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マケドニア旧ユーゴスラビア共和国
森林火災危機管理能力向上
プロジェクト
中間レビュー調査報告書
平成24年12月
（2013年）
独立行政法人国際協力機構
地球環境部
環境
JR
12-227
マケドニア旧ユーゴスラビア共和国
森林火災危機管理能力向上
プロジェクト
中間レビュー調査報告書
平成24年12月
（2013年）
独立行政法人国際協力機構
地球環境部
目
次
目次
地図
写真
略語表
要約表
レビュー調査の概要............................................................................................ 1
第１章
１－１
調査の背景 ...................................................................................................... 1
１－２
調査目的 .......................................................................................................... 1
１－３
調査団構成 ...................................................................................................... 2
１－４
調査日程 .......................................................................................................... 2
レビューの方法 ................................................................................................... 4
第２章
２－１
調査の流れ ...................................................................................................... 4
２－２
調査項目 .......................................................................................................... 4
２－２－１
プロジェクトの実績の確認................................................................... 4
２－２－２
実施プロセスの検証 ............................................................................. 4
２－２－３
レビュー項目ごとの分析 ...................................................................... 4
２－３
情報収集・入手手段 ........................................................................................ 5
２－４
レビュー用 PDM（PDME）の作成 ................................................................ 5
プロジェクトの実績............................................................................................ 6
第３章
投入の実績 ...................................................................................................... 6
３－１
３－１－１
マケドニア側 ........................................................................................ 6
３－１－２
日本側 ................................................................................................... 6
３－２
アウトプットの実績 ........................................................................................ 6
３－３
プロジェクト目標の実績 ............................................................................... 10
３－４
実施プロセスの特記事項 ............................................................................... 10
３－４－１
活動の進捗.......................................................................................... 10
３－４－２
実施体制 ............................................................................................. 13
３－４－３
プロジェクト管理 ............................................................................... 13
３－４－４
内部コミュニケーション .................................................................... 13
３－４－５
現地関連機関との連携 ........................................................................ 13
３－４－６
実施プロセスに影響を与えたその他の要因........................................ 13
第４章
評価 5 項目に沿ったレビュー結果 .................................................................... 14
４－１
妥当性：プロジェクトは現在でも妥当である。 ........................................... 14
４－２
有効性（予測）
：プロジェクトの有効性は確保されると思われる。 ............. 14
４－３
効率性：プロジェクトはおおむね効率的に実施されてきた。 ...................... 15
４－４
インパクト：CMC と関連機関の連携・協力が強化された。 ....................... 17
４－４－１
上位目標レベルのインパクト ............................................................. 17
４－４－２
その他のインパクト ........................................................................... 18
４－５
持続性（見込み)：プロジェクトの持続性は確保されると予想される。 ...... 18
第５章
結論................................................................................................................... 20
第６章
提言................................................................................................................... 21
６－１
事業の適切な実施に向けての提言................................................................. 21
６－２
事業終了後の持続性に向けての提言
付属資料
付属資料 1
プロジェクトの評価と提言 ........................................................................ 27
付属資料 2
合同評価報告書 .......................................................................................... 43
付属資料 3
PDME の主な変更箇所及びその理由 ......................................................... 69
付属資料 4-1 投入実績 ..................................................................................................... 87
付属資料 4-2 投入実績機材 .............................................................................................. 89
地
図
プロジェクト対象地域
写
ブルガリアとの国境沿いの森林火災跡地
この際の消火活動は両国の連携で行われた。
真
国道沿いの森林火災跡地
松の植林地で広がるのが早いため大面
積が被災
プロジェクトで調達した自動気象観測装置
Hydro-met（気象局）気象観測室
CMC オペレーションチーム
CP との協議の様子
略
略
語
語
表
和
正式名称
名
AWS
Automatic Weather Station
自動気象観測装置
CMC
Crisis Management Center
危機管理センター
CMS
Crisis Management System
危機管理システム
C/P
Counterpart Personnel
カウンターパート
DPR
Directorate for Protection and Rescue
保護・救助局
EC
European Commission
欧州委員会
EU
European Union
欧州連合
GIS
Geographic Information System
地理情報システム
FWI
Fire Weather Index
ファイヤー・ウェザー・イン
デックス
Hydro-met
Hydro Meteorological Service
水文気象局
JCC
Joint Coordinating Committee
合同調整委員会
JICA
Japan International Cooperation Agency
国際協力機構
LCM
Law on Crisis Management
危機管理法
M/M
Minutes of Meeting
協議議事録
MAFWE
Ministry of Agriculture, Forestry and
農業・森林・水経済省
Water Economy
Macedonian Forest Fire Information
マケドニア森林火災情報シ
System
ステム
NGO
Non-Governmental Organization
非政府開発援助
ODA
Official Development Assistance
政府開発援助
O&M
Operations and Maintenance
運用管理
OJT
On-the-Job Training
オンザジョブ・トレーニング
PDM
Project Design Matrix
プロジェクト・デザイン・マ
MKFFIS
トリックス
PDME
Project Design Matrix for Evaluation
評価用プロジェクト・デザイ
ン・マトリックス
PEMF
Public Enterprise Macedonian Forests
マケドニア森林公社
PO
Plan of Operations
活動計画
RCMC
Regional Crisis Management Center
危機管理センター地方支部
R/D
Record of Discussion
討議議事録
TCGM
Technical Coordination Group Meeting
技術調整グループ会議
UNDP
United Nations Development
Programme
国連開発計画
評価調査結果要約表
１. 案件の概要
国名：マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 案件名：森林火災危機管理能力向上プロジェクト
分野：自然環境保全
援助形態：技術協力プロジェクト
所轄部署：地球環境部
協力金額（評価時点）：2 億 9,200 万円（JICA 予
森林・自然環境保全第二課
算ベース）
2011 年 5 月 10 日～2014 年 5 月 9 先方関係機関：危機管理センター（CMC）
日
協力期間
日本側協力機関：農林水産省 林野庁
他の関連協力：東京大学 生産技術研究所
１－１ 協力の背景と概要
近年、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国（以下、
「マケドニア」と記す）を含むバルカン
半島地域全体では、森林火災の発生率が高く、その被害が深刻な問題となっている。マケド
ニアにおいては、国土面積の約 38％を森林地帯が占めるが、過去 10 年間で森林火災の発生
件数は約 2,400 件、延焼森林面積は約 9 万 6,000ha、被害総額は約 60 億円に及ぶと推計され
ている。特に 2007 年には大規模な森林火災が発生し、14 日間にわたり国家緊急事態宣言が
発せられる事態であった。
このような状況の中、マケドニア政府は、2005 年に「危機管理法（LCM）」を制定・施行
し、森林火災を含むあらゆる国家的脅威の予防、早期警戒、及び関係機関の調整に基づく効
果的な対処を目指す国家的な仕組みとして、「危機管理システム（CMS）」を定めた。CMS
には、全ての中央省庁、議会、援護・救助部門、地方政府、国営企業、マケドニア赤十字、
非政府組織（NGO）、メディア、一般市民等の幅広い関係者の参加が規定されている。
この CMS の意思決定機関の実務を担う独立した行政機構として、同じく 2005 年に CMC
が設立された。CMC の役割は、あらゆるリスク・脅威に係わる情報蓄積と分析を行い、関係
各機関との連携・調整を図ることである。森林火災の予防・早期警戒を適切に行うには、森
林火災に関する情報が CMC で一元管理され、その情報に基づく分析結果及び提言が CMC か
ら CMS の意思決定機関に報告されることが必要である。また、大規模森林火災の勃発時に
は、迅速に CMS 傘下の関係機関や国民に指示が出され、調整のとれた対応が実施されるこ
とが想定される。
しかし、CMC は、情報の収集・蓄積・分析の能力、さらにそれらの情報を所有または利用
する関係各機関の連携を図る調整能力の双方に課題がある。特に情報収集・蓄積の中核とな
るべき CMC の地理情報システム（GIS）について、地図情報の入力欠如、ライセンス数の不
足による入力可能量の制限、ユーザーである CMC 職員の GIS 利用に関する能力の不足など
整備が必要な状況である。さらに、森林火災に関する様々な情報・データは複数の関係機関
が個別に保有しており、CMC に情報が集まる体制が確立されていないという連携不足から来
る情報の未整備も問題となっている。
このような背景の下、2009 年 8 月にマケドニア政府から、CMC の森林火災の予防・早期警
戒に係る能力向上を目的とした本技術プロジェクトの要請がなされた。JICA は 2010 年 7 月
に詳細計画策定調査を実施し案件内容を協議した後、2011 年 1 月 27 日にマケドニア政府と
討議議事録（R/D）を締結した。
１－２協力内容
(1) プロジェクト目標：CMC の森林火災の予防・早期警戒について国内の関係者に情
報を発信し、関係者間の調整を図る能力が強化される
(2) アウトプット
① 森林火災についての国家的なリスク・アセスメントのシステムが構築される。
② 森林火災の予防・早期警戒に係る国内の関係者間で情報共有・連携を図る国家的な
調整の仕組みが強化される
(3）投入（評価時点）
相手国側：
プロジェクト・ 管理スタッフ：2 名
スタッフ
技術スタッフ：8 名
日本側：
専門家
研修員受入れ
長期専門家 2 名
短期専門家 7 名
3名
２. 評価調査団の概要
調査者
分野
総括
氏名
高田宏仁
ローカル・コスト
必要な予算が措置
された
機材供与：
4,750 万円
在外事業強化費：
1,000 万円
（2012 年 9 月時点）
職位
JICA 地球環境部
保全第二課長
JICA 地球環境部
保全第二課
森林・自然環境
協力企画
深澤晋作
森林火災対策
岡本一孝
林野庁海外林業協力室
評価分析
広内
㈱国際開発アソシエイツ
ント・エキスパート
マケドニア側評価
員
Ms. Sofche
Krstikj
靖世
森林・自然環境
パーマネ
Secretariat for European Affairs
調査期間 2012 年 10 月 29 日〜2012 年 11 月 16 日
評価種類：中間レビュー
３.評価結果の概要
３－１ 実績の確認
３－１－１アウトプットの実績
(1) アウトプット 1：アウトプット１は部分的に産出されているが、統合 GIS のコンテン
ツが拡大した影響を受け、計画より数カ月遅れている。統合 GIS の第 1 版は 2013 年 2
月までに完成する見込みである。森林火災リスク・アセスメントに必要なすべてのデ
ータは、2013 年 2 月までに事前に定められた時間/空間分解能で統合 GIS に格納される。
また、4 種類の森林火災リスク・アセスメント・ツール (ホット・スポット・マップ、
植生乾燥度マップ、森林植生マップ、火災履歴マップ) の作成・統合 GIS への格納は、
2013 年 2 月までに完了する見込みである。なお、統合 GIS の森林火災リスク・アセス
メント・ツールに含まれる情報は、2013 年 4 月までに、主要利用機関〔マケドニア森
林公社（PEMF）、農業・森林・水経済省（MAFWE）、保護救助局（DPR）〕に対し、事
前に合意したアクセス権に応じて、提供が開始される予定である。また、統合 GIS の
情報の一部は、CMC のサイト上で公開され、他の関連機関にも利用可能になる予定で
ある
(2) アウトプット 2：アウトプット 2 はほとんど進捗していない。主に日本側・マケドニ
ア側双方がアウトプット１下の統合 GIS のコンテンツ拡大への対処に忙殺されていた
こと、一部の活動が統合 GIS の運用開始（2013 年 4 月）以降に延期されたことによる。
３－１－２ プロジェクト目標の実績
関連データは入手できなかった。
３－２ 評価結果の要約
３－２－１ 妥当性
プロジェクトは現在でも妥当であるといえる。
プロジェクト目標は現在でもマケドニア国のニーズに合致しており、ターゲット・グル
