た 。 10mM Kpi pH 7.4、 0.
5 M KCl、 2mM DTT、 1mM EDTA、 20% グ リ セ ロ ー ル 中 40mg/mlの タ ン パ ク 質 を 、 0.5μ lの 液
30
滴 を 用 い て 1:1の 割 合 で リ ザ ー バ ー 溶 液 と 混 合 し た 。 2C6の 結 晶 は 下 記 を 含 有 す る リ ザ ー バ
ー溶液上で成長した:
0.1∼ 0.15 Mク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム 二 水 和 物 pH5.6、 5∼ 10% イ ソ プ ロ パ ノ ー ル ( IPA) 、 5
∼ 15% PEG 4000、 0∼ 5% PEG 400。
【0172】
好ましい条件は下記の通りである:
0.15 Mク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム 二 水 和 物 pH5.6、 5% 2-プ ロ パ ノ ー ル 、 5% PEG 4000;
0.15 Mク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム 二 水 和 物 pH5.6、 5% 2-プ ロ パ ノ ー ル 、 10% PEG 4000;
0.15 Mク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム 二 水 和 物 pH5.6、 10% イ ソ プ ロ パ ノ ー ル 、 5% PEG 4000;
0.15 Mク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム 二 水 和 物 pH5.6、 10% イ ソ プ ロ パ ノ ー ル 、 7.5% PEG 4000;
40
0.1 Mク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム pH5.6、 10% IPA、 10% PEG 4000;
0.15 Mク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム pH5.6、 10% IPA、 10% PEG 4000;
0.15 Mク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム pH5.6、 10% IPA、 15% PEG 4000;
0.15 Mク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム pH5.6、 10% IPA、 7.5% PEG 4000;
0.15 Mク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム 二 水 和 物 pH5.6、 10% イ ソ プ ロ パ ノ ー ル 、 7.5% PEG 4000、 5
% PEG 400;
さらに、
0.1 Mク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム 二 水 和 物 pH5.6、 10% イ ソ プ ロ パ ノ ー ル 、 7.5% PEG 4000;
0.1 Mク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム 二 水 和 物 pH5.6、 10% イ ソ プ ロ パ ノ ー ル 、 5% PEG 4000;
0.15 Mク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム 二 水 和 物 pH5.6、 10% 2-プ ロ パ ノ ー ル 、 7.5% PEG 8000;
50
(30)
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0.15 Mク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム 二 水 和 物 pH5.6、 10% 2-プ ロ パ ノ ー ル 、 5% グ リ セ ロ ー ル 、
7.5% PEG 4000;
0.1 M HEPES pH 7.5、 0.2 M 塩 化 マ グ ネ シ ウ ム 、 30% PEG 400;
0.1 M イ ミ ダ ゾ ー ル pH 8、 0.2 M 酢 酸 カ ル シ ウ ム 、 10% PEG 8000;
0.1 M カ コ ジ ル 酸 ナ ト リ ウ ム pH 6.5、 0.2 M 酢 酸 マ グ ネ シ ウ ム 、 15% 2-メ チ ル -2,4-ペ
