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RADIOISOTOPES ,58,291‐442(2009)
資
料
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した
放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
社団法人
日本アイソトープ協会
ポジトロン核医学利用専門委員会
医学・薬学部会
核薬学ワーキンググループ†
1
1
3
‐
8
9
4
1 東京都文京区本駒込2‐
2
8
‐
4
5
Key Words:18FDG, 15O-water, 13N-ammonia, 11C-L-methionine, 11C-sodium acetate, 11C-choline,
18
F-sodium fluoride, 11C-flumazenil, drug product standard code, manufacturing
control standard code, manufacturing hygiene control standard code, quality
control standard code, manufacturing direction, manufacturing record, quality
record
のを取りまとめたものである。ただし,ここに
はじめに
収載されている各種の書類の様式や内容はあく
本資料は,「ポジトロン核医学利用専門委員
まで一つの例であり,各施設は,
「ポジトロン
会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準
核医学利用専門委員会が成熟技術として認定し
(2009年改定)」の運用にあたり,基準書,手順
た放射性薬剤の基準(2
009年改定)
」,その基
書,記録などのさまざまな整備しておくべき書
準に関する解説及びここに記載する参考資料な
類のうち,現時点で手引きとして提供可能なも
どを参照し,それぞれの施設の状況を考慮して,
施設に適した書類を個別に作成するものとする。
Reference Materials for Standards of Compounds
Labeled with Positron Emitting Radionuclides Approved as Established Techniques for Medical Use
(2
0
0
9revision)
Nuclear Pharmacy Workgroup, Subcommittee on
Medical Application of Positron Emitting Radionuclides, Medical Science and Pharmaceutical Committee, Japan Radioisotope Association : 2-28-45,
Honkomagome, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8941, Japan.
†
なお,本資料は,現時点における情報を基に
作成されたものであり,今後新たな情報の提供
や整備に伴い,逐次追加,改定される予定であ
る。
ポジトロン核医学利用専門委員会
委 員 長 米倉 義晴( 独 放射線医学総合研究所)
同専門委員会核薬学ワーキンググループ
主
査 佐治 英郎(京都大学大学院薬学研究科)
委
員 井上
修(大阪大学大学院
医学系研究科)
岩田
錬(東北大学サイクロトロン・
ラジオアイソトープセンター)
鈴木 和年( 独 放射線医学総合研究所)
前田
稔(九州大学大学院薬学研究院)
安原 眞人(東京医科歯科大学医学部
附属病院)
(所属は2
0
0
8年1
1月現在)
( 73 )
目
次
資料1. 製造管理組織図(例)
資料2. 製品標準書(例)
(1)2―デオキ シ―2―フ ル オ ロ―D―グ ル コ
ース(18F)注射液
(2)アンモニア(13N)注射液
(3)水(15O)注射液
(4)L―メチオニン(11C)注射液
(5)酢酸(11C)注射液
(6)コリン(11C)注射液
(7)フッ化ナトリウム(18F)注射液
(8)フルマゼニル(11C)注射液
資料3. 製造管理基準書(例)
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5
8,No.
6
資料4. 製造衛生管理基準書(例)
(7)フッ化ナトリウム(18F)注射液
資料5. 品質管理基準書(例)
(8)フルマゼニル(11C)注射液
資料13.品質試験記録(例)
資料6. 入退出手順書(例)
資料7. クリーンベンチ操作手順書(例)
(1)2―デオキ シ―2―フ ル オ ロ―D―グ ル コ
資料8. 浮遊微粒子試験標準作業書(例)
ー ス(18F)注 射 液([18F]FDG 注 射
資料9. 空気中微生物試験標準作業書(例)
液)
(2)アンモニア(13N)注射液
(落下菌試験標準作業書,浮遊菌試
(3)水(15O)注射液
験標準作業書)
資料10.付着菌試験標準作業書(例)
(4)L―メチオニン(11C)注射液
資料11.原料及び資材の品質管理記録(例)
(5)酢酸(11C)注射液
資料12.製造指図書,製造記録(例)
(6)コリン(11C)注射液
(7)フッ化ナトリウム(18F)注射液
(1)2―デ オ キ シ―2―フ ル オ ロ―D―グ ル コ
1
8
1
8
(8)フルマゼニル(11C)注射液
ー ス( F)注 射 液([ F]FDG 注 射
液)
資料14.浮遊微粒子試験記録(例)
1
3
(2)アンモニア( N)注射液
資料15.空気中微生物試験記録(浮遊菌試
1
5
(3)水( O)注射液
験記録)
(例)
(4)L―メチオニン(11C)注射液
資料16.空気中微生物試験記録(落下菌試
(5)酢酸(11C)注射液
験記録)
(例)
1
1
(6)コリン( C)注射液
資料17.付着菌試験記録(例)
資料1. 製造管理組織図(例)
製造管理者
(氏名
○○
○○)
製造管理責任者
(氏名
○○
○○)
品質管理責任者
(氏名
○○
○○)
資料2. 製品標準書(例)
(1) 2―デオキシ―2―フルオロ―D―グルコース(18F)注射液
(i) 水酸化ナトリウムを用いて加水分解する場合
製品標準書
1. 薬剤の名称,成分
1)名
称
2―デオキシ―2―フルオロ―D―グルコース(18F)注射液([18F]FDG 注射液)
2)成
分
( 74 )
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0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
2. 合成装置の医療機器承認番号
○○○○○○社製
FDG 合成装置○○○○
医療機器承認番号:○○○○
3. 原料及び製品の規格及び試験方法
1)原材料の規格及び試験方法
a.有機化合物(主な原料)
*
1)マンノーストリフレートは受入れ基準を満たした相当品(ABX 社など)を用いることができる。
b.フッ化物(18F)イオンの製造に使用するターゲット水(出発物質)並びにサイクロトロン
【ターゲット水(出発物質)】
( 75 )
293
294
RADIOISOTOPES
*
1)ターゲット水は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
【フッ化物(18F)イオンの製造に使用するサイクロトロン】
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:○○○○
c. 製剤に含まれる他の成分
[18F]FDG 注射液の調製に以下の薬品を添加する。
*
1)原材料は,肉眼により異常のないことを確認する。
d.合成試薬,精製物質,消耗品,交換部品*1)
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「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
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*
1)合成試薬,消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
*
3)Kryptofix2.
2.
2は Merck 社の製品である。
*
4)試薬キット F には,アセトニトリル,Kryptofix2.
2.
2,炭酸カリウム溶液,0.
3mol/L 水酸化ナトリ
ウム,QMA 活性化試薬,注射用水バイアルが含まれる。
*
5)アクセル QMA ライトカートリッジ(Sep-Pak Light Accell QMA)は Waters 社の製品である。
*
6)IC-H カートリッジは Alltech 社(Maxi-Clean Cartriges IC-H)を用いることができる。
*
7)PS-2カートリッジ(Sep-Pak PS-2)は Waters 社の製品である。
*
8)アルミナカートリッジとしては,Waters 社(Sep-Pak Plus Alumina N)及び相当品を用いることがで
きる。
*
9)滅菌用フィルタは MILLIPORE 社(Millex-GS)を用いることができる。
*
1
0)製品バイアルの排気用フィルタは MILLIPORE 社(Dualex)を用いることができる。
*
1
1)試薬用バイアル,18O―水回収バイアル,製品バイアルは,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったもの
を用いる。
e.標準物質
以下の化合物を[18F]FDG 注射液の品質管理用として用いる。
*
1)各標準物質は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
( 77 )
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2)製品の規格及び試験方法
2―1)製品の規格及び試験頻度
*
1)頻度
・初めて合成を行うとき,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事
者を変更した場合(例えば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適
合していることを確認すること。
・毎合成後:毎回の合成後,検定を実施する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・毎合成後(事後):使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を
事後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において
適合すること。
*
2)毎合成時,比放射能としては理論値を用いる。ただし,1回/年以上は製品中に含まれる非放射性 FDG
の量を測定し,規格値以上であることを確認する。
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「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
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2―2)製品の試験方法
*
1)ガンマ線測定法
[18F]
FDG 注射液の放射能あるいはガンマ線スペクトルの測定は,あらかじめ標準線源によって校
正されたガンマ線スペクトロメータ,井戸型シンチレーション計数装置または井戸型電離箱式キャリ
ブレータ(またはキュリーメータ)により行うものとし,その方法は「ポジトロン核医学利用専門委
員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 4ガンマ線測定
法に準じる。
*
2)比放射能測定法
[18F]
FDG注射液の一定量を精密に量り,放射能をガンマ線測定法*1)に従って定量する。電気化学検
( 79 )
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6
出器を用いる液体クロマトグラフ法により FDG 標準液について検量線を作成する。[18F]
FDG 注射液
の一定量について同様の試験を行い,検量線より[18F]
FDG 注射液の FDG の量を求め,比放射能を算
出する。液体クロマトグラフ法において,カラムとしてダイオネクス社「CarboPak PA-14×2
5
0mm」
及び「CarboPak PA-1Guard4×5
0mm」を用い,移動相として2
2
0mmol/L 水酸化ナトリウム水溶液,
流量0.
2mL/分の条件で測定したときの FDG 保持時間は2
5分前後である。
*
3)エンドトキシン試験法
比濁法によるエンドトキシン測定装置として,和光純薬工業「トキシノメーター」を用いることが
できる。また比色法によるエンドトキシン測定装置として,生化学工業の「ウェルリーダー SK60
3」
を用いることができる。
*
4)血液培養システム
血液培養システムによる無菌試験法は,「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定
した放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 1
1無菌試験法に準じて行う。
血液培養システムによる無菌試験法では,細菌の代謝産物であるガス状化合物によって生じる培養
ボトルの内圧上昇を,培養ボトルと細い針で接続されたグロスシグナルへの培養液の流入を観察する
ことにより,試料中の細菌の有無を判定する。
本法には,オクソイド社血液培養システム「シグナル」を用いることができる。
*
5)pH 試験紙
pH 試験紙には,Whatman 社「Type CF」及び相当品を用いることができる。
*
6)ラジオ薄層クロマトグラフ法
アセトニトリル/水混液(95:5)を展開溶媒としてシリカゲル薄層クロマトグラフ法により試験を
行うとき,FDG の Rf 値は,
0.
4前後である。シリカゲル薄層を使用し,0.
1vol%のトリエチルアミン
を含むメタノールを展開溶媒として試験を行うとき,FDG の Rf 値は,0.
6前後である。
*
7)ラジオ液体クロマトグラフ法
µ Bondapak carbohydrate(日本ウォーターズ社)を充填した φ 3.
9mm×3
0cm のカラムを使用し,
アセトニトリル/水混液(85:1
5)を移動相として流速1mL/分で溶出したとき,FDG は約6.
5分の
位置に溶出される。
*
8)ガスクロマトグラフ法
水素イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフ法にて測定する。カラムとして島津製作所「TSG-1
1
5% SHINCARBON A6
0/8
03.
2×31
0
0mm」を用い,カラム温度90℃,インジェクタ温度1
8
0℃,
FID 温度18
0℃,キャリアガス N27
0kPa の条件で測定したときエタノール,メタノール,アセトニ
トリルの保持時間はそれぞれ4.
1分,
3.
4分,
6.
7分前後である。
*
9)アルミニウムイオン試験法
アルミニウム試験紙として,アドバンテック社「アルミチェック」を用いることができる。
*
1
0)ClDG 測定法
電気化学検出器を備えた液体クロマトグラフ法にて行う。カラムとしてダイオネクス社「CarboPak
PA-14×2
5
0mm」及び「CarboPak PA-1Guard4×5
0mm」を用い,移動相として,
2
2
0mmol/L 水酸
化ナトリウム水溶液,流量0.
2mL/分の条件で測定したときの ClDG の保持時間は27分前後である。
*
1
1)薄層クロマトグラフ法
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(20
0
9年改定)
」
の
Ⅲ.一般試験法 8薄層クロマトグラフ法に準じて行う。メタノール/2
5% アンモニア水混液(9:1)
を展開溶媒としてシリカゲル薄層クロマトグラフ法により試験を行うとき,Kryptofix2.
2.
2の Rf 値
は,0.
3
8前後である。
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4. 製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○株式会社
型式:FDG 合成装置○○○○
医療機器承認番号:○○○
2)各ロットに使用する試薬類
[18F]FDG 注射液の各ロットは以下の試薬を用いて製造する。
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,フッ化物(18F)
イオンの放射能量
のみを変更し,他のものに関しては,変更しないこと。
*
2)院内調製する場合,注射用水3
5mL に対し,
1mol/L 水酸化ナトリウム水溶液1
5mL を溶解し,
0.
3mol/
L 水酸化ナトリウム水溶液を調製する。
*
3)院内調製する場合,注射用水2mL に対し,炭酸カリウム2
8mg を溶解し,炭酸カリウム水溶液を調製
する。アセトニトリル7mL に対し,クリプトフィックス2.
2.
22
0
0mg を溶解し調製する。使用時に,
炭酸カリウム水溶液0.
2mL とクリプトフィックス2.
2.
2/アセトニトリル溶液0.
7mL を調製する。
*
4)院内調製する場合,注射用水1
0
0mL に対し,炭酸カリウム1
6.
7g を溶解し,1mol/L 炭酸カリウム水
溶液を調製する。
3)製造方法
酸カリウ ム 溶 液 で 脱 離 し,反 応 器 に
3―1)[18O]H2O を含むターゲット水に陽子を
1
8
(p,n)
F の核反応により
照射して18O
1
8
[ F]フッ化物イオンを製する。
[18F]KF を導入する。
3―4)アセトニトリル溶液を加え,濃縮乾固
して溶媒を除く。
1
8
3―2)生成した担体無添加の[ F]フッ化物
3―5)マンノーストリフレートのアセトニト
イオンを QMA カートリッジに吸着さ
リル溶液を反応器に導入し,反応器を
せる。
密閉状態で加熱してフッ素化を行う。
1
8
3―3)QMA カートリッジに吸着させた[ F]
フッ化物 イ オ ン を Kryptofix2.
2.
2/炭
( 81 )
次いでアセトニトリルを濃縮乾固する。
3mol/L の水酸化ナトリウ
3―6)反応器に0.
300
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6
ムを加え,密閉状態で加熱した後,室
リークテスト,流量テスト等の準備動
温で攪拌しながら加水分解を行う。
作を確認する。
3―7)加水分解終了後,FDG 溶液を精製カラ
ム
(IC-Hカートリッジ,
PS-2カートリッジ,
4―7)製品バイアルの取り付け
品質管理装置の準備を行い,製品バ
アルミナカートリッジ)に通して精製
イアルをセットする。製品バイアルに
し,0.
22 µ m のメンブレンフィルタを
は,あらかじめ注射用水9mL を加える。
4―8)アクセル QMA ライトカートリッジの
通して注射用薬剤とする。
取り付け
4)製造手順
QMA カートリッジをカセットの所
1
8
4―1)[ F]フッ化物イオンの製造
定の位置に取り付ける。
1
8
[ O]H2O を含むターゲット水に陽子
1
8
1
8
(p,
n) F の核反応により
を照射して O
[18F]フッ化物イオンを製する。
4―9)精製カラムの取り付け
IC-H カートリッジ,PS-2カートリッ
ジ,アルミナカートリッジの順に接続
4―2)アクセル QMA ライトカートリッジの
調製
し,付属のエクステンションチューブ
を取り付け,カートリッジのリークテ
一昼夜以上消毒用エタノールに浸し
て保管した QMA カラムを取り出し,
QMA 活性化用試薬10mL を通し,注
ストを行う。リークの有無の確認後,
カートリッジホルダに設置する。
4―10)試薬の準備
試薬を各バイアルに注入し,試薬ト
射用水60mL で洗浄する。
4―3)IC-H カートリッジ,アルミナカートリ
ッジの洗浄
レイにセットする。また,市販の合成
キットを用いる場合は,各バイアルの
一昼夜以上消毒用エタノールに浸し
準 備 を 行 う。ク リ プ ト フ ィ ッ ク ス
て保管したカラムを取り出し,注射用
2.
2.
220mg に 炭 酸 カ リ ウ ム 溶 液
水各40mL で洗浄する。
0.
88mL と ア セ ト ニ ト リ ル0.
68mL
4―4)PS-2カートリッジの活性化
の混合液を溶解する。マンノーストリ
消毒用エタノール1
0mL で上記カラ
フレート20mg にアセトニトリル1.
3
ムを活性化した後,注射用水4
0mL で
mL を溶解する。アセトニトリル0.
7
洗浄する。
mL,0.
3mol/L 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム4
4―5)合成カセットの準備
mL,注射用水5mL を準 備 す る。試
カセットを合成装置本体の所定の位
薬トレイにセットし,合成装置の所定
置にセットする。付属の反応器やター
の位置に載せる。カセットの各試薬用
1
8
ゲット水回収バイアルのセット, O―
配管に注射針を取り付け,各試薬バイ
水回収ライン,Waste ラインなどの配
アルに注入する。
4―11)合成直前の確認
管を接続し,取り付ける。
4―6)合成準備前確認
試薬の設置ができたらコンピュータ
合成装置及びカセットの動作確認を
行う。コンピュータの「Check before
preparation」画面のチェックリストで
準備状況を確認する。次いで「Preparation」画面で加圧テストや排気テスト,
( 82 )
の「Check before synthesis」画面の
チェックリストによりチェックを行う。
4―12)[18F]フッ化物イオンの回収と合成の
開始
コンピュータの回収開始ボタンを押
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
し,[18F]フッ化物イオンを回収する。
301
診断上の有益性が被ばくによる不利益を上回
回収終了後,合成開始ボタンを押す。
ると判断される場合にのみ投与することとし,
以後,上記製造方法の項に記した方法
投与量は最小限度にとどめること。
1
8
FDGを合成する。
に従って自動的に
[ F]
・高齢者への投与
4―13)[18F]FDG の回収
一般に高齢者では生理的機能が低下している
1
8
FDG 溶液は窒素
合成終了後,
[ F]
ガス圧により0.
22 µ m のメンブレン
ので,患者の状態を十分に観察しながら慎重に
投与すること。
フィルタを通して,製品バイアル中に
・妊婦,授乳婦等への投与
回収する。
妊婦または妊娠している可能性のある婦人及
4―14)品質検査
び授乳中の婦人には,原則として投与しないこ
上記製品の規格及び試験方法の項に
とが望ましい。診断上の有益性が被ばくによる
記した方法に従って品質検査を行う。
不利益を上回ると判断される場合のみ慎重に投
与すること。
5)合成終了後の手順
・小児への投与
5―1)合成装置の再利用部品以外の消耗品と
小児等に対する安全性は確立していない(現
原材料は全て単回使用とし,適切に廃
在までのところ,十分な臨床成績が得られてい
棄する。
ない)。診断上の有益性が被ばくによる不利益
5―2)合成終了後の後処理は取扱説明書に従
う。
を上回ると判断される場合のみ慎重に投与する
こと。
・その他
5. 製品の保管条件,有効期間
「放射性医薬品副作用事例調査報告
用時調製し,保存は行わない。
第16
報」
(日本アイソトープ協会医学・薬学部会放射
性医薬品安全性専門委員会)において自家製の
6. 用法・用量並びに使用上の注意または取扱
FDG 注射液による副作用は頭痛,悪寒を
[18F]
いの注意
訴え発疹を生じた1例が,第28報・第29報そ
1)用法・用量
れぞれで皮膚発赤・そう痒感2例が報告されて
120∼480MBq(2∼8MBq/kg 体重)を 静
いる。
脈内に投与する。その直後より撮像終了まで頻
2―2)取扱いの注意
回に動脈血または動脈,静脈血の採血を行い,
FDG 注射液による被ばくの防止・軽減
[18F]
血漿中の放射能濃度を測定する。更に血漿中の
のため,放射線障害防止法,医療法,FDG 合
ブドウ糖濃度も測定する。投与直後より連続的
成装置○○○○取扱説明書等に則り,取り扱う
な動態イメージングを行うか投与40∼90分後
こと。
より撮像する。なお,相対的なブドウ糖消費の
臓器分布を画像化することのみを目的とする場
7. 定期的/変更時の再バリデーション
合には,採血は不要である。測定原理等の詳細
1)製造設備
a.定期的な再バリデーション
は臨床編を参照すること。
製造管理,品質管理に用いる機器のうち,
2)使用上の注意または取扱いの注意
校正を必要とする機器について,定期的に
2―1)使用上の注意
校正を実施し,異常や経時変動がないこと,
・一般的注意
基準内であることを確認する。
( 83 )
302
RADIOISOTOPES
b.変更時の再バリデーション
Vol.
5
8,No.
6
て最低3ロット連続で試験を実施し,適正
製造・品質試験設備の更新,補修,改造
であることを確認した後,臨床に再使用す
などを実施し,対象設備が PET 薬剤の品
ることとする。また,変更に関わる記録を
質に重大な影響を及ぼす可能性のある場合
「製品標準書」にファイリングすること。
は,影響する可能性のある品質因子につい
2)製造プロセス
定温度・時間など)
,製造に用いる原材料
a.定期的な再バリデーション(日常的な
の規格,メーカー,製造工程そのものの変
バリデーション)
更などがあり,その変更が PET 薬剤の品
製造作業に用いる製造記録などにおいて,
質に重大な影響を及ぼす可能性のある場合
定められた手順,基準に従って製造工程管
は,影響する可能性のある品質因子につい
理を実施する。基準に従った結果を与えた
て最低3ロット連続で試験を実施し,適正
ロットのみを臨床に供する。
であることを確認した後,臨床に再使用す
b.変更時の再バリデーション
ることとする。また,変更に関わる記録を
製造工程において,そのパラメータ(設
3)品質
「製品標準書」にファイリングすること。
性のある変更を実施した場合は,実際の
a.定期的再バリデーション
PET 薬剤を用いた試験を最低3ロット連
定期的に実施日を設定して(1年に1回
続で実施し,変更前と同等の結果を得られ
以上)回顧的バリデーションを行う。実施
ることを確認した後変更すること。また,
法は,回顧的バリデーション実施時の直前
変更に関わる記録を「製品標準書」にファ
10製造分について品質試験(検定)項目
の平均,分散を求め,過去の蓄積データと
イリングすること。
c.定期的な品質試験の実施
の比較により,分散が大きくなっていない
一部の品質試験項目については,その品
か,平均値に傾向的な変動がないかを確認
質因子が比較的変動しにくいのに対して,
し,変動が認められた場合は調査対応する。
試験自体の困難さや,試験実施による試験
b.変更時の再バリデーション
者(検定者)の被ばくによる不利益を考慮
品質試験法(検定法)そのものや,試験
して,定期的な実施としている。これら試
に用いる機器,試薬の規格,メーカーなど
験項目については以下の表に基づいて,定
品質試験の結果に重大な影響を及ぼす可能
期的な試験を実施し,基準内であることを
( 84 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
確認する。あわせて過去の試験結果と照ら
303
る。
し合わせて,変動傾向がないことを確認す
添付書類
3.日本アイソトープ協会医学・薬学部会
Ⅰ.マンノーストリフレート分析証明書
ポジトロン核医学利用専門委員会核薬
1
8
Ⅱ.[ O]H2O 分析証明書
学ワーキンググループ,「ポジトロン核
Ⅲ―1.日本アイソトープ協会医学・薬学部会
医学利用専門委員会が成熟技術として
ポジトロン核医学利用専門委員会,ポ
認定した放射性薬剤の基準(2
009年改
ジトロン核医学利用専門委員会が成熟
定)」に 関 す る 参 考 資 料,RADIOISO-
技術として認定した放射性薬剤の基準
291-442
(2009)
TOPES ,
5
8,
(2009年 改 定),RADIOISOTOPES ,
5
8,
221-245
(2009)
Ⅳ.日本核医学会,院内製造された FDG を
用いて PET 検査を行うためのガイドラ
2.日本アイソトープ協会医学・薬学部会
ポジトロン核医学利用専門委員会核薬
学ワーキンググループ,
「ポジトロン核
イ ン(第2版),平 成17年10月,核 医
005)
学,
4
2(2
Ⅴ.平成16年度厚生労働省科学研究費補助
医学利用専門委員会が成熟技術として
金
認定した放射性薬剤の基準(2009年改
検査施設における放射線安全の確保に関
定)」に 関 す る 解 説,RADIOISOTOPES,
する研究班編,FDG―PET 検査における
247-289
(2
009)
5
8,
安全確保に関するガイドライン(2005)
( 85 )
医療技術評価総合研究 事 業
PET
304
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
(ii) 塩酸を用いて加水分解する場合
製品標準書
1. 薬剤の名称,成分
1)名
称
2―デオキシ―2―フルオロ―D―グルコース(18F)注射液([18F]FDG 注射液)
2)成
分
*
1)注射用水10
0mL に対し,NaOH5
3
6mg,Na2HPO4 3.
2
0
4g を溶解して調製する。
2. 合成装置の医療機器承認番号
○○○○○社製
FDG 自動合成装置○○○○○
医療機器承認番号
3. 原料及び製品の規格及び試験方法
1)原材料の規格及び試験方法
a.有機化合物(主な原料)
*
1)マンノーストリフレートは ABX 社(M-1
0
3GE)より供給が可能である。
( 86 )
○○○○○
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
305
b.フッ化物(18F)イオンの製造に使用されるターゲット水(出発物質)並びにサイクロトロン
【ターゲット材料(出発物質)】
ターゲット材料([18O]水)の他の供給元を以下に示す。
【フッ化物(18F)イオンの製造に使用されるサイクロトロン】
製造者名:○○○○○株式会社
型式:○○○
c.製剤に含まれる他の成分
[18F]FDG 注射液の調製に以下の薬品等を添加する。
*
1)注射用水1
0
0mL に対し,NaOH5
3
6mg,Na2HPO4 3.
2
0
4g を溶解して調製する。
*
2)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
( 87 )
306
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
d.その他の試薬,溶剤,ガス,精製カラムないし精製物質等
*
1)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
*
2)アルミナカートリッジとしては Waters 社(Sep-Pak plus Alumina N)及び相当品を用いることができる。
*
3)C1
8カートリッジとしては Waters 社(Sep-Pak plus tC18)及び相当品を用いることができる。
*
4)[18F]
FDG 合成用キットには,[18F]
FDG 合成用カセットの他,バイアル(8個)が含まれている。
*
5)滅菌用フィルタとしては MILLIPORE 社(Millex-GS)及び相当品を用いることができる。
*
6)製品バイアルの排気用フィルタとしては MILLIPORE 社(Dualex)及び相当品を用いることができる。
e.標準物質
以下の化合物を[18F]FDG 注射液の品質管理用として用いる。
*
1)2-Deoxy-2-fluoro-D-glucose は SIGMA 社(F-5
0
0
6)より供給が可能である。
*
2)2-Chloro-2-deoxy-D-glucose は ABX 社より供給が可能である。
( 88 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
307
2)製品の規格及び試験方法
2―1)製品の規格及び試験頻度
*
1)頻度
・初めて合成を行うとき,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者を
変更した場合(たとえば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合して
いることを確認すること。
・毎合成後:毎回の合成後,検定を実施する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・毎合成後(事後)
:使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事後検定
とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合すること。
*
2)担体を添加しない製法を用いて製し,検出器の感度の問題から製剤中に含まれる FDG の定量が困難な
場合は,毎合成時,比放射能としては理論値を用いる。ただし,1回/年以上は製品中に含まれる非放射
性 FDG の量を測定し,規格値以上であることを確認する。
( 89 )
308
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2―2)製品の試験方法
*
1)ガンマ線測定法
[18F]
FDG 注射液の放射能あるいはガンマ線スペクトルの測定は,あらかじめ標準線源によって校正さ
れたガンマ線スペクトロメータ,井戸型シンチレーション計数装置または井戸型電離箱式キャリブレータ
(またはキュリーメータ)により行うものとし,その方法は「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技
術として認定した放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 4ガンマ線測定法に準じる。
*
2)比放射能測定法
[18F]
FDG 注射液の一定量を精密に量り,放射能をガンマ線測定法*1)に従って定量する。電気化学検出
器を用いる液体クロマトグラフ法により FDG 標準液について検量線を作成する。[18F]
FDG 注射液の一
定量について同様な試験を行い,検量線より[18F]
FDG 注射液の FDG の量を求め,比放射能を算出する。
液体クロマトグラフ法において,カラムとしてダイオネクス社「CarboPak PA-14×2
5
0mm」及び「CarboPak PA-1Guard4×5
0mm」
を用い,移動相として2
2
0mmol/L 水酸化ナトリウム水溶液,流速0.