ープ/実施機関である CMC の組織ニーズと一致している。またマケドニアの国家政策及び
日本の政府開発援助（ODA）政策とも整合性がある。日本の技術優位性も確認された。
３－２－２ 有効性（予測）
プロジェクトの有効性は確保されると思われる。
プロジェクト目標の達成状況は、アウトプットの達成状況から判断すると、計画より遅
れていると思われるが、マケドニア側・日本側の継続的努力によりプロジェクト終了まで
には達成されると期待される。すべてのアウトプットは、程度の差はあるが、プロジェク
ト目標の達成に貢献すると思われる。
３－２－３ 効率性
プロジェクはおおむね効率的に実施されてきた。
統合 GIS のコンテンツ・機能が当初計画より拡張されたことにより、アウトプットの産
出状況は計画より遅れている。投入は、タイミング、質、量の面で、おおむね適切であり、
アウトプットの産出に貢献しているが、統合 GIS のコンテンツの拡張に見合った専門家投
入及びプロジェクト・スタッフの配置がなされていれば、より効率的であった。
３－２－４ インパクト
技術調整グループ（TCG）における情報共有・協議を通して、CMC と森林火災防止・
早期警戒の関連機関の連携・協力が強化された。負のインパクトは確認されておらず、予
測されない。
３－２－５ 持続性（見込み）
プロジェクトの持続性は確保されると見込まれる。
制度・組織面：森林火災の早期警戒・防止に係る政策・法的支援は継続するとみられる。
プロジェクトを通して強化された CMC と関連機関の協力的関係は継続するとみられ
る。また、プロジェクを通して、統合 GIS のマケドニアの法的枠組みへの適合に必要
な政府手続きの改正案が作成され、当局に対して提出されることになっており、ポス
ト・プロジェクトにおける技術レベルの定期的調整会議の正式化もプロジェクト活動に
含まれている。
財政面：CMC は、これまでのところ、データ通信費を含む必要な予算を措置している。
また、統合 GIS 及び情報技術（IT）機器の保証期間終了後の保守管理についても、必
要な予算を措置すると言明している。統合 GIS の利用/データ入力のために機材が供与
された関連機関〔PEMF、 MAFWE、DPR、水門気象局（Hydro-met）〕については、2012
年 5 月に CMC と各機関の代表により調印された「協力及び技術機材の所有権の移管に
関する覚書」によれば、各機関は、機材の保証期間終了とともに「メーカーの技術的取
扱説明書及び基準に従って機材を保守管理する義務を負う」ことになっている。各機関
とも、覚書に従い、保証期間終了後の保守管理に必要な予算を確保することが見込まれ
る。
技術面：CMC のプロジェクト・スタッフ及び関連機関の職員は既に高い能力を有して
おり、プロジェクトによる技術移転を通して、関連活動の継続に十分な技能・知識を備
えることができる。これまでに移転された技術・手法及び成果品は現地の技術ニーズ・
技術レベルに適合したものである。マケドニア側の高い期待を考慮にいれると、移転技
術/手法及び成果品は、プロジェクト終了後も、継続的に活用されると見込まれる。
３－３ 効果発現に貢献した要因
３－３－１ 計画内容に関すること
特になし
３－３－２ 実施プロセスに関すること
プロジェクトは TCG メンバーとの緊密な連携のもと行われた。
３－４ 問題点及び問題を惹起した要因
３－４－１ 計画内容に関すること
本件のプロジェクト・デザイン・マトリックス（PDM）及び活動計画（PO）はプ
ロジェクト管理のツールとしては十分に詳細ではない。例えば「リスク」「統合
GIS」「国家森林火災リスクシステム」「国家調整メカニズム」等のキー・ワード
が明確に定義されていない。一部の活動の表現があいまいで、多くの指標は定義
が不十分であり、客観的な検証が不可能である。また、PO については、計画・
進捗管理に必要な情報（詳細活動ごとの「期待される結果」「実施者」、専門家の
配置を含む「日本側の投入」等）が記されていない。このことは、特に実施機関
内の関係部署が複数にわたる本件において、プロジェクト関係者が、プロジェク
トの全体的な実施プロセスと各部署の具体的役割、活動の進捗状況、アウトプッ
トやプロジェクト目標の正確な達成度について、明確かつ共通の理解をもつこと
を困難にしてきた。
３－４－２ 実施プロセスに関すること
上記の PDM と PO の課題は、モニタリングの過程で見過ごされてきた。さらに、
プロジェクトの活動の一部の内容/スコープが当初計画から変更になったが、PDM
や PO に反映されなかった。
３－５ 提言
３－５－１ 事業の適切な実施に向けての提言
（1） PDM の変更
残りのプロジェクト期間に向けて別添の PDM 案及び PO 案を参考に TCGM で議論し、
運営委員会（SC）において PDM 及び PO の変更を確定すること。なお、変更した PDM
及び PO についてはマケドニア語に訳し関係者間で共有すること。
（2） 指標の確定
別添 PDM 案のとおり指標の修正を行い、進捗の確認ができるよう、より具体的かつ
現実的な指標とすること。
（3） 関連規定の改定
本プロジェクトで新たに構築されるマケドニア森林火災情報システム（MKFFIS）を
法的な枠組みに適用させるため、関係する各機関は、別添 PO に従い、必要な関連規定
の改定案の作成を行うこと。
（4） プロジェクトの進捗促進
MKFFIS に組み込むリスク・アセスメント・ツールが当初計画より増加したことによ
り、必要となる専門家の投入量が増加し、現在の計画では不足する状況となっている。
追加となった業務の必要性は認められることから、プロジェクト期間中に目標を達成す
るために、短期専門家や現地コンサルタントの投入量を増やす必要がある。想定される
専門家や現地コンサルタントの投入は以下のとおりである。
① システム開発/運営管理
② システム（データインプット、インプリテーション、システム管理）研修計画・
教材作成
③ システム研修実施
（5） MKFFIS 使用者範囲の確定
2013 年３月までに情報ユーザーを確定し、それぞれのユーザーのアクセス権限範囲、
アクセス方法、活用目的を確定すること。
（6） 関係者間での情報共有
今後 MKFFIS の開発終盤にかけて、システムの機能確認や、システム研修がこれから
開始されることもあり、これまで以上に情報共有が重要となる。このことから、一層の
関係部署間での調整・情報共有のため技術調整グループ会議（TCGM）の開催頻度を多
くすること。
（7） プロジェクト管理体制の強化
プロジェクト進捗に既に 3 カ月の遅れが出ている一方、プロジェクトの後半において
はこれまで以上に業務量が増えることが予想されることから、プロジェクトの進捗に関
する細かい管理が必要となる。年間の工程管理表を作成し、プロジェクトマネージメン
トに係る責任者レベルと実務者レベルの参加する定期会議を行い、詳細に進捗管理を行
う体制を整えること。
（8） モデルエリアの確定
PO 案にも記述されている、2013 年 3 月の MKFFIS（Ver1）の公開までに危機管理セ
ンター地方支部（RCMC）レベルでのモデルエリアにおけるベースライン調査を終了し
ておくためには早急にモデルエリアの選定を行う必要がある。まずはモデル RCMC の
選定基準を早急に決定し、TCG にてモデル RCMC エリアを確定すること。
（9） 短期専門家へのカウンターパートの配置
効率的な技術移転のため、日本人短期専門家の派遣時においてはオンザジョブ・トレ
ーニング（OJT）として実務者レベルの人員も配置し、専門家との共同作業を進めるこ
と。
（10） 研修教材の活用
プロジェクトにおいて作成する各種研修教材について、プロジェクト終了後において
は実務者のマニュアルとして活用できることを前提として作成すること。
（11） 森林火災リスク・アセスメント国家システムの体制
森 林 火 災 リ ス ク ・ ア セ ス メ ン ト 国 家 シ ス テ ム （ National System for Forest Fire
RiskAssessment）について、プロジェクト関係各機関の間で認識を共有するため、別添
の体制図を関係者間で共有すること。
３－５－２ 事業終了後の持続性に向けての提言
（1） システムの持続性
National System for Forest Fire Risk Assessment がプロジェクト終了後にも持続的に運
営されるためにはシステムの維持管理に加えシステム運用及びシステム利用者のイン
タープリテーション能力の維持が必要となる。マケドニア政府は、2014 年以降のシス
テムメンテナンスに係る予算確保を確保するとともに、CMC 内のシステム運営に係る
人材及びシステム利用者についての能力強化のためのトレーニングに係る予算も確保
すること。
（2） プロジェクト終了後の技術者会議の設定
プロジェクトが終了後もその成果が継続されるよう、防止及び早期警戒に係る技術者
レベルの連絡協議会をプロジェクト終了時までに設置すること。
第１章
１－１
レビュー調査の概要
調査の背景
近年マケドニア旧ユーゴスラビア共和国（以下、「マケドニア」と記す）を含むバルカン
半島地域全体では、森林火災の発生率が高く、その被害が深刻な問題となっている。マケ
ドニアにおいては、国土面積の約 38％を森林地帯が占めるが、過去 10 年間で森林火災の発
生件数は約 2,400 件、延焼森林面積は約 9 万 6,000ha、被害総額は約 60 億円に及ぶと推計
されている。特に 2007 年には大規模な森林火災が発生し、14 日間にわたり国家緊急事態
宣言が発せられる事態であった。
このような状況の中、マケドニア政府は、2005 年に「危機管理法（Law on Crisis：LCM）」
を制定・施行し、森林火災を含むあらゆる国家的脅威の予防、早期警戒、及び関係機関の
調整に基づく効果的な対処を目指す国家的な仕組みとして、「危機管理システム（Crisis
Management System：CMS）」を定めた。CMS には、全ての中央省庁、議会、援護・救
助部門、地方政府、国営企業、マケドニア赤十字、非政府組織（NGO）、メディア、一般市
民等の幅広い関係者の参加が規定されている。
この CMS の意思決定機関の実務を担う独立した行政機構として、同じく 2005 年に「危
機管理センター（Crisis Management Center：CMC）」が設立された。CMC の役割は、
あらゆるリスク・脅威に係わる情報蓄積と分析を行い、関係各機関との連携・調整を図る
ことである。森林火災の予防・早期警戒を適切に行うには、森林火災に関する情報が CMC
で一元管理され、その情報に基づく分析結果及び提言が CMC から CMS の意思決定機関に
報告されることが必要である。また、大規模森林火災の勃発時には、迅速に CMS 傘下の関
係機関や国民に指示が出され、調整のとれた対応が実施されることが想定される。
しかし、CMC は、情報の収集・蓄積・分析の能力、更にそれらの情報を所有または利用
する関係各機関の連携を図る調整能力の双方に課題がある。特に情報収集・蓄積の中核と
なるべき CMC の地理情報システム（GIS）について、地図情報の入力欠如、ライセンス数
の不足による入力可能量の制限、ユーザーである CMC 職員の GIS 利用に関する能力の不
足、など整備が必要な状況である。さらに、森林火災に関する様々な情報・データは複数
の関係機関が個別に保有しており、CMC に情報が集まる体制が確立されていないという連
携不足から来る情報の未整備も問題となっている。
このような背景の下、2009 年 8 月にマケドニア政府から、CMC の森林火災の予防・早
期警戒に係る能力向上を目的とした本技術プロジェクトの要請がなされ、2011 年 1 月 27
日にマケドニア政府と討議議事録（Record of Discussion：R/D）の署名を行い、2011 年 5
月から 2014 年 5 月までの 3 年間の予定でプロジェクトは開始された。
１－２
調査目的
今回実施の中間レビュー調査では、本プロジェクトの目標達成度や成果等を分析すると
1
ともに、プロジェクトの残り期間の課題及び今後の方向性について確認し、同結果を中間
レ ビ ュ ー 報 告 書 と し て 取 り ま と め た う え で 、 合 同 調 整 委 員 会 （ Joint Coordinating
Committee：JCC）おいて内容を検討し、適切な対応方法を検討することを目的とした。
１－３
調査団構成
総括
分野
氏名
高田宏仁
協力企画
深澤晋作
JICA 地球環境部
長
JICA 地球環境部
森林火災対策
岡本一孝
林野庁海外林業協力室
評価分析
広内靖世
㈱国際開発アソシエイツ
パーマネント・エキスパート
マケドニア側評価員
Ms. Sofche Krstikj
Secretariat for European Affairs
１－４
職位
森林・自然環境保全第二課
森林・自然環境保全第二課
調査日程
Activity
Kazutaka
Okamoto,
Stay
Yasuyo Hirouchi, Consultant
Forestry Agency
Hirohito Takata, JICA
Shinsaku
Fukazawa,
JICA
2012.10.29
Mon
Haneda
-
SCOPJE
Scopije
Meeting with project leader
and coordinator
10.30～11.2
Tue-Fri
Meeting with Project leader,
coordinator,
CMC
SCOPJE
and
relevant persons
11.3～11.4
11.5
Sat-Sun
Mon
Narita - Belgrade
Documentation
SCOPJE
Meeting with Project leader,
Belgrade
coordinator,
CMC
and
relevant persons
11.6
11.7～11.8
Tue
Wed-Thu
Meeting
SCOPJE
JICA Meeting with Project leader,
with
Balkan Office
coordinator,
CMC
Belgrade - Scopje
relevant persons
and
Meeting with Project leader, coordinator, CMC and
2
SCOPJE
SCOPJE
relevant persons
11.9
11.10～11.11
11.12
Fri
Sat-Sun
Mon
Site visit
SCOPJE
Documentation
SCOPJE
Meeting with Project leader, coordinator, CMC and
SCOPJE
relevant
persons
Meeting
with
United
Nations
Development Programme (UNDP)
11.13
Tue
Drafting of evaluation report
SCOPJE
11.14
Wed
Meeting with Macedonian Evaluator to finalize the report
SCOPJE
11.15
Thu
Sign on the evaluation report
SCOPJE
Explanation of evaluation report at Steering Committee
(SC) and sign with SC members
11.16
Fri
Scopje
11.17
Sat
Japan
-
3
第２章
２－１
レビューの方法
調査の流れ
今回のレビューは、国際協力機構（Japan International Cooperation Agency：JICA）
事業評価ガイドライン改訂版『プロジェクト評価の実践的手法』及び『新 JICA 事業評価ガ
イドライン（第 1 版）』に準拠して行った。レビューに先立ち、プロジェクト関係文書に基
づき、評価のデザインとして評価グリッドを作成した。日本側、マケドニア側双方による
レビュー・チームは、過去のプロジェクト記録等の資料調査、プロジェクト関係者への事
前質問票調査及びインタビュー調査、また現地視察を行い、情報を収集した。これらの結
果を基に、合同評価報告書案を作成し、合同評価委員会における協議を経て、報告書を完
成させた。
２－２
調査項目
２－２－１
プロジェクトの実績の確認
計画に沿ってプロジェクトの投入、アウトプット、プロジェクト目標が達成された度合いを検証す
る。
２－２－２
実施プロセスの検証
プロジェクトの実施過程全般を見る視点であり、活動が計画通り行われているか、またプロジェ
クトのモニタリングやプロジェクト内のコミュニケーションが円滑に行われているかを検証する。
２－２－３
レビュー項目ごとの分析
(1) 妥当性：
プロジェクトの目指している効果（プロジェクト目標）が、評価を実施する時点において妥当
か〔マケドニアの国家開発計画・政策及び日本の政府開発援助（Official Development
Assistance：ODA）政策との整合性はあるか、受益者のニーズに合致しているか等〕、プロジ
ェクトの戦略･方法は妥当か等を評価する。
(2) 有効性：
プロジェクト目標達成の見込みはあるか、プロジェクト目標に対しアウトプットは適切か、目
標達成の貢献・阻害要因はあるか等を評価する。
(3) 効率性：
投入に見合ったアウトプットが産出されているか、活動スケジュールと投入のタイミング・
質・量はアウトプット産出には適切だったか等を評価する。
(4) インパクト：
上位目標の達成は見込まれるか、その他プラスのインパクトはあるか（予測されるか）、予
4
期していなかったマイナスのインパクトはあるか（予測されるか）、マイナスのインパクトがある
場合、それに対する対策は講じられているかを評価する。
(5) 持続性：
協力が終了しても、プロジェクトで発現した効果が持続する見込みについて、組織制度面、
財政面、技術面から評価する。
２－３
情報収集・入手手段
現地調査に先立ち、プロジェクトに指標及び投入の実績に関する情報提供を依頼した。
さらに、主としてプロジェクトの実施プロセス・評価 5 項目に関する質問票を英語で作成
し、プロジェクト関係者（CMC のプロジェクト・スタッフ、専門家、及び主要関連機関）
に事前に配布した。現地においては、指標及び実施プロセスの確認と評価 5 項目に関する
補足情報を収集するために、質問票回答者に対してセミ･ストラクチャード・インタビュー
を行った。マケドニア側調査団と日程の折り合いがつかなかったため、インタビューは日
本側のみで行った。インタビューは基本的に個別とした。
２－４
評価用プロジェクト・デザイン・マトリックス（PDME）の作成
レビューのデザインをするにあたって当初から改訂されていない現行プロジェクト・デ
ザイン・マトリックス（Project Design Matrix：PDM）をレビューしたところ、すべての
指標について、定義が不十分、達成度を測るための具体的な基準が定められていない、ま
た論理的整合性に疑問のある指標もあることがわかった。そこで、レビューをより適切に
行うため、現地において、専門家チーム及び CMC 関係者と協議を重ねながら、PDME 案
を作成し、レビューに臨むことになった。なお、第 4 回運営委員会（2012 年 11 月 15 日）
において、レビュー・チームの提言を基に、PDME をベースにした改訂 PDM（PDMver4）
案が承認されている（PDME 及び改訂 PDM の主な変更箇所及びその理由・変更内容は付
属資料 3 に示す）。
5
第３章
３－１
プロジェクトの実績
投入の実績
計画
実績（特に言及のない限り 2012 年 11 月 14 日時点）
３－１－１マケドニア側
（1）人員
1）プロジェクト・ディレクター
2）プロジェクト・マネージャー
3）プロジェクト・スタッフ
4）サポートスタッフ