ンタンジオール;
0.1 M Tris-HCl pH 8.5、 0.2 M 酢 酸 ナ ト リ ウ ム 、 15% PEG 4000;
0.150 ビ ス -ト リ ス プ ロ パ ン pH 5.8、 10% 2-プ ロ パ ノ ー ル 、 7.5% PEG 4K;
0.15 M ク エ ン 酸 三 ナ ト リ ウ ム pH5.6、 10% イ ソ プ ロ パ ノ ー ル 、 5% PEG 4000( 10 mM 塩
化 ス ト ロ ン チ ウ ム 、 10 mM 塩 化 イ ッ ト リ ウ ム 、 10 mM 塩 化 マ グ ネ シ ウ ム 、 10 mM 塩 化 マ ン
10
ガ ン 、 3% エ タ ノ ー ル 、 10 mM タ ウ リ ン 、 3% d-ス ク ロ ー ス 、 4% n-プ ロ パ ノ ー ル 、 4%
1,3-ブ タ ン ジ オ ー ル な ど の 添 加 剤 を 含 む ) 。
【0173】
結 晶 は 25℃ に て 1∼ 7 日 以 内 に 不 規 則 な 板 状 と し て 形 成 さ れ た 。
【0174】
結 晶 を 液 体 窒 素 中 で 、 80% リ ザ ー バ ー 溶 液 、 20% エ チ レ ン グ リ コ ー ル を 抗 凍 結 剤 と し て
用いて、瞬間凍結した。
【0175】
実 施 例 4 − 3A4の 精 製 お よ び 結 晶 化
3A4に つ い て 用 い ら れ る N末 端 ト ラ ン ケ ー シ ョ ン は 、 結 果 的 に N末 端 配 列 が Gillamら 、 Arc
20
h. Biochem. Biophys. Vol. 305, 123-131, 1993に 記 載 さ れ た MAYGTHSHGLFKK (配 列 番 号 1
1)と な る 、 NF10 N末 端 ト ラ ン ケ ー シ ョ ン で あ る 。 高 塩 濃 度 バ ッ フ ァ ー 中 で の タ ン パ ク 質 の
精 製 を 容 易 に す る た め に 4ヒ ス チ ジ ン タ グ が 3’ 末 端 に 挿 入 さ れ た 。
【0176】
3A4の ク ロ ー ニ ン グ
M18907 (GI 181373)に 相 当 す る 3A4を ヒ ト 肝 臓 ラ イ ブ ラ リ ー ( Origene Technologies, I
nc.) か ら ク ロ ー ニ ン グ し た 。
【0177】
PCRは メ ー カ ー の 推 奨 に し た が っ て 実 施 し た :
肝 臓 ラ イ ブ ラ リ ー 2.0μ l
10X PCR バ ッ フ ァ ー (-Mg
2 +
30
) 2.5μ l
10mM dNTP 0.5μ l
10mM MgSO4 2.5μ l
水 11.0μ l
プ ラ イ マ ー 1 (10 pmol/μ l) 3.0μ l
プ ラ イ マ ー 2 (10 pmol/μ l) 3.0μ l
【0178】
プ ラ イ マ ー 1は 全 長 3A4 cDNAの 5’ 末 端 に 相 補 的 で あ る 。 プ ラ イ マ ー 2は こ の cDNAの 3’ 末
端 に 相 補 的 で あ っ て 、 3A4タ ン パ ク 質 の C末 端 に 4-Hisタ グ を 付 加 す る 。
【0179】
40
94℃ に 加 熱 し 、 0.5μ l(1ユ ニ ッ ト )の Ventポ リ メ ラ ー ゼ を 添 加 す る 。
下 記 の 通 り 35サ イ ク ル :
94℃ 30秒
65℃ 60秒
72℃ 60秒
72℃ に て 5分 間 を 1サ イ ク ル 。
【0180】
1μ l( 2.5ユ ニ ッ ト ) の Taqポ リ メ ラ ー ゼ を 添 加 し て 72℃ に て 10分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た
後 、 生 成 物 1μ lを TOPOク ロ ー ニ ン グ 反 応 に 使 用 し た ( ベ ク タ ー pCR4TOPO) 。 こ の ク ロ ー ニ
ン グ 反 応 を 用 い て 、 大 腸 菌 XL1-blueを 形 質 転 換 し 、 精 製 プ ラ ス ミ ド の NdeI/SalI制 限 消 化
50
(31)
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に よ っ て 陽 性 ク ロ ー ン を 同 定 し た 。 陽 性 ク ロ ー ン を 完 全 に 配 列 決 定 し 、 NdeI/SalIイ ン サ
