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IME 経営セミナー
2013 年 9 月 20 日
中小企業の生き残り作戦!
定期経営セミナー開催要領
• 場所
大田区産業プラザ(Pio) 蒲田
製造業の成長戦略
• 日時
技術技能伝承
9月20日(金) F会議室
10月18日(金) F会議室
11月29日(金) F会議室
18:30から1.5~2時間程度
技術経営(MOT-2)
• テーマ
2013年
「4+4の経営革新」
• 企業経営関連のテーマを時期と希望により選定する
株式会社
代表取締役
立居場誠治
Ⅰ.体系的取組みの準備 2.目的・目標仮設定
技術技能マネジメント
Ⅰ.体系的取組みの準備
技術技能伝承の目的と実現手段の例
目的
分野
どの程度の事をやるか教育計画
計画・実行体制の準備
1.技術人材育成の考え方(調査・レベル診断)
2.目的・目標仮設定
3.範囲・対象設定
4.概略スケジュール作成
5.プロジェクト編成
Ⅰ.体系的取組みの準備 2.目的・目標仮設定
目的の例
人事
人材不足による 異動・退職者引き 異動・退職等への対応などのため、期
短期
業務停滞の防止 継ぎの徹底
間を設けて行う引継ぎ等
人事 生産人材の確保
新 人 ・ 新 任 者 育 新入社員や異動による新任者などに対
短期
成
する技術技能教育
人事 事業継続
将来への備えとして、技術技能の層を
後継者育成、若
厚くする
中期
手育成、世代交
高齢化、定年退職等による技術技能喪
代準備
失防止
製品の低価格化
対応
生産
生産方式変更によ 多能化による生産形態変更と応援体制による
多品種小ロット受
る小ロット低コスト フレキシブル化、実施効率向上によるバランス
注対応
生産
ロスと段取費用の低減
短納期要求対応
納期遅れ0件/年
生産
(リードタイム短縮) 短納期化対応
生産 売上の維持継続
リスク
純粋リスク予防対応
ビジネスリスク予防
目的
分野
目的の例
将 来 受 注 の 為 の 新素材加工技術の 今後の新規受注を見越しての人材育成
新素材対応
導入
新しい技術技能の導入教育
市場・ 顧客の高度 高品質要求対応
将来
化要求への対応
技術技能の高度化
中期
中期
中期
戦略
売上増のための
新市場・顧客開拓
新規市場・顧客開拓 新規顧客の特性、要望などに対応するための 中長
2件/年
営業、設計、生産技術等の修得
期
売上増のための
新事業開拓
5 年 後 に 新 事 業 の 新事業の分野、特性などに対応するための営
長期
立ち上げ
業、設計、生産技術、許認可、免許等の修得
中期
戦略 技術進展対応
自然災害影響減 地震、台風、竜巻、ゲリラ豪雨の対応技術・訓練
社内事故災害0件 事故、災害、公害の発生リスク対応技術・訓練
中長
期
(短期)
戦略
製品戦略に基づく生産・加工方法等の革新
新技術・ノウハウ開
新素材の利用方法、加工方法などの技術開 長期
発
発
新製品開発体制構築と製品開発のための資
新製品4件/年
源(シーズ)を増加・増強 開発人材の育成
長期
新製品の為のノウハウ開発、修得
売上増のための
新製品開発
Ⅰ.体系的取組みの準備
Ⅰ.体系的取組みの準備
目的
分野
3.対象組織・取組概要の設定
人事
生産
目的・目標から対象組織と取り組みの概要を設定し
プロジェクトに詳細調査、実施準備を指示する。
生産
将来
3.1対象者の組織範囲設定
目的
人材育成の目的・目標・実現手段
目標
主旨、実現手段等
高齢化、定年退職等による技術技能喪失防止等
将来への備えとして、技術技能職の層を厚くする
製品の低価格化
材料の不良・歩留改善、改善による生産効率向上、
対応
実施効率向上、外注の内製化
多能化による生産形態変更と応援体制によるフレ
多品種小ロット受注対 生 産 方 式 変 更 に よ る