2mL/
分の条件で測定したときの FDG の保持時間は25分前後である。
ただし,担体を添加しない製法で製し,物質量の定量が困難な場合(キャリアフリー状態での合成の場
合)は,毎合成時には,比放射能としては理論値を用いる。
*
3)エンドトキシン試験法
比濁法によるエンドトキシン測定装置として,和光純薬工業「トキシノメーター」を用いることができ
る。また比色法によるエンドトキシン測定装置として,生化学工業の「ウェルリーダー SK60
3」を用い
ることができる。
( 90 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
309
*
4)血液培養システム
血液培養システムによる無菌試験法は,「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した
放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 1
1無菌試験法に準じて行う。
血液培養システムによる無菌試験法では,細菌の代謝産物であるガス状化合物によって生じる培養ボト
ルの内圧上昇を,培養ボトルと細い針で接続されたグロスシグナルへの培養液の流入で観察し,試料中の
細菌の有無を判定する。
本法には,オクソイド社血液培養システム「シグナル」を用いることができる。
*
5)ラジオ薄層クロマトグラフ法
アセトニトリル/水混液(95:5)を展開溶媒としてシリカゲル薄層クロマトグラフ法により試験を行う
とき,FDG の Rf 値は,
0.
4前後である。また,シリカゲル薄層を使用し,
0.
1vol%のトリエチルアミンを
含むメタノールを展開溶媒として試験を行うとき,FDG の Rf 値は,0.
6前後である。
*
6)ラジオ液体クロマトグラフ法
µ Bondapak carbohydrate(日本ウォーターズ社)を充填した φ 3.
9mm×3
0cm のカラムを使用し,
アセトニトリル/水混液(8
5:1
5)を移動相として流速1mL/分で溶出したとき,FDG は約6.
5分の位置
に溶出される。
*
7)ガスクロマトグラフ法
水素炎イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフ法にて測定する。カラムとして島津製作所「TSG-1
1
5% SHINCARBON A6
0/8
03.
2×31
0
0mm」を用い,カラム温度90℃,インジェクタ温度1
8
0℃,FID
温度1
8
0℃,キャリアガス N27
0kPa の条件で測定したときのエタノール,メタノール,アセトニトリル
の保持時間はそれぞれ,
4.
1分,
3.
4分,
6.
7分前後である。
*
8)アルミニウムイオン試験法
アルミニウムイオン試験紙として,アドバンテック社「アルミチェック」を用いることができる。
*
9)ClDG 測定法
電気化学検出器を備えた液体クロマトグラフ法にて行う。カラムとしてダイオネクス社「CarboPak PA-1
4×2
5
0mm」及び「CarboPak PA-1Guard4×5
0mm」を用い,移動相として22
0mmol/L 水酸化ナトリ
ウム水溶液,流速0.
2mL/分の条件で測定したときの ClDG の保持時間は27分前後である。
4. 製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○○○社
型式:○○○○○○
医療機器承認番号:○○○○○
2)各ロットに使用する試薬類
[18F]FDG 注射液の各ロットは以下の試薬を用いて製造される。
( 91 )
310
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
*
1)ここに示すより,より高放射能量を用いて合成を行う場合には,フッ化物(18F)イオンの放射能量の
みを変更し,他のものに関しては,変更しないこと。
*
2)注射用水10
0mL に対し,NaOH5
3
6mg,Na2HPO4 3.
2
0
4g を溶解し,中和用緩衝液を調製する。
注射用水100mL に対し,NaOH5
36mg,
3)製造方法
1
8
3―1)[ O]H2O を含むターゲット水に陽子を
1
8
1
8
1
8
(p,n) F の核反応により[ F]
照射して O
Na2HPO4 3.
204g を溶解し,中和用緩衝
液を調製する。
4―2)[18F]フッ化物イオンの製造
フッ化物イオンを製する。
3―2)生成した担体無添加の[18F]フッ化物
イオンを4―(4―メチルピペリジニル)ピリジ
ニウム基を有する樹脂に吸着させる。
[18O]H2O を含むターゲット水に陽子を
1
8
(p,
n)
F の核反応により[18F]
照射して18O
フッ化物イオンを製する。
3―3)無水アセトニトリルにより水分を除去
後,無水アセトニトリルに溶解した1,
3,
4,
6―テトラ―O ―アセチル―2―O ―トリフル オ
4―3)Sep-Pak Plus tC18,Sep-Pak Alumina N
カートリッジカラムの活性化
消毒用エタノールで上記カラムを活性化
ロメタンスルフォニル― β ―D―マンノピラノ
した後,注射用水で洗浄する。
ース(マンノーストリフレート)を加えて
4―4)[18F]FDG 合成用キットの準備
付属のシリンジ(6本)をカセットにセ
反応させる。
3―4)得られたフルオロテトラアセチルグル
ットする。また,付属のバイアルにアセト
コピラノースを塩酸で加水分解し,中和用
ニトリル(4mL),
1mol/L 塩酸(2mL),
緩衝液で中和する。
中和用緩衝液(10mL)を入れ,カセット
8,Sep-Pak Alumina
3―5)Sep-Pak Plus tC1
に取り付ける。マンノーストリフレート
N カートリッジカラムにより不純物を分離
(30mg)のバイアルをカセットに取り付
除去した後,0.
22 µ m のメンブ レ ン フ ィ
ルタを通して注射薬剤の製法により製する。
ける。
FDG 合成用カセットの取り付け
4―5)[18F]
(LOAD)
4)製造手順
Sep-Pak Plus tC1
8,Sep-Pak Alumina N
4―1)中和用緩衝液を調製
カートリッジカラム,その他の配管を取り
( 92 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
311
付け,[18F]
FDG 合成用カセットを合成装
2―1)使用上の注意
置にセット,LOAD ボタンを押す。自動
・一般的注意
的にセットアップが行われレディーランプ
診断上の有益性が被ばくによる不利益を上回
が点灯する。
ると判断される場合にのみ投与することとし,
フッ化物イオンの回収と合成の開始
4―6)[18F]
投与量は最小限度にとどめること。
1
8
[ F]フッ化物イオンを回収し,合成開
・高齢者への投与
始ボタンを押す。以後,上記製造方法の項
1
8
一般に高齢者では生理的機能が低下している
に記した方法に従って自動的に[ F]FDG
ので,患者の状態を十分に観察しながら慎重に
が合成される。
投与すること。
1
8
4―7)[ F]FDG の回収
・妊婦,授乳婦等への投与
1
8
FDG 溶液は窒素ガス
合成終了後,[ F]
妊婦または妊娠している可能性のある婦人及
圧により0.
22 µ m のメンブレンフィルタ
び授乳中の婦人には,原則として投与しないこ
を通して,あらかじめ注射用水(1
2∼13
とが望ましい。診断上の有益性が被ばくによる
mL)を加えた滅菌バイアル中に回収され
不利益を上回ると判断される場合のみ慎重に投
る。
与すること。
4―8)品質検査
・小児への投与
上記製品の規格及び試験方法の項に記し
た方法に従って品質検査を行う。
小児等に対する安全性は確立していない(現
在までのところ,十分な臨床成績が得られてい
ない)。診断上の有益性が被ばくによる不利益
5)合成終了後の手順
を上回ると判断される場合のみ慎重に投与する
原材料は単回使用とし,適切に廃棄する。
こと。
・その他
5. 製品の保管条件,有効期間
「放射性医薬品副作用事例調査報告
用時調製し,保存は行わない。
第16
報」
(日本アイソトープ協会医学・薬学部会放射
性医薬品安全性専門委員会)において自家製の
6. 用法・用量並びに使用上の注意または取扱
FDG 注射液による副作用は頭痛,悪寒を
[18F]
いの注意
訴え発疹を生じた1例が,第28報・第29報そ
1)用法・用量
れぞれで皮膚発赤・そう痒感2例が報告されて
120∼480MBq(2∼8MBq/kg 体重)を 静
いる。
2―2)取扱いの注意
脈内に投与する。その直後より撮像終了まで頻
回に動脈血または動脈化静脈血の採血を行い,
FDG 注射液による被ばくの防止・
[18F]
血漿中の放射能濃度を測定する。更に血漿中の
軽減のため,放射線障害防止法,医療法等
ブドウ糖濃度も測定する。投与直後より連続的
に則り,取り扱うこと。
な動態イメージングを行うか投与40∼90分後
より撮像する。なお,相対的なブドウ糖消費の
7. 定期的/変更時の再バリデーション
臓器分布を画像化することのみを目的とする場
1)製造設備
合には,採血は不要である。測定原理等の詳細
a.定期的な再バリデーション
製造管理,品質管理に用いる機器のうち,
は臨床編を参照すること。
校正を必要とする機器について,定期的に
校正を実施し,異常や経時変動がないこと,
2)使用上の注意または取扱いの注意
( 93 )
312
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
基準内であることを確認する。
具体例
b.変更時の再バリデーション
て最低連続3ロットの試験を実施し,適正
製造・品質試験設備の更新,補修,改造
であることを確認した後,臨床に再使用す
などを実施し,対象設備が PET 薬剤の品
ることとする。また,変更に関わる記録を
質に重大な影響を及ぼす可能性のある場合
製品標準書にファイリングすること。
は,影響する可能性のある品質因子につい
具体例
2)製造プロセス
定温度・時間など)
,製造に用いる原材料
a.定期的な再バリデーション(日常的なバ
の規格,メーカー,製造工程そのものの変
リデーション)
更などがあり,その変更が PET 薬剤の品
製造作業に用いる製造記録などにおいて,
質に重大な影響を及ぼす可能性のある場合
定められた手順,基準に従って製造工程管
は,影響する可能性のある品質因子につい
理を実施する。基準に従った結果を与えた
て最低連続3ロットの試験を実施し,適正
ロットのみを臨床に供する。
であることを確認した後,臨床に再使用す
b.変更時の再バリデーション
ることとする。また,変更に関わる記録を
製造工程において,そのパラメータ(設
製品標準書にファイリングすること。
具体例
3)品質
の比較により,分散が大きくなっていない
a.定期的再バリデーション
か,平均値に傾向的な変動がないかを確認
定期的に実施日を設定して(1年に1回
以上)回顧的バリデーションを行う。実施
し,変動が認められた場合は調査対応する。
b.変更時の再バリデーション
法は,回顧的バリデーション実施時の直前
品質試験法(検定法)そのものや,試験
10製造分について品質試験(検定)項目
に用いる機器,試薬の規格,メーカーなど
の平均,分散を求め,過去の蓄積データと
品質試験の結果に重大な影響を及ぼす可能
( 94 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
313
性のある変更を実施した場合は,実際の
質因子が比較的変動しにくいのに対して,
PET 薬剤を用いた試験を最低連続3ロッ
試験自体の困難さや,試験実施による試験
ト実施し,変更前と同等の結果を与えるこ
者(検定者)の被ばくによる不利益を考慮し
とを確認した後変更すること。また,変更
て,定期的な実施としている。これら試験
に関わる記録を製品標準書にファイリング
項目については以下の表に基づいて,定期
すること。
的な試験を実施し,基準内であることを確
c.定期的な品質試験の実施
認する。あわせて過去の試験結果と照らし
一部の品質試験項目については,その品
合わせて,変動傾向がないことを確認する。
2.ClDG 分析証明書
添付書類
3.エタノール分析証明書
Ⅰ.マンノーストリフレート分析証明書
1
8
Ⅱ.[ O]H2O 分析証明書
4.メタノール分析証明書
1
8
Ⅲ.[ O]H2O 分析手順書
5.CH3CN 分析証明書
Ⅳ―1.Na2HPO4 分析証明書
Ⅵ.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
2.NaOH 分析証明書
ジトロン核医学利用専門委員会,
「ポジ
3.1mol/L HCl 分析証明書
トロン核医学利用専門委員会が成熟技術
4.CH3CN 分析証明書
として認定した放射性薬剤の基準(2009
5.アルミナカートリッジ分析証明書
221-245
年改定)
」,RADIOISOTOPES ,
5
8,
(2009)
6.C18カートリッジ分析証明書
1
8
7.[ F]FDG 合成用キット分析証明書
日本核医学会,院内製造された FDG を
8.滅菌バイアル分析証明書
用いて PET 検査を行うためのガイドラ
Ⅴ―1.FDG 分析証明書
イン第2版,平成17年10月,核医学,
4
2
(2005)
(2) アンモニア(13N)注射液
製品標準書
1. 薬剤の名称,成分
1)名称
NH3 注射液)
アンモニア(13N)注射液([13N]
2)成分
( 95 )
314
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2. 合成装置の医療機器承認番号
○○○○○○社製
アンモニア合成装置○○○○
医療機器承認番号:○○○○
3. 原材料及び製品の規格及び試験方法
1)原材料の規格及び試験方法
a.アンモニア(13N)の製造に使用するターゲット水(出発物質及び添加物質)並びにサイクロトロン
【ターゲット水*1)(出発物質)】
*
1)ターゲット水は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
【ターゲット水*1)(添加物質)】
*
1)ターゲット水は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
( 96 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
【アンモニア(13N)の製造に使用するサイクロトロン】
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:○○○○
b.製剤に含まれる他の成分
アンモニア(13N)注射液の調製に以下の薬品を添加する。
*
1)原材料は,肉眼により異常のないことを確認する。
c.合成に使用する試薬,カラム,消耗品,交換部品,ガス
*
1)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
*
2)イオン交換樹脂は Waters 社(Sep-Pak Plus Accell CM)を用いることができる。
*
3)滅菌用フィルタは MILLIPORE 社(Millex-GS)を用いることができる。
*
4)製品バイアルの排気用フィルタは MILLIPORE 社(Dualex)を用いることができる。
*
5)製品バイアルは,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
( 97 )
315
316
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2)製品の規格及び試験方法
2―1)製品の規格及び試験頻度
*
1)頻度
・初めて合成を行うとき,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者を
変更した場合(たとえば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合して
いることを確認する。
・使用日ごとに1回:[13N]
アンモニア薬剤は短期間で放射能が減衰する(半減期は約10分)ため,本装
置で合成された[13N]
アンモニア薬剤は直ちに被検者に投与される必要がある。すなわち,被検者に使用
する[13N]
アンモニア薬剤を合成ごとの全てについて検定を行うことは現実的には不可能である。
したがって,頻度の「使用日ごとに1回」については,現実的方法として,実際に被検者に投与される
1
3
[ N]
アンモニア薬剤を合成する日の最初に,試験的に[13N]
アンモニア薬剤を1回合成(検定合成)し,
これを検定することとする。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・使用日ごとに1回(事後)
:使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検
定を事後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において
適合することを確認する。
( 98 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
317
2―2)製品の試験方法
*
1)ガンマ線測定法
[13N]
アンモニア薬剤の放射能あるいはガンマ線スペクトルの測定は,あらかじめ標準線源によって校
正されたガンマ線スペクトロメータ,井戸型シンチレーション計数装置または井戸型電離箱式キャリブレ
ータ(またはキュリーメータ)により行うものとし,その方法は「ポジトロン核医学利用専門委員会が成
熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 4ガンマ線測定法に準じる。
*
2)エンドトキシン試験法
比濁法によるエンドトキシン測定装置として,和光純薬工業「トキシノメーター」を用いることができ
る。また比色法によるエンドトキシン測定装置として,生化学工業の「ウェルリーダー SK60
3」を用い
ることができる。
*
3)血液培養システム
血液培養システムによる無菌試験法は,「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した
放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 1
1無菌試験法に準じて行う。
血液培養システムによる無菌試験法では,細菌の代謝産物であるガス状化合物によって生じる培養ボト
ルの内圧上昇を,培養ボトルと細い針で接続されたグロスシグナルへの培養液の流入で観察し,試料中の
細菌の有無を判定する。
本法には,オクソイド社血液培養システム「シグナル」を用いることができる。
( 99 )
318
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
*
4)pH 試験紙
pH 試験紙には,Whatman 社「Type CF」及び相当品を用いることができる。
*
5)ラジオ液体クロマトグラフ法
カラムとして島津製作所製 Shim-Pak(内径3.
9mm×長さ1
5
0mm)を使用し,室温で5mmol/L 硝酸
を移動相とするとき,[13N]
アンモニアの保持容量は4.
5mL 前後である。また,カラムとしてウォータ
ーズ社製 Nova-Pak C18(内径3.
9mm×長さ1
5
0mm)を使用し,室温で5mmol/L PIC B-8・アセトニ
トリル(4
0:6
0)を移動相とするとき,[13N]
アンモニアの保持容量は1.
2
5mL 前後である。
*
6)ホルムアルデヒド呈色試薬
ホルムアルデヒド呈色反応試薬として,共立理化学研究所製パックテストを使用することができる。
4.[13N]アンモニアの製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○株式会社
型式:アンモニア合成装置○○○
医療機器承認番号:○○○
2)各ロットに使用する試薬類
[13N]アンモニアは以下の試薬類を用いて製造される。
1)注射用水50mL にエタノール29µ L を添加し,十分混和する。
*
*
2)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[13N]
アンモニアの放射能量のみ
を変更し,他のものに関しては,変更しないこと。
3)製造方法
3―5)洗浄後,生理食塩液によりイオン交換
3―1)10mmol/L エタノール水溶液をターゲ
樹脂に保持された[13N]アンモニアを
溶出し,0.
22 µ m のメンブレンフィル
ットボックスへ充填する。
3―2)エタノールを含む注射用水に陽子を照
タを通して注射用製剤とする。
1
3
(p,α )
N の核反応により,
射して16O
ターゲットボックス内で[13N]アンモ
4)製造手順
ニアを直接生成する。
4―1)ディスポーザブル部品の準備
1
3
3―3)回収液をイオン交換樹脂に通して[ N]
合成に使用する一日ごとの試薬,カ
アンモニアを保持させ,不純成分を通
ラム,消耗品,再利用部品を準備する。
過させる。
イオン交換樹脂は消毒用エタノール,
3―4)イオン交換樹脂を注射用水で洗浄し,
注射用水の順に洗浄する。
4―2)合成装置の準備
残留する不純成分を洗い流す。
( 100 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
合成装置の所定の位置に試薬,カラ
319
原材料は全て一日ごとの使用とし,適
ム,消耗品,廃液バイアル,製品バイ
切に廃棄する。
6―2)合成終了後の後処理は取扱説明書に従
アル,ターゲット回収ラインを取り付
う。
ける。
4―3)合成前準備
パーソナルコンピュータよりイオン
5. 製品の保管条件,有効期間
用時調製し,保存は行わない。
交換樹脂のコンディショニングを実施
する。
生理食塩液20mL をイオン交換樹脂
6. 用法・用量並びに使用上の注意または取扱
いの注意
に通し,注射用水20mL で洗浄する。
4―4)ターゲット水の準備
1)用法・用量
10mmol/L エタノール水溶液をター
ゲットボックスへ充填する。
240∼4800MBq(4∼80MBq/kg 体重)を
静脈内に投与し,早期に撮像する。測定原理等
4―5)[13N]アンモニアの製造
の詳細は臨床編を参照すること。
エタノールを含む注射用水に陽子を
1
3
(p,α )
N の核反応によ
照射して,16O
2)使用上の注意または取扱いの注意
り,ターゲットボックス内で[13N]ア
2―1)使用上の注意
ンモニアを直接生成する。
・一般的注意
1
3
4―6)[ N]アンモニアの回収と合成
診断上の有益性が被ばくによる不利益を上
コンピュータの回収開始ボタンを押
回ると判断される場合にのみ投与することと
し,[13N]アンモニアを含むターゲット
し,投与量は最小限度にとどめること。
水を回収する。回収終了後,合成開始
・高齢者への投与
ボタンを押す。以後,上記製造方法の
一般に高齢者では生理的機能が低下してい
1
3
項に記した方法に従って自動的に[ N]
るので,患者の状態を十分に観察しながら慎
アンモニアを合成する。合成終了後,
重に投与すること。
1
3
[ N]アンモニア溶液は窒素ガス圧によ
・妊婦,授乳婦等への投与
り0.
22 µ m のメンブレンフィルタを通
妊婦または妊娠している可能性のある婦人
して,滅菌バイアル中に回収する。
及び授乳中の婦人には,原則として投与しな
4―7)合成終了後の後処理(連続合成を実施
いことが望ましい。診断上の有益性が被ばく
の場合)
による不利益を上回ると判断される場合のみ
繰り返し合成を実施する場合,生理
投与すること。
食塩液20mL をイオン交換樹脂に通し,
・小児への投与
注射用水20mL で洗浄する。
小児等に対する安全性は確立していない
(現在までのところ,十分な臨床成績が得ら
5)品質検査
れていない)
。診断上の有益性が被ばくによ
上記製品の規格及び試験方法の項に記し
た方法に従って品質検査を行う。
る不利益を上回ると判断される場合のみ慎重
に投与すること。
2―2)取扱いの注意
[13N]アンモニア注射液による被ばくの防
6)合成終了後の手順
6―1)合成装置の再利用部品以外の消耗品と
( 101 )
止・軽減のため,放射線障害防止法,医療法,
320
RADIOISOTOPES
アンモニア合成装置○○○○取扱説明書等に
則り,取り扱うこと。
Vol.
5
8,No.
6
a.定期的な再バリデーション
製造管理,品質管理に用いる機器のうち,
校正を必要とする機器について,定期的に校
7. 定期的/変更時の再バリデーション
正を実施し,異常や経時変動がないこと,基
1)製造設備
準内であることを確認する。
b.変更時の再バリデーション
ロット連続で試験を実施し,適正であること
製造・品質試験設備の更新,補修,改造な
を確認した後,臨床に再使用することとする。
どを実施し,対象設備が PET 薬剤の品質に
また,変更に関わる記録を「製品標準書」に
重大な影響を及ぼす可能性のある場合は,影
ファイリングすること。
響する可能性のある品質因子について最低3
2)製造プロセス
温度・時間など)
,製造に用いる原材料の規
a.定期的な再バリデーション(日常的なバ
格,メーカー,製造工程そのものの変更など
リデーション)
があり,その変更が PET 薬剤の品質に重大
製造作業に用いる製造記録などにおいて,
な影響を及ぼす可能性のある場合は,影響す
定められた手順,基準に従って製造工程管理
る可能性のある品質因子について最低3ロッ
を実施する。基準に従った結果を与えたロッ
ト連続で試験を実施し,適正であることを確
トのみを臨床に供する。
認した後,臨床に再使用することとする。ま
b.変更時の再バリデーション
た,変更に関わる記録を「製品標準書」にファ
製造工程において,そのパラメータ(設定
イリングすること。
3)品質
的な変動がないかを確認し,変動が認められ
a.定期的再バリデーション
た場合は調査対応する。
定期的に実施日を設定して(1年に1回以
上)回顧的バリデーションを行う。実施法は,
b.変更時の再バリデーション
品質試験法(検定法)そのものや,試験に
回顧的バリデーション実施時の直前1
0製造
用いる機器,試薬の規格,メーカーなど品質
分について品質試験(検定)項目の平均,分
試験の結果に重大な影響を及ぼす可能性のあ
散を求め,過去の蓄積データとの比較により,
る変更を実施した場合は,実際の PET 薬剤
分散が大きくなっていないか,平均値に傾向
を用いた試験を最低3ロット連続で実施し,
( 102 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
321
変更前と同等の結果を得られることを確認し
定者)の被ばくによる不利益を考慮して,定
た後変更すること。また,変更に関わる記録
期的な実施としている。これら試験項目につ
を「製品標準書」にファイリングすること。
いては以下の表に基づいて,定期的な試験を
c.定期的な品質試験の実施
実施し,基準内であることを確認する。あわ
一部の品質試験項目については,その品質
因子が比較的変動しにくいのに対して,試験
せて過去の試験結果と照らし合わせて,変動
傾向がないことを確認する。
自体の困難さや,試験実施による試験者(検
添付書類
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
1.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
専門委員会が成熟技術として認定した放射
ジトロン核医学利用専門委員会,ポジトロ
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する参
ン核医学利用専門委員会が成熟技術として
2
9
14
-4
2
(2
0
0
9)
考資料,
RADIOISOTOPES,58,
認定した放射性薬剤の基準(2
009年改定)
,
4.日本核医学会,院内製造された FDG を
221-245
(2009)
RADIOISOTOPES ,
5
8,
用いて PET 検査を行うためのガイドライ
2.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
ン(第2版),平成17年10月,核医学,
4
2
(2005)
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
5.平成16年度厚生労働省科学研究費補助金
専門委員会が成熟技術として認定した放射
医療技術評価総合研究事業
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する解
設における放射線安全の確保に関する研究
247-289
(2009)
説,RADIOISOTOPES ,
5
8,
班編,FDG―PET 検査における安全確保に
3.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
関するガイドライン(2005)
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
(3)水(15O)注射液
製品標準書
1. 薬剤の名称,成分
1)名称:水(15O)注射液(H215O 注射液)
2)成分
2. 合成装置の医療機器承認番号
○○○○○○○社製
○○型水注射液合成装置
3. 原材料及び製品の規格及び試験方法
( 103 )
医療機器承認番号:○○○○○
PET 検査施
322
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
1)原材料の規格及び試験方法
a.[15O]酸素ガスの製造に使用する,ターゲットガス(出発物質)並びにサイクロトロン
【ターゲットガス(出発物質)】
*
1)ターゲットガスは受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
【[15O]酸素ガスの製造に使用するサイクロトロン】
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:○○○○
b.製剤に含まれる他の成分
[15O]水注射液の調製に以下の薬品を添加する。
*
1)原材料は,肉眼により異常のないことを確認する。
c.[15O]酸素ガス,[15O]水合成に使用する消耗品*1)
*
1)通常,[15O]
酸素ガスの製造は,○○○○○○社製「短寿命 RI 標識化合物自動合成システム(○○○○)」
(医療機器承認番号○○○○)のガス状標識化合物自動合成装置を用いる。
*
2)消耗品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
3)原材料は,肉眼により異常のないことを確認する。
( 104 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
d.[15O]水捕集部に使用する消耗品,再利用部品
*
1)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
*
2)バイアル瓶は,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
e.[15O]水注入部に使用する消耗品
*
1)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
( 105 )
323
324
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2)製品の規格及び試験方法
2―1)製品の規格及び試験頻度
*
1)頻度
・初めて合成を行うとき,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者を
変更した場合及び使用時の検定で不適合が生じた場合,全項目の検定を実施し,3ロット連続して適合し
ていることを確認する。
・被検者ごとに1回:被検者に対する1回の PET 検査では,多くの場合が複数回のカメラ撮影を行うこと
になる。[15O]
水注射液は短時間で放射能が減衰する(半減期は約2分)ため,これら一連のカメラ撮影
では,その都度,放射性薬剤[15O]
水注射液を被検者に投与しなければならない。しかも,短時間に放射
能が減衰するため,本装置で合成された[15O]
水注射液は直ちに被検者に投与される必要がある。すなわ
ち,被検者に使用する[15O]
水注射液を合成ごとの全てについて検定を行うことは現実的には不可能と思
われる。
したがって,頻度の「各被検者ごとに1回」については,現実的方法として,一人の被検者の検査(一
連のカメラ撮影)時に実際に被検者に投与される[15O]
水注射液を合成する直前に,試験的に[15O]
水注
射液を1回合成(検定合成)し,これを検定することとする。
・被検者ごとに1回(事後)
:使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検
定を事後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において
適合することを確認する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
( 106 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
325
2―2)製品の試験方法
*
1)ガンマ線測定法
[15O]
水注射液の放射能あるいはガンマ線スペクトルの測定は,あらかじめ標準線源によって校正され
たガンマ線スペクトロメータ,井戸型シンチレーション計数装置または井戸型電離箱式放射能計測器によ
り行うものとし,その方法は「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の
基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 4ガンマ線測定法に準じる。
*
2)エンドトキシン試験法
比濁法によるエンドトキシン測定装置として,和光純薬工業「トキシノメーター」を用いることができ
る。この場合,最低4
0分の観察を行う。また比色法によるエンドトキシン測定装置として,生化学工業
の「ウェルリーダー SK6
0
3」を用いることができる。
*
3)血液培養システム
血液培養システムによる無菌試験法は,「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した
放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 1
1無菌試験法に準じて行う。
血液培養システムによる無菌試験法では,細菌の代謝産物であるガス状化合物によって生じる培養ボト
ルの内圧上昇を,培養ボトルと細い針で接続されたグロスシグナルへの培養液の流入で観察し,試料中の
細菌の有無を判定する。
本法には,オクソイド社血液培養システム「シグナル」を用いることができる。
*
4)pH 試験紙
pH 試験紙には,Whatman 社「Type CF」及び相当品を用いることができる。
( 107 )
326
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
*
5)放射化学的純度分析
ガスクロマトグラフィ分析装置(熱伝導度検出器・放射能検出器)を使用し,
カラム
:液相として PEG2
0M あるいは Carbowax2
0M を使 用 し た キ ャ ピ ラ リ ー カ ラ ム
カラム温度
:4
0℃
注入部温度
:2
5
0℃
検出部温度
:2
0
0℃
(0.
5
3mm×3
0m 相当)
サンプル注入量:5
0µ L
放射能ピークの99% 以上が[15O]
水によることを確認する。
4.[15O]水の合成及び回収,注入方法
1)合成及び回収,注入に使用する装置
製造者名:○○○○株式会社
型式:○○型水注射液合成装置
2)合成及び回収,注入方法
医療機器承認番号:○○○
1―4)準備運転
25∼0.