ー ト を pET20bに サ ブ ク ロ ー ニ ン グ し て ク ロ ー ン 1384を 得 た 。 こ の ク ロ ー ン を 次 の PCR反 応
のテンプレートとして使用した。
【0181】
3A4の N末 端 ト ラ ン ケ ー シ ョ ン
Gillamら 、 Arch. Biochem. Biophys. Vol. 305, 123-131, 1993に 記 載 さ れ 、 公 開 さ れ
た NF10 N末 端 ト ラ ン ケ ー シ ョ ン を 生 じ る 3A4の N末 端 ト ラ ン ケ ー シ ョ ン 。
【0182】
テ ン プ レ ー ト (1384) ∼ 5ng
10X PCRバ ッ フ ァ ー (+Mg
2 +
) 5.0μ l
10
10mM dNTP 1.0μ l
水 42.0μ l
プ ラ イ マ ー 2 (100 pmol/μ l) 0.5μ l
プ ラ イ マ ー 3 (100 pmol/μ l) 0.5μ l
Ventポ リ メ ラ ー ゼ (2U/μ l) 0.5μ l
下 記 を 25サ イ ク ル :
94℃ 30秒
65℃ 60秒
72℃ 60秒
20
72℃ に て 5分 間 を 1サ イ ク ル 。
【0183】
1μ l( 2.5ユ ニ ッ ト ) の Taqポ リ メ ラ ー ゼ を 添 加 し て 72℃ に て 10分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た
後 、 生 成 物 1μ lを TOPOク ロ ー ニ ン グ 反 応 に 使 用 し た ( ベ ク タ ー pCR4TOPO) 。 こ の ク ロ ー ニ
ン グ 反 応 を 用 い て 、 大 腸 菌 XL1-blueを 形 質 転 換 し 、 精 製 プ ラ ス ミ ド の NdeI/SalI制 限 消 化
に よ っ て 陽 性 ク ロ ー ン を 同 定 し た 。 陽 性 ク ロ ー ン を 完 全 に 配 列 決 定 し 、 NdeI/SalIイ ン サ
ー ト を pCWori+に サ ブ ク ロ ー ニ ン グ し て 、 配 列 番 号 7に 示 す コ ー ド 配 列 を 有 す る ク ロ ー ン p3
A4を 得 た 。 こ の ク ロ ー ン を 配 列 番 号 8の タ ン パ ク 質 の 発 現 の た め に 使 用 し た 。
【0184】
プライマー1
30
5’ -GGAATTCATATGGCTCTCATCCCAGACTTGGCC-3’ (配 列 番 号 74)
プライマー2
5’ -TGCGGTCGACTCAATGGTGATGGTGGGCTCCACTTACGGTGCCATCC-3’ (配 列 番 号 75)
プライマー3
5’ -TTAACATATGGCATATGGTACTCATTCACATGGTCTGTTTAAAAAACTGGGAATTCCAGGGCCCACACC-3’ (
配 列 番 号 76)
【0185】
細菌での発現
XL1 blue細 胞 の 単 一 の ア ン ピ シ リ ン 耐 性 コ ロ ニ ー を Terrific Broth(TB)中 で 振 盪 し な が
ら ほ と ん ど 飽 和 状 態 と な る ま で 37℃ に て 一 晩 増 殖 さ せ 、 新 し い TB培 地 に 接 種 す る た め に 使
40
用 し た 。 細 菌 は 2リ ッ ト ル 容 フ ラ ス コ 内 で 185rpm、 37℃ に て 1リ ッ ト ル の 100μ g/mlア ン ピ
シ リ ン 含 有 TB液 体 培 地 中 で OD600nm = 0.5ま で 増 殖 し た 。 1mMイ ソ プ ロ ピ ル -β -D-チ オ ガ ラ
ク ト ピ ラ ノ シ ド ( IPTG) と と も に イ ン キ ュ ベ ー ト す る 30分 前 に ヘ ム 前 駆 体 δ -ア ミ ノ レ ブ
リ ン 酸 ( 80 mg/l) を 添 加 し て 、 温 度 を 25℃ に 下 げ た 。 25℃ に て 48∼ 72時 間 撹 拌 し な が ら
細菌培養を続行した。
【0186】
タンパク質の精製
細 胞 を 10000 gに て 10分 間 遠 心 し て ペ レ ッ ト 化 さ せ 、 500 mM KPi, pH 7.4、 20% グ リ セ
ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 0.1% (v/v) プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル (
