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ム 守B phu obqL v u ワe ・ 1 司、 l UMM ao 、 ー O qGJ' H品 P311 1 i 、l 創 d ロ μN む A, H JM 7 言語理論と英語教育( 1 2 ) 一一一ストラテジーとしてのノ fラフレーズ一一一 田中彰一 L i n g u i s t i cT h e o r yandE n g l i s hT e αc h i n g( 1 2 ) 一一 P a r a p h r a s i n gαsas t r a t e g y一一 S h o i c h iTANAKA A b s t r a c t :P a r a p h r a s i n gi sas k i l lw h i c hw巴 u s et of a c i l i t a t ea n dmov 巴c o m m u n i c a t i o n .Thei d e ao fp a r a p h r a s i n g a sas t r a t e g yh a sb e e na d v a n c e di nt h es e c o n dl a n g u a g ea c q u i s i t i o nr e s e a r c h .T h i si d e ac a np r o v i d ei n t e r m e d i a t e l e v e ls t u d e n t sw i t ha ne 伍c i e n twayo fd e v e l o p i n gt h e i rowni n t e r l a n g u a g ef o rE n g l i s h .I ta l s og i v e sthemamore f l e x i b l ea t t i t u d et ocommunicatei nE n l i s hs i n c et h e yc a nc o m p e n s a t et h e i rl a c ko fk n o w l e d g ea b o u tE n g l i s h whenn e s s e s訂 y .T h i ss t 姐 d sa g a i n s tt h ei d e at h a tl a n g u a g ea n dmeaninga l w a y sh a v eao n et oonec o r r e s p o n d e n c e, w h i c hs e e m i n g l yu n d e r l i e st h eE n g l i s he d u c a t i o no r i e n t e dt oe n t r a n c ee x a m s . s t r a t e g y , i n t e r l a n g u a g e, SLA Keywords:p a r a p h r a s e, 1.英語能力 第二言語習得 (SLA) 研究で仮定されているよ うに、外出語のための中間言語 ( i n t e r l a n g u a g e ) 書諾の基本スキルはー殻に田技能(リスニン という能力を学習者が発達させていくという立場 )ーデイング、スピーキング、ライテイング) グ 、 1 に立つと、図 lのように、学習者は基本的に入力 と言われているが、実際のコミュニケーションに i n p u tと出力 o u t p u tをおこなう学習活動を通して おいてそれらの技能が別慨に用いられていること 英語を運用するための知識を身につけていく。 はめったにないと考えてよい。なぜならば、四技 この考え方が正しいとすると、学習者は個別に 能を支える言語の仕組みは同ーのものであり、さ 技能学習するのではなく、学習の結果が英語運用 らに言語使用に際して、それらの四技能すべてに のための知識として蓄積されるように、英語の入 はたらく文法、発昔、語棄などの補助的な雷語能 力と出力における学饗活動に参加しなければなら 力が共通しであるからである。したがって田技能 ない。 は相互に関連しており、英語学習においても技能 は独立に発達するのではなく相関的に伸びていく L 2k n o w l e d g e と考えられる。 顕1 文化教脊学部教科教育講座 田中彰一 8 本稿は、入門期の学習が終わった段階後の中級 さをチェックするそニタリング、英語学習を レベルの学習者1が、英語のための中間言語を発 v a l u a t i o n ) に分けられてい チ ェ ッ ク す る 評 価 (e 達させるためのストラテジーとしてどんなことを る。これに対し、実際の英語学留自体とかかわる 想定するべきかを考察する。特に、ストラテジー 活動が認知ストラテジーである。 O'Malley e ta l . としてのパラフレーズが果たす役割は従来考えら ( 19 8 5 ) の研究によれば、初級と中級のレベルの れている以上に重要であることを指摘する。 英語学習者に関して、メタ認知ストラテジーより 認知ストラテジーの使用の方が多いという結果5 2 . 学習者のストラテジー になった。その例の数によるまとめは次である。 ( 2 ) ストラテジー初級 認知 トラテジー (CommunicationS t r a t e g y :CS) に大別 合計 ワムバ生 ( L e a r n i n gS佐 a t e g y :LS) とコミュニケーションス 1i メタ認知 つムヴ t Q U 1iQU U 八 一殻にストラテジーは学習ストラテジー 中級 8 0 1 4 9 2 2 9 される。 LSは学習者が英語を理解したり、記壊 この結果から言えることは、認知ストラテジーの したりする傑に用いる特定の方法や行動であると 使用例は、初級クラス中級クラスに共通して、メ 考えてよい。それに対して、 CSは、コミュニケ 1 きになっている タ認知ストラテジーのそれの約 2 ションに支障が生じた際にそれを修復する方法で ことである。実i 祭、対比は 6 9 . 9 %対30%になって a r o n e( 1 9 8 1:2 9 0 ) が指摘しているよう ある o T いる。 に 、 LSと CSの違いは学習者の意図に基づいて ( l B )の認知的ストラテジーを具 4 本的に見てみ いる。つまり、学習者が特定の方法を英語学習の よう。このタイプのストラテジーは実際に英語の ために用いていると判断されれば LSと定義さ 発音、語輩、文法の知識を記憶し習得するための れ、コミュニケーションのために用いていると判 工夫である。 1 7のストラテジーがあげられてい 断されれば CSとなる。 る 。 0'剖 a l l e ye tal .( 1 9 8 5:3 9 ) の調査によると、 2 これらの認知的ストラテジーは伺じ頻度で用いら 2 .1 .学留ストラテジー 2 .1 .1 .Q'Malleyeta l .