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JQA MiX Magazine
No.5
計測器管理システムの構築4
2014 年 12 月
JQA MiX Magazine No.5
1.
計 測 器 の日 常 管 理
計 測 器 は定 期 的 な校 正 や検 証 を行 うことによって、その品 質 が保 証 さ
れますが、その間 は校 正 状 態 を維 持 できるような管 理 方 法 を採 用 しなけれ
ばなりません。そして、場 合 によっては校 正 状 態 が維 持 されていることを確
認 するための使 用 前 点 検 などが必 要 となります。
日常管理
管理者・管理部署
•専門の管理部署で一括管理する
•計測器を使用する部署で管理担当者を決めて管理する
など
保管場所・環境条件
•温度、湿度の管理された部屋に保管する
•試験室に保管する
•所定の設置場所を設けて保管する など
保管方法・日常点検
•持ち出し管理簿などで所在場所を明確にする
•定期メンテナンスをする
•封印シールを貼って校正状態を維持する
•使用前点検をする など
1.1. 取 り扱 い・保 管
計 測 器 の校 正 状 態 を維 持 するために必 要 な取 扱 方 法 、保 管 条 件 があ
れば、これを明 確 にします。
基 本 的 には取 扱 説 明 書 に記 載 された注 意 事 項 を遵 守 し、直 射 日 光 の
当 たる場 所 を避 け、保 管 温 度 、湿 度 、塵 埃 、振 動 ・衝 撃 などに配 慮 しま
す。
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JQA MiX Magazine No.5
計 測 器 によっては、常 に電 源 を入 れておく、あるいは定 期 的 に使 用 する
ことで性 能 が維 持 されるものもあります。社 内 標 準 として使 用 せず大 切 に
保 管 していて、計 測 器 の外 見 は新 品 同 様 に維 持 しているが、いざ使 用 しよ
うとした時 に電 源 を入 れても動 作 しないなどという話 を聞 くことがあります。
計 測 器 を使 用 したい時 に使 用 できる状 態 に維 持 することが計 測 器 を保 管
するということです。
また、場 合 によっては、環 境 状 態 が保 たれていることを確 認 するための
手 順 を定 めておくことも必 要 です。
例 えば、温 度 および湿 度 を一 定 に維 持 して保 管 することが必 要 な場 合
には、自 記 式 温 湿 度 計 を使 用 して 24 時 間 連 続 して温 度 と湿 度 の記 録 をと
って監 視 すれば、規 定 された保 管 条 件 が維 持 されていることの証 拠 となり
ます。
温 度 ・湿 度
チェック!
JQ A
【図 1.1 環 境 状 態 の確 認 】
使 用 者 が特 定 されている計 測 器 の場 合 は、その使 用 者 以 外 の者 によっ
て意 図 しない使 用 をされることのないように保 管 するか、使 用 者 が特 定 され
ていることを計 測 器 などに表 示 します。建 物 や特 定 の場 所 への立 ち入 りを
制 限 することや、保 管 場 所 を施 錠 することも有 効 な手 段 です。
通 常 の保 管 場 所 から計 測 器 を移 動 する必 要 がある場 合 は、その取 り扱
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いの手 順 を定 めます。例 えば、機 器 の持 ち出 し管 理 簿 などを使 用 して計
測 器 の現 在 の所 在 を明 確 にします。
計 測 器 がその管 理 下 から離 れた場 合 は、その計 測 器 が戻 ってきた時 、
離 れる前 の機 能 と校 正 状 態 が保 たれていることを確 認 します。
表 1.1 計 測 器 の保 管
必 要 な管 理
処 置 例
温 度 、湿 度 、粉 塵 など
・
温 度 、湿 度 の管 理 された保 管 室 を用 意
の環 境
・
クリーンルームに保 管
使 用 者 を限 定
・
保 管 室 に施 錠
・
機 器 に使 用 者 名 を明 記
・
設 置 場 所 への立 ち入 りを制 限
・
保 管 室 から持 ち出 す時 、管 理 者 の許 可 を得 る
・
機 器 を外 部 機 関 へ校 正 に出 す場 合 、出 す前 と戻 ってき
計 測 器 の移 動
た後 で異 常 がないことを確 認
計 測 器 の保 管 方 法 を厳 格 にすればするほど作 業 効 率 が低 下 することに
なりますので、作 業 効 率 と予 測 できるリスクを考 慮 して保 管 する手 順 を定 め
ます。
1.2. 校 正 状 態 の保 護
計 測 器 を校 正 または検 証 してから次 回 の校 正 までの間 、校 正 した状 態
が維 持 できるように対 策 を立 てます。
計 測 器 によっては、調 整 用 のつまみがついていたり、測 定 値 に関 わる設
定 値 を変 更 できるようにプログラミングされたソフトウェアを備 えていたりしま
すが、誤 ってソフトウェアを操 作 し、内 部 設 定 値 を変 更 してしまうということ
がないように必 要 に応 じて保 護 の処 置 をとります。
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校 正 状 態 を維 持 させるための保 護 策 には次 のような方 法 があります。