Calbiochem)、 10 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 40U/ml DNア ー ゼ 1 お よ び 5 mM MgSO4 を 含 有 す る バ
50
(32)
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ッファー中に再懸濁した。
【0187】
Constant Systems社 の 細 胞 破 砕 装 置 に 10000 psiで 2回 通 す こ と に よ っ て 細 胞 を 溶 解 し た
。 そ の 後 、 22000 gで 4℃ に て 30分 間 遠 心 す る こ と に よ っ て 細 胞 片 を 除 去 し た 。
【0188】
界 面 活 性 剤 IGEPAL CA630 (Sigma) を 、 10% ス ト ッ ク 溶 液 か ら 、 最 終 濃 度 0.3% (v/v)と
な る よ う に 細 胞 溶 解 液 に 1滴 ず つ 添 加 し 、 そ の 溶 解 液 を 、 あ ら か じ め 洗 浄 し た NiNTA 樹 脂
(Qiagen) と と も に 一 晩 4℃ に て 撹 拌 し な が ら イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 タ ン パ ク 質 の 結 合 し た
NiNTA 樹 脂 を 4℃ に て 2000 g で 2分 間 遠 心 す る こ と に よ っ て ペ レ ッ ト 化 し た 。 樹 脂 の 20倍
容 の 500 mM KPi、 pH7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 10 mM イ ミ
10
ダ ゾ ー ル 、 プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル の 1:1000 希 釈 物 、 0.3% (v/v) IGEPAL CA6
30で 樹 脂 を 洗 浄 し 、 樹 脂 を 4℃ に て 2000 xg で 2分 間 遠 心 す る こ と に よ っ て ペ レ ッ ト 化 し た
。 次 に そ の 樹 脂 を 10倍 容 の 500 mM KPi, pH7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ
タ ノ ー ル 、 20 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 0.1% (v/v) プ ロ テ ア ー ゼ イ ン ヒ ビ タ ー 、 0.3% IGEPAL
CA630 で 洗 浄 し 、 上 記 の よ う に 遠 心 す る こ と に よ っ て 樹 脂 を 回 収 し た 。
【0189】
こ の 樹 脂 を 4℃ に て カ ラ ム に 充 填 し 、 シ ト ク ロ ム P450を 500 mM KPi, pH7.4、 20% グ リ
セ ロ ー ル 、 10 mM メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 、 300 mM イ ミ ダ ゾ ー ル 、 0.1% (v/v) プ ロ テ ア ー
ゼ イ ン ヒ ビ タ ー カ ク テ ル 、 0.3% (v/v) IGEPAL CA630で 溶 出 し た 。
【0190】
20
NiNTAカ ラ ム か ら 得 ら れ た シ ト ク ロ ム P450 を 速 や か に 、 HiPrep 26/10 脱 塩 カ ラ ム (Phar
macia)を 用 い て 、 流 速 5ml/分 で 、 10 mM KPi, pH 7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル 、 2.0 mM DTT、
1mM EDTA 中 に 脱 塩 し た 。
【0191】
脱 塩 さ れ た シ ト ク ロ ム P450を そ の ま ま 、 あ ら か じ め 10 mM KPi, pH 7.4、 20% グ リ セ ロ
ー ル 、 2.0 mM DTT、 1 mM EDTA で 平 衡 化 し た CM Sepharose カ ラ ム (Pharmacia)に か け た 。
次 の 段 階 溶 出 を 適 用 し た : カ ラ ム 容 積 の 20倍 容 の 10mM KPi, pH 7.4、 20% グ リ セ ロ ー ル
、 2.0mM DTT、 1mM EDTAで 洗 浄 し 、 界 面 活 性 剤 を 完 全 に 除 去 す る た め に 75 mM KClを 含 む 上