( 1 9 8 5 ) の分析 外国語を学習する際には、個人差があるにして れるのではなく、差があり、次の ) 1耳序で後になる ほど多く f 吏用されるという結果となった。 ( 3 ) a . 動作反応(動作で関連づける) も、外国語を効果的に習得しようとする上での学 b. キーワード(語を手がかりで記憶する) 習者に共通したなんらかの計画や工夫があると考 C. えられており、それらが学習ストラテジー ( L S ) d . 再配列(組み合わせをし査す) と呼ばれている o 3LSには Oxford ( 1 9 9 0 ) の詳細 e . グルーピング(諾) l l j i変更、再分析) ta l .( 1 9 8 5 ) な分析があるが、ここでは O'Malleye f.音表示(音の保持) の分類と調査を紹介したい。それによると、 LS g . 同化(既存の知識との関係づけ) は大きく 2つに分類される。 h. コンテクスト化(コンテクストの意識) ( 1 ) A. メタ言忠実日 ( m e t a c o g n i t i v e ) ストラテジー 1. B. 認知 ( c o g n i t i v e ) ストラテジー 演鐸法(規則を当てはめる) 回復(英語で指されている物の利用) ].推論(推輔のための情報を使う) 語習得をメタ的にとらえておこなう工夫であり、 k . 転移(第 l言語の知識を利用) 1 . 翻訳(第 l イ吏って学習する) 9のストラテジ _ 4が提案されている。それらは、 m. イメージ(国などによる視覚化) 注自 ( a t t e n t i o n )、準備 ( p r e p a r a t i o n )、自己管理 ( s e l f - n . 費問(繰り返し、説明などの依頼) management) などのプランニング、英語の正し O. メタ認知ストラテジーとは、学習者が自身の外国 (要点、まとめなどをメモする) 言語理論と英語教育(ロトストラテジーとしてのパラフレーズー p. 協力(学習する仲間と をする) q. 繰り返し(記様のために反援) 9 b o u g h ti tf o rme. t 'ss oswee t . Mary:Tha 上で見たように、これらの認知ストラテジーの使 Y u k o :Whatd i dyoudo,Mary守 用剖がメタ認知ストラテジーの使用例より多いと 一見するとこの会話は創作的になっているように いうことは、これらのストラテジーがより実際的 見えるカ" Howw a s / i s_一一ーワや 1wentt o に学習者の英語習得に貢献しているとすることが 一.などの空きスロットが埋められて出てきた定 できょう。さらにここで注告すべきは、 ( 3 k )I 転 型表現に基づいていると見ることができる。した 移 J(7.8%) と ( 3 1 )I 翻 訳J(8.5%) は 広 い がって、このレベルは英会話の初級レベルや英語 味でどちらもパラフレーズ f 言い換え Jによる方 の日常的な1 ' 貫用表現のレベルであり、それらの表 法であり、合計すると 16.3%となり、もっとも多 現を記憶するための繰り返し練習が効果的な初期 いとされた ( 3 q )I 繰り返し J( 14.8%) より大き の学習段階とみなすことができる。 い割合を占めることになる。したがって、パラフ これに対して、創造的発話では学習者が中 f 創造的な J表現段階に達してい レーズが関わる LSの頻度は決して低いものでは 諾の規鼎による ないと言うことができる。 ると考えられており、その段措の学習ストラテ i s( 1 9 8 5 : ジーは次の過程にまとめられる。 ( E l I 1 7 5 ) ) 2 . 1 . 2 .E l l i s( 1 9 8 5 ) の提案 訟l i s( 1 9 8 5 ) によれば、英語発話能力の発達は 次の 2段階より成る。 ( 5 ) a . 仮説形成段階: 簡素化 (i)一般化 ( 4 ) F o r m u l a i cSp巴e c h→ C r e a t i v eSpeech つまり英語の表現能力は「きまり文句的発話j から「創造的発話Jへと発達する o E l l i sによれ (i)転移 推論 ば、初級のきまり文句的発話は右脳による処理の (i)言語内推論 可能性が高く、言語の創造的機能をもっ左脳によ (i i)言語外推論 るのではないと考えられる。そのレベルでの学習 b . 仮説検証段階: ストラテジーは主にパターン記憶、 ( p a t t e r nmemo- 受容的検証 r i z a t i o n ) による。そのため、きまり文句的発話 生産的検証 レベルでは、 1d o n ' tknow.や What'st h i s ?などの表 メタ言語的検証 現や空きスロット (open s l o t ) が臨時に埋まるだ 棺互的検証 けの Can1havea の表現が頻出する。 守や T herei sno 文法的に問題のない発 話が繰り返されるため、流暢に話しているように C. 自動化段摺: 形式的漬習 機能的演習 きこえるが、創造的な発話には至っていないとさ この過程が正しいとすると、学費者は自分の中間 れる。このきまり文句的レベルは、たとえば、以 言語の規則を仮説として形成 ( 5 a )し、検証 ( 5 b ) 下のような「英会話入門 J的なスキットに見られ し、自動化 ( 5 c ) していくということになる。詳 ると分析できる。 細は El 1 isに譲って、ここでは、 ( 5 a ) イ反説形成の Mary:Hi, Yuko, howwasyourweekend? 段階でパラフレーズの要素があるということを指 Y u k o :F r i d a yn i g h t1wentt ok a r a o k 巴 w i t hmyf r i e n d s . 摘したい。簡素化 ( s i m p l i c a t i o n ) とは規期化して h o p p i n g . 1was AndS a t u r d a ymyhusbandand1wents いく過程で簡単にする傾向があるということであ h e r emy l u c k yb e c a u s ewefoundaCoachs t o r e,andt るが、その段階で転移 ( 5 ai)は第 l雷語を利用 husbandfoundav e r yn i c ej a c k e ton s a l e . Andhe して第 2雷語についての仮説をつくる際の基礎に 問中彰一 1 0 なる。前節で見たように、この転移 ( t r a n s f e r ) ( 7 ) a. パラフレーズ ( p a r a p h r a s e ) の認知ストラテジーにはパラフレーズ(言い換 近似表現 ( a p p r o x i m a t i o n ) え)という操作がはたらく。