Download 2009 Vol.58 No.6 資料 日本アイソトープ協会 核薬学ワーキンググループ

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330
RADIOISOTOPES
添付書類
Vol.
5
8,No.
6
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
1.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
専門委員会が成熟技術として認定した放射
ジトロン核医学利用専門委員会,ポジトロ
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する参
2914
-4
2
(2
0
0
9)
考資料,RADIOISOTOPES,
5
8,
ン核医学利用専門委員会が成熟技術として
4.日本核医学会,院内製造された FDG を
認定した放射性薬剤の基準(2
009年改定),
221-245
(2009)
RADIOISOTOPES ,
5
8,
用いて PET 検査を行うためのガイドライ
2.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
ン(第2版),平成17年10月,核医学,
4
2
(2005)
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
5.平成16年度厚生労働省科学研究費補助金
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
専門委員会が成熟技術として認定した放射
医療技術評価総合研究事業
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する解
設における放射線安全の確保に関する研究
247-289
(2009)
説,RADIOISOTOPES ,
5
8,
班,編,FDG―PET 検査における安全確保
3.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
に関するガイドライン(2005)
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
(4) L―メチオニン(11C)注射液
製品標準書
1. 薬剤の名称,成分
1)名称
L―メチオニン(11C)注射液
2)成分
2. 合成装置
○○○○○○社製
ヨウ化メチル合成装置
○○○○○○社製 [11C]メチオニン合成装置
PET 検査施
医療機器承認番号:○○○○
3. 原料及び製品の規格及び試験方法
1)原材料の規格及び試験方法
a.有機化合物(主な原料)
( 112 )
Jun.
2
0
0
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「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
331
*
1)L―ホモシステインチオラクトン塩酸塩は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
b.[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造に使用するターゲットガス(出発物質)並びにサイクロトロン
【ターゲットガス(出発物質)】
*
1)ターゲットガスは受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
【[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造に使用するサイクロトロン】
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:○○○○
c.製剤に含まれる他の成分
L―メチオニン(11C)注射液の調製に以下の薬品を添加する。
*
1)生理食塩液は受け入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は,肉眼により異常のないことを確認する。
( 113 )
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d.[11C]ヨウ化メチルの合成に使用する試薬,消耗品,交換部品
d―1.気相法による[11C]ヨウ化メチル合成に使用する試薬*1),消耗品
*
1)試薬の取り扱いは排気装置を備えたドラフト内で行い,試薬の飛散,吸引等に注意して作業すること。
使用する器具及びガラス管は十分に乾燥したものを使用する。
*
2)試薬,消耗品は受け入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
3)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。使用期間,使用回数に達していない場合でも,
試薬,部品の劣化が認められれば交換する。
d―2.液相法による[11C]ヨウ化メチル合成に使用する試薬*1),消耗品,交換部品
*
1)試薬の取り扱いは排気装置を備えたドラフト内で行い,試薬の飛散,吸引等に注意して作業すること。
使用する器具及びガラス管は十分に乾燥したものを使用する。
*
2)試薬,消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
3)試薬,消耗品,交換部品は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
( 114 )
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0
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「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
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*
4)1.
0mol/L LiAlH4/THF を THF 溶液にて0.
1mol/L に希釈して使用する。
0.
1mol/L LiAlH4/THF は ABX 社を用いることもできる。
1
1
e.[ C]メチオニンの合成に使用する試薬,消耗品,交換部品
e―1.試薬
*
1)試薬は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)試薬は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
e―2.消耗品,交換部品
*
1)消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
*
3)C1
8カートリッジカラムは Waters 社(Sep-Pak Plus C1
8)を用いることができる。
*
4)アクセル QMA ライトカートリッジカラム(Sep-Pak Light Accell QMA)は Waters 社の製品である。
*
5)アクセル CM カートリッジカラム(Sep-Pak Plus Accell CM)は Waters 社の製品である。
*
6)滅菌用フィルタは MILLIPORE 社(Millex-GS)を用いることができる。
*
7)製品バイアルの排気用フィルタは MILLIPORE 社(Dualex)を用いることができる。
*
8)製品バイアルは,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
( 115 )
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f.標準物質
以下の化合物を L―[11C]メチオニン注射液の品質管理用として用いる。
*
1)各標準物質は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
2)製品の規格及び試験方法
2―1)製品の規格及び試験頻度
*
1)頻度
・初めて合成を行うとき,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者を
変更した場合(たとえば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合して
いることを確認する。
・毎合成後:毎回の合成後,検定を実施する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・毎合成後(事後):使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事後
検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合する
ことを確認する。
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「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
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2―2)製品の試験方法
*
1)ガンマ線測定法
L[
― 11C]
メチオニン薬剤の放射能あるいはガンマ線スペクトルの測定は,あらかじめ標準線源によって
校正されたガンマ線スペクトロメータ,井戸型シンチレーション計数装置または井戸型電離箱式キャリブ
レータ(またはキュリーメータ)により行うものとし,その方法は「ポジトロン核医学利用専門委員会が
成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 4 ガンマ線測定法に準じる。
*
2)エンドトキシン試験法
比濁法によるエンドトキシン測定装置として,和光純薬工業「トキシノメーター」を用いることができ
る。また比色法によるエンドトキシン測定装置として,生化学工業「ウェルリーダー SK60
3」を用いる
ことができる。
*
3)血液培養システム
血液培養法による無菌試験法は,「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性
薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 1
1 無菌試験法に準じて行う。
血液培養システムによる試験法では,細菌の代謝物であるガス状化合物によって生じる培養ボトルの内
圧上昇を,溶液ボトルと細い針で接続されたグロスシグナルへの培養液の流入を観察することにより,試
料中の細菌の有無を判定する。
本法にはオクソイド社血液培養システム「シグナル」を用いることができる。
( 117 )
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*
4)pH 試験紙
pH 試験紙には,Whatman 社「Type CF」及び相当品を用いることができる。
*
5)ラジオ薄層クロマトグラフ法
酢酸エチル:2
0% 塩化カリウム水溶液(5:9
5)を展開溶媒としてシリカゲル薄層クロマトグラフ法に
より行うとき,メチオニンの Rf 値は0.
8
3前後である。
*
6)ラジオ液体クロマトグラフ法
CAPCELL PAK C1
8UG1
2
0(資生堂
内径4.
6mm×長さ2
5
0mm)のカラムを使用し,1
0mmol/L ギ
酸アンモニウム水溶液を溶離液として流速2mL/min で溶出したとき,L[
― 11C]
メチオニンの保持時間は
約2.
8分である。PARTISIL1
0SCX 4.
6mm×2
5
0mm(Whatman)のカラムを使用し,5
0mmol/L ク
エン酸/クエン酸ナトリウム(1
0/1)水溶液を溶離液として流速2mL/min で溶出したとき,L[
― 11C]
メチ
オニンの保持時間は約3.
4分である。
*
7)ガスクロマトグラフ法
水素炎イオン化検出器(FID)を備えたガスクロマトグラフ法にて測定する。カラムとして TSG-115
% SHINCARBON A6
0/8
0 3.
2×31
0
0mm(島津製作所)を用い,カラム温度90℃,インジェクタ温
度1
8
0℃,
FID温度1
8
0℃,
キャリア窒素ガス7
0kPaの条件で測定したときのエタノールの保持時間は4.
1
分前後である。
4.[11C]ヨウ化メチルの製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:ヨウ化メチル合成装置
2)製造方法は次のいずれかによる。
または,[11C]ヨウ化メチルを更に AgOTf カ
2―1)ヨウ化メチル合成法(気相法)
ラムに通して[11C]メチルトリフレートとし,
高 純 度 窒 素 ガ ス に 陽 子 を 照 射 し て,
[11C]メチオニン合成装置に供給する。
1
1
N
(p, α )
C の核反応で生成した[11C]
CO2
1
4
を,Shimalite Ni/Molecular Sieve カラムに
3)製造手順は次のいずれかによる。
捕集し,電気炉で加熱し,水素ガスを流して
3―1)ヨウ化メチル合成法(気相法)
1
1
1
1
還元し,[ C]メタンを製造する。[ C]メタ
ンを7
0∼90℃に加熱したヨウ素カラ ム と
①カラム類の準備
ヨウ素カラムにヨウ素を充填し,加熱用
680∼730℃に加熱した反応炉に通し,[11C]
ヒーターカバーを取り付け,所定の反応炉
ヨウ化メチルとし,[11C]メチオニン合成装
に設置する。アスカライトカラムにアスカ
1
1
置に供給する。または,
[ C]ヨウ化メチル
1
1
ライトを充填し,所定の位置にセットする。
を更に AgOTf カラムに通して[ C]メチル
トリフレートカラムに AgOTf を充填し,
トリフレートとし,[11C]メチオニン合成装
所定の反応炉に設置する。
置に供給する。
②合成装置の確認
2―2)ヨウ化メチル合成法(液相法)
合成装置のメチルトリフレート供給配管,
高 純 度 窒 素 ガ ス に 陽 子 を 照 射 し て,
1
1
N
(p,α )
C の核反応で生 成 し た11CO2 を,
1
4
水素化アルミニウムリチウムで還元して,ヨ
1
1
ウ化水素酸と反応させ[ C]ヨウ化メチル
1
1
とし,[ C]メチオニン合成装置に供給する。
( 118 )
ターゲット回収ライン,Waste 配管ライ
ン及びカラム類の確認を行う。
③合成前準備
パーソナルコンピュータの準備開始ボタ
ンを押し,設置したカラムと配管のフロー
Jun.
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0
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「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
テスト,リークテスト,ヒーティングテス
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パーソナルコンピュータより第1反応器,
トを実施する。全てのテストに合格すると
アスカライト管のフローテスト,リークテ
準備完了ボタンが点灯し,合成が開始でき
スト,パージを実施する。
る状態になる。
CO2 の製造
④[11C]
1
1
CO2 の製造
④[ C]
0.
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度窒
0.
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度窒
1
1
(p, α )
Cの
素ガスに陽子を照射して14N
1
1
(p, α )
Cの
素ガスに陽子を照射して14N
CO2 を製する。
核反応により[11C]
CO2 を製する。
核反応により[11C]
⑤LiAlH4/THF の注入
CO2 の回収
⑤[11C]
照射終了直前に,−20℃ に冷却した第1
1
1
CO2 を含むターゲットガスを回収
[ C]
し,Shimalite Ni/Molecular Sieve のカラ
1
1
反応器に0.