記 バ ッ フ ァ ー で 洗 浄 し 、 そ の 後 、 KCl濃 度 を 500 mMに 高 め た 上 記 バ ッ フ ァ ー で 溶 出 し た 。
【0192】
30
タ ン パ ク 質 は 、 結 晶 化 ア ッ セ イ の た め に 微 量 濃 縮 装 置 を 用 い て 40 mg/mlま で 濃 縮 し た 。
【0193】
タンパク質の特性決定
最終調製物の品質を下記によって評価した:
(a) SDSポ リ ア ク リ ル ア ミ ド ゲ ル 電 気 泳 動
市 販 の ゲ ル ( Nugen) を メ ー カ ー の 使 用 説 明 書 に し た が っ て 使 用 し て SDSポ リ ア ク リ ル ア
ミ ド ゲ ル 電 気 泳 動 を 行 っ た 後 、 CBB染 色 を 行 っ た 。 ゲ ル の デ ジ タ ル 画 像 を ス キ ャ ン す る こ
と に よ っ て 評 価 さ れ る 純 度 は 、 少 な く と も 95% で あ る と 推 定 さ れ た 。
【0194】
(b) 質 量 分 析 法
40
Bruker “ BioTOF” エ レ ク ト ロ ス プ レ ー 飛 行 時 間 型 装 置 を 使 用 し て 質 量 分 析 を 行 っ た 。
サ ン プ ル を 保 存 バ ッ フ ァ ー か ら 直 接 メ タ ノ ー ル / 水 / ギ 酸 ( 50:48:2 v/v/v) に 1000倍 希
釈 す る か 、 あ る い は C4カ ラ ム を 用 い た 逆 相 HPLC分 離 に 供 し た 。 2+お よ び 1+荷 電 状 態 を 用 い
て 、 ボ ン ベ シ ン お よ び ア ン ジ オ テ ン シ ン Iに よ っ て 較 正 を 実 施 し た 。 デ ー タ は 200∼ 2000m/
zの 範 囲 か ら 得 ら れ 、 引 き 続 い て Bruker社 の X-massプ ロ グ ラ ム に よ っ て 処 理 さ れ た 。 質 量
の 精 度 は 一 般 的 に 10000分 の 1未 満 で あ っ た 。
3A4の 質 量 ス ペ ク ト ル : 55281 Da (測 定 値 )
55278 Da (N末 端 メ チ オ ニ ン を 除 い た 予 測 値 )
【0195】
3A4の 結 晶 化
50
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3A4の 結 晶 は ハ ン ギ ン グ ド ロ ッ プ 蒸 気 拡 散 法 に よ っ て 成 長 さ せ た 。 10mM Kpi pH 7.4、 0.
5 M KCl、 2mM DTT、 1mM EDTA、 20% グ リ セ ロ ー ル 中 40mg/mlの タ ン パ ク 質 を 、 0.5μ lの 液
滴 を 用 い て 1:1の 割 合 で リ ザ ー バ ー 溶 液 と 混 合 し た 。 3A4の 結 晶 は 0.1 M HEPES pH 7.5、 0
.2 M 塩 化 ナ ト リ ウ ム 、 30% PEG 400を 含 有 す る リ ザ ー バ ー 溶 液 上 で 成 長 し た 。
【0196】
他に選択できる条件を下記に挙げる:
0.1 M HEPES pH 7.5、 0.2 M 塩 化 ナ ト リ ウ ム 、 30% PEG 400
0.05 M HEPES pH 7.5、 0.2 M塩 化 ナ ト リ ウ ム 、 35% PEG 400
0.05 M HEPES pH 7.5、 0.2 M塩 化 ナ ト リ ウ ム 、 30% PEG 400
0.15 M イ ミ ダ ゾ ー ル -HCl pH 8、 10% 2-プ ロ パ ノ ー ル
10
0.1 M 2-(N-シ ク ロ ヘ キ シ ル ア ミ ノ )エ タ ン ス ル ホ ン 酸 (CHES) pH 9.5、 30% PEG 400
0.15 M Hepes-Na pH 7.5、 5% IPA, 10% PEG 4000
0.1 M リ ン 酸 塩 -ク エ ン 酸 塩 pH 4.2、 1.6 M NaH2 PO4 / 0.4M K2 HPO4
0.1 M ク エ ン 酸 塩 pH 5.5、 0.2M塩 化 ナ ト リ ウ ム 、 1.0 M リ ン 酸 ア ン モ ニ ウ ム
0.2 M 塩 化 リ チ ウ ム 、 20% PEG 3350
0.2 M 塩 化 カ リ ウ ム 、 20% PEG 3350
0.2 M ギ 酸 ナ ト リ ウ ム 、 20% PEG 3350
