Download 牛乳測定キット (β-ラクトグロブリン)

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2005 年 11 月 改訂
2005 年 10 月 改訂
研究用試薬
モリナガ FASPEK
牛乳 測定キット
(β-ラクトグロブリン)
取扱説明書
【お願い】
製品をご使用になる前に、
必ずお読みください。
横浜市金沢区幸浦 2‐1‐16 〒236‐0003
「特許出願中」
【キットの構成】
品 名
A
抗体固相化モジュール
B
牛乳標準品(50 ng/mL)※ 1
容 量
数 量
8 ウェル× 6 本
2 パック
1 mL
2本
C
酵素標識抗β-ラクトグロブリン抗体溶液
13 mL
1本
D
酵素基質溶液(TMB 溶液)
13 mL
1本
E
反応停止液(1N 硫酸)
13 mL
1本
F
検体希釈液(20 倍濃縮液)※ 2
50 mL
2本
G
洗浄液(20 倍濃縮液)
50 mL
1本
H
抽出用 A 液(20 倍濃縮液)※ 2
55 mL
1本
I
抽出用 B 液(20 倍濃縮液)※ 2
55 mL
1本
モジュール用フレーム
1個
モジュール用フタ
1枚
※ 1 . 標準品は
(株)
ニッポン・ジーンで製造されています。
※ 2 . F 検体希釈液、H 抽出用 A 液、I 抽出用 B 液は
「特定原材料抽出
用試薬」セットとして(株)森永生科学研究所より別途入手可能
です。
−2−
【キットの特徴】
1 . マイクロプレートを使用した EIA サンドイッチ法を用いてい
るため特別な施設・設備等を必要とせず、通常の実験室で測
定可能です。
2 . このキットは検体中のβ-ラクトグロブリンを指標に牛乳総タ
ンパク質濃度を測定するキットです。
3 . 測定溶液中の牛乳総タンパク質として 0.78 ng/mL から測定可
能です。
4 . 抽出液に界面活性剤と還元剤を加えることで、従来のキット
に比べタンパク質を高回収率で測定することができます。尚
この測定法は、Watanabe(1)らの方法をもとに開発されました。
0 注意 加工品の場合には目的タンパク質の抽出効率の低下や、目
的タンパク質の変性などの理由により検出感度が低下する
ことがあります。
【交差反応】
山羊乳、羊乳タンパク質と交差反応を示します。
−3−
【測定する際の注意事項】
1 . キットの試薬にはアレルゲン性を有する牛乳タンパク質やウ
シ血清アルブミンを使用しています。これらのタンパク質に
アレルギーのある方は本キットを使用する際には試薬の取扱
いに十分に注意し、慎重に測定操作を行って下さい。
2 . 試薬は全て室温(20 ∼ 25 ℃)に戻してから使用して下さい。
3 . 測定は二重以上の測定で行って下さい。
4 . 反応時間を厳守して測定して下さい。
5 . 標準溶液および検体を分注する際、ピペッティング容量にば
らつきが生じないよう注意して下さい。ピペットマン等のピ
ペッティング器具は、定期的に検定して下さい。
6 . 実験に用いる器具類は汚染が無いよう、使用前に十分洗浄し
て下さい。吸光度のバラツキや、バックグラウンドの上昇の
原因になります。検体希釈液の調製には、使い捨てのプラス
チックピペットや使い捨てチューブなどを使用すると、汚染
の影響を低減することができます。またウェルへの分注の際
に用いるピペットチップは、フィルター付きのものをお勧め
します。
7 . 本キットによる測定は非常に高感度なため、埃などが除去さ
れた清潔な環境で行って下さい。汚染を防ぐため、マイクロ
プレート操作後は必ず付属のモジュール用フタをして下さい。
口や手からの混入を防ぐため、実験中はマスクや使い捨ての
プラスチック手袋等を着用することをお勧めします。
8 . 各反応終了後の洗浄操作は非常に重要です。洗浄が不十分だ
と、バックグラウンドが高くなる可能性があります。ウェル
内に液が残存していないことを十分確認しながら洗浄操作を
行って下さい。その為、アスピレーションによって液を除い
たり、ペーパータオルなどを使用してマイクロプレートをよ
く叩いて内容液を除いて下さい。洗浄後は速やかに次の試薬
−4−