1mol/L LiAlH4/THF を注入す
る。
CO2 の回収
⑥[11C]
CO2 を捕集する。
ムに[ C]
CO2 を含むターゲットガスを回収
[11C]
⑥合成の開始
回収終了後,合成プログラムをスタート
させ,上記製造方法の項に記した方法に従
1
1
って[ C]ヨウ化メチルを合成する。また
は,[11C]ヨウ化メチルを更に AgOTf カラ
1
1
し,
0.
1mol/L LiAlH4/THF 溶液中に[11C]
CO2 を捕集する。
⑦合成の開始
回収終了後,合成プログラムをスタート
ムに通して[ C]メチルトリフレートに変
させ,上記製造方法の項に記した方法に従
換する。
って[11C]ヨウ化メチルを合成する。また
⑦[11C]ヨウ化メチル,[11C]メチルトリフ
は,[11C]ヨウ化メチルを更に AgOTf カラ
ムに通して[11C]メチルトリフレートに変
レートの供給
合成終了後,[11C]メチオニン合成装置
1
1
1
1
に[ C]ヨウ化メチルまたは[ C]メチル
トリフレートを供給する。
換する。
⑧[11C]ヨウ化メチル,[11C]メチルトリフ
レートの供給
合成終了後,
[11C]メチオニン合成装置
3―2)ヨウ化メチル合成法(液相法)
に[11C]ヨウ化メチルまたは[11C]メチル
①合成ユニットの準備
アスカライト管にアスカライトと五酸化
トリフレートを供給する。
リンを充填する。V バイアルにヨウ化水素
酸を注入する。合成ユニットの所定の位置
4)合成終了後の手順
に第1反応器,アスカライト管,V バイア
4―1)合成に使用する試薬,消耗品,交換部
ルを取り付ける。
品は取扱説明書に従う。ただし,使用期限,
②合成ユニットの確認
使用回数に達していない場合でも部品の劣
合成ユニットのヨウ化メチル供給配管,
ターゲット回収ライン,Waste 配管ライ
化が認められる場合は交換する。
4―2)合成装置の再利用部品以外の消耗品と
原材料は全て単回使用とし,適切に廃棄す
ンの確認を行う。
る。
③合成前準備
4―3)合成終了後の後処理は取扱説明書に従う。
― 11C]メチオニンの製造方法及び手順
5. L[
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○株式会社
型式:[11C]メチオニン合成装置
( 119 )
医療機器承認番号:○○○
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2)各ロットに使用する試薬類
L―
[11C]メチオニン注射液の各ロットは以下の試薬類を用いて製造する。
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[11C]
メチルトリフレートの放射
能量のみを変更し,他のものに関しては,変更しないこと。
*
2)L―ホモシステインチオラクトン塩酸塩3mg を0.
1mol/L 水酸化ナトリウム水溶液0.
5mL に溶解して
調製する。1回の合成で0.
2mL 使用する。
3)製造方法
合成装置のメチルトリフレート供給配
[11C]メチ
3―1)ヨウ化メチル合成装置より,
管,Waste 配管,使用するボンベの確
ルトリフレートを移送する。
認を行う。パーソナルコンピュータで
3―2)L―ホモシステインチオラクトン塩酸塩/
0.
1mol/L NaOH 水溶液を加えた SepPak Plus C18に[11C]メチルトリフレ
ートを回収し,反応させる。
準 備 状 況 を 確 認 し,「Preparation」画
面に移行する。
4―3)合成装置内の流路の洗浄
消毒用エタノールと注射用水で合成装
3―3)反応後,生理食塩液で Sep-Pak Plus C18
置内の流路を洗浄し,ヘリウムガスで
から反応生成物を洗い流し,QMA カ
パージを行う。
ートリッジカラム(陰イオン交換カラ
4―4)合成原料の準備
ム),CM カートリッジカラム(陽イオ
L―ホモシステインチオラクトン塩酸塩
ン 交 換 カ ラ ム)で 中 和 し,
0.
22 µ m の
3mg に0.
1mol/L
メンブレンフィルタを通して注射用製
mL を加え溶解し,調製した0.
2mL を
剤とする。
Sep-Pak Plus C1
8に導入する。
NaOH 水 溶 液0.
5
4―5)QMA カートリッジカラムの調製
4)製造手順
消毒用エタノールに保存していたカラ
4―1)Sep-Pak Plus C18の準備
ム を 取 り 出 し,1mol/L NaOH 溶 液5
消毒用エタノール中に保存していたカ
mL を通し,樹脂のイオン型を OH―型
ラムを取り出し,
70∼80℃の乾燥機で
とした後,注射用水で洗浄する。
4―6)CM カートリッジカラムの調製
8時間以上乾燥させる。
4―2)合成装置の準備
消毒用エタノールに保存していたカラ
( 120 )
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2
0
0
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「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
ムを取り出し,注射用水で洗浄する。
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6―2)合成終了後の後処理は取扱説明書に従
4―7)Sep-Pak Plus C18の取り付け
う。
Sep-Pak Plus C1
8を合成装置の所定の
6. 製品の保管条件,有効期間
位置に取り付ける。
4―8)中和用カラムの取り付け
用時調製し,保存は行わない。
CM カート リ ッ ジ カ ラ ム,QMA カ ー
トリッジカラム,その他の配管を所定
7. 用法・用量並びに使用上の注意または取扱
の順に取り付け,合成装置にセットす
いの注意
る。
1)用法・用量
4―9)生理食塩液バイアル,製品バイアルの
180∼1800MBq(3∼3
0MBq/kg 体重)
取り付け
を静脈内に1回投与し,連続または1回撮像
生理食塩液4mL を入れた生理食塩液
する。投定量的測定を目的とするときは,動
バイアルと製品バイアルを所定の位置
脈血中の放射能及び総メチオニン量を測定す
にセットする。
る。測定原理等の詳細は臨床編を参照するこ
4―10)ヨウ化メチル合成装置の準備
と。
1
1
ヨウ化メチル合成装置で[ C]ヨウ化
メチルを合成し,[11C]メチルトリフ
2)使用上の注意または取扱いの注意
レートに変換する。
2―1)使用上の注意
1
1
4―11)[ C]メチルトリフレートの回収と合
成の開始
・一般的注意
診断上の有益性が被ばくによる不利益を
パーソナルコンピュータの合成開始ボ
上回ると判断される場合にのみ投与するこ
タンを押し,ヨウ化メチル合成装置か
ととし,投与量は最小限度にとどめること。
1
1
ら[ C]メチルトリフレートを回収し,
・高齢者への投与
合成を開始する。以後,上記製造方法
一般に高齢者では生理的機能が低下して
の項で記した方法に従って自動的に
いるので,患者の状態を十分に観察しなが
L―
[11C]メチオニンを合成する。
ら慎重に投与すること。
1
1
4―12)L―[ C]メチオニンの回収
・妊婦,授乳婦等への投与
合成終了後,L―[11C]メチオニン溶液
妊婦または妊娠している可能性のある婦
はヘリウムガス圧により0.
22 µ m の
人及び授乳中の婦人には,原則として投与
メンブレンフィルタを通して,製品バ
しないことが望ましい。診断上の有益性が
イアル中に回収する。
被ばくによる不利益を上回ると判断される
場合のみ慎重に投与すること。
5)品質検査
・小児への投与
上記製品の規格及び試験方法の項に記した
方法に従って品質検査を行う。
小児等に対する安全性は確立していない
(現在までのところ,十分な臨床成績が得
られていない)
。診断上の有益性が被ばく
6)合成終了後の手順
による不利益を上回ると判断される場合の
6―1)合成装置の再利用部品以外の消耗品と
み慎重に投与すること。
原材料は全て単回使用とし,適切に廃棄す
る。
( 121 )
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2―2)取扱いの注意
8. 定期的/変更時の再バリデーション
1
1
L―
[
Vol.
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8,No.
6
C]メチオニン注射液による被ばくの
防止・軽減のため,放射線障害防止法,医療
1
1
法,ヨウ化メチル合成装置取扱説明書,
[ C]
1)製造設備
a.定期的な再バリデーション
製造管理,品質管理に用いる機器のうち,
メチオニン合成装置取扱説明書等に則り,取
校正を必要とする機器について,定期的に校
り扱うこと。
正を実施し,異常や経時変動がないこと,基
準内であることを確認する。
b.変更時の再バリデーション
ロット連続で試験を実施し,適正であること
製造・品質試験設備の更新,補修,改造な
を確認した後,臨床に再使用することとする。
どを実施し,対象設備が PET 薬剤の品質に
また,変更に関わる記録を「製品標準書」に
重大な影響を及ぼす可能性のある場合は,影
ファイリングすること。
響する可能性のある品質因子について最低3
2)製造プロセス
温度・時間など)
,製造に用いる原材料の規
a.定期的な再バリデーション(日常的なバ
格,メーカー,製造工程そのものの変更など
リデーション)
があり,その変更が PET 薬剤の品質に重大
製造作業に用いる製造記録などにおいて,
な影響を及ぼす可能性のある場合は,影響す
定められた手順,基準に従って製造工程管理
る可能性のある品質因子について最低3ロッ
を実施する。基準に従った結果を与えたロッ
ト連続で試験を実施し,適正であることを確
トのみを臨床に供する。
認した後,臨床に再使用することとする。ま
b.変更時の再バリデーション
た,変更に関わる記録を「製品標準書」にフ
製造工程において,そのパラメータ(設定
ァイリングすること。
3)品質
分散が大きくなっていないか,平均値に傾向
a.定期的再バリデーション
的な変動がないかを確認し,変動が認められ
定期的に実施日を設定して(1年に1回以
上)回顧的バリデーションを行う。実施法は,
た場合は調査対応する。
b.変更時の再バリデーション
回顧的バリデーション実施時の直前1
0製造
品質試験法(検定法)そのものや,試験に
分について品質試験(検定)項目の平均,分
用いる機器,試薬の規格,メーカーなど品質
散を求め,過去の蓄積データとの比較により,
試験の結果に重大な影響を及ぼす可能性のあ
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「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
341
る変更を実施した場合は,実際の PET 薬剤
自体の困難さや,試験実施による試験者(検
を用いた試験を最低3ロット連続で実施し,
定者)の被ばくによる不利益を考慮して,定
変更前と同等の結果を得られることを確認し
期的な実施としている。これら試験項目につ
た後変更すること。また,変更に関わる記録
いては以下の表に基づいて,定期的な試験を
を「製品標準書」にファイリングすること。
実施し,基準内であることを確認する。あわ
c.定期的な品質試験の実施
せて過去の試験結果と照らし合わせて,変動
一部の品質試験項目については,その品質
傾向がないことを確認する。
因子が比較的変動しにくいのに対して,試験
添付書類
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
1.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
専門委員会が成熟技術として認定した放射
ジトロン核医学利用専門委員会,ポジトロ
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する参
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-4
2
(2
0
0
9)
考資料,RADIOISOTOPES,
5
8,
ン核医学利用専門委員会が成熟技術として
認定した放射性薬剤の基準(2
009年改定)
,
4.日本核医学会,院内製造された FDG を
221-245
(2009)
RADIOISOTOPES ,
5
8,
用いて PET 検査を行うためのガイドライ
2.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
ン(第2版),平成17年10月,核医学,
4
2
(2005)
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
5.平成16年度厚生労働省科学研究費補助金
専門委員会が成熟技術として認定した放射
医療技術評価総合研究事業 PET 検査施設
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する解
における放射線安全の確保に関する研究班
247-289
(2009)
説,RADIOISOTOPES ,
5
8,
3.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
(5) 酢酸(11C)注射液
製品標準書
1.薬剤の名称,成分
1)名称
酢酸(11C)注射液
2)成分
( 123 )
編,FDG―PET 検査における安全確保に関
するガイドライン(2005)
342
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2. 合成装置
○○○○○○社製
1
1
C 多目的合成装置
3. 原材料及び製品の規格及び試験方法
1)原材料の規格及び試験方法
a.[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造に使用するターゲットガス(出発物質)並びにサイクロトロン
【ターゲットガス(出発物質)】
*
1)ターゲットガスは受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
【[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造に使用するサイクロトロン】
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:○○○○
b.製剤に含まれる他の成分
[11C]酢酸注射液の調製に以下の薬品を添加する。
*
1)生理食塩液は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は,肉眼により異常のないことを確認する。
c.[11C]酢酸の合成に使用する試薬,消耗品,交換部品
c―1.試薬
( 124 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
343
*
1)試薬は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)試薬は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
*
3)1mol/L CH3MgBr/THF を THF 溶液にて0.
