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平成20年4月21日(月)
福井県消費生活センター
(担当;坪田、井上)
電話;0776-22-1102
県庁内線;5333
「家庭における防災対策についてのアンケート調査結果」
および「非常持ち出し袋のテスト結果」について
最近、能登半島地震や新潟県中越沖地震などの大規模な災害が頻発してきており、家庭で
の防災対策が一層重要になってきています。
そこで、北陸三県(富山県、石川県、福井県)の消費生活(支援)センターでは、標記の
調査およびテストを実施しましたので、その結果を次のとおり情報提供します。
記
1 家庭における防災対策についてのアンケート調査結果
(1) 調査期間 平成 19 年 10 月~平成 20 年 1 月
(2) 調査対象 北陸三県の県民 2,495 人
(3) 調査事項
① 家庭における防災対策への意識
② 家庭における防災対策の現況
③ 非常持ち出し袋の入手方法、非常持ち出し品の種類、点検
④ 非常用食料・飲料水の備蓄量
⑤ 家庭や地域における防災知識・活動状況
⑥ アイデア、テスト、行政に望むこと等の意見
(4) 調査結果
別紙1「家庭における防災対策についてのアンケート調査結果(概要)
」のとおり。
2 非常持ち出し袋のテスト結果
(1) テスト期間 平成 19 年 9 月~平成 20 年 2 月
(2) テスト対象 非常持ち出し袋 12 銘柄
(3) テスト事項
① 非常持ち出し袋およびその構成品の仕様、表示等
② 使用性および性能等の実施品目
非常持ち出し袋、非常用食料・飲料水、携帯用浄水器、鍋・コンロ・発熱剤、携
帯ライト(懐中電灯)
、ろうそく、ラジオ、シート類、簡易トイレ
(4) テスト結果
別紙2「非常持ち出し袋のテスト結果(概要)
」のとおり。
- 1 -
別紙1
家庭における防災対策についてのアンケート調査結果(概要)
1 目的
最近、能登半島地震や新潟県中越沖地震などの大規模な災害が頻発してきており、家庭や地域での
防災対策が一層重要になってきている。このため、家庭における防災対策や防災知識、地域活動など
についてアンケート調査を行ったので情報提供する。
2 調査期間および対象者
平成 19 年 10 月~平成 20 年1月 北陸三県の県民 2,495 人
3 調査結果および評価
(1) 家庭における防災対策への意識(地震などの自然災害に対して)
「ほとんど対策をしていない」
、
「対策
をしていない」
を合わせると約8割の人
が家庭での防災対策が不十分であると
の意識であった。
防災対策への意識 回答者:2,495人
無回答
1%
十分している
1%
かなり
している
20%
していない
22%
(2) 家庭における防災対策の現況
何らかの防災対策をしている人(ほと
んどしていない人も含め 1,920 人)
に回
ほとんど
答を求めたところ、
非常持ち出し袋の準
していない
56%
備や非常用の食料・飲料水の備蓄、地震
保険の加入などソフト面の対策は、
2割
から4割、
窓ガラスの飛散防止措置や家
具類の転倒防止措置、建物補強等のハード面の対策は、数パーセントから2割未満であった。
今後、各家庭において、必要な対策を検討し、容易かつ効果的と思われる対策から順次実行し
ていくことが大切と思われる。
家庭での防災対策 回答者:1,920人
%
40
38
(複数回答)
37
30
30
29
27
26
23
21
20
19
10
10
0
非
常
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用
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震
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重
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いに
- 2 -
家
具
具
で
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止
6
等家 を耐専
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性
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て塀 耐家 の
5
窓
措ガ
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い散
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止