調整可能な部分を封印する

封印シールをはがさないとケースを開けられないようにする

調整つまみをペイントロックなどで固定する

アクセスパスワードを設定する

設定値を明記する

注意書きをする

施錠する
封 印 シールなどが剥 離 した場 合 は、その状 況 に応 じて調 整 、校 正 また
は点 検 をして、校 正 状 態 が維 持 されていることを確 認 します。メンテナンス
業 者 などが調 整 のために封 印 を解 く場 合 は、調 整 前 にその状 態 を検 証 ・
記 録 し、調 整 後 に再 度 検 証 ・記 録 した後 、再 封 印 します。
容 易 に調 整 できない構 造 となっている計 測 器 や意 図 しない設 定 変 更 が
されない状 態 であれば、必 ずしも特 別 な対 策 を講 ずる必 要 はありません。
感 度 設 定 :1.23
0.0000 mV
【図 1.2 設 定 値 の明 記 】
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1.3. 使 用 前 点 検
この点 検 は使 用 前 に、あるいは必 要 が生 じた場 合 に、校 正 状 態 が維 持
されていることを確 認 する目 的 で行 うもので、定 期 的 に実 施 する校 正 や中
間 チェックとは異 なります。
使 用 前 点 検 は簡 単 であることが望 ましいことから、点 検 で使 用 する標 準
器 は、精 度 が高 く操 作 が難 しい社 内 標 準 などの上 位 標 準 器 ではなく使 用
前 点 検 専 用 の計 測 器 などが用 いられることが多 いようです。
使 用 前 点 検 の項 目 は、外 観 や基 本 的 な動 作 確 認 とともに、特 性 の分 か
っている点 検 用 計 測 器 などを用 いて、点 検 する計 測 器 の能 力 が管 理 基 準
の範 囲 内 であることを確 認 するなどの方 法 をとります。
表 1.3-1 使 用 前 点 検 の例
計測器
点 検 に使 用 する機 器 など
定 規 、ノギス、マイクロメータ
ブロックゲージ
はかり、天 秤
分銅
電 圧 計 、抵 抗 計
キャリブレータ、抵 抗
力 計 測 器 、一 軸 試 験 機
分 銅 、力 計
サウンドレベルメータ
音響校正器
振 動 計 、振 動 ピックアップ
校正用加振器
製 品 の合 否 判 定 を行 う自 動 判 別 装 置 などを使 用 前 点 検 する場 合 は、
規 格 品 (合 格 品 )と規 格 外 品 (不 合 格 品 )の2つの標 準 サンプルを用 意 し、
合 格 品 が合 格 するか、不 合 格 品 が不 合 格 になるかどうかを確 認 することも
有 効 な手 段 です。
ここで忘 れてはならないことは、点 検 用 計 測 器 も管 理 の対 象 となる計 測
器 の一 つであるということです。
使 用 前 点 検 の合 否 判 定 は、点 検 用 計 測 器 の持 つ能 力 と校 正 の不 確 か
さなどを考 慮 して設 定 し、この設 定 値 を超 えた場 合 は測 定 を中 止 して原 因
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究 明 をします。
一 例 として、外 側 マイクロメータ(0~25mm)を使 用 して長 さ測 定 をする
際 の使 用 前 点 検 記 録 を示 します。この使 用 前 点 検 には、点 検 用 標 準 とし
てブロックゲージ(25 mm)を使 用 します。
表 1.3-2 外 側 マイクロメータ 使 用 前 点 検 記 録 例
年月日
2006/12/6
2006/12/7
2006/12/8
点検者
計量太郎
品質二郎
計量太郎
20.2 ℃
20.1 ℃
20.2 ℃
55 %
55 %
55 %
無
無
無
良
良
良
良
良
良
0
0
+1
合
合
合
環境条件
(室 温 、湿 度 )
測 定 面 の損 傷
(有 ・無 )
スピンドルやラチェットの動 作 確 認
点 検
(良 ・不 良 )
基 点 の点 検
(良 ・不 良 )
器 差 [m] 点 検 位 置 :25 mm
(±4 μm 以 内 )
合否判定
特記事項
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2.
校 正 周 期 の決 定 1
2.1. 損 失 関 数 について
企 業 における計 測 管 理 の目 的 は、第 一 に生 産 性 の向 上 が挙 げられま
す。生 産 性 の向 上 とは、製 品 の品 質 を向 上 させ、かつそれにかかるコストを
低 減 させるということです。
品 質 工 学 では、品 質 の良 し悪 しを定 量 化 するのに「損 失 関 数 」という考
え方 を用 います。製 品 特 性 の目 標 値 を m とし、実 際 の値 を y とすると、目 標
値 からのズレは(y-m)となります。このときの製 品 1 個 あたりの損 失 の大 きさ
を L とし、次 式 で表 します。
L  k  y  m
2
(E1)
ここで k は比 例 定 数 で、この値 は製 品 の特 性 値 y がある値 をとったときの
損 失 が分 かれば決 定 されます。例 えば製 品 の機 能 限 界 Δ 0 となったときの
損 失 A 0 や、許 容 差 Δ となったときの損 失 A から次 式 のように求 めます。
k
A0
0
2