3∼0.
5mol/L に希釈して使用する。試薬の取り扱いは
排気装置を備えたドラフト内で行い,試薬の飛散,吸引等に注意して作業すること。使用する器具及びガ
ラス管は十分に乾燥したものを使用する。
c―2.消耗品,交換部品
*
1)消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
*
3)滅菌用フィルタは MILLIPORE 社(Millex-GS)を用いることができる。
*
4)製品バイアルの排気用フィルタは MILLIPORE 社(Dualex)を用いることができる。
*
5)固相抽出カラムは,ダイオネクス社の OnGuard-Ag,OnGuard-H を用いることができる。
*
6)製品バイアルなどのガラス類は,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
d.標準物質
以下の化合物を[11C]酢酸注射液の品質管理用として用いる。
*
1)標準物質は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
( 125 )
344
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2)製品の規格及び試験方法
2―1)製品の規格及び試験頻度
*
1)頻度
・初めて合成を行うとき,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者
を変更した場合(たとえば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合
していることを確認する。
・毎合成後:毎回の合成後,検定を実施する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・毎合成後(事後):使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事
後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合
することを確認する。
( 126 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
345
2―2)製品の試験方法
*
1)ガンマ線測定法
[11C]
酢酸薬剤の放射能あるいはガンマ線スペクトルの測定は,あらかじめ標準線源によって校正され
たガンマ線スペクトロメータ,井戸型シンチレーション計数装置または井戸型電離箱式キャリブレータ(ま
たはキュリーメータ)により行うものとし,その方法は「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術と
して認定した放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 4 ガンマ線測定法に準じる。
*
2)エンドトキシン試験法
比濁法によるエンドトキシン測定装置として,和光純薬工業「トキシノメーター」を用いることができ
る。また比色法によるエンドトキシン測定装置として,生化学工業「ウェルリーダー SK60
3」を用いる
ことができる。
*
3)血液培養システム
血液培養法による無菌試験法は,「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性
薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 1
1 無菌試験法に準じて行う。
血液培養システムによる試験法では,細菌の代謝物であるガス状化合物によって生じる培養ボトルの内
圧上昇を,溶液ボトルと細い針で接続されたグロスシグナルへの培養液の流入を観察することにより,試
料中の細菌の有無を判定する。
本法にはオクソイド社血液培養システム「シグナル」を用いることができる。
*
4)pH 試験紙
pH 試験紙には,Whatman 社「Type CF」及び相当品を用いることができる。
( 127 )
346
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
*
5)ラジオ液体クロマトグラフ法
Whatman 社製の Partisil10SAX(内径4.
6mm×長さ2
5
0mm)を使用し,室温で1
0mmol/L リン酸
二水素ナトリウムを移動相とするとき,[11C]
酢酸の保持容量は1
1.
8mL 前後である。また,カラムとし
て,Merck 社製リクロソルブ(内径7.
5mm×長さ3
0
0mm)を使用し,4
0℃で水を移動相とするとき,
[11C]
酢酸の保持容量は9.
6mL 前後である。
4.[11C]酢酸の製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
型式:11C 多目的合成装置
製造者名:○○○○○○株式会社
2)各ロットに使用する試薬類
[11C]酢酸は以下の試薬類を用いて製造する。
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[11C]
CO2 の放射能量のみを変更
し,他のものに関しては,変更しないこと。
3)製造方法
4)製造手順
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度
3―1)0.
4―1)酢酸トレイの準備
1
1
(p, α )
C
窒素ガスに陽子 を 照 射 し て14N
1
1
CO2 を製する。
の核反応により[ C]
酢酸反応器,塩酸用注入管,蒸留水用注
入管を酢酸トレイに取り付ける。
1
1
CO2 を含むターゲットガスを液体
3―2)[ C]
1
1
CO2
窒素下のループコイルに回収し,[ C]
を捕集する。
4―2)固相抽出カラムの準備
OnGuard-Ag と OnGuard-H を 接 続 し,
注射用水2
0mL で洗浄する。洗浄 後,酢
CO2 を20mL/min の流
3―3)濃縮した[11C]
速の窒素気流下で ,0.
3 ∼ 0.
5 mol / L
CH3MgBr/THF 溶液に反応させる。
酸トレイの所定の位置に取り付ける。
4―3)合成ユニットの確認
酢酸トレイを合成ユニットに取り付け,
3―4)反応液に1mol/L 塩酸を加え,加水分
解を行い,
[11C]酢酸を生成して固相抽出
ターゲット回収ライン,反応液移送ライン,
Waste 配管ラインの確認を行う。
4―4)濃縮ユニットの準備
カラムで精製する。
3―5)精製後,濃縮ユニットで溶媒の除去を
濃縮フラスコに炭酸水素ナトリウム注射
行い,残渣を生理食塩液に溶かし,
0.
22 µ m
液0.
5mL を注入し,所定の位置に取り付
のメンブレンフィルタを通して注射用製剤
ける。生理食塩液5∼10mL を注入した
とする。
バイアルを取り付ける。
4―5)製品バイアルの取り付け
( 128 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
製品バイアルを所定の位置に取り付ける。
347
う。
4―6)合成前準備
パーソナルコンピュータより酢酸反応器
5. 製品の保管条件,有効期間
用時調製し,保存は行わない。
のフローテスト,リークテスト,パージを
実施する。
6. 用法・用量並びに使用上の注意または取扱
4―7)試薬の準備
塩酸用注入管に塩酸0.
5mL,蒸留水用
注入管に注射用水2mL を注入する。酢酸
反応器を冷却しながら,0.
3∼0.
5mol/L
4mL を 注 入 す る。
CH3MgBr/THF 溶 液0.
1
1
CO2 トラップの準備
4―8)[ C]
いの注意
1)用法・用量
360∼960MBq(6∼16MBq/kg 体重)
を静脈内になるべくボーラスで投与し,直後
より30秒 ∼2分ごとに15∼30分間のダイ
1
1
デュワー瓶に液体窒素を注入し,[ C]
CO2 トラップに用いるループコイルを液体
ナミックスキャンを行う。測定原理等の詳細
は臨床編を参照すること。
窒素に浸す。
CO2 の製造
4―9)[11C]
2)使用上の注意または取扱いの注意
0.
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度窒
1
1
(p, α )
Cの
素ガスに陽子を照射して14N
1
1
CO2 を製する。
核反応により[ C]
2―1)使用上の注意
・一般的注意
診断上の有益性が被ばくによる不利益を
1
1
CO2 の回収
4―10)[ C]
上回ると判断される場合にのみ投与するこ
1
1
CO2 を含むターゲットガスを液体
[ C]
CO2
窒素下のループコイルに回収し,[11C]
を捕集する。
ととし,投与量は最小限度にとどめること。
・高齢者への投与
一般に高齢者では生理的機能が低下して
4―11)合成の開始
いるので,患者の状態を十分に観察しなが
回収終了後,合成プログラムをスタート
ら慎重に投与すること。
させ,上記製造方法の項に記した方法に従
・妊婦,授乳婦等への投与
って[11C]酢酸を合成する。
妊婦または妊娠している可能性のある婦
1
1
4―12)[ C]酢酸の回収
人及び授乳中の婦人には,原則として投与
1
1
合成終了後,[ C]酢酸溶液は窒素ガス
しないことが望ましい。診断上の有益性が
圧により0.
22 µ m のメンブレンフィルタ
被ばくによる不利益を上回ると判断される
を通して,製品バイアル中に回収する。
場合のみ慎重に投与すること。
・小児への投与
5)品質検査
小児等に対する安全性は確立していない
上記製品の規格及び試験方法の項に記した
方法に従って品質検査を行う。
(現在までのところ,十分な臨床成績が得
られていない)
。診断上の有益性が被ばく
による不利益を上回ると判断される場合の
6)合成終了後の手順
み慎重に投与すること。
6―1)合成装置の再利用部品以外の消耗品と
原材料は全て単回使用とし,適切に廃棄
2―2)取扱いの注意
[11C]酢酸注射液による被ばくの防止・軽
減のため,放射線障害防止法,医療法,11C
する。
6―2)合成終了後の後処理は取扱説明書に従
( 129 )
多目的合成装置酢酸取扱説明書等に則り,取
348
RADIOISOTOPES
り扱うこと。
Vol.
5
8,No.