を分注して下さい。
9 . 酵素反応は遮光下で行って下さい。
10. プレートの底はなるべく触れないようにして下さい。もし指
紋等で底面が曇った場合は、十分に拭き取ってから吸光度を
測って下さい。汚れで吸光度が正しく測定できない場合があ
ります。
11 . 本キットは高濃度の界面活性剤や還元剤を含んでおりますの
で、実験中はマスクや使い捨てのプラスチック手袋等を着用
することをお勧めします。
12. 本キットは高濃度の還元剤を含むため、ご使用の際特有の臭
気を感じることがあります。そのため、検体の調製・抽出の
際にはドラフトの使用をお勧めします。さらに、測定時にモ
ジュール用フタをかぶせたプレートをラップで覆うことによ
り臭気が軽減されます。
−5−
【測定原理】
一次反応:試料中のβ-ラクトグロブリンが、プレート上の固
相化抗β-ラクトグロブリンポリクローナル抗体に
結合し、[固相化抗β-ラクトグロブリン抗体/βラクトグロブリン]の複合体を形成する。
二次反応:酵素標識抗β-ラクトグロブリンポリクローナル抗
体が複合体上のβ-ラクトグロブリンに結合する。
酵素反応:酵素基質溶液を加えると、プレート上の複合体に
結合した酵素により呈色する。
得られた吸光度に対応する牛乳タンパク質濃度を
標準曲線から算出する。
〈測定原理〉
抗体固相化
プレート
一次反応
二次反応
酵素反応
抗β-ラクトグロブリン抗体
β-ラクトグロブリン
酵素標識
抗β-ラクトグロブリン抗体
酵素基質
反応産物
−6−
【その他必要な器具・装置】
1 . マイクロピペット
100 μL ∼ 1000 μL の範囲が必要です。
2 . メスシリンダー
3 . ポリプロピレン製チューブ
標準溶液の調製及び検体の希釈に使用します。
4 . プレートリーダー
単波長の場合: 450 nm
2 波長の場合:主波長 450 nm、副波長 600 ∼ 650 nm が測定で
きるもの。
5 . 振とう機
−7−
【試薬の調製法】
1 . 固相化モジュール
A 抗体固相化モジュールをアルミパウチから出さず室温に戻
し、その後開封して下さい。
開封後は直ちに使用して下さい。
2 . C, D, E の試薬はそのまま使用します。使用前に室温に戻して
下さい。
C 酵素標識抗β-ラクトグロブリン抗体溶液
D 酵素基質溶液
E 反応停止液
3 . 標準溶液の調製
標準溶液(50, 25, 12.5, 6.25, 3.12, 1.56, 0.78, 0 ng/mL)を調
製します。
B 牛乳標準品(50 ng/mL)を下記に示すように検体希釈液蠡
(「 6 . 検体希釈液蠡の調製」参照)を用いて、25 ng/mL から
0.78 ng/mL の希釈系列を調製します。
ブランク
(0 ng/mL)は検体希釈液蠡を用います。
標準溶液
(ng/mL)
50
牛乳標準品
原液
(50 ng/mL)
検体希釈液蠡
25
12.5
6.25
3.12
1.56
0.78
ブランク
500
500
500
500
500
500
─
500
500
500
500
500
500
(μL)
─
500
(μL)
※ 標準溶液の希釈は用時調製して下さい。また、測定毎に標準曲線
を作成して下さい。
4 . 検体抽出液の調製
F 検体希釈液、H 抽出用 A 液、I 抽出用 B 液、精製水を 1 :
1 : 1 : 17 の比率で混合します。必要量を調製して下さい。
※ H 抽出用A液に沈殿が生じている場合は加温溶解してか
−8−
らご使用下さい。溶解後は室温で保存可能です。
※ ここで調製した検体抽出液はモリナガ FASPEK 特定原材
料測定キットの検体抽出液であり、それ以前に開発され
た特定原材料測定キットでは使用できません。
(例: 24 検体測定する場合)
F 検体希釈液
(20 倍濃縮液)…… 25 mL
H 抽出用A液
(20 倍濃縮液)…… 25 mL
I 抽出用 B 液
(20 倍濃縮液)…… 25 mL
精製水 …………………………… 425 mL
500 mL
5 . 検体希釈液蠢の調製
F 検体希釈液を精製水で 20 倍に希釈します。必要量を調製し
て下さい。