さらに、 ( 5 ai)の 造 語 (word-c o i n a g e ) v e r g e n e r a l i z a t i o n ) は君主存の英語の知識 一 般 化 (o 逮関し的説明(c i r c u m l o c u t i o n ) を新しい入力形式の学習に拡大適用するというス b. 借用 (boπowing7) l l i s(1985:1 7 1 ) によれば、 トラテジーであり、 E 逐語的翻訳 ( l i t e r a l凶 n s l a t i o n ) き換え ( f o r e i g n i z i n g ) すでに留得している英語の知識を使ってさらに中 質問 ( q u e s t i o n ) 間言語の内容を豊かにするということを意味す C. る。したがって、その学習段措は当然英語による d . まね(出me) パラフレーズを含むことになる。 a v o i d a n c 巴 ) e. 囲避 ( 以上のことから、 E l l i sの提案が正しいとする トピック毘避 ( t o p i ca v o i d a n c 巴 ) と、学習者が中間言語の規郎による「餅造的な j 途中回避 ( m e s s a g eabandanm 関 心 表現段階に英語を発達させる捺、初期の段措つま これらのストラテジーはコミュニケーション上の り仮説形成段階においてパラフレーズのストラテ 強度から「取り消し型j と「達成型Jに分けるこ ジーは重要な役割を担っていると言うことができ とができる 0 8取り消し型は ( 7 e ) の回避であり、 る。これまでこの視点に十分な艶騒がなされてい いわばコミュニケーションを仕切り産すためにト ないと思われる。 ピックや作りかけの文を放棄してしまう方法であ る。地のストラテジーはすべて達成型である。話 2.2胴コミュニケーションストラテジー (CS) この節の最初で述べたように、 CSはコミュニ ケーションに支障が生じたときに補完するコミュ し手がコミュニケーションを修援するためになん とかメッセージを伝達しようとする態度を持った まま、試みる方法になる。 ニケーション能力の一部と考えられるのが一般的 ( 7 a ) のパラフレーズは言い換えを用いるやり である。 C a n a l ea n d Swain ( 1 9 8 0 ) が示したよう 方であり、 T a r o n eの例訴では、 w a t e r p i p eの代わ に、コミュニケーション能力の構成は以下のよう りに p i p eで代用したり、 h o r s eの代わりに a n i m a l な四つの能力だと震われている。 とする近似表現タイプ、 b a l l o o nを思いつかずに ( 6 ) a. 言語能力 ( l i n g u i s t i cc o m p e t e n c e )6 a i r b a l lのような新造語を創り出すタイプ、 t o b a c c o b. 社会書語学的能力 ( s o c i o l i n g u i s t i ccompe- C. を忘れて“She i s,uh,smoking s o m e t h i n g . 1d o n ' t t 巴n c 巴) knoww h a t ' si t sn a m e .…"のように遠回し・説明的 談話能力 ( d i s c o u r s ec o m p e t e n c e ) にいうタイプの 3種類のパラフレ…ズがある。 ( 7 s t r a t e g i cc o m p e t e n c e ) d. 方略的能力 ( b ) の借用は英語から表現を借りて翻訳的に説明 発音、諾索、文法という言語能力 ( 6 a ) に基づい するタイプと、翻訳せずに第 l言語をそのまま英 て英語表現の理解と生成がおこなわれるが、外国 語表現の一部で置き換えて使ってしまうタイプの 語の場合は母語ほどの自然な表現にはならない場 2つがある。 合がある。そのため言語能力が不足しでもコミュ T a r o n eの示す前者の例は、 Theyt o a s tonea n o t h 巴r . ニケーションを維持・修f 夏するためのストラテ の代わりに Hei n v i t e shimt od r i n k.を使う例が示さ ジーの能力 ( 6 d ) が必要になる。 れている。後者の例としては、英語の表現の一部 具体的に見るために、よく知られている T a r o n e ( 1 9 8 1:2 8 6 ) の分析を見ることにしよう。 を日本語ですませてしまうような場合を考えるこ とができょう。たとえば、 s t a p l e rを思い出せず、 Doyouh a v eah o t c h k i s s ?と言ったり、 s p館 owと t 'sas u z u m e .で、済ます場合がこれにあた わずに Tha 言語理論と英語教育( 1 2 トストラテジーとしてのパラフレーズー 1 1 あって、 ( 6 a ) の言語能力の習得、すなわち的確 る 。 ( 7 c ) は相手に質問し答を求めることでコミュ な表現を記錯し用いることができること、往々に ニケーションを続けるようにする方法で、Wha ti s してそれらを知識として知っていることが求めら t h i s ?や What do you c a l lt h i s ?などネイティブス れてきた。しかしながら、実際の英語コミュニケー 7 d ) ピーカーの知識に訴えかけるやり方である。 ( ションでは、的確な表現が思いつかなかったり忘 は身振り手振りでなんとかメッゼージを伝えよう れてしまっていることがしばしばあるのが現実で とする方法である。 はないであろうか。これは第 l言語についても起 ここで I 主目したいのは、 ( 7 a )( 7 b )( 7 d ) のス トラテジーが、広い意味で、のパラフレーズ、すな こることであるから、ヨ三極当然の事態であるとま ず認識したい。 わちなんらかの「言い換え j の手段を用いている そのため、初級の段階を終了したレベルあたり ことである。つまり、より的確な英語の表現が加 から、英語でのコミュニケーションで支簡が生じ にあることを知っており、それを忘れてしまった た場合にそれを補完するストラテジーを身につけ り、うろ覚えでその場で使えないために、 ておくべきだという議論が成立する。問時に、ど 換える j ことでコミュニケ…ションを補完しよう ういうストラテジーがあるのかという定義と分類 とする態度であると言うことができる。 ( 7 a )は の問題がある。しばしば指摘されるように、第 2 文字通りパラフレーズの技術であり、雷い換えで 節で見た LSと CSは別個のものではなく伺じ性 あることは問題ない。近似表現、新造語、遠回し 質を有しており、 CSが自分の英語学習を効果的 ( 7 b ) に進めていく LSにもなりうると考えられてい 表現は、求める表現の置換になっている。 の借用は、英語の間意諾を使ったり、第 l 借用するという置換と蓄える。 ( 7 d ) は、身振り 手振りによる言い換えと言える。 