キシブル化、実施効率向上によるバランスロスと段
応
小ロット低コスト生産
取費用の低減
市 場 ・顧 客 の 高度 化 高品質機能要求対応 品質・機能等の高度化要求対応教育
要求への対応
技術技能の高度化
職人の加工技術の限界への挑戦
事業継続
目的目標達成のために 取組む組織範囲を 設定する
後継者育成、若手育
成、世代交代準備
原価低減、初年10%
2年で15%
管理
サイクル
中期
中期
中期
中期
取組概要と能力の評価管理項目
能力の評価・管理の対象者を、階層別(縦の分業)、部門別(横の分業)について明
確に範囲設定する
主旨、実現手段等
↓
取組の概要
3.2取組概要の設定
目的目標達成の為の取組の方向性と 能力要件を 設定する
前出の「人材育成の目的・目標・実現手段」で設定した主旨、実現手段等の欄を整
理して、取り組みの方向性を抽出する。対象となる組織と「力量」と「実効性」の評
価項目も選択する。
www.ime-net.com
品質・機能等の高度化要求対応教育
職人の加工技術の限界への挑戦
市場・ 顧客の高度 高度化対応 (全体レ ノウハウの標準化、情報共有化、技術技能教 中長
将来
ベルの向上)
化要求への対応
育による全社要員の技術・ノウハウ等の拡充
期
生産継続、製品維 既存製品に必要な技術技能等を絶やさないた
持
めに、既存技術技能の伝承・保存及び復刻
設計、購買、製造、検査、試験研究、非製造部門
管理
サイクル
将来
短期
戦略
(通常は実務者階層) 第一線監督者、技術者、その要員
実現手段等の例
将 来 受 注 の 為 の 新産業革命生産設 新規設備導入の為に必要な知識、技術技能、
中期
新生産方式対応
備の技術確立
免許の取得、習熟度向上、新生産管理考案
中期
②部門別の範囲
目標の例
将来
短縮化傾向対応としての生産形態を受注見込
生産に変更、多能化によるフレキシブル化対応
①階層別の範囲
2.目的・目標仮設定
技術技能伝承の目的と実現手段の例
原価低減、初年 材料の不良・歩留改善、改善による生産効率
短期
10% 2年で15% 向上、実施効率向上、外注の内製化
生産
管理
サイクル
急な異動・退職、傷病等による長期欠
都度
人材不足による
突発的人事対応 勤などへの対応のための対応や要員
(短期)
業務停滞の防止
育成
Ⅰ.体系的取組みの準備
目的
管理
目的の例
目標の例
実現手段等の例
分野
サイクル
コンプ
法的及びその他の 法 令 対 応 人 材 の 各種法令を順守するために必要な許認可、資 都度
ライア
(短期)
要求事項対応
充実
格、免許、認証等の取得のための教育
ンス
設計・仕様変更時 顧客からの急な大量受注、設計・仕様変更など
の顧客満足 100% に対する対応者(技術技能者)の育成
実現手段等の例
人事
技術技能伝承の目的と実現手段の例
生産 顧客要望対応
目標の例
1
対象組織
技術技能教育の強化
品質改善の教育と実施
IE現場改善の教育と実施
実施効率向上
外注技術教育
全工程
全工程
全工程
全工程
A,C,D,E係
多能工育成
実施効率向上
段取改善の教育と実施
品質・機能高度化対応教育
職人の加工技術向上
A、B、C係
A、B、C係
A、B、C係
全工程
全工程
力量
実効性
作業 ノウ 資格 知識 モラル コンプ 実行 問題 創造 経験
モラー ライア
操作 ハウ 免許
力 解決 性
ル
ンス
能力
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© Seiji Tateiba 2013 Tokyo JP
IME 経営セミナー
2013 年 9 月 20 日
Ⅱ.短期的取組
1.標準化・手順の見直し
1.2手順書の作成
Ⅱ.短期的取組
(1)仕様設定
教育(OJT)の体制づくり (管理職、指導者)
1.標準化・手順の見直し
2.能力要件の設定