※ 検体希釈液蠡の調製及び上清又はろ過液の希釈に用います。
(例: 24 検体測定する場合)
F 検体希釈液
(20 倍濃縮液)…… 25 mL
精製水 …………………………… 475 mL
500 mL
6 . 検体希釈液蠡の調製
上記 4 . で調製した検体抽出液を検体希釈液蠢で 20 倍に希釈
します。必要量を調製して下さい。
※ 標準溶液の調製及び測定溶液の再希釈に用います。
(例: 24 検体測定する場合)
検体抽出液 ……………………… 25 mL
検体希釈液蠢 …………………… 475 mL
500 mL
7 . 洗浄液の調製
G 洗浄液を精製水で 20 倍に希釈します。
必要量を調製して下さい。
※ 洗浄操作には調製済み洗浄液を使用します。
−9−
【検体の調製法・抽出法】
1 . 検体をミキサー等で粉砕し、均質化操作を行います。
2 . 均質化された検体 1 g をプラスチック製 50 mL 容遠心管等に取
り、検体抽出液 19 mL(【試薬の調製法】4. 検体抽出液の調製
参照)を加えよく振り混ぜて混合します。この際に、あまり
泡立たせないよう注意しながら、ボルテックス等を用いて検
体を分散させます。
3 . 遠心管を横にして振とう機で一晩(12 時間以上)振とうしな
がら抽出します(90 ∼ 110 往復ストローク/分、室温、振とう
幅 3cm 程度)。振とうにより、液が遠沈管の両端に打ち付ける
ように調整します。時々遠沈管の上下を入れ替える等をして、
液面に沿って付着する検体を分散させます。
4 . 抽出液の pH を確認し、必要であれば中性付近(pH 6.0 ∼ 8.0)
になるよう調整します。
(pH 試験紙で結構です。
)
※このとき調整に使用したアルカリ(あるいは酸)溶液の容
量を加味し、最終的な特定原材料由来のタンパク質含有量
を算出して下さい。
5 . 3,000 × g で 20 分間(室温)遠心分離し、上清を分取します。
沈査が得られない場合は上清をろ紙でろ過し、
ろ過液とします。
6 . 上清又はろ過液を検体希釈液蠢(
【試薬の調製法】5 . 検体希釈
液蠢の調製 参照)を用い 20 倍に希釈し、測定溶液とします。
(例;検体希釈液蠢 950 μL に対し、上清又はろ過液 50 μL を
添加します。
)
7 . 更に希釈する場合は、検体希釈液蠡(
【試薬の調製法】6 . 検体
希釈液蠡の調製 参照)を用い希釈し、測定溶液とします。
− 10 −
【測定法】
(一次反応)
1.
A 抗体固相化モジュールをアルミパウチを開封せずに室温に
戻し付属のモジュール用フレームに必要量をセットします。
2 . 各ウェルに標準溶液
(0, 0.78 ∼ 50 ng/mL)
、
測定溶液を 100 μL
ずつ添加します。
3 . 付属のモジュール用フタをして室温で正確に 1 時間静置して
反応させます。
(二次反応)
1 . ウェル内の溶液を完全に除去し、
各ウェルあたり 250 ∼ 300 μL
ずつの洗浄液で 6 回洗浄します。
2 . C 酵素標識抗β-ラクトグロブリン抗体溶液を各ウェルに
100 μL ずつ分注します。
3 . フタをして室温で正確に 30 分間静置して反応させます。
(酵素反応)
1 . ウェル内の溶液を完全に除去し、
各ウェルあたり 250 ∼ 300 μL
ずつの洗浄液で 6 回洗浄します。
2 . D 酵素基質溶液を各ウェルに 100 μL ずつ分注します。
3 . フタをして室温遮光下で正確に 10 分間静置して反応させます。
4 . E 反応停止液を各ウェルに 100 μL ずつ分注し酵素反応を停
止させます。
5 . プレートリーダーを用い主波長 450 nm、副波長 600 ∼ 650 nm
の条件で各ウェルの吸光度を測定します。
※ 酵素反応停止後は 30 分以内に吸光度を測定して下さい。
6 . 標準溶液の吸光度より標準曲線を作成し、検体中の牛乳総タ
ンパク質濃度を求めます。
※ 牛乳総タンパク質濃度の算出法は、下記の【牛乳タンパク
質濃度の算出法】を参照して下さい。
− 11 −
〈測定のフローチャート〉
検体
(試薬、
の調製 )
□ 洗浄液、検体抽出液、検体希釈液蠢及び検体希釈液蠡を