しかも B i a l y s t o k (1990:7 7 ) の報告によれば、 る 。 9 ( 7 )で見た T a r o n eの分析は、草分け的な研究と して引用されることが多いが、 CSには按数の提 案があり、合意された定義があるわけではない。 使われるコミュニケーションストラテジーの配分 さらに、英語教育上、より重要な問題提起は、そ は遠回し説明がもっとも多く、 80%になってい うしたストラテジーはそもそも教授可能で、あるの る。(その調査では 1 8人の外国語学習者にコミュ かの議論である。 ニケーションギャップがある状況で発せられた この節では,まず Donyei ( 1 9 9 5 ) の議論にし 3 2 4 発話を分析した結果が報告されている。) 2番 たがって、ストラテジーを教えることがどのよう 目に使われるストラテジーが近似表現であり に考えられているのかを確認しておく。 12%。どちらも ( 7 a ) のパラフレーズに分類され まず、ストラテジーは第 I言語で発達するので ている。つまり、パラフレーズ型のストラテジー 第 2言語で用いるのは容易であり、教授は不要で、 は使われるストラテジーの中で実に 9割以上の頻 あるという立場がある。英語を知れば知るほど、 度となり、実際のコミュニケーションにおいて「言 学習者はより柔軟に必要事項を満たすことができ い換え Jが頻繁に用いられていることがわかる。 るようになる。つまり CSは実際のコミュニケー したがって、コミュニケーションにおいて、ノ fラ ションで習得されるのであって、教室での演習で フレーズの技術は重要性が非常に高いと震うこと は身につかないという立場である。これと並行し ができょう。 て、多くの研究者がストラテジーの訓練は可能で あり望ましいことだと考えている。 3 . ストラテジーの教授可能性 日本の英語教育では大学受験のための対・策も ではなぜこのような相反する立場があり矛盾が 生じているのであろうか。 Donyei ( 1995:6 1 )に よれば、その要因は以下の 3点である。 田中彰一 1 2 ( 8 ) a . ほとんどの議論が間接的な証拠に基づい ている。 b . ストラテジーには教授可能性に差があ る 。 C. 教授される内容にさまざまな解釈が可能 である。 ( 8 a ) は、体系的なストラテジー訓練の調査が教 間稼ぎ j のストラテジーで¥会話にとどまること によってコミュニケーションを保持しようとする 7 方略になる。残り 2つのストラテジーはすでに ( e )と ( 7 a ) で見た内容である。言うまでもなく、 ( 7 a ) で見た遠田し表現のストラテジーは、本稿 で控目しているパラフレーズの方略のひとつであ る 。 授可能性に関してほとんどなされていないという 実験内容と結果の分析の詳綿は D onyei ( 19 9 5 ) 背景があるという指摘である。 ( 8 b ) は、そもそ に譲るしかないが、すべての生徒がプログラム前 も偲々のストラテジーの教授可能性に差があると に TOEICを含む筆記試験と口頭試験を受け、演 考えられるのに、これまでの研究では多くても 2 習後にも口頭試験を受けた。 演習の英会話は録音 つほどのストラテジーに基づいており、それを CS され文字化された。結果に関しては、あまり決定 全体に一般化して考える領向があるということを 的な結論を得られてはいないが、 CS教 育 を 受 け 指摘している。さらに、 ( 8 c ) では、 CSを教える たクラスはストラテジ実用の質と量において改 ことの内容がさまざまに解釈されており、何を 善が見られた。特に遠回し的説明の震の向上と沈 もって教授可能で、あると言えるのかにいろいろな 黙埋め・臨時の最が増えたことは,ストラテジー 解釈が出てしまうという指摘がなされている。そ 教育の効果と結論づけられている。事前事後の英 の解釈の例として次のような内容がある。 語試験の比較分析によって、やはり教育を受けた a . 学習者の意識を高めること。 クラスに改善が見られることから、ストラテジー b . 生徒に CSを使うようにすすめること。 教育に効果なしとするのは間違いであり、長期の ( 9 ) C. 第 2雷語における CSのモデルを示すこ 計踏をしてみれば CSを寵接教えることは英語能 とo y e iは報 力のより顕著な改善が期待できると Dりn d . 奥文化上の違いを高めること o している。 e . CSを直接教えること。 f . CS演習の機会を与えること。 4剛パラフレーズの効果 このように、 CSが「教授可能であること」の 味はいろいろであり、一定の共通した内容になっ Donyei ( 1 9 9 5 ) がおこなった実験的プロジェク ていないために、相反する見解が出てくるという トでのストラテジーの指導は、(i)盟避に関し ことになる。 ては教師によるデモンストレーションにならって D o n y e iはこれらの要閣を整理したあと、 CSを 生徒が演習するというものであり、(i)沈黙埋 教えることが英語学習に役に立つのかどうか実験 w e l l, め・鵠蕗のストラテジーはそのための表現 ( 的なデータを得るために、 3つのストラテジーに nowl e tmes e e,a sam a t t e ro ff a c t,youknowなど) 焦点をあて、 6週間の演習授業計画を実践した。 を収集分類し、ダイアローグをしながら鈍ってみ 被験者はハンガリーの 5つの高校に通う 1 0 9人の i i ) 遠回し的説明の指導 るという演習である。(i 生徒で、 8クラスのグループに分けられており、 は、辞書の定義を比較し、効果的な表現を探すと 4クラス 5 3名に CS指導がおこなわれ、残りの 4 いうものである。生徒は英語で物を記述したり、 クラスは比率交のためのコントロールグループと より抽象的な探念を英語で説明する活動を課され なった。 3つ の ス ト ラ テ ジ _10は、話題関避、遠 る。さらに関係詞節を使った定義型の英語構造を 回し的説明、沈黙を埋めたり擦蕗を示すストラテ イ乍ったり、 ジーである。最後のストラテジーは、いわば「時 文には具体例は報告されていない)。この遠闘し ームをおこなったようである(論 言語理論と英語教育 ( 1 2 ←ストラテジーとしてのパラフレーズー 1 3 的説明は、上でみたようにパラフレーズの技術で t h a ti twasi ns t o c k . 1hadac h o i c eo fs h i p p i n ga n d1 1995:6 6 ) も指摘するように、会 あり、 D o n y e i( p i c k e ds t a n d a r ds h i p p i n gf o r$ 5 . 9 5,r a t h e rt h a nt h e 話修復のためのもっとも重要なストラテジーとみ e x p e d i t e ds h i p p i n gf o r$ 1 2 . 9 5 . 