6
製造管理,品質管理に用いる機器のうち,
校正を必要とする機器について,定期的に校
7. 定期的/変更時の再バリデーション
正を実施し,異常や経時変動がないこと,基
1)製造設備
準内であることを確認する。
a.定期的な再バリデーション
b.変更時の再バリデーション
ロット連続で試験を実施し,適正であること
製造・品質試験設備の更新,補修,改造な
を確認した後,臨床に再使用することとする。
どを実施し,対象設備が PET 薬剤の品質に
また,変更に関わる記録を「製品標準書」に
重大な影響を及ぼす可能性のある場合は,影
ファイリングすること。
響する可能性のある品質因子について最低3
2)製造プロセス
温度・時間など)
,製造に用いる原材料の規
a.定期的な再バリデーション(日常的なバ
格,メーカー,製造工程そのものの変更など
リデーション)
があり,その変更が PET 薬剤の品質に重大
製造作業に用いる製造記録などにおいて,
な影響を及ぼす可能性のある場合は,影響す
定められた手順,基準に従って製造工程管理
る可能性のある品質因子について最低3ロッ
を実施する。基準に従った結果を与えたロッ
ト連続で試験を実施し,適正であることを確
トのみを臨床に供する。
認した後,臨床に再使用することとする。ま
b.変更時の再バリデーション
た,変更に関わる記録を「製品標準書」にフ
製造工程において,そのパラメータ(設定
ァイリングすること。
3)品質
た場合は調査対応する。
a.定期的再バリデーション
b.変更時の再バリデーション
定期的に実施日を設定して(1年に1回以
品質試験法(検定法)そのものや,試験に
上)回顧的バリデーションを行う。実施法は,
用いる機器,試薬の規格,メーカーなど品質
回顧的バリデーション実施時の直前1
0製造
試験の結果に重大な影響を及ぼす可能性のあ
分について品質試験(検定)項目の平均,分
る変更を実施した場合は,実際の PET 薬剤
散を求め,過去の蓄積データとの比較により,
を用いた試験を最低3ロット連続で実施し,
分散が大きくなっていないか,平均値に傾向
変更前と同等の結果を得られることを確認し
的な変動がないかを確認し,変動が認められ
た後変更すること。また,変更に関わる記録
( 130 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
349
を「製品標準書」にファイリングすること。
期的な実施としている。これら試験項目につ
c.定期的な品質試験の実施
いては以下の表に基づいて,定期的な試験を
一部の品質試験項目については,その品質
実施し,基準内であることを確認する。あわ
因子が比較的変動しにくいのに対して,試験
せて過去の試験結果と照らし合わせて,変動
自体の困難さや,試験実施による試験者(検
傾向がないことを確認する。
定者)の被ばくによる不利益を考慮して,定
添付書類
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
1.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
専門委員会が成熟技術として認定した放射
ジトロン核医学利用専門委員会,ポジトロ
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する参
ン核医学利用専門委員会が成熟技術として
2914
-4
2
(2
0
0
9)
考資料,RADIOISOTOPES,
5
8,
認定した放射性薬剤の基準(2
009年改定)
,
4.日本核医学会,院内製造された FDG を
221-245(2009)
RADIOISOTOPES ,
5
8,
用いて PET 検査を行うためのガイドライ
2.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
ン(第2版),平成17年10月,核医学,
4
2
(2005)
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
5.平成16年度厚生労働省科学研究費補助金
専門委員会が成熟技術として認定した放射
医療技術評価総合研究事業 PET 検査施設
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する解
における放射線安全の確保に関する研究班
247-289(2009)
説,RADIOISOTOPES ,
5
8,
編,FDG―PET 検査における安全確保に関
3.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
するガイドライン(2005)
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
(6) コリン(11C)注射液
製品標準書
1. 薬剤の名称,成分
1)名称
コリン(11C)注射液
2)成分
2. 合成装置
○○○○○○社製
1
1
C 多目的合成装置
ヨウ化メチル合成ユニット,コリン合成ユニット
( 131 )
350
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
3. 原料及び製品の規格及び試験方法
1)原材料の規格及び試験方法
a.有機化合物(主な原料)
*
1)2―ジメチルアミノエタノールは受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
b.[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造に使用するターゲットガス(出発物質)並びにサイクロトロン
【ターゲットガス(出発物質)】
*
1)ターゲットガスは受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
【[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造に使用するサイクロトロン】
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:○○○○
c.製剤に含まれる他の成分
[11C]コリン注射液の調製に以下の薬品を添加する。
( 132 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
351
*
1)生理食塩液は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は,肉眼により異常のないことを確認する。
d.[11C]ヨウ化メチルの合成に使用する試薬,消耗品,交換部品
d―1.試薬*1)
*
1)試薬の取り扱いは排気装置を備えたドラフト内で行い,試薬の飛散,吸引等に注意して作業すること。
使用する器具及びガラス管は十分に乾燥したものを使用する。
*
2)試薬は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
3)試薬は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
*
4)1.
0mol/L LiAlH4/THF を THF 溶液にて0.
1mol/L に希釈して使用する。0.
1mol/L LiAlH4/THF は
ABX 社を用いることもできる。
d―2.消耗品,交換部品
*
1)消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
e.[11C]コリンの合成に使用する試薬,消耗品,交換部品
e―1.試薬
( 133 )
352
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
*
1)試薬は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)試薬は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
e―2.消耗品,交換部品
*
1)消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
*
3)C1
8カートリッジカラムは Waters 社(Sep-Pak Plus C1
8)を用いることができる。
*
4)アクセル CM カートリッジカラム(Sep-Pak Plus Accell CM)は Waters 社の製品である。
*
5)滅菌用フィルタは MILLIPORE 社(Millex-GS)を用いることができる。
*
6)製品バイアルの排気用フィルタは MILLIPORE 社(Dualex)を用いることができる。
*
7)薬液リザーバー,製品バイアルは,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
f.標準物質
以下の化合物を[11C]コリン注射液の品質管理用として用いる。
*
1)各標準物質は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
( 134 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
353
2)製品の規格及び試験方法
2―1)製品の規格及び試験頻度
*
1)頻度
・初めて合成を行うとき,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者
を変更した場合(たとえば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合
していることを確認する。
・毎合成後:毎回の合成後,検定を実施する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・毎合成後(事後):使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事
後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合
することを確認する。
( 135 )
354
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2―2)製品の試験方法
*
1)ガンマ線測定法
[11C]
コリン薬剤の放射能あるいはガンマ線スペクトルの測定は,あらかじめ標準線源によって校正さ
れたガンマ線スペクトロメータ,井戸型シンチレーション計数装置または井戸型電離箱式キャリブレータ
(またはキュリーメータ)により行うものとし,その方法は「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技
術として認定した放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 4 ガンマ線測定法に準じる。
*
2)比放射能測定法
[11C]
コリン薬剤の一定量を精密に量り,放射能をガンマ線測定法*1)に従って定量する。質量分析計を
用いる液体クロマトグラフ法によりコリン標準液について検量線を作成する。[11C]
コリン薬剤の一定量
について同様の試験を行い,検量線より[11C]
コリン薬剤のコリンの量を求め,比放射能を算出する。液
体クロマトグラフ法において,カラムとして Spelco 社製の SUPELCOSIL ABZ+Plus5 µ m(内径4.
6mm
×長さ1
5
0mm)を用い,移動相として0.
1% ギ酸と5
0% メタノールの混液,室温の条件で測定したと
きの質量分析計により検出されるコリン(塩酸塩)の保持容量は1.
1mL,M/Z 値は10
4.
1
(M+)である。
( 136 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
355
*
3)エンドトキシン試験法
比濁法によるエンドトキシン測定装置として,和光純薬工業「トキシノメーター」を用いることができ
る。また比色法によるエンドトキシン測定装置として,生化学工業「ウェルリーダー SK60
3」を用いる
ことができる。
*
4)血液培養システム
血液培養法による無菌試験法は,「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性
薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 1
1 無菌試験法に準じて行う。
血液培養システムによる試験法では,細菌の代謝物であるガス状化合物によって生じる培養ボトルの内
圧上昇を,溶液ボトルと細い針で接続されたグロスシグナルへの培養液の流入を観察することにより,試
料中の細菌の有無を判定する。
本法にはオクソイド社血液培養システム「シグナル」を用いることができる。
*
5)pH 試験紙
pH 試験紙には,Whatman 社「Type CF」及び相当品を用いることができる。
*
6)ラジオ液体クロマトグラフ法
GL Sciences 社製の Inertsil ODS-2
(内径6mm×長さ2
5
0mm)
のカラムを使用し,室温で0.
0
0
1mol/L
ナフタレン―2―スルホン酸と0.
0
5mol/L リン酸の混液を移動相とするとき,示差屈折計により検出される
コリンの保持容量は約1
1.
7mL である。また,カラムとして Whatman 社製の Partisil SCX10U(内径
4.
6mm×長さ2
5
0mm)を使用し,室温で0.
2
5mol/L リン酸二水素ナトリウムとアセトニトリルの混液
(4:1)を移動相とするとき,示差屈折計により検出されるコリンの保持容量は約9.
6mL である。
*
7)ガスクロマトグラフ法
カラムとしてアミン分析用 CP-WAX キャピラリーカラム(内径0.
3
2mm×長さ2
5mm)キャリアガ
スにヘリウム(30mL/min)を使用し,カラム温度を5
0℃から2
2
0℃まで1
0℃/min の割合で上昇する
とき,水素イオン化検出器または質量分析計を用いて検出されるジメチルアミノエタノールの保存時間は
約6.
5分である。
*
8)液体クロマトグラフ法
カラムとして Spelco 社製の SUPELCOSIL ABZ + Plus5 µ m(内径4.
6mm×長さ1
5
0mm)を用い,
移動相として0.
1% ギ酸と5
0% メタノールの混液,室温の条件で測定したときの質量分析計により検出
されるジメチルアミノエタノールの保持容量は1.
1mL,M/Z 値は90.
1
(MH+)である。
4.[11C]ヨウ化メチルの製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○○株式会社
型式:11C 多目的合成装置
2)各ロットに使用する試薬類
[11C]ヨウ化メチルは以下の試薬類を用いて製造する。
( 137 )
ヨウ化メチル合成ユニット
356
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[11C]
CO2 の放射能量のみを変更
し,他のものに関しては,変更しないこと。
3)製造方法
ターゲット回収ライン,Waste 配管ライ
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度
3―1)0.
(p, α ) C
窒素ガスに陽子 を 照 射 し て N
1
4
1
1
CO2 を製する。
の核反応により[11C]
ンの確認を行う。
4―3)合成前準備
パーソナルコンピュータより第1反応器,
1
1
CO2 を含むターゲットガスを0.
1
3―2)[ C]
mol/L LiAlH4/THF 溶液中に吹き込み,還
アスカライト管のフローテスト,リークテ
スト,パージを実施する。
CO2 の製造
4―4)[11C]
元する。
3―3)THF 溶媒を窒素気流下で加熱し,蒸発
させて除く。冷却後,ヨウ化水素酸を加え,
[11C]メタノールを生成する。
0.
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度窒
1
1
(p, α )
Cの
素ガスに陽子を照射して14N
CO2 を製する。
核反応により[11C]
3―4)[11C]メタノールを加熱し,ヨウ化水素
酸と反応させて[11C]ヨウ化メチルを生成
4―5)LiAlH4/THF の注入
照射終了直前に,―20℃ に冷却した第1
反応器に0.