（2）土地・施設・機材
（3）事務・運営経費
現在、合計 10 名（プロジェクト・ディレクター、プロジェ
クト・マネージャー、プロジェクト・スタッフ 8 名）の CMC
職員がプロジェクトに配置されている。
（詳細は付属資料 4-1 の A-1 参照）
プロジェクトに必要な土地・施設・機材は提供されている。
プロジェクトのために特に措置されている予算はない。（オ
フィスの水道光熱費、電話代、インターネット代などはマケド
ニア側が負担している）
３－１－２日本側
これまで、合計 2 名の長期専門家及び 7 名の短期専門家が派
（1）専門家派遣
遣された
1）森林火災管理
2）GIS システム/データベース
（詳細は付属資料 4-1 の B-1 参照）
―チーフ・アドバイザー及び業
務調整員は上記専門家から配置
される
（2）日本における研修員受入れ
CMC の幹部職員（プロジェクト・ディレクター及びプロジ
ェクト・マネージャーを含む）3 名が本邦研修を受講した。
（3）機材供与
1）森林火災管理
2）GIS システム/データベース
3）その他（必要な場合）
（4）専門家の現地業務費
（詳細は付属資料 4-1 の B-2 参照）
これまで、約 4,750 万円相当の機材が供与された。主要機材
には、自動気象観測装置、サーバー、クライアントパーソナル
コンピューターなどが含まれる。
（詳細は付属資料 4-2 の B-3 参照）
2012 年 9 月現在、日本円にして約 1,000 万円が在外事業強化
費として支出された。主要費目はローカル・コンサルタント、
現地スタッフ雇用、機材費である。
（詳細は付属資料 4-1 の B-3 参照）
３－２
アウトプットの実績
（1）アウトプット 1
a
指標
2012 年 12 月
実績
プロジェクトによって開発された森林火災リスク・アセスメント手法は、
6
指標
までに、プロジ
ェクトで策定し
た森林火災リス
ク・アセスメン
ト手法に基づ
き、統合 GIS が
開発され、プロ
ジェクト終了ま
でに改善され
る。
実績
2012 年 5 月の運営委員会（Steering Committee：SC）で承認された。承認さ
れた手法に基づき、「マケドニア森林火災情報システム（Macedonian Forest
Fire Information System：MKFFIS）」と名付けられた統合 GIS の開発が進ん
でいる。基本/詳細設計は既に完了している。2012 年 8 月に始まったソフト
ウェア開発は 2013 年 2 月に完了し、2013 年 2 月までに、統合 GIS の第 1
版が完成する見込みである。
第 1 版の完成は計画より 2 カ月遅れることになるが、これは、統合 GIS
の内容（リスク・アセスメント・ツールの種類や必要なデータの種類・分
量を含む）が当初想定されていたものより拡張したためである。
b
森林火災リスク・アセスメントに必要なすべてのデータは、2013 年 2 月
2013 年 1 月か
ら、統合 GIS に、 から、事前に定められた時間/空間分解能で統合 GIS に格納される見込みで
森 林 火 災 リ ス ある。
ク・アセスメン
水門気象局（Hydro Meteorology Service：Hydro-met）のデータ： 2012
トに必要な全て
年 8 月より、供与された自動気象観測装置（Automatic Weather Station：
のデータが、規
AWS）5 台及び既存の AWS のデータが、規定の時間分解能で、開発中
定の時間/空間
の統合 GIS に格納されている。残り 10 台の AWS の調達/設置は 2012
分解能で格納さ
年 11 月に完了し、設置完了と同時にデータが統合 GIS に格納される予
れる。
定である。
マケドニア森林公社（Public Enterprise Macedonian Forests：PEMF）
のデータ：PEMF からの定期的なデータ取得は、データ入力ソフトの開
発終了後（2013 年 2 月予定）に開始される予定である。
（なお、初期デ
ータについては、既に 7 割が統合 GIS に格納されており、2013 年 1 月
までにデータ入力が完了する見込みである）。
c
最初の 4 つの森林火災リスク・アセスメント・ツール（ホット・スポッ
2012 年 12 月
までに、4 つの ト・マップ、植生乾燥度マップ、森林植生マップ、火災履歴マップ）の作
森 林 火 災 リ ス 成は、2013 年 2 月までに完了し、統合 GIS に格納される見込みである。計
ク・アセスメン 画より 2 か月遅れることになるが、これは必要なデータの種類・量が拡大
ト・ツール（マ したためである。
ケドニア全土対
<参考情報>
象のホット・ス
活動計画（Plan of Operations：PO）改訂案（PO ver.4 案）によれば、リス
ポット・マップ、
植生乾燥度マッ ク・アセスメント・ツールの作成状況・予定は表 A のとおりである。
プ、マケドニア
表 A：リスク・アセスメント・ツールの作成状況
の森林の 9 割を
ツール
対象
進捗/計画
対象とする森林
ホット・スポ
全土
-作成中。2013
年
1 月までに完了し、統合
植生マップ、火
ット・マップ
GIS に格納される見込み。
災履歴マップ）
植生乾燥度マ
全土
-作成中。2013 年 2 月までに完了し、統合
が統合 GIS に格
ップ
GIS に格納される見込み。
納され、2013 年
森林植生マッ 森 林 の 9 -作成中。2013 年 1 月までに完了し、統合
12 月 ま で に 残
プ
割
GIS に格納される見込み。
りの 3 つのツー
ル（マケドニア
火災履歴マッ 森 林 の 9 -作成中。2013 年 1 月に PEMF からの初期
7
指標
全土を対象とす
るファイヤー・
ウェザー・イン
デックス（FWI）
マップ、消火リ
ソース・テーブ
ル及び森林の 9
割を対象とす
る, 森林被害額
テーブル）が格
納される。
2013 年 3 月ま
でに、X 名の
CMC 本部・支所
職員、及び X 名
の関連機関本
部・支所職員
〔PEFM から X
名、農業・森林・
水経済省
（MAFWE）か
ら X 名、保護・
救助局（DPR）
から X 名〕が、
統合 GIS の管理
及び/あるいは
活用、ならびに
最初の 4 つの森
林火災リスク・
アセスメント・
ツールの研修を
受け、2013 年 12
月までに残りの
ツールの研修を
受ける。
e 2013 年 1 月まで
に、統合 GIS の
森林火災リス
ク・アセスメン
ト・ツールに含
まれる情報が、
主要利用機関に
対し、事前に合
意したアクセス
権に応じて、森
林火災早期警
戒・防止のため
プ
割
FWI マップ
全土
消火リソー
ス・テーブル
森林被害額テ
ーブル
全土
森林の 9
割
実績
データ取得が完了次第、統合 GIS に格納
される見込み。
-第 1 版作成は 2012 年 2 月までに完了見込
み。カリブレーション後、最終版は 2013
年 12 月に統合 GIS に格納される予定。
-2013 年後半に CMC の消火リソース・テ
ーブルが統合 GIS に統合される予定。
-2013 年 3 月までに被害額評価手法がデザ
インされ、同年 12 月までにテーブルが統
合 GIS に格納される予定。
関連活動はまだ開始されていない。
<参考情報>
PO 改訂案（PO ver.4 案）によれば、統合 GIS の管理及び/あるいは活用、
ならびに最初に格納される 4 種類の森林火災リスク・アセスメント・ツー
ルの研修は 2013 年 3 月までに完了する予定である。
関連活動はまだ開始されていない。
<参考情報>
PO 改訂案（PO ver.4 案）によれば、統合 GIS の森林火災リスク・アセス
メント・ツールに含まれる情報は、2013 年 4 月までに、主要利用機関（PEMF、
MAFWE、DPR）に対し、事前に合意したアクセス権に応じて、提供される
予定である。当初計画に比べて情報共有が 3 カ月遅れるのは、既に述べた
ように統合 GIS の開発が遅れているからである。
8
f
指標
に提供される。
2013 年 1 月ま
でに、統合 GIS
の森林火災リス
ク・アセスメン
ト・ツールに含
まれる情報の一
部（X, X,・・・）
が、その他の関
連機関に対し、
CMC のウェブ
サイト上で、森
林火災早期警
戒・防止のため
に提供される。
実績
同上
（2）アウトプット 2：
指標
a
2012 年 12 月ま
でに、政府手続き
改正案の最終稿
が担当機関によ
り当局に対し、承
認のために提出
される。
b
プロジェクト
終了までに、ポス
ト・プロジェクト
における森林火
災防止・早期警戒
に係る技術レベ
ルの調整会議が
正式に定められ
る。
c プロジェクト終
了 ま で に 、 CMC
実績
関連活動はまだ開始されていない。現行 PO では、統合 GIS をマケドニ
アの法的枠組みに適合させるために必要な政府手続き改正ワークショッ
プの開催は 2012 年 10 月から 12 月に予定されているが、統合 GIS 運用開
始後の 2013 年 4 月以降に延期された。
<参考情報>
PO 改訂案（PO ver.4 案）によれば、手続き改正ワークショップの改訂
スケジュールは表 B に示すとおりである。
表 B：手続き改正ワークショップの予定
開催時期
開催目的
第1回
2013 年 4 月～6 月
改正点の確定
第2回
2013 年後半
改正担当機関作成の第 1 ドラフト
の協議
第3回
同上
改正担当機関作成の最終ドラフト
（最終）
の協議
関連活動はまだ開始されていない。
現行 PO によれば、関連活動は 2011 年 12 月までに開始される予定だが、
日本側・マケドニア側双方がアウトプット 1 の下の統合 GIS のコンテンツ
9
指標
のアクションの
ために、複数のモ
デル地域におけ
るモニタリング
結果に基づく統
合 GIS を用いた
調整・改善のため
の提言がなされ
る。
３－３
実績
拡大への対処に忙殺されており、着手にいたっていない。
<参考情報>
PO 修正案（PO ver.4 案）によれば、関連活動は 2012 年 12 月までに開
始される予定である。
プロジェクト目標の実績
指標
a
プロジェクト終了までに、統
合 GIS を法的枠組みに適合させ
るのに必要な政府手続き改正
が、関連当局によって承認され
る。
b
プロジェクト終了までに、
CMC の統合 GIS の森林火災リス
ク・アセスメント・ツールの情
報が規定の頻度で更新される。
c
プロジェクト終了までに、統
合 GIS に基づく CMC からのデー
タ/情報が、国内関連機関によっ
て森林火災防止・早期警戒のた
めに活用される。
３－４
実績
中間レビュー・チームは指標の実績を評価するのは時期
尚早であると判断した。
同上。
同上。
実施プロセスの特記事項
項目
３－４－１
調査結果
注：本件の PDM は当初から変更されていない。PO は 2 回改訂されている。
活動の進捗
（1）アウトプッ
現行 PO の活動の一部は計画通り進捗しているが、残りは、主として統合
ト 1 の活動
GIS のコンテンツ拡大により、遅れている。（詳細は付属資料 2 参照）
特記事項
1) 全体：統合 GIS のコンテンツの拡大
プロジェクト開始時から変更のない現行 PDM によれば、森林火災リ
スク・アセスメントのツールとして GIS ハザード・マップが作成され、
統合 GIS に格納されることになっている。しかしながら、プロジェクト
を通して開発され、2012 年 5 月の SC で承認された森林火災リスク・ア
セスメント手法では、リスク・アセスメント・ツールとして、GIS ハザ
ード・マップ 2 種類を含む合計 8 種類のツールが特定された（下表参照）。
10
項目
調査結果
表 C：森林火災リスク・アセスメント手法において特定された
リスク・エレメントとリスク・アセスメント・ツール
リスク・エレメント
リスク・アセスメント・ツール
Hazard
1）ホット・スポット・マップ
2）火災履歴マップ
Exposure
3）森林植生マップ
4）森林被害額テーブル
Vulnerability
5）植生乾燥度マップ
6） FWI マップ
Capacity and measures
7）地形図
8）消火リソース・テーブル
プロジェクトを通して、ハザード・マップだけでなく、特定されたツ
ールの全てを開発することになったため、当初計画に比べて、統合 GIS
のコンテンツ（格納されるツールの種類ならびに必要データの種類・量）
が増大した。
2) 活動 1.3：スコープの拡大
現行 PDM によれば、活動 1.3 においては既存の統合 GIS の「強化」が
予定されているが、実際には既存システムの「強化」は行われておらず、
上の 1）で記したコンテンツの拡大に対応するため、完全に新しいシス
テムの「開発」が行われている。以上にかんがみ、プロジェクトは活動
1.3 のテキストを「統合 GIS の強化」から「統合 GIS の開発」に修正す
ることを提案している。
3) 活動 1.3：統合 GIS の開発・運用開始の遅れ
現行 PO によれば、当初の強化（開発）は 2012 年 12 月に終了する予
定であった。しかしながら、統合 GIS のコンテンツ拡大によって開発は
遅れており、2013 年 2 月に終了する見込みである。この結果、2013 年 1
月に予定されていた運用開始も、2013 年 4 月に遅れるとみられる。
4) 活動 1.4：スコープ/内容の修正
現行 PDM によれば、活動 1.4 において「ハザード・マップ」の作成と
「公開」が予定されている。ところが、SC によって承認されたリスク・
アセスメント手法に基づき、ハザード・マップ以外のマップやテーブル
も作成されることになっている。また、CMC によれば、作成予定の全て
のマップやテーブルが公開されるわけではなく、一部のマップ/テーブル
へのアクセスは一部の機関に限られる可能性がある。詳細は、統合 GIS
の 運 用 開 始 前 の 2013 年 3 月 ま で に 技 術 調 整 グ ル ー プ （ Technical
Coordination Group：TCG）の会合において取り決められる予定である。
以上にかんがみ、プロジェクトは活動 1.4 のテキストを「GIS ハザード・
マップを作成し、公開する」から「森林火災リスク・マップ及びテーブ
ルを作成し、統合 GIS に格納する」に修正することを提案している。
5) 活動 1.7：活動内容の明確化
活動 1.7 においては、CMC 及び関連機関を対象とする、統合 GIS の管
理・活用ならびに森林火災リスク・アセスメント・ツールの解釈に係る
ワークショップ/研修が予定されている。以上にかんがみ、プロジェクト
は活動 1.7 のテキストを「森林火災リスク・アセスメントに係るワーク
ショップを開催する」から「統合 GIS 及び森林火災リスク・アセスメン
トに係るワークショップ/研修を開催する」に修正することを提案してい
11
項目
調査結果
る。
（2）アウトプッ
現行 PO の活動は、主として統合 GIS のコンテンツ拡大の影響により、計
ト 2 の活動
画通り進捗しておらず、一部は延期され、残りは開始が遅れている。
（詳細は
付属資料 2 参照）
特記事項
1) 活動 2.1：手続き改正ワークショップの延期
現行 PO では、統合 GIS をマケドニアの法的枠組みに適合させる
ために必要な政府手続き改正のワークショップが 2012 年 10 月から
12 月に予定されている。しかしながら、ワークショップ開催は、統
合 GIS 運用開始後の 2013 年 4 月以降に延期された。
2) 活動 2.4：調整の有効性確認の遅れ
活動 2.4 下の関連活動は 2011 年 12 月までに開始される予定だっ
たが、日本側・マケドニア側双方がアウトプット 1 の下の統合 GIS
のコンテンツ拡大への対処に忙殺されており、着手にいたっていな
い。
3) 活動内容の明確化
a. 活動 2.1：上記 1）で示したように、活動 2.1 においては、手続き
改正ワークショップが予定されている。活動の内容をより明確に
するために、プロジェクトは活動 2.1 のテキストを「CMC と関連
機関の間の情報共有・連携に係る持続的調整メカニズムを構築す
る」から「CMC と関連機関の間の統合 GIS を用いた情報共有・連
携に係る持続的調整メカニズムを構築する」に修正することを提
案している。
b. 活動 2.3：活動 2.3 においては、「情報伝達と住民の意識」の状態
の確認ではなく、よりアウトプット 2（「森林火災防止・早期警戒
に係る国内機関の情報共有と協力に係る国家的調整メカニズムが
強化される」
）と関連性が高い「情報共有と協力」の現状確認が計
画されている。詳細は未定だが、2013 年 4 月に予定されている統
合 GIS の 運 用 開 始 前 に 、 複 数 の 危 機 管 理 セ ン タ ー 地 方 支 部
（Regional Crisis Management Center：RCMC）の管轄下にあるモデ
ル地域においてベースライン調査を実施することになっており、
2012 年 12 月までに、調査計画（RCMC 選定基準の特定及び対象
RCMC の選定を含む）が策定される予定である。活動の内容をよ
り明確にするために、プロジェクトは、これらの詳細活動を PO 改
訂案に追加するとともに、活動 2.3 のテキストを「複数の選ばれた
RCMC のモデル地域において、森林火災防止・早期警戒に係る情
報共有・協力の調整の現状を確認する」に修正することを提案し
ている。
c. 活動 2.4：活動 2.4 においては、まず、活動 2.3 のモデル地域にお
いて、統合 GIS の運用開始後の情報共有・連携の調整状況のモニ
タリングが行われる予定である。次に、モニタリングの結果に基
づき、統合 GIS の有効性が評価され、最後に、提言を含む評価報
告書が TCG に提出されることになっている。活動の内容をより明
確にするために、プロジェクトは、
d. これらの詳細活動を PO 改訂案に追加するとともに、活動 2.4 のテ
キストを「CMC と関連機関の間の調整の有効性を評価し（以下略）」
12
項目
３－４－２
実施体制
調査結果
から「CMC と関連機関の間の統合 GIS を用いた調整の有効性を評
価し（以下略）」に修正することを提案している。
現行実施体制でプロジェクトは支障なく実施されてきており、実施体制は
適切だと考えられる。
本件の PDM 及び PO はプロジェクト管理のツールとしては十分に詳細では
ない。PDM については活動の一部の表現があいまいであり、全ての「客観的
プロジェクト
に検証可能な指標」は、定義が不十分であり、達成の判断基準も不明確であ
管理1
るなど、客観的な検証が不可能である。また、活動のスコープ/内容の変更が
あったにも関わらず、それが反映されていない。その上、アウトプットの指
標の一部は、活動とリンクしておらず、論理的整合性に欠けている。PO につ
いては、計画・進捗管理に必要な情報（詳細活動ごとの「期待される結果」
「実施者」専門家の配置を含む「日本側の投入」等）が記されていない。
「責
任者」は示されているが、実態を反映していない。モニタリングの過程で、
これらの課題は見過ごされてきた。このため、全ての関係者が全体的な実施
プロセス及び活動の進捗状況、またプロジェクト目標・アウトプットの達成
度について共通の理解を有することが困難であった。
これまでのところ、プロジェクト内のコミュニケーションは、プロジェク
３－４－４
トの円滑な実施に十分であった。
内部コミュニ
３－４－３
ケーション
プロジェクトは、TCG の会合及びその他の機会を通して、MAFWE、環境
省、DPR、Hydro-met、PEMF 等との緊密な連携/協力の下に実施されてきた。
現地関連機関
一部の関連機関は、現在半年に 1 回行われている TCG がより頻繁に行われれ
との連携
ば、より有用だと感じている。
1)