5% の酸素
2―1)高純度窒素ガスに0.
専用コントローラより1―2)と1―3)で
ガ ス を 添 加 し,重 陽 子 を 照 射 し て,
準備した,シリンジ,配管内の空気の追い
1
4
出し及びバブリングバイアルへの生理食塩
1
5
N
(d,n)
O の核反応により生成した15O2
をソーダライム及び活性炭カラムに通して
1
5
副生成物を除去し,
[ O]酸素ガスを製する。
1
5
2―2)製造した[ O]酸素ガスと水素を,白
液の導入を行う。準備運転は STEP1∼4
まであり,STEP1ではシリンジの空気追
い出し,STEP2ではバブリングバイアル
金を触媒として反応させ,生成された[15O]
に生理食塩液を満たす,STEP3では捕集
水をガラス容器に捕捉し,生理食塩液で回
部側の生理食塩液ラインの空気を抜く,
収して注射製剤とする。
STEP4では被検者への注入ラインを満た
1
5
2―3)回収した[ O]水を専用コントローラ
の操作画面より注入作業を行う。
す操作を行う。各ステップは目視による液
漏れ等の確認を行う。
1―5)前合成(コールド確認)
1
5
5.[ O]水注射液合成装置の準備,使用手順
(操作手順も含む)
状標識化合物自動合成装置からターゲット
1)準備,使用手順
ガスを流す。パーソナルコンピュータの
1―1)ディスポーザブル部品の準備
1
5
準備終了後,コールド確認を行う。ガス
INJECTION CHECK の STEP を実行し,
1
5
[ O]水捕集部,[ O]水注入部に使用す
る消耗品,再利用部品を準備する。
バブリングされることを確かめる。
専用コントローラの操作画面の注入モー
1―2)[15O]水捕集部の準備
ド1∼5を実行する。モード1はバブリン
[15O]水捕集部の所定の位置にエクステ
グを停止し,
[15O]水をチューブに引き込
ンションチューブ,バイアル瓶,注射針,
む。モード2はチューブに引き込んだ[15O]
三方活栓,生理食塩液を取り付ける。
水をループに引く。モード3は注入を実行
1―3)[15O]水注入部の準備
する。モード4はシリンジに生理食塩液を
1
5
[ O]水注入部の所定の位置にエクステ
引く。モード5はバブリングバイアルに生
ンションチューブ,三方活栓,フィルタ,
理食塩液を入れる。注入モードが正常に動
注射針,シリンジ,生理食塩液を取り付ける。
作することを確認する。
( 108 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
1―6)検定合成
327
④放射能計測器表示部の放射能量が注入放射
前合成終了後,検定のための合成を行う。
能量まで減衰したら,注入(開始)キーを押
高純度窒素ガスに0.
25∼0.
5% の酸素ガ
1
4
す。所定の注入速度で被検者に注入される(注
1
5
(d,
n) O
スを添加し,
重陽子を照射して, N
入モード3)。
の核反応により15O を製し,ガス状標識化
臨床責任者は,注入している間に装置に不具
合物自動合成装置にて副生成物を除去し,
合が起こっていないことを観察し,注入が安全
1
5
[ O]酸素ガスを製する。
であることを確認する。
ガス状標識化合物自動合成装置から
注入終了後,自動的にバブリングバイアルに
[15O]水合成部に[15O]酸素ガ ス を 流 し,
生理食塩液が満たされ,再び,バブリングを開
パーソナルコンピュータから合成開始命令
5)。
始し,[15O]水が捕集される(注入モード4,
が専用コントローラに入ると[15O]酸素ガ
[15O]水 捕 集
スか ら[15O]水 を 合 成 す る。
7. 臨床の終了
部で蒸気状態の[15O]水をバブリング補集
臨床終了時は,終了キーを押すことで,終了
し,放射能値の上昇を確認し,必要量(400
モードに移行する。終了モードは,合成部を窒
MBq)の放射能に達したら注入モードを
素パージしながら,クールダウンを行う。
終了モード移行後は,サイクロトロンの照射
順番に実行する。モード3(静注)にてサ
ンプル瓶に[15O]水を注入し,検定に使用
を停止する。
する。静注終了後,速やかにモード4,
5を
実施する。
8. 臨床の中止
臨床責任者は,被検者の状態に変化が見られ
2)品質検査
た場合,また,
「6.臨床手順」に示す装置の動
上記製品の規格及び試験方法の項に記した方
作に異常が見られた場合には,直ちに検査を中
法に従って品質検査を行う。
止する。
6. 臨床手順
置を停止させ,直ちに被検者への注入ラインを
非常停止の場合は,非常停止ボタンを押し装
検定に適合すれば,注入画面に切り替え臨床
外す。
に進む。準備担当者と臨床検査担当者が異なる
場合には,臨床検査前に装置状態の引き継ぎを
9. 臨床終了後の後処理
1)[15O]水捕集部には,放射能が残留してい
行う。
臨床検査担当者は,準備が正常に行われたこ
るので,十分に減衰を待って(30分以上)
とと,注入モード3の条件が希望の値であるこ
から,器具の取り外し等を行う。実行前に,
とを確かめて,引き継ぐ。
安全のために放射線測定装置で残留放射能
臨床を実施するには,被検者への注入ライン
量を確認する。
2)合成装置の再利用部品以外の消耗品と原
を確保した後に,下記手順で実施する。
①準備画面で運転(注入)キーを押す。
材料は一日ごとの使用とし,適切に廃棄す
②注入画面が表示され,RI 製造量が増加す
る。ただし,投与ラインは被検者ごとに交
る(バブリング状態となる)。
換する。
③所定の製造量になれば,吸引(開始)キー
1
5
にて,放射能計測器内のループに[ O]水を
導く(注入モード1,
2)。
( 109 )
3)合成及び臨床終了後の後処理は取扱説明
書に従う。
328
RADIOISOTOPES
10.製品の保管条件,有効期間
Vol.
5
8,No.
6
重に投与すること。
用時調製し,保存は行わない。
・妊婦,授乳婦等への投与
妊婦または妊娠している可能性のある婦人
11.用法・用量並びに使用上の注意または取扱
及び授乳中の婦人には,原則として投与しな
いの注意
いことが望ましい。診断上の有益性が被ばく
1)用法・用量
による不利益を上回ると判断される場合のみ
<持続投与法>
慎重に投与すること。
120∼480MBq/min(2∼8MBq/kg 体重/
・小児への投与
min)を持続的に静脈内に投与し,組織での放
小児等に対する安全性は確立していない
射能が平衡に達してから撮像する。同時に動脈
(現在までのところ,十分な臨床成績が得ら
1
5
血中の O 濃度を測定する。測定原理等の詳細
れていない)。診断上の有益性が被ばくによ
は臨床編を参照すること。
る不利益を上回ると判断される場合のみ慎重
<一回投与法>
に投与すること。
2―2)取扱いの注意
480∼4800MBq(8∼80MBq/kg 体重)を
1回静注し,直後より適当な時間撮像する。こ
[15O]水注射液による被ばくの防止・軽減
の間投与直後より経時的に動脈血中の15O 濃度
のため,放射線障害防止法,医療法,
[15O]
を測定する。
水注射液合成装置取扱説明書等に則り,取り
扱うこと。
2)使用上の注意または取扱いの注意
2―1)使用上の注意
12.定期的/変更時の再バリデーション
・一般的注意
1)製造設備
診断上の有益性が被ばくによる不利益を上
回ると判断される場合にのみ投与することと
a.定期的な再バリデーション
製造管理,品質管理に用いる機器のうち,
し,投与量は最小限度にとどめること。
校正を必要とする機器について,定期的に校
・高齢者への投与
正を実施し,異常や経時変動がないこと,基
一般に高齢者では生理的機能が低下してい
準内であることを確認する。
るので,患者の状態を十分に観察しながら慎
b.変更時の再バリデーション
ロット連続で試験を実施し,適正であること
製造・品質試験設備の更新,補修,改造な
を確認した後,臨床に再使用することとする。
どを実施し,対象設備が PET 薬剤の品質に
また,変更に関わる記録を「製品標準書」に
重大な影響を及ぼす可能性のある場合は,影
ファイリングすること。
響する可能性のある品質因子について最低3
( 110 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
329
2)製造プロセス
温度・時間など)
,製造に用いる原材料の規
a.定期的な再バリデーション(日常的なバ
格,メーカー,製造工程そのものの変更など
リデーション)
があり,その変更が PET 薬剤の品質に重大
製造作業に用いる製造記録などにおいて,
な影響を及ぼす可能性のある場合は,影響す
定められた手順,基準に従って製造工程管理
る可能性のある品質因子について最低3ロッ
を実施する。基準に従った結果を与えたロッ
ト連続で試験を実施し,適正であることを確
トのみを臨床に供する。
認した後,臨床に再使用することとする。ま
b.変更時の再バリデーション
た,変更に関わる記録を「製品標準書」にファ
製造工程において,そのパラメータ(設定
イリングすること。
3)品質
を用いた試験を最低3ロット連続で実施し,
a.定期的再バリデーション
変更前と同等の結果を得られることを確認し
定期的に実施日を設定して(1年に1回以
た後変更すること。また,変更に関わる記録
上)回顧的バリデーションを行う。実施法は,
を「製品標準書」にファイリングすること。
回顧的バリデーション実施時の直前1
0製造
c.定期的な品質試験の実施
分について品質試験(検定)項目の平均,分
一部の品質試験項目については,その品質
散を求め,過去の蓄積データとの比較により,
因子が比較的変動しにくいのに対して,試験
分散が大きくなっていないか,平均値に傾向
自体の困難さや,試験実施による試験者(検
的な変動がないかを確認し,変動が認められ
定者)の被ばくによる不利益を考慮して,定
た場合は調査対応する。
期的な実施としている。これら試験項目につ
b.変更時の再バリデーション
いては以下の表に基づいて,定期的な試験を
品質試験法(検定法)そのものや,試験に
実施し,基準内であることを確認する。あわ
用いる機器,試薬の規格,メーカーなど品質
せて過去の試験結果と照らし合わせて,変動
試験の結果に重大な影響を及ぼす可能性のあ
傾向がないことを確認する。
る変更を実施した場合は,実際の PET 薬剤
( 111 )
330
RADIOISOTOPES
添付書類
Vol.
5
8,No.
6
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
1.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
専門委員会が成熟技術として認定した放射
ジトロン核医学利用専門委員会,ポジトロ
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する参
2914
-4
2
(2
0
0
9)
考資料,RADIOISOTOPES,
5
8,
ン核医学利用専門委員会が成熟技術として
4.日本核医学会,院内製造された FDG を
認定した放射性薬剤の基準(2
009年改定),
221-245
(2009)
RADIOISOTOPES ,
5
8,
用いて PET 検査を行うためのガイドライ
2.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
ン(第2版),平成17年10月,核医学,
4
2
(2005)
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
5.平成16年度厚生労働省科学研究費補助金
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
専門委員会が成熟技術として認定した放射
医療技術評価総合研究事業
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する解
設における放射線安全の確保に関する研究
247-289
(2009)
説,RADIOISOTOPES ,
5
8,
班,編,FDG―PET 検査における安全確保
3.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
に関するガイドライン(2005)
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
(4) L―メチオニン(11C)注射液
製品標準書
1. 薬剤の名称,成分
1)名称
L―メチオニン(11C)注射液
2)成分
2. 合成装置
○○○○○○社製
ヨウ化メチル合成装置
○○○○○○社製 [11C]メチオニン合成装置
PET 検査施
医療機器承認番号:○○○○
3. 原料及び製品の規格及び試験方法
1)原材料の規格及び試験方法
a.有機化合物(主な原料)
( 112 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
331
*
1)L―ホモシステインチオラクトン塩酸塩は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
b.[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造に使用するターゲットガス(出発物質)並びにサイクロトロン
【ターゲットガス(出発物質)】
*
1)ターゲットガスは受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
【[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造に使用するサイクロトロン】
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:○○○○
c.製剤に含まれる他の成分
L―メチオニン(11C)注射液の調製に以下の薬品を添加する。
*
1)生理食塩液は受け入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は,肉眼により異常のないことを確認する。
( 113 )
332
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
d.[11C]ヨウ化メチルの合成に使用する試薬,消耗品,交換部品
d―1.気相法による[11C]ヨウ化メチル合成に使用する試薬*1),消耗品
*
1)試薬の取り扱いは排気装置を備えたドラフト内で行い,試薬の飛散,吸引等に注意して作業すること。
使用する器具及びガラス管は十分に乾燥したものを使用する。
*
2)試薬,消耗品は受け入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
3)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。使用期間,使用回数に達していない場合でも,
試薬,部品の劣化が認められれば交換する。
d―2.液相法による[11C]ヨウ化メチル合成に使用する試薬*1),消耗品,交換部品
*
1)試薬の取り扱いは排気装置を備えたドラフト内で行い,試薬の飛散,吸引等に注意して作業すること。
使用する器具及びガラス管は十分に乾燥したものを使用する。
*
2)試薬,消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
3)試薬,消耗品,交換部品は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
( 114 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
333
*
4)1.
0mol/L LiAlH4/THF を THF 溶液にて0.
1mol/L に希釈して使用する。
0.
1mol/L LiAlH4/THF は ABX 社を用いることもできる。
1
1
e.[ C]メチオニンの合成に使用する試薬,消耗品,交換部品
e―1.試薬
*
1)試薬は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)試薬は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
e―2.消耗品,交換部品
*
1)消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
*
3)C1
8カートリッジカラムは Waters 社(Sep-Pak Plus C1
8)を用いることができる。
*
4)アクセル QMA ライトカートリッジカラム(Sep-Pak Light Accell QMA)は Waters 社の製品である。
*
5)アクセル CM カートリッジカラム(Sep-Pak Plus Accell CM)は Waters 社の製品である。
*
6)滅菌用フィルタは MILLIPORE 社(Millex-GS)を用いることができる。
*
7)製品バイアルの排気用フィルタは MILLIPORE 社(Dualex)を用いることができる。
*
8)製品バイアルは,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
( 115 )
334
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
f.標準物質
以下の化合物を L―[11C]メチオニン注射液の品質管理用として用いる。
*
1)各標準物質は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
2)製品の規格及び試験方法
2―1)製品の規格及び試験頻度
*
1)頻度
・初めて合成を行うとき,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者を
変更した場合(たとえば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合して
いることを確認する。
・毎合成後:毎回の合成後,検定を実施する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・毎合成後(事後):使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事後
検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合する
ことを確認する。
( 116 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
335
2―2)製品の試験方法
*
1)ガンマ線測定法
L[
― 11C]
メチオニン薬剤の放射能あるいはガンマ線スペクトルの測定は,あらかじめ標準線源によって
校正されたガンマ線スペクトロメータ,井戸型シンチレーション計数装置または井戸型電離箱式キャリブ
レータ(またはキュリーメータ)により行うものとし,その方法は「ポジトロン核医学利用専門委員会が
成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 4 ガンマ線測定法に準じる。
*
2)エンドトキシン試験法
比濁法によるエンドトキシン測定装置として,和光純薬工業「トキシノメーター」を用いることができ
る。また比色法によるエンドトキシン測定装置として,生化学工業「ウェルリーダー SK60
3」を用いる
ことができる。
*
3)血液培養システム
血液培養法による無菌試験法は,「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性
薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 1
1 無菌試験法に準じて行う。
血液培養システムによる試験法では,細菌の代謝物であるガス状化合物によって生じる培養ボトルの内
圧上昇を,溶液ボトルと細い針で接続されたグロスシグナルへの培養液の流入を観察することにより,試
料中の細菌の有無を判定する。
本法にはオクソイド社血液培養システム「シグナル」を用いることができる。
( 117 )
336
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
*
4)pH 試験紙
pH 試験紙には,Whatman 社「Type CF」及び相当品を用いることができる。
*
5)ラジオ薄層クロマトグラフ法
酢酸エチル:2
0% 塩化カリウム水溶液(5:9
5)を展開溶媒としてシリカゲル薄層クロマトグラフ法に
より行うとき,メチオニンの Rf 値は0.
8
3前後である。
*
6)ラジオ液体クロマトグラフ法
CAPCELL PAK C1
8UG1
2
0(資生堂
内径4.
6mm×長さ2
5
0mm)のカラムを使用し,1
0mmol/L ギ
酸アンモニウム水溶液を溶離液として流速2mL/min で溶出したとき,L[
― 11C]
メチオニンの保持時間は
約2.
8分である。PARTISIL1
0SCX 4.
6mm×2
5
0mm(Whatman)のカラムを使用し,5
0mmol/L ク
エン酸/クエン酸ナトリウム(1
0/1)水溶液を溶離液として流速2mL/min で溶出したとき,L[
― 11C]
メチ
オニンの保持時間は約3.
4分である。
*
7)ガスクロマトグラフ法
水素炎イオン化検出器(FID)を備えたガスクロマトグラフ法にて測定する。カラムとして TSG-115
% SHINCARBON A6
0/8
0 3.
2×31
0
0mm(島津製作所)を用い,カラム温度90℃,インジェクタ温
度1
8
0℃,
FID温度1
8
0℃,
キャリア窒素ガス7
0kPaの条件で測定したときのエタノールの保持時間は4.
1
分前後である。
4.[11C]ヨウ化メチルの製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:ヨウ化メチル合成装置
2)製造方法は次のいずれかによる。
または,[11C]ヨウ化メチルを更に AgOTf カ
2―1)ヨウ化メチル合成法(気相法)
ラムに通して[11C]メチルトリフレートとし,
高 純 度 窒 素 ガ ス に 陽 子 を 照 射 し て,
[11C]メチオニン合成装置に供給する。
1
1
N
(p, α )
C の核反応で生成した[11C]
CO2
1
4
を,Shimalite Ni/Molecular Sieve カラムに
3)製造手順は次のいずれかによる。
捕集し,電気炉で加熱し,水素ガスを流して
3―1)ヨウ化メチル合成法(気相法)
1
1
1
1
還元し,[ C]メタンを製造する。[ C]メタ
ンを7
0∼90℃に加熱したヨウ素カラ ム と
①カラム類の準備
ヨウ素カラムにヨウ素を充填し,加熱用
680∼730℃に加熱した反応炉に通し,[11C]
ヒーターカバーを取り付け,所定の反応炉
ヨウ化メチルとし,[11C]メチオニン合成装
に設置する。アスカライトカラムにアスカ
1
1
置に供給する。または,
[ C]ヨウ化メチル
1
1
ライトを充填し,所定の位置にセットする。
を更に AgOTf カラムに通して[ C]メチル
トリフレートカラムに AgOTf を充填し,
トリフレートとし,[11C]メチオニン合成装
所定の反応炉に設置する。
置に供給する。
②合成装置の確認
2―2)ヨウ化メチル合成法(液相法)
合成装置のメチルトリフレート供給配管,
高 純 度 窒 素 ガ ス に 陽 子 を 照 射 し て,
1
1
N
(p,α )
C の核反応で生 成 し た11CO2 を,
1
4
水素化アルミニウムリチウムで還元して,ヨ
1
1
ウ化水素酸と反応させ[ C]ヨウ化メチル
1
1
とし,[ C]メチオニン合成装置に供給する。
( 118 )
ターゲット回収ライン,Waste 配管ライ
ン及びカラム類の確認を行う。
③合成前準備
パーソナルコンピュータの準備開始ボタ
ンを押し,設置したカラムと配管のフロー
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
テスト,リークテスト,ヒーティングテス
337
パーソナルコンピュータより第1反応器,
トを実施する。全てのテストに合格すると
アスカライト管のフローテスト,リークテ
準備完了ボタンが点灯し,合成が開始でき
スト,パージを実施する。
る状態になる。
CO2 の製造
④[11C]
1
1
CO2 の製造
④[ C]
0.
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度窒
0.
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度窒
1
1
(p, α )
Cの
素ガスに陽子を照射して14N
1
1
(p, α )
Cの
素ガスに陽子を照射して14N
CO2 を製する。
核反応により[11C]
CO2 を製する。
核反応により[11C]
⑤LiAlH4/THF の注入
CO2 の回収
⑤[11C]
照射終了直前に,−20℃ に冷却した第1
1
1
CO2 を含むターゲットガスを回収
[ C]
し,Shimalite Ni/Molecular Sieve のカラ
1
1
反応器に0.
1mol/L LiAlH4/THF を注入す
る。
CO2 の回収
⑥[11C]
CO2 を捕集する。
ムに[ C]
CO2 を含むターゲットガスを回収
[11C]
⑥合成の開始
回収終了後,合成プログラムをスタート
させ,上記製造方法の項に記した方法に従
1
1
って[ C]ヨウ化メチルを合成する。また
は,[11C]ヨウ化メチルを更に AgOTf カラ
1
1
し,
0.
1mol/L LiAlH4/THF 溶液中に[11C]
CO2 を捕集する。
⑦合成の開始
回収終了後,合成プログラムをスタート
ムに通して[ C]メチルトリフレートに変
させ,上記製造方法の項に記した方法に従
換する。
って[11C]ヨウ化メチルを合成する。また
⑦[11C]ヨウ化メチル,[11C]メチルトリフ
は,[11C]ヨウ化メチルを更に AgOTf カラ
ムに通して[11C]メチルトリフレートに変
レートの供給
合成終了後,[11C]メチオニン合成装置
1
1
1
1
に[ C]ヨウ化メチルまたは[ C]メチル
トリフレートを供給する。
換する。
⑧[11C]ヨウ化メチル,[11C]メチルトリフ
レートの供給
合成終了後,
[11C]メチオニン合成装置
3―2)ヨウ化メチル合成法(液相法)
に[11C]ヨウ化メチルまたは[11C]メチル
①合成ユニットの準備
アスカライト管にアスカライトと五酸化
トリフレートを供給する。
リンを充填する。V バイアルにヨウ化水素
酸を注入する。合成ユニットの所定の位置
4)合成終了後の手順
に第1反応器,アスカライト管,V バイア
4―1)合成に使用する試薬,消耗品,交換部
ルを取り付ける。
品は取扱説明書に従う。ただし,使用期限,
②合成ユニットの確認
使用回数に達していない場合でも部品の劣
合成ユニットのヨウ化メチル供給配管,
ターゲット回収ライン,Waste 配管ライ
化が認められる場合は交換する。
4―2)合成装置の再利用部品以外の消耗品と
原材料は全て単回使用とし,適切に廃棄す
ンの確認を行う。
る。
③合成前準備
4―3)合成終了後の後処理は取扱説明書に従う。
― 11C]メチオニンの製造方法及び手順
5. L[
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○株式会社
型式:[11C]メチオニン合成装置
( 119 )
医療機器承認番号:○○○
338
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2)各ロットに使用する試薬類
L―
[11C]メチオニン注射液の各ロットは以下の試薬類を用いて製造する。
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[11C]
メチルトリフレートの放射
能量のみを変更し,他のものに関しては,変更しないこと。
*
2)L―ホモシステインチオラクトン塩酸塩3mg を0.
1mol/L 水酸化ナトリウム水溶液0.
5mL に溶解して
調製する。1回の合成で0.
2mL 使用する。
3)製造方法
合成装置のメチルトリフレート供給配
[11C]メチ
3―1)ヨウ化メチル合成装置より,
管,Waste 配管,使用するボンベの確
ルトリフレートを移送する。
認を行う。パーソナルコンピュータで
3―2)L―ホモシステインチオラクトン塩酸塩/
0.
1mol/L NaOH 水溶液を加えた SepPak Plus C18に[11C]メチルトリフレ
ートを回収し,反応させる。
準 備 状 況 を 確 認 し,「Preparation」画
面に移行する。
4―3)合成装置内の流路の洗浄
消毒用エタノールと注射用水で合成装
3―3)反応後,生理食塩液で Sep-Pak Plus C18
置内の流路を洗浄し,ヘリウムガスで
から反応生成物を洗い流し,QMA カ
パージを行う。
ートリッジカラム(陰イオン交換カラ
4―4)合成原料の準備
ム),CM カートリッジカラム(陽イオ
L―ホモシステインチオラクトン塩酸塩
ン 交 換 カ ラ ム)で 中 和 し,
0.
22 µ m の
3mg に0.
1mol/L
メンブレンフィルタを通して注射用製
mL を加え溶解し,調製した0.
2mL を
剤とする。
Sep-Pak Plus C1
8に導入する。
NaOH 水 溶 液0.
5
4―5)QMA カートリッジカラムの調製
4)製造手順
消毒用エタノールに保存していたカラ
4―1)Sep-Pak Plus C18の準備
ム を 取 り 出 し,1mol/L NaOH 溶 液5
消毒用エタノール中に保存していたカ
mL を通し,樹脂のイオン型を OH―型
ラムを取り出し,
70∼80℃の乾燥機で
とした後,注射用水で洗浄する。
4―6)CM カートリッジカラムの調製
8時間以上乾燥させる。
4―2)合成装置の準備
消毒用エタノールに保存していたカラ
( 120 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
ムを取り出し,注射用水で洗浄する。
339
6―2)合成終了後の後処理は取扱説明書に従
4―7)Sep-Pak Plus C18の取り付け
う。
Sep-Pak Plus C1
8を合成装置の所定の
6. 製品の保管条件,有効期間
位置に取り付ける。
4―8)中和用カラムの取り付け
用時調製し,保存は行わない。
CM カート リ ッ ジ カ ラ ム,QMA カ ー
トリッジカラム,その他の配管を所定
7. 用法・用量並びに使用上の注意または取扱
の順に取り付け,合成装置にセットす
いの注意
る。
1)用法・用量
4―9)生理食塩液バイアル,製品バイアルの
180∼1800MBq(3∼3
0MBq/kg 体重)
取り付け
を静脈内に1回投与し,連続または1回撮像
生理食塩液4mL を入れた生理食塩液
する。投定量的測定を目的とするときは,動
バイアルと製品バイアルを所定の位置
脈血中の放射能及び総メチオニン量を測定す
にセットする。
る。測定原理等の詳細は臨床編を参照するこ
4―10)ヨウ化メチル合成装置の準備
と。
1
1
ヨウ化メチル合成装置で[ C]ヨウ化
メチルを合成し,[11C]メチルトリフ
2)使用上の注意または取扱いの注意
レートに変換する。
2―1)使用上の注意
1
1
4―11)[ C]メチルトリフレートの回収と合
成の開始
・一般的注意
診断上の有益性が被ばくによる不利益を
パーソナルコンピュータの合成開始ボ
上回ると判断される場合にのみ投与するこ
タンを押し,ヨウ化メチル合成装置か
ととし,投与量は最小限度にとどめること。
1
1
ら[ C]メチルトリフレートを回収し,
・高齢者への投与
合成を開始する。以後,上記製造方法
一般に高齢者では生理的機能が低下して
の項で記した方法に従って自動的に
いるので,患者の状態を十分に観察しなが
L―
[11C]メチオニンを合成する。
ら慎重に投与すること。
1
1
4―12)L―[ C]メチオニンの回収
・妊婦,授乳婦等への投与
合成終了後,L―[11C]メチオニン溶液
妊婦または妊娠している可能性のある婦
はヘリウムガス圧により0.
22 µ m の
人及び授乳中の婦人には,原則として投与
メンブレンフィルタを通して,製品バ
しないことが望ましい。診断上の有益性が
イアル中に回収する。
被ばくによる不利益を上回ると判断される
場合のみ慎重に投与すること。
5)品質検査
・小児への投与
上記製品の規格及び試験方法の項に記した
方法に従って品質検査を行う。
小児等に対する安全性は確立していない
(現在までのところ,十分な臨床成績が得
られていない)
。診断上の有益性が被ばく
6)合成終了後の手順
による不利益を上回ると判断される場合の
6―1)合成装置の再利用部品以外の消耗品と
み慎重に投与すること。
原材料は全て単回使用とし,適切に廃棄す
る。
( 121 )
340
RADIOISOTOPES
2―2)取扱いの注意
8. 定期的/変更時の再バリデーション
1
1
L―
[
Vol.
5
8,No.