1mol/L LiAlH4/THF を注入す
する。
1
1
1
1
3―5)生成した[ C]ヨウ化メチルを[ C]コ
る。
CO2 の回収
4―6)[11C]
リン合成ユニットに供給する。
CO2 を含むターゲットガスを回収
[11C]
4)製造手順
し,
0.
1mol/L LiAlH4/THF 溶液中に[11C]
4―1)合成ユニットの準備
CO2 を捕集する。
アスカライト管にアスカライトと五酸化
4―7)合成の開始
リンを充填する。V バイアルにヨウ化水素
回収終了後,合成プログラムをスタート
酸を注入する。合成ユニットの所定の位置
させ,上記製造方法の項に記した方法に従
に第1反応器,アスカライト管,V バイア
って[11C]ヨウ化メチルを合成する。
4―8)[11C]ヨウ化メチルの供給
ルを取り付ける。
合成終了後,
[11C]コリン合成ユニット
4―2)合成ユニットの確認
合成ユニットのヨウ化メチル供給配管,
に[11C]ヨウ化メチルを供給する。
5.[11C]コリンの製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:11C 多目的合成装置
2)各ロットに使用する試薬類
( 138 )
コリン合成ユニット
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
357
[11C]コリン注射液の各ロットは以下の試薬類を用いて製造する。
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[11C]
ヨウ化メチルの放射能量の
みを変更し,他のものに関しては,変更しないこと。
3)製造方法
4―4)試薬の準備
3―1)ヨウ化メチル合成ユニットより[11C]
所定の薬液リザーバーにエタノール(10
1
1
ヨウ化メチルを合成し,[ C]コリン合成
mL),注射用水(10mL),生理食塩液(5∼
1
1
ユニットに不活性気流下の[ C]ヨウ化メ
10mL)を注入する。
4―5)製品バイアルの取り付け
チルを導入する。
3―2)ジメチルアミノエタノールを注入した
製品バイアルを所定の位置にセットする。
1
1
Sep-Pak Plus C1
8に不活性気流下で[ C]
4―6)ヨウ化メチル合成と回収
ヨウ化メチルを通し,反応させる。
ヨウ化メチル合成ユニットとコリン合成
ユニットの準備ができたら,
[11C]ヨウ化
3―3)未反応の試薬をエタノール,注射用水
メチルの合成を開始し,
[11C]コリン合成
で洗浄し,除去する。
3―4)洗浄後,生理食塩液でカートリッジカ
ユニットに回収する。
ラムから目的物を 溶 出 し,0.
22 µ m の メ
4―7)合成の開始
ンブレンフィルタを通して注射用製剤とす
回収終了後,上記製造方法の項で記した
方法に従って[11C]コリンを合成する。
る。
4―8)[11C]コリンの回収
合成終了後,
[11C]コリン溶液は窒素ガ
4)製造手順
ス圧により0.
22 µ m のメンブレンフィル
4―1)[11C]コリン合成ユニットの準備
合成ユニットの流路を消毒用エタノール
タを通して,製品バイアル中に回収する。
と注射用水で洗浄する。洗浄後,乾熱滅菌
5)品質検査
処理をした薬液リザーバー,三方活栓,ヨ
上記製品の規格及び試験方法の項に記した方
ウ化メチル供給配管を取り付ける。
4―2)合成原料の準備
法に従って品質検査を行う。
ジメチルアミノエ タ ノ ー ル(1
00 µ L)
を Sep-Pak Plus C18に注入する。
6)合成終了後の手順
4―3)Sep-Pak Plus C18,精製カラムの取り
付け
6―1)合成装置の再利用部品以外の消耗品と
原材料は全て単回使用とし,適切に廃棄す
Sep-Pak Plus C1
8,アクセル CM カート
リッジカラムの順に接続し,合成ユニット
る。
6―2)合成終了後の後処理は取扱説明書に従
う。
の所定の位置に取り付ける。
( 139 )
358
RADIOISOTOPES
6. 製品の保管条件,有効期間
Vol.
5
8,No.
6
るので,患者の状態を十分に観察しながら慎
用時調製し,保存は行わない。
重に投与すること。
・妊婦,授乳婦等への投与
7. 用法・用量並びに使用上の注意または取扱
妊婦または妊娠している可能性のある婦人
いの注意
及び授乳中の婦人には,原則として投与しな
1)用法・用量
いことが望ましい。診断上の有益性が被ばく
2D収 集 で は2
40∼900MBq
(4∼1
5MBq/
による不利益を上回ると判断される場合のみ
kg 体重),約5分後より1回撮影するか,ま
慎重に投与すること。
たは直後より連続撮影する。全身スキャンも
・小児への投与
有用である。3D 収集の場合は適宜投与量を
小児等に対する安全性は確立していない
減らす。腹部や骨盤部を撮影するときは,腸
(現在までのところ,十分な臨床成績が得ら
管や尿中の放射能を下げるために,空腹時に
れていない)。診断上の有益性が被ばくによ
検査を行うことが望ましい。更に,正常腸管
る不利益を上回ると判断される場合のみ慎重
や尿と腫瘍集積との鑑別のために,時間をお
に投与すること。
いて(たとえば20分後に)再撮影して分布
2―2)取扱いの注意
の変化を見る方法や,連続撮影して時間経過
[11C]コリン注射液による被ばくの防止・
を見る方法も有効である。測定原理等の詳細
軽減のため,放射線障害防止法,医療法,11C
は臨床編を参照すること。
多目的合成装置ヨウ化メチル,コリン取扱説
明書等に則り,取り扱うこと。
2)使用上の注意または取扱いの注意
2―1)使用上の注意
8. 定期的/変更時の再バリデーション
・一般的注意
1)製造設備
診断上の有益性が被ばくによる不利益を上
回ると判断される場合にのみ投与することと
a.定期的な再バリデーション
製造管理,品質管理に用いる機器のうち,
し,投与量は最小限度にとどめること。
校正を必要とする機器について,定期的に校
・高齢者への投与
正を実施し,異常や経時変動がないこと,基
一般に高齢者では生理的機能が低下してい
b.変更時の再バリデーション
準内であることを確認する。
ロット連続で試験を実施し,適正であること
製造・品質試験設備の更新,補修,改造な
を確認した後,臨床に再使用することとする。
どを実施し,対象設備が PET 薬剤の品質に
また,変更に関わる記録を「製品標準書」に
重大な影響を及ぼす可能性のある場合は,影
ファイリングすること。
響する可能性のある品質因子について最低3
( 140 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
359
2)製造プロセス
温度・時間など)
,製造に用いる原材料の規
a.定期的な再バリデーション(日常的なバ
格,メーカー,製造工程そのものの変更など
リデーション)
があり,その変更が PET 薬剤の品質に重大
製造作業に用いる製造記録などにおいて,
な影響を及ぼす可能性のある場合は,影響す
定められた手順,基準に従って製造工程管理
る可能性のある品質因子について最低3ロッ
を実施する。基準に従った結果を与えたロッ
ト連続で試験を実施し,適正であることを確
トのみを臨床に供する。
認した後,臨床に再使用することとする。ま
b.変更時の再バリデーション
た,変更に関わる記録を「製品標準書」にフ
製造工程において,そのパラメータ(設定
ァイリングすること。
3)品質
を用いた試験を最低3ロット連続で実施し,
a.定期的再バリデーション
変更前と同等の結果を得られることを確認し
定期的に実施日を設定して(1年に1回以
た後変更すること。また,変更に関わる記録
上)回顧的バリデーションを行う。実施法は,
を「製品標準書」にファイリングすること。
回顧的バリデーション実施時の直前1
0製造
c.定期的な品質試験の実施
分について品質試験(検定)項目の平均,分
一部の品質試験項目については,その品質
散を求め,過去の蓄積データとの比較により,
因子が比較的変動しにくいのに対して,試験
分散が大きくなっていないか,平均値に傾向
自体の困難さや,試験実施による試験者(検
的な変動がないかを確認し,変動が認められ
定者)の被ばくによる不利益を考慮して,定
た場合は調査対応する。
期的な実施としている。これら試験項目につ
b.変更時の再バリデーション
いては以下の表に基づいて,定期的な試験を
品質試験法(検定法)そのものや,試験に
実施し,基準内であることを確認する。あわ
用いる機器,試薬の規格,メーカーなど品質
せて過去の試験結果と照らし合わせて,変動
試験の結果に重大な影響を及ぼす可能性のあ
傾向がないことを確認する。
る変更を実施した場合は,実際の PET 薬剤
( 141 )
360
RADIOISOTOPES
添付書類
Vol.
5
8,No.
6
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
1.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
専門委員会が成熟技術として認定した放射
ジトロン核医学利用専門委員会,ポジトロ
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する参
291-442
考 資 料,RADIOISOTOPES ,58,
ン核医学利用専門委員会が成熟技術として
(2009)
認定した放射性薬剤の基準(2
009年改定),
221-245(2009)
RADIOISOTOPES ,
5
8,
4.日本核医学会,院内製造された FDG を
2.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
用いて PET 検査を行うためのガイドライ
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
ン(第2版),平成17年10月,核医学,
4
2
(2005)
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
専門委員会が成熟技術として認定した放射
5.平成16年度厚生労働省科学研究費補助金
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する解
医療技術評価総合研究事業 PET 検査施設
247-289(2009)
説,RADIOISOTOPES ,
5
8,
における放射線安全の確保に関する研究班
3.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
編,FDG―PET 検査における安全確保に関
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
するガイドライン(2005)
(7) フッ化ナトリウム(18F)注射液
製品標準書
1. 薬剤の名称,成分
1)名称
フッ化ナトリウム(18F)注射液([18F]NaF 注射液)
2)成分
2. 合成装置の医療機器承認番号
○○○○○○社製
フッ化ナトリウム合成装置○○○○
( 142 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
3. 原材料及び製品の規格及び試験方法
1)原材料の規格及び試験方法
a.フッ化物(18F)イオンの製造に使用するターゲット水(出発物質)並びにサイクロトロン
【ターゲット水(出発物質)】
*
1)ターゲット水は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
【フッ化物(18F)イオンの製造に使用するサイクロトロン】
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:○○○○
b.製剤に含まれる他の成分
[18F]フッ化ナトリウム注射液の調製に以下の薬品を添加する。
*
1)原材料は,肉眼により異常のないことを確認する。
( 143 )
361
362
RADIOISOTOPES
c.合成に使用する試薬,カラム,消耗品,交換部品,ガス
*
1)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。
*
2)イオン交換樹脂は Waters 社(Sep-Pak Plus Accell Plus QMA)を用いることができる。
*
3)滅菌用フィルタは MILLIPORE 社(Millex-GS Vented)を用いることができる。
*
4)製品バイアルの排気用フィルタは MILLIPORE 社(Millex-GS)を用いることができる。
*
5)製品バイアルは,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
2)製品の規格及び試験方法
2―1)製品の規格及び試験頻度
( 144 )
Vol.