2
そ
の
他
(3)非常持ち出し袋および非常用食料・飲料水について
家庭において、非常時に備えておくと良いものの中で、非常持ち出し袋と非常用食料・飲料水に
焦点を当て、具体的なアンケート調査を行った。
ア 非常持ち出し袋の入手方法
もらい物が3割強で、既存のリュック使用が2割であった。ホームセンター、スーパー、デパー
ト等での購入は3割強であった。
イ 非常持ち出し品の種類
非常持ち出し袋に入れている用品は、多い順に懐中電灯、軍手、携帯ラジオ、ティッシュ類、非
常用食料、救急医療セットなどであり、災害時だけでなく、日常生活でも比較的使用頻度が高いと
思われる商品が上位を占めた。
%
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
非常持ち出し品の種類 回答者:728人
86
70
懐
中
電
灯
軍
手
60
携
帯
ラ
ジ
オ
55
テ
ィ
ッ
シ
ュ
類
55
非
常
用
食
料
49
43
救
急
医
療
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ッ
ト
電
池
43
マ
ッ
チ
・
ラ
イ
タ
ー
38
非
常
用
飲
料
水
32
ろ
う
そ
く
25
24
防 衣
着
水 類
、
シ (
靴
ー 上
下
ト 着
等
、
)
下
19
17
ロ
ー
プ
類
カ
イ
ロ
13
11
9
9
7
5
5
3
8
ナ
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フ
類
防
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き
ん
貴
重
品
類
簡
易
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イ
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生
理
用
品
ヘ
ル
メ
ッ
ト
鍋
・
コ
ン
ロ
紙
お
む
つ
そ
の
他
ウ 非常持ち出し品の点検
非常持ち出し品の点検は、定期的には 4 人に1人(24%)しか行っていなかった。
エ 非常用食料および飲料水の備蓄量
国の防災基本計画や県の地域防災計画等では、住民に2~3日分の備蓄を求めている。
今回の調査では、非常用食料や飲料水を備蓄している人(712 人)の4割から5割が 2 日以上の備
蓄をしているとの結果であるが、全体の回答者(2,495 人)から見ると、約1割程度になり、住民
の備蓄量を増やすための周知や工夫が一層必要と思われた。
非常用食料の備蓄量
非常用飲料水の備蓄量
回答者:712人
回答者:712人
無回答
12%
その他
4%
その他
3%
半日分
19%
無回答
7%
4日分以上
9%
半日分
13%
4日分以上
9%
1日分
27%
3日分
15%
1日分
26%
3日分
11%
2日分
26%
2日分
20%
- 3 -
(4) 地震などの自然災害に対して対策をしていない理由
地震など自然災害に対して対策をしていない人の理由の多くは、なんとかなる(4割)や面倒で
ある(2割)など、楽観視している人が多いと思われた。
自然災害に対し て対策をし ていない理由
40
35
30
25
20
15
10
5
0
%
回答者:1,965人
38
31
20
15
14
12
6
な
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と
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9
6
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2
自
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い
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いでが
必用
要意
はし
そ
の
他
(5) 家庭や地域での防災知識や防災活動の状況
避難場所や消火器の使い方を除き、災害用伝言ダイヤル(171)の利用方法や地域での災害時対
応の話し合い、危険場所の把握、災害時要援護者の把握、災害時のボランティア活動の参加など
は 2 割にも満たず、自主防災のため、防災知識や防災活動の啓発が一層必要と思われた。
%
80
家庭や地域での防災知識・活動 回答者:2,495人
75
63
60
40
27
18
20
16
15
13
13
11
11
1
0
災
害