促進要因： CMC 所長（プロジェクト・ディレクター）の本件への強い関
３－４－６
心とサポートは、プロジェクトの円滑な実施に貢献してきた。プロジェク
実施プロセス
トに配置された CMC 職員もモーチベーションが高く、熱心である。
に影響を与え 2) 阻害要因：特になし
たその他の要
３－４－５
因
13
第４章
４－１
評価 5 項目に沿ったレビュー結果
妥当性：プロジェクトは現在でも妥当である。
項目
評価
(1) 必要性
1) マ ケ ド ニ
大規模森林火災の減少と森林火災防止・早期警戒に係る CMC の国内関連機関へ
ア 及 び タ ー の情報発信・調整能力向上へのニーズは、事前調査時から変わっておらず、上位目
ゲット・グル 標及びプロジェクト目標は現在でもマケドニア及び CMC のニーズと整合性がある
ー プ の ニ ー といえる。
ズとの整合
性
(2)優先度
1) マ ケ ド ニ
上位目標は、マケドニアの国家政策と整合性がある。
アの国家開
森林持続的開発戦略（2006 年～2025 年）のビジョンの 1 つに、森林火災の早
発計画・政策
期警戒・消火に係る効率的なシステムの構築が挙げられている。
との整合性
2) 日 本 の
上位目標は日本の ODA 政策と整合性がある。
ODA 政策と
日本政府の ODA 大綱によれば、
「地球温暖化及び環境問題」は優先課題の 1 つ
の整合性
である。
日本政府の中期 ODA 政策（2005 年）において、環境セクターは国際協力にお
ける最重要セクターの 1 つとされている。
(3) 手 段 と し
ての適切性
1) 日 本 の 技
日本の技術的優位性は存在する
術的優位性
マケドニア側の専門家チームへの評価及び彼らの技術能力の向上度にかんが
み、日本の技術的優位性はあることが確認された。
４－２
有効性（予測）：プロジェクトの有効性は確保されると思われる。
項目
(1) プ ロ ジ ェ ク
評価
プロジェクト目標の達成に向けて進捗はみられるが、指標の関連データが入手
ト目標の達成状 できなかったことから、正確な達成状況・達成見込みは明らかではない。アウト
況とアウトプッ プットの達成状況から判断すると、プロジェクト目標の達成は計画より遅れてい
トの貢献度
ると思われるが、マケドニア側・日本側の継続的努力によりプロジェクト終了ま
でには達成されると期待される。すべてのアウトプットは、程度の差はあるが、
14
項目
評価
プロジェクト目標の達成に貢献すると思われる。
(2)外部条件
外部条件(「関連機関において、人員配置・十分な予算措置等の必要な協力が
確保される」)：これまでのところ満たされており、引き続き満たされる可能
性が高い。
(3) そ の 他 の 促
特になし。
進・阻害要因
４－３
効率性：プロジェクトはおおむね効率的に実施されてきた。
項目
(1) ア ウ ト プ ッ
トの産出状況
評価
アウトプットの産出に向け進捗はみられる。しかしながら、主に当初計画に比
べて統合 GIS のコンテンツ（格納されるツールの種類ならびに必要データの種
類・量）が拡大した影響を受けて、産出は計画より遅れている。ただし、コンテ
ンツ拡大に伴う遅れは、プロジェクト・スタッフ及び専門家チームの努力、なら
びに関連機関の協力により、最小限に抑えられている。
アウトプット 1：アウトプット 1 は部分的に産出されているが、統合 GIS
のコンテンツが拡大した影響を受け、計画より数カ月遅れている。統合 GIS
の第 1 版は 2013 年 2 月までに完成する見込みである。森林火災リスク・ア
セスメントに必要なすべてのデータは、2013 年 2 月から、事前に定められ
た時間/空間分解能で統合 GIS に格納された。また、4 種類の森林火災リス
ク・アセスメント・ツール (ホット・スポット・マップ、植生乾燥度マップ、
森林植生マップ、火災履歴マップ) の作成・統合 GIS への格納は、2013 年 2
月までに完了すれる見込みである。なお、統合 GIS の森林火災リスク・アセ
スメント・ツールに含まれる情報は、2013 年 4 月までに、主要利用機関
(PEMF、MAFWE、DPR)に対し、事前に合意したアクセス権に応じて、提
供が開始される予定である。また、統合 GIS の情報の一部は、CMC のサイ
ト上で公開され、他の関連機関にも利用可能になる予定である。
アウトプット 2：アウトプット 2 はほとんど進捗していない。主に日本側・
マケドニア側双方がアウトプット 1 下の統合 GIS のコンテンツ拡大への対処
に忙殺されていたこと、一部の活動が統合 GIS の運用開始（2013 年 4 月）
以降に延期されたことによる。
(2)外部条件
現行 PDM にはアウトプット・レベルの外部条件が設定されていないが、「関
連機関において、統合 GIS の利用者/管理者の配置・十分な予算措置等の必要な
15
項目
評価
協力が確保される」という条件が、アウトプット達成に必要だがプロジェクトで
はコントロールできない重要な条件であることが確認された。この条件は、これ
までのところ満たされている。
(3) 投 入 の 適 切
さ
1)マケドニア側
(a) プ ロ ジ ェ ク
ト・スタッフ
タイミング・期間・人数：
おおむね適切。これまで配置されたスタッフは管理職であり、短期専門
家の日々の業務を共に行う実務レベルのスタッフが任命されていれば、
より効率的だった。
質：
関連する分野・経験、適切な技術レベルを有するスタッフが配置された。
また、彼らは勤勉であり、担当業務に対して、献身的である。
(b)建物・施設
タイミング、量：
土地・施設：プロジェクトに必要な土地・施設はタイムリーに提供され
た。
プロジェクト・オフィス：長期・短期専門家の執務室及び会議室が CMC
本部（プロジェクト・マネージャーと同フロア）に提供されている。
質：適切。
(c)事務・運営費
総じて、プロジェクトの実施に必要な額が遅延なく支出された。
2)日本側
(a)専門家
タイミング、期間、人数：
おおむね適切。長期専門家（2 分野）及び短期専門家（4 分野）が計画
通り派遣された。短期専門家の派遣はマケドニア側と協議の上、計画さ
れてきた。統合 GIS のコンテンツが当初計画より大幅に拡大したが、拡
大にあわせて、関連分野の短期専門家の派遣期間がより長くするか、派
遣回数（人数）をより多くすれば、より効率的に対応できただろう。
質、分野：
(b) 本邦研修
適切な分野、経験、技術レベルの専門家が派遣された。
タイミング、期間、人数：
適切な人数のプロジェクト・スタッフがタイミングよく本邦研修に派遣
された。
分野、内容、質：
研修の分野、内容、質はプロジェクトのニーズに合致している。
活用：
16
項目
評価
研修員はプロジェクトに関連している CMC の幹部職員であり、研修で
得た知識はプロジェクトに活用されている。
(c)機材供与
タイミング：
機材は計画通り調達・納入された。
量、質、品目、スペック：
おおむね適切であった。供与機材の量・品目・スペックは CMC 及び関
連機関との協議の上、決定されている。
運用管理（Operation and Maintenance：O&M)：
クライアントパーソナルコンピューターを除く情報技術（Information
Technology：IT）機材及び AWS については、O&M 研修が業者により
実施された、あるいは実施される予定である。
活用：
全ての機材はプロジェクト実施に活用されている、あるいはされる見込
みである。
(e)ローカル・コ
スト
タイミングと量：プロジェクト活動に必要な額がタイミングよく支出され
た。
(4)前提条件
前提条件 (「CMC のプロジェクト・パートナーと関連機関のコミットメン
ト及び意欲」)は、プロジェクト開始前に満たされた。
(5) 他 プ ロ ジ ェ
特になし。
クトとの連携
(6) そ の 他 の 促
特になし。
進・阻害要因
４－４
インパクト：CMC と関連機関の連携・協力が強化された。
項目
評価
４－４－１
上位目標レベ
ルのインパク
ト
(1)上位目標の達
上位目標の達成見込みを判断することは、時期尚早であると判断された。
成見込み
(2)外部条件
上位目標にいたる外部条件（「CMC の予算・人員が大きく減少しない」）は満
たされると思われる。
17
項目
評価
正のインパクト： TCG における情報共有・協議を通して、CMC と森林火災
４－４－２
その他のイン
パクト
４－５
防止・早期警戒の関連機関の連携・協力が強化された。
負のインパクト：負のインパクトは確認されておらず、予測されない。
持続性（見込み)：プロジェクトの持続性は確保されると予想される。
項目
評価
(1)組織・制度
面
1)政策的・法的
支援
森林火災の防止・早期警戒に関する政策・法的支援は、プロジェクト終了後も
継続するとみられる。また、プロジェクトで開発中の統合 GIS については、ア
ウトプット 2 の下、マケドニアの法的枠組みへの適合に必要な政府手続きの改正
案が作成され、当局に対して提出されることが計画されている。
2) プ ロ ジ ェ ク
プロジェクトに配置された CMC 職員はマケドニア政府の正規職員であり、雇
ト・スタッフの 用は保証されている。プロジェクト終了後も CMC の関連ポストに配置され、プ
配置
ロジェクトで得た知識・スキルを研究に活用して、プロジェクトの効果を維持す
ることが可能だと思われる
4) 管 理 運 営 能
力
これまで、CMC はプロジェクト活動を大きな支障なく運営管理してきており、
プロジェクト終了後も、関連活動を独力で運営管理していくことが可能だと思わ
れる。
5) 関連機関と
の連携
関連機関との連携は継続・強化される見込みである。プロジェクトの活動は、
PEMF、DPR、MAFWE、Hydro-met 等関連機関から成る技術調整グループ
（TCG）のメンバーとの緊密な連携/協力の下に実施されており、CMC 及び TCG
のメンバー機関の双方が、このような調整会議は有用・効果的であるとみなして
いる。さらに、アウトプット 2 の下の活動に、ポスト・プロジェクトにおける技
術レベルの定期的調整会議の正式化が含まれている。
(2)財政面
CMC：CMC は、これまでのところ、データ通信費を含む必要な予算を措置し
てきておいる。また、CMC は、統合 GIS 及び IT 機器の保証期間終了後の
保守管理についても、必要な予算を措置すると言明している。
統合 GIS の利用/データ入力のために機材が供与された関連機関（PEMF、
MAFWE、DPR、Hydro-met）：2012 年 5 月に CMC と各機関の代表によ
り調印された「協力及び技術機材の所有権の移管に関する覚書」によれば、
各機関は、機材の保証期間終了とともに「メーカーの技術的取扱説明書及び
基準に従って機材を保守管理する義務を負う」ことになっている。各機関と
も、覚書に従い、保証期間終了後の保守管理に必要な予算を確保することが
見込まれる。
18
項目
評価
(3)技術面
1) プ ロ ジ ェ ク
CMC のプロジェクト・スタッフは高い能力を有しており、プロジェクトによ
ト・スタッフの る技術移転を通して、関連活動の継続に十分な技能・知識を備えることができる
技術能力
2) 移 転 技 術 と
だろう。
これまでに CMC に移転された技術・手法及び成果品は現地の技術ニーズ・技
成 果 品 の 活 用 術レベルに適合したものである。マケドニア側の高い期待を考慮にいれると、移
と普及
転技術/手法及び成果品は、プロジェクト終了後も、継続的に活用されると見込
まれる。
3) 供 与 機 材 の 活用：供与機材は統合 GIS の運用に不可欠であり、プロジェクト終了後も引
活用と保守管
理
き続き活用されると見込まれる。
運転・保守管理：機材にはメーカーの O&M マニュアル（マケドニア語）が付
属しており、納入業者による O&M 研修も行われている（行われる予定であ
る）。ほとんどの機材は国際調達だが、部品・消耗品はマケドニア国内ある
いは国際市場で容易に入手できるものである。適切な予算が措置されれば、
運転・保守管理に問題はないと思われる。
19
第５章
結論
評価時点においても、マケドニアの国家政策である「森林持続的開発戦略（2006 年～2025
年）」において「森林火災の早期警戒・消火に係る効率的なシステムの構築」があげられて
おり、また日本政府の ODA 大綱にあげられる優先課題の 1 つである「地球温暖化及び環境
問題」にも合致していることから妥当性は高いと判断される。一方、有効性については現
時点では十分な情報が得られていないことから、現状評価は困難である。また、インパク
トと自立発展性について評価するには次期が尚早であるが、これまでの活動において負の
インパクトは認められていない。
本プロジェクトの目標を達成するためには、次章であげられる提言を実行することが期
待される。
20
第６章
６－１
提言
事業の適切な実施に向けての提言
（1）PDM の変更
残りのプロジェクト期間に向けて別添の PDM 案及び PO 案を参考に技術調整グループ
会議（Technical Coordination Group Meeting：TCGM）で議論し、SC において PDM 及び
PO の変更を確定すること。なお、変更した PDM 及び PO についてはマケドニア語に訳
し関係者間で共有すること。
（2）指標の確定
別添 PDM 案のとおり指標の修正を行い、進捗の確認ができるよう、より具体的かつ現
実的な指標とすること。
（3）関連規定の改定
本プロジェクトで新たに構築される MKFFIS を法的な枠組みに適用させるため、関係
する各機関は、別添 PO に従い、必要な関連規定の改定案の作成を行うこと。
（4）プロジェクトの進捗促進
MKFFIS に組み込むリスク・アセスメント・ツールが当初計画より増加したことによ
り、必要となる専門家の投入量が増加し、現在の計画では不足する状況となっている。
追加となった業務の必要性は認められることから、プロジェクト期間中に目標を達成す
るために、短期専門家や現地コンサルタントの投入量を増やす必要がある。想定される
専門家や現地コンサルタントの投入は以下の通りである。
①
システム開発/運営管理
②
システム（データインプット、インプリテーション、システム管理）研修計画・
教材作成
③
システム研修実施
（5）MKFFIS 使用者範囲の確定
2013 年 3 月までに情報ユーザーを確定し、それぞれのユーザーのアクセス権限範囲、
アクセス方法、活用目的を確定すること。
（6）関係者間での情報共有
今後 MKFFIS の開発終盤にかけて、システムの機能確認や、システム研修がこれから
開始されることもあり、これまで以上に情報共有が重要となる。このことから、一層の
21
関係部署間での調整・情報共有のため TCGM の開催頻度を多くすること。
（7）プロジェクト管理体制の強化
プロジェクト進捗に既に 3 カ月の遅れが出ている一方、プロジェクトの後半において
はこれまで以上に業務量が増えることが予想されることから、プロジェクトの進捗に関
する細かい管理が必要となる。年間の工程管理表を作成し、プロジェクトマネージメン
トに係る責任者レベルと実務者レベルの参加する定期会議を行い、詳細に進捗管理を行
う体制を整えること。
（8）モデルエリアの確定
PO 案にも記述されている、2013 年 3 月の MKFFIS（Ver1）の公開までに RCMC レベ
ルでのモデルエリアにおけるベースライン調査を終了しておくためには早急にモデルエ
リアの選定を行う必要がある。まずはモデル RCMC の選定基準を早急に決定し、TCG に
てモデル RCMC エリアを確定すること。
（9）短期専門家へのカウンターパートの配置
効率的な技術移転のため、日本人短期専門家の派遣時においてはオンザジョブ・トレ
ーニング（On-the-Job Training：OJT）として実務者レベルの人員も配置し、専門家との
共同作業を進めること。
（10）研修教材の活用
プロジェクトにおいて作成する各種研修教材について、プロジェクト終了後において
は実務者のマニュアルとして活用できることを前提として作成すること。
（11）森林火災リスク・アセスメント国家システムの体制
森林火災リスク・アセスメント国家システム（National system for forest fire risk
assessment）について、プロジェクト関係各機関の間で認識を共有するため、別添 2.体
制図（合同評価報告書別添）を関係者間で共有すること。
６－２
事業終了後の持続性に向けての提言
（1）システムの持続性
National system for forest fire risk assessment がプロジェクト終了後にも持続的に
運営されるためにはシステムの維持管理に加えシステム運用及びシステム利用者のイン
タープリテーション能力の維持が必要となる。マケドニア政府は、2014 年以降のシステ
ムメンテナンスに係る予算確保を確保するとともに、CMC 内のシステム運営に係る人材
及びシステム利用者についての能力強化のためのトレーニングに係る予算も確保するこ
22
と。
（2）プロジェクト終了後の技術者会議の設定
プロジェクトが終了後もその成果が継続されるよう、防止及び早期警戒に係る技術者
レベルの連絡協議会をプロジェクト終了時までに設置すること。
23
付属資料
付属資料 1
プロジェクトの評価と提言
付属資料 2
合同評価報告書
付属資料 3
PDME の主な変更箇所及びその理由
付属資料 4-1 投入実績
付属資料 4-2 投入実績機材
付属資料1
（作成：森林火災対策）
森林火災対策の観点からのプロジェクト活動状況の評価と提言
１
マケドニアの森林・林業の概要及び森林火災の現状について
(１)
マケドニアの森林・林業の概要について
①マケドニアの森林の概要
マケドニアの国土面積(内水面地域の面積を除く)は約 257 万 ha であり、森林が 95 万 ha、
国土の 40%を占めている。
図－1 マケドニア国の土地利用の概要
一般に平野部は耕作地とし
4%
て、また、緩やかな山の斜面は
23%
放牧地として利用されており、
pastures
arable land
山の斜面を中心に森林が広が
meadows
40%
vineyards & orchards
っているが、険しい山岳地形は
bare land
少なく、傾斜が比較的緩やかな
21%
forests
other
山地に多くの森林が分布して
8%
いる。
2% 2%
森林の約 8 割強は、ヨーロッパブナやナラ類等の落葉広葉樹を主体とした広葉樹林であ
り、オウシュウクロマツ等の針葉樹林が 1 割程度分布しており、わずかではあるが針広混
交林も見られる。
また、森林全体の約 7 割は薪炭林であり、残りの 3 割が用材林である。
②森林の管理・経営体制と仕組み
森林全体の約 9 割にあたる 854,000ha は国有林であり、残りの 1 割にあたる 93,000ha
が私有林である。国有林の約 9 割は、農業・森林・水経済省の監督下にあるマケドニア森
林公社によって森林火災対策を含む管理・経営が行われており、残りの約 1 割の国有林は、
環境省・防衛省や公益法人によって管理（森林火災対策も含む）されている。
マケドニア国では、森林のタイプ区分を行い、森林タイプ毎の目的に応じた森林の管理・
経営を行うことになっており、森林は、経済林、保安林、特別目的林の 3 つに区分されて
おり、特別目的林は、保護林(希少森林、狩猟獣、生物多様性)、森林公園、記念林、採種林、
ピクニック林、研究・教育林、国立公園、防衛目的林に細分され、森林タイプ毎に目的に
応じた管理・経営が行われている。(表－１参照。)
1
27
国有林の場合、マケドニア森林公社
が経済林と保安林の管理・経営を、特
表－１
森林法に基づく森林タイプ区分
別目的林の中の国立公園は環境省が、
１
経
済
林
防護目的林は防衛省が、その他の特別
２
保
安
林
保護林(希少森林等)
目的林については、農業・林業・水経
済省が管轄する各公益法人がそれぞれ
森