0.2 M ギ 酸 カ リ ウ ム 、 20% PEG 3350
0.2 M ギ 酸 ア ン モ ニ ウ ム 、 20% PEG 3350
0.2 M 酢 酸 リ チ ウ ム 、 20% PEG 3350
20
0.2 M 塩 化 カ リ ウ ム 、 20% PEG 3350
0.2 M ギ 酸 ナ ト リ ウ ム 、 20% PEG 3350
0.2 M 酢 酸 リ チ ウ ム 、 20% PEG 3350
0.2 M 酢 酸 ナ ト リ ウ ム 、 20% PEG 3350
0.2 M 酢 酸 カ リ ウ ム 、 20% PEG 3350
0.2 M 酢 酸 ア ン モ ニ ウ ム 、 20% PEG 3350
0 .1 M HEPES pH 7.5、 0.2 M塩 化 ナ ト リ ウ ム 、 30% PEG 400
0.1 M HEPES pH 7.5、 5% イ ソ プ ロ パ ノ ー ル 、 10% PEG 4000
200 mM 酢 酸 カ リ ウ ム 、 25% PEG 3350
200 mM 酢 酸 カ リ ウ ム 、 25% PEG 3350
30
300 mM 酢 酸 ナ ト リ ウ ム 、 25% PEG 3350
200 mM ギ 酸 ナ ト リ ウ ム 、 25% PEG 3350
0.300 M 酢 酸 リ チ ウ ム 、 25.0% PEG 3350
0.100 M イ ミ ダ ゾ ー ル -HCl pH 8、 10% 2-プ ロ パ ノ ー ル
0.150 M イ ミ ダ ゾ ー ル -HCl pH 8、 10% 2-プ ロ パ ノ ー ル
結 晶 は 25℃ に て 1∼ 7 日 以 内 に 形 成 さ れ 、 そ の 形 態 は 棒 状 で あ っ た 。
【0197】
結 晶 の 格 子 の 大 き さ は 、 お よ そ a=77Å 、 b=99Å 、 c=129Å 、 β =90° で あ っ た 。 空 間 群 は
I222で あ る 。 こ の よ う に 、 本 発 明 は 、 上 記 の 空 間 群 お よ び 単 位 格 子 サ イ ズ ( a、 bお よ び c
の 大 き さ は 他 と 無 関 係 に +/-5% だ け 変 動 す る ) を 有 す る 3A4の 結 晶 を 与 え る 。
40
【0198】
80% リ ザ ー バ ー 溶 液 、 20% エ チ レ ン グ リ コ ー ル を 凍 結 防 止 剤 と し て 使 用 し て 結 晶 を 液 体
窒素中で瞬間凍結した。
【0199】
3A4の 結 晶 は ま た 、 0.15M HEPES pH7.5、 5% IPA、 10% PEG 4000を 含 有 す る リ ザ ー バ ー
溶液上でも成長した。
【0200】
単 位 格 子 C2、 す な わ ち a=152Å 、 b=101Å 、 c=78Å 、 α =90° 、 β =120° 、 γ =90° を 有 す
る 結 晶 が 得 ら れ た 。 こ の よ う に 、 本 発 明 は 上 記 の 空 間 群 お よ び 単 位 格 子 サ イ ズ ( a、 bお よ
び cの 大 き さ は 他 と 無 関 係 に +/-5% だ け 変 動 す る ) を 有 す る 3A4の 結 晶 を 与 え る 。
50
(34)
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【図面の簡単な説明】
【0201】
【 図 1 】 2C9お よ び 2C19の N末 端 配 列 を 、 膜 挿 入 N末 端 領 域 を 除 去 す る 「 ト ラ ン ケ ー シ ョ ン
」とともに示す。本明細書で与えられる残基の番号は野生型配列を参照して付けられる。
【配列表】
10
20
30
40
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10
20
30
40
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10
20
30
40
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10
20
30
40
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10
20
30
40
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【図1】
10
(40)
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【手続補正書】