6
C]メチオニン注射液による被ばくの
防止・軽減のため,放射線障害防止法,医療
1
1
法,ヨウ化メチル合成装置取扱説明書,
[ C]
1)製造設備
a.定期的な再バリデーション
製造管理,品質管理に用いる機器のうち,
メチオニン合成装置取扱説明書等に則り,取
校正を必要とする機器について,定期的に校
り扱うこと。
正を実施し,異常や経時変動がないこと,基
準内であることを確認する。
b.変更時の再バリデーション
ロット連続で試験を実施し,適正であること
製造・品質試験設備の更新,補修,改造な
を確認した後,臨床に再使用することとする。
どを実施し,対象設備が PET 薬剤の品質に
また,変更に関わる記録を「製品標準書」に
重大な影響を及ぼす可能性のある場合は,影
ファイリングすること。
響する可能性のある品質因子について最低3
2)製造プロセス
温度・時間など)
,製造に用いる原材料の規
a.定期的な再バリデーション(日常的なバ
格,メーカー,製造工程そのものの変更など
リデーション)
があり,その変更が PET 薬剤の品質に重大
製造作業に用いる製造記録などにおいて,
な影響を及ぼす可能性のある場合は,影響す
定められた手順,基準に従って製造工程管理
る可能性のある品質因子について最低3ロッ
を実施する。基準に従った結果を与えたロッ
ト連続で試験を実施し,適正であることを確
トのみを臨床に供する。
認した後,臨床に再使用することとする。ま
b.変更時の再バリデーション
た,変更に関わる記録を「製品標準書」にフ
製造工程において,そのパラメータ(設定
ァイリングすること。
3)品質
分散が大きくなっていないか,平均値に傾向
a.定期的再バリデーション
的な変動がないかを確認し,変動が認められ
定期的に実施日を設定して(1年に1回以
上)回顧的バリデーションを行う。実施法は,
た場合は調査対応する。
b.変更時の再バリデーション
回顧的バリデーション実施時の直前1
0製造
品質試験法(検定法)そのものや,試験に
分について品質試験(検定)項目の平均,分
用いる機器,試薬の規格,メーカーなど品質
散を求め,過去の蓄積データとの比較により,
試験の結果に重大な影響を及ぼす可能性のあ
( 122 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
341
る変更を実施した場合は,実際の PET 薬剤
自体の困難さや,試験実施による試験者(検
を用いた試験を最低3ロット連続で実施し,
定者)の被ばくによる不利益を考慮して,定
変更前と同等の結果を得られることを確認し
期的な実施としている。これら試験項目につ
た後変更すること。また,変更に関わる記録
いては以下の表に基づいて,定期的な試験を
を「製品標準書」にファイリングすること。
実施し,基準内であることを確認する。あわ
c.定期的な品質試験の実施
せて過去の試験結果と照らし合わせて,変動
一部の品質試験項目については,その品質
傾向がないことを確認する。
因子が比較的変動しにくいのに対して,試験
添付書類
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
1.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
専門委員会が成熟技術として認定した放射
ジトロン核医学利用専門委員会,ポジトロ
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する参
2914
-4
2
(2
0
0
9)
考資料,RADIOISOTOPES,
5
8,
ン核医学利用専門委員会が成熟技術として
認定した放射性薬剤の基準(2
009年改定)
,
4.日本核医学会,院内製造された FDG を
221-245
(2009)
RADIOISOTOPES ,
5
8,
用いて PET 検査を行うためのガイドライ
2.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
ン(第2版),平成17年10月,核医学,
4
2
(2005)
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
5.平成16年度厚生労働省科学研究費補助金
専門委員会が成熟技術として認定した放射
医療技術評価総合研究事業 PET 検査施設
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する解
における放射線安全の確保に関する研究班
247-289
(2009)
説,RADIOISOTOPES ,
5
8,
3.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
(5) 酢酸(11C)注射液
製品標準書
1.薬剤の名称,成分
1)名称
酢酸(11C)注射液
2)成分
( 123 )
編,FDG―PET 検査における安全確保に関
するガイドライン(2005)
342
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2. 合成装置
○○○○○○社製
1
1
C 多目的合成装置
3. 原材料及び製品の規格及び試験方法
1)原材料の規格及び試験方法
a.[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造に使用するターゲットガス(出発物質)並びにサイクロトロン
【ターゲットガス(出発物質)】
*
1)ターゲットガスは受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
【[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造に使用するサイクロトロン】
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:○○○○
b.製剤に含まれる他の成分
[11C]酢酸注射液の調製に以下の薬品を添加する。
*
1)生理食塩液は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は,肉眼により異常のないことを確認する。
c.[11C]酢酸の合成に使用する試薬,消耗品,交換部品
c―1.試薬
( 124 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
343
*
1)試薬は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)試薬は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
*
3)1mol/L CH3MgBr/THF を THF 溶液にて0.
3∼0.
5mol/L に希釈して使用する。試薬の取り扱いは
排気装置を備えたドラフト内で行い,試薬の飛散,吸引等に注意して作業すること。使用する器具及びガ
ラス管は十分に乾燥したものを使用する。
c―2.消耗品,交換部品
*
1)消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
*
3)滅菌用フィルタは MILLIPORE 社(Millex-GS)を用いることができる。
*
4)製品バイアルの排気用フィルタは MILLIPORE 社(Dualex)を用いることができる。
*
5)固相抽出カラムは,ダイオネクス社の OnGuard-Ag,OnGuard-H を用いることができる。
*
6)製品バイアルなどのガラス類は,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
d.標準物質
以下の化合物を[11C]酢酸注射液の品質管理用として用いる。
*
1)標準物質は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
( 125 )
344
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2)製品の規格及び試験方法
2―1)製品の規格及び試験頻度
*
1)頻度
・初めて合成を行うとき,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者
を変更した場合(たとえば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合
していることを確認する。
・毎合成後:毎回の合成後,検定を実施する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・毎合成後(事後):使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事
後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合
することを確認する。
( 126 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
345
2―2)製品の試験方法
*
1)ガンマ線測定法
[11C]
酢酸薬剤の放射能あるいはガンマ線スペクトルの測定は,あらかじめ標準線源によって校正され
たガンマ線スペクトロメータ,井戸型シンチレーション計数装置または井戸型電離箱式キャリブレータ(ま
たはキュリーメータ)により行うものとし,その方法は「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術と
して認定した放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 4 ガンマ線測定法に準じる。
*
2)エンドトキシン試験法
比濁法によるエンドトキシン測定装置として,和光純薬工業「トキシノメーター」を用いることができ
る。また比色法によるエンドトキシン測定装置として,生化学工業「ウェルリーダー SK60
3」を用いる
ことができる。
*
3)血液培養システム
血液培養法による無菌試験法は,「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性
薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 1
1 無菌試験法に準じて行う。
血液培養システムによる試験法では,細菌の代謝物であるガス状化合物によって生じる培養ボトルの内
圧上昇を,溶液ボトルと細い針で接続されたグロスシグナルへの培養液の流入を観察することにより,試
料中の細菌の有無を判定する。
本法にはオクソイド社血液培養システム「シグナル」を用いることができる。
*
4)pH 試験紙
pH 試験紙には,Whatman 社「Type CF」及び相当品を用いることができる。
( 127 )
346
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
*
5)ラジオ液体クロマトグラフ法
Whatman 社製の Partisil10SAX(内径4.
6mm×長さ2
5
0mm)を使用し,室温で1
0mmol/L リン酸
二水素ナトリウムを移動相とするとき,[11C]
酢酸の保持容量は1
1.
8mL 前後である。また,カラムとし
て,Merck 社製リクロソルブ(内径7.
5mm×長さ3
0
0mm)を使用し,4
0℃で水を移動相とするとき,
[11C]
酢酸の保持容量は9.
6mL 前後である。
4.[11C]酢酸の製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
型式:11C 多目的合成装置
製造者名:○○○○○○株式会社
2)各ロットに使用する試薬類
[11C]酢酸は以下の試薬類を用いて製造する。
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[11C]
CO2 の放射能量のみを変更
し,他のものに関しては,変更しないこと。
3)製造方法
4)製造手順
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度
3―1)0.
4―1)酢酸トレイの準備
1
1
(p, α )
C
窒素ガスに陽子 を 照 射 し て14N
1
1
CO2 を製する。
の核反応により[ C]
酢酸反応器,塩酸用注入管,蒸留水用注
入管を酢酸トレイに取り付ける。
1
1
CO2 を含むターゲットガスを液体
3―2)[ C]
1
1
CO2
窒素下のループコイルに回収し,[ C]
を捕集する。
4―2)固相抽出カラムの準備
OnGuard-Ag と OnGuard-H を 接 続 し,
注射用水2
0mL で洗浄する。洗浄 後,酢
CO2 を20mL/min の流
3―3)濃縮した[11C]
速の窒素気流下で ,0.
3 ∼ 0.
5 mol / L
CH3MgBr/THF 溶液に反応させる。
酸トレイの所定の位置に取り付ける。
4―3)合成ユニットの確認
酢酸トレイを合成ユニットに取り付け,
3―4)反応液に1mol/L 塩酸を加え,加水分
解を行い,
[11C]酢酸を生成して固相抽出
ターゲット回収ライン,反応液移送ライン,
Waste 配管ラインの確認を行う。
4―4)濃縮ユニットの準備
カラムで精製する。
3―5)精製後,濃縮ユニットで溶媒の除去を
濃縮フラスコに炭酸水素ナトリウム注射
行い,残渣を生理食塩液に溶かし,
0.
22 µ m
液0.
5mL を注入し,所定の位置に取り付
のメンブレンフィルタを通して注射用製剤
ける。生理食塩液5∼10mL を注入した
とする。
バイアルを取り付ける。
4―5)製品バイアルの取り付け
( 128 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
製品バイアルを所定の位置に取り付ける。
347
う。
4―6)合成前準備
パーソナルコンピュータより酢酸反応器
5. 製品の保管条件,有効期間
用時調製し,保存は行わない。
のフローテスト,リークテスト,パージを
実施する。
6. 用法・用量並びに使用上の注意または取扱
4―7)試薬の準備
塩酸用注入管に塩酸0.
5mL,蒸留水用
注入管に注射用水2mL を注入する。酢酸
反応器を冷却しながら,0.
3∼0.
5mol/L
4mL を 注 入 す る。
CH3MgBr/THF 溶 液0.
1
1
CO2 トラップの準備
4―8)[ C]
いの注意
1)用法・用量
360∼960MBq(6∼16MBq/kg 体重)
を静脈内になるべくボーラスで投与し,直後
より30秒 ∼2分ごとに15∼30分間のダイ
1
1
デュワー瓶に液体窒素を注入し,[ C]
CO2 トラップに用いるループコイルを液体
ナミックスキャンを行う。測定原理等の詳細
は臨床編を参照すること。
窒素に浸す。
CO2 の製造
4―9)[11C]
2)使用上の注意または取扱いの注意
0.
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度窒
1
1
(p, α )
Cの
素ガスに陽子を照射して14N
1
1
CO2 を製する。
核反応により[ C]
2―1)使用上の注意
・一般的注意
診断上の有益性が被ばくによる不利益を
1
1
CO2 の回収
4―10)[ C]
上回ると判断される場合にのみ投与するこ
1
1
CO2 を含むターゲットガスを液体
[ C]
CO2
窒素下のループコイルに回収し,[11C]
を捕集する。
ととし,投与量は最小限度にとどめること。
・高齢者への投与
一般に高齢者では生理的機能が低下して
4―11)合成の開始
いるので,患者の状態を十分に観察しなが
回収終了後,合成プログラムをスタート
ら慎重に投与すること。
させ,上記製造方法の項に記した方法に従
・妊婦,授乳婦等への投与
って[11C]酢酸を合成する。
妊婦または妊娠している可能性のある婦
1
1
4―12)[ C]酢酸の回収
人及び授乳中の婦人には,原則として投与
1
1
合成終了後,[ C]酢酸溶液は窒素ガス
しないことが望ましい。診断上の有益性が
圧により0.
22 µ m のメンブレンフィルタ
被ばくによる不利益を上回ると判断される
を通して,製品バイアル中に回収する。
場合のみ慎重に投与すること。
・小児への投与
5)品質検査
小児等に対する安全性は確立していない
上記製品の規格及び試験方法の項に記した
方法に従って品質検査を行う。
(現在までのところ,十分な臨床成績が得
られていない)
。診断上の有益性が被ばく
による不利益を上回ると判断される場合の
6)合成終了後の手順
み慎重に投与すること。
6―1)合成装置の再利用部品以外の消耗品と
原材料は全て単回使用とし,適切に廃棄
2―2)取扱いの注意
[11C]酢酸注射液による被ばくの防止・軽
減のため,放射線障害防止法,医療法,11C
する。
6―2)合成終了後の後処理は取扱説明書に従
( 129 )
多目的合成装置酢酸取扱説明書等に則り,取
348
RADIOISOTOPES
り扱うこと。
Vol.
5
8,No.
6
製造管理,品質管理に用いる機器のうち,
校正を必要とする機器について,定期的に校
7. 定期的/変更時の再バリデーション
正を実施し,異常や経時変動がないこと,基
1)製造設備
準内であることを確認する。
a.定期的な再バリデーション
b.変更時の再バリデーション
ロット連続で試験を実施し,適正であること
製造・品質試験設備の更新,補修,改造な
を確認した後,臨床に再使用することとする。
どを実施し,対象設備が PET 薬剤の品質に
また,変更に関わる記録を「製品標準書」に
重大な影響を及ぼす可能性のある場合は,影
ファイリングすること。
響する可能性のある品質因子について最低3
2)製造プロセス
温度・時間など)
,製造に用いる原材料の規
a.定期的な再バリデーション(日常的なバ
格,メーカー,製造工程そのものの変更など
リデーション)
があり,その変更が PET 薬剤の品質に重大
製造作業に用いる製造記録などにおいて,
な影響を及ぼす可能性のある場合は,影響す
定められた手順,基準に従って製造工程管理
る可能性のある品質因子について最低3ロッ
を実施する。基準に従った結果を与えたロッ
ト連続で試験を実施し,適正であることを確
トのみを臨床に供する。
認した後,臨床に再使用することとする。ま
b.変更時の再バリデーション
た,変更に関わる記録を「製品標準書」にフ
製造工程において,そのパラメータ(設定
ァイリングすること。
3)品質
た場合は調査対応する。
a.定期的再バリデーション
b.変更時の再バリデーション
定期的に実施日を設定して(1年に1回以
品質試験法(検定法)そのものや,試験に
上)回顧的バリデーションを行う。実施法は,
用いる機器,試薬の規格,メーカーなど品質
回顧的バリデーション実施時の直前1
0製造
試験の結果に重大な影響を及ぼす可能性のあ
分について品質試験(検定)項目の平均,分
る変更を実施した場合は,実際の PET 薬剤
散を求め,過去の蓄積データとの比較により,
を用いた試験を最低3ロット連続で実施し,
分散が大きくなっていないか,平均値に傾向
変更前と同等の結果を得られることを確認し
的な変動がないかを確認し,変動が認められ
た後変更すること。また,変更に関わる記録
( 130 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
349
を「製品標準書」にファイリングすること。
期的な実施としている。これら試験項目につ
c.定期的な品質試験の実施
いては以下の表に基づいて,定期的な試験を
一部の品質試験項目については,その品質
実施し,基準内であることを確認する。あわ
因子が比較的変動しにくいのに対して,試験
せて過去の試験結果と照らし合わせて,変動
自体の困難さや,試験実施による試験者(検
傾向がないことを確認する。
定者)の被ばくによる不利益を考慮して,定
添付書類
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
1.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
専門委員会が成熟技術として認定した放射
ジトロン核医学利用専門委員会,ポジトロ
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する参
ン核医学利用専門委員会が成熟技術として
2914
-4
2
(2
0
0
9)
考資料,RADIOISOTOPES,
5
8,
認定した放射性薬剤の基準(2
009年改定)
,
4.日本核医学会,院内製造された FDG を
221-245(2009)
RADIOISOTOPES ,
5
8,
用いて PET 検査を行うためのガイドライ
2.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
ン(第2版),平成17年10月,核医学,
4
2
(2005)
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
5.平成16年度厚生労働省科学研究費補助金
専門委員会が成熟技術として認定した放射
医療技術評価総合研究事業 PET 検査施設
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する解
における放射線安全の確保に関する研究班
247-289(2009)
説,RADIOISOTOPES ,
5
8,
編,FDG―PET 検査における安全確保に関
3.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
するガイドライン(2005)
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
(6) コリン(11C)注射液
製品標準書
1. 薬剤の名称,成分
1)名称
コリン(11C)注射液
2)成分
2. 合成装置
○○○○○○社製
1
1
C 多目的合成装置
ヨウ化メチル合成ユニット,コリン合成ユニット
( 131 )
350
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
3. 原料及び製品の規格及び試験方法
1)原材料の規格及び試験方法
a.有機化合物(主な原料)
*
1)2―ジメチルアミノエタノールは受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
b.[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造に使用するターゲットガス(出発物質)並びにサイクロトロン
【ターゲットガス(出発物質)】
*
1)ターゲットガスは受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
【[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造に使用するサイクロトロン】
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:○○○○
c.製剤に含まれる他の成分
[11C]コリン注射液の調製に以下の薬品を添加する。
( 132 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
351
*
1)生理食塩液は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は,肉眼により異常のないことを確認する。
d.[11C]ヨウ化メチルの合成に使用する試薬,消耗品,交換部品
d―1.試薬*1)
*
1)試薬の取り扱いは排気装置を備えたドラフト内で行い,試薬の飛散,吸引等に注意して作業すること。
使用する器具及びガラス管は十分に乾燥したものを使用する。
*
2)試薬は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
3)試薬は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
*
4)1.
0mol/L LiAlH4/THF を THF 溶液にて0.
1mol/L に希釈して使用する。0.
1mol/L LiAlH4/THF は
ABX 社を用いることもできる。
d―2.消耗品,交換部品
*
1)消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
e.[11C]コリンの合成に使用する試薬,消耗品,交換部品
e―1.試薬
( 133 )
352
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
*
1)試薬は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)試薬は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
e―2.消耗品,交換部品
*
1)消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
*
3)C1
8カートリッジカラムは Waters 社(Sep-Pak Plus C1
8)を用いることができる。
*
4)アクセル CM カートリッジカラム(Sep-Pak Plus Accell CM)は Waters 社の製品である。
*
5)滅菌用フィルタは MILLIPORE 社(Millex-GS)を用いることができる。
*
6)製品バイアルの排気用フィルタは MILLIPORE 社(Dualex)を用いることができる。
*
7)薬液リザーバー,製品バイアルは,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
f.標準物質
以下の化合物を[11C]コリン注射液の品質管理用として用いる。
*
1)各標準物質は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
( 134 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
353
2)製品の規格及び試験方法
2―1)製品の規格及び試験頻度
*
1)頻度
・初めて合成を行うとき,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者
を変更した場合(たとえば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合
していることを確認する。
・毎合成後:毎回の合成後,検定を実施する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・毎合成後(事後):使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事
後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合
することを確認する。
( 135 )
354
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2―2)製品の試験方法
*
1)ガンマ線測定法
[11C]
コリン薬剤の放射能あるいはガンマ線スペクトルの測定は,あらかじめ標準線源によって校正さ
れたガンマ線スペクトロメータ,井戸型シンチレーション計数装置または井戸型電離箱式キャリブレータ
(またはキュリーメータ)により行うものとし,その方法は「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技
術として認定した放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 4 ガンマ線測定法に準じる。
*
2)比放射能測定法
[11C]
コリン薬剤の一定量を精密に量り,放射能をガンマ線測定法*1)に従って定量する。質量分析計を
用いる液体クロマトグラフ法によりコリン標準液について検量線を作成する。[11C]
コリン薬剤の一定量
について同様の試験を行い,検量線より[11C]
コリン薬剤のコリンの量を求め,比放射能を算出する。液
体クロマトグラフ法において,カラムとして Spelco 社製の SUPELCOSIL ABZ+Plus5 µ m(内径4.
6mm
×長さ1
5
0mm)を用い,移動相として0.
1% ギ酸と5
0% メタノールの混液,室温の条件で測定したと
きの質量分析計により検出されるコリン(塩酸塩)の保持容量は1.
1mL,M/Z 値は10
4.
1
(M+)である。
( 136 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
355
*
3)エンドトキシン試験法
比濁法によるエンドトキシン測定装置として,和光純薬工業「トキシノメーター」を用いることができ
る。また比色法によるエンドトキシン測定装置として,生化学工業「ウェルリーダー SK60
3」を用いる
ことができる。
*
4)血液培養システム
血液培養法による無菌試験法は,「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性
薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 1
1 無菌試験法に準じて行う。
血液培養システムによる試験法では,細菌の代謝物であるガス状化合物によって生じる培養ボトルの内
圧上昇を,溶液ボトルと細い針で接続されたグロスシグナルへの培養液の流入を観察することにより,試
料中の細菌の有無を判定する。
本法にはオクソイド社血液培養システム「シグナル」を用いることができる。
*
5)pH 試験紙
pH 試験紙には,Whatman 社「Type CF」及び相当品を用いることができる。
*
6)ラジオ液体クロマトグラフ法
GL Sciences 社製の Inertsil ODS-2
(内径6mm×長さ2
5
0mm)
のカラムを使用し,室温で0.
0
0
1mol/L
ナフタレン―2―スルホン酸と0.
0
5mol/L リン酸の混液を移動相とするとき,示差屈折計により検出される
コリンの保持容量は約1
1.
7mL である。また,カラムとして Whatman 社製の Partisil SCX10U(内径
4.
6mm×長さ2
5
0mm)を使用し,室温で0.
2
5mol/L リン酸二水素ナトリウムとアセトニトリルの混液
(4:1)を移動相とするとき,示差屈折計により検出されるコリンの保持容量は約9.
6mL である。
*
7)ガスクロマトグラフ法
カラムとしてアミン分析用 CP-WAX キャピラリーカラム(内径0.
3
2mm×長さ2
5mm)キャリアガ
スにヘリウム(30mL/min)を使用し,カラム温度を5
0℃から2
2
0℃まで1
0℃/min の割合で上昇する
とき,水素イオン化検出器または質量分析計を用いて検出されるジメチルアミノエタノールの保存時間は
約6.
5分である。
*
8)液体クロマトグラフ法
カラムとして Spelco 社製の SUPELCOSIL ABZ + Plus5 µ m(内径4.
6mm×長さ1
5
0mm)を用い,
移動相として0.
1% ギ酸と5
0% メタノールの混液,室温の条件で測定したときの質量分析計により検出
されるジメチルアミノエタノールの保持容量は1.
1mL,M/Z 値は90.
1
(MH+)である。
4.[11C]ヨウ化メチルの製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○○株式会社
型式:11C 多目的合成装置
2)各ロットに使用する試薬類
[11C]ヨウ化メチルは以下の試薬類を用いて製造する。
( 137 )
ヨウ化メチル合成ユニット
356
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[11C]
CO2 の放射能量のみを変更
し,他のものに関しては,変更しないこと。
3)製造方法
ターゲット回収ライン,Waste 配管ライ
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度
3―1)0.
(p, α ) C
窒素ガスに陽子 を 照 射 し て N
1
4
1
1
CO2 を製する。
の核反応により[11C]
ンの確認を行う。
4―3)合成前準備
パーソナルコンピュータより第1反応器,
1
1
CO2 を含むターゲットガスを0.
1
3―2)[ C]
mol/L LiAlH4/THF 溶液中に吹き込み,還
アスカライト管のフローテスト,リークテ
スト,パージを実施する。
CO2 の製造
4―4)[11C]
元する。
3―3)THF 溶媒を窒素気流下で加熱し,蒸発
させて除く。冷却後,ヨウ化水素酸を加え,
[11C]メタノールを生成する。
0.
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度窒
1
1
(p, α )
Cの
素ガスに陽子を照射して14N
CO2 を製する。
核反応により[11C]
3―4)[11C]メタノールを加熱し,ヨウ化水素
酸と反応させて[11C]ヨウ化メチルを生成
4―5)LiAlH4/THF の注入
照射終了直前に,―20℃ に冷却した第1
反応器に0.
1mol/L LiAlH4/THF を注入す
する。
1
1
1
1
3―5)生成した[ C]ヨウ化メチルを[ C]コ
る。
CO2 の回収
4―6)[11C]
リン合成ユニットに供給する。
CO2 を含むターゲットガスを回収
[11C]
4)製造手順
し,
0.
1mol/L LiAlH4/THF 溶液中に[11C]
4―1)合成ユニットの準備
CO2 を捕集する。
アスカライト管にアスカライトと五酸化
4―7)合成の開始
リンを充填する。V バイアルにヨウ化水素
回収終了後,合成プログラムをスタート
酸を注入する。合成ユニットの所定の位置
させ,上記製造方法の項に記した方法に従
に第1反応器,アスカライト管,V バイア
って[11C]ヨウ化メチルを合成する。
4―8)[11C]ヨウ化メチルの供給
ルを取り付ける。
合成終了後,
[11C]コリン合成ユニット
4―2)合成ユニットの確認
合成ユニットのヨウ化メチル供給配管,
に[11C]ヨウ化メチルを供給する。
5.[11C]コリンの製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:11C 多目的合成装置
2)各ロットに使用する試薬類
( 138 )
コリン合成ユニット
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
357
[11C]コリン注射液の各ロットは以下の試薬類を用いて製造する。
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[11C]
ヨウ化メチルの放射能量の
みを変更し,他のものに関しては,変更しないこと。
3)製造方法
4―4)試薬の準備
3―1)ヨウ化メチル合成ユニットより[11C]
所定の薬液リザーバーにエタノール(10
1
1
ヨウ化メチルを合成し,[ C]コリン合成
mL),注射用水(10mL),生理食塩液(5∼
1
1
ユニットに不活性気流下の[ C]ヨウ化メ
10mL)を注入する。
4―5)製品バイアルの取り付け
チルを導入する。
3―2)ジメチルアミノエタノールを注入した
製品バイアルを所定の位置にセットする。
1
1
Sep-Pak Plus C1
8に不活性気流下で[ C]
4―6)ヨウ化メチル合成と回収
ヨウ化メチルを通し,反応させる。
ヨウ化メチル合成ユニットとコリン合成
ユニットの準備ができたら,
[11C]ヨウ化
3―3)未反応の試薬をエタノール,注射用水
メチルの合成を開始し,
[11C]コリン合成
で洗浄し,除去する。
3―4)洗浄後,生理食塩液でカートリッジカ
ユニットに回収する。
ラムから目的物を 溶 出 し,0.
22 µ m の メ
4―7)合成の開始
ンブレンフィルタを通して注射用製剤とす
回収終了後,上記製造方法の項で記した
方法に従って[11C]コリンを合成する。
る。
4―8)[11C]コリンの回収
合成終了後,
[11C]コリン溶液は窒素ガ
4)製造手順
ス圧により0.
22 µ m のメンブレンフィル
4―1)[11C]コリン合成ユニットの準備
合成ユニットの流路を消毒用エタノール
タを通して,製品バイアル中に回収する。
と注射用水で洗浄する。洗浄後,乾熱滅菌
5)品質検査
処理をした薬液リザーバー,三方活栓,ヨ
上記製品の規格及び試験方法の項に記した方
ウ化メチル供給配管を取り付ける。
4―2)合成原料の準備
法に従って品質検査を行う。
ジメチルアミノエ タ ノ ー ル(1
00 µ L)
を Sep-Pak Plus C18に注入する。
6)合成終了後の手順
4―3)Sep-Pak Plus C18,精製カラムの取り
付け
6―1)合成装置の再利用部品以外の消耗品と
原材料は全て単回使用とし,適切に廃棄す
Sep-Pak Plus C1
8,アクセル CM カート
リッジカラムの順に接続し,合成ユニット
る。
6―2)合成終了後の後処理は取扱説明書に従
う。
の所定の位置に取り付ける。
( 139 )
358
RADIOISOTOPES
6. 製品の保管条件,有効期間
Vol.
5
8,No.