の目的に応じた管理を行っている。
記
念
林
採
種
林
また、森林の管理・経営の実施に当
３
たっては、マケドニア政府及び農業・
特別目的林
林業・水経済省大臣が定める戦略や基
林 公 園
ピクニック林
研究・教育林
本計画を踏まえて策定される特別森林
国
経営計画(すべての国有林及び 100ha 以
立 公 園
防護目的林
上の規模の私有林が対象)または森林経
営プログラム(100ha 以下の規模の私有林の森林管理区に含まれない 2 エーカー以上の植林
地等が対象)と、それらの計画に基づき毎年作成される森林経営計画や実施計画に基づき、
森林火災対策を含む管理経営活動が行われる仕組みになっている。(表－２参照。)
表－２
マケドニア国の森林経営計画の体系
文書
作成者
採択者
有効期間
保管
持続的森林開発戦略
政府
政府
20 年
永久(大臣)
マケドニア森林経営基本
大臣
政府/議会
20 年
永久(大臣)
特別森林経営計画
使用者/所有者
大臣
10 年
永久(大臣)
森林経営プログラム
使用者/所有者
大臣
10 年
永久(大臣)
森林経営計画(単年度)
使用者/所有者
大臣
1年
10 年(大臣/使用者/所有者)
実施計画(単年度)
使用者/所有者
大臣
1年
10 年(大臣/使用者/所有者)
業務記録
使用者/所有者
月報
使用者/所有者
戦略レベル文書
計画
計画レベル文書
マケドニア国の国有林は、全国 197 の管理区域(森林計画区)に区分されており、このうち、
同国で最大の林業経営体であるマケドニア森林公社が 184 の森林計画区の特別森林経営計
画及び森林経営計画を作成している。
マケドニアの森林の各森林計画区は、日本の森林計画区と同様、固定的な区画である林
班、さらに林班内は管理・経営上の必要性から区分する小班に区切られ、小班単位で森林
2
28
付属資料1
火災対策を含む、属地的なきめ細かな管理経営計画が策定され、当該計画に基づき実際の
森林の管理・経営が行われている。
③マケドニアの林業
マケドニアでは、冬の暖房用に大量の薪が使用されており、林業も短伐期、ぼう芽更新
で薪炭材の生産を行う薪炭林業が広範な地域で盛んに行われており、同国の林業の中心は、
薪炭林業であると言ってよい。
山岳地域に分布するブナ等を主体とする天然林や、マツ等の人工林からは、一部用材生
産も行われている。
今回の中間評価の際に行った現地調査で訪問したマケドニア森林公社のビニツァ地方事
務所長の説明では、事務所に所属する職員とワーカーの数は約 90 人であり、管轄する国有
林の中には用材生産林も含まれるが、大半は薪炭生産林であり、薪炭材の払い下げのため
の調査や監督が業務の中心とのことであった。
(２)
マケドニアの森林火災の現状等について
①マケドニアの森林火災の現状（CMC(危機管理ｾﾝﾀｰ)のデータより）
マケドニアでは、1998 年
～2012 年の CMC の統計に
よると、表－３のとおり、年
間に約 90 件～620 件、平均
表－３
マケドニアの森林火災の状況
(出所: CMC)
発生
延焼面積
被害材積
延焼総額
件数
(ha)
(千 m3)
(Denar)
年
1998
151
2,859
26,104
43,580,628
1999
90
1,465
5,687
9,494,446
2000
398
32,939
562,303
938,764,858
2001
255
7,312
84,451
140,990,944
2002
121
1,726
9,145
15,267,577
2003
193
2,282
15,328
25,589,261
2004
161
2,034
15,130
25,259,535
2005
260
3,361
7,313
12,208,900
2006
185
3,065
23,517
39,261,139
2007
620
39,162
392,914
655,961,705
デナール～9 億 3,800 万デナ
2008
339
10,587
69,418
115,892,400
ール、15 年間の累計では 23
2009
104
2,582
3,123
5,182,100
億 9,700 万デナールの被害
2010
105
2,282
4,013
6,746,936
が発生している。(2012 年
2011
390
20,857
65,043
105,725,546
415
22,512
158,433
257,258,011
3,787
155,023
1,441,922
2,397,183,989
250 件の森林火災が発生し、
毎 年
1,500ha
か ら
39,000ha( 国 家 非 常 事 態 宣
言が出された 2007 年)、15
年間の累計では 155,000ha
もの森林が延焼し、被害材積
は 年 間
3,000m3 か ら
562,000m3、15 年間の累計
では 1,442,000m3 もの立木
が被害を受け、毎年 500 万
11 月時点のレートでは、1
30/9/2012
合計
3
29
デナー
ール＝約 2 円)
円
林火災による
る被害の少な
ない年と多い
い年を比較す
すると、発生
生件数で 7 倍
倍、被害面積
積では
森林
26 倍、
倍 被害材積及
及び被害額で
では実に約 180
1 倍もの差
差があり、森林
林火災の発生
生件数が年間
間 300
件を超
超えるあたりから被害面
面積・被害額
額ともに激増
増している。
図－２から図－
－５は、マケ
ケドニア国の
の森林火災の
の現状を把握
握しやすくす
するために、表－
３のデ
データを図化
化したもので
であるが、以
以下のような
な傾向が読み
み取れる。
1) 森林火災の
の発生数は、年により大
大きく増減していること。
。また、近年
年、増加傾向
向にあ
ること。
の延焼面積及
及び被害材積
積の年による増減幅は、発生数の増減
発
減より著しく
く大き
2) 森林火災の
いこと。ま
また、森林火
火災の発生数
数が年間 300 件を超えるあたりから、
、延焼面積・
・被害
材積ともに
に急激に大き
きくなる傾向
向が顕著に見
見られ、森林
林火災が多発
発した 2000 年と
2007 年のわずか 2 年間
間の被害の合
合計が過去 15 年間の延
延焼面積の約 5 割、被害材
材積の
約 7 割を占
占めているこ
こと。
3) 2000 年の
の森林火災の被害は、被害材積から判
判断して、国
国家非常事態
態宣言が出さ
された
2007 年の被
被害を上回る
る過去 15 年間で最大規
年
規模であったと推定されること。
にも森林火災
災が多発したが、国家非常
常事態宣言は
は発令されな
なかったこと
とから
4) 2012 年に
判断し、同
同宣言が出さ
されるのは、2012 年以上
上の規模の森
森林火災が発
発生した年で
である
と思われる
ること。
と被害材積と
とは、単純な
な比例関係ではないこと。
。これは、森
森林火災で延
延焼し
5) 延焼面積と
た森林が低
低蓄積の疎林
林から高蓄積
積の高齢人工
工林まで多様
様であるためと思われること。
図－２
図－
－３
4
30
付属資料1
図－４
図－５
５
ケドニア国の
の森林火災は
は、2007 年に国家非常事
事態宣言が出
出されるほど
ど、同国にと
とって
マケ
最優先
先課題の 1 つである重大
つ
大災害であり
り、過去 15 年間の森林火
年
火災による延
延焼面積の累計は、
前述したとおり 155,000ha にも及んでお
おり、これは
は全森林面積
積の 16%にも
も相当する甚
甚大な
被害で
であるといえ
える。
本とマケドニ
ニアの森林火
火災の発生状
状況の比較
②日本
マケ
ケドニア国の
の森林火災が
がいかに大き
きな問題であ
あるかを知る
るために、日
日本の森林火
火災の
発生状
状況と比較す
すると、日本
本では 1 年間
間にマケドニ
ニア国の 10 倍に相当する
倍
る約 2,600 件の林
件
野火災
災が発生して
ているが、延
延焼面積はマ
マケドニア国
国の 7 分の 1 の約 1,600
0ha に過ぎな
ない。
マケドニアと日本
本では、森林
林面積が大き
きく異なるた
ため、森林火
火災の発生件
件数と延焼面
面積を
森林の
の単位面積（千 ha 単位
位）で比較す
すると、マケドニア国での
の森林火災の
の年間平均発
発生数
は日本
本の 2.6 倍に
にあたる 0.2
27 件であるが
が、延焼面積
積では日本の
の実に 175 倍
倍にあたる約 11ha
にもな
なり、マケドニア国の森
森林火災の被
被害がいかに
に甚大である
るか理解することができる。
また
た、1 火災あ
あたりの平均
均延焼面積も
も日本の 68 倍にあたる約
約 41ha と著
著しく大きく
くなっ
ており、このことから、森林
林火災のほと
とんどが迅速
速に消火され
れ、100ha を
を超えるよう
うな大
規模な
な森林火災が
が年間に 0～
～数件しか発
発生しない日本と異なり、マケドニア
アでは大規模
模な火
）
災に拡
拡大してしま
まう森林火災
災が頻繁に発
発生している
ることが推察
察される。（表
表－４参照。
表- ４ 日本とマケド
ドニアとの森林
林火災の年間
間平均発生数
数・ 延焼面積の
の比較
森林面積
（A）
日 本
マケドニ
ニア
ﾏｹﾄﾞﾆｱ/
/日本
年間平均発 年間平均延
B）
焼面積
積（C）
生数（B
千haあたり年
１火災あ
あたり
均発生
間平均
平均延
延焼面
数
積(C/B
B)
1,000)
(B/A*1
あたり年
千haあ
間平均
均延焼
面積
1,000)
(C/A*1
00,000
25,10
2,593
1,563
0.60
0.10
0.06
95
50,000
252
10,335
41.01
0.27
10.88
0.04
0.10
6.61
68.04
2.57
1
174.70
注; 日本の
の森林火災の年間平均発生数と
と年間平均延焼面
面積は、2001年か
から2005年の平
平均値を使用。
③マケ
ケドニア森林
林公社におけ
ける森林火災
災の現状（P
PEMF(ﾏｹﾄﾞﾆﾆｱ森林公社)のデータより）
マケドニア森林公
公社は、マケ
ケドニア国の
の全森林の約
約 8 割の管理
理・経営を担
担う森林火災
災の最
5
31
被害者であり、また、森
森林火災対策
策の国内最大
大の担い手で
でもある。今
今回の中間評
評価に
大の被
伴い、
、マケドニア
ア森林公社が
が所有する森
森林火災デー
ータを入手す
することがで
できたので、簡単
に考察
察を試みるこ
こととしたい
い。
図－６は、1998 年から 200
07 年にマケドニア森林公
公社が管轄す
する国有林内
内で起こった
た森林
火災の
の発生件数を
を 1/4 カ月単
単位(12 月×4
4 = 48 単位))で集計し、10 年分累計し
したものであ
ある。
この
の図より、森林火災の発
森
発生は、
図－６
早春((3 月～4 月)と真夏(7 月～8
月
1/4
1 月毎の森
森林火災の発
発生件数
(1998
8-2007 の累計
計)
月)に
に多く、早春
春と真夏には
は、森
林公社
社の管轄する
る国有林内で
で、毎
発生す
する一方で、
、その他の季
季節は、
毎週、
、1 件～3 件程度と火災
件
災の発
生が比
比較的少ない
いことがわか
かる。
また
た、図－7 及び図－8
及
は
は、図
160
140
120
Number of fires
週、約 10 件～16
6 件の森林火
火災が
100
80
60
40
－６と同じ方法で
で、マケドニ
ニア森
林公 社が管轄す
する国有林で
で起こ
20
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10111213141516171819202122232425262728293031323
3334353637383940414243444
45464748
った 森林火災の 延焼面積と
と延焼
した森
森林の立木の
の材積を 1/4
4 カ月単位で
で集計し 10 年間分累計し
年
したものであ
ある。
これ
れらの図より、森林火災
災により延焼
焼した面積と
と立木の材積
積は、真夏(7
7 月～8 月)に
に著し
く大きくなってい
いることがわ
わかる。
この
のことから、
、早春(3 月～
～4 月)
図
図－７
に多発
発する森林
林火災のほと
とんど
1/4
4 カ月毎の森
森林火災の延
延焼面積
(1998-200
07 の累計)
は、大規模火災に
大
になる前に鎮
鎮火さ
れてお
おり、一方、真夏(7 月～
～8 月)
広範 囲に延焼し
してしまうこ
ことも
多く、
、さらに延焼
焼・拡大した
た火災
の一部
部は、数千 ha 規模の大
大規模
火災となり、激甚
甚な被害をも
もたら
してい
いることが推
推定できる。
なお
お、森林の延
延焼面積と延
延焼材
積は 必ずしも比
比例していな
ないの
2
25000
2
20000
Surface under fire
に多発
発する火災の
の中には、火災が
火
15000
10000
5000
0
1 2 3 4 5 6 7 8 910
9 11121314151617181920212223242526272829303132333435
536373839404142434445464748
8
Mon
nthly per quartters
は、火災で焼けた
火
た森林の林分
分内容
が森林
林火災の発生
生箇所毎に大
大きく異なっ
っていること
と、疎林が森
森林全体の約
約 7 割を占め
め、高
齢・高
高蓄積の森林
林は国内の限
限られた場所
所に限定的に
に散在してい
いることから
ら、これらの
の高蓄
積の森
森林が火災で
で焼けた場合
合、一度に大
大量の延焼材
材積が生じる
ることによる
るものと考え
えられ
6
32
付属資料1
図－８
1/4 カ月毎の
の森林火災に
による延焼材
材積
る。
(1998-2
2007 の累計
計)
のようにマケ
ケドニア国は
は、夏場
この
の乾燥
燥が厳しく、
、火災に弱い
い若令な
250000
火災問
問題が同国の
の危機管理上
上の大き
200000
な課題
題になってい
いるが、真夏
夏の火災
150000
多発期
期に頻発する
る森林火災の
の初期消
火を、
、迅速かつ効
効果的に行う
うことが
できるよう体制強
強化を図るこ
ことが、
Wood mass
疎林が
が多いなどの
の理由により
り、森林
100000
50000
マケドニアの森林
林火災被害の
の軽減を
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9101112131415161718
81920212223242526272829303132
3 33343536373839404142434445
546
4 4748
M
Monthly
per qu
uarters
図る上
上で重要なポ
ポイントであ
あるよう
に思わ
われる。
林火災跡地の
の視察及び森
森林火災対策
策関係機関の
の出先事務所
所訪問につい
いて
④森林
今回
回の中間評価
価時の現地調
調査では、森
森林火災跡地
地の視察、C
CMC、DPR((災害救助庁
庁)、森
林公社
社等の出先事
事務所の訪問
問を行い、森
森林火災問題
題の理解の深
深化と森林火
火災対策に関
関わる
関係機
機関の役割分
分担や連携状
状況等の理解
解に努めた。
以下
下、各視察・訪問先で当
当方が得た情
情報や印象に
について、簡
簡単に記載す
する。
ⅰ) 道路沿いの
の森林火災跡地の視察
・被災した森
森林は、道路沿
沿いのマツの
の約 10 年生
生の植林地、森林火災の延
森
延焼面積は約
約 5ha
～8ha。被
被害木の大半
半は、葉が焼けた状態で枯
枯死している
るものの幹は
は焼けずに残
残って
おり、薪炭
炭材としての
の利用は可能
能。
・火災の原因
因は、現地の
の状況から判
判断し、タバ
バコの投げ捨
捨てである可
可能性が大。
（カウ
ンターパー
ートの意見も
も、マケドニ
ニアでは男女
女を問わず喫
喫煙率が高く
く、タバコの
の不始
末が森林火
火災の原因で
である場合が
が多く、この
の火災もタバ
バコの投げ捨
捨てが原因で
である
可能性が高
高いとの意見
見であった）。
・被災した森
森林は、幹線
線道路沿いに
に位置する極
極めて緩やか
かな緩傾斜地
地であったこ
ことか
ら、発見も
も早く、消火
火活動も比較
較的容易な現
現場であると
と判断された
たが、このよ
ような
火災現場で
であるにもか
かかわらず延
延焼面積が 5ha～8ha
5
に
にも及んでい
いたことは、マケド
マ
ニアにおけ
ける森林火災
災の消火能力
力の低さを示
示している可
可能性がある
るように思わ
われた。
のビニツァ地方事務所訪問
ⅱ) 森林公社の
・
・森林公社ビ
ビニツァ地方
方事務所の所
所長室にて、同所長より同
同事務所の概
概要及び森林
林火災
の
の現状等につ
ついて、以下
下のような説
説明を受ける。
（森林管理区
・同事務所
所では、5 つの計画区
つ
区域）の管理
理・経営を担当している。
。
・同事務所
所に所属する
る職員とワー
ーカーの数は
は、合計で 92
9 人。
7
33
・業務の大半は、薪炭材の受け払いに伴う調査や監督である。
・この地域での木材利用の大半は、薪炭材である。民有林では、薪炭材の伐採許可
を得るために森に火を入れるケースも多く、また、違法伐採の証拠隠滅のための
火入れも多いのではないかと思う。
・プロジェクトで供与した統合 GIS 端末用パソコンを確認。
・事務所の規模、職務内容ともに、日本の森林管理署と類似性が大との印象。薪炭材
の払い下げ業務が中心であり、燃料革命以前の日本の営林署の業務に近いとの印象
を受ける。100 人近い職員・ワーカーを有しているため、森林公社の出先事務所は、
森林火災の消火活動における重要な戦力であると思われた。（同所長の説明でも、管
轄する国有林で発生した森林火災の多くは、自力で消火しているとのこと。）
ⅲ) 自動気象観測器(AWS)の設置箇所（ビニツァ気象観測所）の視察
・気象庁のビニツァ有人気象観測所に設置された AWS の設置状況を視察・確認。
・昨年（初年度）、設置・供与された機材。一式で約 150 万円。
・マケドニアには、既存の有人気象観測所が約 40 カ所設置されており、初年度は、既
存の有人気象観測所の付近に AWS の設置箇所を選定した。
・小高い丘の上にある有人気象観測所の敷地内に設置されており、道路も整備され電
気等のインフラストラクチャーもしっかりしているため、維持管理上の問題は特に
想定されなかった。（2 年目以降に設置される AWS は、既存有人気象観測所付近以
外の山岳部に設置されることになっているため、設置現場の状況を踏まえた維持管
理上の課題は未確認。）
ⅳ) デルチェボ地域のブルガリアとの国境付近の森林火災跡地の視察
・今年（2012 年）の夏、ブルガリアとの国境で発生した森林火災の跡地を視察。
・被害面積は 500ha。ブルガリア側で発生した森林火災がマケドニア側にも拡大・進入
したもの。
・ブルガリア側とマケドニア側の双方が協力して消火に当たり、航空機も出動したとの
こと。(ブルガリア側の消火機材が良いとのコメントもあり。)
・森林火災の原因は、不明。(調査中)
・森林火災の被害地は、緩やかな稜線付近に位置するマツの 10 年生前後の人工林とナ
ラを主体とする若令から壮令にかけた天然林。稜線には、点々とナラの大木が残存する
が、ほとんどは、樹冠粗密度が疎～中程度の立木度の低い若令で低蓄積な落葉広葉樹を
主体とする天然林。天然林の林令は 10 年～20 年程度と推定された。
・火災現場付近には民家は一軒もなく、付近に農地や放牧地もないため、一般人による
火災発見通報はあまり期待できないのではないかと思われた。
・火災現場へ至るルートは、途中までは一般乗用車の通行が可能な公道及び林道が通じ
8
34
付属資料1