1c l i c k e dt h e“ c o n - なされている。またストラテジー指導においても 巴s sa n dmy t i n u e "b u t t o na n df i l l e di nmys h i p p i n ga d d r 直接教えることの効果が期待されるものである。 tt o o k m巴 t ot h ep a y m e n t b i l l i n ga d d r e s s . Then,i そこで、ここではパラフレーズのストラテジー s c r e e na n d1t y p e di nmyc r e d i tc a r dnumbera n de x p i 輔 養成のために、(教室で)ある程度学曹が進んだ r a t i o nd a t e . 1c l i c k e dt h e“P u r c h a s e "b u t t o na n d1was 中級桂度の英語学習者が、自分の英語能力をさら d o n e . 1g o tac o n f i r m a t i o npagew i t hat r a c k i n g に伸ばすために、ストラテジーを意識しながら英 number. 1c h e c k e dt h en e x td a ya n di tshowedt h a t 語を学習する可能性を探ってみよう。この学習者 myi t e mh a da l r e a d yb e e ns h i p p e d . にとって注意すべきことは、学習材料としての英 B u y i n go nt h eI n t e r n e ti sp e r f e c tf o rsomeonel i k e 語の素材があまりに難しい内容、たとえば使用さ m e . Now ,i fo n l yf i n d i n gag i r l f r i e n dwasj u s tt h a t れる諾棄の半分以上が理解できないという場合で e a s y . . . ある。そのため、Kr a s h e nの イ ン プ ッ ト 仮 説 11か これはインターネット上で P o d c a s t i n g( i P o dと i+1の程度の「理解可能 b r o a d c a s t i n gからの造語)という技術による英語 な ( c o m p r 巴h e n s i b l e )J教材内容でソ Tラフレーズが 学習番組からとった l間分の配信に使われている 多用されているようなものが望ましいであろう。 、 テキストである。この番組は ESLP o d c a s t i n gl2で ら予測できるように、 しかしながら、自然 ( a u t h e n t i c )な素材にしろ、 ESL ( E n g l i s ha sas e c o n dl a n g u a g e ) の専門家であ 考案された教材にしろ、パラフレーズがホ。イント る LucyTse博士と J e f fM c Q u i l l a n博士を中心とす となっている教材は少ないようである。そのた るボランテイアチームによって運営され、アメリ め、本稿ではより身近なメディアによる演習的な カのロスアンジェルスから翫信されている。 l回 学習素材でパラフレーズの訓練になるような教材 分が三部構成になっており、最初ゆっくりと 3分 に注目したい。それはリスニング教材による開き ほどのスクリプトが流された後、パラフレーズに 取りでインプット型、いわば「自習型j の演習で よる説明、そして通常の速さのスピードのスクリ ある。これはストラテジーとしてのパラフレーズ プトを聴くという構成になっている。 の重要性がわかっている学習者が、コミュニケー この英語学習番組のユニークな点は、 1 0分以上 ションを補完できるように多くのパラフレーズを の第 2部が英語によるパラフレーズの説明になっ 入力してストラテジーの意識を高め、 ( 6 a )の ている点である。引用したテクストの太字体の部 語能力も発達すると期待できるものである。次の 分の表現を中心に、 M c Q u i l l a n博士のパラフレー 一節を見てみよう。 ズを駆使した説明がなされる。たとえば、最初の I t ' st r u et h a t1d o n ' tl i k es h o p p i n g .When1wantt o 太字体の o n l i n eについては buy s o m e t h i n go n l i n e buys o m e t h i n g,1doi to n l i n e . 1l i k eb u y i n gont h eI r ト b u y という匂が抜き出され、 d o i n gi to nt h ei n t e r n e t, t e m e tb e c a u s e1c a ne a s i l yd osomecomparisons h o p - mgov 巴Ti n t e r n 巴t の言い換えが(口頭で)なされる。 p i n ga n df i n dt h eb e s tp r i c e .I t' se a s y , t o o . 次の comparisonshoppingに関しては、 whenyou L a s t w巴e k1w a n t e dt o buy some new h e a d - rt h r e e c a ncompareo rl o o ka tt w od i f f e r e n ts t o r e s,o p h o n e s . 1d i das e a r c ha n df o u n dap a i rons a l ea ta d i f f e r e n ts t o r 巴s ,o rt e nd i f f e r e n ts t o r e s,a n ds e ew h i c h s t o r ei nNewJ e r s e y . 1r e a dt h ep r o d u c td e s c r i p t i o n s t o r eh a st h ec h e a p e s tp r i c e,t h a t 'sc o m p a r i s o ns h o p a n dknewt h a tt h i swast h er i g h to n e . 1a d d e di tt omy p i n g,l o o k i n ga td i f f e r e n ts t o r e sa n dg e t t i n gt h e i rp r i c e s s h o p p i n gc a r tand1wasr e a d yt oc h e c kout.すh e というふうに遠留し表現のパラフレーズ併となっ s c r e e nshowedt h a t1h a do n ei t e mi nmyb a s k e tand ている。 