6
るので,患者の状態を十分に観察しながら慎
用時調製し,保存は行わない。
重に投与すること。
・妊婦,授乳婦等への投与
7. 用法・用量並びに使用上の注意または取扱
妊婦または妊娠している可能性のある婦人
いの注意
及び授乳中の婦人には,原則として投与しな
1)用法・用量
いことが望ましい。診断上の有益性が被ばく
2D収 集 で は2
40∼900MBq
(4∼1
5MBq/
による不利益を上回ると判断される場合のみ
kg 体重),約5分後より1回撮影するか,ま
慎重に投与すること。
たは直後より連続撮影する。全身スキャンも
・小児への投与
有用である。3D 収集の場合は適宜投与量を
小児等に対する安全性は確立していない
減らす。腹部や骨盤部を撮影するときは,腸
(現在までのところ,十分な臨床成績が得ら
管や尿中の放射能を下げるために,空腹時に
れていない)。診断上の有益性が被ばくによ
検査を行うことが望ましい。更に,正常腸管
る不利益を上回ると判断される場合のみ慎重
や尿と腫瘍集積との鑑別のために,時間をお
に投与すること。
いて(たとえば20分後に)再撮影して分布
2―2)取扱いの注意
の変化を見る方法や,連続撮影して時間経過
[11C]コリン注射液による被ばくの防止・
を見る方法も有効である。測定原理等の詳細
軽減のため,放射線障害防止法,医療法,11C
は臨床編を参照すること。
多目的合成装置ヨウ化メチル,コリン取扱説
明書等に則り,取り扱うこと。
2)使用上の注意または取扱いの注意
2―1)使用上の注意
8. 定期的/変更時の再バリデーション
・一般的注意
1)製造設備
診断上の有益性が被ばくによる不利益を上
回ると判断される場合にのみ投与することと
a.定期的な再バリデーション
製造管理,品質管理に用いる機器のうち,
し,投与量は最小限度にとどめること。
校正を必要とする機器について,定期的に校
・高齢者への投与
正を実施し,異常や経時変動がないこと,基
一般に高齢者では生理的機能が低下してい
b.変更時の再バリデーション
準内であることを確認する。
ロット連続で試験を実施し,適正であること
製造・品質試験設備の更新,補修,改造な
を確認した後,臨床に再使用することとする。
どを実施し,対象設備が PET 薬剤の品質に
また,変更に関わる記録を「製品標準書」に
重大な影響を及ぼす可能性のある場合は,影
ファイリングすること。
響する可能性のある品質因子について最低3
( 140 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
359
2)製造プロセス
温度・時間など)
,製造に用いる原材料の規
a.定期的な再バリデーション(日常的なバ
格,メーカー,製造工程そのものの変更など
リデーション)
があり,その変更が PET 薬剤の品質に重大
製造作業に用いる製造記録などにおいて,
な影響を及ぼす可能性のある場合は,影響す
定められた手順,基準に従って製造工程管理
る可能性のある品質因子について最低3ロッ
を実施する。基準に従った結果を与えたロッ
ト連続で試験を実施し,適正であることを確
トのみを臨床に供する。
認した後,臨床に再使用することとする。ま
b.変更時の再バリデーション
た,変更に関わる記録を「製品標準書」にフ
製造工程において,そのパラメータ(設定
ァイリングすること。
3)品質
を用いた試験を最低3ロット連続で実施し,
a.定期的再バリデーション
変更前と同等の結果を得られることを確認し
定期的に実施日を設定して(1年に1回以
た後変更すること。また,変更に関わる記録
上)回顧的バリデーションを行う。実施法は,
を「製品標準書」にファイリングすること。
回顧的バリデーション実施時の直前1
0製造
c.定期的な品質試験の実施
分について品質試験(検定)項目の平均,分
一部の品質試験項目については,その品質
散を求め,過去の蓄積データとの比較により,
因子が比較的変動しにくいのに対して,試験
分散が大きくなっていないか,平均値に傾向
自体の困難さや,試験実施による試験者(検
的な変動がないかを確認し,変動が認められ
定者)の被ばくによる不利益を考慮して,定
た場合は調査対応する。
期的な実施としている。これら試験項目につ
b.変更時の再バリデーション
いては以下の表に基づいて,定期的な試験を
品質試験法(検定法)そのものや,試験に
実施し,基準内であることを確認する。あわ
用いる機器,試薬の規格,メーカーなど品質
せて過去の試験結果と照らし合わせて,変動
試験の結果に重大な影響を及ぼす可能性のあ
傾向がないことを確認する。
る変更を実施した場合は,実際の PET 薬剤
( 141 )
360
RADIOISOTOPES
添付書類
Vol.
5
8,No.
6
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
1.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
専門委員会が成熟技術として認定した放射
ジトロン核医学利用専門委員会,ポジトロ
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する参
291-442
考 資 料,RADIOISOTOPES ,58,
ン核医学利用専門委員会が成熟技術として
(2009)
認定した放射性薬剤の基準(2
009年改定),
221-245(2009)
RADIOISOTOPES ,
5
8,
4.日本核医学会,院内製造された FDG を
2.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
用いて PET 検査を行うためのガイドライ
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
ン(第2版),平成17年10月,核医学,
4
2
(2005)
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
専門委員会が成熟技術として認定した放射
5.平成16年度厚生労働省科学研究費補助金
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する解
医療技術評価総合研究事業 PET 検査施設
247-289(2009)
説,RADIOISOTOPES ,
5
8,
における放射線安全の確保に関する研究班
3.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
編,FDG―PET 検査における安全確保に関
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
するガイドライン(2005)
(7) フッ化ナトリウム(18F)注射液
製品標準書
1. 薬剤の名称,成分
1)名称
フッ化ナトリウム(18F)注射液([18F]NaF 注射液)
2)成分
2. 合成装置の医療機器承認番号
○○○○○○社製
フッ化ナトリウム合成装置○○○○
( 142 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
3. 原材料及び製品の規格及び試験方法
1)原材料の規格及び試験方法
a.フッ化物(18F)イオンの製造に使用するターゲット水(出発物質)並びにサイクロトロン
【ターゲット水(出発物質)】
*
1)ターゲット水は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
【フッ化物(18F)イオンの製造に使用するサイクロトロン】
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:○○○○
b.製剤に含まれる他の成分
[18F]フッ化ナトリウム注射液の調製に以下の薬品を添加する。
*
1)原材料は,肉眼により異常のないことを確認する。
( 143 )
361
362
RADIOISOTOPES
c.合成に使用する試薬,カラム,消耗品,交換部品,ガス
*
1)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
*
2)イオン交換樹脂は Waters 社(Sep-Pak Plus Accell Plus QMA)を用いることができる。
*
3)滅菌用フィルタは MILLIPORE 社(Millex-GS Vented)を用いることができる。
*
4)製品バイアルの排気用フィルタは MILLIPORE 社(Millex-GS)を用いることができる。
*
5)製品バイアルは,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
2)製品の規格及び試験方法
2―1)製品の規格及び試験頻度
( 144 )
Vol.
5
8,No.
6
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
363
*
1)頻度
・初めて合成を行うとき,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者
を変更した場合(例えば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合し
ていることを確認すること。
・毎合成後:毎回の合成後,検定を実施する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・毎合成後(事後):使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事
後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合
すること。
2―2)製品の試験方法
*
1)ガンマ線測定法
[18F]
NaF 薬剤の放射能あるいはガンマ線スペクトルの測定は,あらかじめ標準線源によって校正された
ガンマ線スペクトロメータ,井戸型シンチレーション計数装置または井戸型電離箱式キャリブレータ(また
はキュリーメータ)により行うものとし,その方法は「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として
認定した放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 4ガンマ線測定法に準じる。
( 145 )
364
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
*
2)エンドトキシン試験法
比濁法によるエンドトキシン測定装置として,和光純薬工業「トキシノメーター」を用いることができる。
また比色法によるエンドトキシン測定装置として,生化学工業「ウェルリーダーSK6
0
3」を用いることがで
きる。
*
3)血液培養システム
血液培養システムによる無菌試験法は,「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放
射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 1
1無菌試験法に準じて行う。
血液培養システムによる無菌試験法では,細菌の代謝産物であるガス状化合物によって生じる培養ボトル
の内圧上昇を,培養ボトルと細い針で接続されたグロスシグナルへの培養液の流入を観察し,試料中の細菌
の有無を判定する。
本法には,オクソイド社血液培養システム「シグナル」を用いることができる。
*
4)pH 試験紙
pH 試験紙には,Whatman 社「Type CF」及び相当品を用いることができる。
*
5)ラジオ液体クロマトグラフ法
カラムとしてダイオネクス社「IonPak AS1
44×2
5
0mm」及び「IonPak AG1
44×5
0mm」を用い,移
動相として3.
5mmol/L Na2CO3,1.
0mmol/L NaHCO3,流量1.
2mL/分の条件で測定したとき,18F―フッ
化物イオンの保持時間は3.
0分前後である。
*
6)ガスクロマトグラフ法
水素イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフ法にて測定する。カラムとして島津製作所「TSG-11
5%
SHINCARBON
A6
0/8
03.
2×31
0
0mm」を用い,カラム温度90℃,インジェクタ温度1
8
0℃,FID 温度
1
8
0℃,キャリアガス N27
0kPa の条件で測定したときエタノールの保持時間は4.
1分前後である。
4.[18F]フッ化ナトリウムの製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:フッ化ナトリウム合成装置○○○○
2)各ロットに使用する試薬類
[18F]フッ化ナトリウムは以下の試薬類を用いて製造される。
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[18F]
フッ化ナトリウムの放射能
量のみを変更し,他のものに関しては,変更しないこと。
( 146 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
365
ムを合成する。合成終了後,
[18F]フッ化
3)製造方法
3―1)[18O]H2O を含むターゲット水に陽子を
1
8
ナトリウム溶液は窒素ガス圧により0.
22
µ m のメンブレンフィルタを通して,滅菌
1
8
(p,n) F の 核 反 応 に よ り
照射して O
1
8
[ F]フッ素イオンを製する。
バイアル中に回収する。
3―2)回収液をイオン交換樹脂に通して[18F]
フッ素イオンを保持させ,不純成分を
5)品質検査
通過させる。
上記製品の規格及び試験方法の項に記した方
3―3)イオン交換樹脂を注射用水で洗浄し,
法に従って品質検査を行う。
残留する不純成分を洗い流す。
35% 炭酸水素ナトリウムに
3―4)洗浄後,0.
6)合成終了後の手順
6―1)合成装置の再利用部品以外の消耗品と
よりイオン交換カートリッジに保持さ
1
8
22
れた[ F]フッ素イオンを溶出し,0.
原材料は全て単回の使用とし,適切に
µ m のメンブレンフィルタを通して注
廃棄する。
6―2)合成終了後の後処理は取扱説明書に従
射用製剤とする。
う。
4)製造手順
4―1)ディスポーザブル部品の準備
5. 製品の保管条件,有効期間
合成に使用する一日ごとの合成ユニット,
用時調製し,保存は行わない。
試薬,
カラム,
消耗品,
再利用部品を準備する。
イオン交換カートリッジは消毒用エタノ
6. 用法・用量並びに使用上の注意または取扱
ール,注射用水,7% 炭酸水素ナトリウム
いの注意
水溶液,注射用水の順に洗浄する。
1)用法・用量
4―2)合成装置の準備
150∼300MBq(2.
5∼5MBq/kg 体 重)を
合成装置の所定の位置に合成ユニット,
試薬,カラム,消耗品,廃液バイアル,製
経静脈投与する。測定原理等の詳細は臨床編を
参照すること。
品バイアル,ターゲット回収ラインを取り
付ける。
2)使用上の注意または取扱いの注意
4―3)ターゲット水の準備
2―1)使用上の注意
[18O]H2O をターゲットボックスへ充填
する。
・一般的注意
診断上の有益性が被ばくによる不利益を上
1
8
4―4)[ F]フッ素イオンの製造
1
8
回ると判断される場合にのみ投与することと
1
8
1
8
(p,n) F
[ O]H2Oに陽子を照射して, O
の核反応により,
[18F]フッ素イオンを製
する。
し,投与量は最小限度にとどめること。
・高齢者への投与
一般に高齢者では生理的機能が低下してい
1
8
4―5)[ F]フッ化物イオン回収と合成
るので,患者の状態を十分に観察しながら慎
コンピュータの回収開始ボタンを押し,
[18F]フッ素イオンを含むターゲット水を
重に投与すること。
・妊婦,授乳婦等への投与
回収する。回収終了後,合成開始ボタンを
妊婦または妊娠している可能性のある婦人
押す。以後,上記製造方法の項に記した方
及び授乳中の婦人には,原則として投与しな
1
8
法に従って自動的に[ F]フッ化ナトリウ
( 147 )
いことが望ましいが,診断上の有益性が被ば
366
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
くによる不利益を上回ると判断される場合の
法,フッ化ナトリウム合成装置○○○○取扱説
み慎重に投与すること。
明書等に則り,取り扱うこと。
・小児への投与
小児等に対する安全性は確立していない
7. 定期的/変更時の再バリデーション
(現在までのところ,十分な臨床成績が得ら
れていない)
。診断上の有益性が被ばくによ
る不利益を上回ると判断される場合のみ慎重
1)製造設備
a.定期的な再バリデーション
製造管理,品質管理に用いる機器のうち,
に投与すること。
校正を必要とする機器について,定期的に校
2―2)取扱いの注意
正を実施し,異常や経時変動がないこと,基
1
8
[ F]フッ化ナトリウム注射液による被ばく
準内であることを確認する。
の防止・軽減のため,放射線障害防止法,医療
b.変更時の再バリデーション
ロット連続で試験を実施し,適正であること
製造・品質試験設備の更新,補修,改造な
を確認した後,臨床に再使用することとする。
どを実施し,対象設備が PET 薬剤の品質に
また,変更に関わる記録を「製品標準書」に
重大な影響を及ぼす可能性のある場合は,影
ファイリングすること。
響する可能性のある品質因子について最低3
2)製造プロセス
温度・時間など)
,製造に用いる原材料の規
a.定期的な再バリデーション(日常的なバ
格,メーカー,製造工程そのものの変更など
リデーション)
があり,その変更が PET 薬剤の品質に重大
製造作業に用いる製造記録などにおいて,
な影響を及ぼす可能性のある場合は,影響す
定められた手順,基準に従って製造工程管理
る可能性のある品質因子について最低3ロッ
を実施する。基準に従った結果を与えたロッ
ト連続で試験を実施し,適正であることを確
トのみを臨床に供する。
認した後,臨床に再使用することとする。ま
b.変更時の再バリデーション
た,変更に関わる記録を「製品標準書」にフ
製造工程において,そのパラメータ(設定
( 148 )
ァイリングすること。
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
367
3)品質
を用いた試験を最低3ロット連続で実施し,
a.定期的再バリデーション
変更前と同等の結果を得られることを確認し
定期的に実施日を設定して(1年に1回以
た後変更すること。また,変更に関わる記録
上)回顧的バリデーションを行う。実施法は,
を「製品標準書」にファイリングすること。
回顧的バリデーション実施時の直前1
0製造
c.定期的な品質試験の実施
分について品質試験(検定)項目の平均,分
一部の品質試験項目については,その品質
散を求め,過去の蓄積データとの比較により,
因子が比較的変動しにくいのに対して,試験
分散が大きくなっていないか,平均値に傾向
自体の困難さや,試験実施による試験者(検
的な変動がないかを確認し,変動が認められ
定者)の被ばくによる不利益を考慮して,定
た場合は調査対応する。
期的な実施としている。これら試験項目につ
b.変更時の再バリデーション
いては以下の表に基づいて,定期的な試験を
品質試験法(検定法)そのものや,試験に
実施し,基準内であることを確認する。あわ
用いる機器,試薬の規格,メーカーなど品質
せて過去の試験結果と照らし合わせて,変動
試験の結果に重大な影響を及ぼす可能性のあ
傾向がないことを確認する。
る変更を実施した場合は,実際の PET 薬剤
添付書類
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
1.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
専門委員会が成熟技術として認定した放射
ジトロン核医学利用専門委員会,ポジトロ
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する参
ン核医学利用専門委員会が成熟技術として
2914
-4
2
(2
0
0
9)
考資料,RADIOISOTOPES,
5
8,
認定した放射性薬剤の基準(2
009年改定)
,
4.日本核医学会,院内製造された FDG を
221-245(2009)
RADIOISOTOPES ,
5
8,
用いて PET 検査を行うためのガイドライ
2.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
ン(第2版),平成17年10月,核医学,
4
2
(2005)
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
5.平成16年度厚生労働省科学研究費補助金
専門委員会が成熟技術として認定した放射
医療技術評価総合研究事業 PET 検査施設
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する解
における放射線安全の確保に関する研究班
247-289(2009)
説,RADIOISOTOPES ,
5
8,
編,FDG―PET 検査における安全確保に関
3.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
(8) フルマゼニル(11C)注射液
製品標準書
1. 薬剤の名称,成分
1)名称
フルマゼニル(11C)注射液
2)成分
( 149 )
するガイドライン(2005)
368
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2. 合成装置
○○○○○○社製
1
1
C 多目的合成装置
3. 原料及び製品の規格及び試験方法
1)原材料の規格及び試験方法
a.有機化合物(主な原料)
*
1)Desmethyl flumazenil は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
b.[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造に使用するターゲットガス(出発物質)並びにサイクロトロン
【ターゲットガス(出発物質)】
*
1)ターゲットガスは受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
( 150 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
369
【[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造に使用するサイクロトロン】
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:○○○○
c.製剤に含まれる他の成分
[11C]フルマゼニル注射液の調製に以下の薬品を添加する。
*
1)試薬は受け入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は,肉眼により異常のないことを確認する。
d.[11C]ヨウ化メチル,[11C]メチルトリフレートの合成に使用する試薬,消耗品,交換部品
[11C]ヨウ化メチル,[11C]メチルトリフレートの合成(液相法)
*
1)試薬,消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)試薬,消耗品,交換部品は全て,肉眼により異常のないことを確認する。試薬の取り扱いは排気装置
を備えたドラフト内で行い,試薬の飛散,吸引等に注意して作業すること。使用する器具及びガラス管は
十分に乾燥したものを使用する。
*
3)1.
0mol/L
LiAlH4/THF を THF 溶液にて0.
1mol/L に希釈して使用する。0.
1mol/L
は ABX 社を用いることもできる。
( 151 )
LiAlH4/THF
370
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
e.[11C]フルマゼニル合成に使用する試薬,消耗品,交換部品
e―1.[11C]ヨウ化メチル法による[11C]フルマゼニル合成
*
1)消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。試薬の取り扱いは排気装置を備えたドラフト
内で行い,試薬の飛散,吸引等に注意して作業すること。使用する器具及びガラス管は十分に乾燥したも
のを使用する。
*
3)滅菌用フィルタは MILLIPORE 社(Millex-GS)を用いることができる。
*
4)製品バイアルの排気用フィルタは MILLIPORE 社(Dualex)を用いることができる。
*
5)製品バイアルなどのガラス類は,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
( 152 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
371
e―2.[11C]メチルトリフレート法による[11C]フルマゼニル合成
*
1)消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。試薬の取り扱いは排気装置を備えたドラフト
内で行い,試薬の飛散,吸引等に注意して作業すること。使用する器具及びガラス管は十分に乾燥したも
のを使用する。
*
3)滅菌用フィルタは MILLIPORE 社(Millex-GS)を用いることができる。
*
4)製品バイアルの排気用フィルタは MILLIPORE 社(Dualex)を用いることができる。
*
5)製品バイアルなどのガラス類は,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
f.標準物質
以下の化合物を[11C]フルマゼニル注射液の品質管理用として用いる。
*
1)各標準物質は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
( 153 )
372
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2)製品の規格及び試験方法
2―1)製品の規格及び試験頻度
*
1)頻度
・初めて合成を行うとき,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者
を変更した場合(たとえば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合
していることを確認する。
・毎合成後:毎回の合成後,検定を実施する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・毎合成後(事後)
:使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事
後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合
することを確認する。
( 154 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
373
2―2)製品の試験方法
*
1)ガンマ線測定法
[11C]
フルマゼニル薬剤の放射能あるいはガンマ線スペクトルの測定は,あらかじめ標準線源によって
校正されたガンマ線スペクトロメータ,井戸型シンチレーション計数装置または井戸型電離箱式キャリブ
レータ(またはキュリーメータ)により行うものとし,その方法は「ポジトロン核医学利用専門委員会が
成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 4 ガンマ線測定法に準じ
る。
*
2)比放射能測定法
[11C]
フルマゼニル薬剤の一定量を精密に量り,放射能をガンマ線測定法*1)に従って定量する。紫外吸
光度検出器を用いる液体クロマトグラフ法によりフルマゼニル標準液について検量線を作成する。[11C]
フルマゼニル薬剤の一定量について同様な試験を行い,検量線より[11C]
フルマゼニル薬剤のフルマゼニ
ルの量を求め,比放射能を算出する。液体クロマトグラフ法において,カラムとして日本分光製の Finepak
SIL
C-1
8S(内径4.
6mm×長さ1
5
0mm)を用い,移動相としてアセトニトリル/0.
1mol/L 酢酸アンモ
ニウム/酢酸混液(2
5
0:2
5
0:1)を用い,流量2mL/min,UV 波長2
5
4nm の条件で測定したときの原
料(Desmethyl flumazenil)の保持時間は1.
2分,[11C]
フルマゼニルの保持時間は1.
5分前後である。
( 155 )
374
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
*
3)エンドトキシン試験法
比濁法によるエンドトキシン測定装置として,和光純薬工業「トキシノメーター」を用いることができ
る。また比色法によるエンドトキシン測定装置として,生化学工業「ウェルリーダー SK6
0
3」を用いる
ことができる。
*
4)血液培養システム
血液培養法による無菌試験法は,「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性
薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法
1
1無菌試験法に準じて行う。
血液培養システムによる試験法では,細菌の代謝物であるガス状化合物によって生じる培養ボトルの内
圧上昇を,溶液ボトルと細い針で接続されたグロスシグナルへの培養液の流入を観察し,試料中の細菌の
有無を判定する。
本法にはオクソイド社血液培養システム「シグナル」を用いることができる。
*
5)pH 試験紙
pH 試験紙には,Whatman 社「Type CF」及び相当品を用いることができる。
*
6)ラジオ液体クロマトグラフ法
Finepak
SIL
C-1
8S(日本分光
内径4.
6mm×長さ1
5
0mm)のカラムを使用し,アセトニトリル/
0.
1mol/L 酢酸アンモニウム/酢酸混液(2
5
0:2
5
0:1)を溶離液として流量2mL/min で溶出したとき,
[11C]
フルマゼニルの保持時間は1.
5分前後である。
*
7)ガスクロマトグラフ法
水素炎イオン化検出器(FID)を備えたガスクロマトグラフ法にて測定する。カラムとして TSG-11
5%
SHINCARBON A6
0/8
03.
2×31
0
0mm(島津製作所)を用い,カラム温度90℃,インジェクタ温度18
0
℃,FID 温度1
8
0℃,キャリア窒素ガス7
0kPa の条件で測定したときのエタノール,アセトニトリルの
保持時間はそれぞれ4.
1分,6.
7分前後である。
4.[11C]ヨウ化メチル,[11C]メチルトリフレートの製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○株式会社
型式:11C 多目的合成装置
ヨウ化メチル合成ユニット
2)各ロットに使用する試薬類
[11C]ヨウ化メチル,[11C]メチルトリフレートは以下の試薬類を用いて製造する。
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[11C]
CO2 の放射能量のみを変更
し,他のものに関しては,変更しないこと。
( 156 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
3)製造方法
375
4―3)合成前準備
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度
3―1)0.
パーソナルコンピュータより第1反
(p,α) C
窒素ガスに陽子を照射して N
応器,第2反応器,アスカライト管の
1
4
1
1
1
1
CO2 を製する。
の核反応により[ C]
フローテスト,リークテスト,パージ
CO2 を含むターゲットガスを0.
1
3―2)[11C]
mol/L LiAlH4/THF 溶液中に吹き込み,
還元する。
を実施する。
CO2 の製造
4―4)[11C]
0.
2∼0.
5% の酸素を添加した高 純
3―3)THF 溶媒を窒素気流下で加熱し,蒸発
(p,
度 窒 素 ガ ス に 陽 子 を 照 射 し て14N
させて除く。冷却後,ヨウ化水素酸を
1
1
α)
C の 核 反 応 に よ り[11C]
CO2 を 製
加え,[11C]メタノールを生成する。
する。
1
1
3―4)[ C]メタノールを加熱し,ヨウ化水素
1
1
酸と反応させて[ C]ヨウ化メチルを
生成する。
4―5)LiAlH4/THF の注入
照射終了直前に,−2
0℃ に冷却した
第1反応器に0.
1mol/L
1
1
3―5)生 成 し た[ C]ヨ ウ 化 メ チ ル は Desmethyl flumazenil を溶解した N ,N ―ジ
メチルホルムアミド(DMF)溶液に供
1
1
給する。または,
[ C]ヨウ化メチルを
1
1
更に AgOTf カラムに通して[ C]メチ
ル ト リ フ レ ー ト と し,Desmethyl
flumazenil を溶解したアセトン溶液に
LiAlH4/THF
を注入する。
CO2 の回収
4―6)[11C]
CO2 を含むターゲットガスを回
[11C]
収し,
0.
1mol/L LiAlH4/THF 溶液中に
CO2 を捕集する。
[11C]
4―7)合成の開始
回収終了後,合成プログラムをスタ
ートさせ,上記製造方法の項に記した
供給する。
方法に従って[11C]ヨウ化メチルを合
4)製造手順
成する。または,[11C]ヨウ化メチルを
4―1)合成ユニットの準備
更に AgOTf カラムに通して[11C]メチ
アスカライト管にアスカライトと五
酸化リンを充填する。V バイアルにヨ
ウ化水素酸を注入する。合成ユニット
ルトリフレートに変換する。
4―8)[11C]ヨウ化メチル,[11C]メチルトリフ
レートの供給
の所定の位置に第1反応器,第2反応
合成終了後,合成ユニット内の Des-
器,アスカライト管,V バイアルを取
methyl flumazenil を溶解した DMF 溶
り付ける。
液に供給する。または,
[11C]ヨウ化メ
4―2)合成ユニットの確認
チ ル を 更 に AgOTf カ ラ ム に 通 し て
合成ユニットのヨウ化メチル供給配
[11C]メ チ ル ト リ フ レ ー ト と し,Des-
管またはメチルトリフレート供給配管,
methyl flumazenil を溶解したアセトン
ターゲットガス回収ライン,Waste ラ
溶液に供給する。
インの確認を行う。
5.[11C]フルマゼニルの製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○株式会社
型式:11C 多目的合成装置
ヨウ化メチル合成ユニット,濃縮ユニット
( 157 )
376
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2)各ロットに使用する試薬類
[11C]フルマゼニル注射液の各ロットは以下の試薬類を用いて製造する。
2―1)[11C]ヨウ化メチル法
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[11C]
ヨウ化メチルの放射能量の
みを変更し,他のものに関しては,変更しないこと。
*
2)Desmethyl flumazenil(1mg)を DMF 溶液1mL に溶解して調製する。1回の合成で0.
4mL 使用する。
2―2)[11C]メチルトリフレート法
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[11C]
メチルトリフレートの放射
能量のみを変更し,他のものに関しては,変更しないこと。
*
2)Desmethyl
flumazenil(0.
5mg)を0.
2mol/L 水酸化ナトリウム溶液5 µ L を含む DMF 溶液1mL に
溶解して調製する。1回の合成で0.
2
5mL 使用する。
3)製造方法は次のいずれかによる。
mol/L 水酸化ナトリウム溶液を加えた反応
1
1
器に窒素気流下の[11C]メチルトリフレー
3―1)[ C]ヨウ化メチル法
Desmethyl
flumazenil/DMF 溶液に NaH
トを通し,反応させる。反応後,反応液を
の DMF 溶液を加えた反応器に窒素気流下
HPLC に導入し,分離精製する。分離精製
の[11C]ヨウ化メチルを通し,反応させる。
後,濃縮ユニットで溶媒の除去を行い,残
反応後,反応液を HPLC に導 入 し,分 離
渣を生理食塩液に溶かし,0.
22 µ m のメ
精製する。分離精製後,濃縮ユニットで溶
ンブレンフィルタを通して注射用製剤とす
媒の除去を行い,残渣を生理食塩液に溶か
る。
し,
0.
22 µ m のメンブレンフィルタを通し
て注射用製剤とする。
4)製造手順は次のいずれかによる。
1
1
4―1)[11C]ヨウ化メチル法
3―2)[ C]メチルトリフレート法
Desmethyl flumazenil/アセトン溶液に0.
2
( 158 )
①合成ユニットの準備
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
第2反応器,V バイアルを所定の位置に
377
②合成ユニットの確認
取り付ける。
合成ユニットのメチルトリフレート供給
②合成ユニットの確認
配管,反応液移送ライン,Waste ラ イ ン
合成ユニットのヨウ化メチル供給配管,
の確認を行う。
反応液移送ライン,Waste ラインの確認
③濃縮ユニットの準備
を行う。
濃縮フラスコにアスコルビン酸注射液
③濃縮ユニットの準備
0.
1mL を注入し,所定の位置に取り付け
0
る。界面活性剤5 µ L を含む生理食塩液1
濃縮フラスコにアスコルビン酸注射液
0.
1mL を注入し,所定の位置に取り付け
mL を注入したバイアルを取り付ける。
0
る。界面活性剤5 µ L を含む生理食塩液1
④HPLC の準備
mL を注入したバイアルを取り付ける。
分取条件の設定,分取溶媒の確認,分取
④HPLC の準備
カラムのコンディショニングを行う。
分取条件の設定,分取溶媒の確認,分取
⑤液体窒素の準備
カラムのコンディショニングを行う。
デュワー瓶に液体窒素を注入し,真空ト
⑤液体窒素の準備
ラップを液体窒素に浸す。
デュワー瓶に液体窒素を注入し,真空ト
⑥製品バイアルの取り付け
ラップを液体窒素に浸す。
製品バイアルを所定の位置に取り付ける。
⑥製品バイアルの取り付け
⑦合成原料
製品バイアルを所定の位置に取り付ける。
Desmethyl
⑦合成原料
flumazenil のアセトン溶液
0.
25mL に,0.
2mol/L 水酸化ナトリウム
Desmethyl flumazenil の DMF 溶液0.