ていたが、火災現場へ至る 3km 前後の区間には整備された林道がなく、天然林の伐採
やマツ人工林の植栽時に作設したと思われる未整備の簡易林道及び尾根沿いの草地・灌
木地を四輪駆動車で移動した。
・被害が拡大した主因は、森林火災の発生現場がアクセスの極めて悪い国境沿いの山奥
の稜線部であったことによると思われるが、樹冠密度が低いため林内にも草本性の植生
が多く、乾燥期には、それらの草本性の植物が枯れ上がるとともに落葉も乾燥するため、
火災が発生・拡大しやすい環境下にあったことに加え、森林火災の発生箇所が尾根の上
部に位置していたため、消火用水の確保が難しいだけではなく、風の影響を受けやすい
場所であったことも被害が拡大した要因ではないかと推定された。
ⅴ) デルチェボ合同地方事務所訪問(CMC、DPR、警察などの複数の国の出先機関の事務
所あり)
・当該地方 DPR 事務所の女性所長より、以下のような説明を聞く。
・地方 CMC 事務所の役割は、災害に関係する関係機関との調整である。
・地方 DPR 事務所は、消火活動を担当。事務所には、車両は 2 台しかない。
・DPR は消火用の飛行機を 2 機保有している。
・地方 CMC 事務所は隣の部屋に入っており、緊密に連携を行っている。
・火災頻発期には、火災対策関係機関が頻繁に集まり、打合せを行っている。
・今年は管内で 32 件の林野火災が発生。森林火災は 25 件、被害面積は 700ha。
・例年、25 件～30 件の森林火災が管内で発生している。
・管内の災害には、山火事の他に、崖崩れと、2 年～3 年毎に起こる洪水がある。
・隣の部屋に入っている CMC の出先事務所を視察。小会議スペースと緊急連絡施設(緊
急連絡先のリストなども掲示)があり、ここで災害発生時には関係機関と打合せを行うと
ともに、緊急連絡等を行うとのこと。
・火災(森林火災を含む)が発生した場合、まず、全国に 85 ある地方自治体が消火に当た
り、地方自治体の消防体制では対処できない場合、地方 CMC の指示の下で地方 DPR が
消火にあたり、さらに地方 DPR の消防体制では対処できない場合、CMC 本部の指示の
下、国レベルで DPR 本部が消火にあたることになる。
２
森林火災対策の観点からのプロジェクト活動状況の現状の評価と提言について
(１)森林火災リスクアセスメントのための国家的システムの開発
プロジェクトでは、次の 8 つの地図または表をツールとして、森林火災リスクアセスメ
ントを行うこととしており、表－５に示した 8 つのツールを備えた統合 GIS システム（マ
ケドニア森林火災情報システム（MKFFIS））を開発中であった。
9
35
表－５
森林火災のリスク要素とリスクアセスメント・ツールの対比表
リスク要素
リスクアセスメントのツール
ハザード
①ホットスポット発生地点図
(発火危険度)
⑤森林火災履歴図
火災対象
森林火災
リスク
④森林植生図
(燃焼物の量・価値)
⑧森林被害額表
火災の起きやすさ
②植生乾燥度図
③カナディアン FWI 図
（発火・延焼危険度）
消火能力と手段
⑤地形図
（消火の困難性・手段）
(注)
⑦消火機材・要員配備表
①～⑧の番号は、森林火災リスクを評価する上での重要度の高い順番を表している。
プロジェクトでは、MKFFIS を通じて提供される、これらのリスクアセスメントのツー
ルを職員(CMC の担当者)が総合的に判断して、森林火災リスクアセスメントを行うことが
できるよう、CMC の担当者等の能力向上を行うこととしている。
これら MKFFIS が備える 8 つのツール(情報)は、森林火災の予防活動から早期警戒、さ
らには初期消火活動にも使用できるツールであることから、CMC 本部が国家レベルで行う
森林火災に関する危機管理に使用できるだけではなく、CMC の地方事務所が各地域で行う
地域レベルでの森林火災に関する危機管理活動、さらには、森林公社、DPR、地方自治体
等が行う森林火災の予防活動や初期消火活動等にも活用できる汎用性の高いツールである
と考えられる。
以下、MKFFIS の各ツールの概要と想定される利用法について、簡単に説明するととも
に、活動状況の評価と提言についても、可能な範囲で言及することとする。
①ホットスポット発生地点図
ホットスポット発生地点図は、人工衛星から送られてくる赤外線データを解析し、地表
面(MODIS データの場合には 1km×1km、SEVIRI データの場合には 3km×3km)の温度が
一定の設定温度(通常 42℃程度、設定温度の変更は可能)を超える地点を特定することによ
り、マケドニア国全土を対象に森林火災等の発生箇所を予測・特定するための図面(ツール)
である。
しかしながら、本システムの地表温度の計測単位は最小でも 1km 四方であることから、
小規模な森林火災の発生地点の特定は困難であり、閾値の調整不可能なプログラムである
場合には、一定規模以上(おおむね数 ha 以上)の森林火災でなければ探知できないという、
システムとしての限界を有している。
インドネシア国では、カリマンタン島やスマトラ島の森林地帯などの人口希薄地域にお
10
36
付属資料1
ける森林・土地火災の早期発見の手段として、このホットスポット情報が有効かつ効果的
に森林・土地火災の初期消火活動に活用されているが、マケドニア国においては、小規模
な森林火災の探知は難しいという本ホットスポット探知システムの限界並びに、より乾燥
度が高く、地形や林分状況から判断し森林火災の拡大スピードが速いと思われることを踏
まえ、あくまで、森林火災の早期発見のための監視や巡視活動、火災発見者からの通報な
ど、既存の早期発見システムと併用する手段として位置付けることが望ましいと考えられ
る。
また、ホットスポット発生地点のデータを蓄積することにより、森林・土地火災がマケ
ドニア国内の地域毎、季節毎の発生頻度を知ることができることから、地域毎・季節毎の
森林火災予防活動や初期消火体制の整備等の検討にも有効に活用可能である。
なお、インドネシアの林業省では、ホットスポットの座標値データをホットスポットの
発生地点を管轄する出先機関へ配信し、現地確認を行うよう本省より各出先事務所へ直接、
指示しており、森林火災の初期消火や延焼拡大に大きな成果を上げている。マケドニアで
も、本システムを導入したメリットを最大限に生かすためにも、ホットスポットの現地確
認を確実かつ迅速に行うシステムを CMC、DPR、PEMF、地方政府等の各森林・土地火災
関係機関の役割分担を明確化しつつ確立する必要があるが、特に真夏（7 月～8 月）の森林
火災頻発期における監視やパトロール活動と統合するなど、マケドニア国の森林火災の現
状にあった、効果的・効率的なホットスポットの現地確認作業のシステムの構築が必要で
あると考えられる。
②植生乾燥度図
MKFFIS の植生乾燥度図は、人工衛星(テラ、モディス)に搭載された光センサーのデー
タを基に、地表の植生(森林や草地、農作物など)の乾燥度の違いを数ランク(色)に分け、可
燃物としての植生情報を一週間単位の情報として表示するもの。
森林を含め植物の水分量は、常に一定ではなく、季節に応じて変化しており、水分が少
なく乾燥度が大きいほど、燃えやすく、延焼スピードも早い。
このため植生乾燥度地図から、火災が発生しやすく、また、火災が拡大しやすい森林の
分布する地域を特定することができるため、効率的に森林火災の予防活動や早期警戒活動
を実施することが可能となる。
具体的な使用法について例示すると、首都スコピオ市の市民の憩いの森であり、国立公
園になっているウォドノ山は、今年の真夏の火災頻発期には全面的に入山が禁止されたと
聞くが、本植生乾燥度図を活用することにより、科学的根拠を持って合理的に必要な場所
に、必要な期間、このような入山禁止措置等を行うことができるようになるだけではなく、
パトロールの時期や場所を決定する際の判断材料としても有効に活用できると考えられる。
③カナディアン FWI 図
11
37
MKFFIS のカナディアン FWI 図は、温度、湿度、風速、雨量データを基に、属地毎の森
林火災危険度情報を一定の関係式で求め、その結果を火災危険度の違いに応じ数ランクに
区分し、全国の森林火災危険度を 1km メッシュ単位の地図情報として、毎日、表示するも
のである。
MKFFIS のカナディアン火災天候指標図は、全国に 21（うち 15 は本技プロで供与）カ
所設置された/される AWS から自動的に送られてくる情報を基に自動的に計算されること
から、AWS に何らかの不具合が発生した場合、正確な指標が得られなくなる可能性もある
ため、AWS の保守点検を確実に行うことは、当システムの機能を確保する上で必須の条件
になる。（不具合箇所について、自動的にデータを内挿補正する機能は、プログラムとして
組み込み済み。）このことから、AWS の保守管理を担当する気象庁は、そのために必要な予
算と人材の確保を確実に行う必要がある。
カナディアン FWI 図は、植生乾燥度図と同様に森林火災の発生し易さと延焼し易さを表
す指標であり、植生乾燥度図と同様に、森林火災の予防や早期警戒活動等に活用すること
ができるが、両方の図をあわせて活用することにより、より効果的な森林火災予防活動や
早期警戒活動を実施することが可能となる。
また、AWS から得られる風速等の情報は、森林火災の消火戦略をたてる上でも有用であ
るなど、森林火災の予防だけではなく、火災が発生した場合の消火活動においても有効に
活用できるものである。
（本システムでは、1 日 1 回計測するのではなく 10 分単位で気象デ
ータを計測し、10 分毎に MKFFIS に気象データを転送するよう設計されており、AWS で
得られる気象データは、カナディアン FWI 図の作成だけに用いられるのではなく、前述し
た消火活動をはじめ、気象庁などにおいて有効に活用されることが期待されている。）
④森林植生図（情報）
地理情報システムに入力される森林植生情報は、森林のタイプ区分別（マツ人工林、ブ
ナ天然林、ナラ天然林等）情報のみである場合が一般的である。一方、MKFFIS の
森林
植生図は、基礎データとして、国有林の 9 割（180 計画区）の管理経営を担うマケドニア森
林公社が所有する森林調査簿や森林計画書のデータが入力される。このため、森林の管理
経営上の最小単位である小班（固定的な区画として地形を利用して設けられる林班（1 林班
は 50ha～100ha 程度）を森林施業の必要性により区分した区画であり、通常、1 林班は、3
～6 小班程度に区分されている。）毎に、樹種、林齢、蓄積、傾斜等の基本的な森林情報の
みならず、立木の材積や評価額など、森林経営に関する情報も含め、森林植生に関する様々
な情報を小班単位で地図情報上に表すことができる。
（統合 GIS システムに入力された森林
公社が所有する森林調査簿や森林計画書のデータに CMC 等の他機関がどこまでアクセス
できるようになるかについては、今後、関係機関と協議して決められる予定とのことであ
った。）
前述したように、MKFFIS の森林植生図（情報）を通して、森林火災が発生している森
12
38
付属資料1
林及びその周辺の森林植生（情報）について、小班単位で経済的な情報を含めた詳細な情
報が得られることから、森林の経済的価値等を考慮した火災予防活動の展開、同時に複数
の森林火災が発生した際の消火活動の優先度の検討、森林火災による経済的な損失の最小
化を図るための消火戦略の検討など、幅広い活用が想定できる優れたシステムである。
しかしながら、MKFFIS の森林植生図（情報）は、システム開発時にはローカル・コン
サルタントが森林公社の管理経営に関する基礎情報（森林調査簿と森林管理計画書のデー
タ）を基に統合 GIS システムへの入力作業を行うものの、システム完成後は、毎年、森林
公社が 18 森林計画区の森林管理情報を自力で入力・更新することになっている。このため、
森林公社の森林情報の入力・更新作業が滞った場合、MKFFIS の森林植生図（情報）のデ
ータが古くなるなどの問題が生じることになり、CMC においても、森林公社の森林情報の
入力・更新作業の状況の把握に努め、円滑に作業が進捗するよう、必要に応じ森林公社に
対して、働きかけを行う必要があるものと思われる。
また、MKFFIS データへのアクセス権についても、これから関係機関と協議し決めるこ
とになっているが、森林植生図（情報）の基が森林公社の森林管理計画に関する情報であ
るため、他機関がデータにどこまでアクセスできるか判断が難しい面もあることから、CMC
が中心になり、森林公社、MAFWE、 DPR 等の関係機関と十分な協議が必要となるものと
考えられる。
なお、当面、MKFFIS に入力・更新される森林植生図(情報)は、森林公社の管轄する国
有林（国有林の 9 割、森林全体の 8 割）の情報に限られるが、将来的には、MKFFIS の活
用状況や関係機関との連携・協力状況等を見極めながら、環境省等が管轄する国有林や私
有林の森林植生図、さらには放牧地（野焼きの延焼も森林火災の原因の 1 つ）の情報を入
力することにより、森林火災の発生現場の全体像が明らかになり、より効果的な予防対策
や消火活動が実施できるようになるものと考えられる。
⑤森林火災の発生地点の記録図
本システムは、森林公社の地方事務所が作成する森林火災被害報告書の情報を基に、
MKFFIS 上で森林火災の発生地点の記録図を作成するものである。
森林火災の発生地点の情報が蓄えられることにより、森林火災が「いつ」「どの地域で」
「どのような原因」で起こっているか、全国的な傾向が掴めることになり、効率的な予防
活動や最適な消火体制の構築等にかかる基礎資料等としての活用が考えられる。
なお、副次的な取り組みではあるが、開発中の MKFFIS を活用し、これまで紙ベースで
森林公社の地方事務所が作成し、森林公社本部を経由し農業・林業・水経済省へ報告・申
請していた森林火災被害報告書と火災跡地の復旧計画の承認事務を電子決済化する方向で
検討が行われている。
⑥地形図
13
39
本システムでは、1:25,000 のデジタルマップを使用。
森林火災の発生現場のアクセスや消火活動を検討する等の際、基本となるものである。
⑦消火機材・要員配備表
森林公社、DPR、地方自治体等が所有する消防隊員と消火資機材等についての情報
MKFFIS のデータとして整備するものである。
中間評価でプロジェクトを訪問した際には、本システムについての具体的な検討はこれ
から行うとのことであり、アウトプットの具体的なイメージは確認できなかったが、本シ
ステムを整備することにより、各地域の森林火災時に動員できる消火要員数や消火機材を
容易に把握することができるようになることから、各地域の森林火災に対する対処能力の
把握が可能となるだけではなく、大規模な森林火災が複数の現場で発生した際などに、周
辺地域の消火手段（要員と機材）をどの火災現場に動員するかなど、迅速かつ合理的な消
火手段の配置等を検討する際なども有効に活用できるものと考えられる。
⑦ 森林被害額表
本システムは、森林公社の地方事務所が作成する森林火災被害報告書の情報を基に、
MKFFIS 上で森林火災による被害額の記録や集計を行うものである。
(２)森林火災の予防・早期警戒に関する CMC 及び関係機関の情報共有・連携の強化
今回の中間評価の時点では、プロジェクトの活動は MKFFIS の開発にほぼ特化しており、
関係機関との情報共有や連携の強化に関する活動は、MKFFIS の開発を通じた情報共有と
連携にとどまっていた。
しかしながら、国家的な規模の森林火災の発生を未然に防ぐためには、プロジェクトで
開発を進めている MKFFIS を森林火災対策にかかる有効な手段として、CMC の本部が中
核となって、中央レベルでは、森林公社、農業・林業・水経済省、DPR、気象庁等の森林
火災対策機関が、また、地域レベルでは、それぞれの地方組織と地方自治体が情報を共有・
連携しつつ、効果的な森林火災予防活動や消火活動を展開することが必要不可欠である。
プロジェクトでは、半年に 1 回ペースで MKFFIS のシステム開発や利用に関わる関係機
関(CMC、MAFWE、PEMF、DPR 等)を集めて技術調整グループ会議を開催しており、プ
ロジェクトの終了後についても当該活動を継続することとしているが、MKFFIS の完成後
については、MKFFIS を有効に活用し、また、大規模森林火災の効果的な予防と消火活動
を図る観点から、当該技術調整グループ会議をさらに発展させ、森林火災対策にかかる関
係機関の連携・協力の場として、体制の維持・強化を図る必要があると思われる。
森林火災対策において、CMC 本部が担う役割は、国家レベルの大規模な森林火災被害を
未然に防ぐための情報の分析・発信と、国家レベルで対処すべき大規模な森林火災が発生
した際の国の司令塔としての役割であるが、それらの役割を CMC がしっかりと果たすこと
14
40
付属資料1
ができるよう、本プロジェクトは、CMC の情報分析能力やその発信力、関係機関と連携・
協力体制の強化を図るものである。
国家レベルの大規模森林火災の未然防止と早期鎮火のために CMC 本部が行うべき具体
的な事務の事例を挙げれば、以下のようなものが想定できる。
・真夏（7 月～8 月）期の森林火災頻発期における入山規制の期間・場所・規制内容等
・早春（3 月～4 月）及び真夏（7 月～8 月）の火災頻発期における火災予防啓発活動の
内容等の検討（MKFFIS のデータより、大規模な森林火災の発生が想定される場合）
・大規模な森林火災が同時に複数発生した場合等における消火手段（要員と機材）の保
有状況を踏まえた地方 CMC 間の相互応援の指示・調整
・国家的規模で対応すべき大規模火災が発生した場合における DPR、軍、PEMF、農業・
林業・水経済省、地方自治体等への指示・調整
MKFFIS は、このような事務を科学的・合理的に進めるために有効な手段であるが、
MKFFIS を有効に活用するためには、まず、CMC 本部の森林火災にかかるハザード分析担
当者や地方 CMC 事務所の指導担当者等が MKFFIS の備えた諸ツールを使いこなすことが
必須であり、このことからも、今後、予定されている CMC 本部等の MKFFIS 担当者等へ
の研修は極めて重要であると考えられる。
（研修内容は、MKFFIS の各ツールの使い方だけ
ではなく、各ツールから得られるデータの分析・利用方法についても、可能な限り、内容
を充実させることが望ましい。）
MKFFIS は、森林火災予防活動と早期発見・初期消火活動に有効にも極めて有効なツー
ルであり、実際に、日常的に火災予防対策を担う地方レベルの活動においても、大きな力
を発揮しうるものである。
幸いなことに、今回の中間評価時の現地視察でも確認できたが、すでに地域レベルでは、
地方 CMC が森林火災対策関係機関の司令塔となり、真夏（7 月～8 月）の森林火災頻発期
を中心に頻繁に CMC、DPR、農業・林業・水経済省、森林公社の各地方組織、地元自治体
による会議や消火等における連携活動が行われている。
したがって、地方においては、地方 CMC のリーダーシップの下、MKFFIS を各関係機
関が有効に活用しつつ、より効率的かつ効果的な森林火災予防活動と消火活動を展開して
行くことが求められる。そのためには、関係機関へ MKFFIS ソフトの利用法と MKFFIS
システムのメンテナンスについて、プロジェクトが終了するまでに十分な訓練を行いつつ、
地域レベルでの効果的な MKFFIS の活用方法と、関係機関の連携協力のあり方について検
討し、MKFFIS を通じ関係機関間の連携・協力の強化を図る必要がある。
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＜変更理由＞
指標 1: Data/information stored in 当初指標は定義や達成度の判断基
the integrated GIS system will be
準・時期があいまいであり、適切
regularly updated.
