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いた可能性があると考えられる。 このため、本船は、右舷真横付近に風と高波を受け、高波により横傾斜が 最大になるとともに、風及び荷崩れによる横傾斜が加わったことから、ブル ワーク没水角を超える左舷側への傾斜が生じた可能性があると考えられる。 ③ 本船は、本事故発生時、約1.17mの船尾トリムとなっており、船尾ト リムを小さくした状態と比べて復原性の低下とともに、ブルワーク没水角も 小さくなっていたことは、大量の海水が甲板上に流入し、滞留した海水と海 中に没した左舷ブルワークが抵抗となって復原しにくくなったことに関与し た可能性があると考えられる。 ④ 本船は、次のことにより、約1.17mの船尾トリムとなっていた可能性 があると考えられる。 a 漁具の錘等が船尾に偏って積載されていたこと b 船尾端付近のタンクの燃料が消費されずに残っていたこと c 操業の途中で帰航したことから、船首甲板下にある魚倉への漁獲物の 積載量が、操業を終了して帰航する場合と比べて少なかったこと (5) 被害の拡大防止に関する解析 本船のEPIRBは、自動離脱装置がなく、乗組員が船外に持ち出したうえ で、スイッチを入れて遭難信号を発信させるものであり、本事故当時は持ち出 されておらず、その機能が発揮されなかった可能性があると考えられる。遭難 信号を発信していれば、台風接近で捜索が中断された10月26日11時30 分以前の早い段階で膨張式救命いかだが発見され、船長が低体温症により死亡 する前に救助された可能性があると考えられる。 (6) サバイバルファクターに関する解析 本船乗組員が、救助されるまでの約88時間転覆した船内で生存できた要因 として、次のことがあげられる。 ① 本船は、大傾斜したのち、急速に転覆したことから、船内への海水の流 入が少なく、居室と機関室には、約40m3の空気が残っていた可能性があ ると考えられ、居室と機関室の間はプロペラシャフトの貫通部に透き間があ り、この空気を利用することができたものと考えられること ② この空気は、機密性の高い船尾管シール装置によって船内に保持され、 本船乗組員の呼吸及び本船の浮力を維持したものと考えられること ③ 本事故発生場所が水温約26℃の黒潮本流域で、居室内の気温が低下せ ずに保たれたこと、及び本船乗組員が船内の高い場所で海水に濡れるのを避 けて救助を待っていたことにより、本船乗組員の体温が奪われない環境で あったものと考えられること - 39 -