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第 8 回 日本文化を解さない者はインテリではない! ? 酒井 IT ビジネス研究所 代表 酒 さか 井 寿 紀 い とし のり うちに、だんだん気持ちが悪くな くて結構です」という意味のこと 日本人の「Yes」、「No」は 返事ではない!? りました。計器が狂って旧ソ連の もありそうです。日本人の「Yes」 、 領空を侵す可能性はないのだろう 「No」をまともに受け取ってはい 昔は、ヨーロッパ出張といえば、 か? 風向きなどのためにヘルシン けないと書いてありました。この アンカレッジ経由の北回りか、イ キまで行き着けないときは、旧ソ 記事の筆者も過去に散々苦労した ンド、アラビア半島経由の南回り 連の北極海沿岸に不時着できるよ のでしょう。欧米人が日本人との でした。ヨーロッパへ行くにはシ うな飛行場があるのだろうか? 読 付き合いにいかに苦労しているか ベリア上空を突っ切るのがもっと んでいるうちにだんだん心配にな を改めて知りました。 も短距離なのですが、旧ソ連は領 り、こんなフライトを選んだこと 空の飛行を認めていませんでした。 を後悔しました。 1983 年に、フィンランド航空が そして、この機内誌は日本就航 われわれがいっしょに仕事をし 初めて、成田−ヘルシンキ間の直 を記念した日本特集号で、日本人 ていた米国の会社の人も、日本の 行便を開設し、短時間を謳い文句 とビジネスをするときの注意事項 会社との付き合い方に大変苦労し にしていたので、乗ってみました。 が微に入り細にわたって記されて ていたようです。あるとき、われ 途 中 で 客 室 乗 務 員 が 、「 こ れ は いました。 「日本の会社を訪問する われの会社に来るなり、開口一番、 “very best Japanese”とは思いませ ときは、名刺とお土産を決して忘 「どうも日本人の考えが分からない んが」と言って、日本人に印刷物 れるな」 、 「日本人のお辞儀には 15 ので、今回来るに当たって、 『ムサ を配りました。妙なことを言うな 度、30 度、45 度の 3 種類あるので シ』 (吉川英治の『宮本武蔵』の英 と思って見ると、それは日本語で 気をつけろ」 、 「日本人に接待され 訳) と『ショーグン』 (ジェームズ・ 書いた「北極通過証明書」でした。 ても、お返しの接待はするな。彼ら クラベルの江戸時代を背景にした フィンランドで印刷したものか、 は信じがたいほど会社の費用を使 小説)を読んできた」と言っていま 確かにその日本語は“very best”と うので、とても対抗することなど した。これらの小説がはたして日 は言えませんでした。その飛行機 できない」というような話が載っ 本人とのビジネスの参考になった のルートは、旧ソ連領空をかすめ ていました。 のでしょうか? その人は、「日本 て、ベーリング海峡から北極海へ そういう話の一つに、 「日本人の 人のどこが分からないかがやっと 抜け、北極の真上を通ってヘルシ 『Yes』 、 『No』は返事と思ってはい 分かってきた。何をどのレベルの ンキへ向かうものでした。 けない」というのがありました。日 人が決めているのかがまったく分 機内誌には、なぜ今まで不可能 本人に話をすると、途中で「Yes、 からない」と言っていました。 だったヨーロッパ直行便が可能に Yes」と言うから分かってくれて 米国の会社では重要なことは上 なったかが詳しく出ていました。 いると思うと、実は単に相槌にす の人が決め、下に指図するのが常 航続距離を延長するために、DC- ぎないことがあるのでしょう。ま 識です。日本のように、上の人が 10 の客席を減らして、その分燃料 た、お詫びをして許しを乞うとき はっきりと指図しなくても、なん タンクを増やし、旧ソ連領空ぎり に、相手に「No!」と言われても、 となく物事がうまく進んでいくや ぎりを飛ぶ飛行ルートを開拓した それは、 「許せません」という意味 り方が理解できないようでした。 のだそうです。これを読んでいる ではなく、 「いいえ、気になさらな 上の人に頼んでも必ずしも問題が 2 「ムサシ」と「ショーグン」 MS TODAY 2007 年 8 月号