A
2
(E2)
この損 失 関 数 をグラフにすると【図 2.1-1】のようになります。
損失
L
A0
A
m   0  m  
m   m   0 
m
【図 2.1-1 損 失 関 数 】
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特性値 y
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つまり、この考 え方 によると、製 品 が許 容 値 以 内 で作 られていたとしても、
その目 標 値 からのズレがあれば損 失 が発 生 してしまい、損 失 の大 きさはズ
レの二 乗 に比 例 するということです。
これは、製 品 が許 容 値 以 内 であれば合 格 であり、損 失 はないとする考 え
方 とはまったく異 なります。
例)
ある製 品 の外 形 寸 法 とその許 容 差 が 100.00 mm±0.02 mm と決 められて
います。許 容 差 を超 えると製 品 を破 棄 し、そのことによる損 失 は製 品 1 個
当 たり 500 円 としますと、
Δ = 0.02 mm
A = 500 円 /個
となります。
実 際 の製 品 を測 定 したところ、外 径 寸 法 y は 100.01 mm でした。
このとき、製 品 1 個 あたりの損 失 L は
L  k  y  m 
2
500
2
 100.01  100.00  125
2
0.02
[円 /個 ]
となります。
また、式 (E1)において(y-m) 2 は個 々の製 品 の特 性 値 の目 標 値 m から
の偏 差 の二 乗 ですが、製 造 された製 品 の集 団 について考 える場 合 には、
目 標 値 からの偏 差 の二 乗 平 均 、すなわち、分 散 σ 2 が用 いられ、損 失 関 数
は以 下 のようになります。
L  k  2 
A 2