調製
標準溶液(0, 0.78 ∼ 50 ng/mL)
、測定溶液の準備
蛬
(一次反応) □ 標準溶液、測定溶液(100μL /ウェル)
*測定は二重以上
蛬
□ 反応(室温, 1 時間)
蛬
□ 洗浄(250 ∼ 300μL /ウェル, 6 回)
蛬
(二次反応) □ 酵素標識抗β-ラクトグロブリン抗体溶液
(100μL /ウェル)
蛬
□ 反応(室温, 30 分)
蛬
□ 洗浄(250 ∼ 300μL /ウェル, 6 回)
蛬
(酵素反応) □ 酵素基質溶液(100μL /ウェル)
蛬
□ 反応(室温, 10 分) * 遮光下で反応
蛬
(反応停止) □ 反応停止液(100μL /ウェル)
蛬
(測 定) □ 吸光度測定 * 反応停止後 30 分以内に測定
(主波長:450 nm, 副波長:600 ∼ 650 nm)
− 12 −
【牛乳タンパク質濃度の算出法】
1 . 測定した各ウェルの吸光度の平均値を算出します。
2 . 片対数方眼紙を用い、標準溶液の濃度を横軸に、吸光度を縦
軸にプロットし、標準曲線を作成します。また、グラフ描画
ソフトウェアを用いて標準曲線を作成する場合は、4 - パラメ
ーターを使用することをお勧めします。
3 . 標準曲線より各測定溶液の濃度を読み取ります。
4 . 測定溶液の吸光度が標準曲線の吸光度より高い場合は、さら
に希釈して(【検体の調製法・抽出法】7 . 参照)、再度測定し
て下さい。
牛乳(β-ラクトグロブリン)標準曲線の例
1.2
吸光度 450 nm/630 nm
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0
1
10
100
牛乳標準品(ng/mL)
※ 測定溶液の濃度(ng/mL)と、検体中の牛乳総タンパク質濃度
(μ g/g)の関係は次の式で求められます。
測定溶液の濃度[ng/mL]×(抽出時の希釈倍率)×(測定時の希釈倍率)
μg/g = ──────────────────────────────────
1,000
− 13 −
【使用上又は取扱い上の注意】
1 . 本キット内の試薬は、研究目的以外に使用しないで下さい。
2 . 有効期限の過ぎたキットは使用しないで下さい。
3 . ロットの異なる試薬や本キット以外の試薬を組み合わせて使
用しないで下さい。
4 . 測定の際は必ず標準溶液を同時に測定し、測定の都度標準曲
線を作成して下さい。
5 . キットに組み込まれている試薬類は凍結させないで下さい。
6 . 保存中や反応中は強い光にさらさないで下さい。
7 . 反応停止液(1N 硫酸)が誤って目や口に入った場合には、水
で十分に洗い流す等の応急処置を行い、必要があれば医師の
手当て等を受けて下さい。
【キットの保存条件及び有効期間】
1 . 2 ∼ 8 ℃で光の当たらない場所に保管して下さい。
2 . 有効期間
(未開封)
はキット外箱のラベルに記載してあります。
3 . 一度開封した試薬は、必ず一週間以内に使用して下さい。
【保 証】
1 . 本キットを使用して得られた結果の評価及び利用は、お客様
の責任と判断において行って下さい。
2 . 測定結果を利用し、その結果生じた損害及び損失については、
当社は一切責任を負いません。
3 . 本キット以外の試薬または原材料を使用されて得られた結果
については、当社は一切保証いたしません。
4 . 万一、試薬に品質上の瑕疵があると当社が判断した場合は、
新しい製品とお取り替えいたします。
− 14 −
【参考文献】
(1)Watanabe, Y., Aburatani, K., Mizumura, T., Sakai, M., Muraoka
S., Mamegosi, S., Honjoh, T. Novel ELISA for the detection of
raw and processed egg using extraction buffer containing a
surfactant and a reducing agent. J Immunol. Methods 2005 ; 300
: 115 - 123.
− 15 −