4
溶液5 µ L を加え,反応容器に導入する。
mL に NaH の DMF 溶 液0.
5 µ L を 加 え,
⑧[11C]メチルトリフレートの合成と回収
[11C]メチルトリフレートを合成し,Des-
−20℃ に冷却された反応容器に導入する。
⑧[11C]ヨウ化メチルの合成と回収
methyl
[11C]ヨウ化メチルを合成し,Desmethyl
flumazenil を溶解したアセトン溶
液に捕集する。
flumazenil を溶解した DMF 溶液に捕集す
⑨合成の開始
る。
回収終了後,上記製造方法の項で記した
方法に従って[11C]フルマゼニルを合成す
⑨合成の開始
る。
回収終了後,上記製造方法の項で記した
1
1
⑩[11C]フルマゼニルの回収
方法に従って[ C]フルマゼニルを合成す
合成終了後,
[11C]フルマゼニル溶液は
る。
窒素ガス圧により0.
22 µ m のメンブレン
⑩[11C]フルマゼニルの回収
合成終了後,[11C]フルマゼニル溶液は
フィルタを通して,製品バイアル中に回収
窒素ガス圧により0.
22 µ m のメンブレン
する。
フィルタを通して,製品バイアル中に回収
5)品質検査
する。
4―2)[11C]メチルトリフレート法
上記製品の規格及び試験方法の項に記した方
①合成ユニットの準備
法に従って品質検査を行う。
第2反応器,V バイアルを所定の位置に
6)合成終了後の手順
取り付ける。
( 159 )
378
RADIOISOTOPES
6―1)合成装置の再利用部品以外の消耗品と
Vol.
5
8,No.
6
し,投与量は最小限度にとどめること。
原材料は全て単回使用とし,適切に廃棄
・高齢者への投与
する。
一般に高齢者では生理的機能が低下してい
6―2)合成終了後の後処理は取扱説明書に従
るので,患者の状態を十分に観察しながら慎
う。
重に投与すること。
・妊婦,授乳婦等への投与
6. 製品の保管条件,有効期間
妊婦または妊娠している可能性のある婦人
用時調製し,保存は行わない。
及び授乳中の婦人には,原則として投与しな
いことが望ましい。診断上の有益性が被ばく
7. 用法・用量並びに使用上の注意または取扱
による不利益を上回ると判断される場合のみ
いの注意
慎重に投与すること。
1)用法・用量
・小児への投与
360∼1080MBq(6∼1
8MBq/kg 体重)
小児等に対する安全性は確立していない
薬物量として,1.
5nmol/kg 以下を投与し,
(現在までのところ,十分な臨床成績が得ら
撮像する。測定原理等の詳細は臨床編を参照
れていない)。診断上の有益性が被ばくによ
すること。
る不利益を上回ると判断される場合のみ慎重
2)使用上の注意または取扱いの注意
に投与すること。
2―1)使用上の注意
2―2)取扱いの注意
[11C]フルマゼニル注射液による被ばくの
・禁忌
フルマゼニルに対する過敏症の患者,ベン
防止・軽減のため,放射線障害防止法,医療
ゾジアゼピン系薬剤過敏症既往歴患者には禁
1
1
C 多目的合成装置取扱説明書等に則り,
法,
忌である。
取り扱うこと。
・慎重
ベンゾジアゼピン系薬剤の長期間高用量投
8. 定期的/変更時の再バリデーション
与患者,肝障害のある患者,ベンゾジアゼピ
1)製造設備
ン系薬剤投与の重症頭部外傷または頭蓋内圧
a.定期的な再バリデーション
製造管理,品質管理に用いる機器のうち,
が不安定の患者には慎重に投与すること。
校正を必要とする機器について,定期的に校
・一般的注意
診断上の有益性が被ばくによる不利益を上
正を実施し,異常や経時変動がないこと,基
回ると判断される場合にのみ投与することと
準内であることを確認する。
b.変更時の再バリデーション
ロット連続で試験を実施し,適正であること
製造・品質試験設備の更新,補修,改造な
を確認した後,臨床に再使用することとする。
どを実施し,対象設備が PET 薬剤の品質に
また,変更に関わる記録を「製品標準書」に
重大な影響を及ぼす可能性のある場合は,影
ファイリングすること。
響する可能性のある品質因子について最低3
( 160 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
379
2)製造プロセス
温度・時間など)
,製造に用いる原材料の規
a.定期的な再バリデーション(日常的なバ
格,メーカー,製造工程そのものの変更など
リデーション)
があり,その変更が PET 薬剤の品質に重大
製造作業に用いる製造記録などにおいて,
な影響を及ぼす可能性のある場合は,影響す
定められた手順,基準に従って製造工程管理
る可能性のある品質因子について最低3ロッ
を実施する。基準に従った結果を与えたロッ
ト連続で試験を実施し,適正であることを確
トのみを臨床に供する。
認した後,臨床に再使用することとする。ま
b.変更時の再バリデーション
た,変更に関わる記録を「製品標準書」にフ
製造工程において,そのパラメータ(設定
ァイリングすること。
3)品質
を用いた試験を最低3ロット連続で実施し,
a.定期的再バリデーション
変更前と同等の結果を得られることを確認し
定期的に実施日を設定して(1年に1回以
た後変更すること。また,変更に関わる記録
上)回顧的バリデーションを行う。実施法は,
を「製品標準書」にファイリングすること。
回顧的バリデーション実施時の直前1
0製造
c.定期的な品質試験の実施
分について品質試験(検定)項目の平均,分
一部の品質試験項目については,その品質
散を求め,過去の蓄積データとの比較により,
因子が比較的変動しにくいのに対して,試験
分散が大きくなっていないか,平均値に傾向
自体の困難さや,試験実施による試験者(検
的な変動がないかを確認し,変動が認められ
定者)の被ばくによる不利益を考慮して,定
た場合は調査対応する。
期的な実施としている。これら試験項目につ
b.変更時の再バリデーション
いては以下の表に基づいて,定期的な試験を
品質試験法(検定法)そのものや,試験に
実施し,基準内であることを確認する。あわ
用いる機器,試薬の規格,メーカーなど品質
せて過去の試験結果と照らし合わせて,変動
試験の結果に重大な影響を及ぼす可能性のあ
傾向がないことを確認する。
る変更を実施した場合は,実際の PET 薬剤
( 161 )
380
RADIOISOTOPES
添付書類
Vol.
5
8,No.
6
本基準書は,日本アイソトープ協会「ポジ
1.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
トロン核医学利用専門委員会が成熟技術とし
ジトロン核医学利用専門委員会,ポジトロ
ン核医学利用専門委員会が成熟技術として
て認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」
221-245
(2009)),日 本
(RADIOISOTOPES ,
5
8,
認定した放射性薬剤の基準(2
009年改定),
核医学会「院 内 製 造 さ れ た FDG を 用 い て
221-245
(2009)
RADIOISOTOPES ,
5
8,
PET 検 査 を 行 う た め の ガ イ ド ラ イ ン 第2
2.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
(2005))
(協
版」
(平成17年10月,核医学,
4
2,
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
会及び核医学会の両方のガイドラインを合わ
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
せて,以下 PET ガイドラインと略す)に基
専門委員会が成熟技術として認定した放射
づき,○○病院 PET 診療施設(以下,本施
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する解
設と略す)における PET 薬剤の製造管理を
247-289
(2009)
説,RADIOISOTOPES ,
5
8,
適切に実施するため,原料,資材及び PET
3.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
薬剤等の保管管理,製造工程の管理等につい
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
て定める。
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
1―2 適用の範囲
専門委員会が成熟技術として認定した放射
本基準書の適用の範囲は,本施設において
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する参
PET ガイドラインに基づいて管理されるも
2914
-4
2
(2
0
0
9)
考資料,RADIOISOTOPES,
5
8,
のを対象とする。すなわち本基準書では PET
4.日本核医学会,院内製造された FDG を
薬剤製造における,原料,資材,及び PET
用いて PET 検査を行うためのガイドライ
薬剤を対象とした保管管理,製造工程管理,
ン(第2版),平成17年10月,核医学,
4
2
作業管理,並びに無菌製造管理について定め
(2005)
る。
1―3 記録の保管
5.平成16年度厚生労働省科学研究費補助金
本施設での PET 薬剤の製造に関する記録
医療技術評価総合研究事業 PET 検査施設
の保管期間は製造後5年間とする。
における放射線安全の確保に関する研究班
編,FDG―PET 検査における安全確保に関
するガイドライン(2005)
2. 原料及び資材の保管管理
6.医薬品の残留溶媒のガイドライン(医薬
の付着がある場合は,適切な方法で除去する。
7.PET 用放射性薬剤の製造及び品質管理
第3版(平成19年改定版
PET 化学ワー
また,現品と伝票を照合し,品名,荷姿,数
量,メーカーロット番号を確認する。更に外
クショップ)
観検査を行い,目視確認で異常を認めた場合
資料3. 製造管理基準書(例)
PET 薬剤製造施設
2―1 受入れ照合と外観検査
原料及び資材の入荷時に,外装に塵埃など
審第307号,平成10年3月30日)
は,製造管理責任者に報告し,その処置につ
製造管理基準書
き指示を受ける。
○○年○○月○○日
○○病院○○科
2―2 原料及び資材の保管
品質管理基準書及び製品標準書に記載され
た手順に沿って,原料及び資材が規格に適合
1. 一般事項
したことを,品質管理責任者による合否判定
1―1 目的
の後,それぞれについて定められた保管場所
( 162 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
381
に移動し適切な表示を行う。
管箱の設定や強調した表示による区分明確化
2―3 区分管理と先入れ先出し
を行う。また,保管場所に複数の PET 薬剤
保管場所において,それぞれの原料及び資
を保管する場合には,一般的な表示に加えて,
材は混同がないよう,明確に区分した保管及
使用予定者,製造時間などの情報を追加表示
び表示を行う。また,各保管区分を更に2分
する。更に使用が完了した PET 薬剤は,誤
割し,前段に旧入荷分(現在使用分)
,後段
使用防止のため,○○(定められた保管廃棄
に新規入荷分を保管し,更に適切な表示を行
施設)へ直ちに移動する。
うことにより,先入れ先出しを行う。
3―4 保管出納記録
2―4 出納管理
製造管理責任者は,PET 薬剤の保管並び
原料及び資材の入庫時,並びに出庫時には,
に出納について,製造番号ごとに PET 薬剤
2―3に従って先入れ先出しの管理を行うとと
保管並びに出納の記録を作成する。
もに所定の出納簿に必要事項を記入し,出納
4. 製造工程管理
に関わる記録として保管する。
4―1 製造指図
3. PET 薬剤の保管管理
製造管理責任者は,製造番号ごとに必要事
3―1 品質試験
項を記載した製造指図書を作成し,製造の指
製造管理責任者は,製造終了後に品質試験
図を行う。製造管理責任者は,製造作業終了
(検定)を目的とした検体採取を受けた後,
後,製造作業が指図書どおりに実施されたこ
合否の判定がでるまで,品名,製造番号など
とを確認する。なお,製造指図書は製造記録
の表示を明確にしたうえで,原則として,○
を兼ねることができるものを作成してもよい。
○(一時保管場所)に保管する。一時保管場
4―2 PET 薬剤の製造作業
所が設定できない場合は,薬剤保管場所にて,
製造指図書や製品標準書などに従って,確
品質試験が完了していない旨を明確に表示し
認をしながら作業を行う。
保管する。なお,一時保管場所では PET 薬
4―3 秤量作業
剤からの漏洩線量による無用な被ばくを避け
原料の秤量作業は,製造指図書,製品標準
るため,適切な遮へいを施すとともに,PET
書などに従って,所定の部屋○○で正確に,
薬剤が保管中であることを表示する。
かつ無菌的に行う。
3―2 合格品の表示
4―4 混合作業
製造管理者から臨床使用に関わる総合判定
混合作業においては,混合前に原料の品名
に合格した旨連絡を受けた PET 薬剤につい
と PET 薬剤の製造番号の確認を行う。
ては,合格したことを表示するとともに,原
4―5 滅菌工程
則として所定の薬剤保管場所○○に保管する。
ろ過滅菌を行う際には,PET 薬剤ごとに
なお,薬剤保管場所では PET 薬剤からの漏
定められた除菌フィルタを用いる。また,使
洩線量による無用な被ばくを避けるため,適
用した除菌フィルタ名などを製造記録に記入
切な遮へいを施すとともに,PET 薬剤が保
する。
管中であることを表示する。
4―6 表示及び表示作業
3―3 区分管理と先入れ先出し
PET 薬剤の表示作業は,被ばく防護のた
総合判定に合格した PET 薬剤の保管場所
め,放射能を含む PET 薬剤を保管する遮へ
は,原則として原料及び資材とは別の保管場
い容器の側面にあらかじめ製品名,製造番号
所とする。保管場所が近接する場合には,保
などの表記を行っておく。
( 163 )
382
RADIOISOTOPES
4―7 工程検査(収率の確認)
Vol.
5
8,No.
6
機器が故障した場合の措置・連絡について
製造管理責任者は,必要な工程ごとに,収
は,機器ごとの取扱いマニュアル等に基づい
率が適切であるかを確認し,異常と判断され
て対処する。
る場合は,原因を解明し適切な処置を行う。
3)製造工程において品質に関与する異常が
4―8 微生物汚染の防止
認められた場合
注射剤の製造工程等,微生物の汚染防止を
製造工程を直ちに中断し,異常の状況を調
必要とする製造工程においては,「6.無菌を
査・把握し更に取るべき対応について判断・
必要とする PET 薬剤の製造管理」に基づき
対処し,取った措置を製造記録に異常措置と
作業を行う。
して記録する。
4―9 作業室への立入り制限
4―13 廃棄物の処理
別に定める「製造衛生管理基準書」等に従
製造工程中に発生した廃棄物は,廃棄物処
って,製造作業時においては,製造作業に従
理規則などに従って分別し廃棄する。
事する者以外の作業室への立入りは原則とし
5. 製造作業における作業管理
て禁止する。
4―10 製造記録
作業中の注意事項
製造された PET 製剤は,製造番号ごとに
別に定める「製造衛生管理基準書」,「品質
製造記録(製造指図書と兼用することも可
管理基準書」などに基づき,作業中の服装,
能)を作成する。
行動範囲,健康管理,手洗いの励行,作業担
4―11 製造容器の洗浄,滅菌
当者以外の立入り制限並びに放射線障害防止,
製造容器の洗浄,滅菌については,製造指
安全取扱い等について十分管理する。
図書に記載された方法に従って準備し,所定
の場所に保管するとともに短時間内に使用す
6. 無菌を必要とする PET 薬剤の製造管理
6―1 作業室の保全
る。
4―12 異常時の措置・報告
無菌を必要とする作業室は,別に定める「製
製造工程において異常(事故)が発生した
造衛生管理基準書」に基づき,作業室内の整
場合は,以下の手順に従い処置するとともに
理,整頓,清掃,消毒を励行し,常に清浄状
これを記録する。
態を維持する。
1)停電の場合
6―2 作業室,機械及び器具の清掃
①
ただちに復電を要する機器については,
無菌を必要とする作業室,機械及び器具は,
別に定める「製造衛生管理基準書」に従って
える。
清掃・消毒間隔,清掃・消毒方法を定め,常
②
予め自家発電機回路に接続し,停電に備
更に,瞬時の停電も避ける必要のある
機器は,無停電電源にもつなぎ込み,瞬
無菌を必要とする作業室内の設備及び器具
時停電に備える。
③
に清浄,清潔な状態を保つ。
6―3 設備の点検,整備
停電が発生した場合,製造している
類は,定期的に清掃,消毒,点検,整備し,
PET 薬剤について,実施中の工程等の
常に適正な状態を保つ。
状況などに基づいて判断・対処し,取っ
6―4 無菌 PET 薬剤の製造作業
た措置を製造記録に異常措置として記録
無菌を必要とする PET 薬剤の製造工程に
おいては,秤量・混合・充填など一連の操作
する。
は,定められた作業室(○○室)内に配され
2)機器が故障した場合
( 164 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
383
たクリーンベンチなどの清浄雰囲気下で行う。
作業室,作業室に付随する設備器具,保管場
6―5 作業中の注意事項
所及びそれらの場所や器具を使用する作業員
無菌を必要とする PET 薬剤の製造作業に
とする。
1―3 記録類の保管
おいては「5.作業中の注意事項」を参照し,
作業中の服装,行動範囲,健康状態,手洗い
本施設での PET 薬剤の製造衛生管理に関
の励行,作業担当者以外の立入り制限並びに
わる記録類の保管期間は,記録作成の日から
放射線障害防止,安全取扱い等について十分
5年間とする。
管理する。
6―6 作業室への立入り制限
2. 製造衛生管理に関する事項
無菌を必要とする PET 薬剤の製造作業に
PET 薬剤の製造において,製造衛生管理を
おける,作業担当者等の作業室への立入りは
適切に行うため,要求される清浄度に基づいて
「4―9 作業室への立入り制限」に従う。
清浄度区分を設定し,更に清浄度区分に基づい
6―7 異常時の処置
て動線,更衣手順,清掃の手順などを定める。
無菌を必要とする PET 薬剤の製造工程に
お い て 発 生 し た 異 常 に つ い て は「4―12
a.基本思想
異常時の措置・報告」に従って処置を行う。
本施設における清浄度区分の基本的な考え
方として,WHO-GMP における無菌操作に
資料4. 製造衛生管理基準書(例)
PET 薬剤製造施設
2―1 清浄度区分
よって製される注射剤の製造環境などを参考
製造衛生管理基準書
として設定した。
○○年○○月○○日
原則として,PET 薬剤の製造に関与する
○○病院○○科
作業室を,それぞれの作業内容,品質として
要求されるレベルなどによって区分・分割し,
1.一般事項
それぞれの区分にあわせた衛生管理基準を設
1―1 目的
定する。
本基準書は,日本アイソトープ協会「ポジ
トロン核医学利用専門委員会が成熟技術とし
て認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」
b.区分の定義
製造に関わる各部屋の清浄度管理のため,
清浄度区分の定義を以下のように定める。
221(平成21年6月,RADIOISOTOPES ,
58,
清浄度区分1:無菌 PET 薬剤の合成試
245(200
9)
),日本核医学会「院内製造され
薬の調製,分注,品質検
た FDG を用いて PET 検査を行うためのガ
定用試料の採取を行う清
イドライン
浄区域
第2版」
(平成17年10月,核医
005))に 基 づ き,○○病 院 PET 診
学,
4
2(2
清浄度区分2:区分1の前段階の作業,
療施設(以下,本施設と略す)における衛生
PET 薬 剤 の 合 成(ホ ッ
環境を適切に維持管理し,製造される PET
トラボ)
,品質試験を行
薬剤の汚染を防止するため,製造作業室,作
う部屋または場所
業室に付随する設備器具,保管場所及び作業
清浄度区分3:その他の一般区域
員について,目的に応じた製造衛生に関する
2―2 製造動線に関する事項
基準について定める。
a.基本思想
1―2 適用範囲
本施設の製造動線に関する基本思想は,各
本基準書の適用範囲は,PET 薬剤製造の
( 165 )
動線間において交叉汚染を起こさないことを
384
RADIOISOTOPES
大原則として定める。
Vol.
5
8,No.
6
退出手順書に定める。
また,各区分では適切な除塵,清掃を行い,
c.服装基準
異物,微生物等を上位区分に持ち込まないよ
各清浄度区分,該当区域の目的に応じた適
うに,その手順を設定する。
切な作業服,着用方法,管理方法及び注意事
b.作業員の動線
項を以下のとおり定める。また,無塵白衣の
本施設の製造衛生環境を,清浄度区分ごと
着用が義務付けられている区域に関しては,
に適切な状態に維持し,製品への汚染防止を
その交換,清浄化に関する記録を作成して,
図るため,各作業室及び作業区域ごとに作業
適正な維持管理を行う。
員の入退出,更衣,手洗いに関する手順を入
2―3 清浄化に関する事項
清掃作業方法
適切な清浄化及びその管理を行うための管
理運用について以下に定める。
清掃すべき作業室の指定並びに清掃間隔を
以下に示す。
1)清掃すべき作業室の指定並びに清掃間隔,
2)清掃すべき設備及び器具の指定並びに清
掃間隔,清掃作業方法
微粒子数についてモニタリングを行う。
また,以下に定める方法によって製造衛生
PET 薬剤の製造に関与する設備及び器具
環境試験を実施し,上記のモニタリングとあ
に関しては,製造または品質試験の前後に清
わせて,製造環境が適切なレベルに維持管理
掃,不要品の撤去を実施する。なお,必要に
されているかどうかを確認する。
応じて消毒剤としてグルコン酸クロルヘキシ
その記録,評価及び改善の措置等を以下に
ジン,塩化ベンザルコニウム,アルコールな
定める。
どを使用すること。
a.環境モニタリング(浮遊微粒子)
2―4 環境モニタリング及び環境試験に関す
る事項
各部屋及びラミナーフロー設備等の注射剤
製造環境の重要区域に設けられた環境モニタ
清浄度を一定レベルに維持するため,浮遊
( 166 )
リングシステム(または可搬型パーティクル
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
カウンタ)によって,日常の環境状態が適切
385
b.一時立入り者に対する教育訓練
に維持管理されているかどうかを確認する。
本施設以外の者(見学または機器の据え付
また,ラミナーフロー設備は定期的に点検
け及び保守点検が目的の者等)が,製造に関
し,上記のモニタリングシステム(または可
わる作業室に立ち入るときは,製造衛生に関
搬型パーティクルカウンタ)によって適切な
する教育を施した後,立入りを許可すること
運転が行われているかどうかを確認する。
とする。
b.落下菌試験(空気中微生物試験実施の場
3―2 健康管理
a.日常健康管理
合は省略)
別途定められた「落下菌試験標準作業書」
本施設の環境衛生を適切に保ち,製品の品
に従い,定期的に各作業室,ラミナーフロー
質を確保するため,製造管理責任者は作業前
区域における落下菌試験を実施する。評価に
に作業員の健康状態を確認する。健康状態が
あたっては,
「落下菌試験判定基準」に従う
不良であり,作業内容に影響を与える恐れが
ものとする。
ある場合は,必要に応じて交替等の措置を行
c.空気中微生物試験(落下菌試験実施の場
う。
b.定期健康診断
合は省略)
別途定められた「空気中微生物試験標準作
作業員は別途定められた規則に従い,各種
業書」に従い,定期的に各作業室,ラミナー
の定期健康診断を受診し,各自の健康状態を
フロー区域における浮遊微生物試験を実施す
把握することに努めることとする。
る。評価にあたっては,
「空気中微生物試験
4. 製造を支援するシステムの管理に関する事
判定基準」に従うものとする。
項
d.付着菌試験
別途定められた「付着菌試験標準作業書」
製造を支援するシステムの対象となる設備
に従い,定期的に清浄度区分1に設置のクリ
及び管理担当部署の任務を以下に定める。
ーンベンチについて,付着菌試験を実施する。
4―1 受配電設備及び圧縮空気供給設備
評価にあたっては,
「付着菌試験判定基準」
受配電設備及び圧縮空気供給設備を分掌す
る各所管課は,当該設備に異常が発生した場
に従うものとする。
上記の各試験において,評価基準に従って
製造管理責任者が不合格と判定した場合は,
合,しかるべき処置方法を決定し,速やかに
処置を施す。
また,管理担当部署は復旧作業を実施する。
清浄化措置及び再試験,評価を実施する。
ただし,復旧作業は当該設備の支援を受ける
側の各部署においても積極的に協力すること
3. 作業員に関する事項
3―1 教育訓練
とする。
作業員及び一時立入り者の製造衛生に関す
る教育訓練を以下に規定し,製造衛生管理の
4―2 空気調和設備(給気・排気設備)
給気・排気設備を分掌する各所管課は,当
徹底に努めるものとする。
該設備に異常が発生した場合,しかるべき処
a.作業員に対する教育訓練
置方法を決定し,速やかに処置を施す。
本施設の基準に従って,作業員の製造衛生
また,管理担当部署は復旧作業を実施する。
教育を定期的に行う。また,新入者及び他部
ただし,復旧作業は当該設備の支援を受ける
門からの異動者については,別に製造衛生に
側の各部署においても積極的に協力すること
関する教育訓練を実施する。
とする。
( 167 )
386
RADIOISOTOPES
験を実施するに十分な量の検体を採取する。
資料5. 品質管理基準書(例)
PET 薬剤製造施設
Vol.
5
8,No.
6
②
品質管理基準書
検体採取時の注意事項
吸湿の可能性のある検体は迅速に採取し,
○○年○○月○○日
品質の低下を防ぐこと。無菌的に小分けす
○○病院○○科
る必要のある検体については,クリーンベ
ンチ(ラミナーフローフード)内で行うこ
1. 一般事項
と。液体の場合は,アンプル,バイアル,
1―1 目的
ボトル単位で実施すること。
2―2 PET 薬剤の検体採取の方法
本基準書は,日本アイソトープ協会「ポジ
PET 薬剤の検体採取は,所定の部屋○○
トロン核医学利用専門委員会が成熟技術とし
で行う。
て認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」
221(平成21年6月,RADIOISOTOPES ,
58,
①
検体採取量
245
(2009)
),日本核医学会「院内製造された
各試験項目ごとに設定された試験方法
FDG を用いて PET 検査を行うためのガイド
(製品標準書に記載)に基づいて,試験を
ライン
第2版」
(平成17年10月,核医学,
実施するに十分な量の検体を採取する。
005))
(協会及び核医学会の両方のガイ
4
2(2
②
検体採取時の注意事項
ドラインを合わせて,以下 PET ガイドライ
PET 薬剤の検体採取においては無菌的
ンと略す)に基づき,○○病院 PET 診療施
に小分けする必要があるため,所定のクリ
設(以下,本施設と略す)における PET 薬
ーンベンチ(ラミナーフローフード)内で
剤の品質管理を適切に実施するため,検体の
行うこと。また適切な遮へい設備,遠隔操
採取,検定(以下,品質試験と記載する)方
作器具などを活用し,かつ迅速に作業し,
法,試験結果の判定方法,臨床使用に関わる
無用な被ばくを避けること。
総合判定,並びに品質試験用の標準品,試薬
などの保管管理等について定める。
3. 品質試験の実施方法
1―2 適用の範囲
3―1 実施項目
本基準書の適用の範囲は,本施設において
原料,資材及び PET 薬剤の品質試験は,
PET ガイドラインに基づいて管理される対
製品標準書に定められた実施項目について実
象とする。すなわち本基準書では PET 薬剤
施する。
製造における,原料,資材,試薬及び PET
3―2 実施手順
原料,資材及び PET 薬剤の品質試験は,
薬剤を対象とした品質管理等について定める。
1―3 記録の保管
製品標準書に定められた手順に従って実施す
本施設での PET 薬剤の製造に関する記録
る。
の保管期間は製造後5年間とする。
4. 試験結果の判定及び報告
4―1 原料及び資材の試験結果判定
2. 原料,資材及び PET 薬剤の検体採取
2―1 原料及び資材の検体採取の方法
①
結果の判定
原料の検体採取は,所定の部屋○○で行う。
①
検体採取量
品質管理責任者は,各試験項目ごとに試
験検査結果を製品標準書中の当該品目の規
各種原料及び資材ごとに定められた試験
方法(製品標準書に記載)に基づいて,試
( 168 )
格と照合し,適合する場合を合格とする。
②
記録及び総合評価
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
387
品質管理責任者は,全ての試験が終了し
報告を受けた製造管理の結果に基づいて,当
た時点で総合判定を行う。全ての試験項目
該の PET 薬剤を臨床使用してよいか判定す
において合格の場合,品質試験合格と判定
る。
し,試験記録に記載する。
5―2 判定結果の記録・連絡
③
①
品質試験結果の連絡
判定結果の記録
製造管理者は総合判定の結果を品質試験
品質管理責任者は,製造管理者に試験結
果の報告を行う。
記録に記載する。
④
②
不合格の場合の措置
判定結果の連絡
製造管理者は総合判定の結果を製造管理
品質管理責任者は試験結果において不合
責任者,品質管理責任者に報告する。
格の判定が下された場合,納入業者に対し
て不合格となった試験項目,試験結果など
を通知し,物品を引き取らせるとともに,
6. 試験・検査に用いられる標準品及び試薬・
試液等の品質確保
原因究明のための調査を指示する。
4―2 PET 薬剤の試験結果判定
①
6―1 一般購入試薬
結果の判定
①
対象品目
品質管理責任者は,試験項目ごとに試験
日常の品質試験に用いる購入試薬及び購
検査結果を製品標準書中の規格と照合し,
入標準品で,保管管理上特別な規程を必要
適合する場合を合格とする。
としないもの。
②
②
記録及び総合評価
入手方法
品質管理責任者は,全ての試験が終了し
在庫の状況などに基づいて,本施設で定
た時点で総合判定を行う。全ての試験項目
める購入手順に従い,購入手続きを行う。
(無菌試験は除く)において合格の場合,
③
保管管理方法
品質試験合格と判定し,試験記録に記載す
試薬入荷後は,定められた保管場所に速
る。無菌試験については,試験結果判定が
やかに移動するとともに,出納簿に入荷日
得られた時点で,記載確認する。
時,数量,ロット番号など必要な事項を記
③
載する。
品質試験結果の連絡
品質管理責任者は,製造管理者,製造管
④
理責任者に対して試験結果の報告を行う。
使用時の注意
④
不合格の場合の措置
使用に際しては,他の試薬などによる汚
染を防ぐため,定められた場所で試験を実
品質管理責任者は試験結果において不合
格の判定が下された場合,製造管理者,製
造管理責任者に対して不合格となった試験
項目,試験結果などを連絡するとともに,
施するに必要な量を速やかに抜き取る。抜
き取り後は確実に封栓する。
6―2 一般調製試薬
①
対象品目
日常の品質試験に用いる調製試薬及び調
原因究明,対策実施のための調査・報告を
製標準品で,保管管理上特別な規程を必要
指示する。
としないもの。
②
5. 臨床使用に関わる総合判定
5―1 総合判定
調製方法
製品標準書の各種試験方法に従って,準
製造管理者は品質管理責任者から報告を受
けた品質試験の結果及び製造管理責任者から
( 169 )
備調製を行う。
③
保管管理方法
388
RADIOISOTOPES
試薬調製後は,調製試薬名称,調製日,
7. 再試験を必要とする場合の取扱い
7―1 長期間保存した場合の再試験
調製者など必要な事項を表示し,定められ
原料について,その有効期限内で,保存状
た保管場所に速やかに移動する。
④
Vol.