同 田中彰一 1 4 さらに、 headphonesは t h o s et h i n g s you p むto n 考案されているようである。(ヲ!用した一節には y o u re a r s,t oc o v e ry o u re a r s,t ol i s t e nt om u s i co ra 他にも太文字の部分があるが、それらの説明表現 p o d c a s t ,o rw h a t e v e ryouw a n tt o,t h ee h,weu s u a l l y は紙幅の関係で割愛する。) s a yt h eh e a d p h o n e st h a ts o m e t i m e swes a yという説 以上概観した学習内容は、上で述べたように、 明や o rt h et y p e so f巴a r p h o n巴st h a tgoo nt oy o u ζ j u s t P o d c a s t i n gの番組であるが、中身は MP3のオー o nt oy o u re a r sw h i c hd o n ' tc o v e ry o u rw h o l ee a r sa r e, ディオファイルであり、インターネット上で配信 wes a y ,e a rb u d s .i P o dh a sw h i t ee a rb u d sb u th e a d - 1 3で 、 あ される。それを受ける方のソフトは i 百mes p h o n e s,t h 巴o l dt y p eo fh e a d p h o n e si st h eo n et oc o v e r P o dという携帯型のデジタル り 、 MP3の管理と i o rh o l dy o u rw h o l ee a r s,a n dweu s u a l l ys a y ,t h i si sa オーデイオプレーヤーとの接続・データ書き換え p a i ro fh e a d p h o n e sというふうに、関連する対比的 もすることができる。 清報も付加される。次の p a i rは two,New J e r s e y i P o dは音楽用としてだけではなく、語学学官 は as t a t eo nt h ee a s tc o a s to ft h eU n i t e dS t a t e sr i g h t の教材提示としても注目を集めている。勺T u n e s n e x tt o N巴w Y o r kと近似表現や遠回し表現で言い にはさらにネットショッピングの機能もあり、 換えられていく。 2005年夏から i T u n e sMusic S t o r e (iTMS) と接続 さらに、 p r o d u c td e s c r i p t i o nは somes o r to fs e n - することができ、その環境で P o d c a s t i n gの技術を t e n c eo rp a r a g r a p ht h a tt e l l syouo rg i v e syoumorei n - 使えるようになった。こうした i T u n e sによる f o r m a t i o na b o u tt h ep r o d u c tとなっており、日本語 連のデータ配信システムはアメリカの Apple社の で「製品解説書j や「取扱説明書j となるべきも 開発であり、その先駆性を世界的に評価され多く のを英語のネイテイブがこういう表現で言い換え の賞を受けている。 ・ るということも学習できる。その匂の中の prod ESLPodは、そうした技術を背景にして英語教 u c tもj u s tt h et h i n gyoua r 巴b u y i n g,w h a t e v e ryoua r e 育のための良質な教材と知識を提供しようという b u y i n gと、この文脈に沿った遠回し表現でパラフ 外国語学習の P o d c a s t i n gのーっと言える。 2006年 レーズされる。 6月2 8日現在でスクリプトの番号は 1 7 6になって 次の s h o p p i n gc a r tはネットショッピングでは おり、「長期番組j でスクリプトが頻繁に更新さ メタファーとして使われている内容を次のように れている。世界中に 7000人以上の購読者がいるよ 遠四し表現でパラフレーズする。 うである。 i k eag r o c e r ys t o r e,as u I ti sn o r m a l l yi nas t o r e,l では実際にこのようなパラフレーズを多用した p e 口n a r k e t,i t 'sw h a tyoup u s ht h a tyoup u ta l lo fy o u r 教材による自習の利点または効果はどんなことで f o o di n t ot h i sb i g,e h,i t ' sl i k eab i gb a s k e tt h a th a s あろうか。またその根拠としてどんなことが考え w h e e l so ni t,youc a np u s hi t,b u ti na ni n t e m e ts t o r e, られるであろうか。 t h es h o p p i n gc a r ti sw h e r eyoup u tt h i n g syouw a n tt o 第 2書語学習には個人差もあり、さまざまな要 buy ,a n dyouc a np u tt h i n g si n t oy o u rs h o p p i n gc a r t .I f 因が関係するが、第 2節で見た学習ストラテジー youc h a n g ey o u rmindyouc a nt a k eo u to fthem,i t 's とコミュニケーションストラテジーを意i 裁しなが l i k eap l a c ewh 巴r ee ht h ei n t e m e ts t o r eh o l d st h et h i n g s ら 、 ( 6 a ) の言語能力を高めていくということは you紅 ei n t e r 巴s t e di nb u y i n g . 効果的な学習方法であると雷うことができる。第 このように c a r tが物ではなく、サイト上では場 2言語学習は、第 l雷語の知識が背景にある中で 所として扱われているという説明になっている。 学習が進行するため、初期の段階で英語表現とそ こうした工夫は他にも多く試みられており、現 の意味が 1対 lに対町、するという田定された観念 実生活に合った具体的パラフレーズが多く、単に から発生する翻訳的な捉え方がどうしでもあるよ 辞書の定義のような学術的な解説にならないよう うである。 