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イ
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方
ル
法
そ
の
他
(6) アイデアやテスト・調査、行政に望むこと等の意見
家庭や地域における防災対策についての意見が 426 件あり、性質別に5つに分類した結果、 「行
政に望むこと」が 259 件と最も多く過半数を占め、
「家庭や地域で実行したいこと」53 件、
「アイデ
ア」22 件、
「テスト・調査希望」18 件の順であった。
防災対策についての意見(性質別)
総件数:426件
300
250
200
150
100
50
0
件
259
53
行
政
に
と
望
む
こ
実家
行庭
しや
と
た地
い域
こで
74
22
18
ア
イ
デ
ア
テ
ス
希ト
望・
調
査
- 4 -
感
想
そ
の
他
ア 「行政に望むこと」の内容
「行政に望むこと」の内容は、非常持ち出し袋・防災用品の斡旋、紹介や地域での防災訓練・
防災講習会の開催、防災知識等の啓発、災害時の適切な情報提供などであった。
イ 「家庭や地域で実行したいこと」の内容
自ら「家庭や地域で実行したいこと(実行が必要と考えている場合を含む)
」の内容は、定期的な
防災訓練や防災講習会・勉強会に参加していきたいとか、その必要性を認識しているなどであり、
行政に頼るだけでなく、自主的に行動しようとする意思を示すものであった。
ウ 「アイデア」の内容
「アイデア」の内容は、非常持ち出し袋等防災用品や地域での防災訓練、防災知識等の啓発等
についてであり、具体的には、
「非常持ち出し袋を持参する避難訓練の実施」とか「水洗トイレ
の水タンクの利用」などであった。
エ 「テスト・調査希望」の内容
「テスト・調査希望」の内容は、非常持ち出し袋等の防災用品のテスト・調査希望がほとん
どであった。北陸三県の消費生活センターでは、同時に非常持ち出し袋のテストを実施してい
るので、今回希望のあった携帯ライト(懐中電灯)やラジオ、シート類等のテスト結果を情報
提供する。なお、今回取り組めなかった項目についても、今後、テストや情報収集などにより、
適切な情報提供に努めていきたい。
4 消費者へのアドバイス
アンケート調査結果および評価から、特に次のことに留意して、家庭や地域での防災対策に積
極的に取り組みましょう。
(1) 災害時に備え、非常持ち出し袋の準備などソフト面の対策から家具類の転倒防止措置や建物の
補強などハード面の対策まで、必要な対策を検討し、できることから順次実行しましょう。
(2) 非常持ち出し品の点検は、災害時にすぐ使用できるよう、少なくとも防災の日など年1回以上
の定期点検を行いましょう。
(3) 非常用食料や飲料水は、2~3日分は備蓄しておきましょう。
(4) 安否確認のための災害用伝言ダイヤル(171)などを災害時にすぐ使用できるよう、電話局など
への問合せやホームページ閲覧等により、利用方法を確認しておきましょう。
(5) 家族で災害時の対応を話し合い、避難場所や連絡先などを決めておくとともに、災害時にがけ
や河川など、危険となる場所を把握しておきましょう。
(6) 地域(町内会等)での防災訓練や防災講習会などに積極的に参加しましょう。
(7) 災害時のボランティア活動に積極的に参加しましょう。
(8) 国や県、市町村等のホームページ、チラシなどで紹介する防災対策をチェックし、自らの防災
意識や防災知識の向上に努め、できることから積極的に取り組みましょう。
- 5 -
別紙2
非常持ち出し袋のテスト結果(概要)
1 目的
災害時の初期の段階で人命を守るために必要とされるものの中に非常持ち出し袋があり、多種多様
な商品が市販されている。そこで、市販されている「非常持ち出し袋」の仕様や使用性テスト等を行い、
消費者が適切な非常持ち出し袋を備えるための情報を提供する。
2 対象品
平成 19 年 9 月から 10 月にかけて、ホームセンター、デパートおよびインターネットで購入した 12
銘柄を対象品とした。
No.1
No.5
No.6
No.7
No.2
No.3
No.4
No.8
No.9
No.10
No.11
No.12
<非常持ち出し袋の構成品一覧>
No
食料・
飲料水
1
2
食器類
カンパン
飲料水
3
4
5
6
9
10
11
12
給水容器
給水容器
カンパン
飲料水
ソフトパ
ン、飲料水
カンパン
飲料水
7
8
調理器具・
水関連用品
カンパン
飲料水
カンパン
飲料水
乾燥米等
飲料水
パン等
飲料水
照明・避難生活用品
携帯ライト、シート類、タオル、軍
手等
携帯ライト、ろうそく、ラジオ、シ
ート類、タオル、軍手等
携帯ライト、ろうそく、シート類、
タオル、軍手等