2
(E3)
この L を品 質 損 失 といいます。
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【図 2.1-2】はある製 品 を製 造 したときの特 性 値 の分 布 を表 した例 です。
A は目 標 値 に近 づけるように工 程 管 理 (オンライン計 測 管 理 など)をした
場 合 であり、その特 性 分 布 は目 標 値 付 近 に集 積 しています。
一 方 B は工 程 のばらつきを制 御 しないで、製 品 特 性 値 をチェックして許
容 範 囲 を外 れたものを除 くという管 理 を行 った場 合 で、許 容 差 内 でほぼ一
様 (均 一 )に分 布 しています。
許 容 範 囲 以 内 かどうかだけで考 えると、どちらの分 布 であっても問 題 な
いのですが、損 失 関 数 を考 慮 すると、同 じ許 容 値 以 内 の製 品 を作 ってい
ても、その特 性 値 の分 布 が異 なり、品 質 損 失 の大 きさに違 いがあります。
A:品 質 損 失 が 小 さ い
B:品 質 損 失 が 大 き い
不合格範囲
不合格範囲
発生確率
目標値
特性値
許容範囲(合格範囲)
【図 2.1-2 製 品 特 性 値 と発 生 確 率 】
この品 質 損 失 の原 因 には 2 つのばらつきが含 まれています。それは「工
程 のばらつき」と「測 定 のばらつき」です。
「工 程 のばらつき」は工 程 能 力 とも呼 ばれ、生 産 工 程 の不 完 全 さに基 づ
くものです。
一 方 、「測 定 のばらつき」は工 程 を管 理 するときに行 う測 定 の不 確 かさに
基 づくものです。たとえ生 産 工 程 が完 全 であっても測 定 結 果 にばらつきが
あれば、それが製 品 のばらつきになって現 れてしまいます。
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例)
前 例 同 様 、製 品 の外 径 寸 法 と許 容 差 が 100.00 mm±0.02 mm、許 容 差
を超 えたことによる損 失 が製 品 1 個 当 たり 500 円 とします。
この製 品 の測 定 に A 社 と B 社 のダイヤルゲージを使 用 したところ、A 社
のダイヤルゲージで測 定 した際 の誤 差 分 散 σ A 2 が(0.010 mm) 2 、 B 社 のダ
イヤルゲージで測 定 した際 の誤 差 分 散 σ B 2 が(0.006 mm) 2 でした。
計 測 誤 差 による製 品 1 個 あたりの損 失 L A および L B は
(A 社 )
LA  k   A 
500
2
 0.010  125
2
0.02
(B 社 )
LB  k   B 
500
2
 0.006  45
2
0.02
2
2
[円 /個 ]
[円 /個 ]
となり、両 者 の差 は製 品 1 個 当 たり
125 – 45 = 80
[円 /個 ]
となります。
もしこれらのダイヤルゲージを用 いて 1 年 間 に 1 万 個 の製 品 を測 定 して
いるとすると、その差 は
80×10,000= 800,000
[円 /年 ]
になります。
次 に品 質 損 失 を小 さくするためのコストについて考 えます。
製 品 の特 性 値 は、工 程 および測 定 のばらつきがあり、このばらつきを小
さくすることが損 失 を小 さくすることにつながります。ばらつきを小 さくするた
めにはそれ相 応 のコストがかかります。
ばらつきをある範 囲 内 σ 2 にするためのコストが製 品 1 個 当 たり b 円 であ
るとすれば、製 品 1 個 当 たりの品 質 損 失 とコストの和 である総 損 失 L T は次
式 のようになります。
LT 
A 2
 b
2
(E4)
つまり計 測 管 理 の目 的 である生 産 性 の向 上 を達 成 するためには、この
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総 損 失 L T が最 も小 さくなるように品 質 (製 品 のばらつき)とそれを実 現 する
ためのコストのバランスをとることが必 要 なのです。
2.2. 校 正 周 期 の決 定 方 法 (参 考 JIS Z 9090:1991)
計 測 器 の校 正 にかかるコストを B 円 とし、その計 測 器 を製 品 n 0 個 の測 定
ごとに校 正 するのであれば、製 品 1 個 あたりの校 正 コストは以 下 のようにな
ります。
校 正 コスト 
B
n0
[円 /個 ]
(E5)
計 測 器 を校 正 して修 正 が必 要 になった場 合 、その修 正 にかかるコストを
C 円 とすると、製 品 u 0 個 の測 定 ごとに修 正 しているのであれば、製 品 1 個
あたりの修 正 コストは以 下 のようになります。
修 正 コスト 
C
u0
[円 /個 ]
(E6)
一 方 、測 定 のばらつきによる損 失 は式 (E3)で表 すことができます。
計 測 器 を校 正 して、校 正 結 果 が修 正 限 界 D 0 内 にある場 合 、ばらつきは
修 正 限 界 に一 様 に分 布 していると考 えられるため、分 散 は D 0 2 /3 となり、損
失 は以 下 のようになります。
A D
修 正 限 界 内 の測 定 のばらつきによる損 失  2  0
3