5
8,No.
6
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
363
*
1)頻度
・初めて合成を行うとき,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者
を変更した場合(例えば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合し
ていることを確認すること。
・毎合成後:毎回の合成後,検定を実施する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・毎合成後(事後):使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事
後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合
すること。
2―2)製品の試験方法
*
1)ガンマ線測定法
[18F]
NaF 薬剤の放射能あるいはガンマ線スペクトルの測定は,あらかじめ標準線源によって校正された
ガンマ線スペクトロメータ,井戸型シンチレーション計数装置または井戸型電離箱式キャリブレータ(また
はキュリーメータ)により行うものとし,その方法は「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として
認定した放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 4ガンマ線測定法に準じる。
( 145 )
364
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
*
2)エンドトキシン試験法
比濁法によるエンドトキシン測定装置として,和光純薬工業「トキシノメーター」を用いることができる。
また比色法によるエンドトキシン測定装置として,生化学工業「ウェルリーダーSK6
0
3」を用いることがで
きる。
*
3)血液培養システム
血液培養システムによる無菌試験法は,「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放
射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 1
1無菌試験法に準じて行う。
血液培養システムによる無菌試験法では,細菌の代謝産物であるガス状化合物によって生じる培養ボトル
の内圧上昇を,培養ボトルと細い針で接続されたグロスシグナルへの培養液の流入を観察し,試料中の細菌
の有無を判定する。
本法には,オクソイド社血液培養システム「シグナル」を用いることができる。
*
4)pH 試験紙
pH 試験紙には,Whatman 社「Type CF」及び相当品を用いることができる。
*
5)ラジオ液体クロマトグラフ法
カラムとしてダイオネクス社「IonPak AS1
44×2
5
0mm」及び「IonPak AG1
44×5
0mm」を用い,移
動相として3.
5mmol/L Na2CO3,1.
0mmol/L NaHCO3,流量1.
2mL/分の条件で測定したとき,18F―フッ
化物イオンの保持時間は3.
0分前後である。
*
6)ガスクロマトグラフ法
水素イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフ法にて測定する。カラムとして島津製作所「TSG-11
5%
SHINCARBON
A6
0/8
03.
2×31
0
0mm」を用い,カラム温度90℃,インジェクタ温度1
8
0℃,FID 温度
1
8
0℃,キャリアガス N27
0kPa の条件で測定したときエタノールの保持時間は4.
1分前後である。
4.[18F]フッ化ナトリウムの製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:フッ化ナトリウム合成装置○○○○
2)各ロットに使用する試薬類
[18F]フッ化ナトリウムは以下の試薬類を用いて製造される。
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[18F]
フッ化ナトリウムの放射能
量のみを変更し,他のものに関しては,変更しないこと。
( 146 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
365
ムを合成する。合成終了後,
[18F]フッ化
3)製造方法
3―1)[18O]H2O を含むターゲット水に陽子を
1
8
ナトリウム溶液は窒素ガス圧により0.
22
µ m のメンブレンフィルタを通して,滅菌
1
8
(p,n) F の 核 反 応 に よ り
照射して O
1
8
[ F]フッ素イオンを製する。
バイアル中に回収する。
3―2)回収液をイオン交換樹脂に通して[18F]
フッ素イオンを保持させ,不純成分を
5)品質検査
通過させる。
上記製品の規格及び試験方法の項に記した方
3―3)イオン交換樹脂を注射用水で洗浄し,
法に従って品質検査を行う。
残留する不純成分を洗い流す。
35% 炭酸水素ナトリウムに
3―4)洗浄後,0.
6)合成終了後の手順
6―1)合成装置の再利用部品以外の消耗品と
よりイオン交換カートリッジに保持さ
1
8
22
れた[ F]フッ素イオンを溶出し,0.
原材料は全て単回の使用とし,適切に
µ m のメンブレンフィルタを通して注
廃棄する。
6―2)合成終了後の後処理は取扱説明書に従
射用製剤とする。
う。
4)製造手順
4―1)ディスポーザブル部品の準備
5. 製品の保管条件,有効期間
合成に使用する一日ごとの合成ユニット,
用時調製し,保存は行わない。
試薬,
カラム,
消耗品,
再利用部品を準備する。
イオン交換カートリッジは消毒用エタノ
6. 用法・用量並びに使用上の注意または取扱
ール,注射用水,7% 炭酸水素ナトリウム
いの注意
水溶液,注射用水の順に洗浄する。
1)用法・用量
4―2)合成装置の準備
150∼300MBq(2.
5∼5MBq/kg 体 重)を
合成装置の所定の位置に合成ユニット,
試薬,カラム,消耗品,廃液バイアル,製
経静脈投与する。測定原理等の詳細は臨床編を
参照すること。
品バイアル,ターゲット回収ラインを取り
付ける。
2)使用上の注意または取扱いの注意
4―3)ターゲット水の準備
2―1)使用上の注意
[18O]H2O をターゲットボックスへ充填
する。
・一般的注意
診断上の有益性が被ばくによる不利益を上
1
8
4―4)[ F]フッ素イオンの製造
1
8
回ると判断される場合にのみ投与することと
1
8
1
8
(p,n) F
[ O]H2Oに陽子を照射して, O
の核反応により,
[18F]フッ素イオンを製
する。
し,投与量は最小限度にとどめること。
・高齢者への投与
一般に高齢者では生理的機能が低下してい
1
8
4―5)[ F]フッ化物イオン回収と合成
るので,患者の状態を十分に観察しながら慎
コンピュータの回収開始ボタンを押し,
[18F]フッ素イオンを含むターゲット水を
重に投与すること。
・妊婦,授乳婦等への投与
回収する。回収終了後,合成開始ボタンを
妊婦または妊娠している可能性のある婦人
押す。以後,上記製造方法の項に記した方
及び授乳中の婦人には,原則として投与しな
1
8
法に従って自動的に[ F]フッ化ナトリウ
( 147 )
いことが望ましいが,診断上の有益性が被ば
366
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
くによる不利益を上回ると判断される場合の
法,フッ化ナトリウム合成装置○○○○取扱説
み慎重に投与すること。
明書等に則り,取り扱うこと。
・小児への投与
小児等に対する安全性は確立していない
7. 定期的/変更時の再バリデーション
(現在までのところ,十分な臨床成績が得ら
れていない)
。診断上の有益性が被ばくによ
る不利益を上回ると判断される場合のみ慎重
1)製造設備
a.定期的な再バリデーション
製造管理,品質管理に用いる機器のうち,
に投与すること。
校正を必要とする機器について,定期的に校
2―2)取扱いの注意
正を実施し,異常や経時変動がないこと,基
1
8
[ F]フッ化ナトリウム注射液による被ばく
準内であることを確認する。
の防止・軽減のため,放射線障害防止法,医療
b.変更時の再バリデーション
ロット連続で試験を実施し,適正であること
製造・品質試験設備の更新,補修,改造な
を確認した後,臨床に再使用することとする。
どを実施し,対象設備が PET 薬剤の品質に
また,変更に関わる記録を「製品標準書」に
重大な影響を及ぼす可能性のある場合は,影
ファイリングすること。
響する可能性のある品質因子について最低3
2)製造プロセス
温度・時間など)
,製造に用いる原材料の規
a.定期的な再バリデーション(日常的なバ
格,メーカー,製造工程そのものの変更など
リデーション)
があり,その変更が PET 薬剤の品質に重大
製造作業に用いる製造記録などにおいて,
な影響を及ぼす可能性のある場合は,影響す
定められた手順,基準に従って製造工程管理
る可能性のある品質因子について最低3ロッ
を実施する。基準に従った結果を与えたロッ
ト連続で試験を実施し,適正であることを確
トのみを臨床に供する。
認した後,臨床に再使用することとする。ま
b.変更時の再バリデーション
た,変更に関わる記録を「製品標準書」にフ
製造工程において,そのパラメータ(設定
( 148 )
ァイリングすること。
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
367
3)品質
を用いた試験を最低3ロット連続で実施し,
a.定期的再バリデーション
変更前と同等の結果を得られることを確認し
定期的に実施日を設定して(1年に1回以
た後変更すること。また,変更に関わる記録
上)回顧的バリデーションを行う。実施法は,
を「製品標準書」にファイリングすること。
回顧的バリデーション実施時の直前1
0製造
c.定期的な品質試験の実施
分について品質試験(検定)項目の平均,分
一部の品質試験項目については,その品質
散を求め,過去の蓄積データとの比較により,
因子が比較的変動しにくいのに対して,試験
分散が大きくなっていないか,平均値に傾向
自体の困難さや,試験実施による試験者(検
的な変動がないかを確認し,変動が認められ
定者)の被ばくによる不利益を考慮して,定
た場合は調査対応する。
期的な実施としている。これら試験項目につ
b.変更時の再バリデーション
いては以下の表に基づいて,定期的な試験を
品質試験法(検定法)そのものや,試験に
実施し,基準内であることを確認する。あわ
用いる機器,試薬の規格,メーカーなど品質
せて過去の試験結果と照らし合わせて,変動
試験の結果に重大な影響を及ぼす可能性のあ
傾向がないことを確認する。
る変更を実施した場合は,実際の PET 薬剤
添付書類
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
1.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
専門委員会が成熟技術として認定した放射
ジトロン核医学利用専門委員会,ポジトロ
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する参
ン核医学利用専門委員会が成熟技術として
2914
-4
2
(2
0
0
9)
考資料,RADIOISOTOPES,
5
8,
認定した放射性薬剤の基準(2
009年改定)
,
4.日本核医学会,院内製造された FDG を
221-245(2009)
RADIOISOTOPES ,
5
8,
用いて PET 検査を行うためのガイドライ
2.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
ン(第2版),平成17年10月,核医学,
4
2
(2005)
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
キンググループ,
「ポジトロン核医学利用
5.平成16年度厚生労働省科学研究費補助金
専門委員会が成熟技術として認定した放射
医療技術評価総合研究事業 PET 検査施設
性薬剤の基準(2
009年改定)」に関する解
における放射線安全の確保に関する研究班
247-289(2009)
説,RADIOISOTOPES ,
5
8,
編,FDG―PET 検査における安全確保に関
3.日本アイソトープ協会医学・薬学部会ポ
ジトロン核医学利用専門委員会核薬学ワー
(8) フルマゼニル(11C)注射液
製品標準書
1. 薬剤の名称,成分
1)名称
フルマゼニル(11C)注射液
2)成分
( 149 )
するガイドライン(2005)
368
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2. 合成装置
○○○○○○社製
1
1
C 多目的合成装置
3. 原料及び製品の規格及び試験方法
1)原材料の規格及び試験方法
a.有機化合物(主な原料)
*
1)Desmethyl flumazenil は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
b.[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造に使用するターゲットガス(出発物質)並びにサイクロトロン
【ターゲットガス(出発物質)】
*
1)ターゲットガスは受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
( 150 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
369
【[11C]二酸化炭素(11CO2)の製造に使用するサイクロトロン】
製造者名:○○○○○○株式会社
型式:○○○○
c.製剤に含まれる他の成分
[11C]フルマゼニル注射液の調製に以下の薬品を添加する。
*
1)試薬は受け入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は,肉眼により異常のないことを確認する。
d.[11C]ヨウ化メチル,[11C]メチルトリフレートの合成に使用する試薬,消耗品,交換部品
[11C]ヨウ化メチル,[11C]メチルトリフレートの合成(液相法)
*
1)試薬,消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)試薬,消耗品,交換部品は全て,肉眼により異常のないことを確認する。試薬の取り扱いは排気装置
を備えたドラフト内で行い,試薬の飛散,吸引等に注意して作業すること。使用する器具及びガラス管は
十分に乾燥したものを使用する。
*
3)1.