【 提 出 日 】 平 成 16年 6月 7日 (2004.6.7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シ ト ク ロ ム P450を 精 製 す る 方 法 で あ っ て 、 以 下 の ス テ ッ プ :
(a) 宿 主 細 胞 培 養 物 に お い て シ ト ク ロ ム P450分 子 を 発 現 さ せ る こ と ;
(b) 前 記 培 養 物 か ら 前 記 細 胞 を 回 収 し 、 12∼ 110 mS/cmの 電 気 伝 導 度 を 有 す る 塩 バ ッ フ ァ
ーに前記細胞を懸濁すること;
(c) 前 記 細 胞 を 溶 解 し 、 細 胞 片 を 除 去 し て 高 塩 濃 度 溶 解 液 を 得 る こ と ;
(d) 前 記 溶 解 液 に 界 面 活 性 剤 を 添 加 し て 高 塩 濃 度 -界 面 活 性 剤 溶 解 液 を 得 る こ と ; お よ び
(e) 前 記 溶 解 液 か ら 前 記 P450を 回 収 す る こ と ;
を 含 ん で な る が 、 た だ し 、 前 記 塩 バ ッ フ ァ ー が 200∼ 1000mMの 濃 度 を 有 す る 場 合 、 P450は 2
20位 が プ ロ リ ン で 置 換 さ れ た ヒ ト 2C9 P450で は な い 、 前 記 方 法 。
【請求項2】
前 記 塩 バ ッ フ ァ ー が 200∼ 1000mMの 塩 濃 度 を 有 す る 、 請 求 項 1 に 記 載 の 方 法 。
【請求項3】
界 面 活 性 剤 が 0.015∼ 1.2% v/vの 濃 度 で 添 加 さ れ る 、 請 求 項 1ま た は 2 に 記 載 の 方 法 。
【請求項4】
ス テ ッ プ (e)が 、
(e(i)) 前 記 P450を ア フ ィ ニ テ ィ 担 体 に 結 合 さ せ る こ と ;
(e(ii)) 前 記 担 体 を 高 塩 濃 度 -界 面 活 性 剤 洗 浄 液 中 で 洗 浄 す る こ と ;
(e(iii)) 高 塩 濃 度 -界 面 活 性 剤 バ ッ フ ァ ー 中 に 前 記 P450を 取 り 出 し 、 P450-高 塩 濃 度 -界 面
活性剤調製物を得ること;および
(f) 前 記 調 製 物 を 迅 速 に 脱 塩 し て P450-低 塩 濃 度 調 製 物 を 取 得 す る こ と ;
によって実施される、請求項1∼3のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
ス テ ッ プ (f)が 、 サ イ ズ 排 除 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ り 前 記 調 製 物 か ら 塩 を 除 去 す る こ
とによって行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
P450が ポ リ ヒ ス チ ジ ン タ グ を 保 有 す る 、 請 求 項 1 ∼ 5 の い ず れ か 1 つ に 記 載 の 方 法 。
【請求項7】
P450が CYP1、 2、 3ま た は 4フ ァ ミ リ ー の メ ン バ ー で あ る 、 請 求 項 1 ∼ 6 の い ず れ か 1 つ
に記載の方法。
【請求項8】
P450が CYP2フ ァ ミ リ ー の メ ン バ ー で あ る 、 請 求 項 7に 記 載 の 方 法 。
【請求項9】
P450が 2C9ま た は 2C19で あ る 、 請 求 項 8 に 記 載 の 方 法 。
【請求項10】
P450が そ の N末 端 の 膜 挿 入 要 素 に 欠 失 を 含 ん で な る 、 請 求 項 1 ∼ 9 の い ず れ か 1 つ に 記
載の方法。
【請求項11】
前 記 P450の N末 端 配 列 が 、 N末 端 膜 挿 入 要 素 の 代 わ り に 、 配 列 MAKKTSSKGRま た は MAYGTHSH
GLFKKを 含 ん で な る 、 請 求 項 1 0 に 記 載 の 方 法 。
【請求項12】
前 記 P450が 配 列 番 号 2、 4、 6ま た は 8を 有 す る 、 請 求 項 1 1 に 記 載 の 方 法 。
(41)
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【請求項13】
P450の 結 晶 化 を さ ら に 含 ん で な る 、 請 求 項 1 ∼ 1 2 の い ず れ か 1 つ に 記 載 の 方 法 。