2
(E7)
また、計 測 器 の校 正 結 果 が修 正 限 界 外 の場 合 、ばらつきは D 0 より大 き
いのですが、校 正 周 期 が適 切 であれば、ほぼ D 0 とみなすことができます。
前 回 の校 正 で修 正 限 界 内 にあり、今 回 の校 正 で修 正 限 界 外 になったとす
れば、修 正 限 界 外 の計 測 器 で測 定 した製 品 の個 数 は平 均 をとって n 0 /2 と
考 えることができ、修 正 間 隔 の製 品 1 個 あたりの損 失 は以 下 のようになりま
す。
修 正 限 界 外 の測 定 のばらつきによる損 失 
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A n 0 D0
 
2 2 u 0
2
(E8)
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以 上 より、校 正 による総 損 失 L は
2
2
n D 
B C
A D
(E9)

 2  0  0  0 
n0 u 0   3
2 u0 
となり、この損 失 を最 小 にするように校 正 周 期 および修 正 限 界 を決 定 すれ
L
ば良 いわけです。
例)
ある工 場 で乾 電 池 を生 産 しています。
乾 電 池 が規 格 の通 りにできているか、直 流 電 圧 計 を使 用 して電 圧 測 定
をすると考 えると、この直 流 電 圧 計 は校 正 されていなければなりません。こ
の直 流 電 圧 計 の校 正 周 期 を手 順 に基 づいて求 めることにします。
乾 電 池 の規 格 では、電 圧 が±5 %(=Δ)の許 容 差 に入 らなければなら
ず、許 容 差 を超 えてしまうと廃 棄 処 分 となります。この時 、廃 棄 処 分 費 がか
かることになり、1 個 あたり 100 円 (=A)です。これを不 合 格 損 失 と呼 びま
す。
現 在 の校 正 周 期 が 1 年 (12 ヶ月 )で、月 産 5,000 個 とすると、測 定 に使
用 する直 流 電 圧 計 は、60,000 個 (=n 0 )ごとに校 正 していることになります。
校 正 は外 部 に依 頼 しており、その校 正 のコストは 100,000 円 (=B)としま
す。
現 在 決 められている直 流 電 圧 計 の調 整 の限 界 は±1 %(=D 0 )で、3 年 に
1 回 定 期 的 に調 整 すると決 めています。生 産 個 数 で表 すと
5,000[個 ]×36[ヶ月 ]=180,000[個 ](=u 0 )となります。
また、調 整 はメーカで行 われ、その費 用 は 150,000 円 (=C)です。
最 適 な校 正 の間 隔 n 個 は、以 下 の式 により求 められます。
n
2u 0 B 


A
D0
2  180000  100000 5
  94868 [個 ]
100
1
月 産 5,000 個 なので 18.97 ヶ月 が得 られます。これは、現 在 の校 正 周 期
12 ヶ月 を上 回 っており妥 当 と考 えられます。
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効 率 を考 えるのであれば、校 正 の間 隔 を 18 ヶ月 まで延 ばすことが可 能
です。
また、最 適 な調 整 の限 界 D %及 び最 適 な調 整 の間 隔 u 個 は、以 下 の
式 により求 められます。
1
1
 3C D0 2
 4  3  150000
4
12
D  

 2   

 5 2   0.8891 [%]
u0
180000
 100

 A

これは、現 在 の 1 %を下 回 っており、見 直 しが必 要 ということになります。
ここでは、管 理 上 中 途 半 端 な数 値 を嫌 いますので、0.8 %とすると、
u
D2
D0
2
u0 
0 .8 2
 180000  115200
12
[個 ]
となりました。
月 産 5,000 個 なので、23.04 ヶ月 が得 られます。これも、現 在 の 36 ヶ月 を
下 回 っていますので、見 直 しが必 要 ということになります。
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JQA MiX Magazine 第 5 号
2014 年 12 月
作成
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