なレビューを行うには再定義が
必要であった。
指 標
3:
Domestic
relevant
institutions will conduct prevention
and early warning of forest fires ＜変更内容＞
based on data/information from プロジェクトの提案を基に、指標
CMC.
の定義、判断基準（計画値）をよ
り明確にした。
＜変更後＞
指標 2:
By the Project end,
information contained in forest fire
risk assessment tools of the
integrated GIS at CMC is updated
with pre-determined frequency for
transmission to the relevant
institutions.
指標 3:
By the Project end,
data/information from CMC based
on the integrated GIS is utilized by
the domestic relevant institutions
for prevention and early warning of
forest fire.
2
＜変更理由＞
＜変更前＞
指 標 2: National coordination 当初指標はプロジェクト目標とい
mechanism will be monitored and
うよりアウトプット・レベル（ア
updated if necessary
ウトプット 2）の指標である。
＜変更内容＞
＜変更後＞
指標１：
By the Project end, アウトプット 2 に移動。
modifications in the existing より適切な指標として、アウトプ
government
procedures,
ット 2＋外部条件によって実現
necessary to fit the integrated GIS,
が期待される政府手続き改正案
1
69
in legislative
adopted
by
authorities.
framework, are
の承認を設定。
the
relevant CMC の「この指標がカギであり、
指標の最初にもってくるべきだ」
との主張により、指標の順番を入
れ替えた。
表 2. PDME のアウトプットの指標の変更箇所
＃ 変更箇所
1
変更理由、内容
＜変更前＞
＜変更理由＞
指 標 1a: Number/volume of 当初指標は定義や達成度の判断基準・時期
data/information stored in the
があいまいであり、適切なレビューを行
integrated GIS system will be
うには再定義が必要であった。
enough for forest fire risk
assessment.
＜変更内容＞
GIS には「system」という語句が含まれ
ることから、Integrated GIS system は
＜変更後＞
integrated GIS とすることになった（以
指標 1a：By December 2012,
integrated GIS is reinforced
下、全ての指標に適用）。
based
on
the
risk 統合 GIS の開発自体がアウトプット 1 の
assessment
methodology
大きな成果であり、開発の進捗はアウト
developed by the Project
プットの達成に大きく影響することか
(i.e. integrated GIS ver1);
ら、指標 1a として、統合 GIS の開発を
and
is
improved
by
追加することになった。
December
2013(i.e. 森林火災リスク・アセスメントに「十分な
integrated GIS ver2).
数/量」の定義は、PDM の注釈によれば
は、プロジェクト開始 1 年後に、森林火
指標 1b： From January 2013,
all of the data required for
災リスク・アセスメントに「十分な数/
forest fire risk assessment
量」の定義を決定・合意することとされ
with
pre-determined
ているが、まだ行われていなかった。し
time/spatial
resolution,
かし、プロジェクトに確認したところ、
provided by PEMF and
2012 年 5 月の SC において、森林火災
Hydro-met, is stored in the
リスク・アセスメント・ツールに必要な
integrated GIS.
データ・データ取得先・時間/空間分解能
を示した表が承認されており、この表に
示されたデータが、データ取得先（PEMF
と Hydro-met）から、表の通りの時間/
空間分解能で提供されれば、「十分な数/
量」となるとのことであったので、これ
を指標に反映させることにした。
2
70
付属資料3
＃ 変更箇所
変更理由、内容
指標の達成時期は現行 PO(2012 年 5 月の
SC 承認)のスケジュールからとった。な
お、指標 1a については、統合 GIS は 2
段階に分けて開発されること、統合 GIS
の開発の進捗状況がアウトプット全体
に大きく影響することから、指標/アウト
プットの達成状況をよりわかりやすく
するために、2 段階の達成時期を設定す
ることになった。
2
＜変更前＞
＜変更理由＞
指標 1c: GIS hazard maps will 当初指標は定義や達成度の判断基準があ
cover wider area.
いまいである。さらに、プロジェクトの
説明によれば、開始前、GIS ハザード・
マップは作成されていなかったため、
＜変更後＞
「wider area」という文言はそもそも不
指標 1c: By December 2012,
four forest risk assessment
適切である。
tools (i.e. hot spot map and 当初計画では、リスク・アセスメント・ツ
vegetation dryness map,
ールとして GIS ハザード・マップのみが
covering
all
land
of
作成される予定だったが、プロジェクト
Macedonia, as well as forest
を通して開発され、2012 年 5 月の SC
vegetation map and fire
で承認された森林火災リスク・アセスメ
history map, covering 90 % of
ント手法では、リスク・アセスメント・
forests in Macedonia) are
ツールとして、GIS ハザード・マップ 2
stored in the integrated GIS;
種類を含む合計 8 種類のツールが特定さ
and the other three (i.e. FWI
れ、作成が進んでいる。このため、GIS
map
and
suppression
ハザード・マップのみを指標にとりあげ
resource table, covering all
ると、アウトプットの内容を適切に反映
land of Macedonia, as well as
できない可能性がある。
damaged forest value table, 以上から、適切なレビューを行うには再定
covering 90% of forests) are
義が必要であった
stored by December 2013.
＜変更内容＞
指標の対象とするツールをプロジェクト
に確認したところ、リスク・アセスメン
ト手法で特定された 8 種類のツールのう
ち地形図をのぞく 7 種類のツールを指標
の対象とすべきだとの意見であった。こ
の意見を基に、指標を再定義した。
3
71
＃ 変更箇所
変更理由、内容
達成時期は現行 PO のスケジュールから
とった。なお、ツールは、統合 GIS 同様、
2 段階（最初に 4 種類、次に 3 種類）に
分けて格納されることから、指標の達成
状況をよりわかりやすくするために、2
段階の達成時期を設定することになっ
た。
2
＜変更前＞
＜変更理由＞
指 標 1b: Number of the 当初指標の定義・達成度の判断基準が曖昧
integrated GIS system users
なため、適切なレビューを行うには再定
with
their
capacity
義が必要であった。
improvement will be enough
for operating the system.
＜変更内容＞
プロジェクトに確認したところ、「システ
ムの運用」には、CMC だけでなく、関
＜変更後＞
連機関による利用も含まれること、また
指標 1d: By March 2013, at
least X officers from HQ and
「統合 GIS ユーザー」の定義は、CMC
regional CMC and X officers
及び主要情報利用機関（PEMF, MAFWE,
from HQ and regional offices
DPR）におけるシステムの管理者及びシ
of the principal information
ステム情報の利用者であり、
「能力向上」
user institutions (X from
については、①システムの管理、②シス
PEMF, X from MAFWE, X
テムの利用、③システムに含まれる森林
from DPR) are trained in
火災リスク・アセスメント・ツールの解
administration
and/or
釈、の３種類の研修が想定されることが
utilization of the integrated
明らかになった。これらを基に指標を再
GIS as well as interpretation
定義した。
of the first 4 forest fire risk 「システムの運用」に「十分な人数」（＝
assessment tools; and the
研修対象人数）は、レビュー時点では特
other three tools by March
定されておらず（PDM の注釈によれば
2014.
は、プロジェクト開始 1 年後に、「十分
な人数」の定義を決定・合意することと
されている）、人数は X とすることにし
た。
達成時期は現行 PO のスケジュールから
とった。なお、研修は、統合 GIS/ツール
の開発にあわせて、2 段階に分けて実施
されることから、指標の達成状況をより
わかりやすくするために、2 段階の達成
4
72
付属資料3
＃ 変更箇所
変更理由、内容
時期を設定することになった。
＜変更理由＞
４ ＜変更前＞
指標 1d: Relevant institutions 当初指標は定義や達成度の判断基準があ
will utilize the developed risk
いまいである。さらに、関連機関はプロ
assessment
methodology
ジェクトで開発した手法そのものとい
based
on
appropriate
うより、統合 GIS のリスク・アセスメン
understanding.
ト・ツールの情報を利用することが期待
されている。このことから、適切なレビ
ューを行うには再定義が必要であった。
＜変更後＞
指標 1e: From January 2013,
information contained in the ＜変更内容＞
forest fire risk assessment 主要利用機関と他の関連機関とでは情報
tools of the integrated GIS is
共有の度合いが違うため、それぞれ指標
available to the
principal
を設定することになった。
user
institutions
for 達成（開始）時期は現行 PO のスケジュー
utilization in prevention and
ル（統合 GIS の運用開始時期）に合わせ
early warning according to
た。
the agreed access rights.
指標 1f：From January 2013,
part of information contained
in the forest fire risk
assessment tools of the
integrated GIS is published at
CMC’s website for utilization
by other relevant institutions.
５ ＜変更前＞
＜変更理由＞
指 標 2a: Information and 当初指標は定義及び達成度の判断基準
technologies on prevention
があいまいである。さらに、2a の「情報・
and early warning of forest
技術の共有」はアウトプット 1 の統合
fires will be shared by CMC
GIS 構築を通しても実現するため、アウ
and
domestic
relevant
トプット 2 の活動により達成が期待され
institutions.
る状態を測る指標としては問題がある。
指標 2b: Public awareness on
また、2b は「関連機関との情報共有と連
prevention and early warning
携の調整メカニズム強化」というアウト
of forest fire is raised at some
プットの内容を直接的に反映しておら
model areas of this project
ず（どちらかというと、アウトプット達
指標 2 (プロジェクト目標の指
成により、関連機関の活動により間接的
5
73
＃ 変更箇所
変更理由、内容
標 よ り 移 動 ) ： National
coordination mechanism will
be monitored and updated if
necessary.
に達成が期待される状態である）、また
プロジェクト以外の種々の要因に影響
されうる指標であり、指標として不適切
である。逆に、アウトプット 2 の活動か
ら達成が期待され、本来はアウトプッ
ト・レベルの指標であるべき「調整メカ
ニズムのモニタリングと更新」がプロ目
の指標として設定されており、論理的整
合性に問題がみられる。レビューを適切
に行うために、アウトプット 2 の指標を、
全体的に整理・見直すことが必要であっ
た。
＜変更後＞
指標 2a：By December 2012,
the
final draft(s)
for
necessary modifications of
the existing government
procedures is(are) submitted
by
the
responsible
organizations to the relevant
authority/authorities
for ＜変更内容＞
adoption.
当初指標 2a については、アウトプット 2
で計画されている具体的な活動の結果、
指標 2b：By the Project end, a
technical-level coordination
期待される状態（①政府手続き改正案の
meeting on prevention and
最終稿の当局への提出、②ポスト・プロ
early warning is formalized
ジェクトにおける森林火災防止・早期警
for the post-project period.
戒に係る技術レベルの調整会議の公式
化）をもって再定義することになった。
指標 2c：By the Project end,
recommendations
for 当初指標 2b については、住民意識の向
improvement of coordination,
上がプロジェクトのスコープ外であり、
using the integrated GIS, are
対応する活動（活動 2.3）においても「住
made based on monitoring in
民意識」ではなく「情報共有と協力」の
some model areas within
現状の確認が計画されていることから、
jurisdiction
of
selected
指標から削除した。
RCMCs for action by CMC.
プロジェクト目標にあった指標 2（「調整
メカニズムのモニタリングと更新」）に
ついては、活動 2-3 と 2-4 の結果として
期待される「CMC のアクションのため
に、モデル地域のモニタリング結果に基
づき、統合 GIS 利用による情報共有・連
携の調整に対する提言がなされる」と再
定義することになった。
6
74
付属資料3
表 3. その他の変更箇所（当初 PDM の削除箇所を打ち消し線、追加箇所を下線で示
す）
＃ 変更箇所
1
欄外
2
指標入手手段
変更理由、内容
＜変更内容＞
Duration: Three years from the date プロジェクト期間を明確にした。
of the first dispatch of expert (s)
From 10 May 2011 to 9 May 2014
＜変更内容＞
指標の変更に伴い、全面的に見直
した。
7
75
別添Ｘ 改訂 PDM の主な変更箇所及びその理由/変更内容
表 1.プロジェクトの要約の変更箇所（当初 PDM の削除箇所を打ち消し線、追加箇所
を下線で示す）
＃ 変更箇所
1
変更理由、内容
massive forest fire の脚注（開始後 6
ヵ月に定義するという内容）を削
The occurrence of massive forest
fire(i) are reduced by strengthening
除。上位目標の指標の注釈に
the social capacity for prevention
「massive level」な「forest fire」
*(i) and early warning of forest fire.
を定義するという注釈をつけたた
め（表 2 #1 参照）
上位目標の脚注
prevention に 脚 注 （ Prevention”
includes risk reduction among
others）を追加。
2
プロジェクト目標の脚注
The capacity of CMC for transmitting
information to domestic relevant
institutions for prevention and early
warning of forest fire *(ii) and
coordinating them is strengthened.
「 Supposed “relevant institutions
for prevention and early warning of
forest fire” are MAFWE, PEMF,
local government,
local fire
fighting forces and
forestry
department
at
national
university 」 を 、 実 態 に あ わ せ て
「“Domestic relevant institutions ”
targeted by the Project
are
MAFWE,
PEMF,
DPR,
municipal government, local fire
fighting forces and
others as
required」に変更
3
プロジェクトにおける「forest fire
risk assessment」の概念を明確化
National system for forest fire risk
assessment *(iii), using the
するために次の脚注をつけた：
integrated GIS *(iv), is developed.
Concept of “forest fire risk
assessment” consists of four
elements ( hazard, exposure,
vulnerability, and capacity and
measure)
アウトプット 1 及び脚注
森林火災リスク・アセスメント・シ
ステムは、統合 GIS を用いたシス
テムであることを明確にするた
8
76
付属資料3
め、文中に「using the integrated
GIS」を追加した。（森林火災リス
ク・アセスメント・システムと統
合 GIS の関係図は合同評価報告書
の RM A を参照）
現地のプロジェクト関係者は、統合
GIS を MKFFIS と名付けており、
統合 GIS＝MKFFIS であることを
明確にするため、脚注（「Integrated
GIS developed by the Project is
known as “Macedonian Forest Fire
Information System (MKFFIS)“」を
つけた。
4
アウトプット 1 の活動
活 動 1-3 Reinforce develop the
integrated GIS, including software,
hardware and equipment, with
necessary training for operating
and maintaining the system
活動 1-4 Prepare and publish Store
GIS hazard risk maps and tables
for forest fire in the integrated GIS
活動 1-6
Prepare the feasibility
study on the technical system for
forest fire early detection**V
活動 1-7 Hold training/workshops on
the integrated GIS & forest fire risk
assessment tools for
system
users/administrators at CMC and
the relevant institutions
活 動 1-8 Share information for
forest fire risk assessment from
CMC to the relevant institutions
through the integrated GIS
活 動 1-3: 当 初 計 画 の 変 更 を 反 映
（「実施プロセス」で示したよう
に、実際には既存システムの「強
化」は行われておらずコンテンツ
の拡大に対応するため、完全に新
しいシステムの「開発」が行われ
ている）。研修は活動 1-7 に統合し
たため、活動 1-3 からは削除。
活動 1-4：当初計画の変更を反映。
（「実施プロセス」で示したよう
に、実際には GIS ハザード・マッ
プ以外のツール（マップ・テーブ
ル）も作成される。またすべての
ツールが公開されるわけではな
い）
活動 1-6：活動 1-6 は途中でキャンセ
ルになったため、脚注（「Given the
result of the feasibility study as
some approaches, the both sides
will discuss the possibility of
development of the early detection
system(s) within the Project
period」）を削除。
（プロジェクト開
始当初、いくらかの活動が行われ
たため、活動自体は削除しなかっ
た）
9
77
活動 1-7：活動の内容を明確化
活動 1-8：アウトプット 1 で当初か
ら想定されていたが、PDM には含
まれていなかった。重要な活動で
あるため、PDM に示すことになっ
た。
5
アウトプット 2 の活動
活動 2-1：活動の内容を明確化（
「実
活 動 2-1 ： Develop sustainable
施プロセス」3.4.1(2)参照）
coordination mechanism of CMC 活動 2-3：活動の内容を明確化（
「実
and relevant institutions through
施プロセス」3.4.1(2)参照）」参照）
identifying
problems
about 活動 2-4：活動の内容を明確化（
「実
information
sharing
and
施プロセス 3.4.1(2)」参照）
coordination using the integrated
GIS
活動 2-3：Confirm the existing state
of coordination
of information
sharing
and
cooperation
transmission
and
public
awareness on prevention and early
warning of forest fire at some
model areas within jurisdiction of
selected RCMCs
活動 2-4：Assess the effectiveness of
the integrated GIS in coordination
of CMC and relevant institutions
and
identify
supplementary
measures, if necessary, utilizing
the results of 2-3.