0mol/L
LiAlH4/THF を THF 溶液にて0.
1mol/L に希釈して使用する。0.
1mol/L
は ABX 社を用いることもできる。
( 151 )
LiAlH4/THF
370
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
e.[11C]フルマゼニル合成に使用する試薬,消耗品,交換部品
e―1.[11C]ヨウ化メチル法による[11C]フルマゼニル合成
*
1)消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。試薬の取り扱いは排気装置を備えたドラフト
内で行い,試薬の飛散,吸引等に注意して作業すること。使用する器具及びガラス管は十分に乾燥したも
のを使用する。
*
3)滅菌用フィルタは MILLIPORE 社(Millex-GS)を用いることができる。
*
4)製品バイアルの排気用フィルタは MILLIPORE 社(Dualex)を用いることができる。
*
5)製品バイアルなどのガラス類は,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
( 152 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
371
e―2.[11C]メチルトリフレート法による[11C]フルマゼニル合成
*
1)消耗品,交換部品は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
*
2)原材料は全て,肉眼により異常のないことを確認する。試薬の取り扱いは排気装置を備えたドラフト
内で行い,試薬の飛散,吸引等に注意して作業すること。使用する器具及びガラス管は十分に乾燥したも
のを使用する。
*
3)滅菌用フィルタは MILLIPORE 社(Millex-GS)を用いることができる。
*
4)製品バイアルの排気用フィルタは MILLIPORE 社(Dualex)を用いることができる。
*
5)製品バイアルなどのガラス類は,日本薬局方に従って滅菌処理を行ったものを用いる。
f.標準物質
以下の化合物を[11C]フルマゼニル注射液の品質管理用として用いる。
*
1)各標準物質は受入れ基準を満たした相当品を用いることができる。
( 153 )
372
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2)製品の規格及び試験方法
2―1)製品の規格及び試験頻度
*
1)頻度
・初めて合成を行うとき,長期間使用しなかった後,製造工程・設備・装置を変更した場合,作業従事者
を変更した場合(たとえば,新しい作業者の参入)には,全ての検定を実施し,3ロット連続して適合
していることを確認する。
・毎合成後:毎回の合成後,検定を実施する。
・1回/年以上:1年に1回以上の頻度で,定期的に検定を実施する。
・毎合成後(事後)
:使用開始前に,3ロット連続した検定において適合するとき,これ以降の検定を事
後検定とする。ただし,不適合が生じた場合,その要因を排除し,3ロット連続した検定において適合
することを確認する。
( 154 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
373
2―2)製品の試験方法
*
1)ガンマ線測定法
[11C]
フルマゼニル薬剤の放射能あるいはガンマ線スペクトルの測定は,あらかじめ標準線源によって
校正されたガンマ線スペクトロメータ,井戸型シンチレーション計数装置または井戸型電離箱式キャリブ
レータ(またはキュリーメータ)により行うものとし,その方法は「ポジトロン核医学利用専門委員会が
成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法 4 ガンマ線測定法に準じ
る。
*
2)比放射能測定法
[11C]
フルマゼニル薬剤の一定量を精密に量り,放射能をガンマ線測定法*1)に従って定量する。紫外吸
光度検出器を用いる液体クロマトグラフ法によりフルマゼニル標準液について検量線を作成する。[11C]
フルマゼニル薬剤の一定量について同様な試験を行い,検量線より[11C]
フルマゼニル薬剤のフルマゼニ
ルの量を求め,比放射能を算出する。液体クロマトグラフ法において,カラムとして日本分光製の Finepak
SIL
C-1
8S(内径4.
6mm×長さ1
5
0mm)を用い,移動相としてアセトニトリル/0.
1mol/L 酢酸アンモ
ニウム/酢酸混液(2
5
0:2
5
0:1)を用い,流量2mL/min,UV 波長2
5
4nm の条件で測定したときの原
料(Desmethyl flumazenil)の保持時間は1.
2分,[11C]
フルマゼニルの保持時間は1.
5分前後である。
( 155 )
374
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
*
3)エンドトキシン試験法
比濁法によるエンドトキシン測定装置として,和光純薬工業「トキシノメーター」を用いることができ
る。また比色法によるエンドトキシン測定装置として,生化学工業「ウェルリーダー SK6
0
3」を用いる
ことができる。
*
4)血液培養システム
血液培養法による無菌試験法は,「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性
薬剤の基準(2
0
0
9年改定)
」
のⅢ.一般試験法
1
1無菌試験法に準じて行う。
血液培養システムによる試験法では,細菌の代謝物であるガス状化合物によって生じる培養ボトルの内
圧上昇を,溶液ボトルと細い針で接続されたグロスシグナルへの培養液の流入を観察し,試料中の細菌の
有無を判定する。
本法にはオクソイド社血液培養システム「シグナル」を用いることができる。
*
5)pH 試験紙
pH 試験紙には,Whatman 社「Type CF」及び相当品を用いることができる。
*
6)ラジオ液体クロマトグラフ法
Finepak
SIL
C-1
8S(日本分光
内径4.
6mm×長さ1
5
0mm)のカラムを使用し,アセトニトリル/
0.
1mol/L 酢酸アンモニウム/酢酸混液(2
5
0:2
5
0:1)を溶離液として流量2mL/min で溶出したとき,
[11C]
フルマゼニルの保持時間は1.
5分前後である。
*
7)ガスクロマトグラフ法
水素炎イオン化検出器(FID)を備えたガスクロマトグラフ法にて測定する。カラムとして TSG-11
5%
SHINCARBON A6
0/8
03.
2×31
0
0mm(島津製作所)を用い,カラム温度90℃,インジェクタ温度18
0
℃,FID 温度1
8
0℃,キャリア窒素ガス7
0kPa の条件で測定したときのエタノール,アセトニトリルの
保持時間はそれぞれ4.
1分,6.
7分前後である。
4.[11C]ヨウ化メチル,[11C]メチルトリフレートの製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○株式会社
型式:11C 多目的合成装置
ヨウ化メチル合成ユニット
2)各ロットに使用する試薬類
[11C]ヨウ化メチル,[11C]メチルトリフレートは以下の試薬類を用いて製造する。
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[11C]
CO2 の放射能量のみを変更
し,他のものに関しては,変更しないこと。
( 156 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
3)製造方法
375
4―3)合成前準備
2∼0.
5% の酸素を添加した高純度
3―1)0.
パーソナルコンピュータより第1反
(p,α) C
窒素ガスに陽子を照射して N
応器,第2反応器,アスカライト管の
1
4
1
1
1
1
CO2 を製する。
の核反応により[ C]
フローテスト,リークテスト,パージ
CO2 を含むターゲットガスを0.
1
3―2)[11C]
mol/L LiAlH4/THF 溶液中に吹き込み,
還元する。
を実施する。
CO2 の製造
4―4)[11C]
0.
2∼0.
5% の酸素を添加した高 純
3―3)THF 溶媒を窒素気流下で加熱し,蒸発
(p,
度 窒 素 ガ ス に 陽 子 を 照 射 し て14N
させて除く。冷却後,ヨウ化水素酸を
1
1
α)
C の 核 反 応 に よ り[11C]
CO2 を 製
加え,[11C]メタノールを生成する。
する。
1
1
3―4)[ C]メタノールを加熱し,ヨウ化水素
1
1
酸と反応させて[ C]ヨウ化メチルを
生成する。
4―5)LiAlH4/THF の注入
照射終了直前に,−2
0℃ に冷却した
第1反応器に0.
1mol/L
1
1
3―5)生 成 し た[ C]ヨ ウ 化 メ チ ル は Desmethyl flumazenil を溶解した N ,N ―ジ
メチルホルムアミド(DMF)溶液に供
1
1
給する。または,
[ C]ヨウ化メチルを
1
1
更に AgOTf カラムに通して[ C]メチ
ル ト リ フ レ ー ト と し,Desmethyl
flumazenil を溶解したアセトン溶液に
LiAlH4/THF
を注入する。
CO2 の回収
4―6)[11C]
CO2 を含むターゲットガスを回
[11C]
収し,
0.
1mol/L LiAlH4/THF 溶液中に
CO2 を捕集する。
[11C]
4―7)合成の開始
回収終了後,合成プログラムをスタ
ートさせ,上記製造方法の項に記した
供給する。
方法に従って[11C]ヨウ化メチルを合
4)製造手順
成する。または,[11C]ヨウ化メチルを
4―1)合成ユニットの準備
更に AgOTf カラムに通して[11C]メチ
アスカライト管にアスカライトと五
酸化リンを充填する。V バイアルにヨ
ウ化水素酸を注入する。合成ユニット
ルトリフレートに変換する。
4―8)[11C]ヨウ化メチル,[11C]メチルトリフ
レートの供給
の所定の位置に第1反応器,第2反応
合成終了後,合成ユニット内の Des-
器,アスカライト管,V バイアルを取
methyl flumazenil を溶解した DMF 溶
り付ける。
液に供給する。または,
[11C]ヨウ化メ
4―2)合成ユニットの確認
チ ル を 更 に AgOTf カ ラ ム に 通 し て
合成ユニットのヨウ化メチル供給配
[11C]メ チ ル ト リ フ レ ー ト と し,Des-
管またはメチルトリフレート供給配管,
methyl flumazenil を溶解したアセトン
ターゲットガス回収ライン,Waste ラ
溶液に供給する。
インの確認を行う。
5.[11C]フルマゼニルの製造方法及び手順
1)製造に使用する装置
製造者名:○○○○株式会社
型式:11C 多目的合成装置
ヨウ化メチル合成ユニット,濃縮ユニット
( 157 )
376
RADIOISOTOPES
Vol.