【請求項14】
2C9、 2C19、 2D6お よ び 3A4の 群 か ら 選 択 さ れ る ヒ ト シ ト ク ロ ム P450の 結 晶 。
【請求項15】
前 記 P450が 2C19で あ っ て 、 前 記 結 晶 が 格 子 サ イ ズ a=158Å 、 b=158Å 、 c=212Å ( a、 bお
よ び cに つ い て +/-5% ) 、 α =90° 、 β =90° 、 γ =120° 、 お よ び 空 間 群 P321を 有 す る 、 請
求項14に記載の結晶。
【請求項16】
前 記 P450が 2D6で あ る 、 請 求 項 1 4 に 記 載 の 結 晶 。
【請求項17】
前 記 P450が 、 空 間 群 I222お よ び 単 位 格 子 サ イ ズ a=77Å 、 b=99Å 、 c=129Å ( a、 bお よ び c
に つ い て +/-5% ) 、 β =90° を 有 す る ; ま た は 空 間 群 C2お よ び 単 位 格 子 サ イ ズ a=152Å 、 b=
101Å 、 c=78Å ( a、 bお よ び cに つ い て +/-5% ) 、 α =90° 、 β =120° 、 γ =90° を 有 す る 3A
4で あ る 、 請 求 項 1 4 に 記 載 の 結 晶 。
【請求項18】
請 求 項 1 3 に 記 載 の 方 法 に し た が っ て 結 晶 を 調 製 す る こ と 、 そ の 結 晶 を x線 回 折 に 供 す
る こ と 、 お よ び 得 ら れ た 回 折 パ タ ー ン を 解 析 し て 前 記 P450の 原 子 の 3次 元 座 標 を 決 定 す る
こ と を 含 ん で な る 、 シ ト ク ロ ム P450の 結 晶 構 造 を 決 定 す る 方 法 。
【請求項19】
配 列 番 号 5 の 2D6の コ ー ド 配 列 を 有 す る シ ト ク ロ ム P450 2D6を 発 現 さ せ る た め の 核 酸 。
【請求項20】
請求項19に記載の核酸を含んでなる細菌発現ベクター。
(42)
【国際調査報告】
JP 2005-528109 A 2005.9.22
(43)
JP 2005-528109 A 2005.9.22
(44)
JP 2005-528109 A 2005.9.22
(45)
JP 2005-528109 A 2005.9.22
(46)
JP 2005-528109 A 2005.9.22
フロントページの続き
7
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
C12N
1/19
C12N
1/15
C12N
1/21
C12N
1/19
C12N
5/10
C12N
1/21
(72)発明者 コスメ,ジョゼ
イギリス国 シービー4 0キューエイ ケンブリッジ,ミルトン ロード,ケンブリッジ サイ
エンス パーク 436,アステックス テクノロジー リミテッド
(72)発明者 ウォード,アリソン
イギリス国 シービー4 0キューエイ ケンブリッジ,ミルトン ロード,ケンブリッジ サイ
エンス パーク 436,アステックス テクノロジー リミテッド
(72)発明者 ブイヤード,ローラン
イギリス国 シービー4 0キューエイ ケンブリッジ,ミルトン ロード,ケンブリッジ サイ
エンス パーク 436,アステックス テクノロジー リミテッド
(72)発明者 ウィリアムズ,パメラ
イギリス国 シービー4 0キューエイ ケンブリッジ,ミルトン ロード,ケンブリッジ サイ
エンス パーク 436,アステックス テクノロジー リミテッド
(72)発明者 ハミルトン,ブルース
イギリス国 シービー4 0キューエイ ケンブリッジ,ミルトン ロード,ケンブリッジ サイ
エンス パーク 436,アステックス テクノロジー リミテッド
Fターム(参考) 2G001 AA01 BA18 CA01 GA01 KA08 KA12 LA01 MA04 NA19 RA02
4B024 AA01 AA11 BA08 CA04 DA06 EA04 GA11 HA03
4B050 CC04 DD11 FF01C FF02C FF03C FF12C FF14C FF17C LL01 LL03
4B065 AA26X AA93X AA93Y AB01 AC14 CA28 CA46
4H045 AA10 AA20 AA30 BA10 CA40 DA89 EA50 FA74 GA15 GA22
GA26