表 2.指標の変更箇所(PDME からの削除は打消し線、追加は下線で示す)
＃ 変更箇所
変更理由、内容
1
上位目標の指
標にも、他の
指標同様、定
義・判断基準
の曖昧さと
いう問題点
があるが、時
間的制約か
上位目標の指標
Note for Indicators: By March 2013, indicators for the Overall
Goal, including definition
of “more promptly, “more
adequately”, “rate of forest fire!, and “massive level”, will
be examined by TCGM and proposal on necessary
modification will be submitted to the subsequent SC for
approval
10
78
付属資料3
＃ 変更箇所
変更理由、内容
ら、中間レビ
ューでは上
位目標の指
標を改訂で
きなかった
ため、指標の
改訂時期・方
法を PDM 内
の注釈とし
て示した。
2
アウトプット１の指標
指標の達成時
指標 1a: By December 2012 February 2013, integrated GIS
期を PO 改訂
is reinforced based on the risk assessment methodology
案 (PO ver4
developed by the Project (i.e. integrated GIS ver1); and
案)の最新ス
is improved by December 2013(i.e. integrated GIS ver2).
ケジュール
にあわせて
修正
指標 1b： From January 2013 March 2013, all of the data
required for forest fire risk assessment with レ ビ ュ ー 時 点
pre-determined time/spatial resolution, provided by PEMF
で明確には
and Hydro-met, is stored in the integrated GIS.
ならなかっ
指標 1c: By December 2012 February 2013, four forest risk
assessment tools (i.e. hot spot map and vegetation
dryness map, covering all land of Macedonia, as well as
forest vegetation map and fire history map, covering 90 %
of forests in Macedonia) are stored in the integrated GIS;
and the other three (i.e. FWI map and suppression
resource table, covering all land of Macedonia, as well as
damaged forest value table, covering 90% of forests) are
stored by December 2013.
た指標 1d の
研修対象人
数 、 指 標 1f
の他機関へ
の公開ツー
ルにつき、明
確 化 の 時
期・手段・承
認 方 法 を
PDM 内に注
指標 1e: By January March 2013, information contained in
the forest fire risk assessment tools of the integrated GIS
釈をつけて
is available to the principal user institutions *(v) for
示した。
utilization in prevention and early warning according to 指標 1e の主要
the agreed access rights.
利用機関に
脚注をつけ、
指 標 1f ： By January April 2013, part of information
contained in the forest fire risk assessment tools (i.e. X,
定
義
(“Principal
X, ・・・) of the integrated GIS is published at CMC’s
information
website for utilization by other relevant institutions.
11
79
＃ 変更箇所
変更理由、内容
Note for Indicator 1d: Target number (X) shall be specified
by December 2012 in consultation with TCG for approval
by the subsequent SC.
Note for Indicator 1f: Forest fire risk assessment tools
that shall be published through internet shall be identified
through consultation with TCG by March 2013. Name of
tools to be published (X) shall be specified in the
Indicator accordingly and modification shall be proposed
to the subsequent SC for approval
users”
targeted by
the Project
are
the
relevant
institutions,
to
which
equipment
for
information
users
are
provided (i.e.
PEMF,
MAFWE,
DPR))を明ら
かにした。
3
アウトプット 2 の指標
指標の達成時
指標 2a：By December 2012, December 2013, the final
期を PO 改訂
draft(s) for necessary modifications of the existing
案 (PO ver4
government procedures is(are) submitted by the
案)の最新ス
responsible
organizations
to
the
relevant
ケジュール
authority/authorities for adoption.
にあわせて
修正
表 3.その他の変更箇所（当初 PDM の削除箇所を打ち消し線、追加箇所を下線で示す）
＃ 変更箇所
1
変更理由、内容
外部条件
プロジェクト目標達成の外部条件：
プロジェクト目標達成の外部条件：
現行 PDM の「according to the
Necessary cooperation such as
plan」についてプロジェクトに確認
appointment of project staff by
したところ、PO の計画を指すこと
allocation of sufficient budget, and
がわかった。また、プロ目達成に
other resources by relevant
は、政府手続き改正に係る協力も
institutions is secured according to
必要だが、現行 PDM では予算・人
the plan PO approved by the SC
員に限定的であるようにもとれる
アウトプット達成の外部条件：
ことから、プロジェクトと協議の
Necessary cooperation such as
上、左記表現に変更した。本来な
appointment
of
ら、外部条件は否定形で表される
12
80
付属資料3
users/administrators
of
the
が、関係者の混乱を最小限にする
integrated GIS allocation of
ため、現行 PDM の通り、肯定文の
sufficient budget by relevant
ままとした。
institutions is secured according to アウトプット達成の外部条件：未設
the PO approved by SC
定だったため、プロジェクトと協
議の上、設定。肯定文になってい
る理由は上と同じ。
13
81
付属資料4
A-1．List of CMC Personnel
(1) Project Director
(2) Project Manager
(3) Project Staff：7 persons in total
B-1．Assignment of Japanese Experts
(1) Long-term Expert :2persons in total
(2) Short-term Expert :7persons in total
B-2. List ofMacedonianPersonneltrained in Japan :3 persons in total
B-3． Disbursement of Local Activity Cost (as of September 20, 2012)
Unit=MKD
Major Budget Item JFY 2011 1 Professional Fee JFY 2012 770,969.50
2 Consultancy 2,695,700.00
TOTAL 316,658.00 1,087,627.50
‐ 2,695,700.00
3 Development ‐
296,906.00 296,906.00
4 Facility Maintenance ‐
‐ ‐
93,762.50
8,339.50 102,102.00
1,066,686.00
86,192.00 1,152,878.00
686,433.25
100,288.00 786,721.25
73,443.00
64,053.50 137,496.50
‐
‐ ‐
‐
19,060.00 19,060.00
11 Meeting‐Food 68,091.00
7,790.00 75,881.00
12 Miscellaneous 120,080.91
46,124.00 166,204.91
Total in Local Currency 5,575,166.16
945,411.00 6,520,577.16
Total in Japanese Yen (1 MKD = 1.61Yen) ¥ 8,976,018
¥ 1,522,112 ¥ 10,498,129
Total in US$ (1 MKD = 0.02042US$) $ 113,845
$ 19,305 $ 133,150
5 Equipment Maintenance 6 Goods Purchase 7 Travel 8 Communication and Transport 9 Documentation 10 Rental *Project disbursement is both in MKD and EUR. Each EUR disbursement was converted to MKD using 61.35 before summation. 83
C-1．List of Project Deliverables
- Report of aMethodology for Forest Fire Risk Assessment (March 2012)
- Report of Comparative analyses of some GIS platforms regarding project requirements (December
2011)
- System Design Report (GIS basic/detailed design) (March 2012)
- Functional Specification Document (June 2012)
- Program module for MSG2 data acquisition (August 2012)
- Minutes of the Meeting of SC1, SC2, and SC3
84
85
1
1
1
1
8
Dell Precision T5500
Dell Power Edge T110 -II
Mikrotik RB1100AHx2 RouterBOARD 1100AHx2 with Power PC
DCS-4500-50T Full Gigabit Intelligent
L2 Aggregation Switch
Campbell CR-lOOOXT and AM16/32XT set
19 Satellite Server(Tower type)
20 AWS Server
21 Router
22 Switch
23 AWS
24 AWS Data Collection System
25 AWS
2011
2011
2012
2012
2011
2012
2012
Campbell CR-lOOOXT and AM16/32XT set
1
Reserve Server will have 4 licenses for 4 virtual
servers with this.
18 Windows Server 2008R2 Standard Edition
2012
5
1
1
6
2
1
FUJITSU ESPRIMO P400 E85+
with E22W-6 LED monitor
13 Hardware Firewall
2012
1
17 Client
SonicWall NSA2400
12 PSU for NAS
2012
1
2012
For Dell Power Vault NX3100
11 Rack
2011
2
1
Conteg 19" 42U
10 UPS Battery
2011
1
FUJITSU ETERNUS LT40 S2 Library 24 slots
APC RBC12-SU5000R5IBX120
9 UPS(Rack mount type)
2011
1
16 Tape Library
Eaton 9135 5000VA
8 HUB(Rack mount type)
2011
1
2012
Dell Power Connect 2824
7 HUB(Rack mount type)
2011
1
FUJITSU LIFEBOOK E782 QM77
Dell Power Connect 2824
6 Network Storage(Rack mount type)
2011
1
15 Laptop PC
Dell Power Vault NX3100
5 Reserve Server(Tower type)
2011
1
2012
Dell Power Edge T710
4 Internet GIS Server(Rack mount type)
2011
1
FUJITSU
CELSIUS R920 with B24W-5 monitor
Dell Power Edge R710
3 Intranet GIS Server(Rack mount type)
2011
1
1
14 Workstation for simulation
Dell Power Edge R710
2 Calcuｌation GIS Server(Rack mount type)
Qn
2012
Dell Power Edge R710
Dell Power Edge R710
1 Data Base Server(Rack mount type)
2011
Specification
2011
JFY No. Item
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
18,833.00
17,220.00
13,763.00
1,141.50
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2,450.00
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235.00
5,810.00
5,383.00
4,495.00
3,075.00
3,075.00
2,325.00
Unit Price
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
150,664.00
17,220.00
68,815.00
1,141.50
753.76
2,450.00
3,132.00
584.27
6,246.84
14,592.00
1,419.43
15,209.12
4,628.11
285.71
3,236.00
702.00
1,718.00
239.02
235.00
5,810.00
5,383.00
4,495.00
3,075.00
3,075.00
2,325.00
Total Price
Skopje
Skopje
Skopje
Skopje
Skopje
Skopje
Skopje
JPY 23,157
JPY 23,553
JPY 169,292
JPY 69,175
JPY 318,875
JPY 28,154
JPY 456,054
Skopje
JPY 241,423
JPY 14,846,431
JPY 1,696,859
JPY 6,781,030
JPY 112,483
Golak, Berovo,
Pozar, Kozuf,
Jasen, Popova
Shapka, Gostivar,
Kichevo
R. Avramovska
R. Avramovska
R. Avramovska
Golak, Berovo,
Pozar, Kozuf,
Jasen, Popova
Shapka, Gostivar,
Kichevo
R. Avramovska
Skopje
R. Avramovska
R. Avramovska
R. Avramovska
I. Karafirovski
I. Karafirovski
I. Karafirovski
I. Karafirovski
I. Karafirovski
I. Karafirovski
I. Karafirovski
I. Karafirovski
I. Karafirovski
I. Karafirovski
I. Karafirovski
I. Karafirovski
I. Karafirovski
I. Karafirovski
I. Karafirovski
I. Karafirovski
I. Karafirovski
I. Karafirovski
Responsible
Person
Vinica, St.Nikole,
Gjurishte,
Mavrovo,
Topolcani
Skopje
Skopje
JPY 308,627
JPY 74,276
Skopje
Skopje
JPY 57,574
JPY 615,564
Skopje
Skopje
JPY 572,517
JPY 1,437,896
Skopje
JPY 530,441
Skopje
Skopje
JPY 442,937
JPY 139,871
Skopje
JPY 303,011
Skopje
Skopje
JPY 1,498,707
Skopje
JPY 303,011
Location
JPY 229,106
Total Price
Model number/
Equivalent JPY*3 Management number
Hydro-Met
Hydro-Met
Hydro-Met
Hydro-Met
Hydro-Met
Hydro-Met
Hydro-Met
CMC-HQ
CMC-HQ
CMC-HQ
CMC-HQ
CMC-HQ
CMC-HQ
CMC-HQ
CMC-HQ
CMC-HQ
CMC-HQ
CMC-HQ
CMC-HQ
CMC-HQ
CMC-HQ
CMC-HQ
CMC-HQ
CMC-HQ
CMC-HQ
Responsible
Organization
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
International or
local
procurement
Item number 26 is expected to be contracted by the time of Mid-term evaluation
Item number 25,31, 33, 36-39 have been contracted and planned to be delivered by the time of Mid-term Evaluation.
Item number 30 and 31 will not be delivered to end-user until the developed software will be installed.
Item number 8,21,22 were procured using operational budget. (Not equipment budget)
16/03/2012
24/08/2012
24/08/2012
16/03/2012
13/03/2012
17/08/2012
17/08/2012
17/08/2012
17/08/2012
17/08/2012
17/08/2012
17/08/2012
13/03/2012
13/03/2012
13/03/2012
13/03/2012
13/03/2012
13/03/2012
13/03/2012
13/03/2012
13/03/2012
13/03/2012
13/03/2012
Date of
Delivery
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
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E
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A
A
A
A
A
A
A
A
A
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(*2)
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1
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1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
# of
# of
# of
Relevant
dispose availabl eqpt on major aｃtivity
d eqpt e eqpt shpmt
# of PDM
*1 Use: A-Frequently (almost ever day), B-Sometines (1-3 a week), C-Use concentrated on particular period, D-Rarely (1-3 times a year), E- No use due to particular reasons
*2 Mgt: A: Always possible to use with sufficient maintenance, B-Almost no problem in use, C-Possible to use if repaired, D-Difficult to use
*3 JICA official rate of September 2012 is used for calcula
98.54
JPY)
List of Equipment and Machinery provided by Japanese Side
Appendix B Record of Japanese Inputs
付属資料4
86
Apple iPad2 WiFi + 3G (Assisted GPS)
Apple iPad3 WiFi
Dell Optiplex 390 Desktop
SonicWall TZ 210
30 PDA
31 PDA
32 Client
33 Hardware Firewall
34 Client
35 Client
Client
2011
2012
2011
2012
2011
2011
2012
2012
2012
39
38
37
Client
Client
Client
Eaton PW5130i 3000VA/2700W XL2U
29 UPS
2011
36
Synology DS2411+NAS Server
28 NAS
2011
2012
Dell Power Edge T710
27 Forest Server
2011
FUJITSU ESPRIMO P400 E85+
with SL23T-1 LED monitor
FUJITSU ESPRIMO P400 E85+
with SL23T-1 LED monitor
FUJITSU ESPRIMO P400 E85+
with SL23T-1 LED monitor
FUJITSU ESPRIMO P400 E85+
with SL23T-1 LED monitor
Dell Optiplex 390 Desktop
Dell Optiplex 390 Desktop
Campbell CR-lOOOXT and AM16/32XT set
26 AWS
Specification
2012
JFY No. Item
30
8
2
35
4
4
1
10
9
3
1
1
1
2
Qn
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
800.00
800.00
800.00
800.00
907.00
907.00
1,695.77
907.00
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24,766.00
Unit Price
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
€
461,417.76
24,000.00
6,400.00
1,600.00
28,000.00
3,628.00
3,628.00
1,695.77
9,070.00
5,431.23
2,199.00
873.00
2,397.00
5,529.00
49,532.00
Total Price
45,468,106.07
JPY 2,364,960
JPY 630,656
JPY 157,664
JPY 2,759,120
JPY 357,503
JPY 357,503
JPY 167,101
Macedonia
Macedonia
Skopje
Macedonia
Skopje
Skopje
Skopje
Skopje
Skopje
JPY 216,689
JPY 893,758
Skopje
JPY 86,025
Skopje
Skopje
JPY 236,200
JPY 535,193
Skopje
Kichevo, Jasenovo
Location
JPY 544,828
JPY 4,880,883
Total Price
Model number/
Equivalent JPY*3 Management number
Appendix B Record of Japanese Inputs
B. Gjorgjievski
T. Todorcevski
T. Todorcevski
I. Karafirovski
V. Gogovski
V. Gogovski
B. Gjorgjievski
RPEMF
RDPR
DPR
RCMC
MAFWE
MAFWE
PEMF
PEMF
Project
(PEMF)
Y. Honda
(B. Gjorgjievski)
B. Gjorgjievski
PEMF
Project
(PEMF)
Y. Honda
(B. Gjorgjievski)
PEMF
PEMF
Hydro-Met
Responsible
Organization
B. Gjorgjievski
B. Gjorgjievski
B. Gjorgjievski
R. Avramovska
Responsible
Person
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
Local
International or
local
procurement
7/02/2012
7/02/2012
7/02/2012
7/02/2012
13/03/2012
13/03/2012
Date of
Delivery
A
A
A
A
A
E
E
E
E
E
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
A
E
A
A
A
E
A
Mgt
(*2)
E
Use
(*1)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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4
0
10
0
3
1
1
1
0
30
8
2
35
0
0
1
0
9
0
0
0
0
2
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
# of
# of
# of
Relevant
dispose availabl eqpt on major aｃtivity
d eqpt e eqpt shpmt
# of PDM