給水容器、食器類、鍋類、 携帯ライト、ろうそく、シート類等
コンロ
ラジオ付き携帯ライト、シート類等
笛付き携帯ライト、ろうそく、シー
ト類、タオル、軍手等
給水容器、携帯用浄水器、 ラジオ付き携帯ライト、シート類、
食器類、鍋類、コンロ
タオル、軍手等
携帯ライト、ろうそく、ラジオ、シ
給水容器
ート類、軍手等
携帯ライト、ろうそく、シート類、
給水容器
タオル、軍手等
携帯ライト、ラジオ、シート類、軍
給水容器、鍋類、発熱剤 手等
携帯ライト、ろうそく、ラジオ、シ
食器類、鍋類、コンロ
ート類、手袋等
給水容器、携帯用浄水器、 携帯ライト、ろうそく、ラジオ、シ
食器類、発熱剤
ート類、手袋等
給水容器
救急用品
衛生用品・その他
救急絆創膏
マスク、ティッシュ等
救急絆創膏、包
帯、ガーゼ等
救急絆創膏、包
帯、ガーゼ等
救急絆創膏、包
帯、ガーゼ等
簡易トイレ、マスク、
ティッシュ類等
救急絆創膏等
簡易トイレ、ティッシ
ュ類等
救急絆創膏、
ガー
ゼ等
救急絆創膏、
ガー
ゼ、消毒薬等
救急絆創膏、包
帯、ガーゼ等
救急絆創膏、包
帯、ガーゼ等
救急絆創膏、包
帯、ガーゼ等
救急絆創膏、包
帯、ガーゼ等
救急絆創膏、包
帯、ガーゼ等
マスク等
ティッシュ類
マスク、ティッシュ類
等
マスク等
ティッシュ類等
簡易トイレ
コンパクト肌着セッ
ト
簡易トイレ
3 テスト実施期間およびテスト項目
平成 19 年 9 月~平成 20 年 2 月に非常持ち出し袋およびその構成品の仕様・使用性等をテストした。
- 6 -
4 テスト結果および評価
(1) 非常持ち出し袋(セット品)の購入価格等
購入前に入手した情報により、店頭販売、通信販売のいずれでも構成品を確認できた。
購入した 12 銘柄の価格は、4,980 円から 29,400 円の範囲であった。
(2) 非常持ち出し袋の防水性、使用性等
非常持ち出し袋のうち8銘柄が(財)防炎協会認定の製品であった。
防水性では、布自身は問題なかったが、実際に水に3分2ほど浸けると、すべての袋の縫目やフ
ァスナーの金具の隙間などから浸水した。このため、雨天時や浸水時を考慮して、内容物をビニー
ル袋などで包んでおく必要がある。モニターによる使用性テストでは、肩紐が幅広の帯紐であるも
のや袋に少し余裕のある大きさのもの、紐の調節がコキ付(ベルトの長さを調整する器具)のもの、
歩いた時に背中にフィットするものが評価が高かった。
(3) 非常用食料
8銘柄に入っており、賞味期限は購入時から 1~5 年であった。
栄養成分の熱量(339~468kcaℓ)は、一時の空腹を補う程度の
ものであり、備蓄用としては別に準備する必要がある。
(2~3 日
分の備蓄が必要)
<非常用食料>
(4) 非常用飲料水
8銘柄に入っており、すべてペットボトルで、賞味期限は購入
時から 10 ヵ月~5 年であった。容量は 500~1,500mℓが1、2本と
一時しのぎの量であり、別に備蓄用として準備する必要がある。
(1 人1日あたり 3ℓで 2~3 日分の備蓄が必要)
<非常用飲料水>
(5) 給水容器(袋・バケツ)
9銘柄に入っており、飲料水の運搬や一時的に貯蔵するためのもので、使用しない時には折りた
ためるタイプであり、携帯用として便利と思われたが、中には素材の樹脂の臭いが強く、飲料水を
運搬貯蔵するには不向きと思われるものがあった。
(6) 携帯用浄水器
2銘柄に入っていたが、能力的に浄化できる水質が限定される
ため、災害時に利用できる水源を考えると汎用性が低いのではな
いかと思われた。
<携帯用浄水器>
(7) 食器・鍋類
食器類は 5 銘柄に入っており、プラスチック製の箸、フォーク、コップ、皿、おわん類であった。
鍋類は 4 銘柄に入っており、使い捨てのアルミ鍋やアウトドア用品のステンレス鍋であった。
家庭用品品質表示法に基づく表示のないものがあった。非常用で対象外とされているが、使用上
の面から記載が望ましいと思われた。
- 7 <食器類>
<鍋 類>
(8) コンロ・発熱剤
携帯用組立コンロは 3 銘柄に、発熱剤は 2 銘柄に入っていた。
簡易コンロは湯沸かしから簡単な調理まで用途に応じて使用可能
であったが、熱によってコンロのメッキが剥がれたり床面が焦げた
ことから、使用時には周辺に燃えやすいものがないか注意が必要で
あった。発熱剤ではレトルト食品等の温めが可能であった。
<コンロ・発熱剤>
(9) 携帯ライト(懐中電灯)
すべての銘柄に入っていた。携帯ライトの乾電池の中には、使用推奨期限が購入後まもなく切れ
るものがあった。連続点灯試験では、マンガン乾電池使用の場合、消灯までの時間が 35 分から 13
時間 30 分と差があった。手回し発電のみの1銘柄の場合、2 分の充電で消灯までの時間が約 15 分