5
8,No.
6
2)各ロットに使用する試薬類
[11C]フルマゼニル注射液の各ロットは以下の試薬類を用いて製造する。
2―1)[11C]ヨウ化メチル法
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[11C]
ヨウ化メチルの放射能量の
みを変更し,他のものに関しては,変更しないこと。
*
2)Desmethyl flumazenil(1mg)を DMF 溶液1mL に溶解して調製する。1回の合成で0.
4mL 使用する。
2―2)[11C]メチルトリフレート法
*
1)ここに示す放射能量より高い放射能量を用いて合成を行う場合には,[11C]
メチルトリフレートの放射
能量のみを変更し,他のものに関しては,変更しないこと。
*
2)Desmethyl
flumazenil(0.
5mg)を0.
2mol/L 水酸化ナトリウム溶液5 µ L を含む DMF 溶液1mL に
溶解して調製する。1回の合成で0.
2
5mL 使用する。
3)製造方法は次のいずれかによる。
mol/L 水酸化ナトリウム溶液を加えた反応
1
1
器に窒素気流下の[11C]メチルトリフレー
3―1)[ C]ヨウ化メチル法
Desmethyl
flumazenil/DMF 溶液に NaH
トを通し,反応させる。反応後,反応液を
の DMF 溶液を加えた反応器に窒素気流下
HPLC に導入し,分離精製する。分離精製
の[11C]ヨウ化メチルを通し,反応させる。
後,濃縮ユニットで溶媒の除去を行い,残
反応後,反応液を HPLC に導 入 し,分 離
渣を生理食塩液に溶かし,0.
22 µ m のメ
精製する。分離精製後,濃縮ユニットで溶
ンブレンフィルタを通して注射用製剤とす
媒の除去を行い,残渣を生理食塩液に溶か
る。
し,
0.
22 µ m のメンブレンフィルタを通し
て注射用製剤とする。
4)製造手順は次のいずれかによる。
1
1
4―1)[11C]ヨウ化メチル法
3―2)[ C]メチルトリフレート法
Desmethyl flumazenil/アセトン溶液に0.
2
( 158 )
①合成ユニットの準備
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
第2反応器,V バイアルを所定の位置に
377
②合成ユニットの確認
取り付ける。
合成ユニットのメチルトリフレート供給
②合成ユニットの確認
配管,反応液移送ライン,Waste ラ イ ン
合成ユニットのヨウ化メチル供給配管,
の確認を行う。
反応液移送ライン,Waste ラインの確認
③濃縮ユニットの準備
を行う。
濃縮フラスコにアスコルビン酸注射液
③濃縮ユニットの準備
0.
1mL を注入し,所定の位置に取り付け
0
る。界面活性剤5 µ L を含む生理食塩液1
濃縮フラスコにアスコルビン酸注射液
0.
1mL を注入し,所定の位置に取り付け
mL を注入したバイアルを取り付ける。
0
る。界面活性剤5 µ L を含む生理食塩液1
④HPLC の準備
mL を注入したバイアルを取り付ける。
分取条件の設定,分取溶媒の確認,分取
④HPLC の準備
カラムのコンディショニングを行う。
分取条件の設定,分取溶媒の確認,分取
⑤液体窒素の準備
カラムのコンディショニングを行う。
デュワー瓶に液体窒素を注入し,真空ト
⑤液体窒素の準備
ラップを液体窒素に浸す。
デュワー瓶に液体窒素を注入し,真空ト
⑥製品バイアルの取り付け
ラップを液体窒素に浸す。
製品バイアルを所定の位置に取り付ける。
⑥製品バイアルの取り付け
⑦合成原料
製品バイアルを所定の位置に取り付ける。
Desmethyl
⑦合成原料
flumazenil のアセトン溶液
0.
25mL に,0.
2mol/L 水酸化ナトリウム
Desmethyl flumazenil の DMF 溶液0.
4
溶液5 µ L を加え,反応容器に導入する。
mL に NaH の DMF 溶 液0.
5 µ L を 加 え,
⑧[11C]メチルトリフレートの合成と回収
[11C]メチルトリフレートを合成し,Des-
−20℃ に冷却された反応容器に導入する。
⑧[11C]ヨウ化メチルの合成と回収
methyl
[11C]ヨウ化メチルを合成し,Desmethyl
flumazenil を溶解したアセトン溶
液に捕集する。
flumazenil を溶解した DMF 溶液に捕集す
⑨合成の開始
る。
回収終了後,上記製造方法の項で記した
方法に従って[11C]フルマゼニルを合成す
⑨合成の開始
る。
回収終了後,上記製造方法の項で記した
1
1
⑩[11C]フルマゼニルの回収
方法に従って[ C]フルマゼニルを合成す
合成終了後,
[11C]フルマゼニル溶液は
る。
窒素ガス圧により0.
22 µ m のメンブレン
⑩[11C]フルマゼニルの回収
合成終了後,[11C]フルマゼニル溶液は
フィルタを通して,製品バイアル中に回収
窒素ガス圧により0.
22 µ m のメンブレン
する。
フィルタを通して,製品バイアル中に回収
5)品質検査
する。
4―2)[11C]メチルトリフレート法
上記製品の規格及び試験方法の項に記した方
①合成ユニットの準備
法に従って品質検査を行う。
第2反応器,V バイアルを所定の位置に
6)合成終了後の手順
取り付ける。
( 159 )
378
RADIOISOTOPES
6―1)合成装置の再利用部品以外の消耗品と
Vol.
5
8,No.
6
し,投与量は最小限度にとどめること。
原材料は全て単回使用とし,適切に廃棄
・高齢者への投与
する。
一般に高齢者では生理的機能が低下してい
6―2)合成終了後の後処理は取扱説明書に従
るので,患者の状態を十分に観察しながら慎
う。
重に投与すること。
・妊婦,授乳婦等への投与
6. 製品の保管条件,有効期間
妊婦または妊娠している可能性のある婦人
用時調製し,保存は行わない。
及び授乳中の婦人には,原則として投与しな
いことが望ましい。診断上の有益性が被ばく
7. 用法・用量並びに使用上の注意または取扱
による不利益を上回ると判断される場合のみ
いの注意
慎重に投与すること。
1)用法・用量
・小児への投与
360∼1080MBq(6∼1
8MBq/kg 体重)
小児等に対する安全性は確立していない
薬物量として,1.
5nmol/kg 以下を投与し,
(現在までのところ,十分な臨床成績が得ら
撮像する。測定原理等の詳細は臨床編を参照
れていない)。診断上の有益性が被ばくによ
すること。
る不利益を上回ると判断される場合のみ慎重
2)使用上の注意または取扱いの注意
に投与すること。
2―1)使用上の注意
2―2)取扱いの注意
[11C]フルマゼニル注射液による被ばくの
・禁忌
フルマゼニルに対する過敏症の患者,ベン
防止・軽減のため,放射線障害防止法,医療
ゾジアゼピン系薬剤過敏症既往歴患者には禁
1
1
C 多目的合成装置取扱説明書等に則り,
法,
忌である。
取り扱うこと。
・慎重
ベンゾジアゼピン系薬剤の長期間高用量投
8. 定期的/変更時の再バリデーション
与患者,肝障害のある患者,ベンゾジアゼピ
1)製造設備
ン系薬剤投与の重症頭部外傷または頭蓋内圧
a.定期的な再バリデーション
製造管理,品質管理に用いる機器のうち,
が不安定の患者には慎重に投与すること。
校正を必要とする機器について,定期的に校
・一般的注意
診断上の有益性が被ばくによる不利益を上
正を実施し,異常や経時変動がないこと,基
回ると判断される場合にのみ投与することと
準内であることを確認する。
b.変更時の再バリデーション
ロット連続で試験を実施し,適正であること
製造・品質試験設備の更新,補修,改造な
を確認した後,臨床に再使用することとする。
どを実施し,対象設備が PET 薬剤の品質に
また,変更に関わる記録を「製品標準書」に
重大な影響を及ぼす可能性のある場合は,影
ファイリングすること。
響する可能性のある品質因子について最低3
( 160 )
Jun.
2
0
0
9
「ポジトロン核医学利用専門委員会が成熟技術として認定した放射性薬剤の基準(2009年改定)」に関する参考資料
379
2)製造プロセス
温度・時間など)
,製造に用いる原材料の規
a.定期的な再バリデーション(日常的なバ
格,メーカー,製造工程そのものの変更など
リデーション)
があり,その変更が PET 薬剤の品質に重大
製造作業に用いる製造記録などにおいて,
な影響を及ぼす可能性のある場合は,影響す
定められた手順,基準に従って製造工程管理
る可能性のある品質因子について最低3ロッ
を実施する。基準に従った結果を与えたロッ
ト連続で試験を実施し,適正であることを確
トのみを臨床に供する。
認した後,臨床に再使用することとする。ま
b.変更時の再バリデーション
た,変更に関わる記録を「製品標準書」にフ
製造工程において,そのパラメータ(設定
ァイリングすること。
3)品質
を用いた試験を最低3ロット連続で実施し,
a.定期的再バリデーション
変更前と同等の結果を得られることを確認し
定期的に実施日を設定して(1年に1回以
た後変更すること。また,変更に関わる記録
上)回顧的バリデーションを行う。実施法は,
を「製品標準書」にファイリングすること。
回顧的バリデーション実施時の直前1
0製造
c.定期的な品質試験の実施
分について品質試験(検定)項目の平均,分
一部の品質試験項目については,その品質
散を求め,過去の蓄積データとの比較により,
因子が比較的変動しにくいのに対して,試験
分散が大きくなっていないか,平均値に傾向
自体の困難さや,試験実施による試験者(検
的な変動がないかを確認し,変動が認められ
定者)の被ばくによる不利益を考慮して,定
た場合は調査対応する。
期的な実施としている。これら試験項目につ
b.変更時の再バリデーション
いては以下の表に基づいて,定期的な試験を
品質試験法(検定法)そのものや,試験に
実施し,基準内であることを確認する。あわ
用いる機器,試薬の規格,メーカーなど品質
せて過去の試験結果と照らし合わせて,変動
試験の結果に重大な影響を及ぼす可能性のあ
傾向がないことを確認する。
る変更を実施した場合は,実際の PET 薬剤
( 161 )
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