3.教育計画、方法・体系の整備
4.教育資源の準備
5.能力評価方法の検討
6.人事処遇等の検討
7.教育の実施と管理
(2)作業の明確化
(3)ポイント調査
作業手順書は、作業のやり方を標準化したもので、
顧客と「決められた通りに作業します」との約束でもある。
JIS工場は品質保証のため、作業手順書(標準)を完備
しなければならない。
ISO9001でも、必要な場合の手順を制定し、それを守
ることで品質保証することを求めている。
(4)資料収集
(5)実施確認
(6)承認、発効
(7)周知、教育
(8)実使用
Ⅱ.短期的取組
1.標準化・手順の見直し
Ⅱ.短期的取組
1.3 手順書の
見直し
2.能力要件の設定
2.1能力要件の考え方
• 作成されている手順書が、
実作業と異なる場合、
Bestな方法でない場合な
どは、見直しが必要であ
る。
• また、職人の暗黙知・個
人知を表出化し形式知・
組織知にして手順書に取
り込むことが理想であ
る。
• 一般的に能力とは、物事を成し遂げることのできる力のことで、能力
要件は、その能力のために『必要な条件』や『大事なこと』などを意
味する。
• 改善や設変があったらす
ぐ改訂されなければなら
ない・・・標準は生ている
こと
• 適切な人材の育成、活用をおこなうためには、教育・評価の対象と
なる要件項目を明確にする必要がある。
能力要件は、物事を成し遂げることのできる力(能力)のために
『必要な条件』 や 『大事なこと』
• 継続経営の最終目的の達成、経営計画、製品計画の実現、日々の
製品製造などのためには、その仕事を行う「力量」と高いモラルなど
で実現する「実効性」などが要員の能力として必要である。
力量の内容による能力要件の種類
(技術技能のうち工程、設備、手順書、取説に基づく作業)
通常の作業や対応、設備操作の要領は手順書や取扱説明書(取説)等に記されている。
要員は手順や取説の理解と実践を確実に行い、充分な成果を上げる事が求められる。
①作業・操作
技術 : 物事を取り扱ったり処理したりする際の方法や手段。また、それを行うわざ。
科学の研究成果を生かして人間生活に役立たせる方法。
技能 : あることを行うための技術的な能力。うでまえ。
(技術技能)
(技術技能)
②ノウハウ
(技術技能のうち文書化・標準化等されていない熟練、カンコツ等を主体とする作業)
高度技術、高難度加工、カンやコツを要する作業や対応などは、手順書、VTRなどに記
録することが非常に困難で、通常は充分な資料がない。そのため、上位者からのOJT、
経験、自己研鑽などで習得される。
ノウハウ【know-how】:専門的な技術やその蓄積。競争優位となり得る技術技能、情報、
経験、カン・コツおよび秘密。
本テキストでは手順書等に記されていない技術技能等をノウハウとして扱う。
対象は、実務に関する、理由、理論、学識、基礎知識および、付随・関連する知識など
(0) ターゲット設定
(1) 手順書、取説の収集・整理
簡
(2) 作業・操作一覧作成
(3) 手順書内容の類似性分析
簡
(4) 工程・手順の内容調査
簡
(5) 資格・免許等管理台帳調査
簡
(6) 教育訓練記録調査
(7) 日報等OJT記録調査
(8) ヒアリング調査
(9) 基礎知識、先端知識の検討
www.ime-net.com
③外部
協力会社、外注先、購入先などにはあるが、自社にはない技術技能・資格免許、
能力要件 知識など。 外注製品の内製化などの目的で習得する能力要件。
過去に存在したが、現在はなくなってしまった技術技能・資格免許、知識
製品維持や設備保全、故障対応、新規設備設計などのために、過去の技術技能
や自動化で忘れられた基礎技術等の復刻や再習得が必要な場合がある。
現存しない
自動化や使用頻度減少のためになどのため忘れ去られた技術技能(
能力
1)忘却
④消滅
現存の可能性もある)