言語理論と英語教育 ( 1 2 トストラテジーとしてのパラフレーズー その次の段階では、第 2 も第 l と悶じ 1 5 ても問題が生じることが予想される。 ように表現と意味が固定されたものでなく、「言 たとえば、挨拶レベルの表現においでさえ、 How い換えがきく J関係であるという意識が必要にな t 'su p ? a r ey o u ?とWhata r eyoud o i n g ?さらには Wha る。つまり,英語を使う際にいつも的確な表現が などが会話上の開じ機能をもっパラフレーズの関 寵えるとは段らないことを知っておく必要がある 誌にあることを知っていることは英語の会話では ということである。これは、英語が第 2言語(外 必須のことである。さらに、自然 ( a u t h e n t i c )な 国語)であるということから、当然のことである 英語ではよく確認のためのパラフレーズがおこな と言える。したがって、的確な表現を補鎮できる われる。たとえば、お金を数える際、銀行などで という言語認識がなければ、学習者は英語の運用 $1000は o n et h o u s a n dd o l l a r sだけでなく、確かめ に自信を失ってしまい、学習意欲も減少してしま るために t e nh u n d r e dd o l l a r sという表現を使うこ いかねない。それを回避するためには、パラフレー e r o とがある。 00を“d o u b l e0" と言われたら、“z ズを中心とするストラテジーの習得が不可欠なの Z巴r o " で繰り返すことも考えられる。間違わない である。 ための工夫をしているのである。レストランで 1 5 そのようなストラテジー習得のための演習とし s h e p h e r d ' sp i eを注文しでも、 w a i t o rが c o t t a g ep i e て、日頃からパラフレーズが多用されている教材 とか m e a ta n dmashedp o t a t op i eという表現で確認 による自主的な学習は、教室における学習を補充 をとることがある。これも説明的なパラフレーズ するばかりでなく、学習ストラテジ…習得の側面 表現を用いることで、注文された料理に勘違いが からも意味があることと震えるであろう。 ( 5 )でみ ないかどうかの確認をとり相互理解を囲っている たように、学習者が自ら中間言語の仮説を検証し のである。もっと雷えば、多少不自然な表現になっ ながら英語のコミュニケーション能力を高めてい ても、トラブルを避けたり、意思蝶通をするため くという視点から見れば、このような学習は独立 に、パラフレーズ表現が用いられるということに した学習者 ( i n d e p e n d e n tl e a r n e r ) の営みと見るこ なる。 とができるのである。 パラフレーズの技術は、ポライトネスにとって も重要である。 Shei sp r e g n a nt.という藍接的な表 5舗実際のコミュニケーションのために ではなぜひとつの表現ではダメなのか? ( 6 a ) 現でなく、 Shei se x p e c t i n g .という腕曲的なパラフ レーズ表現があるのは、相手の気分を害さないた めに必ず必要なことである。英語に隈らず、 の言語能力を高めるためには、言い換えるより的 である必要があるときは丁寧表現、くだけていい 確な言語表現を完全に使えるようにすることの方 ような場ではうちとけた表現を使うのはことばに が重要であるという反論があるかもしれない。し よるコミュニケーションの原則 16と言えるであろ かしながら、実際の吉諾コミュニケーションで つ 。 は、むしろそのような学習態度の方が問題だと さらに、英語のライテイング、とくに論文構成 える。一部の試験を指向した英語教育での完全主 などのアカデミックなライテイングでは、パラフ 義や誤りを撞端に嫌う傾向から離れる必要があ レーズの技術が要約 ( s u m m a r i z i n g ) や引用 ( q u o t - る 。 i n g ) の技術と共に必要となる。これは相手の考 これまでの議論から結論は明白であるが,まず えを自分のものとして提示するという翻窃の問題 表現と意味が 1対 lに対応するという考え方では を避けるために、必ず必要になる書き手の技術に 融通が利かず、柔軟な相互理解に導くコミュニ なる。また同時にパラフレーズすることで、書き ケーションは難しいといわざるをえない。情報を 手がどう理解しているかを示すことにもなり、ラ 受けるという入力においても、表現の出力におい イテイングの基本技能と雷うことができる。 田中彰一 16 このようにストラテジーとしてのパラフレーズ は、実際のコミュニケーション活動において重要 な役割を果たしていると言うことができる。中級 がパラフレーズの中でも f 遠回し的説明 Jであったことを 7 )の君主参照。 怒起されたい。 ( 1 6たとえば、そのような表現条としてホーリー・赤川 ( 1 9 9 6 ) が参考になる。 の学習段階ではいつも的確な表現ができるとは限 らないことを認識し、近似表現や説明的なパラフ レーズでコミュニケーションをネ南{設しなければな 参考文献 らない場合があり、また英語学習もそれを意識し B i a l y s t o k, E .1 9 9 0‘C o m m l l n i c a t i o nS t r a t e g i e s .B a s i lB l a c k w e l l . たものにする必要がある。このような言語学習の C a n a l e, M.a n dM.S w a i n . 1 9 8 0“T h e o r e t i c a lb a s e so fcommuni- 態度は、ことばの本質的特徴として、表現と意味 が I対 1になっていなければいけないという発想 ではなく、他のもので言い換えられるという柔軟 な態度でコミュニケ…ションができるという余裕 " c a t i v ea p p r o a c h e st os e c o n dl a n g u a g et e a c h i n gandt e s t i n g, A p p l i e dL in g u i s t i c s l,1 4 7 . i v i a n .1 9 9 3 .L i n g u i s t i c salJdS e c o l JdL al l g u a g eA c q l l i s i Cook,V t i o n .MacMi I 1a nP r e s s . Oonyei,Z o l t a n .1 9 9 5“ Ont h et e a c h a b i l i t yo fc o m m u n i c a t i o n "TESOLQl Ia r t e r l y29,5 5 8 5 . s t r a t e g i e s, のある発想に基づいている。 