であった。また、災害時に室内など周囲の状況を確認するのに必要と思われる明るさが不足してい
るものがあった。
(時間)
連続点灯試験での消灯時間
16
14
12
13.5
11.17
10
10
10
8
6.17
6
4.92
2.92
2
0
6
4.17
4
<携帯ライト>
6.25
№1 №2
15 分 35 分
№3 №4 №5
№6 №7
(10) ろうそく
8銘柄に入っていた。ろうそく 1 本の推定燃焼時間は4時
間から 27 時間で、ほとんどが表示燃焼時間を満たしていた。移
動時の灯りには不向きであるが、暗闇の中、ろうそくが周囲を
照らすことで恐怖感が薄らぎ、家族の顔が見えるなどの安堵感
を与えてくれることから、是非必要なものと思われた。
№8 №9 №10
№11 №12
※No.5 は手回し発電
(11) ラジオ
<ろうそく>
7銘柄に入っていた。
ラジオの受信状況は概ね良好だったが、
NHK等主要な放送局の周波数を事前に確認して受信状況を確認しておくことや、避難所での使用
も考え、必ずイヤホンを用意することが必要と思われた。
(12) シート類
敷物用のシートは8銘柄に入っており、その中のブルーシートは、レジャーシートに比べ、2 倍
の厚みがあり、引張り強さや引裂き強度も 2 倍の強度があった。断熱性シートは7銘柄に入ってお
り、アルミ蒸着のポリエステルフィルムが保温性も良く、災害時に毛布などが確保できない時の代
用品として使用可能と思われた。
(13) 救急用品
すべての銘柄に入っていたが、医薬品の販売に許可が必要なため、
商品が限られており、すり傷など小さな傷を想定した商品の組み合わ
せであった。このため、常用薬などを追加配備しておく必要がある。
- 8 -
<救急用品>
(14) 簡易トイレ
4 銘柄に入っており、高分子凝固剤で大量の尿を吸水固化するものと、尿や便を吸水し薬剤によ
って防臭殺菌するものがあった。いずれも既設の和式トイレや洋式トイレにセットでき、処理も簡
単であった。使用後は、可燃ごみとして処分できると表示されていた。
<簡易トイレ製品>
<和式トイレに設置>
<洋式トイレに設置>
(15) マスク
5銘柄に入っていたが、一般的なマスクであり、災害時に粉塵が多い環境で使用できる防塵マス
クはなかった。
(16) その他用品
タオル、手袋、コンパクト肌着等には繊維組成や表示者名の表示がないものがあった。非常用で
あり、家庭用品品質表示法の対象外とされているが、消費者の利便性を考えると、表示することが
望ましいと思われた。
5 消費者へのアドバイス
テスト結果および評価から、特に次のことに留意して、非常持ち出し袋およびその用品の購入や維
持管理を行いましょう。
(1) 非常持ち出し袋の購入時に留意すること
① 非常持ち出し袋は両手が使えるリュックが基本ですが、肩紐が幅広の帯紐であるものや少し余裕
のある大きさのもの、紐の調節がしやすい(コキ付)ものを購入しましょう。
② 非常持ち出し袋のセット品を購入するときは、最小限必要と思われる用品が入っているか確認し
て購入しましょう。
(家で準備できるものは除く。
)
<最小限非常持ち出し袋に入れる用品の例>(国および県等のリストを参考に作成)
①非常用食料②非常用飲料水③携帯ライト(懐中電灯)④予備電池⑤ろうそく⑥ライター・マッ
チ⑦携帯ラジオ⑧万能ナイフ(缶切り等含む)⑨軍手⑩雨具⑪衣類(下着、タオル等)⑫救急用
品(常用薬等追加)
、⑬防災ずきん・ヘルメット⑭貴重品(現金、権利証、健康保険証、印鑑等
(別保管の場合、災害時に直ちにまとめられるようしておく。
)
)⑮その他、家庭の事情で必須の
用品(生理用品、粉ミルク、ほ乳ビン、紙おむつ等) ※ 袋に入りきらない場合、そばに配備。
<入れると便利と思われる用品の例>
簡易給水容器、食器・鍋類、簡易コンロ・発熱剤、シート類、ロープ類、簡易トイレ、ティッシ
ュ類、マスク、使い捨てカイロ、ゴミ袋など
(2) 非常持ち出し袋の維持管理で留意すること
① 非常持ち出し袋の用品が水に濡れないよう、ビニール袋などで包んでおきましょう。
② 多機能携帯ライトやラジオなどは事前に使用して操作に慣れておくことや、通常生活であまり使
用されない簡易コンロ、発熱剤、簡易トイレなどは、事前に取扱説明書を読み、使い方などを調べ
ておきましょう。
③ 非常用食料や飲料水には賞味期限が、携帯ライトやラジオ等で使用する乾電池には使用推奨期限
が、簡易トイレの処理剤には有効期限があります。このような期限や機能が維持されているかなど
を定期的に点検し、取り替え等を行い、災害時にすぐ使用できるようにしておきましょう。
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