能力要件
2)衰退・ 頻度減少やライフサイクル終焉などの理由で衰退しすたれた技術技能。
自然消滅 技術は書類・設備中に存在可能性あり。
3)喪失
退職、移転、流出、紛失等により失われた技術技能
4)破棄
何らかの理由で意図的に捨てた又は失われた技術技能
⑤将来
顧客や業界の動向、社会情勢などから、今後、明らかに必要になると考えられる
今後必要 能力要件 技術技能・資格免許、知識
な能力 ⑥戦略
経営戦略(計画)、製品戦略(計画)などの実現のために今後必要となる技術技能
能力要件 通常は戦略実現のための人材計画、教育計画などにより抽出実行する。
法令で取り扱い者等に関する規制をともなう作業、個別の検査ができない特殊工程の作
業などは、その保障のために資格免許による制限とその運用管理が必要である。
資格 : ある事を行うのに必要又は、ふさわしい地位や立場、必要とされる条件。責任能
力や説得力の証。
③資格・免許 免許 : ある特定の事を行うのを官公庁が許すこと。
法令によって、一般には禁止されている行為を、特定の場合、特定の人だけに許
す行政処分。
師から弟子にその道の奥義を伝授すること。また、その証書。ゆるし。
④知識
力量能力要件の分類
内容
①顕在
現在、管理・活用している技術技能・資格免許、知識。
能力要件
会社として未認識または使用・管理を凍結している技術技能・資格免許、知識。
現存する
従業員が修得・保持しているが、申請していない技術・技能・免許等。
1)未認識
能力
暗黙知のまま形式知化されていない技術技能、基準、手順。
②潜在
能力要件
保持者が存在し、過去には評価していたが、現在は評価対象にあげ
ていない技術技能、資格免許、知識。
2)凍結
やめてしまったが破棄していない為、再利用は比較的容易。
能力要件設定の基本手順概要
【実効性の評価項目例】
技術技能
①モラル、モラール
「やればできる」と言っても、その気がなければ絵に描いた餅である。まして、遅刻欠勤や手順違反、造反行為
などを行うようでは話にならない。会社のビジョンや体制、計画などの理解と協力などが必要。
評価内容例 [ビジョン理解、協力姿勢、やる気、順法意識、遅刻欠勤、常識行動、逸脱行為・・・など]
①作業・操作
手順書、取説等に
基づく作業、対応
②コンプライアンス
法令違反等は、一人の間違いで会社の信用を大きく損ねることがある。ルールの理解と遵守を管理する。
評価内容例 [法令、免許・許認可業務、セクハラ、パワハラ、環境対応などの理解と実践の評価]
②ノウハウ
③実行力
方針、目標や指示、自分の考えなどに対して実際に行動を起こし、実際に間違いなく、失敗なく実行できるか、
その実現する力とその結果、報告、連絡、相談などの評価。
考えによっては、その実現に向けて行動する勇気や度胸などを含め幅広くとらえる場合もある。
評価内容例 [不良率、生産効率、精度のばらつき、出来栄え、5Sの順守、報告能力・・・など]
カン、コツ、要領
熟練、高度作業
④問題解決能力
③資格・免許
業務の中で発生する問題点を発見し、理解、分析、解決策立案、実行等を行う力とその結果の評価。
評価内容例 [気づき、理解力、分析力、改善能力、改善提案、会議発言・・・など]
法令等による免許
社内資格等
⑤創造性
変化の激しい現代において継続企業であるには、経営~現場作業まで会社全体で、変化に対応するための知
識の応用や創造性、実行力、改善能力などが必要である。
評価内容例 [応用力、発想・想像力、執着力、ノウハウ提供、新提案(製品・技術・方式)・・・など]
④知識
⑥経験
科学技術、原価、
品質、統計等
パイロットの飛行時間のように、その業務・作業をどの程度経験したかで、信頼性を図る考え方もある。
評価内容例 [入社年数、経験年数、実施回数・・・など]
2
© Seiji Tateiba 2013 Tokyo JP