5
8,No.
6
態に異常が認められた場合に再試験を実施す
使用時の注意
る。原則として全ての試験を実施し,通常の
使用に際しては,他の試薬などによる汚
染を防ぐため,定められた場所で試験を実
規格判定を行う。
施するに必要な量を速やかに抜き取る。抜
7―2 試験結果が異常値を示した場合の再試
験
き取り後は確実に封栓する。
6―3 危険物
①
各種品質試験において,通常認められない
対象品目
試験結果が得られた際に再試験を実施する。
日常の品質試験に用いる購入試薬及び購
その際にはあわせて,関連する各種原料,資
入標準品で,消防法に規定されるものをい
材の試験結果,直前の試験結果における変動
う。
傾向などを十分に分析調査する。
②
入手方法
在庫の状況などに基づいて,本施設で定
資料6. 入退出手順書(例)
める購入手順に従い購入手続きを行う。
③
保管管理方法
入荷後は速やかに定められた危険物保管
場所に移動するとともに,出納簿に日時,
入退出手順書
1. 施設への立入り
1―1 放射性同位元素使用施設(使用施設)
入荷数量,ロット番号など必要な事項を記
載する。
へ立ち入る者は,あらかじめ登録し,放射
④
線取扱主任者(主任者)の許可を得た者で
使用時の注意
なければならない。
本施設で別に定める「危険性物質の取扱
1―2 使用施設内では,主任者の指示に従わ
規則」に従って,留意して取扱いを行う。
6―4 医薬用外毒物・劇物
①
なければならない。
1―3 使用施設に立ち入る際は,ガラスバッ
対象品目
ジなどの個人モニタを携帯しなければなら
日常の品質試験に用いる購入試薬及び購
ない。
入標準品で,毒物及び劇物取締法に規定さ
1―4 入り口で入退室簿に必要事項を記入,
れている毒物,劇物及び特定毒物をいう。
②
またはキーボード入力する。使用施設へは
入手方法
みだりに立ち入ったり,必要以上に時間を
在庫の状況などに基づいて,本施設で定
過ごしてはならない。
める購入手順に従い,購入手続きを行う。
③
保管管理方法
本施設で別に定める「毒物・劇物取扱い
2. 無菌製剤を調製するホットラボへの入室
上の管理運営方法についての諸規定」に従
い,開放の状態にしないこと。
って保管管理を行う。
④
2―1 ドアの開閉はできるだけすみやかに行
2―2 前室にて履物をぬぎ,下駄箱に入れる。
使用時の注意
本施設で別に定める「毒物・劇物取扱い
2―3 ゴミ,塵を発生しやすい衣服及び静電
上の管理運営方法についての諸規定」に従
気を発生する衣服は前室にて脱ぎ,脱衣ロ
って,留意して取扱いを行う。
ッカーに入れる。
( 170 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
2―4 手洗いをする。
389
殺菌灯は上向きに照射するようにして,直接プ
a.石鹸で肘から下をよく洗う。
ラスチック類を長時間照射しない構造にする。
b.流水で石鹸をよく洗い流す。
1. 使用20分前にスイッチ ON。
c.クロルヘキシジングルコン酸塩溶液で
2. 0.
1% ベンザルコニウム塩化物液にて,
同様に約2分間洗う。
作業台を清掃する。
d.流水で消毒剤をよく洗い流す。
3. 作業台及びクリーンベンチ内を消毒用ア
e.殺菌灯付きハンドクリーナーにて手を
ルコールにて清掃する。
乾燥させる。
4. 消毒用アルコールが蒸発するまで放置す
2―5 無塵衣ロッカーに個別にセットされた
る。
滅菌済み無塵衣を着用する。
5. クリーンベンチの中に器具及び溶解液を
2―6 マスクをする。
搬入する場合,必ず消毒用アルコールを噴
2―7 帽子を被る。髪の毛の長い人は上を束
霧する(作業者の手にも噴霧する)。
ね,帽子から髪の毛が出ないように注意す
6. クリーンベンチ内の気流を乱さないよう
る。
に心掛け,器具の位置,薬品の位置,作業
2―8 手術用手袋を装着する。
者の手の位置等に注意して作業を行う。
2―9 手袋を水洗後,クロルヘキシジングル
7. 作業終了後,0.
1% ベンザルコニウム塩
コン酸塩溶液を用いて水洗する。
化物液にて清掃し,更に消毒用アルコール
2―10 蒸留水を用いて水洗(蒸留水を最初に
を噴霧して,ペーパータオルで清掃する。
使用する場合,配管に溜まっている水を捨
8. クリーンベンチの電源 OFF。
てるため,約20秒間放水する)する。
2―11 靴下のままクリーンマットを踏み,エ
資料8. 浮遊微粒子試験標準作業書(例)
アシャワーをあびる(30秒間)。
2―12 専用のスリッパを履き,ホットラボに
入室する。
1)レーザパーティクルカウンタを用いた場
合
3. 使用施設からの退出
浮遊微粒子試験標準作業書
3―1 退出時,必ず手足及び衣服等の表面汚
染の検査を行う。万一汚染を発見した場合
(作業室)
には,ただちに必要な措置を講じ,速やか
―レーザパーティクルカウンタを用いた浮遊粒
に主任者に申し出てその指示に従うこと。
子測定法による清浄度測定―
3―2 入退室簿に必要事項を記入,またはキ
使用機種:レーザパーティクルカウンタ
ーボード入力して退出する。
モデ
ル237型(トランステック社製)
測定原理:チャンバー内に吸引された空気中に
存在する微粒子により散乱されたレ
資料7. クリーンベンチ操作手順書(例)
ーザー光を,集光レンズでフォトダ
イオード上に導き,電気パルスに変
クリーンベンチの操作手順書
換する。したがって,電気パルス数
注意事項
が粒子数となる。またパルス波高が
使用するとき,長時間殺菌灯を直接見たり,
皮膚に当てたりしないように気をつける。また
( 171 )
粒子径と比例することから,粒子径
ごとの数も弁別できる。
390
RADIOISOTOPES
測定間隔:1回/年以上。
Vol.
5
8,No.
6
2)ダスト・モニタを用いた場合
準備手順:
浮遊微粒子試験標準作業書
(1)パーティクルカウンタを作動させる。
(2)設定パラメータ(測定モード,サンプル
吸引時間,測定回数及び印字)を確認する。
使用機種:ダスト・モニタ(○○○社製)
(3)パージフィルタを用いてセンサ内部のパ
測定原理:レーザーダイオードから発せられた
ージを行う(0カウントの確認)。
(4)指定されたポイントで測定を行う。
光が数枚のレンズを経て粒子感知域
(5)測定結果を記録する。測定データは記録
に入っており,微粒子がこの粒子感
知域に入ると光が散乱し,光感知器
簿とともに5年間保管する。
に捉えられ電気信号となる。電気信
[判定]
5∼5 µ m:350000
ホット ラ ボ 室 :粒 子径0.
*
号の振幅は,粒子感知域内の微粒子
個/m3 以 下,粒 子 径5 µ m 以
の粒径に比例する。
3
上:2000個/m 以 下 の 条 件
を満たすとき,適合とする。
ホ ッ ト セ ル 内:粒 子 径0.
5∼5 µ m:350000
測定間隔:2回/年。その他必要に応じて実施
する。
個/m3 以 下,粒 子 径5 µ m 以
上:2000個/m3 以 下 の 条 件 を
満たすとき,適合とする。
測定方法:
(1)ダスト・モニタを作動させる。
クリーンベンチ:粒子 径0.
5∼5µ m:3500個/
(2)設定パラメータ(測定モード,サンプル
m3 以下,粒子径5 µ m 以上:
*
吸引時間)を確認する。
なしの条件を満たすとき,適
(3)各測定点での吸引量は,6L 以上とする。
合とする。
(4)指定された測定点で3回測定を行い,そ
の平均値を算出する。
ホットラボ室の清浄度は各施設により異なること
が予想されるため,それぞれの施設で清浄度基準を
(5)測定結果を記録する。測定データは記録
簿とともに5年間保管する。
設定する。
( 172 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
資料9. 空気中微生物試験標準作業書(例)
(落下菌試験標準作業書,浮遊菌試
験標準作業書)
391
gest Agar:一般細菌用)」
測定間隔:2回/年。その他必要に応じて実
施する。
測定方法:
(1)測定機器は,測定日までに以下の
空気中微生物試験標準作業書
準備を行う。
空気中微生物の測定方法については以下のい
a)バッテリーの充電を行う。
ずれかの方法を用いる。
b)捕集蓋及び埃よけカバーを滅
(1)落下菌測定法
菌する。
使用培地:生培地 CASO 寒天(○○○社製)
(2)クリーンルーム,クリーンベンチ
組成「SCDA(Soybean Casein Di-
に測定機器等を搬入する場合は,
gest Agar:一般細菌用)」
機器表面を消毒用エタノール(ろ
測定間隔:2回/年。その他必要に応じて実
施する。
過済み)で十分に消毒する。
(3)サンプリング量は最小空気採取量
測定方法:
に準ずる。
寒天培地を入れた一定の大きさのペト
(4)指等が培地面に接触しないように
リ皿を,測定場所で蓋を取り,一定時間
注意し,接触した場合は新たな培
放置後,表面に落下した微生物を培養し,
地に交換する。
集落数を計測する。
(5)測定者は測定機器から十分な距離
生菌数の測定は,日本薬局方微生物限
をとる。
度試験法のメンブランフィルター法,カ
(6)空気を吸引する。
ンテン平板混釈法,カンテン平板表面塗
(7)培地を取出し,蓋をして,日付と
抹法及び液体培地段階希釈法等に準じる。
(2)浮遊菌測定法
場所の番号を記入する。
(8)培地を5日間,25∼30℃の温度
使用機器:エアーサンプラー(○○○社製)
使用培地:生培地 CASO 寒天(○○○社製)
で培養する。
(9)測定結果を記録簿に記載し,判定
組成「SCDA(Soybean Casein Di無菌医薬品製造作業中の清浄区域の微生物参考限度値
(a)
:平均値,(b)
:個々のプレートの曝露時間は4時間未満とする。
( 173 )
を行う。
392
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
(4)指等が培地面に接触しないように注意し,
資料10. 付着菌試験標準作業書(例)
接触した場合は新たな培地に交換する。
(5)培地面全体が確実に測定場所に接触する
付着菌試験標準作業書
ように,裏側を指先で軽く押す。
使用培地:コンタクトスライド TC(○○○社
(6)露出した培地表面を測定する基物の表面
製)
に押し付ける。
測定間隔:2回/年。その他必要に応じて実施
(7)測定後,剥がしたフィルムを付属のシー
する。
ラーで封をする。
測定方法:
(8)培地が接触した地点は,測定後消毒用ア
(1)
使用前に培地の有効期限を確認する。
ルコールで清拭する。
(2)
測定点に培地を搬入する場合は,培地ケ
(9)ソフトケースに日付と場所の番号を記入
ース表面を消毒用アルコール(ろ過済み)
で十分に消毒する。
する。
(10)培地面を下にして5日間,3
0℃の温度
(3)
培地を培地ケースより取り出す時は,培
地面を下向きにして取り出す。
測定点:
( 174 )
で培養する。
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
資料11. 原料及び資材の品質管理記録(例)
原料及び資材の品質管理記録
名称:
組成:
供給者:
ロット No. :
容器:
量:
品質:
確認資料:
(品質基準:
)
分析試験:
分析日:
分析者:
外観:
判定:
判定者:
入荷日:
有効期限:
(
)
保存方法及び保存場所:
備考:
試験担当者:
印
品質管理責任者:
印
記録者:
印
※分析結果を添付すること。なお,業者から供給された場合には,業者からの分析結果を添付すること。
( 175 )
393
394
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
資料12. 製造指図書,製造記録(例)
(1) 2―デオキシ―2―フルオロ―D―グルコース(18F)注射液
([18F]FDG 注射液)
(i) 水酸化ナトリウムを用いて加水分解する場合
製造指図書兼製造記録
○○病院○○科
薬剤名:2―デオキシ―2―フルオロ―D―グルコース(
[18F]
)
注射液(
[18F]
FDG 注射液)
製造日:
年
月
日
製造ロット No. :
製造に使用する装置:○○○○○○社製
FDG 合成装置○○○○
(医療機器承認番号:○○○○)
1. 合成準備
以下の原材料を準備する。
*
1)実際に秤量した量,または使用した個数を記入すること。
*
2)18O―水は,回収した後,精製装置により精製して再利用することができる。
*
3)18O―水回収バイアル,製品バイアルは,日本薬局方に従って滅菌処理を行う。
2. ターゲット水の注入(滅菌された器具を使用し,クリーンベンチ内で行う)
□
1
8
O―水を含むターゲット水2.
5mL を滅菌バイアルに入れる。これをターゲット注入装置にセ
ット後,注入する。
( 176 )
Jun.
2
0
0
9
3.
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
395
1
8
F―フッ化物イオンの製造
1
8
(p,n)
F の核反応により18F―フッ化物イオンを製する。
ターゲット水に陽子を照射して18O
□
サイクロトロン:○○○○○○社製
照射:
型式○○○○
µA
ビーム電流:
時
照射時間:
分
∼
時
分
分
4. カートリッジカラムの準備(滅菌された器具を使用し,クリーンベンチ内で行う)
□
QMA カートリッジを,F200用試薬キットの QMA 活性化用試薬1
0mL に通し,注射用水60mL
で洗浄する。
□
IC-H カートリッジを注射用水4
0mL で洗浄する。
□
PS-2カートリッジを,消毒用エタノール10mL,注射用水40mL の順に洗浄する。
□
アルミナカートリッジを注射用水40mL で洗浄する。
□
全てのカラムを調製後に,乾燥した空気でフラッシングをする。
5. 合成試薬の準備(滅菌された器具を使用し,クリーンベンチ内で行う)
□
炭酸カリウム溶液をクリプトフィックス2.
2.
2に加えて溶解させ,試薬トレイに載せる。
□
アセトニトリル0.
7mL を試薬トレイに載せる。
□
マンノーストリフレートにアセトニトリル1.
3mL を加えて溶解させ,試薬トレイに載せる。
□
水酸化ナトリウム水溶液を試薬トレイに載せる。
□
注射用水バイアル1本に注射用水を5mL 入れ,試薬トレイに載せる。
6. F200合成装置の準備
□
FDG 合成装置○○○○専用カセットを取り付ける。
□
カセットの配管を接続する。
□
1
8
□
ターゲット水回収ラインの接続をする。
O―水回収バイアルを取り付ける。
□ “Check before preparation”
画面で準備状況を確認しながらチェックする。
□
カートリッジ・製品バイアルを取り付ける。
□
カートリッジのリークテストを行う。
□
試薬バイアルを取り付ける。
□ “Check before synthesis”画面をチェックする。
7.
□
1
8
F―フッ化物イオンの回収及び[18F]FDG の合成
照射を終了し,18F―フッ化物イオンを回収し,合成をスタートさせる。以後自動的に[18F]FDG
が合成され,製品バイアル中に回収される。合成中はエラー表示が出ないことを確認する。
( 177 )
396
RADIOISOTOPES
エラー表示の有無:
有(コード:
合成開始:
時
分
合成終了:
時
分
合成時間:
時間
分
収量:
MBq(
時
)・無
分)
8. 異常及びその対処(異常があれば記載する)
製造担当及び記録者:
印
製造管理責任者:
印
( 178 )
Vol.
5
8,No.
6
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
397
(ii) 塩酸を用いて加水分解する場合
製造指図書兼製造記録
○○病院○○科
薬剤名:2―デオキシ―2[
― 18F]
フルオロ―D―グルコース注射液(
[18F]
FDG 注射液)
製造日:
年
月
日
製造ロット No. :
製造に使われる装置:○○○○○社製
FDG 自動合成装置○○○○○ (医療機器承認番号
○○○○○)
1. 準備
以下の原材料を準備する。
*
1)実際に秤量した量,または使用した個数を記入すること。
*
2)注射用水1
0
0mL に対し,NaOH5
3
6mg,Na2HPO43.
2
0
4g を溶解する(滅菌された器具を使用し,ク
リーンベンチ内で行う)
。
*
実際に秤量した量を記入すること。
2. ターゲット水の注入
1
8
O―水を含むターゲット水2∼3mL を滅菌バイアルに入れる(滅菌された器具を使用し,クリー
ンベンチ内で行う)。これをターゲット注入装置にセット後,注入する。
ターゲット水注入確認欄
( 179 )
398
3.
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
1
8
F―フッ化物イオンの製造
1
8
(p,n)
F の核反応により18F―フッ化物イオンを製する。
陽子を照射して18O
サイクロトロン:○○○社,○○―○○○
µA
ビーム電流:
照射開始:
時
分
照射終了:
時
分
照射時間:
時間
分
4. カートリッジカラムの洗浄
消毒用エタノール10mL でアルミナカートリッジ及び C18カートリッジを洗浄後,注射用水20mL
以上で洗浄する(滅菌された器具を使用し,クリーンベンチ内で行う)。
*
実際に秤量した量,または使用した個数を記入すること。
5. 合成用キットの準備
マンノーストリフレート(30mg)
,アセトニトリル(4mL),1mol/L 塩酸(2mL),中和用緩衝
液(10mL)をそれぞれキット付属のバイアルに入れ,これらのバイアル及びキット付属のシリンジ
6本をカセットに取り付ける(滅菌された器具を使用し,クリーンベンチ内で行う)。
*
実際に秤量した量を記入すること。
6. カセットの取付け
カセットに,アルミナカートリッジ,C18カートリッジ,エクステンションチューブ,フィルタ,
注射針,日本薬局方注射用水12∼13mL を入れた製品バイアルを取り付けた後,合成装置にセット
し,LOAD ボタンを押す。自動的にセットアップが行われレディーランプが点灯する。
( 180 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
399
*
実際に使用した個数を記入すること。
レディーランプ点灯確認欄*
*
レディーランプが点灯しない場合はその対処も記入すること。
7.
1
8
F―フッ化物イオンの回収及び18FDG 合成
照射を終了し,18F―フッ化物イオンを回収後,合成開始ボタンを押す。以後自動的に[18F]FDG が合
成され,製品バイアル中に回収される。合成中エラー表示がでないことを確認する。
(参考:温度等のパラメータを表示できる合成装置の場合,各パラメータをチェックし,正常に合成が進行してい
るかどうかモニタリングし,その記録を製造記録に貼付する。各工程における重要なパラメータに関しては,工
程管理値を設定する)
エラー表示の有無:
有(コード:
合成開始:
時
分
合成終了:
時
分
合成時間:
時間
分
収量:
MBq(
時
)・無
分)
8. 異常及びその対処(異常があれば記載する)
製造担当及び記録者:
印
製造管理責任者:
印
( 181 )
400
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
(2) アンモニア(13N)注射液
製造指図書兼製造記録
○○病院○○科
薬剤名:アンモニア(13N)注射液
製造日:
年
月
日
製造ロット No. :
製造に使用する装置:○○○○○○社製
アンモニア合成装置○○○
(医療機器承認番号○○○)
1. 合成準備
以下の原材料を準備する。
*
1)実際に秤量した量,または使用した個数を記入すること。
2)注射用水50mL にエタノール29µ L を添加し,十分混和する。
*
*
3)製品バイアルは,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
<1
0mmol/L エタノール水溶液の調製>
*
実際に秤量した量を記入すること。
2. ターゲット水の注入
□ 10mmol/L エタノール水溶液を滅菌バイアルに入れる。これをターゲット注入装置にセット後,
注入する(滅菌された器具を使用し,クリーンベンチ内で行う)。
3. カートリッジカラムの準備
□
CM カートリッジを,消毒用エタノール10mL,注射用水60mL の順に洗浄する(滅菌された器
具を使用し,クリーンベンチ内で行う)。
( 182 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
401
*
実際に秤量した量,または使用した個数を記入すること。
4. 合成装置の準備
□
三連三方活栓,三方活栓,CM カートリッジを接続し取り付ける。
□
シリンジを取り付ける。
□
エクステンションチューブを取り付ける。
□
生理食塩液ボトル,注射用水ボトルを取り付ける。
□
製品バイアル,廃液バイアルを取り付ける。
□
ターゲット水回収ラインを取り付ける。
□
CM カートリッジのコンディショニングを実施する。
5.[13N]アンモニアの製造
□
1
3
(p, α )
N の核反応により,ターゲットボッ
エタノールを含む注射用水に陽子を照射して,16O
クス内で[13N]アンモニアを直接生成する。
6.[13N]アンモニア回収と合成
□
照射を終了し,[13N]アンモニアを含むターゲット水を回収する。
□
CM カートリッジに[13N]アンモニアを保持し,注射用水で洗浄し,残留する不純成分を洗い流
す。
□
生理食塩液により CM カートリッジに保持された[13N]アンモニアを溶出し,滅菌フィルタを通
して[13N]アンモニア注射液を得る。
7. 合成終了後の後処理
□
繰り返し合成を実施する場合,CM カートリンジのコンディショニングを実施する。
照射及び合成,製造量の記録
サイクロトロン:○○○○○○社製
型式○○○○
ビーム電流:
µA
1.
照射:___時___分∼___時___分
合成:___時___分∼___時___分 収量:___GBq
2.
照射:___時___分∼___時___分
合成:___時___分∼___時___分 収量:___GBq
3.
照射:___時___分∼___時___分
合成:___時___分∼___時___分 収量:___GBq
4.
照射:___時___分∼___時___分
合成:___時___分∼___時___分 収量:___GBq
( 183 )
402
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
5.
照射:___時___分∼___時___分
合成:___時___分∼___時___分 収量:___GBq
6.
照射:___時___分∼___時___分
合成:___時___分∼___時___分 収量:___GBq
8. 異常及びその対処(異常があれば記載する)
製造担当及び記録者:
印
製造管理責任者:
印
( 184 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
403
(3) 水(15O)注射液
製造指図書兼製造記録
○○病院○○科
薬剤名:水(15O)注射液
製造日:
年
月
日
製造ロット No. :
製造に使用する装置:○○○○○社製
○○型水注射液合成装置
(医療機器承認番号○○○○)
1.合成準備
以下の原材料を準備する。
*
1)実際に使用した個数を記入すること。
*
2)バブリングバイアル,トラップバイアルは,日本薬局方に従って滅菌処理を行う。
2.[15O]水捕集部の準備
□
V24→バイアル(廃液)→バブリングバイアルの組立
*
実際に使用した個数を記入すること。
( 185 )
404
□
RADIOISOTOPES
V26→WASTE バイアル→V25→バブリングバイアルの組立
*
実際に使用した個数を記入すること。
□
V21→トラップバイアル→V22→バブリングバイアルの組立
*
実際に使用した個数を記入すること。
□
三方活栓(V28)→生理食塩液バッグ,バブリングバイアル
*
実際に使用した個数を記入すること。
3.[15O]水注入部の準備
□
放射能計測器内ループの組立
*
実際に使用した個数を記入すること。
□
シリンジの取り付け
*
実際に使用した個数を記入すること。
□
三方活栓(V32)→ループ,シリンジ,生理食塩液バッグの組立
*
実際に使用した個数を記入すること。
( 186 )
Vol.
5
8,No.
6
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
405
三方活栓(V31)→ループ,被検者,[15O]水捕集部の組立
□
*
実際に使用した個数を記入すること。
4. 準備運転
□
STEP1 生理食塩液バッグ→V32→シリンジの空気追い出しを行う。
□
STEP2 バブリングバイアルに生理食塩液を満たす。
□
STEP3 捕集部側の生理食塩液ラインの空気を抜く。
□
STEP4 被検者への注入ラインを満たす。
5. 前合成(コールド確認)
□
モード1 バブリングを停止し,[15O]水をチューブに引き込む。
□
モード2 チューブに引き込んだ[15O]水をループに引く。
□
モード3 注入を実行する。
□
モード4 シリンジに生理食塩液を引く。
□
モード5 バブリングバイアルに生理食塩液を入れる。
6. 検定合成
□
[15O]水捕集部,[15O]水注入部の配管を確認し,扉を閉める。
□
1
5
(d,n)
O の核反応により15O を製する。
ターゲットガスに重陽子を照射して14N
□
ガス状標識化合物自動合成装置にて[15O]酸素ガスを合成する。
□
[15O]水を合成する。
ガス状標識化合物自動合成装置から[15O]水合成部に[15O]酸素ガスを流し,
□ [15O ]水捕集部で蒸気状態の[15O]水をバブリング補集すると,放射能値が上昇する。
□
放射能が必要量に達したら,注入モードを順番に実行し,モード3
(静注)にてサンプル瓶に[15O]
水を注入し,検定に使用する。
7. 臨床検査
□
準備動作及び注入モード3の確認
□
被検者への注入ラインの確保
照射及び合成,製造量の記録
サイクロトロン:○○○○○○社製
型式○○○○
ビーム電流:
µA
1.
照射:___時___分∼___時___分 合成:___時___分∼___時___分 収量:____GBq/ mL
( 187 )
406
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2.
照射:___時___分∼___時___分 合成:___時___分∼___時___分 収量:____GBq/ mL
3.
照射:___時___分∼___時___分 合成:___時___分∼___時___分 収量:____GBq/ mL
4.
照射:___時___分∼___時___分 合成:___時___分∼___時___分 収量:____GBq/ mL
5.
照射:___時___分∼___時___分 合成:___時___分∼___時___分 収量:____GBq/ mL
6.
照射:___時___分∼___時___分 合成:___時___分∼___時___分 収量:____GBq/ mL
7.
照射:___時___分∼___時___分 合成:___時___分∼___時___分 収量:____GBq/ mL
8. 異常及びその対処(異常があれば記載する)
製造担当及び記録者:
印
製造管理責任者:
印
( 188 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
407
(4) L―メチオニン(11C)注射液
製造指図書兼製造記録
○○病院○○科
薬剤名:L[
― 11C]
メチオニン注射液
製造日:
年
月
日
製造ロット No. :
製造に使用する装置:○○○○○○社製
○○○○○○社製
ヨウ化メチル合成装置
[11C]
メチオニン合成装置
(医療機器承認番号○○○○)
1.[11C]ヨウ化メチル合成装置の準備(気相法)
1―1.[11C]メチルトリフレート合成の準備
以下の原材料を準備する。
*
1)実際に秤量した量を記入すること。
*
2)使用期限,使用回数に達していない場合でも,原材料の劣化が認められる場合には交換する。
1―2.カラム類の準備(排気装置を備えたドラフト内で行う)
□
Shimalite Ni カラムに Shimalite Ni と Molecular Sieve を混ぜ合わせ充填する。
□
ヨウ素カラムにヨウ素を充填する。
□
アスカライトカラムに Ascarite を充填する。
□
トリフレートカラムに AgOTf を充填する。
*
実際に使用した個数を記入すること。
1―3.ヨウ化メチル合成装置の準備
□
ヨウ素カラムを接続し,加熱用ヒーターを取り付ける。
□
アスカライトカラムを取り付ける。
( 189 )
408
□
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
トリフレートカラムを接続し,加熱用ヒーターを取り付ける。
□ [11C]メチルトリフレート供給配管,ターゲット回収ライン,Waste 配管ラインを取り付ける。
□
合成前の準備プログラム「準備開始」を開始する。
2.[11C]ヨウ化メチル合成装置の準備(液相法)
2―1.[11C]メチルトリフレート合成の準備
以下の原材料を準備する。
*
1)実際に秤量した量,または使用した個数を記入すること。
*
2)第1反応器,アスカライト管,V バイアルは,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
2―2.ヨウ化メチル合成ユニットの準備
□
第1反応器,アスカライト管,V バイアルを取り付ける。
□
メチルトリフレート供給配管,ターゲット回収ライン,Waste 配管ラインを取り付ける。
□
第1反応器,アスカライト管のフローテスト,リークテスト,パージを実施する。
2―3.合成試薬の準備(排気装置を備えたドラフト内で行う)
□
アスカライト管にアスカライトと五酸化リンを充填する。
□
トリフレートカラムに AgOTf を充填する。
□
V バイアルにヨウ化水素酸を注入する。
□ 0.