o d .1 9 8 5 .U n d e r s t a n d i l J gS e c o n dLa nguageA c q u i s i t i o n . E l l i s,R OxfordU n i v e r s i t yP r e s s . 註 o d .1 9 9 4 .T heS t u d yo fS e c o n dLanguageA c q u i s i t i o n . E l l i s,R lこのレベルは臼本の高校生から大学生の英語能力を想 定できる。 O x f o r dU n i v e r s i t yP r e s s . .a n dG .K a s p e r .1 9 8 4“Twowayso fd e f i n i n gcommuF a e r c h,C 2 T a r o n eが述べているように、実際には区別できない場 "La n g u a g eL e a r n i n g34, 4 5 6 3 . n i c a t i o ns t r a t e g i e s, 古川武史 . 2 0 0 6 .['携帯裂 HOO録音提示装置による(自習) 合がある。定義上は IR~せされるとしておく。 3 J o h n s o nandJ o h n s o n( 19 9 8 :1 9 5 ) によれば、 LSの定義 f f i限工業大学情報処理セン 英語学習システムの構築 H はt e c h n i 弓u e su s e dbys e c o n dl a n g u a g el e 訂τ 1 巴r sf o rr e m e m b e r . タ ー 運 営 委 員 会 編 稲 荷 工 業 大 学 平 成 17年 度 b i n ga n do r g a n i z i n gs a m p l e so fL2となっている。 L e a r n i n g関連教育手法研究開発プロジェクト報告番j 悶 4 詳細は O'Malleye ta l .( 1 9 8 5:3 8 ) を参照。 5 調査は 70名のスペイン諾話者逮の ESLクラスでおこな われた。調査方法は、頭援と授業観祭による。 6 ( 6 a ) の言語能力は g r a m m a t i c a l c o m p e t e n c eとされるの が一般的であるが、文法のカのみを指すわけではないの で、ここでは l i n g u i s t i cc o m p e t e n c eを用いている。 後の研究ではこの内容に t r a n s f e r (転移)を当てること 7 が多いようである。 A p p l i e dL i n g l l i s t i c s .B l a c k w e l l r ホーリー,ショーン・赤 J I I 裕 .1996. 了寧皮別英諸表現 5 1 0 j 研究社. Kr a s h e n,S t e p h e n .1 9 8 7 .P r i n c i p l e sandP r a c t i c eI nS e c o l l dLan r e n t i c e H a l lI n t e m a t i o n a . l g l l a g eA c q l l I s i t i o n .P .1 9 9 5 .S t r a t e g yandS k i l li nLe αr n I n gaF o r e i g n McOonough,S L a n g u a g e .A r n o l d y e i( 1995:5 9 ) は( 7 ) 以外に「時前稼ぎJ型のスト 80 凸n ラテジーも CSとしてカウントすべきであると議論してい る。第 3節の議論を参照。 村野生i 二 イ 二. 2 0 0 6 . 第二言語習得研究から見た効果的な英語 掠官舎活. 学習法・指導法j大1 , J . M ., A .U .Chamot, G .Stewner-Manzanares,L .KupO'Malley 9おそらく認知的に同じプロセスがはたらいでいると考 えられるが、その解明は今後の課題である。 l 可7 )を参照。。凸n y e iは 、 .a n dH .J o h n s o n .1 9 9 8 .E n c y c l o p e d i cD i c t i o nOlアザ、 J o h n s o n,K T a r o n eの( 7 )より多くのストラテ y e i (1995:5 8 ) を参 ジーを設定している。詳しくは D凸n ,a n dR . P .R u s s o .1 9 8 5 .“Leamings t r a t e g i e su s e dbyb e p e r 巴d i a t eESLs t u d e n t s, "LanguageLe amg i n n i n gandi n t e r m 14 6 . i n g35,2 司 e c c aL .1 9 9 0 .Lan gu αg eLe amingS t r α ,t e g i e s .New Oxford,R巴b 叩 b u r yH o u s e . 日 召 。 詳細はKr a s h e nの一連の研究を参照のこと。たとえば、 .andRebeccaL .O x f o r d .1 9 9 2 .The安l p e s t r y S c a r c e l l a,RobinC a s h e n (1987:2 0 3 0 ) に仮説の詳紛が述べられている。 Kr o fLa l l g u a g eLe a r n i n g :Thei n d i v i d u a li nt h ecommunIca- 1 1 1 2サイトむRLは以下である。 h t t p : / / w w w . e s l p o d . c o m l w e b s i t e / i n d e x . p h p a c i n t o s h版がある。 1 3 W i n d o w s絞と M 1 4 古川 I( 2 0 0 6 ) を参照。 節で見たように,もっとも使われるストラテジー 1 5 2 . 2 . e i n eP u b l i s h e r s . t i v ec l a s s r o o m .Heine& H E l a i n 巴 1 9 8 0“ Communications t r a t e g i e s, f o r e i g n e rt a l k T a r o n e, a n dr 巴p a i ri ni n t e r l a n g u a g e . 'Lan g u a g eLe a r n i n g3 0 : 4 1 7 31 . T a r o n e,E l a i n e .1 9 81 . “Somet h o u g h t sont h en o t i o no fcommu巴g y . "TESOLQ u a r t e r l y1 5 : 2 8 59 5 . n i c a t i v es t r a t 叩