1mol/L LiAlH4/THF を第1反応器に注入する。
*
実際に秤量した量を記入すること。
( 190 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
409
3. L[
― 11C]メチオニン合成の準備
以下の原材料を準備する。
*
1)実際に秤量した量,または使用した個数を記入すること。
*
2)製品バイアルは,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
4. カートリッジカラムの準備
□
C18カートリッジカラムを,70∼80℃ の乾燥機で8時間以上乾燥させる。
□
QMA カートリッジカラムに,1mol/L NaOH 水溶液5mL を通し,注射用水10mL で洗浄する。
CM カートリッジカラムを,注射用水1
0mL で洗浄する(滅菌された器具を使用し,クリーンベ
ンチ内で行う)。
5. 合成試薬の準備(滅菌された器具を使用し,クリーンベンチ内で行う)
□
生理食塩液バイアルに生理食塩液4mL を入れる。
□
L―ホモシステインチオラクトン塩酸塩3mg
を,0.
1mol/L
NaOH 水溶液0.
5mL で溶解し調製
する。
1mol/L NaOH 水溶液0.
2mL を C18カート
調製した L―ホモシステインチオラクトン塩酸塩/0.
□
リッジカラムに注入する。
6. メチオニンモジュール合成装置の準備
□ [11C]メチルトリフレート供給配管,Waste 配管,使用するボンベを確認する。
□
パーソナルコンピュータの「Preparation」画面で準備状況を確認する。
□
合成装置内の流路を消毒用エタノール5mL と注射用水5mL で洗浄する。
□
C18カートリッジカラムを取り付ける。
□
QMA カートリッジカラム(上流),CM カートリッジカラム(下流)の順に接続し,取り付ける。
□
生理食塩液バイアル,製品バイアルを取り付ける。
( 191 )
410
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
7.[11C]
CO2 の製造
1
1
(p, α )
C の核反応により
□ 0.
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度窒素ガスに陽子を照射して14N
[11C]二酸化炭素(11CO2)を製する。
サイクロトロン:○○○○○○社製
µA
ビーム電流:
照射:
型式○○○○
時
分∼
照射時間:
時
分
分
8.[11C]
CO2 の回収と[11C]メチルトリフレートの合成
CO2 を回収し,[11C]メチルトリフレート合成をス
照射を終了し,ヨウ化メチル合成装置に
[11C]
□
タートさせる。以後自動的に
[11C]メチルトリフレートが合成される。合成中はエラー表示が出な
いことを確認する。
エラー表示の有無:
有(コード:
合成開始:
時
分
合成終了:
時
分
合成時間:
時間
分
収量:
MBq(
時
)・無
分)
9.[11C]メチルトリフレートの回収と[11C]メチオニン合成
□
□
メチオニンモジュールに[11C]メチルトリフレートを回収する。
L―ホモシステインチオラクトン塩酸塩/0.
1mol/L
NaOH 水溶液を加えた C1
8カートリッジに
1
1
[ C]メチルトリフレートを捕集する。
□
生理食塩液により C1
8カートリッジに保持された
[11C]メチオニンを溶出し,QMA カートリッ
ジ,CM カートリッジカラムで中和し,滅菌フィルタを通して
[11C]メチオニン注射液を得る。
エラー表示の有無:
有(コード:
合成開始:
時
分
合成終了:
時
分
合成時間:
時間
分
収量:
MBq(
時
)・無
分)
10.異常及びその対処(異常があれば記載する)
製造担当及び記録者:
印
製造管理責任者:
印
( 192 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
411
(5) 酢酸(11C)注射液
製造指図書兼製造記録
○○病院○○科
薬剤名:酢酸(11C)注射液
製造日:
年
月
日
製造ロット No. :
製造に使用する装置:○○○○○社製
1
1
C 酢酸合成装置
(医療機器承認番号○○○○)
1.[11C]酢酸製造の準備
以下の原材料を準備する。
*
1)実際に秤量した量,または使用した個数を記入すること。
*
2)製品バイアルなどのガラス類は,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
2. 固相抽出カラムの準備(滅菌された器具を使用し,クリーンベンチ内で行う)
□
OnGuard-H(上流)
,OnGuard-Ag(下流)の順に接続し,注射用水2
0mL で洗浄する。
3. 酢酸トレイの準備
□
酢酸反応器,塩酸用注入管,蒸留水用注入管を取り付ける。
□
OnGuard-H(上流)
,OnGuard-Ag(下流)の順に接続し,取り付ける。
□
ターゲット回収ライン,反応液移送ライン,Waste 配管ラインを取り付ける。
□
酢酸反応器のフローテスト,リークテスト,パージを実施する。
( 193 )
412
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
4. 濃縮ユニットの準備
□
濃縮フラスコに炭酸水素ナトリウム注射液0.
5mL を注入し,取り付ける。
□
生理食塩液バイアルに生理食塩液5∼10mL を注入し,取り付ける。
□
製品バイアルを取り付ける。
CO2 トラップの準備
5. 合成試薬と[11C]
□
塩酸用注入管に1mol/L 塩酸を注入する。
□
蒸留水用注入管に注射用水を注入する。
□
酢酸反応器に0.
3∼0.
5mol/L CH3MgBr/THF を注入する。
□
デュワー瓶に液体窒素を注入し,ループコイルを液体窒素に浸す。
*
実際に秤量した量を記入すること。
6.[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造
1
1
(p, α )
C の核反応により
□ 0.
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度窒素ガスに陽子を照射して14N
[11C]二酸化炭素(11CO2)を製造する。
サイクロトロン:○○○○○○社製
照射:
型式○○○○
µA
ビーム電流:
時
分∼
照射時間:
時
分
分
7.[11C]
CO2 の回収と[11C]酢酸の合成
CO2 を含むターゲットガスを液体窒素下のループコイルに回収する。
□ [11C]
□
CO2 を CH3MgBr/THF に反応させる。
液体窒素からループコイルを取り出し,[11C]
□
反応液に塩酸を加え,加水分解を行い,[11C]酢酸を固相抽出カラムで精製する。
□
濃縮ユニットで溶媒の除去を行い,残渣を生理食塩液に溶かし,滅菌フィルタを通して注射用製
剤とする。
エラー表示の有無:
有(コード:
合成開始:
時
分
合成終了:
時
分
合成時間:
時間
分
収量:
MBq(
時
)・無
分)
( 194 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
8.異常及びその対処(異常があれば記載する)
製造担当及び記録者:
印
製造管理責任者:
印
( 195 )
413
414
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
(6) コリン(11C)注射液
製造指図書兼製造記録
○○病院○○科
薬剤名:コリン(11C)注射液
製造日:
年
月
日
製造ロット No. :
製造に使用する装置:○○○○○○社製
11
C コリン自動合成装置
(医療機器承認番号○○○○)
1.[11C]ヨウ化メチル製造の準備
以下の原材料を準備する。
*
1)実際に秤量した量,または使用した個数を記入すること。
*
2)第1反応器,アスカライト管,V バイアルは,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
2. ヨウ化メチル合成ユニットの準備
□
第1反応器,アスカライト管,V バイアルを取り付ける。
□
ヨウ化メチル供給配管,ターゲット回収ライン,Waste 配管ラインを取り付ける。
□
第1反応器,アスカライト管のフローテスト,リークテスト,パージを実施する。
3. 合成試薬の準備(排気装置を備えたドラフト内で行う)
□
アスカライト管にアスカライトと五酸化リンを充填する。
□
V バイアルにヨウ化水素酸を注入する。
□ 0.
1mol/L LiAlH4/THF を第1反応器に注入する。
*
実際に秤量した量を記入すること。
( 196 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
415
4.[11C]コリン合成の準備
以下の原材料を準備する。
*
1)実際に秤量した量,または使用した個数を記入すること。
*
2)薬液リザーバー,製品バイアルは,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
5. コリン合成ユニットの準備
□
合成ユニットの流路を消毒用エタノールと注射用蒸留水で洗浄する。
□
薬液リザーバー,三方活栓,ヨウ化メチル供給配管を取り付ける。
□
C18カートリッジカラム(上側)
,アクセル CM カートリッジカラム(下側)の順に接続し,取
り付ける。
□
製品バイアルを取り付ける。
6. 合成試薬の準備
ジメチルアミノエタノール(1
00 µ L)を C18カートリッジカラムに注入する(滅菌された器具
□
を使用し,クリーンベンチ内で行う)。
*
実際に秤量した量,または使用した個数を記入すること。
□
薬液リザーバーにエタノール(1
0mL),注射用水(1
0mL),生理食塩液(5∼1
0mL)を注入
する。
*
実際に秤量した量を記入すること。
7.[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造
1
1
(p, α )
C の核反応により
□ 0.
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度窒素ガスに陽子を照射して14N
[11C]二酸化炭素(11CO2)を製造する。
( 197 )
416
RADIOISOTOPES
サイクロトロン:○○○○○○社製
型式○○○○
µA
ビーム電流:
照射:
Vol.
5
8,No.
6
時
分∼
照射時間:
時
分
分
8.[11C]
CO2 の回収と[11C]ヨウ化メチルの合成
CO2 を回収し,[11C]ヨウ化メチル合成をスタート
照射を終了し,ヨウ化メチル合成装置に[11C]
□
させる。以後自動的に[11C]ヨウ化メチルが合成される。合成中はエラー表示がでないことを確認
する。
エラー表示の有無:
有(コード:
合成開始:
時
分
合成終了:
時
分
合成時間:
時間
分
収量:
MBq(
時
)・無
分)
9.[11C]ヨウ化メチルの回収と[11C]メチオニン合成
□
コリン合成ユニットに[11C]ヨウ化メチルを回収する。
□
ジメチルアミノエタノールを注入した C1
8カートリッジカラムに
[11C]ヨウ化メチルを捕集する。
□
C1
8カートリッジカラムをエタノール,注射用水で洗浄し,未反応の試薬を除去する。
□
生理食塩液により CM カートリッジカラムを精製し,滅菌フィルタを通して
[11C]コリン注射液
を得る。
エラー表示の有無:有(コード:
合成:
:
合成時間:
収量:
∼
)・無
:
分
MBq(
:
)
10. 異常及びその対処(異常があれば記載する)
製造担当及び記録者:
印
製造管理責任者:
印
( 198 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
417
(7) フッ化ナトリウム(18F)注射液
製造指図書兼製造記録
○○病院○○科
薬剤名:フッ化ナトリウム(18F)注射液
製造日:
年
月
日
製造ロット No. :
製造に使用する装置:○○○○○○社製
フッ化ナトリウム合成装置○○○
(医療機器承認番号○○○○)
1. 合成準備
以下の原材料を準備する。
*
1)実際に秤量した量,または使用した個数を記入すること。
*
2)注射用7% 炭酸水素ナトリウム及び注射用水より調製する。
*
3)製品バイアルは,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
2. ターゲット水の注入
□
1
8
O―水を滅菌バイアルに入れる。これをターゲット注入装置にセット後,注入する(滅菌された
器具を使用し,クリーンベンチ内で行う)。
3. カートリッジカラムの準備
□
QMA カートリッジを,消毒用エタノール10mL,注射用水10mL,
7% 炭酸水素ナトリウム5mL,
注射用水10mL の順に洗浄する(滅菌された器具を使用し,クリーンベンチ内で行う)。
QMA
*
実際に秤量した量,または使用した個数を記入すること。
4. 合成装置の準備
□
合成ユニットを取り付ける。
( 199 )
418
RADIOISOTOPES
□
QMA カートリッジを接続し取り付ける。
□
エクステンションチューブを取り付ける。
□
生理食塩液ボトル,注射用水ボトルを取り付ける。
□
製品バイアル,廃液バイアルを取り付ける。
□
ターゲット水回収ラインを取り付ける。
Vol.
5
8,No.
6
5.[18F]フッ素イオンの製造
1
8
(p,n)
F の核反応により
[18F]フッ化物イオ
□ [18O]H2O を含むターゲット水に陽子を照射して18O
ンを製する。
6.[13N]アンモニア回収と合成
□
照射を終了し,[18F]フッ素イオンを含むターゲット水を回収する。
□
QMA カートリッジに[18F]フッ素イオンを保持し,注射用水で洗浄し,残留する不純成分を洗い
流す。
□ 0.
35% 炭酸水素ナトリウム水溶液により QMA カートリッジに保持された
[18F]フッ素イオンを
溶出し,滅菌フィルタを通して[18F]フッ化ナトリウム注射液を得る。
7. 合成終了後の後処理
□
合成中はエラー表示がでないことを確認する。
エラー表示の有無:
合成開始:
時
有(コード:
分
合成終了:
時
分
合成時間:
時間
分
収量:
)・無
MBq(
時
分)
8. 異常及びその対処(異常があれば記載する)
製造担当及び記録者:
印
製造管理責任者:
印
( 200 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
419
(8) フルマゼニル(11C)注射液
製造指図書兼製造記録
○○病院○○科
薬剤名:フルマゼニル(11C)注射液
製造日:
年
製造時間:
月
日
時
分
製造ロット No. :
製造に使用する装置:○○○○○○社製
11
C フルマゼニル合成装置○○○
(医療機器承認番号○○○○)
1.[11C]フルマゼニル合成の準備
以下の原材料を準備する。
*
1)実際に秤量した量,または使用した個数を記入すること。
*
2)反応器,アスカライト管,V バイアル,濃縮フラスコなどのガラス類は,日本薬局方に従って滅菌処
理を行う。
( 201 )
420
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2. ヨウ化メチル合成ユニットの準備
□
第1反応器,第2反応器,アスカライト管,V バイアルを取り付ける。
□
ターゲットガス回収ライン,ヨウ化メチル供給配管,反応液移送ライン,Waste 配管を取り付ける。
□
第1反応器,第2反応器,アスカラト管のフローテスト,リークテスト,パージを実施する。
3. 濃縮ユニットの準備
□
濃縮ユニットの流路を消毒用エタノール10mL と注射用水20mL で洗浄する。
□
試薬用バイアル,濃縮フラスコを取り付ける。
□
HPLC 分取条件の設定,分取溶媒の確認,分取カラムのコンディショニングを行う。
□
濃縮フラスコにアスコルビン酸注射液0.
1mL を注入する。
□
試薬用バイアルに界面活性剤5 µ L を含む生理食塩液10mL を入れる。
□
製品バイアルを取り付ける。
□
デュワー瓶に液体窒素を注入する。
4. ヨウ化メチル合成試薬の準備(排気装置を備えたドラフト内で行う)
□
アスカライト管にアスカライトと五酸化リンを充填する。
□
V バイアルにヨウ化水素酸を注入する。
□ 0.
1mol/L LiAlH4/THF を第1反応器に注入する。
*
実際に秤量した量を記入すること。
5. フルマゼニル合成試薬の準備(排気装置を備えたドラフト内で行う)
□
Desmethyl flumazenil/DMF 溶液0.
4mL に NaH/DMF 溶液0.
5 µ L を加え,第2反応器に注入
する。
□
V バイアルに分取溶媒0.
5mL を注入する。
*
実際に秤量した量を記入すること。
6.[11C]
CO2 の製造
1
1
(p, α )
C の核反応により
□ 0.
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度窒素ガスに陽子を照射して14N
[11C]二酸化炭素(11CO2)を製する。
( 202 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
サイクロトロン:○○○○○○社製
型式○○○○
µA
ビーム電流:
照射:
421
時
分∼
照射時間:
時
分
分
7.[11C]
CO2 の回収と[11C]フルマゼニルの合成
CO2 を回収し,[11C]ヨウ化メチル合成開始を
照射を終了し,ヨウ化メチル合成ユニットに
[11C]
□
スタートさせる。
□ [11C]ヨウ化メチルを合成し,Desmethyl flumazenil を溶解した DMF 溶液に捕集する。
□
反応液を HPLC に導入し,分離精製する。
□
分離精製後,濃縮ユニットで溶媒の除去を行い,残渣を生理食塩液に溶かし,滅菌フィルタを通
して[11C]フルマゼニル注射液を得る。
エラー表示の有無:
合成開始:
時
有(コード:
分
合成終了:
時
分
合成時間:
時間
分
収量:
)・無
MBq(
時
分)
8. 異常及びその対処(異常があれば記載する)
製造担当及び記録者:
印
製造管理責任者:
印
( 203 )
422
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
資料13. 品質試験記録(例)
(1) 2―デオキシ―2―フルオロ―D―グルコース(18F)注射液
([18F]FDG 注射液)
品質試験記録
○○病院○○科
薬剤名:2―デオキシ―2―フルオロ―D―グルコース(18F)注射液(
[18F]
FDG 注射液)
製造日:
年
月
日
製造ロット No. :
*
1)初めて合成を行う時,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者
を変更した場合には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合していることを確認すること。
*
2)担体を添加しない製法(キャリアーフリー状態での合成法)を用いる場合は,毎合成時,比放射能と
しては理論値を用いる。ただし,
1回/年以上は製品中に含まれる非放射性 FDG の量を測定し,規格を満
たすことを確認する。
*
3)使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事後検定とする。ただ
し,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合することを確認する。
*
4)クロマトグラムを試験記録に貼付する。
( 204 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
423
クロマトグラム
製品ラベルのコピー
品質判定試験
:
判定日時
:
年
月
日
時
分
無菌試験判定日時
:
年
月
日
時
分
試験担当及び記録者:
印
品質管理責任者:
印
臨床試験に関わる総合判定:
合格・不合格
判定日時
年
:
合格・不合格
月
日
時
分
製造管理者:
( 205 )
印
424
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
(2) アンモニア(13N)注射液
品質試験記録
○○病院○○科
薬剤名:アンモニア(13N)注射液
製造日:
年
製造時間:
月
日
時
分
製造ロット No. :
1.準備
□カラム:Nova-Pak
C1
8(3.
9mm×150mm)
,移動相:5mmol/L
PIC
0:60),
B-8/CH3CN(4
5分(保持容量:1.
25mL)
流速:0.
5mL/分,室温,13NH3 の保持時間:2.
2.検定結果
*
1)頻度
・初めて合成を行う時,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者を
変更した場合(例えば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合して
いることを確認すること。
・使用日ごとに1回:[13N]
アンモニア薬剤は短期間で放射能が減衰する(半減期は約10分)ため,本装
置で合成された[13N]
アンモニア薬剤は直ちに被検者に投与される必要がある。すなわち,被検者に使
用する[13N]
アンモニア薬剤を合成ごとの全てについて検定を行うことは現実的には不可能である。
したがって,頻度の「使用日ごとに1回」については,現実的方法として,実際に被検者に投与され
る[13N]
アンモニア薬剤を合成する日の最初に,試験的に[13N]
アンモニア薬剤を1回合成(検定合成)
し,これを検定することとする。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
( 206 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
425
・使用日ごとに1回(事後)
:使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の
検定を事後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定にお
いて適合することを確認する。
*
2)クロマトグラムを試験記録に添付する。
品質判定試験
:
判定日時
:
年
月
日
時
分
無菌試験判定日時
:
年
月
日
時
分
試験担当及び記録者:
印
品質管理責任者:
印
臨床試験に関わる総合判定:
合格・不合格
判定日時
年
:
月
合格・不合格
日
時
分
製造管理者:
( 207 )
印
426
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
(3) 水(15O)注射液
品質試験記録
○○病院○○科
薬剤名:水(15O)注射液
製造日:
年
製造時間:
月
日
時
分
製造ロット No. :
1. ガスクロマトグラフィーの準備
□短寿命 RI 標識化合物合成システム(医療機器承認番号○○○○)
カ ラ ム:Molecular
Sieve1
3X(30/60mesh,3mm i.d.×3m),気 相:He,圧 力:1.
2kg/cm2,
2分
温度:55度,放射能検出器:TCD 検出器,15O―O2 の保持時間:1.
2.検定結果
*
1)頻度
・初めて合成を行う時,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者を
変更した場合及び使用時の検定で不適合が生じた場合,全項目の検定を実施し,3ロット連続して適合
していることを確認すること。
・各被検者ごとに1回:被検者に対する1回の PET 検査では,多くの場合が複数回のカメラ撮影を行う
ことになる。[15O]
水注射液は短時間で放射能が減衰する(半減期は約2分)ため,これら一連のカメ
ラ撮影では,その都度,放射性薬剤[15O]
水注射液を被検者に投与しなければならない。しかも,短時
間に放射能が減衰するため,本装置で合成された[15O]
水注射液は直ちに被検者に投与される必要があ
る。すなわち,被検者に使用する[15O]
水注射液を合成ごとの全てについて検定を行うことは現実的に
は不可能と思われる。
したがって,頻度の「被検者ごとに1回」については,現実的方法として,一人の被検者の検査(一
連のカメラ撮影)時に実際に被検者に投与される[15O]
水注射液を合成する直前に,試験的に[15O]
水
注射液を1回合成(検定合成)し,これを検定することとする。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
( 208 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
427
・被検者ごとに1回(事後)
:使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の
検定を事後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定にお
いて適合することを確認する。
*
2)クロマトグラムを試験記録に添付する。
品質判定試験
:
判定日時
:
年
月
日
時
分
無菌試験判定日時
:
年
月
日
時
分
試験担当及び記録者:
印
品質管理責任者:
印
臨床試験に関わる総合判定:
合格・不合格
判定日時
年
:
月
合格・不合格
日
時
分
製造管理者:
( 209 )
印
428
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
(4) L―メチオニン(11C)注射液
品質試験記録
○○病院○○科
薬剤名:L―メチオニン(11C)注射液
製造日:
年
製造時間:
月
日
時
分
製造ロット No. :
1. 準備
6mm×250mm),移動相:5
0mmol/L クエン酸/クエン酸ナトリウ
□カラム:Partisil10SCX( φ 4.
4分前後
ム(10:1),流速:2mL/分,L―[11C]メチオニンの保持時間:3.
2. 検定結果
*
1)頻度
・初めて合成を行う時,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者を
変更した場合(例えば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合して
いることを確認すること。
・毎合成後:毎回の合成後,検定を実施する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・毎合成後(事後):使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事
後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合
することを確認する。
*
2)クロマトグラムを試験記録に添付する。
( 210 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
品質判定試験
:
合格・不合格
判定日時
:
年
月
日
時
分
無菌試験判定日時
:
年
月
日
時
分
試験担当及び記録者:
印
品質管理責任者:
印
臨床試験に関わる総合判定:
合格・不合格
判定日時
年
:
429
月
日
時
分
製造管理者:
( 211 )
印
430
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
(5) 酢酸(11C)注射液
品質試験記録
○○病院○○科
薬剤名:酢酸(11C)注射液
製造日:
年
製造時間:
月
日
時
分
製造ロット No. :
1.準備
0
□カ ラ ム:Partisil-10SAX(4.
6mm×250mm),移 動 相:1
0mmol/L H2NaPO4,室 温,流 速:1.
8mL
mL/分,11C―酢酸の保持容量:約11.
2.検定結果
*
1)頻度
・初めて合成を行う時,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者を
変更した場合(例えば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合して
いることを確認すること。
・毎合成後:毎回の合成後,検定を実施する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・毎合成後(事後)
:使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事
後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合
することを確認する。
*
2)クロマトグラムを試験記録に添付する。
( 212 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
品質判定試験
:
合格・不合格
判定日時
:
年
月
日
時
分
無菌試験判定日時
:
年
月
日
時
分
試験担当及び記録者:
印
品質管理責任者:
印
臨床試験に関わる総合判定:
合格・不合格
判定日時
年
:
431
月
日
時
分
製造管理者:
( 213 )
印
432
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
(6) コリン(11C)注射液
品質試験記録
○○病院○○科
薬剤名:コリン(11C)注射液
製造日:
年
製造時間:
月
日
時
分
製造ロット No. :
1.準備
□カラム:Inertsil ODS-2(6mm×250mm)
,移動相:1mmol/L naphthalene-2-sulfonic acid を含む
0mL/分,11C―コリンの保持容量:約11.
7mL
0.
05mol/L H3PO4,流速:1.
2.検定結果
*
1)頻度
・初めて合成を行う時,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者を
変更した場合(例えば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合して
いることを確認すること。
・毎合成後:毎回の合成後,検定を実施する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・毎合成後(事後)
:使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事
後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合
することを確認する。
*
2)クロマトグラムを試験記録に添付する。
( 214 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
品質判定試験
:
合格・不合格
判定日時
:
年
月
日
時
分
無菌試験判定日時
:
年
月
日
時
分
試験担当及び記録者:
印
品質管理責任者:
印
臨床試験に関わる総合判定:
合格・不合格
判定日時
年
:
433
月
日
時
分
製造管理者:
( 215 )
印
434
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
(7) フッ化ナトリウム(18F)注射液
品質試験記録
○○病院○○科
薬剤名:フッ化ナトリウム(18F)注射液(
[18F]
NaF 注射液)
製造日:
年
月
日
製造ロット No. :
1.準備
□カラム:IC-PaK Ion-Exclusion(7.
8mm×300mm)
,移動相:1mmol/L octanesulfonic acid,
5mL
流速:1mL/分,18F―フッ化物イオンの保持容量:約7.
2.検定結果
*
1)初めて合成を行う時,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者
を変更した場合には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合していることを確認すること。
*
2)使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事後検定とする。ただ
し,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合することを確認する。
*
3)クロマトグラムを試験記録に貼付する。
クロマトグラム
( 216 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
435
製品ラベルのコピー
品質判定試験
:
判定日時
:
年
月
日
時
分
無菌試験判定日時
:
年
月
日
時
分
試験担当及び記録者:
印
品質管理責任者:
印
臨床試験に関わる総合判定:
合格・不合格
判定日時
年
:
合格・不合格
月
日
時
分
製造管理者:
( 217 )
印
436
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
(8) フルマゼニル(11C)注射液
品質検査記録
○○病院○○科
薬剤名:フルマゼニル(11C)注射液
製造日:
年
製造時間:
月
日
時
分
製造ロット No. :
1.準備
6mm×150mm),移動相:CH3CN/0.
1mol/L CH3CO2NH4/
□カラム:Finepak SIL C1
8S(5 µ m, φ 4.
,保持時間:原料1.
2
CH3CO2H(250:250:1),流速:2mL/分,検出器:UV(254nm)
5分
分;[11C]フルマゼニル:1.
2.検定結果
*
1)頻度
・初めて合成を行う時,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者を
変更した場合(例えば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合して
いることを確認すること。
・毎合成後:毎回の合成後,検定を実施する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・毎合成後(事後)
:使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事
後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合
することを確認する。
*
2)クロマトグラムを試験記録に添付する。
( 218 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
品質判定試験
:
合格・不合格
判定日時
:
年
月
日
時
分
無菌試験判定日時
:
年
月
日
時
分
試験担当及び記録者:
印
品質管理責任者:
印
臨床試験に関わる総合判定:
合格・不合格
判定日時
年
:
437
月
日
時
分
製造管理者:
( 219 )
印
438
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
資料14. 浮遊微粒子試験記録(例)
(1) ダスト・モニタを使用の場合
浮遊微粒子試験記録
委託機関名*
担当者名
*
*
:
:
印
試料採取及び測定を外部機関に委託した場合に記入
記録者
( 220 )
:
印
製造管理責任者:
印
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
439
(2) パーティクルカウンタを使用の場合
浮遊微粒子試験記録
( 221 )
記録者:
印
製造管理責任者:
印
440
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
資料15. 空気中微生物試験記録(浮遊菌試験記録)
(例)
浮遊菌試験記録
委託機関名*:
担当者名*:
*
印
試料採取及び測定を外部機関に委託した場合に記入
( 222 )
記録者:
印
製造管理責任者:
印
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
441
資料16. 空気中微生物試験記録(落下菌試験記録)
(例)
落下菌試験記録
*
試料採取及び測定を委託した場合は委託機関名と実施担当者氏名を記入すること。
( 223 )
記録者:
印
製造管理責任者:
印
442
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
資料17. 付着菌試験記録(例)
付着菌試験記録
試料採取点:
委託機関名*:
担当者名*:
*
印
試料採取及び測定を外部機関に委託した場合に記入
( 224 )
記録者:
印
製造管理責任者:
印